JP2023124640A - 動力伝達ユニット - Google Patents

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晃司 清岡
Koji Kiyooka
仁志 沢田
Hitoshi Sawada
亮 本岡
Akira Motooka
健 森下
Takeshi Morishita
昭博 井馬
Akihiro Ima
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Abstract

【課題】動力伝達ユニットにおいて、より安定した制動を実現可能とする。【解決手段】動力伝達ユニット41は、ケース42に収容されたモータ軸を有するモータ、歯車機構及び出力軸を含み、モータ軸の動力が歯車機構を介して出力軸に伝達される。動力伝達ユニットは、歯車機構を構成する歯車軸とモータ軸とが対向した位置にブレーキ室を形成し、該ブレーキ室に、歯車軸及びモータ軸の一方または両方である軸部材の外側に嵌合され、軸部材に対する相対回転が阻止されるブレーキロータ76と、ブレーキロータの一方側に配置され、回転可能なブレーキ軸94に設けられたカム面によってブレーキロータに押し付け可能である摩擦材と、ブレーキ軸の摩擦材と反対側に配置され、かつケースに固定され、またはケースの一部であり、かつブレーキ軸の摩擦材に対する反力を受けるブレーキホルダ102と、を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、動力伝達ユニットに関する。
従来から、芝刈り装置を備える芝刈り車両等の車両において、車輪を電動モータで駆動し走行可能とすることが知られている。特許文献1には、左右車輪を電動モータで共通に駆動する芝刈り車両が記載されている。特許文献2には、左右車輪を互いに独立して駆動可能とし、左車輪を左電動モータで駆動し、右車輪を右電動モータで駆動する芝刈り車両が記載されている。
米国特許出願公開第2009/0069964号明細書 特開2014-117026号公報
上記のように1つまたは2つのモータで左右車輪を駆動する車両では、モータの動力を車輪に伝達する動力伝達ユニットが用いられる。この動力伝達ユニットでは、内部の軸部材に、ブレーキロータを設けて、ブレーキロータを両側からブレーキパッド等の押圧部である摩擦材を挟み込んで車輪を制動することが考えられる。このとき、ブレーキロータの一方側に配置した、回転可能なブレーキ軸にカム面を設け、そのカム面によって摩擦材をブレーキロータに押し付け可能とすることが考えられる。しかしながら、ケースに回転可能に支持したブレーキ軸を回転させて摩擦材をブレーキロータに押し付けるだけでは、安定した制動を行わせる面から改良の余地がある。
本発明の目的は、動力伝達ユニットにおいて、より安定した制動を実現可能とすることである。
本発明に係る動力伝達ユニットは、ケースに収容されたモータ軸を有するモータ、歯車機構及び出力軸を備え、前記モータ軸の動力が前記歯車機構を介して前記出力軸に伝達される動力伝達ユニットであって、前記歯車機構を構成する歯車軸と前記モータ軸とが対向した位置にブレーキ室を形成し、該ブレーキ室に、前記歯車軸及び前記モータ軸の一方または両方である軸部材の外側に嵌合され、前記軸部材に対する相対回転が阻止されるブレーキロータと、前記ブレーキロータの一方側に配置され、回転可能なブレーキ軸に設けられたカム面によって前記ブレーキロータに押し付け可能である摩擦材と、前記ブレーキ軸の前記摩擦材と反対側に配置され、かつ前記ケースに固定され、または前記ケースの一部であり、かつ前記ブレーキ軸の前記摩擦材に対する反力を受けるブレーキホルダと、を備える、動力伝達ユニットである。
本発明に係る動力伝達ユニットによれば、ブレーキ軸に対して摩擦材と反対側にブレーキホルダが配置され、そのブレーキホルダがケースに固定され、ブレーキ軸の摩擦材に対する反力を受けるので、回転可能なブレーキ軸により摩擦材をブレーキロータに安定して押し付け可能な構成を実現できる。これにより、より安定した制動を実現できる。
上記の動力伝達ユニットにおいて、前記ブレーキロータは、前記軸部材の外側に嵌合された筒部の外周側に一体に設けられ、前記ブレーキ室の一側壁面に形成された、前記ブレーキロータの外径及び厚みよりも大きな窪みによって形成したブレーキロータ収容部内に配置されており、前記ブレーキ室内に油が収容され、前記ブレーキホルダは、その略中央部分に前記筒部を貫通させる貫通孔を有し、かつ、前記ブレーキロータ収容部を覆うように、前記一側壁面に装着され、前記貫通孔と前記筒部との間には隙間が形成され、前記窪みは、前記一側壁面に形成された前記ブレーキ軸の挿通用の開口を通じて前記ブレーキロータ収容部から前記ブレーキ室の前記モータ側の部分に開放されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、ブレーキロータ収容部がブレーキホルダで覆われるので、ブレーキロータに接する油を制限できる。これにより、油の掻き揚げ量の軽減によってブレーキロータによる油の攪拌抵抗を小さくできるので、動力伝達ユニットのエネルギー損失を低減できる。さらに、ブレーキロータが回転するとき周囲の油が、遠心力の作用によって、ブレーキロータ収容部の開放された位置であるブレーキ軸挿通用の開口を通じてブレーキ室のモータ側部分に吹き出す。この部分に吹き出した油は、この部分内の油と合流する。油の吹き出しによりブレーキロータ収容部が負圧気味となることで、ブレーキホルダの略中央の貫通孔と筒部との間の隙間からモータ側部分内の油がブレーキロータ収容部に引き込まれる。これにより、油がブレーキロータに接触しながら循環しやすくなるので、ブレーキロータの放熱が促進される。
上記の動力伝達ユニットにおいて、前記ブレーキ室には、内外を貫通させるケース貫通孔が形成され、前記ケース貫通孔の外端開口に取り付けられたエアブリーザ装置を備え、前記ブレーキホルダの一部は、前記ケース貫通孔の内側端に、隙間を介して対向している構成としてもよい。
上記の構成によれば、ケース貫通孔の内側に、ブレーキ室内の油が飛散して奥まで浸入することを防止できる。このため、エアブリーザ装置の信頼性を長期にわたって確保できる。
上記の動力伝達ユニットにおいて、前記ケースは、前記歯車機構を収容するトランスミッションケースと、前記モータを収容し前記トランスミッションケースに固定されるモータケースとを含み、前記トランスミッションケースには、前記ブレーキ室の一側壁面と同じ方向を向くように前記モータケースの装着面を備え、前記ブレーキホルダは、前記モータケースにおいて、前記ブレーキ室内に臨んで前記ブレーキ軸と対向する部分によって形成される構成としてもよい。
