JP2023121867A - 身体リフトシステム、及び身体リフト方法 - Google Patents

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Yuta Inoue
優子 大野
Yuko Ono
豊恵 石井
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Abstract

【課題】被介護者と臥床面の間全面に渡る空間を形成し、被介護者には質の高いケアーを行い、介護者や救助者も臥床者Kや被災者の重量から解放され、腰痛防止にも貢献する。【解決手段】挿入部材12、13は、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材12を含むものであり、挿入支持部材、12は、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入方向での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工され、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入状態にある挿入支持部材12を支持する荷重支持部材14を備え、荷重支持部材14に支持され挿入状態にある挿入支持部材12と臥床面15aとの間を離間させる昇降機構15を備え、昇降機構15を働かせて、臥床者Kと臥床面15aとの間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間Sを形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床面に接触している臥床者と前記臥床面との間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステム、医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床者と臥床面との間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステム、及び身体リフト方法に関する。
平成28年の日本高齢化白書によると、日本の高齢化人口比率は26.7%であり、2007年から65歳以上の人口は21%を超え、日本は超高齢社会となったことは良く知られている。又、該日本高齢化白書に記載されている高齢者介護のデータからは、介護なしに日常生活を営むことが困難な要介護4、ほぼ不可能な要介護5の方々の合計が日本の総人口比率1%と算出され、日本国内では約130万人の方々が看護師や介護者の密なる援助を受けながら生活されておられると推計される。ベッド上や布団の上で一時的に、又は、常時生活しておられる方々(本明細書では臥床者と呼ぶ)は、少しは動ける方々から寝たきりの方々まであり、特に寝たきり臥床者の場合、食事、清潔、排泄など生活面での重要な活動全般に、看護、介護の補助が必要とされ、寝たきり臥床者御本人の生活の質(QOL)の向上と、看護師や介護者などケアーを担当される方々の介助作業の軽減が社会的課題となっていた。
寝たきり臥床者は、自由に動くことが困難で、自らベッド上で部分的にでも身体を変形させ任意の身体部分をベッドから浮かすことが必ずしも容易ではない方も多い。その結果、下着のベッド面との接触部分、又、布団のシーツとの接触部分が、常時、臥床者身体の特定部分で押えられ、清拭や排泄時などの下着の部分的脱衣、入浴や下着交換時の完全脱衣、便器やおむつ挿入時などに必要なベッドと身体特定箇所との間の空間の確保が難しい。又、シーツの交換やシーツのしわの除去に必要な、一時的であっても形成したいベッドと身体直下との間の全域にわたる自由な空間の確保が、寝たきり臥床者故に困難を極めている。看護師や介護者は、例えば、臥床者の肩から頸部を支えるように上肢を差し入れ、腰部の少し上あたりなどに手を差し入れ(非特許文献1)、空間を作って看護、介護を実施し、臥床者のニーズに鋭意対応しているが、全てのニーズには対応しきれていない現状にある。又、身体の微小回転が難しい寝たきり臥床者もおり、これら臥床者においては、身体の同一箇所にいつも体重がかるため、褥瘡の原因となる。日本褥瘡学会では、体重がかかる箇所を変更するために、2時間を超えない範囲での看護・介護者による体位変換を推奨している(非特許文献2)。
成人臥床者の体重は、60kg程度あるため、看護師や介護者のハンドケアーでは、60kg程度の体重の少なくとも一部を両手又は片手で支える必要がしばしばあり、看護師や介護者からは両手を自由に使用して排泄などのケアーを実施したいとの要望は多い。現状は、臥床者への侵襲を避けるために、往々にして看護師や介護者自身が、例えば片手で重量を支える折、力学的に不安定な体位を取る場面が多く、看護師や介護者の予想しない箇所へ、予想しない力や、力のモーメントがかかり、看護師や介護者が腰痛に見舞われることが多く、腰痛防止が重要な課題となっている。1998年にオーストラリア看護連盟(ビクトリア州)が看護師の腰痛防止のためにノーリフティングポリシー(被介護者を持ち上げないポリシー)を提言し、日本でも日本ノーリフト協会が活動していることは良く知られている(非特許文献3)。腰痛防止は、昨今増えつつある在宅介護において、必ずしも腰痛防止の体位などの専門的トレーニングを受けておられない介護者においては、より厳しい問題である。中には、高齢者が高齢者を介護されている場合もあり、ベッドなどの臥床面と臥床者身体直下との間の自由な空間の確保が容易にできる技術の提供が社会的課題となっていた。
臥床者とベッドの間に看護師や介護者が手を入れずに、又は、短時間だけ手を入れて、体を部分的に持ち上げ、清拭、排泄、移動などに活用できる各種の装置、方法が提案されている。排泄時などにベッドと臀部の間に空間を作る方法として、特許文献1では、パイプやモータを使用した駆動装置からなる、膝裏で足にかかる膝掛けを後ろへ反転して上昇する円軌道に沿って足を持ち上げ得ると共に、随所で停止し得るように構成した寝たきり老人のおむつ取替用尻上げ装置が提案されている。当該おむつ取替用尻上げ装置は、上半身は臥床状態を保ちながら、下半身の両膝を装置で吊り上げ、反転中心を股関節から腰部へ移動しながらベッドと臀部の間に空間を作る装置が提案されている。
又、特許文献2においても、パイプで形成されたU字状、又はL字状のテコと呼ばれるフレームに軸着された左右の脚保持台に下腿を載せ、テコを持ち上げることで下脚、大腿、臀部が上がり、局部の清拭やおむつ交換の空間を作る方法が提案されている。
又、腰を上げる方法としては、特許文献3にて、上半身の下にビニールやゴムシートの周囲を溶着又は接着して作った楔形エアーバッグを敷き、エアポンプで膨らませ、腰部を最も高く、背部から肩部に向かって穏やかな傾斜を付けるようにし、間接的に臀部も持ち上げ、ベッド床面と臥床者臀部の間に空間を作り、おむつ交換と臀部の清拭に使用する方法が提案されている。
特許文献4にも、腰部持ち上げ装置が提案されており、当該腰部持ち上げ装置では、綿布から構成されるベルトが予めベッドのシーツの上に置かれてあり、被介護人の腰部の下に敷かれ、臥床者を上から跨ぐように置かれたパイプや電動モータからなる持ち上げ装置でベルトを持ち上げ、ベッド床面と臥床者臀部の間に空間を作り、おむつ交換や陰部の清拭に用いることができる。
臀部や腰部の身体の一部分のみならず、体全体を持ち上げる方法も提案されている。特許文献5では、頭、胸、腰、尻、下腿部などに平行に複数本の膨縮自在なエアー袋を配置し、エアー供給、排気により被介護者を上昇・下降させ介護者の労働を軽減しつつ被介護者の床ずれを防止する方法を提案している。当該方法では、エアー袋を配置していない部分に、ベッド床面と臥床者身体との間の空間が形成できる。
又、シーツ交換も可能な、全身を持ち上げる方法としては、特許文献6では、腰上部、大腿部、足首上部など病人とベッドの間の手を差し込み易い部分にのみ、自動車のシートベルトのようなベルトを通して臥床者から見て天井側にあるT定規様の部材にベルトを掛け、T字形部材を吊上機で吊り上げ、介護者が労力を使用することなく老人又は病人をベッドから移動する方法が提案されている。
特許文献7には、寝たきり患者用移動キャリアの記載がある。患者の下にネットを敷き、患者の下に該ネットを敷く方法の記載はないが、ネットをフックワイヤーにかけワイヤーの巻上げを行うことにより、ベッドより寝たきり患者を持ち上げることができ、シーツ交換やベッドメイク、入浴などの作業を1人の看護師で行うことができるとある。
又、特許文献8には、シーツ交換を容易に行えるベッドについての記載があり、リフトバーに臥床する病人の下に敷いたネットまたは布を結びつけて、リフトバー上昇下降により病人をベッド上の布団またはマット上面から浮沈させ病人を人力で持ち上げることなくシーツの交換を可能とするとある。
尚、本文献では、ネット吊り具を手に持ち病人の体の下に手を差し入れて、機織りの杼のようにネット吊り具を病人の体の下を通過させることができるとある。
特許文献9では、固体様物体をベッドと臥床者の間に挿入し空間を作る方法が提案されている。具体的には、持ち上げ台と呼ばれるビーム状のものを反りの内側を上にして病人の腰部下へ差し入れ、オイルジャッキで尻を10cm位持ち上げ、持ち上げ台の前後に、ベッド床面と臥床者身体の間に空間を作り、紙おむつの交換に使用する方法が提案されている。
又、特許文献10では、体の下に縦50cm、横120cm程のベニヤ板もしくはポリプロピレン系の板を中芯として使用し、その上下に薄いスポンジをかぶせ、表皮にポリエステル系素材等で覆われた厚さ5mm程度の板を差し込み、板を上げる事でそのまま体を横に倒し、横に倒すことにより、ベッド床面と臀部の間に空間を作り、オシメ交換、シーツ交換が可能であることが開示されている。又、ベッドからベッドへ移すときに担架としての機能を果たすとある。
特許文献11では、ベッド間、ベッドとストレッチャー間などの移し替え具として、被介護者の下面に差し込まれる移し替え具としての板状部の記載がある。差し込み方法についての記載はないが、移し替え具に転置された被介護者を横に配置したベッドなどに引っ張り移動する方法が提案されている。
特許文献12には、仰臥位、または半座位の状態の患者のベッドに接触する当接面に複数枚に分割した摺動具を介在させるもので臥床状態にある被介護者を斜め横に向けてボードを差込み、スライドボードの利用によって多少の凹凸や段差、間隙や傾斜があっても、また、利用者が円背状態であって水平位になれなくても、被介護者を容易に迅速にスライドさせることができるとある。
特許文献13では、傷害者を主な対象とし、平たい縦長の強度のある荷重を支える腕木を、フレームの左右の端を形成するパイプを貫通する形で有し、まずは、腕木をフレームの外側に引き出しておき、フレームの内部の空域を患者に被せ、その後、腕木を左右両端から患者の下に滑りこませ、両側から挿入された腕木は、患者を挟むことがないように両板の邂逅を避け、何枚かの腕木は左右のフレームを支点に片持ちの状態で患者を支え、その後フレームを持ち上げ移動する方法が提案されている。本装置の部品は金属、プラスチック、木材、又は、適当な材料と記載されている。
又、特許文献14では、特許文献13と同じ発明者が特許文献13のフレームを用い、本文献では、腕木には、スチールやアルミ、その他の合金で体重を支持するのに極めて剛く強い材料からなり、上下する装置と組み合わせ、又、上げてから前に出す装置と組み合わせ患者の移動と手術台への移動を提案している。
特許文献15では、特許文献13、14と同じく、人を持ち上げる装置が提案されており、引っ込めることの出来る腕木をベッド上の患者の下に、ベッドと患者の間に機械的に挿入することが提案されており、特許文献13、14とは異なり、片方からのみ挿入し、反対側は支持しない片持ち方式で、又、背中のケアーには、片持ちの支点をピボット方式にして、脚を片側だけ下降させ、できたすき間を使用して実施するなどが記載されている。
実開昭63-201532号公報 特開平4-75657号公報 特開2001-149395号公報 特開平10-24886号公報 特開2007-190150号公報 特開平11-342163号公報 特開平6-63079号公報 特開平9-19462号公報 特開平9-192178号公報 実用新案登録第3134185号公報 特開平8-47513号公報 特開2008-212186号公報 米国特許第2,391,928号明細書 米国特許第3,015,114号明細書 米国特許第5,323,498号明細書
阿曽洋子、井上智子、氏家幸子著、「基礎看護技術」、第7版、日本、医学書院、2011年2月15日、P87-93 「褥瘡の予防について、1.体位変換の方法と時間間隔」、[online]、日本褥瘡学会、[2016年11月20日検索]、インターネット<URL:http://www.jspu.org/jpn/patient/protect.html> 「設立の趣旨及び目的」、[online]、日本ノーリフト協会、[2016年12月10日検索]、インターネット<URL:http://www.nolift.jp/aboutus/>
乳幼児、心身障害者、高齢者を問わず、寝たきり臥床者のQOLの向上には、清潔の確保が必要である。できれば毎日、寝具のシーツ交換や臥床者の清拭、1日に何回か必要になる排泄、又、褥瘡予防のための2時間に1回程度の体位変換などの看護・介護のケアーが必要である。乳幼児では体重が軽いため、それ程苦にはならないが、60kg程度の体重を有する臥床成人では、看護師や介護者一人では持ち上がらず、それでも無理をする場合も多く、看護師や介護者の腰痛予防も重要な課題となっている。
例えば、臥床者向けに毎日実施したいシーツ交換やシーツ上のしわ除去では、ベッドの臥床面と臥床者直下との間の全域にわたる非接触の自由な空間が1分程度保持できると容易く実施できる。又、清拭では、例えば臥床者が仰臥位で横たわっている時、ベッドの臥床面と臥床者直下との間の必要な部分、例えば、臀部、又は、腰部、又は、肩部などの各部に非接触の自由空間が1分程度形成できると、蒸しタオルで軟らかく拭うなどのケアーが容易く実施できる。又、排泄では、ベッドの臥床面と臥床者の臀部や陰部の間に空間が5分~10分程度できると、下半身の下着の着脱、便器の挿入やおむつの交換、陰部洗浄など、排泄ケアーが、シーツを汚す恐れもなく容易くできる。又、これら自由な空間により看護師や介護者も両手を使って床上排泄のケアーなどが可能となり、被介護者に対し、より良いケアーが実施できる。
又、ベッドの臥床面と臥床者直下の間の全域に、所要時間、自由な空間ができると、ベッドを臥床者直下から移動し、代わりに車椅子を臥床者の臀部直下におくことにより、寝たきり臥床者を車椅子上に移乗することも可能となる。
ベッドと臥床者の身体の間の一部に空間を作り、看護・介護に用いる方法は、既に多数提案されており、伝統的には、看護師や介護者が手掌や腕を腰部に差し入れたりする。しかしながら、手掌の厚み自体、成人では30mm程度あり、又幅は120mm程度、介護者の腕を付け根まで挿入すると約500mm、臥床者の身体には30mm×120mm×500mm程度の直方体で近似できるが、これら突起物挿入の侵襲がかかっている。
特許文献1、2では、これら文献の図にあるように、上半身はベッドの上にあり、臥床者の下腿、大腿、臀部、腰部は上方へ弓なりに曲げられ、ベッド床面から臀部を浮かし、空間を作り、おむつを取り換える方法が提供されているが、おむつ交換が順調に行えればシーツの汚れはないが、排泄物は液状から固体状など、臥床者の健康状態に応じ性状が各種変化する性質のものであり、予期せぬ漏洩や臀部へ付着した排泄物の拭き取りなど、ベッドのシーツを汚すことがよくある。シーツがよごれた場合のシーツ替えなどの対処方法も合せて必要とされるが、該特許文献1,2には記載されていない。又、臥床者の下腿、大腿、臀部、腰部は上方へ弓なりに曲げられるため、臥床者への侵襲が大きく、下腿~腰部の下半身に障害を有する臥床者には適用困難である。
特許文献3は、エアーバッグを臥床者の背部・肩部に敷き、エアーバッグを膨らませ、又、特許文献4は、支持部材のベルトを臥床者の腰部の下に敷き、該ベルトを持ち上げ、その折り布団と臥床者の身体は、臀部の部分にも空間を作り、おむつ交換や陰部清掃に用いるものである。しかしながら、両文献とも、患者が既にベッド上に臥床している場合において必要となる、エアーバッグや支持部材であるベルトの敷き込み方法の記載がなく、身体とベッドの間に空間を形成するのが難しい寝たきり者には敷き込みが困難であり適用が難しい。又、特許文献1、2と同じく、身体の一部、背や腰部などを持ち上げるので、これら部分に障害を有する臥床者には適用が困難である。
又、全身を持ち上げる技術ではないため、おむつ交換などの排泄援助に使用した折り、シーツを汚した場合のシーツ交換も困難である。
特許文献5では、ベッドの上にエアー袋体5つが配置され、被介護者がその上に仰臥した状態でエアー袋体の位置を調整し、その後エアーが供給され、身体を穏やかに持ち上げ、ベッド床面と臥床者身体の間に空間をつくりおむつ交換時の腰部持ち上げが出来る。しかしながら、エアー袋体はベッドの上にあり、患者に敷かれる形になっており、又、本法では身体全域にわたり空間をつくることが困難なため、シーツ交換に適用するのは困難である。加えて、寝たきり臥床者が、エアー袋体が配置されたベッドに臥床する必要があり、寝たきり者などが臥床しているベッドの臥床者の下に敷き込む方法の記載がなく、既に臥床している寝たきり臥床者に適用するのは困難である。
又、特許文献6では、身体の下にベルトを通して全体を持ち上げるので、排泄介助でシーツを汚した時はシーツの交換などは容易であるが、身体を持ち上げるベルトは、病人とベッド間の手の差し込み易い部分に装着するとあり、頭部、脇の下部、腰骨上部、大腿部、足首上部などであり、ベルトで吊り上げられた時、その部分に応力が集中し、ベルトのかかった部分が優先的に上方へ上がり、体の各部所に凹凸の変形が生じ、特に軟らかい部分にベルトが食い込むリスクがあり、病人の身体への侵襲が大きいことと、又、これら部分に障害を有する臥床者には適用が困難である。
特許文献7では、寝たきり患者の下に敷いたネットのフックを移動キャリアのワイヤーにかけ、寝たきり患者をネットにより持ち上げ、シーツ交換やベッドメイク、入浴などを行うと、寝たきり患者を持ち上げる必要性は認識されているが、肝心のネットを寝たきり患者の下にしきこむ方法の記載がない。
又、特許文献8も、病人をシーツから浮かせてシーツの交換を行える介護用ベッドと、臥床病人を浮かせる必要性は認識されているが、ネット吊り具を手に持ち病人の体の下に手を差し入れて、機織りの杼のようにネット吊り具を病人の体の下を通過させることができるとあり、手を差し入れる侵襲の低減は提案されていない。
特許文献9~12は、臥床者の身体とベッドの間に棒や板を挿入する技術が提案されており、特許文献9では、持ち上げ台と呼ばれる棒状の物体を病人の腰部と布団の間に1本挿入し持ち上げるものであるが、持ち上げ台に支えられた部分を凸に身体が変形し、持ち上げ台に支えられた部分に応力が集中し、体の変形と応力集中による侵襲が大きく、又、おむつ交換の用途が記載されているが、身体の部分的な持ち上げ方法のため、シーツを排泄物で汚染した場合などに必要なシーツ交換などには適していない。
又、特許文献10では、縦60cm、横120cm程のベニヤ板もしくはポリプロピレン系の板を中芯としたものを使用しており、板を差し込み、患者を横向きにしながら使用するもので、回転運動を伴い、体の背面や腹面の片側に障害を持つ臥床者には侵襲が大きく使用し難い。
特許文献11では、プラスチックボードなどの引っ張りの手段を備えている長さ方向の寸法1220mm、幅方向の寸法520mm、板厚3mm、側縁は丸みを持った円滑な差し込みをなし得る構成の例えばテフロン(登録商標)樹脂ボードなどのプラスチックボードなどの板状部を、差し込み方法については記載されていないが、ベッドなどに臥している被介護者の下面から円滑に押し入れできるとあり、図からは横に配置したベッドなどに引っ張り移動するベッド間や、ベッドとストレッチャー間の移し替えに使用するものであり、被介護者の身体全体を移し替え具ごと摺動移動するので、被介護者の身体の変形や回転による侵襲はない。しかしながら、引っ張り移動では、少なくとも、被介護者と臥床面の一部は常時接触しており、シーツ交換や清拭などに必要な臥床者の直下への空間形成には使い難い。又、被介護者が背中などに傷害を有する時は、該移し替え具が被介護者のベッドと接触している背面の全面を覆うものであり、傷害部分を避けて使用することは難しく、被介護者への大きな侵襲は避け難い問題を有す。
特許文献12も、被介護者を斜め横に向けてボードを差込むなど、被介護者がベッドに接触する面に傷害を有している時の侵襲防止が難しく、又、摺動移動する仕様のため、シーツを張り替えたベッドへ摺動移動した時のシーツのしわへの対応など難しいと考えられる。
特許文献13~15は、傷害者や患者が臥床している面と傷害者や患者の間に腕木を同一方向に何本も挿入する技術であり、問題なく腕木が挿入できれば、傷害者や患者を背面から持ち上げることができ、優れた技術と考えられる。しかしながら、傷害者や患者は、往々にして切傷や褥瘡や色々の疾患を背中に有し、機械に合わせて一方向に板を挿入すると、これら傷害に接触してしまうが、回避する方法の記載がなく、このままでは傷害者や患者の病状を悪くする。
又、特許文献13では、腕木の材料は、金属、プラスチック、木材、その他適当なものとある。特許文献13と発明者が同一人である特許文献14では、腕木は平らで細長く、極めて硬く強い材料で、患者を支持するのに十分な強度を有する鋼、アルミ、その他合金と記載されている。傷害者や患者が臥床している面と傷害者や患者の間に挿入する腕木をこれら特許文献13、14のように、一層を横にならべる形では、傷害者や患者の体重を支える必要上、材料は硬くて強い刃物と同様の材料を使わざるを得ず、臥床者のパジャマなど布製品に引っかかったり、巻き込んだり、切断のリスクもある。又、体重による歪を考えた場合、軟らかい材料では必然的に厚みも厚くなり、あまり厚いと挿入よりも臥床者を押してしまいベッドから落下の危険も存在する。特許文献13、14の発明は、挿入時の侵襲の懸念と、そもそも挿入可否の問題を含み、これら文献には傷害者や患者が臥床している面と傷害者や患者の間にどのように挿入すれば良いのかの記載がなく、これら発明の後、半世紀が経過しているが、未だ、ベッドサイドでこれらの発明が実行されていることを見かけない。又、特許文献13、14の技術では、フレームに腕木を通すため、腕木を敷き詰めることが出来ず、臥床者の体重による応力分散には限界がある。
特許文献15では、腕木の材料の記載もなく、又、特許文献13、14とは異なり、腕木は片持ちの一端から支えるのみの構造であり、特許文献13、14に比し、歪を抑え体重を支えるためには、力学的により硬く強い、若しくは、厚みの厚い材料の使用が必要となり、又、特許文献13、14と同様に挿入方法の記載がないため、傷害者や患者を対象にする時には必ず付随する傷害者や患者の背中などの臥床面と接触する箇所の障害に対する方法の記載がないため、腕木の挿入により生ずる侵襲により、却って、病状の悪化は避けられず、本発明が主な対象とする寝たきり者、一般的に、皮膚の防御機能が弱い、褥瘡が発生しやすい方が多いが、これらの方々には適応が難しい。
又、特許文献15の技術は、腕木をピボット式に上下させ、板を動かすメカニズムのため、特許文献13、14と同様に腕木を敷き詰めることが出来ず、臥床者の体重による応力分散には限界がある。
本発明が解決しようとする課題は、医療又は看護又は介護を含む処置に際し、寝たきり者などの臥床者の不必要な身体の屈曲や回転を避け、臥床者がベッドなどの臥床面に安定体位で臥床しているそのままの姿勢を保ちながら、又、臥床者の体重を支えるための装置の挿入に際しては、伝統的な、看護、介護者がベッドなどの臥床面の間に手や腕を差し込むことで臥床者に与えてしまっている侵襲以下に侵襲を押さえ、寝たきり者などの臥床者が、ベッドと接触している身体の部分に、例えば、褥瘡などの障害を有していても、障害部分を避けて、且つ、臥床者にかかる応力を分散するために、臥床者の必要な部分を臥床面側から覆うことができ、覆った部分に空間形成に必要な臥床者を支える力を作用し、臥床面と接触している直下、即ち、臥床者と臥床面との間に空間を形成することにあり、これら空間を利用し、臥床者への侵襲を極力避けた状態で医療又は看護又は介護を含む処置を実施することにある。
これらの課題を解決する身体リフトシステムを提供し、本装置を応用した、医療又は看護又は介護を含む処置に、例えば、臥床者のQOLに配慮した毎日のシーツ交換やシーツのしわの除去、清拭、排泄の介助、車椅子への移乗やトイレ、浴室への移動などの方法を提供する。
上記目的を達成するための身体リフトシステムは、医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床面に接触している臥床者と前記臥床面との間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステムであって、その特徴構成は、前記挿入部材は、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材を含むものであり、前記挿入支持部材は、前記臥床者と前記臥床面との間への挿入方向での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工され、前記臥床者と前記臥床面との間への挿入状態にある前記挿入支持部材を支持する荷重支持部材を備え、前記荷重支持部材に支持され前記挿入状態にある前記挿入支持部材と前記臥床面との間を離間させる昇降機構を備え、前記昇降機構を働かせて、前記臥床者と前記臥床面との間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を形成する点にある。
本願の発明者らは、鋭意検討した結果、家庭のベッドや病院のベッド上の布団やシーツなどの臥床面上に横臥している人や動物などの臥床者の身体をそのまま、身体の各部を可能な限り、不必要に相対的に動かすことなく、又、看護師や介護者の手や腕の挿入、自動車のシートベルトのようなベルトの挿入に比べ、凹凸による侵襲が格段に小さく、又、臥床者の体重支持や持ち上げ時の、臥床者身体への応力集中を避けるために、必要に応じ臥床者の身体直下の全域を覆い応力分散をすることもでき、又、必要に応じ身体直下の一部のみを覆うこともでき、加えて、持ち上げ箇所に障害を有する臥床者には、その直下部分を支持や持ち上げ箇所から外して使用することができる装置で、身体を持ち上げ、又は、身体を支えた状態でベッド上の布団やシーツなどの臥床面を低下させるなどにより、臥床者と臥床面を相対的に上下分離し、臥床者直下と臥床面の間に空間を形成することができる装置及び方法、即ち、身体リフトシステム、及び身体リフト方法を完成した。
臥床者直下と臥床面の間に挿入する挿入部材としての挿入支持部材は、1枚でも良く、複数枚使用しても良い。臥床者直下と臥床面の間への挿入において、臥床者への侵襲を低下させるため、何枚かの挿入支持部材に分割して、臥床者直下の水平方向に挿入支持部材をすき間なく並べるように順次挿入し、臥床者の身体直下の全域を挿入した挿入支持部材で被覆することができる。挿入支持部材をすき間なく並べるためには、分割して挿入する挿入支持部材の形状は、幾何学的な要請から、矩形であることが好ましい。更に、挿入支持部材は、挿入時の操作性の観点から可撓性を有することが好ましい。
又、臥床者の健康状態などの必要に応じ、臥床者直下と臥床面の間の水平方向の一部にのみ挿入支持部材を挿入し、臥床者の身体直下の一部のみを被覆してもよい。臥床者が成人など大きな人になるに従い、分割した挿入支持部材を用いると挿入が容易である。
臥床者直下の水平方向に、分割して挿入する複数枚の略矩形の挿入支持部材は、挿入先端部の挿入先端角部位又は挿入先端稜線部位の少なくとも一方を面取り加工することが好ましい。図4(a)に示される挿入先端稜線部位12b、12cを面取り加工することで、挿入先端稜線部位12b、12cは、図4(c)に示されるテーパー形状部位12e、12fとなる。また、図4(a)に示される挿入先端角部位12aを面取り加工することにより、挿入先端角部位12aは、図4(b)(c)に示される面取り部位12dとなる。
挿入支持部材11、12の挿入先端部は、テーパー形状部位12f、12e、及び面取り部位12dを有することにより、挿入時の抵抗をより小さくしている。又、挿入支持部材を敷き込む時には、臥床者の直下、即ち臥床者と臥床面の間に挿入支持部材を挿入した後、水平方向で且つ挿入方向に略直交方向に、臥床者と臥床面の間を、挿入支持部材を滑らせながら移動することもできるが、テーパー形状部位12fを設けることで、滑り移動が容易になり、結果として、臥床者の全域に板を敷き込む作業が容易になる。
本発明の身体リフトシステムにて鉛直方向における臥床者の直下とベッド上の布団やシーツなどの臥床面の間に空間を形成するためには、臥床者の体重を支える機能を有する水平方向の全域、又は、一部に敷き詰められた挿入支持部材は、荷重支持部材と接続される。荷重支持部材としては、臥床者の外側に平行に配置された金属柵、木製柵、コンクリート柵などの転倒しないものが好適に利用でき、具体的には、適当な高さの机、使用していないベッドやストレッチャーなど、臥床面と同程度の高さを有する剛体で近似される台等が使用できる。又、臥床者が使用しているベッドの柵を改良して荷重支持部材とすることもできる。
荷重支持部材は、体重を支える機能を有する挿入支持部材などを下から固定的に支える方法が、臥床者の上下方向や水平方向への揺動や振動が少なく安定であるが、既に、ベッドサイドクレーンを有するベッドなどでは、体重を支える機能を有する挿入支持部材等の挿入部材の両端部などを、これら両端部などとのクレーンの結束部を荷重支持部材とし、クレーンと連結して荷重を支持しても良い。
又、室内外の転倒臥床者や、災害時の傷害臥床者などの場合には、救助者の手や腕の挿入部材との連結部を荷重支持部材として用いることにより、荷重を支持しても良い。
尚、挿入支持部材を挿入した後には、昇降機構により挿入支持部材と臥床面との間を離間させ、臥床者の直下に空間を形成し、該空間を活用し医療又は看護又は介護を含む処置が終了すると、昇降機構を昇降する以前の位置まで逆方向に移動させ、挿入支持部材を昇降機構上の布団やシーツなどの臥床面に接触させ、荷重を臥床面に移動させた後、挿入支持部材を抜き、臥床者を臥床面上に復帰する。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記挿入支持部材は、前記臥床者と前記臥床面との間に挿入される挿入補助板と、前記挿入補助板の前記挿入状態において、前記臥床者と前記臥床面との間で前記挿入補助板の下方に前記挿入補助板にてガイドされて挿入される支持板とを有し、前記挿入補助板の挿入面内で、挿入する方向に直交する方向での幅は、前記支持板の前記挿入面内で、挿入する方向に直交する方向での幅よりも幅狭に形成されている点にある。
支持板を臥床者直下と臥床面の間に挿入する時、布団のシーツのシワや、臥床者の寝衣のシワなどにひっかかり、滑りこませる操作に抵抗を感じる場合がある。このような場合には、支持板の挿入面内で、挿入方向に直交する方向での幅よりも、該方向での幅が幅狭に形成されている挿入補助板を、幅狭を一因として挿入抵抗が低い挿入補助板を、臥床者と臥床面との間に先に挿入し、当該挿入補助板にガイドされる形態で、支持板を、挿入補助板の下方に挿入することが好ましい。
これにより、支持板を、布団のシーツのシワや臥床者の寝衣のシワにひっかけることなく、良好に挿入することができる。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記挿入補助板は、前記支持板に対して挿入抵抗が低く構成されていると共に、前記支持板の剛性が前記挿入補助板の剛性以上に構成されている、又は前記支持板の厚みが前記挿入補助板の厚み以上に構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、挿入補助板を支持板に比べ、剛性を低く、又は板厚を薄くでき、結果的に、挿入抵抗を低くできるから、挿入補助板を、臥床者と臥床面との間に、良好に滑り込ませることができる。そして、当該挿入補助板をガイドとし、支持板を、臥床者と臥床面との間へ、抵抗を低減した状態で挿入することができる。
更に、臥床者の支持については、挿入補助板よりも、剛性が高い、又は厚みが厚い支持板により担保することができるから、臥床者の安全性を良好に担保できる。
