JP2023120921A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ中のイオンについて、処理容器内にて基板が支持される領域へ適切な量を供給すること。【解決手段】本開示のプラズマ処理装置は、基板を収容する処理容器と、前記処理容器内の第1領域にて前記基板を支持するステージと、誘電体により構成され、前記処理容器内において第2領域と前記第1領域とを区画する区画部と、前記第2領域にプラズマ雰囲気を形成するためのプラズマ化機構と、前記第1領域と前記第2領域とを連通させるために前記区画部に設けられる貫通孔と、前記第2領域から前記第1領域に供給されるプラズマに含まれるイオンの量を調整するために前記区画部にて前記貫通孔を間に挟んで設けられ、互いの間に磁界を形成する第1の電磁石及び第2の電磁石と、を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)などの基板に対して、プラズマ処理が行われる場合が有る。特許文献1には、基板が保持される基板ホルダと、プラズマが形成されると共に基板に向う先端側に開口部を備えるプラズマ室と、を備える基板接合装置について示されている。そして、プラズマ室の開口部の先には正の電位が与えられるイオントラップ電極が設けられることで、プラズマ中のイオンをトラップしてラジカルのみを基板に向けて発射することができるとされている。
また、特許文献2にはシャワーヘッド内に容量結合型のプラズマを形成して、シャワーヘッドの下方のウエハに供給する成膜装置について示されている。そして、当該シャワーヘッドを構成するシャワープレートの直下には、導電体あるいは絶縁体からなる部材が設けられており、シャワープレートを通過したプラズマ中のイオンを、当該部材によってトラップすることが記載されている。
本開示は、プラズマ中のイオンについて、処理容器内にて基板が支持される領域へ適切な量を供給することができる技術を提供することを目的とする。
本開示のプラズマ処理装置は、
基板を収容する処理容器と、
前記処理容器内の第1領域にて前記基板を支持するステージと、
誘電体により構成され、前記処理容器内において第2領域と前記第1領域とを区画する区画部と、
前記第2領域にプラズマ雰囲気を形成するためのプラズマ化機構と、
前記第1領域と前記第2領域とを連通させるために前記区画部に設けられる貫通孔と、
前記第2領域から前記第1領域に供給されるプラズマに含まれるイオンの量を調整するために前記区画部にて前記貫通孔を間に挟んで設けられ、互いの間に磁界を形成する第1の電磁石及び第2の電磁石と、
を備える。
基板を収容する処理容器と、
前記処理容器内の第1領域にて前記基板を支持するステージと、
誘電体により構成され、前記処理容器内において第2領域と前記第1領域とを区画する区画部と、
前記第2領域にプラズマ雰囲気を形成するためのプラズマ化機構と、
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前記第2領域から前記第1領域に供給されるプラズマに含まれるイオンの量を調整するために前記区画部にて前記貫通孔を間に挟んで設けられ、互いの間に磁界を形成する第1の電磁石及び第2の電磁石と、
を備える。
本開示によれば、プラズマ中のイオンについて、処理容器内にて基板が支持される領域へ適切な量を供給することができる。
〔第1の実施形態〕
本開示のプラズマ処理装置の第1の実施形態であるエッチング装置1について、図1の縦断側面図を参照して説明する。エッチング装置1は、基板であるウエハWを内部が真空雰囲気とされる処理容器11内に収納し、当該処理容器11内に誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を形成することで当該ウエハWの表面をエッチング処理する。後に詳しく述べるが、エッチング装置1はプラズマに含まれるイオンについて、ウエハWの周囲への供給量を調整可能であるように構成されている。
本開示のプラズマ処理装置の第1の実施形態であるエッチング装置1について、図1の縦断側面図を参照して説明する。エッチング装置1は、基板であるウエハWを内部が真空雰囲気とされる処理容器11内に収納し、当該処理容器11内に誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を形成することで当該ウエハWの表面をエッチング処理する。後に詳しく述べるが、エッチング装置1はプラズマに含まれるイオンについて、ウエハWの周囲への供給量を調整可能であるように構成されている。
エッチング装置1は、処理容器11と、ステージ2と、ガス供給機構3と、プラズマ化機構4と、イオントラップ5と、可変直流電源60と、を備えている。処理容器11は円形であり、処理容器11の側壁及び底壁をなす容器本体12と、処理容器11の天井壁をなす天板13とにより構成されている。容器本体12は、金属により構成されると共に接地されている。そして、処理容器11の側壁は起立した円筒として形成されるが、天板13はその円筒の上側を塞ぐように設けられており、水平な円板として構成されている。この天板13については、後述のアンテナ41によって処理容器11内にICPを形成するために、誘電体によって構成されている。
イオントラップ5は処理容器11内を上下に区画する区画部をなし、処理容器11内におけるイオントラップ5の下方側の領域、上方側の領域を、夫々処理空間14、上部空間15とする。イオントラップ5は、上記したイオンの供給量の調整に用いられる部材であり、後にその構成を詳しく説明する。
