JP2023120476A - 水性塗料、塗装部材、および被覆缶 - Google Patents

水性塗料、塗装部材、および被覆缶 Download PDF

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Abstract

【課題】下塗り層が無い場合であっても金属基材に対する密着性が良好であり、高い加工性、耐ブロッキング性および耐レトルト性を有する上塗り塗膜を形成可能な水性塗料、被覆缶および金属容器の提供。【解決手段】少なくともいずれかの成分に炭素-炭素二重結合を有するポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)および脂肪酸(a-3)と、エチレン性不飽和モノマー(a-4)との反応生成物であり、特定の油長、重量平均分子量および酸価を有するアクリル変性ポリエステル樹脂(A)を含む水性塗料。【選択図】図4

Description

本発明は、被覆缶等の塗膜形成に使用できる水性塗料に関する。
清涼飲料水、コーヒーまたはビール等のアルコール飲料を収納する飲料缶、および魚肉等を収容する食缶(以下、両者を併せて飲食食料缶ともいう)の外面には、上塗り塗料を使用した上塗り塗膜が形成されており、被覆缶として飲食食料缶の美観向上や傷付き防止等に寄与している。
例えば、キャップ、およびリキャップ可能なスクリュー部(ネジ切部)を有する、いわゆるボトル缶のような高度な加工が施される被覆缶の場合、加工時の金属基材と上塗り塗膜との密着性を向上させるため、金属基材上に、まずサイズコーティング(ホワイトコーティング、アンカーコーティングともいう)によって下塗り層を形成し、前記下塗り層上に上塗り塗膜を形成する場合がある。
特許文献1には、ガラス転移温度と重量平均分子量が相互に異なる2種類のポリエステル樹脂、アミノ樹脂、およびエポキシ樹脂を含む絞り加工缶の塗料組成物が開示されている。
特許文献2には、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、およびブロック型イソシアネートを含有する絞り加工缶の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物が開示されている。
近年、環境保護や安全な作業環境の確保の観点から、塗装焼き付け工程中に排出される有機溶剤やホルムアルデヒドの発生が問題とされている。そのため、塗料の水性化や、塗料の硬化時にホルムアルデヒドを発生させるアミノ樹脂の低減が望まれている。ボトル缶のように高度な加工性能と耐レトルト性を要求される用途では、上塗り塗膜としての実用領域の塗膜性能を確保するため、溶剤型塗料が使用されている。また、アミノ樹脂は短時間での硬化性に優れるため、缶外面用塗料が塗装された缶が内面用塗料塗装ラインへ搬送される際、缶胴部同士が付着し接触跡が残ること(ブロッキング)を防ぐ目的の一つとして広く使用されている。
特許文献3には、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、およびリン酸系化合物を含有する絞り加工缶の外面用水性樹脂組成物が開示されている。
特開2019-123861号公報 特開2021-138822号公報 特開2014-024976号公報
特許文献1および2に記載される塗料は、下塗り層がない場合であっても金属基材に対して良好な密着性を示しているが、溶剤型塗料である。
特許文献3に記載されている絞り加工缶塗料では、水性塗料であるものの、サイズコーティングを省略した場合の加工性について記載されておらず、サイズコーティングを省略して高い加工性を満たす缶外面用の水性塗料は開発されていないのが実情である。
さらに、上記した特許文献1~3はいずれも、硬化剤であるアミノ樹脂が必須成分となっている。
本発明は、下塗り層が無い場合であっても金属基材に対する密着性が良好であり、高い加工性、耐ブロッキング性および耐レトルト性を有する上塗り塗膜を形成可能な水性塗料、被覆缶および金属容器の提供を目的とする。
本発明に係る水性塗料は、
ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)、脂肪酸(a-3)およびエチレン性不飽和モノマー(a-4)の反応生成物であり、
前記(a-1)~(a-3)の少なくともいずれかは、その分子内に炭素-炭素二重結合を有しており、
(a-1)~(a-4)の合計100質量%中、(a-4)の割合が3~40質量%であり、
トリグリセリド換算での油長が10~50%、重量平均分子量が2,000~50,000、酸価が5~50mgKOH/gであるアクリル変性ポリエステル樹脂(A)、
を含む。
上記構成の本発明によれば、下塗り層が無い場合であっても金属基材に対する密着性が良好であり、高い加工性、耐ブロッキング性および耐レトルト性を有する上塗り塗膜を形成可能な水性塗料、被覆缶および金属容器を提供できる。
アクリル変性ポリエステル樹脂(A)の構造の一態様を示す模式図である。 アクリル変性ポリエステル樹脂(A)の構造の別の態様を示す模式図である。 アクリル変性ポリエステル樹脂(A)の構造のさらに別の態様を示す模式図である。 本発明にかかる被覆缶上部の模式的な斜視図である。
以下、本発明の水性塗料、塗装部材、および被覆缶について説明する。
