JP2023121911A - 車両盗難検出システム、車両盗難検出方法、車載機 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単なシステム構成によって車両の盗難および所在地をユーザに報知できるようにする。【解決手段】車両盗難検出システムは、車両50に搭載される車載機1と、この車載機1と通信を行うユーザの携帯機2と、ユーザの携帯機2および第三者の携帯機3bと通信を行うサーバ4とから構成される。車載機1は、P地点で車両50が停止状態になると、ユーザの携帯機2から当該携帯機の位置を示す第1位置情報を取得し、この第1位置情報を周期的に送信する。車両50が盗難されてP地点からQ地点へ運ばれた場合、Q地点にいる第三者の携帯機3bは、車載機1から第1位置情報を受信すると、携帯機2の位置と自身の位置とを比較し、それらの位置が所定距離を越えて離れている場合は、携帯機3bの位置を示す第2位置情報をサーバ4へ送信する。サーバ4は、第2位置情報を受信すると、警報とともに第2位置情報が示す位置をユーザの携帯機2へ送信する。【選択図】図4
Description
本発明は、自動二輪車などの車両の盗難を検出するシステムに関し、特に、スマートフォンのような携帯機を利用して盗難を検出する技術に関する。
物の盗難や紛失を検出するシステムに関しては、従来より種々のものが提案されている。たとえば、特許文献1では、荷物の運搬車両が停止した状態で、荷物に装着された無線タグからの信号が途絶えた場合に、荷物の盗難が発生したと判定する。特許文献2では、物品に取り付けられた無線タグの位置を追跡することで、紛失した物品の位置をユーザの無線端末に表示する。特許文献3では、あらかじめ登録した駐車時間内に車両の位置が変化した場合に、ユーザの無線端末に車両位置が地図とともに表示される。特許文献4では、周期的に検出された車両の停止位置が前回と比較して所定距離以上異なっている場合に、盗難車両の監視に必要な情報がサーバへ送信される。特許文献5では、車載機および無線端末の各位置から算出した両者間の距離が所定値以上である場合に、車両が盗難されたと判断してユーザに盗難を通知する。
一般に、自動二輪車には、エンジンやモータなどの走行動力源の制御や、盗難防止や事故防止のための各種制御を行う車載機が搭載されている。また、車載機とユーザの所持する電子キーとの間の無線通信に基づいてキー認証を行い、認証結果が正常であればエンジン始動を許可し、認証結果が正常でなければエンジン始動を禁止するようにした自動二輪車も実用に供されている。また、自動二輪車には、停車中に第三者が乗り逃げするのを防止するためのハンドルロック機能が備わっている。
しかしながら、停車中の自動二輪車は、エンジンを始動しなくても、あるいはハンドルロックを解除しなくても、自動四輪車に比べて小型で軽量であることから、そのままの状態で台車などに載せて持ち去ったり、トラックなどに搬入して運び去ることが可能であり、実際にこの種の盗難が多く発生している。また、自動二輪車の盗難防止対策として、ワイヤロックやチェーンロックなどの手段もあるが、工具を用いてワイヤやチェーンが切断されると、上記の手口による盗難を余儀なくされてしまう。
車両が盗難された場合、盗難車両の所在地を検出する手段の1つとして、周知のGPS(Global Positioning System)がある。たとえば、特許文献3の車両追跡システムはGPSを利用したものである。しかるに、このシステムではGPS受信機を車両に搭載しなければならず、また、車載機とサーバとの間で長距離通信が必要となることから、システムが複雑化してコストも上昇するという問題がある。
本発明は、簡単なシステム構成によって車両の盗難および所在地をユーザに報知できるようにすることを課題とする。
