JP2023116137A - 水素製造装置および水素製造装置の制御方法 - Google Patents

水素製造装置および水素製造装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素製造装置のエネルギー損失を抑制した上で、要求される水素の製造量に応じて供給される電力への追従性を向上させる。【解決手段】水素製造装置は、水素を製造する電解セルと、蓄熱と放熱とを行う蓄熱器と、電解セルと蓄熱器との間で熱交換を行わせる熱輸送部と、設定された範囲内で制御した電力を電解セルに供給して電解セルに水素を製造させると共に、蓄熱器の蓄熱と放熱とを制御する制御部と、を備え、制御部は、電解セルの水素製造時において、電解セルに供給される電力の大きさが、水素製造による吸熱反応の熱量と、電解セルの抵抗発熱による熱量との和であるセル熱収支がゼロになるサーモニュートラル点の電力の大きさよりも小さい場合に、蓄熱器に放熱させ、電解セルに供給される電力の大きさが、サーモニュートラル点の電力の大きさよりも大きい場合に、蓄熱器に蓄熱させる。【選択図】図1

Description

本発明は、水素製造装置および水素製造装置の制御方法に関する。
高温水蒸気を電気分解することにより水素を製造するSOEC(Solid Oxide Electrolyser Cell:固体酸化物形電解セル)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、水素が製造されると吸熱反応が発生し、電解電力に応じて電解質膜が発熱することが記載されている。また、吸熱反応の熱量と、電解質膜の発熱による熱量とが同じになり、水素製造中の電解質膜の温度が、電解質膜に電解電力を加えていない場合と同じになる熱中立点以下の場合に、電解質膜を加熱しないと電解効率が下がることが記載されている。
国際公開2017/149606号
特許文献1に記載された水電解装置は、2つの電解装置を備え、電解装置の加熱の時間に応じて変動する太陽光の再生エネルギーを利用している。この水電解装置では、熱中立点となる電解電力以上の電力を有する一定成分について、一方の電解装置により電気分解を行う。再生エネルギーに応じて変動する変動成分について、もう一方の電解装置により電気分解を行うことにより、入力電力への追従性を向上させている。しかしながら、変動成分に対応する一方の電解装置では、電解電力が供給されないと電解質膜の温度が低下する。そのため、温度が低下した電解質膜の温度を上昇させるために、または、電解電力が供給されない電解質膜の高い温度を維持するために、余分なエネルギーを必要とする。そのため、入力電力への追従性を向上させた上で、エネルギー損失の少ない水素の製造技術が望まれていた。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、水素製造装置のエネルギー損失を抑制した上で、要求される水素の製造量に応じて供給される電力への追従性を向上させることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
(1)本発明の一形態によれば、水素製造装置が提供される。この水素製造装置は、電気分解により水蒸気から水素を製造する電解セルと、蓄熱と放熱とを行う蓄熱器と、前記電解セルと前記蓄熱器とを接続し、前記電解セルと前記蓄熱器との間で熱交換を行わせる熱輸送部と、設定された範囲内で制御した電力を前記電解セルに供給して前記電解セルに水素を製造させると共に、前記蓄熱器の蓄熱と放熱とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電解セルの水素製造時において、前記電解セルに供給される電力の大きさが、水素製造による吸熱反応の熱量と、前記電解セルの抵抗発熱による熱量との和であるセル熱収支がゼロになるサーモニュートラル点の電力の大きさよりも小さい場合に、前記蓄熱器に放熱させ、前記電解セルに供給される電力の大きさが、前記サーモニュートラル点の電力の大きさよりも大きい場合に、前記蓄熱器に蓄熱させる。
この構成によれば、サーモニュートラル点を基準に電解セルが発熱する場合と吸熱する場合とを含む範囲内の電解電力が電解セルに供給される。電解セルにより水蒸気から水素が製造される際に、サーモニュートラル点を基準として蓄熱器の蓄熱と放熱とが制御される。セル熱収支がマイナスとなる場合に蓄熱器の放熱により電解セルが加熱され、セル熱収支がプラスとなる場合に蓄熱器の蓄熱により電解セルが冷却される。そのため、本構成の電解セルでは、サーモニュートラル点を維持するように加熱および冷却が行われるため、電解セルの温度変動が抑制される。要求される水素の製造量に応じて電解セルに供給される入力電力が変動した場合に、水素製造装置の外部から電解セルを加熱するためのエネルギーが投入されなくても、蓄熱器の蓄熱および放熱により電解セルの温度を一定範囲に維持できる。この結果、入力電力の変動に対する追従性が向上する。すなわち、本構成の水素製造装置では、エネルギー損失を抑制した上で、入力電力への追従性を向上させることができる。
(2)上記態様の水素製造装置において、前記制御部は、前記電解セルの水素製造時において、前記電解セルに供給される電力の大きさが、サーモニュートラル点の電力の大きさである場合に、前記蓄熱器に放熱させてもよい。
この構成によれば、電解セルに供給される電力の大きさが、サーモニュートラル点の電力と同一およびサーモニュートラル点の電力よりも小さい場合、すなわち、サーモニュートラル点以下の場合に、蓄熱器が放熱する。一方で、電解セルに供給される電力の大きさがサーモニュートラル点を超える場合に、蓄熱器が蓄熱する。そのため、本構成では、サーモニュートラル点を基準とした蓄熱器の蓄熱と放熱とをいずれか一方に切り替えることにより、電解セルの温度を一定範囲内に簡便に維持できる。
(3)上記態様の水素製造装置において、前記蓄熱器は、酸化反応と還元反応とを生じさせる化学エネルギーによる蓄熱と放熱とを行う蓄熱材を有していてもよい。
