本開示は、空気調和装置に関するものである。
特許文献1に開示の空気調和装置は、熱源、蓄氷容器、熱交換器を有する。熱源によって冷却された温調用媒体は、蓄氷容器内の氷の生成に利用される。空気は、蓄氷容器の周囲を流れ、冷却された後、対象空間へ供給される。
特許文献1では、空気が蓄氷容器の周囲を流れるため、空気と、蓄熱媒体ないし温調用媒体との伝熱が不十分であった。本開示の目的は、空気と、蓄熱媒体ないし温調用媒体との伝熱を促進させることである。
第1の態様は、温調用媒体の冷却および加熱の少なくとも一方を行う熱源(22)と、前記熱源(22)により冷却または加熱された温調用媒体が流れる伝熱管(55)と、蓄熱媒体を貯留する少なくとも1つの槽(50)とを備え、前記伝熱管(55)は、該伝熱管(55)を流れる温調用媒体と前記槽(50)内の蓄熱媒体とを熱交換させるように構成され、空気を前記槽(50)内に導入する給気機構(A)と、前記槽(50)内で前記蓄熱媒体及び前記温調用媒体の少なくとも一方と熱交換した空気を温調対象空間(S)へ供給する給気路(43,85)とをさらに備えている。
第1の態様では、給気機構(A)によって搬送された空気が槽(50)内に導入される。槽(50)内の空気は蓄熱媒体及び温調用媒体の少なくとも一方と熱交換する。これにより、空気が冷却又は加熱される。冷却又は加熱された空気は、給気路(43,85)を経由して温調対象空間(S)へ供給される。
第2の態様は、第1の態様において、前記給気機構(A)は、前記槽(50)内の蓄熱媒体中で気泡を生成する気泡発生機構(60)である。
第2の態様では、気泡発生機構(60)が生成した気泡が槽(50)内に導入される。これにより、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積が拡大する。
第3の態様は、請求項2において、気泡発生機構(60)は、空気を送る空気搬送装置(61)と、前記槽(50)内に配置され、前記空気搬送装置(61)から送られた空気を放出する複数の孔(62a)を有する気泡発生部(62)とを有する。
第3の態様では、気泡発生部(62)の多数の孔(62a)から気泡が生成される。これにより、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積が拡大する。
第4の態様は、第2の態様において、前記気泡発生機構(60)は、前記槽(50)の前記蓄熱媒体を循環させる循環路(70)と、前記循環路(70)に接続され、前記循環路(70)を流れる前記蓄熱媒体に空気を導入するエジェクタ(71)とを有する。
第4の態様では、槽(50)内の蓄熱媒体が循環路(70)を経由して循環する。エジェクタ(71)によって生成された微細な気泡は、槽(50)内に導入される。これにより、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積が拡大する。
第5の態様は、第2から第4のいずれか1つにおいて、前記槽(50)の側壁(51,52)の少なくとも一部は、透明又は半透明の材料で構成される。
第5の態様では、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の外部から該槽(50)の内部の気泡を視認できる。
第6の態様は、第1の態様において、前記給気機構(A)は、前記槽(50)内に配置される空気配管(80)と、該空気配管(80)の空気を前記給気路(43)に送る空気搬送装置(56)とを有する。
第6の態様では、給気機構(A)が搬送する空気が空気配管(80)を流れる際、空気と蓄熱媒体とが熱交換する。
第7の態様は、第6の態様において、空気配管(80)は、前記伝熱管(55)の内部に配置され、前記伝熱管(55)の内面と前記空気配管(80)の外面との間に前記温調用媒体が流れる流路(C2)が形成される。
第7の態様では、空気が、空気配管(80)、温調用媒体、及び伝熱管(55)を介して蓄熱媒体と熱交換する。温調用媒体は、伝熱管(55)を介して蓄熱媒体と熱交換する。温調用媒体は、空気配管(80)を介して空気と熱交換する。
第8の態様は、第6の態様において、前記空気配管(80)は、前記伝熱管(55)に巻き付けられる螺旋状に形成される。
第8の態様では、空気配管(80)及び伝熱管(55)が蓄熱媒体に露出する。空気配管(80)と伝熱管(55)との間の伝熱面積を拡大できる。
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様において、前記給気路は、前記温調対象空間(S)に空気を供給するノズル(85)を含んでいる。
第9の態様では、温調対象空間(S)へ供給される空気の流速が早くなる。
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様において、前記槽(50)の表面に面するとともに前記槽(50)内の蓄熱媒体と熱交換する空気が流れる空気流路(45)を備え、前記空気流路(45)の下流端が、前記給気路(43)に連通している。
第10の態様では、空気流路(45)を流れる空気は、槽(50)の外面を介して蓄熱媒体と熱交換する。槽(50)内では、空気が蓄熱媒体及び温調用熱媒体の少なくとも一方と熱交換する。両者の空気が給気路(43)で合流し、温調対象空間(S)へ供給される。
図1は、実施形態1の空気調和装置の冷媒回路の概略構成図である。
図2は、実施形態1の利用ユニットの概略の斜視図である。
図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4は、実施形態1の変形例1の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図5は、実施形態1の変形例2の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図6は、実施形態1の変形例3の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図7は、実施形態1の変形例4の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図8は、実施形態1の変形例5の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図9は、実施形態2の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図10は、実施形態2の変形例2の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図11は、実施形態2の変形例3の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図12は、実施形態2の変形例3の空気配管及びストレート管の横断面図である。
図13は、実施形態2の変形例4の空気配管及びストレート管の横断面図である。
図14は、実施形態2の変形例5の空気配管及びストレート管の一部を拡大した正面図である。
図15は、実施形態3の空気調和装置の冷媒回路の概略構成図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
実施形態1の空気調和装置(10)は、冷却した空気を温調対象空間(S)へ供給する。本例の空気調和装置(10)は、冷房専用機である。空気調和装置(10)は、冷熱を蓄える蓄熱式である。本例の温調対象空間(S)は、室外空間である。
〈全体構成〉
図1に示すように、空気調和装置(10)は、熱源ユニット(20)と、利用ユニット(30)と、コントローラ(25)とを有する。熱源ユニット(20)と利用ユニット(30)とは、2本の連絡配管によって互いに接続される。これにより、空気調和装置(10)では、冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)には、温調用媒体である冷媒が充填される。冷媒回路(11)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)の冷媒としては、例えばR32が用いられる。
熱源ユニット(20)は、熱源であり、室外に設置される。熱源ユニット(20)は、熱源回路(20a)と熱源ファン(24)とを有する。熱源回路(20a)は、圧縮機(21)、熱源熱交換器(22)、及び膨張弁(23)を有する。熱源熱交換器(22)及び膨張弁(23)は、熱源回路(20a)における圧縮機(21)の吐出側に接続される。
圧縮機(21)は、低圧冷媒を高圧冷媒まで圧縮する。圧縮機(21)は、運転周波数が可変な可変容量式である。熱源ファン(24)は、室外空気を搬送する。熱源熱交換器(22)は、熱源ファン(24)が搬送する空気と、冷媒(温調用熱媒体)とを熱交換させる。膨張弁(23)は、例えば電子膨張弁であり、冷媒を減圧する。
利用ユニット(30)は、室外に設置される。利用ユニット(30)は、地面に設置される据置式である。ここでいう「地面」は、土の上に限らず、舗装された設置面なども含む。利用ユニット(30)は、利用回路(30a)と槽(50)とを有する。利用回路(30a)は、利用熱交換器(55)を有する。利用熱交換器(55)は、槽(50)内に設置される伝熱管を構成する。上述した膨張弁(23)は、利用回路(30a)の液側に接続してもよい。
実施形態1の冷媒回路(11)では、圧縮機(21)で圧縮された冷媒を熱源熱交換器(22)で放熱させ、利用熱交換器(55)で蒸発する冷凍サイクル(第1冷凍サイクル)が行われる。
コントローラ(25)は、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを有する。コントローラ(25)は、空気調和装置(10)の各構成機器を制御する。具体的には、コントローラ(25)は、圧縮機(21)、膨張弁(23)、熱源ファン(24)、利用ファン(56)などを制御する。
〈利用ユニットの詳細な構成〉
実施形態1に係る利用ユニット(30)の構成について、図1~図3を参照しながら詳細に説明する。
利用ユニット(30)は、温調対象空間(S)(室外空間)に設置される。利用ユニット(30)は、ケーシング(31)、槽(50)、利用熱交換器(55)、利用ファン(56)、気泡発生機構(60)、及び光源(57)を有する。
〈ケーシング〉
ケーシング(31)は、中空の箱形に形成される。ケーシング(31)を構成する部材は、断熱性を有するのが好ましい。ケーシング(31)は、4つの側板(32,33,34,35)と、天板(36)と、底板(37)とを有する。4つの側板は、前板(32)、右板(33)、左板(34)、後板(35)で構成される。前板(32)には、矩形の枠状に形成される。前板(32)には、槽(50)の前壁(51)を露出させる開口(38)が形成される。開口(38)は、人の目線が十分に届く高さにある。開口(38)は、人の手が十分に届く高さにある。
前板(32)の開口(38)の周囲には、矩形枠状の傾斜部(39)が形成される。傾斜部(39)は、前方に向かうにつれて広がる逆テーパ状に形成される。傾斜部(39)のうち上側の部分が上縁傾斜部(39a)を構成する。上縁傾斜部(39a)には、吹出口(41)が形成される。吹出口(41)は、斜め下方を指向している。
ケーシング(31)の内部には、槽(50)と下部仕切板(40)とが設けられる。下部仕切板(40)は、ケーシング(31)の下部に水平な姿勢で支持される。槽(50)は、下部仕切板(40)の上面に設置される。下部仕切板(40)には、光源(57)の光を透過させる穴(スリット(42a))が形成される。
ケーシング(31)の内部は、下部室(42)と給気通路(43)とが区画される。下部室(42)は、前板(32)、下部仕切板(40)、底板(37)、及び後板(35)の間に形成される。給気通路(43)は、前板(32)、槽(50)、天板(36)、及び後板(35)の間に形成される。本例の後板(35)には、給気通路(43)に対応する位置に吸込口(44)が形成される。吸込口(44)は、後板(35)の上部に形成される。吸込口(44)は、給気通路(43)と室外空間とを連通させる。
〈槽〉
槽(50)は、蓄熱媒体を貯留する。槽(50)は、上方が開放された非密閉式の容器である。本実施形態の蓄熱媒体は、水である。蓄熱媒体は、水と不凍液の混合物であってもよい。蓄熱媒体は、冷却されることによって包接水和物を生成する蓄熱媒体であってもよい。
槽(50)は、4つの側壁と、底壁(53)とを有する。4つの側壁は、前壁(51)、後壁(52)、右壁、及び左壁を有する。槽(50)内には、蓄熱媒体が貯留される内部空間(54)が形成される。
槽(50)は、透明な材料で構成される。具体的には、槽(50)は、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニール、ガラスで構成される。槽(50)は、その外部から内部を視認できるものであればよく、半透明な材料で構成されてもよい。本例では、槽(50)の全体が、透明材料ないし半透明材料で構成される。槽(50)の側壁の少なくとも1つを透明材料ないし半透明材料としてもよい。槽(50)の側壁の一部を透明材料ないし半透明材料としてもよい。
