JP2023119773A - リチウムイオン電池用正極活物質 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期抵抗が低く、かつ、充放電を繰り返した際の抵抗増加が抑制されたリチウムイオン電池用正極活物質を提供すること。【解決手段】リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物からなるリチウムイオン電池用の正極活物質であって、前記正極活物質は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、前記正極活物質は、式(1):(18.768-a)/b≦0.0024 (1)および式(2):c/d≦2.66 (2)の関係を満たし、前記式(1)中、aは、前記正極活物質のX線回折で測定される(003)面のピークトップであり、かつ、a<18.768の範囲にあり、bは、前記正極活物質中のニッケル、コバルトおよびマンガンの総モル数に対するマンガンのモル数であり、前記式(2)中、cは、前記aの20分の1幅であり、dは、前記aの半値幅である。【選択図】図1

Description

本開示は、リチウムイオン電池用正極活物質に関する。
リチウムイオン電池は、パソコンや携帯端末等のポータブル電源、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両用電源として広く用いられている。特に、車両用電源としてさらなる高容量化が求められている。
リチウムイオン電池は、正極、負極、電解質等を含む。正極は、正極活物質層と正極基材とを含む。このリチウムイオン電池の高容量化を実現するため、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いることが提案されている(例えば、特許文献1および2)。
特開2020-107536号公報 特開2021-51880号公報
しかしながら、特許文献1および2に開示されている正極活物質を用いたリチウムイオン電池では、初期抵抗が高く、また、充放電を繰り返した際に抵抗が増加するという問題がある。
したがって、本開示の目的は、初期抵抗が低く、かつ、充放電を繰り返した際の抵抗増加が抑制されたリチウムイオン電池用正極活物質を提供することである。
〔1〕本開示は、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物からなるリチウムイオン電池用の正極活物質であって、
前記正極活物質は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、
前記正極活物質は、式(1):
(18.768-a)/b≦0.0024 (1)
および式(2):
c/d≦2.66 (2)
の関係を満たし、
前記式(1)中、
aは、前記正極活物質のX線回折で測定される(003)面のピークトップであり、かつ、a<18.768の範囲にあり、
bは、前記正極活物質中のニッケル、コバルトおよびマンガンの総モル数に対するマンガンのモル数であり、
前記式(2)中、
cは、前記aの20分の1幅であり、
dは、前記aの半値幅である、
正極活物質。
本開示の新知見によると、正極活物質が上記式(1)および(2)の関係を満たすことで、初期抵抗を低くし、かつ、充放電を繰り返した際の抵抗増加を抑制することが期待される。
すなわち、該ピークトップの値が18.768に近いほど、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物の結晶構造における遷移金属(ニッケル、コバルトおよびマンガン)層中に該遷移金属が均一に分散して存在し、かつ、リチウム層中のリチウムの占有率が高い。一方、該ピークトップは該遷移金属の組成比、特にマンガンの組成比に影響を受ける。したがって、該遷移金属中のマンガンの組成比の影響を取り除いた該ピークトップの値を表す指標として、式(1)を規定した。式(1)を満たすリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物の結晶構造は安定しているため、耐久性能が向上し、充放電を繰り返し行っても抵抗の増加が抑制されると考えられる。また、正極活物質層の該遷移金属層中に該遷移金属が均一に分散し、かつ、リチウム層中にリチウムが多く存在していることから、反応ムラが生じず、初期抵抗も高くならないと考えられる。
また、該20分の1幅のピークの裾の広がりは、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物の結晶構造の欠陥を表しており、該裾の広がりが大きいほど、該結晶構造の欠陥が大きいことを意味する。一方、該20分の1幅は該半値幅の影響を受ける。したがって、該半値幅の影響を取り除いた該20分の1幅の値を表す指標として、式(2)を規定した。式(2)を満たすリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物の結晶構造は欠陥が小さいため、耐久性能が向上し、充放電を繰り返し行っても抵抗の増加が抑制されると考えられる。また、該結晶構造の欠陥は小さいことから、反応ムラが生じず、初期抵抗も高くならないと考えられる。
