JP2023121435A - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

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Koichi Uemura
寛 村橋
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【課題】 複数のハニカムセグメントが組み合わされてなるハニカム構造体の製造方法であって、電熱線の位置ずれを防止することができるハニカム構造体の製造方法を提供すること。【解決手段】 多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを複数個、各ハニカムセグメントの側面同士が対向するように一列に並べて接着してハニカム集合体を作製する、ハニカム集合体作製工程と、上記ハニカム集合体を構成する各ハニカムセグメントの側面が一列に並んでいる面である上記ハニカム集合体の主面に、電熱線を固定して配置する電熱線配置工程と、上記ハニカム集合体の主面に固定した上記電熱線の上から接着剤を付与する接着剤付与工程と、上記電熱線を配置し、接着剤を付与した上記ハニカム集合体の主面と、別のハニカム集合体の主面を重ねて、上記ハニカム集合体同士を上記接着剤で接着する接着工程と、を行うことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。【選択図】 図7

Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
エンジンから排出された排ガス中に含まれる有害物質を浄化するため、排気管の経路には、排ガス浄化が可能な触媒を担持したハニカム基材を備える排ガス浄化装置が設けられている。
排ガス浄化装置による有害物質の浄化効率を高めるためには、排ガス浄化装置の内部の温度を触媒活性化に適した温度(以下、触媒活性化温度ともいう)に維持する必要がある。
特許文献1には、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれるススを捕集して排ガスを浄化するフィルタが開示されている。このフィルタでは、フィルタ内部に堆積したススを燃焼させるために、隣接するフィルタ間に発熱体としての電熱線を配設している。
特開平7-54643号公報
特許文献1に開示された構成では、ハニカムセグメント毎に電熱線を配置して、ハニカムセグメント毎に電極端子を設けていた。しかし、この構造であると給電部からの通電の経路が複雑になるため、電熱線及び電極端子を集約する構造にすることが望まれていた。
そこで、本発明者らは、ハニカムセグメント毎に電熱線を配置するのではなく、ハニカムセグメントを組み合わせてなるハニカム集合体を作製し、ハニカム集合体の間に電熱線を配置することによって電熱線及び電極端子を集約することを試みた。
しかしながら、ハニカム集合体の間に電熱線及び接着剤を配置して、ハニカム集合体同士を接着した場合に、接着剤層内での電熱線の位置が設計からずれることがあった。
そして、電熱線の位置が設計からずれると、ハニカムセグメントの温度のバラツキが大きくなるという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされた発明であり、複数のハニカムセグメントが組み合わされてなるハニカム構造体の製造方法であって、電熱線の位置ずれを防止することができるハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを複数個、各ハニカムセグメントの側面同士が対向するように一列に並べて接着してハニカム集合体を作製する、ハニカム集合体作製工程と、
上記ハニカム集合体を構成する各ハニカムセグメントの側面が一列に並んでいる面である上記ハニカム集合体の主面に、電熱線を固定して配置する電熱線配置工程と、
上記ハニカム集合体の主面に固定した上記電熱線の上から接着剤を付与する接着剤付与工程と、
上記電熱線を配置し、接着剤を付与した上記ハニカム集合体の主面と、別のハニカム集合体の主面を重ねて、上記ハニカム集合体同士を上記接着剤で接着する接着工程と、
を行うことを特徴とする。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム集合体の主面に電熱線を固定してから、接着剤を付与して他のハニカム集合体との接着を行う。
接着工程を行う前に電熱線がハニカム集合体の主面に固定されているので、接着工程において電熱線の位置ずれが防止される。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記電熱線配置工程における上記電熱線の固定は、有機固定剤、無機固定剤又はテープにより行うことが好ましい。