処理容器11の側壁にはウエハWの搬送口16が形成されており、第1領域をなす処理空間14に開口している。搬送口16はゲートバルブ17によって開閉され、ウエハWの搬入出時を除き閉鎖される。また、処理空間14には排気口18が開口している。処理容器11の外側に設けられた排気機構19によって排気口18を介して処理容器11内の排気が行われ、処理容器11内が所望の圧力の真空雰囲気とされる。排気機構19は、例えば真空ポンプや処理容器11内についての圧力調整用のバルブなどを含む。
処理空間14にはステージ2が設けられており、当該ステージ2の上面にウエハWが水平に支持される。ステージ2には下部電極21が埋設されている。当該下部電極21には導電路22の一端が接続されている。導電路22の他端は、処理容器11の外部へ引き出され、整合器23を介して高周波電源24に接続されている。高周波電源24は下部電極21に高周波電力を印加し、ステージ2上のウエハWの電位を変化させて上方からウエハWへ向けてプラズマを構成するイオンを引き込む。即ち、高周波電源24は、この引き込みのためのバイアス電力を下部電極21に供給するバイアス電源であり、後述のプラズマ形成用の高周波電源43よりも低い周波数の高周波電力を当該バイアス電力として供給する。
図示は省略するが例えばステージ2には、当該ステージ2の上面に対して昇降可能な3本のピンと、当該ステージに支持されたウエハWの温度を所望の温度に調整するためのヒータと、が設けられる。上記のピンは、搬送口16を介して処理容器11内に進入した搬送機構とステージ2の上面との間でウエハWを受け渡すための部材である。なお、当該ステージ2としては静電チャックを備えた構成とし、ウエハWを吸着可能な構成としてもよい。
処理容器11の側壁には、第2領域をなす上部空間15に開口するガス供給口31が形成されている。配管32の一端が、処理容器11の外側から当該処理容器11の側壁に接続されており、当該配管32の管路はガス供給口31に連通する。そして、配管32の他端はガス供給機構3に接続されている。ガス供給機構3は、例えばマスフローコントローラなどのガスの流量調整機構、バルブ、及び処理ガスの供給源を含む。ウエハWの処理時には、当該ガス供給機構3から処理ガスが、配管32を介してガス供給口31に所定の流量で供給され、上部空間15へ導入される。本例では処理ガスは、ウエハW表面の膜をエッチングするためのエッチングガスである。
次に、プラズマ化機構4について説明する。プラズマ化機構4は、アンテナ41、整合器42及び高周波電源43により構成されている。アンテナ41は、上記した天板13の上方に設けられており、プラズマ形成用の電極をなす。アンテナ41は細長で扁平な板状体であり、上面視で天板13の周縁部上から中心部上に亘る渦巻き状に形成されている。このアンテナ41は、整合器42を介して高周波電源43に接続されている。高周波電源43からアンテナ41へと高周波電力が供給されることで、天板13の下方に誘導電界が形成され、上部空間15に供給された処理ガスがプラズマ化される。
続いて、イオントラップ5について図2、図3に示す横断平面図、図4の縦断側面図も参照しながら説明する。説明を行うにあたり、互いに直交する方向をX方向、Y方向とする。これらのX方向及びY方向は、各々水平方向である。また、X方向の一端側、他端側を夫々+X側、-X側として記載し、Y方向の一端側、他端側を夫々+Y側、-Y側として記載する。図3では、図2に示すイオントラップ5の一部を拡大して、詳細に示したものである。そして、図4は図3のA-A′矢視断面であり、X方向に沿った切断面を示している。
イオントラップ5は、本体部51と、多数の電磁石6と、を備える。本体部51については、既述したように処理空間14が区画されるように円板状に構成されており、当該本体部51の周端は処理容器11の容器本体12をなす側壁に接続されている。そして本体部51は水平に配置されており、当該本体部51の上面、下面は、天板13の下面、ステージ2の上面に夫々対向している。
本体部51には、当該本体部51を厚さ方向に貫通する貫通孔であるスリット52が多数形成されている。従って、スリット52は鉛直方向に形成されている。各スリット52を介して、処理空間14と上部空間15とが連通しており、上部空間15に形成されたプラズマを構成する活性種であるイオンやラジカルについて、処理空間14へ供給することができる。本体部51は誘電体により構成され、具体的には例えば石英からなる。当該本体部51は、上部空間15を下方に向うイオンに対する遮蔽部材としての役割を有しており、当該イオンをトラップすることで、処理空間14へ供給されるイオンの量を低減させる。
各電磁石6については本体部51に埋設されており、処理空間14及び上部空間15には露出していない。なお、図2では各部の区別の明確化を図る目的で、電磁石6に多数のドットを付して示している。本体部51について補足して説明すると、本体部51は例えば平面視で同じ形状の3つの円板が上下に積層されることで形成される。この3つの円板を上側から上板51A、中板51B、下板51Cとすると、中板51Bに電磁石6を嵌入させるための貫通孔が形成されている(図4参照)。
上板51A及び下板51Cが中板51Bに重なることで当該貫通孔が覆われ、上記したように本体部51に電磁石6が埋設された構成とされる。なお、上記したスリット52は上板51A、中板51B、下板51Cに夫々形成される貫通孔が重ね合わされることで形成される。従って、中板51Bには電磁石6を埋め込むための貫通孔と、スリット52を形成するための貫通孔とが設けられる。