図1は、本実施形態におけるリチウムイオン電池の概略図である。 図2は、電極体の概略図である。
以下、本開示の一実施形態について説明する。ただし、本開示はこれらに限定されるものではない。
本明細書において、「実質的に・・・からなる」との記載は、本開示の目的を阻害しない範囲で、必須成分に加えて、追加の成分が含まれ得ることを示す。例えば、当該技術の分野において通常想定される成分(例えば不可避不純物等)が、追加の成分として含まれていてもよい。
本明細書において、例えば「LiCoO2」等の化学量論的組成式によって化合物が表現されている場合、該化学量論的組成式は、代表例に過ぎない。例えば、コバルト酸リチウムが「LiCoO2」と表現されている時、特に断りのない限り、コバルト酸リチウムは「Li/Co/O=1/1/2」の組成比に限定されず、任意の組成比でLi、CoおよびOを含み得る。組成比は、非化学量論的であってもよい。
<正極活物質>
本実施形態の正極活物質は、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(以下、「リチウム複合酸化物」とも称する。)からなるリチウムイオン電池用の正極活物質である。リチウムイオン電池の詳細は後述される。正極活物質は粒子である。正極活物質は任意のサイズを有し得る。正極活物質は、例えば1μm以上30μm以下のD50を有していてもよいし、5μm以上20μm以下のD50を有していてもよい。本明細書における「D50」は、体積基準の粒度分布において、粒子径が小さい方からの頻度の累積が50%になる粒子径と定義される。体積基準の粒度分布は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定され得る。
《粒子構造》
正極活物質は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を含む。正極活物質は、例えば、実質的に二次粒子からなっていてもよい。二次粒子は、50個以上の一次粒子が凝集することにより形成されている。二次粒子に含まれる一次粒子の個数は、二次粒子のSEM画像(scanning electron microscope)において測定される。SEM画像の拡大倍率は、例えば、10000倍から30000倍であってもよい。二次粒子は、例えば、100個以上の一次粒子が凝集することにより形成されていてもよい。二次粒子において、一次粒子の個数に上限はない。二次粒子は、例えば、10000個以下の一次粒子が凝集することにより形成されていてもよい。二次粒子は、例えば、1000個以下の一次粒子が凝集することにより形成されていてもよい。一次粒子は、任意の形状を有し得る。一次粒子は、例えば、球状、柱状、塊状等であってもよい。
《組成》
正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを吸蔵し、放出し得る。正極活物質は任意の結晶構造を有し得る。正極活物質は、例えば層状岩塩型構造、スピネル型構造、オリビン型構造等を有していてもよい。正極活物質は任意の化学組成を有し得る。正極活物質の化学組成は、例えば、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP―AES)等により測定され得る。
正極活物質は、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物からなる。すなわち、遷移金属として、少なくともニッケル、コバルトおよびマンガンを含む三元系の正極活物質に対して、広く適用可能であり、その組成は特に限定されない。
ただし、本開示のリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物としては、下記式(i)により表される組成を有することが好ましい。
LiNi1-x-yCoMn2 (i)
上記式(1)中、「x」は、「0.1≦x≦0.4」の関係を満たす。「y」は、「0.1≦y≦0.5」の関係を満たす。「z」は、「0.95≦z≦1.2」の関係を満たす。
《X線回折》
正極活物質は、下記式(1)および(2)の関係を満たす。
(18.768-a)/b≦0.0024 (1)
c/d≦2.66 (2)
上記式(1)中、「a」は、前記正極活物質のX線回折で測定される(003)面のピークトップであり、かつ、a<18.768の範囲にある。「b」は、前記正極活物質中のニッケル、コバルトおよびマンガンの総モル数に対するマンガンのモル数であり、下記式(3)により表される。
b=100×マンガンのモル数[mol]/(ニッケルのモル数[mol]+コバルトのモル数[mol]+マンガンのモル数[mol]) (3)
上記式(2)中、「c」は、上記aの20分の1幅である。「d」は、上記aの半値幅である。