この構成によれば、蓄熱器の蓄熱と放熱と化学エネルギーが利用される。蓄熱材が高エクセルギーである化学エンタルピーとして蓄熱し、蓄熱した熱を放熱するため、本構成の水素製造装置のエネルギー損失を抑制できる。
(4)上記態様の水素製造装置において、さらに、前記電解セルへと供給される水蒸気を、液体の水を加熱することにより生成する水蒸気生成部と、前記電解セルにより製造された水素を貯蔵する水素貯蔵部と、を備え、前記蓄熱材は、前記水蒸気生成部で生成される水蒸気を用いた酸化反応により発熱反応を生じ、かつ、前記水素貯蔵部から供給される水素を用いた還元反応により吸熱反応を生じてもよい。
この構成によれば、蓄熱器の蓄熱と放熱とのそれぞれを行うために必要な水蒸気と水素とは、水素製造装置内で利用される物質である。そのため、蓄熱材の発熱反応と吸熱反応とに必要な反応物質を、他の装置等から得る必要がないため、水素製造装置を含むシステム全体を小型化できる。
(5)上記態様の水素製造装置において、前記熱輸送部は、前記電解セルに接続しているセル側導体と、前記蓄熱器に接続している蓄熱器側導体と、前記電解セルと前記蓄熱器との間に配置されて、前記セル側導体と前記蓄熱器側導体とを絶縁する絶縁体と、を有していてもよい。
この構成によれば、セル側導体と接続している電解セルと、蓄熱器側導体に接続している蓄熱器とは、絶縁体により絶縁されている。そのため、電解セルに供給された電力により発生した電流が、電解セルから蓄熱器へと流れることを抑制できる。
(6)上記態様の水素製造装置において、前記熱輸送部は、高熱伝導部材により形成されていてもよい。
この構成によれば、熱輸送部が高熱伝導部材であるため、蓄熱器の蓄熱時と放熱時との温度差を小さくできる。
(7)上記態様の水素製造装置において、前記電解セルは、水素の製造に加えて、水素を用いた発電が可能であり、前記制御部は、水素製造時に、前記電解セルに供給される前記範囲内の電力を前記サーモニュートラル点以下となる電力に制御し、かつ、前記蓄熱器に放熱させ、発電時に前記蓄熱器に蓄熱させてもよい。
この構成によれば、電解セルは水素を利用した発電と、水蒸気から水素を製造する水電解とをリバーシブルに行う。発電時には、水素と酸素との発熱反応が起こり、かつ、電解セルの抵抗発熱により、電解セルの温度が上昇するため、余剰発熱が発生している。本構成では、発電時の余剰発熱が、水素製造時の電解セルの加熱に利用される。そのため、本構成では、水素製造時に、サーモニュートラル点を維持するために電解セルに供給される電力を過剰に大きくして、過電圧損失により電解セルを発熱させる必要がない。この結果、サーモニュートラル点よりも小さい電力により水素を製造できるため、水素製造と発電とをリバーシブルに行うシステムにおいてラウンドトリップ効率を向上させることができる。
(8)上記態様の水素製造装置において、前記制御部は、水素製造時の前記電解セルの温度を、発電時の前記電解セルの温度よりも低くなるように制御してもよい。
この構成によれば、電解セルの発電時を高温側、水素製造時を低温側に作動させることにより、蓄熱時と放熱時とにおける蓄熱器の温度変化を小さくできる。本構成の水素製造装置において、水素製造から発電への切り替え直後では、急激な酸化により発熱量が増大し、局所的に集中した発熱が電解セルに発生する。一方、発電から水素製造への切り替え直後では、急激な還元により吸熱量が増大し、局所的に集中した吸熱が電解セルに発生する。これらの作動切り替え直後における局所的な発熱または吸熱に対して、本構成では、発熱時の電解セルの温度と、水素製造時の電解セルの温度とに差を持たせることにより、電解セルの顕熱変化を利用して、局所的な発熱および吸熱を緩和させることができる。換言すると、発電時の電解セルの温度を水素製造時よりも高くして蓄熱器の温度変化を抑制することにより、蓄熱器の顕熱変化による電解セルの温度の応答遅れを抑制できる。また、電解セルの顕熱変化を熱バッファとして除熱または加熱に利用できるため、発電と水素製造との作動切り替え直後における急激な温度変化を抑制できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、水素製造装置、水電解装置、SOEC、水素製造方法、水素製造装置の制御方法およびこれらの装置を備えるシステム、これら装置を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態としての水素製造装置の概略ブロック図である。 電解セルと蓄熱材との熱交換の説明図である。 電解セルと蓄熱材との熱交換の説明図である。 電解セルにおける発熱量と吸熱量との関係の説明図である。 第2実施形態の熱輸送部の説明図である。 図5におけるA-A断面の拡大概略図である。 第3実施形態のリバーシブルSOCの説明図である。 リバーシブルSOCにおける発熱量と吸熱量との関係の説明図である。 セルスタックと蓄熱器との温度差についての説明図である。 セルスタックと蓄熱器との温度差についての説明図である。 変形例における水素製造装置の制御方法のフローチャートである。
<第1実施形態>
1.水素製造装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態としての水素製造装置100の概略ブロック図である。水素製造装置100のセルスタック10は、供給された高温の水蒸気を電気分解することにより、水素を製造するSOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell)スタックである。本実施形態の水素製造装置100では、水素が製造される際の吸熱反応と、セルスタック10の熱抵抗による発熱との和である熱収支(セル熱収支)がゼロとなるサーモニュートラル点の電解電力を基準として、蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱とが制御される。サーモニュートラル点の電解電力のよりもセルスタック10に供給されている電解電力が小さい場合に、蓄熱器20A,20Bの放熱によりセルスタック10が加熱される。一方で、サーモニュートラル点の電解電力よりもセルスタック10に供給されている電解電力が大きい場合に、蓄熱器20A,20Bの蓄熱によりセルスタック10が冷却される。この結果、セルスタック10の温度が一定範囲に維持される。