上記の構成によれば、ブレーキホルダは、モータケースの一部によって形成される。これにより、モータケースとは別部品であるブレーキホルダを設ける必要がないので、部品点数の削減により、動力伝達ユニットの製造コストの低減を図れる。
本発明に係る実施形態の動力伝達ユニットを搭載する車両の斜視図である。 図1の車両の左側の車輪についての実施形態の動力伝達ユニットの斜視図である。 図2の動力伝達ユニットを部分的に断面にして示す図である。 図3のA部拡大図である。 トランスミッションケースを構成する第1ケースの部品図である。 図4のB-B断面図である。 図6のC-C断面図である。 図4のD-D断面図である。 図8からブレーキホルダを省略した図である。 図4のE-E断面図である。 図4のF-F断面図である。 図2からモータ及びモータケースを取り外して、モータ側から見た斜視図である。 図12の分解斜視図である。 本発明に係る実施形態の別例の動力伝達ユニットにおいて、図4に対応する図である。 本発明に係る実施形態の別例の動力伝達ユニットにおいて、図3に対応する図である。 図15のG-G断面図である。 図16のH-H断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下では、動力伝達ユニットが、作業車両であり芝刈り車両に搭載される場合を説明するが、動力伝達ユニットが搭載される車両は、これに限定せず、除雪作業、掘削作業、土木作業、農作業のいずれか1つ以上の作業を行う作業機を有する他の作業車両、または荷台を有し、不整地を走行するオフロード型多用途車両(Utility Vehicle)、あるいはバギーと呼ばれるAll Terrain Vehicle(ATV)や、レクリエーショナルビークル(Recreational Vehicle(RV))や、レクリエーショナルオフハイウェイビークル(Recreational Off-highway Vehicle(ROV))としてもよい。また、以下では、車両が2つの後輪を2つのモータで駆動する場合を説明するが、車両は2つの前輪を2つのモータで駆動する構成としてもよい。また、以下では、左右2つの操作レバーを有する左右レバー式操作子を使用する場合を説明するが、これは例示であって、ステアリングハンドルを旋回指示具(steering device)として使用し、座席の前側に設けられたアクセルペダルを加速指示具(accelerator device)として使用してもよい。以下ではすべての図面において同様の要素には同一の符号を付して説明する。
(第1の実施形態)
図1から図10は、第1の実施形態を示している。以下で説明する図面では、前後方向をXで示し、左右方向をYで示し、上下方向をZで示している。また、前側をFrで示し、左側をLhで示し、上側をUpで示している。X,Y,Zは互いに直交する。
まず、本発明の動力伝達ユニットを搭載する一例としての芝刈り車両10の全体構成を説明し、その後、芝刈り車両10に搭載した動力伝達ユニット41(図2)を詳しく説明する。エンジン非搭載型の乗用型の芝刈り車両10は、車体を構成するメインフレーム16と、左右2つの前輪であるキャスタ輪18,20と、左右2つの後輪である車輪24と、作業機である芝刈装置25と、左右2つの操作レバー34,36と、バッテリを含む電源ユニット40とを備える。図1では左側の車輪の図示を省略している。
メインフレーム16は、前後方向中間部の上側に運転席17が固定される。左右のキャスタ輪18,20は、メインフレーム16の前側に支持される。各キャスタ輪18,20は、上下方向の軸を中心とする360度以上の自由操向を可能とする。左右の車輪24は、メインフレーム16の後側に支持される。左右の車輪24は、主駆動輪であり、後述する左右の電動モータである走行用のモータ70(図3)により駆動される。
キャスタ輪18,20は、2つ以外、例えば、1つのみを芝刈り車両10に設けることもでき、3つ以上の複数個を設けることもできる。キャスタ輪と駆動輪とは、本例の構成と前後で逆にしてもよい。
芝刈装置(Mower)25は、メインフレーム16の前後方向中間部で下側に支持されている。芝刈装置25は、モアデッキ26と、モアデッキ26の内側にそれぞれ鉛直方向の軸を中心として回転可能な芝刈り用回転工具である図示しない3つの芝刈りブレードとを含む。芝刈ブレードが回転されることで芝等を破断して刈り取り可能とする。各芝刈りブレードは、モア用のモータ28により駆動される。
芝刈りブレードの回転により芝の刈り取りが可能であり、刈り取られた芝は、モアデッキ26の内側から車両の幅方向片側に排出される。
芝刈装置25は、芝刈り用回転工具として、地表に平行に回転軸を有するシリンダに例えばらせん状の刃を配置し、芝等を挟み取って刈り取る機能を有し、モア用のモータにより駆動される芝刈りリールを備える構成としてもよい。
左右2つの操作レバー34,36は、運転席17の左右両側において、左右方向に向いた水平軸を中心に前後方向の揺動可能に設けられる。各操作レバー34,36の下側部分が、直立した中立状態であれば走行用のモータ70は回転停止し、揺動するように操作されることにより、揺動方向と揺動量に応じて、対応する側の走行用のモータ70を回転させることが指示される。
操作レバー34,36の前後方向の揺動位置が、レバーセンサ(図示せず)で検出される。レバーセンサの検出信号は、走行用のモータ70の回転指示を表す信号として、車両に搭載された制御装置(図示せず)に入力され、制御装置がモータ70をその指示に応じた回転方向に回転させる。各モータ70の動力は、後述の動力伝達ユニット41(図2)の歯車機構80(図3)等を介して左右の車輪24に伝達される。これにより、操作レバー34,36の操作に応じて、前側または後側に車両が走行し、左右の操作レバー34,36で操作量を変えることで、左右の車輪24に回転速度差が生じて車両が旋回する。さらに、2つの操作レバー34,36の一方の操作レバーを前側に、他方の操作レバーを後側にそれぞれ倒すことで、左右の車輪24が逆方向に回転し、旋回半径が小さくなることにより車両が急旋回する。モータ70には図示しない回転センサや位置センサが備えられておりモータの回転信号を前記制御装置にフィードバックしている。
さらに、2つの操作レバー34,36は、直立した中立状態から車幅方向外側に開くように傾倒可能に構成され傾倒した位置を駐車ブレーキ位置とする。2つの操作レバー34,36は、駐車ブレーキ位置に移動することにより、駐車ブレーキの作動を指示する機能を有する。車両の上部には操作レバー34,36の移動を案内するT字形の案内穴(図示せず)が設けられることにより、2つの操作レバー34,36の車幅方向外側への開きが、操作レバー34,36が直立した状態からのみで可能となる構成としてもよい。操作レバー34,36の下端部と、動力伝達ユニット41の後述のブレーキ装置90とはリンク機構で連結されており、操作レバー34,36の外側への開きでブレーキ装置90が作動して、対応する車輪24を制動する。
