JP2023122351A - 造形物及びその製造方法、造形データの作成方法 - Google Patents

造形物及びその製造方法、造形データの作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ベース構造を複雑な形状を有している場合でも、短い造形時間で精度良く造形可能な造形物を提供する。【解決手段】本発明によれば、ベース構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから、前記ツールパスの一部を選択して作成された造形データを用いて作成された造形物であって、前記選択は、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、前記元データでの層間の間隔が小さくなるように行われる、造形物が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、積層造形によって製造可能な造形物及びその製造方法、並びにこの造形物を製造するための造形データの作成方法に関する。
特許文献1には、単層構造体を積層することによって、三次元網目構造の造形物を製造する方法が開示されている。
特開2020-146988号公報
特許文献1では、各単層構造体は、複数の平行線部を有しており、上下方向に隣接する単層構造体同士は、平行線部が延びる方向が60度ずれている。このような構造を有する造形物は、柔軟性に優れているという利点を有するものの、上方向から荷重が加わった場合と、横方向から荷重が加わった場合とでは、変形のしやすさ(以下、「変形性」)が大きく異なっている。このため、クッション材(特に、インソールや義足の脚にあたる部分など、体に触れる用途に用いられるクッション材)のように、任意の方向からの荷重に対して変形性に差がないこと(つまり、等方変形性であること)が望まれる用途には使いにくいという問題があった。
このような問題を解決する構造として、ジャイロイド構造のような複雑な形状を有するものがあるが、複雑な形状を有する造形物を短い造形時間で精度良く製造することは容易ではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ベース構造を複雑な形状を有している場合でも、短い造形時間で精度良く造形可能な造形物を提供するものである。
本発明によれば、ベース構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから、前記ツールパスの一部を選択して作成された造形データを用いて作成された造形物であって、前記選択は、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、前記元データでの層間の間隔が小さくなるように行われる、造形物が提供される。
本発明では、元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、元データでの層間の間隔が小さくなるようにツールパスの選択を行って得られた造形データを用いて造形する。このため、
ベース構造を複雑な形状を有している場合でも、比較的短い時間で精度良く造形部を造形することができる。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の造形物であって、前記ベース構造は、3次元の周期極小曲面に厚みを設けた構造である、造形物である。
好ましくは、造形物の製造方法であって、ベース構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから、前記ツールパスの一部を選択して作成された造形データを用いて積層造形を行う工程を備え、前記選択は、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、前記元データでの層間の間隔が小さくなるように行われる、方法である。
好ましくは、造形データの作成方法であって、ベース構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから、前記ツールパスの一部を選択する工程を備え、前記選択は、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、前記元データでの層間の間隔が小さくなるように行われる、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記ベース構造は、3次元の周期極小曲面に厚みを設けた構造である、方法である。