このように、挿入支持部材として、挿入補助板と支持板とを各別に設けることで、臥床者と臥床面との間への支持板の挿入を円滑に行うことができると共に、剛性の高い支持板にて、臥床者の支持を安全性を確保した状態で、適切に行うことができる。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記挿入部材は、前記臥床者と前記臥床面との間への前記挿入支持部材の前記挿入状態において、前記臥床者と前記臥床面との間で前記挿入支持部材の下方に配設される支持補助板を含むものであり、前記支持補助板の剛性は前記支持板の剛性以上に構成されている、又は前記支持補助板の厚みは前記支持板の厚み以上に構成されており、前記荷重支持部材は、前記支持補助板を介して前記挿入支持部材を支持する点にある。
これまで説明してきたように、挿入部材として挿入補助板と支持板とを備える構成のみでは、臥床者の体重を支えることが困難な場合などは、臥床面方向に直交する方向で、支持板の直下に、臥床者の支持を補助する支持補助板を挿入し、臥床者の体重などの荷重支持用に使用してもよい。支持補助板に要求される物性は、必要とする医療、看護、又は介護を含む処置の内容により異なるが、体重を支える機能を付与する時は、弾性率や剛性率の大きい、破壊強度の大きい、材料としては、硬質プラスチック材料や木材、金属、又は、これら材料からなる厚みの大きい板が好ましい。
体重を支える機能を有する支持板及び支持補助板は、例えば、臥床者の外側近傍に設置する荷重支持部材にその両端が支えられることで、敷き込んだ板の自重及び板上の臥床者の体重を支えることができる。荷重支持部材を臥床者の外側両側に設置する時は、体重を支える板は両側に設置された荷重支持部材に届くに足る長さが必要である。
以上、挿入補助板、支持板、及び支持補助板と、荷重支持部材及び昇降機構で、本発明の身体直下に空間を形成する身体リフトシステムの必要構成部分は成立する。しかしながら、医療又は看護又は介護を含む処置の中には、例えば、治療や清拭、排泄、入浴などの折りに、臥床者の下着を部分的、又は、完全に着脱する必要が生じる。例えば、臀部の直下に部分的に空間を作るためには、支持補助板と臥床面の間に、もう1枚適当な厚みの支持補助板を挿入し、相対的に臀部を部分的に浮かせるなどの使用法も可能である。
尚、これまで説明してきたように、挿入部材は、挿入補助板(挿入支持部材の一例)、支持板(挿入支持部材の一例)、及び支持補助板から構成することができるが、本願に係る身体リフトシステムにあっては、挿入補助板、支持板、及び支持補助板の夫々は、臥床面方向で複数設けても構わない。また、挿入補助板、支持板、及び支持補助板の夫々は、臥床面方向に直交する直交方向において、複数が重層する形態で設ける構成を採用しても構わない。
身体リフトシステムは、前記支持補助板は、平板で矩形形状であり、挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工されていることが好ましい。
即ち、上述した挿入支持部材と同様に、支持補助板の挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方を面取り加工することで、支持補助板を、臥床者と臥床面との間に、良好に挿入することができる。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記挿入支持部材は、前記臥床面に沿う方向で、前記臥床者と前記臥床面との間に複数枚併設して設けられ、複数の前記挿入支持部材は、前記臥床面に沿う方向で、前記挿入支持部材が互いに近接した近接状態から、互いに離間した離間状態との間で調整自在に構成されている点にある。
以上の如く、複数の挿入支持部材を、臥床面に沿う方向で、挿入支持部材が互いに近接した近接状態から、互いに離間した離間状態との間で調整可能に構成することで、例えば、臥床者の体重との兼ね合いで、挿入支持部材の数を適切なものに調整して、作業の効率を向上することができる。
尚、前記挿入支持部材は、前記臥床面に沿う方向に略直交する直交方向で、臥床者と臥床面との間に複数併設して設けても構わない。
また、看護又は介護を含む処置が終了すると、例えば、挿入部材が、臥床面方向に直交する直交方向に、複数枚挿入されている時は、臥床面側の最下層の挿入部材から臥床面方向にまず抜き、その後、最下層の挿入部材の一層上の層を、再度臥床面方向に抜き、最終的に、挿入部材の複数本を臥床面方向に全て抜く。
尚、挿入補助板がある時は、支持板を臥床面方向で抜いた後に、挿入補助板を臥床面方向で抜く形が、臥床者への侵襲が少ない。ただし、臥床者の健康状態と医療又は看護又は介護を含む処置の簡便性も配慮し、臥床者に侵襲が少ない形であれば、どのような抜き方をしても良い。全ての挿入部材を抜去することにより、臥床者は元の臥床面上の横臥状態に復帰する。
上記目的を達成するための身体リフトシステムは、医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床者と臥床面との間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステムであって、その特徴構成は、前記臥床者と前記臥床面との間に介在可能な柔軟部材を備え、前記柔軟部材は、前記臥床者と前記臥床面との間に介在している状態において、前記臥床面との間に所定の厚みを有する長尺状の空間形成部材の複数を前記臥床面に沿う方向で間隔を隔てて挿入されたときに、複数の当該空間形成部材の間で且つ前記臥床者との間に挿入空間を形成する柔軟性を有し、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材を前記挿入部材として備え、前記挿入空間への挿入状態にある前記挿入支持部材を支持する荷重支持部材を備え、前記荷重支持部材に支持され前記挿入状態にある前記挿入支持部材と前記臥床面との間を離間させる昇降機構を備え、前記昇降機構を働かせて、前記臥床者と前記臥床面との間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を形成する点にある。
更に、本願の発明者らは、鋭意検討した結果、家庭のベッドや病院のベッド上の布団やシーツなどの臥床面上に横臥している人や動物などの臥床者の身体をそのまま、身体の各部を可能な限り、不必要に相対的に動かすことなく、又、凹凸による侵襲が格段に小さく、又、臥床者の体重支持や持ち上げ時の、臥床者身体への応力集中を避けるために、必要に応じ臥床者の身体直下の全域を覆い応力分散をすることもでき、又、必要に応じ身体直下の一部のみを覆うこともでき、加えて、持ち上げ箇所に障害を有する臥床者には、その直下部分を支持や持ち上げ箇所から外して使用することができる装置で、身体を持ち上げ、又は、身体を支えた状態でベッドの臥床面を低下させるなどにより、臥床者と臥床面を相対的に上下分離し、臥床者と臥床面の間に空間を形成することができる装置及び方法、即ち、身体リフトシステムを完成した。
特に、上記特徴構成によれば、臥床者と臥床面との間に柔軟部材を介在させている状態において、臥床面との間に所定の厚み(例えば、0.5mm以上50mm以下の厚み)を有する長尺状の空間形成部材の複数を臥床面に沿う方向で間隔を隔てて挿入することで、複数の空間形成部材の間で且つ柔軟部材と臥床者との間に挿入空間を形成することができる。このように形成された挿入空間には、比較的剛性の高い硬質ポリ塩化ビニル板や杉の板及び比較的柔軟性の高いスーツケースベルトやシートベルト等から成る挿入支持部材を容易に挿入できると共に、当該挿入に伴う臥床者への侵襲を十分に小さくできる。
因みに、臥床者と臥床面との間に柔軟部材を介在させ、柔軟部材と臥床者との間に挿入空間を形成する時の臥床面とは、介在させた柔軟部材の臥床者とは反対側で柔軟部材と接触する面、例えばベッドの上面を意味し、ベッドの上面に載せられた柔軟部材(布団が介在させた柔軟部材となる場合もある)としての布団等の上面を意味するものではない。
そして、挿入状態にある挿入支持部材を荷重支持部材にて支持した状態で、例えば荷重支持部材を昇降機構により上昇させる、又はベッドの上面等の臥床面を昇降機構により降下させることにより、臥床者と臥床面との間に、医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を良好に形成することができる。
尚、挿入空間の形成に関し、例えば、空間形成部材の長尺方向に沿う両端を荷重支持部材にて支持しながら、昇降方向に持ち上げることで、挿入空間における柔軟材料と臥床面との間の間隔をより大きくとることができ、挿入支持部材の挿入空間への挿入をより容易で且つより侵襲の低い状態で行うことができる。
挿入部材としての挿入支持部材は、これまで説明してきたものと同様の性質、形状、材質のものを好適に用いることができる。また、本発明の如く柔軟部材を用いて挿入空間を形成する身体リフトシステムにおいては、挿入支持部材は、柔軟部材により形成された挿入空間に挿入されるものであるから、臥床者の違和感を低減できる意味で、より可撓性の小さい材料も使用でき、また積極的に空間を形成して挿入容易性を向上できる意味から、より可撓性の大きい材料も使用可能となる。
空間形成部材としては、挿入部材としての各種材料及び形状を好適に流用することができ、挿入補助板、支持板、支持補助板の組み合わせ、及び支持板や支持補助板の単体を好適に用いることができる。
柔軟部材としては、医療現場で用いられる布団やシーツ、毛布、その他臥床者と接している柔軟材を好適に用いることができる。
本発明の身体リフトシステムにて鉛直方向における臥床者の直下とベッド上の臥床面の間に空間を形成するためには、臥床者の体重を支える機能を有する水平方向の全域、又は、一部に敷き詰められた挿入支持部材は、荷重支持部材と接続される。荷重支持部材としては、これまで説明してきたものと同様の形態で使用できる。尚、荷重支持部材の材料等については、後述する。
荷重支持部材は、体重を支える機能を有する挿入支持部材などを下から固定的に支える方法が、臥床者の上下方向や水平方向への揺動や振動が少なく安定であるが、既に、ベッドサイドクレーンを有するベッドなどでは、体重を支える機能を有する挿入支持部材等の挿入部材の両端部などを、これら両端部などとのクレーンの結束部を荷重支持部材とし、クレーンと連結して荷重を支持しても良い。
又、室内外の転倒臥床者や、災害時の傷害臥床者などの場合には、救助者の手や腕の挿入部材との連結部を荷重支持部材として用いることにより、荷重を支持しても良い。
尚、挿入支持部材を挿入した後には、昇降機構により挿入支持部材と臥床面との間を離間させ、臥床者の直下に空間を形成し、該空間を活用し医療又は看護又は介護を含む処置が終了すると、昇降機構を昇降する以前の位置まで逆方向に移動させ、挿入支持部材を臥床面(又は柔軟部材)上に接触させ、荷重を臥床面(又は柔軟部材)上に移動させた後、挿入支持部材を抜き、臥床者を臥床面(又は柔軟部材)上に復帰する。
身体リフトシステムは、前記荷重支持部材は、前記挿入状態にある前記挿入部材の前記挿入方向での両端部を支持する一対の荷重支持部位を有することが好ましい。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記挿入部材は、プラスチック、木材、又は金属の少なくとも一つから成ることが好ましい。
特に、臥床者と直接接触する挿入補助板や支持板は、可撓性があり、軽く、仮に皮膚と接触しても切傷や棘を刺す恐れの少ないプラスチック材料が好ましい。又、体重を支える支持補助板は、弾性率や剛性率の大きい硬質のプラスチック材料やプラスチックより弾性や剛性が大きい木材や金属の板が好ましい。
身体リフトシステムでは、前記挿入部材は、平板で矩形形状であり、厚みが、0.5mm以上50mm以下、幅が5mm以上1200mm以下、長さが200mm以上3000mm以下であるものを好適に使用することができる。
尚、挿入部材の厚み、幅、長さに関しては、臥床者の体重、身長や、臥床面の面積等により、適宜変更可能である。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記臥床面は、ベッドの上面、室内床の上面、前記ベッド又は前記室内床に敷かれた寝具の上面、及び屋外の路面の少なくとも1つを含む点にある。
臥床者が臥床している臥床面としては、ベッド上の布団やシーツのみならず、和室に敷かれた布団、麻酔薬や筋弛緩剤の投与により短時間の寝たきり臥床者状態にある患者が乗っている手術台、家庭生活の場で、例えば、人が転倒した場合のカーペット、畳、ゴザ、災害時の傷害者が臥床している道路、路面、地面など、又、人以外では、医学実験用の豚や羊で麻酔薬や筋弛緩剤が投与され、短時間の寝たきり臥床動物が載っているX線撮影台やMRI撮影台など、人や動物が動けなくなり、又は、ほとんど動けなくなり横たわり、臥床している生活空間中のあらゆる臥床面が含まれる。
身体リフトシステムにおいて、前記荷重支持部材は、プラスチック、木材、金属、コンクリート、屋内壁を構成する左官材料、及びこれらの複合材料から構成されることが好ましい。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記昇降機構は、紐状部材を介して、前記挿入支持部材と前記荷重支持部材との結束部を吊り下げ支持すると共に、前記紐状部材を巻き上げ又は巻き下げする形態で前記荷重支持部材を昇降するホイストから構成されている点にある。
当該昇降機構としてのホイストにより、挿入支持部材と荷重支持部材との結束部を天地方向に上昇させることで、臥床者の身体直下に空間を形成することができる。具体的には、クレーンと連結された紐や鎖、ワイヤー、ベルト、ロープでなどと、挿入支持部材と荷重支持部材との結束部を連結し、クレーンで紐や鎖、ワイヤー、ベルト、ロープなどを吊り上げることにより、昇降機能を発揮させることができる。
また、ジャッキを荷重支持部材の支持部及び昇降機構として用いる構成を採用しても構わない。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記昇降機構は、前記臥床面を、直接昇降させる臥床面昇降機構から構成されている点にある。
金属柵や木製柵、コンクリート柵、変形しない台など、臥床面と同程度の高さを有する剛体で近似される荷重支持部材に、挿入部材を載せている時は、臥床者が挿入部材の挿入以前に臥床していた臥床面を、直接降下させることで、臥床面方向に直交する直交方向において、臥床者の身体の下方に、空間を形成することができる。
臥床面昇降機構としては、臥床面の昇降機能付きのベッドやストレッチャー、手術台など公知の装置を使用することができる。
身体リフトシステムの更なる特徴構成は、前記臥床面昇降機構は、前記臥床面の一部を部分的に昇降する部分昇降部を有する点にある。
上記特徴構成によれば、臥床面昇降機構として、臥床面の一部を部分的に昇降する部分昇降部を有するものを採用することで、例えば、臥床面に臥床者が臥床している状態において、部分昇降部を臥床面よりも降下させて、形成された空間に挿入部材を挿入することで、挿入部材の挿入に伴って臥床者が感じる違和感を、なるべく小さいものとすることができる。又、部分昇降部を使用するときの挿入支持部材の挿入では、部分昇降部を使用しないときの挿入支持部材の挿入に比較し、臥床者の違和感を低減できることから、より可撓性の小さい材料も挿入支持部材として使用でき、また積極的に空間を形成することにより挿入容易性を向上できることから、より可撓性の大きい材料も挿入支持部材として使用可能となる。
上記目的を達成するための身体リフト方法は、医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床面に接触している臥床者と前記臥床面との間へ挿入される挿入部材を用いて臥床者をリフトする身体リフト方法であって、その特徴構成は、前記挿入部材が、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材を含むものであり、前記臥床者と前記臥床面との間への挿入方向での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工された前記挿入支持部材を、前記臥床者と前記臥床面との間へ挿入する挿入工程と、前記臥床者と前記臥床面との間への挿入状態にある前記挿入支持部材を荷重支持部材により支持する支持工程と、前記荷重支持部材に支持され前記挿入状態にある前記挿入支持部材と前記臥床面との間を離間させる昇降機構により、前記臥床者と前記臥床面との間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を形成する空間形成工程とを含むことが好ましい。
身体リフト方法の更なる特徴構成は、以下の身体ホルダー(特願2016-137799記載)を併用する場合の身体リフト方法であり、前記臥床者の操作対象としての人及び動物の体温の近傍温度で、人では、5℃以上48℃以下の範囲に、動物では、5℃以上(動物の体温+10℃)以下の範囲に、硬軟化変化閾値温度としての軟化温度又は融点、又は、難結晶性の高分子材料にあってはガラス転移温度を持ち、硬さが変化する主材料を有し、前記人又は前記動物の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置を行う際に使用できるものであり、前記操作対象部位を把持又は被覆し前記操作対象部位の形状に応じて賦形し、前記主材料を加熱して軟化させる場合に、前記主材料を低温加熱するとき、前記人を対象とする場合は46℃以下を前記操作対象部位に接触する部分の温度とし、前記動物を対象とする場合は(動物の体温+10℃)以下を前記操作対象部位に接触する部分の温度とし、且つ軟化させるときの前記主材料の温度は前記硬軟化変化閾値温度以上の温度であり、外部から前記操作対象部位への応力を遮断又は低減するときで、前記主材料を冷却して硬化させる場合に、冷却温度が、前記硬軟化変化閾値温度未満の温度であり、前記低温加熱による軟化及び前記冷却による硬化を繰り返し実行することが自在な身体ホルダーを併用する場合の身体リフト方法であり、前記空間形成工程の後に、前記身体ホルダーを前記臥床者の身体直下に挿入し、前記昇降機構にて前記臥床面を前記空間形成工程の前の位置まで昇降させ、前記挿入支持部材を前記臥床面上に挿入された前記身体ホルダーに接触させ、荷重を前記身体ホルダーと前記身体ホルダーを支える前記臥床面に移動させた後、前記挿入支持部材を抜き、前記身体ホルダーにて前記操作対象部位を把持又は被覆し、且つ前記身体ホルダーを前記操作対象部位の形状に応じて賦形させる点にある。
これまで説明してきた身体リフト方法は、上記特徴構成に示す身体ホルダーを併用することで、より一層の相乗効果を期待できる。
身体リフト方法としては、前記空間形成工程において、前記荷重支持部材、又は前記昇降機構のどちらか一方に医療機器を固定又は一体的に設置し、前記臥床者と前記医療機器との昇降方向での位置関係を維持して昇降し、又は、前記空間形成工程の後に、前記臥床者の衣服や下着の脱衣又は着衣、前記臥床者の健康状態のモニターに用いられる体重計の挿入、前記臥床者のオムツの交換、床上排泄用便器の前記空間への挿入、陰部洗浄器具の前記空間への挿入、前記臥床者の車椅子への移乗の少なくとも1つを行うことが好ましい。
ここで、医療機器とは、医薬品や血液等の輸液を、予め設定した流量で持続的に送液するための輸液ポンプ、及び輸液を含む輸液袋や輸液スタンドも含めた輸液設備を好適に挙げることができる。
その他の例としては、治療目的では肺と胸壁の間の空間(胸腔)に胸腔ドレーンと呼ばれるチューブを挿入する胸腔ドレナージにおいて、肺から肺の外へ漏れ出した体内の空気、滲出液・膿汁等の分泌物或いは洗浄液を低圧(例えば、25cmH2O以下の任意の圧力)で、長時間にわたり吸引する低圧持続吸引器、及び吸引物を貯留する排液パックから成るドレーン設備がある。
臥床者への医療処置の必要性により、医療機器と身体が連結された臥床者が存在する。臥床者の臥床面と接触する部分、背面などの看護、介護ケアーは、例えば清拭などは、臥床者の身体と連結された医療機器を、昇降方向で位置関係を維持して昇降することが好ましい。現状、臥床者を並進移動すべく、輸液スタンドとストレッチャー面を一体化したストレッチャー(例えば、AD-6051:<URL: https://www.aandd.co.jp/adhome/pdf/catalog/me/ad6051.pdf>: 〔2018年7月25日検索〕)は存在するが、臥床者と臥床面との間に空間を形成するには、看護師、介護者が持ち上げたり、臥床者を回転したりすることが必要で、輸液ルート(導管)を脱着して実施し、操作後、再度装着することが好ましい。身体リフトシステムは、荷重支持部材と昇降機構とを備えるが、臥床者と臥床面の空間形成には、少なくとも荷重支持部材、又は昇降機構のどちらか一つを昇降させれば目的を達する。そこで、荷重支持部材又は昇降機構のうち昇降する側に、医療機器を固定又は一体的に設置することで、臥床者を昇降する際に、臥床者と医療機器との昇降方向での位置関係を維持することができ、医療に必要な処置の機能を阻害することなく、臥床者の臥床面と接触している部分をケアーできる。
因みに、臥床者の身体と、ベッドの上の布団やシーツなどの臥床面との間の全域に渡り、又は、一部に形成された空間は、医療又は看護又は介護を含む処置において臥床者の背面に施す必要のあるもの、即ち、臥床者の身体が臥床面と接触している面に施す必要のある全ての処置に関し利用できる。全域に渡る空間が必要なものには、シーツの交換やシーツのシワの除去、上記特徴構成に示した身体ホルダーの挿入、寝たきり者の健康状態モニターに必要なベッド上体重計(例えば、くりあイデア、<URL:http://oguris.name/collabo/?p=165>、[2018年7月25日検索])、ベッド上での臥床者の位置の変換、安楽枕などの挿入、安楽枕の挿入と組み合わせた臥床者の体位の変換、車椅子への移乗、市販されているトイレ用車椅子や入浴用車椅子への移乗など、又、一部に形成される空間が必要なものには、下着、衣服の部分脱着、全脱着、臥床者の身体の背中や臀部を含む清拭、オムツの挿入・交換、便器の挿入・取り出しなどの排泄介助、陰部洗浄の用具の挿入・取り出し、陰部洗浄操作などがあるが、これらの例によって臥床者の身体直下に形成された空間の利用方法が限定されるものではない。
臥床者直下とベッドなど臥床面の間に、臥床者と臥床面の接触部分の全域にわたって、医療又は看護又は介護を含む処置に必要十分な時間の間、空間を形成することができ、寝たきり者を含む臥床者の医療又は看護又は介護を含む処置において、看護師や介護者が一人では毎日実施することが難しかった、例えば、シーツの交換、シーツのシワの除去、上記特徴構成に示した身体ホルダーの挿入、寝たきり者の健康状態モニターに必要なベッド上体重計、衣服・下着の交換、全身、又は必要な部分の清拭、スペースを利用した便器挿入・取り出し、陰部洗浄、おむつ交換、車椅子への移乗、トイレ用車椅子への移乗、入浴用車椅子への移乗、結果としての水洗トイレへの移動、入浴への移動も可能となり、寝たきり者を含む臥床者のQOLが向上するとともに、臥床者の体重が挿入した挿入部材で支えられるため、看護・介護者が60kg程度の重労働から解放され、看護・介護者の腰痛防止とともに、両手を自由に使用することにより、寝たきり臥床者に対し質の高い看護、介護が可能となる。
第1実施形態に係る身体リフトシステム100の使用状態での平面図 第1実施形態に係る身体リフトシステム100の使用状態での側面図 第1実施形態に係る身体リフトシステム100の使用の流れを示す図 支持板及び支持補助板の挿入先端部の形状の一例を示す図 実施例11に用いた排便用車椅子及びストレッチャーの概略構成図 実施例13の説明図 身体リフトシステム100と併用される身体ホルダ-にて操作対象を被覆している状態を示す概略構成図 身体ホルダーの一部拡大図 図7の一部断面図 実施例16の説明図 第2実施形態に係る身体リフトシステム100の使用の流れを示す図 身体リフト方法を説明するための図
以下、実施形態に係る身体リフトシステム100を、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る身体リフトシステム100は、図1、2に示すように、医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床面15aに接触している臥床者Kと臥床面15aとの間へ挿入される挿入部材11、12、13を有する身体リフトシステム100であって、挿入部材11、12、13は、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材11、12を含むものであり、挿入支持部材11、12は、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入方向での挿入先端部の挿入先端角部位12d及び挿入先端稜線部位12e、12fの一方又は両方が面取り加工され、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入状態にある挿入支持部材11、12を支持する荷重支持部材14を備え、荷重支持部材14に支持され挿入状態にある挿入支持部材11、12と臥床面15aとの間を離間させる昇降機構15を備え、昇降機構15を働かせて、臥床者Kと臥床面15aとの間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間S(図2に図示)を形成するものである。
このように、挿入部材11、12、13は、支持機能性及び挿入操作性を高めるため、プラスチック、木材、又は金属の少なくとも一つを含んで構成されている。
挿入部材11、12、13は、詳細な形状については後述するが、全体として、平板で矩形形状であり、厚みが、0.5mm以上50mm以下、幅が5mm以上1200mm以下、長さが200mm以上3000mm以下である。
挿入支持部材11、12は、臥床者Kと臥床面15aとの間に挿入され可撓性を有する挿入補助板11と、挿入補助板11の挿入状態において、臥床者Kと臥床面15aとの間で挿入補助板11の下方に挿入補助板11にてガイドされて挿入される支持板12とを有する。図1、2に示すように、挿入補助板11の挿入面内で、挿入する方向(図中、矢印Xに沿う方向)に直交する方向(図中、矢印Yに沿う方向)での幅は、支持板12の挿入面内で、挿入する方向に直交する方向での幅よりも幅狭に形成されており、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入抵抗が小さくなるように設計されている。
更に、挿入補助板11は、支持板12に対して挿入抵抗が低く構成されていると共に、支持板12の剛性が挿入補助板11の剛性以上に構成されている、又は支持板12の厚みが挿入補助板11の厚み以上に構成されている。
具体的には、挿入補助板11は、臥床者Kと、又は、臥床者Kの衣服を通して臥床者Kと接触するので、その材料としては、可撓性があり、軽く、仮に皮膚と接触しても切傷や棘を刺す恐れの少ないプラスチック材料が好ましい。プラスチック材料としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンの5大汎用樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(PET、PBT)、ポリアセタール、変性PPEの5大汎用エンジニアリングプラスチック、その他、ポリメチル(メタ)アクリレート(所謂アクリル樹脂)、耐薬品性に優れ低摩擦性のポリテトラフルオロエチレン等が使用可能で、又、これらの複合材、ポリマーブレンド材、無機材料とのブレンドプラスチック材、天然繊維や合成繊維、これら繊維で編まれたネット、金属繊維や金網、グレーティング入りのプラスチックの板などの異材料との積層やFRP、複合材など各種の材料が使用可能である。
臥床者Kの直下とベッド(ストレッチャー等の昇降機構15の一例)の上の布団やシーツなどの臥床面15aの間に、必要に応じ挿入する挿入補助板11は、厚みが看護師や介護者が臥床者Kの直下と臥床面15aの間に挿入する手掌より薄く、縦横の寸法も手や腕より小さく、臥床者Kと臥床面15aの間への挿入時や、挿入する挿入補助板11の凹凸による侵襲が小さい特徴を有し、臥床者Kの直下と臥床面15aの間の微小な隙間や接触圧力の低い部分を利用しつつ挿入することをその機能とするものであり、臥床者Kの身体を臥床面15aに沿う方向、例えば、挿入方向(図1、2で矢印Xに沿う方向:臥床者Kの右側(右手側)から左側(左手側))に貫通できる長さがあればよい。臥床者Kのベッド上の圧力分布のデータは良くしられており(例えば、非特許文献1:基礎看護技術、P118、医学書院、2011)、後頚部、肩甲骨上部、背部、腰部などは臥床者Kによるベッドへの圧力は小さく、又、関節部など可動に問題がない臥床者Kは、臥床者Kの健康状態にもよるが、頭部、大腿部、下腿部などを少し上げることは可能な場合も多く、これらの部位の直下とベッド上の布団やシーツなどの臥床面15aの間へ、看護師や介護者の手や腕より薄い、又、サイズの小さい板は、看護師や介護者の手や腕に比べて、より小さい侵襲で挿入できる。勿論、医療又は看護又は介護を含む処置の対象者が乳幼児か成人かにより、挿入補助板11の大きさの適正は異なるが、看護者や介護者の手や腕より小さく、凹凸の少ないものであれば、挿入補助板11として使用可能である。
成人の看護師や介護者の手や腕は、概略、厚み30mm、幅120mm、長さ500mmの直方体で近似される。従って、挿入補助板11は、厚み、幅、長さともにこれらの寸法以下であれば、問題なく挿入でき、挿入補助板11は、市販の文房具のプラスチック定規でも良く、取り扱い性の観点から、厚み0.5mm~15mm、幅5mm~65mm、臥床者身体を挿入方向(図1、2で矢印Xに沿う方向:臥床者Kの右側(右手側)から左側(左手側))へ貫通することが必要なため、長さは200~500mmが好ましい。
挿入補助板11の挿入において、挿入補助板11は、臥床者Kの衣服の布を滑りながら、ベッド上の布団やシーツの布を滑りながら進行して行くと考えられるが、挿入時の抵抗を小さくするために先端にテーパーを付けるのが好ましく、又、侵襲は極力回避するとの観点から、挿入補助板11の挿入先端の角部位は、面取りをするのが好ましい。テーパーは任意のもので良いが、挿入先端が側面から見て直角2等辺三角形の形にやすりや鋸で加工しても良い。又、挿入先端の角部位も、やすりや鋸でC2等にしても良い。
又、挿入補助板11の挿入抵抗を低減するため、挿入補助板11にスリップシート(パラマウントベッド株式会社販売マルチグローブなど)を被せて挿入してもよい。
尚、当該挿入先端部の形状特性は、挿入補助板11、支持板12、及び後述する支持補助板13で共通するので、以下、支持板12を例にとって、図1、2、4に基づいて具体的に説明する。
臥床者Kと臥床面15aとの間に挿入する支持板12は、挿入先端部の挿入先端角部位又は挿入先端稜線部位の少なくとも一方を面取り加工することが好ましい。図4(a)に示される挿入先端稜線部位12b、12cを面取り加工することで、挿入先端稜線部位12b、12cは、図4(c)に示されるテーパー形状部位12e、12fとなる。また、図4(a)に示される挿入先端角部位12aを面取り加工することにより、挿入先端角部位12aは、図4(b)(c)に示される面取り部位12dとなる。
支持板12の挿入先端部は、テーパー形状部位12f、12e、及び面取り部位12dを有することにより、挿入時の抵抗をより小さくしている。又、支持板12を敷き込む時には、臥床者Kの直下、即ち臥床者Kと臥床面15aの間に支持板12を挿入した後、水平方向で且つ挿入方向に略直交方向に、臥床者Kと臥床面15aの間を、支持板12を滑らせながら移動することもできるが、テーパー形状部位12fを設けることで、滑り移動が容易になり、結果として、臥床者の全域に板を敷き込む作業が容易になる。
支持板12は、挿入補助板11の直下とベッド上の布団やシーツなどの臥床面15aの間に、挿入補助板11にてガイドされることで、臥床者Kへの侵襲が軽減でき、容易に挿入が可能となる。具体的には、挿入補助板11は、挿入状態にある挿入補助板11を挿入方向に直交する直交方向(図1、2で矢印Zに沿う方向)に若干押し上げられる形態で、挿入補助板11と臥床面15aとの間に間隙を形成し、支持板12と臥床面15aとの接触抵抗を低減して、支持板12の挿入をガイドすることになる。