図1に示されるように、水素製造装置100は、複数の電解セルが積層されたセルスタック10と、蓄熱と放熱とを行う蓄熱器20A,20Bと、液体の水を貯蔵している水タンク50と、液体の水を水蒸気へと気化させる蒸発凝縮器(水蒸気生成部)60と、製造された水素を貯蔵する水素タンク(水素貯蔵部)40と、バルブ切替器65と、各部を制御する制御部30と、を備えている。また、水素製造装置100は、図1に図示されていない熱輸送部を備えているが、熱輸送部の詳細については後述する。なお、図1に示される矢印は、蓄熱器20A,20Bの放熱時の配管内を流れる各気体の方向を表している。
セルスタック10は、供給される電解電力により水蒸気を電気分解して水素を製造する。セルスタック10と蓄熱器20A,20Bとは、図示されていない熱輸送部により接続されており、熱輸送部を介して熱交換を行う。本実施形態の蓄熱器20A,20Bは、同じ蓄熱器であるため、蓄熱器20Aについて説明し、蓄熱器20Bについての説明を省略する。
蓄熱器20Aには、水蒸気を用いた酸化反応により発熱反応を生じ、かつ、水素を用いた還元反応により吸熱反応を生じる蓄熱材が封入されている。すなわち、本実施形態の蓄熱材は、酸化反応と還元反応とを生じさせる化学エネルギーによる蓄熱と放熱とを行う。本実施形態の蓄熱材は、Fe34(酸化鉄(2,3))である。Fe34は、還元剤としての水素を供給された場合に下記式(1)に示される吸熱反応を生じさせる。また、下記式(1)により還元されたFeは、水が供給された場合に下記式(2)に示される発熱反応を生じさせる。
Figure 2023116137000002
Figure 2023116137000003
制御部30は、図1に示されるバルブ切替器65を制御することにより、蒸発凝縮器60に供給される水の流量と、電解セルと蓄熱器20A,20Bとのそれぞれに対する流量分配比と、蒸発凝縮器60で気化した水蒸気が通過する配管の接続と、水素タンク40から供給される水素が通過する配管の接続とを制御する。蒸発凝縮器60は、セルスタック
10により製造された高温の水素と熱交換することにより、水タンク50から供給された液体の水を加熱して水蒸気に変化させる。
図1に示される蓄熱器20A,20Bの放熱時では、制御部30の制御により、加熱された水蒸気は、蓄熱器20Aの第1出入口21と、セルスタック10の第1出入口11と、蓄熱器20Bの第1出入口23とに流入する。上記式(2)の蓄熱材の発熱反応により生成された水素は、蓄熱器20Aの第2出入口22と、蓄熱器20Bの第2出入口24とから排出され、セルスタック10の第1出入口11に水蒸気と共に流入する。
セルスタック10での高温水蒸気の電気分解により発生した水素は、セルスタック10の第2出入口12から排出されて、蒸発凝縮器60の熱交換により冷却されて、水素タンク40に流入する。セルスタック10の電気分解により発生した酸素は、空気中へと排出される。
図2および図3は、電解セル14と蓄熱材25との熱交換の説明図である。図2、3には、熱輸送部70により接続されている電解セル14と蓄熱材25との一部の概略斜視図が示されている。図2には、蓄熱器20Bの放熱時の状態における積層された2つの電解セル14が示されている。図3には、図2に対して蓄熱器20Bの蓄熱時の状態が示されている。図2,3に示される直交座標系CSは、セルスタック10と蓄熱器20Bとが並ぶ方向に平行なX軸と、奥行き方向に平行なY軸と、電解セル14および蓄熱材25の積層方向(厚さ方向)をZ軸とにより構成されている。
図2,3に示されるように、熱輸送部70は、積層された2つの電解セル14に挟まれ、かつ、積層された2つの蓄熱材25に挟まれている板状の部材である。なお、熱輸送部70は、図2では図示が省略されている蓄熱器20A側にも延伸して、蓄熱器20Bのように積層された2つの蓄熱材25に挟まれている。そのため、図2,3に示されるように、熱輸送部70を介して、電解セル14と、蓄熱器20A,20Bとの間で熱交換が行われる。具体的には、図2に示される蓄熱器20Bの放熱時には、蓄熱材25から電解セル14へと熱が移動する。図3に示される蓄熱器20Bの蓄熱時には、電解セル14から蓄熱材25へと熱が移動する。
図2,3に示されるように、電解セル14は、燃料側(アノード)141と酸素側(カソード)142との間に配置された電解質膜143を有している。電解セル14に電解電力が供給されることにより、燃料側141では、供給された高温水蒸気から水素が製造される。一方で、酸素側142では、供給された高温水蒸気から酸素が製造される。
制御部30は、予め設定された範囲内で制御した電力をセルスタック10に供給して電解セル14に水素を製造させる。また、制御部30は、蓄熱材25に供給される水の流量と、水素の流量とを制御することにより、蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱とを制御する。本実施形態の制御部30は、電解セルに供給される電解電力の大きさ(絶対値)に応じて、蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱とを切り替える。電解電力の絶対値が大きくなると、電解セル14の抵抗熱等が増加して発熱量が増加する。一方で、電解電力の絶対値が小さくなると、水素の製造量の増加に伴って吸熱反応が進むため、吸熱量が増加する。
