JP2023117523A - 劣化評価センサ、劣化評価方法および劣化評価装置 - Google Patents

劣化評価センサ、劣化評価方法および劣化評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】塗装物等の劣化に係る指標値の測定に利用できるセンサを提供する。【解決手段】本発明は、金属体(m)に密着している樹脂体(f)に着脱可能で柔軟性を有するイオン導電体(n)と、イオン導電体に着接された電極(e)と、樹脂体に脱着可能に貼着されてイオン導電体と電極を樹脂体上に保持できる保持体(h)とを備える劣化評価センサである。このセンサを用いると、樹脂体を含む評価対象物(P)の劣化に係る指標値(例えばインピーダンスやtanδの周波数特性)を測定できる。イオン導電体は、例えば、固体高分子電解質や液体電解質を含浸させたスポンジ等である。イオン導電体と電極をそれぞれ有する二組のセンサ部(S1、S2)を樹脂体上に離間して配設して、指標値の測定を行ってもよい。【選択図】図1A

Description

本発明は、樹脂体を有する対象物の劣化評価に用いられるセンサ等に関する。
意匠性や防食性等を確保するため、金属からなる部材や構造物等(金属体)は、その表面が塗装されることが多い。もっとも、塗装により金属表面に被着している樹脂製の塗膜(樹脂体)も、外環境(太陽光、風雨、腐食性ガス等)に曝されて経時的に劣化する。その劣化が進行すると、塗膜下にある金属自体の劣化(腐食等)を招き得る。
そのような劣化や腐食等の進行度合(「劣化度」という。)を把握(評価)できれば、塗装物の効果的な補修や保全等が可能となる。そこで、塗装物の劣化度の評価に係る提案がなされており、下記の文献に関連する記載がある。
特開2011-112429 特開2013-217706 特開2013-298583
特許文献1は、建造物等に用いられる重防食被覆鋼材の耐久性モニタリング方法を提案している。具体的にいうと、その鋼材中に電極を絶縁しつつ埋め込み、被覆層(塗膜)下への水分の浸入の有無を検出している。このような評価手法は、重防食被覆鋼材と劣化形態が異なる一般的な塗装鋼板には適用し難い。
特許文献2は、塗膜鋼板上に堆積物(石炭粉、鉄鉱石粉等)がある構造体について腐食評価方法を提案している。具体的にいうと、鋼板からなる作用電極と堆積物中に差し込んだ参照電極と堆積物上に配置した対極との三電極系によりインピーダンスを測定し、それに基づいて構造物の腐食を評価している。このような評価手法もやはり、堆積物がない一般的な塗装鋼板には適用し難い。
特許文献3は、塗装鋼板の非平坦部におけるインピーダンス測定を可能とする電気化学測定用プローブを提案している。具体的にいうと、電解液を入れたシリンダの先端部に設けたスポンジへ、シリンダに挿入したピストンで電解液をスポンジへ圧送し、そのスポンジを非平坦部にも追従できるプローブとしている。そして、そのプローブを押し当てた塗膜下の鋼材からなる作用電極と、ピストンに設けた参照電極およびカウンター電極(補助電極)とを用いて、いわゆる三電極系によるインピーダンス測定を行っている。しかし、このようなプローブは構造が複雑であり、取扱性や操作性に欠けるため、インピーダンス測定を容易には行い難い。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、対象物の劣化評価に係る指標値の測定に利用できる新たなセンサ等を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究した結果、評価対象物のインピーダンス等を随時または適時に測定し易いセンサを新たに着想し、具現化した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《劣化評価センサ》
(1)本発明は、金属体に密着している樹脂体に着脱可能で柔軟性を有するイオン導電体と、
該イオン導電体に着接された電極と、該樹脂体に脱着可能に貼着されて該イオン導電体と該電極を該樹脂体上に保持できる保持体とを備え、該樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値の測定に用いられる劣化評価センサである。
(2)本発明の劣化評価センサ(単に「センサ」という。)は、評価対象物(例えば塗装物)の樹脂体(例えば塗膜)に着脱自在であるため、樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値の測定を、樹脂体や金属体の加工等を行わずに非破壊状態で行え、また随時または適時に比較的容易に行える。さらに、イオン導電体は柔軟性を有する軟質材等からなるため、その測定時に樹脂体の損傷も回避される。なお、本明細書でいう「柔軟性」は、イオン導電体が樹脂体に密接可能で、樹脂体の損傷を回避できることを意味する。
