JP2023114940A - 透光性樹脂シート、カメラおよび移動体 - Google Patents

透光性樹脂シート、カメラおよび移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】接着剤層を介して接合された反射防止層を最外層として備える透光性樹脂シートを、過酷な条件で使用したとしても、接着剤層中や、その界面における、気泡や、剥離の発生を的確に抑制または防止して、優れた耐熱性を発揮することができる透光性樹脂シート、かかる透光性樹脂シートを備える信頼性に優れたカメラおよび移動体を提供すること。【解決手段】透光性樹脂シートは、透光性カバー部材1に用いられ、偏光層2と保護層3A、3Bとを備える偏光板20と、偏光板20の少なくとも一方の面側に積層された反射防止層6A、6Bと、反射防止層6A、6Bと保護層3A、3Bとを接合するOCA粘着層5A、5Bとを有し、反射防止層6A、6Bの一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときの反射防止層6A、6Bと保護層3A、3Bとの密着力(95℃)は、3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、透光性樹脂シート、カメラおよび移動体に関する。
近年、自動車のような移動体として、事故を未然に防ぐための安全運転支援システムや、運転の履歴を画像として記録するドライブレコーダーを備えるものが知られており、これらのシステム等は、移動体の前方の状況を認識または記録するために、フロントガラスの上部の内側に装着されたカメラ(車載用カメラ)を有している(例えば、特許文献1参照)。
このカメラとして、カメラが備える筐体を、窓部を有するものとし、筐体の内部への塵や埃等の異物が浸入するのを防止することを目的に、透光性を有する透光性カバー部材を、この窓部を覆うように装着した構成のものが提案されている。
このカメラでは、移動体の前方に位置する対象物を反射した反射光を、透光性カバー部材を透過させることで、筐体内に導入し、この導入された反射光を、筐体内に設けられた撮像素子により、透光性カバー部材と撮像素子との間に配置されたレンズを介して、画像として撮像している。
しかしながら、かかる構成のカメラでは、対象物を反射した反射光の一部が透光性カバー部材を透過する際に反射してしまい、この反射に起因して、対象物を反射した反射光に基づく画像および映り込みがカメラにより撮像される。また、太陽光のような高い強度を有する光が筐体内に導入されると、レンズの内側で再反射が生じることに起因してゴーストが発生し、このゴーストがカメラにより撮像される。これらのことから、カメラによる、対象物を認識する認識精度の低下を招くと言う問題が生じる。
特開2018-195184号公報
かかる問題点を解決することを目的に、透光性カバー部材の最外層を、接着剤層を介して接合された、反射防止層で構成するものとすることが考えられる。しかしながら、この場合、このカメラ(車載用カメラ)は、フロントガラスの内側等に装着され、夏場のように過酷な条件で使用されることを想定して、優れた耐熱性を備えることが求められるが、接着剤層中や、その界面において、気泡や、剥離が生じたりすると言う新たな問題が生じているのが実情であった。
したがって、本発明の目的は、接着剤層を介して接合された反射防止層を最外層として備える透光性樹脂シートを、過酷な条件で使用したとしても、接着剤層中や、その界面における、気泡や、剥離の発生を的確に抑制または防止して、優れた耐熱性を発揮することができる透光性樹脂シート、かかる透光性樹脂シートを備える信頼性に優れたカメラおよび移動体を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 光を透過させることが可能な透光性カバー部材に用いられる透光性樹脂シートであって、
偏光子で構成された偏光層と、該偏光層の双方の面側にそれぞれ設けられ、主として樹脂材料で構成された保護層とを備え、前記光の偏光光を生成する偏光板と、
前記偏光板の少なくとも一方の面側に積層された反射防止層と、
前記反射防止層と、前記偏光板が備える前記保護層とを接合するOCA粘着層とを有し、
95℃の環境下で、前記反射防止層の一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、前記OCA粘着層を介した前記反射防止層と前記保護層との密着力(95℃)は、3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを特徴とする透光性樹脂シート。
(2) 前記OCA粘着層は、アクリル系OCAで構成される上記(1)に記載の透光性樹脂シート。
(3) 前記反射防止層は、前記OCA粘着層と接する側の表面に対する純水の接触角が25.0°以上65.0°以下ある上記(1)または(2)に記載の透光性樹脂シート。
(4) 前記保護層は、前記OCA粘着層と接する側の表面に対する純水の接触角が55.0°以上90.0°以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の透光性樹脂シート。
(5) 115℃の環境下で、前記反射防止層の一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、前記OCA粘着層を介した前記反射防止層と前記保護層との密着力(115℃)は、1.0N/25mm以上10.0N/25mm以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の透光性樹脂シート。
(6) 前記保護層は、リタデーションを有し、その遅相軸が前記偏光層の吸収軸と同じ方向となるように配置されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の透光性樹脂シート。