本発明の車両盗難検出システムは、車両に搭載される車載機と、車両のユーザが所持し、車載機と通信を行うユーザの携帯機と、このユーザの携帯機およびユーザ以外の者が所持する第三者の携帯機と通信を行うサーバとを備えている。車載機は、車両が停止状態になると、ユーザの携帯機から当該携帯機の位置を示す第1位置情報を取得し、取得した第1位置情報を記憶した後、当該第1位置情報を周期的に送信する。車両が走行可能状態になると、車載機は第1位置情報の送信を停止する。また、第三者の携帯機は、車載機から送信された第1位置情報を受信すると、この第1位置情報と、当該第三者の携帯機の位置を示す第2位置情報とを比較し、それぞれの位置情報が示す位置が所定距離を越えて離れている場合は、第2位置情報をサーバへ送信する。サーバは、第2位置情報を受信すると、当該第2位置情報が示す位置を警報とともにユーザの携帯機へ送信する。
このようにすれば、ユーザがいる場所(P地点とする)に停車中の車両が盗難されて、別の場所(Q地点とする)へ車両が移動した場合、車載機から送信されるP地点を示す第1位置情報が、Q地点にいる第三者の携帯機で受信される。そして、P地点とQ地点が所定距離を越えて離れておれば、第三者の携帯機からサーバへ、Q地点を示す第2位置情報が送信され、さらに、サーバからユーザの携帯機へ、第2位置情報が警報とともに送信される。このため、ユーザは、第2位置情報に基づいて、盗難された車両がQ地点にあることを知ることができる。
上述したシステムにおいては、車載機は、それ自体が位置情報を取得する機能を備えていなくても、ユーザの携帯機から位置情報を取得することで、車両が停車している間、P地点を示す第1位置情報を送信することができる。このため、車両にGPS受信機を搭載することが不要となる。また、車載機は、サーバと長距離通信を行う必要がなく、車両の近くにいるユーザや第三者の携帯機と通信を行えばよいので、この通信方式として、BLE(Bluetooth〔登録商標〕Low Energy)のような簡便な近距離無線通信を利用することができ、システムが簡略化される。さらに、ユーザ自身の運転によって車両がP地点からQ地点へ移動した場合は、車両が走行可能状態となった時点(エンジンの始動など)で、車載機が第1位置情報の送信を停止しているので、Q地点において、第三者の携帯機が第1位置情報を受信してサーバと通信することはなく、ユーザに対する車両盗難の誤報知を回避することができる。
本発明において、車載機は、車両が停止状態になると、第1位置情報を要求する要求信号を、当該車載機の識別情報である第1識別情報とともに、ユーザの携帯機へ送信し、ユーザの携帯機から受信した第1位置情報を記憶した後、当該第1位置情報を第1識別情報とともに周期的に送信してもよい。この場合、ユーザの携帯機は、車載機から第1識別情報を受信した後、当該第1識別情報と、当該ユーザの携帯機の識別情報である第2識別情報とをサーバへ送信する。また、第三者の携帯機は、受信した第1識別情報および第2位置情報をサーバへ送信する。サーバは、ユーザの携帯機から受信した第1識別情報と第2識別情報とを紐付けて記憶し、第三者の携帯機から、第1識別情報および第2位置情報を受信すると、第1識別情報に紐付けられた第2識別情報に基づいて、第2位置情報が示す位置を警報とともにユーザの携帯機へ送信する。
本発明において、車載機から送信された第1位置情報を、ユーザの携帯機が受信することも考えられる。この場合、ユーザの携帯機は、受信した第1位置情報と、当該ユーザの携帯機の位置を示す第3位置情報とを比較する。そして、それぞれの位置情報が示す位置が所定距離を越えて離れている場合は、ユーザの携帯機は、第3位置情報をサーバへ送信する。サーバは、この第3位置情報を受信すると、当該第3位置情報が示す位置を警報とともに、ユーザの携帯機へ送信する。
本発明において、車両は自動二輪車であってもよい。この場合、車両の停止状態は、たとえば、自動二輪車のハンドルがロックされ、またはエンジンが停止し、または電源がオフした状態である。また、車両の走行可能状態は、たとえば、自動二輪車のハンドルのロックが解除され、またはエンジンが始動し、または電源がオンした状態である。
本発明によれば、簡単なシステム構成によって車両の盗難および所在地をユーザに報知することができる。
本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。以下では、車両として、エンジンにより駆動される自動二輪車を例に挙げる。