図4は、電解セル14における発熱量と吸熱量との関係の説明図である。図4には、電解セル14の温度が摂氏700度(℃)の場合に、電解セル14に供給される電流密度に応じて変化する発熱量としての熱流束(Heat Flux)の変化曲線C1(実線)と、水素製造または水素消費に伴うエントロピーTΔSの変化直線L1(破線)と、熱収支の変化曲線C2(一点鎖線)とが示されている。熱収支の変化曲線C2は、変化曲線C1と、変化直線L1との和である。制御部30は、電解電力の範囲として、図4でハッチングにより
示された-2.16(A/cm2)以上-0.1(A/cm2)以内の範囲でセルスタック10に電力を供給する。換言すると、要求される水素の製造量に対して、-2.16(A/cm2)以上-0.1(A/cm2)以内の範囲で電解電力が追従する。なお、図4では、SOECが発電する際の電流密度を正と定義しているため、SOECが水素を製造する場合の供給される電流密度は負として表されている。
図4に示されるように、変化曲線C1で表される発熱量は、電流密度がゼロのときに最小値のゼロであり、電流密度の絶対値が大きくなるにつれて増加する。変化直線L1で表させるエントロピーTΔSは、電流密度の増加に応じて一定の割合で増加する。エントロピーTΔSは、電流密度がマイナスである水素製造時にマイナスであり、電流密度がプラスである水素を用いた発電時にプラスになる。変化曲線C2で表される熱収支は、電流密度が-2.16(A/cm2)の場合にプラスであり、電流密度がゼロに近づくにつれ減少し、電流密度が-1.65(A/cm2)の場合にゼロとなる。その後も熱収支は、電流密度がゼロに近づくにつれて減少し、約-0.7(A/cm2)の場合に最小値となり、そこから電流密度がゼロに近づくにつれて増加する。
本実施形態の制御部30は、熱収支がゼロとなるサーモニュートラル点、すなわち、電流密度が-1.65(A/cm2)を基準として、蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱とを制御する。具体的には、制御部30は、電流密度の大きさが-1.65(A/cm2)以上の場合に、蓄熱材25に水を供給することにより蓄熱器20A,20Bを放熱させ、セルスタック10を加熱する。一方で、制御部30は、電流密度の大きさが-1.65(A/cm2)未満の場合に、蓄熱材25に水素を供給することにより蓄熱器20A,20Bを蓄熱させ、セルスタック10を冷却する。換言すると、制御部30は、熱収支がサーモニュートラル点の電力の絶対値以上の場合に蓄熱器20A,20Bを放熱させ、熱収支がサーモニュートラル点の電力の絶対値未満の場合に蓄熱器20A,20Bを蓄熱させる。
図4に示される本実施形態の一例では、制御範囲内で電流密度の絶対値が最も大きい-2.16(A/cm2)の場合に、電解セル14に印加される電圧が1.38(V)であり、電力密度が0.2(W/cm2)である。サーモニュートラル点の電解電力の出力を1.0とした場合に、電流密度が-2.16(A/cm2)の場合の出力比は1.5であった。一方で、制御範囲内で電流密度の絶対値が最も小さい-0.7(A/cm2)の場合に、電解セル14に印加される電圧が1.06(V)であり、電力密度が0.12(W/cm2)である。この場合のサーモニュートラル点の電解電力の出力を1.0とした場合に、電流密度が-0.7(A/cm2)の場合の出力比は0.2である。
熱輸送部70の材質や大きさに応じて、セルスタック10と蓄熱器20A,20Bとの熱交換により伝わる熱量が変化する。セルスタック10の温度をできるだけ一定に維持したい場合には、熱輸送部70が高熱伝導部材であることが好ましい。ここで、セルスタック10の温度と、蓄熱器20A,20Bとの温度差をΔTと定義する。さらに、熱輸送部70が接続するセルスタック10と蓄熱器20A,20BとのX軸方向(図2,3)における熱伝導部材距離L(m)と、熱輸送部70のZ軸方向における厚さδ(m)、熱輸送部70の単位奥行き長さ当たりの輸送熱量Q(W/m)とする。熱輸送部70の材質の熱伝導率をλとすると、下記式(3)の関係が成立する。
Figure 2023116137000004
電流密度の絶対値がサーモニュートラル点の電流密度以上の場合、セルスタック10か
ら蓄熱器20A,20Bへと輸送される熱輸送量Qhとすると、この場合の温度スイング幅ΔThは、下記式(4)のように表される。同じように、電流密度の絶対値がサーモニュートラル点の電流密度未満の場合、蓄熱器20A,20Bからセルスタック10へと輸送される熱輸送量Qlとすると、この場合の温度スイング幅ΔTlは、下記式(5)のように表される。
Figure 2023116137000005
Figure 2023116137000006
水素製造時のセルスタック10の温度を一定温度として温度スイング幅ΔTtで蓄熱器20A,20Bの放熱と蓄熱とが行われる場合、下記式(6)に表される関係が導かれる。
Figure 2023116137000007
なお、下記式(7)で表される関係は、セルスタック10の温度と、蓄熱器20A,20Bの温度との温度関係を決める条件である。
Figure 2023116137000008
上記式(4)~(6)から、セルスタック10の温度を温度スイング幅ΔTt以内に維持するための熱輸送部70の厚さδは、下記式(8)のように表される。本実施形態では、定められた温度スイング幅ΔTtから、下記式(8)に示される厚さδを満たす熱輸送部70を高熱伝導部材として扱う。
Figure 2023116137000009
以上説明したように、本実施形態の水素製造装置100は、複数の電解セル14が積層されたセルスタック10と、蓄熱器20A,20Bと、電解セル14と蓄熱器20A,20Bとの間で熱交換を行わせる熱輸送部70と、制御部30と、を備えている。制御部30は、設定された範囲内で制御した電力をセルスタック10に供給して電解セル14に水素を製造させる。制御部30は、水素が製造される際の吸熱反応と、セルスタック10の熱抵抗による発熱との和である熱収支がゼロとなるサーモニュートラル点の電力の大きさよりも小さい場合に蓄熱器20A,20Bを放熱させる。制御部30は、当該熱収支がゼロとなるサーモニュートラル点の電力の大きさよりも大きい場合に蓄熱器20A,20Bを蓄熱させる。そのため、本実施形態の水素製造装置100では、サーモニュートラル点を基準に電解セル14が発熱する場合と吸熱する場合とを含む範囲内の電解電力が電解セ