支持板12の寸法は、挿入補助板11より厚み、横、縦のいずれかが大きいものを使用する。又、支持板12も挿入補助板11と同様に挿入先端はテーパーを付け、先端の角は面取りをすることが好ましく、看護や介護者が手や腕を臥床者とベッドの間に挿入する時に使用するスリップシートで、挿入補助板11と同様、被覆しても良い。これらの加工やスリップシートでカバーすることにより挿入が容易になり、臥床者Kへの侵襲も低減される。又、支持板12の挿入後は、滑りのないほうが臥床者の位置が安定するので、スリップシートは支持板12の挿入後に取り外しても良い。支持板12の機能は、臥床者Kの身体全域、又は、医療又は看護又は介護を含む処置に必要な身体の部位をベッドなどの臥床面15a側から覆い、支持板12のみで臥床者Kの体重を支えることが困難な時は、体重を支えるために挿入する支持補助板13の挿入を容易にするガイドとしての機能、即ち、挿入補助板11と支持板12の関係と同様の関係を有し、又は、支持板12が、乳幼児など体重を支えることができる臥床者Kを対象とする場合は、支持板12の両端が臥床者Kや臥床面15aの外側などに設置する荷重支持部材14に届く必要がある。
支持板12の材料は、挿入補助板11と同じく、プラスチック材料、金属、木材などいずれも可能であるが、支持板12も臥床者Kと、又は、臥床者Kの衣服を通して臥床者Kと接触するので、その材料としては、可撓性があり、軽く、仮に皮膚と接触しても切傷や棘を刺す恐れの少ないプラスチック材料が好ましい。
その寸法は、挿入補助板11の大きさや、成人の看護師や介護者の手や腕の大きさなど、又、ベッドサイドでの使用の簡便性を勘案した場合、厚み0.5mm~50mm、幅5mm~1200mm、長さ200mm~両端が荷重支持部材14に十分届く長さ、大きなベッドを跨ぐ場合は約3000mmを有する板が好ましい。
尚、支持板12の挿入が完了すれば、支持板12上の挿入補助板11は抜いても良い。又、支持板12の挿入後、挿入補助板11を抜き、再度、臥床者Kとベッドの上の布団やシーツなどの臥床面15aにおいて、支持板12が挿入されていない箇所で、挿入補助板11が容易に挿入できる箇所へ挿入補助板11を挿入し、その後、2枚目の支持板12を挿入することで、臥床者Kの頭部から足部にかけて例えば右側面から左側面に支持板12を挿入しつつ、支持板12を敷き詰めていくことができる。
又、ベッド上の布団などの臥床面15aと臥床者Kの特性により、即ち、ベッドなどの硬軟特性や、臥床者の体表の硬軟特性、臥床者の健康度などにより、挿入補助板11の挿入を省き、支持板12の挿入から操作を開始しても良い。
更に、挿入部材11、12、13は、臥床者Kと臥床面15aとの間への支持板12の挿入状態(場合によっては、挿入補助板11の挿入状態も含む)において、臥床者Kと臥床面15aとの間で支持板12の下方に配設される支持補助板13を含むものである。支持補助板13の剛性は、支持板12の剛性以上に構成されている、又は支持補助板13の厚みは、支持板12の厚み以上に構成されている。
具体的には、支持補助板13は、支持板12の直下とベッド上の布団やシーツなどの臥床面15aの間に、支持板12をガイドとすることで、容易に挿入することができる。支持補助板13の機能としては、支持板12で全面が覆われた、又は、医療又は看護又は介護を含む処置の必要に応じ、身体の必要な一部分が支持板12で覆われた、これら支持板12の直下へ挿入され、臥床者Kの体重を支える機能を有す。
支持補助板13が臥床者Kの体重を支える機能を有する時は、その弾性率や剛性率が大きく、破壊強度も大きい、又、ベッドサイドでの使用を勘案し、軽量な材料が好ましい。力学的性質の観点から、プラスチック材料も使用可能であるが、木材、又は、アルミ、チタンなどの弾性率や剛性率、破壊強度の大きい軽量金属などが好ましい。
又、支持補助板13の寸法に関しては、厚みは、目的の空間Sが臥床者Kの直下に形成された時、荷重がかかり、支持板12のみでは、又は、支持板12と支持補助板13を重ねて使用した時に、歪が大きい場合、これら板が弓なりに下部の臥床面15a側に変形し、臥床者Kが板の上で少し沈んだようになるので、これら板の臥床面15a側への余分な変形を防止するために、支持補助板13の板厚を歪防止に必要な程度厚くすることが好ましい。一般に、荷重による梁の変形は厚みの3乗に反比例することが知られており、厚みは臥床面15a方向への許容歪から計算でき、又、幅と長さの寸法は、支持板12がすでに挿入されているので、幅を少し狭くすると挿入は容易であるが、広くすると挿入する枚数も低減でき、幅は、取り扱いの簡便性から、本支持補助板13の挿入時に既に使用している支持板12の幅より少し小さいサイズから、1200mm程度まで、長さは、支持補助板13による体重支持が必要な場合は、荷重支持部材14に届き、荷重支持部材14で支持補助板13の両端を支えることが可能な十分な長さが必要で、大きなベッドを跨ぐ場合は約3000mmを有する板が好ましい。
尚、支持補助板13も支持板12の直下とベッド上の布団やシーツなどの臥床面15aの間に挿入され前進する訳であるが、挿入補助板11や支持板12と同様挿入先端部にテーパーを付け、挿入先端部の角部位は面取りをするとより挿入が容易になる。又、挿入先端を、或いは支持補助板13そのものをスリップシートで被覆しても良い。
臥床者Kと臥床面15aの間に空間Sを形成するためには、基本的に、挿入補助板11、支持板12、支持補助板13でその目的を達成するが、医療又は看護又は介護を含む処置の要請により、支持補助板13と寸法が同じ、又は、寸法が異なっても良い板(第4の板という)を支持補助板13の直下、即ち、支持補助板13と臥床面15aの間に挿入し使用することができる。例えば排泄介助や清拭を行う場合、これらのケアーに先立って、下半身の下着の脱衣が必要となる。支持補助板13の挿入後、腰部と大腿部に挿入した支持補助板13の下に、例えば、支持補助板13と同仕様の第4の板を挿入すると臀部直下に略板厚に相当する空間Sが形成でき、本空間Sを活用して下半身の下着の脱衣が可能となる。本例に限らず、医療又は看護又は介護を含む処置の内容に応じ、支持補助板13の下に第4の板、同様に第4の板の下に第5の板、・・・第nの板を使用しても良い。
また、支持板12は、臥床面15aに沿う方向で、且つ挿入方向に直交する方向(図1、2で矢印Yに沿う方向)で、臥床者Kと臥床面15aとの間に複数併設して設けることができる。そして、複数の支持板12は、臥床面15aに沿う方向で、且つ支持板12が互いに近接した近接状態から、互いに離間した離間状態との間で調整自在に構成されている。
尚、当該複数の支持板12同士の関係は、複数の支持補助板13同士においても、同様である。
荷重支持部材14は、挿入状態にある支持板12又は支持補助板13(場合によっては、挿入補助板11を含む)の挿入方向(図1、2で矢印Xに沿う方向)での両端部を支持する一対の荷重支持部位14aを有する。当該荷重支持部材14は、プラスチック、木材、金属、コンクリート、屋内壁を構成する左官材料、及びこれらの複合材料から構成されるものである。
更に、具体的には、ストレッチャーや昇降機構付きベッドの両端に設けられる柵を採用することもでき、当該柵を荷重支持部材14として採用する場合、荷重支持部材14としての柵を昇降する形態で、又は、ストレッチャーや昇降機構付きベッドの柵(荷重支持部材14)は固定し、ストレッチャーやベッドの床面が、柵とは独立に昇降機構として機能する場合もある。
当該第1実施形態においては、昇降機構15は、臥床面15aを、直接昇降させるストレッチャーや昇降機能付きベッド(臥床面昇降装置の一例)から構成されている。
これにより、図2(a)(b)に示すように、臥床者Kと臥床面15aとの間に、医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間Sを、適切に形成することができる。
尚、具体例については、実施例16に示すが、昇降機構15は、臥床面15aの一部を部分的に昇降させる部分昇降部を有していても構わない。一部を部分的に昇降させる部分昇降部を有している臥床面15aは、より可撓性の小さい材料(例えば、杉の板)も挿入支持部材(より具体的には、支持板12)としての使用を容易にする。当該部分昇降部による臥床面15aの一部の部分的な昇降には、臥床面15aの一部を傾斜させる機能も含むものとする。
これまで説明してきた身体リフトシステム100を用いた身体リフト方法は、例えば、図3に示すように、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入方向(図3で矢印Xに沿う方向)での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工された挿入補助板11及び支持板12を、臥床者Kと臥床面15aとの間へ挿入する第1挿入工程(図3で(a)~(e))と、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入方向(図3で矢印Xに沿う方向)での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工された支持補助板13を、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入状態にある支持板12の下へ挿入する第2挿入工程(図3で(f)~(g))と、臥床者Kと臥床面15aとの間への挿入状態にある支持補助板13(第2挿入工程を実行しない場合は、支持板12)を荷重支持部材14により支持する支持工程(図3で(h))と、荷重支持部材14に支持され挿入状態にある支持補助板13(第2挿入工程を実行しない場合は、支持板12)と臥床面15aとの間を離間させる昇降機構15により、臥床者Kと臥床面15aとの間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間Sを形成する空間形成工程とを含む。
尚、場合によっては、第2挿入工程を省略しても構わない。
上記空間形成工程においては、荷重支持部材14、又は昇降機構15のどちらか一方に医療機器Pa、Pm、Stを固定又は一体的に設置し、臥床者Kと医療機器Pa、Pm、Stとの昇降方向での位置関係を維持して昇降することが好ましい。
具体的には、例えば、図12に示すように、臥床面15aを有するベッド70の両側脇に、昇降機構としてのストレッチャー15を配設し、当該ストレッチャー15に設けられる臥床面15bを荷重支持部材14として使用する構成において、医療機器Pa、Pm、Stをストレッチャー15の昇降部位(図12の例では、臥床面15bが固定されると共にマットを支持する天板72)に固定治具Tgにて固定することで、当該ストレッチャー15を昇降させることにより、臥床者Kと医療機器Pa、Pm、Stとの昇降方向(図12で矢印Z方向)での位置関係を維持して昇降する構成を採用することができる。
医療機器としては、図12に示すように、医薬品や血液等の輸液を、予め設定した流量で持続的に送液するための輸液ポンプPm、及び輸液を含む輸液袋Paや輸液スタンドStも含めた輸液設備を好適に挙げることができる。
その他の医療機器の例としては、治療目的では肺と胸壁の間の空間(胸腔)に胸腔ドレーンと呼ばれるチューブを挿入する胸腔ドレナージにおいて、肺から肺の外へ漏れ出した体内の空気、滲出液・膿汁等の分泌物或いは洗浄液を低圧(例えば、25cmH2O以下の任意の圧力)で、長時間にわたり吸引する低圧持続吸引器、及び吸引物を貯留する排液パックから成るドレーン設備がある。
このような医療機器を備える場合、医療機器(図12の構成にあっては、輸液ポンプPm)と臥床者Kとがチューブにより連結されることになるが、上記構成を採用すれば、このような構成にあっても、臥床者Kへの医療機器(図12の構成にあっては、輸液ポンプPm)からの液供給を持続させた状態を維持することができるから、医療に必要な処置の機能を阻害することなく、臥床者Kの背面の医療ケアー等を実行できる。
そして、当該身体リフト方法にあっては、空間形成工程の後に、臥床者Kの衣服や下着の脱衣又は着衣、臥床者Kの健康状態のモニターに用いられる体重計の挿入、臥床者Kのオムツの交換、床上排泄用便器の空間Sへの挿入、陰部洗浄器具の空間Sへの挿入、臥床者Kの車椅子への移乗の少なくとも1つを行う。
更に、当該身体リフト方法にあっては、空間形成工程の後に、後述する身体ホルダー200を臥床者Kの身体直下に挿入し、昇降機構15にて臥床面15aを空間形成工程の前の位置まで昇降させ、挿入支持部材11、12を臥床面15a上に挿入された身体ホルダー200に接触させ、荷重を身体ホルダー200と身体ホルダー200を支える臥床面15aに移動させた後、挿入支持部材11、12を抜き、操作対象部位を把持又は被覆し、且つ身体ホルダー200を操作対象部位の形状に応じて賦形させるものも含む。
尚、上記身体リフト方法にあっては、挿入支持部材11、12と共に支持補助板13を用いても構わない。
以下、身体ホルダー200を、図面を参照しながら説明する。
当該第1実施形態に係る身体ホルダー200は、図7、8、9に示すように、操作対象Kとしての人及び動物の体温の近傍温度で、人では、5℃以上48℃以下(好ましくは、46℃以下:以下同様)の範囲に、動物では、5℃以上(動物の体温+10℃)以下の範囲に、硬軟化変化閾値温度としての軟化温度又は融点、又は、難結晶性の高分子材料にあってはガラス転移温度を持ち、硬さが変化する主材料54を有し、人及び動物の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置を行う際に使用できるシート形状の身体ホルダー200である。
当該身体ホルダー200において、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形するときで、主材料54を加熱して軟化させる場合に、主材料54を低温加熱するとき、人を対象とする場合は46℃以下を操作対象部位に接触する部分の温度とし、動物を対象とする場合は(動物の体温+10℃)以下を操作対象部位に接触する部分の温度とし、且つ軟化させるときの主材料の温度は硬軟化変化閾値温度以上の温度である。
更に、外部から操作対象部位への応力を遮断又は低減するときで、主材料を冷却して硬化させる場合に、冷却温度が、硬軟化変化閾値温度未満の温度である。
更に、上述した低温加熱による軟化及び冷却による硬化を繰り返し実行することが自在に実施できるかたちに構成されている。
因みに、低温加熱する際の主材料54の操作対象部位に接触する部分の上限温度は、人を対象とする場合は46℃とし、動物を対象とする場合は(動物の体温+10℃)とすることが好ましい。
更に、上記身体ホルダー200の使用方法では、操作対象としての人及び動物の体温の近傍温度で、人では、5℃以上48℃以下の範囲に、動物では、5℃以上(動物の体温+10℃)以下の範囲に、硬軟化変化閾値温度としての軟化温度又は融点、又は、難結晶性の高分子材料にあってはガラス転移温度を持ち、硬さが変化する主材料を有し、人又は動物の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置を行う際に使用できるものであり、硬軟化変化閾値温度以上で、主材料を低温加熱するとき、人を対象とする場合は46℃以下を操作対象部位に接触する部分の温度とし、動物を対象とする場合は(動物の体温+10℃)以下を操作対象部位に接触する部分の温度として、低温加熱を行って主材料を軟化させ、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形し、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形した状態で、主材料を硬軟化変化閾値温度未満の温度で冷却して硬化させ、外部から操作対象部位への応力を遮断又は低減した状態で、医療又は看護又は介護を含む処置を行い、主材料を低温加熱して軟化させ、操作対象部位から取り外す一連の操作を繰り返し実行することが自在な使用方法である。
具体的には、身体ホルダー200は、図8に示すように、人や動物としての操作対象Kの操作対象部位を把持又は被覆し前記操作対象部位の形状に応じて賦形した状態において、操作対象部位に近い側から順に、緩衝材51と、断熱材52と、軟質の袋様容器53の内部に充填された主材料54と、加熱冷却装置55とから構成されている。
主材料54の具体例としては、融点が48℃以下のワックス、例えば日本精蝋(株)製パラフィンワックス115F(Paraffin Wax-115)(融点48℃:“パラフィンワックス”、[online]、日本精鑞、[2016年7月22日検索]、インターネット<http://www.seiro.co.jp/seihin/guide/guide2a.htm>)、融点が48℃以下の低融点合金、例えば大阪アサヒメタル工場製の低融点合金U-アロイ16(融点16℃)、融点が48℃以下又はガラス転移温度が48℃以下のプラスチック材料、ガラス転移温度が48℃以下のチューインガムベース材料、例えば酢酸ビニル樹脂(ガラス転移温度28℃、高分子学会編高分子辞典、初版第6刷、朝倉書店、昭和55年による)、例えば、電気化学工業製のサクノールSN09Tなどを使用することができる。
尚、酢酸ビニル樹脂は、ビニル基の付加重合で合成され、ポリラクトンなどの縮合重合で合成される樹脂とは異なり、加水分解反応による重合度の低下は生起せず、シートに成形した後に、高分子の加水分解反応による重合度の低下がない。重合度と力学強度が正の相関を持つことは良く知られており、人又は動物の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、及び移動を含む処置などに使用される外部から力のかかるホルダーにおいては、使用する材料の経時による力学強度の低下は、使用時に操作対象を落下させるなどの事故にもつながりかねず、重合度低下の可能性は材料選定の段階で排除しておいた方が良い。
加熱や冷却により人や動物などの体温の近傍温度で軟らかさや硬さなどが変化する材料54は、少なくとも人に使用するときは5℃以上48℃以下の温度範囲において、少なくとも動物に使用するときは5℃以上(動物の体温+10℃)以下の温度範囲において軟質な袋様容器53に封入してシート形状に賦形して使用することもできる。
軟質の袋様容器53の材料としては、数μ~数cm程度の厚みで、常温で折り畳みなどの変形が可能な、公知の有機、無機、金属材料、又は、これら材料の複合材料、例えばプラスチックフィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなど)や有機、無機材料とのラミネートフィルム(ポリエチレンやポリプロピレンのプラスチック織布、又は不織布とポリエチレンやポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムとのラミネートフィルムや、炭素繊維織布やアルミフォイルなどの無機材料や金属材料とポリエチレンやポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムとのラミネートフィルムなど)など各種の袋様に加工ができる材料や複合材料が使用できる。但し、これらの例によって、軟質の袋様容器53の厚みや袋の材料の種類が限定されるものではない。
軟質の袋様容器53への、人や動物などの体温の近傍温度で軟らかさや硬さなどが変化する材料54の投入は、袋様容器53に開口部(図示せず)を設け、プラスチックの栓を付けた形のもの、例えば、大倉工業OKテナーS-10Lを使用し、パラフィンワックス115F(Paraffin Wax-115)は常温で固体であるので、ナイフで削るなどでフレーク状にして投入し、低融点合金U-アロイ16は常温で液体であるので、開口部から注ぎ込み、チューインガムベース材料(電気化学工業製の酢酸ビニル樹脂SN09T)は粒状で流動するので、これも開口部から注ぎ込む形態で実行する。
軟質の袋様容器53に充填したパラフィンワックス115F(Paraffin Wax-115)や、酢酸ビニル樹脂SN09Tは、前もって約80℃の熱湯浴に浸漬し、融解させ、その後、平らな床の上で放冷することで平板上に賦形することができ、平板状に賦形することで実験室的検討に使用することができる。又、平板状に賦形後、軟質の袋様容器53をナイフで切り開き、平板状に賦形された材料54を取り出すことで、平板状の材料を実験室的検討に使用できる。
操作対象部位への侵襲や浮動不安定性を低減する緩衝材51は、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形した状態において、操作対象部位に接する部位に備えられる。
緩衝材51の材料としては、公知のタオル地の布(木綿、羊毛、レーヨン、これらと化繊を混紡したものなど)、プラスチックの発泡体(ポリウレタン発泡体、エチレン酢酸ビニル共重合体発泡体、ポリエチレン発泡体など)、気泡入りプラスチックフィルム緩衝材などが使用できる。人の全体や人の体の一部などを被覆する時は、吸湿性材料、例えば木綿や羊毛、レーヨンなどや、これらと化繊を混紡した布やタオル地などが使用できる。但し、これらの例によって、緩衝材が限定されるものではない。
緩衝材51は、公知の接着などの方法でこれら身体ホルダー200と一体化して使用することができる。又は、操作対象の特性に応じ、人や動物などの全体或いは人や動物などの体の一部分である操作対象の支持や固定、把捉や被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置の操作に使用される身体ホルダー200と操作対象の間にタオル地などの緩衝材をはさんで使用するなど、物理的圧着で緩衝材を介在させることや、物理的圧着を粘着テープで補強して使用することも可能である。また、必要に応じて、マジックテープ(登録商標)を用いても構わない。
断熱材52は、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形した状態において、低温加熱に伴う温熱及び冷却に伴う冷熱が、操作対象部位へ伝導することを抑制する形態で設けられる。具体的には、断熱材52は、上述した主材料54と操作対象部位との間に、熱の伝達を抑制する状態で設けられる。
断熱材52は、公知のプラスチックの発泡体(発泡ポリエチレンシート、発泡ポリスチレンビーズなど)、木綿の布やタオル地(木綿、羊毛、レーヨン、これらと化繊を混紡したものなど)、セルロースファイバーやグラスウールなどが使用できる。但し、これらの例によって断熱材52の材料が限定されるものではない。
尚、上記の断熱材52の形状が粒状やペレット、フレーク状、粉体などの場合には、上述した主材料54と同様に、軟質の袋様容器53に封入して使用することもできる。形状が粒状やペレット、フレーク状、粉体などの断熱材52を袋様容器53へ封入する方法も、上述した主材料54を袋様容器へ封入する方法と同様に行える。
断熱材52と、身体ホルダー200を構成する主材料54や軟質の袋様容器53との貼り合わせは、公知の接着や熱溶着などの方法で実施でき、又は、操作対象との間に断熱材52を物理的圧着で介在させることや、物理的圧着を粘着テープで補強して実施できる。断熱材52と緩衝材51との貼合せも、接着や熱溶着、縫製などの公知の方法で実施することができる。又、断熱材52を緩衝材51と主材料54との間に物理的圧着で介在させること、又は、断熱材52を、主材料54を封入した軟質の袋様容器53と緩衝材51との間に物理的圧着で介在させることができ、物理的圧着を粘着テープで補強して使用することも可能である。更に、必要に応じてマジックテープを用いることもできる。
具体的には、医療又は看護又は介護を含む処置の操作に使用される身体ホルダー200と操作対象Kの間に緩衝材51をはさんで物理的圧着で介在させる場合を除き、緩衝材51と緩衝材51に隣接する身体ホルダー200の間に、必要に応じて、マジックテープを介在させ、緩衝材51と緩衝材51に隣接する身体ホルダー200を着脱可能とすることができる。マジックテープと主材料54との貼合せ、又は、マジックテープと軟質の袋様容器53との貼合せは、公知の接着、熱溶着などの方法で実施できる。又、マジックテープと緩衝材51との貼合せは、公知の接着、熱溶着、縫製などの方法で実施できる。
更に、緩衝材51と断熱材52と軟質の袋様容器53の組み合わせにおいて、緩衝材51と断熱材52がバスタオル、軟質の袋様容器53が低密度ポリエチレン製の袋などである時は、ポリエチレンに熱溶着可能なマジックテープ、例えば、クラレファスニング株式会社製(巾24mm、S-Eタイプ)は、フック側、ループ側の背面が熱可塑性樹脂でライニングされており、ポリエチエレン製袋と熱溶着が可能で、該マジックテープの片側を軟質の袋様容器53に貼合せ、もう片側をバスタオルに縫製し、マジックテープを介して着脱可能な構成にし、人や動物などの全体或いは人や動物などの体の一部分の操作対象に接する緩衝材51及び断熱材52であるバスタオルを必要に応じ着脱し、洗濯し、清潔な状態で使用することができる。
主材料54を低温加熱又は冷却するための加熱冷却装置55は、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形した状態において、操作対象部位が存在する側とは反対側に備える。
更に、具体的には、加熱冷却装置55は、ペルチェ効果を利用したペルチェ素子発熱吸熱体から成る第1加熱冷却部と、軟質の袋様容器53に封入され外部から吸熱又は外部へ放熱する熱媒体から成る第2加熱冷却部と、電気抵抗への通電による発熱を利用したジュール熱発熱体から成る第1加熱部と、加熱助剤と当該加熱助剤と混合することで温熱を発生する発熱剤と加熱助剤と発熱剤とを破れ易い仕切部で仕切った状態で封入する第1袋とから成る第2加熱部と、冷却助剤と当該冷却助剤と混合することで冷熱を発生する寒剤と冷却助剤と寒剤とを破れ易い仕切部で仕切った状態で封入する第2袋とから成る第1冷却部と、の少なくとも1つ以上から構成されている。
尚、加熱冷却装置55は、主材料の加熱と、主材料の冷却との少なくとも何れか一方を実行するものであるとする。例えば、加熱冷却装置55として、上述した第1加熱部及び第2加熱部のみを備える場合には、外気に晒すことにより冷却する構成を採用でき、加熱冷却装置55として、上述した第1冷却部のみを備える場合には、外気に晒すことにより低温加熱する構成を採用できる。
加熱冷却装置55としては、公知の加熱冷却装置を用いることができる。例えば、ペルチェ素子発熱吸熱体(平板状で縦45mm×横45mm、表面をセラミックスの平板で覆ったもの:加熱及び冷却用)や、巻くこともできる面状発熱体(加熱用、例えば、サンライズ工業(株)製フィルムヒーター)、電気毛布やマットヒーター(加熱用、例えば、松下電工ミニミニマットなど)、赤外線を利用した輻射型発熱体、室温や恒温室温度、外気、又は、水や冷水、氷水、温水(熱媒体の一例)を用いることができる。
また、水(加熱助剤の一例)と発熱剤、或いは、冷水、氷水、水や水性ゲルや有機系溶剤(冷却助剤の一例)と寒剤とを、軟質の袋様容器に封入し使用することができる。又、医療又は看護又は介護を含む処置の操作を行う前や行った後の身体ホルダー200の硬軟調整などに、恒温室の室内空気や外気を加熱冷却装置として使用し、操作に必要な軟らかさや硬さが発現している平衡状態から操作を開始してもよいし、再使用のための身体ホルダー200の硬軟状態調整用にこれら恒温室の室内空気や外気を使用してもよい。
尚、上記の加熱冷却装置55において、加熱や冷却用に使用する材料が、液体のものや、形状が粒状やペレット、フレーク状、粉体などのものを、軟質の袋様容器へ封入する方法も、主材料54を軟質の袋様容器53へ封入する方法と同様に行える。
又、発熱剤や寒剤を、破れ易い仕切部を介して、水や水性ゲルや有機系溶剤(加熱助剤又は冷却助剤の一例)と一緒に、袋状の軟質材に封入しておき、加熱や冷却が必要な時に仕切部を破り加熱冷却装置55として使用する公知の方法も適用できる。水と組み合わせる発熱剤としては、酸化カルシウムや酸化カルシウムと酸化アルミニウムを組み合わせたものなどがある。水や氷と組み合わせる寒剤としては、食塩や塩化アンモニウム、塩化カルシウム、硝酸アンモニウム、尿素などが、又メタノール、エタノールやアセトンとドライアイスを組み合わせても低温を得ることができる。
尚、身体ホルダー200の操作対象と接する面の温度を人の場合には5℃以上46℃以下、動物の場合は、5℃以上(動物の体温+10℃)以下にコントロールする方法としては、例えば、ペルチェ素子や面状発熱体、電気毛布、マットヒーターなど電気を用いて加熱冷却を行う場合は、身体ホルダー200の操作対象と接する面の温度を計測し、公知のサーモスタットやサイリスタによる自動温度制御系を用いることができる。又は、水などの液体や、これら液体と発熱剤や寒剤を使用する系では、物理化学的発熱量や吸熱量と各材料の比熱から、公知の方法で、身体ホルダー200の操作対象と接する面の温度上昇や温度降下を計算し、適切な量の材料を使用することで、過熱や過冷を回避し、加熱、冷却を行うことができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る身体リフトシステム100は、図11に示すように、医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床者Kと臥床面15aとの間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステム100であって、臥床者Kと臥床面15aとの間に介在可能な柔軟部材60を備え、柔軟部材60は、臥床者Kと臥床面15aとの間に介在している状態において、臥床面15aとの間に所定の厚みを有する長尺状の空間形成部材61の複数を臥床面15aに沿う方向で間隔を隔てて挿入されたときに、複数の当該空間形成部材61の間で且つ臥床者Kとの間に挿入空間Spを形成する柔軟性を有し、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材12を挿入部材として備え、挿入空間Spへの挿入状態にある挿入支持部材12を支持する荷重支持部材14を備え、荷重支持部材14に支持され挿入状態にある挿入支持部材12と臥床面15aとの間を離間させる昇降機構(図示せず)を備え、昇降機構を働かせて、臥床者Kと臥床面15aとの間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間Sを形成する。尚、図11に示す例では、支持補助板13を挿入支持部材12の下方に介在し、臥床者Kの支持を補助している。
尚、当該第2実施形態に係る身体リフトシステム100では、これまで説明してきた第1実施形態に係る挿入補助板11、支持板12、支持補助板13、荷重支持部材14、ストレッチャーやベッド等の昇降機構は、同一の構成(形状、材料を含む)を採用することができ、以下では、同一の構成については同一の符号を付すと共に、その詳細な構成については説明を割愛する場合がある。
尚、空間形成部材61は、上述した挿入補助板11と支持板12と支持補助板13とを組み合わせたもの(又は、支持板12又は支持補助板13の単体)を好適に採用することができ、空間形成部材61の挿入方向は、例えば、臥床者Kの身長方向(長手方向)と略直交する方向に沿って、挿入されることが好ましい。因みに、当該第2実施形態にあっては、説明の都合上、空間形成部材61として働く挿入補助板11は、空間形成挿入補助板61aと呼び、空間形成部材61として働く支持板12は、空間形成支持板61bと呼び、空間形成部材61として働く支持補助板13は、空間形成支持補助板61cと呼ぶ場合がある。
更に、柔軟部材60としては敷き布団等の寝具を好適に用いることができる。
当該第2実施形態の身体リフトシステム100では、図11に示すように、ベッドやストレッチャー等の臥床面15aに柔軟部材60が敷設され、当該柔軟部材60の上に臥床者Kが臥床している状態(図11(a)に示す状態)で、臥床面15aと柔軟部材60との間に、臥床面15aに沿う状態で空間形成部材61を間隔を隔てて挿入する(図11(b))。
これにより、図11(c)に示すように、柔軟部材60は、空間形成部材61にて支持される部分と支持されない部分が形成され、空間形成部材61の間で且つ臥床者Kと柔軟部材60との間の空間形成部材61の支持されない部分に、挿入空間Spが形成される。空間形成部材61の挿入のみにより挿入空間Spを形成するには、所定の厚み(例えば、0.5mm以上50mm以下の厚み)を有する長尺状の空間形成部材61を採用することが好ましい。
一方、図示は省略するが、挿入した空間形成部材61を荷重支持部材14により支持して持ち上げる場合、当該空間形成部材61の厚みは薄くても、良好に挿入空間Spを形成することができる。因みに、複数の空間形成部材61を十分に薄くする場合、臥床者Kが敷き布団等の柔軟部材60に臥床していても臥床者Kに違和感を与えることがないため、1回目の昇降の後に空間形成部材61を柔軟部材60の下方へ残したままにすることで、2回目以降に空間形成部材61の挿入を省略することができる。当該複数の空間形成部材61は、固定された形の、スノコ状や梯子状、ネット状の構成等を好適に採用することができる。