図1は、本発明による車両盗難検出システムの一例を示している。車両盗難検出システム100は、車両50に搭載された車載機1と、車両50のユーザA(本人)が所持する特定の携帯機2と、ユーザA以外の第三者X1、X2、X3が所持する不特定の携帯機3a、3b、3cと、携帯機2および携帯機3a、3b、3cと通信を行うサーバ4とから構成される。以下、ユーザAが所持する特定の携帯機2を「ユーザAの携帯機2」と表記し、第三者X1、X2、X3が所持する不特定の携帯機3a、3b、3cを、まとめて「第三者Xの携帯機3」と表記する。
車両50は、本実施形態では自動二輪車である。車載機1は、車両50の所定箇所に装備されていて、ユーザAの携帯機2および第三者Xの携帯機3と通信を行う。車載機1とユーザAの携帯機2との間の通信は双方向通信であり、車載機1と第三者Xの携帯機3との間の通信は、車載機1から携帯機3への一方向通信である。また、ユーザAの携帯機2および第三者Xの携帯機3は、サーバ4と通信を行う。ユーザAの携帯機2とサーバ4との間の通信は双方向通信であり、第三者Xの携帯機3とサーバ4との間の通信は、携帯機3からサーバ4への一方向通信である。それぞれの通信の詳細については後述するが、概要は以下のとおりである。
車載機1からユーザAの携帯機2へは、「位置情報要求信号」と「第1識別情報」が送信され、携帯機2から車載機1へは、「第1位置情報」が送信される。「位置情報要求信号」は、ユーザAの携帯機2に対して、当該携帯機2の位置情報の送信を要求する信号である。「第1識別情報」は、車載機1のIDであり、「第1位置情報」は、ユーザAの携帯機2の位置を示す情報である。また、車載機1からは、「第1位置情報」と「第1識別情報」が周期的に送信される。
ユーザAの携帯機2からサーバ4へは、「第1識別情報」と「第2識別情報」が送信される。「第2識別情報」は、ユーザAの携帯機2のIDである。第三者Xの携帯機3からサーバ4へは、「第2位置情報」と「第1識別情報」が送信される。「第2位置情報」は、第三者Xの携帯機3の位置を示す情報である。
後述するように、第三者Xの携帯機3は、車両50が盗難により別の場所へ移動して、その場所において車載機1から送信される「第1位置情報」と「第1識別情報」を受信した場合に限り、「第2位置情報」と「第1識別情報」をサーバ4へ送信する。そして、サーバ4は、これらの「第2位置情報」および「第1識別情報」を受信した場合に限り、「警報」と「第2位置情報」をユーザAの携帯機2へ送信する。
図2は、車載機1、ユーザAの携帯機2、第三者Xの携帯機3、およびサーバ4の構成の一例を示している。車載機1は、ECU(電子制御ユニット)から構成されており、通信部11、記憶部12、および制御部13を備えている。通信部11は、ユーザAの携帯機2および第三者Xの携帯機3と近距離無線通信(たとえば前述のBLE)を行うための、アンテナや通信回路を有している。記憶部12は、半導体メモリから構成されており、制御部13による制御に必要なプログラムやデータなどが格納された領域と、通信部11が受信したデータなどを一時的に格納する領域とが設けられている。制御部13は、CPUから構成されており、車載機1の動作を制御する。
ユーザAの携帯機2は、スマートフォンから構成されており、通信部21、操作部22、表示部23、記憶部24、および制御部25を備えている。通信部21は、車載機1と近距離無線通信を行うためのアンテナや通信回路のほか、サーバ4と長距離無線通信を行うためのアンテナや通信回路を有している。さらに、通信部21には、GPS衛星からの電波を受信して位置情報を取得するためのアンテナや受信回路も備わっている。サーバ4との長距離無線通信には、たとえばUHF(Ultra High Frequency)信号が用いられる。操作部22は、各種のスイッチ類から構成され、表示部23はタッチパネルやLEDランプなどから構成される。記憶部24は半導体メモリから構成され、制御部25はCPUから構成されている。
第三者Xの携帯機3も、スマートフォンから構成されており、通信部31、操作部32、表示部33、記憶部34、および制御部35を備えている。これらの各部31~35については、ユーザAの携帯機2の各部21~25と同じであるので、説明を省略する。また、それぞれの携帯機2、3には、上述した各部以外に、スピーカやマイクなどが備わっているが、図2ではそれらの図示を省略してある。