前壁(51)を透明材料ないし半透明材料とすることで、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の外部から内部を視認できる。前壁(51)は、人が槽(50)内を視認するための可視部を構成している。
前壁(51)は、ケーシング(31)の開口(38)を通じて温調対象空間(S)に露出している。後壁(52)は、ケーシング(31)の後板(35)に覆われている。
本例の前壁(51)の厚みは、蓄熱媒体と外気との間の伝熱を考慮して設定されている。本例の前壁(51)の厚みW1は、蓄熱媒体と外気とがほぼ伝熱しない程度の大きな厚みを有する。本例の前板(32)は、断熱部を構成している。これにより、前板(32)の表面での結露の発生を抑制できる。
本例の後壁(52)の厚みW2は、前壁(51)の厚みW1と同じである。本例の後壁(52)は、断熱部を構成している。図示は省略するが、左壁及び後壁(52)の厚みも、W1及びW2と同様である。
〈利用熱交換器〉
利用熱交換器(55)は、槽(50)の内部に配置される。利用熱交換器(55)は、冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させる伝熱管によって構成される。利用熱交換器は、図1において模式的に示すように、ストレート管とU字とが交互に連結されて構成される。槽(50)内に、互いに並列に接続される2つ以上の利用熱交換器(55)を配置してもよい。
利用熱交換器(55)は、槽(50)の外部から前壁(51)を通じて視認できる位置にある。利用熱交換器(55)の内部を冷媒が流れると、利用熱交換器(55)の表面の水が氷となって成長していく。温調対象空間(S)の人は、槽(50)内の氷を視認できる。この氷によって、人に涼しい印象を与えることができる。
〈利用ファン〉
利用ファン(56)は、給気通路(43)の下流側に配置される。利用ファン(56)は、例えばシロッコファンで構成される。利用ファン(56)は、給気通路(43)の空気を搬送する。具体的には、吸込口(44)から吸い込んだ空気と、気泡発生機構(60)が放出した気泡(空気)とを搬送する。利用ファン(56)が搬送する空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
〈気泡発生機構〉
気泡発生機構(60)は、空気を槽(50)内に導入する給気機構(A)を構成している。気泡発生機構(60)は、槽(50)内の蓄熱媒体中で気泡を発生させる。気泡発生機構(60)は、ポンプ(61)と、散気管(62)とを有する。ポンプ(61)は、空気を搬送する空気搬送装置である。ポンプ(61)の吸入側には吸込路(63)の一端が接続される。吸込路(63)の他端は室外空間に連通している。ポンプ(61)の吐出側には吐出路(64)の一端が接続される。吐出路(64)の他端には散気管(62)が接続される。空気搬送装置は、ポンプ(61)に限らず、ファンであってもよい。
散気管(62)は、槽(50)の底部付近に配置される。散気管(62)は、槽(50)の底部に沿って水平に延びている。散気管(62)の延びる方向は、前後方向であってもよいし、左右方向であってもよい。2つの散気管(62)をポンプ(61)の吐出側に並列に接続してもよい。
散気管(62)の内部には、空気が流れるチャンバが形成される。散気管(62)の上部には、複数の孔(62a)が形成される。複数の孔(62a)の内径は、微細な気泡を発生できる程度に設定される。複数の孔(62a)は、散気管(62)の軸方向に等間隔置きに配列される。なお、気泡発生部は、複数の孔を有する多孔質部材の内部に空気が流通可能な構成であってもよい。
ポンプ(61)が運転されると、室外空気が吸込路(63)、吐出路(64)を順に流れ、散気管(62)に流入する。散気管(62)の内部の空気は、複数の孔(62a)から気泡の状態で槽(50)の内部に放出される。槽(50)内の気泡は、蓄熱媒体と熱交換しながら上方へ浮上していく。
気泡発生機構(60)によって発生された気泡は、槽(50)の外部から前壁(51)を通じて視認できる。
〈光源〉
光源(57)は、下部室(42)に配置される。光源(57)は、スリット(42a)の下方に配置される。光源(57)は、利用熱交換器(55)の下側の各U字管部の下方に1つずつ設けられる。光源(57)は、LEDで構成される。光源(57)であるLEDは、発光色が可変であるのが好ましい。光源(57)は上方に向かって光を照射する。光源(57)から発せられた光は、スリット(42a)を介して槽(50)内に照射される。光源(57)の光は利用熱交換器(55)の表面の氷にも照射される。
光源(57)によって照射された光は、槽(50)の外部から前壁(51)を通じて視認できる。
-空気調和装置の動作-
空気調和装置(10)の動作について説明する。実施形態1の空気調和装置(10)の動作は、冷蓄熱動作と、冷却動作とを含む。冷蓄熱動作は、冷熱を蓄える蓄熱動作である。冷却動作は、冷却した空気を温調対象空間(S)へ供給する温調動作である。
冷蓄熱動作と、冷却動作とは、コントローラ(25)に予め設定した設定時間に応じて切り換えられる。冷蓄熱動作は、第1設定時間に実行される。冷却動作は、第2設定時間に実行される。第1設定時間は、例えば夜間の時間帯である。第2設定時間は、例えば日中の時間帯である。こうすると、冷蓄熱動作において、夜間電力を利用して槽(50)内に冷熱を蓄えることができる。冷却動作において、蓄えた冷熱を利用して、日中に温調対象空間(S)を冷却できる。
さらに、冷却動作は、第1動作(第1冷却動作)と、第2動作(第2冷却動作)とを含む。
〈冷蓄熱動作〉
冷蓄熱動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を停止し、蓄熱媒体に冷熱を蓄える動作である。冷蓄熱動作では、給気機構(A)が停止する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が停止される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)で放熱し、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、利用熱交換器(55)を流れる。利用熱交換器(55)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。利用熱交換器(55)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
冷蓄熱動作では、槽(50)内の水が利用熱交換器(55)によって冷却されることで、水が凍結していく。利用熱交換器(55)の表面では、徐々に氷が成長し、この氷が肥大化していく。これにより、槽(50)内に冷熱が蓄えられていく。
〈第1冷却動作〉
第1冷却動作は、熱源ユニット(20)を停止し且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を冷却する動作である。第1冷却動作では、給気機構(A)が運転する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の停止状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が停止する。従って、熱源ユニット(20)の電力消費は実質的にゼロとなる。
第1冷却動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、氷や冷水と熱交換することにより冷却される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱が促進され、空気の冷却効果を向上できる。
槽(50)内で冷却された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。この空気は、温調対象空間(S)において槽(50)の前方に存在する人にあたる。
温調対象空間(S)に存在する人は、吹出口(41)から吹き出される空気によって冷やされる。この人は、槽(50)内で成長した氷を視ることで涼しい印象を感じる。加えて、この人は、槽(50)内で発生する気泡や、槽(50)内に照射される光を観賞できる。
〈第2冷却動作〉
第2冷却動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を冷却する動作である。第2冷却動作では、給気機構(A)が運転される。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)で放熱し、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、利用熱交換器(55)を流れる。利用熱交換器(55)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。利用熱交換器(55)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
第2冷却動作の利用ユニット(30)では、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によって槽(50)内に冷熱が蓄えられる。同時に、第2冷却動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、氷や冷水と熱交換することにより冷却される。加えて、これらの気泡は、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によっても冷却される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積、及び空気と利用熱交換器(55)との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱、及び空気と冷媒との間の伝熱が促進され、空気の冷却効果を向上できる。
槽(50)内で冷却された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。この空気は、温調対象空間(S)において槽(50)の内部を観察する人にあたる。
第2冷却動作では、温調対象空間(S)を冷却すると同時に槽(50)内に冷熱を蓄えることができる。このため、槽(50)内の冷熱の消費を抑えることができる。それ以外の作用効果は、第1冷却動作と同様である。
-実施形態1の効果-
実施形態1は、冷媒の冷却および加熱の少なくとも一方を行う熱源ユニット(20)と、前記熱源ユニット(20)により冷却または加熱された冷媒が流れる利用熱交換器(55)と、蓄熱媒体を貯留する少なくとも1つの槽(50)とを備え、利用熱交換器(55)は、該利用熱交換器(55)を流れる冷媒と前記槽(50)内の蓄熱媒体とを熱交換させるように構成され、空気を前記槽(50)内に導入する給気機構(A)と、前記槽(50)内で前記蓄熱媒体及び前記冷媒の少なくとも一方と熱交換した空気を温調対象空間(S)へ供給する給気通路(43)とをさらに備えている。
この構成では、給気機構(A)によって空気を槽(50)内に導入し、この空気を、蓄熱媒体及び冷媒と熱交換させる。このため、空気と蓄熱媒体、あるいは空気と冷媒との伝熱を促進でき、空気の冷却効果を向上できる。
実施形態1の給気機構(A)は、槽(50)内の蓄熱媒体中で気泡を生成する気泡発生機構(60)である。
この構成では、槽(50)内に気泡が導入される。空気を気泡とすると、空気の全体としての表面積を増大できる。このため、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を拡大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との伝熱を促進でき、空気の冷却効果を向上できる。
実施形態1の気泡発生機構(60)は、空気を送るポンプ(61)と、前記槽(50)内に配置され、前記ポンプ(61)から送られた空気を放出する複数の孔(62a)を有する散気管(62)とを有する。
この構成では、散気管(62)の複数の孔(62a)から蓄熱媒体中へ微細な気泡を放出できる。これにより、空気の全体としての表面積を更に増大でき、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を拡大できる。
実施形態1は、槽(50)の側壁(51,52)の少なくとも一部が、透明又は半透明の材料で構成される。
この構成では、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の側壁(51,52)を通じて槽(50)内の氷の生成や、気泡の発生を観賞できる。