ジャイロイド構造1を示す斜視図である。 ジャイロイド構造1の造形途中の状態を示す斜視図である。 ジャイロイド構造1の造形途中の状態を示す斜視図である。 ジャイロイド構造1の造形途中の状態を示す斜視図である。 ジャイロイド構造1を構成する、各層の単層構造体2の形成に用いるツールパス4を示す。 ジャイロイド構造1を構成する、各層の単層構造体2の形成に用いるツールパス4を示す。 ジャイロイド構造1を構成する、各層の単層構造体2の形成に用いるツールパス4を示す。 ジャイロイド構造1を構成する、各層の単層構造体2の形成に用いるツールパス4を示す。 ジャイロイド構造1を構成する、各層の単層構造体2の形成に用いるツールパス4を示す。 ジャイロイド構造1を構成する、各層の単層構造体2の形成に用いるツールパス4を示す。 図11Aは、0.1mmの造形ピッチで作成した元データのツールパス4を用いて単層構造体2を積層させた状態を示し、図11Bは、元データでの上下層間のツールパス4の形状変化が大きい部位ほど、元データでの層間の間隔が小さくなるように選択したツールパス4を用いて単層構造体2を積層させた状態を示す。 図12Aは、端部4aが外周部4eに設けられているツールパス4を示し、図12Bは、端部2aが外周部2eに設けられている単層構造体2を示す。 図12Aは、折り返し部4dが設けられた状態のツールパス4を示し、図12Bは、折り返し部2dが設けられた状態の単層構造体2を示す。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
以下、ベース構造がジャイロイド構造である場合を例に挙げて説明する。
1.造形物5
本発明の一実施形態の造形物5(図11Bに図示)は、後述する疑似ジャイロイド構造を有しており、特許文献1に開示されているような造形物に比べて、等方変形性(任意の方向からの荷重に対して変形のしやすさに差がないこと)が優れている。造形物5の用途としては、クッション材(特に、インソールや義足の脚にあたる部分など、体に触れる用途に用いられるクッション材)が挙げられる。以下、本実施形態の造形物5の製造方法を、順を追って説明する。
2.ジャイロイド構造
まず、本発明と関連性を有するジャイロイド構造について説明する。図1に示すように、ジャイロイド構造1とは、ジャイロイドを基準に厚みを設けた構造である。ジャイロイドとは、3方向に無限に連結した3次元の周期極小曲面である。ジャイロイドの近似式は三角関数を用いて、式1のように表すことができる。ジャイロイドは、XYZのそれぞれの方向に蛇行する面によって構成されるために、ジャイロイド構造は等方変形性において優れている。
3.ジャイロイド構造の積層造形
積層造形によってジャイロイド構造を形成する場合、まず、ジャイロイド構造をZ方向に所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体2のそれぞれを形成するためのツールパスを含む造形データを作成する。複数の単層構造体2は、Z方向に積層される。ツールパスとは、単層構造体2を形成する際にノズルを移動させる経路を示す二次元データであり、XY平面上に延在する。造形データは、造形対象の各層のツールパスや造形ピッチなどの、造形に必要な情報を含むデータである。流動状態の樹脂(以下、「流動樹脂」)をノズルから押し出しながら、ノズルをツールパスに沿って移動させて流動樹脂を賦形した後に流動樹脂を固化させることによって単層構造体2を形成することができる。流動樹脂は、積層造形が熱溶融積層法の場合は、加熱によって軟化された状態の樹脂であり、積層造形がUV硬化法である場合は、未硬化の樹脂である。前者の場合、流動樹脂は冷却によって固化され、後者の場合、流動樹脂はUV照射によって固化される。
積層構造の造形物を形成するには、まず、図2の第1層に示すように、不図示の造形テーブル上で第1層のツールパスに沿って流動樹脂を押し出しながらノズルを移動させることによって、第1層の単層構造体201を形成する。
次に、ノズルを造形ピッチ分上昇させた後に、第1層の単層構造体201上で、第2層のツールパスに沿って、溶融樹脂を押し出しながらノズルを移動させることによって、第2層の単層構造体202を形成する。単層構造体201,202は、融着されて積層構造体302が得られる。なお、ノズルは、造形テーブルに対して相対的に上昇させればよく、ノズルを上昇させる代わりに、造形テーブルを下降させてもよい。