ル14に供給される。電解セル14により水蒸気から水素が製造される際に、サーモニュートラル点を基準として蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱とが制御される。熱収支がマイナスとなる場合に蓄熱器20A,20Bの放熱により電解セル14が加熱され、熱収支がプラスとなる場合に蓄熱器20A,20Bの蓄熱により電解セル14が冷却される。そのため、電解セル14では、サーモニュートラル点を維持するように加熱および冷却が行われるため、電解セル14の温度変動が抑制される。要求される水素の製造量に応じて電解セル14に供給される入力電力が変動した場合に、水素製造装置100の外部から電解セル14を加熱するためのエネルギーが投入されなくても、蓄熱器20A,20Bの蓄熱および放熱により電解セル14の温度を一定範囲に維持できる。この結果、入力電力の変動に対する追従性が向上する。すなわち、本実施形態の水素製造装置100では、エネルギー損失を抑制した上で、要求される水素の製造量に応じて供給される電力への追従性を向上させることができる。
また、本実施形態の制御部30は、制御部30は、熱収支がサーモニュートラル点の電力の絶対値と同じ場合にも蓄熱器20A,20Bを放熱させる。そのため、本実施形態では、サーモニュートラル点を基準とした蓄熱器の蓄熱と放熱とをいずれか一方に切り替えることにより、電解セルの温度を一定範囲内に簡便に維持できる。
また、本実施形態の蓄熱材25は、酸化反応と還元反応とを生じさせる化学エネルギーによる蓄熱と放熱とを行う。すなわち、蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱と化学エネルギーが利用される。蓄熱材25が高エクセルギーである化学エンタルピーとして蓄熱し、蓄熱した熱を放熱するため、水素製造装置100のエネルギー損失を抑制できる。
また、本実施形態の蓄熱器20A,20Bには、水蒸気を用いた酸化反応により発熱反応を生じ、かつ、水素を用いた還元反応により吸熱反応を生じる蓄熱材25が封入されている。すなわち、蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱とのそれぞれを行うために必要な水蒸気と水素とは、水素製造装置100内で利用される物質である。そのため、蓄熱材25の発熱反応と吸熱反応とに必要な反応物質を、他の装置等から得る必要がないため、水素製造装置100を含むシステム全体を小型化できる。
また、本実施形態の熱輸送部70は、高熱伝導部材として形成されているため、蓄熱器20A,20Bの蓄熱時と放熱時との温度差を小さくできる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の熱輸送部70aの説明図である。図5には、第1実施形態の図2に対応する、蓄熱器20Bが放熱している状態が示されている。第2実施形態の水素製造装置100aでは、第1実施形態の水素製造装置100と比較して、熱輸送部70aの構成が異なり、他の構成については第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態では、第1実施形態と異なる熱輸送部70aについて説明し、第1実施形態と同じ構成についての説明を省略する。
図6は、図5におけるA-A断面の拡大概略図である。図6には、図5におけるA-A断面の一部が示されている。図6に示されるように、第2実施形態の熱輸送部70aは、電解セル14に接続しているセル側導体71と、蓄熱器20Bに接続している蓄熱器側導体72と、電解セル14と蓄熱器20Bとの間に配置されてセル側導体71と蓄熱器側導体72とを絶縁する絶縁体73と、を備えている。
そのため、第2実施形態の水素製造装置100aでは、セル側導体71と接続している電解セル14と、蓄熱器側導体72に接続している蓄熱器20A,20Bとは、絶縁体73により絶縁されている。この結果、セルスタック10に供給された電力により発生した電流が、電解セル14から蓄熱器20A,20Bへと流れることを抑制できる。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態のリバーシブルSOC(水素製造装置)100bの説明図である。第3実施形態のリバーシブルSOC100bは、電気分解により水蒸気から水素を製造するSOECとして機能し、かつ、水素を用いて発電するSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)としても機能する。図7には、第1実施形態の図3に対応し、リバーシブルSOC100bがSOFCとして機能している状態が示されている。第3実施形態では、第1実施形態と比較して、制御部30による蓄熱器20A,20Bの蓄熱と放熱との制御と、熱輸送部70bの材質がSiC(炭化ケイ素)であることが異なる。そのため、第3実施形態では、第1実施形態と異なる制御および熱輸送部70bについて説明し、第1実施形態と同じ制御等についての説明を省略する。
第3実施形態では、制御部30は、水素製造時に蓄熱器20A,20Bに放熱させ、発電時に蓄熱器20A,20Bに蓄熱させる。制御部30は、水素製造時に、電解セル14に供給される電力の範囲を、サーモニュートラル点以下となる電力の範囲に限定する。すなわち、水素製造時のリバーシブルSOC100bでは、電解セル14の熱収支が常にゼロ以下である。