正極活物質が上記式(1)および(2)の関係を満たすことで、初期抵抗を低くし、かつ、充放電を繰り返した際の抵抗増加を抑制することができる。
ここで、X線回折測定は、例えば、CuKα線を用いた粉末X線回折測定であってもよい。これは、X線発生源から照射されるX線(CuKα線)を試料の試料面に入射することにより行うとよい。試料面は、正極活物質(典型的には粉体)からなる面であってもよく、正極活物質をバインダで結着させて実際に正極を形成した面(正極活物質層の表面)であってもよい。そして、X線の回析方向と入射方向の角度差(回折角2θ)と、回析X線強度を測定し、得られた回折パターンから、(003)面に由来する回折ピークの半価幅および20分の1幅を算出することができる。かかるX線回折測定、(003)面の半価幅および20分の1幅の算出は、種々の測定装置メーカーから市販されているX線回折測定装置および付属の解析ソフトを用いて行うことができる。
(式(1))
aの値に関して、aの値が18.768に近いほど、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物の結晶構造における遷移金属(ニッケル、コバルトおよびマンガン)層中に該遷移金属が均一に分散して存在し、かつ、リチウム層中のリチウムの占有率が高いことから、耐久性能が向上し、充放電を繰り返し行っても抵抗の増加が抑制される。aの値は、a<18.768の範囲にあり、18.68<a<18.768の範囲にあることが好ましく、18.7<a<18.768の範囲にあることがより好ましい。
一方、本発明者らは、aの値は、該遷移金属の組成比、特にマンガンの組成比に影響を受けるため、aの値およびbの値に関して、上記式(1)の関係を満たすことが必要であることを見い出した。上記式(1)において、(18.768-a)/bの値は、0.0022以下であることが好ましい。
(式(2))
cの値に関して、cの値である、aの値の20分の1幅のピークの裾の広がりは、リチウム複合酸化物の結晶構造の欠陥を表しており、cの値が大きいほど、該結晶構造の欠陥が大きいことを意味する。cの値は、0.32以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
一方、本発明者らは、cの値は、dの値、すなわち、aの値の半値幅の影響を受けるため、cの値およびdの値に関して、上記式(2)の関係を満たすことが必要であることを見い出した。上記式(2)において、c/dの値は、2.60以下であることが好ましい。
《空隙》
正極活物質において、二次粒子は、空隙を有するコア部を備えていてもよい。該空隙は、一次粒子間の隙間に起因し、大きいことが好ましい。大きい空隙を有する二次粒子は、外表面積が大きく、二次粒子の内部に存在する一次粒子が少ないため、導電材と接触可能な一次粒子の割合が増加する結果、初期抵抗をさらに低くすることができるからである。本開示では、空隙の最大径は、例えば、200nm以上であることが好ましい。また、正極活物質において、このような内部に最大径が200nm以上の空隙を有する二次粒子の割合が多いことがより好ましく、例えば、該割合が50%以上であることがより好ましい。
二次粒子内の空隙の最大径および内部に最大径が200nm以上の空隙を有する二次粒子の割合は、例えば、以下の方法により算出することができる。まず、複数の正極活物質を樹脂等に埋め込み、クロスセクションポリッシャ(CP)を用いて切断し、二次粒子の断面観察が可能な状態とした後、SEMにより画像を取得する。観察倍率は、例えば、8000倍である。取得した画像から、二次粒子の全体が写っているものを100個選択し、各粒子の空隙の最大径を測定する。測定した二次粒子内の空隙の最大径が200nm以上のものをカウントし、その割合を求める。
《シェル部》
正極活物質において、二次粒子は、上記コア部の外側に、コア部と電気的に接続するシェル部をさらに備えていてもよい。二次粒子がシェル部を備えることで、電子伝導性が向上し、初期抵抗をさらに低くすることができるからである。電子伝導性の観点から、シェル部の厚みは小さいことが好ましい。本開示では、シェル部の厚みは、例えば、0.9μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。
シェル部およびシェル部の厚みは、例えば、上述の二次粒子内の空隙の最大径および内部に最大径が200nm以上の空隙を有する二次粒子の割合と同様の方法により確認および算出することができる。ただし、本開示おいては、シェル部の厚みは、上述の方法で測定した二次粒子内の空隙の最大径が200nm以上のものについて、各シェル部の厚みを2点測定し、その全ての値の平均値とする。
<正極活物質の製造方法>
本実施形態の正極活物質の製造方法は、少なくとも前駆体作製工程(S10)と、混合工程(S20)と、焼成工程(S30)と、を含む。また、前駆体作製工程(S10)と混合工程(S20)との間に、前駆体成長工程を、焼成工程(S30)の後に解砕工程を、さらに備えていてもよい。
《前駆体作製工程(S10)》