以上が芝刈り車両10の全体構成であり、次にこの芝刈り車両10に搭載される動力伝達ユニット41(図2)を説明する。右の車輪24に右の動力伝達ユニットが接続され、左の車輪に左の動力伝達ユニット41が接続される。右の動力伝達ユニットの構造は、左の動力伝達ユニット41の構造と、車両幅方向中央に関し対称である以外、同様である。
図2は、左側の車輪についての動力伝達ユニット41の斜視図である。図3は、断面図である。図2Bは、図2Aの後側部分の拡大図である。図3は、図2の動力伝達ユニット41を部分的に断面にして示す図である。図4は、図3のA部拡大図である。動力伝達ユニット41は、ケース42と、走行用のモータ70と、歯車機構80及び出力軸120とが、一体に組み合わされて形成される。ケース42は、トランスミッションケース43と、モータケース50とが組み合わされて形成される。
トランスミッションケース43は、内側に入力軸60と、出力軸120と、歯車機構80とが収容される。入力軸60は、歯車軸に相当する。歯車機構80は、入力軸60及び出力軸120間で動力を伝達する機構であり、かつ入力軸60から出力軸120に動力を減速して伝達する。入力軸60と出力軸120とは平行に配置される。入力軸60は、後述するように、モータ70のモータ軸72に連結され、モータ軸72と同期して回転する。
トランスミッションケース43は、軸方向一方側である車幅方向内側(図4の紙面右側)を形成する第1ケース44と、軸方向他方側である車幅方向外側(図4の紙面左側)を形成する第2ケース48とが複数のボルト58で結合されることにより一体化される。ここで動力伝達ユニット41の軸方向とは、入力軸60及び出力軸120に平行な方向であり、車幅方向と一致する。
図5は、第1ケース44の部品図である。図5に示すように、第1ケース44は、車幅方向内側で前方側に開口44aを有すると共に、車幅方向外側で前方側から後方側にかけて開口44bを有するギヤケースである。図3,図4に示すように、第2ケース48は、車幅方向内側が開口し、車幅方向外側面の後方箇所から軸方向に筒部49が延出される。出力軸120は、この筒部49を貫通する。第1ケース44と第2ケース48とが車幅方向端部の外周縁部を突き合わせるように結合されることで、第1ケース44の車幅方向外側の開口44bが第2ケース48で塞がれる。これにより、トランスミッションケース43の歯車機構80の各歯車が配置されるギヤ室S1が形成される。一方、トランスミッションケース43の車幅方向内側の前側開口44aは、後述のモータケース50で塞がれる。これにより、後述のブレーキロータ及びブレーキホルダが配置され、入力軸60の一端及びこの一端に対向するモータ軸72の一端を含み、両軸60,72が対向した位置を含むブレーキ室S2が形成される。図4、図5に示すように、トランスミッションケース43に入力軸60を支持する2つの軸受51,52のうち、軸受51は、第1ケース44の周壁からケース内方に延出した仕切壁47(図5)によって保持され、軸受52は第2ケース48の立壁の内面に保持される。
ギヤ室S1には、入力軸60と、歯車機構80と、出力軸120とが配置される。トランスミッションケース43内には適量の油が充填されエア層との境界に油面が形成される。ギヤ室S1及びブレーキ室S2は後述するように互いに油流通自在とされ、両室S1,S2の下側には前記油が収容されている。これにより、ギヤ室S1では、歯車機構80の潤滑が図られ、ブレーキ室S2では、後述のブレーキロータの冷却が図られる。後述の図6,8~10では、油面を実線Laで示している。両室S1,S2それぞれの上側にはエア層が形成されている。
入力軸60及び出力軸120は、それぞれトランスミッションケース43に回転可能に支持される。出力軸120の車幅方向外端部は、筒部49の先端から突出し、その突出した部分にハブ62が固定される。ハブ62には左側の車輪が固定される。
一方、入力軸60の車幅方向内端部である一端部には、モータ70のモータ軸72が、継手としての連結部材74により接続される。これにより、モータ70の動力がモータ軸72から入力軸60に伝達される。入力軸60の動力は、歯車機構80で減速して出力軸120に伝達される。このため、車輪24が回転し車両が走行する。
モータケース50は、内側にモータ70を収容すると共に、第1ケース44にボルトによって結合固定されることにより、トランスミッションケース43の車幅方向内側の開口44aを塞ぐ。モータケース50は、有底筒状のケース本体50aの車幅方向内端開口がカバー50bにより塞がれる。ケース本体50aの底板部50a1は、中心付近に段付き筒状の筒部50a2を有し、その筒部50a2の内側に、モータ軸72が貫通する。筒部50a2の内周面には軸受53と、トランスミッションケース43内の循環油をモータケース50内に入れないように封止するためのシール54とが固定される。入力軸60は、筒部50a2の内側に軸受53により回転可能に支持される。
図4に示すように、モータ70は、例えば永久磁石式の3相モータである。モータ70は、モータ軸72の外周面に固定されたモータロータと、モータロータの外周面に対向するステータコアと、ステータコアに巻回して配置された3相のステータコイルとを有する。モータロータは、例えばロータコアの周方向複数位置に配置された永久磁石を有する。ステータコアは、モータケース50の内側に固定される。モータ軸72の車幅方向内端部である一端部は、モータケース50に軸受(図示せず)により回転可能に支持される。ステータコイルにバッテリから3相の交流電力が供給されることにより、ステータコアに発生した回転磁界と、モータロータが生成する磁界との相互作用によりモータ軸72が回転する。
モータ軸72は、歯車機構80の入力軸60に対して同一軸線上に配置され、各々の先端面は離間した状態で連結部材74によって接続される。具体的には、モータ軸72の一端部外周面とその一端部と対向する入力軸60の一端部外周面とにはそれぞれ雄スプラインが形成される。連結部材74の筒部75の軸方向両側は、モータ軸72の一端部の外側と入力軸60の一端部の外側にそれぞれ嵌合されている。筒部75の内周には軸長方向にわたって雌スプラインが形成され、モータ軸72の一端部外周面及び入力軸60の一端部外周面の雄スプラインにそれぞれ噛み合う。これにより、モータ軸72と入力軸60とは相対回転不能に一体で回転し、かつ、モータ軸72に対して連結部材74および入力軸60は軸方向に相対移動可能に構成される。なお、筒部75に対するモータ軸72と入力軸60の連結を上記スプラインに代えてキーを用いても同様に機能させることができる。
