JP2023124818A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロッドレンズアレイに関して資源の有効活用を推進すること。【解決手段】露光ヘッドは、感光体の回転方向に対して交差する交差方向に配列された複数の発光素子と、画像データに基づき複数の発光素子のそれぞれから出力される光を感光体上に結像させるロッドレンズアレイと、を有し、感光体上に潜像を形成する。記憶手段は、スジ画像を補正する補正データを記憶する。補正手段は、記憶手段から読み出された補正データに基づいて画像データを補正する。【選択図】図14
Description
本発明は、画像形成装置に関する。
発光ダイオード(LED)および有機エレクトロルミネッセンス(EL)などを有する露光ヘッドを用いて、感光体ドラムを露光し、潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置が知られている。多数の発光素子の一つ一つにはロッドレンズが設けられており、発光素子から出力された光はロッドレンズにより集光されて感光体上に所定サイズのスポットを形成する。多数のロッドレンズは一列に並べられてロッドレンズアレイを構成する。ところで、ロッドレンズアレイ内のいずれかのロッドレンズが傾斜して配置されると、光量むらが発生する。その結果、シート上に形成された画像上で白または黒のスジが発生してしまう。特許文献1では、ロッドレンズアレイを透過した光の強度分布に基づきロッドレンズの良品判定を行うことが記載されている。
従来、良品でないロッドレンズアレイは廃棄されていた。その結果、ロッドレンズアレイの歩留まりが低下し、ロッドレンズアレイが搭載される画像形成装置のコストが増大してしまっていた。そこで、本発明は、画像形成装置のコストが増大してしまうことを抑制することを目的とする。
本発明は、たとえば、
回転駆動される感光体の回転方向に対して交差する交差方向に配列された複数の発光素子と、画像データに基づき前記複数の発光素子のそれぞれから出力される光を前記感光体上に結像させるロッドレンズアレイと、を有し、前記感光体上に潜像を形成する露光ヘッドと、
スジ画像を補正する補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出された前記補正データに基づいて前記画像データを補正する補正手段と、
を有する画像形成装置を提供する。
回転駆動される感光体の回転方向に対して交差する交差方向に配列された複数の発光素子と、画像データに基づき前記複数の発光素子のそれぞれから出力される光を前記感光体上に結像させるロッドレンズアレイと、を有し、前記感光体上に潜像を形成する露光ヘッドと、
スジ画像を補正する補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出された前記補正データに基づいて前記画像データを補正する補正手段と、
を有する画像形成装置を提供する。
本発明によれば、画像形成装置のコストが増大してしまうことを抑制することが可能となる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
(第一実施形態)
<画像形成装置>
図1は電子写真方式の複写機である画像形成装置1を示している。ただし、画像形成装置1は、モノクロプリンタ、フルカラープリンタ、ファクシミリ通信装置、および複合機として実現されてもよい。
<画像形成装置>
図1は電子写真方式の複写機である画像形成装置1を示している。ただし、画像形成装置1は、モノクロプリンタ、フルカラープリンタ、ファクシミリ通信装置、および複合機として実現されてもよい。
スキャナ部100は、原稿台に置かれた原稿に対して、照明光を当てて原稿画像を光学的に読み取り、読取結果を電気信号に変換して画像データを作成する原稿読取装置である。プリンタエンジン103は、シートPに対してトナー画像を形成する。プリンタエンジン103は、感光体ドラム102を回転させる。帯電器107は、感光体ドラム102の表面の電位が一様な電位となるように、感光体ドラム102の表面を帯電させる。露光ヘッド106は、画像データに応じた光で感光体ドラム102の表面を露光し、感光体ドラム102の表面に静電潜像を形成する。現像器108は、感光体ドラム102に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。感光体ドラム102がさらに回転することで、トナー画像が、転写ニップに到着する。転写ニップにおいて、感光体ドラム102と転写ベルト111とによりシートPが挟持されながら搬送される。これにより、トナー画像が感光体ドラム102からシートPへ転写される。
プリンタエンジン103は、トナーの色であるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(CMYK)に対応した四つの作像ユニット101C、101M、101Y、101Kを有している。四つの作像ユニット101C、101M、101Y、101Kが、それぞれ色の異なるトナー画像をシートPに転写することで、シートPにはフルカラー画像が形成される。
給送部105は、画像形成装置1の本体に設けられた給送装置109a、109b、当該本体の外部に設けられた給送装置109c、および手差しタイプの給送装置109dのうち、予め指示された給送装置からシートPを給送する。給送されたシートPはレジローラ110まで搬送される。レジローラ110は、転写ニップにトナー画像が到着するタイミングとシートPが到着するタイミングとが一致するように、シートPを搬送する。転写ベルト111は、トナー画像を転写されたシートPを定着器104へ搬送する。
定着器104は、トナー画像およびシートPに対して圧力と熱を加えることで、トナー画像をシートP上に定着させる。排紙ローラ112は、シートPを画像形成装置1の外部に排出する。
<露光ヘッド>
図2(A)は感光体ドラム102を露光する露光ヘッド106の斜視図である。図2(B)は感光体ドラム102および露光ヘッド106の概略的な断面図である。露光ヘッド106は、発光素子群201、プリント基板202、ロッドレンズアレイ203、およびハウジング204を有している。プリント基板202に実装された発光素子群201から出力された光はロッドレンズアレイ203により集光されて感光体ドラム102の表面に照射される。プリント基板202とロッドレンズアレイ203はハウジング204に対して固定されている。
図2(A)は感光体ドラム102を露光する露光ヘッド106の斜視図である。図2(B)は感光体ドラム102および露光ヘッド106の概略的な断面図である。露光ヘッド106は、発光素子群201、プリント基板202、ロッドレンズアレイ203、およびハウジング204を有している。プリント基板202に実装された発光素子群201から出力された光はロッドレンズアレイ203により集光されて感光体ドラム102の表面に照射される。プリント基板202とロッドレンズアレイ203はハウジング204に対して固定されている。
露光ヘッド106は、その長手方向が感光体ドラム102の軸方向D1と平行となり、ロッドレンズアレイ203が取付けられた面が感光体ドラム102の表面に対向するように配置される。発光素子群201は、少なくとも軸方向D1と平行に規則的に配置された複数の発光素子を含む。感光体ドラム102が周方向D2に回転している間に、露光ヘッド106の発光素子群201は光を射出し、ロッドレンズアレイ203がその光を感光体ドラム102の表面上に結像させる。本明細書において、感光体ドラム102の軸方向D1と平行な方向を第1方向、プリント基板202の表面上で第1方向と直交する(周方向D2と略平行な)方向を第2方向ともいう。
露光ヘッド106はそれ単体で組み立てと調整作業とを実行される。調整作業として、集光位置でのスポットサイズ調整(ピント調整)と、光量調整とが含まれる。ピント調整では、ロッドレンズアレイ203と発光素子群201との距離が所定値となるように、ロッドレンズアレイ203の取り付け位置が調整される。光量調整では、発光素子群201に含まれる複数の発光素子を一つずつ順番に発光させ、ロッドレンズアレイ203を介して集光させた光の光量が所定光量になるように、各発光素子の駆動電流が調整される。
<発光素子群の構成>
図3(A)はプリント基板202の非実装面301を示している。非実装面301には発光素子が実装されないものの、コネクタ305など他の電子部品は実装される。コネクタ305は、プリント基板202に対してクロック信号などの各種の信号を搬送するケーブル(電源線および信号線)が接続される。
図3(A)はプリント基板202の非実装面301を示している。非実装面301には発光素子が実装されないものの、コネクタ305など他の電子部品は実装される。コネクタ305は、プリント基板202に対してクロック信号などの各種の信号を搬送するケーブル(電源線および信号線)が接続される。
図3(B)が示すように、プリント基板202の実装面302には発光素子群201が実装される。実装面302は、非実装面301に対して反対側の面である。発光素子群201は、千鳥状に配列されたm個の発光素子アレイ300-1~300-mを有している。以下では、一例としてm=20のケースが説明される。発光素子アレイは発光チップと呼ばれてもよい。発光素子アレイ300-1~300-mは、まとめて発光素子アレイ300と表記されることがある。
図3(C)が示すように、発光素子アレイ300-1~300-mのそれぞれには、発光素子アレイ300の長手方向に沿って複数の発光素子350が配置されている。
図3(B)が示すように、発光素子アレイ300は2つの列に配置されている。一列目には、発光素子アレイ300-1、発光素子アレイ300-3、・・・、発光素子アレイ300-m-1が設けられている。二列目には、発光素子アレイ300-2、発光素子アレイ300-4、・・・、発光素子アレイ300-mが設けられている。
図3(C)が示すように、ある発光素子アレイ300における隣り合った2つの発光素子350間の距離はLである。距離Lは、発光素子アレイ300の長手方向の距離である。1200dpiの解像度では、L=約21.16μmである。これは、1200dpiで1画素分に相当する距離である。なお、i番目の発光素子アレイ300-iの右端の発光素子350と、i+1番目の発光素子アレイ300-i+1の左端の発光素子350との距離もLである。iは1からm-1までの任意の整数である。図3(C)が示すように、発光素子アレイ300の短手方向において、発光素子アレイ300-iの右端の発光素子350と、発光素子アレイ300-i+1の左端の発光素子350との距離Sは、約105μmである。これは、1200dpiで5画素分の距離に相当する。なお、距離L,Sは一例にすぎない。
<発光素子アレイの構成>
図4は発光素子アレイ300の平面図である。X方向は感光体ドラム102の長手方向を示す。Y方向は感光体ドラム102の回転方向を示す。発光素子アレイ300は、発光基板402と、発光基板402上に実装された複数の発光素子350を含む発光部404と、発光基板402上に実装されたWBパッド408とを有している。WBはワイヤボンディングの略称である。発光基板402には発光部404を制御するための回路部406が内蔵されている。回路部406はアナログ駆動回路(アナログ部)とデジタル制御回路(デジタル部)との両方を含む。回路部406に対する電力の供給と、発光素子アレイ300に対する信号の入出力は、WBパッド408を通じて行われる。
図4は発光素子アレイ300の平面図である。X方向は感光体ドラム102の長手方向を示す。Y方向は感光体ドラム102の回転方向を示す。発光素子アレイ300は、発光基板402と、発光基板402上に実装された複数の発光素子350を含む発光部404と、発光基板402上に実装されたWBパッド408とを有している。WBはワイヤボンディングの略称である。発光基板402には発光部404を制御するための回路部406が内蔵されている。回路部406はアナログ駆動回路(アナログ部)とデジタル制御回路(デジタル部)との両方を含む。回路部406に対する電力の供給と、発光素子アレイ300に対する信号の入出力は、WBパッド408を通じて行われる。
<発光部>
図5は、発光部404を構成する発光素子列を示している。発光部404は一列に並んだn個の発光素子350を有している。複数の発光素子350はそれぞれX方向において所定のピッチ(距離L=21.16μm)で並んでいる。
図5は、発光部404を構成する発光素子列を示している。発光部404は一列に並んだn個の発光素子350を有している。複数の発光素子350はそれぞれX方向において所定のピッチ(距離L=21.16μm)で並んでいる。
図5においてW1はX方向における発光素子350の長さである。d1はX方向における隣り合った2つの発光素子350の隣接間隔である。W2はY方向における発光素子350の長さである。長さW2はY方向における走査速度と解像度を考慮して決定される。一例として、長さW1、W2は20.9μmであり、隣接間隔d1は0.26μmである。
<制御ブロック>
図6は画像コントローラ600とプリント基板202のブロック図を示す。本実施例においては、説明を簡明化するために、YMCKのうちK単色の回路構成と処理が説明される。YMCに関しても、同様の処理と回路構成とが採用されている。
図6は画像コントローラ600とプリント基板202のブロック図を示す。本実施例においては、説明を簡明化するために、YMCKのうちK単色の回路構成と処理が説明される。YMCに関しても、同様の処理と回路構成とが採用されている。
画像コントローラ600は、プリント基板202を制御するための信号群を生成してプリント基板202に送信する制御回路である。このような信号群は、クロック信号clk、画像データdata_1~data_m、ライン同期信号lsync_x、通信信号comを含む。クロック信号clkは、クロック部608によって生成され、様々な回路において動作の基準となる信号である。画像データdata_1~data_mは、それぞれ発光素子アレイ300-1~300-mに供給される画像データである。ライン同期信号lsync_xは、副走査方向における画像の書き出しタイミングを表す。通信信号comはCPU603とプリント基板202との間で送信または受信される通信信号である。クロック信号clkは、クロック信号線605を介してクロック部608からプリント基板202などへ伝送される。ライン同期信号lsync_xは、同期信号線606を介して同期部604からプリント基板202などへ伝送される。画像データdata_1~data_mは、それぞれ画像信号線607-1~607-mを介して発光素子アレイ300-1~300-mへ伝送される。通信信号comは、通信信号線609を介してCPU603から情報格納部610および発光素子アレイ300-1~300-mへ伝送される。