サーバ4は、ホストコンピュータから構成され、通信部41、記憶部42、および制御部43を備えている。通信部41は、ユーザAの携帯機2および第三者Xの携帯機3とネットワークを介して長距離無線通信を行うための、アンテナや通信回路を有している。記憶部42には、送受信データやその他のデータが格納される大容量のストレージが備わっている。制御部43は、CPUなどから構成されており、サーバ4の動作を制御する。
次に、上述した車両盗難検出システム100により車両盗難を検出する原理について、図3および図4を参照しながら説明する。
図3は、車両50が盗難されていない状況下での、各部間の通信の様子を示した図である。ここでは、ユーザAが車両50を運転してきて、P地点で車両50を停車させた場合を想定している。なお、P地点は、車両50のピンポイントの位置だけに限らず、車両50と近距離無線通信が可能な一定範囲の領域(たとえばコンビニエンスストアの駐車場)も含んでいる。
車両50が停止状態になると、車載機1は、ユーザAの携帯機2へ、当該携帯機2の位置を示す位置情報(第1位置情報)を要求する位置情報要求信号と、車載機1が生成した車載機ID(第1識別情報)とを、近距離無線通信により送信する。車両50の近傍にいるユーザAの携帯機2は、車載機1から位置情報要求信号と車載機IDを受信すると、GPSにより取得した自身の位置を車載機1へ送信する。このときの携帯機2はP地点にあるので、当該携帯機2の位置をP地点とする。
続いて、ユーザAの携帯機2は、車載機1から受信した車載機IDを、自身の携帯機ID(第2識別情報)とともに、長距離無線通信によりサーバ4へ送信する。サーバ4は、ユーザAの携帯機2から受信した2つの識別情報、すなわち車載機IDと携帯機IDとを紐付けて記憶する。
一方、車載機1は、ユーザAの携帯機2から位置情報(P地点)を受信すると、この位置情報を車載機IDとともに、近距離無線通信により周期的に送信する。そして、これらの位置情報と車載機IDが、P地点にいる第三者X1の携帯機3aで受信されると、携帯機3aは、GPSから取得した自身の位置と、ユーザAの携帯機2の位置とを比較する。
比較の結果、2つの携帯機は共にP地点にあるので、両者の位置は大きく離れていない。この場合、第三者X1の携帯機3aは、通信した車両50はP地点にあって盗難されたものではないと判断し、サーバ4と通信を行わない。これについては、後でも詳しく説明する。
図4は、車両50が盗難された状況下での、各部間の通信の様子を示した図である。ここでは、P地点で停車中の車両50が何者かによって盗難され、P地点から遠く離れたQ地点まで、トラックなどで運搬された場合を想定している。ここでも、Q地点は車両50のピンポイントの位置だけに限らず、車両50と近距離無線通信が可能な一定範囲の領域を含んでいる。
Q地点では、車両50は停止状態を継続しているので、P地点と同様に、車載機1は、ユーザAの携帯機2の位置情報(元位置のP地点)と車載機IDとを、近距離無線通信により周期的に送信している。そして、これらの位置情報と車載機IDが、Q地点にいる第三者X2の携帯機3bで受信されると、携帯機3bは、GPSから取得した自身の位置と、携帯機2の位置とを比較する。このときの携帯機3bはQ地点にあるので、当該携帯機3bの位置をQ地点とする。
比較の結果、ユーザAの携帯機2はP地点にあり、第三者X2の携帯機3bはQ地点にあるので、両者の位置は大きく離れている。この場合、第三者X2の携帯機3bは、通信した車両50はP地点から離れた場所にあって盗難されたものであると判断し、自身の位置情報(Q地点)を車載機IDとともに、サーバ4へ送信する。これについても、後でも詳しく説明する。
サーバ4は、これらの位置情報と車載機IDとを受信すると、車載機IDと紐付いて記憶されている、ユーザAの携帯機2の携帯機IDを抽出し、この携帯機IDに基づいてユーザAの携帯機2へ、警報とともに携帯機3bの位置情報(Q地点)を送信する。その結果、ユーザAの携帯機2では、車両の盗難を知らせるメッセージや、盗難車両の所在地(Q地点)が表示される。これによって、ユーザAは、車両50が盗難されたこと、および車両50がQ地点にあることを知ることができる。