さらに、連結部材74の筒部75の一端部外周側には、ブレーキロータ76が一体形成される。これにより、入力軸60の周囲にブレーキロータ76を設ける構成において、動力伝達ユニット41の大型化を抑制できる。これについては後で詳しく説明する。
歯車機構80は、入力軸60に直接に形成されることにより入力軸60に設けられた第1はすば歯車81と、入力軸60及び出力軸120の間に配置され、外周面に第2はすば歯車83が係止された中間歯車軸82と、出力軸120に固定された出力歯車84とを含む。
中間歯車軸82は、トランスミッションケース43に固定された内軸82aと、内軸82aの外周に嵌合された外軸82bとを有し、外軸82bが内軸82aに対し相対回転可能に支持されている。外軸82bの外周面には、軸方向に幅広で平歯車形の中間歯車部82cが形成され、中間歯車部82cの一方側である右側の歯部に出力歯車84が噛み合う。中間歯車部82cの他方側である左側の歯部には、第2はすば歯車83の内周面に形成された内歯83aが噛合されて、互いに相対回転不能に係合している。
第2はすば歯車83を中間歯車部82cに対し、軸方向の相対変位が可能となるように中間歯車部82cの外周部には突起や止め輪を設けず、その代わりに、第2はすば歯車83は後述の一対のスラスト受け部材121,124によって軸方向の相対変位が制限されている。中間歯車部82cは低コストで大量生産可能な焼結製とするが、その外周部には、前記したような段差部分を有さないので焼結材の密度分布を均一にでき硬度や強度等の製造品質を維持できる。
第2はすば歯車83は、第1はすば歯車81に噛み合うことにより、はすば歯車機構を形成する。出力歯車84の歯数は中間歯車部82cの歯数より多く、第2はすば歯車83の歯数は第1はすば歯車81の歯数より多い。これにより、入力軸60の回転は、歯車機構80で2段に減速されて出力軸120に伝達される。
入力軸60及び出力軸120は、それぞれトランスミッションケース43に設けられた複数の軸受で回転可能に支持される。中間歯車軸82の内軸82aの一端部である左側端部は、第2ケース48の前記立壁に形成された凹部48aに嵌合される。内軸82aの他端部である右側端部は、第1ケース44の壁に形成された貫通穴45に回転不能に挿入されている。内軸82aの右側先端は外周面に平坦部を形成するように加工され貫通穴45の平坦部に嵌合されたときに内軸82aは回転不能とされる。
入力軸60に設けられた第1はすば歯車81は、両側から2つの軸受51,52の内輪で挟まれるが、第1はすば歯車81が回転駆動されるとき、軸受51,52固有のガタ分だけ入力軸60を軸方向に対する変位(スラスト力)が発生する。しかしながらその軸方向変位は前述した連結部材74のスプライン係合箇所の相対的な滑りにより吸収され、モータ軸72には伝達されない。したがって、モータ軸やモータロータが軸方向に動かされることはなくモータ軸やモータロータに装備される各種の検出センサ(図示せず)が検出不良を起こす恐れがなく駆動時のモータの精度は良好に維持できる。
一方、第2はすば歯車83は、中間歯車軸82に対し軸方向の相対変位が可能に構成されている。はすば歯車機構では、第1はすば歯車81と第2はすば歯車83との噛み合いによって、各はすば歯車81,83が回転駆動するときには、軸方向にスラスト力が加わる。これにより、第2はすば歯車83のみが軸方向に移動し、その移動方向は、第1はすば歯車81の回転方向、すなわちモータ軸72の回転方向に応じて変化する。第2はすば歯車83は、鉄、鋼等の硬度の高い材料により形成される。一方、トランスミッションケース43は、軽量化を図る等のために、アルミニウム、またはアルミニウム合金により形成され、硬度が第2はすば歯車83より低い。このため、第2はすば歯車83が軸方向に移動してトランスミッションケース43に接触し摩擦が生じた場合には、トランスミッションケース43が削られる可能性がある。
実施形態では、このような不都合を防止するために、トランスミッションケース43において、第2はすば歯車83の軸方向一端面および他端面に向かい合うケース部位には、一対のスラスト受け部材121,124が設けられる。一対のスラスト受け部材121,124は、それぞれトランスミッションケース43に対し回転不能に支持される。具体的には、車幅方向外側の一方のスラスト受け部材121は、プレート状の本体部分を有し、中間歯車軸82の一端部に嵌合されて、第2ケース48と第2はすば歯車83との間に介在されている。
なお、図5では、第1ケース44を鍛造加工で成形する際の抜き型201,202を示している。第1ケース44を構成する金属材料に図5の左右両側から抜き側で加圧し塑性変形させることにより、両側に開口44a、44bを有する第1ケース44が形成される。このとき、抜き型201,202同士の合わせ面に段差面44cが形成される。
図6及び図7は、それぞれ図4のB-B断面図、図6のC-C断面図である。第2はすば歯車83の両端面と対向する一対のスラスト受け部材121a、124のうち、一方のスラスト受け部材121aは、図4に示すように、ディスクプレート状の本体部分121bを有し、その中央穴が中間歯車軸82の一端部に嵌合されて第2ケース48と第2はすば歯車83との間に介在されている。スラスト受け部材121aと一体のアーム部分121cは、第1はすば歯車81と干渉しない向きに延伸され、延伸方向外側に向かって、幅が徐々に小さくなり、延伸方向外側端部で幅が一定となっている。アーム部分121cの延伸方向外側端である、第2はすば歯車83の外周より外側に延びた周縁部分には、第2はすば歯車83の歯幅と平行に曲げられた曲げ部121dを有する。曲げ部121dは、第1ケース44及び第2ケース48のギヤ室S1内に形成された油の攪拌防止用の隔壁134,135の一部に形成された切り欠き134a、135a内に嵌まり込んで係止されている。これにより、一方のスラスト受け部材121aは、ケース42aに対し回転不能に支持されており第2はすば歯車83と接触しても連れ回り回転しない。
これにより、一方のスラスト受け部材121をケース42に支持するための特別な加工や専用の部品を設ける必要がない。
他方のスラスト受け部材124は、パッド状であり、第1ケース44の第2ケース48側の側面に形成された凹部46に嵌合され、一部が凹部46の開口端より第2はすば歯車83側に突出し、第2はすば歯車83の側面に対向する。各スラスト受け部材121,124は、トランスミッションケース43を形成する材料より硬度の高い材料、例えば鉄、鋼等の金属により形成される。これにより、第2はすば歯車83が、第2はすば歯車83を収容したケース42に当接し、摩擦接触することを防止できるので、ケース42が削られることを防止できる。