次に、図11(d)に示すように、形成された挿入空間Spに対して、挿入支持部材としての支持板12(挿入補助板(図示せず)を入れても構わない)、及び支持補助板13を挿入する。挿入後には、どのタイミングでも空間形成部材61を取り除くことができる(図11(e))。
その後、図11(f)に示すように、支持板12及び支持補助板13を荷重支持部材14にて支持した状態で、当該荷重支持部材14を図示しない昇降機構により持ち上げることにより、臥床者Kと臥床面15aとの間に、医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間Sを形成する。
尚、このとき、支持板12及び支持補助板13を荷重支持部材14にて支持した状態を維持したまま、ストレッチャーの上面としての臥床面15aを下降させることで空間Sを形成してもかまわない。
また、図示は省略するが、図11(e)と(f)との間において、柔軟部材60を敷いたまま、その後の工程を実行しても構わない。
次に、実施例にて、身体リフトシステム100の柔軟部材60の下方への空間形成部材61の挿入による挿入空間Spの形成、挿入部材11、12、13の挿入、荷重支持部材14による荷重の支持、昇降機構による臥床者Kと臥床面15a間の空間Sの形成、医療又は看護又は介護を含む処置の各種例を説明する。
尚、以下の実施例では、新生児人形(臥床者Kの一例)としては、「京都科学社、沐浴人形、新太郎、型番11278-000、身長53cm、重さ2.7kg」を用い、成人人形(臥床者Kの一例)としては、「株式会社坂本モデル製、清子さん、身長160cm、体重約13kg」を用いるものとした。
更に、実施例1~16は、第1実施形態に対応するものであり、実施例17~20は、第2実施形態に対応するものである。
〔実施例1〕
市販のストレッチャー(村中医療器株式会社、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、本布団上のシーツのフラットな部分に(縫合加工など無い部分に)、市販の新生児人形を載せ、実験を行った。該新生児人形には、木綿を素材としたガウン状の寝衣(所謂長肌着)を着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、挿入補助板11を挿入する実験を行った。
尚、挿入補助板11には、市販の文房具のプラスチックの定規2種、ステンレスの定規1種を使用した。これら定規の寸法特性を〔表1〕に示す。
Figure 2023121867000002
(1)新生児人形には寝衣をたるみなく着衣し、人形の背中にはしわが認められない状態に着せ、手は指を絡ませ人が手を組んでいる形にし、布団上のシーツのフラットな面上に、仰臥位の体位にして臥床させた。
(2)新生児人形の正中面の頭頂から約29cmの新生児人形の腰部の下に、左側(人形の左手の側)から右側にプラスチック定規TCC0-102を臥床面15aと水平に挿入したところ(本定規の断面は台形であるが、台形の長い辺が新生児人形の側に面し、短い辺が布団に面する形で、又、上下反対の両方のやり方で)、新生児人形の背面を抵抗なく貫通した。
(3)上記(2)のプラスチック定規TCC0-102を引き抜き、(2)と同様に、プラスチック定規JIS NO 569047YKの刻印付きの物を、頭頂から約29cmの新生児人形の腰部の下に、左側(人形の左手側)から右側に臥床面15aと水平に挿入したところ、新生児人形の背面を抵抗なく貫通した。
(4)上記(2)、(3)と同様に、ステンレスの定規を円弧の形状を有する部分を先端に、頭頂から約29cmの新生児人形の腰部の下に、左側から右側に臥床面15aと水平に挿入したところ、新生児人形の背面を抵抗なく貫通した。本実験により、厚みが1~2mmの略30cmの文房具の定規が抵抗なく、木綿の寝衣を着た新生児人形と、ベッドの布団上のシーツのフラットな臥床面15aの間に挿入できることを確認した。
〔実施例2〕
実施例1と同様に、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、本布団上のシーツのフラットな部分(縫合加工などない部分)に、市販の新生児人形を載せ実験を行った。該新生児人形には、木綿を素材としたガウン状の寝衣を着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、挿入補助板11を挿入し、挿入補助板11の下の直下に支持板12を挿入する実験を行った。
支持板12は市販の金網入り硬質ポリ塩化ビニルの板(タキロン株式会社製SAKK608)を用いた。市販の該硬質ポリ塩化ビニルの板は平板で、該板を鋸、小刀、やすりを用いて加工し、概略、〔表2〕の寸法に仕上げた。
Figure 2023121867000003
本材料は、金網入りの硬質塩化ビニルの板であるため、鋸などでカットした折、針金が端面に出現する時があるが、針金はペンチなどで切断し、針金の突出面はやすりでなめらかに仕上げ、素手でこすってもなめらかに滑ることを確認し、以降の支持板12の挿入実験に用いた。
(1)新生児人形には木綿製の寝衣をたるみなく着衣させ、人形の背中にしわが認められない状態に着せ、手は指を絡ませ人が手を組んでいる形にし、布団上のシーツのフラットな面に仰臥位の体位にして臥床させた。
(2)新生児人形の正中面の頭頂から約32cmの新生児人形の腰部に、左側から右側にプラスチック定規TCC0-102を臥床面15aと水平に挿入したところ、実施例1と同様、新生児人形の背面を抵抗なく貫通した。
(3)引き続き、支持板12(挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を挿入補助板11の直下、挿入補助板11とベッド上のシーツのフラットな臥床面15aの間に、略水平に挿入したところ、挿入補助板11の下を抵抗なく貫通し、支持板12の上に挿入補助板11が、挿入補助板11の上に新生児人形が載る形に板が挿入できた。本実験により、新生児人形の腰部の下に、厚み1.5mm、幅33mm、長さが約30cmの挿入補助板11がまず挿入でき、本挿入補助板11の下に、厚み3mm、幅10cm、長さ90cmの支持板12が挿入できることを確認した。
〔実施例3〕
実施例2の結果を引き継ぎ、新生児人形の正中面の頭頂から約32cmの腰部の下に、厚み1.5mm、幅33mm、長さが約30cmの挿入補助板11が挿入され、挿入補助板11の下に、厚み3mm、幅10cm、長さ90cmの支持板12が挿入された状態から実験を開始した。尚、支持板12は、10cmの幅があるので、人形の腰部から大腿部にかけて挿入されている状態であった。
(1)まず、人形の腰部直下にある挿入補助板11を腰部から引き抜いた。
挿入補助板11は抵抗なく引き抜けた。
(2)次に挿入補助板11、プラスチック定規TCC0-102を、実施例1、2と同様に、人形の正中面の頭頂から約15cmの新生児人形の肩部の下に、人形の左側(左手の側)から右側に向けて臥床面15aと水平に挿入した。挿入補助板11は実施例1、2と同様に新生児人形の背面を抵抗なく貫通した。
(3)その後、肩部の下に挿入された挿入補助板11の直下に、2枚目の支持板12(実施例2で使用したのと同一仕様)を人形の左側(左手の側)から右側に水平に挿入した。2枚目の支持板12は少し人形の足方向にも滑りながら挿入され、貫通した状態では、挿入補助板11の長手方向の中心線は略最初に挿入した位置にあったが、2枚目の支持板12の長手方向の中心線は挿入補助板11の長手方向の中心線から人形の足側へ約2.5cmずれたが、本支持板12は挿入補助板11の全域を載せる形で挿入された。その後、挿入補助板11を抜去した。挿入補助板11は抵抗なく抜去された。
(4)ベッド上のシーツのフラットな面と臥床人形の腰部の間に挿入した1枚目の支持板12の端と、シーツのフラットな面と臥床人形の肩部の間に挿入した2枚目の支持板12の端の間に、約4.5cmの距離ができたが、2枚目に挿入した支持板12を人形の背面下を、即ち、臥床人形と布団上のシーツのフラットな面の間を、先に挿入した腰部下の支持板12の方向へ滑らせるように移動し、大腿部から肩部にかけて、2枚の支持板12を敷き詰めた。
支持板12の臥床人形とベッド上のシーツのフラットな面の間の滑り移動は、抵抗なく実施でき、結果として、幅20cm、長さ90cmの支持板12を新生児人形の背面、即ち、臥床人形と布団上のシーツのフラットな面の間に敷き詰めることができた。
(5)その後、人形の正中面の頭頂から約10cmの頚部の直下に、再度、挿入補助板11、プラスチック定規TCC0-102を、人形の左側(左手の側)から右側へ挿入した。頚部は、実質、頭部と肩部に支えられ、ベッド上のシーツ面から浮き上がっているので、頚部の下のすき間を挿入補助板11は問題なく貫通した。3枚目の支持板12(実施例2で使用したのと同一仕様)の挿入に際しては、挿入補助板11は、臥床人形に押さえられている訳ではないので、人形の左側に出ている挿入補助板11の端を実験者の片手で押さえながら、もう一方の手で3枚目の支持板12を持ち、挿入補助板11の下に左側(人形の左手の側)から右側に支持板12を挿入した。臥床人形とベッド上のシーツの間にすき間の多い頚部の下においては、挿入補助板11の下に、支持板12は抵抗なく挿入できた。
(6)新生児人形の頚部の下へ3枚目の支持板12の挿入完了後、挿入補助板11を抜去した。挿入補助板11は抵抗なく抜去された。上記(4)と同様に、先に挿入した大腿部から肩部下を敷き詰めている2枚の支持板12の端部と、今次頚部の下に挿入された3枚目の支持板12の端部にはすき間があったので、本すき間を埋めるために、2枚目の支持板12と同様に、頚部の下に挿入された3枚目の支持板12を臥床人形とベッド上のシーツの間を水平に、人形の足方向に滑らせてすき間を埋めた。結果として、幅30cm、長さ90cmの支持板12を、概略上部頸椎から大腿部に渡る新生児人形の背面の部分と、布団上のシーツのフラットな面の間に敷き詰めることができた。
(7)頭部直下への支持板12の敷き込みに関しては、頚部は屈曲するので、挿入補助板11の挿入を省略し、頭部を少し持ち上げ、4枚目の支持板12(実施例2で使用したのと同一仕様)を左側(左手の側)から右側へ挿入し、水平方向への滑り移動も合わせ、大腿部から上部頸椎部まで敷き詰めた支持板12に頭部の支持板12を接続した。結果として、幅40cm、長さ90cmの支持板12を、概略頭部から大腿部に渡る新生児人形の背面の部分と、布団上のシーツのフラットな面の間に敷き詰めることができた。
(8)大腿部直下への支持板12の敷き込みに関しては、大腿部の直下は頚部同様、ベッド上のシーツ面との間のすき間が多く、挿入補助板11なしで、5枚目の支持板12の先端をベッドに押し付けながら挿入すると問題なく貫通できた。その後、支持板12の水平方向への滑り移動を合わせ、頭部から大腿部まで敷き詰められた支持板12に、大腿部直下へ敷いた支持板12を接続した。結果として、幅50cm、長さ90cmの支持板12を、概略頭部から膝部に渡る新生児人形の背面の部分と、布団上のシーツのフラットな面の間に敷き詰めることができた。
(9)踵部への支持板12の敷き込みに関しては、新生児人形では股関節が屈曲するので、挿入補助板11の挿入を省き、足根の部分を少し持ち上げ、6枚目の支持板12を左側(左手の側)から右側へ挿入し、水平方向への滑り移動も合わせ、頭部から膝部まで敷き詰めた支持板12に、踵部の支持板12を接続した。結果として、幅61cm、長さ90cmの支持板12を、頭部から踵部に渡る新生児人形の背面の部分と、布団上のシーツのフラットな面の間に敷き詰めることができた。
本実施例3により、挿入補助板11を必要に応じて使用し、又、頚部や大腿部、膝部など屈曲する部位を少し持ち上げることも含め、厚さ3mmのプラスチックの板を身長53cmの人形の直下に敷き詰めることが可能であることを確認した。
又、臥床者K(本実施例3では臥床人形)の屈曲部の有無や、臥床者Kとベッド上のシーツなどの臥床面15aの特性に応じ、挿入補助板11なしで、支持板12から挿入が開始できる場合があることを確認した。
〔実施例4〕
実施例1~3と同様に、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、市販の表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、本布団上のシーツのフラットな部分に(縫合加工などない部分に)、市販の新生児人形を仰臥位の体位にして載せ、実験を行った。該新生児人形には、木綿を素材とした寝衣を着せ、人形の背中にしわが認められない状態に着せ、手は指を絡ませ人が手を組んでいる形にし、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、〔表3〕に示す、厚みの薄い直方体で近似される色々な種類の材料を新生児人形の胸部から腰部にかけて挿入する実験を行った。
使用した板は、ステンレス板(株式会社久宝金属製)、アルミニウム板(株式会社久宝金属製)、ポリカーボネート板(タキロン株式会社製、PC1600)、ポリ塩化ビニル板(タキロ硬質PVC(タキロン株式会社製、TS608及びSAKK608)、変性ポリエチレンテレフタレート板(アクリルサンデー株式会社製、PG-1透明)、メタクリル樹脂板(三菱レーヨン株式会社製、アクリライト(登録商標))を使用した。各板の寸法、テーパーや面取りの加工の有無、挿入実験の結果を〔表3〕に示す。
木綿の寝衣を着せ仰臥位に横たわらせた新生児人形と布団のシーツからなる臥床面15aの間に、板を水平に、又は、板の先端で布団の上のシーツを押しながら貫通させた。貫通したものは、〔表3〕では〇で、挿入途中で新生児の寝衣などにひっかかり挿入を停止したものは〔表3〕では×で示した。本実施例4では、金属の板に関しては、加工(挿入先端のテーパーや先端の角の面取り)無しで実施し、プラスチックの板に関しては、加工したものも挿入した。そのまま挿入が不可のものに関しては、挿入補助板11(実施例1の市販の定規(TCC 0-102))を使用し、挿入補助板11と布団のシーツの臥床面15aの間に〔表3〕の実験用の板を挿入した。挿入補助板11を使用しても挿入補助板11からはみ出した部分の角部位などが新生児の寝衣や布団のシーツとひっかかり貫通しない板に関しては、該角部位を先頭とし挿入補助板11の下をくぐらせた。挿入先端の加工有無、挿入補助板11の有無、平板の幅方向又は角部を先頭にした挿入など3種の挿入モードを使用して、各板の貫通を試みた。又、貫通した金属の板と一部のプラスチックの板に関し、臥床面15aに沿う方向で、且つ挿入方向とは直角な方向で、新生児人形の頭部から足方向への板の滑り可否も実験し、これらデータを〔表3〕にまとめた。
Figure 2023121867000004
尚、上記材料7は、長手方向の両側、挿入先端にテーパー、挿入先端の両角部位を面取りしており、上記材料8は、市販の定規(TCC 0-102)では長手方向両側に両側面約45度でテーパーを設けてあり、上記実施例1の材料(市販の定規(JIS NO 569047YK))では、長手方向両側に、両側面逆方向に約45度でテーパーを設けてあり、上記実施例1の材料(市販のステンレス定規)では、挿入先端片方に半径約30mmの円弧を設けている。
また、上記※1)では、長手方法の両側と幅方向の先端にテーパー。〔表2〕の挿入先端稜線部位の図と同様、厚みを底辺とした二等辺三角形状のテーパーを付けた。
上記※2)では、※1)と同様、長手方向の両側と幅方向の先端に厚みを底辺とした二等辺三角形状のテーパーを付け、且つ、〔表2〕の挿入先端角部位の図と同様幅方向の先端の角部位は隅角から2mmカットした。
上記※3)では、〔表2〕の挿入先端稜線部位の図と同様、幅方向先端部に厚みを底辺とした二等辺三角形状のテーパーを付け、且つ、〔表2〕の挿入先端角部位の図と同様幅方向の先端の角部位は隅角から2mmカットした。
本実施例4の結果より、金属及びプラスチックの板は、臥床面15aの状態にも依存するが、無条件に挿入できるものではなく、材料を適切に選び、テーパーと角の面取など加工のないときは0.3mm~2mm厚で、テーパーと角の面取など加工はないが挿入補助板11を使用し、且つ/又は、先端の角から挿入補助板11の下に挿入する時は0.5~3mm厚でより厚い板も挿入でき、テーパーと角の面取りのある時は1.5mm以上の更に厚い板が挿入でき、挿入補助板11や支持板12として使用できることが確認された。
〔実施例5〕
実施例1~4で使用したのと同じ新生児人形、硬質ポリ塩化ビニルの支持板12(タキロン株式会社製SAKK608、厚み3mm、幅100mm、長さ900mm、挿入先端と両側面はテーパー加工、挿入先端の左右角部位は面取り加工)、市販のベッド(パナソニック電工株式会社、在宅用電動介護用ベッドRS、大きさ1975mm×998mm)上に市販のマットレス(約194cm×約96cm)が載ったものを用いて、新生児人形のリフトアップ実験を実施した。
(1)ベッドのマットレス上に、表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、本布団上のシーツのフラットな部分に(縫合加工などない部分に)、新生児人形を載せた。新生児人形は、木綿製の寝衣をたるみなく着衣させ、人形の背中にはしわが認められない状態に着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、手は指を絡ませ人が手を組んでいる形にし、布団上のシーツのフラットな面に仰臥位の体位にして臥床させた。
(2)本実施例5では、挿入補助板11の挿入は省略し、新生児人形の正中面の頭頂から約30cmの人形の腰部に支持板12の長手方向の中心線が重なるように、支持板12の先端部をベッド上の布団に押し付けながら挿入した。挿入は大きな抵抗もなく実施できた。
(3)同様に、新生児人形の正中面の頭頂から約44cmの膝下の位置に、支持板12の長手方向の中心線が重なるように2枚目の支持板12を挿入した。本挿入も大きな抵抗なく実施できた。
(4)次に、人形の身体とベッド上のシーツの臥床面15aにすき間のある頚部下に、3枚目の支持板12の挿入先端の角部位を先頭に、ベッド上の布団を挿入先端で少し押しながら挿入し、その後、支持板12の長さ方向とは略直角の、人形の頭部の方向へ、支持板12を滑り移動させた。人形の毛髪部は介護サポーターで覆ってあるため人形の後頭部と少し段差があり、この部分と考えられるが、板の滑り移動時ひっかかり、一度、支持板12の移動を中断させた。人形の頭部を少し持ち上げ、支持板12を問題なく人形の後頭部へ移動した。3枚目の板の位置は、人形の正中面の頭頂から約9cmであった。人形の正中面と支持板12の長手方向の中心線が交わる位置の人形の頭頂からの概略の距離、即ち、支持板12の挿入位置を〔表4〕に示す。
Figure 2023121867000005
(5)(2)~(4)の支持板12の挿入で、新生児人形は、微調整も含め、3枚の支持板12の略中央に載っており、これら3枚の支持板12の左右端部の直下に、臥床人形の頭から足の軸と略平行な方向に、荷重支持部材14の一部として、支持板12と同じ仕様の板を左に1枚、右に1枚、これらの板の長手方向が人形の頭から足の軸方向に略平行な方向に挿入した。実験参加者が1人ずつ、ベッドの左右に立ち、支持板12の端部の直下に挿入されたプラスチックの支持補助板13を手・腕で支え、もう1人の実験参加者(実験参加者は合計3名)がベッドの昇降機構として使用する当初新生児人形が載っていたベッドの床面を降下させると、新生児人形とベッドの布団上のシーツの臥床面15aの間に空間Sが形成された。新生児人形と臥床面15aの距離は約2cmであった。
(6)本空間Sを利用して、体位変換などに使用するシート(本実験では、特願2016-137799記載の身体ホルダー;当該品は大きさが約50cm×50cm×2cm。臥床者K側からバスタオルの緩衝断熱材/ポリエチレンの袋に包まれた加熱により硬軟変化するシート(パラフィンワックス115F(Paraffin Wax-115)使用)、シートを加熱するフィルムヒーターからなる)を臥床人形の下へ敷き込んだ。
(7)その後、電動ベッドの昇降機構を調整しながら上昇させ、支持板12が、体位変換などに使用するシート(本実験では身体ホルダー)の表面のバスタオルの緩衝断熱材などと接触した時点で上昇を停止し、新生児人形が載っている3枚の支持板12が、身体ホルダーの上で、又、該ホルダーはベッドの床面の上で支えられていることを確認し3枚の支持板12を足側から順に抜去した。
(8)支持板12の挿入開始から3枚の支持板12の挿入完了までが、約40秒、荷重支持部材14の組み立て準備完了までが、約17秒、昇降機構で臥床面15aを下降させ、医療、看護、又は介護を含む処置に使用する器具(本実施例5では、体位変換などに使用する身体ホルダー)の挿入に約8秒、昇降機構の上昇に約17秒、支持板12の抜去に約17秒、合計約1分40秒で全ての作業を完了した。これら作業時間を〔表5〕にまとめて示す。
Figure 2023121867000006
本実施例5により、医療又は看護又は介護を含む処置の必要性に応じ、プラスチック製の支持板12を敷き詰めることなく新生児人形とベッド上のシーツの間に挿入し、プラスチックの支持板12と人の手腕からなる荷重支持部材14、電動ベッドの昇降機構15からなる身体リフトシステム100にて、新生児人形とベッド上のシーツの間に空間Sが形成され、本空間Sに、容易に、医療、看護、又は介護を含む処置に使用する器具が挿入できることを確認した。
〔実施例6〕
実施例2と同様、挿入補助板11として市販のプラスチック定規TCC0-102を用い、支持板12として、硬質ポリ塩化ビニルの板(タキロン株式会社製SAKK608、厚み3mm、幅100mm、長さ900mm、挿入先端と両側面はテーパー加工、挿入先端の左右角部位は面取り加工)を3枚用いて実験を行った。
(1)ストレッチャーとして使用される木村寝台工業株式会社製kp PARAMAUNT BEDは金属の床面を有しており、本床面の上に新生児人形を載せた。該新生児人形には、木綿を素材とした寝衣を着衣させ、人形の背中にはしわが認められない状態に着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、手は指を絡ませ人が手を組んでいる形にし、仰臥位の体位にして臥床させた。
(2)市販のプラスチック定規TCC0-102を挿入補助板11として使用し、腰部に本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺が金属面に面する形で挿入を試みたが、床面が硬いためか挿入に抵抗があり、挿入補助板11は、一旦抜去した。挿入補助板11の挿入位置を変え、首部直下の自然に形成される空間から再度、本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺が金属面に面する形で挿入し、貫通させ、その後、挿入方向とは直角な頭部から足部の軸に平行に、脚部方向へ挿入補助板11を平行移動すると新生児形の寝衣と金属の床面の間を滑り移動し、腰部に貫通させた形が形成できた。
(3)腰部の挿入補助板11の直下に、挿入補助板11の端を持ち上げながら支持板12を挿入した。支持板12は大きな抵抗もなく挿入補助板11の下に挿入できた。その後挿入補助板11は抜去した。抜去は問題なく実施できた。
(4)(3)と同様に、首部の下にまず挿入補助板11を、続いて2枚目の支持板12を挿入し、同様に、大腿部から膝部にかけて挿入補助板11、3枚目の支持板12を挿入し、その後、支持板12を水平方向、直角方向に滑り移動させ、微調整し、実施例5で新生児の荷重を支持したのと略同様の板の配置を形成した。
(5)(1)から(4)と同様に、災害時を想定し、実験室の床を臥床面15aとして実験を実施した。実験室の床は、ポリ塩化ビニルのタイルであった。
(6)市販のプラスチック定規TCC0-102を挿入補助板11として使用し、腰部に、本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺がポリ塩化ビニルのタイルに面する形で挿入を試みたが、床面が硬く腰部直下では挿入抵抗が大きく困難であったため、(2)と同じく首部の下の自然に形成される空間から再度、本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺がポリ塩化ビニルのタイルに面する形で挿入、貫通させ、その後挿入方向とは直角な脚部方向へ平行移動すると新生児形の寝衣と実験室の床面の間を滑り移動し、腰部に貫通させた形が形成できた。腰部の挿入補助板11の直下に、挿入補助板11の端を持ち上げながら支持板12を挿入した。支持板12は大きな抵抗もなく挿入補助板11の下に挿入できた。
その後挿入補助板11は抜去した。抜去は問題なく実施できた。
(7)(4)と同様に、挿入補助板11を繰り返し使用して、2枚目、3枚目の支持板12を挿入し、実施例4で新生児の荷重を支持したのと同様の板の配置を形成した。
(8)又、戸外の災害時を想定し、モデル臥床面15aとして実験室の外側の林の地面、土と石が露出している比較的フラットな露出面を使用した。定規からなる挿入補助板11の腰部からの挿入が戸外の地面でも困難であったので、首部の下の空間からまず本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺が地面に面する形で挿入し、その後、足側へ平行移動し腰部に挿入した。
(9)腰部の挿入補助板11の下に、挿入補助板11の端を持ち上げながら支持板12を挿入した。支持板12は地面との抵抗はあったが、問題なく挿入補助板11の下に挿入できた。
(10)腰部から挿入補助板11を抜去し、抜去した挿入補助板11を使用し、(9)と同様に、首部の下に挿入し、その下に、2枚目の支持板12を挿入し、又、首部から挿入補助板11を抜去し、抜去した挿入補助板11を大腿部から膝部に挿入し、3枚目の支持板12を挿入した。その後、3枚の支持板12を水平方向、直角方向に移動微調整し、実施例4で新生児の荷重を支持したのと略同様の配置とした。
本実施例6により、金属面、コンクリート面、戸外の地面などの臥床面15aも、身体リフトシステム100の構成要素である挿入補助板11、支持板12が挿入可能であることが確認された。例えば人の手・腕からなる荷重支持部材14、昇降機構15と組み合わせることにより、臥床者Kの下に、例えば担架などの災害時の看護、介護器具が挿入可能となる。
〔実施例7〕
(1)実施例1~4と同様、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、今回は、荷重支持部材14を設置して行う実験であるため、ストレッチャー(縦194cm、横54cm)の上に、実施例1~3で使用した表面のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にし、略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの布団を一つの布団のように使用し、実験を行った。その上に市販のパジャマを着用させ、毛髪を覆うため介護サポーターを頭部に被せた身長162cm、体重69kgの臥床者役の成人男子実験者を、手掌を組んだ形で仰臥位に臥床させた。成人は新生児人形より大きいので、挿入補助板11の挿入は省略し、実施例2で使用したのと同仕様の支持板12(挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を頭から足側へ、順番に、成人の左側(左手の側)から7本挿入した。挿入先端をストレッチャー上の布団に糸で縫い付けられているシーツを押しながらゆっくり挿入した。下腿部と足首部の挿入時、右脚のパジャマのズボンの筒のたるみを支持板12が巻き込み(支持板12の先端を布が覆う形)、挿入抵抗が大きい事態も発生したが、介護者(本実施例7では支持板12の挿入者)が、素手で、挿入先端から布を外すことで、挿入は続行でき、7枚の支持板12の挿入は完成した。臥床者Kの正中面と支持板12の長手方向の中心線の交点の臥床者Kの頭頂からの距離、即ち、支持板12の挿入の概略の位置を〔表6〕に示す。
Figure 2023121867000007
これら支持板12は、臥床者Kの背面を全域ではなく部分的に覆っている。これら支持板12を使用し、以下の(2)のリフトアップ実験を取り進めた。
(2)杉の木の板で(厚み、厚み14mm、幅90mm、長さ975mm)、挿入先端にテーパーを付けたものを支持補助板13として準備した。挿入先端のテーパーは、鋸を用いて切削加工した。支持補助板13の仕様を〔表7〕に示す。
Figure 2023121867000008
支持板12の配置に合わせその直下に、支持板12をガイドとして、支持補助板13を、即ち、支持板12と、ストレッチャー(臥床面15aを有する昇降機構15の一例)の上のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にしたものの臥床者側表面との間に、臥床者Kの左側(左手の側)から右側へ、頭側から足側へ順番に挿入した。支持補助板13は大きな抵抗なく挿入できた。
(3)支持板12の長さが900mm、支持補助板13の長さが975mm、成人臥床者Kが臥床しているストレッチャーの幅が540mmであり、支持板12と支持補助板13は臥床者Kの乗っているストレッチャーからはみ出しているが、それぞれの板の左右へのはみ出し幅を均等に調整した後、成人臥床者Kが乗っているストレッチャーの臥床者Kの右側(右手の側)に、荷重支持部材14として別のストレッチャー、PARAMAUNT BED KK-700-095Dをまず1台配置し、臥床者K右側にはみ出している支持補助板13の底面がほぼ、右側のストレッチャーに接する高さにストレッチャーの高さを調整し、その後、臥床者Kの左側に(左手の側に)更に荷重支持部材14として、別の1台のストレッチャー、PARAMONTBED KA-881を配置し、右側と同じく、臥床者Kの左側にはみ出している支持補助板13の底面がほぼ、左側のストレッチャーに接する高さになるようにストレッチャーの高さを調整した。
(4)臥床者Kが乗っているストレッチャーの左右にある荷重支持部材14としてのストレッチャーの高さを微調整し、支持補助板13が左右のストレッチャーに支えられていることを確認し、即ち、支持補助板13が水平に支えられていることを確認し、結果として、支持補助板13の上に載っている支持板12、支持板12の上に乗っている臥床者Kが水平に支えられていることを確認し、昇降機構15でもある、臥床者Kの乗っているストレッチャーを床面の昇降ハンドルをゆっくり回し、下降させ、臥床者Kの背面全域に空間Sを形成した。本実施例7では、臥床者K直下の空間Sの大きさは、深さが約16cm、幅が約63cm、長さが約200cmであった。
(5)本実施例7では、臥床者Kが臥床面15aから相対的にリフトアップした状態で(実際は、臥床者Kが乗っているストレッチャーをリフトダウン)約1分経過後、臥床者Kの乗った昇降機構であるストレッチャーをゆっくり上昇させ、荷重支持部材14である別の2機のストレッチャーにより支えられている7本の支持補助板13を、ストレッチャー上の、表面のシーツが糸で縫いつけられている市販の布団の表面に接触させ、ストレッチャー下降直前の状態に戻し、臥床者Kが当初乗っていたストレッチャーにより、支持補助板13の自重、支持板12の自重、臥床者Kの体重が支えられていることを確認後、臥床者Kの左側(左手側)の荷重支持部材14として使用中のストレッチャーの高さを下降させ、臥床者Kが乗っているストレッチャーから板を抜去する次の操作に支障のない距離だけ離した。左側の荷重支持部材14が外れたことにより、臥床者Kの体が傾くことがないか確認し、右側の荷重支持部材14の高さを微調整し、その後、臥床者Kの左側の足側から支持補助板13を順番に頭側へと抜去し、支持補助板13が全て抜去されてから、支持板12を足側から順次頭側へ抜去し、臥床者Kを元の臥床状態に復帰した。
本実施例7で、昇降機構の降下開始から復帰まで、臥床者Kの直下全域に渡る空間Sが、少なくとも約2分間形成できたことが確認された。支持板12の挿入から、16cmの空間Sを形成するまでの時間が5分半、その後、復帰に約2分要した。実験参加の臥床者Kは合計7分半は板の上に乗っていたことになるが、痛み、疲れは特になしとのことであった。
本実施例7により、本発明の身体リフトシステム100は、医療、看護、又は介護を含む処置に使用するに十分な空間Sを、臥床者K直下に形成できることが確認された。
