JP2020046336A - 腐食センサおよび腐食評価システム - Google Patents

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Abstract

【課題】金属の腐食状況を的確に評価できる腐食センサを提供する。【解決手段】腐食センサは、腐食の評価対象である試料金属(鋼材等)からなる試料電極1と、試料電極上に絶縁層21を介して配設され、試料電極の電位の基準となる参照電極2とを備える。腐食センサは、さらに、試料電極上に絶縁層31を介して配設され、試料電極と対をなして通電される補助電極3を備えるとよい。参照電極2にはAg/AgCl電極等を、補助電極3にはPt電極等を用いるとよい。絶縁層は、通気性または通液性(保湿性)を有する絶縁材からなるとよい。本発明の腐食センサによれば、参照電極2に対する試料電極1の電位を測定することにより、その電位に基づいて、試料電極1に生じている腐食反応や腐食形態を判定することが可能となる。本発明の腐食センサを用いれば、金属製品の寿命や交換時期を的確に予測できるようになる。【選択図】図1

Description

本発明は、金属の腐食状況の把握に用いる腐食センサ等に関する。
多様な気象環境に曝される部材の耐食性を評価するため、貴な金属と卑な金属の間に流れる腐食電流(ガルバニック電流)を検知する腐食センサが開発されている。例えば、試料金属(Fe、Zn等)からなる基板上に、絶縁層(SiO等)を介して導電層(Ag等)を積層したACMセンサ(Atmospheric Corrosion Monitor/大気腐食モニタあるいはガルバニック型腐食センサ)が周知である。
大気中の湿気等により、貴な金属と卑な金属が薄い水膜や結露等で短絡されると、卑な金属の腐食速度に対応した腐食電流が流れる。従来の腐食センサは、その腐食電流を検出することにより、卑な金属の腐食電流密度(icorr)または腐食速度(Vcorr)等を測定・算出していた。
このような腐食センサに関連する記載が下記の特許文献1、2にある。また、交流インピーダンス法により腐食量または腐食速度を算出する方法が特許文献3、4で提案されている。
特開2009−53205号公報 特開2003−215024号公報 特開2002−71616号公報 特開昭63−259456号公報
上記の各特許文献にあるような従来の腐食センサや腐食速度等の算出方法は、単に腐食電流(密度)だけに着目したものであり、同じ腐食反応(電池反応)が試料金属の表面上で均一的に生じるような場合を前提にしていた。
しかし、腐食に係る形態や反応は、一様とは限らない。このため、金属表面上で生じる腐食を平均的に評価するだけでは、金属部材の寿命判定等に重要な局所腐食(孔食やすきま腐食等)の発生やその進行を適切に把握できない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来とは異なり、実情に沿って腐食の的確な把握に役立つ腐食センサ等を提供する。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、腐食の形態や反応(両者を併せて単に「腐食形態」という。)の変化に応じて、腐食している金属の電位が特有な変化を生じ得ることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《腐食センサ》
(1)本発明は、腐食の評価対象である試料金属からなる試料電極と、該試料電極上に絶縁層を介して配設され、該試料電極の電位の基準となる参照電極と、を備える腐食センサである。
本発明の腐食センサによれば、腐食の評価対象である金属からなる試料電極の電位を測定することができる。この電位(変化)をモニタリングすることにより、腐食の形態(反応)や腐食の進行具合等を判断することが可能となる。
本発明の腐食センサにより、試料電極の電位は次のように測定される。先ず、試料電極と参照電極は絶縁層により絶縁されている。このため、当初、腐食センサがほぼ完全な乾燥状態にあるときは、試料電極と参照電極は非通電状態であり、両電極間の電位差に基づく出力はない(つまり電位は測定されない)。