これらの材料により、電熱線をハニカム集合体の主面に固定することができ、接着工程における電熱線の位置ずれが防止される。
本発明のハニカム構造体の製造方法において、上記電熱線配置工程では、上記電熱線を固定して配置する上記ハニカム集合体の主面に、上記電熱線の両端が接続された複数の電極端子を固定して配置することが好ましい。
電熱線をあらかじめ電極端子に接続してから、ハニカム集合体の主面に電極端子を固定した後に接着剤を付与することにより、接着工程において電極端子の位置ずれも防止される。また、電極端子に接続された電熱線の位置ずれも防止される。
前記電極端子間には、複数本の電熱線が並列つなぎされていることが好ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム集合体の主面間に配置された上記接着剤を脱脂する脱脂工程を行うことが好ましい。
また、上記脱脂工程において、上記ハニカム集合体の主面に上記電熱線を固定するために使用した材料を焼失させることが好ましい。
脱脂工程を行うことにより接着剤を固化させて、ハニカム集合体同士を接着させることができる。また、接着剤が固化した後には電熱線の位置が接着剤層内で固定されるので、電熱線配置工程で電熱線の固定に使用した材料を焼失させても構わない。
図1は、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、ハニカムセグメントの長手方向に垂直な方向の断面図である。 図3は、図1に示すハニカム構造体の部分断面図である。 図4は、ハニカム集合体の一例を模式的に示す斜視図である。 図5は、電熱線配置工程で使用する組電熱線を模式的に示す斜視図である。 図6は、電熱線配置工程においてハニカム集合体の主面に電熱線を固定した例を模式的に示す斜視図である。 図7は、接着剤付与工程においてハニカム集合体の主面に固定した電熱線の上から接着剤を付与する例を模式的に示す斜視図である。 図8は、接着工程の最初の接着を模式的に示す斜視図である。 図9は、接着工程において電熱線付きハニカム集合体の主面に振動を加える工程を模式的に示す斜視図である。 図10は、接着工程の2番目の接着を模式的に示す斜視図である。 図11は、電熱線付き積層体の一例を模式的に示す斜視図である。 図12は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様の工程を模式的に示す斜視図である。 図13は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様の工程を模式的に示す斜視図である。 図14は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様の工程を模式的に示す斜視図である。 図15は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様の工程を模式的に示す斜視図である。
(発明の詳細な説明)
[ハニカム構造体]
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを複数個、各ハニカムセグメントの側面同士が対向するように一列に並べて接着してハニカム集合体を作製する、ハニカム集合体作製工程と、上記ハニカム集合体を構成する各ハニカムセグメントの側面が一列に並んでいる面である上記ハニカム集合体の主面に、電熱線を固定して配置する電熱線配置工程と、上記ハニカム集合体の主面に固定した上記電熱線の上から接着剤を付与する接着剤付与工程と、上記電熱線を配置し、接着剤を付与した上記ハニカム集合体の主面と、別のハニカム集合体の主面を重ねて、上記ハニカム集合体同士を上記接着剤で接着する接着工程と、を行うことを特徴とする。
まず、本発明のハニカム構造体の製造方法で製造するハニカム構造体について説明する。
図1は、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すハニカム構造体1は、多数のセル21を区画形成する隔壁22を有するハニカムセグメント20を複数組み合わせてなり、ガスが流入する第1の端面11とガスが流出する第2の端面12を有する。
ハニカムセグメント20のセル21が伸びる方向を長手方向(図1に両矢印Lで示す方向)とする。
複数のハニカムセグメントは接着剤層30を介して組み合わされている。
また、電極端子40が第1の端面11から突出している。
ハニカムセグメント(隔壁)を構成する材料としては、SiC、Si含浸SiC等の熱伝導率が高いものであることが望ましい。