図8は、リバーシブルSOC100bにおける発熱量と吸熱量との関係の説明図である。図8には、第1実施形態の図4に対して、電解セル14の発電時の発熱量も記載された熱流束の変化が示されている。図8に示されるように、変化曲線C1で表される発熱量は、電解セル14が発電を開始する電流密度がゼロ以上の時に、電流密度が大きくなるにつれて増加する。変化直線L1で表されるエントロピーTΔSは、電流密度がゼロ以上の時に水素を用いた発電による発熱反応により、電流密度が大きくなるにつれて増加する。この結果、変化曲線C2で表される熱収支は、発電時において、常にゼロ以上であり、電流密度が大きくなるにつれて増加する。第3実施形態では、発電時の発熱量が蓄熱器20A,20Bに蓄熱される。
一方の電解セル14における水素製造時には、図8に示されるように、制御部30は、変化曲線C2で表される熱収支が常にゼロ以下となる電力を電解セル14に供給する。具体的には、制御部30は、-1.65(A/cm2)以上0.85(A/cm2)以下の範囲内の電流を電解セル14に供給する。そのため、水素製造時のセルスタック10の温度を一定が維持されるためには、蓄熱器20A,20B等からの放熱が必要となる。
第3実施形態では、制御部30は、水素製造時の前記電解セルの温度を、発電時の前記電解セルの温度よりも低くなるように制御する。具体的に第3実施形態の例では、水素製造時のセルスタック10bの温度は650(℃)近傍に制御され、発電時のセルスタック10の温度は、水素製造時の温度よりも高い700(℃)近傍で制御される。この結果、セルスタック10と蓄熱器20A,20Bとの温度差ΔT(式(3))を確保できる。
図9および図10は、セルスタック10と蓄熱器20Aとの温度差ΔTについての説明図である。図9,10には、発電時のセルスタック10の温度を700(℃)に固定した場合の発電時および水素製造時における電解セル14の温度変化と、蓄熱器20Aの温度変化とが示されている。図9,10では、X軸に沿った位置に応じて変化する発電時の温度変化が実線で示され、水素製造時の温度変化が破線で示されている。
図9には、熱輸送部70bの材質がSiCである場合に、熱輸送部70bの厚さδが5種類の3.0,2.0,1.0,0.5,0.25(mm)のそれぞれの場合における、発電時の温度の変化曲線C11,C12,C13,C14,C15と、水素製造時の温度
の変化曲線C21,C22,C23,C24,C25とが示されている。同じように、図10には、熱輸送部70bの材質がSUS(Steel Special Use Stainless)である場合に、熱輸送部70bの厚さδが5種類の3.0,2.0,1.0,0.5,0.25(mm)のそれぞれの場合における、発電時の温度の変化曲線C31,C32,C33,C34,C35と、水素製造時の温度の変化曲線C41,C42,C43,C44,C45とが示されている。
図9,10に示される蓄熱器20AのX軸に沿う長さは50(mm)である。セルスタック10のX軸に沿う長さは100(mm)であり、右半分の50(mm)が図9,10の左側(X軸の-10mm以下)に「セルスタック半中」として示されている。セルスタック10と蓄熱器20Aとの間に存在する熱輸送部70bのX軸に沿う長さは10(mm)である。
図9,10の変化曲線C11~C15,C31~35に示されるように、700(℃)のセルスタック10から蓄熱器20Aへと熱輸送が行われる場合のスイング幅ΔTh(式(4))は、熱輸送部70bの厚さδが厚いほど小さくなる。同じように、変化曲線C21~C25,C41~45に示されるように、蓄熱器20Aからセルスタック10へと熱輸送が行われる場合のスイング幅ΔTl(式(5))は、熱輸送部70bの厚さが厚いほど小さくなる。上記式(4),(5)に示されるように、熱輸送部70bの熱伝達率が小さいほどスイング幅ΔTh,ΔTlが小さくなる。そのため、SUS(図10)よりも熱伝達率λが大きいSiCのスイング幅ΔTh,ΔTlが小さくなる。すなわち、熱輸送部70bに高熱伝導材料を用いることにより、スイング幅ΔTh,ΔTlを小さくできる。
以上説明したように、第3実施形態のリバーシブルSOC100bは、リバーシブルSOC100bは、電気分解により水蒸気から水素を製造するSOECとして機能し、かつ、水素を用いて発電するSOFCとしても機能する。制御部30は、水素製造時に、電解セル14に供給される電力の範囲を、サーモニュートラル点以下となる電力の範囲に限定する。そのため、第3実施形態の電解セル14の発電時には、水素と酸素との発熱反応が起こり、かつ、電解セル14の抵抗発熱により、電解セル14の温度が上昇するため、余剰発熱が発生している。第3実施形態では、発電時の余剰発熱が、水素製造時の電解セル14の加熱に利用される。そのため、第3実施形態のリバーシブルSOC100bでは、水素製造時に、サーモニュートラル点を維持するために電解セル14に供給される電流密度の大きさを過剰に大きくして、過電圧損失により電解セル14を発熱させる必要がない。この結果、リバーシブルSOC100bは、サーモニュートラル点よりも小さい絶対値の電流密度により水素を製造できるため、水素製造と発電とをリバーシブルに行う水素製造システムにおけるラウンドトリップ効率が向上する。
また、第3実施形態の制御部30は、水素製造時の前記電解セルの温度を、発電時の前記電解セルの温度よりも低くなるように制御する。すなわち、第3実施形態では、電解セル14の発電時を高温側、水素製造時を低温側に作動させることにより、蓄熱時と放熱時とにおける蓄熱器20A,20Bの温度変化を小さくできる。リバーシブルSOC10bにおける水素製造から発電への切り替え直後では、急激な酸化により発熱量が増大し、局所的に集中した発熱が電解セル14に発生する。一方、発電から水素製造への切り替え直後では、急激な還元により吸熱量が増大し、局所的に集中した吸熱が電解セル14に発生する。発電と水素製造との作動切り替え直後における局所的な発熱または吸熱に対して、第3実施形態では、発熱時の電解セル14の温度と、水素製造時の電解セル14の温度とに差を持たせることにより、電解セル14の顕熱変化を利用して、局所的な発熱および吸熱を緩和させることができる。換言すると、発電時の電解セル14の温度を水素製造時よりも高くして蓄熱器20A,20Bの温度変化を抑制することにより、蓄熱器20A,20Bの顕熱変化による電解セル14の温度の応答遅れを抑制できる。また、電解セル14