ちなみに本発明のセンサは、構造がシンプルであるため、小型化、薄型化、軽量化、低コスト化等を図り易く、取扱性や操作性等の向上も図れる。このような本発明のセンサは、繰返し使用されてもよいが、一回使用するごとに廃棄する「使い捨てタイプ」とすることもできる。
《劣化評価方法》
本発明は、劣化評価方法としても把握できる。例えば、本発明は、上述したセンサを用いて、樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値を求める測定ステップさらには解析ステップを備える劣化評価方法でもよい。
《劣化評価装置》
本発明は、劣化評価装置としても把握できる。例えば、本発明は、上述したセンサと、センサに交流通電して樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値を求める測定手段さらには解析手段を備える劣化評価装置でもよい。
ちなみに、一組のイオン導電体と電極からなるセンサを用いて測定する場合なら、例えば、その電極と評価対象物の金属体との間で通電がなされる。また、一組のイオン導電体と電極からなるセンサ(部)を複数用いて測定する場合なら、例えば、各組の電極間で通電がなされてもよい。この場合、イオン導電体と電極の組(群)数は二つあれば足るが、三つ以上あってもよい。なお、複数のセンサ(部)を用いて測定する場合、評価対象物の金属体が通電回路の一部となってもよい。
《その他》
(1)本明細書でいう「~ステップ(工程)」と「~手段」は、相互に読み替えることができ、これにより「物(装置)」の構成要素と「方法」の構成要素は互換され得る。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x~y」は、下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として、「a~b」のような範囲を新設し得る。
第1実施例に係る測定系を示す模式図である。 その測定系に係る等価回路図である。 第2実施例に係る測定系を示す模式図である。 その測定系に係る等価回路図である。 それら測定系で得られたインピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 同測定系で得られた誘電正接の周波数特性を示すグラフである。 同測定系で得られたコンダクタンスの周波数特性を示すグラフである。 同測定系で得られた見かけの電気容量の周波数特性を示すグラフである。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は「物」のみならず「方法」にも適宜該当し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《金属体》
金属体は、例えば、鉄基材、アルミニウム基材、チタン基材、マグネシウム基材等の金属からなる。「基材」には、純金属、合金、金属間化合物または複合材が含まれる。金属体の具体例として、鋼板(めっき鋼板を含む)、アルミニウム合金板等からなる部材や構造物(車体等)がある。
《樹脂体》
樹脂体は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム(エラストマーを含む。)等からなる。金属体に密着(または被着)する樹脂体は、例えば、樹脂層(塗膜、被膜等)、樹脂部材、金属体に一体化した樹脂成形体等である。樹脂体の種類により、金属体への密着の程度や態様は異なる。なお、樹脂層は、単層でも複層(多層)でもよい。
樹脂体は、金属体の腐食抑止や意匠性向上等を目的として設けられることが多い。その代表例として、適宜、自動車のボディ(車体/金属体)を被覆する塗膜を取り上げて説明する。自動車用塗膜は、例えば、防食性を確保するための電着塗装、耐ピッチング性・遮光性・平滑性等を確保するための中塗り塗装、意匠性・耐候性等を確保するための上塗り塗装(通常、有色なベース塗装と透明なクリア塗装)等が順になされた多層構造からなる。なお、金属体と樹脂体の間には、下地層(例えば、化成被膜等)があってもよい。
《イオン導電体》
イオン導電体は、イオン導電性を有し、樹脂体に対して密接と離脱が可能であり、柔軟性があるとよい。イオン導電体は、例えば、イオン導電性ポリマー、イオン導電性ゲル(寒天等)、電解質を保持した多孔質体等である。このようなイオン導電体を用いることにより、評価対象物の劣化指標値を電気化学的に測定可能となる。
