JP2023115776A - 異常予兆診断システム、異常予兆診断装置およびその診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁を分解することなく、高い精度で弁の動的機能および流体を閉止する機能の劣化予兆診断を行えるようにする。【解決手段】異常予兆診断システムは、弁体と弁座の摺動部の弁座摺動音と弁座摺動音以外の構成部品の摺動音を検出する複数の音響センサ2と、音響センサの検出信号を処理する信号処理部9と、複数の音響センサの検出信号と摺動音の伝播率とを解析して音響センサの検出信号から弁座摺動音を抽出し、抽出した弁座摺動音のスペクトル強度から摺動部の作動回数または運転時間を求め、摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定する分析部11と、作動回数または運転時間、漏洩量、面粗さ、または摩擦係数から弁の流体を閉止する機能および動的機能に関する正常か否かを含む劣化の予兆を判定して、弁の分解を含むメンテナンス時期を予測する判定部16と、を備える。【選択図】 図3

Description

本発明は、弁等に用いられている摺動部の異常予兆診断システム、異常予兆診断装置およびその診断方法に関する。
流体の流れを閉止する機能を持つ弁は、駆動部により弁体と弁座の間の流路を閉じることで、流体の流れを止めると共に、弁から流体が漏れ出ることを防いでいる。
例えば、電動弁では、モータの回転駆動力の方向を90°変化させるウォームギア、回転駆動力を直進駆動力に変換する弁棒のネジ部、直進運動する軸表面からの流体の漏洩を防止するグランドパッキン部、弁体と弁座の摺動部であるシート部等から構成される要素が連動することで流体の流れを止めるが、それぞれの要素において摺動が発生している。これらの摺動部では、摩擦による摺動部の劣化が生じ、シート部からの漏洩のリスクおよび駆動力の損失が大きくなる。
また、空気作動弁では、ウォームギアの代わりに、ピストンシール部の摺動劣化が生じる。
上記の摺動部は作動回数に応じて摺動劣化が生じるため、分解点検により、摺動劣化が進む弁を抽出し、部品交換および整備を実施することで、弁の不具合発生を防止している。しかし、分解点検には多くの労力と費用が必要となる。
原子力発電設備においても、事故を未然に防止するために定期検査において、弁の分解点検が実施されているが、大口径弁の分解点検はクレーンを必要とし、膨大な労力、コストが必要となる。また、放射線量が高い系統に設置される弁の分解点検においては被ばく量が高くなる場合がある。
このため、駆動部のモータの電流値計測により弁の動作性を診断する装置(特許文献1)や、音響センサにより流体力による弁棒の損傷および疲労を診断する装置(特許文献2)や、真空弁の少なくとも1つの構成要素において発生する固体伝播音に関する情報を測定信号とする音響センサ(特許文献3)が開発され、定期検査の工数や実施回数を減らしている。
特開2006-083928号公報 特表2014-521045号公報 特表2020-525720号公報
上記の先行技術では、音響センサによる弁の異常検知または状態監視のシステムが、流量調節弁において流体の作用による振動や亀裂、変形に起因する音響放出を利用し、正常状態からの逸脱や疲労を検知することにより弁の故障について診断する。そのため、流量調節機能および弁の構造的欠陥の発生については診断できるが、弁(流体を閉止する機能)の診断は完全ではない。
本発明の目的は、弁を分解することなく、高い精度で弁の動的機能および流体を閉止する機能の劣化予兆診断を行えるようにすることにある。
前記課題を解決するため、本発明の異常予兆診断システムは、弁に取り付けられ、弁体と弁座の摺動部の弁座摺動音と前記弁座摺動音以外の構成部品の摺動音を検出する複数の音響センサと、前記音響センサの検出信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部で処理された複数の前記音響センサの検出信号と摺動音の伝播率とを解析して前記音響センサの検出信号から前記弁座摺動音を抽出し、抽出した前記弁座摺動音のスペクトル強度から前記摺動部の作動回数または運転時間を求め、前記摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定する分析部と、前記分析部で求めた前記摺動部の作動回数または運転時間、漏洩量、面粗さ、または摩擦係数から弁の流体を閉止する機能および動的機能に関する正常か否かを含む劣化の予兆を判定して、弁の分解を含むメンテナンス時期を予測する判定部と、を備えるようにした。
本発明によれば、弁を分解することなく、高い精度で弁の動的機能および流体を閉止する機能の劣化予兆診断することができるので、弁および弁が組み込まれたプラントや機器の運用・保全の精度を向上できる。
また、流量調節弁のような流体を閉止する機能を目的としない弁においても流量絞り部である弁体と弁座の面荒れ状態の診断を可能とするので、弁および弁が組み込まれたプラントや機器の運用・保全の精度を向上できる。
電動仕切弁の断面と音響センサの設置位置を示す図である。 手動玉形弁の断面と音響センサの設置位置を示す図である。 実施形態の異常予兆診断装置の構成を示す図である。 音響センサの構造の一例を示す図である。 音響センサの検出信号の一例を示す図である。 閉操作時における音響センサの検出信号の一例を示す図である。 押込み時における音響センサの検出信号の一例を示す図である。 摺動音の波形抽出・分割部の抽出方法を示すフロー図である。 摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数の相関関係を示す図である。 面粗さと作動回数の相関関係を示す図である。 摩擦係数と作動回数の相関関係を示す図である。 漏洩量と面粗さの相関関係を示す図である。 診断手順を示すフロー図である。 聴針棒の構造を示す図である。 保温材を装着した音響センサの取付方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施形態の異常予兆診断装置は、電動仕切弁のウォームギア、弁棒ネジ部、弁棒とグランドパッキンの摺動部、弁体と弁座の接触面等の摺動部のそれぞれについて、弁の開閉作動により発生するアコースティックエミッション(弾性波)を摺動音として音響センサにより検出し、検出した摺動音に基づいて、摺動部の面粗さ、摩擦係数、漏洩量を取得し、異常予兆、メンテナンス時期、および欠損を含む摺動部の状態を診断する。流体の流動音は、検出する摺動音のノイズとなるため、電動仕切弁が設置された設備の稼働を止めた状態で、実施形態の異常予兆診断装置は、診断を行うようにする。
実施形態の異常予兆診断装置の説明にあたり、まず、図1により診断対象の電動仕切弁への音響センサの設置について説明する。
図1は、電動仕切弁(以下、弁1と記す)の断面と音響センサ2の設置位置を示す図である。
弁1のウォームギア24と弁棒ネジ部25のネジ山の接触面(摺動部)、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部、および弁体29と弁座30の摺動部では、弁1の開閉動作時に、摺動が発生する。このため、これらの摺動部近傍の、摺動音の直接波の伝播経路となる弁1の外表面の位置に、直接または聴針棒31(導波棒、ウェーブガイドとも呼ぶ)を介して、音響センサ2をそれぞれ設置する。