次に、ノズルを造形ピッチ分上昇させた後に、第2層までの積層構造体302上で、第3層のツールパスに沿って、溶融樹脂を押し出しながらノズルを移動させることによって、第3層の単層構造体203を形成する。単層構造体203は、積層構造体302に融着され、第3層までの積層構造体303が得られる。以後、同様の工程を30層まで行ったときの各層の造形完了時点での状態を図2~図4に示す。
上記工程を造形データ中の最上層まで繰り返すことによって、ジャイロイド構造1を有する所望の造形物を得ることができる。
4.ジャイロイド構造の分析
ここで、ジャイロイド構造の詳細な分析を行う。図2~図4を参照すると、第1~第4層及び第16~22層は、単層構造体2がX方向に蛇行するX方向蛇行部2xを有する。このような単層構造体2を有する層をX方向蛇行層と称する。第7~第13層及び第25~第30層は、単層構造体2がY方向に蛇行するY方向蛇行部2yを有する。このような単層構造体2を有する層をY方向蛇行層と称する。第5~第6層、第14~15層、第23~24層は、X方向蛇行部とY方向蛇行部が結合した結合部2cを有する。このような単層構造体2を有する層を結合層と称する。このように、ジャイロイド構造は、X方向蛇行層とY方向蛇行層が、間に結合層を挟んで、交互に形成されることによって構成される。
5.ジャイロイド構造の造形ピッチの変更による層間剥離問題の発生
ジャイロイド構造を有する造形物を量産するために造形速度を高める必要がある。造形速度を高める方法としては、ジャイロイド構造の造形ピッチを大きくする必要がある。ジャイロイド構造の造形ピッチを大きくする方法としては、例えば、図2~図4の例では、2層飛ばしで、第1層、第4層、第7層、第10層、第13層、第16層・・・の順で造形する方法が挙げられる。この場合、これらの層の単層構造体を形成するためのツールパスを用い、造形ピッチを3倍にし、流動樹脂の吐出量も造形ピッチの増大に合わせて増大させる。この場合、造形に必要な層数が1/3になるので、造形時間が短縮される。
このような方法で造形を行った場合、第4層のツールパスに沿った単層構造体2上に第7層のツールパスに沿った単層構造体2が形成されることになるが、第4層と第7層の単層構造体2は、形状の違いが大きく、積層方向(Z軸方向)から見たときの重なりが小さく、ほぼ点接触になってしまう。このため、このような造形ピッチでジャイロイド構造を形成すると、第4層と第7層のようにX方向蛇行層とY方向蛇行層が切り替わる部位での単層構造体2同士の結合が弱くなり、この部位で層間の剥離が生じやすくなってしまう。つまり、単純に、造形ピッチを大きくすると、造形時間は短縮されるものの、造形物の層間剥離が生じやすくなるという新たな問題が発生することになる。
6.ジャイロイド構造の層間剥離問題の解決方法
本発明者は上記問題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、2層飛ばしで造形を行った場合でも、第1層と第4層や、第7層と第10層のように、X方向蛇行層同士やY方向蛇行層同士は、単層構造体2の形状(すなわち、ツールパスの形状)が類似しており、積層方向(Z方向)から見たときの重なりが大きいので、第2~第3層を飛ばして第1層上に第4層を形成したり、第8~第9層を飛ばして第7層上に第10層を形成したりしても特段の問題は生じないということに気がついた。
そして、このような知見に基づき、ジャイロイド構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから前記ツールパスの一部を選択して本実施形態の造形物5を造形する造形データを作成する際に、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、元データでの層間の間隔が小さくなるようにツールパスの選択を行うという着想を得た。
図2~図4の例では、第1~第4層及び第16~22層のようにX方向蛇行層が連続する部位や、第7~第13層及び第25~第30層のようにY方向蛇行層が連続する部位は、上下層間の単層構造体の重なりが大きい(すなわち、ツールパスの形状変化が小さい)のに対し、第4~第7層や第13~16層のようにX方向蛇行層とY方向蛇行層が切り替わる部位は上下層間の単層構造体の重なりが小さい(すなわち、ツールパスの形状変化が大きい)。このような例の場合は、例えば、造形物5を造形するための造形データを作成する際に、第1層、第4層~第7層、第10層、第13~16層、第19層、第22~第25層、第28層の単層構造体に対応したツールパスを選択する。この選択方法では、X方向蛇行層とY方向蛇行層が切り替わる部位(以下、「切替部位」)については全ての層が選択されているのに対し、X方向蛇行層又はY方向蛇行層が連続する部位(以下、「連続部位」)では、2層飛ばしで層が選択されている。