なお、本発明においてアクリル変性ポリエステル樹脂(A)に使用する「(無水)トリメリット酸」とは、「トリメリット酸」と「無水トリメリット酸」とを含む。更に、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」および「メタクリル酸」の各々を含み、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」および「メタクリレート」の各々を含み、「N-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド」は「N-アルコキシメチルアクリルアミド」および「N-アルコキシメチルメタクリルアミド」の各々を含む。
<アクリル変性ポリエステル樹脂(A)>
本発明におけるアクリル変性ポリエステル樹脂(A)は、ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)、および脂肪酸(a-3)の重縮合反応生成物と、エチレン性不飽和モノマー(a-4)との付加重合生成物である。
なお、前記(a-1)~(a-3)の少なくともいずれかは、その分子内に炭素-炭素二重結合を有している。
ポリカルボン酸(a-1)およびポリオール(a-2)によってポリエステル鎖が形成される。(a-1)および(a-2)ともに二価の化合物であれば、ポリエステル鎖は直鎖構造となり、(a-1)または(a-2)のいずれか一方、あるいは両方に三価以上の化合物が含まれていれば、ポリエステル鎖は分岐構造を呈する。そして脂肪酸(a-3)はポリエステル鎖の末端に配置されるか、またはポリエステル鎖の側鎖となる。
本発明におけるアクリル変性ポリエステル樹脂(A)の構造は、以下の3つの態様に分類される。
(1):(a-1)~(a-3)のうち、(a-1)または(a-2)が炭素-炭素二重結合を有しており、(a-1)または(a-2)に由来する炭素-炭素二重結合を含めてエチレン性不飽和モノマー(a-4)が重合された部位を有する(図1参照)。なお(a-1)および(a-2)の両方が炭素-炭素二重結合を有していてもよい。
(2):(a-1)~(a-3)のうち、(a-3)が炭素-炭素二重結合を有しており、(a-3)に由来する炭素-炭素二重結合を含めてエチレン性不飽和モノマー(a-4)が重合された部位を有する(図2参照)。
(3):(a-1)~(a-3)のうち、(a-1)または(a-2)、および(a-3)が炭素-炭素二重結合を有しており、(a-1)または(a-2)、および(a-3)に由来する炭素-炭素二重結合を含めてエチレン性不飽和モノマー(a-4)が重合された部位を有する(図3参照)。なお(a-1)および(a-2)の両方が、炭素-炭素二重結合を有していてもよい。
なお、芳香族化合物中の共役二重結合は、本発明における「炭素-炭素二重結合」には該当しないものとする。
また、(a-1)~(a-3)において、炭素-炭素二重結合を有する化合物は、本発明における「エチレン性不飽和モノマー(a-4)」には属しないものとする。
<ポリカルボン酸(a-1)>
ポリカルボン酸(a-1)は、二価以上のカルボン酸であり、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上の多価カルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸は、例えば、(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸は、例えば、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、およびその無水物等が挙げられる。
3官能以上の多価カルボン酸は、例えば、(無水)ピロメリット酸、(無水)トリメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、炭素-炭素二重結合を含むポリカルボン酸は、エチレン性不飽和モノマー(a-4)と共に付加重合し、塗膜の架橋密度が高まるため、塗膜の加工密着性および耐レトルト性が向上する。炭素-炭素二重結合を含むポリカルボン酸は、例えば、イタコン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸(a-1)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明においては、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)の分子量を調整する目的で、カルボン酸成分として、安息香酸、パラ-t-ブチル安息香酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ミリスチン酸、クロトン酸等のモノカルボン酸も使用することができる。
<ポリオール(a-2)>
ポリオール(a-2)は、二価アルコール、3官能以上の多価アルコールが好ましい。
二価アルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチリデン-1,4-ブタンジオール、2-メチリデン-1,5-ペンタンジオール、または2-メチリデン-1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、2-ヒドロキシシクロヘキシル-メタノール、3-ヒドロキシシクロヘキシル-メタノール、4-ヒドロキシシクロヘキシル-メタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAP、水素化ビスフェノールF、水素化ビスフェノールS、水素化ビフェノール等の脂環式ジオール;