実施形態1は、光源(57)によって槽(50)の内部に光が照射される。
この構成では、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の側壁(51,52)を通じて光を観賞できる。光の方向や色は、氷及び気泡に反射により連続的に変化する。人は、吹出空気によって涼しさを感じながら、このような槽(50)内の光の変化を楽しむことができる。
実施形態1では、吸込口(44)から吸い込まれた温調対象空間(S)の空気と、給気機構(A)によって槽(50)内に導入されて蓄熱媒体と熱交換した空気とを混合させ、混合した空気を温調対象空間(S)へ供給する。
この構成では、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される空気の流量を増大できる。このため、温調対象空間(S)に比較的大風量の空気を供給できる。
なお、実施形態1において、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。この場合、給気機構(A)によって槽(50)内に導入された空気のみが吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。よって、実施形態1の冷却動作と比較すると、低温の空気を温調対象空間(S)へ供給できる。
-実施形態1の変形例-
実施形態1の変形例について説明する。なお、以下の変形例は、詳細は後述する他の形態に適用することもできる。
〈実施形態1の変形例1〉
図4に示す変形例1は、ケーシング(31)と槽(50)の側壁との間に空気流路(45)が形成される。本例の空気流路(45)は、後壁(52)の表面(53a)(外面)と、後板(35)の裏面(35a)(内面)との間に形成される。空気流路(45)は、後壁(52)ないし後板(35)に沿って上下に延びている。空気流路(45)の流入端は、下部室(42)に連通する。空気流路(45)の流出端は、給気通路(43)に連通する。
変形例1の吸込口(44)は、後板(35)において、下部室(42)に対応する位置に形成される。吸込口(44)は、後板(35)の下部に形成される。吸込口(44)は、下部室(42)と室外空間とを連通する。
変形例1の後壁(52)の厚みW2は、空気流路(45)を流れる空気と蓄熱媒体との伝熱を促進できる程度に薄く設定される。後壁(52)の厚みW2は、断熱部である前壁(51)の厚みW1より小さい。この構成により、空気流路(45)を流れる空気と、蓄熱媒体とが後壁(52)を介して熱交換する。後板(35)は、空気流路(45)の空気と外気との熱交換を抑制するために、断熱材で構成されるのが好ましい。
変形例1の冷却動作では、利用ファン(56)及びポンプ(61)が運転される。
利用ファン(56)が運転されると、室外空気が吸込口(44)から下部室(42)に吸い込まれる。下部室(42)の空気は、空気流路(45)を上方へ流れる。この際、槽(50)内の蓄熱媒体と空気とが熱交換し、空気が冷却される。冷却された空気は、給気通路(43)に流出する。
ポンプ(61)が運転されると、散気管(62)から気泡が放出される。気泡は、少なくとも蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。冷却された気泡は、給気通路(43)に流出する。給気通路(43)に流出した空気は、給気通路(43)から流出した空気と混合する。混合した空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
変形例1は、槽(50)の表面に面するとともに前記槽(50)内の蓄熱媒体と熱交換する空気が流れる空気流路(45)を備え、空気流路(45)の下流端が、前記給気通路(43)に連通している。
この構成では、給気機構(A)から槽(50)内に導入した空気と、空気流路(45)を流れる空気との双方を冷却できる。このため、空気の冷却効果を向上できる。
前壁(51)の厚みW1は比較的大きいため、前壁(51)の表面での結露を抑制できる。このため、温調対象空間(S)に結露水が流れることを回避できる。
後壁(52)の厚みW2は比較的小さく、後壁(52)の表面で結露が発生する可能性がある。しかし、後壁(52)は温調対象空間(S)に露出されていない。このため、温調対象空間(S)に結露水が流れることを回避できる。
なお、本例では、後壁(52)の厚みにより、後壁(52)の厚さ方向の熱抵抗を低減している。しかし、後壁(52)を熱伝導率の高い材料とし、後壁(52)の厚さ方向の熱抵抗を低減させてもよい。熱伝導率の高い材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、ガラス、大理石、セラミックなどがある。加えて、後壁(52)にヒートシンクなどの伝熱面積を拡大させる部材を設けてもよい。
変形例1では、空気流路(45)を槽(50)の後側に形成している。空気流路(45)を槽(50)の右壁と右板(33)との間に形成してもよい。空気流路(45)を槽(50)の左壁と左板(34)との間に形成してもよい。
〈実施形態1の変形例2〉
図5に示す変形例2は、変形例1と利用ファン(56)の位置が異なる。変形例2の利用ファン(56)は、下部室(42)に配置される。それ以外の構成は、変形例1と同様である。
〈実施形態1の変形例3〉
図6に示す変形例3は、実施形態1と気泡発生機構(60)の構成が異なる。変形例3の気泡発生機構(60)は、循環路(70)とエジェクタ(71)とを有する。
循環路(70)の流入端と流出端は、槽(50)の内部空間(54)に連通する。循環路(70)の流入端は、槽(50)の上部に位置する。循環路(70)の流出端は、槽(50)の底壁(53)付近に位置する。循環路(70)の流出端は、水平を向くように内部空間(54)に開口する。
循環路(70)には、上流側から下流側に向かって順に、循環ポンプ(72)、及びエジェクタ(71)が接続される。
循環ポンプ(72)は、槽(50)内の蓄熱媒体が循環路(70)を介して循環するように、蓄熱媒体を搬送する。
エジェクタ(71)は、ノズル部、吸引部、混合部、及びデフューザ部を有する(これらの図示は省略する)。ノズル部は、蓄熱媒体の流速を増大させる。吸引部は、流速の増大に伴う減圧作用により外部の空気を吸引する。混合部は、ノズル部を流出した蓄熱媒体と吸引した空気とを混合する。デフューザ部は、流路面積の拡大によって混合流体を昇圧させる。
変形例3の冷却動作では、利用ファン(56)及び循環ポンプ(72)が運転される。
循環ポンプ(72)が運転されると、蓄熱媒体が循環路(70)に流入し、エジェクタ(71)を通過する。エジェクタ(71)からは、微細な気泡を含む蓄熱媒体が吐出される。この蓄熱媒体は、循環路(70)の流出端から槽(50)内に流出する。この結果、槽(50)内に微細な気泡が放出される。
気泡は、少なくとも蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。冷却された気泡は、給気通路(43)に流出する。給気通路(43)に流出した空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合する。混合した空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
変形例3では、エジェクタ(71)を利用することで、微細な気泡を槽(50)内に放出できる。この結果、気泡と蓄熱媒体との間の伝熱面積を拡大でき、空気と蓄熱媒体との伝熱を促進できる。
変形例3において、実施形態1と同様、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。
〈実施形態1の変形例4〉
図7に示す変形例4は、槽(50)の側壁が伝熱部を構成している。具体的には、槽(50)の前壁(51)の幅W1は、温調対象空間(S)の空気と蓄熱媒体とが伝熱する程度の厚みに設定されている。前壁(51)の幅W1は、後壁(52)の幅W2よりも小さい。後壁(52)は断熱部を構成する。
前壁(51)はケーシング(31)の開口(38)を介して温調対象空間(S)の露出する。このため、温調対象空間(S)の空気の熱は、前壁(51)を介して蓄熱媒体に移動する。これにより、温調対象空間(S)の空気を冷却できる。
前壁(51)は、所定の温調対象物を冷却する伝熱部としても機能する。具体的には、温調対象物である人は、前壁(51)に触ることで冷やされる。加えて、実施形態1と同様、冷却された空気が吹出口(41)から人に向かって吹き出される。従って、温調対象空間(S)の人の快適性を向上できる。
なお、本例では、前壁(51)の厚みW1を大きくすることで、前壁(51)の熱抵抗を低減している。しかし、前壁(51)を熱伝導率の高い材料とし、後壁(52)の厚さ方向の熱抵抗を低減させてもよい。熱伝導率の高い材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、ガラス、大理石、セラミックなどがある。
変形例4の冷却動作は、第3冷却動作を含む。第3冷却動作は、熱源ユニット(20)を停止し且つ利用ファン(56)及び給気機構(A)を停止する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)を停止する。これにより、第3冷却動作では、熱源ユニット(20)及び利用ユニット(30)の消費電力が実質的にゼロとなる。第3冷却動作では、上述したように前壁(51)によって温調対象空間(S)の空気が冷却される。
変形例4において、実施形態1と同様、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。
〈実施形態1の変形例5〉
図8に示す変形例5は、槽(50)の前壁(51)及び後壁(52)が温調対象空間(S)に露出されている。加えて、槽(50)の右壁及び左壁を温調対象空間(S)に露出してもよい。槽(50)は透明材料、又は半透明材料で構成されるため、人はあらゆる位置から槽(50)の内部を視認できる。
変形例5において、実施形態1と同様、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。
《実施形態2》
図9に示すように、実施形態2は、実施形態1と給気機構(A)の構成が異なる。実施形態2の給気機構(A)は、空気配管(80)と、空気搬送装置である利用ファン(56)とを有する。空気配管(80)は、銅、アルミニウムなどの熱伝導性の高い材料で構成される。
空気配管(80)は、少なくとも一部が槽(50)の内部に配置される。空気配管(80)の流入端は、下部室(42)に連通する。空気配管(80)の流出端は、給気通路(43)に連通する。空気配管(80)は、下部室(42)から給気通路(43)に亘って上下方向に延びている。
実施形態2の後板(35)には、下部室(42)に対応する位置に吸込口(44)が形成される。吸込口(44)は、後板(35)の下部に形成される。吸込口(44)は、下部室(42)と給気通路(43)とを連通させる。
実施形態2の冷却動作では、利用ファン(56)が運転される。吸込口(44)から下部室(42)に吸い込まれた室外空気は、空気配管(80)を流れる。空気配管(80)では、その周囲の蓄熱媒体と空気とが熱交換し、空気が冷却される。空気配管(80)で冷却された空気は、給気通路(43)を流れ、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
実施形態2の給気機構(A)は、槽(50)内に配置される空気配管(80)と、空気配管(80)の空気を前記給気通路(43)に送る利用ファン(56)とを有する。
この構成では、空気配管(80)の全周が蓄熱媒体に囲まれるため、空気と蓄熱媒体の伝熱を促進できる。槽(50)の外部の熱が、空気配管(80)内の空気に移動することもない。従って、空気の冷却効果を向上できる。
-実施形態2の変形例-
実施形態2の変形例について説明する。なお、以下の変形例は、上述した各形態や、詳細は後述する他の形態に適用することもできる。
〈実施形態2の変形例1〉
図10に示す変形例1の給気機構(A)は、空気配管(80)と、空気搬送装置である空気ポンプ(83)とを有する。変形例1の後板(35)には、給気路(43)に対応する位置にある。空気の流入部(81)は、給気路(43)を貫通し室外に開口している。空気配管(80)の流入端は、室外空間に連通する。空気配管(80)の流出端は、吹出口(41)の付近に位置している。
空気配管(80)の中間部(82)は、槽(50)内に配置される。中間部(82)は、2本のストレート管と、該ストレート管(55a)の下端を繋ぐ1本のU字管を含む。
変形例1の利用ユニット(30)は、ノズル(85)を含む。ノズル(85)は、蓄熱媒体と熱交換した空気を温調対象空間(S)へ供給する給気路を構成する。ノズル(85)は、空気配管(80)の流出端に接続される。ノズル(85)は、空気の流速を増大させるように内径が小さくなっている。ノズル(85)の流出端の内径は、空気流路(45)の内径よりも小さい。言い換えると、ノズル(85)は、空気の流量を絞るように内径が小さくなっている。