次に、モータ軸72と入力軸60とを接続する連結部材74を説明する。連結部材74は、上記のように内周に雌スプラインを有する筒部75を有する。筒部75の一端部の外周側には、直径方向に全周にわたって突出する単板状のブレーキロータ76が一体に設けられる。本例では、入力軸60及びモータ軸72の両方には軸部材30が形成される。これにより、軸部材30、30の外側に筒部75を介してブレーキロータ76が嵌合され、ブレーキロータ76の軸部材30に対する相対回転が阻止される。
連結部材74は焼結により成形されてブレーキロータ76が一体形成される。ブレーキロータ76の軸方向両側には、ブレーキ装置90の制動力発生部91を構成する押圧部であり、摩擦材としてのブレーキシュー92とブレーキパッド93とが対向配置される。ブレーキロータ76は、軸方向両側からブレーキシュー92とブレーキパッド93とが押し付けられることにより、制動トルクが加わって入力軸60やモータ軸72を回転停止させる。
具体的には、ブレーキ装置90は、ブレーキロータ76と、制動力発生部91とを含んで構成される。ブレーキロータ76は、ブレーキ室S2内に区画したブレーキロータ収容部S3内に配置される。ブレーキロータ収容部S3は、ブレーキ室S2を形成する仕切壁47の一側壁面T1に、ブレーキロータ76の外径および厚みよりもわずかに大きな円形状の窪み101が形成され、その中にブレーキロータ76が配置される。
ブレーキロータ76には、制動力発生部91から制動力が加えられる。制動力発生部91は、ブレーキ軸94と、ブレーキシュー92と、ブレーキパッド93と、ブレーキアーム95(図8)とを備える。ブレーキパッド93は、窪み101内に位置する一側壁面T1のポケットにて保持される。
図8は、図4のD-D断面図である。図9は、図8からブレーキホルダを省略した図である。図10、図11は、それぞれ図4のE-E断面図、図4のF-F断面図である。
ブレーキ軸94は、第1ケース44の上部において、上下方向に延びて、トランスミッションケース43に回転可能に支持される。図10、図11に示すように、ブレーキ軸94の上側部分は、トランスミッションケース43の第1ケース44の上側面から外に突出している。具体的には、図11に示すように、第1ケース44においてブレーキロータ76の周方向一部と前後方向に一致する位置の上端部には、ブレーキ軸94を嵌合する貫通孔110が形成される。貫通孔110の上側部分は、下側部分より大径となっており、内部にOリング98が設けられ油密を保持している。
一方、ブレーキ室S2を通りブレーキロータ収容部S3内に達したブレーキ軸94の下側部位には、カム面97を有する断面視半円状の部分が形成される。このために、前記一側壁面T1にはブレーキ軸94の下側部位の挿通用の開口150a,150b(図9)が上下に分かれて形成される。各開口150a,150bは、ブレーキ軸94の長手方向と同方向に延びて窪み101に通じている。開口150a,150bのうち、上側の開口150aにだけ、ブレーキ軸94が通っている。下側の開口150bは、後述のように左右で共通にトランスミッションケースを使用する場合に、右車輪用に上下を反転して、開口150bが上側となった状態で使用する。カム面97は、トランスミッションケース43の軸方向に移動可能なブレーキシュー92と対向する。ブレーキシュー92は、ブレーキ軸94とブレーキロータ76との間に配置されブレーキロータ76と対向する面を制動面とする。後述の図13に示すように、ブレーキシュー92は、プレート状の本体部92aの前後方向両端からブレーキロータ76とは反対側に、2つの脚部92b、92cが突出する形状であり、後述するブレーキホルダ102にガイドされる。
図11に示すように、ブレーキパッド93は、第1ケース44の仕切壁47に装着される。カム面97がブレーキシュー92と平行に配置される場合にはブレーキシュー92がブレーキロータ76から離れて非制動状態となる。一方、ブレーキ軸94が回転してカム面97がブレーキシュー92に対し傾斜した場合には、カム面97がブレーキシュー92に押し付けられブレーキシュー92がブレーキホルダ102にガイドされて制動面がブレーキホルダ102から飛び出る。これにより、ブレーキロータ76がブレーキパッド93に向かって押し付けられブレーキシュー92とブレーキパッド93とで両側から挟まれるので、ブレーキロータ76と、入力軸60から動力が伝達される車輪24に至る伝動系が制動する。
図11に示すように、ブレーキアーム95は、ブレーキ軸94の上端部にブレーキ軸94に対し直交する方向に取り付けられて固定される。ブレーキアーム95の先端部には、操作レバー34,36(図1)の下端部がリンク機構(図示せず)を介して連結される。トランスミッションケース43の外側面におけるブレーキ軸94の周囲と、ブレーキアーム95との間にはバネ99が配置される。バネ99の両端部が、ブレーキアーム95に固定され下側に突出する第1係合ピン100aと、トランスミッションケース43に固定され上側に突出する第2係合ピン100bとに係合する。これにより、ブレーキ軸94は、カム面97とブレーキシュー92とが平行になって非制動となるように、バネ99からブレーキアーム95を介して第1回転方向に付勢される。
前記芝刈り車両10の操作レバー34,36が駐車ブレーキ位置に操作された場合には、ブレーキアーム95の先端部が、バネ99の付勢力に抗して移動して、ブレーキ軸94が、カム面97がブレーキシュー92に対し傾斜してブレーキシュー92をブレーキロータ76に押し付ける第2回転方向に回転する。第2回転方向は第1回転方向と逆方向である。これにより、ブレーキ装置90が制動状態となって、ブレーキロータ76及び車輪24の回転が停止し、その状態が維持される。
一方、ブレーキ軸94に対しブレーキシュー92と反対側には、トランスミッションケース43に固定されたブレーキホルダ102が配置される。ブレーキホルダ102は、ブレーキシュー92及びブレーキパッド93をブレーキロータ76に、より安定して押し付け可能とすることにより、より安定した制動を実現するために設けられる。
図12は、図2からモータ及びモータケースを取り外して、モータ側から見た斜視図である。図13は、図12の分解斜視図である。図12、図13に示すように、ブレーキホルダ102は、鉄、鋼、アルミニウム合金等の金属材料により形成される。ブレーキホルダ102の略中央部分には、連結部材74の筒部を貫通させる貫通孔である中央開口102aを有する。図13に示すように、ブレーキホルダ102の厚み方向一方面の前側部分には、ブレーキ軸94の一部を上側から進入させることが可能な断面円弧形のガイド面103が上下方向に形成される。ガイド面103の上下方向に離隔した2つの位置には、ブレーキシュー92の各脚部を係止して保持可能な溝104も形成される。