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2~8モル付加)、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加物(2~8モル付加)、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFにエチレンオキサイドを付加したもの等の芳香族ジオール;
等が挙げられる。
3官能以上の多価アルコールは、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、α-メチルグルコシド等が挙げられる。
これらのポリオールの中でも、炭素-炭素二重結合を含むポリオールは、エチレン性不飽和モノマー(a-4)と共に付加重合し、塗膜の架橋密度が高まるため、塗膜の加工密着性および耐レトルト性が向上する。炭素-炭素二重結合を含むポリオールは、例えば、2-メチリデン-1,4-ブタンジオール、2-メチリデン-1,5-ペンタンジオール、または2-メチリデン-1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリオール(a-2)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
またポリオール(a-2)として、二価アルコールに加えて3官能以上の多価アルコールを使用することにより、ポリエステル鎖が分岐構造を呈し、脂肪酸(a-3)がポリエステル鎖の側鎖となる。これにより、塗膜へ柔軟性を付与することができるため加工密着性が向上する。
<脂肪酸(a-3)>
脂肪酸(a-3)は、各種動植物油のエステル結合部位の分解により抽出された化合物であり、塗膜への加工性を付与する目的で使用する。
動植物油には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の炭素数8~24程度の飽和脂肪酸;
パルミトレイン酸、リシノレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、エイコセン酸等の炭素数16~22程度の不飽和脂肪酸;
が含まれており、動植物油の種類により、含まれる脂肪酸の種類やその比率は異なる。
本発明において、炭素-炭素二重結合を含む脂肪酸は、エチレン性不飽和モノマー(a-4)と共に付加重合し、塗膜の架橋密度が高まるため、塗膜の加工密着性、耐ブロッキング性および耐レトルト性が向上する。炭素-炭素二重結合を含む脂肪酸は、例えば、ヤシ油、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸等が挙げられる。
脂肪酸(a-3)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<エチレン性不飽和モノマー(a-4)>
エチレン性不飽和モノマー(a-4)は、ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)あるいは脂肪酸(a-3)に由来する炭素-炭素二重結合を含めて付加重合することにより、塗膜の架橋密度が高まるため、塗膜の加工密着性、耐ブロッキング性および耐レトルト性が向上する。エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリレート、ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類は、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンチルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプチルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t-ブチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニルモノマーは、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。
これらの中でも塗膜の耐ブロッキング性の観点から、(a-4)としてN-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンチルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプチルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、またはN-2-エチルヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミドのいずれかを使用することが好ましい。
エチレン性不飽和モノマー(a-4)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和モノマー(a-4)の割合は、(a-1)~(a-4)の合計100質量%中3~40質量%であり、10~30質量%が好ましい。3質量%以上使用すると架橋密度が向上し、塗膜の耐レトルト性が向上する。また、40質量%以下使用すると適度な架橋密度が得易く、塗膜の加工密着性がより向上する。
(a-1)~(a-3)の少なくともいずれかに由来する炭素-炭素二重結合を含めての、エチレン性不飽和モノマー(a-4)の付加重合にあたっては、重合開始剤を使用することが好ましい。
重合開始剤は、アゾ系化合物では、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられ、過酸化物系化合物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