前駆体作製工程においては、ニッケル塩、コバルト塩およびマンガン塩を含む前駆体(複合水酸化物粒子)を作製する。前駆体は、例えば、ニッケル塩、コバルト塩およびマンガン塩を所定の割合で水に溶解して原料水溶液を作製し、原料水溶液のpHを調整後、乾燥させることで作製する。
ニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル等を使用することができる。コバルト塩としては、特に限定されないが、例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト等を使用することができる。マンガン塩としては、特に限定されないが、例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン等を使用することができる。
ニッケル塩、コバルト塩およびマンガン塩は、例えば、ニッケル、コバルトおよびマンガンのモル比が「(1-x-y):x:y」となるように混合されてもよい。「x」および「y」は、例えば、「0.1≦x≦0.4」および「0.1≦y≦0.5」の関係を満たしてもよい。ニッケル塩、コバルト塩およびマンガン塩を含む原料水溶液の濃度を調整することで、所望の上述の式(1)および(2)の値を有する二次粒子を製造することができる。
反応槽が準備される。反応槽は、攪拌機、ヒータおよび温度コントローラ等を備えていてもよい。反応槽において、水、アンモニウムイオン供給体およびpH調整剤が混合されることにより、アルカリ水溶液が調整される。アルカリ水溶液の温度は、例えば、20℃以上30℃以下に調整される。アルカリ水溶液のアンモニア濃度は、例えば、10g/L以上20g/L以下に調整される。アルカリ水溶液のpH(25℃での測定値)は、例えば、11以上13以下の範囲内に調整される。
アンモニウムイオン供給体としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア水、硫酸アンモニウム水溶液等を使用することができる。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。
攪拌機により反応槽内のアルカリ水溶液が撹拌されながら、原料水溶液がアルカリ水溶液に滴下される。原料水溶液の滴下中、反応液の温度、反応液のアンモニア濃度および反応液のpHが大きく変化しないように、加熱、アンモニウムイオン供給体およびpH調整剤の追加が適宜行われる。反応液の温度は、例えば、20℃以上30℃以下に調整される。反応液のアンモニア濃度は、例えば、10g/L以上20g/L以下に調整される。反応液のpH(25℃での測定値)は、例えば、11以上13以下の範囲内に調整される。反応液のpHが上記範囲内の場合、所望の空隙を有する二次粒子を製造することができる。
上述の反応後の前駆体含有水溶液を乾燥させることで、前駆体が調整される。
《混合工程(S20)》
混合工程においては、前駆体作製工程で得られた前駆体に、リチウム塩を混合して、リチウム混合物を作製する。リチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム等を使用することができる。
混合工程においては、リチウム混合物中のリチウムの原子数と、ニッケル、コバルトおよびマンガンの原子数の和との比が、例えば、1.1以上1.5以下の範囲となるように、前駆体とリチウム塩とを混合してもよい。リチウム混合物中のリチウムの原子数と、ニッケル、コバルトおよびマンガンの原子数の和との比が1.1以上1.5以下の範囲の場合、上述の式(1)および(2)に関して、所望の値を有する二次粒子を製造することができる。リチウム混合物中のリチウムの原子数と、ニッケル、コバルトおよびマンガンの原子数の和との比は、1.1以上1.3以下の範囲となるように調整することが好ましい。なお、混合には、一般的な混合機を使用することができる。
《焼成工程(S30)》
焼成工程においては、混合工程で得られたリチウム混合物を焼成することで、リチウム複合酸化物を作製する。
焼成温度は、750℃以上950℃以下である。焼成温度が750℃未満の場合、リチウムと前駆体が十分に反応せず、余剰のリチウムや未反応の前駆体が残存したり、得られるリチウム複合酸化物の結晶性が不十分になるおそれがある。焼成温度が950℃を超える場合、得られるリチウム複合酸化物の外表面積が低下したり、リチウム複合酸化物の二次粒子同士の焼結が異常に起こり、不定形な二次粒子が増加するおそれがある。焼成温度は、800℃以上900℃以下であることが好ましい。
昇温速度は、0.3℃/分以上5℃/分未満である。昇温速度が上記範囲内の場合、リチウムと前駆体との反応ムラが生じず、得られるリチウム複合酸化物の結晶性が安定する。昇温速度は、0.5℃/分以上2℃/分未満であることが好ましい。