図4、図12に示すように、ブレーキホルダ102はその正面中央にモータ軸72および筒部75を挿通させるための中央開口102aを有し、その後端部の上下に延出した2つの延出部のうちの一方と、前端部とに貫通したボルト111を、前記一側壁面T1に形成されたネジ穴112にねじ込むことにより、トランスミッションケース43にブレーキホルダ102が固定される。そして、ブレーキホルダ102は、ブレーキ軸94についてブレーキシュー92と反対側に配置され、かつトランスミッションケース43に固定される。さらに、ブレーキホルダ102は、ブレーキ軸94の下端を受け入れ、カム面97反対側の半円弧面に当接するガイド面103を有し、このガイド面103にて、ブレーキを掛けたときのブレーキシュー92に対するブレーキ軸94の反力を受けるように構成される。
上記のディスクブレーキ機構を耐久性のよい湿式タイプに構成するため、ギヤ室S1内の油は、仕切壁47において油面Laに跨るように上下方向に沿って細長に貫通形成される第1油流通口113(図8~図10)及び油面Laより下方に位置する第2油流通口114(図11)を通じて、ブレーキ室S2にも入り込ませる。これにより、ブレーキ室S2にも油が収容されブレーキロータ76が油浴しブレーキ作動時に発生した熱は油を介して放熱される
モータ軸72の回転時には、ブレーキロータ76も回転するのでブレーキ室S2内の油を掻き揚げてしまうと、これが攪拌抵抗となり動力伝達ユニット41のエネルギー損失を招く。そこで、実施形態では、ブレーキホルダ102が、その背面平坦部を前記窪み101の開口周縁に当接させて前記窪み101の正面に被せることでブレーキ室S2のブレーキロータ収容部S3以外の部分であるモータ側部分S2aとブレーキロータ収容部S3との間を仕切っている。これによりブレーキロータ76に接する油を制限でき、それによって油の掻き揚げ量を軽減できる。このため、ブレーキロータ76による油の攪拌抵抗を小さくできるので、動力伝達ユニット41のエネルギー損失を低減できる。
窪み101は前述したようにブレーキ軸94の下端を挿通させるために上下に形成された開口150a,150bを通じて、ブレーキ室S2のモータ側部分S2aに開放されている。これにより、ブレーキロータ76が回転するとき周囲の油は遠心力の作用によって、例えば図8の矢印α1、α2方向や、図11の矢印β1、β2方向に、ブレーキロータ収容部S3の開放された位置からブレーキ室S2のモータ側部分S2aに吹き出す。吹き出した油は、モータ側部分S2a内の油と合流する。油の吹き出しによりブレーキロータ収容部S3が負圧気味となることで、前記中央開口102aの内周面と連結部材74の外周面との間の隙間からモータ側部分S2a内の油がブレーキロータ収容部S3内に引き込まれることで油がブレーキロータ76に接触しながら循環しやすくなるので、ブレーキロータ76の放熱が促進される。なお、本例の場合、後述のように、左右の動力伝達ユニットでトランスミッションケースを上下反転して共通化できるように、開口150a,150bを上下両側に形成しているが、共通化を考慮しない場合には、一方の開口150bを省略してもよい。
また、本例の場合、トランスミッションケース43は上下反転して使用できるように、上下方向中央に関して対称形状である。これにより、図10に示すように、第1ケース44において、ブレーキ軸94が嵌合する上側の貫通孔110と前後方向及び車幅方向に一致する位置である上下方向に整合する下端位置には、トランスミッションケース43の上下方向中央に関して対称となるように、下側の貫通孔110aが形成され、その貫通孔110aが栓115で塞がれる。各貫通孔110,110aを有する第1ケース44の上端部及び下端部の形状も、上下方向中央に関して対称形状である。トランスミッションケース43の上下方向の向きを逆にした場合に、図10で下側の貫通孔110aが上側になってその位置にブレーキ軸94を挿し換えでき、図10で上側の貫通孔110が下側となって栓115を取り付け可能となっている。また図11に示すように、仕切壁47には油面Laより下方の第2油流通口114と対称的に上側にも第2油流通口114を開口している。ブレーキパッド93およびブレーキシュー92の保持穴も一側壁面T1およびブレーキホルダ102において上下対称位置にそれぞれ用意され、トランスミッションケース43の上下反転時に付け替える。これにより、1つの動力伝達ユニット41で、トランスミッションケース43の向きを上下で逆にして左右の車輪駆動用として共通化を図っている。
さらに、第1ケース44のブレーキ室S2において、前記貫通孔110より後側に位置する上端部と下端部とには、上下方向に整合する位置で、上下方向中央に関して対称となるように、上下方向に貫通する2つのケース貫通孔116,116aが形成される。上側のケース貫通孔116の外端開口にはエアブリーザ装置117が挿入して取り付けられる。エアブリーザ装置117は、水等の液体や塵等がトランスミッションケース43内に侵入することを防止すると共に、トランスミッションケース43内外の空気を吸排可能とするために設けられる。トランスミッションケース43内の油膨張により内圧が上昇すると、エアブリーザ装置117を通じてトランスミッションケース43の外側に空気が排出されることで内圧の過度な上昇を防止できる。下側のケース貫通孔116aは、栓115aによって塞がれる。2つのケース貫通孔116,116aも、トランスミッションケース43の上下方向中央に関して対称形状である。これにより、トランスミッションケース43の上下方向の向きを逆にした場合には、図10で下側の貫通孔116aが上側になってエアブリーザ装置117を装着でき、図10で上側の貫通孔116が下側となって栓115aを取り付け可能となっている。
さらに、ブレーキホルダ102は、上下方向中央に関して対称形状とされ、その後側端部で上側に突出した部分が、ケース貫通孔116の内側端に、隙間を介して対向している。これにより、ケース貫通孔116の内側に、ブレーキ室S2内の油が飛散して奥まで浸入することを防止できる。このため、エアブリーザ装置117の信頼性を長期にわたって確保できる。なおトランスミッションケース43の上下反転に備えて、後側端部で下側に突出した部分も同様に、ケース貫通孔116aの内側端に、隙間を介して対向している。