ノズル(85)は、利用ユニット(30)の前方に存在する人を指向するように、斜め下方を向いている。ノズル(85)から吹き出される空気の流速は、この人に空気が直接あたる程度の流速であることが好ましい。
なお、ノズル(85)の数量は1つに限られず、2つ以上であってもよい。複数のノズル(85)を空気配管(80)に並列に接続してもよい。ノズル(85)は、例えばプレートに形成した小径の空気流出穴で構成されてもよい。
変形例1の冷却動作では、空気ポンプ(83)が運転される。これにより、室外空気が空気配管(80)に流入する。中間部(82)を流れる空気は、蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。冷却された空気は、ノズル(85)から温調対象空間(S)へ供給される。
変形例1の給気路は、温調対象空間(S)に空気を供給するノズル(85)を含んでいる。
この構成では、ノズル(85)によって吹出空気の流速を増大できるので、冷却した空気を直接的に人にあてることができる。加えて、ノズル(85)により空気の流量を制限することで、空気配管(80)を流れる空気の流量も低減できる。これにより、槽(50)内の氷などの冷熱の消費速度を遅くすることができる。よって、第1冷却動作の実行時間を延ばすことができ、空気調和装置(10)の省エネ性を向上できる。
〈実施形態2の変形例2〉
図11に示す変形例2では、空気配管(80)が、利用熱交換器(55)の内部に配置される。図12に示すように、空気配管(80)と、利用熱交換器(55)のストレート管(55a)とが、二重管構造を構成している。空気配管(80)の軸心と、ストレート管(55a)の軸心とは一致している。空気配管(80)の内部は、空気が流れる第1流路(C1)が形成される。ストレート管(55a)の内面と空気配管(80)の外面との間には、冷媒が流れる環状の第2流路(C2)が形成される。
変形例2では、例えば第2冷却動作において、第1流路(C1)を流れる空気を、第2流路(C2)を流れる空気によって冷却できる。第1冷却動作では、ストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体が、ストレート管(55a)、第2流路(C2)、空気配管(80)を介して第1流路(C1)の空気と熱交換する。
変形例2は、空気配管(80)は、利用熱交換器(55)の内部に配置され、利用熱交換器(55)の内面と空気配管(80)の外面との間に温調用媒体が流れる第2流路(C2)が形成される。
この構成では、冷却動作において、空気を蓄熱媒体だけでなく、冷媒とも熱交換させることができる。この結果、空気の冷却効果を向上できる。
〈実施形態2の変形例3〉
図13に示す変形例3は、上述した実施形態2の変形例2と空気配管(80)の形状が異なる。空気配管(80)は、その中央部(80a)から径方向外方に膨出する複数の膨出部(80b)を有する。各膨出部(80b)の径方向外方の端部は、利用熱交換器(55)のストレート管(55a)の内周面と接触している。本例の空気配管(80)は、当ピッチの6つの膨出部(80b)を有する。ストレート管(55a)と空気配管(80)の間には、隣り合う2つの膨出部(80b)の間にそれぞれ第2流路(C2)が形成される。本例では、ストレート管(55a)の内部に6つの第2流路(C2)が形成される。
変形例3では、例えば第2冷却動作において、第1流路(C1)を流れる空気を、第2流路(C2)を流れる空気によって冷却できる。同時に第1流路(C1)の膨出部(80b)の内部を流れる空気とストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体とが熱交換する。これにより、空気を蓄熱媒体によっても冷却できる。
第1冷却動作では、第1流路(C1)の膨出部(80b)の内部を流れる空気とストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体とが熱交換する。同時に、ストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体が、ストレート管(55a)、第2流路(C2)、空気配管(80)を介して第1流路(C1)の空気と熱交換する。
この構成では、第1流路(C1)の空気が蓄熱媒体と直接的に熱交換するため、空気の冷却効果を向上できる。
〈実施形態2の変形例4〉
図14に示す変形例4は、利用熱交換器(55)のストレート管(55a)の周囲に空気配管(80)が螺旋状に巻き付けられる。本例の空気配管(80)は、1本の螺旋状の配管で構成される。空気配管(80)を2本以上としてもよい。2本以上の空気配管(80)を並列に接続してもよい。
変形例4では、例えば第2冷却動作において、空気配管(80)を流れる空気が、その周囲の蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。例えば第1冷却動作において、空気配管(80)を流れる空気は、その周囲の蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。同時に、空気配管(80)を流れる空気は、ストレート管(55a)を流れる冷媒と熱交換し、冷却される。
《実施形態3》
実施形態3の空気調和装置(10)は、加熱した空気を温調対象空間(S)へ供給する。本例の空気調和装置(10)は、暖房専用機である。空気調和装置(10)は、温熱を蓄える蓄熱式である。実施形態3の空気調和装置(10)は、上述した実施形態1と冷媒回路(11)の構成が異なる。
図15に示すように、実施形態3の熱源熱交換器(22)及び膨張弁(23)は、熱源回路(20a)における圧縮機(21)の吸入側に接続される。従って、実施形態3の冷媒回路(11)では、圧縮機(21)で圧縮された冷媒を利用熱交換器(55)で放熱させ、熱源熱交換器(22)で蒸発させる冷凍サイクル(第2冷凍サイクル)が行われる。
実施形態3においては、上述した何れの形態の利用ユニット(30)を採用することができる。以下には、実施形態3において、実施形態1の利用ユニット(30)を採用した場合の空気調和装置の動作について説明する。
実施形態3の空気調和装置(10)の動作は、温蓄熱動作と、加熱動作とを含む。温蓄熱動作は、温熱を蓄える蓄熱動作である。加熱動作は、加熱した空気を温調対象空間(S)へ供給する温調動作である。
温蓄熱動作と、加熱動作とは、コントローラ(25)に予め設定した設定時間に応じて切り換えられる。温蓄熱動作は、第3設定時間に実行される。加熱動作は、第4設定時間に実行される。第3設定時間は、例えば夜間の時間帯である。第4設定時間は、例えば日中の時間帯である。こうすると、温蓄熱動作において、夜間電力を利用して槽(50)内に温熱を蓄えることができる。加熱動作において、蓄えた温熱を利用して、日中に温調対象空間(S)を加熱できる。
さらに、加熱動作は、第4動作(第1加熱動作)と、第5動作(第2加熱動作)とを含む。
〈温蓄熱動作〉
温蓄熱動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を停止し、蓄熱媒体に温熱を蓄える動作である。温蓄熱動作では、給気機構(A)が停止する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が停止される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、利用熱交換器(55)で放熱する。利用熱交換器(55)では、冷媒が蓄熱媒体に放熱して凝縮する。利用熱交換器(55)で凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
温蓄熱動作では、槽(50)内の水が利用熱交換器(55)によって加熱されることで、水が温度が上昇していく。これにより、槽(50)内に温熱が蓄えられていく。
〈第1加熱動作〉
第1加熱動作は、熱源ユニット(20)を停止し且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を加熱する動作である。第1加熱動作では、給気機構(A)が運転する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の停止状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が停止する。従って、熱源ユニット(20)の電力消費は実質的にゼロとなる。
第1加熱動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、温水と熱交換することにより加熱される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱が促進され、空気の加熱効果を向上できる。
槽(50)内で加熱された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。
〈第2加熱動作〉
第2加熱動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を加熱する動作である。第2加熱動作では、給気機構(A)が運転される。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、利用熱交換器(55)で放熱する。利用熱交換器(55)で放熱した冷媒は、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
第2加熱動作の利用ユニット(30)では、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によって槽(50)内に温熱が蓄えられる。同時に、第2加熱動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、温水と熱交換することにより加熱される。加えて、これらの気泡は、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によっても加熱される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積、及び空気と利用熱交換器(55)との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱、及び空気と冷媒との間の伝熱が促進され、空気の加熱効果を向上できる。
槽(50)内で加熱された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。
第2加熱動作では、温調対象空間(S)を加熱すると同時に槽(50)内に温熱を蓄えることができる。このため、槽(50)内の温熱の消費を抑えることができる。それ以外の作用効果は、第2加熱動作と同様である。
なお、実施形態3において、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。この場合、給気機構(A)によって槽(50)内に導入された空気のみが吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。よって、実施形態3の加熱動作と比較すると、高温の空気を温調対象空間(S)へ供給できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上述した形態の冷媒回路(11)に冷媒の循環方向を可逆に切り換える切換機構を設けてもよい。切換機構は、例えば四方切換弁で構成される。この構成では、四方切換弁の切換状態に応じて、第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとが切り換えて行われる。これにより、空気調和装置(10)では、実施形態1に係る動作と、実施形態3に係る動作との双方を実行できる。
上述した形態の利用熱交換器(55)は、必ずしも槽(50)内に配置しなくてもよい。例えば利用熱交換器(55)を槽(50)の外周に巻き付けてもよい。この場合、利用熱交換器(55)を流れる冷媒と槽(50)内の蓄熱媒体とは、槽(50)の壁を介して互いに熱交換する。
槽(50)内の蓄熱媒体を、循環流路を介して循環させる構成としてもよい。この場合、槽(50)内の蓄熱媒体を槽(50)の外部に搬送する。槽(50)の外部には、利用熱交換器(55)が配置される。槽(50)の内部に搬送された蓄熱媒体は、利用熱交換器(55)において温調用媒体と熱交換する。熱交換した蓄熱媒体は、槽(50)内に返送される。
空気調和装置(10)は、2つ以上の槽(50)を有してもよい。給気機構(A)は、各槽(50)内にそれぞれ空気を導入する。各槽(50)では、空気と蓄熱媒体及び温調用媒体の少なくとも一方が熱交換する。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