焼成時間は、2時間以上24時間以下である。焼成時間が2時間未満の場合、リチウムと前駆体が十分に反応せず、余剰のリチウムや未反応の前駆体が残存したり、得られるリチウム複合酸化物の結晶性が不十分になるおそれがある。焼成温度が24時間を超える場合、得られるリチウム複合酸化物の外表面積が低下したり、リチウム複合酸化物の二次粒子同士の焼結が異常に起こり、不定形な二次粒子が増加するおそれがある。焼成時間は、5時間以上18時間以下であることが好ましい。なお、本開示における焼成時間とは、加熱開始後、最高温度へ到達してから最高温度で加熱している間の時間を示し、最高温度へ到達するまでの時間(昇温時間)および最高温度で加熱した後の室温(30℃)までの冷却が完了する時間(冷却時間)は除く。
焼成は、例えば、乾燥空気、酸素雰囲気、不活性雰囲気等が用いられるが、酸素雰囲気とすることが好ましい。酸素雰囲気の酸素濃度は、20容量%以上100容量%以下とすることが好ましく、50容量%以上100容量%以下とすることがより好ましい。酸素雰囲気の酸素濃度が20容量%未満の場合、得られるリチウム複合酸化物の結晶性が不十分になるおそれがある。
《前駆体成長工程》
本実施形態においては、前駆体作製工程と混合工程との間に、前駆体成長工程をさらに備えていてもよい。前駆体成長工程では、前駆体作製工程で得られた前駆体を成長させる。
前駆体作製工程終了後、反応槽内の前駆体含有水溶液のpH(25℃での測定値)を、前駆体作製工程のpHよりも低く調整することで、前駆体成長用水溶液を作製する。前駆体成長用水溶液のpHは、例えば、pH調整剤の滴下量を変化させることにより調整される。
前駆体成長用水溶液のpHの調整後、前駆体成長用水溶液を撹拌しながら、前駆体成長用水溶液の温度、前駆体成長用水溶液のアンモニア濃度および前駆体成長用水溶液のpHが大きく変化しないように、加熱、アンモニウムイオン供給体およびpH調整剤の追加が適宜行われる。前駆体成長用水溶液の温度は、例えば、20℃以上30℃以下に調整される。前駆体成長用水溶液のアンモニア濃度は、例えば、10g/L以上20g/L以下に調整される。前駆体成長用水溶液のpH(25℃での測定値)は、例えば、10.5以上12以下の範囲内に調整される。前駆体成長用水溶液のpHが上記範囲内の場合、より大きな空隙を有する二次粒子を製造することができる。
《解砕工程》
本実施形態においては、焼成工程後に、解砕工程をさらに備えていてもよい。焼成工程により得られたリチウム複合酸化物は二次粒子であり、凝集または焼結が生じている場合があるからである。
解砕方法としては、従来既知の方法により行うことができ、例えば、乳鉢、ボールミル、ハンマーミル等を用いることができる。
<リチウムイオン電池>
以下本実施形態のリチウムイオン電池が説明される。本実施形態のリチウムイオン電池は二次電池であってもよい。本実施形態のリチウムイオン電池は一次電池であってもよい。以下リチウムイオン電池が「電池」と略記され得る。
<リチウムイオン電池>
図1は、本実施形態におけるリチウムイオン電池の概略図である。以下「本実施形態におけるリチウムイオン電池」が「本電池」と略記され得る。本電池100はケース90を含む。ケース90は、例えば、金属製であってもよい。ケース90は、任意の形態を有し得る。ケース90は、例えば角形(扁平直方体状)であってもよいし、円筒形であってもよい。ケース90は、例えばAlラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。ケース90に、正極端子91と負極端子92とが設けられていてもよい。
ケース90は、電極体50および電解液を収納している。電解液は電極体50に含浸されている。電解液の一部がケース90の底部に貯留されていてもよい。電極体50は、正極端子91および負極端子92と接続されている。
図2は、電極体の概略図である。電極体50は、正極10とセパレータ30と負極20とを含む。電極体50は任意の構造を有し得る。電極体50は、例えば巻回型であってもよい。電極体50は、例えば積層体40を含んでいてもよい。積層体40は、正極10とセパレータ30(1枚目)と負極20とセパレータ30(2枚目)とがこの順に積層されることにより、形成されている。積層体40が渦巻き状に巻回されることにより、電極体50が形成される。巻回後、電極体50が扁平状に成形されてもよい。
《正極》
正極10は、例えば帯状のシートであってもよい。正極10は、正極集電体と正極活物質層とを含んでいてもよい。正極集電体は、例えば、Al箔等を含んでいてもよい。正極活物質層は、正極集電体の表面に配置されていてもよい。正極活物質層は、正極集電体の片面のみに配置されていてもよいし、表裏両面に配置されていてもよい。正極活物質層は正極活物質を含む。正極活物質層は、例えば導電材、バインダ等をさらに含んでいてもよい。
導電材は、例えば、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック等)、炭素繊維等を含んでいてもよい。導電材の配合量は、100質量部の正極活物質に対して、例えば0.1質量部以上10質量部以下であってもよい。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を含んでいてもよい。バインダの配合量は、100質量部の正極活物質に対して、例えば0.1質量部以上10質量部以下であってもよい。