隔壁の厚さは、均一であることが好ましい。具体的には、隔壁の厚さは、0.30mm未満であることが好ましい。また、0.05mm以上であることが好ましい。
セルの形状としては、四角柱状に限定されず、三角柱状、六角柱状等が挙げられる。
セルの形状はそれぞれ異なっていてもよいが、全て同じであることが好ましい。すなわち、ハニカムセグメントの長手方向に垂直な断面において、隔壁に囲まれたセルのサイズが同じであることが好ましい。
隔壁の気孔率は、50%以下であることが望ましい。
隔壁の気孔率が50%以下であると、高い機械的強度と排ガス浄化性能を両立させることができる。
隔壁の気孔率が50%を超えると、気孔率が高くなりすぎるため、ハニカムセグメントの機械的特性が低下し、ハニカム構造体を使用中、クラックや破壊等が発生し易くなる。
ハニカム構造体の形状は特に限定されるものではなく、円柱状に限られず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
ハニカム構造体の形状が円柱状である場合、ハニカム構造体の端面の直径に対するハニカム構造体の長手方向の長さの割合(長さ/直径)が0.8以下であることが好ましい。
ハニカム構造体の長手方向の長さは150mm以下であることが好ましく、また、50mm以上であることが好ましい。
図2は、ハニカムセグメントの長手方向に垂直な方向の断面図である。
内燃機関から排出された排ガス(図2中、排ガスの流れを矢印Gで示す)が、ハニカムセグメント20に到達すると、排ガスは、ハニカムセグメント20の第1の端面11からセル21に流入する。さらに、排ガスは、隔壁22に担持された触媒23に接触しながらセル21の中を通過する。この際、排ガス中のCOやHC、NO等の有害なガス成分が隔壁22に担持された触媒23により浄化される。そして、排ガスは、ハニカムセグメント20の第2の端面12においてセル21から流出する。
触媒23としては、排ガスを処理できれば特に限定されないが、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属からなる触媒、ゼオライト、チタニア、酸化バナジウム等が挙げられる。ゼオライトとしてはCHA型ゼオライトであってもよく、ゼオライトはCu等でイオン交換されていてもよい。
これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの触媒が担持されていると、COやHC、NO等の有毒な排ガスを好適に浄化することができる。
とくに、ゼオライトを触媒としてNOxを還元するSCR触媒としてハニカム構造体を使用することが好ましい。
図3は、図1に示すハニカム構造体の部分断面図である。
隣接するハニカムセグメント20の間には電熱線50が配置されている。そして、電熱線50の両端には電極端子40が設けられていて、電極端子40が第1の端面11から突出している。
電熱線50は接着剤層30の内部に配置されている。
電熱線の材料としては、ニッケルクロム合金、ニッケルクロム鉄合金、クロム鉄アルミニウム合金等を使用することができる。また、電熱線は線状でも板状でも使用することができる。
電熱線が線状の場合、その直径は特に限定されるものではないが、0.1~1mmであることが好ましく、板状の場合、その厚さは限定されるものではないが、0.1~0.5mmであり、その幅は1~10mmであることが好ましい。
接着剤層は、無機バインダと無機粒子とを含む接着剤ペーストを塗布、乾燥させたものである。上記接着剤層は、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
また、接着剤層の厚さは0.5~3mmであることが好ましい。
電熱線50の両端には電極端子40が接続されていて、電極端子40が第1の端面11から突出しており、電極端子40から電熱線50に給電して電熱線を発熱させることができる。電極端子40は板状であり、電熱線50と溶接されている。
電極端子40同士は、電極端子間を接続する配線により接続される。
図3に示す電熱線50は、複数の電熱線(51、52、53)が並列つなぎで接続された組電熱線である。各電熱線の両端に電極端子40が接続されている。
電熱線が組電熱線であると、複数の電熱線のうちの1本が断線したとしても組電熱線全体としては断線しないため、加熱性能の低下を最小限に抑えることができる。
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
以下に示す例では、各接着剤層に2つの組電熱線を配置して、最後に長手方向の中央位置で半裁することで2つのハニカム構造体を製造する方法の例について説明する。
(ハニカム集合体作製工程)