スリット52は、X方向に沿って等間隔で本体部51に配置されており、本体部51の+X側の端部から-X側の端部に至る列をなす。そして各スリット52は、Y方向に沿って伸長する。より詳しくは、各スリット52は本体部51における+Y側の端部から-Y側の端部に亘って、Y方向に沿って直線状に伸びるように形成されている。従って、本体部51が円形であることに対応して、当該本体部51のX方向の中心寄りに位置するスリット52ほどY方向の長さが大きい。なお、各スリット52の幅(X方向の長さ)L1は互いに等しい。
電磁石6はコイル61と、当該コイル61が巻きつけられる磁心62と、により構成されている。そして、本体部51に設けられる図示しない配線を介して、コイル61は図1に示す可変直流電源60に接続されており、当該可変直流電源60から各コイル61に給電が行われる。
コイル61は例えばポリアミドイミドに被覆された銅線によって構成され、磁心62は例えばニッケルと鉄との合金によって構成されている。磁心62は、X方向に見て周回する溝63を備えた、Y方向に細長の直方体として構成されている。さらに詳しく述べると、直方体の上面、下面、Y方向に向かう側面の各々について、+X側の端部と-X側の端部との間に凹部が形成されると共に、隣接する面の凹部同士が繋がることで、上記の溝63として形成されている。当該溝63が設けられることで、Y方向に見て磁心62はH状をなすように形成されている。
上記のコイル61はX方向に沿った軸(X軸)を巻軸として磁心62に巻きつけられ、溝63内に収まっている。以上のように構成されることで、平面視において電磁石6はY方向に直線状に伸びる矩形部材として構成されている。従って、貫通孔であるスリット52の形成方向に見て、電磁石6は直線状である。
また、上記したようにX軸がコイル61の巻軸であることで、磁心62に形成される磁極としては、X方向に並ぶ。故に、磁心62の+X側の端部と、-X側の端部とが夫々磁極となる。従って、スリット52の形成方向(鉛直方向)とは交差する方向に磁極が並ぶように各電磁石6が設けられている。
続いて、各電磁石6の本体部51における配置について、さらに説明する。電磁石6はX方向に沿って等間隔で本体部51に配置されており、本体部51の+X側の端部から-X側の端部に至る列をなす。そしてこのX方向において、電磁石6とスリット52とが交互に並び、列をなす。また、スリット52の数よりも電磁石の数の方が1つ多く、図2に示すように、最も+X側に配置される電磁石6と、最も-X側に配置される電磁石6とは、スリット52の列を挟んでいる。言い換えれば、最も+X側に配置される電磁石6は、最も+X側に配置されるスリット52よりも本体部51の+X側の端寄りに位置し、最も-X側に配置される電磁石6は、最も-X側に配置されるスリット52よりも本体部51の-X側の端寄りに位置する。
以上のような配置であるため、各スリット52の+X側、-X側に夫々電磁石6が隣接し、各スリット52は電磁石6の間に挟まれるレイアウトとなっている。任意の一つのスリット52について見て、当該スリット52の+X側の隣に配置される電磁石6が第1の電磁石、当該スリット52の-X側の隣に配置される電磁石6が第2の電磁石に夫々相当する。第1の電磁石、第2の電磁石は、後述するように互いの間に磁場を形成するために対となる電磁石である。
上記したように各電磁石6の磁極はX方向に並ぶが、電磁石6間で磁極の向きが同じであり、例えば図4に示すように+X側がN極、-X側がS極とされる。従って、スリット52を間に挟んで隣接する電磁石6について見れば、異なる磁極同士がX方向に対向する。つまり、隣接する電磁石6のうちの一方の電磁石6における一の磁極と、隣接する電磁石6のうちの他方の電磁石6における他の磁極とが互いに対向している。以上のように電磁石6が配置されることで、各スリット52内に磁場が形成される。図4中に、当該磁場における磁力線を点線の矢印で示している。上部空間15からスリット52内へと向うプラズマ中のイオンは、この磁場のミラー効果によって弾かれることで、当該スリット52を通過することが抑制される。従って、ステージ2が設けられる処理空間14へのイオンの漏出量が抑制される。
可変直流電源60から各電磁石6へ供給される電流を調整することで、上記のスリット52内の磁場の強度については調整可能であり、当該磁場の強度が大きいほど、より多くのイオンを弾き、処理空間14への漏出量を低減させることができる。このように、エッチング装置1ではイオンの処理空間14への漏出量を調整可能である。そのように調整可能な構成としている理由については後述する。なお、電気的に中性であるプラズマ中のラジカルについては荷電粒子であるイオンと異なり、上記の磁場の影響を受けずに、上部空間15から処理空間14へと、スリット52を介して供給される。
ところで、電磁石6についてもスリット52と同様に、本体部51の+Y側の端部から-Y側の端部に亘って伸びるように形成されており、本体部51が円形であることに対応して、X方向の中心寄りの電磁石6ほどY方向の長さが大きい。互いに隣接するスリット52と電磁石6との間でY方向の長さを比較すると、電磁石6の方が長い。そして、電磁石6の+Y側の端部は、当該電磁石6に隣接するスリット52の+Y側の端部よりも本体部51の+Y側の端部寄りに位置し、電磁石6の-Y側の端部は、当該電磁石6に隣接するスリット52の-Y側の端部よりも本体部51の-Y側の端部寄りに位置する。