ちなみに、ウォームギア24が回転することにより弁棒ネジ部25が上下し、弁棒ネジ部25と一体になった弁棒4と弁棒4に接続された弁体29も上下する。即ち、ウォームギア24の回転運動が弁棒ネジ部25によって弁棒4の上下運動に変換される際に、ウォームギア24と弁棒ネジ部25の間で摺動が生じる。そして、弁棒4とグランドパッキン28の間でも摺動が生じ、弁体29と弁座30の間でも摺動が生じる。
なお、図1では、弁1の外表面として、弁棒4とグランドパキン28の摺動に対応する位置に音響センサ2が聴針棒31を介して設置されていると共に、弁体29と弁座30の摺動に対応する位置(弁1の底部)に音響センサ2が直接設置されている。
また、弁1の外表面の位置の他、弁1の開閉動作の際には、弁1の駆動部5であるモータ22または手動ハンドル23に音響センサ2を設置して、駆動部5の駆動状態の判定を行う。また、他の音響センサ2の検出時の雑音低減に利用する。図1では、モータ22と手動ハンドル23の双方とも、それぞれ音響センサ2が設置されている。
音響センサ2を摺動部近傍に直接設置する際には、音響センサ2と検出面の間に、音響伝達媒質としてカプラント21を介在させる。
音響センサ2を、聴針棒31を介して設置する場合には、音響センサ2と聴針棒31の間にカプラント21を介在させる。
カプラント21の材質は、グリス、ワックス、接着剤、潤滑油、水、ジェル等である。
音響センサ2、または、音響センサ2および聴針棒31の固定は、手持ちで押し当てる、または固定治具を用いて行う。この固定治具は、検出表面に対して磁石、接着剤、溶接、はんだによって取り付けられていても、地面に設置したアーム、三脚により固定されていてもよい。空気層を介することにより音の伝播が小さくなるため、同一部品に音響センサ2を取り付けることが好ましい。
音響センサ2には、アコースティックエミッションセンサまたは圧電センサ、超音波センサ、加速度センサを適用することができる。
図1では、弁1の摺動音を検出する音響センサ2の設置位置について説明したが、手動玉形弁でも、同様に、音響センサ2を設置して、摺動音を検出することができる。
図2は、手動玉型弁の断面と音響センサ2の設置位置を示す図である。
手動玉型弁では、開状態から閉操作する場合に、手動ハンドル23を閉方向に回転すると、弁棒4が降下し、弁体29と弁座30の摺動部で摺動が発生する。
実施形態の異常予兆診断装置は、ハンドル部および弁箱側面に音響センサ2を設置し、
手動ハンドル23の操作音(ハンドル操作音)、および弁体29と弁座30の摺動部の摺動音(弁座摺動音)を検出する。
なお、弁座摺動音以外の構成部品の摺動音は、ハンドルの操作音、あるいは、グランドパッキンと弁棒との摺動部で発生する摺動音、弁棒のネジ部の摺動部で発生する摺動音、電動弁のウォームギアの摺動部で発生する摺動音、または空気作動弁のピストン部の摺動部で発生する摺動音のいずれかあるいは複数の摺動音の組み合わせである。ここで(手動玉型弁の場合)、手動ハンドル23の操作音も弁座摺動音以外の構成部品の摺動音の1つである。
詳細には、手動ハンドル23の音響センサは、ハンドル操作音だけでなく、弁座で発生した摺動音が伝播する音響波も検出している。また、弁箱側面の音響センサ2は、弁座摺動音だけでなく、手動ハンドル23で発生したハンドル操作音が伝播する音響波も検出している。
図1で説明した弁1も同様である。
実施形態の異常予兆診断装置は、このような複数の音源が混在した検出信号の中から、所定の音源(例えば弁座摺動音の)成分を抽出する。以下に、その方法を説明するが、電動仕切弁および手動玉形弁以外の方式の弁、他の操作方法においても同様に適用できる。
実施形態の異常予兆診断装置20の構成を図3により説明する。なお、本明細書では、音響センサ2と異常予兆診断装置20とから構成されるシステムを、異常予兆診断装置システムと呼ぶ。
図3の異常予兆診断装置20は、図1において、弁1の駆動部5に設けた音響センサ2aによりウォームギア24の摺動音を検出し、音響センサ2bにより弁棒4とグランドパッキン28の摺動部の摺動音を検出し、音響センサ2cにより弁体29と弁座30の摺動部の摺動音を検出して、異常予兆診断を行う。なお、異常予兆診断装置20は、図3の音響センサ2a、2b、2cに限定されず、他の場所に設置した音響センサ2により検出した摺動音により異常予兆診断を行えることは言うまでもない。
異常予兆診断装置20は、少なくともひとつの音響センサ2で検出した摺動音の信号を処理する信号処理部9と、信号処理部9で取得した摺動部の摺動音に基づいて、摺動部の漏洩量値・面粗さ値・摩擦係数値等を求める分析部11と、分析部11に求めた分析結果に基づいて、弁1の漏洩発生・流量許容値超過までの作動回数や運転時間の推定、仕切能力の推定、および、異常判定を行う判定部16と、から構成される。
信号処理部9は、異常予兆診断装置20に接続する音響センサ2のそれぞれの検出信号を処理する処理部であり、検出信号を所定のレベルに増幅する増幅部6と、特定の周波数領域の弾性波、振動成分、騒音などをカットするハイパスフィルタ7と、音響センサ2の検出信号をデジタル変換するA/D変換器8と、から構成される。ハイパスフィルタ7は、バンドパスフィルタであってもよい。
また、信号処理部9は、さらにローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、または包絡線検波回路を備えて弾性波の信号弁別を高めるようにしてもよい。
詳しくは、増幅部6は音響センサ2の数分の増幅器を有し、ハイパスフィルタ7には、増幅器の増幅した検出信号をフィルタリングする音響センサ2の数分のフィルタを有している。A/D変換器8は、増幅・フィルタリングした複数の音響センサ2の検出信号を同期して、デジタル変換する。
分析部11は、信号処理部9で処理した少なくともひとつの音響センサ2で検出した摺動音から所定の摺動部の摺動音の波形を抽出あるいは分離する摺動音の波形抽出・分割部10と、摺動音の波形を周波数領域で解析するスペクトル分析部15と、スペクトル分析部15で求めた摺動音のスペクトル強度の時間変化から、漏洩量値、面粗さ値、摩擦係数値のそれぞれを求める漏洩量値取得部12と面粗さ値取得部13と摩擦係数値取得部14とを有する。
摺動音の波形抽出・分割部10と漏洩量値取得部12と面粗さ値取得部13と摩擦係数値取得部14の詳細については後述する。
判定部16は、漏洩量値取得部12と面粗さ値取得部13と摩擦係数値取得部14で取得した漏洩量、面粗さ、摩擦係数およびこれらの変化率に基づいて、摩擦損失の増大を含む異常の判定を行う異常判定部19と、漏洩発生・流量許容値超過までの作動回数・運転時間を推定する漏洩発生・流量許容値超過までの作動回数・運転時間推定部17と、駆動部の操作力情報とを組み合わせることで仕切能力を推定する仕切能力の推定部18と、を有する。
より具体的には、異常予兆診断装置20は、アンプやA/D変換器等のアナログ信号回路、内蔵するプログラムにより音響分析・判定を行うマイクロコンピュータ回路、分析結果や判定結果を表示する表示デバイス等から構成する。
異常予兆診断装置20は、弁1の点検時に、作動流体の流れを止めた状態で、弁1の駆動部5を駆動させ、弁棒4を上下または回転させることにより、弁1のウォームギア24、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部、および弁体29と弁座30の摺動部を摺動する。異常予兆診断装置20は、音響センサ2a、2b、2cにより摺動音を検出して、異常の判定、仕切能力の推定、漏洩発生・流量許容値超過までの作動回数・運転時間の推定を行う。