このような方法によれば、切替部位では、例えば、第4層、第5層、第6層、第7層のように単層構造体の形状が徐々に変化することになるので、上下層間の単層構造体の重なりが大きくなるので、造形物5の層間剥離の発生が抑制される。一方、連続部位では、2層飛ばしで層が選択されているので、造形速度が高められる。
このような造形データを用いて造形された造形物5には、連続部位の高さが、切替部位の高さに対して相対的に縮められた構造(以下、「疑似ジャイロイド構造」)が設けられる。疑似ジャイロイド構造は、ジャイロイド構造をベースにして連続部位の高さを縮めた構造であるので、ジャイロイド構造の特徴をある程度保持している。このため、本発明によれば、特許文献1に開示されているような造形物に比べて、等方変形性が優れた造形物5が得られる。
なお、切替部位と連続部位での層の選択は、選択する際に飛ばす層の数(つまり、元データでの層間の間隔)が、切替部位<連続部位、となるように行えばよい。従って、例えば、切替部位では1層飛ばしで層の選択を行い、連続部位では2層飛ばしで層の選択を行ってもよい。
以上の通り、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、元データでの層間の間隔が小さくなるように選択したツールパスを選択して得られた造形データを用いて造形物5を形成することによって、層間剥離が生じにくく且つ造形速度を高めることが可能な、疑似ジャイロイド構造を有する造形物5が得られる。
7.本実施形態の造形物の製造方法
本実施形態の造形物5は、上記方法で作成された造形データを用いて、積層造形を行うことによって得ることができる。積層造形は、「3.ジャイロイド構造の積層造形」で詳細に説明したように、各層のツールパスに従って形成された単層構造体2を積層することによって行うことができる。積層造形は、UV硬化法、熱溶融積層法等の何れの方法であってもよいが、熱で溶融した樹脂を積層させる熱溶融積層法が好ましい。
単層構造体2を構成する線状の樹脂(以下、「線状樹脂」)の直径、及び造形の際の造形ピッチは、それぞれ、例えば0.3~6.0mmであり、1.0~4.0mmが好ましい。この直径は、具体的には例えば、0.3、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。線状樹脂の直径は、造形ピッチよりも大きいことが好ましく、[線状樹脂の直径/造形ピッチ]の値は、例えば、1.1~6であり、具体的には例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
造形物5を構成する樹脂は、特に限定されず、ABS、ポリオレフィン(例:ポリプロピレン)、ポリエステル、熱可塑性エラストマーが挙げられる。造形物5がクッション材のような高い柔軟性が要求されるものである場合、造形物5を構成する樹脂は、熱可塑性エラストマーが好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。この熱可塑性エラストマーは、スチレン系エラストマーを含むことが好ましい。スチレン系エラストマーは柔軟性が高いので、熱可塑性エラストマーがスチレン系エラストマーを含むことによって、熱可塑性エラストマーの柔軟性が高くなる。熱可塑性エラストマー中のスチレン系エラストマーの割合は、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がさらに好ましく、具体的には例えば、50、60、70、80、90、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
スチレン系エラストマーとは、スチレン単位を有する熱可塑性エラストマーであり、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-エチレン-スチレンブロック共重合体(SES)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)等)、水素添加スチレン系共重合体(例えば、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-ブチレン・ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、水素添加スチレン-ブタジエンゴム(HSBR)等)等から選ばれた一種又は二種以上をブレンドしたものを挙げることができる。