このような位置関係とすることは、スリット52内の各部で十分な強度の磁場を、より確実に形成する観点から有効である。ただし、例えば可変直流電源60からの供給電流を調整することでスリット52の各部に十分な強度の磁場を形成できれば、このような位置関係とすることには限られない。従って、隣接するスリット52と電磁石6との間でのY方向の長さに関して、同じであったり、スリット52の方が長かったりしてもよい。なお、各電磁石6の幅(X方向の長さ)L2は互いに等しい。上記のようにコイル61は溝63に収まるため、この電磁石6の幅とは磁心62の幅でもある。
図4を参照して、イオントラップ5の各部の寸法の一例を示しておく。各スリット52の幅L1は例えば2mm、各電磁石6の幅L2は例えば5mmである。本体部51の厚さL3は、例えば7mmである。上記したように本体部51は上板51A、中板51B、下板51Cからなるが、上板51A及び下板51Cの厚さは例えば2mm、中板51Bの厚さは例えば3mmである。そして、電磁石6の厚さ(磁心62の厚さでもある)L4は、中板51Bの厚さと同じ4mmである。コイル61をなす導線の径(太さ)は例えば0.3mmであり、コイル61の巻き数は例えば7である。
図1に戻って説明を続ける。エッチング装置1はコンピュータである制御部10を備えており、この制御部10は、プログラムを備えている。プログラムには、ウエハWの処理が行われるように命令(各ステップ)が組み込まれており、このプログラムは、記憶媒体、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、メモリーカード、DVD等に格納され、制御部10にインストールされる。制御部10は当該プログラムによりエッチング装置1の各部に制御信号を出力し、各部の動作を制御する。具体的には、可変直流電源60からの各電磁石6への給電、高周波電源24、43のオンオフ、ガス供給機構3からの処理ガスの供給、排気機構19による処理容器11内の真空圧の調整などの各動作が、上記の制御信号によって制御される。
ところで半導体装置の製造工程において、上方に向けて開口する凹部が形成されたウエハWの当該凹部内にプラズマ中のラジカルを作用させて、この凹部内に形成された膜をエッチングする場合が有る。しかしその凹部のアスペクト比が大きいほど、ラジカルは凹部内の深部へ到達し難い。従って、凹部内の底部においてはラジカルの供給量が不足することで、膜がエッチングされずに残留してしまうおそれが有る。
そのような膜の残留を防ぐためには、プラズマ中のイオンについてもラジカルと共にウエハWの周囲に供給されるようにし、イオンの作用によって凹部内の底部へ到達するラジカルの量を増加させることが有効となる。このイオンの作用については後に図示して具体的に示すのでここでは簡単に述べると、ウエハWへと向うイオンによって、ラジカルが凹部に向けて弾かれるようにし、ラジカルの凹部の深部への到達量を増加させる。ただし、ウエハWに供給されるイオンが多すぎると、それらのイオンによってウエハWの表面がダメージを受けてしまうことになる。このような事情から、ウエハWが支持される空間へのプラズマを構成するイオンの供給量が適正なものとなるようにすることが求められている。
エッチング装置1によれば、上記の要請に対応することが可能である。以下、エッチング装置1におけるウエハWのエッチング処理の手順について、図5、図6を参照して説明する。図5、図6では、プラズマ中のイオンを35、ラジカルを36、ウエハWの表面に形成された凹部を37として示している。各図中でイオン35及びラジカル36は模式的に円として示しているが、互いを区別するためにイオンについてはドットを付している。このエッチング処理では、上記の凹部37内の底部に形成された膜38をエッチングすることを目的とする。なお、凹部37は上方へ向けて開口している。
搬送機構によりウエハWが処理容器11内に搬送され、ステージ2に載置される。続いて、ゲートバルブ17が閉じられた状態で処理容器11内が排気されて、所望の圧力の真空雰囲気とされる。そして、上部空間15に処理ガスが供給される。電磁石6のコイル61へ可変直流電源60から所定量の電流が供給されて、イオントラップ5の各スリット52内に磁場が形成される一方で、高周波電源24、43がオンになる。なお、図5中の点線の矢印は、図4と同様に電磁石6間での磁力線を示している。
アンテナ41の作用により、上部空間15の処理ガスがプラズマ化し、イオン35及びラジカル36が生じる。そして、ラジカル36については磁場の影響を受けずにイオントラップ5のスリット52を通過し、処理空間14に供給される。その一方で、スリット52に向うイオン35については、当該イオンの速度及び磁場の形成方向に対するイオンの移動方向がなす角度に応じて、そのうちの一部は弾かれてスリット52を通過せずに上部空間15に留まり、他の一部のみが、スリット52を通過して処理空間14に漏出する。なお、図5中にイオン35、及びラジカル36の動きを鎖線の矢印で模式的に示している。
そして、処理空間14に供給されたイオン35については、高周波電源24によってバイアス電力が印加されていることで、図6に鎖線の矢印で示すようにウエハWに向けて引き込まれ、下方へと移動する。そのように下方への移動中にイオン35がラジカル36に衝突すると、図6に点線の矢印で示すように、当該ラジカル36は下方へ向けて弾かれることで、凹部37内へと進入する。そして、このラジカル36は凹部37内の底部に達し、膜38をエッチングする。