以上説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
10 空気調和装置
22 熱源ユニット(熱源)
43 給気通路(給気路)
45 空気流路
50 槽
51 側壁(前壁)
52 側壁(後壁)
55 利用熱交換器(伝熱管)
56 空気搬送装置
60 気泡発生機構
61 ポンプ(空気搬送装置)
62 気泡発生部
62a 孔
70 循環路
71 エジェクタ
80 空気配管
85 ノズル(給気路)
本開示は、空気調和装置に関するものである。
特許文献1に開示の空気調和装置は、熱源、蓄氷容器、熱交換器を有する。熱源によって冷却された温調用媒体は、蓄氷容器内の氷の生成に利用される。空気は、蓄氷容器の周囲を流れ、冷却された後、対象空間へ供給される。
特許文献1では、空気が蓄氷容器の周囲を流れるため、空気と、蓄熱媒体ないし温調用媒体との伝熱が不十分であった。本開示の目的は、空気と、蓄熱媒体ないし温調用媒体との伝熱を促進させることである。
第1の態様は、温調用媒体の加熱を行う熱源(22)と、前記熱源(22)により加熱された温調用媒体が流れる伝熱管(55)と、蓄熱媒体を貯留する少なくとも1つの槽(50)とを備え、前記伝熱管(55)は、該伝熱管(55)を流れる温調用媒体と前記槽(50)内の蓄熱媒体とを熱交換させるように構成され、空気を前記槽(50)内に導入する給気機構(A)と、前記槽(50)内で前記蓄熱媒体及び前記温調用媒体の少なくとも一方と熱交換した空気を温調対象空間(S)へ供給する給気路(43,85)とをさらに備えている。
第1の態様では、給気機構(A)によって搬送された空気が槽(50)内に導入される。槽(50)内の空気は蓄熱媒体及び温調用媒体の少なくとも一方と熱交換する。これにより、空気が冷却又は加熱される。加熱された空気は、給気路(43,85)を経由して温調対象空間(S)へ供給される。
第2の態様は、第1の態様において、前記槽(50)は、前記温調対象空間(S)に配置される。
第3の態様は、第2の態様において、前記槽(50)の側壁(51,52)の少なくとも一部は、透明又は半透明の材料で構成される。
第3の態様では、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の外部から該槽(50)の内部の気泡を視認できる。
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記給気機構(A)は、前記槽(50)内の蓄熱媒体中で気泡を生成する気泡発生機構(60)である。
第4の態様では、気泡発生機構(60)が生成した気泡が槽(50)内に導入される。これにより、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積が拡大する。
第5の態様は、第4の態様において、気泡発生機構(60)は、空気を送る空気搬送装置(61)と、前記槽(50)内に配置され、前記空気搬送装置(61)から送られた空気を放出する複数の孔(62a)を有する気泡発生部(62)とを有する。
第5の態様では、気泡発生部(62)の多数の孔(62a)から気泡が生成される。これにより、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積が拡大する。
第6の態様は、第4の態様において、前記気泡発生機構(60)は、前記槽(50)の前記蓄熱媒体を循環させる循環路(70)と、前記循環路(70)に接続され、前記循環路(70)を流れる前記蓄熱媒体に空気を導入するエジェクタ(71)とを有する。
第6の態様では、槽(50)内の蓄熱媒体が循環路(70)を経由して循環する。エジェクタ(71)によって生成された微細な気泡は、槽(50)内に導入される。これにより、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積が拡大する。
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様において、前記給気路は、前記温調対象空間(S)に空気を供給するノズル(85)を含んでいる。
第7の態様では、温調対象空間(S)へ供給される空気の流速が早くなる。
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様において、前記槽(50)の表面に面するとともに前記槽(50)内の蓄熱媒体と熱交換する空気が流れる空気流路(45)を備え、前記空気流路(45)の下流端が、前記給気路(43)に連通している。
第8の態様では、空気流路(45)を流れる空気は、槽(50)の外面を介して蓄熱媒体と熱交換する。槽(50)内では、空気が蓄熱媒体及び温調用熱媒体の少なくとも一方と熱交換する。両者の空気が給気路(43)で合流し、温調対象空間(S)へ供給される。
図1は、実施形態1の空気調和装置の冷媒回路の概略構成図である。
図2は、実施形態1の利用ユニットの概略の斜視図である。
図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4は、実施形態1の変形例1の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図5は、実施形態1の変形例2の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図6は、実施形態1の変形例3の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図7は、実施形態1の変形例4の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図8は、実施形態1の変形例5の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図9は、実施形態2の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図10は、実施形態2の変形例2の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図11は、実施形態2の変形例3の利用ユニットの図3に相当する断面図である。
図12は、実施形態2の変形例3の空気配管及びストレート管の横断面図である。
図13は、実施形態2の変形例4の空気配管及びストレート管の横断面図である。
図14は、実施形態2の変形例5の空気配管及びストレート管の一部を拡大した正面図である。
図15は、実施形態3の空気調和装置の冷媒回路の概略構成図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
実施形態1の空気調和装置(10)は、冷却した空気を温調対象空間(S)へ供給する。本例の空気調和装置(10)は、冷房専用機である。空気調和装置(10)は、冷熱を蓄える蓄熱式である。本例の温調対象空間(S)は、室外空間である。
〈全体構成〉
図1に示すように、空気調和装置(10)は、熱源ユニット(20)と、利用ユニット(30)と、コントローラ(25)とを有する。熱源ユニット(20)と利用ユニット(30)とは、2本の連絡配管によって互いに接続される。これにより、空気調和装置(10)では、冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)には、温調用媒体である冷媒が充填される。冷媒回路(11)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)の冷媒としては、例えばR32が用いられる。
熱源ユニット(20)は、熱源であり、室外に設置される。熱源ユニット(20)は、熱源回路(20a)と熱源ファン(24)とを有する。熱源回路(20a)は、圧縮機(21)、熱源熱交換器(22)、及び膨張弁(23)を有する。熱源熱交換器(22)及び膨張弁(23)は、熱源回路(20a)における圧縮機(21)の吐出側に接続される。
圧縮機(21)は、低圧冷媒を高圧冷媒まで圧縮する。圧縮機(21)は、運転周波数が可変な可変容量式である。熱源ファン(24)は、室外空気を搬送する。熱源熱交換器(22)は、熱源ファン(24)が搬送する空気と、冷媒(温調用熱媒体)とを熱交換させる。膨張弁(23)は、例えば電子膨張弁であり、冷媒を減圧する。
利用ユニット(30)は、室外に設置される。利用ユニット(30)は、地面に設置される据置式である。ここでいう「地面」は、土の上に限らず、舗装された設置面なども含む。利用ユニット(30)は、利用回路(30a)と槽(50)とを有する。利用回路(30a)は、利用熱交換器(55)を有する。利用熱交換器(55)は、槽(50)内に設置される伝熱管を構成する。上述した膨張弁(23)は、利用回路(30a)の液側に接続してもよい。
実施形態1の冷媒回路(11)では、圧縮機(21)で圧縮された冷媒を熱源熱交換器(22)で放熱させ、利用熱交換器(55)で蒸発する冷凍サイクル(第1冷凍サイクル)が行われる。
コントローラ(25)は、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを有する。コントローラ(25)は、空気調和装置(10)の各構成機器を制御する。具体的には、コントローラ(25)は、圧縮機(21)、膨張弁(23)、熱源ファン(24)、利用ファン(56)などを制御する。
〈利用ユニットの詳細な構成〉
実施形態1に係る利用ユニット(30)の構成について、図1~図3を参照しながら詳細に説明する。
利用ユニット(30)は、温調対象空間(S)(室外空間)に設置される。利用ユニット(30)は、ケーシング(31)、槽(50)、利用熱交換器(55)、利用ファン(56)、気泡発生機構(60)、及び光源(57)を有する。
〈ケーシング〉
ケーシング(31)は、中空の箱形に形成される。ケーシング(31)を構成する部材は、断熱性を有するのが好ましい。ケーシング(31)は、4つの側板(32,33,34,35)と、天板(36)と、底板(37)とを有する。4つの側板は、前板(32)、右板(33)、左板(34)、後板(35)で構成される。前板(32)には、矩形の枠状に形成される。前板(32)には、槽(50)の前壁(51)を露出させる開口(38)が形成される。開口(38)は、人の目線が十分に届く高さにある。開口(38)は、人の手が十分に届く高さにある。
前板(32)の開口(38)の周囲には、矩形枠状の傾斜部(39)が形成される。傾斜部(39)は、前方に向かうにつれて広がる逆テーパ状に形成される。傾斜部(39)のうち上側の部分が上縁傾斜部(39a)を構成する。上縁傾斜部(39a)には、吹出口(41)が形成される。吹出口(41)は、斜め下方を指向している。
ケーシング(31)の内部には、槽(50)と下部仕切板(40)とが設けられる。下部仕切板(40)は、ケーシング(31)の下部に水平な姿勢で支持される。槽(50)は、下部仕切板(40)の上面に設置される。下部仕切板(40)には、光源(57)の光を透過させる穴(スリット(42a))が形成される。
ケーシング(31)の内部は、下部室(42)と給気通路(43)とが区画される。下部室(42)は、前板(32)、下部仕切板(40)、底板(37)、及び後板(35)の間に形成される。給気通路(43)は、前板(32)、槽(50)、天板(36)、及び後板(35)の間に形成される。本例の後板(35)には、給気通路(43)に対応する位置に吸込口(44)が形成される。吸込口(44)は、後板(35)の上部に形成される。吸込口(44)は、給気通路(43)と室外空間とを連通させる。
〈槽〉
槽(50)は、蓄熱媒体を貯留する。槽(50)は、上方が開放された非密閉式の容器である。本実施形態の蓄熱媒体は、水である。蓄熱媒体は、水と不凍液の混合物であってもよい。蓄熱媒体は、冷却されることによって包接水和物を生成する蓄熱媒体であってもよい。
槽(50)は、4つの側壁と、底壁(53)とを有する。4つの側壁は、前壁(51)、後壁(52)、右壁、及び左壁を有する。槽(50)内には、蓄熱媒体が貯留される内部空間(54)が形成される。
槽(50)は、透明な材料で構成される。具体的には、槽(50)は、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニール、ガラスで構成される。槽(50)は、その外部から内部を視認できるものであればよく、半透明な材料で構成されてもよい。本例では、槽(50)の全体が、透明材料ないし半透明材料で構成される。槽(50)の側壁の少なくとも1つを透明材料ないし半透明材料としてもよい。槽(50)の側壁の一部を透明材料ないし半透明材料としてもよい。
前壁(51)を透明材料ないし半透明材料とすることで、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の外部から内部を視認できる。前壁(51)は、人が槽(50)内を視認するための可視部を構成している。