熱可塑性エラストマーのショアA硬度は、0~10が好ましく、具体的には例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ショアA硬度がこの範囲内である場合に、柔軟性に優れた造形物5が得られる。ショアA硬度は、JIS K6253に基づいて測定する。
8.造形物5の構造
造形物5は、疑似ジャイロイド構造で構成された三次元網目構造を有する。このような構造を有する造形物5では、疑似ジャイロイド構造のサイズを変更したり、単層構造体を構成する線状樹脂の太さを変化させたりすることによって、造形物5の剛性を変化させることができる。造形物5がクッション材である場合、造形物5をユーザーの要望に応じた剛性を有するものにする必要があるところ、三次元網目構造を有する造形物5では、このような要望を実現することが容易である。
9.ツールパスの選択の具体例及び選択したツールパスを用いた造形物の製造
ここで、より具体的なデータを用いて、ツールパスの選択の具体例について説明する。図5~図10は、ジャイロイド構造1を0.1mmの造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するための、60層のツールパス4を示す。図5~図10の左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。以下の説明中の、ツールパス4のX方向蛇行部4x及びY方向蛇行部4yは、それぞれ、単層構造体2のX方向蛇行部2x及びY方向蛇行部2yに対応する部位である。また、ツールパス4に沿って形成される線状樹脂2bには、ある程度の太さがあるので、第6~第7層のように、隣接するX方向蛇行部4x同士の間の距離又は隣接するY方向蛇行部4y同士の距離が小さい部位を有するツールパスに沿って単層構造体が形成されると、隣接するX方向蛇行部2x同士又は隣接するY方向蛇行部2y同士がつながって結合部2cが形成される。
第1~第6層のツールパス4は、Y方向に蛇行する複数のY方向蛇行部4yを有する。第1~第3層では、複数のY方向蛇行部4yは、概ね平行に延びており、上下層間でのツールパスの形状変化が小さい。第4~第6層では、隣接するY方向蛇行部4yが互いに近づくようにツールパス4の形状が変化し、第6層において、隣接するY方向蛇行部4y同士の間の距離が最小となっている。
第7層~第30層のツールパス4は、X方向に蛇行する複数のX方向蛇行部4xを有する。第6層から第7層に進むときに、蛇行部が延びる方向がY方向からX方向に変化する。第7~第9層では、隣接するX方向蛇行部4xが互いに離れるようにツールパス4の形状が変化し、第10層~第27層では、複数のX方向蛇行部4xは、概ね平行に延びており、上下層間でのツールパスの形状変化が小さい。第28~第30層では、、隣接するX方向蛇行部4xが互いに近づくようにツールパス4の形状が変化し、第30層において、隣接するX方向蛇行部4x同士の間の距離が最小となっている。
第31~第53層のツールパス4は、Y方向に蛇行する複数のY方向蛇行部4yを有する。第30層から第31層に進むときに、蛇行部が延びる方向がX方向からY方向に変化する。第31~第33層では、隣接するY方向蛇行部4yが互いに離れるようにツールパス4の形状が変化し、第34層~第50層では、複数のY方向蛇行部4yは、概ね平行に延びており、上下層間でのツールパスの形状変化が小さい。第51~第53層では、隣接するY方向蛇行部4yが互いに近づくようにツールパス4の形状が変化し、第53層において、隣接するY方向蛇行部4y同士の間の距離が最小となっている。
第54層~第60層のツールパス4は、X方向に蛇行する複数のX方向蛇行部4xを有する。第53層から第54層に進むときに、蛇行部が延びる方向がY方向からX方向に変化する。第54~第56層では、隣接するX方向蛇行部4xが互いに離れるようにツールパス4の形状が変化し、第57層~第60層では、複数のX方向蛇行部4xは、概ね平行に延びており、上下層間でのツールパスの形状変化が小さい。