膜38のエッチングが完了した後、高周波電源24、43がオフになり、プラズマの形成及びバイアス電力の印加が停止する。また、可変直流電源60から電磁石6への給電及び上部空間15への処理ガスの供給も停止する。然る後、処理済みのウエハWが、搬送機構により処理容器11から搬出される。
このようにエッチング装置1によれば、イオントラップ5によって形成される磁界により、処理空間14へのイオン35の供給量が調整されることになる。それによって、当該供給量を適切なものとし、ラジカル36によるエッチングを促進させつつ、イオン35がウエハWの表面に作用することで発生するダメージを抑制することができる。
また、エッチング装置1ではバイアス電力を供給する高周波電源24の作用により、処理空間14へ漏出させたイオン35が、ウエハWに引きまれる。それによって、処理空間14へ漏出するイオン35の量が比較的少なくなるように電磁石6へ供給される電流が設定されたとしても、このイオン35がラジカル36に効率的に作用し、当該ラジカル36による膜38のエッチングを行うことができる。従って、高周波電源24を設けることで、ウエハW表面へのダメージをより確実に低減させつつ、膜38のエッチングをより確実に行うことができる。
なお、仮に高周波電源24が設けられていなくても、上部空間15から処理空間14に漏出したイオン35のうちの一部は下方に向けて移動するので、そのイオン35がラジカル36に衝突し、膜38のエッチングがなされる。従って、上記した効果を得るために高周波電源24を設けることが好ましいが、高周波電源24が設けられない装置構成であってもよい。
〔イオントラップの変形例〕
続いて、イオントラップ5の変形例であるイオントラップ5Aについて、イオントラップ5との差異点を中心に、図7の横断平面図、図8の縦断側面図を参照しながら説明する。図8は、図7のB-B′矢視縦断側面図であり、X方向に沿った切断面を示している。イオントラップ5Aは、多数の電磁石6の代わりに、多数の電磁石6Aを備えている。電磁石6Aは、磁極の配列方向について電磁石6と異なることを除いて、電磁石6と概ね同様の構成である。電磁石6Aについてはコイル61の巻軸が鉛直方向に沿うように本体部51に配置されているため、各電磁石6Aにおいて磁極が並ぶ方向は、鉛直方向に沿っている。さらに言えば、当該磁極が並ぶ方向は、貫通孔であるスリット52の形成方向に沿っている。
続いて、イオントラップ5の変形例であるイオントラップ5Aについて、イオントラップ5との差異点を中心に、図7の横断平面図、図8の縦断側面図を参照しながら説明する。図8は、図7のB-B′矢視縦断側面図であり、X方向に沿った切断面を示している。イオントラップ5Aは、多数の電磁石6の代わりに、多数の電磁石6Aを備えている。電磁石6Aは、磁極の配列方向について電磁石6と異なることを除いて、電磁石6と概ね同様の構成である。電磁石6Aについてはコイル61の巻軸が鉛直方向に沿うように本体部51に配置されているため、各電磁石6Aにおいて磁極が並ぶ方向は、鉛直方向に沿っている。さらに言えば、当該磁極が並ぶ方向は、貫通孔であるスリット52の形成方向に沿っている。
図8では各電磁石6Aの磁極を表示しており、図示されるように、互いに隣接する電磁石6Aについて見ると、磁極の向きが反対となっている。従って、N極が上側且つS極が下側となる電磁石6Aと、S極が上側且つN極が下側となる電磁石6Aとが、X方向に交互に並んで設けられている。このような配置によって、隣接する電磁石6Aにおける上側の磁極間、隣接する電磁石6Aにおける下側の磁極間で各々磁場が形成される。つまりイオントラップ5Aでは、当該イオントラップ5Aの上面上、下面上の各々に、いわゆるカスプ磁場がスリット52の開口部を横切るように形成される。なお、図8では電磁石6A間における磁力線を点線の矢印で示している。
上記したようにイオントラップ5Aにて形成される各磁場のミラー効果によって、イオントラップ5と同様に上部空間15から処理空間14へのスリット52を介したイオンの漏出が抑制される。従って、イオントラップ5の代りにイオントラップ5Aを備えたエッチング装置1であっても、イオントラップ5を備えた場合と同様の効果を奏する。
以下、図7を参照して、イオントラップ5Aにおける各部の寸法の一例を示しておく。電磁石6のX方向の長さ(磁心62のX方向の長さでもある)L5は例えば5mmである。また、互いに隣接する電磁石6についてX方向の中心間の距離L6は、例えば9mmである。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態に係るエッチング装置1Aについて、エッチング装置1との差異点を中心に、図9を参照して説明する。このエッチング装置1Aでは、ステージ2の下部電極21と高周波電源24とを接続する導電路22における電流、電圧を夫々測定可能な電流計25、電圧計26が設けられている。より具体的には、電流計25、電圧計26は、整合器23と高周波電源24との間における電流、電圧を夫々測定可能であるように設けられている。
第2の実施形態に係るエッチング装置1Aについて、エッチング装置1との差異点を中心に、図9を参照して説明する。このエッチング装置1Aでは、ステージ2の下部電極21と高周波電源24とを接続する導電路22における電流、電圧を夫々測定可能な電流計25、電圧計26が設けられている。より具体的には、電流計25、電圧計26は、整合器23と高周波電源24との間における電流、電圧を夫々測定可能であるように設けられている。