《負極》
負極20は、例えば帯状のシートであってもよい。負極20は、負極集電体と負極活物質層とを含んでいてもよい。負極集電体は、例えば、Cu箔等を含んでいてもよい。負極活物質層は、負極集電体の表面に配置されていてもよい。負極活物質層は、負極集電体の片面のみに配置されていてもよいし、表裏両面に配置されていてもよい。負極活物質層は負極活物質を含む。負極活物質層は、例えば導電材、バインダ等をさらに含んでいてもよい。
負極活物質は典型的には粒子群である。負極活物質は例えば1μm以上30μm以下のD50を有してもよい。負極活物質はリチウムイオンを吸蔵し、放出する。負極活物質は特に限定されるべきではない。負極活物質は、例えば黒鉛(例えばアモルファスコート黒鉛等)、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、珪素、酸化珪素、珪素基合金、錫、酸化錫、錫基合金、リチウム(純金属)、リチウム合金(例えばLi-Al合金等)、チタン酸リチウム等であってもよい。負極20に1種の負極活物質が単独で含まれていてもよい。負極20に2種以上の負極活物質が含まれていてもよい。
導電材は、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等を含んでいてもよい。導電材の配合量は、100質量部の負極活物質に対して、例えば0.1質量部以上10質量部以下であってもよい。バインダは、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を含んでいてもよい。バインダの配合量は、100質量部の負極活物質に対して、例えば0.1質量部以上10質量部以下であってもよい。
《セパレータ》
セパレータ30は、例えば帯状のフィルムであってもよい。セパレータ30は多孔質である。セパレータ30は電解液を透過し得る。セパレータ30は、正極10と負極20とを分離している。セパレータ30は電気絶縁性である。セパレータ30は、例えばポリオレフィン系樹脂等を含んでいてもよい。ポリオレフィン系樹脂は、例えばポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。セパレータ30は、例えば単層構造を有していてもよい。セパレータ30は、例えば、実質的にPE層からなっていてもよい。セパレータ30は、例えば多層構造を有していてもよい。セパレータは、例えばPP層とPE層とPP層とがこの順に積層されることにより形成されていてもよい。セパレータ30の表面に、例えば耐熱層(セラミック粒子層)等が形成されていてもよい。
《電解液》
電解液は溶媒とリチウム塩とを含む。溶媒は非プロトン性である。溶媒は任意の成分を含み得る。溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、メチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)、およびγ-ブチロラクトン(GBL)からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。
リチウム塩は支持電解質である。リチウム塩は溶媒に溶解している。リチウム塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、およびLiN(FSO22からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。リチウム塩は、例えば0.5mоl/L以上2.0mоl/L以下のモル濃度を有していてもよいし、0.8mоl/L以上1.2mоl/L以下のモル濃度を有していてもよい。
電解液は、溶媒およびリチウム塩に加えて、任意の添加剤をさらに含んでいてもよい。例えば、電解液は、質量分率で0.01%以上5%以下の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、およびビニルエチレンカーボネート(VEC)等からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。
以下、実施例を用いて本実施形態を説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
《正極活物質の製造》
(前駆体作製工程)
硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンが水に溶解され、原料水溶液が得られた。原料水溶液におけるニッケル、コバルトおよびマンガンのモル比ならびに原料水溶液中のニッケル、コバルトおよびマンガンの合計のモル濃度は、表1に示す通りである。
反応槽が準備された。反応槽は、攪拌機、ヒータおよび温度コントローラを備える。反応槽において、0.8Lの水に、25質量%アンモニア水および25質量%水酸化ナトリウム水溶液を適量供給することにより、アルカリ水溶液が調整された。アルカリ水溶液の温度は25℃に調整された。アルカリ水溶液のアンモニア濃度は、12.5g/Lであった。アルカリ水溶液のpHは、11.4に調整された。