このように、ツールパス4は、蛇行部が延びる方向がX方向とY方向の間で切り替わる層とそれに隣接した層(第4~第9層、第28~第33層、第51~56層)において、上下層間でのツールパス4の形状変化が非常に大きい。これらの層の集まりを「大変化層群」と称する。また、その間の層(第1~第3層、第10~第27層、第34~第50層、57~60層)では、上下層間でのツールパス4の形状変化が小さい。これらの層の集まりを「小変化層群」と称する。
ツールパスの形状変化がこのような特徴を有していることを利用し、元データ(元となる造形データ)での上下層間のツールパス4の形状変化が大きい部位ほど、元データでの層間の間隔が小さくなるように、ツールパス4を選択することができる。
一例では、大変化層群では、蛇行部が延びる方向がY方向からX方向に変化する層(第6~7層、第30~31層、第53~54層)と、これらの層から1つ飛ばしの層(層間間隔1)を選択し、小変化層群では、略等間隔に3つの層を選択する。このような選択方法では、例えば、第7~第30層の間では、大変化層群から第7、第9、第28、第30層が選択され、小変化層群からは、第14、第19、第24層が選択される。小変化層群では、層間間隔が3又は4となっている。このような選択によって、造形する総数が24層から7層に減少するので、造形時間が大幅に短縮される。
図11Aは、第7~30層のツールパス4を用いて、0.1mmの造形ピッチで、各層の単層構造体2を積層させて得られた造形物を示す。図11A及び図11Bは、単層構造体2に含まれる線状樹脂2aの1箇所での断面を示す。図11Aで太字の円で示した層が選択された層である。これらの層のツールパス4を用いて、造形物の高さが元データでの高さと等しくなるように造形ピッチ及びノズル径を調整して、本実施形態の造形物5を得るための造形データを作成した。この造形データを用いて積層造形を行って図11Bに示す造形物5を得た。造形物5に含まれる単層構造体2の第1~第7層が、それぞれ、元データから選択された7層(第7、第9、第14、第19、第24層、第28、第30層)に対応する。第1~第7層は、元データから選択された7層のツールパス4を用いて形成された層であるので、XY平面内での位置及び形状は、元データから選択された7層と一致する。一方、単層構造体2を構成する線状樹脂の直径が変わっているので、図11Bの第1~第7層のZ方向(図11の上下方向)の位置は、元データから選択された7層とは異なっており、第1~第7層がZ方向に略均等間隔で配置される。つまり、元データから選択された7層は、層間間隔が一定でないが、図11Bの第1~第7層は、等しい造形ピッチで形成される。
図11Bに示す造形物5は、元データに比べて層数が大幅に少ない造形データを用いて積層造形を行っているにも関わらず、元データを用いて作成された造形物5に類似した形状を有する。また、造形物5では、上下層間での単層構造体2の重なりが大きく、層間剥離が発生しにくい構造であることが分かる。このように、本発明によれば、比較的短い時間で精度良く造形物を造形することができる。
なお、大変化層群と小変化層群での層間間隔や、選択する層数は、上記実施形態とは異なるように設定してもよい。
10.ツールパスの改変
図12Aは、造形物5を製造するためのツールパス4の一例である。このツールパス4には、一対の端部4aが存在している。図12Bに示すように、一対の端部4aの間のツールパス4に沿って、流動樹脂を吐出するノズルを移動させることによって、線状樹脂2bが賦形されて構成された単層構造体2を形成することができる。
端部4aは、ツールパス4の外周部4eに設けられており、このようなツールパス4を用いて単層構造体2を形成すると、線状樹脂2bの端部2aが単層構造体2の外周部2eに設けられる。端部2aが単層構造体2の外周部2eに設けられていると、複数の単層構造体2が積層されて構成された造形物5において、端部2aを起点として、造形物5の層間剥離が起こりやすい。端部2aは、上層又は下層の端部とはつながっていてもなくてもよい。端部2aが上層と下層の何れの端部ともつながっていない場合は、端部2aの強度が特に弱くなるので、本発明を適用する技術的意義が顕著である。
図13Aは、このような問題を解決するために改変されたツールパス4を示す。図13Aのツールパス4は、ツールパス4の外周部4eに設けられた折り返し点4fにおいて折り返されて、外周部4eよりツールパス4の内側に配置された折り返し部4dを備える。折り返し部4dは、ツールパス4の端部4aと折り返し点4fの間の部位である。端部4aは、外周部4eと重なっていることが好ましい。