画像データ部601は、スキャナ部100または画像形成装置1の外部のコンピュータから受信される画像データに対して画像処理を適用し、画像データをスジ補正部615へ出力する。画像処理は、たとえば、CPU603により指示された解像度でのディザリング処理などを含む。たとえば、副走査方向に2400dpiの解像度で、かつ、主走査方向に1200dpiの解像度でディザリング処理が実行される。画像データは、8ビット幅のデータであり、たとえば、点灯光量を表す。
スジ補正部615は、露光ヘッド106の組み立て工程において情報格納部610に格納されるスジ情報に基づき、画像データ部601から入力された画像データを補正し、補正された画像データを変換部602へ出力する。上述されたように、ロッドレンズアレイ203の傾斜によりスジ状の濃度ムラ(スジ画像)が発生することがある。スジ画像には再現性がある。そこで、露光ヘッド106の組み立て工程において濃度ムラの発生する主走査位置を検知し、その位置での画像データの補正値を測定し、補正対象となる主走査位置と補正値とがスジ情報として情報格納部610に書き込まれる。これによりロッドレンズアレイ203の傾斜に起因したスジ画像が発生しにくくなる。
クロック部608は一定周期のクロック信号clkを生成する発振回路である。クロック信号clkは、CPU603、同期部604、変換部602、およびプリント基板202に供給される。CPU603はメモリ650のROM領域に記憶されている制御プログラムにしたがって次のような処理を実行する。なお、メモリ650は変数等を保持するRAM領域も含む。
CPU603は、ライン同期信号lsync_xの生成周期を決定する。生成周期は、たとえば、感光体ドラム102の回転速度(感光体ドラム102の表面が回転方向に移動する速度情報)と、画像の副走査方向の変倍率と、を基に計算される。CPU603は、ライン同期信号lsync_xの生成周期を同期部604に設定する。また、CPU603は、同期部604からライン同期信号lsync_xを受け取り、ライン同期信号lsync_xの生成が完了したタイミングを認識する。
変換部602は、スジ補正部615を介して画像データ部601から出力される1ライン分の画像データをm個に分割して画像データdata_1~data_mを生成する。変換部602は、ライン同期信号lsync_xおよびクロック信号clkに同期して、画像データdata_1~data_mをプリント基板202へ送信する。
同期部604は、CPU603から指示された生成周期でライン同期信号lsync_xを生成する。ライン同期信号lsync_xはプリント基板202、変換部602、およびCPU603に供給される。
プリント基板202において、発光素子アレイ300-iは、ライン同期信号lsync_x、クロック信号clk、画像データdata_i、通信信号comを供給されて動作する。情報格納部610は、ヘッド情報を記憶する記憶回路である。ヘッド情報は、発光素子アレイ300-1~300-mの各発光量と実装位置を示す位置情報などを含む。CPU603は、通信信号線609を介して情報格納部610にアクセスし、ヘッド情報を読み出したり、設定情報を書き込んだりする。なお、情報格納部610は、露光ヘッド106の組み立て工程において調整された駆動電流の設定値を記憶してもよい。
図6が示すように、クロック信号線605、通信信号線609、同期信号線606はすべての発光素子アレイ300に接続されている。画像信号線607と発光素子アレイ300とは一対一で接続されている。つまり、1個の発光素子アレイ300に一本の画像信号線607が接続されている。
<回路部の構成>
図7はi番目の発光素子アレイ300-i内の回路部406のブロック図である。iは1~mまでの整数である。回路部406はデジタル部700とアナログ部750を有する。デジタル部700はクロック信号clkに同期して、通信信号comによって予め設定された設定値、ライン同期信号lsync_x、および画像データdataを基に発光素子350を発光させるための点灯信号を生成する。デジタル部700は点灯信号線708を介してアナログ部750へ点灯信号を出力する。
図7はi番目の発光素子アレイ300-i内の回路部406のブロック図である。iは1~mまでの整数である。回路部406はデジタル部700とアナログ部750を有する。デジタル部700はクロック信号clkに同期して、通信信号comによって予め設定された設定値、ライン同期信号lsync_x、および画像データdataを基に発光素子350を発光させるための点灯信号を生成する。デジタル部700は点灯信号線708を介してアナログ部750へ点灯信号を出力する。
通信IF701はCPU603からの通信信号comに基づいて、レジスタ702に対する設定値のライトおよびリードを制御する。レジスタ702は発光素子350の動作に必要な設定値を保持する。設定値としては、アナログ部750に設定される駆動電流を示す値が含まれる。
タイミング部704は、ライン同期信号lsync_xに基づきタイミング信号を生成し、信号線707-1を介して点灯制御部705-1にタイミング信号を供給する。点灯制御部705-1は、タイミング信号にしたがって、画像信号線607から画像データdataを取り込む。点灯制御部705の個数nと発光素子350の個数nとは一致している。つまり、1個の発光素子350につき、1個の点灯制御部705が設けられている。点灯制御部705-jは、点灯信号線708-jを介して点灯信号をアナログ部750に出力する。jは1からnまでの整数である。なお、点灯制御部705-jは、入力されるタイミング信号に基づき、点灯制御部705-j+1のためのタイミング信号を生成し、信号線707-j+1を介して点灯制御部705-j+1にタイミング信号を供給する。このように、点灯制御部705-1はタイミング部704から直接的にタイミング信号を供給されるが、点灯制御部705-2~705-nはそれぞれ前段の点灯制御部705-1~705-n-1からタイミング信号を供給される。
アナログ部750はデジタル部700で生成されたパルス状の点灯信号を基に発光素子350-1~350-nを駆動する。
<タイミング部の詳細>
図8(A)はタイミング部704の回路図である。ここでは、ライン同期信号lsync_xは負論理信号と仮定されているが、正論理信号であってもよい。we[0]はタイミング信号である。タイミング部704は、ライン同期信号lsync_xがLowからHighに変わったときにのみタイミング信号we[0]を出力する論理回路である。
図8(A)はタイミング部704の回路図である。ここでは、ライン同期信号lsync_xは負論理信号と仮定されているが、正論理信号であってもよい。we[0]はタイミング信号である。タイミング部704は、ライン同期信号lsync_xがLowからHighに変わったときにのみタイミング信号we[0]を出力する論理回路である。
遅延回路801は、同期信号線606とクロック信号線605が接続され、同期信号線606によって伝送されてきたライン同期信号lsync_xを1サイクルだけ遅延させて論理ゲート802に出力する。遅延回路801は、たとえば、フリップフロップ回路により実現される。
論理ゲート802はライン同期信号lsync_xと、遅延回路801の出力信号を反転素子803で反転させた信号の論理積(AND)を演算し、タイミング信号we[0]を生成する。タイミング信号we[0]は信号線707-1に出力される。
図8(B)はタイミング部704のタイミングチャートである。ライン同期信号lsync_xがLowからHighに変わったタイミングで、タイミング信号we[0]はHighとなる。タイミング信号we[0]は、クロック信号clkの1サイクル分に相当する時間にわたりHighを継続し、その後、Lowに戻る。
<点灯制御部の詳細>
図9(A)はi番目の発光素子アレイ300-iにおけるj番目の点灯制御部705-jの回路図である。jは1からnまでの整数である。遅延回路901は信号線707-jとクロック信号線605が接続されている。遅延回路901は、信号線707-jによって伝送されてきたタイミング信号we[j]を1サイクルだけ遅延させ、後段の点灯制御部705-j+1のためのタイミング信号we[j+1]を生成し、信号線707-j+1に出力する。遅延回路901は、入力信号を、クロック信号clkの1サイクルに相当する時間だけ遅延させて出できる回路あればよい。たとえば、遅延回路901としてはフリップフロップ回路を採用可能である。
図9(A)はi番目の発光素子アレイ300-iにおけるj番目の点灯制御部705-jの回路図である。jは1からnまでの整数である。遅延回路901は信号線707-jとクロック信号線605が接続されている。遅延回路901は、信号線707-jによって伝送されてきたタイミング信号we[j]を1サイクルだけ遅延させ、後段の点灯制御部705-j+1のためのタイミング信号we[j+1]を生成し、信号線707-j+1に出力する。遅延回路901は、入力信号を、クロック信号clkの1サイクルに相当する時間だけ遅延させて出できる回路あればよい。たとえば、遅延回路901としてはフリップフロップ回路を採用可能である。
ラッチ回路902は信号線707-jと画像信号線607-iとが接続されている。ラッチ回路902は、タイミング信号we[j]がHighである期間において画像データdata_iを取り込み、点灯信号el[j]として点灯信号線708-jに出力する。本実施例では、画像データdata_iを取り込む回路としてラッチ回路902が採用されているが、これは一例にすぎない。タイミング信号we[j]がHighになってから次にタイミング信号we[j]がHighになるまで、画像データdata_iを保持できる回路であればよい。たとえば、ラッチ回路902に代えて、フリップフロップ回路が採用されてもよい。
図9(B)は遅延回路901のタイミングチャートである。タイミング信号we[j]がクロック信号clkの1サイクル分だけ遅延させることで、タイミング信号we[j+1]が生成されている。
図9(C)はラッチ回路902のタイミングチャートである。タイミング信号we[j]がHighである期間に画像データdata_i(この例では"000")が取り込まれ、点灯信号el[j]が生成されている。
<アナログ部の詳細>
図10はアナログ部750のブロック図である。説明を簡明化するため、2つの発光素子350-1、350-nと、2つの駆動回路1001-1,1001-nが図示されている。実際には、n個の発光素子350-1~350-nとn個の駆動回路1001-1~1001-nが存在する。ここで、一般化するためにj番目の発光素子350-jとj番目の駆動回路1001-jについて説明する。jは1からnまでの整数である。
図10はアナログ部750のブロック図である。説明を簡明化するため、2つの発光素子350-1、350-nと、2つの駆動回路1001-1,1001-nが図示されている。実際には、n個の発光素子350-1~350-nとn個の駆動回路1001-1~1001-nが存在する。ここで、一般化するためにj番目の発光素子350-jとj番目の駆動回路1001-jについて説明する。jは1からnまでの整数である。
駆動回路1001-jはj番目の発光素子350-jを駆動する回路である。駆動回路1001-jには、点灯信号線708-jを介して点灯信号el[j]が供給される。
DAC1002は、レジスタ702に設定された駆動電流データをアナログ電圧に変換し、信号線1003を介して駆動回路1001-1~1001-nにアナログ電圧を供給する。DACはデジタルアナログ変換器の略称である。ここで、駆動電流データは発光素子350-1~350-nに供給される駆動電流の設定値を示す。
選択回路1007は、レジスタ702に設定されたデータに基づき、駆動回路1001を選択するセレクト信号を生成する。選択回路1007は、信号線1004-1~1004-nを介して駆動回路1001-1~1001-nにセレクト信号を供給する。セレクト信号は、n個の駆動回路1001-1~1001-nのうち、選択された1個の駆動回路1001に接続されている信号線のみがHighとなる信号である。駆動回路1001-1が選択される場合、信号線1004-1のみがHighレベルに制御される。信号線1004-2(図示略)~1001-nはLowレベルに制御される。駆動回路1001-1~1001-nはそれぞれ、選択回路1007によって選択されたタイミング(セレクト信号がHighになるタイミング)で、信号線1003を介してアナログ電圧を設定される。CPU603は、レジスタ702を介して駆動回路1001-1~1001-nを一つずつ順番に選択し、選択した駆動回路1001に対応したアナログ電圧を設定する。これにより、単一のDAC1002を用いてn個の駆動回路1001-1~1001-nに個別のアナログ電圧を設定することが可能となっている。このように、駆動回路1001-1~1001-nはそれぞれ、駆動電流を決定するアナログ電圧と点灯信号を入力され、それぞれ対応する発光素子350-1~350-nを発光させる。
<駆動回路の詳細>
図11はj番目の駆動回路1001-jの回路図である(jは1からnまでの整数)。駆動回路1001-1~1001-nはいずれも同一の回路構成を有している。
図11はj番目の駆動回路1001-jの回路図である(jは1からnまでの整数)。駆動回路1001-1~1001-nはいずれも同一の回路構成を有している。
MOSFET Q1は、ゲートに印加されたゲート電圧に応じて駆動電流を発光素子350-jに供給する。ゲート電圧がLowレベルのときは、駆動電流が減少し、発光素子350-jが消灯する。MOSFET Q2のゲートには、点灯信号線708-jが接続されている。MOSFET Q2は、点灯信号el[j]がHighのときにオンとなり、コンデンサC1に充電された電圧をMOSFET Q1に受け渡す。MOSFET Q3のゲートには、信号線1004-jが接続されている。MOSFET Q3は、選択回路1007からのセレクト信号に応じてオン/オフする。つまり、MOSFET Q3は、セレクト信号がHighのときにオンし、DAC1002から出力されるアナログ電圧をコンデンサC1に印加し、コンデンサC1を充電する。本実施例においては、画像形成前に、DAC1002がコンデンサC1にアナログ電圧を設定する。画像形成期間中は、MOSFET Q3がオフとなり、コンデンサC1は電圧レベルを継続的に維持する。これにより、MOSFET Q1は、設定されたアナログ電圧に対応する駆動電流を、点灯信号に応じて発光素子350-1に供給したり、供給停止したりする。
発光素子350-jの入力容量が大きすぎると、発光素子350-jを点灯から消灯に切り替えるための応答速度が遅くなる。そこで、応答速度を改善するために、MOSFET Q4とインバータ1101が追加されてもよい。MOSFET Q4のゲートには、インバータ1101により点灯信号el[j]の論理を反転させた信号が入力される。点灯信号el[j]がLowレベルのときに、MOSFET Q4のゲートはHighになる。よって、MOSFET Q4がオンとなり、発光素子350-jの入力容量に充電された電荷を強制的に放電することが可能となる。
[スジ情報]