しかし、腐食センサを腐食環境(大気環境等)に曝すと、腐食環境中に含まれる(水)蒸気等により、試料電極と参照電極は通電状態となり得る。通電状態は、結露等が絶縁層を跨いで(電解液の替わりとなって)、試料電極と参照電極を直接的に導通させる場合に限らない。例えば、通気性または通液性のある絶縁層内に侵入した蒸気によっても、試料電極と参照電極は通電状態となり得る。いずれにしても、そのような通電状態が生じることにより、参照電極に対する試料電極の電位が測定可能となる。
さらに、試料電極の腐食開始後(腐食物(錆等)の生成後)であれば、仮に蒸気がない乾燥環境下に腐食センサが曝されても、試料電極の腐食は進行し得る。腐食物に含まれる酸化物や水酸化物等と試料金属とが反応して、新たな腐食物が生成され得るからである。このときもやはり、試料電極と参照電極は通電状態となり、試料電極の電位は測定可能となる。
こうして、本発明の腐食センサを用いれば、腐食環境、腐食形態、腐食の進行度等を反映した電位が測定されるようになる。逆にいえば、その測定された電位に基づけば、腐食に関する種々の情報を把握することが可能となる。
(2)本発明の腐食センサは、さらに、試料電極上に絶縁層を介して配設され、試料電極と対をなして通電される補助電極を備えるとよい。これにより、腐食形態の把握と併せて、腐食電流(密度)や分極抵抗等の測定・算出も可能となる。
《被測定部材》
(1)本発明は、上述した腐食センサを用いた腐食評価システムとしても把握できる。例えば、本発明は、上述した腐食センサと、前記参照電極に対する前記試料電極の電位を測定する電位測定手段と、該試料電極の電位を閾値と比較して前記試料金属の腐食形態を判定する判定手段と、を備える腐食評価システムでもよい。
電位測定手段で得られた試料電極の電位を閾値と比較することにより、試料金属で生じている腐食形態(反応)を判定できる。例えば、その電位が閾値を超えている場合、腐食形態に変化が生じていると判定できる。これにより、腐食速度等の算出方法を変更または補正したりできる。また、腐食形態の変化により腐食の加速的な進行が予想されるような場合なら、その判定結果を、製品や部品の寿命または交換時期の予測・告知等に利用してもよい。なお、判定手段は、電位自体に限らず、電位の変化量、変化率、所定の変化に要する時間等と、閾値を比較してもよい。
(2)さらに本発明は、腐食センサが上述した補助電極を備える場合、例えば、その腐食センサと、前記参照電極に対する前記試料電極の電位を測定する電位測定手段と、該試料電極の電位を閾値と比較して前記試料金属の腐食形態を判定する判定手段と、該試料電極と前記補助電極の間で通電させて該試料電極の分極抵抗を算出する分極抵抗算出手段と、該腐食形態を考慮して該分極抵抗に基づいて腐食速度の指標値を算出する腐食速度算出手段と、を備える腐食評価システムでもよい。
この場合、試料金属の腐食状況(実情)に応じた適切な腐食速度(指標値)の算出が可能となる。分極抵抗の算出は、例えば、直流分極法、交流インピーダンス法等によりなされる。腐食速度算出手段は、腐食速度の指標値として、腐食速度自体を算出してもよいし、腐食速度にほぼ比例する分極抵抗の逆数、さらには腐食電流密度等を算出してもよい。なお、本明細書では、試料電極における「電荷移動抵抗」も含めて、単に「分極抵抗」という。
《その他》
(1)本明細書でいう「〜手段」を「〜ステップ」と読み替えることにより、本発明は、腐食評価システムのみならず、腐食評価方法としても把握される。判定手段(ステップ)や算出手段(ステップ)は、例えば、コンピュータにより実行されるプログラムとして構成される。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
腐食評価システムの概要を模式的に示す断面図である。 腐食環境(温度、湿度)と、腐食センサを用いて測定・算出された電位・分極抵抗との関係を示すグラフである。 腐食形態毎の分極曲線を示す模式図である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明の腐食センサのみならず、それを用いた腐食評価システム、腐食評価方法等にも適宜該当し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《腐食センサ》