図13Bは、流動樹脂を吐出するノズルを、図13Aに示すツールパス4に沿って移動させることによって形成された線状樹脂2bによって構成された単層構造体2を示す。単層構造体2を構成する線状樹脂2bは、単層構造体2の外周部2eに設けられた折り返し点2fにおいて折り返されて、外周部2eよりも単層構造体2の内側に配置された折り返し部2dを備える。折り返し部2dは、線状樹脂2bの端部2aと折り返し点2fの間の部位である。
このような構成によれば、単層構造体2の端部2aが造形物5の外面に露出されないので、単層構造体2の端部2aからの層間剥離の発生が抑制される。端部2aは、外周部2eに溶着されていることが好ましい。この場合、端部2aの強度が一層高くなり、造形物5の層間剥離が一層抑制される。
なお、折り返し部2d,4dを設ける構造は、造形物5を構成する複数の単層構造体2のうちの少なくとも1つに設ければよいが、端部2a,4aが外周部2e,4eに設けられている全ての層において、折り返し部2d,4dを設けることが好ましい。
11.その他実施形態
上記実施形態では、ベース構造がジャイロイド構造である場合を例に挙げて説明を進めたが、ベース構造がジャイロイド構造以外の複雑な形状を有する構造であっても、比較的短い時間で精度良く造形部を造形することができるという効果が奏されるので、本発明の適用対象は、ジャイロイド構造に限定されない。ベース構造としては、ジャイロイド構造、シュワルツP構造、シュワルツD構造、ダブルジャイロイド構造、fddd構造のような3次元の周期極小曲面に厚みを設けた構造や、キュービック構造、オクテット構造、キュービックオクテット構造などが挙げられる。ベース構造が3次元の周期極小曲面に厚みを設けた構造の場合には、上下層間のツールパスの形状変化が特に大きい部位が存在するので、本発明を適用する技術的意義が顕著である。
なお、「10.ツールパスの改変」で述べた内容は、任意の構造の造形物を形成するための造形データに含まれるツールパス4にも適用可能である。従って、「10.ツールパスの改変」で述べた内容について、造形物の構造は特に限定されない。
1 :ジャイロイド構造
2 :単層構造体
2a :端部
2b :線状樹脂
2c :結合部
2d :折り返し部
2e :外周部
2f :折り返し点
2x :X方向蛇行部
2y :Y方向蛇行部
4 :ツールパス
4a :端部
4d :折り返し部
4e :外周部
4f :折り返し点
4x :X方向蛇行部
4y :Y方向蛇行部
5 :造形物
201 :単層構造体
202 :単層構造体
203 :単層構造体
302 :積層構造体
303 :積層構造体

Claims (5)

  1. ベース構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから、前記ツールパスの一部を選択して作成された造形データを用いて作成された造形物であって、
    前記選択は、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、前記元データでの層間の間隔が小さくなるように行われる、造形物。
  2. 請求項1に記載の造形物であって、
    前記ベース構造は、3次元の周期極小曲面に厚みを設けた構造である、造形物。
  3. 造形物の製造方法であって、
    ベース構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから、前記ツールパスの一部を選択して作成された造形データを用いて積層造形を行う工程を備え、
    前記選択は、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、前記元データでの層間の間隔が小さくなるように行われる、方法。
  4. 造形データの作成方法であって、
    ベース構造を所定の造形ピッチでスライスして得られる複数の単層構造体のそれぞれを形成するためのツールパスを含む元データから、前記ツールパスの一部を選択する工程を備え、
    前記選択は、前記元データでの上下層間のツールパスの形状変化が大きい部位ほど、前記元データでの層間の間隔が小さくなるように行われる、方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の方法であって、
    前記ベース構造は、3次元の周期極小曲面に厚みを設けた構造である、方法。
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