ロッドレンズアレイ203を構成する一部のロッドレンズが傾斜すると、そのロッドレンズを通過してきた光のスポットサイズが広がってしまうことがある。この場合、図12(A)が示すように、低濃度の画像1201aを形成すると、周囲の画像の濃度よりも薄い濃度のスジ状の画像1202aが発生することがある。また、図12(B)が示すように、高濃度の画像1201bを形成すると、周囲の画像の濃度よりも濃い濃度のスジ状の画像1202bが発生することがある。スジ状の画像1202a、1202bは、副走査方向と平行に発生する。つまり、スジ状の画像1202a、1202bは、同一の主走査位置に発生する。従来、このようなロッドレンズアレイ203は廃棄されていた。本実施例では、このようなロッドレンズアレイ203の特性情報に基づき画像データを補正することで、スジ状の濃度ムラが低減される。これにより、ロッドレンズアレイ203の廃棄数が減少し、資源の有効活用が図られる。その結果、ロッドレンズアレイの歩留まりが改善され、画像形成装置のコストが増大してしまうことを抑制することができる。
ロッドレンズアレイ203を構成する一部のロッドレンズが傾斜すると、そのロッドレンズを通過してきた光のスポットサイズが広がってしまうことがある。この場合、図12(A)が示すように、低濃度の画像1201aを形成すると、周囲の画像の濃度よりも薄い濃度のスジ状の画像1202aが発生することがある。また、図12(B)が示すように、高濃度の画像1201bを形成すると、周囲の画像の濃度よりも濃い濃度のスジ状の画像1202bが発生することがある。スジ状の画像1202a、1202bは、副走査方向と平行に発生する。つまり、スジ状の画像1202a、1202bは、同一の主走査位置に発生する。従来、このようなロッドレンズアレイ203は廃棄されていた。本実施例では、このようなロッドレンズアレイ203の特性情報に基づき画像データを補正することで、スジ状の濃度ムラが低減される。これにより、ロッドレンズアレイ203の廃棄数が減少し、資源の有効活用が図られる。その結果、ロッドレンズアレイの歩留まりが改善され、画像形成装置のコストが増大してしまうことを抑制することができる。
図13は情報格納部610に保持されるスジ情報の一例を示している。図13によれば、スジ情報は、特定の主走査位置で発生するスジごとの個別情報を含む。この例で、個別情報は、スジ番号、スジ開始位置およびスジランクを含む。スジ番号は、複数のスジを識別するための識別情報である。スジ開始位置は、主走査方向におけるスジ画像の開始位置を示す。この例では、主走査方向における左側から右側に向かって番号が増加するように主走査位置を示す画素番号が定義されている。図13に示されたスジ開始位置は、2400dpiでトナー画像を形成することを前提とした主走査位置を示している。たとえば、スジ番号"1"を付与されたスジのスジ開始位置は100[pix]である。pixはピクセル(画素)の略称である。スジ番号"2"を付与されたスジのスジ開始位置は1000[pix]である。この例では、5つのスジのスジ情報が情報格納部610に格納されているが、これは一例にすぎない。スジ情報の個数は、露光ヘッド106ごとに異なりうる。
ところで、露光ヘッド106が、2400dpiと1200dpiなど複数の解像度に対応している場合がある。この場合、解像度ごとのスジ情報が情報格納部610に保持されてもよい。この場合、CPU603はユーザにより指定された解像度に応じたスジ情報を情報格納部610から読み出して、スジ補正部615に設定する。
スジランクは、予め測定されたスジ状の濃度ムラの程度を示す情報である。スジランクは、たとえば、4ビットで表現されてもよい。この場合、スジランクは、16段階の補正値を示すことができる。また、1つのスジ情報には、複数個のスジランクが保持されてもよい。一般に、主走査方向におけるスジの幅は複数の画素に及ぶ。このスジとなる各画素の番号のすべてを保持するには、大量の記憶領域が必要となってしまう。そこで、本実施例では、スジ開始位置とスジランクとにより、スジの幅に対応した複数の補正対象画素を特定可能となっている。図13の例では、1つのスジについて16個のスジランクが保持されている。これは、1つのスジの幅(画素数)が概ね16画素以下であることに由来する。この例では、1画素ごとにスジランクが保持されているが、これも一例にすぎない。スジランクの記憶に必要なメモリを削減するために、2画素、4画素または8画素ごとに一つのスジランクが保持されてもよい 。
[スジ補正部]
図14が例示するように、スジ補正部615は、特定部1401、補正演算部1402、および補正処理部1403を有している。特定部1401は、入力データ(画素データ)がスジ補正の対象となっている画素かどうかを判定する。画素データは、たとえば、8ビットの点灯光量(輝度値または濃度値)である。CPU603はスジ情報からスジ開始位置を抽出し、通信信号comにより特定部1401にスジ開始位置を設定する。特定部1401は、画素データを主走査方向にカウントして行く。たとえば、特定部1401は、クロック信号clkをカウントするカウンタを有してもよい。カウント値がスジ開始位置に一致すると、特定部1401は、スジ開始位置を特定したことを示す特定信号を補正演算部1402へ出力する。たとえば、特定信号がLowからHighに変化する。これと並行して、特定部1401は、クロック信号clkに基づき画像データを構成する画素データを一つずつ順番に補正演算部1402へ出力する。
図14が例示するように、スジ補正部615は、特定部1401、補正演算部1402、および補正処理部1403を有している。特定部1401は、入力データ(画素データ)がスジ補正の対象となっている画素かどうかを判定する。画素データは、たとえば、8ビットの点灯光量(輝度値または濃度値)である。CPU603はスジ情報からスジ開始位置を抽出し、通信信号comにより特定部1401にスジ開始位置を設定する。特定部1401は、画素データを主走査方向にカウントして行く。たとえば、特定部1401は、クロック信号clkをカウントするカウンタを有してもよい。カウント値がスジ開始位置に一致すると、特定部1401は、スジ開始位置を特定したことを示す特定信号を補正演算部1402へ出力する。たとえば、特定信号がLowからHighに変化する。これと並行して、特定部1401は、クロック信号clkに基づき画像データを構成する画素データを一つずつ順番に補正演算部1402へ出力する。
CPU603はスジ情報からスジランクを抽出し、通信信号comにより補正演算部1402にスジランクを設定する。補正演算部1402は、特定部1401からの特定信号がLowからHighに変化すると、特定部1401から入力される画素データを補正対象として認識する。特定部1401は、CPU603により設定されたスジランクに基づき補正値を演算し、補正値を示す補正信号を補正処理部1403へ出力する。これと並行して、特定部1401は、クロック信号clkに基づき画像データを構成する画素データを一つずつ順番に補正処理部1403へ出力する。
補正処理部1403は、補正演算部1402から出力される補正信号と画素データを入力される。補正処理部1403は、補正信号にしたがって画素データを補正する。補正処理部1403からの出力される一連の画素データからなる画像データは変換部602へ出力される。
[補正対象の特定動作]
図15は、特定部1401の構成例を示す図である。図16(A)は特定部1401の動作を示すタイミングチャートである。CPU603は、スジ情報から抽出したスジ開始位置をメモリ1501に書き込む。メモリ1501は、書き込まれたスジ開始位置を比較回路1503に設定する。図16(A)が示すように、カウンタ1502は、クロック信号clkが入力されるたびに1ずつインクリメントするカウンタ回路である。図16(A)が示すように、カウンタ1502のカウント値は主走査位置を示す。なお、カウンタ1502は、ライン同期信号lsync_xが入力されると、0にリセットされる。比較回路1503は、スジ開始位置とカウント値(現在の主走査位置)とが一致するかどうかを判定する。スジ開始位置とカウント値(現在の主走査位置)とが一致しなければ、比較回路1503は、特定信号detをLowレベルに維持する。一方、スジ開始位置とカウント値とが一致すれば、比較回路1503は、所定個の画素についてHighレベルの特定信号detを出力する。図16(A)が示す事例では、カウント値(主走査位置)がスジ開始位置である100に一致すると、特定信号detがLowからHighに変化する。また、図16(A)の事例では、16画素について特定信号detがHighに維持されている。これは、スジ開始位置に相当する画素を含む16個の画素が補正対象として特定されていることを示す。この事例では、補正対象の画素の個数は、スジランクの個数に一致していることが仮定されている。遅延回路1504は、画像データを構成する複数の画素データを1個のクロック信号clkに相当する時間だけ遅延させて出力する。遅延回路1504は、たとえば、フリップフロップ回路により実現されてもよい。図16(A)が示すように、出力データは入力データに対して1クロック信号clk分だけ遅延している。
[補正対象の特定動作]
図15は、特定部1401の構成例を示す図である。図16(A)は特定部1401の動作を示すタイミングチャートである。CPU603は、スジ情報から抽出したスジ開始位置をメモリ1501に書き込む。メモリ1501は、書き込まれたスジ開始位置を比較回路1503に設定する。図16(A)が示すように、カウンタ1502は、クロック信号clkが入力されるたびに1ずつインクリメントするカウンタ回路である。図16(A)が示すように、カウンタ1502のカウント値は主走査位置を示す。なお、カウンタ1502は、ライン同期信号lsync_xが入力されると、0にリセットされる。比較回路1503は、スジ開始位置とカウント値(現在の主走査位置)とが一致するかどうかを判定する。スジ開始位置とカウント値(現在の主走査位置)とが一致しなければ、比較回路1503は、特定信号detをLowレベルに維持する。一方、スジ開始位置とカウント値とが一致すれば、比較回路1503は、所定個の画素についてHighレベルの特定信号detを出力する。図16(A)が示す事例では、カウント値(主走査位置)がスジ開始位置である100に一致すると、特定信号detがLowからHighに変化する。また、図16(A)の事例では、16画素について特定信号detがHighに維持されている。これは、スジ開始位置に相当する画素を含む16個の画素が補正対象として特定されていることを示す。この事例では、補正対象の画素の個数は、スジランクの個数に一致していることが仮定されている。遅延回路1504は、画像データを構成する複数の画素データを1個のクロック信号clkに相当する時間だけ遅延させて出力する。遅延回路1504は、たとえば、フリップフロップ回路により実現されてもよい。図16(A)が示すように、出力データは入力データに対して1クロック信号clk分だけ遅延している。
[補正値の演算]
図17はスジランクと画像データと入力とし、補正値を出力とする演算テーブルの一例を示している。補正演算部1402は、入力データの値とスジランクの値とに基づき演算テーブルを参照して補正値を決定する。なお、補正演算部1402は、CPU603により実現されてもよい。CPU603は、演算テーブルまたは関数を用いて入力データの値とスジランクの値とから補正値を演算してもよい。図17に示された事例では画像データ(画素データ)として0と255のみが示されているが、実際には、1から254の濃度値(輝度値)に対してもそれぞれ16個のスジランクとそれに関連付けられた16個の補正値とが存在する。
図17はスジランクと画像データと入力とし、補正値を出力とする演算テーブルの一例を示している。補正演算部1402は、入力データの値とスジランクの値とに基づき演算テーブルを参照して補正値を決定する。なお、補正演算部1402は、CPU603により実現されてもよい。CPU603は、演算テーブルまたは関数を用いて入力データの値とスジランクの値とから補正値を演算してもよい。図17に示された事例では画像データ(画素データ)として0と255のみが示されているが、実際には、1から254の濃度値(輝度値)に対してもそれぞれ16個のスジランクとそれに関連付けられた16個の補正値とが存在する。
図16(B)は補正演算部1402の動作を示すタイミングチャートである。特定部1401より入力された特定信号detがHighであるときに、補正演算部1402は、CPU603により設定されたスジランクに基づき補正値を演算して出力する。補正演算部1402は論理回路で構成されるため、クロック信号clkの立ち上りを基準に動作する。したがって、出力データは入力データに対して1クロック信号clkだけ遅延して出力される。なお、補正値に基づく画像データの補正は補正処理部1403で実行されるため、補正演算部1402は、画像データを補正しない。
[スジ補正処理]
図16(C)は補正処理部1403の動作を示すタイミングチャートである。補正処理部1403は論理回路で構成されるため、クロック信号clkの立ち上がりを基準に動作する。補正処理部1403は、入力データに対して、補正信号が示す補正値を加算することで出力データを生成する。本実施例では、補正値と入力データを加算することで出力データが生成されているが、これは一例にすぎない。入力データと補正値に基づきルックアップテーブルを参照することで出力データが決定されてもよい。あるいは、入力データと補正値に基づき出力データを生成するパターンマッチングが採用されてもよい。入力データと補正値に基づくフィルタ演算により出力データが生成されてもよい。
図16(C)は補正処理部1403の動作を示すタイミングチャートである。補正処理部1403は論理回路で構成されるため、クロック信号clkの立ち上がりを基準に動作する。補正処理部1403は、入力データに対して、補正信号が示す補正値を加算することで出力データを生成する。本実施例では、補正値と入力データを加算することで出力データが生成されているが、これは一例にすぎない。入力データと補正値に基づきルックアップテーブルを参照することで出力データが決定されてもよい。あるいは、入力データと補正値に基づき出力データを生成するパターンマッチングが採用されてもよい。入力データと補正値に基づくフィルタ演算により出力データが生成されてもよい。
このように、スジ補正部615は、情報格納部610に格納されているスジ情報に基づき画像データに対してスジ補正を実行する。これにより、従来であれば廃棄されていたロッドレンズアレイ203も有効活用することが可能となる。つまり、資源の有効活用を推進することが可能となる。また、比較的に低コストで、ロッドレンズアレイ203の傾斜に起因する濃度ムラ(スジ画像)を低減可能となる。
上述の実施例ではスジ補正部615が論理回路により実装されるものとして説明されたがこれは一例にすぎない。スジ補正部615がCPU603とプログラムにより実装されてもよい。
(1)パターンマッチングによるスジ補正処理