導電性を担うイオンは、例えば、固体電解質や液体電解質(電解液)から供給される。固体電解質は、例えば、固体高分子電解質(例えばパーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマー等)、非フッ素系電解質等からなり、通常、膜状である。液体電解質は、例えば、塩(NaCl、KCl等)の水溶液、NaSOの水溶液等である。液体電解質は、例えば、通液性を有する多孔質体に含浸(保持)させるとよい。多孔質体は、例えば、樹脂(ゴム、エラストマー等を含む)の発泡体(スポンジ等)、フィルタ―(紙、布等を含む)である。
《電極》
電極は、イオン導電体の導電性や指標値(インピーダンス等)の測定に及ぼす影響が少ない高耐食性(不溶性、難溶性)または標準電極電位が貴な導電材からなるとよい。例えば、貴金属(Pt、Au、Ag)、ステンレス、Ti基材、ニクタイド導電材(TiP、FeTiP、XTiP(X:金属元素)等)などを電極材として用いればよい。なお、評価対象物の金属体と同材質または同系の材質を電極材としてもよい。
電極は、中実状でも、多孔状(パンチングメタル、焼結体等)でも、網目状でもよい。このような電極は、イオン導電体の少なくとも一部または一面に接触していれば足る。例えば、電極はイオン導電体中に埋設されていてもよい。
電極および/またはイオン導電体は、例えば、膜状、層状、箔状または薄板状であるとよい。これにより小型化、薄型化、軽量化、取扱性または搬送性等に優れるセンサが得られる。電極やイオン導電体の厚さは適宜調整されるが、例えば、電極の厚さは0.03~3mmさらには0.2~1mm程度、イオン導電体の厚さは1~10mmさらには2~5mm程度であるとよい。電極とイオン導電体の合計厚さは、例えば、2~15mmさらには3~7mm程度であるとよい。また、その合計重量は、例えば、0.3~3gさらには0.5~1.5g程度であるとよい。
ちなみに、イオン導電体に着接する基準電極(参照電極)を追加してもよい。これにより、評価対象物の電位測定も可能となる。基準電極には、銀-塩化銀電極、貴金属(Pt、Au等)など、簡素化できるものを用いるとよい。一例として銀-塩化銀電極を設ける場合なら、例えば、銀に塩化銀を塗布した基準電極を、センサの電極付近に配置し、液体電解質として飽和塩化物溶液を用いるとよい。
《保持体》
保持体は、イオン導電体と電極を樹脂体上に着脱自在に保持できればよい。保持体は、例えば、樹脂体に脱着可能な貼着テープ、ペースト、接着剤等により構成される。イオン導電体と電極が複数組あるとき、保持体は各組毎に設けられてもよいし、複数組を一括して設けられてもよい。
《センサ》
センサの電極と評価対象物の金属体(他方の電極)との間で通電がなされる場合、それらの間にイオン導電体(電解質)と樹脂体(誘電体)が介在する回路構成となる。この場合、敢えていうと、センサの電極は補助電極(対極)、評価対象物の金属体は作用電極と考えればよい。
センサは、イオン導電体と電極の複数組により構成されてもよい。例えば、イオン導電体は、第1イオン導電体と第2イオン導電体を有し、電極は、第1電極と第2電極を有し、第1イオン導電体と第1電極からなる第1センサ部と第2イオン導電体と第2電極からなる第2センサ部とが対をなすセンサが用いられてもよい。樹脂体上に離間して配設された第1センサ部(第1電極)と第2センサ部(第2電極)の間で通電を行うことにより、対象物の金属体への配線を回避できる。第1センサ部と第2センサ部は、電気的短絡を起こさない間隔(例えば、1mm~10cmさらには5mm~5cm)を設けて配置されるとよい。
第1電極と第2電極の間には、第1イオン導電体(電解質)、樹脂体(誘電体)および第2イオン導電体(電解質)が順に介在する回路が形成されていると考えてもよいし、第1イオン導電体(電解質)、樹脂体(誘電体)、金属体、樹脂体(誘電体)および第2イオン導電体(電解質)が順に介在する回路が形成されていると考えてもよい。樹脂体は本来絶縁体であるが、樹脂体の劣化度や特性、その周辺環境等により金属体にも多かれ少なかれ通電(漏電)が生じ得る。
《指標値》
評価対象物の劣化に係る指標値(「劣化指標値」または単に「指標値」という。)として、例えば、インピーダンス、誘電正接(tanδ)、誘電率、コンダクタンス、キャパシタンス、(見かけ)電気容量等、それらを複数の周波数で測定して得られる周波数特性などがある。少なくとも一種の指標値を利用することにより、評価対象物の劣化具合の判定等が可能となる。
評価対象物の樹脂体は誘電体(絶縁体)でもあるため、その誘電特性が劣化指標値にも反映され得る。誘電特性として、樹脂体(塗膜等)の誘電率(ε)、樹脂体とその両側にある電極対とを含めたコンデンサのキャパシタンス(C)または電気容量等がある。これらは、通常、通電される交流(電界)の周波数により変動する特性(依存性)を有する。