〔実施例8〕
実施例7と同様、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、表面のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にした、略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの布団を載せて使用した。本二つ折にした布団の上に、更にシーツを一枚被せ、ベッドメイキングの要領で、シーツの四方は布団の下に折り込んだ。臥床者Kとして市販の成人人形を使用した。成人人形には和風の寝間着を着せ、しわなく展開され、且つ、ベッドの下に折り込まれたシーツの上に手を組んだ状態で臥床させた。当成人人形には毛髪はないが、枕の代わりとして折り曲げたバスタオル(25cm×35cm、厚み2~3cm)を後頭部に敷いた。その後、成人人形の直下、即ち、成人人形とシーツの間に、実施例7で用いたのと同じ支持板12(挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を腰部、胸部、臀部、肩部、足首部、頭部のバスタオルとシーツの間、大腿部の順に7枚挿入した。支持板12の長手方向の中心線と、成人人形身体の正中面との交点の頭頂からの概略の距離を〔表8〕にまとめる。
Figure 2023121867000009
その後、支持板12の下に、腰部、胸部、臀部、頭部、肩部、大腿部、足首部の順に、実施例7で用いたのと同じ支持補助板13を7枚挿入した。
臥床者Kの乗っているストレッチャーの右側(人形の右手方向)と左側に荷重支持部材14として、それぞれ木村寝台工業株式会社製kp PARAMAUNT BEDとPARAMAUNT BED KK-700-095Dを配置し、成人人形の載っている昇降機構15としてのストレッチャーを使用し、臥床面15aを低下させ、成人人形の直下、臥床面15aとの距離が約10cmの空間Sを形成した。
本空間Sを利用して、医療、看護、又は介護を含む処置の一であるシーツ交換を実施した。ストレッチャー上の二つ折にした布団の上に被せたシーツを外し、別のシーツを被せ、ベッドメイキングの要領で、シーツのしわは除去し、シーツの四方は布団の下に折り込んだ。
その後、実施例7と同様に、昇降機構として使用中のストレッチャーの床面を上昇させ支持補助板13の底面と接触させ、ストレッチャー床面を下降直前の状態に戻した。成人人形が乗っているストレッチャーにて支持補助板13の自重、支持板12の自重、臥床者Kである人形の体重が支えられていることを確認後、臥床者Kの左側(左手側)の荷重支持部材14として使用しているストレッチャーを下降させ、左側の荷重支持部材14が外れたことにより、臥床者Kの体が傾くことがないかを確認しつつ、右側の荷重支持部材14の高さを微調整し、臥床人形と、その下の支持板12、支持板12の下の支持補助板13がほぼ水平状態で安定していることを確認し、足側から支持補助板13を順番に頭側へと抜去し、支持補助板13が全て抜去されてから、支持板12を足側から順次頭側へ抜去し、臥床者Kを元の臥床状態に復帰した。
本実施例8により、本発明の身体リフトシステム100で臥床者Kと臥床面15aの間に10cmの空間Sを作ることで、臥床者Kを臥床状態そのままの体位で、シーツ交換が可能なこと、又、シーツ交換時にも実施したが、シーツのしわ除去の作業ができることを確認した。
〔実施例9〕
実施例7で用いたのと同じ市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、表面のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にした、略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの布団を載せ、臥床者Kとして市販の成人人形を使用した。成人人形には和風の寝衣を着せ、手を組んだ状態で、ストレッチャー上の布団に臥床させた。成人人形の頭部には毛髪に当たる鬘を被せ、板の挿入時の毛髪の影響を避けるために、バスタオルを折り(25cm×35cm、厚み2~3cm)、枕代わりに、人形の頭部の下に敷いた。
(1)その後、成人人形の直下、即ち、成人人形と布団に糸で縫い付けられているシーツの間に、頭の方から実施例7で用いたのと同じ支持板12(挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を、頭部、肩部、腰部、臀部、大腿上部、大腿下部、踵部の順に7枚挿入した。その後、支持板12の下に、支持板12の挿入順と同じ順序で、実施例7で用いたのと同じ支持補助板13を挿入した。〔表9〕に、支持板12の挿入位置と、支持板12、支持補助板13の挿入順序を示す。尚、挿入位置は、支持板12の長手方向の中心線と正中面の交点の頭頂からの概略の距離で示してある。
Figure 2023121867000010
(2)板の挿入後、臥床者Kの乗っているストレッチャーの右側(人形の右手方向)と左側に荷重支持部材14として、それぞれ木村寝台工業株式会社製kp PARAMAUNT BEDとPARAMAUNT BED KK-700-095Dを配置し、身体リフトシステム100の昇降機構として使用しているストレッチャーの昇降機構を使用し、臥床面15aを下降させ成人人形の直下に空間Sを形成した。布団上のシーツ面と支持補助板13の下側面の距離は、頭側で7.5cm、足側で8.5cmであった。
(3)本空間Sを利用して、2枚重ねに折った布団の上側の1枚を成人人形の左半身が載る予定の箇所にずらし、布団の長手方向に渡り、人形の右側には1枚、左側には2枚布団が重なる形に段差をつけ、又、2枚重ねになった布団の下には長手方向に2枚ずつ支持補助板13に使用している杉の板を重ねて置き(縦方向に2枚、天地方向に2枚、合計4枚)布団に左右段差を付けた。本段差のついた布団を介護マットとして使用し、以下を実施した。
(4)段差のついた布団を載せた昇降機構をゆっくり上昇させ、板とその上の成人人形は少し傾くが、段差のついた布団を支持補助板13の下面に接触させた。その後、荷重支持部材14として使用している左右のストレッチャーを下げると、板とその上に載っている成人人形の傾きは大きくなるが、滑り落ちることはなかった。
(5)成人人形の体が持ち上がっている左サイド(人形の左手側)から、足側から頭側の方向に、支持補助板13と支持板12を合わせて抜去し、成人人形の左側が少し上がる側臥位が形成できた。傾斜角度を計測すると、足側16°、頭側15°であった。約15°側臥位が形成できた。
本実施例9により、身体リフトシステム100と布団や介護用マットを組み合わせることにより臥床者Kの体位変換に使用できることを確認した。
〔実施例10〕
本実施例10から実施例12までは、一人の看護師や介護者が一人の自ら動けない寝たきり者を看護、介護するとの前提で実施し、看護師や介護者役として1人の実験者が介助を行った。
市販のストレッチャー(PARAMAUNT BED KK-700-095D、縦;190cm、横;54cm上)に、実施例7と同様、表面のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にして略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの大きさを有する布団を載せて使用した。その上に市販のパジャマを着用させ、頭部にはバスタオルを折り畳んだものを(25cm×35cm、厚み2~3cm)枕の代わり使用し、臥床者役の成人男子実験者(身長176cm、体重65kg)が手掌を組んだ形で仰臥位に横たわった。尚、本実施例10の実験目的は、下半身の下着(ズボンやパンツ)の着脱であり、成人には、柄の異なるパジャマのズボンを2枚穿かせてあり、1枚のズボンの着脱可否を実験した。
(1)頭部、肩部、胸部、大腿上部と腰部の直下の順に、実施例7で使用した支持板12(タキロン株式会社製SAKK608のプラスチックの板、挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を、成人臥床者Kの右側(右手の側)から挿入した。
(2)その後、下半身の下着脱衣のため、臀部の直下に空間を作るべく、腰部と大腿部の直下に挿入したプラスチックの支持板12の下に、実施例7で使用した支持補助板13と同仕様の杉の木の板(厚み14mm)を支持補助板13として、まず1枚ずつ挿入し、その後、臀部直下の空間を拡大するために、支持補助板13と同仕様の杉の木の板を第4の板としてもう1枚、先に挿入した支持補助板13の下に挿入した。
(3)その後、腰部、大腿部が支持板12及び支持補助板13と第4の板で支えられ、その間に挟まれた臀部の下は、支持板12、支持補助板13、第4の板の板厚分、理論値では、(3+14×2)mm空間が形成されている。布団が盛り上がるので空間の深さは小さくなるが、空間の拡大は可能であった。
(4)2枚穿いているパジャマのズボンの上側のズボンを、支持板12のプラスチック部分は滑らせて脱がせ、臀部は、あまり抵抗なく移動でき、大腿部は、支持板12のプラスチック表面を滑らせながら、少し脚も持ち上げながら、臥床者Kと大腿部の直下に敷いた板の間を通過し、パジャマのズボンを脱衣させた。尚、支持板12の挿入開始から、パジャマのズボンの脱衣までの所要時間は、2分半弱であった。
本実施例10にて、支持板12、支持補助板13、第4の板を使用する身体リフトシステム100にて、看護師や介護者が一人で、自ら動けない寝たきり者に対し、着替え、清拭、排泄や各種の処置に必要なパジャマのズボンなどの衣服や下着の脱衣ができることが確認された。
〔実施例11〕
実施例10に続き、成人臥床者Kは、2枚穿いていた上側のパジャマのズボンが脱衣され、頭部、肩部、胸部には支持板12が挿入され、腰部と大腿部には、支持板12及び支持補助板13、第4の板が挿入されている状態から、継続して、以下の実験を行った。尚、(1)~(4)までは、実施例7とほぼ同様である。
(1)まず、腰部と大腿部に挿入されている第4の板、即ち2枚ある支持補助板13の下側、臥床面側の1枚を臥床成人の右側(右手の側)から、大腿部、腰部の順に抜去した。
(2)その後、下腿部直下に支持板12を挿入し、頭部、肩部、胸部の順に、すでに挿入されている支持板12の直下に支持補助板13を挿入し、パジャマのズボンを脱衣するために板を挿入していなかった臀部にも、支持板12、当該支持板12の直下に支持補助板13を挿入し、最後に下腿部の支持板12の直下に支持補助板13を挿入し、合計7本の支持板12、その直下への7本の支持補助板13の挿入を完了し、頭部から下腿部直下に挿入した板の左右バランスを確認した。
(3)成人臥床者Kが乗っているストレッチャーの左側に、ストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)、右側にストレッチャー(木村寝台工業株式会社製kp PARAMAUNT BED)を、荷重支持部材14として配置し、それぞれ7枚の板の端が、即ち、支持補助板13の下面の端が水平に左右の荷重支持部材14に載るように調整した。
(4)その後、成人臥床者Kが乗っているストレッチャーの昇降機構を、身体リフトシステム100の昇降機構として利用し、臥床面15aを降下させた。降下後、支持補助板13の下面と、ストレッチャー上の布団のシーツの臥床面15aとの距離は、約18cmであった。
(5)その後、当初成人臥床者Kが乗っていたストレッチャーのキャスターのロックを外し、ストレッチャーは臥床者Kの頭方向へ移動し、ストレッチャーの足側の端にすき間なく、図5に示すような背もたれを倒し、倒れた背もたれと座面の上に載せた便座の高さが概略同じになるように調整して準備した車椅子を連結し、車椅子の座面の上に載せた便座がリフトアップされた臥床者Kの臀部直下に来る位置まで移動した。
(6)尚、(5)の座面に便座を載せた車椅子は、トイレ移動用の車椅子として使用するものであり、トイレ移動用の車椅子は既に市販されているが(例えばTOTO、トイレ、“水まわり用車椅子”、[online]、[2017年2月28日検索]<url:http://www.toto.co.jp/products/ud/toilet/index.htm>)、本実施例11では、本発明の身体リフトシステム100と高さを調整し、座面を水平に倒す必要もあるため、図5に示すものを自製した。車椅子21(MEYRA製、Modell 3.800)の背もたれ18(長さ17cm)を倒し、倒すと看護師や介護者が使用するグリップ19が下方を向くが、グリップ19を脚立20で支え、座面には4本足の便座17(株式会社吉野商会製、ベンラック、本器は和式の便器の上に置いたり、床上差し込み便器の上に置き臥床者Kの臀部を載せるタイプの便座で、高さ約16.5cm、幅約40cm、奥行き約28cmで前が空いているもの)を載せ、便座17の高さはアームの高さ(床面から63cm)と同レベルにすべく、椅子21の座面7に座布団(図示せず)とその上に金属の板(図示せず)を載せることにより調整した。本車椅子21をストレッチャー30の端部に連結した。
(7)左右に配置した別のストレッチャーの昇降機構を荷重支持部材14の昇降機構として利用し、臥床者Kを支持補助板13の下面が、当初、臥床者Kが乗っていたストレッチャー30、該ストレッチャー30の端に連結した車椅子21上の便座に接触するまで降下させ、降下後、それぞれ7本の支持補助板13、支持板12が左右バランスよく当初臥床者Kが乗っていたストレッチャーに支えられていることを確認しつつ微調整した。
(8)その後、腰部、胸部、臀部の支持補助板13をこの順序でゆっくり抜去し、臥床者Kの臀部を車椅子21上の便座17に降ろした。次に、大腿部、肩部、頭部の支持補助板13を抜去し、更に、頭部、肩部、腰部、胸部、臀部、大腿部の順に支持板12を抜去し、この時点で、臥床者Kの臀部は車椅子21上の便座17に乗り移った。下腿部はその直下は、車椅子21のフットレスト16の上にあり、落差があるので、最後に看護師や介護者役の実験者が臥床者Kの下腿を支えながら、支持補助板13と支持板12を同時に抜去し、車椅子21の座面から、中途にあるレッグレスト、レッグレストの下にあるフットレスト16の斜面に沿う形で、便座に座っている臥床者Kの脚をフットレスト16に降ろした。
(9)この時点で臥床者Kは腰から上は仰臥位の姿勢で、臀部は車椅子21上の便座17に乗っており、大腿、下腿、踵は、車椅子21の脚部からレッグレスト、フットレスト16に沿う形で上半身が曲がった姿勢であるが、臥床者Kの左側(左手側)にある荷重支持部材14の一として使用したストレッチャーを臥床者Kのサイドから離し、看護師や介護者役の実験者が臥床者Kの左側に立ち、車椅子21の背もたれに乗っている臥床者Kの上半身を背もたれ共々持ち上げ、背もたれ18のロックをかけ、臥床者Kを完全に車椅子21に移乗させた。
(10)その後、車椅子21のホイールのロックを外し、トイレを想定した実験室のコーナーに車椅子21上の臥床者Kを移動した。本試作トイレ用車椅子21は、便座17の下が座面になっており穴が空いていないが、市販のトイレ用車椅子21では、穴が空いており、例えば、洋式便器の上に移動することができ、実施例10で下半身の下着を脱衣している臥床者Kは、用を足すことができる。
(11)排泄の処理後、当初臥床者Kの乗っていたストレッチャーの右側(右手側)に配置されていた荷重支持部材14として使用中のストレッチャーは片側へ寄せ、当初臥床者Kが横たわっていた右側に看護師や介護者役の実験者の作業スペースを形成した。当初臥床者Kが乗っていたストレッチャー30と車椅子21のグリップ19を支持していた脚立20が移動せずにそのままの状態で配置されてあり、該ストレッチャー30の端部にあり、車椅子21の背もたれ18のグリップ19を支える脚立20の位置調整を再度行い、その後、車椅子21をストレッチャー30並びに脚立20の端部に連結し、車椅子21のホィールをロックし、背もたれ18のロックを外し、臥床者Kの背中を支えながら背もたれを倒し、背もたれ18のグリップ19は脚立20で支持し、臥床者Kの下半身は車椅子21に座り、上半身は、車椅子21の背もたれ18とストレッチャー30上で仰臥位の姿勢を取り、ストレッチャー30には枕の代用として折り畳んだバスタオルを置き、臥床者Kの頭を載せた形の体位を形成した。
(12)臥床者Kの右側(右手側)から、下記の実施例12との関連で、臀部の少し上側(上方臀部と呼ぶことにする)に支持板12を挿入した。次に大腿部への挿入を実施したが大腿部から上方臀部の直下には、便座17があり、便座17の部分には穴があり、本自製のトイレ用車椅子21では便座17は上に凸の曲面であり頂点の手前で挿入先端が面に当たった為、看護師や介護者役の実験者が臥床者Kの大腿部を少し持ち上げながら支持板12を挿入した。
(13)その後、臥床者Kの頭部が乗っているストレッチャー30上のタオルを折った枕の直下に支持板12を、車椅子21とストレッチャー30の境目にある肩部の下に支持板12を挿入した。
(14)次に、支持補助板13を頭部、肩部、上方臀部に挿入し、腰部に支持板12、続いて支持補助板13を挿入し、胸部にも支持板12、続いて支持補助板13を挿入した。この時点で、臥床者Kの下半身は車椅子21に座っていた。
(15)次に、下半身の大腿部の支持板12の下に支持補助板13を、大腿部を少し持ち上げながら挿入し、臥床者Kが乗っているのとは別のストレッチャーからなる2台の荷重支持部材14を臥床者Kの上半身が乗っているストレッチャーの左右に配置し、即ち、左側に村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1を、右側に、木村寝台工業株式会社製kpPARAMAUNT BEDを配置し、臥床者Kの足首を持ち上げながら、支持補助板13の上に支持板12を重ねたものを、下腿部直下に同時に挿入し、該支持補助板13の両端部を荷重支持部材14で支え、全ての板の挿入は完了した。
(16)7枚の支持補助板13、支持板12の左右均等を確認し、荷重支持部材14の昇降機構を上昇させ、臥床者Kの体重を支持補助板13で支え、これら板の直下に空間を形成し、板の下のストレッチャー30を臥床者Kの頭側から足側へ押し、車椅子21と脚立20を押し出し、臥床者Kが当初乗っていたストレッチャー30の上に全身が来たことを確認し、該ストレッチャー30の昇降機構を上昇させ、ストレッチャー30上の布団が支持補助板13、その上の支持板12、これら板の上の臥床者Kの体重を支えていることを確認し、臥床者Kの右側(右手側)のストレッチャーを傍らへ寄せ、臥床者Kの乗っているストレッチャー30の右側(右手側)に作業スペースを作り、下腿部の支持板12、その下の支持補助板13を一度に抜去した。この時点で、大腿部から頭部へ合計それぞれ6枚の支持板12、支持補助板13が抜去されずに残っており、実施例7と同様、これら板を抜去して臥床者Kを臥床面15aに横たわった状態に戻すこともできるが、臥床者Kは下半身の下着を脱衣した状態であるので、臥床者Kの臥床状態への復帰作業は、この時点で中断し、下半身の下着の着衣の実施例12に移行した。
尚、実施例10と本実施例11は連続しており、実施例10の最初の支持板12の挿入から下半身の下着を除去し、車椅子21への移乗までの経過時間は、約10分半、トイレへ移動し用を足し、車椅子21に再度ドッキングするまでの経過時間が約13分、臥床者Kをベッドに臥床させ、下半身の下着を着衣する操作の直前までの経過時間が約22分であった。
本実施例11により、身体リフトシステム100を利用して、看護師や介護者が一人で、自ら動けない寝たきり者が臥床しているベッドやストレッチャーの入れ替え、他のベッドやストレッチャーへの移動、使用中のベッドの床面上での上下(頭方向、足方向)、左右(左手方向、右手方向)の移動など臥床者Kとベッドの相対位置の変更、調整、自ら動けない寝たきり者を車椅子21へ移乗させることが可能となった。本発明による車椅子21への移乗を、既に市販されているトイレ用車椅子21、入浴用車椅子21など各種車椅子21と連携させることにより、自ら動けない寝たきり者におかれても、トイレで用を足し、入浴も可能になることを確認した。
〔実施例12〕
実施例11から引き続き、市販のストレッチャー(PARAMAUNTBED KK-700-095D)上に、表面のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にして略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの大きさを有する布団を載せ、その上に大腿部、上方臀部、腰部、胸部、肩部、頭部の直下に支持板12、その下に支持補助板13が挿入された臥床者Kが横たわっている状態から、本実施例12は開始した。
(1)実施例10で脱衣させたパジャマのズボンを、まず、臥床者Kの両脚の膝の少し上まで穿かせ、枕の下の頭部の支持板12、支持補助板13を合わせて抜去した。
(2)その後、大腿部の支持補助板13の下に、続いて上方臀部の支持補助板13の下に、仕様は支持補助板13と全く同じ仕様の第4の板をそれぞれ挿入した。
(3)膝上まで穿かせたパジャマのズボンを、大腿部の支持板12の上を滑らせながら、臥床者Kの身体と板の間に挟まって移動抵抗を感じる時は、介護者が臀部を少し持ち上げながらズボンを穿かせた。
(4)その後、大腿部の第4の板、大腿部のもう1枚の支持補助板13の順に、続いて上方臀部の第4の板、上方臀部のもう1枚の支持補助板13を抜去し、引き続き、腰部、胸部、肩部の支持補助板13を抜去した。
(5)肩部、胸部、腰部、上方臀部、大腿部の支持板12を抜去し、臥床者Kを安静臥床状態に戻した。
尚、実施例10の最初の支持板12の挿入開始時から、本実施例12の臥床者Kが支持板12、支持補助板13が敷かれた状態でのベッドへ復帰後、臥床者Kの下着の着用までの経過時間は約23分半、板を全て抜去し、臥床者Kを安静臥床状態に戻すまでの経過時間は約24分半であった。
本実施例12により、身体リフトシステム100を使用することで、寝たきり者など自ら動けない臥床者Kに看護師や介護者が一人でパジャマのズボンなど、衣服、下着の着衣が可能なることを確認した。
以上、実施例10から実施例12の各操作と概略の経過時間、所要時間を〔表10〕にまとめて示す。
Figure 2023121867000011

〔実施例13〕
実施例5で使用したのと同様、新生児人形、支持板12として硬質ポリ塩化ビニルの板(タキロン株式会社製SAKK608、厚み3mm、幅100mm、長さ900mm、挿入先端と両側面はテーパー加工、挿入先端の左右角部位は面取り加工)、市販のベッド(パナソニック電工株式会社、在宅用電動介護用ベッドRS、1975mm×998mm)上に市販のマットレス(約194cm×約96cm)を載せたものを用い、その上に表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、図6に示すように、新生児人形のオムツ交換を実施した。
ベッド上のシーツの縫い目のない平な部分に、新生児人形に木綿を素材とした寝衣をたるみなく着衣させ、人形の背中にはしわが認められない状態に着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、人形の手は左右に広げ仰臥している体位にし、実験を行った。
(1)新生児人形の直下、すなわち布団のシーツとの間に、支持板12を挿入し(板の長手方向の中線が頭頂から約21cmの人形の正中面と交わる位置に)、その後、脚部の寝衣をたくし上げ、針金入り発泡プラスチックシート(SAM MEDICAL製、SAM SPLINT)を巻いて円筒形にし、継ぎ目部を粘着テープで固定したシリンダー40(外径約35mm)を新生児人形の膝下に挿入し、膝から大腿部が持ち上がる形にした。
(2)支持板12の端部を持ち上げ、約40mm厚の長方形状部材22(本実験では書籍を使用)を荷重支持部材14として使用し、その下に滑り込ませ、又、同様にシリンダー40の端を持ち上げ、厚さの異なる長方形状部材22を荷重支持部材14として用い、布団のシーツ面から人形の背面までの高さ、膝関節下面までの高さが概略同じ高さの約45mmに調整し、人形を支えた。尚、人形は胸部の直下と膝部で支えられているのみで、胸部から膝が挙上し、頭部と下腿部から踵部は垂れ下がっているが、臀部の部分のオムツの交換実験であるため、その他の板を挿入することなく実験を実施した。
(3)その後、大腿部と臀部の下、シリンダー40とシーツの間に形成された空間を使用して、人形が当初穿いていたテープとめ型のオムツのテープを外し、人形の下部の空間の下方へオムツを引いて脱衣し、ウェットテイッシューで臀部を清拭し、脱衣させたオムツと同じタイプのテープとめ型のオムツを人形の臀部の下に敷き、臀部、陰部と膝の間の空間を通してオムツの前に当てる部分を人形の上部に引きだし、人形の背面にあるオムツの人形の臀部に当てる部分の腰側についているテープを人形身体の側面に形成された空間を通して下から引き上げ、オムツの前後左右が適正に重なるように、又、強過ぎず、弱過ぎず、オムツが人形の臀部を包む形に調整しテープを止めた。人形の体重が支えられているので、両手でオムツの位置調整ができ、オムツの締め付け、緩みに影響するテープ止めの調節も容易に実施できた。
その後、たくしあげてあった寝衣をシリンダー40の下をくぐらせ、ベッドのシーツ面に沿って引き延ばし、シリンダー40を抜去し、人形の身体の上部の荷重支持部材14を左側、右側の順に除去し、円筒形の発泡シートを当初支えていた人形の下半身側の荷重支持部材14(書籍)を左側、右側の順に除去し、寝衣を整え、胸部下の支持板12を抜去し、操作を完了した。
本実施例13では支持板12の挿入からオムツ交換などの処置、その後の復帰までの所要時間は約3分であった。本実施例13により、身体リフトシステム100により、看護師や介護者は両手を自由に使用してオムツの交換、陰部の清拭ができること、オムツの代わりに差し込み便器や陰部洗浄器を臀部直下に挿入すれば、臥床者Kの臀部を身体リフトシステム100で支えながら、必要な時間両手を使って排泄補助が可能となることを確認した。又、医療、看護、又は介護を含む処置の必要に応じ、身体の一部を意識的に持ち上げる装置として身体リフトシステム100が使用できることも合わせ確認した。
〔実施例14〕
実施例6で使用した市販のストレッチャー(木村寝台工業株式会社製kpPARAMAUNT BEDとPARAMAUNT)に、表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、本布団上のシーツのフラットな部分に(縫合加工などない部分に)、市販の新生児人形を載せ、実験を行った。該新生児人形には、木綿を素材とした寝衣をたるみなく着衣させ、人形の背中にはしわが認められない状態に着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、人形の手は指を絡ませる形にし、人が手を組んで仰臥している体位で実施し、枕の代わりとして折り曲げたバスタオル(25cm×35cm、厚み2~3cm)を後頭部に敷いた。
本実験では、挿入補助板11は使用せず、支持板12は市販の金網入り硬質ポリ塩化ビニルの板(タキロン株式会社製SAKK608)で、厚さ3mm、幅約58cm、長さ約100cmのものを用いて行った。尚、幅約58cmの挿入先端、挿入先端に略直角な両サイドには、実施例2の〔表2〕に記載したものと同じテーパーを付け、挿入先端の左右の左右角部位は、実施例2と同様な面取りを行った。
支持板12は、新生児人形の足首を少し持ち上げ、足側から板の先端で布団のシーツを軽く押さえつける形で滑り込ませた。枕の部分まではスムーズに滑り移動し、挿入先端が枕を押したので、枕の反対側(支持板12の挿入側の反対側)を、支持板12を持たないもう一方の手で押さえながら支持板12を挿入し、新生児の頭部から踵部までの全体を一枚の支持板12に載せることができた。
又、同じ板の先端を看護、介護で使用するスリップシート(パラマウントベッド製、マルチグローブKZ-159033)で覆い、即ち、50cm×20cmのグローブを2つに折り、50cm×10cmのシートを先端に被せ、粘着テープで端部を止め、上記と同様に新生児人形の足首を少し持ち上げ足側から挿入した。挿入は抵抗も少なく推移し、挿入先端が枕を押した段階で、枕の反対側(支持板12の挿入側の反対側)を、支持板12を持たないもう一方の手で押さえながら支持板12を挿入し、新生児の頭部から踵部までの全体を一枚の支持板12に載せることができた。支持板12の挿入は、スリップシートを被せた方が軽く楽に挿入できた。
本実施例14により、大きな支持板12(3mm、約58cm、約100cm)、1枚物の板も挿入可能であること、又、スリップシートが挿入を助けることが確認できた。又、厚さ3mm、幅約58cm、長さ約100cmの板では、人形の背面は通過するが、枕など形状により物体を押し出すことも確認できた。
〔実施例15〕
実施例7と同じく、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1、縦194cm、横54cm)に、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、該布団のシーツの上に、身長176cm、体重58kgの成人男子を乗せた。本実施例15では、挿入補助板11として実施例1で使用した市販のプラスチック定規TCC0-102を、支持板12として実施例2で使用した硬質ポリ塩化ビニルの板(タキロン株式会社製SAKK608、厚み3mm、幅100mm、長さ900mm、挿入先端と両側面はテーパー加工、挿入先端の左右角部位は面取り加工)を用いた。
(1)ストレッチャーの布団の上に仰臥位に横たわった臥床者Kは、自ら挿入補助板11を頭部直下に挿入した。毛髪があるので、臥床者Kは、頭頂方向から顎部の方向へ市販のプラスチック定規TCC0-102のテーパーを利用する形で、即ち、本定規の断面の台形の短い辺が臥床者の身体の側に面し、長い辺がストレッチャー上の布団に面する形で、自ら頭部も少し浮かす形で挿入した。
(2)その後、臥床者Kが自ら挿入した挿入補助板11の直下に、介護者が支持板12を挿入した。支持板12は挿入補助板11と布団のシーツの間を滑り移動し、特に問題なく貫通した。
(3)介護者は、頭部の挿入補助板11と支持板12を抜去し、その後、臥床者Kは、(1)と同様に首部直下に挿入補助板11を挿入した。首部は布団のシーツ面との間に空間があるので、介護者は、挿入補助板11を押さえながら、挿入補助板11の直下、挿入補助板11と布団のシーツ面の間に支持板12を滑り込ませた。本支持板12は特に問題なく貫通した。
(4)(3)と同様に、介護者が首部の挿入補助板11と支持板12を抜去し、その後、被介護者は自ら肩部の直下に挿入補助板11を挿入し、介護者は挿入補助板11の直下、挿入補助板11と布団のシーツの間に支持板12を挿入した。本支持板12は特に問題なく貫通した。
(5)上記と同様に、臥床者Kは、身体直下の各部所に自ら挿入補助板11を挿入し、介護者は、臥床者Kが挿入した挿入補助板11の直下に支持板12を挿入し、挿入が確認されれば、一度全板を抜去し、順次、腰部、臀部、大腿部直下への挿入を繰り返した。身体各部所直下への挿入補助板11、支持板12の挿入、貫通は、特に問題なく実施できた。
本実施例15により、臥床者Kの健康度によるが、状況が許せば、長さ約30cmの挿入補助板11を、臥床者Kが自ら侵襲を調整しながら挿入することが可能なることを確認した。挿入補助板11が挿入されていると、支持板12の挿入は困難なく、又、支持板12の直下に支持補助板13を挿入することもできるので、被介護者と介護者の連携による床上生活のADL、QOLの向上が可能となることが確認された。
〔実施例16〕
図10に示すように、ストレッチャー15を2台縦長に並べ、即ち頭側に実施例7で使用したのと同じ村中医療器株式会社、ナーシングストレッチャー、NST-1(縦194cm×横54cm、高さ58~99cm)を、脚側に実施例7で使用したのと同じPARAMAUNT BED KK-700-095D(縦190cm×横54cm、高さ55~87cm)を配置し、該2台のストレッチャー15の間に幅12cm、長さ36cmの平板を持ち昇降機能を有する支持器24(部分昇降部の一例:オーバーベッドテーブルPARAMAUNT BED KF-270-0095Dからテーブル板を外したもの)を挟み、ストレッチャー15、2台の接続部分が昇降するベッドを自製した。オーバーベッドテーブルから作成した支持器24は、図10に示すように2台のストレッチャー15の間に置き、前後左右の空間も含め対称な形に配置した。ストレッチャー15の間の距離は22cmであり、その間に前後左右が対称になるように幅12cm、長さ36cmの支持台を配置し、頭側のストレッチャー15、支持器24、脚側のストレッチャー15の高さが同一になるように高さを調整した。