図18はパターンマッチングによるスジ補正処理の一例を示している。ここでは、主走査方向において注目画素の隣に並んでいる前画素の補正値と後画素の補正値に着目する。前画素の補正値と、注目画素の補正値と、後画素の補正値との組み合わせが所定の組み合わせ(パターン)に一致している場合に、注目画素の補正値を用いて注目画素の画素値が補正される。たとえば、i-1番目の画素の補正値がcであり、i番目の画素の補正値がcであり、i+1番目の画素の補正値がc+1である場合、i番目の画素の補正値が+cと決定される。つまり、i番目の画素の画素値がrである場合、出力画素の画素値はr+cとなる。図18が例示するように、前画素の補正値が4であり、注目画素の補正値が4であり、後画素の補正値が5であったと仮定する。この場合、出力画素は入力画素に対して+4補正される(127+4=131)。これらの数値は一例にすぎない。
図18はパターンマッチングによるスジ補正処理の一例を示している。ここでは、主走査方向において注目画素の隣に並んでいる前画素の補正値と後画素の補正値に着目する。前画素の補正値と、注目画素の補正値と、後画素の補正値との組み合わせが所定の組み合わせ(パターン)に一致している場合に、注目画素の補正値を用いて注目画素の画素値が補正される。たとえば、i-1番目の画素の補正値がcであり、i番目の画素の補正値がcであり、i+1番目の画素の補正値がc+1である場合、i番目の画素の補正値が+cと決定される。つまり、i番目の画素の画素値がrである場合、出力画素の画素値はr+cとなる。図18が例示するように、前画素の補正値が4であり、注目画素の補正値が4であり、後画素の補正値が5であったと仮定する。この場合、出力画素は入力画素に対して+4補正される(127+4=131)。これらの数値は一例にすぎない。
(2)フィルタ処理によるスジ補正処理
フィルタ処理は、パターンマッチングと同様に、注目画素の前後の画素の補正値を使用して出力画素が生成される。一例として、走査方向において注目画素の隣に並んでいる1つの前画素の1つの後画素が着目される。つまり、注目画素を含めて3つの画素の各補正値とフィルタ係数とから出力画素の画素値が決定される。フィルタとしては、たとえば、主走査方向において3画素で、副走査方向において1画素の3×1個の画素群に適用される3×1フィルタが採用される。一例として、前画素の補正値は4であり、そのフィルタ係数は20[%]であると仮定する。注目画素の補正値は4であり、そのフィルタ係数は80[%]であると仮定する。さらに、後画素の補正値は5であり、そのフィルタ係数は20[%]であると仮定する。この場合、注目画素の補正値は、以下のように算出される。
フィルタ処理は、パターンマッチングと同様に、注目画素の前後の画素の補正値を使用して出力画素が生成される。一例として、走査方向において注目画素の隣に並んでいる1つの前画素の1つの後画素が着目される。つまり、注目画素を含めて3つの画素の各補正値とフィルタ係数とから出力画素の画素値が決定される。フィルタとしては、たとえば、主走査方向において3画素で、副走査方向において1画素の3×1個の画素群に適用される3×1フィルタが採用される。一例として、前画素の補正値は4であり、そのフィルタ係数は20[%]であると仮定する。注目画素の補正値は4であり、そのフィルタ係数は80[%]であると仮定する。さらに、後画素の補正値は5であり、そのフィルタ係数は20[%]であると仮定する。この場合、注目画素の補正値は、以下のように算出される。
補正値=4×0.2 + 4×0.8 + 5×0.2 = 1 + 3 + 2 = 5 ・・・(1)
なお、数値は一例にすぎない。
なお、数値は一例にすぎない。
<第一実施形態のまとめ>
図1が示すように、感光体ドラム102は、回転駆動される感光体の一例である。発光素子350-1~350-mは、感光体の回転方向に対して交差する交差方向に配列された複数の発光素子の一例である。ロッドレンズアレイ203は、複数の発光素子のそれぞれから出力される光を感光体上に結像させるロッドレンズアレイの一例である。露光ヘッド106は、感光体上に潜像を形成する露光ヘッドの一例である。情報格納部610は、ロッドレンズアレイの結像特性を示す特性情報(例:スジ情報)を記憶する記憶ユニットの一例である。CPU603またはスジ補正部615は、記憶ユニットから読み出された特性情報に基づき複数の発光素子を駆動するための画像データを補正することで、潜像に生じるスジ状の濃度ムラを低減する補正ユニットとして機能する。これにより、従来であれば廃棄されていたようなロッドレンズアレイ203も露光ヘッド106に搭載することが可能となる。つまり、ロッドレンズアレイ203に関して資源の有効活用を推進することが可能となる。
図1が示すように、感光体ドラム102は、回転駆動される感光体の一例である。発光素子350-1~350-mは、感光体の回転方向に対して交差する交差方向に配列された複数の発光素子の一例である。ロッドレンズアレイ203は、複数の発光素子のそれぞれから出力される光を感光体上に結像させるロッドレンズアレイの一例である。露光ヘッド106は、感光体上に潜像を形成する露光ヘッドの一例である。情報格納部610は、ロッドレンズアレイの結像特性を示す特性情報(例:スジ情報)を記憶する記憶ユニットの一例である。CPU603またはスジ補正部615は、記憶ユニットから読み出された特性情報に基づき複数の発光素子を駆動するための画像データを補正することで、潜像に生じるスジ状の濃度ムラを低減する補正ユニットとして機能する。これにより、従来であれば廃棄されていたようなロッドレンズアレイ203も露光ヘッド106に搭載することが可能となる。つまり、ロッドレンズアレイ203に関して資源の有効活用を推進することが可能となる。
特定部1401は、特性情報に基づき画像データのうち補正対象となる画素を特定する特定ユニットの一例である。CPU603またはスジ補正部615は、特定ユニットにより特定された画素の画素データを、特性情報に基づき補正する。これにより、スジ状の濃度ムラが低減されてもよい。
特性情報は、画像データを構成する複数の画素のうち補正対象となる画素の位置を示す位置情報(例:スジ開始位置)と、補正対象となる画素の画素データに適用される補正レベル(例:スジランク)と、を含みうる。
位置情報(例:スジ開始位置)は、画像データを構成する複数の画素のうちで、さらに補正対象となる一連の画素のうちの最初の画素の位置を示す情報であってもよい。これにより、特性情報の記憶容量が削減されてもよい。
特性情報は、補正対象となる一連の画素のそれぞれについての補正レベル(例:16個のスジランク)を含んでもよい。図13が例示するように、特性情報は、補正対象となる一連の画素のうちの各画素について1個の補正レベルを含んでもよい。あるいは、特性情報は、補正対象となる一連の画素のうちのN(Nは2以上の整数)個の画素について共通の1個の補正レベルを含んでもよい。たとえば、2画素につき1個の共通のスジランクが設けられてもよい。4画素につき1個の共通のスジランクが設けられてもよい。または8画素につき1個の共通のスジランクが設けられてもよい。
CPU603または補正演算部1402は、補正レベルに基づき画素ごとの補正値を演算する演算ユニットとして機能してもよい。CPU603または補正処理部1403は、画素ごとに求められた補正値に基づき画素ごとに画像データに対して補正処理を実行する補正処理ユニットとして機能してもよい。
CPU603または補正処理部1403は、注目画素についてCPU603または補正演算部1402により求められた補正値を当該注目画素の画素値に加算することで、注目画素の画素値を補正してもよい。
CPU603または補正処理部1403は、注目画素の画素値と、当該注目画素について補正演算部1402により求められた補正値とに基づきテーブルを参照することで、注目画素についての補正された画素値を取得してもよい。
補正演算部1402は、主走査方向において注目画素の前に位置する前画素について第一補正値を演算する。補正演算部1402は、注目画素について第二補正値を演算する。補正演算部1402は、主走査方向において注目画素の後に位置する後画素について第三補正値を演算する。CPU603または補正処理部1403は、第一補正値、第二補正値および第三補正値が所定のパターンである場合に、注目画素の画素値に対して第二補正値を適用してもよい。なお、CPU603または補正処理部1403は、第一補正値、第二補正値および第三補正値が所定のパターンでない場合に、注目画素の画素値を補正しなくてもよい。
補正処理部1403は、前画素について求められた第一補正値に第一フィルタ係数を乗算して第一積を演算してもよい。補正処理部1403は、注目画素について求められた第二補正値に第二フィルタ係数を乗算して第二積を演算してもよい。補正処理部1403は、後画素について求められた第三補正値に第三フィルタ係数を乗算して第三積を演算して、もよい。さらに、補正処理部1403は、第一積、第二積および第三積を合計して合計補正値を求め、注目画素の画素値を合計補正値で補正してもよい。
カウンタ1502は、クロック信号に基づき主走査位置をカウントするカウントユニットとして機能してもよい。比較回路1503は、カウントユニットによりカウントされた主走査位置と補正対象となる画素の位置とが一致するかどうかを判定する判定ユニットとして機能してもよい。CPU603または補正演算部1402は、カウントユニットによりカウントされた主走査位置と補正対象となる画素の位置とが一致したことを示す所定の信号(例:特定信号det)を判定ユニットが出力すると、補正値の演算を開始する。
記憶ユニット(例:情報格納部610)は、露光ヘッド106に設けられていてもよい。[O11321]ロッドレンズアレイ203の製造精度に起因したスジ状の濃度ムラは、露光ヘッド106ごとに異なる。そのため、露光ヘッド106の組み立て工程でスジ情報が取得されて露光ヘッド106の情報格納部610に書き込まれてもよい。これにより、露光ヘッド106ごとに適切なスジ情報を用いてスジ状の濃度ムラを補正することが可能となろう。
(第二実施形態)
図19は、発光素子アレイ300、及び発光素子アレイ300内の発光素子350の配列を概略的に示している。本実施形態において、発光素子群201は、20個の発光素子アレイ300-1~300-20に含まれる発光素子から構成される。発光素子アレイ300-1~300-20は、第1方向に規則的に(ここでは2ラインの千鳥状に)配置される。より具体的には、nが奇数である場合の10個の発光素子アレイ300-nが1ラインを、nが偶数である場合の別の10個の発光素子アレイ300-nが別の1ラインをなし、2つのラインの第2方向における位置は異なる。本明細書では、前者のラインの発光素子アレイ300を奇数番目の発光素子アレイ300、後者のラインの発光素子アレイ300を偶数番目の発光素子アレイ300ともいう。また、発光素子アレイ300-1~300-20を総称して発光素子アレイ300ともいう。プリント基板202の各発光素子アレイ300は、コネクタ305を介して、画像コントローラ2200(図22)に接続される。なお、以下では、説明の便宜上、第1方向に沿って並ぶ発光素子アレイ300-1~300-20の枝番の小さい側を「左」、枝番の大きい側を「右」と称することがある。例えば、発光素子アレイ300-1は左端の発光素子アレイ300、発光素子アレイ300-20は右端の発光素子アレイである。
図19は、発光素子アレイ300、及び発光素子アレイ300内の発光素子350の配列を概略的に示している。本実施形態において、発光素子群201は、20個の発光素子アレイ300-1~300-20に含まれる発光素子から構成される。発光素子アレイ300-1~300-20は、第1方向に規則的に(ここでは2ラインの千鳥状に)配置される。より具体的には、nが奇数である場合の10個の発光素子アレイ300-nが1ラインを、nが偶数である場合の別の10個の発光素子アレイ300-nが別の1ラインをなし、2つのラインの第2方向における位置は異なる。本明細書では、前者のラインの発光素子アレイ300を奇数番目の発光素子アレイ300、後者のラインの発光素子アレイ300を偶数番目の発光素子アレイ300ともいう。また、発光素子アレイ300-1~300-20を総称して発光素子アレイ300ともいう。プリント基板202の各発光素子アレイ300は、コネクタ305を介して、画像コントローラ2200(図22)に接続される。なお、以下では、説明の便宜上、第1方向に沿って並ぶ発光素子アレイ300-1~300-20の枝番の小さい側を「左」、枝番の大きい側を「右」と称することがある。例えば、発光素子アレイ300-1は左端の発光素子アレイ300、発光素子アレイ300-20は右端の発光素子アレイである。
本実施形態において、各発光素子アレイ300の発光素子配列は、第1方向にN列(Nは2以上の整数)及び第2方向にM行(Mは2以上の整数)からなる2次元配列である。例示的な実施形態において、N=748、M=4であってよく、この場合、各発光素子アレイ300は計2992(=748×4)個の発光素子350を有する。20個の発光素子アレイ300からなる発光素子群201の全体では、第1方向に14960個の発光素子が並ぶことになる。第1方向において隣接する発光素子350のピッチは、1200dpiの解像度に対応する約21.16μmであってよい。この場合、発光素子群201の全体の第1方向における長さは約316mm(形成可能な画像の最大幅)、各発光素子アレイ300の第1方向における長さは約15.8mmとなる。各列のM個の発光素子は、4800dpiの解像度に対応する約5μmのピッチで第1方向にシフトされ、階段状に配置される。図19には、上下2つの発光素子のうちの下の発光素子が左へシフトされる例を示しているが、下の発光素子が右へシフトされてもよい。さらに、図19に示したように、奇数番目の発光素子アレイ300の右端列の発光素子と、偶数番目の発光素子アレイ300の左端列の発光素子とが、第1方向において重複するように配置されてもよい。同様に、奇数番目の発光素子アレイ300の左端列の発光素子と、偶数番目の発光素子アレイ300の右端列の発光素子とが、第1方向において重複するように配置されてもよい。これら発光素子アレイ300の発光素子配列の間の間隔Lyは、例えば約105μmであってよい。このように第1方向において発光素子配列の配置を重複させておくことで、実装のばらつきに起因して露光可能な範囲に隙間ができる事態を回避することができる。こうした重複配置が採用される場合、通常は、重複する列のうちの一方の発光素子のみが、画像データに従って発光し得る実効的な発光素子として使用される。他方の列の発光素子は、画像データに関わらず使用されなくてよい。なお、第1方向において重複して配置される列の数又は発光素子の数は、上述した例(1列4画素)に限定されず、任意の数であってよい。