上部空間15から処理空間14へのイオンの漏出量が多いほど、ウエハWへ供給されるイオンの量が多くなる。高周波電源24からのバイアス電力の供給中に導電路22の電圧は変動するが、上記のウエハWへのイオンの供給量が多いほど、その電圧が所定の値であるときの導電路22を高周波電源24に向けて流れる電流が大きくなる。従って、導電路22の電圧が所定の値であるときの導電路22の電流値に基づいて、処理空間14へのイオンの漏出量が適正か否かを推定することができる。
そこでエッチング装置1Aでは、ウエハWの処理時における可変直流電源60から各電磁石6へ供給する電流値を、電流測定部をなす上記の電流計25によって検出される電流値に基づいて決定する。具体的に述べると、エッチング装置1AによるウエハWの処理前の調整工程において、エッチング装置1でのウエハWの処理時と同様に、上部空間15におけるプラズマの形成及びバイアス電力の供給を行う。この調整工程では、可変直流電源60から各電磁石6へ供給する電流は任意の初期値とし、例えばウエハWの代わりに半導体装置の製造を目的としない基板(ダミーウエハ)をステージに載置する。
そして、測定された電圧が所定の値であるときの電流値を測定する。そのように測定された電流が基準値より大きければ、ウエハWを処理する際の可変直流電源60から各電磁石6へ供給する電流値について、初期値よりも大きい値に設定し、イオントラップ5が形成する磁場の強度を大きくする。反対に、測定された電流が基準値より小さければ、ウエハWを処理する際の可変直流電源60から各電磁石6へ供給する電流値について、初期値よりも小さい値に設定し、イオントラップ5が形成する磁場の強度を小さくする。
このように電流計25で測定される電流値に基づいて可変直流電源60から各電磁石6への供給電流値を設定することで、適正な強さの磁場を形成することができ、それによって適正な量のイオンを処理空間14へ漏出させることができる。そのためこのエッチング装置1Aによれば、より確実にウエハWへのダメージを抑制しつつ、凹部37内の膜38をエッチングすることができる。
また、装置の稼働中に可変直流電源60の各電磁石6への供給電流値の変更がなされてもよい。具体的に述べると、ウエハWの処理中、制御部10は電流計25によって検出される電流値と、電圧計26によって検出される電圧値とをモニタする。そして、所定の電圧値であるときに検出された電流値が予め設定された基準値より大きければ、各電磁石6へ供給する電流値を上昇させ、当該基準値より小さければ当該供給電流値を低下させるように、制御部10は可変直流電源60の制御を行う。このように、検出された電流値に基づいた可変直流電源60の電流値のフィードバック制御が行われてもよい。なお、上記の電流値の変更のタイミングは、ウエハWの処理中であることに限られず、ウエハWの処理の合間であってもよい。即ち、一のウエハWを処理した後、次のウエハWを処理するまでに当該電流値の変更が行われてもよい。
なお、この第2の実施形態のエッチング装置1Aについて、イオントラップ5が設けられるものとして示しているが、図7、図8で説明したイオントラップ5Aが設けられていてもよい。また、各実施形態において凹部37内に配置される膜38をエッチングするように述べてきた。エッチング装置1、1Aは、そのように配置される膜38のエッチングに用いることが特に有効であるが、当該配置の膜のエッチングに用いることには限られず、ウエハW表面の任意の箇所の膜のエッチングに用いることができる。
ところで本技術におけるプラズマ処理装置としては、エッチング装置であることには限られない。例えば当該プラズマ処理装置としては、成膜装置として構成されてもよい。具体的には例えば、上記のガス供給機構3から上部空間15に処理ガスとして成膜ガスが供給され、当該成膜ガスがプラズマ化されてウエハWへの成膜が行われる装置構成とすることができる。
また、ウエハWに成膜が行われた後、ガス供給機構3から処理ガスとしてクリーニングガスが供給され、当該クリーニングガスがプラズマ化されることで、処理空間14の壁面に形成された膜を除去するクリーニングが行われる装置構成としてもよい。なお、このクリーニングの前に処理空間14内に供給される成膜ガスとしては、上部空間15にてプラズマ化されてウエハWに供給されてもよいし、プラズマ化されずにウエハWに供給されてもよい。従って、成膜処理及びクリーニングのうち、クリーニングのみが本技術によって行われるように装置が構成されてもよい。なお、クリーニングは、ウエハWがステージ2上に載置されない状態で行われる。従って、本技術のプラズマ処理装置としては、基板が支持されるステージが設けられる空間にプラズマを供給するものであるが、そのプラズマによって基板が処理されることには限られない。
〔イオントラップのさらなる変形例〕
既述したイオントラップ5では、各スリット52内の開口部に、より確実に十分な強度の磁場を形成するために、複数のスリット52の各々が対となる電磁石6に挟まれている。しかし各スリット52内に十分な強度の磁場を形成して既述した効果を奏することができれば、そのような構成とすることに限られず、対となる電磁石は複数のスリット52に対して一つ設けられていてもよい。対となる電磁石とは、上記したように互いの磁極間で磁場を形成する2つの電磁石(第1の電磁石及び第2の電磁石)である。
既述したイオントラップ5では、各スリット52内の開口部に、より確実に十分な強度の磁場を形成するために、複数のスリット52の各々が対となる電磁石6に挟まれている。しかし各スリット52内に十分な強度の磁場を形成して既述した効果を奏することができれば、そのような構成とすることに限られず、対となる電磁石は複数のスリット52に対して一つ設けられていてもよい。対となる電磁石とは、上記したように互いの磁極間で磁場を形成する2つの電磁石(第1の電磁石及び第2の電磁石)である。