重合開始剤は、エチレン性不飽和モノマー(a-4)100質量部に対して、0.1~10質量部使用することが好ましい。
アクリル変性ポリエステル樹脂(A)はトリグリセリドに換算した際の油長が10~50%であり、20~40%であることが好ましい。10%以上とすることで、塗膜の加工密着性が向上し、50%以下とすることで、アクリル変性ポリエステル樹脂を水性化した際の安定性が確保できる。
油長は、下記の(式1)にて算出できる。
トリグリセリドに換算した際の油長(%)=100×{脂肪酸の量(g)/ポリエステル樹脂を構成する原料の総量(g)}×{(脂肪酸の数平均分子量+12.677)/脂肪酸の数平均分子量}・・・(式1)
なお、前記(式1)中における「12.677」とは、グリセリンの分子量(92.0
9)の3分の1の値から、水の分子量(18.020)を引いた値である。
92.09/3-18.020=12.677
アクリル変性ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量は2,000~50,000であり、5,000~30,000であることが好ましい。2,000以上とすることで、形成される塗膜の耐レトルト性が向上し、50,000以下とすることで、水性塗料とした際に適正な粘度へ調整しやすい。
また、酸価は5~50mgKOH/gである。この範囲内とすることで、水性化した際の塗料安定性が確保しやすい。
アクリル変性ポリエステル樹脂(A)は、上述の通り、ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)、および脂肪酸(a-3)の重縮合反応(エステル化反応)と、(a-1)~(a-3)の少なくともいずれかが有する炭素-炭素二重結合を含めてのエチレン性不飽和モノマー(a-4)の付加重合とによって合成できる。
ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)および脂肪酸(a-3)の重縮合反応(エステル化反応)の際は、重合安定性を確保する目的で、酸化防止剤を用いてもよく、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)などが挙げられる。酸化防止剤は、ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)および脂肪酸(a-3)の合計100質量部に対して、0.1~10質量部使用することが好ましい。
(a-1)~(a-3)の重縮合反応は、常圧下、減圧下のいずれかの条件で行うことができる。反応生成物の分子量の調整は、ポリカルボン酸(a-1)および脂肪酸(a-3)に由来する酸基と、ポリオール(a-2)に由来する水酸基の仕込み比率(過剰率:酸基に対する水酸基の当量比)を調整して行う。過剰率は、ポリオール基を過剰にする他、特に限定はないが、1.20~1.70であることが好ましい。1.20以上であれば、ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)および脂肪酸(a-3)のエステル化反応が起こり易く、また、水酸基と脂肪酸(a-3)との結合部位が確保できるため、樹脂の安定性と塗膜の加工密着性が確保できる。1.70以下であれば、適度な大きさの分子量の樹脂が得られるため、塗膜の加工密着性および耐レトルト性が確保できる。
また、酸価を調整する目的で、合成反応の途上において新たに三価以上のポリカルボン酸を添加し、必要な酸価になるように反応を進行させてもよい。
<アミノ樹脂(B)>
本発明の水性塗料は、アミノ樹脂(B)を含むことができる。本発明におけるアミノ樹脂(B)とは、アミノ成分のアミノ基の一部または全部にアルデヒド化合物を付加させN-メチロール基を生成、次いで、得られたN-メチロール基の一部または全部にアルコールを脱水反応させてエーテル化を行い、N-アルコキシメチル基を生成した樹脂である。上述のアクリル変性ポリエステル樹脂(A)、および後記するポリエステル樹脂(C)と反応することが可能なため、硬化剤として作用する。
アミノ樹脂(B)としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン(別名:2,4-ジアミノ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン)樹脂、アセトグアナミン樹脂、ステログアナミン樹脂、スピログアナミン樹脂、ジシアンジアミド樹脂等が挙げられる。また、メラミンとベンゾグアナミンを反応させたメラミン・ベンゾグアナミン共縮合樹脂も挙げられる。
アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
N-メチロール基のエーテル化に使用するアルコールは、例えば、炭素数1~6のモノアルコールが好ましく、メチルアルコール、エチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ブチルアルコールがより好ましい。アルコールは単独で、または2種類以上を併用して使用できる。
塗膜の硬度、加工性の観点から、アミノ樹脂(B)としてメラミン樹脂、メラミン・ベンゾグアナミン共縮合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂を用いることが好ましい。