ここで、図4により、音響センサ2の構成を説明する。
図4は、音響センサ2が設置面401に対して設置された状態における断面構造を示す。公知の音響センサ2には各種のタイプがあり、いずれも適用可能であるが、実施の形態では、以下のタイプの音響センサ2を適用する。
このタイプは、広帯域型かつシングルエンド型である。広帯域型は、周波数特性としてフラットな帯域を含み、例えば100kHz~1MHzの広帯域を持つ。この音響センサ2は、圧電素子403、受信板404、ダンパー405、シールドケース406、蓋407、コネクタ408、信号ケーブル409等を備える。
また、このタイプは、圧電素子403の上側にダンパー405を設けることで、共振を抑えている。この音響センサ2の感度は例えば40~55dBである。感度の基準は、0dB=1V/m/sである。
音響センサ2の耐熱温度は、通常のタイプは例えば80℃であり、高温用のタイプは例えば200℃である。受信板404、特にそのうちの受波面は、設置面401に対し、グリス402等の音響カプラを介して固定される。固定には、音響センサを直接接着剤で固定する方法と、センサホルダ用いてセンサホルダを接着、磁石、ねじ止め等で固定する方法とがある。後者の場合、音響センサと接地面との間にグリス等の音響カプラを塗布して空気が入らないように密着させる。
圧電素子403からの信号ケーブル409は、コネクタ408に接続されており、コネクタ408を通じて外部の信号ケーブルと接続される。
次に、摺動音の波形抽出・分割部10(図3参照)の処理の詳細を図5により説明する。
図5は、音響センサ2a、2b、2c(図3参照)のそれぞれの検出信号の時間変化の一例を示す図である。
音響センサ2aはウォームギア24(駆動部5、図1参照)の摺動音を検出し、音響センサ2bは弁棒4とグランドパッキン28(図1参照)の摺動部の摺動音を検出し、音響センサ2cは弁体29と弁座30の摺動部(図1参照)の摺動音をそれぞれ同期して検出する。
ウォームギア24の摺動音、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部の摺動音、弁体29と弁座30の摺動部の摺動音のそれぞれの信号波形は、固有の特徴を持つ。例えば、音響センサ2aが検出するウォームギア24では、摺動音がハンマリングにより発生し、鋭く立ち上がりその後減衰する突発型の信号波形となる。音響センサ2cが検出する弁体29と弁座30の摺動部の閉弁時の摺動音もハンマリングによる突発型の信号波形となる。また、音響センサ2bが検出する弁棒4とグランドパッキン28の摺動音は、駆動時に常時発生する連続型の信号波形となる。
また、駆動するモータ音またはエアの音の信号、一定の周期で発生するギアおよびネジ部に発生する摺動音の信号、閉止直前の弁体のぐらつきによる衝撃パルス、閉止時の弁体と弁座のシート部に発生する摺動音の信号、その他噛みこみなどによる異常なパルスは、それぞれ特有の発生音のパターンである。したがって、摺動音のパターンを分類することによって摺動部を判別することができる。
ところで、摺動音は、設置された音響センサ2だけでなく、他の音響センサ2にも伝播する。このため、音響センサ2は目的の摺動音だけでなく、他の摺動音も検出する。例えば、音響センサ2cは、弁体29と弁座30の摺動部の摺動音だけでなく、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部の摺動音と、ウォームギア24の摺動音を検出する。つまり、音響センサ2cの検出信号には、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部の摺動音と、ウォームギア24の摺動音とが重畳している。
音響センサ2cが検出する弁体29と弁座30の摺動部の摺動音は突発型の信号波形であり、信号の振幅期間が短い。これに対して、音響センサ2cが検出する弁棒4とグランドパッキン28の摺動部の摺動音と、ウォームギア24の摺動音は、それぞれ、所定の遅延時間後の信号であり、また、伝播により、信号が減衰している。なお、図5は音響センサ2cの伝播信号を説明する図であり、全ての伝播信号を説明するものではない。
そこで、音響センサ2cが検出した信号においては、比較的振幅の大きい信号波形の所定期間を、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部の摺動音に特定し、他の期間の信号は、雑音として除去する。
より詳しくは、上記の弁体29と弁座30の閉止時の摺動部の摺動音は、弁の設置状態によって変わる。
弁棒が直立している正立の状態では、弁体の自重による調心が行われるため、弁体の着座時に発生する摺動は調心による挙動のため複数回発生した後にシート面全体で摺動しながら着座し、流路を閉止する。このため、最後の着座による摺動音に着目することが好ましい。
また、正立の状態でない弁では、弁体と弁座の調心が行われず偏った着座面による摺動音が発生し、取得される摺動音の前半は偏った着座面の摺動であり、後半はシート部全体の摺動である。したがって、後半の摺動音に着目し、漏洩のポテンシャルを診断することが好ましい。
次に、摺動音の波形抽出・分割部10における他の摺動音の分析方法について説明する。
図6は、図2の手動玉型弁の閉操作において、弁体29が開の状態から着座までのハンドルを回転させたときの、弁箱部に設置した音響センサ2で検出した弁座摺動音を含む検出信号の波形(AE波形)である。
ハンドル操作中は検出信号の振幅は大きく、着座時に振幅がさらに増大し、その後、検出信号の振幅はバックグラウンドレベル(暗騒音)に戻る。このような特徴から、着座のタイミングを判定し、弁体と弁座が摺動しているときの検出信号を特定することができる。
図6では、ハンドル操作中に突発型AE波が2つ発生しているが、これが着座かそれ以外かの判定は、振幅が増大した後、バックグラウンドレベル(暗騒音)に戻るか、または、増大する直前のレベルに戻るかで、着座か否かを識別することができる。図6の時間軸の0.8秒辺りで発生した突発型AE波のように、振幅が増大した後にバックグラウンドレベルに戻る場合が、着座の場合である。
図7は、図2の手動玉型弁の閉操作において、弁体29が弁座30に着座した後、手動ハンドル23を完全に停止するまで回転させたときに、弁箱部に設置した音響センサ2で検出され、弁体と弁座との間で生じる弁座摺動音のAE波形である。弁体29が着座した後に完全停止に至るまで弁棒4を押し込む動作を、以後、押込みと呼ぶ。
押込み時には、弁体29と弁座30の摺動が発生し、この摺動音が弁箱部に設置した音響センサ2で主に検出される。この弁座摺動音の波形の形状は、図7に示すような連続型AE波になる。
摺動音の波形抽出・分割部10は、突発型AE波を検出すると、検出信号の振幅がバックグラウンドレベル(暗騒音)に戻ることにより、検出信号が弁体の着座による摺動音であることを判定し、突発型AE波の検出から検出信号の振幅がバックグラウンドレベル(暗騒音)に戻るまでを押込み期間とし、この期間の連続型AE波を弁座摺動音を含む検出信号(AE信号)とする。
ちなみに、図7では、時間軸0.3秒辺りで発生した突発型AE波が弁体の着座によるもので、その後、バックグラウンドの振幅に戻るまでが押込み期間による振幅である。