の顕熱変化を熱バッファとして除熱または加熱に利用できるため、発電と水素製造との作動切り替え直後における急激な温度変化を抑制できる。
<上記実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。また、上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
<変形例1>
上記第1実施形態および第2実施形態の水素製造装置100,100aと、第3実施形態のリバーシブルSOC100bとは、一例であって、水素製造装置の構成および制御等については変形可能である。上記第1実施形態では、蓄熱器20A,20Bが備える蓄熱材25として、上記式(1),(2)の反応を生じさせるFe34が用いられたが、蓄熱と放熱とを行う蓄熱材25については変形可能である。例えば、水素が供給されることにより、下記式(9)の反応を生じさせるメタンハイドレード系の材料が用いられてもよい。また、二酸化炭素が供給されることにより、下記式(10)に示されるカーボネート系の材料が用いられてもよい。また、下記式(11)に示されるRedox金属酸化物系の材料が用いられてもよい。
Figure 2023116137000010
Figure 2023116137000011
Figure 2023116137000012
上記第1実施形態の制御部30は、熱収支がサーモニュートラル点の電力の絶対値以上の場合に蓄熱器20A,20Bを放熱させ、熱収支がサーモニュートラル点の電力の絶対値の場合に蓄熱器20A,20Bを蓄熱させたが、サーモニュートラル点を基準とした蓄熱と放熱との制御については変形可能である。例えば、熱収支がサーモニュートラル点の電力と同じ場合に、制御部30は、蓄熱器20A,20Bを蓄熱させてもよいし、蓄熱と放熱とのいずれも行わなくてもよい。制御部30は、熱収支がサーモニュートラル点よりも大きい絶対値の電力の場合に蓄熱器20A,20Bを蓄熱させればよい。同じように、制御部30は、熱収支がサーモニュートラル点よりも小さい絶対値の電力の場合に蓄熱器20A,20Bを放熱させればよい。上記第1実施形態では、電力の制御方法として、電解セル14の電流密度が制御されたが、他の方法により制御されてもよい。例えば、電解セル14に印加される電圧が制御されることにより、電解セル14およびセルスタック10に供給される電力が制御されてもよい。
電解セル14の水素製造時の温度および発電時の温度については変形可能である。水素製造時の電解セル14の温度は、700(℃)および650(℃)でなくてもよく、7000(℃)を超えてもよく、650(℃)未満でもよく、650(℃)以上700(℃)未満であってもよい。同じように、発電時の電解セル14の温度は700(℃)以外の温
度もよく、水素製造時の温度よりも高くなくてもよい。熱輸送部70に用いられる材質は、高熱伝導部材ではなくてもよく、例えば低熱伝導部材であってもよい。熱輸送部70の材質は、温度スイング幅ΔTtが与えられた場合に、必ずしも上記式(8)を満たさない材質であってもよい。
上記第1実施形態では、図2,3に示されるように、積層された各電解セル14の間と、各蓄熱材25との間とに熱輸送部70が配置されたが、熱輸送部70の形状および配置される位置については変形可能である。異なる形状および材質の熱輸送部70が、各電解セル14の間と、各蓄熱材25の間とに配置されていてもよい。また、各電解セル14の間と、各蓄熱材25との間との代わりに、例えば、3つの電解セル14と、3つの蓄熱材25とを1セットとして、1セット間ごとに熱輸送部70が配置されてもよい。また、積層方向に沿う電解セル14の厚さと、蓄熱材25との厚さが異なっていてもよい。この場合に、熱輸送部70は、図2,3に示されるように、積層方向に直交する面方向に延びる板状の部材ではなく、例えば、積層方向に沿った鉛直方向の接続部を有する階段状の形状であってもよい。図1に示されるバルブ切替器65は、電解セルと蓄熱器20A,20Bとのそれぞれに対する流量分配比を制御する範囲で、周知の流量制御装置を適用できる。
上記第2実施形態では、セル側導体71と、蓄熱器側導体72とのいずれもが導体であったが、一方または両方が導体以外であってもよい。また、セル側導体71と、蓄熱器側導体72との形状は、板状でなくてもよい。絶縁体73の形状として、セル側導体71と、蓄熱器側導体72とを絶縁する範囲で、周知の形状を適用できる。
<変形例2>
図11は、変形例における水素製造装置100の制御方法のフローチャートである。図11に示される制御フローでは、初めに、水素製造装置100が水素の製造を開始する(ステップS1)。水素製造装置100は、要求される水素の製造量に応じた電解電力を取得する(ステップS2)。制御部30は、取得された電解電力の熱収支がゼロ以上であるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、制御部30は、電解電力が、熱収支がゼロになるサーモニュートラル点の電力の絶対値以上であるか否かを判定する。熱収支がゼロ以上であると判定された場合には(ステップS3:YES)、制御部30は、蓄熱器20A,20Bに蓄熱させる蓄熱工程を行う。蓄熱工程では、電解セル14と蓄熱器20A,20Bとを接続する熱輸送部70を介して、電解セル14と蓄熱器20A,20Bとの間で熱交換が行われることにより、蓄熱器20A,20Bが蓄熱する。