アミノ樹脂(B)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ樹脂(B)は市販品を用いてもよい。例えば、Allnex社製Cymel301、303LF、304、323、325、328、370、659、1123;BASF社製 Luwipal014、015、018、066、070、052、B017;DIC社製アミディアL-105-60、アミディアL-109-65、アミディアL-110-60、アミディアTD-126、アミディア15-594等が挙げられる。
アミノ樹脂(B)は、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)とアミノ樹脂(B)との合計100質量%中、1~20質量%含有することが好ましい。1質量%以上使用すると架橋密度が向上し、塗膜の耐衝撃性、耐レトルト性がより向上する。また、20質量%以下使用すると適度な架橋密度が得易く、塗膜の加工密着性が向上する。
<ポリエステル樹脂(C)>
本発明の水性塗料は、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(C)を含むことができる。これにより、塗膜の加工密着性がより向上する。
ポリエステル樹脂(C)は、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)、アミノ樹脂(B)およびポリエステル樹脂(C)の合計100質量%中、1~60質量%含有することが好ましく、20~40質量部%含有することがより好ましい。1質量%以上であれば塗膜の加工性、耐衝撃性、加工密着性がより向上する。また、60質量%以下になることで塗膜の耐レトルト性がより向上する。
ポリエステル樹脂(C)は、例えば、ポリカルボン酸(その無水物も含む)とポリオールとの重縮合反応(エステル化反応)で合成できる。この反応は、常圧下、減圧下のいずれかの条件で行うことができる。また、分子量の調整はポリカルボン酸とポリオールとの仕込み比率を調整して行う。
ポリエステル樹脂(C)の原料であるポリカルボン酸およびポリオールは、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)の説明の項で例示したポリカルボン酸(a-1)およびポリオール(a-2)を使用することが好ましく、更に、脂肪酸(a-3)を一部使用することもできる。
<その他の樹脂>
本発明の水性塗料は、その他の樹脂として、例えば、アクリル樹脂、水性ポリエーテルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、エポキシ樹脂のグリシジル基をアミン、リン酸等により付加変性した変性エポキシ樹脂等を含むことができる。
<塩基性化合物>
本発明において、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)、およびポリエステル樹脂(C)中のカルボキシル基を中和することで水溶性化、または水分散化が可能である。中和する際には有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物の使用が好ましい。
前記有機アミン化合物としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチル-エタノールアミン、N,N-ジエチル-エタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
前記アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
塩基性化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<有機溶剤>
本発明の水性塗料は、有機溶剤を含むことができる。有機溶剤は、親水性有機溶剤を使用することが好ましい。これにより、水性塗料の塗装性の調整が容易になり、水性塗料の保存安定性をより向上できる。
親水性有機溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、iso-ブタノール、t-ブタノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。
有機溶剤は、単独で、または2種類以上を併用して使用できる。
<硬化触媒>
本発明の水性塗料は、必要に応じて硬化触媒を含むことができる。硬化触媒は酸触媒が好ましく、これにより硬化速度を適宜調整できる。
硬化触媒は、例えば、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、リン酸、ならびにこれらのブロック体等が挙げられる。
硬化触媒は、水性塗料の樹脂成分の合計100質量部に対して、0.001~1質量部を配合できる。
<潤滑性付与剤>
本発明の水性塗料は、必要に応じて潤滑性付与剤を含むことができる。潤滑性付与剤は、塗膜の滑り性を向上させ、例えば、被覆缶同士が接触する際の塗膜の傷つきを抑制できる。
潤滑性付与剤は、例えば、ワックス、シリコーン系潤滑性付与剤が好ましい。
ワックスは、天然ワックス、合成ワックスが挙げられる。
天然ワックスは、例えば、ラノリン、ミツロウ、鯨ロウ等の動物系ワックス;
カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の植物系ワックス;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックスが挙げられる。
合成ワックスは、例えば、ポリオレフィンワックス、フッ素ワックス、脂肪酸エステルワックスが挙げられる。
シリコーン系潤滑性付与剤は、例えば、ジメチルポリシロキサン、およびその変性物が挙げられる。