次に、図2の手動玉型弁の閉操作において、弁箱部および手動ハンドル23の2か所に設けた音響センサ2で検出した検出信号または信号波形を用いて、検出した連続型AE波の中から弁座摺動音の成分だけを解析により抽出する方法を説明する。
<ステップ1:伝播率αの算出>
ハンドル操作により手動ハンドル23の摺動音は、金属同士で密接している部分を伝播しながら、弁箱部の音響センサ2まで到達する。このため、弁箱部の音響センサ2は、弁体29と弁座30の摺動音と伝播する手動ハンドル23の摺動音の和となる。弁体29と弁座30の摺動音は、音響センサ2の検出音から伝播する手動ハンドル23の摺動音を除去する必要がある。
ここで、ステップ1において、摺動音の伝播特性を示す伝播率αを導入すると、弁箱部の音響センサ2で検出される手動ハンドル23の摺動音は、手動ハンドル23に設けた音響センサ2の検出結果と伝播率αとの積になる。したがって、弁体29と弁座30の摺動音は、音響センサ2の検出音から、手動ハンドル23に設けた音響センサ2の検出結果と伝播率αとの積を減じて求める。なお、手動ハンドル23に設けた音響センサ2は、手動ハンドル23の摺動音を減衰なしに検出すると見なしている。
この伝播率αは、次のようにして求める。
図2の手動玉型弁の閉操作において、弁体29が弁座30に着座する以前の摺動音は、手動ハンドル23の摺動音のみとなる。着座以前の、手動ハンドル23の音響センサ2で検出したAE信号の信号強度をx1、弁箱部の音響センサ2で検出したAE信号の信号強度をy1として、
伝播率 α = y1/x1 (式1)
により求める。なお、伝播率αは、センサを取り外して付け直すとセンサの接触面積が変わるため、伝播率αはセンサ取付毎に算出するのが好ましい。ここで、AE信号の信号強度または摺動音強度は、例えばRMS値を用いる。
<ステップ2:弁座摺動音の算出>
ステップ1において、伝播率αは、手動ハンドル23の摺動音が弁箱部まで伝播するときの、弁箱部の音響センサ2で検出したAE信号の信号強度と手動ハンドル23の音響センサ2で検出したAE信号の信号強度との比としたが、弁体29と弁座30の摺動音が手動ハンドル23まで伝播するときの伝播率も同じになる。
押込み時に検出された連続型AE波に関して、手動ハンドル23の摺動音強度をm、弁体29と弁座30の摺動音強度をnとし、弁箱部の音響センサ2で検出した連続型AE波の信号強度をy2とすると、弁箱部の音響センサ2は、弁摺動音とハンドルの摺動音の伝播音の和を検出するので、
y2 = n + α・m (式2)
になる。
同様に、押込み時に検出された連続型AE波に関して、手動ハンドル23の摺動音強度をm、弁体29と弁座30の摺動音強度をnとし、手動ハンドル23の音響センサ2で検出した連続型AE波の信号強度をx2とすると、手動ハンドル23の音響センサ2は、ハンドルの摺動音と弁摺動音の伝播音の和を検出するので、
x2 = m + α・n (式3)
になる。なお、グランドパッキン部やネジ部で発生する各種摺動音は、ここではハンドル操作音に含まれると見なす。
上記の(式2)、(式3)の連立方程式を解くことにより、手動ハンドル23の摺動音m、弁体29と弁座30の摺動音nを求めることができる。
以上の2ステップにより、弁箱部および手動ハンドル23の2か所に設けた音響センサ2の検出信号を用いて、検出した連続型AE波の中から弁座摺動音の成分だけを解析により抽出することができる。
このように、弁座30の摺動状態を診断したいときに、診断対象である弁座の近傍に音響センサ2を設置するだけでなく、弁座以外の構成部品である手動ハンドル23の近傍にも音響センサ2を設置して、2個の音響センサ2の信号の演算を行うことによって、弁体29と弁座30の摺動音や手動ハンドル23の摺動音が混在したセンサ信号の中から、弁体29と弁座30の摺動音の成分だけを抽出することができる。すなわち、2個の音響センサ2を用いることによって、1個の音響センサ2で弁座付近だけを検出するよりも、弁体29と弁座30の摺動音を検出する精度を高めることができる。
なお、上記は音源が2か所の場合について記したが、音源が3か所以上の場合についても、音源の数以上の個数の音響センサ2を用いて、各センサについてそれぞれの音源信号の伝播率αを求め、連立方程式を解くことにより、診断したい箇所の摺動音の成分を抽出することができる。
図8は、上記の連続型AE波の中から弁座摺動音の成分だけを解析により抽出する方法により弁座摺動音を抽出する摺動音の波形抽出・分割部10の処理フロー図である。
ステップS81で、それぞれの音響センサ2の検出信号の暗騒音(バックグラウンドノイズ)を取得する。
ステップS82で、それぞれの音響センサ2の検出信号をAE信号として信号強度(RMS値)を算出する。
ステップS83で、ステップS81で取得した音響センサ2の暗騒音に所定値の係数を掛け合わせた値よりも、ステップS82で算出した音響センサ2の信号強度が大きいか否かを判定する。つまり、音響センサ2の検出信号が連続型AE波であるか否かを判定し、大きい場合には(S83のYes)、音響センサ2の検出信号が連続型AE波であるとしてステップS84に進む。大きくない場合には(S83のNo)、ステップS82に戻る。
ステップS84で、各音響センサ2の検出信号の連続AE波の区間の信号強度(RMS値)の極大値を取得する。
ステップS85で、上記の各音響センサ2で検出した検出信号と当該摺動音の伝播率の積和で示される連立方程式に基づいて、各音源の摺動音を解析的に算出する方法により、音響センサ2の検出信号から所定の摺動音成分を抽出する。
抽出した摺動音の信号強度は、摺動部毎に異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に経時変化が判るように、随時、記憶する。詳細は後述するが、弁摺動音の信号強度が、初期状態から変化した際には、異常予兆診断装置20は、弁体と弁座の摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定し、弁の劣化を判定して、メンテナンス時期を予測する。
以上により、摺動音の波形抽出・分割部10は、弁体29と弁座30の摺動音等の所定の摺動部の摺動音を抽出する。
以後、実施形態の異常予兆診断装置20の分析部11における漏洩量値取得部12と面粗さ値取得部13と摩擦係数値取得部14の処理内容を説明する。
図9は、ウォームギア24の摺動音、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部の摺動音、弁体29と弁座30の摺動部の摺動音のそれぞれにおける、摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数の相関関係を示す図である。
異常予兆診断装置20の分析部11は、摺動部のそれぞれについて、実測した摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数または運転時間の相関関係を予め記憶しておく。詳しくは、摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数の相関関係は、ウォームギア24、弁棒4とグランドパッキン28の摺動部、弁体29と弁座30の摺動部毎に、異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に記憶する。