第二実施形態でも図4が再び参照される。図4は、発光素子アレイ300の概略的な構成を示す平面図である。各発光素子アレイ300の複数の発光素子350は、例えば、シリコン基板である発光基板402の上に形成される。また、発光基板402には、複数の発光素子350を駆動するための回路部406が設けられる。複数のパッド408は、画像コントローラ2200と通信するための信号線や、電源に接続するための電源線や、グラウンドに接続するためのグラウンド線を回路部406へ接続するために使用される。信号線や、電源線や、グラウンド線は、例えば、金でできたワイヤであってよい。
図20は、図4のA-A線での断面の一部を示している。発光基板402上には複数の下部電極2004が形成される。下部電極2004の上には発光層2006が設けられ、発光層2006の上には上部電極2008が設けられる。上部電極2008は、複数の下部電極2004に対する1つの共通電極である。下部電極2004と上部電極2008との間に電圧が印加されると、下部電極2004から上部電極2008に電流が流れることで発光層2006が発光する。したがって、1つの下部電極2004と、当該下部電極2004に対応する発光層2006及び上部電極2008の部分領域が1つの発光素子350を構成する。図中のdxは、隣接する2つの下部電極2004の間の間隔である。dzは、下部電極2004と上部電極2008との間の間隔である。dzに対してdxを大きくすることで、隣接する下部電極2004の間のリーク電流を抑え、発光すべきでない発光素子350が誤って発光することを防止することができる。
本実施形態では、各発光素子350は有機EL(Electro-Luminescence)素子として構成されるものとする。例えば、発光層2006に有機EL膜を使用することができる。他の実施形態において、発光層2006に無機EL膜を使用することで、各発光素子350が無機EL素子として構成されてもよい。概して、各発光素子350は任意の種類のLED(Light-Emitting Diode)であってよい。
上部電極2008は、発光層2006の発光波長を透過させるように、例えば、酸化インジウム錫(ITO)などの透明電極で構成される。図20の例では、上部電極2008の全体が発光層2006の発光波長を透過させているが、必ずしも上部電極2008の全体が発光波長を透過させなくてもよい。具体的には、各発光素子350からの光が通過する部分領域が発光波長を透過させればよい。
なお、図20では、1つの連続的な発光層2006が形成されているが、下部電極2004の幅と同等の幅を各々有する複数の発光層2006が下部電極2004の上にそれぞれ形成されてもよい。また、図20では、上部電極2008が複数の下部電極2004に対する1つの共通電極として形成されているが、下部電極2004の幅と同等の幅を各々有する複数の上部電極2008が下部電極2004のそれぞれに対応して形成されてもよい。また、各発光素子アレイ300の下部電極2004のうち第1の複数の下部電極2004が第1の発光層2006により覆われ、第2の複数の下部電極2004が第2の発光層2006により覆われてもよい。同様に、各発光素子アレイ300の下部電極2004のうち第1の複数の下部電極2004に対応して第1の上部電極2008が共通に形成され、第2の複数の下部電極2004に対応して第2の上部電極2008が共通に形成されてもよい。これらのような構成においても、1つの下部電極2004と、当該下部電極2004に対応する発光層2006及び上部電極2008の領域が1つの発光素子350を構成する。
<多重露光>
発光素子350として有機EL素子を用いることで、装置の小型化及び低コスト化が容易となる反面、単一の有機EL素子が発することのできる光量は、所望の濃度の画像を形成するためには不十分となることがある。そこで、本実施形態では、感光体ドラム102の周方向に並ぶ複数の発光素子350を逐次的に発光させることで感光体ドラム102上の各画素領域(スポット領域)を多重的に露光する多重露光技術を取り入れる。
発光素子350として有機EL素子を用いることで、装置の小型化及び低コスト化が容易となる反面、単一の有機EL素子が発することのできる光量は、所望の濃度の画像を形成するためには不十分となることがある。そこで、本実施形態では、感光体ドラム102の周方向に並ぶ複数の発光素子350を逐次的に発光させることで感光体ドラム102上の各画素領域(スポット領域)を多重的に露光する多重露光技術を取り入れる。
図21は、階段状に配列された発光素子による多重露光についての説明図である。上述したように、本実施形態において、発光素子配列の各列のM個の発光素子350は一定のピッチで階段状に配列され得る。ここでは、M=4である場合の発光素子の配置の例が部分的に示されている。図21中に記載されたRj_m(j={1,2,...,N}、m={0,1,2,3})は、第1方向に左からj列目、第2方向に下からm行目の発光素子350を表す。図21中のW1は第1方向における発光素子350の幅、W2は第2方向における発光素子350の幅を表す。d1は第1方向において隣り合う発光素子350の間の間隔、d2は第2方向において隣り合う発光素子350の間の間隔を表す。d1及びd2は、上述した電極間距離dxを2つの座標軸に分けて表したものであり、いずれも上部電極と下部電極との間の間隔dzより広くなるように決定される。発光素子350の第1方向の最小のピッチd3は、上述したように、約5μm(4800dpi相当)であってよい。
図21に示された例のように各列の4個の発光素子が階段状に配列されることで、それら4個の発光素子のうちの隣り合うどの2つの発光素子も、第1方向において部分的に重複する範囲を占める。そして、入力画像データの各画素位置に対応する列の4個の発光素子が、感光体ドラム102が回転している間に、逐次的に発光することにより、各画素位置に対応するスポットが感光体ドラム102の表面上に形成される。図21の例では、入力画像データのi番目のラインの左端の画素値が発光オンを示している場合、発光素子R1_1、R1_2、R1_3、R1_4が感光体ドラム102の表面上のラインLiにそれぞれ対向するタイミングで逐次的に発光する。その結果、ラインLiの左端のスポット領域が多重的に露光され、対応するスポットSP1が形成される。同様に、入力画像データのi番目のラインの左からj番目の画素値が発光オンを示している場合、発光素子Rj_1、Rj_2、Rj_3、Rj_4が感光体ドラム102の表面上のラインLiにそれぞれ対向するタイミングで逐次的に発光する。その結果、ラインLiの左からj番目のスポット領域が多重的に露光され、対応するスポットSPjが形成される。第2方向の発光素子のピッチを約21.16μm、シートの搬送速度を200mm/sとすると、各ラインが1つの発光素子Rj_mにより露光される周期(ライン周期)は、約105.8μsであり得る。このように、20個の発光素子アレイ300の各列の4個の発光素子が適切なタイミングで逐次的に発光することで、感光体ドラム102の表面上に、一定のスポット間隔を有し互いに部分的に重複する一連のスポットからなる、滑らかな静電潜像のラインが形成され得る。そして、そうしたラインが周方向に連続的に形成される結果として、2次元の静電潜像が生み出される。
なお、以下の説明において、M個の発光素子350の発光による多重露光の結果として静電潜像のスポットが形成されるスポット領域を"露光ドット"、発光素子350が発光しないためにスポットが形成されないスポット領域を"非露光ドット"ともいう。
<制御回路の構成>
図22は、プリント基板202上の発光素子アレイ300の発光を制御するための制御回路の構成の一例を示している。なお、ここでは、説明の簡明さのために、単一の色成分についての処理を説明するが、実際には、同様の処理が4つの色成分について並列的に行われるものとする。
図22は、プリント基板202上の発光素子アレイ300の発光を制御するための制御回路の構成の一例を示している。なお、ここでは、説明の簡明さのために、単一の色成分についての処理を説明するが、実際には、同様の処理が4つの色成分について並列的に行われるものとする。
画像コントローラ2200は、露光ヘッド106と共に露光装置を構成する構成要素である。画像コントローラ2200は、複数の信号線2205~2209を介して、プリント基板202上の発光素子アレイ300の各々と接続される。チップセレクト信号線2205は、画像データの有効範囲を表すチップセレクト信号CSを搬送する。クロック信号線2206は、クロック信号CLKを搬送する。データ信号線2207は、画像データDATAを搬送する。同期信号線2208は、画像データのライン周期を識別するためのライン同期信号Lsyncを搬送する。通信信号線2209は、制御信号CTLを搬送する。
画像データ生成部2201は、スキャナ部100又は外部装置から受信される画像データに対して画像処理を行って、プリント基板202上の発光素子アレイ300の発光素子350の発光のオン・オフを制御するための二値のビットマップ形式の画像データを生成する。ここでの画像処理は、例えば、ラスタ変換、及びハーフトーン処理(例えば、ディザリング)を含み得る。ハーフトーン処理後の画像データは、形成すべき画像を構成する画素位置の各々について、対応するM個の発光素子350を発光させるか否かを示すビットの集合である。ある画素位置のビットが「発光」を示す場合、感光体ドラム102の表面上の対応するスポット領域は露光ドットとなる。当該ビットが「非発光」を示す場合、対応するスポット領域は非露光ドットとなる。画像データ生成部2201は、生成した画像データを、光量補正部2202へ出力する。
光量補正部2202は、画像データ生成部2201から入力される画像データに対し、後述するメモリ(例えば、格納部2210)に記憶されている補正データを用いて露光ヘッド106の光量むらを補正するための補正処理を行う。そして、光量補正部2202は、補正後の画像データを変換部2203へ出力する。光量補正部2202により行われる光量むらの補正について、後に詳しく説明する
変換部2203は、ライン同期信号Lsyncにより識別される各ライン周期において、光量補正部2202から入力される画像データの対応する読出し範囲内の画素値を読出し、読出した画素値を示す画像データをデータ信号線2207へ送出する。画像データDATAは、例えば、20個の発光素子アレイ300の発光素子350にそれぞれ対応する画素値のシーケンスである。変換部2203は、チップセレクト信号CSによって、画像データDATAの各部分をどの発光素子アレイ300が受け取るべきかを指定する。変換部2203は、個々の信号値の送受信のタイミングを各発光素子アレイ300と同期させるために、クロック信号CLKを生成して各発光素子アレイ300に供給する。
変換部2203は、ライン同期信号Lsyncにより識別される各ライン周期において、光量補正部2202から入力される画像データの対応する読出し範囲内の画素値を読出し、読出した画素値を示す画像データをデータ信号線2207へ送出する。画像データDATAは、例えば、20個の発光素子アレイ300の発光素子350にそれぞれ対応する画素値のシーケンスである。変換部2203は、チップセレクト信号CSによって、画像データDATAの各部分をどの発光素子アレイ300が受け取るべきかを指定する。変換部2203は、個々の信号値の送受信のタイミングを各発光素子アレイ300と同期させるために、クロック信号CLKを生成して各発光素子アレイ300に供給する。
同期信号生成部2204は、画像データのラインの区切りを判定し、ライン同期信号Lsyncを生成して、生成したライン同期信号Lsyncを同期信号線2208へ供給する。
プリント基板202の格納部2210は、各発光素子アレイ300による発光を制御するための制御データを記憶するメモリ(例えば、不揮発性メモリ)である。後に説明するように、格納部2210に格納される制御データは、例えば、供給電流量に関する設定値、及び入力画像データの補正に用いられる補正データを含み得る。
各発光素子アレイ300は、ライン同期信号Lsyncにより識別される各ライン周期において、変換部2203から入力される光量補正後の画像データに従って発光素子350の各々を駆動する。例えば、各発光素子アレイ300は、チップセレクト信号CSが自チップ向けのデータ受信タイミングを示す場合に、データ信号線2207を介して画像データDATAのうちの自チップ向けの部分を受信する。そして、各発光素子アレイ300は、受信した画像データに含まれる画素値に従って、M行N列の発光素子配列の各発光素子350を駆動させる。
CPU2211は、画像形成装置1の全体を制御する。例えば、CPU2211は、上述した画像データの生成、光量補正、ライン同期信号の生成、及びプリント基板202への画像データの送出を制御する。例えば、CPU2211は、画像形成のためのジョブの実行に先立って、予め各発光素子アレイ300の格納部2210に記憶されている補正データを読出して、読出した補正データを光量補正部2202へ提供する。
図23は、発光素子アレイ300における電流の供給に関連する回路の構成を示すブロック図である。各発光素子アレイ300は、デジタルアナログ(D/A)変換器2301、複数の(図23の例では、5個の)基準電流源2302-1~2302-5、及び複数の発光素子350を含む。各発光素子350は、当該発光素子350の第1方向の位置に依存して、基準電流源2302-1~2302-5のいずれか1つから電流を供給される。
DAC2301は、CPU2211によって設定される基準電流の設定値を示すデジタル値をデジタル-アナログ変換して、設定値に応じた電圧を有するアナログ信号を各基準電流源2302へ出力する。基準電流の設定値は、上述した格納部2210に事前に格納され、CPU2211により読出されて、DAC2301へ出力される。基準電流源2302-1~2302-5の各々は、DAC2301から入力されるアナログ信号の電圧に応じた基準電流を発光素子350へ供給する。なお、各発光素子アレイ300に設けられる基準電流源2302の数は、上述した例に限定されず、チップ内の配線の長さ又は基準電流源2302の駆動能力に依存して任意の数であってよい。
<光量むらの補正>
<様々な原因>
固体露光方式の装置において発生する光量むらの原因には様々なものがある。本項では、次の3種類の原因について説明する:
・ロッドレンズアレイの性質
・ロッドレンズアレイにおけるレンズ倒れ
・発光素子アレイの配置ズレ
(1)ロッドレンズアレイの性質
まず、図24及び図25を用いて、ロッドレンズアレイを通過する光の周期的性質について説明する。図24は、ロッドレンズアレイ203における複数のレンズの配置の一例を示している。ロッドレンズアレイ203は、少なくとも第1方向に配置された複数のレンズ2410を含む。図24の例では、ロッドレンズアレイ203の複数のレンズ2410は、第1方向と平行な2ラインを形成し、各ラインにおいてレンズ2410はピッチP1で規則的に配置されている。
<様々な原因>
固体露光方式の装置において発生する光量むらの原因には様々なものがある。本項では、次の3種類の原因について説明する:
・ロッドレンズアレイの性質
・ロッドレンズアレイにおけるレンズ倒れ
・発光素子アレイの配置ズレ