ステップS3の処理において、熱収支がゼロ未満であると判定された場合には(ステップS3:NO)、制御部30は、熱輸送部70を介した電解セル14と蓄熱器20A,20Bとの熱交換により、蓄熱器20A,20Bに放熱させる放熱工程を行う(ステップS5)。ステップS4またはステップS5の処理が行われると、水素製造装置100は、水素の製造を終了するか否かを判定する(ステップS6)。水素製造装置100は、制御部30が受け付けた操作内容に応じて、水素製造の終了を決定する。水素製造を終了しない場合には(ステップS6:NO)、ステップS3以降の処理が繰り返される。水素製造を終了すると判定した場合には(ステップS6:YES)、水素製造装置100は、水素製造を終了する。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
10,10b…セルスタック
11…セルスタックの第1出入口
12…セルスタックの第2出入口
14…電解セル
20A,20B…蓄熱器
21,23…蓄熱器の第1出入口
22,24…蓄熱器の第2出入口
25…蓄熱材
30…制御部
40…水素タンク(水素貯蔵部)
50…水タンク
60…蒸発凝縮器(水蒸気生成部)
65…バルブ切替器
70,70a,70b…熱輸送部
71…セル側導体
72…蓄熱器側導体
73…絶縁体
100,100a…水素製造装置
100b…リバーシブルSOC(水素製造装置)
141…電解セルの燃料側
142…電解セルの酸素側
143…電解セルの電解質膜
C1,C2,C11~C15,C21~C25,C31~C35,C41~C45…変化曲線
CS…直交座標系
L1…変化直線

Claims (9)

  1. 水素製造装置であって、
    電気分解により水蒸気から水素を製造する電解セルと、
    蓄熱と放熱とを行う蓄熱器と、
    前記電解セルと前記蓄熱器とを接続し、前記電解セルと前記蓄熱器との間で熱交換を行わせる熱輸送部と、
    設定された範囲内で制御した電力を前記電解セルに供給して前記電解セルに水素を製造させると共に、前記蓄熱器の蓄熱と放熱とを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記電解セルの水素製造時において、
    前記電解セルに供給される電力の大きさが、水素製造による吸熱反応の熱量と、前記電解セルの抵抗発熱による熱量との和であるセル熱収支がゼロになるサーモニュートラル点の電力の大きさよりも小さい場合に、前記蓄熱器に放熱させ、
    前記電解セルに供給される電力の大きさが、前記サーモニュートラル点の電力の大きさよりも大きい場合に、前記蓄熱器に蓄熱させる、水素製造装置。
  2. 請求項1に記載の水素製造装置であって、
    前記制御部は、前記電解セルの水素製造時において、前記電解セルに供給される電力の大きさが、サーモニュートラル点の電力の大きさである場合に、前記蓄熱器に放熱させる、水素製造装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の水素製造装置であって、
    前記蓄熱器は、酸化反応と還元反応とを生じさせる化学エネルギーによる蓄熱と放熱とを行う蓄熱材を有する、水素製造装置。
  4. 請求項3に記載の水素製造装置であって、さらに、
    前記電解セルへと供給される水蒸気を、液体の水を加熱することにより生成する水蒸気生成部と、
    前記電解セルにより製造された水素を貯蔵する水素貯蔵部と、
    を備え、
    前記蓄熱材は、前記水蒸気生成部で生成される水蒸気を用いた酸化反応により発熱反応を生じ、かつ、前記水素貯蔵部から供給される水素を用いた還元反応により吸熱反応を生じる、水素製造装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の水素製造装置であって、
    前記熱輸送部は、
    前記電解セルに接続しているセル側導体と、
    前記蓄熱器に接続している蓄熱器側導体と、
    前記電解セルと前記蓄熱器との間に配置されて、前記セル側導体と前記蓄熱器側導体とを絶縁する絶縁体と、
    を有する、水素製造装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の水素製造装置であって、
    前記熱輸送部は、高熱伝導部材により形成されている、水素製造装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の水素製造装置であって、
    前記電解セルは、水素の製造に加えて、水素を用いた発電が可能であり、
    前記制御部は、
    水素製造時に、前記電解セルに供給される前記範囲内の電力を前記サーモニュートラ
    ル点以下となる電力に制御し、かつ、前記蓄熱器に放熱させ、
    発電時に前記蓄熱器に蓄熱させる、水素製造装置。
  8. 請求項7に記載の水素製造装置であって、
    前記制御部は、水素製造時の前記電解セルの温度を、発電時の前記電解セルの温度よりも低くなるように制御する、水素製造装置。
  9. 電気分解により水蒸気から水素を製造する電解セルと、蓄熱と放熱とを行う蓄熱器と、予め設定された範囲内で制御した電力を前記電解セルに供給して前記電解セルに水素を製造させる制御部と、を備える水素製造装置の制御方法であって、
    前記制御部は、前記電解セルの水素製造時において、前記電解セルに供給される電力の大きさが、水素製造による吸熱反応の熱量と、前記電解セルの抵抗発熱による熱量との和であるセル熱収支がゼロになるサーモニュートラル点の電力の大きさよりも小さい場合に、前記電解セルと前記蓄熱器とを接続する熱輸送部を介して、前記電解セルと前記蓄熱器との間で熱交換を行わせることにより、前記蓄熱器に放熱させる放熱工程と、
    前記制御部は、前記電解セルに供給される電力の大きさが、前記サーモニュートラル点の電力の大きさよりも大きい場合に、前記熱輸送部を介した前記熱交換により、前記蓄熱器に蓄熱させる蓄熱工程と、
    を備える、制御方法。
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