ハニカム集合体作製工程では、多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを複数個、各ハニカムセグメントの側面同士が対向するように一列に並べて接着してハニカム集合体を作製する。
ハニカムセグメントは、ハニカムセグメントの材料を含むセラミックペーストを押出成形し、乾燥、焼成することにより製造することができる。
ハニカムセグメントの側面に接着剤となる接着剤ペーストを塗布し、ハニカムセグメントの側面同士が対向するように一列に並べて、乾燥することによって接着してハニカム集合体を作製する。
接着剤ペーストには、無機バインダと無機粒子とを含むことが好ましい。
図4は、ハニカム集合体の一例を模式的に示す斜視図である。
図4に示すハニカム集合体70は、ハニカムセグメント20が7個、ハニカムセグメント20の側面同士が対向するように一列に並んで接着剤層30により接着されたものである。
製造するハニカム構造体の形状を考慮して、1つのハニカム集合体70に含まれるハニカムセグメント20の数が異なる複数種類のハニカム集合体を作製しておくことが好ましい。
図1に示す円柱状のハニカム構造体を製造する場合、ハニカムセグメントの数が5個のハニカム集合体を2つ、ハニカムセグメントの数が7個のハニカム集合体を5つ製造する。
図4に示すハニカム集合体70は、相対的に広い面である主面を2つ有する。ハニカム集合体70の2つの主面を第1の主面71、第2の主面72とする。
(電熱線配置工程)
電熱線配置工程では、ハニカム集合体を構成する各ハニカムセグメントの側面が一列に並んでいる面であるハニカム集合体の主面に、電熱線を固定して配置する。
本発明のハニカム構造体の製造方法で使用する電熱線としては、電極端子間に、複数本の電熱線が並列つなぎされていることが好ましい。
図5は、電熱線配置工程で使用する組電熱線を模式的に示す斜視図である。
図5に示す組電熱線50において、電極端子40間には、複数本の電熱線(電熱線51、52、53)が並列つなぎされている。
各電熱線51、52、53の両端をそれぞれ電極端子40と溶接等の手段により接続することで組電熱線50を作製することができる。
図6は、電熱線配置工程においてハニカム集合体の主面に電熱線を固定した例を模式的に示す斜視図である。
図6に示すように、ハニカム集合体70の一方の主面である第1の主面71に固定剤80を塗布し、固定剤80と各電熱線51、52、53が接触するように、組電熱線50を載置して、固定剤80によりハニカム集合体70の第1の主面71に組電熱線50を固定する。
ハニカム集合体70の第1の主面71に組電熱線50を固定することにより、ハニカム集合体70の主面に、複数の電極端子40が固定して配置される。
組電熱線50の固定に際して、電極端子40を固定剤によりハニカム集合体70の第1の主面71に固定してもよい。
固定剤による電熱線の固定は、後述するハニカム集合体の接着工程の実施時に、電熱線及び電極端子の位置が設計位置からずれない程度の固定強度とすればよい。
また、固定剤は、その後の乾燥工程やハニカム構造体の使用時の加熱により焼失する材料であってもよい。
電熱線配置工程における電熱線の固定は、有機固定剤、無機固定剤又はテープにより行うことが好ましい。
これらの材料により、電熱線をハニカム集合体の主面に固定することができ、接着工程における電熱線の位置ずれが防止される。
有機固定剤としては、有機物を主材料とする有機系接着剤が挙げられ、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、化学反応により硬化するエポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、シリコーンゴム系接着剤などが挙げられる。
無機固定剤としては、無機物を主材料とする無機系接着剤が挙げられ、特に限定されるものではないが、金属アルコキシドを含むセラミック接着剤や、アルミナゾルやシリカゾルを含むセラミック接着剤からなることが好ましい。
固定剤として有機固定剤又は無機固定剤を用いる場合は、ハニカム集合体の主面に有機固定剤又は無機固定剤を塗布して、その上に電熱線を配置して、図6に示すような態様で固定剤により電熱線をハニカム集合体の主面に固定すればよい。
テープとしては、片面接着テープ又は両面接着テープを使用することができ、上述した有機固定剤又は無機固定剤が基材の表面に付与されたテープを使用することができる。
テープの基材としては、特に限定されるものではないが、ポリプロピレン樹脂、PET樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、布、紙等を使用することができる。