例えば、交流通電下における誘電率(ε)は、一般的に複素誘電率(ε=ε'-iε" 、i:虚数単位、ε':実部、ε":虚部)で表現される。その誘電特性を反映した指標値として、例えば、誘電正接(tanδ)、電気的モジョラス(M=jwCo・Z/MとZ:複素数、Z:複素インピーダンス、Co:真空の電気容量)等がある。
誘電正接は、実部(ε')に対する虚部(ε")の比率(ε"/ε')として求まる。ここで虚部(ε")は分極遅れ等に起因した誘電損率を示す。コンデンサとしてみれば、コンデンサ(キャパシタンス:C)に流れる電流:Ic、寄生抵抗(抵抗値:r)に流れる電流:Ir、角周波数:ω=2πf(f:交流周波数)として、tanδ=Ir/Ic=1/ωrCとしても求まる。このような誘電正接は、供給される電気エネルギーに対して損失される熱エネルギーの割合を示し、誘電体の絶縁性の低下ひいては樹脂体(塗膜等)の劣化指標値となる。ちなみに、誘電率の測定には(平行電極)容量法、反射伝送法、共振法等がある。周波数に応じた測定方法が選択されるが、通常、容量法で足る。
《解析》
センサを用いて測定された指標値(周波数特性を含む。)に基づく解析により、対象物の劣化度が評価される(解析ステップ、解析手段)。このような解析は、例えば、基準時(劣化前の初期や前回の測定時等)の指標値と測定時の指標値とを比較してなされてもよいし、各測定時に得られる指標値(値、波形等)自体を評価してなされてもよい。後者の場合、例えば、異なる周波数域の指標値(例えば、高周波数の指標値と低周波数の指標値)を比較してなされる。
《用途》
対象物の劣化評価は、一時的になされる他、定期的、継続的または長期的になされてもよい。対象物の一例として、塗装された車両のボディ(金属体)がある。本発明のセンサや装置等を用いれば、車両を入庫した修理工場や自動車ディーラー等で、随時、適時または定期的に、使用中の実車について、塗装やボディの劣化度、余寿命、補修や部品交換の要否等を評価できる。また、測定時期が異なる複数の指標値からなる蓄積データに基づいて対象物の劣化評価を行ってもよい。その際、特定箇所で毎回測定を行うと、車両の使用に伴う劣化傾向も把握できる。このような事情は、車両に限らず、塗装された建造物、橋梁、インフラ用配管等についても同様である。
製作したセンサを塗装物に装着して交流通電を行い、劣化度の指標値を測定した。このような具体例に基づいて、本発明をさらに詳しく説明する。
《第1実施例》
図1Aに示すように、鋼板m(金属体)の表面が塗膜f(樹脂体)で被覆された塗装鋼板P(塗装物/評価対象物)にセンサSを装着して交流通電を行った。
鋼板mは冷間圧延鋼板(厚さ0.5mm)からなり、塗膜fはエポキシ樹脂の単層(膜厚さ15μm)からなる。
センサSは、海綿体n(イオン導電体)と、電極eと、貼着テープhからなる。海綿体nは、ポリビニルアルコール(PVA)からなるスポンジ(多孔質体/15mm×15mm×t1mm)に食塩水(濃度5質量%/液体電解質)を含浸させてなる。電極eには、白金(Pt)からなるパンチングメタル箔(10mm×10mm×t0.02mm、孔径:0.2~0.5cm×孔密度:3~9個/cm)を用いた。電極eは、海綿体nに設けた切り込みから差し込んで海綿体n中に埋設した。貼着テープhは、略長方形状(約20mm×約25mm×t0.1mm)で不織布からなる。電極eと鋼板mにはそれぞれ、予め配線w、w0を半田付けしておいた。
センサSは塗装鋼板Pへ次のように装着した。先ず、電極eを内包する海綿体nを塗膜f上に密接させる。その海綿体n全体に貼着テープhを被せる。貼着テープhの周縁部を塗膜f上に液密状に貼り付ける。こうして貼着テープhにより、電極eおよび海綿体nを塗膜f上に保持した。
配線w、w0の他端を測定装置M(電気化学アナライザ(LCRメータ):ソーラトロンアナリティカル社製ModuLab)に接続した。測定装置Mにより電極eと鋼板mの間で周波数を変化させつつ交流通電を行い、劣化指標値(インピーダンス(Z)の周波数特性等)を測定した。
塗装鋼板P、センサSおよび測定装置Mからなる測定系D1(劣化評価装置)の等価回路図を図1Bに示した。塗装鋼板PとセンサSは抵抗rと静電容量cが並列に接続された回路とみなせ、鋼板mは抵抗rmとみなせる。これらが直列接続されて、測定系D1の回路全体が構成されていると考えられる。
《第2実施例》
図2Aに示すように、上述した塗装鋼板P(塗装物/評価対象物)に、一対のセンサS1(第1センサ部)とセンサS2(第2センサ部)を装着して交流通電を行った。センサS1は、海綿体n1、電極e1および貼着テープh1からなり、センサS2は、海綿体n2、電極e2および貼着テープh2からなる。センサS1、S2の各部は、上述したセンサSと同構成であり、同様な符号を付して説明を省略した。