潤滑性付与剤は、単独で、または2種類以上を併用して使用できる。
潤滑性付与剤は、水性塗料の樹脂成分の合計100質量部に対して、0.001~10質量部含むことができる。
<硬化助剤>
本発明の水性塗料は、硬化助剤を含むことができる。硬化助剤は、例えば、ポリイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートは、例えば、活性メチレン、MEKオキシム、ε-カプロラクタムをブロック剤とするブロック化イソシアネート;
MEKオキシム型水性イソシアネートが挙げられる。
<水性塗料>
本発明の水性塗料は、それを構成する材料を撹拌、混合して作製できる。
本発明の水性塗料は、例えば、顔料や染料等の着色剤を配合した着色塗料、着色剤を配合しないクリア塗料、着色塗料を塗装して形成した着色塗膜を保護する上塗り塗料として使用することが好ましい。
顔料は、有彩色顔料(例えば、キナクリドン)、無彩色顔料(例えば、酸化チタン、アルミニウム顔料等)が挙げられる。
着色塗料は、着色剤と、必要に応じて分散剤とを配合し、サンドミルやディスパー等の分散機を使用して作製することが好ましい。
<塗装部材>
本発明の塗装部材は、金属部材、および本発明にかかる水性塗料から形成される塗膜を備える。従来の塗装部材は、高度な加工を行う場合、加工による変形に塗膜が追従できず、基材である金属部材から剥離しやすいため、下塗り層が必須であった。しかし、本発明の塗装部材は、下塗り層が無い場合に高度な加工を行っても金属部材から剥がれにくい、密着性が良好な塗膜を形成できる。なお、本発明の塗装部材は、下塗り層を有する実施態様を含むことはいうまでもない。同様に、下塗り層上に本発明にかかる水性塗料による塗膜を形成してもよい。
塗装部材は、金属板などの金属部材に本発明にかかる水性塗料を塗装、乾燥・硬化することにより得られる。
塗装方法は、例えば、ロールコーター塗装、スプレー塗装、ハケ塗り等が挙げられる。
塗装の際、自然乾燥してもよいが、加熱を行い(乾燥工程、焼き付けともいう)熱硬化を行うとより硬度が高い塗膜を形成できる。焼き付けは、例えば、電気オーブン、遠赤外線オーブン、ガスオーブン、コイルオーブン等で行えば良い。焼き付け条件は、150℃~240℃の温度雰囲気中で、20秒~10分程度加熱すれば良い。
塗膜の重量は、30mg/100cm~100mg/100cm程度が好ましい。
金属部材は、金属板、金属成形物が好ましい。
金属板は、例えば、熱延伸鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、合金メッキ鋼板、アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、ティンフリースチール、ニッケルメッキ鋼板、極薄スズメッキ鋼板、クロム処理鋼板などが挙げられる。金属板は、例えば、防錆処理等の処理物であっても良い。
金属成形物は、金属板を、例えば、コップ状に立体成形した成形物等の立体成形物が挙げられる。
金属部材の厚みは、50~500μm程度である。金属成形物に塗膜を形成するタイミ
ングは、成形前後を問わないところ、成形後が好ましい。
<被覆缶>
本発明の被覆缶は、缶体、および本発明にかかる水性塗料から形成される塗膜を備える。
被覆缶は、機能面では、例えば、コーヒー、清涼飲料水等を収納する飲料缶、魚肉や果物を収納する食缶等に使用する缶である。なお、被覆缶は、化粧水、エンジンオイル等の非飲食物用途の収納にも使用できることはいうまでもない。
被覆缶は、形態面では、例えば、2ピース缶、3ピース缶、いわゆるボトル缶が好ましい。2ピース缶は、缶体として缶蓋および缶胴部材を備える。3ピース缶は、缶体として上下2つの缶蓋および1つの缶胴部材を備える。ボトル缶は、取り外し可能なキャップ、ならびに缶体として、図4に示す、前記キャップを装着できるスクリュー付飲み口部を有するボトル部材を備える。
本発明の被覆缶は、前記金属部材または塗装部材を加工して作製することができる。
被覆缶の中で、例えば、ボトル缶を作製する場合、コップ状のアルミニウム製立体成形物からスクリュー付飲み口部を成形するための絞り成形加工、および取り外し可能なキャップのスクリュー形成加工は、高度な加工が必要である。そのため、従来の被覆缶では、塗装部材を加工して缶体を得るにあたって、塗膜の密着性を保持するための下塗り層が必須であった。しかし、本発明にかかる被覆缶は、下塗り層が無い場合であっても、塗膜は缶体との密着性が低下し難い。なお、本発明の被覆缶は、下塗り層を有する実施態様を含む。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。特に断りのない限り実施例で「部」は「質量部」であり、「%」は「質量%」である。
[製造例1]
<アクリル変性ポリエステル樹脂(A-1)の合成>