自製のベッドに、実施例1で使用したのと同じ市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、頭側のストレッチャー15の支持器24とは反対側の端面から106cmの位置に布団の先端部が来るように敷き、自製ベッドに布団が左右対称になるように調整した。その上に身長176cm、体重65kgの患者役の成人男子の実験者が、臀部が支持器24の上になるように臥床し(具体的には、大転子が頭側のストレッチャー15の支持器24側端面に、大転子と膝の中間部分が脚側のストレッチャー15の支持器24側の端面に乗る形に配置し)、自製ベッドに対して患者役の臥床者Kの位置が左右対称になるように微調整し、実験準備は完了とした。尚、患者役の実験者は実施例10で用いたのと同じ市販のパジャマを着用し、頭部にはバスタオルを折り畳んだ枕を敷いた。
(1)本実施例16は、支持器24を下げた時の支持板12や支持補助板13の挿入難易性を確かめることを目的としているが、比較のため、2台のストレッチャー15と支持器24の高さが同一の時点での板の挿入難易を測る実験も行った。
(2)もう一人の看護師や介護者役の実験者は、臥床者Kの臀部の直下に実施例2で使用した支持板12(タキロン株式会社製SAKK608のプラスチックの板、挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を患者役の実験者と布団の上表面の間へ挿入した。挿入は問題なく行われ、次に支持板12を挿入のガイドとして、実施例7で使用した支持補助板13と同仕様の杉の木の板(厚み14mm)を支持補助板13として挿入した。挿入は問題なく行われた。その後、支持補助板13を抜去し、続いて支持板12を抜去した。
(3)次に支持器24の昇降機能を利用して、支持器24の高さをストレッチャー15の上面から8cm降下させた。患者役実験者は、支持器24が降下したため、大転子から大転子と膝の中間部分までは支えがない状態であるが、大転子と大腿部で支えられ、又、本身体部分直下の布団がハンモックの機能を有していると考えられ、患者役の臥床者Kの臥床状態は目視では変化なく、臥床者本人からは、やや違和感あるが不安定さなし、安寧は得られるとのコメントがあった。
看護師や介護者役の実験者は、患者役の実験者と布団の上表面の間に支持板12を挿入した。患者役の臥床者Kからは、支持板12の挿入に関し抵抗感はなかったとのことであった。続いて支持補助板13を挿入したが、支持補助板13も板の挿入に関し抵抗感はなかったとのことであった。
(4)その後、支持器24の昇降機構を利用して、支持器24を上げ、2台のストレッチャー15と同じ高さにし、支持器24の昇降が無い時と同じ挿入状態、(2)の状態を再現した。
(5)再度支持器24を下げ、支持板12、支持補助板13を合わせて抜去した。抜去時にも看護師や介護者役の実験者は、抵抗感なかった。
(6)以下では、支持板12として(2)から(5)で使用した、即ち、実施例2で使用した支持板12(タキロン株式会社製SAKK608のプラスチックの板、挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)と、これも(2)から(5)で使用した、即ち、実施例7で使用した支持補助板13と同仕様の杉の木の板(厚み14mm)を支持板12として使用するので、区別のために、支持板12(プラスチックの板)、支持板12(杉の板)と材料を明示しつつ使用する。
(2)、(3)と同じ方法で、支持器24がストレッチャー15と同じ高さの時と、支持器24を8cm降下させた時の2つの状態で、今次は(2)から(5)で支持補助板13として使用した杉の木の板(厚み14mm)を支持板12として用い挿入難易の比較実験を行った。
(2)、(3)の支持板12(プラスチックの板)、支持補助板13の挿入実験と合わせ、結果を〔表11〕に示す。
(7)(3)の支持台を下げた状態で、患者役の実験者自ら、臥床状態で支持板12(プラスチックの板)を左手でつかみ、患者の臀部と布団の上表面の間にたぐり入れる形で挿入した。該支持板12は大きな抵抗もなく臀部下を貫通した。その後、左右両手を用いて板の左右のはみ出し部分が均等になるように調整し、その後抜去した。本結果も合わせ〔表11〕に示す。
(8)(7)と同様に、(3)の支持器24を下げた状態で、患者役の実験者自ら、臥床状態で支持板12(杉の板)を左手でつかみ、自ら挿入、抜去実験を実施した。本結果も合わせ〔表11〕に示す。
尚、本実施例16では支持板12はプラスチックの板と、杉の板の2種使用しており、本表では、支持板12(プラスチックの板)、支持板12(杉の板)と材料を指定して記載した。
Figure 2023121867000012
本実施例16により、医療又は看護又は介護を含む処置に必要な支持板12(プラスチックの板)や支持板12(杉の板)、支持補助板13の挿入に関し、これら板の挿入必要個所に該当するベッド床板が部分的に降下することにより、支持板12(プラスチックの板)や支持板12(杉の板)、支持補助板13の挿入に際して、ベッド機能としての臥床者Kの体重保持機能を保ちつつ、臥床者Kへの侵襲の低下が可能なること、又、看護師や介護者の挿入作業が軽量化、容易化されること、又、臥床者Kの健康状態にもよるが、臥床者K自らも自身と臥床ベッド上の布団との間へ支持板12(プラスチックの板)や支持板12(杉の板)、支持補助板13を挿入できることが確認された。以下の〔表12〕に上記実施例1~16の概要を示す。
Figure 2023121867000013

〔実施例17〕
(1)実施例7と同様、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1、縦194cm、横54cm)に、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を二つ折にして載せ、略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの布団を一つの布団のように使用し、模擬マットレス面とした。その上に、袋式のベッドシーツに入れた夏布団(縦185cm、横120cm、厚み約2cm)を、これも長さ方向に二つ折にして重ね、その上面を臥床者が横たわる模擬敷布団面とした。本模擬布団面は布団の一般的性質であるが、柔軟部材60として柔軟性を有す。
(2)上記の模擬敷布団面の上に、市販のパジャマを着用させ、身長177cm、体重68kgの臥床者K役の成人男子実験者を、手掌を組んだ形で仰臥位に臥床させた。又、枕の代わりとして折り曲げたバスタオル(25cm×35cm、厚み2~3cm)を後頭部に敷いた。
(3)尚、模擬マットレス面、模擬敷布団面ともに、布団を二つ折にしたものを使用しており、折り畳んだ背の部分(看護、介護用語では“わ”と言うが)、模擬マットレス面の“わ”は、臥床者の左手方向、模擬敷布団面の“わ”は、臥床者Kの右手方向であった。
(4)看護師・介護者役の成人男性が、臥床者役の実験者の右側に立ち、実施例7で使用した支持板12と同仕様の空間形成支持板61bを、本実施例では、模擬マットレス面(臥床面15a)と模擬敷布団面の間に、頭側から足側へ略敷き詰める形で、合計16枚挿入した。
(5)次に、空間形成支持板61bの直下に、空間形成支持板61bをガイドとして、これも実施例7で使用したのと同様仕様の空間形成支持補助板61cを空間形成部材61として16枚挿入した。挿入はスムーズに抵抗なく実施された。
次に、空間形成支持板61b及び空間形成支持補助板61cを、挿入部材(挿入支持部材)としての支持板12及び支持補助板13として利用する工程について説明する。
(6)この時点で、模擬敷布団面は、空間形成支持板61bと空間形成支持補助板61cの厚み相当分、略17mm持ち上がった状態にあるが、この状態で、まず、頭側の空間形成支持板61bを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、抜去した空間形成支持板61bを臥床者Kの枕と模擬敷布団面の間(挿入空間Sp)へ支持板12として挿入した。挿入は大きな抵抗もなく、スムーズに実施された。
(7)次に、頭側の空間形成支持補助板61cを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、該空間形成支持補助板61cを、臥床者Kの枕と模擬敷布団面の間へ挿入した支持板12の直下に、支持板12をガイドとして挿入した。挿入は大きな抵抗もなく、スムーズに実際された。
(8)次に、肩部にて、空間形成支持板61bを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、空間形成支持板61bを臥床者Kと模擬敷布団面の間へ支持板12として挿入し、次に、肩部にて空間形成支持補助板61cを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、該空間形成支持補助板61cを支持補助板13として、模擬敷布団面の間へ挿入した支持板12の直下に支持板12をガイドとして挿入する操作を行い、順次、腰上部、臀上部、大腿上部、下腿上部、踵部にて同様の操作を繰り返し実施した。肩部から足首部の挿入に関しても大きな抵抗もなく、スムーズに実際された。
(9)(8)の操作終了後の、袋式のベッドシーツに入れた夏布団を二つ折にした柔軟部材60上下の空間形成支持板61b、空間形成支持補助板61c、支持板12、支持補助板13の配置を〔表13〕に示す。
(10)その後、袋式のベッドシーツに入れた夏布団を二つ折にした柔軟部材60、模擬敷布団面の下にある空間形成支持板61b、空間形成支持補助板61cを足側から頭側へ順次抜去し、実施例7の荷重支持装置と結合直前の支持板12、支持補助板13の配置が形成できた。この後、実施例7と同様に、荷重支持装置と結合すると臥床者Kと臥床面15aの間に、医療、看護、又は介護を含む処置に使用される空間が形成できる。本状態までの所要時間は、10分弱であった。
(11)本実施例17により、空間形成支持板61bや空間形成支持補助板61cを抜去した部分の柔軟部材の模擬敷布団面は、少し下方へ向かって弛む傾向があること、又、本弛みを挿入空間Spとして利用すると挿入部材(支持板12や支持補助板13)がより容易に臥床者Kと模擬布団面との間に挿入できることが確認された。又、臥床者K役の成人男子実験者からも、本法での支持板12、支持補助板13の挿入は実施例7の挿入方法に比べ、挿入空間Spにより挿入時の圧力が軽減されるためか、挿入時の異物感は減少していると思うとのコメントがあった。
(12)尚、布団(柔軟部材)の下面から布団の上への板の移動は、本実施例で示した7本に限らず、臥床者Kの背面の状態(褥瘡、傷害部など)を勘案し、本数や場所は適宜選択して実施しても良い。又、本実施例では、柔軟部材60の下に空間形成支持板61bと空間形成支持補助板61cを略敷き詰めたが、挿入空間Spの形成には必ずしも敷き詰める必要はなく、適宜間引いても良い。
Figure 2023121867000014

〔実施例18〕
(1)実施例17と同様にストレッチャー、模擬マットレス面、模擬敷布団面を使用し、当該実施例18では、実施例7で使用した杉の板を、柔軟部材60との組み合わせであることを配慮し、空間形成支持板61b及び杉の板からなる支持板12として用いた。最初に、模擬マットレス面と模擬敷布団面の間に、臥床者Kの頭側から空間形成支持板61bを略敷き詰める形で踵部まで17本挿入した。挿入は大きな抵抗もなく、スムーズに実際された。
尚、実施例17では空間形成支持板61b(幅100mm)を挿入し、その直下に空間形成支持補助板61c(幅90mm)を挿入したが、本実験では空間形成支持板61b(幅90mm)のみ挿入した。これら板の幅に差があるため、本実験では空間形成支持板61bは17本の挿入となった。
(2)この時点で、疑似敷布団面は、空間形成支持板61bの厚み相当分、略14mm持ち上がった状態にあるが、まず、頭側の空間形成支持板61bを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、臥床者Kの枕と模擬敷布団面の間へ挿入した。挿入は大きな抵抗もなく、スムーズに実際された。
(3)次に、肩上部にて空間形成支持板61bを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、臥床者Kと模擬敷布団との間(挿入空間Sp)に、当該空間形成支持板61bを支持板12として挿入した。順次、腰上部、腰下部、臀上部、大腿上部、膝下部、足首部にて同様の操作を繰り返し実施した。肩上部から足首部の挿入に関しても大きな抵抗もなく、スムーズに実際された。
(4)本実施例18により、空間形成支持板61bを抜去した部分の柔軟部材60の模擬敷布団面は、少し下方へ向かって弛む傾向があること、又、本弛みを挿入空間Spとして利用すると空間形成支持板61bが支持板12として直接、容易に、臥床者Kと模擬布団面との間に挿入できることが確認された。
(5)(4)の操作終了後の、袋式のベッドシーツに入れた夏布団を二つ折にした柔軟部材60上下の空間形成支持板61b及び支持板12の配置を表14に示す。
(6)その後、空間形成支持板61bを足側から頭側へ順次抜去し、実施例7の荷重支持部材14と結合直前の支持補助板13の配置が形成できた。実施例7と同様に、荷重支持部材14と結合すると臥床者Kと臥床面15aとの間に、医療、看護、又は介護を含む処置に使用される空間Sが形成できる。本状態までの所要時間は、約5分半であった。
(7)本実施例18により、空間形成支持板61bを抜去した部分の柔軟部材60の模擬敷布団面は、少し下方へ向かって弛む傾向があること、又、本弛みを挿入空間Spとして利用すると支持板12もより容易に臥床者Kと模擬布団面との間に挿入できることが確認された。又、臥床者K役の成人男子実験者からも、本法での支持板12の挿入は、実施例17の支持板12+支持補助板13の挿入方法に比べ、挿入空間Spにより挿入時の圧力が軽減されるためか、支持板12のみの挿入でも、挿入時の異物感に違いは感じられなかったとのコメントがあった。
(8)尚、布団(柔軟部材60)の下面から布団の上面への板の移動は、本実施例18で示した8本に限らず、臥床者Kの背面の状態(褥瘡、傷害部など)を勘案し、本数や場所は適宜選択して実施しても良い。又、本実施例18では、柔軟部材60の下に空間形成支持板61bを略敷き詰めたが、挿入空間Spの形成には必ずしも敷き詰める必要はなく、適宜間引いても良い。
Figure 2023121867000015

〔実施例19〕
(1)実施例18と同様のストレッチャー、模擬マットレス面、模擬敷布団面を使用し、実施例18と同様に、杉の板を空間形成支持板61bとして使用し、実験を行った。模擬マットレス面と模擬敷布団面の間に、臥床者Kの頭側から空間形成支持板61bを略敷き詰める形で踵部まで17本挿入した。
(2)次に、肩上部の下の模擬マットレス面と模擬敷布団面の間に挿入した空間形成支持板61bの一部を抜去し、空間形成支持板61bを抜去することにより模擬布団(柔軟部材60)が弛み、挿入空間Spが形成できるので、本空間Spを利用して、市販のスーツケースベルト13(挿入支持部材の一例、Smartip製、ワンタッチスーツケースベルト。幅5cm、長さ約2mを190cmに附属のコキで長さを調整し、口金の凹凸を篏合した形で使用。約95cmのリングを折り畳んだ平板矩形状。口金を篏合すると、バックルの先端部に面取り加工がしてあり、臥床者Kと模擬布団面との間へ挿入することができる)を挿入した。
(3)同様に腰中部の個所の模擬マットレス面と模擬敷布団面の間に挿入した空間形成支持板61bを抜去し、空間形成支持板61bを抜去することにより模擬布団(柔軟部材)が弛み、挿入空間Spが形成できるので、本空間Spを利用して、市販のスーツケースベルを挿入した。
(4)臥床者Kと模擬布団面との間にスーツケースベルト2本が挿入された状態での、袋式のベッドシーツに入れた夏布団を二つ折にした柔軟部材60の下の空間形成支持板61b、当該空間形成支持板61bの上の挿入支持部材としてのスーツケースベルトの配置を〔表15〕に示す。
(4)本実施例19にて、空間形成支持板61bと柔軟部材60を使用し、挿入空間Spを形成することで、スーツケースベルトのような可撓性の大きい挿入部材(挿入支持部材)も臥床者Kと模擬布団面との間に困難なく挿入できることが確認された。
Figure 2023121867000016

〔実施例20〕
(1)実施例19で使用したのと同様の市販のスーツケースベルト16本と、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1、縦194cm、横54cm)、ストレッチャー(PARAMONT BED KK-700-095D)、ストレッチャー(PARAMONT BED KA-881)、それに、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(柔軟部材の一例、100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)、袋式のベッドシーツに入れた夏布団(縦185cm、横120cm、厚み約2cm)を使用して実験を行った。
(2)市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、ストレッチャーNST-1の幅と該ストレッチャーに載せる布団の幅が異なるが、今次は二つ折りにせず、ストレッチャー(幅54cm)からはみ出した分(布団100cm)は、臥床者K役の成人男子実験者が横たわった時に、臥床者Kの右側に垂らす形にし、模擬マットレス面とした。該布団の上に、袋式のベッドシーツに入れた夏布団(縦185cm、横120cm、厚み約2cm)を、これは長さ方向に二つ折にして重ね、“わ”が臥床者K役の成人男子実験者が横たわった時に、臥床者Kの左側に来る配置にし、模擬布団面として実験を行った。
(3)ストレッチャー(PARAMONT BED KA-881)とストレッチャー(PARAMONT BED KK-700-095D)は、それらの側面にストレッチャーの長さ方向に沿ってパイプ状の金具(荷重支持部材の一例)を有するが、これらパイプ状の金具を利用する形で、それぞれのストレッチャーを長手方向に平行に約60cm離して対置し、それぞれのパイプにリング状のスーツケースベルト(空間形成部材及び挿入支持部材の一例)が通る形に配置し(スーツケースベルトの口金を使用すると脱着可能)、本実施例20では、該リング状のスーツケースベルトを空間形成部材及び挿入部材(挿入支持部材)として使用する。尚、対置した2台のストレッチャーの間に臥床者Kが乗る市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)を配置して実験を行った。
(4)市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)の面の高さを86cmに調整し、その上に市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団、その上に袋式のベッドシーツに入れた二つ折した夏布団が載っており、その上に実施例17と同じ臥床者K役の成人男子実験者が乗った形で、又、枕の代わりとして折り曲げたバスタオル(25cm×35cm、厚み2~3cm)を後頭部に敷いて実験はスタートした。
(5)臥床者Kの左手側に配置するストレチャーのパイプには、スーツケースベルトを通し、口金を閉め、リング状のスーツケースベルトを16本ぶら下げた形に、前もって準備した。
(6)実施例17と同様に、看護師・介護者役の成人男性が、臥床者K役の実験者の左側に立ち、スーツケースベルトをストレッチャー(PARAMONT BED KA-881)越しではあるが、模擬マットレス面と模擬敷布団面の間に、頭側から足側へ略均等に挿入し、その後、臥床者Kの右側に移動し、模擬マットレス面と模擬敷布団面の間にある口金で篏合されたリング状のスーツケースベルトを引き出し、合計16本、臥床者Kの右側に到達させた。
(7)この時点で、もう1台のストレッチャー(PARAMONT BEDKK-700-095D)を臥床者Kの右側に接するように配置し、該ストレッチャーが長手方向に有するパイプに、引き出されたスーツケースベルトの口金を一度外し、パイプを囲む形で再度口金を篏合させ、下から上へ、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団/両端がパイプ状の金具で吊り下げられたリング状のスーツケースベルト/袋式のベッドシーツに入れた夏布団/臥床者K、の配置を形成した。
(8)スーツケースベルトでは、空間形成支持板60bのような段差が付かないので、臥床者Kが乗っているストレッチャーを12cm下げ、16本のスーツケースベルトからなるハンモックが模擬敷布団面と臥床者Kを支える形を形成した。
(9)実施例17や18で、空間形成支持板60bや空間形成支持補助板61cを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、空間形成支持板60bや空間形成支持補助板61cを、支持板12や支持補助板13として臥床者Kと模擬敷布団面の間へ挿入したように、模擬敷布団面を支えている16本のスーツケースベルトを1本ずつ、模擬布団面の下から上へ、即ち、臥床者Kと模擬布団との間(挿入空間Sp)へ移動した。移動は、臥床者Kの右側にあるリング状のスーツケースベルトの口金を一度外し、結合しているパイプから解放し、その後、再度口金を篏合しリング状にし、臥床者Kの左側へ抜き出し、次に、模擬布団面の上部と臥床者Kの間を通し、再度、臥床者Kの右側に持ち来たし、右側にあるパイプの所で口金を外し、パイプを囲む形にしてから、再度篏合し、両端がパイプで支えられたリング状のスーツケースベルトが臥床者Kと模擬布団面の間に存在する形を形成した。スーツケースベルトの模擬布団面の下部から上部への移動は、肩部、胸上部、頭部の順に、又、その後は、胸中部から足首部へ順次実施した。当初、頭部の垂れを懸念した順番であるが、臥床者Kの乗っているストレッチャーの面を12cm下げても、ハンモックの状に全体が下方に向かって垂れるので、頭部はいつも支えられていた。本実験では、スーツケースベルトを1本外しても、残りの15本で臥床者Kを乗せた模擬布団面は支えられており、臥床者の支持に関する不安定さは見られなかった。
(10)16本のスーツケースベルトの模擬布団面の下部から上部への移動を終了した状態でのスーツケースベルトの配置を〔表16〕に示す。又、この状態までの所要時間は約15分であった。
(11)その後、臥床者の背面の空間形成を確認するために、更に6cm臥床者の乗っているストレッチャーを降下させ(合計18cm)、模擬布団面を臥床者の頭側から抜き出した。模擬布団面の抜き出しは抵抗なく行え、模擬布団面を抜き出した後に、臥床者と模擬布団面との間に空間(挿入空間Sp)を確認した。
(12)その後、模擬マットレス面(市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団)がむき出しになっているストレッチャーの床面を上昇させ、体重が該ストレッチャーに移動したことを確認後、臥床者Kの右側のパイプに結合されているスーツケースベルトの篏合を16個全て外し、臥床者Kの右側のパイプとの結合を外した後、口金は再度篏合し、スーツケースベルトのリング状を矩形状に押しつぶした形態にした後、看護師・介護者役の実験者が臥床者の左側へ移動し、リング状を矩形状に押しつぶした形のスーツケースベルトを左側からゆっくり引っ張る形で抜き出した。口金が面取りされており、抜き出しは大きな抵抗もなく実施出来た。本(12)の過程の所用時間は約3分であった。
(13)臥床者K役の実験者の感触は、抜き出し時には、特に侵襲もなく、背中の部分に何かが通っている感じで、「ベルトを抜きます」との声かけで十分ではないかとのことであった。
(14)本実施例20と実施例19にて、スーツケースベルトのような帯状構造体と模擬敷布団面のような柔軟部材60を使用することによっても、臥床者Kと模擬布団面との間に挿入空間Spを形成できることが確認され、又、本挿入空間Spを利用すると、より可撓性の大きいスーツケースベルトのような繊維製材料や網状材料なども空間形成部材及び挿入部材(挿入支持部材)として使用可能なることが確認された。
Figure 2023121867000017
〔別実施形態〕
(1)これまで説明してきたように、挿入部材は、挿入補助板11(挿入支持部材の一例)、支持板12(挿入支持部材の一例)、及び支持補助板13から構成することができるが、本願に係る身体リフトシステム100にあっては、挿入補助板11、支持板12、及び支持補助板13の夫々は、臥床面方向(図1、2で矢印Yに沿う方向)で複数設けても構わない。また、挿入補助板11、支持板12、及び支持補助板13の夫々は、臥床面方向に直交する直交方向(図1、2で矢印Zに沿う方向)において、複数が重層する形態で設ける構成を採用しても構わない。
(2)上記第1、2実施形態では、昇降機構15は、臥床面15aを、直接昇降させるストレッチャー等の臥床面昇降装置である構成例を主に示した。
しかしながら、昇降機構15は、臥床面15aと臥床者Kとの間への挿入状態にある挿入部材(支持板12.挿入補助板11及び支持補助板13を含む場合もある)の挿入方向での両端部を支持する荷重支持部材14の挿入部材との結束部を、鎖等の紐状部材を介して吊り下げ支持する共に、紐状部材を巻き上げ又は巻き下げする形態で荷重支持部材14を昇降するホイスト等から構成しても構わない。
(3)上記第1、2実施形態において、臥床面15aとしては、昇降機構15を有するストレッチャー等を含むベッドの上面を主に示した。
しかしながら、当該臥床面15aは、室内床の上面、ベッド又は室内床に敷かれた寝具の上面(第2実施形態は除く)、及び屋外の路面の少なくとも1つを含むものである。
具体的には、臥床者が臥床している臥床面としては、ベッド上の布団やシーツのみならず、和室に敷かれた布団、麻酔薬や筋弛緩剤の投与により短時間の寝たきり臥床状態にある患者が載っている手術台、家庭生活の場で、例えば、人が転倒した場合のカーペット、畳、ゴザ、災害時の傷害者が臥床している道路、路面、地面など、又、人以外では、医学実験用の豚や羊で麻酔薬や筋弛緩剤が投与され、短時間の寝たきり臥床動物が載っているX線撮影台やMRI撮影台など、人や動物が動けなくなり、又は、ほとんど動けなくなり横たわり、臥床している生活空間中のあらゆる臥床面が含まれる。
(4)尚、挿入補助板11、支持板12、支持補助板13の挿入先端部は、挿入先端角部位と挿入先端稜線部位の一部が、面取り加工されている構成も、本願の権利範囲に含むものである。
より詳しくは、2つある挿入先端角部位は、何れか一方のみが面取り加工されていても構わないし、両方が面取り加工されていても構わない。また、挿入先端稜線部位が面取り加工されている場合には、すべての挿入先端角部位は、面取り加工されていなくても構わない。
6つある挿入先端稜線部位は、少なくとも1つ以上、面取り加工されていれば、すべて本願の権利範囲に含むものとする。また、挿入先端角部位が面取り加工されている場合、すべての挿入先端稜線部位が、面取り加工されていなくても構わない。
(5)身体ホルダー200は、主材料54及び加熱冷却装置55のみを備える構成を採用しても構わない。
(6)身体ホルダー200は、当該主材料54及び加熱冷却装置55を備える構成に加え、緩衝材51と断熱材52と軟質の袋様容器53のうち、何れか1つを備える構成を採用しても構わない。
(7)身体ホルダー200は、当該主材料54及び加熱冷却装置55を備える構成に加え、緩衝材51と断熱材52と軟質の袋様容器53のうち、何れか2つを備える構成を採用しても構わない。
(8)上記第1、2実施形態においては、緩衝材51と断熱材52とを別部材にて構成する例を示したが、これらは、一部材から構成しても構わない。
即ち、緩衝材51と断熱材52に替えて、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形した状態において操作対象部位への侵襲や浮動不安定性を低減する緩衝機能と、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形した状態において低温加熱に伴う温熱及び冷却に伴う冷熱が操作対象部位へ伝導することを抑制する断熱機能とを有する緩衝断熱材を有する構成を採用しても構わない。
即ち、緩衝材51と断熱材52としては、ともに、布やタオル地、プラスチックの発泡体が使えるため、材料により緩衝材51と断熱材52の性質を兼ね備えた緩衝断熱材として一体化して使用することもできる。但し、これらの例によって、緩衝断熱材に使用できる材料が限定されるものではない。
(9)身体ホルダー200は、体位固定具、体位変換具、移動補助具、バックレスト、フットボート、体圧分散クッション、床板硬軟変化ベッドの何れか一つに用いられることが好ましい。
(10)本願の身体ホルダー200は、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護処置以外にも使用でき、例えば、健常者用のバックレストや体圧分散クッション等にも使用できる。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、寝たきり者用ベッドや災害時の負傷者の搬送装置などに作り込むことが可能で、その結果、寝たきりの臥床者Kや災害時の負傷者が、看護師や介護者の援助を得て、又は、看護師や介護者と協力して、衣服の着脱や車椅子、担架へ移動が可能となる。又、車椅子との連携で、トイレへの移動・用足し、入浴も可能となり、加えて、ベッド上のケアーが必要な場合、シーツの交換やシーツのしわ除去、体位変換、清拭、排泄補助なども身体リフトシステム100によって形成された自由な空間を利用することでより安全、安楽に実施することができる。加えて、介護者や救助者も臥床者Kや被災者の重量から解放され、腰痛防止にも貢献できる。
11 :挿入補助板
12 :支持板
12a、12d :挿入先端角部位
12b、12c、12d、12e、12f:挿入先端稜線部位
13 :支持補助板
14 :荷重支持部材
14a :荷重支持部位
15 :昇降機構15a :臥床面
24 :支持器(部分昇降部)
51 :緩衝材
52 :断熱材
53 :袋様容器
54 :主材料
100 :身体リフトシステム
200 :身体ホルダー
K :臥床者
支持板を臥床者直下と臥床面の間に挿入する時、布団のシーツのシワや、臥床者の寝衣のシワなどにひっかかり、滑りこませる操作に抵抗を感じる場合がある。このような場合には、支持板の挿入面内で、挿入方向に直交する方向での幅よりも、該方向での幅が幅狭に形成されている挿入補助板であって、幅狭を一因として挿入抵抗が低い挿入補助板を、臥床者と臥床面との間に先に挿入し、当該挿入補助板にガイドされる形態で、支持板を、挿入補助板の下方に挿入することが好ましい。
これにより、支持板を、布団のシーツのシワや臥床者の寝衣のシワにひっかけることなく、良好に挿入することができる。
上記目的を達成するための身体リフトシステムは、
医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床者と臥床面との間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステムであって、その特徴構成は、
前記臥床者と前記臥床面との間に介在可能な柔軟部材を備え、
前記柔軟部材は、前記臥床者と前記臥床面との間に介在している状態において、前記臥床面との間に所定の厚みを有する長尺状の空間形成部材の複数を前記臥床面に沿う方向で間隔を隔てて挿入されたときに、複数の当該空間形成部材の間で且つ前記臥床者との間に挿入空間を形成する柔軟性を有し、
少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材を前記挿入部材として備え、
前記挿入支持部材は、前記臥床者と前記臥床面との間への挿入方向での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工され、
前記挿入空間への挿入状態にある前記挿入支持部材を支持する荷重支持部材を備え、
前記荷重支持部材に支持され前記挿入状態にある前記挿入支持部材と前記臥床面との間を離間させる昇降機構を備え、前記昇降機構を働かせて、前記臥床者と前記臥床面との間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を形成する点にある。