そして、分析部11は、摺動音を周波数分析するスペクトル分析部15により算出した、所定の音響センサ2で検出した摺動音のスペクトル強度に基づいて、図9に示した摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数または運転時間の相関関係から、摺動音を検出した際の摺動部の使用開始時からの作動による劣化と流体力や経年等による劣化が加味された作動回数または運転時間を求める。ここで、検出された摺動音のスペクトル強度から求められた作動回数または運転時間は、実際の作動回数または運転時間とは一致せず、求められた作動回数または運転時間に相当する劣化を検出していることに留意する。
図10Aは、摺動部のそれぞれにおける、面粗さと作動回数の相関関係を示す図である。
分析部11は、実測した面粗さと作動回数または運転時間の相関関係を、摺動部毎に異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に予め記憶しておく。
面粗さ値取得部13は、音響センサ2で検出した摺動音に基づいて、摺動音を発する摺動部の面粗さ値を取得する。
詳しくは、面粗さ値取得部13は、まず、先に説明したように、音響センサ2で検出した摺動音のスペクトル強度に基づいて、摺動部の使用開始時からの作動回数または運転時間を求める(図9)。そして、図10Aに示した面粗さと作動回数または運転時間の相関関係から、作動回数または運転時間に相当する摺動部の面粗さ値を取得する。
図10Bは、摺動部のそれぞれにおける、摩擦係数と作動回数または運転時間の相関関係を示す図である。
分析部11は、実測した摩擦係数と作動回数または運転時間の相関関係を、摺動部毎に異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に予め記憶しておく。
摩擦係数値取得部14は、音響センサ2で検出した摺動音に基づいて、摺動音を発する摺動部の摩擦係数値を取得する。
詳しくは、摩擦係数値取得部14は、まず、先に説明したように、音響センサ2で検出した摺動音のスペクトル強度に基づいて、摺動部の使用開始時からの作動回数または運転時間を求める(図9)。そして、図10Bに示した摩擦係数と作動回数または運転時間の相関関係から、作動回数に相当する摺動部の摩擦係数値を取得する。
図10Cは、流体を封止する摺動部における、漏洩量と面粗さの相関関係を示す図である。
分析部11は、実測した漏洩量と面粗さの相関関係を、摺動部毎に異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に予め記憶しておく。
漏洩量値取得部12は、音響センサ2で検出した摺動音に基づいて、摺動音を発する摺動部の漏洩量を取得する。
詳しくは、漏洩量値取得部12は、まず、先に説明したように、音響センサ2で検出した摺動音のスペクトル強度に基づいて、摺動部の使用開始時からの作動回数または運転時間を求める(図9)。そして、図10Aに示した面粗さと作動回数または運転時間の相関関係から、作動回数または運転時間に相当する摺動部の面粗さ値を取得する。その後、図10Cに示した漏洩量と面粗さの相関関係から、取得した摺動部の面粗さ値に対応する漏洩量値を取得する。
次に、判定部16における作動回数・運転時間推定部17と仕切能力の推定部18と異常判定部19とについて詳細に説明する。実施形態の異常予兆診断装置20は、この構成により、弁1の分解を含むメンテナンス時期を予測するか、または、弁1の流体を閉止する機能、動的機能および流量調節機能に関する正常か否かを含む劣化の予兆の判定を行う。
作動回数・運転時間推定部17は、ON-OFF弁の場合、漏洩量値取得部12で取得した漏洩量と、漏洩量と面粗さの相関関係と、面粗さと作動回数または運転時間の相関関係とから、漏洩発生までの作動回数を推定する。
詳しくは、作動回数・運転時間推定部17は、漏洩量値取得部12で取得した漏洩量が「0」の場合、つまり、漏洩していない場合または漏洩量が許容範囲の場合に、漏洩量と面粗さの相関関係(図10C)から漏洩量が「0」より大きくなる摺動部の面粗さを求める。そして、面粗さと作動回数または運転時間の相関関係(図10A)から漏洩量が「0」より大きくなる摺動部の面粗さに相当する作動回数を求める。作動回数・運転時間推定部17は、上記で求めた作動回数から摺動音を検出した際の作動回数を減じて、漏洩発生までの作動回数とする。
作動回数・運転時間推定部17は、算出した漏洩発生までの作動回数が所定の作動回数になるタイミングを弁1の分解を含むメンテナンス時期と予測する。
また、作動回数・運転時間推定部17は、漏洩量値取得部12で取得した漏洩量が「0」の場合には、弁の流体を閉止する機能が「正常」と判定し、漏洩量が「0」より大きい場合には、弁の流体を閉止する機能が「正常でない(異常)」と判定する。
また、漏洩発生までの作動回数・運転時間推定部17は、求めた漏洩発生までの作動回数が所定の作動回数より小さい場合に、弁の流体を閉止する機能に関する劣化の予兆があると判定する。
次に、弁1が流量調節弁の場合について説明する。
この場合には、分析部11は、実測した面粗さと運転時間の相関関係、および実測した流量と面粗さの相関関係を摺動部毎に異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に予め記憶しておく。
そして、漏洩量値取得部12は、音響センサ2で検出した摺動音のスペクトル強度に基づいて、摺動部の使用開始時からの運転時間を求める(図9)。そして、面粗さと運転時間の相関関係から、運転時間に相当する摺動部の面粗さ値を取得する。その後、流量と面粗さの相関関係から、取得した摺動部の面粗さ値に対応する流量値を取得する。
つまり、漏洩量値取得部12は、音響センサ2で検出した摺動音に基づいて流量を求める流量値取得部として機能する。
作動回数・運転時間推定部17は、漏洩量値取得部12(流量値取得部)で取得した流量と、流量と面粗さの相関関係と、面粗さと運転時間の相関関係とから、許容流量超過発生までの運転時間を推定する。
詳しくは、作動回数・運転時間推定部17は、漏洩量値取得部12(流量値取得部)で取得した流量が変化しない場合に、流量と面粗さの相関関係から流量が大きくなる摺動部の面粗さを求める。そして、面粗さと運転時間の相関関係から流量が大きくなる摺動部の面粗さに相当する運転時間を求める。作動回数・運転時間推定部17は、求めた運転時間から摺動音を検出した際の運転時間を減じて、漏洩発生までの運転時間とする。
作動回数・運転時間推定部17は、算出した流量許容値超過までの運転時間が所定の運転時間になるタイミングを弁1の分解を含むメンテナンス時期と予測する。
また、作動回数・運転時間推定部17は、漏洩量値取得部12(流量値取得部)で取得した流量が変化ない場合には、流量調節機能が「正常」と判定し、流量が変化した場合には、弁の流量調節機能が「正常でない(異常)」と判定する。
また、作動回数・運転時間推定部17は、求めた流量許容値超過までの運転時間が所定の運転時間より小さい場合に、流量調節機能に関する弁体および弁座劣化の予兆があると判定する。
仕切能力の推定部18は、駆動部の操作力情報を組み合わせることで、仕切弁の弁体の閉止および開放を行う仕切能力を推定する。