前壁(51)は、ケーシング(31)の開口(38)を通じて温調対象空間(S)に露出している。後壁(52)は、ケーシング(31)の後板(35)に覆われている。
本例の前壁(51)の厚みは、蓄熱媒体と外気との間の伝熱を考慮して設定されている。本例の前壁(51)の厚みW1は、蓄熱媒体と外気とがほぼ伝熱しない程度の大きな厚みを有する。本例の前板(32)は、断熱部を構成している。これにより、前板(32)の表面での結露の発生を抑制できる。
本例の後壁(52)の厚みW2は、前壁(51)の厚みW1と同じである。本例の後壁(52)は、断熱部を構成している。図示は省略するが、左壁及び後壁(52)の厚みも、W1及びW2と同様である。
〈利用熱交換器〉
利用熱交換器(55)は、槽(50)の内部に配置される。利用熱交換器(55)は、冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させる伝熱管によって構成される。利用熱交換器は、図1において模式的に示すように、ストレート管とU字とが交互に連結されて構成される。槽(50)内に、互いに並列に接続される2つ以上の利用熱交換器(55)を配置してもよい。
利用熱交換器(55)は、槽(50)の外部から前壁(51)を通じて視認できる位置にある。利用熱交換器(55)の内部を冷媒が流れると、利用熱交換器(55)の表面の水が氷となって成長していく。温調対象空間(S)の人は、槽(50)内の氷を視認できる。この氷によって、人に涼しい印象を与えることができる。
〈利用ファン〉
利用ファン(56)は、給気通路(43)の下流側に配置される。利用ファン(56)は、例えばシロッコファンで構成される。利用ファン(56)は、給気通路(43)の空気を搬送する。具体的には、吸込口(44)から吸い込んだ空気と、気泡発生機構(60)が放出した気泡(空気)とを搬送する。利用ファン(56)が搬送する空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
〈気泡発生機構〉
気泡発生機構(60)は、空気を槽(50)内に導入する給気機構(A)を構成している。気泡発生機構(60)は、槽(50)内の蓄熱媒体中で気泡を発生させる。気泡発生機構(60)は、ポンプ(61)と、散気管(62)とを有する。ポンプ(61)は、空気を搬送する空気搬送装置である。ポンプ(61)の吸入側には吸込路(63)の一端が接続される。吸込路(63)の他端は室外空間に連通している。ポンプ(61)の吐出側には吐出路(64)の一端が接続される。吐出路(64)の他端には散気管(62)が接続される。空気搬送装置は、ポンプ(61)に限らず、ファンであってもよい。
散気管(62)は、槽(50)の底部付近に配置される。散気管(62)は、槽(50)の底部に沿って水平に延びている。散気管(62)の延びる方向は、前後方向であってもよいし、左右方向であってもよい。2つの散気管(62)をポンプ(61)の吐出側に並列に接続してもよい。
散気管(62)の内部には、空気が流れるチャンバが形成される。散気管(62)の上部には、複数の孔(62a)が形成される。複数の孔(62a)の内径は、微細な気泡を発生できる程度に設定される。複数の孔(62a)は、散気管(62)の軸方向に等間隔置きに配列される。なお、気泡発生部は、複数の孔を有する多孔質部材の内部に空気が流通可能な構成であってもよい。
ポンプ(61)が運転されると、室外空気が吸込路(63)、吐出路(64)を順に流れ、散気管(62)に流入する。散気管(62)の内部の空気は、複数の孔(62a)から気泡の状態で槽(50)の内部に放出される。槽(50)内の気泡は、蓄熱媒体と熱交換しながら上方へ浮上していく。
気泡発生機構(60)によって発生された気泡は、槽(50)の外部から前壁(51)を通じて視認できる。
〈光源〉
光源(57)は、下部室(42)に配置される。光源(57)は、スリット(42a)の下方に配置される。光源(57)は、利用熱交換器(55)の下側の各U字管部の下方に1つずつ設けられる。光源(57)は、LEDで構成される。光源(57)であるLEDは、発光色が可変であるのが好ましい。光源(57)は上方に向かって光を照射する。光源(57)から発せられた光は、スリット(42a)を介して槽(50)内に照射される。光源(57)の光は利用熱交換器(55)の表面の氷にも照射される。
光源(57)によって照射された光は、槽(50)の外部から前壁(51)を通じて視認できる。
-空気調和装置の動作-
空気調和装置(10)の動作について説明する。実施形態1の空気調和装置(10)の動作は、冷蓄熱動作と、冷却動作とを含む。冷蓄熱動作は、冷熱を蓄える蓄熱動作である。冷却動作は、冷却した空気を温調対象空間(S)へ供給する温調動作である。
冷蓄熱動作と、冷却動作とは、コントローラ(25)に予め設定した設定時間に応じて切り換えられる。冷蓄熱動作は、第1設定時間に実行される。冷却動作は、第2設定時間に実行される。第1設定時間は、例えば夜間の時間帯である。第2設定時間は、例えば日中の時間帯である。こうすると、冷蓄熱動作において、夜間電力を利用して槽(50)内に冷熱を蓄えることができる。冷却動作において、蓄えた冷熱を利用して、日中に温調対象空間(S)を冷却できる。
さらに、冷却動作は、第1動作(第1冷却動作)と、第2動作(第2冷却動作)とを含む。
〈冷蓄熱動作〉
冷蓄熱動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を停止し、蓄熱媒体に冷熱を蓄える動作である。冷蓄熱動作では、給気機構(A)が停止する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が停止される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)で放熱し、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、利用熱交換器(55)を流れる。利用熱交換器(55)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。利用熱交換器(55)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
冷蓄熱動作では、槽(50)内の水が利用熱交換器(55)によって冷却されることで、水が凍結していく。利用熱交換器(55)の表面では、徐々に氷が成長し、この氷が肥大化していく。これにより、槽(50)内に冷熱が蓄えられていく。
〈第1冷却動作〉
第1冷却動作は、熱源ユニット(20)を停止し且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を冷却する動作である。第1冷却動作では、給気機構(A)が運転する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の停止状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が停止する。従って、熱源ユニット(20)の電力消費は実質的にゼロとなる。
第1冷却動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、氷や冷水と熱交換することにより冷却される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱が促進され、空気の冷却効果を向上できる。
槽(50)内で冷却された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。この空気は、温調対象空間(S)において槽(50)の前方に存在する人にあたる。
温調対象空間(S)に存在する人は、吹出口(41)から吹き出される空気によって冷やされる。この人は、槽(50)内で成長した氷を視ることで涼しい印象を感じる。加えて、この人は、槽(50)内で発生する気泡や、槽(50)内に照射される光を観賞できる。
〈第2冷却動作〉
第2冷却動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を冷却する動作である。第2冷却動作では、給気機構(A)が運転される。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)で放熱し、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、利用熱交換器(55)を流れる。利用熱交換器(55)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。利用熱交換器(55)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
第2冷却動作の利用ユニット(30)では、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によって槽(50)内に冷熱が蓄えられる。同時に、第2冷却動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、氷や冷水と熱交換することにより冷却される。加えて、これらの気泡は、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によっても冷却される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積、及び空気と利用熱交換器(55)との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱、及び空気と冷媒との間の伝熱が促進され、空気の冷却効果を向上できる。
槽(50)内で冷却された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。この空気は、温調対象空間(S)において槽(50)の内部を観察する人にあたる。
第2冷却動作では、温調対象空間(S)を冷却すると同時に槽(50)内に冷熱を蓄えることができる。このため、槽(50)内の冷熱の消費を抑えることができる。それ以外の作用効果は、第1冷却動作と同様である。
-実施形態1の効果-
実施形態1は、冷媒の冷却および加熱の少なくとも一方を行う熱源ユニット(20)と、前記熱源ユニット(20)により冷却または加熱された冷媒が流れる利用熱交換器(55)と、蓄熱媒体を貯留する少なくとも1つの槽(50)とを備え、利用熱交換器(55)は、該利用熱交換器(55)を流れる冷媒と前記槽(50)内の蓄熱媒体とを熱交換させるように構成され、空気を前記槽(50)内に導入する給気機構(A)と、前記槽(50)内で前記蓄熱媒体及び前記冷媒の少なくとも一方と熱交換した空気を温調対象空間(S)へ供給する給気通路(43)とをさらに備えている。
この構成では、給気機構(A)によって空気を槽(50)内に導入し、この空気を、蓄熱媒体及び冷媒と熱交換させる。このため、空気と蓄熱媒体、あるいは空気と冷媒との伝熱を促進でき、空気の冷却効果を向上できる。
実施形態1の給気機構(A)は、槽(50)内の蓄熱媒体中で気泡を生成する気泡発生機構(60)である。
この構成では、槽(50)内に気泡が導入される。空気を気泡とすると、空気の全体としての表面積を増大できる。このため、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を拡大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との伝熱を促進でき、空気の冷却効果を向上できる。
実施形態1の気泡発生機構(60)は、空気を送るポンプ(61)と、前記槽(50)内に配置され、前記ポンプ(61)から送られた空気を放出する複数の孔(62a)を有する散気管(62)とを有する。
この構成では、散気管(62)の複数の孔(62a)から蓄熱媒体中へ微細な気泡を放出できる。これにより、空気の全体としての表面積を更に増大でき、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を拡大できる。
実施形態1は、槽(50)の側壁(51,52)の少なくとも一部が、透明又は半透明の材料で構成される。
この構成では、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の側壁(51,52)を通じて槽(50)内の氷の生成や、気泡の発生を観賞できる。
実施形態1は、光源(57)によって槽(50)の内部に光が照射される。
この構成では、温調対象空間(S)の人が、槽(50)の側壁(51,52)を通じて光を観賞できる。光の方向や色は、氷及び気泡に反射により連続的に変化する。人は、吹出空気によって涼しさを感じながら、このような槽(50)内の光の変化を楽しむことができる。