そのように複数のスリット52に対して対となる電磁石が一つ設けられる構成の一例として、図10にイオントラップ5Bを示している。イオントラップ5Bでは、本体部51の+X側の端部及び-X側の端部のみに電磁石6が設けられており、これらの電磁石6が対となる電磁石である。そして、イオントラップ5Bでは、これらの電磁石6間に位置する複数のスリット52内に磁場が形成される。なお、この図10以降の各図では図2と同様に、電磁石6にドットを付して示している。
ところで、イオントラップ5では多数のスリット52が互いに近接して配置されている。そのため、上記したようにスリット52毎に対となる電磁石6を設けるにあたり、隣接する2つのスリット52間に設けられる電磁石6については、これら2つのスリット52の各々に磁場を形成する電磁石6として用いられる。これは即ち、各スリット52に対して+X側(スリット52と電磁石6とがなす列の一方側)に隣接する電磁石6を第1の電磁石、-X側(スリット52と電磁石6とがなす列の他方側)に隣接する電磁石6を第2の電磁石としたとする。2つのスリット52に挟まれる電磁石6は、その2つのうちの+X側のスリット52に対しては第2の電磁石、-X側のスリット52に対しては第1の電磁石として兼用される、ということである。
図11には、スリット52同士が比較的大きく離れて形成された構成のイオントラップ5Cを示している。このように隣接するスリット52同士の間隔が比較的大きい場合には、各スリット52内に十分な強度の磁場を形成する観点から、図示するように電磁石6のスリット52に対する兼用がなされず、スリット52毎に当該スリット52を挟む2つの電磁石6を設ければよい。
ただし、ウエハWの面内に均一性高くプラズマを構成するイオン及びラジカルを供給するためには、ウエハWに対向するイオントラップ5の下面において、当該プラズマの供給を行うための貫通孔の位置の偏りを抑えることが好ましい。従って、当該貫通孔としてはイオントラップ5の構成のように、その下面に分散して多数設けられることが好ましい。また、装置構成を簡素にして製造コストを低減させるためには、電磁石6を設ける個数を抑えることが望ましい。つまり、スリット52が多数設けられると共に、2つのスリット52に対して電磁石6が兼用されるイオントラップ5を備えた装置構成とすることで、ウエハWの面内での処理の均一性の向上と、装置の製造コストの低減とを図ることができる。
ところで、イオントラップ5における電磁石6は平面視で直線状(即ち、貫通孔の形成方向である鉛直方向に見て直線状)であるが、そのような構成とすることには限られない。図12にイオントラップ5Dの横断平面図を示している。図示されるように、このイオントラップ5Dにおける電磁石6は、平面視で曲線状に各々形成されている。そして、第1の電磁石をなす電磁石6、第2の電磁石をなす電磁石6は、本体部51における+X側の周縁部、-X側の周縁部に夫々沿って設けられている
ただし、このように電磁石6を平面視曲線状に形成した場合、Y方向の各部で電磁石6間の距離が各部で異なるので、各スリット52内においてY方向の各部で磁場の強度が異なるため、ウエハWの面内におけるイオンの供給量にばらつきが生じるおそれが有る。見方を変えれば、上記したイオントラップ5については、各電磁石6が平面視直線状であることによって、スリット52の各部における磁場の強度のばらつきが抑えられる。それ故に、ウエハWの面内各部におけるイオンの供給量を揃えて、ウエハWに均一性高い処理を行うことができるため好ましいと言える。
またイオントラップ5では、イオン及びラジカルを処理空間14に供給する貫通孔がスリット52として構成されているが、このような貫通孔の形状とすることには限られない。例えばスリット52の代わりに比較的小さい円形の貫通孔53が多数設けられてもよく、従ってイオントラップとしてはシャワープレート状に構成されていてもよい。
図13では、そのようにシャワープレート状に構成されたイオントラップの例として、イオントラップ5Eの横断平面図を示している。イオントラップ5Eでは、Y方向に間隔を空けて貫通孔53が列をなすように多数設けられており、このY方向における貫通孔53の列が、イオントラップ5のスリット52と同様にX方向に列をなして配置されている。見方を変えれば、イオントラップ5Eは、イオントラップ5のスリット52がY方向に分割された構成となっている。従って貫通孔のレイアウトとしてはイオントラップ5と同じく、X方向に列をなすように複数並び、この列と交差する方向であるY方向に沿って形成されたものとなっている。
イオントラップ5B~5Eについて、イオントラップ5と同様に電磁石6を備えることでスリット52または貫通孔53内に磁場が形成されるように示した。しかし、電磁石6の代わりに電磁石6Aを備え、イオントラップ5Aの構成で説明したように、X方向に隣接する電磁石6A間で磁極の向きが反対となるように各電磁石6Aを配置することで、カスプ磁場が形成されるようにしてもよい。なお、イオントラップ5B~5Eを説明するにあたりイオントラップ5の効果について述べたが、当該効果はイオントラップ5Aの効果でもある。
また、装置にて形成されるプラズマとして高周波の印加によるICPである例を示したが、プラズマを形成するための電磁場が、既述した各イオントラップ5、5A~5Eの作用に干渉しない装置構成であれば、任意の形態のプラズマを形成することができる。例えば、上部空間15に供給された処理ガスに、マイクロ波が供給されてプラズマ化される装置構成であってもよい。