ブレーキ室S2内にブレーキホルダ102を装着する場合には、図13に示す第1ケース44はそのモータケース接合面を上に向けておき、入力軸60とブレーキパッド93とを組付け、第1ケース44のモータ側開口から入力軸60の一端部に連結部材74の筒部75を嵌合させる。次いで、ブレーキロータ76上にブレーキシュー92を仮置きし、ブレーキ室S2内に挿し込んだブレーキ軸94のカム面97と反対側の面をブレーキシュー92に嵌め込む。その後、ブレーキホルダ102を第1ケース44とでブレーキロータ76を挟むように組付ける。この際、ブレーキホルダ102と対向する一側壁面T1には複数の位置決めピン118が車両幅方向に突出している。ブレーキホルダ102のトランスミッションケース43側の面において、複数の位置決めピン118の先端部と整合する位置に形成された円形の凹部119に位置決めピン118を嵌合させて、ブレーキホルダ102の仮固定を行う。この状態で、ブレーキホルダ102を貫通する複数のボルト111をトランスミッションケース43のネジ穴112にねじ込むことにより、ブレーキホルダ102がトランスミッションケース43に固定される。
上記の動力伝達ユニット41によれば、入力軸60に設けられた第1はすば歯車81とこの歯車に噛み合う第2はすば歯車83とによってはすば歯車機構を形成できるので、歯車機構80の静粛性の向上を図れる。また、モータ軸72及び入力軸60に嵌合した連結部材74の外周側にブレーキロータ76が一体に設けられる。これにより、モータ軸72及び入力軸60を連結してなる部分の全長が大きくなることを抑制できる。これによって、入力軸60の周囲にブレーキロータ76を設ける場合の動力伝達ユニット41の大型化を抑制できる。また、モータ軸及び入力軸を一体形成した構成に、はすば歯車を形成する構成に比べて、加工性が大幅に低下することを防止できる。
また、歯車機構80は、第1はすば歯車81に噛み合う第2はすば歯車83と、第2はすば歯車83の内周側に係合され、第2はすば歯車83に対する軸方向の相対変位が可能であり、かつ第2はすば歯車83に対する相対回転が阻止される中間歯車軸82とを含む。第2はすば歯車83の軸方向一端面および他端面に向かい合うケース部位には、ケース42を形成する材料より硬度の高い材料により形成され、ケース42に対し回転不能に支持された一対のスラスト受け部材121,124が設けられる。これにより、はすば歯車機構の噛み合いによって第2はすば歯車83が中間歯車軸82に対し軸方向に相対変位する場合に、この第2はすば歯車83が、第2はすば歯車83を収容したケース42に当接し、摩擦接触することを防止できるので、ケース42が削られることを防止できる。
さらに、中間歯車軸82の一端は、ケース42の壁面に挿入支持され、一対のスラスト受け部材121,124のうちの一方は、本体部分がプレート状を成し、中間歯車軸82の一端部に嵌合されてケース42と第2はすば歯車83との間に介在されている。これにより、一方のスラスト受け部材121をケース42に支持するための特別な加工や専用の部品を設ける必要がない。
さらに、ブレーキ室S2に、ブレーキロータ76と、ブレーキシュー92と、ブレーキ軸94のブレーキシュー92と反対側に配置され、かつケース42に固定され、かつブレーキ軸94のブレーキシュー92に対する反力を受けるブレーキホルダ102が設けられる。これにより、回転可能なブレーキ軸94により摩擦材であるブレーキシューをブレーキロータ76に安定して押し付け可能な構成を実現できる。このため、より安定した制動を実現できる。
また、ブレーキホルダ102及びトランスミッションケース43は、上下方向中央に関して対称形状であるため、同じ構造の部品を右車輪用と左車輪用とで共通に使用できる。右車輪用と左車輪用とでは、上下方向の位置関係が逆になる以外は同様の構成であり、ブレーキ軸94及びエアブリーザ装置117をトランスミッションケース43の上端部に装着し、栓をトランスミッションケース43の下端部に装着する。これにより、部品の共通化による製造コストの低減を図れる。
(実施形態の別例)
図14は、実施形態の別例の動力伝達ユニット41aにおいて、図4に対応する図である。本例の構成では、ブレーキホルダは、ケース42aを構成するモータケース130の一部がその機能を兼ねるように構成されている。具体的には、トランスミッションケース43には、ブレーキ室S2の一側壁面T1と同じ方向を向くようにモータケース130の装着面T2を備える。
モータケース130は、ケース本体130aのインロー部130a1の中央付近にトランスミッションケース43に向かって軸方向に張り出した厚肉の筒部130a2が形成される。その張り出し量は、図11に示すように第1ケース44にモータケース130を結合した状態で、筒部130a2の先端が、装着面T2に突き当てられる程度の寸法とする。装着面T2は、ブレーキ室S2の一側壁面T1と同じ面であってもよい。この状態で、筒部130a2の先端面には、図4で示した実施形態のブレーキホルダ102と同様に、ブレーキ軸94の下端が進入可能でカム面97反対側の半円弧面に当接するガイド面131と、ガイド面131の開口端に形成され、ブレーキシュー92を係止し軸方向への移動をガイド可能な溝132とが設けられる。これにより、ブレーキホルダは、モータケース130の筒部130a2の先端面において、ブレーキ室S2内に臨んでブレーキ軸94と対向する部分によって形成される。
本例の構成によれば、ブレーキホルダは、モータケース130のケース本体130aの筒部130a2によって形成される。これにより、モータケース130とは別部品であるブレーキホルダを設ける必要がないので、部品点数の削減により、動力伝達ユニット41aの製造コストの低減を図れる。本例において、その他の構成及び作用は、図1~図13の構成と同様である。
図15は、実施形態の別例の動力伝達ユニット41cにおいて、図3に対応する図である。図16は、図15のG-G断面図である。図17は、図16のH-H断面図である。本例の構成では、動力伝達ユニット41cが、1つのモータ70で車両後側の左右2つの車輪を駆動する形式の車両に組み込まれる。この車両では、車両前側の左右2つの車輪は、ステアリングハンドルを含む操舵機構によって操舵される。この場合、ステアリングハンドルは旋回指示具として使用され、運転席の前側に設けられたアクセルペダルが、加速指示具として使用される。アクセルペダルの操作に応じてモータ70の回転速度が上昇するように、モータ70が制御される。
動力伝達ユニット41cは、モータ70のモータ軸72の動力が入力軸60、歯車機構80及び差動歯車機構140を介して、左右に分かれて延びる第1車軸151及び第2車軸152のそれぞれに伝達される。差動歯車機構140では、左右2つの出力軸である車軸151,152に固定されたサイドベベルギヤ153,154に動力が伝達されることにより、車軸151,152に固定された車輪が回転する。この構造ゆえに動力伝達ユニット41cは上下反転して使用することはない。