実施形態1では、吸込口(44)から吸い込まれた温調対象空間(S)の空気と、給気機構(A)によって槽(50)内に導入されて蓄熱媒体と熱交換した空気とを混合させ、混合した空気を温調対象空間(S)へ供給する。
この構成では、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される空気の流量を増大できる。このため、温調対象空間(S)に比較的大風量の空気を供給できる。
なお、実施形態1において、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。この場合、給気機構(A)によって槽(50)内に導入された空気のみが吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。よって、実施形態1の冷却動作と比較すると、低温の空気を温調対象空間(S)へ供給できる。
-実施形態1の変形例-
実施形態1の変形例について説明する。なお、以下の変形例は、詳細は後述する他の形態に適用することもできる。
〈実施形態1の変形例1〉
図4に示す変形例1は、ケーシング(31)と槽(50)の側壁との間に空気流路(45)が形成される。本例の空気流路(45)は、後壁(52)の表面(53a)(外面)と、後板(35)の裏面(35a)(内面)との間に形成される。空気流路(45)は、後壁(52)ないし後板(35)に沿って上下に延びている。空気流路(45)の流入端は、下部室(42)に連通する。空気流路(45)の流出端は、給気通路(43)に連通する。
変形例1の吸込口(44)は、後板(35)において、下部室(42)に対応する位置に形成される。吸込口(44)は、後板(35)の下部に形成される。吸込口(44)は、下部室(42)と室外空間とを連通する。
変形例1の後壁(52)の厚みW2は、空気流路(45)を流れる空気と蓄熱媒体との伝熱を促進できる程度に薄く設定される。後壁(52)の厚みW2は、断熱部である前壁(51)の厚みW1より小さい。この構成により、空気流路(45)を流れる空気と、蓄熱媒体とが後壁(52)を介して熱交換する。後板(35)は、空気流路(45)の空気と外気との熱交換を抑制するために、断熱材で構成されるのが好ましい。
変形例1の冷却動作では、利用ファン(56)及びポンプ(61)が運転される。
利用ファン(56)が運転されると、室外空気が吸込口(44)から下部室(42)に吸い込まれる。下部室(42)の空気は、空気流路(45)を上方へ流れる。この際、槽(50)内の蓄熱媒体と空気とが熱交換し、空気が冷却される。冷却された空気は、給気通路(43)に流出する。
ポンプ(61)が運転されると、散気管(62)から気泡が放出される。気泡は、少なくとも蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。冷却された気泡は、給気通路(43)に流出する。給気通路(43)に流出した空気は、給気通路(43)から流出した空気と混合する。混合した空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
変形例1は、槽(50)の表面に面するとともに前記槽(50)内の蓄熱媒体と熱交換する空気が流れる空気流路(45)を備え、空気流路(45)の下流端が、前記給気通路(43)に連通している。
この構成では、給気機構(A)から槽(50)内に導入した空気と、空気流路(45)を流れる空気との双方を冷却できる。このため、空気の冷却効果を向上できる。
前壁(51)の厚みW1は比較的大きいため、前壁(51)の表面での結露を抑制できる。このため、温調対象空間(S)に結露水が流れることを回避できる。
後壁(52)の厚みW2は比較的小さく、後壁(52)の表面で結露が発生する可能性がある。しかし、後壁(52)は温調対象空間(S)に露出されていない。このため、温調対象空間(S)に結露水が流れることを回避できる。
なお、本例では、後壁(52)の厚みにより、後壁(52)の厚さ方向の熱抵抗を低減している。しかし、後壁(52)を熱伝導率の高い材料とし、後壁(52)の厚さ方向の熱抵抗を低減させてもよい。熱伝導率の高い材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、ガラス、大理石、セラミックなどがある。加えて、後壁(52)にヒートシンクなどの伝熱面積を拡大させる部材を設けてもよい。
変形例1では、空気流路(45)を槽(50)の後側に形成している。空気流路(45)を槽(50)の右壁と右板(33)との間に形成してもよい。空気流路(45)を槽(50)の左壁と左板(34)との間に形成してもよい。
〈実施形態1の変形例2〉
図5に示す変形例2は、変形例1と利用ファン(56)の位置が異なる。変形例2の利用ファン(56)は、下部室(42)に配置される。それ以外の構成は、変形例1と同様である。
〈実施形態1の変形例3〉
図6に示す変形例3は、実施形態1と気泡発生機構(60)の構成が異なる。変形例3の気泡発生機構(60)は、循環路(70)とエジェクタ(71)とを有する。
循環路(70)の流入端と流出端は、槽(50)の内部空間(54)に連通する。循環路(70)の流入端は、槽(50)の上部に位置する。循環路(70)の流出端は、槽(50)の底壁(53)付近に位置する。循環路(70)の流出端は、水平を向くように内部空間(54)に開口する。
循環路(70)には、上流側から下流側に向かって順に、循環ポンプ(72)、及びエジェクタ(71)が接続される。
循環ポンプ(72)は、槽(50)内の蓄熱媒体が循環路(70)を介して循環するように、蓄熱媒体を搬送する。
エジェクタ(71)は、ノズル部、吸引部、混合部、及びデフューザ部を有する(これらの図示は省略する)。ノズル部は、蓄熱媒体の流速を増大させる。吸引部は、流速の増大に伴う減圧作用により外部の空気を吸引する。混合部は、ノズル部を流出した蓄熱媒体と吸引した空気とを混合する。デフューザ部は、流路面積の拡大によって混合流体を昇圧させる。
変形例3の冷却動作では、利用ファン(56)及び循環ポンプ(72)が運転される。
循環ポンプ(72)が運転されると、蓄熱媒体が循環路(70)に流入し、エジェクタ(71)を通過する。エジェクタ(71)からは、微細な気泡を含む蓄熱媒体が吐出される。この蓄熱媒体は、循環路(70)の流出端から槽(50)内に流出する。この結果、槽(50)内に微細な気泡が放出される。
気泡は、少なくとも蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。冷却された気泡は、給気通路(43)に流出する。給気通路(43)に流出した空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合する。混合した空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
変形例3では、エジェクタ(71)を利用することで、微細な気泡を槽(50)内に放出できる。この結果、気泡と蓄熱媒体との間の伝熱面積を拡大でき、空気と蓄熱媒体との伝熱を促進できる。
変形例3において、実施形態1と同様、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。
〈実施形態1の変形例4〉
図7に示す変形例4は、槽(50)の側壁が伝熱部を構成している。具体的には、槽(50)の前壁(51)の幅W1は、温調対象空間(S)の空気と蓄熱媒体とが伝熱する程度の厚みに設定されている。前壁(51)の幅W1は、後壁(52)の幅W2よりも小さい。後壁(52)は断熱部を構成する。
前壁(51)はケーシング(31)の開口(38)を介して温調対象空間(S)の露出する。このため、温調対象空間(S)の空気の熱は、前壁(51)を介して蓄熱媒体に移動する。これにより、温調対象空間(S)の空気を冷却できる。
前壁(51)は、所定の温調対象物を冷却する伝熱部としても機能する。具体的には、温調対象物である人は、前壁(51)に触ることで冷やされる。加えて、実施形態1と同様、冷却された空気が吹出口(41)から人に向かって吹き出される。従って、温調対象空間(S)の人の快適性を向上できる。
なお、本例では、前壁(51)の厚みW1を大きくすることで、前壁(51)の熱抵抗を低減している。しかし、前壁(51)を熱伝導率の高い材料とし、後壁(52)の厚さ方向の熱抵抗を低減させてもよい。熱伝導率の高い材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、ガラス、大理石、セラミックなどがある。
変形例4の冷却動作は、第3冷却動作を含む。第3冷却動作は、熱源ユニット(20)を停止し且つ利用ファン(56)及び給気機構(A)を停止する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)を停止する。これにより、第3冷却動作では、熱源ユニット(20)及び利用ユニット(30)の消費電力が実質的にゼロとなる。第3冷却動作では、上述したように前壁(51)によって温調対象空間(S)の空気が冷却される。
変形例4において、実施形態1と同様、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。
〈実施形態1の変形例5〉
図8に示す変形例5は、槽(50)の前壁(51)及び後壁(52)が温調対象空間(S)に露出されている。加えて、槽(50)の右壁及び左壁を温調対象空間(S)に露出してもよい。槽(50)は透明材料、又は半透明材料で構成されるため、人はあらゆる位置から槽(50)の内部を視認できる。
変形例5において、実施形態1と同様、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。
《実施形態2》
図9に示すように、実施形態2は、実施形態1と給気機構(A)の構成が異なる。実施形態2の給気機構(A)は、空気配管(80)と、空気搬送装置である利用ファン(56)とを有する。空気配管(80)は、銅、アルミニウムなどの熱伝導性の高い材料で構成される。
空気配管(80)は、少なくとも一部が槽(50)の内部に配置される。空気配管(80)の流入端は、下部室(42)に連通する。空気配管(80)の流出端は、給気通路(43)に連通する。空気配管(80)は、下部室(42)から給気通路(43)に亘って上下方向に延びている。
実施形態2の後板(35)には、下部室(42)に対応する位置に吸込口(44)が形成される。吸込口(44)は、後板(35)の下部に形成される。吸込口(44)は、下部室(42)と給気通路(43)とを連通させる。
実施形態2の冷却動作では、利用ファン(56)が運転される。吸込口(44)から下部室(42)に吸い込まれた室外空気は、空気配管(80)を流れる。空気配管(80)では、その周囲の蓄熱媒体と空気とが熱交換し、空気が冷却される。空気配管(80)で冷却された空気は、給気通路(43)を流れ、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。
実施形態2の給気機構(A)は、槽(50)内に配置される空気配管(80)と、空気配管(80)の空気を前記給気通路(43)に送る利用ファン(56)とを有する。
この構成では、空気配管(80)の全周が蓄熱媒体に囲まれるため、空気と蓄熱媒体の伝熱を促進できる。槽(50)の外部の熱が、空気配管(80)内の空気に移動することもない。従って、空気の冷却効果を向上できる。
-実施形態2の変形例-
実施形態2の変形例について説明する。なお、以下の変形例は、上述した各形態や、詳細は後述する他の形態に適用することもできる。
〈実施形態2の変形例1〉
図10に示す変形例1の給気機構(A)は、空気配管(80)と、空気搬送装置である空気ポンプ(83)とを有する。変形例1の後板(35)には、給気路(43)に対応する位置にある。空気の流入部(81)は、給気路(43)を貫通し室外に開口している。空気配管(80)の流入端は、室外空間に連通する。空気配管(80)の流出端は、吹出口(41)の付近に位置している。
空気配管(80)の中間部(82)は、槽(50)内に配置される。中間部(82)は、2本のストレート管と、該ストレート管(55a)の下端を繋ぐ1本のU字管を含む。
変形例1の利用ユニット(30)は、ノズル(85)を含む。ノズル(85)は、蓄熱媒体と熱交換した空気を温調対象空間(S)へ供給する給気路を構成する。ノズル(85)は、空気配管(80)の流出端に接続される。ノズル(85)は、空気の流速を増大させるように内径が小さくなっている。ノズル(85)の流出端の内径は、空気流路(45)の内径よりも小さい。言い換えると、ノズル(85)は、空気の流量を絞るように内径が小さくなっている。
ノズル(85)は、利用ユニット(30)の前方に存在する人を指向するように、斜め下方を向いている。ノズル(85)から吹き出される空気の流速は、この人に空気が直接あたる程度の流速であることが好ましい。