(7) 前記樹脂材料は、ポリカーボネート系樹脂である上記(6)に記載の透光性樹脂シート。
(8) 当該透光性樹脂シートは、対象物を反射した反射光を前記光として透過させることでカメラ内に導く前記透光性カバー部材として用いられる上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の透光性樹脂シート。
(9) 上記(8)に記載の透光性樹脂シートを、前記透光性カバー部材として備えることを特徴とするカメラ。
(10) 上記(9)に記載のカメラを備えることを特徴とする移動体。
本発明によれば、偏光子で構成された偏光層と、該偏光層の双方の面側にそれぞれ設けられ、主として樹脂材料で構成された保護層とを備え、前記光の偏光光を生成する偏光板と、前記偏光板の少なくとも一方の面側に積層された反射防止層と、前記反射防止層と、前記偏光板が備える前記保護層とを接合するOCA粘着層とを有する透光性樹脂シートにおいて、95℃の環境下で、前記反射防止層の一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、前記OCA粘着層を介した前記反射防止層と前記保護層との密着力(95℃)が3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを満足している。したがって、この透光性樹脂シートを、過酷な条件で使用したとしても、OCA粘着層(接着剤層)中や、その界面における、気泡や、剥離の発生を的確に抑制または防止することができる。そのため、かかる透光性樹脂シートを、優れた長期耐熱性を発揮するものであると言うことができる。
本発明の透光性樹脂シートを、透光性カバー部材として有する、自動車に搭載されたカメラの実施形態を示す側面図である。 図1中のカメラがフロントガラスを介して対象物を撮像する状態を模式的に示した模式図である。 図2中の透光性カバー部材に適用された本発明の透光性樹脂シートの拡大断面図である。
以下、本発明の透光性樹脂シート、カメラおよび移動体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書中における主材料とは、50重量%以上含まれている構成材料のことを指し、例えば、「保護層は、その主材料として樹脂材料を含有している。」とは、保護層の総重量を100重量%とした場合、保護層に含まれる樹脂材料が50重量%以上を、保護層において占めていることを指す。
まず、本発明の透光性樹脂シート、カメラおよび移動体を説明するのに先立って、本発明の透光性樹脂シートを、透光性カバー部材として有する車載用カメラ(自動車に搭載されたカメラ)について説明する。
<カメラ(車載用カメラ)>
図1は、本発明の透光性樹脂シートを、透光性カバー部材として有する、自動車に搭載されたカメラの実施形態を示す側面図、図2は、図1中のカメラがフロントガラスを介して対象物を撮像する状態を模式的に示した模式図、図3は、図2中の透光性カバー部材に適用された本発明の透光性樹脂シートの拡大断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1~図3中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図1、図2中の左側を「前」または「前方」、右側を「後」または「後方」と言う。また、理解を容易にするため、図2中では前後方向を、図3中では厚さ方向を模式的に図示しており、その大きさは実際とは異なっている。
図1に示すように、カメラ10は、事故を未然に防ぐための安全運転支援システムや、運転の履歴を画像として記録するドライブレコーダーが備えるものであり、移動体としての自動車100に搭載して、自動車100の前方に位置する対象物300を撮像するために用いられる。このカメラ10は、図1、図2に示すように、自動車100が有するフロントガラス102の上部の内側(室内側)に装着(貼付)されており、撮像素子11と、光学部材12と、収納体13とを備えている。
撮像素子11は、例えば、CCDやCMOS等で構成され、撮像すべき対象物300を反射した反射光に基づいた画像LSを撮像するものであり、画像LSにおける赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの色の光を、各画素において撮像することによりフルカラーの画像を撮像し得るように構成されている。
光学部材12は、例えば、レンズで構成されており、後述する透光性カバー部材1を介して収納体13内に導入された、対象物300を反射した反射光すなわち画像LSを撮像素子11に導くものである。
なお、光学部材12は、図2では、1枚のレンズで構成される場合について記載しているが、これに限定されず、複数枚のレンズで構成されていてもよい。
収納体13(ハウジング)は、図2に示すように、本実施形態では、箱状をなし、その内側に、撮像素子11や光学部材12、その他、カメラ10を構成する部品等が収納されている。また、収納体13は、フロントガラス102側に向かって開口した開口部で構成された窓部131を有している。対象物300を反射して形成された画像LSは、フロントガラス102、さらには窓部131を介して、すなわち、フロントガラス102および窓部131を透過して、収納体13の内側に導入され、その後、この収納体13の内側において、光学部材12を介して撮像素子11に導かれることで、撮像素子11により撮像される。
また、収納体13(筐体)の窓部131には、透光性を有する透光性カバー部材1が、窓部131を覆うように、設置(装着)されている。これにより、画像LSの透光性カバー部材1を介した収納体13の内側への導入(入射)が可能となるとともに、塵や埃等の異物が窓部131を介して収納体13内に浸入するのを防止することができる。したがって、撮像素子11の画像LSや光学部材12が当該異物によって曇ったり汚れたりするのを防止することができる。