腐食センサは、試料電極、参照電極および絶縁層を少なくとも備え、補助電極および絶縁層をさらに備えるとよい。また、腐食センサは、各電極を外部回路(測定装置等)に電気的に接続する手段(例えば、端子・リード等の配線)を備えるとよい。
(1)試料電極
試料電極は、腐食の評価対象である試料金属からなる。試料電極の形態は、評価対象に応じて適宜選択され得る。例えば、平板状の他、ブロック状、柱状、筒状、膜状等でもよい。通常、試料電極には、試料金属の板片を用いればよい。
試料金属は、評価対象に応じて選択され、鉄系、アルミニウム系、マグネシウム系、チタン系等のいずれの金属でもよい。なお、「〜系」とは純金属または合金を意味する。代表例は、鉄合金の一種である鋼材(炭素鋼、ステンレス鋼等)である。
(2)参照電極
参照電極は、電極電位が安定しており、腐食センサの電極として取扱性に優れる物質からなるとよい。参照電極は、高抵抗(低導電性)でもよく、金属に限らず、酸化物半導体や化合物を参照電極に用いてもよい。代表例として、参照電極は、銀−塩化銀からなる電極(Ag/AgCl電極)であるとよい。この他、参照電極には、白金(Pt)等の貴金属を用いてもよい。
(3)補助電極
補助電極は、腐食環境下でも、試料電極との間で安定した通電が確保される物質からなるとよい。補助電極には、高耐食性(不溶性または難溶性、試料電極よりも標準電極電位が貴)であると共に導電性に優れる物質を用いるとよい。代表例として、補助電極は、Pt電極であるとよい。この他、貴金属(Au、Ag等)、酸化物半導体、ニクタイド導電材等を補助電極に用いてもよい。なお、ニクタイド導電材は、例えば、TiP、FeTiP、XTiP(X:金属元素)等である。
(4)絶縁層
絶縁層には、種々の絶縁材を用いることができる。例えば、セラミックス、樹脂、紙等を絶縁層に用いてもよい。試料電極と補助電極の間に作用する電圧または印加される電圧は、通常、高々数V程度である。絶縁層の耐絶縁電圧は、例えば、10V程度で十分である。
試料電極と補助電極との間の通電(またはイオン伝導)や絶縁抵抗の低下は、それらの外周囲側が液体(液滴等)で架橋されている場合に限らず、絶縁層中に液体やその蒸気が内包されている場合にも生じ得る。そこで、腐食センサの使用環境(腐食環境)にも依るが、絶縁層は、通気性(例えば含水性)または通液性(例えば保湿性)を有する絶縁材が好ましい。例えば、絶縁層は、一方面側から他方面側に連通した細孔を有する多孔質体からなるとよい。多孔質体には、例えば、各種のスポンジやフィルターを用いることができる。
なお、試料電極と参照電極の間の絶縁層と、試料電極と補助電極の間の絶縁層とは、異種または異形態でもよいが、同種または同形態であると、取扱性や製作性の点で好ましい。
(5)配線
腐食センサは、各電極を外部回路(測定装置等)に電気的に接続する配線(端子、リード等/これらをまとめて、単に「配線」という。)を備えるとよい。配線形態は種々あり得る。端子数(配線数)は電極数と一致していてもよいし、それよりも多くてもよい。例えば、補助電極を設ける場合、合計で4端子(試料電極と参照電極の間の2端子+試料電極と補助電極の間の2端子)があってもよい。
《腐食評価システム》
参照電極に対する試料電極の電位を測定する電位測定手段は、例えば、電圧計である。試料電極と補助電極の間の電流量は、例えば、(無抵抗)電流計により測定される。これらの測定には、ポテンショスタットやガルバノスタットを用いてもよい。各測定手段は、汎用品で構成されてよいし、専用品(腐食評価用に開発された回路素子等)で構成されてもよい。
交流インピーダンス法により試料電極の分極抵抗を算出する場合なら、その分極抵抗算出手段は、例えば、ポテンショスタットと、周波数応答解析装置(FRA)または高速フーリエ変換アナライザ(FFT)と、演算装置(コンピュータ)とにより構成される。この場合、分極抵抗(電荷移動抵抗)は、例えば、低周波数(1mHz〜100mHz)と高周波数(1Hz〜10kHz)とにおけるインピーダンス差(実数成分の差)として求まる。