詳しくは、仕切能力の推定部18は、摺動音の検出と同期して弁1の駆動部5の駆動電流を計測し、駆動力の変化率を求める。そして、摩擦係数値取得部14で取得した各摺動部の摩擦係数値の変化率を求める。仕切能力の推定部18は、駆動力の変化率と各摺動部の摩擦係数値の変化率を対比して、駆動力の変化率が大きくなった際に、摩擦係数値の変化率が大きくなった摺動部を、駆動力増加の原因箇所と予測する。
また、仕切能力の推定部18は、駆動力と作動回数の相関関係から駆動部5の最大駆動力に到達する作動回数を求め、弁仕切能力の限界の作動回数を予測する。この際の作動回数は、実測した摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数の相関関係から求めた作動回数を適用する。
異常判定部19は、摩擦係数値取得部14で取得した摩擦係数およびこれらの変化率に基づいて、摩擦損失の増大を含む異常の判定を行うか、または、面粗さ値取得部13で取得した面粗さおよびこれらの変化率に基づいて、面粗さ損失の増大を含む異常の判定を行う。
詳しくは、異常判定部19は、摩擦係数値取得部14で取得した摺動音から求めた各摺動部の摩擦係数値を取得する。また、面粗さ値取得部13で取得した摺動音から求めた各摺動部の面粗さを取得する。
そして、異常判定部19は、取得した各摺動部の摩擦係数の変化量と面粗さの変化量を算出する。
異常判定部19は、各摺動部における摩擦係数と作動回数の相関関係から摩擦係数が許容される最大値に達する作動回数を求め、摩擦係数の最大値に達する作動回数の所定値を弁1の分解を含むメンテナンスのタイミングと予測する。そして、各摺動部で最も早いタイミングをメンテナンス時期とする。さらに、各摺動部の摩擦係数の変化量のうち最大の値となる摺動部を異常が予測される摺動部とする。
また、異常判定部19は、各摺動部の面粗さと作動回数の相関関係から面粗さが許容される最大値に達する作動回数を求め、面粗さの最大値に達する作動回数の所定値を弁1の分解を含むメンテナンスのタイミングと予測する。そして、各摺動部で最も早いタイミングをメンテナンス時期とする。さらに、各摺動部の面粗さの変化量のうち最大の値となる摺動部を異常が予測される摺動部とする。
さらに、異常判定部19は、摩擦係数値取得部14で取得した摩擦係数が正常時の摩擦係数より大きい場合に、摩擦係数の変化量に応じて、弁の流体を閉止する機能、動的機能および流量調節機能に関して正常か否かを判定すると共に、異常判定部19は、摩擦係数の変化量が所定値より大きい場合に、摺動部の劣化の予兆があると判定する。
また、異常判定部19は、面粗さ値取得部13で取得した面粗さが正常時の面粗さより大きい場合に、面粗さの変化量に応じて、弁の流体を閉止する機能、動的機能および流量調節機能に関して正常か否かを判定すると共に、異常判定部19は、面粗さの変化量が所定値より大きい場合に、摺動部の劣化の予兆があると判定する。
異常判定部19は、弁の流体を閉止する機能、動的機能および流量調節機能に関して正常か否かを判定する際、または、摺動部の劣化の予兆を判定する際に、少なくとも摩擦係数値取得部14で取得した摩擦係数と面粗さ値取得部13で取得した面粗さの一方により、判定すればよい。
上記で説明した分析部11と判定部16において参照する摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数または運転時間の相関関係、動部の面粗さと作動回数の相関関係、摩擦係数と作動回数または運転時間の相関関係、および漏洩量と面粗さの相関関係は、摺動部に応じて異なる。このため、弁の型式および摺動部(摺動部名称)に対応付けて、データベースに記録する。そして、分析部11と判定部16において、音響センサ2の検出信号に基づいて抽出する摺動音の摺動部に応じて、データベースを参照する。
データベースに摺動音の抽出した摺動部のデータが記録されていない場合には、弁の型式に基づいて、摺動音を検出している弁に近い型式の弁のデータを使用する。この際、データを流用する弁の型式は、予め対応付けておいてもよいし、仕様が類似する弁を自動で選択するようにしてもよいし、作業者がリストから選択できるようにしてもよい。
次に、実施形態の異常予兆診断システムによる弁の診断手順を、図11のフロー図により説明する。
ステップS111で、弁の摺動部付近と弁の駆動部付近(手動ハンドル23等)のそれぞれに、音響センサ2を設置する。
ステップS112で、ステップS111で設置した2つの音響センサ2のセンサ設置個所、センサ型名を入力して、音響センサ2の周波数特性(センサF特)を取得する。取得した音響センサ2の設置個所(摺動部情報)、センサ型名、周波数特性は、管理番号で特定される弁毎に異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に記憶する。
ステップS113で、音響センサ2により弁装置の暗騒音(バックグラウンドノイズ)を測定する。
ステップS114で、弁を動作させる。
ステップS115で、音響センサ2の感度を校正する。これは、音響センサ2の取付の度に接触面積が変わるため、接触面積の変化の影響を除くために行う。
ステップS116で、2つの音響センサ2で検出した弁体29が弁座30に着座する以前の摺動音に基づいて、摺動音の伝播率αを算出する。算出した伝播率αは、管理番号で特定される弁毎に異常予兆診断装置20のデータベース部(不図示)に記憶する。
ステップS117で、着座後の弁体の押込み操作を行い、暗騒音のレベルに戻るセンサ信号(連続型AE波)を押込み時の摺動音として音響センサ2で検出し、検出したセンサ信号から弁体の摺動時間を解析区間として取得する。
ステップS118で、ステップS117の2つの音響センサ2で検出した各音源の解析区間のセンサ信号と摺動音の伝播率の積和で示される連立方程式に基づいて、各音源の摺動音を音響センサ2のセンサ信号から解析的に抽出する。
ステップS119で、ステップS118で抽出した弁摺動音の信号強度が、当該弁の初期状態の弁摺動音の信号強度から変化したか否かを判定し、変化していればステップS120に進む。なお、初期状態の弁摺動音の信号強度は、弁毎にデータベースに登録しておく。
ステップS120で、ステップS117で検出した弁摺動音のスペクトル強度に基づいて、摺動部の作動回数または運転時間を求め、求めた作動回数または運転時間に対応する摺動部の漏洩量、面粗さ、摩擦係数を取得して、弁の劣化を求める。
ステップS121で、メンテナンス時期、弁の劣化の予兆判定の診断を行う。
上記の実施形態の異常予兆診断装置20では、複数の摺動部のそれぞれ摺動音を複数の音響センサ2で検出し、音響センサ2が検出した目的の摺動音以外の摺動音を摺動音の波形抽出・分割部10で除去して劣化予兆診断を行うことを説明した。
しかし、これに替えて、摺動音の波形抽出・分割部10で音響センサ2が検出した摺動音のパターンを分析して摺動部毎に分類するようにしてもよい。この際に、摺動音は伝播し減衰するため、劣化予兆診断する摺動部の近くに音響センサを配置する。
具体的には、図1において弁棒4とグランドパッキン28の摺動音を検出する音響センサ2を設け、摺動音の波形抽出・分割部10により摺動音を抽出すると共に、伝播信号として、弁1の駆動部5であるモータ22、弁1のウォームギア24、弁棒ネジ部25、および弁体29と弁座30の摺動面の摺動音を音響センサ2で検出して摺動音の波形抽出・分割部10により波形パターンに応じてそれぞれの摺動音を分割する。