図5は、車載機1、ユーザAの携帯機2、第三者Xの携帯機3、およびサーバ4における通信手順を示したフローチャートである。
車載機1では、イグニッションスイッチがOFFとなって、車両50が停止状態になると(ステップS1)、制御部13において車載機IDを生成し(ステップS2)、この車載機IDを位置情報要求信号とともに、通信部11からユーザAの携帯機2へ、BLE通信により送信する(ステップS3)。
ユーザAの携帯機2では、通信部21が車載機1から車載機IDと位置情報要求信号とを受信すると(ステップS11:YES)、GPSにより取得した自身の携帯機位置を、位置情報として通信部21から車載機1へ送信する(ステップS12)。また、ユーザAの携帯機2は、車載機1から受信した車載機IDと、記憶部24に記憶されている自身の携帯機IDとを、通信部21からサーバ4へ長距離通信により送信する(ステップS13)。サーバ4では、通信部41が、ユーザAの携帯機2から車載機IDと携帯機IDとを受信し(ステップS41)、制御部43が、これらを紐付けて記憶部42に記憶する(ステップS42)。
車載機1では、通信部11がユーザAの携帯機2から位置情報を受信すると(ステップS4)、制御部13が、この取得した位置情報を記憶部12に記憶する(ステップS5)。その後、通信部11は、車載機IDとユーザAの携帯機2の位置情報とを、BLE通信により周期的に送信する(ステップS6)。この送信は、車両50が停止状態にある間、継続して行われ、イグニッションスイッチがONとなって、車両50が走行可能状態になると(ステップS7:YES)、送信が停止される(ステップS8)。
第三者Xの携帯機3では、車載機1から送信された車載機IDと携帯機2の位置情報とを通信部31が受信すると(ステップS21:YES)、制御部35において、携帯機2の位置情報と、GPSにより取得した携帯機3自身の現在位置とを比較し(ステップS22)、両携帯機2、3の位置の差が所定距離を超えているか否かを判定する(ステップS23)。
図3で示したように、第三者X1の携帯機3aが、ユーザAの携帯機2と同じ地点Pにある場合は、両携帯機の位置の差が所定距離を超えていないので(ステップS23:NO)、ステップS21に戻って、車載機IDおよび携帯機2の位置情報を受信するのを待つ。
一方、図4で示したように、第三者X2の携帯機3bが、ユーザAの携帯機2から遠く離れたQ地点にある場合は、両携帯機の位置の差が所定距離を超えているので(ステップS23:YES)、ステップS24において、第三者X2の携帯機3bは、車載機IDと自身の現在位置(Q地点)とを、通信部31からサーバ4へ長距離通信により送信する。
サーバ4では、第三者X2の携帯機3bから送信された車載機IDおよび携帯機3bの現在位置を、通信部41により受信する(ステップS51)。すると、サーバ4の制御部43は、記憶部42を参照して、車載機IDと紐付けられている携帯機IDを検索し、これを抽出する。そして、サーバ4の通信部41は、抽出された携帯機IDに対応するユーザAの携帯機2へ、車両50の盗難を知らせる警報と、携帯機3bの現在位置(Q地点)とを送信する(ステップS52)。
ユーザAの携帯機2では、通信部21がサーバ4から警報を受信すると(ステップS31:YES)、警報に含まれているメッセージと、警報とともに受信した携帯機3bの現在位置、すなわち盗難車両の所在地(Q地点)とが、表示部23に表示される(ステップS32)。ユーザAは、この表示を見ることによって、車両50が盗難されてQ地点にあることを知ることができる。
このようにして、本発明の車両盗難検出システム100によれば、車両50が盗難されて、最初の場所であるP地点から、別の場所であるQ地点へ車両50が移動した場合、車載機1から送信されるユーザAの携帯機2の位置情報(P地点)が、Q地点にいる第三者X2の携帯機3bで受信される。そして、P地点とQ地点の距離が所定距離を越えておれば、第三者X2の携帯機3bからサーバ4へ、携帯機3bの位置情報(Q地点)が送信され、さらに、サーバ4からユーザAの携帯機2へ、警報とともに携帯機3bの位置情報が送信される。このため、ユーザAは、車両50が盗難されてQ地点にあることを知ることができる。