電極e1と電極e2にそれぞれ半田付けした配線w1、w2の他端は、上述したように測定装置Mに接続した。測定装置Mにより、電極e1と電極e2の間で周波数を変化させつつ交流通電を行い劣化指標値を測定した。
塗装鋼板P、センサS1、S2および測定装置Mからなる測定系D2の等価回路図を図2Bに示した。塗装鋼板PとセンサS1は抵抗r1と静電容量c1の並列回路とみなせ、塗装鋼板PとセンサS2は抵抗r2と静電容量c2の並列回路とみなせる。これら並列回路間は鋼板m(抵抗rm)により接続されて、測定系D2の回路全体が構成されていると考えられる。
《測定》
測定系D1、D2により測定した塗装鋼板Pの劣化指標値を、図3A~図3D(これらを併せて単に「図3」という。)に例示した。図3Aはインピーダンス(Z)の周波数特性を、図3Bは誘電正接(tanδ)の周波数特性を、図3Cはコンダクタンス(Y’)の周波数特性を、図3Dは見かけの電気容量(Y”/ω)の周波数特性をそれぞれ示している。なお、見かけの電気容量は、容量性サセプタンスを角周波数(ω)で除して求めた。
各図に示した「初期」は、腐食環境に曝す前の塗装鋼板Pについて、測定系D1を用いて測定した指標値を示す。また「10cy」は、腐食環境下で冷熱サイクルを10回(周期)を行った後に、測定系D1、D2で測定した指標値を示す。腐食環境は、塗装鋼板Pに混合塩(NaCl-1質量%MgCl-1質量%CaCl)を1cmあたり40mg散布し、相対湿度(RH)を95%として構成した。冷熱サイクルの1周期は、-10℃×12時間と80℃×12時間との合計24時間からなる。
《評価》
図3からわかるように、少なくとも低周波数域(10Hz以下さらには1Hz以下)と高周波数域(10Hz以上さらには10Hz以上)において、10cy後の指標値には初期の指標値に対して有意な変化がみられた。この傾向は、測定系D2よりも測定系D1の方が大きく、特に10cy後のtanδにおいて顕著であった。これらは塗膜fの劣化(水分吸収、膨脹、分子構造の変化等)を反映した結果と考えられる。
以上から、本発明のセンサ等を用いて測定や解析を行えば、評価対象物の劣化を評価可能であることが確認された。
D1 測定系
S センサ
P 塗装鋼板(評価対象物)
f 塗膜(樹脂体)
m 鋼板(金属体)
e 電極
n 海綿体(イオン導電体)
h 貼着テープ(保持体)

Claims (10)

  1. 金属体に密着している樹脂体に着脱可能で柔軟性を有するイオン導電体と、
    該イオン導電体に着接された電極と、
    該樹脂体に脱着可能に貼着されて該イオン導電体と該電極を該樹脂体上に保持できる保持体とを備え、
    該樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値の測定に用いられる劣化評価センサ。
  2. 前記イオン導電体は、電解質を保持している請求項1に記載の劣化評価センサ。
  3. 前記イオン導電体および/または前記電極は、膜状、層状、箔状または薄板状である請求項1または2に記載の劣化評価センサ。
  4. 前記イオン導電体は、第1イオン導電体と第2イオン導電体を有し、
    前記電極は、第1電極と第2電極を有し、
    該第1イオン導電体と該第1電極からなる第1センサ部と該第2イオン導電体と該第2電極からなる第2センサ部とが対をなしており、
    該第1センサ部と該第2センサ部が前記樹脂体上に離間して配設される請求項1~3のいずれかに記載の劣化評価センサ。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載のセンサを用いて、前記電極と前記金属体の間に交流通電し、前記樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値を求める解析ステップを備える劣化評価方法。
  6. 請求項4に記載のセンサを用いて、前記第1センサ部と前記第2センサ部の間に交流通電し、前記樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値を求める解析ステップを備える劣化評価方法。
  7. 前記樹脂体は、塗膜である請求項5または6に記載の劣化評価方法。
  8. 前記金属体は、車体である請求項5~7のいずれかに記載の劣化評価方法。
  9. 前記指標値は、前記センサを用いて測定された前記評価対象物のインピーダンスから求まる請求項5~8のいずれかに記載の劣化評価方法。
  10. 請求項1~4のいずれかに記載のセンサと、
    該センサに交流通電して、前記樹脂体を含む評価対象物の劣化に係る指標値を求める解析手段と、
    を備える劣化評価装置。
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