ところで、モータ22を駆動している場合には、モータにより連続音が発生し、他の摺動音が埋もれてしまう可能性がある。このため、手動ハンドル23により弁1を操作して摺動音を検出するとよい。
また、弁1の操作開始時には、ハンマリングによるパルスが発生するため、弁体29と弁座30との摺動音と混同しないように、開操作よりも閉操作の方が好ましい。
この場合には、初期のハンマリングによる摺動音、駆動時に常時発生するグランドパッキン28の摺動音、一定の周期で発生する手動ハンドル23のギア(不図示)の摺動音、ウォームギア24および弁棒ネジ部25に発生する摺動音、閉止直前の弁体29のぐらつきによる衝撃音、閉止時の弁体29と弁座30のシート部に発生する摺動音、その他噛みこみなどによる異常なパルス音が異なるパターンの摺動音として取得できる。
摺動音の波形抽出・分割部10が、摺動音の信号パターンに応じて摺動音を分類することにより、異常予兆診断装置20は、単一の音響センサ2においても、複数の摺動部の状態を診断することができる。
なお、音響センサ2は、最も診断を優先するべき摺動箇所の近傍、または摺動音の振幅が小さいグランドパッキン28の近傍に設置することが好ましい。
上記の実施形態では、仕切弁を有する弁1について説明したが、弁の型式はこれに限定されず、玉型弁、バタフライ弁、ボール弁においても同様の診断が可能である。
玉型弁では、仕切弁と同様に弁体と弁座の摺動部であるシート部において、開閉作動時に摺動が生じる。仕切弁と比較して、作動時間および摺動距離が短いが、衝突音が発生した後に短い摺動音の信号を得ることができる。この摺動音の信号により、シート部の状態の診断が可能となる。
また、バタフライ弁、ボール弁では、弁棒および弁体が回転することで、流路を閉止しているが、上記の仕切弁と同様の摺動が発生するため、摺動音の信号による診断が可能となる。
さらに、上記の実施形態では、弁1の駆動方式が電動弁の場合を説明したが、空気作動弁においても同様の診断を行うことができる。空気作動弁においては、電動弁の駆動部5の摺動に代わり、ピストンの上下運動により、摺動が発生する。この摺動音を音響センサ2によって取得することにより、電動弁の場合と同様の診断を行う。
次に、実施形態の異常予兆診断装置20を原子力発電設備に適用する場合について説明する。
原子力発電設備に設置される弁は、高温な弁、流体が常時弁内部を通過している弁、雰囲気の放射線量が高い場所に設置される弁、運転中の騒音が大きい場所に設置される弁など様々存在する。そのため、原子力発電設備へ適用する場合には定期検査時のような常温であり、系統が停止しており、放射線量が高くなく、静かな状態にて実施することが好ましい。
原子力発電設備の運転時に高温になる弁は保温材33に覆われているものが多く、図1に示した弁体29と弁座30の摺動部近傍への音響センサ2の設置が困難である。保温材33は通常取り外せる仕様になっているが、検査期間を短くする目的もあるため、保温材33を装着したまま診断することが望ましい。
図12は、音響センサ2の取付例として、高温部あるいは接地面積の小さな場所に取り付けるための治具である聴針棒31(ウェーブガイドまたは導波棒とも呼ぶ)の構造を示す。聴針棒31の平面部の一端に音響センサ2を取り付けられ、他端が測定対象に接する。聴針棒31は、測定対象の温度がセンサの耐熱温度を超える場合や、センサを設置可能な場所が小さくセンサを直接設置することが困難な場合に用いられる。測定対象の温度が高温の場合は、聴針棒31を用いることで、音響センサ2を熱源から離れた場所に設置できる。聴針棒31の長さは、温度が高い場合は、センサ部の温度がセンサの耐熱温度以下になるような長さを選ぶ。なお、図1のように、カプラント21(グリス、ワックス、接着剤等)を用いてもよい。
図13は、保温材33を装着したまま診断する音響センサ2の取付方法を示す図である。
弁箱3の保温材33には、保温効果に影響が出ない程度の筒状のアクセス通路が備えており、診断の際には、そのアクセス通路に筒状の取付治具34が備わった聴針棒31を差し込む。ここで、保温材33の綿等の内部物質と聴針棒31が接触しないようになっていることが重要であり、これが達成される構造であれば、他の構造であってもよい。
聴針棒31は、音響センサ2と弁箱3以外接触しない構造であるため、弁体29と弁座30の摺動部から発生する信号が聴針棒31中で分散することなく、また、聴針棒31中でノイズが発生することもないため、より精度の高い診断が可能となる。
これにより、原子力発電設備おいて、弁の分解点検の物量、労力、コスト、被ばく量の低減および検査期間の縮小による稼働率の向上を実現できる。
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明で分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
1 弁(電動仕切弁)
2、2a、2b、2c 音響センサ
6 増幅部(信号処理部)
7 ハイパスフィルタ(信号処理部)
8 A/D変換器(信号処理部)
9 信号処理部
10 摺動音の波形抽出・分割部(分析部)
11 分析部
12 漏洩量値取得部(分析部)
13 面粗さ値取得部(分析部)
14 摩擦係数値取得部(分析部)
15 スペクトル分析部(分析部)
16 判定部
17 作動回数・運転時間推定部(判定部)
18 仕切能力の推定部(判定部)
19 異常判定部(判定部)
20 異常予兆診断装置

Claims (14)

  1. 弁に取り付けられ、弁体と弁座の摺動部の弁座摺動音と前記弁座摺動音以外の構成部品の摺動音を検出する複数の音響センサと、
    前記音響センサの検出信号を処理する信号処理部と、
    前記信号処理部で処理された複数の前記音響センサの検出信号と摺動音の伝播率とを解析して前記音響センサの検出信号から前記弁座摺動音を抽出し、抽出した前記弁座摺動音のスペクトル強度から前記摺動部の作動回数または運転時間を求め、前記摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定する分析部と、
    前記分析部で求めた前記摺動部の作動回数または運転時間、漏洩量、面粗さ、または摩擦係数から弁の流体を閉止する機能および動的機能に関する正常か否かを含む劣化の予兆を判定して、弁の分解を含むメンテナンス時期を予測する判定部と、
    を備えることを特徴とする異常予兆診断システム。
  2. 請求項1に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記弁座摺動音以外の構成部品の摺動音は、ハンドルの操作音、あるいは、グランドパッキンと弁棒との摺動部で発生する摺動音、弁棒のネジ部の摺動部で発生する摺動音、電動弁のウォームギアの摺動部で発生する摺動音、または空気作動弁のピストン部の摺動部で発生する摺動音のいずれかあるいは複数の摺動音の組み合わせである
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  3. 請求項1に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記分析部は、前記音響センサの検出信号から抽出した前記弁座摺動音の信号強度が、初期状態の弁座摺動音の信号強度から変化した際に、弁体と弁座の摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定し、
    前記判定部は、劣化の予兆を判定して、メンテナンス時期を予測する