固定剤として片面接着テープを用いる場合、ハニカム集合体の主面に電熱線を載置して、電熱線の上から片面接着テープを被せて電熱線をハニカム集合体の主面に固定すればよい。
固定剤として両面接着テープを用いる場合、ハニカム集合体の主面に両面接着テープを貼り付け、剥離紙を剥がして露出した接着面に電熱線を載置することにより、電熱線をハニカム集合体の主面に固定すればよい。
電熱線配置工程において、ハニカム集合体の主面にスペーサーを配置してもよい。図6には、ハニカム集合体の第1の主面71に配置したスペーサー81を示している。
スペーサーは、接着工程で形成される接着剤層の厚さを所定の厚さに定めるために設けられる部材であり、接着工程においてハニカム集合体の主面を重ねた際に潰れない程度の強度を有する。
図6では、スペーサー81をハニカム集合体の第1の主面71の端、電極端子40の外側に配置しているが、スペーサーを配置する位置は限定されるものではなく、スペーサーの数、形状も限定されるものではない。
また、スペーサーを設ける場合はスペーサーの厚さを電熱線の太さ及び電極端子の厚さよりも厚くすることが好ましい。スペーサーの厚さが電熱線の太さ及び電極端子の厚さより厚いと、ハニカム集合体を重ねたときに電熱線及び電極端子が相手方のハニカム集合体(電熱線を配置していないハニカム集合体)の主面に接触しないようにすることができる。
すると、硬い電熱線及び電極端子により相手方のハニカム集合体の主面が加圧されることが防止されるので、相手方のハニカム集合体の破損が防止される。
(接着剤付与工程)
接着剤付与工程では、ハニカム集合体の主面に固定した電熱線の上から接着剤を付与する。
図7は、接着剤付与工程においてハニカム集合体の主面に固定した電熱線の上から接着剤を付与する例を模式的に示す斜視図である。
図7には、ディスペンサ91を用いて、ハニカム集合体の第1の主面71に固定した電熱線50の上から接着剤90を付与する様子を示している。
接着剤を付与する方法は特に限定されるものではなく、ディスペンサによる塗布、バーコートによる塗布、スプレー塗布、刷毛塗り、ロールコーター等の方法を用いることができる。
接着剤としては、ハニカム集合体の作製に用いたものと同じ接着剤ペーストを用いることが好ましい。
電極端子40の上及びスペーサー81の上には接着剤90を付与してもよい。
接着剤の厚みを調整して、電熱線及び電極端子が隠れるようにすることが好ましい。すなわち、付与する接着剤の厚さを電熱線の太さ及び電極端子の厚さよりも厚くすることが好ましい。また、付与する接着剤の厚さをスペーサーの厚さよりも厚くしておくことが好ましい。接着剤の厚さがスペーサーの厚さよりも薄いと、ハニカム集合体を重ねた時に接着剤が対向するハニカム集合体と接触しないためである。
ここまでの工程により、ハニカム集合体の主面に電熱線を配置しさらに接着剤を付与したハニカム集合体である電熱線付きハニカム集合体100が得られる。
電熱線付きハニカム集合体100を、ハニカム構造体の作製に必要な数だけ作製しておく。
(接着工程)
接着工程では、電熱線を配置し、接着剤を付与したハニカム集合体の主面と、別のハニカム集合体の主面を重ねて、ハニカム集合体同士を接着剤で接着する。
図8は、接着工程の最初の接着を模式的に示す斜視図である。
最初の接着では、電熱線を配置していないハニカム集合体70Aを準備し、ハニカム集合体70Aの一方の主面、ここでは第2の主面72Aを上に向けて載置する。
別に、電熱線付きハニカム集合体100Bを準備し、電熱線付きハニカム集合体100Bの、電熱線50を配置し接着剤90を付与した側の主面である第1の主面71Bを下に向けて、ハニカム集合体70Aの第2の主面72Aと重ねて、ハニカム集合体70Aと電熱線付きハニカム集合体100Bを接着剤90で接着する。
なお、重ね合わせるハニカム集合体の大きさが異なるときは、電熱線、電極端子及び接着剤を配置する位置は小さい側のハニカム集合体の大きさに合わせる。具体的には、電熱線、電極端子及び接着剤は電熱線付きハニカム集合体100Bにおいて外から2つめのハニカムセグメントにまで設けられていて、最も外側のハニカムセグメントには電熱線、電極端子及び接着剤が設けられていない。
図9は、接着工程において電熱線付きハニカム集合体の主面に振動を加える工程を模式的に示す斜視図である。
電熱線付きハニカム集合体100Bの第2の主面72Bが上に向いていて、この面には接着剤は付与されていない。この面に振動付与装置120を接触させて加圧と振動を加えることにより、ハニカム集合体70Aと電熱線付きハニカム集合体100Bを接着する接着剤90の厚さを均一にすることができる。
図10は、接着工程の2番目の接着を模式的に示す斜視図である。