攪拌機により反応槽内のアルカリ水溶液が撹拌されながら、原料水溶液がアルカリ水溶液に滴下された。原料水溶液の滴下中、反応液の温度は25℃に調整された。原料水溶液の滴下中、反応液のアンモニア濃度は12.5g/Lを維持するように、アンモニア水が適宜追加された。反応液のpHは11.4となるように、水酸化ナトリウム水溶液が適宜追加された。反応後、前駆体含有水溶液を乾燥することで、前駆体を得た。
(混合工程)
上記前駆体と、炭酸リチウムとを混合してリチウム混合物を得た。リチウム混合物において、リチウムの原子数と、ニッケル、コバルトおよびマンガンの原子数の和との比は、表1に示す通りである。
(焼成工程)
上記リチウム混合物を、表1に記載の焼成温度、昇温速度、焼成時間および酸素濃度下で焼成することで、リチウム複合酸化物を得た。
(解砕工程)
上記リチウム複合酸化物を乳鉢を用いて解砕することで、実施例1のリチウム複合酸化物(正極活物質)を得た。
<比較例1>
(前駆体作製工程)
実施例1と同様に原料水溶液を得た。原料水溶液におけるニッケル、コバルトおよびマンガンのモル比ならびに原料水溶液中のニッケル、コバルトおよびマンガンの合計のモル濃度は、表1に示す通りである。次に、実施例1と同様の工程で前駆体を得た。
(混合工程)
実施例1と同様にリチウム混合物を得た。リチウム混合物において、リチウムの原子数と、ニッケル、コバルトおよびマンガンの原子数の和との比は、表1に示す通りである。
(焼成工程)
上記リチウム混合物を、表1に記載の焼成温度、昇温速度、焼成時間および酸素濃度下で焼成することで、リチウム複合酸化物を得た。
(解砕工程)
上記リチウム複合酸化物を実施例1と同様の方法で解砕することで、比較例1のリチウム複合酸化物(正極活物質)を得た。
<実施例2~6、比較例2~3>
(前駆体作製工程)
実施例1と同様に原料水溶液を得た。各原料水溶液におけるニッケル、コバルトおよびマンガンのモル比ならびに各原料水溶液中のニッケル、コバルトおよびマンガンの合計のモル濃度は、表1に示す通りである。次に、実施例1と同様の工程で各前駆体含有水溶液を得た。各前駆体含有水溶液のpHは、12.5となるように調整された。
(前駆体成長工程)
前駆体含有水溶液において、供給する水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を調整することでpHを調整し、前駆体成長用水溶液を得た。各前駆体成長用水溶液のpHは表1に示す通りである。前駆体成長用水溶液のpHの調整後、前駆体成長用水溶液を撹拌した。前駆体成長用水溶液の撹拌中、前駆体成長用水溶液の温度は25℃に調整された。前駆体成長用水溶液の撹拌中、前駆体成長用水溶液のアンモニア濃度は12.5g/Lを維持するように、アンモニア水が適宜追加された。前駆体成長用水溶液の撹拌中、前駆体成長用水溶液のpHが表1に示す各pHとなるように、水酸化ナトリウム水溶液が適宜追加された。反応後、前駆体成長用水溶液を乾燥することで、各前駆体を得た。
(混合工程)
前駆体と、炭酸リチウムとを混合してリチウム混合物を得た。各リチウム混合物において、リチウムの原子数と、ニッケル、コバルトおよびマンガンの原子数の和との比は、表1に示す通りである。
(焼成工程)
各リチウム混合物を、表1に記載の焼成温度、昇温速度、焼成時間および酸素濃度下で焼成することで、各リチウム複合酸化物を得た。
(解砕工程)
各リチウム複合酸化物を実施例1と同様の方法で解砕することで、実施例2~6および比較例2~3のリチウム複合酸化物(正極活物質)を得た。
《リチウムイオン電池の製造》
正極の材料として、実施例1~6および比較例1~3の各正極活物質と、導電材としてアセチレンブラック(デンカ株式会社)と、バインダとしてPVDF(株式会社クレハ)と、正極集電体としてAl箔(厚み:15μm)と、が準備された。上記の材料により、正極が作製された。
負極の材料として、負極活物質として天然黒鉛(日立化成株式会社)と、バインダとしてCMC(日本製紙株式会社)およびSBR(JSR株式会社)と、負極集電体としてCu箔(厚み:10μm)と、が準備された。上記の材料により、負極が作製された。
セパレータとして、PE層の両側にPP層が積層されている多孔質樹脂(PP/PE/PP)(厚み:24μm)が準備された。セパレータが正極と負極とを分離するように、正極、セパレータおよび負極が積層された。これにより電極体が形成された。
外装体として、ラミネートフィルム製のパウチが準備された。外装体に電極体が収納された。非水電解液として、ECとDMCとEMCとを含む混合溶媒に支持塩(LiPF)を1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。外装体に電解液が注入された。電解液の注入後、外装体が封止された。以上より、実施例1~6および比較例1~3の試験電池(パウチ形リチウムイオン電池)が製造された。