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  4. 請求項3に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記音響センサの検出信号から抽出した前記弁座摺動音の信号強度を経時変化が判るように記憶すると共に、摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数の相関関係と、摺動部の面粗さと作動回数または運転時間の相関関係と、摺動部の摩擦係数と作動回数または運転時間の相関関係と、摺動部の漏洩量と面粗さの相関関係と、を摺動部毎に記憶するデータベースを備え、
    前記分析部は、前記音響センサの検出信号から抽出した前記弁座摺動音の信号強度が、前記データベースの初期状態の弁座摺動音の信号強度から変化した際に、前記データベースを参照して、弁体と弁座の摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定する
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  5. 請求項3に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記判定部は、前記分析部で推定した摺動量が許容範囲の場合に、摺動部の漏洩量と面粗さの相関関係から許容範囲を超える漏洩量に対応する摺動部の面粗さを求め、摺動部の面粗さと作動回数または運転時間の相関関係から、前記求めた面粗さに対応する作動回数を求め、前記求めた作動回数から前記分析部で弁座摺動音から求めた作動回数を減じて、
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  6. 請求項4に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記分析部は、前記データベースに、弁座摺動音を抽出した摺動部のデータが記録されていない場合には、信号検出した弁の型式に類似する型式の弁の摺動部のデータを参照する
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  7. 請求項1に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記分析部は、突発型AE波を検出した後に検出信号の振幅が暗騒音レベルに戻ることにより、検出信号が前記弁座摺動音であると判定する
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  8. 請求項1に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記信号処理部は、アコースティックエミッションセンサ、圧電センサ、振動センサ、または超音波センサのいずれかの音響センサの検出信号を処理する
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  9. 請求項1に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記信号処理部は、弁の弁体と弁座との摺動部、グランドパッキンと弁棒との摺動部、弁棒のネジ部の摺動部、電動弁のウォームギアの摺動部、または空気作動弁のピストン部の摺動部で発生する摺動音を検出した音響センサの信号を処理する
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  10. 請求項9に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記信号処理部は、前記弁体と弁座の摺動部、前記弁棒とグランドパッキンの摺動面、前記弁棒のネジ部の摺動部、前記電動弁のウォームギアの摺動部、または前記空気作動弁のピストン部の摺動部の摺動音の直接波の伝播経路となる弁外表面の位置に直接または導波棒を介して設置される音響センサの信号を処理する
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  11. 請求項9に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記音響センサは、組込みまたは取り外し可能な設置治具または接着剤またははんだ付けまたは手持ちにより設置され、
    前記取り外し可能な設置治具は磁石、吸盤、万力、ボルトのうちひとつまたは複数により、弁外表面に直接設置されるか、または地面に設置された三脚または柱や他の機器から伸びたアームにより設置される
    ことを特徴とする異常予兆診断システム
  12. 請求項9に記載の異常予兆診断システムにおいて、
    前記弁が断熱材や壁で覆われている場合、前記断熱材や壁に開閉可能な筒状のアクセス通路を確保し、そこに導波棒と一体となった筒状の取付治具が差し込まれ、前記導波棒が前記音響センサおよび前記弁以外に接触しないよう設置される
    ことを特徴とする異常予兆診断システム。
  13. 弁に取り付けられ、弁体と弁座の摺動部の弁座摺動音と前記弁座摺動音以外の構成部品の摺動音を検出する複数の音響センサの検出信号を処理する信号処理部と、
    前記信号処理部で処理された複数の前記音響センサの検出信号と摺動音の伝播率とを解析して前記音響センサの検出信号から前記弁座摺動音を抽出し、抽出した前記弁座摺動音のスペクトル強度から前記摺動部の作動回数または運転時間を求め、前記摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定する分析部と、
    前記分析部で求めた前記摺動部の作動回数または運転時間、漏洩量、面粗さ、または摩擦係数から弁の流体を閉止する機能および動的機能に関する正常か否かを含む劣化の予兆を判定して、弁の分解を含むメンテナンス時期を予測する判定部と、
    を備えることを特徴とする異常予兆診断装置。
  14. 弁座の摺動部の状態を診断する異常予兆診断装置の診断方法であって、
    弁に取り付けられ複数の音響センサが弁体と弁座の摺動部の弁座摺動音と前記弁座摺動音以外の構成部品の摺動音を検出するステップと、
    前記音響センサの検出信号と摺動音の伝播率とを解析して前記音響センサの検出信号から前記弁座摺動音を抽出するステップと、
    摺動音のスペクトル強度と摺動部の作動回数の相関関係に基づいて、抽出した前記弁座摺動音のスペクトル強度から前記摺動部の作動回数または運転時間を求めるステップと、
    摺動部の面粗さと作動回数または運転時間の相関関係、摺動部の摩擦係数と作動回数または運転時間の相関関係、または、摺動部の漏洩量と面粗さの相関関係に基づいて、前記ステップで求めた作動回数または運転時間から前記摺動部の漏洩量、面粗さ、または摩擦係数を推定するステップと、
    前記ステップで求めた作動回数または運転時間、漏洩量、面粗さ、または摩擦係数から弁の流体を閉止する機能および動的機能に関する正常か否かを含む劣化の予兆を判定するステップと、
    弁の分解を含むメンテナンス時期を予測するステップと
    から成ることを特徴とする診断方法。
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