温度計、撹拌機、窒素ガス吹き込み管、分留装置、冷却管を備えた反応容器にイソフタル酸27部、無水マレイン酸1部、グリセリン21部、ヤシ油脂肪酸{ヨウ素価:1Ig/100g}24部、酸化防止剤としてIrganox1010(BASFジャパン株式会社製)を0.04部入れ、撹拌しながら窒素ガス吹き込み下で、230℃にてエステル化反応を行い、酸価が15mgKOH/gになったところで反応を終了し冷却した。内温が100℃になったところでエチレングリコールモノブチルエーテル70部を添加した。続いて、メチルメタクリレート18部、N-ブトキシメチルアクリルアミド9部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.8部を仕込み、140℃にまで加熱し、2時間反応させた。次いでt-ブチルパーオキシベンゾエート0.1部を添加して1時間反応させ、重量平均分子量15,000、不揮発分濃度55%、トリグリセリドに換算した際の油長25%のアクリル変性ポリエステル樹脂(A-1)の溶液を得た。なお、重量平均分子量は東ソー株式会社製GPC装置8020シリーズ(THF(テトラヒドロフラン)溶媒、カラム温度40℃、ポリスチレン標準)を用いて測定した。カラムは東ソー株式会社製G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL、G4000HXLの4本を直列に連結したものを使用し、流量1.0ml/分にて測定した。
なお、酸価は以下の方法により測定した。
不揮発分換算で0.2gの樹脂を20mlのTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定し、以下の(式2)により酸価を算出した。
酸価(mgKOH/g)=5.611×A×F/0.2・・・(式2)
A:KOHエタノール溶液の滴定量(ml)
F:0.1NのKOHエタノール溶液の力価
[製造例2~11]
<アクリル変性ポリエステル樹脂(A-2)~(A-11)の合成>
製造例1において各成分の種類、および配合量(部)を表1のように変更した以外は、製造例1と同様の方法にて、アクリル変性ポリエステル樹脂(A-2)~(A-11)の溶液を得た。
[製造例12]
<アミノ樹脂(B-1)の合成>
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた反応容器に、ベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド187.5部、n-ブタノール518部を仕込み、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整後、100℃に加熱し3時間反応させた。その後、60%硝酸水溶液を反応溶液がpH4になるまで仕込み、還流脱水しながら更に3時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、減圧下でn-ブタノール、および水を除去した。生成物にエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、不揮発分濃度80%のアミノ樹脂(B-1)の溶液を得た。
[製造例13]
<ポリエステル樹脂(C-1)>
温度計、撹拌機、窒素ガス吹き込み管、分留装置、冷却管を備えた反応容器に1,4-ブタンジオール22部、ジエチレングリコール10部、トリメチロールプロパン11.3部、イソフタル酸29.8部、ヘキサヒドロ無水フタル酸16.4部、アジピン酸10.5部を入れ、撹拌しながら窒素ガス吹き込み下で、220℃にてエステル化反応を行い、酸価が30mgKOH/gになったところで反応を終了し冷却した。内温が100℃になったところでエチレングリコールモノブチルエーテル25部を添加して、重量平均分子量3,000、不揮発分濃度65%のポリエステル樹脂(C-1)の溶液を得た。
[比較製造例1~6]
<アクリル変性ポリエステル樹脂(D-1)~(D-6)の合成>
製造例1において各成分の種類、および配合量(部)を表2のように変更した以外は、製造例1と同様の方法にて、アクリル変性ポリエステル樹脂(D-1)~(D-6)の溶液を得た。なお、アクリル変性ポリエステル樹脂(D-5)については、合成時に増粘しゲル状となり、評価できなかった。
なお、表1、表2おける材料の表記の略号は、それぞれ以下のものを表す。
PA:無水フタル酸
IPA:イソフタル酸
MAH:無水マレイン酸
GL:グリセリン
TMP:トリメチロールプロパン
PeE:ペンタエリスリトール
MMA:メチルメタクリレート
N-MMA:N-n-メトキシメチルアクリルアミド
N-BMA:N-n-ブトキシメチルアクリルアミド
[実施例1]
製造例1で得たアクリル変性ポリエステル樹脂(A-1)を不揮発分換算で100部、シリコーン系レベリング剤として「BYK302」(ビックケミー社製)を0.5部、ワックスとして「CERACOL604」(ビックケミー社製、カルナバワックス)を1部混合した。さらに不揮発分濃度が45%、有機溶剤濃度が25%となるようにエチレングリコールモノブチルエーテルとイオン交換水を適量加えて混合し、水性塗料を得た。
[実施例2]~[実施例19]
実施例1において各成分の種類、および配合量(部)を表3のように変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、水性塗料を得た。
なお、表3および表4において、アミノ樹脂「Cymel303LF」、アミノ樹脂(B-1)およびポリエステル樹脂(C-1)の配合量は、不揮発分換算の値である。
Cymel303LF:Allnex社製のメラミン系アミノ樹脂(不揮発分濃度:98%)
[比較例1]~[比較例7]
実施例1において各成分の種類、および配合量(部)を表4のように変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、水性塗料を得た。
<塗装部材1の作製>
得られた塗料を、厚さ0.28mmの#5182アルミニウム板上にバーコーターを使用して乾燥重量が50mg/100cmになるように塗装し、内温220℃のガスオーブンで1分間加熱し、塗装部材1を得た。
<塗装部材2の作製>
得られた塗装部材1を、内面塗料の焼き付け処理を想定し、内温200℃のガスオーブンで3分間加熱を行い、塗装部材2を得た。