また、本発明の車両盗難検出システム100においては、車載機1は、それ自体が位置情報を取得する機能を備えていなくても、ユーザAの携帯機2から位置情報を取得することで、車両50が停車している間、P地点を示す第1位置情報を送信することができる。このため、車両50にGPS受信機を搭載することが不要となる。
また、車載機1は、サーバ4と長距離通信を行う必要がなく、車両50の近くにいるユーザAや第三者Xの携帯機2、3と通信を行えばよいので、この通信方式として、BLEのような簡便な近距離無線通信を利用することができ、システムが簡略化される。さらに、ユーザA自身の運転によって車両50がP地点からQ地点へ移動した場合は、車両50が走行可能状態となった時点(エンジンの始動など)で、車載機1が携帯機2の位置情報(P地点)の送信を停止しているので、Q地点において、第三者X2の携帯機3bが当該位置情報を受信することはない。したがって、携帯機3bはサーバ4と通信を行わないので、サーバ4からユーザAの携帯機2に対して、車両盗難の誤報知が送信されるのを回避することができる。
以上の説明では、図3において、停止状態の車両50の車載機1から周期的に送信される位置情報(携帯機2の位置)と車載機IDを、第三者X1の携帯機3aが受信する例を挙げたが、これに加えて、ユーザAの携帯機2も、これらの位置情報および車載機IDを受信することが可能である。この場合、車両50が盗難された状況下での、各部間の通信の様子は、図6に示したようになる。
図6において、P地点で停車中の車両50が盗難されて、Q地点まで運搬された場合に、ユーザAが車両50を探してQ地点へ来たとする。Q地点では、車両50は停止状態にあるので、車載機1は、ユーザAの携帯機2の位置情報(元位置のP地点)と車載機IDとを、近距離無線通信により周期的に送信している。そして、これらの位置情報と車載機IDがユーザAの携帯機2で受信されると、携帯機2は、GPSから取得した自身の現在位置(Q地点)と、車載機1から受信した携帯機2の元位置(P地点)とを比較する。
比較の結果、Q地点とP地点は大きく離れているので、ユーザAの携帯機2は、自身の現在位置(Q地点)を車載機IDとともに、サーバ4へ送信する。サーバ4は、これらの位置情報と車載機IDとを受信すると、図4の場合と同じ要領に従って、ユーザAの携帯機2へ、警報とともに携帯機2の位置情報(Q地点)を送信する。その結果、ユーザAの携帯機2では、車両盗難を知らせるメッセージと、盗難車両の所在地(Q地点)とが表示され、これによって、ユーザAは、車両50が盗難されてQ地点にあることを知ることができる。
図7は、図6の場合における車載機1、ユーザAの携帯機2、およびサーバ4の通信手順を示している。車載機1とサーバ4の通信手順については、図5に示した手順と同じである。ユーザAの携帯機2の通信手順は、図5に示した携帯機2の通信手順(ステップS11~S13、S31~S32)と、第三者Xの携帯機3の通信手順(ステップS21~S24)とを結合したものである。そして、図7におけるステップS14~S17は、図5におけるステップS21~S24と基本的に同じである。したがって、図7の各ステップについての説明は省略する。
本発明では、上述した実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
上述した実施形態においては、車両50のイグニッションスイッチのOFF(エンジンの停止)を以って、車両50が停止状態であるとしたが、車両50のハンドルがロックされたことを以って、車両50が停止状態であるとしてもよい。同様に、上述した実施形態においては、車両50のイグニッションスイッチのON(エンジンの始動)を以って、車両50が走行可能状態であるとしたが、車両50のハンドルのロックが解除されたことを以って、車両50が走行可能状態であるとしてもよい。