判定手段や腐食速度算出手段は、コンピュータとその実行プログラムとにより実現される。判定手段は、測定された試料電極の電位に基づいて、試料金属の腐食形態(腐食反応、腐食ステージ等)を判定する。この判定結果は、そのまま出力されてもよいし、腐食速度算出手段に反映されてもよい。例えば、腐食速度算出手段は、既に算出されている分極抵抗に基づいて腐食速度の指標値を算出する際に、その腐食形態を考慮して、係数の補正や変更を行ってもよい。
具体的にいうと、例えば、分極抵抗:Rp、腐食速度:Vcorr、比例係数:K、補正係数:α、試料電極の電位:E1(>s:閾値)、E2(<s)として、E1のときはVcorr =K/Rp、E2のときはVcorr =α・K/Rp とできる。電位が卑化したとき(E2<s)、腐食が促進される場合なら、α>1とするとよい。腐食の促進具合に応じて、さらに、α>10〜100としてもよい。
なお、分極抵抗の算出時等に試料電極と補助電極の間で通電する際、試料電極の電位は、腐食センサに設けた参照電極に対する電位でもよいし、ポテンショスタット等に接続した別の基準電極を利用してもよい。
《その他》
腐食センサは、一つの試料電極上に、絶縁層を介した参照電極または補助電極が複数配設されたものでもよい。腐食評価システムは、複数の腐食センサからの出力(電位)に基づいて、腐食形態等を総合的に判定してもよい。
《腐食評価システム》
本発明の一実施例である腐食評価システムMの縦断面図を図1に模式的に示した。腐食評価システムMは、腐食センサSと測定解析装置Dとを備える。腐食センサSは、試料電極1と、参照電極2と、補助電極3と、試料電極1と参照電極2の間に介装される絶縁層21と、試料電極1と補助電極3の間に介装される絶縁層31とを備える。なお、試料電極1、参照電極2および補助電極3は、それぞれの端子からリード12、22、32により、測定解析装置Dへ電気的に接続されている。
測定解析装置Dは、試料電極1と参照電極2の間の電位差の測定(電位測定手段)と、試料電極1と補助電極3の間のインピーダンスの測定とそのインピーダンスに基づく分極抵抗の算出(分極抵抗算出手段)を行う。測定解析装置Dは、具体的にいうと、ポテンショスタットと、ポテンショスタットへ正弦波信号(電圧、電流)を送ると共にその応答信号を受けるFRAと、FRAを制御すると共に分極抵抗を算出するコンピュータとを備える。なお、そのコンピュータ上で予め用意したプログラムを実行することにより、試料電極1の電位に基づく腐食形態の判定(判定手段)や、その分極抵抗に基づく腐食速度(指標値)の算出(腐食速度算出手段)等を行ってもよい。
《実験例》
(1)構成
大気雰囲気中で鋼材(試料金属)に生じる腐食を、腐食評価システムMを用いて評価した。
腐食センサSの試料電極1には、冷間圧延鋼板(SPC/5mm×30mm×1mm)を用いた。参照電極2には、表面を塩化銀で被覆した薄板状の銀片からなるAg/AgCl電極を用いた。補助電極3には、Pt電極(2mm×5mm×0.3mm)を用いた。絶縁層21、31には、吸湿性または通水性を有する多孔質体状の両面テープ(3M製「4390」/厚さ0.05mm)を用いた。絶縁層21と絶縁層31の大きさは、それぞれ、参照電極2と補助電極3の大きさに合わせた。
(2)腐食試験
腐食センサSに、大気環境を模擬した乾燥環境と湿潤環境に交互に曝す複合サイクル腐食試験に施した。複合サイクル腐食試験は、(a)60℃×約45%RHの大気雰囲気中に、腐食センサSを6時間保持する乾燥工程と、(b)50℃×約85%RHの大気雰囲気中に、腐食センサSを6時間保持する湿潤工程とを交互に繰り返して行った(1周期:12時間)。
試料電極1の電位(VS. 参照電極2)は腐食試験中、常時測定した。試料電極1の分極抵抗は、試料電極1と補助電極3の間で通電を行い、交流インピーダンス法により算出した。具体的にいうと、低周波数(100mHz)と高周波数(1Hz)におけるインピーダンスを測定し、それらの実部の差を分極抵抗とした。インピーダンスの測定および分極抵抗の算出は、低周波数を考慮して、30分毎に行った。
腐食センサSを曝した腐食環境(温度×湿度)と、各環境下における試料電極1の分極抵抗および電位とを、図2にまとめて示した。
(3)評価
図2から次のようなことがわかる。先ず、試験開始当初の試料電極1は、絶縁層21により絶縁された状態にあるから、その電位は測定されず、ほぼ零である。