<絞り加工密着性>
ボトル缶の飲み口部を形成する加工を行い、塗膜と金属部材との密着性を評価する代用試験として、キャップを作製し、次の試験を行った。
即ち、得られた塗装部材2を円形に打ち抜き直径55mmの円盤を作製した。得られた円盤に対して塗膜が外側になるように絞り加工を行い、直径25mm、深さ18mmのキャップを作製した。得られたキャップについて130℃で30分間レトルト処理を行い、処理後の塗膜と金属部材との密着性を以下の基準で評価した。
◎:塗膜に剥離、割れが全くない。良好。
〇:塗膜に若干の剥離、割れがあった。実用上問題ない。
×:塗膜に剥離、割れが多い。実用不可。
<スクリュー加工性>
ボトル缶の飲み口部にスクリューを形成する加工性を評価するため、次の代用試験を行った。まず、上記絞り加工密着性試験と同様にキャップを作製した後、さらにスクリュー加工を行った。得られたスクリュー加工キャップについて130℃で30分間レトルト処理を行い、処理後のスクリュー部の塗膜と金属板との密着性を以下の基準で評価した。
◎:塗膜に剥離、割れが全くない。良好。
〇:塗膜に若干の剥離、割れがあった。実用上問題ない。
×:塗膜に剥離、割れが多い。実用不可。
<耐ブロッキング性>
塗装缶胴部同士のブロッキング性を評価するため次の代用試験を行った。塗装部材1の縦30mm×幅90mmの大きさのテストピースを2枚準備した。2枚のテストピースの塗膜同士が接するように重ね、クリップにて固定し、前記内面塗料の焼き付け処理を想定した条件で焼き付け処理を実施後、25℃まで放冷した。その後、接触部分の跡を以下の基準で評価した。
◎:塗膜に接触跡が全くない。良好。
〇:塗膜に若干の接触跡があった。実用上問題ない。
×:塗膜に接触跡が多い。実用不可。
<耐レトルト性>
塗装部材2を130℃で30分間レトルト処理した。処理後、塗装板を充分乾燥させた後、塗膜の表面状態(白化の有無)を目視で評価した。
◎:未処理の塗膜と変化なし。良好。
〇:ごく薄く塗膜の白化が見られる。実用上問題ない。
×:明らかな塗膜の白化が見られる。実用不可。
<貯蔵安定性>
上記で得られた水性塗料を、25℃で30日間静置貯蔵させた後に使用し塗装部材2を作製した際の、塗膜の状態を目視にて評価した。
◎:塗膜は透明で凝集物も見られない。良好。
〇:やや塗膜の白濁が見られるが、凝集物等は見られない。実用上問題ない。
×:明らかな塗膜の白濁が見られ、凝集物も多数見られる。実用不可。
表3、表4に実施例1~19、比較例1~7で得られた水性塗料の内容、およびこれらの水性塗料から得られた塗膜の物性評価結果を示す。なお、比較例3については、水性塗料作製の際に分離し、評価できなかった。
なお、表3、表4中の「ヨウ素価」欄における「-」の記号は、データが無いことを示す。
表3、表4に示すように、実施例1~19の水性塗料は、全ての物性が良好であったのに対し、比較例1~7の水性塗料では物性のいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。
1 脂肪酸(a-3)
2 エチレン性不飽和モノマー(a-4)の重合体
3 ボトル部材
4 スクリュー付飲み口部

Claims (8)

  1. ポリカルボン酸(a-1)、ポリオール(a-2)、脂肪酸(a-3)およびエチレン性不飽和モノマー(a-4)の反応生成物であり、
    前記(a-1)~(a-3)の少なくともいずれかは、その分子内に炭素-炭素二重結合を有しており、
    (a-1)~(a-4)の合計100質量%中、(a-4)の割合が3~40質量%であり、トリグリセリド換算での油長が10~50%、重量平均分子量が2,000~50,000、酸価が5~50mgKOH/gであるアクリル変性ポリエステル樹脂(A)、
    を含む、水性塗料。
  2. アクリル変性ポリエステル樹脂(A)が、ポリカルボン酸(a-1)またはポリオール(a-2)に由来する炭素-炭素二重結合を含めてエチレン性不飽和モノマー(a-4)が重合された部位を有する、請求項1に記載の水性塗料。
  3. アクリル変性ポリエステル樹脂(A)が、脂肪酸(a-3)に由来する炭素-炭素二重結合を含めてエチレン性不飽和モノマー(a-4)が重合された部位を有する、請求項1に記載の水性塗料。
  4. アクリル変性ポリエステル樹脂(A)が、ポリカルボン酸(a-1)またはポリオール(a-2)、および脂肪酸(a-3)に由来する炭素-炭素二重結合を含めてエチレン性不飽和モノマー(a-4)が重合された部位を有する、請求項1に記載の水性塗料。
  5. さらにアミノ樹脂(B)を含有し、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)およびアミノ樹脂(B)の合計100質量%中、アミノ樹脂(B)の割合が1~20質量%である、請求項1~4いずれかに記載の水性塗料。
  6. さらにアクリル変性ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(C)を含有し、アクリル変性ポリエステル樹脂(A)、アミノ樹脂(B)およびポリエステル樹脂(C)の合計100質量%中、ポリエステル樹脂(C)の割合が1~60質量%である、請求項1~5いずれかに記載の水性塗料。
  7. 金属部材、および請求項1~6いずれかに記載の水性塗料から形成される塗膜を備える、塗装部材。
  8. 缶体、および請求項1~6いずれかに記載の水性塗料から形成される塗膜を備える、被覆缶。
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