上述した実施形態においては、エンジンを走行動力源とする車両50を例に挙げたが、車両50はモータを走行動力源とする電動式のものであってもよい。この場合は、車両50の電源スイッチのOFFを以って、車両50が停止状態であるとし、電源スイッチのONを以って、車両50が走行可能状態であるとしてもよい。
上述した実施形態においては、図5において、車載機1は、ステップS6で車載機IDと位置情報を送信した後、ステップS7でイグニッションスイッチがONか否かを判定したが、ステップS6とステップS7との間に、認証のステップを追加してもよい。この認証は、ユーザAが所持する電子キーと車載機1との間の近距離無線通信により、当該電子キーのIDが正規のものか否かを照合することにより行われる。認証結果が正常であれば、ステップS7でイグニッションスイッチのONが許可される。なお、ユーザAの携帯機2が電子キーを兼用することも可能である。
上述した実施形態においては、車載機1と携帯機2、3との間の近距離無線通信としてBLEを用いた例を挙げたが、これに代えて、Wi-Fi(登録商標)やZigBee(登録商標)のような、他の近距離無線通信を用いてもよい。
上述した実施形態においては、ユーザAの携帯機2および第三者Xの携帯機3として、スマートフォンを例に挙げたが、本発明で用いられる携帯機は、スマートフォンに限らず、タブレット端末などであってもよい。
上述した実施形態においては、車両50として自動二輪車を例に挙げたが、本発明は、自動三輪車や自動四輪車などの車両にも適用することができる。
1 車載機
2 特定の携帯機(ユーザの携帯機)
3、3a~3c 不特定の携帯機(第三者の携帯機)
4 サーバ
11 通信部
50 車両(自動二輪車)
100 車両盗難検出システム
A ユーザ
X、X1~X3 第三者
2 特定の携帯機(ユーザの携帯機)
3、3a~3c 不特定の携帯機(第三者の携帯機)
4 サーバ
11 通信部
50 車両(自動二輪車)
100 車両盗難検出システム
A ユーザ
X、X1~X3 第三者
Claims (8)
- 車両に搭載される車載機と、
前記車両のユーザが所持し、前記車載機と通信を行う特定の携帯機と、
前記特定の携帯機、および前記ユーザ以外の第三者が所持する不特定の携帯機と通信を行うサーバと、を備え、
前記車載機は、
前記車両が停止状態になると、前記特定の携帯機から、当該携帯機の位置を示す第1位置情報を取得し、
取得した前記第1位置情報を記憶した後、当該第1位置情報を周期的に送信し、
前記車両が走行可能状態になると、前記第1位置情報の送信を停止し、
前記不特定の携帯機は、
前記車載機から送信された前記第1位置情報を受信すると、当該第1位置情報と、当該不特定の携帯機の位置を示す第2位置情報とを比較し、
前記第1位置情報および前記第2位置情報のそれぞれが示す位置が、所定距離を越えて離れている場合は、前記第2位置情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記第2位置情報を受信すると、当該第2位置情報が示す位置を警報とともに前記特定の携帯機へ送信する、ことを特徴とする車両盗難検出システム。 - 請求項1に記載の車両盗難検出システムにおいて、
前記車載機は、
前記車両が停止状態になると、前記第1位置情報を要求する要求信号を、当該車載機の識別情報である第1識別情報とともに、前記特定の携帯機へ送信し、
前記特定の携帯機から受信した前記第1位置情報を記憶した後、当該第1位置情報を前記第1識別情報とともに周期的に送信し、
前記特定の携帯機は、前記車載機から前記第1識別情報を受信した後、当該第1識別情報と、当該特定の携帯機の識別情報である第2識別情報とを前記サーバへ送信し、
前記不特定の携帯機は、受信した前記第1識別情報および前記第2位置情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、
前記特定の携帯機から受信した、前記第1識別情報と前記第2識別情報とを紐付けて記憶し、
前記不特定の携帯機から、前記第1識別情報および前記第2位置情報を受信すると、前記第1識別情報に紐付けられた前記第2識別情報に基づいて、前記第2位置情報が示す位置を警報とともに前記特定の携帯機へ送信する、ことを特徴とする車両盗難検出システム。 - 請求項1に記載の車両盗難検出システムにおいて、