更に、本願の発明者らは、鋭意検討した結果、家庭のベッドや病院のベッド上の布団やシーツなどの臥床面上に横臥している人や動物などの臥床者の身体をそのまま、身体の各部を可能な限り、不必要に相対的に動かすことなく、又、凹凸による侵襲が格段に小さく、又、臥床者の体重支持や持ち上げ時の、臥床者身体への応力集中を避けるために、必要に応じ臥床者の身体直下の全域を覆い応力分散をすることもでき、又、必要に応じ身体直下の一部のみを覆うこともでき、加えて、持ち上げ箇所に障害を有する臥床者には、その直下部分を支持や持ち上げ箇所から外して使用することができる装置で、身体を持ち上げ、又は、身体を支えた状態でベッドの臥床面を低下させるなどにより、臥床者と臥床面を相対的に上下分離し、臥床者と臥床面の間に空間を形成することができる装置及び方法、即ち、身体リフトシステムを完成した。
特に、上記特徴構成によれば、臥床者と臥床面との間に柔軟部材を介在させている状態において、臥床面との間に所定の厚み(例えば、0.5mm以上50mm以下の厚み)を有する長尺状の空間形成部材の複数を臥床面に沿う方向で間隔を隔てて挿入することで、複数の空間形成部材の間で且つ柔軟部材と臥床者との間に挿入空間を形成することができる。このように形成された挿入空間には、比較的剛性の高い硬質ポリ塩化ビニル板や杉の板及び比較的柔軟性の高いスーツケースベルトやシートベルト等から成る挿入支持部材を容易に挿入できると共に、当該挿入に伴う臥床者への侵襲を十分に小さくできる。
因みに、臥床者と臥床面との間に柔軟部材を介在させ、柔軟部材と臥床者との間に挿入空間を形成する時の臥床面とは、介在させた柔軟部材の臥床者とは反対側で柔軟部材と接触する面、例えばベッドの上面を意味し、ベッドの上面に載せられた柔軟部材(布団が介在させた柔軟部材となる場合もある)としての布団等の上面を意味するものではない。
そして、挿入状態にある挿入支持部材を荷重支持部材にて支持した状態で、例えば荷重支持部材を昇降機構により上昇させる、又はベッドの上面等の臥床面を昇降機構により降下させることにより、臥床者と臥床面(及び布団等の上面)との間に、医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を良好に形成することができる。
身体リフト方法の更なる特徴構成は、以下の身体ホルダー(特願2016-137799記載)を併用する場合の身体リフト方法であり、
前記臥床者の操作対象としての人では、5℃以上48℃以下の範囲に、硬軟化変化閾値温度としての軟化温度又は融点、又は、難結晶性の高分子材料にあってはガラス転移温度を持ち、硬さが変化する主材料を有し、前記人の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置を行う際に使用できるものであり、
前記操作対象部位を把持又は被覆し前記操作対象部位の形状に応じて賦形し、前記主材料を加熱して軟化させる場合に、前記主材料を低温加熱するとき、前記人を対象とする場合は46℃以下を前記操作対象部位に接触する部分の温度とし、且つ軟化させるときの前記主材料の温度は前記硬軟化変化閾値温度以上の温度であり
前記主材料は、その外側に緩衝材、断熱材、及び軟質の袋様容器のうち、少なくとも前記緩衝材を介在させる形態で、前記操作対象部位に接触するものであり、
記主材料を冷却して硬化させる場合に、冷却される前記主材料の冷却温度が、前記硬軟化変化閾値温度未満の温度であり、
前記主材料を有する身体ホルダーを併用する場合の身体リフト方法であり、
前記空間形成工程の後に、前記身体ホルダーを前記臥床者の身体直下に挿入し、前記昇降機構にて前記臥床面を前記空間形成工程の前の位置まで昇降させ、前記挿入支持部材を前記臥床面上に挿入された前記身体ホルダーに接触させ、荷重を前記身体ホルダーと前記身体ホルダーを支える前記臥床面に移動させた後、前記挿入支持部材を抜き、前記身体ホルダーにて前記操作対象部位を把持又は被覆し、且つ前記身体ホルダーを前記操作対象部位の形状に応じて賦形させる点にある。
上記空間形成工程においては、荷重支持部材14、又は昇降機構15のどちらか一方に医療機器Pa、Pm、Stを固定又は一体的に設置し、臥床者Kと医療機器Pa、Pm、Stとの昇降方向での位置関係を維持して昇降することが好ましい。
具体的には、例えば、図12に示すように、臥床面15aを有するベッド70の両側脇に、昇降機構としてのストレッチャー15を配設し、当該ストレッチャー15に設けられる臥床面15bを荷重支持部材14として使用する構成において、医療機器Pa、Pm、Stをストレッチャー15の昇降部位(図12の例では、臥床面15bが固定されると共にストレッチャーのマットを支持する天板72)に固定治具Tgにて固定することで、当該ストレッチャー15を昇降させることにより、臥床者Kと医療機器Pa、Pm、Stとの昇降方向(図12で矢印Z方向)での位置関係を維持して昇降する構成を採用することができる。
医療機器としては、図12に示すように、医薬品や血液等の輸液を、予め設定した流量で持続的に送液するための輸液ポンプPm、及び輸液を含む輸液袋Paや輸液スタンドStも含めた輸液設備を好適に挙げることができる。
その他の医療機器の例としては、治療目的では肺と胸壁の間の空間(胸腔)に胸腔ドレーンと呼ばれるチューブを挿入する胸腔ドレナージにおいて、肺から肺の外へ漏れ出した体内の空気、滲出液・膿汁等の分泌物或いは洗浄液を低圧(例えば、25cmH2O以下の任意の圧力)で、長時間にわたり吸引する低圧持続吸引器、及び吸引物を貯留する排液パックから成るドレーン設備がある。
このような医療機器を備える場合、医療機器(図12の構成にあっては、輸液ポンプPm)と臥床者Kとがチューブにより連結されることになるが、上記構成を採用すれば、このような構成にあっても、臥床者Kへの医療機器(図12の構成にあっては、輸液ポンプPm)からの液供給を持続させた状態を維持することができるから、医療に必要な処置の機能を阻害することなく、臥床者Kの背面の医療ケアー等を実行できる。
以下、身体ホルダー200を、図面を参照しながら説明する。
当該第1実施形態に係る身体ホルダー200は、図7、8、9に示すように、操作対象Kとしての人では、5℃以上48℃以下(好ましくは、46℃以下:以下同様)の範囲に、硬軟化変化閾値温度としての軟化温度又は融点、又は、難結晶性の高分子材料にあってはガラス転移温度を持ち、硬さが変化する主材料54を有し、人の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置を行う際に使用できるシート形状の身体ホルダー200である。
当該身体ホルダー200において、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形するときで、主材料54を加熱して軟化させる場合に、主材料54を低温加熱するとき、人を対象とする場合は46℃以下を操作対象部位に接触する部分の温度とし、且つ軟化させるときの主材料の温度は硬軟化変化閾値温度以上の温度である。
主材料は、その外側に緩衝材、断熱材、及び軟質の袋様容器のうち、少なくとも緩衝材を介在させる形態で、操作対象部位に接触するものである。
更に、主材料を冷却して硬化させる場合に、冷却される前記主材料の冷却温度が、硬軟化変化閾値温度未満の温度である
みに、低温加熱する際の主材料54の操作対象部位に接触する部分の上限温度は、人を対象とする場合は46℃とすることが好ましい。
更に、上記身体ホルダー200の使用方法では、操作対象としての人では、5℃以上48℃以下の範囲に、硬軟化変化閾値温度としての軟化温度又は融点、又は、難結晶性の高分子材料にあってはガラス転移温度を持ち、硬さが変化する主材料を有し、人の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置を行う際に使用できるものであり、硬軟化変化閾値温度以上で、主材料を低温加熱するとき、人を対象とする場合は46℃以下を操作対象部位に接触する部分の温度とし、低温加熱を行って主材料を軟化させ、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形し、操作対象部位を把持又は被覆し操作対象部位の形状に応じて賦形した状態で、主材料を硬軟化変化閾値温度未満の温度で冷却して硬化させ、医療又は看護又は介護を含む処置を行い、主材料を低温加熱して軟化させ、操作対象部位から取り外す一連の操作を繰り返し実行することが自在な使用方法である。
尚、主材料は、その外側に緩衝材、断熱材、及び軟質の袋様容器のうち、少なくとも緩衝材を介在させる形態で、操作対象部位に接触するものである。
具体的には、身体ホルダー200は、図8、9に示すように、人や動物としての操作対象Kの操作対象部位を把持又は被覆し前記操作対象部位の形状に応じて賦形した状態において、操作対象部位に近い側から順に、緩衝材51と、断熱材52と、軟質の袋様容器53の内部に充填された主材料54と、加熱冷却装置55とから構成されている。
加熱や冷却により人の体温の近傍温度で軟らかさや硬さなどが変化する材料54は、少なくとも人に使用するときは5℃以上48℃以下の温度範囲において、軟質な袋様容器53に封入してシート形状に賦形して使用することもできる。
実施例1~3と同様に、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、市販の表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、本布団上のシーツのフラットな部分に(縫合加工などない部分に)、市販の新生児人形を仰臥位の体位にして載せ、実験を行った。該新生児人形には、木綿を素材とした寝衣を着せ、人形の背中にしわが認められない状態に着せ、手は指を絡ませ人が手を組んでいる形にし、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、〔表3〕に示す、厚みの薄い直方体で近似される色々な種類の材料を新生児人形の胸部から腰部にかけて挿入する実験を行った。
使用した板は、ステンレス板(株式会社久宝金属製)、アルミニウム板(株式会社久宝金属製)、ポリカーボネート板(タキロン株式会社製、PC1600)、ポリ塩化ビニル板(タキロ硬質PVC(タキロン株式会社製、TS608及びSAKK608)、変性ポリエチレンテレフタレート板(アクリルサンデー株式会社製、PG-1透明)、メタクリル樹脂板(三菱レーヨン株式会社製、アクリライト(登録商標))を使用した。各板の寸法、テーパーや面取りの加工の有無、挿入実験の結果を〔表3〕に示す。
木綿の寝衣を着せ仰臥位に横たわらせた新生児人形と布団のシーツからなる臥床面15aの間に、板を水平に、又は、板の先端で布団の上のシーツを押しながら貫通させた。貫通したものは、〔表3〕では〇で、挿入途中で新生児の寝衣などにひっかかり挿入を停止したものは〔表3〕では×で示した。本実施例4では、金属の板に関しては、加工(挿入先端のテーパーや先端の角の面取り)無しで実施し、プラスチックの板に関しては、加工したものも挿入した。そのまま挿入が不可のものに関しては、挿入補助板11(実施例1の市販の定規(TCC 0-102))を使用し、挿入補助板11と布団のシーツの臥床面15aの間に〔表3〕の実験用の板を挿入した。挿入補助板11を使用しても挿入補助板11からはみ出した部分の角部位などが新生児の寝衣や布団のシーツとひっかかり貫通しない板に関しては、該角部位を先頭とし挿入補助板11の下をくぐらせた。挿入先端の加工有無、挿入補助板11の有無、平板の幅方向又は角部を先頭にした挿入など3種の挿入モードを使用して、各板の貫通を試みた。又、貫通した金属の板と一部のプラスチックの板に関し、臥床面15aに沿う方向で、且つ挿入方向とは直角な方向で、新生児人形の頭部から足方向への板の滑り可否も実験し、これらデータを〔表3〕にまとめた。
実施例2と同様、挿入補助板11として市販のプラスチック定規TCC0-102を用い、支持板12として、硬質ポリ塩化ビニルの板(タキロン株式会社製SAKK608、厚み3mm、幅100mm、長さ900mm、挿入先端と両側面はテーパー加工、挿入先端の左右角部位は面取り加工)を3枚用いて実験を行った。
(1)ストレッチャーとして使用される木村寝台工業株式会社製kp PARAMOUNT BEDは金属の床面を有しており、本床面の上に新生児人形を載せた。該新生児人形には、木綿を素材とした寝衣を着衣させ、人形の背中にはしわが認められない状態に着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、手は指を絡ませ人が手を組んでいる形にし、仰臥位の体位にして臥床させた。
(2)市販のプラスチック定規TCC0-102を挿入補助板11として使用し、腰部に本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺が金属面に面する形で挿入を試みたが、床面が硬いためか挿入に抵抗があり、挿入補助板11は、一旦抜去した。挿入補助板11の挿入位置を変え、首部直下の自然に形成される空間から再度、本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺が金属面に面する形で挿入し、貫通させ、その後、挿入方向とは直角な頭部から足部の軸に平行に、脚部方向へ挿入補助板11を平行移動すると新生児形の寝衣と金属の床面の間を滑り移動し、腰部に貫通させた形が形成できた。
(3)腰部の挿入補助板11の直下に、挿入補助板11の端を持ち上げながら支持板12を挿入した。支持板12は大きな抵抗もなく挿入補助板11の下に挿入できた。その後挿入補助板11は抜去した。抜去は問題なく実施できた。
(4)(3)と同様に、首部の下にまず挿入補助板11を、続いて2枚目の支持板12を挿入し、同様に、大腿部から膝部にかけて挿入補助板11、3枚目の支持板12を挿入し、その後、支持板12を水平方向、直角方向に滑り移動させ、微調整し、実施例5で新生児の荷重を支持したのと略同様の板の配置を形成した。
(5)(1)から(4)と同様に、災害時を想定し、実験室の床を臥床面15aとして実験を実施した。実験室の床は、ポリ塩化ビニルのタイルであった。
(6)市販のプラスチック定規TCC0-102を挿入補助板11として使用し、腰部に、本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺がポリ塩化ビニルのタイルに面する形で挿入を試みたが、床面が硬く腰部直下では挿入抵抗が大きく困難であったため、(2)と同じく首部の下の自然に形成される空間から再度、本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺がポリ塩化ビニルのタイルに面する形で挿入、貫通させ、その後挿入方向とは直角な脚部方向へ平行移動すると新生児形の寝衣と実験室の床面の間を滑り移動し、腰部に貫通させた形が形成できた。腰部の挿入補助板11の直下に、挿入補助板11の端を持ち上げながら支持板12を挿入した。支持板12は大きな抵抗もなく挿入補助板11の下に挿入できた。その後挿入補助板11は抜去した。抜去は問題なく実施できた。
(7)(4)と同様に、挿入補助板11を繰り返し使用して、2枚目、3枚目の支持板12を挿入し、実施例4で新生児の荷重を支持したのと同様の板の配置を形成した。
(8)又、戸外の災害時を想定し、モデル臥床面15aとして実験室の外側の林の地面、土と石が露出している比較的フラットな露出面を使用した。定規からなる挿入補助板11の腰部からの挿入が戸外の地面でも困難であったので、首部の下の空間からまず本定規の断面の台形の短い辺が新生児人形の側に面し、長い辺が地面に面する形で挿入し、その後、足側へ平行移動し腰部に挿入した。
(9)腰部の挿入補助板11の下に、挿入補助板11の端を持ち上げながら支持板12を挿入した。支持板12は地面との抵抗はあったが、問題なく挿入補助板11の下に挿入できた。
(10)腰部から挿入補助板11を抜去し、抜去した挿入補助板11を使用し、(9)と同様に、首部の下に挿入し、その下に、2枚目の支持板12を挿入し、又、首部から挿入補助板11を抜去し、抜去した挿入補助板11を大腿部から膝部に挿入し、3枚目の支持板12を挿入した。その後、3枚の支持板12を水平方向、直角方向に移動微調整し、実施例4で新生児の荷重を支持したのと略同様の配置とした。
本実施例6により、金属面、ポリ塩化ビニルのタイル、戸外の地面などの臥床面15aも、身体リフトシステム100の構成要素である挿入補助板11、支持板12が挿入可能であることが確認された。例えば人の手・腕からなる荷重支持部材14、昇降機構15と組み合わせることにより、臥床者Kの下に、例えば担架などの災害時の看護、介護器具が挿入可能となる。
〔実施例7〕
支持板12の配置に合わせその直下に、支持板12をガイドとして、支持補助板13を、即ち、支持板12と、ストレッチャー(臥床面15aを有する昇降機構15の一例)の上のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にしたものの臥床者側表面との間に、臥床者Kの左側(左手の側)から右側へ、頭側から足側へ順番に挿入した。支持補助板13は大きな抵抗なく挿入できた。
(3)支持板12の長さが900mm、支持補助板13の長さが975mm、成人臥床者Kが臥床しているストレッチャーの幅が540mmであり、支持板12と支持補助板13は臥床者Kの乗っているストレッチャーからはみ出しているが、それぞれの板の左右へのはみ出し幅を均等に調整した後、成人臥床者Kが乗っているストレッチャーの臥床者Kの右側(右手の側)に、荷重支持部材14として別のストレッチャー、PARAMOUNTBED KK-700-095Dをまず1台配置し、臥床者K右側にはみ出している支持補助板13の底面がほぼ、右側のストレッチャーに接する高さにストレッチャーの高さを調整し、その後、臥床者Kの左側に(左手の側に)更に荷重支持部材14として、別の1台のストレッチャー、PARAMOUNTBED KA-881を配置し、右側と同じく、臥床者Kの左側にはみ出している支持補助板13の底面がほぼ、左側のストレッチャーに接する高さになるようにストレッチャーの高さを調整した。
(4)臥床者Kが乗っているストレッチャーの左右にある荷重支持部材14としてのストレッチャーの高さを微調整し、支持補助板13が左右のストレッチャーに支えられていることを確認し、即ち、支持補助板13が水平に支えられていることを確認し、結果として、支持補助板13の上に載っている支持板12、支持板12の上に乗っている臥床者Kが水平に支えられていることを確認し、昇降機構15でもある、臥床者Kの乗っているストレッチャーを床面の昇降ハンドルをゆっくり回し、下降させ、臥床者Kの背面全域に空間Sを形成した。本実施例7では、臥床者K直下の空間Sの大きさは、深さが約16cm、幅が約63cm、長さが約200cmであった。
(5)本実施例7では、臥床者Kが臥床面15aから相対的にリフトアップした状態で(実際は、臥床者Kが乗っているストレッチャーをリフトダウン)約1分経過後、臥床者Kの乗った昇降機構であるストレッチャーをゆっくり上昇させ、荷重支持部材14である別の2機のストレッチャーにより支えられている7本の支持補助板13を、ストレッチャー上の、表面のシーツが糸で縫いつけられている市販の布団の表面に接触させ、ストレッチャー下降直前の状態に戻し、臥床者Kが当初乗っていたストレッチャーにより、支持補助板13の自重、支持板12の自重、臥床者Kの体重が支えられていることを確認後、臥床者Kの左側(左手側)の荷重支持部材14として使用中のストレッチャーの高さを下降させ、臥床者Kが乗っているストレッチャーから板を抜去する次の操作に支障のない距離だけ離した。左側の荷重支持部材14が外れたことにより、臥床者Kの体が傾くことがないか確認し、右側の荷重支持部材14の高さを微調整し、その後、臥床者Kの左側の足側から支持補助板13を順番に頭側へと抜去し、支持補助板13が全て抜去されてから、支持板12を足側から順次頭側へ抜去し、臥床者Kを元の臥床状態に復帰した。
本実施例7で、昇降機構の降下開始から復帰まで、臥床者Kの直下全域に渡る空間Sが、少なくとも約2分間形成できたことが確認された。支持板12の挿入から、16cmの空間Sを形成するまでの時間が5分半、その後、復帰に約2分要した。実験参加の臥床者Kは合計7分半は板の上に乗っていたことになるが、痛み、疲れは特になしとのことであった。
本実施例7により、本発明の身体リフトシステム100は、医療、看護、又は介護を含む処置に使用するに十分な空間Sを、臥床者K直下に形成できることが確認された。
〔実施例8〕
その後、支持板12の下に、腰部、胸部、臀部、頭部、肩部、大腿部、足首部の順に、実施例7で用いたのと同じ支持補助板13を7枚挿入した。
臥床者Kの乗っているストレッチャーの右側(人形の右手方向)と左側に荷重支持部材14として、それぞれ木村寝台工業株式会社製kp PARAMOUNT BEDとPARAMOUNT BED KK-700-095Dを配置し、成人人形の載っている昇降機構15としてのストレッチャーを使用し、臥床面15aを低下させ、成人人形の直下、臥床面15aとの距離が約10cmの空間Sを形成した。
本空間Sを利用して、医療、看護、又は介護を含む処置の一であるシーツ交換を実施した。ストレッチャー上の二つ折にした布団の上に被せたシーツを外し、別のシーツを被せ、ベッドメイキングの要領で、シーツのしわは除去し、シーツの四方は布団の下に折り込んだ。
その後、実施例7と同様に、昇降機構として使用中のストレッチャーの床面を上昇させ支持補助板13の底面と接触させ、ストレッチャー床面を下降直前の状態に戻した。成人人形が乗っているストレッチャーにて支持補助板13の自重、支持板12の自重、臥床者Kである人形の体重が支えられていることを確認後、臥床者Kの左側(左手側)の荷重支持部材14として使用しているストレッチャーを下降させ、左側の荷重支持部材14が外れたことにより、臥床者Kの体が傾くことがないかを確認しつつ、右側の荷重支持部材14の高さを微調整し、臥床人形と、その下の支持板12、支持板12の下の支持補助板13がほぼ水平状態で安定していることを確認し、足側から支持補助板13を順番に頭側へと抜去し、支持補助板13が全て抜去されてから、支持板12を足側から順次頭側へ抜去し、臥床者Kを元の臥床状態に復帰した。
本実施例8により、本発明の身体リフトシステム100で臥床者Kと臥床面15aの間に10cmの空間Sを作ることで、臥床者Kを臥床状態そのままの体位で、シーツ交換が可能なこと、又、シーツ交換時にも実施したが、シーツのしわ除去の作業ができることを確認した。
〔実施例9〕
(2)板の挿入後、臥床者Kの乗っているストレッチャーの右側(人形の右手方向)と左側に荷重支持部材14として、それぞれ木村寝台工業株式会社製kp PARAMOUNT BEDとPARAMOUNT BED KK-700-095Dを配置し、身体リフトシステム100の昇降機構として使用しているストレッチャーの昇降機構を使用し、臥床面15aを下降させ成人人形の直下に空間Sを形成した。布団上のシーツ面と支持補助板13の下側面の距離は、頭側で7.5cm、足側で8.5cmであった。
(3)本空間Sを利用して、2枚重ねに折った布団の上側の1枚を成人人形の左半身が載る予定の箇所にずらし、布団の長手方向に渡り、人形の右側には1枚、左側には2枚布団が重なる形に段差をつけ、又、2枚重ねになった布団の下には長手方向に2枚ずつ支持補助板13に使用している杉の板を重ねて置き(縦方向に2枚、天地方向に2枚、合計4枚)布団に左右段差を付けた。本段差のついた布団を介護マットとして使用し、以下を実施した。
(4)段差のついた布団を載せた昇降機構をゆっくり上昇させ、板とその上の成人人形は少し傾くが、段差のついた布団を支持補助板13の下面に接触させた。その後、荷重支持部材14として使用している左右のストレッチャーを下げると、板とその上に載っている成人人形の傾きは大きくなるが、滑り落ちることはなかった。
(5)成人人形の体が持ち上がっている左サイド(人形の左手側)から、足側から頭側の方向に、支持補助板13と支持板12を合わせて抜去し、成人人形の左側が少し上がる側臥位が形成できた。傾斜角度を計測すると、足側16°、頭側15°であった。約15°側臥位が形成できた。
本実施例9により、身体リフトシステム100と布団や介護用マットを組み合わせることにより臥床者Kの体位変換に使用できることを確認した。
〔実施例10〕
本実施例10から実施例12までは、一人の看護師や介護者が一人の自ら動けない寝たきり者を看護、介護するとの前提で実施し、看護師や介護者役として1人の実験者が介助を行った。
市販のストレッチャー(PARAMOUNTBED KK-700-095D、縦;190cm、横;54cm上)に、実施例7と同様、表面のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にして略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの大きさを有する布団を載せて使用した。その上に市販のパジャマを着用させ、頭部にはバスタオルを折り畳んだものを(25cm×35cm、厚み2~3cm)枕の代わり使用し、臥床者役の成人男子実験者(身長176cm、体重65kg)が手掌を組んだ形で仰臥位に横たわった。尚、本実施例10の実験目的は、下半身の下着(ズボンやパンツ)の着脱であり、成人には、柄の異なるパジャマのズボンを2枚穿かせてあり、1枚のズボンの着脱可否を実験した。
(1)頭部、肩部、胸部、大腿上部と腰部の直下の順に、実施例7で使用した支持板12(タキロン株式会社製SAKK608のプラスチックの板、挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を、成人臥床者Kの右側(右手の側)から挿入した。
(2)その後、下半身の下着脱衣のため、臀部の直下に空間を作るべく、腰部と大腿部の直下に挿入したプラスチックの支持板12の下に、実施例7で使用した支持補助板13と同仕様の杉の木の板(厚み14mm)を支持補助板13として、まず1枚ずつ挿入し、その後、臀部直下の空間を拡大するために、支持補助板13と同仕様の杉の木の板を第4の板としてもう1枚、先に挿入した支持補助板13の下に挿入した。
(3)その後、腰部、大腿部が支持板12及び支持補助板13と第4の板で支えられ、その間に挟まれた臀部の下は、支持板12、支持補助板13、第4の板の板厚分、理論値では、(3+14×2)mm空間が形成されている。布団が盛り上がるので空間の深さは小さくなるが、空間の拡大は可能であった。
(4)2枚穿いているパジャマのズボンの上側のズボンを、支持板12のプラスチック部分は滑らせて脱がせ、臀部は、あまり抵抗なく移動でき、大腿部は、支持板12のプラスチック表面を滑らせながら、少し脚も持ち上げながら、臥床者Kと大腿部の直下に敷いた板の間を通過し、パジャマのズボンを脱衣させた。尚、支持板12の挿入開始から、パジャマのズボンの脱衣までの所要時間は、2分半弱であった。
本実施例10にて、支持板12、支持補助板13、第4の板を使用する身体リフトシステム100にて、看護師や介護者が一人で、自ら動けない寝たきり者に対し、着替え、清拭、排泄や各種の処置に必要なパジャマのズボンなどの衣服や下着の脱衣ができることが確認された。
〔実施例11〕
実施例10に続き、成人臥床者Kは、2枚穿いていた上側のパジャマのズボンが脱衣され、頭部、肩部、胸部には支持板12が挿入され、腰部と大腿部には、支持板12及び支持補助板13、第4の板が挿入されている状態から、継続して、以下の実験を行った。尚、(1)-(4)までは、実施例7とほぼ同様である。
(1)まず、腰部と大腿部に挿入されている第4の板、即ち2枚ある支持補助板13の下側、臥床面側の1枚を臥床成人の右側(右手の側)から、大腿部、腰部の順に抜去した。
(2)その後、下腿部直下に支持板12を挿入し、頭部、肩部、胸部の順に、すでに挿入されている支持板12の直下に支持補助板13を挿入し、パジャマのズボンを脱衣するために板を挿入していなかった臀部にも、支持板12、当該支持板12の直下に支持補助板13を挿入し、最後に下腿部の支持板12の直下に支持補助板13を挿入し、合計7本の支持板12、その直下への7本の支持補助板13の挿入を完了し、頭部から下腿部直下に挿入した板の左右バランスを確認した。
(3)成人臥床者Kが乗っているストレッチャーの左側に、ストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)、右側にストレッチャー(木村寝台工業株式会社製kp PARAMOUNT BED)を、荷重支持部材14として配置し、それぞれ7枚の板の端が、即ち、支持補助板13の下面の端が水平に左右の荷重支持部材14に載るように調整した。
(4)その後、成人臥床者Kが乗っているストレッチャーの昇降機構を、身体リフトシステム100の昇降機構として利用し、臥床面15aを降下させた。降下後、支持補助板13の下面と、ストレッチャー上の布団のシーツの臥床面15aとの距離は、約18cmであった。
(5)その後、当初成人臥床者Kが乗っていたストレッチャーのキャスターのロックを外し、ストレッチャーは臥床者Kの頭方向へ移動し、ストレッチャーの足側の端にすき間なく、図5に示すような背もたれを倒し、倒れた背もたれと座面の上に載せた便座の高さが概略同じになるように調整して準備した車椅子を連結し、車椅子の座面の上に載せた便座がリフトアップされた臥床者Kの臀部直下に来る位置まで移動した。
(6)尚、(5)の座面に便座を載せた車椅子は、トイレ移動用の車椅子として使用するものであり、トイレ移動用の車椅子は既に市販されているが(例えばTOTO、トイレ、“水まわり用車椅子”、[online]、[2017年2月28日検索]<url:http://www.toto.co.jp/products/ud/toilet/index.htm>)、本実施例11では、本発明の身体リフトシステム100と高さを調整し、座面を水平に倒す必要もあるため、図5に示すものを自製した。車椅子21(MEYRA製、Modell 3.800)の背もたれ18(長さ17cm)を倒し、倒すと看護師や介護者が使用するグリップ19が下方を向くが、グリップ19を脚立20で支え、座面には4本足の便座17(株式会社吉野商会製、ベンラック、本器は和式の便器の上に置いたり、床上差し込み便器の上に置き臥床者Kの臀部を載せるタイプの便座で、高さ約16.5cm、幅約40cm、奥行き約28cmで前が空いているもの)を載せ、便座17の高さはアームの高さ(床面から63cm)と同レベルにすべく、椅子21の座面7に座布団(図示せず)とその上に金属の板(図示せず)を載せることにより調整した。本車椅子21をストレッチャー30の端部に連結した。
(7)左右に配置した別のストレッチャーの昇降機構を荷重支持部材14の昇降機構として利用し、臥床者Kを支持補助板13の下面が、当初、臥床者Kが乗っていたストレッチャー30、該ストレッチャー30の端に連結した車椅子21上の便座に接触するまで降下させ、降下後、それぞれ7本の支持補助板13、支持板12が左右バランスよく当初臥床者Kが乗っていたストレッチャーに支えられていることを確認しつつ微調整した。
(8)その後、腰部、胸部、臀部の支持補助板13をこの順序でゆっくり抜去し、臥床者Kの臀部を車椅子21上の便座17に降ろした。次に、大腿部、肩部、頭部の支持補助板13を抜去し、更に、頭部、肩部、腰部、胸部、臀部、大腿部の順に支持板12を抜去し、この時点で、臥床者Kの臀部は車椅子21上の便座17に乗り移った。下腿部はその直下は、車椅子21のフットレスト16の上にあり、落差があるので、最後に看護師や介護者役の実験者が臥床者Kの下腿を支えながら、支持補助板13と支持板12を同時に抜去し、車椅子21の座面から、中途にあるレッグレスト、レッグレストの下にあるフットレスト16の斜面に沿う形で、便座に座っている臥床者Kの脚をフットレスト16に降ろした。
(9)この時点で臥床者Kは腰から上は仰臥位の姿勢で、臀部は車椅子21上の便座17に乗っており、大腿、下腿、踵は、車椅子21の脚部からレッグレスト、フットレスト16に沿う形で上半身が曲がった姿勢であるが、臥床者Kの左側(左手側)にある荷重支持部材14の一として使用したストレッチャーを臥床者Kのサイドから離し、看護師や介護者役の実験者が臥床者Kの左側に立ち、車椅子21の背もたれに乗っている臥床者Kの上半身を背もたれ共々持ち上げ、背もたれ18のロックをかけ、臥床者Kを完全に車椅子21に移乗させた。