(1)ロッドレンズアレイの性質
まず、図24及び図25を用いて、ロッドレンズアレイを通過する光の周期的性質について説明する。図24は、ロッドレンズアレイ203における複数のレンズの配置の一例を示している。ロッドレンズアレイ203は、少なくとも第1方向に配置された複数のレンズ2410を含む。図24の例では、ロッドレンズアレイ203の複数のレンズ2410は、第1方向と平行な2ラインを形成し、各ラインにおいてレンズ2410はピッチP1で規則的に配置されている。
図25の上段に示した曲線2500は、理想的な光源から射出される完全に均一な平行光がロッドレンズアレイ203を通過した後の、第1方向に沿って測定され得る光量分布を模式的に表している。ロッドレンズアレイ203は、ピッチP1で配置された複数のレンズ2410の配列であることから、曲線2500で表される光量分布は、配列の長手方向に周期P1で増減を繰り返す性質を有する。一方、ロッドレンズアレイ203に対向して配置される発光素子アレイ300においても、第1方向と平行に複数の発光素子350が規則的に配置される。したがって、各発光素子350がレンズ2410のピッチP1のうちのどこに位置するかに依存して、実際の透過光の光量分布は相違する。
図25の下段に示した曲線2500の拡大図において、位置X1、X2、X3及びX4は、レンズ2410のピッチP1よりも小さいピッチで配置され得る発光素子350の位置の候補である。発光素子350が例えば位置X1及び位置X3に位置する場合には、それら発光素子350から発せられロッドレンズアレイ203を通過した光の光量は、それぞれ光量E1及びE3となる。一方、発光素子350が位置X2及び位置X4に位置する場合には、それら発光素子350から発せられロッドレンズアレイ203を通過した光の光量は、それぞれ光量E2及びE4となる。
このように、発光素子群からの光をロッドレンズアレイによって感光体の表面上に結像させる露光装置は、仮に製造のばらつきが無いとしても、何らかの周波数成分を内包する光量分布を示す。後に詳しく説明する補正データは、こうした光量分布の周波数成分を周波数領域のパラメータで表現する。典型的には、ロッドレンズアレイ203を通過した光の光量分布は、レンズ2410のピッチP1に対応する周波数成分を含む。或いは、ロッドレンズアレイ203を通過した光の光量分布は、各発光素子アレイ300における発光素子350のピッチに対応する周波数成分をも含む。
(2)ロッドレンズアレイにおけるレンズ倒れ
理想的には、ロッドレンズアレイ203の複数のレンズ2410は、それらの中心軸が全て発光素子350の発光面に対し垂直となるように(光軸と平行となるように)配置される。しかし、実際には、少数のレンズ2410の中心軸が傾いた状態でロッドレンズアレイ203が製造されてしまうことがある。図26は、図24のB-B線におけるロッドレンズアレイ203の概略断面図であり、製造誤差によるレンズの傾きの一例を示している。図中の方向D3は、感光体の軸方向D1(第1方向)及び周方向D2(第2方向)に直交する第3方向である。図26の例において、レンズ2410-1は誤差なく配置されており、レンズ2410-1の中心軸2611-1は方向D3と平行である。一方、レンズ2410-2は製造誤差に起因して傾いており、レンズ2410-2の中心軸2611-2は方向D3に対してある傾き角を有する。このようにロッドレンズアレイにおいてロッドレンズが傾いてしまう現象を、レンズ倒れともいう。こうしたレンズ倒れは、規則性なく発生し、感光体ドラム102の表面上の結像にぼけをもたらし、非周期的な光量むらの原因となる。出荷前の検査段階でレンズ倒れが検出されたロッドレンズアレイを出荷対象から除外することは可能であるが、レンズ倒れの影響を光量の補正によって解消することができれば、歩留まりを向上させることができるため製造コストの観点から有益である。
理想的には、ロッドレンズアレイ203の複数のレンズ2410は、それらの中心軸が全て発光素子350の発光面に対し垂直となるように(光軸と平行となるように)配置される。しかし、実際には、少数のレンズ2410の中心軸が傾いた状態でロッドレンズアレイ203が製造されてしまうことがある。図26は、図24のB-B線におけるロッドレンズアレイ203の概略断面図であり、製造誤差によるレンズの傾きの一例を示している。図中の方向D3は、感光体の軸方向D1(第1方向)及び周方向D2(第2方向)に直交する第3方向である。図26の例において、レンズ2410-1は誤差なく配置されており、レンズ2410-1の中心軸2611-1は方向D3と平行である。一方、レンズ2410-2は製造誤差に起因して傾いており、レンズ2410-2の中心軸2611-2は方向D3に対してある傾き角を有する。このようにロッドレンズアレイにおいてロッドレンズが傾いてしまう現象を、レンズ倒れともいう。こうしたレンズ倒れは、規則性なく発生し、感光体ドラム102の表面上の結像にぼけをもたらし、非周期的な光量むらの原因となる。出荷前の検査段階でレンズ倒れが検出されたロッドレンズアレイを出荷対象から除外することは可能であるが、レンズ倒れの影響を光量の補正によって解消することができれば、歩留まりを向上させることができるため製造コストの観点から有益である。
(3)発光素子アレイの配置ズレ
理想的には、各発光素子アレイ300は、その長手方向がロッドレンズアレイ203の長手方向(即ち、第1方向)と平行となるようにプリント基板202上に取付けられる。しかし、実際には、発光素子アレイ300の長手方向が第1方向に対し傾いた状態でプリント基板202上に発光素子アレイ300が取付けられてしまうことがある。図27は、図19と同様に、プリント基板202上に2つの発光素子アレイ300-1及び300-2が配置されている例を示している。図27の例において、発光素子アレイ300-2は誤差なく配置されており、発光素子アレイ300-2の長手方向は第1方向と平行である。一方、発光素子アレイ300-1の配置は製造誤差に起因してズレており、発光素子アレイ300-1の長手方向は第1方向に対して角度θ1をなす。一方、ロッドレンズアレイの集光効率は、ロッドレンズアレイの(図27に破線で例示した)中心線上で最も高く、中心線から離れるほど低下し得る。そのため、図示したような発光素子アレイ300の配置ズレが発生すると、1つの発光素子アレイ300の範囲内で線形的な光量むらが引き起こされる。
理想的には、各発光素子アレイ300は、その長手方向がロッドレンズアレイ203の長手方向(即ち、第1方向)と平行となるようにプリント基板202上に取付けられる。しかし、実際には、発光素子アレイ300の長手方向が第1方向に対し傾いた状態でプリント基板202上に発光素子アレイ300が取付けられてしまうことがある。図27は、図19と同様に、プリント基板202上に2つの発光素子アレイ300-1及び300-2が配置されている例を示している。図27の例において、発光素子アレイ300-2は誤差なく配置されており、発光素子アレイ300-2の長手方向は第1方向と平行である。一方、発光素子アレイ300-1の配置は製造誤差に起因してズレており、発光素子アレイ300-1の長手方向は第1方向に対して角度θ1をなす。一方、ロッドレンズアレイの集光効率は、ロッドレンズアレイの(図27に破線で例示した)中心線上で最も高く、中心線から離れるほど低下し得る。そのため、図示したような発光素子アレイ300の配置ズレが発生すると、1つの発光素子アレイ300の範囲内で線形的な光量むらが引き起こされる。
なお、発光素子アレイ300の個体差も光量むらの原因の1つである。発光素子アレイ300の個体差に起因する光量むらは、発光素子アレイ300の配置ズレに起因する光量むらと同様に、チップ単位の光量分布の段差をもたらす。そのため、本実施形態では、発光素子アレイ300の個体差に起因する光量むらの補正を、発光素子アレイ300の配置ズレに起因する光量むらの補正とまとめて扱うものとする。
(4)複数の原因が寄与する複合的な光量むら
露光ヘッド106の全体としての光量むらは、上で例示したいくつかの原因が寄与する複合的なむらとなる。図28は、3種類の原因がそれぞれ寄与する光量むらを原因別の成分に分けて示したものである。図中の光量分布2801は、ロッドレンズアレイの性質に起因する光量むらの成分の一例である。光量分布2801は、光量の増減を第1方向に沿って周期的に繰り返している。光量分布2802は、発光素子アレイ300の配置ズレに起因する光量むらの成分の一例である。光量分布2802は、各発光素子アレイ300に対応する区間において光量の線形的な変化を示している。例えば、位置X11から位置X12までの区間が1つの発光素子アレイ300に対応し、当該区間において光量は位置の移動につれて線形的に増加している。光量分布2803は、ロッドレンズアレイ203におけるレンズ倒れに起因する光量むらの成分の一例である。図28の例では、光量分布2803は、位置X21及び位置X22において特異的に低い値を示している。
露光ヘッド106の全体としての光量むらは、上で例示したいくつかの原因が寄与する複合的なむらとなる。図28は、3種類の原因がそれぞれ寄与する光量むらを原因別の成分に分けて示したものである。図中の光量分布2801は、ロッドレンズアレイの性質に起因する光量むらの成分の一例である。光量分布2801は、光量の増減を第1方向に沿って周期的に繰り返している。光量分布2802は、発光素子アレイ300の配置ズレに起因する光量むらの成分の一例である。光量分布2802は、各発光素子アレイ300に対応する区間において光量の線形的な変化を示している。例えば、位置X11から位置X12までの区間が1つの発光素子アレイ300に対応し、当該区間において光量は位置の移動につれて線形的に増加している。光量分布2803は、ロッドレンズアレイ203におけるレンズ倒れに起因する光量むらの成分の一例である。図28の例では、光量分布2803は、位置X21及び位置X22において特異的に低い値を示している。
図29の光量分布2900は、これら3種類の原因が寄与する複合的な光量むらを示している。実際の露光ヘッド106について測定される光量分布は、このような複雑な軌跡を描く。したがって、光量測定結果に対する従来の単純なサンプリングによって、光量分布を適切に再現可能な補正データを生成しようとすると、極めて多数のデータ点を設定して、それらデータ点ごとのデータを保持せざるを得ない。例えば、316mmの画像形成幅を有する露光ヘッドの光量分布が凡そ0.30mmの間隔で光量の増減を繰り返すとすると、少なくともその間隔の半分に相当する0.15mmの間隔でデータ点を設定する必要があり、データ点の総数は2100個を上回る。このような多数のデータ点の光量測定結果のデータを保持することは、メモリリソースの所要量を増大させると共に、メモリから読出される大規模なデータの転送に伴う遅延をももたらす。
これに対し、本実施形態では、光量測定結果における基準値(図29における値E0)からの光量の変動を複数の成分に分解した上で、各成分の特徴を表すパラメータの集合として補正データが予め生成され、メモリに格納される。それにより、補正データのデータ点の総数を削減してデータサイズを抑制することができ、メモリリソースの節約が可能となると共に、データ転送遅延も短縮される。
<基本的な補正方法>
光量むらを補正する方法としては、発光素子アレイ300の基準電流源2302からの供給電流量を調整する方法、及び、入力画像データを局所的な面積階調を変化させるように補正する方法があり得る。本実施形態は、両者の方法が取り入れられる。具体的には、画像形成装置1は、前者の補正方法で発光素子アレイ300の平均光量を均一化させた上で、残される光量むらを後者の補正方法で精細に補正するものとする。
光量むらを補正する方法としては、発光素子アレイ300の基準電流源2302からの供給電流量を調整する方法、及び、入力画像データを局所的な面積階調を変化させるように補正する方法があり得る。本実施形態は、両者の方法が取り入れられる。具体的には、画像形成装置1は、前者の補正方法で発光素子アレイ300の平均光量を均一化させた上で、残される光量むらを後者の補正方法で精細に補正するものとする。
(1)発光素子への供給電流量の調整
前者の方法は、格納部2210に格納される制御データのうちの供給電流量に関する設定値を書き換えることにより行われ得る。露光ヘッド106の各発光素子アレイ300を、駆動電流を変化させながら発光させつつ、十分に広い受光面を有するイメージセンサを用いて光量を測定することで、各発光素子アレイ300の駆動電流に対する光量の特性(I-L特性)を取得することができる。そして、取得したそれらI-L特性に基づいて、全ての発光素子アレイ300にわたって平均光量が等しくなるように、それぞれの発光素子アレイ300の供給電流量に関する設定値が決定される。決定された設定値は、それぞれの発光素子アレイ300の格納部2210に書込まれる。すると、画像形成装置1がその後画像を形成しようとする際に、発光素子アレイ300間の平均光量の差は凡そゼロとなる。図29に示した基準値E0は、このようにして調整される発光素子アレイ300の平均光量の値に等しくてよい。
前者の方法は、格納部2210に格納される制御データのうちの供給電流量に関する設定値を書き換えることにより行われ得る。露光ヘッド106の各発光素子アレイ300を、駆動電流を変化させながら発光させつつ、十分に広い受光面を有するイメージセンサを用いて光量を測定することで、各発光素子アレイ300の駆動電流に対する光量の特性(I-L特性)を取得することができる。そして、取得したそれらI-L特性に基づいて、全ての発光素子アレイ300にわたって平均光量が等しくなるように、それぞれの発光素子アレイ300の供給電流量に関する設定値が決定される。決定された設定値は、それぞれの発光素子アレイ300の格納部2210に書込まれる。すると、画像形成装置1がその後画像を形成しようとする際に、発光素子アレイ300間の平均光量の差は凡そゼロとなる。図29に示した基準値E0は、このようにして調整される発光素子アレイ300の平均光量の値に等しくてよい。
(2)画像データにおける面積階調の変更
以下、光量むらの精細な補正を可能にする後者の方法について、図30を用いて説明する。図30(A)は、補正前の画像データにより表される、ある参照画素位置の周囲の小画像IM1を一例として示している。図中の1つのマスは、1つの画素である。網掛けした画素は、対応するスポット領域が露光ドットであること、即ち対応するM個の発光素子が発光することを表す。白抜きの画素は、対応するスポット領域が非露光ドットであること、即ち対応するM個の発光素子が発光しないことを表す。ここで、小画像の左上の画素を基準として、左からx番目、上からy番目の画素位置を(x,y)と表すものとする。