前記特定の携帯機は、
前記車載機から送信された前記第1位置情報を受信した場合、当該第1位置情報と、当該特定の携帯機の位置を示す第3位置情報とを比較し、
前記第1位置情報および前記第3位置情報のそれぞれが示す位置が、所定距離を越えて離れている場合は、前記第3位置情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記第3位置情報を受信すると、当該第3位置情報が示す位置を警報とともに、前記特定の携帯機へ送信する、ことを特徴とする車両盗難検出システム。 - 車両に搭載される車載機と、前記車両のユーザが所持し、前記車載機と通信を行う特定の携帯機と、前記特定の携帯機、および前記ユーザ以外の第三者が所持する不特定の携帯機と通信を行うサーバと、を備えた車両盗難検出システムにおける車両盗難検出方法であって、
前記車両が停止状態になると、前記車載機が、前記特定の携帯機から、当該携帯機の位置を示す第1位置情報を取得する手順と、
前記車載機が、取得した前記第1位置情報を記憶した後、当該第1位置情報を周期的に送信する手順と、
前記車両が走行可能状態になると、前記車載機が、前記第1位置情報の送信を停止する手順と、
前記不特定の携帯機が、前記車載機から送信された前記第1位置情報を受信すると、当該第1位置情報と、当該不特定の携帯機の位置を示す第2位置情報とを比較する手順と、
前記第1位置情報および前記第2位置情報のそれぞれが示す位置が、所定距離を越えて離れている場合に、前記不特定の携帯機が、前記第2位置情報を前記サーバへ送信する手順と、
前記第2位置情報を受信した前記サーバが、当該第2位置情報が示す位置を警報とともに前記特定の携帯機へ送信する手順と、を含むことを特徴とする車両盗難検出方法。 - 車両に搭載され、前記車両のユーザが所持する特定の携帯機と通信を行う車載機であって、
前記車両が停止状態になると、前記特定の携帯機から、当該携帯機の位置を示す第1位置情報を取得し、
取得した前記第1位置情報を記憶した後、当該第1位置情報を、前記ユーザ以外の第三者が所持する不特定の携帯機または前記特定の携帯機で受信が可能なように、周期的に送信し、
前記車両が走行可能状態になると、前記第1位置情報の送信を停止する、ことを特徴とする車載機。 - 請求項5に記載の車載機において、
前記車両が停止状態になると、前記第1位置情報を要求する要求信号を、当該車載機の識別情報である第1識別情報とともに、前記特定の携帯機へ送信し、
前記特定の携帯機から受信した前記第1位置情報を記憶した後、当該第1位置情報を前記第1識別情報とともに周期的に送信する、ことを特徴とする車載機。 - 請求項5または請求項6に記載の車載機において、
前記特定の携帯機および前記不特定の携帯機と通信を行う通信部を備え、
前記通信部は、近距離無線通信により前記各携帯機と通信を行う、ことを特徴とする車載機。 - 請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の車載機において、
前記車両は自動二輪車であり、
前記車両の停止状態は、前記自動二輪車のハンドルがロックされ、またはエンジンが停止し、または電源がオフした状態であり、
前記車両の走行可能状態は、前記自動二輪車のハンドルのロックが解除され、またはエンジンが始動し、または電源がオンした状態である、ことを特徴とする車載機。
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---|---|---|---|
JP2022025262A JP2023121911A (ja) | 2022-02-22 | 2022-02-22 | 車両盗難検出システム、車両盗難検出方法、車載機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022025262A JP2023121911A (ja) | 2022-02-22 | 2022-02-22 | 車両盗難検出システム、車両盗難検出方法、車載機 |
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