(10)その後、車椅子21のホイールのロックを外し、トイレを想定した実験室のコーナーに車椅子21上の臥床者Kを移動した。本試作トイレ用車椅子21は、便座17の下が座面になっており穴が空いていないが、市販のトイレ用車椅子21では、穴が空いており、例えば、洋式便器の上に移動することができ、実施例10で下半身の下着を脱衣している臥床者Kは、用を足すことができる。
(11)排泄の処理後、当初臥床者Kの乗っていたストレッチャーの右側(右手側)に配置されていた荷重支持部材14として使用中のストレッチャーは片側へ寄せ、当初臥床者Kが横たわっていた右側に看護師や介護者役の実験者の作業スペースを形成した。当初臥床者Kが乗っていたストレッチャー30と車椅子21のグリップ19を支持していた脚立20が移動せずにそのままの状態で配置されてあり、該ストレッチャー30の端部にあり、車椅子21の背もたれ18のグリップ19を支える脚立20の位置調整を再度行い、その後、車椅子21をストレッチャー30並びに脚立20の端部に連結し、車椅子21のホィールをロックし、背もたれ18のロックを外し、臥床者Kの背中を支えながら背もたれを倒し、背もたれ18のグリップ19は脚立20で支持し、臥床者Kの下半身は車椅子21に座り、上半身は、車椅子21の背もたれ18とストレッチャー30上で仰臥位の姿勢を取り、ストレッチャー30には枕の代用として折り畳んだバスタオルを置き、臥床者Kの頭を載せた形の体位を形成した。
(12)臥床者Kの右側(右手側)から、下記の実施例12との関連で、臀部の少し上側(上方臀部と呼ぶことにする)に支持板12を挿入した。次に大腿部への挿入を実施したが大腿部から上方臀部の直下には、便座17があり、便座17の部分には穴があり、本自製のトイレ用車椅子21では便座17は上に凸の曲面であり頂点の手前で挿入先端が面に当たった為、看護師や介護者役の実験者が臥床者Kの大腿部を少し持ち上げながら支持板12を挿入した。
(13)その後、臥床者Kの頭部が乗っているストレッチャー30上のタオルを折った枕の直下に支持板12を、車椅子21とストレッチャー30の境目にある肩部の下に支持板12を挿入した。
(14)次に、支持補助板13を頭部、肩部、上方臀部に挿入し、腰部に支持板12、続いて支持補助板13を挿入し、胸部にも支持板12、続いて支持補助板13を挿入した。
この時点で、臥床者Kの下半身は車椅子21に座っていた。
(15)次に、下半身の大腿部の支持板12の下に支持補助板13を、大腿部を少し持ち上げながら挿入し、臥床者Kが乗っているのとは別のストレッチャーからなる2台の荷重支持部材14を臥床者Kの上半身が乗っているストレッチャーの左右に配置し、即ち、左側に村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1を、右側に、木村寝台工業株式会社製kp PARAMOUNT BEDを配置し、臥床者Kの足首を持ち上げながら、支持補助板13の上に支持板12を重ねたものを、下腿部直下に同時に挿入し、該支持補助板13の両端部を荷重支持部材14で支え、全ての板の挿入は完了した。
(16)7枚の支持補助板13、支持板12の左右均等を確認し、荷重支持部材14の昇降機構を上昇させ、臥床者Kの体重を支持補助板13で支え、これら板の直下に空間を形成し、板の下のストレッチャー30を臥床者Kの頭側から足側へ押し、車椅子21と脚立20を押し出し、臥床者Kが当初乗っていたストレッチャー30の上に全身が来たことを確認し、該ストレッチャー30の昇降機構を上昇させ、ストレッチャー30上の布団が支持補助板13、その上の支持板12、これら板の上の臥床者Kの体重を支えていることを確認し、臥床者Kの右側(右手側)のストレッチャーを傍らへ寄せ、臥床者Kの乗っているストレッチャー30の右側(右手側)に作業スペースを作り、下腿部の支持板12、その下の支持補助板13を一度に抜去した。この時点で、大腿部から頭部へ合計それぞれ6枚の支持板12、支持補助板13が抜去されずに残っており、実施例7と同様、これら板を抜去して臥床者Kを臥床面15aに横たわった状態に戻すこともできるが、臥床者Kは下半身の下着を脱衣した状態であるので、臥床者Kの臥床状態への復帰作業は、この時点で中断し、下半身の下着の着衣の実施例12に移行した。
尚、実施例10と本実施例11は連続しており、実施例10の最初の支持板12の挿入から下半身の下着を除去し、車椅子21への移乗までの経過時間は、約10分半、トイレへ移動し用を足し、車椅子21に再度ドッキングするまでの経過時間が約13分、臥床者Kをベッドに臥床させ、下半身の下着を着衣する操作の直前までの経過時間が約22分であった。
本実施例11により、身体リフトシステム100を利用して、看護師や介護者が一人で、自ら動けない寝たきり者が臥床しているベッドやストレッチャーの入れ替え、他のベッドやストレッチャーへの移動、使用中のベッドの床面上での上下(頭方向、足方向)、左右(左手方向、右手方向)の移動など臥床者Kとベッドの相対位置の変更、調整、自ら動けない寝たきり者を車椅子21へ移乗させることが可能となった。本発明による車椅子21への移乗を、既に市販されているトイレ用車椅子21、入浴用車椅子21など各種車椅子21と連携させることにより、自ら動けない寝たきり者におかれても、トイレで用を足し、入浴も可能になることを確認した。
〔実施例12〕
実施例11から引き続き、市販のストレッチャー(PARAMOUNTBED KK-700-095D)上に、表面のシーツは糸で縫いつけられている市販の布団を二つ折にして略200cm×50cm、厚みは約10cm、圧縮すると約5cmの大きさを有する布団を載せ、その上に大腿部、上方臀部、腰部、胸部、肩部、頭部の直下に支持板12、その下に支持補助板13が挿入された臥床者Kが横たわっている状態から、本実施例12は開始した。
(1)実施例10で脱衣させたパジャマのズボンを、まず、臥床者Kの両脚の膝の少し上まで穿かせ、枕の下の頭部の支持板12、支持補助板13を合わせて抜去した。
(2)その後、大腿部の支持補助板13の下に、続いて上方臀部の支持補助板13の下に、仕様は支持補助板13と全く同じ仕様の第4の板をそれぞれ挿入した。
(3)膝上まで穿かせたパジャマのズボンを、大腿部の支持板12の上を滑らせながら、臥床者Kの身体と板の間に挟まって移動抵抗を感じる時は、介護者が臀部を少し持ち上げながらズボンを穿かせた。
(4)その後、大腿部の第4の板、大腿部のもう1枚の支持補助板13の順に、続いて上方臀部の第4の板、上方臀部のもう1枚の支持補助板13を抜去し、引き続き、腰部、胸部、肩部の支持補助板13を抜去した。
(5)肩部、胸部、腰部、上方臀部、大腿部の支持板12を抜去し、臥床者Kを安静臥床状態に戻した。
尚、実施例10の最初の支持板12の挿入開始時から、本実施例12の臥床者Kが支持板12、支持補助板13が敷かれた状態でのベッドへ復帰後、臥床者Kの下着の着用までの経過時間は約23分半、板を全て抜去し、臥床者Kを安静臥床状態に戻すまでの経過時間は約24分半であった。
本実施例12により、身体リフトシステム100を使用することで、寝たきり者など自ら動けない臥床者Kに看護師や介護者が一人でパジャマのズボンなど、衣服、下着の着衣が可能なることを確認した。
以上、実施例10から実施例12の各操作と概略の経過時間、所要時間を〔表10〕にまとめて示す。
実施例6で使用した市販のストレッチャー(木村寝台工業株式会社製kp PARAMOUNT BED)に、表面のシーツが糸で部分的に縫いつけられている市販の布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、本布団上のシーツのフラットな部分に(縫合加工などない部分に)、市販の新生児人形を載せ、実験を行った。該新生児人形には、木綿を素材とした寝衣をたるみなく着衣させ、人形の背中にはしわが認められない状態に着せ、毛髪部を模擬的に覆うため(人形のため坊主頭であり実際には毛は無いが)介護サポーターを頭部にかぶせ、人形の手は指を絡ませる形にし、人が手を組んで仰臥している体位で実施し、枕の代わりとして折り曲げたバスタオル(25cm×35cm、厚み2~3cm)を後頭部に敷いた。
本実験では、挿入補助板11は使用せず、支持板12は市販の金網入り硬質ポリ塩化ビニルの板(タキロン株式会社製SAKK608)で、厚さ3mm、幅約58cm、長さ約100cmのものを用いて行った。尚、幅約58cmの挿入先端、挿入先端に略直角な両サイドには、実施例2の〔表2〕に記載したものと同じテーパーを付け、挿入先端の左右の左右角部位は、実施例2と同様な面取りを行った。
支持板12は、新生児人形の足首を少し持ち上げ、足側から板の先端で布団のシーツを軽く押さえつける形で滑り込ませた。枕の部分まではスムーズに滑り移動し、挿入先端が枕を押したので、枕の反対側(支持板12の挿入側の反対側)を、支持板12を持たないもう一方の手で押さえながら支持板12を挿入し、新生児の頭部から踵部までの全体を一枚の支持板12に載せることができた。
又、同じ板の先端を看護、介護で使用するスリップシート(パラマウントベッド製、マルチグローブKZ-159033)で覆い、即ち、50cm×20cmのグローブを2つに折り、50cm×10cmのシートを先端に被せ、粘着テープで端部を止め、上記と同様に新生児人形の足首を少し持ち上げ足側から挿入した。挿入は抵抗も少なく推移し、挿入先端が枕を押した段階で、枕の反対側(支持板12の挿入側の反対側)を、支持板12を持たないもう一方の手で押さえながら支持板12を挿入し、新生児の頭部から踵部までの全体を一枚の支持板12に載せることができた。支持板12の挿入は、スリップシートを被せた方が軽く楽に挿入できた。
本実施例14により、大きな支持板12(3mm、約58cm、約100cm)、1枚物の板も挿入可能であること、又、スリップシートが挿入を助けることが確認できた。又、厚さ3mm、幅約58cm、長さ約100cmの板では、人形の背面は通過するが、枕など形状により物体を押し出すことも確認できた。
〔実施例15〕
図10に示すように、ストレッチャー15を2台縦長に並べ、即ち頭側に実施例7で使用したのと同じ村中医療器株式会社、ナーシングストレッチャー、NST-1(縦194cm×横54cm、高さ58~99cm)を、脚側に実施例7で使用したのと同じPARAMOUNTBED KK-700-095D(縦190cm×横54cm、高さ55~87cm)を配置し、該2台のストレッチャー15の間に幅12cm、長さ36cmの平板を持ち昇降機能を有する支持器24(部分昇降部の一例:オーバーベッドテーブルPARAMOUNTBED KF-270-0095Dからテーブル板を外したもの)を挟み、ストレッチャー15、2台の接続部分が昇降するベッドを自製した。オーバーベッドテーブルから作成した支持器24は、図10に示すように2台のストレッチャー15の間に置き、前後左右の空間も含め対称な形に配置した。ストレッチャー15の間の距離は22cmであり、その間に前後左右が対称になるように幅12cm、長さ36cmの支持台を配置し、頭側のストレッチャー15、支持器24、脚側のストレッチャー15の高さが同一になるように高さを調整した。
自製のベッドに、実施例1で使用したのと同じ市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、頭側のストレッチャー15の支持器24とは反対側の端面から106cmの位置に布団の先端部が来るように敷き、自製ベッドに布団が左右対称になるように調整した。その上に身長176cm、体重65kgの患者役の成人男子の実験者が、臀部が支持器24の上になるように臥床し(具体的には、大転子が頭側のストレッチャー15の支持器24側端面に、大転子と膝の中間部分が脚側のストレッチャー15の支持器24側の端面に乗る形に配置し)、自製ベッドに対して患者役の臥床者Kの位置が左右対称になるように微調整し、実験準備は完了とした。尚、患者役の実験者は実施例10で用いたのと同じ市販のパジャマを着用し、頭部にはバスタオルを折り畳んだ枕を敷いた。
(1)本実施例16は、支持器24を下げた時の支持板12や支持補助板13の挿入難易性を確かめることを目的としているが、比較のため、2台のストレッチャー15と支持器24の高さが同一の時点での板の挿入難易を測る実験も行った。
(2)もう一人の看護師や介護者役の実験者は、臥床者Kの臀部の直下に実施例2で使用した支持板12(タキロン株式会社製SAKK608のプラスチックの板、挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)を患者役の実験者と布団の上表面の間へ挿入した。挿入は問題なく行われ、次に支持板12を挿入のガイドとして、実施例7で使用した支持補助板13と同仕様の杉の木の板(厚み14mm)を支持補助板13として挿入した。挿入は問題なく行われた。その後、支持補助板13を抜去し、続いて支持板12を抜去した。
(3)次に支持器24の昇降機能を利用して、支持器24の高さをストレッチャー15の上面から8cm降下させた。患者役実験者は、支持器24が降下したため、大転子から大転子と膝の中間部分までは支えがない状態であるが、大転子と大腿部で支えられ、又、本身体部分直下の布団がハンモックの機能を有していると考えられ、患者役の臥床者Kの臥床状態は目視では変化なく、臥床者本人からは、やや違和感あるが不安定さなし、安寧は得られるとのコメントがあった。
看護師や介護者役の実験者は、患者役の実験者と布団の上表面の間に支持板12を挿入した。患者役の臥床者Kからは、支持板12の挿入に関し抵抗感はなかったとのことであった。続いて支持補助板13を挿入したが、支持補助板13も板の挿入に関し抵抗感はなかったとのことであった。
(4)その後、支持器24の昇降機構を利用して、支持器24を上げ、2台のストレッチャー15と同じ高さにし、支持器24の昇降が無い時と同じ挿入状態、(2)の状態を再現した。
(5)再度支持器24を下げ、支持板12、支持補助板13を合わせて抜去した。抜去時にも看護師や介護者役の実験者は、抵抗感なかった。
(6)以下では、支持板12として(2)から(5)で使用した、即ち、実施例2で使用した支持板12(タキロン株式会社製SAKK608のプラスチックの板、挿入先端と両側面はテーパー加工あり、挿入先端の左右角部位は面取り加工ありのもの)と、これも(2)から(5)で使用した、即ち、実施例7で使用した支持補助板13と同仕様の杉の木の板(厚み14mm)を支持板12として使用するので、区別のために、支持板12(プラスチックの板)、支持板12(杉の板)と材料を明示しつつ使用する。
(2)、(3)と同じ方法で、支持器24がストレッチャー15と同じ高さの時と、支持器24を8cm降下させた時の2つの状態で、今次は(2)から(5)で支持補助板13として使用した杉の木の板(厚み14mm)を支持板12として用い挿入難易の比較実験を行った。
(2)、(3)の支持板12(プラスチックの板)、支持補助板13の挿入実験と合わせ、結果を〔表11〕に示す。
(7)(3)の支持台を下げた状態で、患者役の実験者自ら、臥床状態で支持板12(プラスチックの板)を左手でつかみ、患者の臀部と布団の上表面の間にたぐり入れる形で挿入した。該支持板12は大きな抵抗もなく臀部下を貫通した。その後、左右両手を用いて板の左右のはみ出し部分が均等になるように調整し、その後抜去した。本結果も合わせ〔表11〕に示す。
(8)(7)と同様に、(3)の支持器24を下げた状態で、患者役の実験者自ら、臥床状態で支持板12(杉の板)を左手でつかみ、自ら挿入、抜去実験を実施した。本結果も合わせ〔表11〕に示す。
尚、本実施例16では支持板12はプラスチックの板と、杉の板の2種使用しており、本表では、支持板12(プラスチックの板)、支持板12(杉の板)と材料を指定して記載した。
〔実施例19〕
(1)実施例19で使用したのと同様の市販のスーツケースベルト16本と、市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1、縦194cm、横54cm)、ストレッチャー(PARAMOUNTBED KK-700-095D)、ストレッチャー(PARAMOUNT BED KA-881)、それに、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(柔軟部材の一例、100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)、袋式のベッドシーツに入れた夏布団(縦185cm、横120cm、厚み約2cm)を使用して実験を行った。
(2)市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)に、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団(100cm×200cm、厚みは約5cm、圧縮すると約3cm)を載せ、ストレッチャーNST-1の幅と該ストレッチャーに載せる布団の幅が異なるが、今次は二つ折りにせず、ストレッチャー(幅54cm)からはみ出した分(布団100cm)は、臥床者K役の成人男子実験者が横たわった時に、臥床者Kの右側に垂らす形にし、模擬マットレス面とした。該布団の上に、袋式のベッドシーツに入れた夏布団(縦185cm、横120cm、厚み約2cm)を、これは長さ方向に二つ折にして重ね、“わ”が臥床者K役の成人男子実験者が横たわった時に、臥床者Kの左側に来る配置にし、模擬布団面として実験を行った。
(3)ストレッチャー(PARAMOUNTBED KA-881)とストレッチャー(PARAMOUNT BED KK-700-095D)は、それらの側面にストレッチャーの長さ方向に沿ってパイプ状の金具(荷重支持部材の一例)を有するが、これらパイプ状の金具を利用する形で、それぞれのストレッチャーを長手方向に平行に約60cm離して対置し、それぞれのパイプにリング状のスーツケースベルト(空間形成部材及び挿入支持部材の一例)が通る形に配置し(スーツケースベルトの口金を使用すると脱着可能)、本実施例20では、該リング状のスーツケースベルトを空間形成部材及び挿入部材(挿入支持部材)として使用する。尚、対置した2台のストレッチャーの間に臥床者Kが乗る市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)を配置して実験を行った。
(4)市販のストレッチャー(村中医療器株式会社製、ナーシングストレッチャー、NST-1)の面の高さを86cmに調整し、その上に市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団、その上に袋式のベッドシーツに入れた二つ折した夏布団が載っており、その上に実施例17と同じ臥床者K役の成人男子実験者が乗った形で、又、枕の代わりとして折り曲げたバスタオル(25cm×35cm、厚み2~3cm)を後頭部に敷いて実験はスタートした。
(5)臥床者Kの左手側に配置するストレチャーのパイプには、スーツケースベルトを通し、口金を閉め、リング状のスーツケースベルトを16本ぶら下げた形に、前もって準備した。
(6)実施例17と同様に、看護師・介護者役の成人男性が、臥床者K役の実験者の左側に立ち、スーツケースベルトをストレッチャー(PARAMOUNTBED KA-881)越しではあるが、模擬マットレス面と模擬敷布団面の間に、頭側から足側へ略均等に挿入し、その後、臥床者Kの右側に移動し、模擬マットレス面と模擬敷布団面の間にある口金で篏合されたリング状のスーツケースベルトを引き出し、合計16本、臥床者Kの右側に到達させた。
(7)この時点で、もう1台のストレッチャー(PARAMOUNTBED KK-700-095D)を臥床者Kの右側に接するように配置し、該ストレッチャーが長手方向に有するパイプに、引き出されたスーツケースベルトの口金を一度外し、パイプを囲む形で再度口金を篏合させ、下から上へ、市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団/両端がパイプ状の金具で吊り下げられたリング状のスーツケースベルト/袋式のベッドシーツに入れた夏布団/臥床者K、の配置を形成した。
(8)スーツケースベルトでは、空間形成支持板60bのような段差が付かないので、臥床者Kが乗っているストレッチャーを12cm下げ、16本のスーツケースベルトからなるハンモックが模擬敷布団面と臥床者Kを支える形を形成した。
(9)実施例17や18で、空間形成支持板60bや空間形成支持補助板61cを模擬敷布団面と模擬マットレス面の間から抜去し、空間形成支持板60bや空間形成支持補助板61cを、支持板12や支持補助板13として臥床者Kと模擬敷布団面の間へ挿入したように、模擬敷布団面を支えている16本のスーツケースベルトを1本ずつ、模擬布団面の下から上へ、即ち、臥床者Kと模擬布団との間(挿入空間Sp)へ移動した。移動は、臥床者Kの右側にあるリング状のスーツケースベルトの口金を一度外し、結合しているパイプから解放し、その後、再度口金を篏合しリング状にし、臥床者Kの左側へ抜き出し、次に、模擬布団面の上部と臥床者Kの間を通し、再度、臥床者Kの右側に持ち来たし、右側にあるパイプの所で口金を外し、パイプを囲む形にしてから、再度篏合し、両端がパイプで支えられたリング状のスーツケースベルトが臥床者Kと模擬布団面の間に存在する形を形成した。スーツケースベルトの模擬布団面の下部から上部への移動は、肩部、胸上部、頭部の順に、又、その後は、胸中部から足首部へ順次実施した。当初、頭部の垂れを懸念した順番であるが、臥床者Kの乗っているストレッチャーの面を12cm下げても、ハンモック状に全体が下方に向かって垂れるので、頭部はいつも支えられていた。本実験では、スーツケースベルトを1本外しても、残りの15本で臥床者Kを乗せた模擬布団面は支えられており、臥床者の支持に関する不安定さは見られなかった。
(10)16本のスーツケースベルトの模擬布団面の下部から上部への移動を終了した状態でのスーツケースベルトの配置を〔表16〕に示す。又、この状態までの所要時間は約15分であった。
(11)その後、臥床者の背面の空間形成を確認するために、更に6cm臥床者の乗っているストレッチャーを降下させ(合計18cm)、模擬布団面を臥床者の頭側から抜き出した。模擬布団面の抜き出しは抵抗なく行え、模擬布団面を抜き出した後に、臥床者と模擬マットレス面との間に空間(挿入空間Sp)を確認した。
(12)その後、模擬マットレス面(市販の表面のシーツは糸で縫いつけられている布団)がむき出しになっているストレッチャーの床面を上昇させ、体重が該ストレッチャーに移動したことを確認後、臥床者Kの右側のパイプに結合されているスーツケースベルトの篏合を16個全て外し、臥床者Kの右側のパイプとの結合を外した後、口金は再度篏合し、スーツケースベルトのリング状を矩形状に押しつぶした形態にした後、看護師・介護者役の実験者が臥床者の左側へ移動し、リング状を矩形状に押しつぶした形のスーツケースベルトを左側からゆっくり引っ張る形で抜き出した。口金が面取りされており、抜き出しは大きな抵抗もなく実施出来た。本(12)の過程の所用時間は約3分であった。
(13)臥床者K役の実験者の感触は、抜き出し時には、特に侵襲もなく、背中の部分に何かが通っている感じで、「ベルトを抜きます」との声かけで十分ではないかとのことであった。
(14)本実施例20と実施例19にて、スーツケースベルトのような帯状構造体と模擬敷布団面のような柔軟部材60を使用することによっても、臥床者Kと模擬布団面との間に挿入空間Spを形成できることが確認され、又、本挿入空間Spを利用すると、より可撓性の大きいスーツケースベルトのような繊維製材料や網状材料なども空間形成部材及び挿入部材(挿入支持部材)として使用可能なることが確認された。

Claims (17)

  1. 医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床面に接触している臥床者と前記臥床面との間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステムであって、
    前記挿入部材は、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材を含むものであり、
    前記挿入支持部材は、前記臥床者と前記臥床面との間への挿入方向での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工され、
    前記臥床者と前記臥床面との間への挿入状態にある前記挿入支持部材を支持する荷重支持部材を備え、
    前記荷重支持部材に支持され前記挿入状態にある前記挿入支持部材と前記臥床面との間を離間させる昇降機構を備え、前記昇降機構を働かせて、前記臥床者と前記臥床面との間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を形成する身体リフトシステム。
  2. 前記挿入支持部材は、前記臥床者と前記臥床面との間に挿入される挿入補助板と、前記挿入補助板の前記挿入状態において、前記臥床者と前記臥床面との間で前記挿入補助板の下方に前記挿入補助板にてガイドされて挿入される支持板とを有し、
    前記挿入補助板の挿入面内で、挿入する方向に直交する方向での幅は、前記支持板の前記挿入面内で、挿入する方向に直交する方向での幅よりも幅狭に形成されている請求項1に記載の身体リフトシステム。
  3. 前記挿入補助板は、前記支持板に対して挿入抵抗が低く構成されていると共に、
    前記支持板の剛性が前記挿入補助板の剛性以上に構成されている、又は前記支持板の厚みが前記挿入補助板の厚み以上に構成されている請求項2に記載の身体リフトシステム。
  4. 前記挿入部材は、前記臥床者と前記臥床面との間への前記挿入支持部材の前記挿入状態において、前記臥床者と前記臥床面との間で前記挿入支持部材の下方に配設される支持補助板を含むものであり、
    前記支持補助板の剛性は前記支持板の剛性以上に構成されている、又は前記支持補助板の厚みは前記支持板の厚み以上に構成されており、
    前記荷重支持部材は、前記支持補助板を介して前記挿入支持部材を支持する請求項2又は3に記載の身体リフトシステム。
  5. 前記支持補助板は、平板で矩形形状であり、挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工されている請求項4に記載の身体リフトシステム。
  6. 前記挿入支持部材は、前記臥床面に沿う方向で、前記臥床者と前記臥床面との間に複数枚併設して設けられ、複数の前記挿入支持部材は、前記臥床面に沿う方向で、前記挿入支持部材が互いに近接した近接状態から、互いに離間した離間状態との間で調整自在に構成されている請求項1~5の何れか一項に記載の身体リフトシステム。
  7. 医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床者と臥床面との間へ挿入される挿入部材を有する身体リフトシステムであって、
    前記臥床者と前記臥床面との間に介在可能な柔軟部材を備え、
    前記柔軟部材は、前記臥床者と前記臥床面との間に介在している状態において、前記臥床面との間に所定の厚みを有する長尺状の空間形成部材の複数を前記臥床面に沿う方向で間隔を隔てて挿入されたときに、複数の当該空間形成部材の間で且つ前記臥床者との間に挿入空間を形成する柔軟性を有し、
    少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材を前記挿入部材として備え、
    前記挿入空間への挿入状態にある前記挿入支持部材を支持する荷重支持部材を備え、
    前記荷重支持部材に支持され前記挿入状態にある前記挿入支持部材と前記臥床面との間を離間させる昇降機構を備え、前記昇降機構を働かせて、前記臥床者と前記臥床面との間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を形成する身体リフトシステム。
  8. 前記荷重支持部材は、前記挿入状態にある前記挿入部材の前記挿入方向での両端部を支持する一対の荷重支持部位を有する請求項1~7の何れか一項に記載の身体リフトシステム。
  9. 前記挿入部材は、プラスチック、木材、又は金属の少なくとも一つから成る請求項1~8の何れか一項に記載の身体リフトシステム。
  10. 前記挿入部材は、平板で矩形形状であり、厚みが、0.5mm以上50mm以下、幅が5mm以上1200mm以下、長さが200mm以上3000mm以下である請求項1~9の何れか一項に記載の身体リフトシステム。
  11. 前記臥床面は、ベッドの上面、室内床の上面、前記ベッド又は前記室内床に敷かれた寝具の上面、及び屋外の路面の少なくとも1つを含む請求項1~10の何れか一項に記載の身体リフトシステム。
  12. 前記荷重支持部材は、プラスチック、木材、金属、コンクリート、屋内壁を構成する左官材料、及びこれらの複合材料から構成される請求項1~11の何れか一項に記載の身体リフトシステム。
  13. 前記昇降機構は、前記臥床面を、直接昇降させる臥床面昇降機構から構成されている請求項1~12の何れか一項に記載の身体リフトシステム。
  14. 前記臥床面昇降機構は、前記臥床面の一部を部分的に昇降する部分昇降部を有する請求項13に記載の身体リフトシステム。
  15. 医療、看護、又は介護を含む処置に使用され、臥床面に接触している臥床者と前記臥床面との間へ挿入される挿入部材を用いて臥床者をリフトする身体リフト方法であって、
    前記挿入部材が、少なくとも一部に可撓性を有すると共に、平板で矩形形状である挿入支持部材を含むものであり、
    前記臥床者と前記臥床面との間への挿入方向での挿入先端部の挿入先端角部位及び挿入先端稜線部位の一方又は両方が面取り加工された前記挿入支持部材を、前記臥床者と前記臥床面との間へ挿入する挿入工程と、
    前記臥床者と前記臥床面との間への挿入状態にある前記挿入支持部材を荷重支持部材、により支持する支持工程と、
    前記荷重支持部材に支持され前記挿入状態にある前記挿入支持部材と前記臥床面との間を離間させる昇降機構により、前記臥床者と前記臥床面との間に医療、看護、又は介護を含む処置を行う空間を形成する空間形成工程とを含む身体リフト方法。
  16. 前記臥床者の操作対象としての人及び動物の体温の近傍温度で、人では、5℃以上48℃以下の範囲に、動物では、5℃以上(動物の体温+10℃)以下の範囲に、硬軟化変化閾値温度としての軟化温度又は融点、又は、難結晶性の高分子材料にあってはガラス転移温度を持ち、硬さが変化する主材料を有し、前記人又は前記動物の全体又は一部分である操作対象部位に対し、支持、固定、把持、被覆、或いは移動を伴う医療又は看護又は介護を含む処置を行う際に使用できるものであり、
    前記操作対象部位を把持又は被覆し前記操作対象部位の形状に応じて賦形し、前記主材料を加熱して軟化させる場合に、前記主材料を低温加熱するとき、前記人を対象とする場合は46℃以下を前記操作対象部位に接触する部分の温度とし、前記動物を対象とする場合は(動物の体温+10℃)以下を前記操作対象部位に接触する部分の温度とし、且つ軟化させるときの前記主材料の温度は前記硬軟化変化閾値温度以上の温度であり、
    外部から前記操作対象部位への応力を遮断又は低減するときで、前記主材料を冷却して硬化させる場合に、冷却温度が、前記硬軟化変化閾値温度未満の温度であり、前記低温加熱による軟化及び前記冷却による硬化を繰り返し実行することが自在な身体ホルダーを併用する場合の身体リフト方法であり、
    前記空間形成工程の後に、前記身体ホルダーを前記臥床者の身体直下に挿入し、前記昇降機構にて前記臥床面を前記空間形成工程の前の位置まで昇降させ、前記挿入支持部材を前記臥床面上に挿入された前記身体ホルダーに接触させ、荷重を前記身体ホルダーと前記身体ホルダーを支える前記臥床面に移動させた後、前記挿入支持部材を抜き、前記身体ホルダーにて前記操作対象部位を把持又は被覆し、且つ前記身体ホルダーを前記操作対象部位の形状に応じて賦形させる請求項15に記載の身体リフト方法。
  17. 前記空間形成工程において、前記荷重支持部材、又は前記昇降機構のどちらか一方に医療機器を固定又は一体的に設置し、前記臥床者と前記医療機器との昇降方向での位置関係を維持して昇降し、又は、
    前記空間形成工程の後に、前記臥床者の衣服や下着の脱衣又は着衣、前記臥床者の健康状態のモニターに用いられる体重計の挿入、前記臥床者のオムツの交換、床上排泄用便器の前記空間への挿入、陰部洗浄器具の前記空間への挿入、前記臥床者の車椅子への移乗の少なくとも1つを行う請求項15又は16に記載の身体リフト方法。
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