2番目の接着では、電熱線付きハニカム集合体100Cを準備し、電熱線付きハニカム集合体100Cの、電熱線50を配置し接着剤90を付与した側の主面である第1の主面71Cを下に向けて、最初の接着で接着された電熱線付きハニカム集合体100Bの第2の主面72Bと重ねて、電熱線付きハニカム集合体100Bと電熱線付きハニカム集合体100Cを接着剤90で接着する。
なお、この工程では重ね合わせるハニカム集合体の大きさが同じであるので、電熱線付きハニカム集合体100Cにおいて電熱線、電極端子及び接着剤を配置する位置は、電熱線付きハニカム集合体100Bの場合よりも広くなっている。具体的には、電熱線、電極端子及び接着剤は最も外側のハニカムセグメントにまで設けられている。
電熱線付きハニカム集合体100Bと電熱線付きハニカム集合体100Cを重ねた後は、図10に示すように電熱線付きハニカム集合体100Cの第2の主面72Cに加圧と振動を加える。
図11は、電熱線付き積層体の一例を模式的に示す斜視図である。
上記の工程を繰り返して必要な数の電熱線付きハニカム集合体を積み重ねていき、電熱線付きハニカム集合体が積層された、電熱線付き積層体110を得る。
図11に示す電熱線付き積層体110は、以下の構成を有する。
・ハニカムセグメントの数が5個であり、電熱線が配置されていないハニカム集合体を1つ(ハニカム集合体70A)
・ハニカムセグメントの数が7個であり、電熱線が配置されている電熱線付きハニカム集合体を5つ(電熱線付きハニカム集合体100B、電熱線付きハニカム集合体100C、電熱線付きハニカム集合体100D、電熱線付きハニカム集合体100E、電熱線付きハニカム集合体100F:電熱線付きハニカム集合体100Bは、電熱線の配置位置が異なる)
・ハニカムセグメントの数が5個であり、電熱線が配置されている電熱線付きハニカム集合体を1つ(電熱線付きハニカム集合体100G)
電熱線付き積層体110を加熱して、ハニカム集合体の主面間に配置された接着剤を乾燥する乾燥工程を行う。
乾燥工程により、接着剤が固化して接着剤層となり、ハニカム集合体同士が接着される。
乾燥の温度及び時間は接着剤の材料により適宜設定することができる。
乾燥工程を経て接着剤を固化した後、電熱線付き積層体に対して、狙いの形状にするために、外周を加工してもよい。また、外周加工後に接着剤ペーストと同様のペーストを電熱線付き積層体の外周に塗布して外周シール材層を形成してもよい。
また、外周シール材層形成後に電熱線付き積層体を脱脂して、電熱線を固定するために使用した材料を焼失させてもよい。
電熱線を固定するために使用した材料が有機固定剤やテープである場合、その材料の耐熱温度以上の温度での脱脂を行うことでこれらの材料が焼失する。
脱脂工程までの工程において電熱線及び電極端子の位置が固定されていれば、電熱線の固定に使用した材料を脱脂工程で焼失させても構わない。
乾燥工程もしくは脱脂を経て接着剤が固化された電熱線付き積層体を長手方向の中央位置で半裁することによって、第1の端面に電極端子が露出したハニカム構造体を2個製造することができる。
また、組電熱線が並列つなぎで接続されるように、電極端子同士を接続する。
以上の工程により、ハニカム構造体を製造することができる。
この工程では、ハニカム集合体の主面に電熱線を固定してから、接着剤を付与して他のハニカム集合体との接着を行う。
接着工程を行う前に電熱線がハニカム集合体の主面に固定されているので、接着工程において電熱線の位置ずれが防止される。
ハニカム構造体の電極端子の一端には、給電端子を接続させて使用することができる。
また、製造したハニカム構造体を、触媒を含むスラリーに浸漬し、乾燥することによりハニカム構造体の隔壁に触媒を担持させることが好ましい。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様として、必要な数の電熱線付きハニカム集合体を作製してから接着工程を行うのではなく、電熱線配置工程、接着剤付与工程及び接着工程を繰り返して電熱線付き積層体を得るようにしてもよい。
図12、図13、図14及び図15は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様の工程を模式的に示す斜視図である。
図12には、接着工程の最初の接着を模式的に示している。
図12には、ハニカムセグメントの数が5個であり、電熱線が配置されている電熱線付きハニカム集合体200Aを示している。
最初の接着では、電熱線付きハニカム集合体200Aの、電熱線を配置し接着剤を付与した側の主面である第1の主面171Aを上に向けて、電熱線を配置していないハニカム集合体170Bの第2の主面172Bと重ねて、電熱線付きハニカム集合体200Aとハニカム集合体170Bを接着剤90で接着する。