しかし、試験開始後、直ぐに、試料電極1の電位が測定されるようになる。そして、湿潤環境下で電位は低下し(卑となり)、乾燥環境下で電位は上昇した(貴となった)。電位の変動幅は、初期(試験開始時〜20時間後まで)から中期(試験開始後の経過時間が125〜180時間)にかけて縮小傾向となった。
また、初期では、約1.5時間程度で電位が復帰したが、中期では電位の復帰に約2〜3時間程度要した。さらに、初期では分極抵抗の変動幅が大きかったが、中期になるとその変動が安定した。
後期になると、腐食環境の変化と、電位および分極抵抗の変化とが、ほぼ対応するようになった。但し、後期の中頃で、電位が極小値を示した。それ以降、電位と分極抵抗の波形が、それ以前の形態と異なるようになった。
(4)考察
環境変化と時間経過により試料電極1の電位が変動する理由について、図3を用いて考察する。図3は、試料電極1と補助電極3の間で生じていると考えられる腐食反応(酸化還元反応)を模式的に示した分極曲線である。図3の横軸は電位で、縦軸は電流の対数表示である。その横軸より上側の曲線は、試料電極1側で生じている腐食反応を示す局部アノード分極曲線である。横軸より下側の曲線は、補助電極3側で生じている腐食反応を示す局部カソード分極曲線である。
図3の上側に示した分極曲線は、初期の湿潤環境下における腐食反応を示している。この段階では、アノードである試料電極1上で、主にFe→Fe2+ +2e-という腐食反応(酸化反応)が生じる。カソードである補助電極3上では、環境中から取り込まれた蒸気(HO)と酸素(O)が還元されてOH-が生成される。
乾燥環境下になると、図3の下側に示す分極曲線のような腐食反応を起こすと考えられる。すなわち、環境中から供給されるHOが減り、オキシ水酸化鉄(FeOOH)が腐食反応に関与するようになる。このとき、試料電極1の電位の卑化が生じる。このような段階では、分極抵抗から予測される平均的な腐食速度(∝1/分極抵抗)では把握できない。つまり、局所的な腐食(孔食等)が加速的に進行し始めると考えられる。
腐食の進行するメカニズムは複雑であり、その詳細は必ずしも定かではない。しかし、電位が卑化したり極小値を示すようになる時期に、試料電極1に孔食等の局部腐食が発生し始めることを発明者は確認している。従って、本発明の腐食センサを用いて試料電極の電位をモニタリングすることにより、腐食反応または腐食形態の変化を検出できることは確かである。
M 腐食評価システム
D 測定解析装置
S 腐食センサ
1 試料電極
2 参照電極
3 補助電極
21、31 絶縁層

Claims (8)

  1. 腐食の評価対象である試料金属からなる試料電極と、
    該試料電極上に絶縁層を介して配設され、該試料電極の電位の基準となる参照電極と、
    を備える腐食センサ。
  2. 前記参照電極は、Ag/AgCl電極である請求項1に記載の腐食センサ。
  3. さらに、前記試料電極上に絶縁層を介して配設され、該試料電極と対をなして通電される補助電極を備える請求項1または2に記載の腐食センサ。
  4. 前記補助電極は、Pt電極である請求項3に記載の腐食センサ。
  5. 前記絶縁層は、通気性または通液性を有する絶縁材からなる請求項1〜4のいずれかに記載の腐食センサ。
  6. 前記試料金属は、鉄または鉄合金である請求項1〜5のいずれかに記載の腐食センサ。
  7. 請求項1に記載の腐食センサと、
    前記参照電極に対する前記試料電極の電位を測定する電位測定手段と、
    該試料電極の電位を閾値と比較して前記試料金属の腐食形態を判定する判定手段と、
    を備える腐食評価システム。
  8. 請求項3に記載の腐食センサと、
    前記参照電極に対する前記試料電極の電位を測定する電位測定手段と、
    該試料電極の電位を閾値と比較して前記試料金属の腐食形態を判定する判定手段と、
    該試料電極と前記補助電極の間で通電させて該試料電極の分極抵抗を算出する分極抵抗算出手段と、
    該腐食形態を考慮して該分極抵抗に基づいて腐食速度の指標値を算出する腐食速度算出手段と、
    を備える腐食評価システム。
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