Figure 2023119773000002
<分析>
《組成》
ICP発光分光分析装置((株)日立ハイテクサイエンス社製、PS3520UVDD)により、実施例1~6および比較例1~3の正極活物質の組成を確認した。各正極活物質の組成は、表2に示す。
《X線回折》
X線回折装置((株)リガク社製、Smartlab)により、下記の測定条件で実施例1~6および比較例1~3の正極活物質にX線を照射し、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンから、(003)面のピークトップ(a)、該ピークトップの20分の1幅(b)および該ピークトップの半値幅(c)を算出し、式(1)および式(2)の数値を求めた。結果を表2に示す。
[測定条件]
X線出力:45kV、200mA
X線源 :CuKα線(波長:1.54051Å)、単結晶モノクロメーター
回折角 :10~120°
測定温度:室温
走査速度:1秒/ステップ
《空隙》
実施例1~6および比較例1~3の正極活物質の一部を樹脂に埋め込み、CPを用いて切断し、二次粒子の断面観察が可能な状態とした後、観察倍率8000倍にてSEMにより画像を取得した。取得した画像から、二次粒子の全体が写っているものを100個選択し、各粒子の空隙の最大径を測定し、二次粒子内の空隙の最大径が200nm以上のものをカウントし、その割合を求めた。結果を表2に示す。
《シェル部の厚み》
上述の方法で測定した二次粒子内の空隙の最大径が200nm以上のものについて、シェル部の有無を確認した。シェル部が確認された二次粒子を50個選択し、各二次粒子のシェル部の厚みを2点測定し、50個の二次粒子の平均値をシェル部の厚みとした。結果を表2に示す。
<評価>
《初期抵抗》
25℃の温度環境下において、定電流-定電圧(CC-CV)充電により、試験電池のSOC(State of Charge)が50%に調整された。定電流(CC)充電時の電流は1Itであった。「1It」は、電池の定格容量を1時間で流し切る電流と定義される。50%のSOCにおいて、電池の電圧は3.7Vであった。SOCの調整後、30分の休止を挟んで、10Itの電流で電池が10秒間放電された。下記式(4)により、初期の放電抵抗(初期抵抗)が求められた。結果を表2に示す。表2の初期抵抗は相対値である。比較例1の初期抵抗が1と定義される。
r=(V0-V10)/電流 式(4)
上記式(4)中、rは放電抵抗を示す。V0は、放電開始時の電圧を示す。V10は、放電開始から10秒経過時の電圧を示す。
《抵抗増加率》
初期抵抗の測定後、25℃の温度環境下において、CC-CV充電により、電池のSOCが80%に調整された。CC充電時の電流は1Itであった。SOCの調整後、25℃の温度環境下において、サイクル試験が実施された。すなわち、15日にわたって、下記放電と充電とが交互に繰り返された。
放電:電流=1It、放電容量=20%のSOCに相当する容量
充電:電流=1It、充電容量=20%のSOCに相当する容量
サイクル試験後、初期抵抗と同様に、サイクル後の放電抵抗(サイクル後抵抗)が測定された。サイクル後抵抗が初期抵抗で除されることにより、抵抗増加率(百分率)が求められた。結果を表2に示す。
Figure 2023119773000003
<結果>
表2に示すように、本実施例においては、式(1)および(2)を満たす場合、初期抵抗および抵抗増加率が低いことがわかる。また、正極活物質において、二次粒子内の空隙の最大径が200nm以上のものの割合が多くなると、初期抵抗がより低くなることがわかる。また、シェル部の厚みが小さくなると、初期抵抗がより低くなることがわかる。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 正極、20 負極、30 セパレータ、40 積層体、50 電極体、90 ケース、91 正極端子、92 負極端子、100 リチウムイオン電池。

Claims (1)

  1. リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物からなるリチウムイオン電池用の正極活物質であって、
    前記正極活物質は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、
    前記正極活物質は、式(1):
    (18.768-a)/b≦0.0024 (1)
    および式(2):
    c/d≦2.66 (2)
    の関係を満たし、
    前記式(1)中、
    aは、前記正極活物質のX線回折で測定される(003)面のピークトップであり、かつ、a<18.768の範囲にあり、
    bは、前記正極活物質中のニッケル、コバルトおよびマンガンの総モル数に対するマンガンのモル数であり、
    前記式(2)中、
    cは、前記aの20分の1幅であり、
    dは、前記aの半値幅である、
    正極活物質。
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