図13に示すように、ハニカム集合体170Bの第1の主面171Bに振動付与装置120を接触させて加圧と振動を加える。
図14には、ハニカム集合体170Bの第1の主面171Bに電熱線を固定して配置し、電熱線の上から接着剤90を付与した様子を模式的に示している。
この工程により、ハニカム集合体170Bが電熱線付きハニカム集合体200Bとなる。
すなわち、ハニカム集合体の積層を行いながら、電熱線配置工程と接着剤付与工程を行っている。
図15には、接着工程の2番目の接着を模式的に示している。
2番目の接着では、電熱線を配置していないハニカム集合体170Cの第2の主面172Cを、電熱線付きハニカム集合体200Bの、電熱線を配置し接着剤90を付与した側の主面である第1の主面171Bと重ねて、電熱線付きハニカム集合体200Bとハニカム集合体170Cを接着剤90で接着する。
上記の工程を繰り返して必要な数のハニカム集合体の接着、電熱線の固定、接着剤の付与を行い、電熱線付きハニカム集合体が積層された、図11に示す構成の電熱線付き積層体110を得ることができる。この電熱線付き積層体に対して、乾燥工程、外周加工、外周シール材層の形成、脱脂、半裁等の必要な工程を行うことによりハニカム構造体を製造することができる。また、製造したハニカム構造体を、触媒を含むスラリーに浸漬し、乾燥することによりハニカム構造体の隔壁に触媒を担持させることが好ましい。
上記実施形態では、各接着剤層に2つの組電熱線を配置して、最後に長手方向の中央位置で半裁することで2つのハニカム構造体を製造する方法を説明したが、各接着剤層に配置する組電熱線を1つにし、半裁することなくハニカム構造体を製造してもよい。
1 ハニカム構造体
11 ハニカム構造体の第1の端面
12 ハニカム構造体の第2の端面
20 ハニカムセグメント
21 セル
22 隔壁
23 触媒
30 接着剤層
40 電極端子
50 電熱線(組電熱線)
51、52、53 電熱線
70、70A ハニカム集合体
71、71B、71C ハニカム集合体の第1の主面
72、72A、72B、72C ハニカム集合体の第2の主面
80 固定剤
81 スペーサー
90 接着剤
91 ディスペンサ
100、100B、100C、100D、100E、100F、100G 電熱線付きハニカム集合体
110 電熱線付き積層体
120 振動付与装置
170B、170C ハニカム集合体
171A、171B ハニカム集合体の第1の主面
172B、172C ハニカム集合体の第2の主面
200A、200B 電熱線付きハニカム集合体

Claims (6)

  1. 多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを複数個、各ハニカムセグメントの側面同士が対向するように一列に並べて接着してハニカム集合体を作製する、ハニカム集合体作製工程と、
    前記ハニカム集合体を構成する各ハニカムセグメントの側面が一列に並んでいる面である前記ハニカム集合体の主面に、電熱線を固定して配置する電熱線配置工程と、
    前記ハニカム集合体の主面に固定した前記電熱線の上から接着剤を付与する接着剤付与工程と、
    前記電熱線を配置し、接着剤を付与した前記ハニカム集合体の主面と、別のハニカム集合体の主面を重ねて、前記ハニカム集合体同士を前記接着剤で接着する接着工程と、
    を行うことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記電熱線配置工程における前記電熱線の固定は、有機固定剤、無機固定剤又はテープにより行う請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記電熱線配置工程では、前記電熱線を固定して配置する前記ハニカム集合体の主面に、前記電熱線の両端が接続された複数の電極端子を固定して配置する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記電極端子間には、複数本の電熱線が並列つなぎされている請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記ハニカム集合体の主面間に配置された前記接着剤を脱脂する脱脂工程を行う、請求項1~4のいずれか1項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記脱脂工程において、前記ハニカム集合体の主面に前記電熱線を固定するために使用した材料を焼失させる請求項5に記載のハニカム構造体の製造方法。
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