以下、光量むらの精細な補正を可能にする後者の方法について、図30を用いて説明する。図30(A)は、補正前の画像データにより表される、ある参照画素位置の周囲の小画像IM1を一例として示している。図中の1つのマスは、1つの画素である。網掛けした画素は、対応するスポット領域が露光ドットであること、即ち対応するM個の発光素子が発光することを表す。白抜きの画素は、対応するスポット領域が非露光ドットであること、即ち対応するM個の発光素子が発光しないことを表す。ここで、小画像の左上の画素を基準として、左からx番目、上からy番目の画素位置を(x,y)と表すものとする。
図30(B)は、補正用マトリクスIM2を一例として示している。補正用マトリクスIM2は、小画像IM1と同じサイズのマトリクス(ビットマップ)であり、図中の1つのマスは1つの要素である。網掛けした要素は、光量の削減率(又は増加率)に応じて選択される変更画素を表す。補正用マトリクスには、光量の削減用及び光量の増加用の2種類が存在し得るが、補正用マトリクスIM2は、光量の削減用のマトリクスであるものとする。一例として、参照画素位置の光量を最大値に対して4%削減しようとする場合、合計100(=10×10)個の画素のうちの4画素が、変更画素として選択される。図30(B)の例では、画素位置(4,2)、(7,5)、(2,8)及び(8,10)の画素が変更画素として選択されている。変更画素の画素位置は、例えば、公知のブルーノイズマスク法に従って選択されてよい。
補正用マトリクスIM2において選択された変更画素と同じ位置の画素が小画像IM1において露光ドットを示す場合、光量補正部2202は、当該画素を非露光ドットへ変更する(即ち、画素値を反転させる)。図30(C)は、小画像IM1を補正用マトリクスIM2を用いて補正した結果の一例を示している。図30(C)の小画像IM3では、小画像IM1において露光ドットであった画素位置(7,5)、(2,8)及び(8,10)の画素が非露光ドットへ変更されている。参照画素位置の光量を増加させようとするケースでは、光量補正部2202は、選択された変更画素と同じ位置の画素が小画像IM1において非露光ドットを示す場合に、当該画素を露光ドットへ変更する。光量補正部2202は、入力画像データ内で参照画素位置を走査しながら、格納部2210から読出される補正データに基づいて復元される光量の変動に従って、各参照画素位置に設定される小画像の補正を繰り返す。具体的には、光量補正部2202は、各参照画素位置の小画像の面積光量を、復元される光量の変動を吸収するように変更する。その結果、第1方向の光量むらの精細な補正が実現され得る。
(3)1/Mの分解能での光量の増減
本実施形態では、図21に関連して説明したように、1つの画素位置に対応するスポットが発光素子配列の各列のM個の発光素子350が逐次的に発光することにより形成される。したがって、M個の発光素子の発光のうちの1つ以上を非発光へ変更することで、画素ピッチの1/Mの分解能で光量を削減することが可能である。同様に、M個の発光素子の非発光のうちの1つ以上を発光へ変更することで、画素ピッチの1/Mの分解能で光量を増加させることが可能である。そこで、光量補正部2202は、補正データに基づいて復元される光量分布の光量の変動を吸収するように、上述した面積階調の変更と共に、こうした1/Mの分解能での光量の増減(M個の発光素子の各々の発光又は非発光の状態の変更)を行ってもよい。
本実施形態では、図21に関連して説明したように、1つの画素位置に対応するスポットが発光素子配列の各列のM個の発光素子350が逐次的に発光することにより形成される。したがって、M個の発光素子の発光のうちの1つ以上を非発光へ変更することで、画素ピッチの1/Mの分解能で光量を削減することが可能である。同様に、M個の発光素子の非発光のうちの1つ以上を発光へ変更することで、画素ピッチの1/Mの分解能で光量を増加させることが可能である。そこで、光量補正部2202は、補正データに基づいて復元される光量分布の光量の変動を吸収するように、上述した面積階調の変更と共に、こうした1/Mの分解能での光量の増減(M個の発光素子の各々の発光又は非発光の状態の変更)を行ってもよい。
<補正データの構成例>
本実施形態では、製品の出荷前の検査段階で、露光ヘッド106の光量分布が測定される。そして、その測定結果に基づいて、得られた光量分布における第1方向に沿った光量の変動を後に復元することを可能にする補正データが生成される。生成された補正データは、格納部2210に格納される。露光ヘッド106の発光素子アレイ300の平均光量は、光量分布の測定に先立って、供給電流量の調整を通じて均一化されているものとする。以下、光量分布の測定結果に基づいて生成される補正データの構成の一例について説明する。
本実施形態では、製品の出荷前の検査段階で、露光ヘッド106の光量分布が測定される。そして、その測定結果に基づいて、得られた光量分布における第1方向に沿った光量の変動を後に復元することを可能にする補正データが生成される。生成された補正データは、格納部2210に格納される。露光ヘッド106の発光素子アレイ300の平均光量は、光量分布の測定に先立って、供給電流量の調整を通じて均一化されているものとする。以下、光量分布の測定結果に基づいて生成される補正データの構成の一例について説明する。
本実施形態において、補正データは、次の3種類の成分データを含み得る。
・周波数成分データ
・線形成分データ
・不規則成分データ
但し、線形成分データ及び不規則成分データは、光量の変動から周波数成分を除いた残差成分がゼロ又は僅かしかない場合には、補正データに含まれなくてよい。
・線形成分データ
・不規則成分データ
但し、線形成分データ及び不規則成分データは、光量の変動から周波数成分を除いた残差成分がゼロ又は僅かしかない場合には、補正データに含まれなくてよい。
周波数成分データは、光量分布の1つ以上の周波数成分に関連するデータである。周波数成分データは、光量分布の空間周波数を解析することにより取得され得る。例えば、光量分布をフーリエ変換することで、光量分布に含まれる1つ以上の周波数成分が抽出され得る。典型的には、上述した複数のレンズ2410を含むロッドレンズアレイ203の性質に起因する第1周波数成分が主たる周波数成分であり、その周波数はレンズ2410のピッチに対応し得る。或いは、抽出される1つ以上の周波数成分は、発光素子350のピッチに対応する周波数を有する第2周波数成分をも含み得る。周波数成分データは、少なくとも1つのデータ点における各周波数成分の振幅値及び位相値を含む。周波数の値は既知のピッチから導出可能であるが、周波数成分データが周波数の値をさらに含んでもよい。
ロッドレンズアレイ203の周期的な光量むらが理想的な正弦波の軌跡を描く場合、その光量の変動を1つのデータ点における振幅値及び位相値をよって表現することができ、それら振幅値及び位相値から全ての画素位置における光量の変動を再現可能である。但し、発光素子アレイ単位の光源の不連続性を考慮すると、発光素子アレイ300ごとに少なくとも1ヶ所のデータ点を設定して、それらデータ点における振幅値及び位相値を保持することが望ましい。代替的に、例えば各発光素子アレイ300の両端の2ヶ所、又は各発光素子アレイ300の両端及び中央の3ヶ所にデータ点が設定されてもよい。
線形成分データは、光量の変動から周波数成分データにより表現される周波数成分を除いた残差成分のうちの、各発光素子アレイ300に対応する区間の線形成分に関連するデータである。典型的には、各発光素子アレイ300の配置ズレが線形成分の主たる原因である。線形成分データのデータ点は、各発光素子アレイ300に対応する区間に少なくとも2ヶ所設定される。線形成分データとして、それらデータ点におけるオフセット値(切片)を保持することで、線形補間によって当該区間内の全ての画素位置における光量の変動の線形成分を再現可能である。代替的に、線形成分データは、各発光素子アレイ300に1ヶ所設定されるデータ点におけるオフセット値及び光量の傾きを含んでもよい。
不規則成分データは、光量の変動から上述した周波数成分及び線形成分を除いた残差成分に関連するデータである。とりわけ、本実施形態における不規則成分データは、ロッドレンズアレイ203の検査において検出されるレンズ倒れに起因する不規則成分を表すものとする。不規則成分データは、例えば、第1方向における少なくとも1つの不規則成分位置と、各不規則成分位置に対応するオフセット値とを含む。
例えば、周波数成分データのデータ点を発光素子アレイ300ごとに2ヶ所又は3ヶ所、線形成分データのデータ点を発光素子アレイ300ごとに2ヶ所、不規則成分データのデータ点を露光ヘッド106全体で10ヶ所とする。本実施形態では、露光ヘッド106に20個の発光素子アレイ300が取付けられるため、データ点の総数は、90個又は110個となる。したがって、この場合、従来の単純なサンプリング及び補間に基づく手法における2100個を上回る補正点の個数と比較すると、データ点の個数が6%以下にまで削減されることになる。なお、周波数成分データのデータ点と線形成分データのデータ点とは共通化させることが可能であり、この場合にはデータ点の個数はさらに削減され得る。
<光量の変動の復元と画像データの補正>
画像形成装置1において画像形成が行われる際、光量補正部2202は、格納部2210から読出された補正データに含まれる周波数成分データから、第1方向に沿った光量の変動の1つ以上の周波数成分を復元する。また、光量補正部2202は、補正データに含まれる線形成分データから、各発光素子アレイ300に対応する区間の線形成分を復元する。また、光量補正部2202は、補正データに含まれる不規則成分データから、不規則成分を復元する。光量補正部2202は、第1方向に沿って走査される画素位置ごとに、復元された周波数成分、線形成分及び不規則成分を合成して光量の補正係数を算出する。ここで算出される補正係数は、光量むらを補正するための光量の増減率を表す。光量補正部2202は、各画素位置における小画像の面積光量を、算出した補正係数に従って変更することにより、入力画像データを補正する。このとき、光量補正部2202は、1画素に対応するM個の発光素子350の各々の発光又は非発光の状態を変更することにより、面積光量を精細な分解能で変更してもよい。そして、光量補正部2202は、補正後の画像データを変換部2203へ出力する。
画像形成装置1において画像形成が行われる際、光量補正部2202は、格納部2210から読出された補正データに含まれる周波数成分データから、第1方向に沿った光量の変動の1つ以上の周波数成分を復元する。また、光量補正部2202は、補正データに含まれる線形成分データから、各発光素子アレイ300に対応する区間の線形成分を復元する。また、光量補正部2202は、補正データに含まれる不規則成分データから、不規則成分を復元する。光量補正部2202は、第1方向に沿って走査される画素位置ごとに、復元された周波数成分、線形成分及び不規則成分を合成して光量の補正係数を算出する。ここで算出される補正係数は、光量むらを補正するための光量の増減率を表す。光量補正部2202は、各画素位置における小画像の面積光量を、算出した補正係数に従って変更することにより、入力画像データを補正する。このとき、光量補正部2202は、1画素に対応するM個の発光素子350の各々の発光又は非発光の状態を変更することにより、面積光量を精細な分解能で変更してもよい。そして、光量補正部2202は、補正後の画像データを変換部2203へ出力する。
<露光装置の製造>
図31は、本実施形態に係る露光装置を製造する手順の一例を示すフローチャートである。
図31は、本実施形態に係る露光装置を製造する手順の一例を示すフローチャートである。
まず、工場で行われる組立工程である工程S11において、複数の発光素子アレイ300を含む様々な回路要素が、露光ヘッド106のプリント基板202に取付けられる。また、プリント基板202及びロッドレンズアレイ203が、ハウジング204に取付けられる。格納部(メモリ)810は、発光素子アレイ300に搭載された形でプリント基板202に取付けられてもよく、又は別個にプリント基板202に取付けられてもよい。こうした露光ヘッド106の組立てが行われた後、ロッドレンズアレイ203の結像面におけるスポットサイズの測定、ピントの調整、及びロッドレンズアレイ203の取付け位置の調整が行われてもよい。
次いで、工程S12において、露光ヘッド106の各発光素子アレイ300の光量が測定され、発光素子アレイ300ごとの平均光量が算出される。次いで、工程S13において、発光素子アレイ300間で平均光量を均一化するための供給電流量に関する設定値が決定され、決定された設定値が各発光素子アレイ300の格納部2210に格納される。
次いで、工程S14において、発光素子アレイ300間で平均光量が均一化された状態で、露光ヘッド106からの光量を感光体ドラム102の軸方向D1と平行な第1方向に沿って測定することにより、露光ヘッド106全体の光量分布が取得される。例えば、光量分布は、ある開口幅を有するスリットを具備するイメージセンサを露光ヘッド106の長手方向に走査させることにより取得されてもよい。その代わりに、光量分布は、イメージセンサを固定したまま、発光素子アレイ300の発光素子350を順に発光させることにより取得されてもよい。ここでの光量測定は、例えばレンズ2410のピッチP1の少なくとも1/10の空間解像度で行われることが望ましい。
次いで、工程S15において、光量測定結果として取得された光量分布を(例えば、フーリエ変換を通じて)解析することにより、光量分布の1つ以上の周波数成分に関連する周波数成分データが生成される。ここで生成される周波数成分データは、1つ以上の有意な周波数成分の各々の、少なくとも1つのデータ点における振幅値及び位相値を含み得る。次いで、工程S16において、周波数成分データから(例えば、逆フーリエ変換を通じて)再構築される周波数成分を、光量分布により示される光量の変動から除去することにより、残差成分が取得される。
次いで、工程S17において、光量の変動の残差成分から、発光素子アレイ単位の線形成分データが生成される。ここで生成される線形成分データは、各発光素子アレイ300に対応する区間に設定される少なくとも2つのデータ点におけるオフセット値を含み得る。また、工程S18において、ロッドレンズアレイ203の複数のレンズ2410の各々について測定される不規則成分に関連する不規則成分データが生成される。ロッドレンズアレイ203においてレンズ倒れが検出されない場合には、工程S18は省略されてもよい。
次いで、工程S19において、工程S15で生成された周波数成分データ、工程S17で生成された線形成分データ、及び工程S18で生成された不規則成分データを含み得る補正データが、各発光素子アレイ300の格納部2210に格納される。
図31には示していないものの、露光ヘッド106のプリント基板202は、複数の信号線を介して画像コントローラ2200と接続される。このように製造される露光装置を、感光体ドラム102及びその他の構成要素を含み得る画像形成部101に組込むことにより、画像形成装置1が製造されてもよい。
<第二実施形態のまとめ>