本例の場合、ケース42bは、第1車軸151を収容する第1車軸ケース155と、第2車軸152を収容する第2車軸ケース156とで、第1ケース157を挟んで固定し、第1ケース157にモータケース50を固定することにより構成される。第1車軸ケース155は、上記の各例の構成における第2ケース48と同様に構成される。第1ケース157では、第2車軸ケース156の一端部を嵌合固定する貫通孔158が形成される。
さらに、第2はすば歯車83の両端面と対向する一対のスラスト受け部材160,124のうち、一方のスラスト受け部材160は、図16、図17に示すように、ディスクプレート状の本体部分161が、中間歯車軸82に嵌合された部分から第2はすば歯車83の外周側に向かって、直径方向の両側に延伸された2つの延伸部162,163を有する。一方の延伸部162は斜め上側に延伸され、他方の延伸部163は斜め下側に延伸される。一方の延伸部162は、図1~13の構成の一方のスラスト受け部材121aと同様に、延伸方向外側端に曲げ部162aが設けられ、その曲げ部162aがケース42bの一部に係止されている。
他方の延伸部163は、延伸方向外側に向かって幅が大きくなるように扇形に広がっている。他方の延伸部163における延伸方向外側端である、第2はすば歯車83の外周より外側に延びた周縁部分には、第2はすば歯車83の歯幅に沿って曲げられた第2曲げ部163aを有する。第2曲げ部163aは、第2はすば歯車83の外周面の一部に対向配置される。したがって、第2曲げ部163aは、一方の延伸部162側の曲げ部162aよりも周方向長さが大きくなっており、油が収容されるギヤ室S1においてケース底面から油面近くまでの範囲で広がっている。
本例の構成によれば、回り止めされた一方のスラスト受け部材160の第2曲げ部163aは、下側で第2はすば歯車83の外周面の一部に対向配置される。これにより、ケース42b内に油が収容されている場合に、第2はすば歯車83の回転によって油が攪拌されるときに油から第2はすば歯車83や他の歯車に加わる抵抗によって、動力伝達ユニット41cのエネルギー損失が大きくなることを抑制できる。本例において、その他の構成及び作用は、図1~図13の構成と同様である。
なお、本例の構成で用いた一方のスラスト受け部材160の構成を、図1~図13の構成、または図14の構成に適用することもできる。
また、上記の各例の構成において、ブレーキロータは、歯車軸及びモータ軸の一方のみを軸部材として、その軸部材の外側に嵌合され、軸部材に対する相対回転が阻止される構成としてもよい。また、歯車軸及びモータ軸を一体化させた単一の軸部材として、その軸部材の外側にブレーキロータを嵌合し、軸部材に対する相対回転を阻止してもよい。
10 芝刈り車両、16 メインフレーム、17 運転席、18,20 キャスタ輪、24 車輪、25 芝刈装置、26 モアデッキ、28 モータ、30 軸部材、40 電源ユニット、41 動力伝達ユニット、42 ケース、43 トランスミッションケース、44 第1ケース、45 貫通孔、46 凹部、47 仕切壁、48 第2ケース、49 筒部、50 モータケース、51,52,53 軸受、54 シール、58 ボルト、60 入力軸、62 ハブ、70 モータ、72 モータ軸、74 連結部材、75 筒部、76 ブレーキロータ、80 歯車機構、81 第1はすば歯車、82 中間歯車軸、83 第2はすば歯車、84 出力歯車、90 ブレーキ装置、91 制動力発生機構、92 ブレーキシュー、93 ブレーキパッド、94 ブレーキ軸、95 ブレーキアーム、98 Oリング、99 バネ、101 窪み、102 ブレーキホルダ、103 凹部、104 溝、110,110a 貫通孔、111 ボルト、112 ネジ穴、113 第1油流通口、114 第2油流通口、115,115a 栓、116,116a ケース貫通孔、117 エアブリーザ装置、118 位置決めピン、119 凹部、120 出力軸。

Claims (4)

  1. ケースに収容されたモータ軸を有するモータ、歯車機構及び出力軸を備え、
    前記モータ軸の動力が前記歯車機構を介して前記出力軸に伝達される動力伝達ユニットであって、
    前記歯車機構を構成する歯車軸と前記モータ軸とが対向した位置にブレーキ室を形成し、該ブレーキ室に、
    前記歯車軸及び前記モータ軸の一方または両方である軸部材の外側に嵌合され、前記軸部材に対する相対回転が阻止されるブレーキロータと、
    前記ブレーキロータの一方側に配置され、回転可能なブレーキ軸に設けられたカム面によって前記ブレーキロータに押し付け可能である摩擦材と、
    前記ブレーキ軸の前記摩擦材と反対側に配置され、かつ前記ケースに固定され、または前記ケースの一部であり、かつ前記ブレーキ軸の前記摩擦材に対する反力を受けるブレーキホルダと、を備える、
    動力伝達ユニット。
  2. 請求項1に記載の動力伝達ユニットにおいて、
    前記ブレーキロータは、前記軸部材の外側に嵌合された筒部の外周側に一体に設けられ、前記ブレーキ室の一側壁面に形成された、前記ブレーキロータの外径及び厚みよりも大きな窪みによって形成したブレーキロータ収容部内に配置されており、
    前記ブレーキ室内に油が収容され、
    前記ブレーキホルダは、
    その略中央部分に前記筒部を貫通させる貫通孔を有し、
    かつ、前記ブレーキロータ収容部を覆うように、前記一側壁面に装着され、
    前記貫通孔と前記筒部との間には隙間が形成され、
    前記窪みは、前記一側壁面に形成された前記ブレーキ軸の挿通用の開口を通じて前記ブレーキ室の前記モータ側の部分に開放されている、
    動力伝達ユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載の動力伝達ユニットにおいて、
    前記ブレーキ室には、内外を貫通させるケース貫通孔が形成され、
    前記ケース貫通孔の外端開口に取り付けられたエアブリーザ装置を備え、
    前記ブレーキホルダの一部は、前記ケース貫通孔の内側端に、隙間を介して対向している、
    動力伝達ユニット。
  4. 請求項1に記載の動力伝達ユニットにおいて、
    前記ケースは、前記歯車機構を収容するトランスミッションケースと、前記モータを収容し前記トランスミッションケースに固定されるモータケースとを含み、
    前記トランスミッションケースには、前記ブレーキ室の一側壁面と同じ方向を向くように前記モータケースの装着面を備え、
    前記ブレーキホルダは、前記モータケースにおいて、前記ブレーキ室内に臨んで前記ブレーキ軸と対向する部分によって形成される、
    動力伝達ユニット。
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