なお、ノズル(85)の数量は1つに限られず、2つ以上であってもよい。複数のノズル(85)を空気配管(80)に並列に接続してもよい。ノズル(85)は、例えばプレートに形成した小径の空気流出穴で構成されてもよい。
変形例1の冷却動作では、空気ポンプ(83)が運転される。これにより、室外空気が空気配管(80)に流入する。中間部(82)を流れる空気は、蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。冷却された空気は、ノズル(85)から温調対象空間(S)へ供給される。
変形例1の給気路は、温調対象空間(S)に空気を供給するノズル(85)を含んでいる。
この構成では、ノズル(85)によって吹出空気の流速を増大できるので、冷却した空気を直接的に人にあてることができる。加えて、ノズル(85)により空気の流量を制限することで、空気配管(80)を流れる空気の流量も低減できる。これにより、槽(50)内の氷などの冷熱の消費速度を遅くすることができる。よって、第1冷却動作の実行時間を延ばすことができ、空気調和装置(10)の省エネ性を向上できる。
〈実施形態2の変形例2〉
図11に示す変形例2では、空気配管(80)が、利用熱交換器(55)の内部に配置される。図12に示すように、空気配管(80)と、利用熱交換器(55)のストレート管(55a)とが、二重管構造を構成している。空気配管(80)の軸心と、ストレート管(55a)の軸心とは一致している。空気配管(80)の内部は、空気が流れる第1流路(C1)が形成される。ストレート管(55a)の内面と空気配管(80)の外面との間には、冷媒が流れる環状の第2流路(C2)が形成される。
変形例2では、例えば第2冷却動作において、第1流路(C1)を流れる空気を、第2流路(C2)を流れる空気によって冷却できる。第1冷却動作では、ストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体が、ストレート管(55a)、第2流路(C2)、空気配管(80)を介して第1流路(C1)の空気と熱交換する。
変形例2は、空気配管(80)は、利用熱交換器(55)の内部に配置され、利用熱交換器(55)の内面と空気配管(80)の外面との間に温調用媒体が流れる第2流路(C2)が形成される。
この構成では、冷却動作において、空気を蓄熱媒体だけでなく、冷媒とも熱交換させることができる。この結果、空気の冷却効果を向上できる。
〈実施形態2の変形例3〉
図13に示す変形例3は、上述した実施形態2の変形例2と空気配管(80)の形状が異なる。空気配管(80)は、その中央部(80a)から径方向外方に膨出する複数の膨出部(80b)を有する。各膨出部(80b)の径方向外方の端部は、利用熱交換器(55)のストレート管(55a)の内周面と接触している。本例の空気配管(80)は、当ピッチの6つの膨出部(80b)を有する。ストレート管(55a)と空気配管(80)の間には、隣り合う2つの膨出部(80b)の間にそれぞれ第2流路(C2)が形成される。本例では、ストレート管(55a)の内部に6つの第2流路(C2)が形成される。
変形例3では、例えば第2冷却動作において、第1流路(C1)を流れる空気を、第2流路(C2)を流れる空気によって冷却できる。同時に第1流路(C1)の膨出部(80b)の内部を流れる空気とストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体とが熱交換する。これにより、空気を蓄熱媒体によっても冷却できる。
第1冷却動作では、第1流路(C1)の膨出部(80b)の内部を流れる空気とストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体とが熱交換する。同時に、ストレート管(55a)の周囲の蓄熱媒体が、ストレート管(55a)、第2流路(C2)、空気配管(80)を介して第1流路(C1)の空気と熱交換する。
この構成では、第1流路(C1)の空気が蓄熱媒体と直接的に熱交換するため、空気の冷却効果を向上できる。
〈実施形態2の変形例4〉
図14に示す変形例4は、利用熱交換器(55)のストレート管(55a)の周囲に空気配管(80)が螺旋状に巻き付けられる。本例の空気配管(80)は、1本の螺旋状の配管で構成される。空気配管(80)を2本以上としてもよい。2本以上の空気配管(80)を並列に接続してもよい。
変形例4では、例えば第2冷却動作において、空気配管(80)を流れる空気が、その周囲の蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。例えば第1冷却動作において、空気配管(80)を流れる空気は、その周囲の蓄熱媒体と熱交換し、冷却される。同時に、空気配管(80)を流れる空気は、ストレート管(55a)を流れる冷媒と熱交換し、冷却される。
《実施形態3》
実施形態3の空気調和装置(10)は、加熱した空気を温調対象空間(S)へ供給する。本例の空気調和装置(10)は、暖房専用機である。空気調和装置(10)は、温熱を蓄える蓄熱式である。実施形態3の空気調和装置(10)は、上述した実施形態1と冷媒回路(11)の構成が異なる。
図15に示すように、実施形態3の熱源熱交換器(22)及び膨張弁(23)は、熱源回路(20a)における圧縮機(21)の吸入側に接続される。従って、実施形態3の冷媒回路(11)では、圧縮機(21)で圧縮された冷媒を利用熱交換器(55)で放熱させ、熱源熱交換器(22)で蒸発させる冷凍サイクル(第2冷凍サイクル)が行われる。
実施形態3においては、上述した何れの形態の利用ユニット(30)を採用することができる。以下には、実施形態3において、実施形態1の利用ユニット(30)を採用した場合の空気調和装置の動作について説明する。
実施形態3の空気調和装置(10)の動作は、温蓄熱動作と、加熱動作とを含む。温蓄熱動作は、温熱を蓄える蓄熱動作である。加熱動作は、加熱した空気を温調対象空間(S)へ供給する温調動作である。
温蓄熱動作と、加熱動作とは、コントローラ(25)に予め設定した設定時間に応じて切り換えられる。温蓄熱動作は、第3設定時間に実行される。加熱動作は、第4設定時間に実行される。第3設定時間は、例えば夜間の時間帯である。第4設定時間は、例えば日中の時間帯である。こうすると、温蓄熱動作において、夜間電力を利用して槽(50)内に温熱を蓄えることができる。加熱動作において、蓄えた温熱を利用して、日中に温調対象空間(S)を加熱できる。
さらに、加熱動作は、第4動作(第1加熱動作)と、第5動作(第2加熱動作)とを含む。
〈温蓄熱動作〉
温蓄熱動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を停止し、蓄熱媒体に温熱を蓄える動作である。温蓄熱動作では、給気機構(A)が停止する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が停止される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、利用熱交換器(55)で放熱する。利用熱交換器(55)では、冷媒が蓄熱媒体に放熱して凝縮する。利用熱交換器(55)で凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
温蓄熱動作では、槽(50)内の水が利用熱交換器(55)によって加熱されることで、水が温度が上昇していく。これにより、槽(50)内に温熱が蓄えられていく。
〈第1加熱動作〉
第1加熱動作は、熱源ユニット(20)を停止し且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を加熱する動作である。第1加熱動作では、給気機構(A)が運転する。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の停止状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が停止する。従って、熱源ユニット(20)の電力消費は実質的にゼロとなる。
第1加熱動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、温水と熱交換することにより加熱される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱が促進され、空気の加熱効果を向上できる。
槽(50)内で加熱された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。
〈第2加熱動作〉
第2加熱動作は、熱源ユニット(20)を動作させ且つ利用ファン(56)を運転し、温調対象空間(S)を加熱する動作である。第2加熱動作では、給気機構(A)が運転される。具体的には、気泡発生機構(60)のポンプ(61)が運転される。
熱源ユニット(20)の動作状態では、圧縮機(21)及び熱源ファン(24)が運転される。膨張弁(23)の開度が適宜調節される。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、利用熱交換器(55)で放熱する。利用熱交換器(55)で放熱した冷媒は、膨張弁(23)で減圧される。減圧された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に再び吸入される。
第2加熱動作の利用ユニット(30)では、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によって槽(50)内に温熱が蓄えられる。同時に、第2加熱動作の利用ユニット(30)では、ポンプ(61)が運転されることで、散気管(62)から多数の気泡が発生する。これらの気泡は、温水と熱交換することにより加熱される。加えて、これらの気泡は、利用熱交換器(55)を流れる冷媒によっても加熱される。空気を微細な気泡とすることで、空気と蓄熱媒体との間の伝熱面積、及び空気と利用熱交換器(55)との間の伝熱面積を増大できる。この結果、空気と蓄熱媒体との間の伝熱、及び空気と冷媒との間の伝熱が促進され、空気の加熱効果を向上できる。
槽(50)内で加熱された気泡(空気)は、給気通路(43)に流入する。この空気は、吸込口(44)から吸い込まれた室外空気と混合される。混合された空気は、吹出口(41)から温調対象空間(S)へ吹き出される。
第2加熱動作では、温調対象空間(S)を加熱すると同時に槽(50)内に温熱を蓄えることができる。このため、槽(50)内の温熱の消費を抑えることができる。それ以外の作用効果は、第2加熱動作と同様である。
なお、実施形態3において、吸込口(44)を省略した構成としてもよい。この場合、給気機構(A)によって槽(50)内に導入された空気のみが吹出口(41)から温調対象空間(S)へ供給される。よって、実施形態3の加熱動作と比較すると、高温の空気を温調対象空間(S)へ供給できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上述した形態の冷媒回路(11)に冷媒の循環方向を可逆に切り換える切換機構を設けてもよい。切換機構は、例えば四方切換弁で構成される。この構成では、四方切換弁の切換状態に応じて、第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとが切り換えて行われる。これにより、空気調和装置(10)では、実施形態1に係る動作と、実施形態3に係る動作との双方を実行できる。
上述した形態の利用熱交換器(55)は、必ずしも槽(50)内に配置しなくてもよい。例えば利用熱交換器(55)を槽(50)の外周に巻き付けてもよい。この場合、利用熱交換器(55)を流れる冷媒と槽(50)内の蓄熱媒体とは、槽(50)の壁を介して互いに熱交換する。
槽(50)内の蓄熱媒体を、循環流路を介して循環させる構成としてもよい。この場合、槽(50)内の蓄熱媒体を槽(50)の外部に搬送する。槽(50)の外部には、利用熱交換器(55)が配置される。槽(50)の内部に搬送された蓄熱媒体は、利用熱交換器(55)において温調用媒体と熱交換する。熱交換した蓄熱媒体は、槽(50)内に返送される。
空気調和装置(10)は、2つ以上の槽(50)を有してもよい。給気機構(A)は、各槽(50)内にそれぞれ空気を導入する。各槽(50)では、空気と蓄熱媒体及び温調用媒体の少なくとも一方が熱交換する。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
以上説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
10 空気調和装置
22 熱源ユニット(熱源)
43 給気通路(給気路)
45 空気流路
50 槽
51 側壁(前壁)
52 側壁(後壁)
55 利用熱交換器(伝熱管)
56 空気搬送装置
60 気泡発生機構
61 ポンプ(空気搬送装置)
62 気泡発生部
62a 孔
70 循環路
71 エジェクタ
80 空気配管
85 ノズル(給気路)