ここまで、図1~図31を用いて、様々な実施形態について詳細に説明した。上述した実施形態によれば、ロッドレンズアレイを有する露光ヘッドの光量分布が測定され、測定された光量分布を解析することによりその周波数成分に関連する周波数成分データが生成され、生成された周波数成分データを含む補正データがメモリに記憶される。そして、メモリから読出される補正データ内の周波数成分データに基づいて復元される光量の変動に従って、露光ヘッドの発光素子配列を駆動するための画像データが補正される。したがって、露光ヘッドの光量分布がロッドレンズアレイにおけるレンズの配置方向に沿って増減を繰り返す軌跡を描く場合に、その光量の変動を比較的少数のデータ点におけるパラメータの集合として表すことができる。そのため、補正データの記憶に要するメモリリソースを節約して、装置の製造コストを低減することができる。また、補正データの読出しに伴うデータ転送の遅延が短縮されるため、装置の起動又はジョブの実行に要する時間を短縮することができる。
ここまで、図1~図31を用いて、様々な実施形態について詳細に説明した。上述した実施形態によれば、ロッドレンズアレイを有する露光ヘッドの光量分布が測定され、測定された光量分布を解析することによりその周波数成分に関連する周波数成分データが生成され、生成された周波数成分データを含む補正データがメモリに記憶される。そして、メモリから読出される補正データ内の周波数成分データに基づいて復元される光量の変動に従って、露光ヘッドの発光素子配列を駆動するための画像データが補正される。したがって、露光ヘッドの光量分布がロッドレンズアレイにおけるレンズの配置方向に沿って増減を繰り返す軌跡を描く場合に、その光量の変動を比較的少数のデータ点におけるパラメータの集合として表すことができる。そのため、補正データの記憶に要するメモリリソースを節約して、装置の製造コストを低減することができる。また、補正データの読出しに伴うデータ転送の遅延が短縮されるため、装置の起動又はジョブの実行に要する時間を短縮することができる。
上述した実施形態では、上記周波数成分は、ロッドレンズアレイにおける複数のレンズの配置のピッチに対応する周波数成分を含み得る。少なくとも1つのデータ点におけるこの周波数成分の振幅値及び位相値を上記補正データに含めることで、ロッドレンズアレイの性質に起因する周期的な光量むらを、サイズの大きいデータを要することなく良好に表現することができる。
上述した実施形態では、上記周波数成分は、露光ヘッドにおける複数の発光素子アレイの配置のピッチに対応する周波数成分をも含み得る。各発光素子アレイに対応する区間に設定されるデータ点におけるこの周波数成分の振幅値及び位相値を上記補正データに含めることで、個々の発光素子アレイの個体差により影響され得る周期的な光量むらを良好に表現することができる。
上述した実施形態では、上記補正データは、各発光素子アレイについて測定される線形成分に関連する線形成分データをさらに含み得る。各発光素子アレイに対応する区間に設定されるデータ点におけるこの線形成分のオフセット値を上記補正データに含めることで、個々の発光素子アレイの配置ズレに起因する部分的に線形的な光量むらを良好に表現することができる。したがって、露光ヘッドの光量分布における光量の変動から周波数成分を除いた残差成分をも考慮して、光量むらを精度よく補正することが可能である。
上述した実施形態では、上記補正データは、上記複数のレンズの各々について測定される不規則成分に関連する不規則成分データをさらに含み得る。例えばロッドレンズアレイの製造過程で偶発的に生じ得るレンズ倒れに起因するむらなど、発生頻度は低いものの規則性の無い光量むらの残差成分について不規則成分データとして表現することで、光量むらの補正の精度をさらに向上させることができる。
また、上述した実施形態では、画像データの各画素位置に設定される小画像の面積光量を、光量分布における光量の変動を吸収するように変更することにより、上記画像データが補正され得る。このように、複数の発光素子アレイへのデータの分配よりも前の段階で光量むらの補正をデジタル領域で行うことで、発光素子アレイを駆動する回路の構成が複雑化することを回避して製造コストを抑制することができる。また、1つの結像スポットの形成に関与するM個の発光素子の各々の発光又は非発光の状態を変更することにより面積光量を調整することで、高分解能での光量むらの補正が可能となり、画質を一層向上させることができる。
上記実施形態においては、説明のために具体的な数値を用いたが、これら具体的な数値は例示であり、本発明は実施形態に用いられた具体的な数値に限定されない。具体的には、1つのプリント基板に設けられる発光素子アレイの数は20個に限定されず、1つ以上の任意の数とすることができる。また、各発光素子アレイ300の発光素子配列のサイズは、4行748列に限定されず、他の任意のサイズであってよい。また、発光素子の周方向のピッチ及び軸方向のピッチは、約21.16μm及び約5μmに限定されず、他の任意の値であってよい。
<その他の実施形態>
上記実施形態は、1つ以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出して実行する処理の形式でも実現可能である。また、1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
上記実施形態は、1つ以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出して実行する処理の形式でも実現可能である。また、1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
102:感光体ドラム、106:露光ヘッド、610:情報格納部、615:スジ補正部
Claims (23)
- 回転駆動される感光体の回転方向に対して交差する交差方向に配列された複数の発光素子と、画像データに基づき前記複数の発光素子のそれぞれから出力される光を前記感光体上に結像させるロッドレンズアレイと、を有し、前記感光体上に潜像を形成する露光ヘッドと、
スジ画像を補正する補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出された前記補正データに基づいて前記画像データを補正する補正手段と、
を有する画像形成装置。 - 前記補正データは、前記ロッドレンズアレイの結像特性を示す特性情報を含み、
前記補正手段は、前記記憶手段から読み出された前記特性情報に基づき前記複数の発光素子を駆動するための前記画像データを補正することで、前記潜像に生じるスジ状の濃度ムラを低減する、請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記補正手段は、
前記特性情報に基づき前記画像データのうち補正対象となる画素を特定し、
前記特定された前記画素の画素データを、前記特性情報に基づき補正する、請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記特性情報は、
前記画像データを構成する複数の画素のうち前記補正対象となる画素の位置を示す位置情報と、
前記補正対象となる画素の画素データに適用される補正レベルと、
を含む、請求項3に記載の画像形成装置。 - 前記位置情報は、前記画像データを構成する前記複数の画素のうちで、さらに補正対象となる一連の画素のうちの最初の画素の位置を示す情報を含む、請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記特性情報は、前記補正対象となる一連の画素のそれぞれについての前記補正レベルを含む、請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記特性情報は、前記補正対象となる一連の画素のうちの各画素について1個の前記補正レベルを含む、請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記特性情報は、前記補正対象となる一連の画素のうちのN(Nは2以上の整数)個の画素について共通の1個の前記補正レベルを含む、請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記補正手段は、
前記補正レベルに基づき画素ごとの補正値を演算し、
前記画素ごとに求められた前記補正値に基づき前記画素ごとに前記画像データに対して補正処理を実行する、請求項6に記載の画像形成装置。 - 前記補正手段は、注目画素について求められた前記補正値を当該注目画素の画素値に加算することで、当該注目画素の当該画素値を補正する、請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記補正手段は、注目画素の画素値と、当該注目画素について求められた前記補正値とに基づきテーブルを参照することで、当該注目画素についての補正された画素値を取得する、請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記補正手段は、主走査方向において注目画素の前に位置する前画素について求められた第一補正値と、当該注目画素について求められた第二補正値と、前記主走査方向において当該注目画素の後に位置する後画素について求められた第三補正値とが所定の組み合わせである場合に、前記注目画素の画素値に対して前記第二補正値を適用する、請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記補正手段は、
主走査方向において注目画素の前に位置する前画素について求められた第一補正値に第一フィルタ係数を乗算して第一積を演算し、
当該注目画素について求められた第二補正値に第二フィルタ係数を乗算して第二積を演算し、
前記主走査方向において当該注目画素の後に位置する後画素について求められた第三補正値に第三フィルタ係数を乗算して第三積を演算し、
前記第一積、前記第二積および前記第三積を合計して合計補正値を求め、
前記注目画素の画素値を前記合計補正値で補正する、請求項9に記載の画像形成装置。 - 前記補正手段は、
クロック信号に基づき主走査位置をカウントし、
前記カウントされた前記主走査位置と前記補正対象となる画素の位置とが一致するかどうかを判定し、
前記カウントされた前記主走査位置と前記補正対象となる画素の位置とが一致したことを示す所定の信号が出力されると、前記補正値の演算を開始する、請求項9に記載の画像形成装置。 - 前記記憶手段は、前記露光ヘッドに設けられている、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記露光ヘッドは、前記感光体の軸方向と平行な第1方向に規則的に配置された複数の発光チップを含み、
前記複数の発光チップの各々は、少なくとも前記第1方向に規則的に配置された前記複数の発光素子を含み、
前記補正データは、前記第1方向に沿って測定された光量分布を解析することにより取得される、前記光量分布の1つ以上の周波数成分に関連する周波数成分データを含み、
前記補正手段は、前記補正データに含まれる前記周波数成分データに基づいて復元される、前記光量分布における光量の変動に従って、前記画像データを補正する、請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記周波数成分データは、少なくとも1つのデータ点における前記1つ以上の周波数成分の各々の振幅値および位相値を含む、請求項16に記載の画像形成装置。
- 前記ロッドレンズアレイは、前記第1方向に規則的に配置された複数のレンズを含み、
前記ロッドレンズアレイの前記複数のレンズは、前記第1方向において第1ピッチで配置され、
前記1つ以上の周波数成分は、前記第1ピッチに対応する周波数成分を含む、請求項17に記載の画像形成装置。 - 前記複数の発光チップの各々の前記複数の発光素子は、前記第1方向において第2ピッチで配置され、
前記1つ以上の周波数成分は、前記第2ピッチに対応する周波数成分をさらに含み、
前記少なくとも1つのデータ点は、前記複数の発光チップの各々に対応する区間に設定されるデータ点を含む、請求項18に記載の画像形成装置。 - 前記補正データは、前記複数の発光チップの各々について測定される線形成分に関連する線形成分データをさらに含み、
前記補正手段は、前記補正データに含まれる前記線形成分データにさらに基づいて、前記光量分布における光量の前記変動を復元する、請求項16に記載の画像形成装置。 - 前記線形成分データは、前記複数の発光チップの各々に対応する区間に設定される少なくとも2つのデータ点におけるオフセット値を含む、請求項20に記載の画像形成装置。
- 前記補正手段は、各画素位置に設定される小画像の面積光量を、前記光量分布における光量の前記変動を吸収するように変更することにより、前記画像データを補正する、請求項16に記載の画像形成装置。
- 回転駆動される感光体と、
前記感光体を露光する露光手段と、を有し、
前記露光手段は、
前記感光体の回転方向に対して交差する交差方向に配列された複数の発光素子と、画像データに基づき前記複数の発光素子のそれぞれから出力される光を前記感光体上に結像させるロッドレンズアレイと、を有し、前記感光体上に潜像を形成する露光ヘッドと、
スジ画像を補正する補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出された前記補正データに基づいて前記画像データを補正する補正手段と、を有する、画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US18/168,076 US20230273544A1 (en) | 2022-02-25 | 2023-02-13 | Image forming apparatus and exposure apparatus for forming image using rod lens array |
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JP2022028384 | 2022-02-25 | ||
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JP2022138340 | 2022-08-31 |
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Family Applications (1)
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JP2023011220A Pending JP2023124818A (ja) | 2022-02-25 | 2023-01-27 | 画像形成装置 |
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-
2023
- 2023-01-27 JP JP2023011220A patent/JP2023124818A/ja active Pending
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