また、処理容器11の外部において形成されたプラズマが、流路を介して上部空間15に供給される構成としてもよい。即ち、いわゆるリモートプラズマが上部空間15に供給される構成であってもよい。このリモートプラズマについては、上記したようにイオントラップ5、5A~5Eの作用に干渉しない条件の下で、任意の手法で形成することができる。なお、以上に述べたように、上部空間15においてプラズマ雰囲気を形成することについては、上部空間15にてガスをプラズマ化することには限られず、上部空間15の外部からプラズマ化したガスを導入することが含まれる。
なお、既述した各イオントラップは処理容器11を上下に区画するように設けられることには限られない。例えば当該イオントラップによって処理容器11を横方向に区画し、基板に対してこのイオントラップを介して横方向にプラズマ化したガスを供給して処理を行うような装置構成であってもよい。
既述したイオントラップの各部を構成する材質としては例示したものに限られず、当該材質の選択は適宜行えばよい。例えば本体部51をなす誘電体としては、酸化アルミニウムなどのセラミックスによって構成されていてもよい。
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更、組み合わせがなされてもよい。
W ウエハ
1 エッチング装置
11 処理容器
14 処理空間
15 上部空間
2 ステージ
4 プラズマ化機構
5 イオントラップ
52 スリット
6 電磁石
1 エッチング装置
11 処理容器
14 処理空間
15 上部空間
2 ステージ
4 プラズマ化機構
5 イオントラップ
52 スリット
6 電磁石
Claims (10)
- 基板を収容する処理容器と、
前記処理容器内の第1領域にて前記基板を支持するステージと、
誘電体により構成され、前記処理容器内において第2領域と前記第1領域とを区画する区画部と、
前記第2領域にプラズマ雰囲気を形成するためのプラズマ化機構と、
前記第1領域と前記第2領域とを連通させるために前記区画部に設けられる貫通孔と、
前記第2領域から前記第1領域に供給されるプラズマに含まれるイオンの量を調整するために前記区画部にて前記貫通孔を間に挟んで設けられ、互いの間に磁界を形成する第1の電磁石及び第2の電磁石と、
を備えるプラズマ処理装置。 - 前記第1領域は前記処理容器内の下方側の領域であり、前記第2領域は前記処理容器内の上方側の領域である請求項1記載のプラズマ処理装置。
- 前記ステージは電極を備え、
前記基板に向けて前記イオンを引き込むためのバイアス電力を前記電極に供給するバイアス電源が設けられる請求項2記載のプラズマ処理装置。 - 前記電極と前記バイアス電源との間の導電路における電流値を測定するための電流測定部が設けられる請求項3記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1の電磁石及び前記第2の電磁石の各々における磁極が並ぶ方向は、前記貫通孔の形成方向と交差し、
前記貫通孔を間に挟んで前記第1の電磁石における一の磁極と、前記第2の電磁石における他の磁極とが、互いに対向する請求項1ないし4のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。 - 前記第1の電磁石及び前記第2の電磁石の各々における磁極が並ぶ方向は、前記貫通孔の形成方向に沿い、
前記第1の電磁石と前記第2の電磁石とは、磁極の向きについて反対である請求項1ないし4のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。 - 前記第1の電磁石及び第2の電磁石は、前記貫通孔の形成方向に見て直線状である請求項1ないし6のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
- 前記貫通孔は列をなして複数設けられると共に、当該列の形成方向と交差する方向に沿って形成され、
前記貫通孔を各々挟むように、前記第1の電磁石及び前記第2の電磁石が複数設けられる請求項1ないし7のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。 - 前記貫通孔に対して前記列の一方側に隣接する電磁石が前記第1の電磁石、
前記貫通孔に対して前記列の他方側に隣接する電磁石が前記第2の電磁石とすると、
当該貫通孔に挟まれた電磁石が、当該電磁石を挟む一方側の貫通孔に対して第2の電磁石、当該電磁石を挟む他方側の貫通孔に対して第1の電磁石として兼用されるように、電磁石と前記貫通孔とが交互に設けられる請求項8記載のプラズマ処理装置。 - 基板を処理容器に収容する工程と、
誘電体によって構成される区画部によって第1領域と第2領域とに区画される処理容器内のうち、前記第1領域に設けられるステージにより前記基板を支持する工程と、
プラズマ化機構により、前記第2領域にプラズマ雰囲気を形成する工程と、
前記区画部にて前記第1領域と前記第2領域とを連通させるために設けられる前記貫通孔を介して、当該第2領域からプラズマを前記第1領域に供給する工程と、
前記区画部にて前記貫通孔を間に挟んで設けられる第1の電磁石及び第2の電磁石の間に磁界を形成し、前記第2領域から前記第1領域に供給されるプラズマに含まれるイオンの量を調整する工程と、
を備えるプラズマ処理方法。
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