この透光性カバー部材1は、図3に示すように、光透過性を有する、本発明の透光性樹脂シートで構成され、偏光子で構成された偏光層2と、この偏光層2の双方の面側にそれぞれ設けられ、主として樹脂材料で構成された保護層3A、3Bとを備え、対象物を反射した反射光の偏光光を生成する偏光板20と、偏光板20の双方の面に積層された反射防止層6A、6Bと、これら反射防止層6A、6Bと偏光板20が備える保護層3A、3Bとを接合するOCA粘着層5A、5Bとを有し、95℃の環境下で、反射防止層6A、6Bの一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、OCA粘着層5A、5Bを介した反射防止層6A、6Bと保護層3A、3Bとの密着力(95℃)は、3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを満足している。
このように、透光性カバー部材1を、偏光板20と反射防止層6A、6Bとを備えるものとすることで、対象物を反射した反射光に基づく映り込み、さらにはカメラが備えるレンズの内側における光の再反射に基づくゴーストがカメラにより撮像されるのを的確に抑制または防止することができるため、カメラにより、対象物を認識する認識精度の向上が図られる。
特に、本発明では、反射防止層6A、6Bと保護層3A、3Bとを接合するOCA粘着層5A、5Bとを有し、前記OCA粘着層5A、5Bを介した反射防止層6A、6Bと保護層3A、3Bとの密着力(95℃)が3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを満足している。したがって、透光性カバー部材1を、上記のように、カメラ10(車載用カメラ)が備えるものとして使用し、このカメラ10をフロントガラス102の内側等に装着した状態で、夏場のような過酷な条件で使用したとしても、接着剤層としてのOCA粘着層5A、5B中や、その界面における、気泡や、剥離の発生を的確に抑制または防止することができる。そのため、透光性カバー部材1を、優れた長期耐熱性を備えるものであると言うことができる。
以下、この透光性カバー部材1、すなわち、本発明の透光性樹脂シートを構成する各層について説明する。
図3に示すように、透光性カバー部材1は、光透過性を有し、本実施形態では、偏光層2と、接合層4Aおよび接合層4Bと、保護層3Aおよび保護層3Bと、OCA粘着層5AおよびOCA粘着層5Bと、反射防止層6Aおよび反射防止層6Bとを備え、偏光層2と、接合層4Aおよび接合層4Bと、保護層3Aおよび保護層3Bとで偏光板20を構成している積層板である。以下、各層について説明する。
偏光層2は、透光性カバー部材1(透光性樹脂シート)の厚さ方向の中央に位置する中間層であり、その厚さが透光性カバー部材1の面方向に一定の部分である。
この偏光層2は、主としてポリビニルアルコール(PVA)樹脂で構成されている。本実施形態では、偏光層2は、ポリビニルアルコール樹脂に、ヨウ素や二色性染料などに代表される二色性色素を染色し、ホウ素化合物等で架橋したものとなっている。
また、二色性染料としては、特に限定されないが、例えば、ブリリアントブルー6B、ソロフェニルブルーFGLE220%、ソロフェニルブルーGL250%、カヤセロンブルーC-2R、クロラゾールブラックBH、ダイレクトペーパーブルー STL、Solarus Rubine BLN、TOA スカーレット 4BS、EVERPULP ORENGE 2G、ハマダイ ペーパー イエロー R 125%、ダイレクト ファースト オレンジ S コンク、ベンゾパープリン、Diacotton Fast Orange WS、Direct Fast Orange S、AIZEN Primula Scarlet GSH、JAPANSOL FAST BLACK D conc.等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この偏光層2は、前記構成材料からなるシート材(フィルム)を加工したものとなっている。すなわち、当該シート材は、透光性カバー部材1での偏光層2の厚さよりも厚いシート材であり、そのシート材を偏光層2の厚さとなるまで一方向に向かって延伸した延伸状態とすることにより、偏光層2として用いられる(得られる)。この延伸により、偏光層2は、偏光子として機能するものとなる。
偏光層2の厚さとしては、特に限定されず、例えば、5μm以上60μm以下であるのが好ましく、10μm以上40μm以下であるのがより好ましい。厚さが前記下限値未満であると、偏光層2が偏光子として機能が十分に図れないことがあり、また、厚さが前記上限値を超えても、それ以上の偏光子として機能の向上は望めない。
偏光層2の屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.50以上1.60以下であるのが好ましく、1.52以上1.55以下であるのがより好ましい。
また、図3に示すように、偏光層2の上面側には、保護層3Aが配置され、下面側には、保護層3Bが配置されている。保護層3Aと保護層3Bとは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、保護層3Aについて代表的に説明する。
保護層3Aは、樹脂材料を主材料として構成される樹脂層である。そして、この保護層3Aが、本実施形態では、リタデーション(位相差;複屈折率×厚さ)を有している。
この保護層3Aは、例えば、樹脂材料を主材料とするシート材を、延伸状態とする延伸加工を施して形成されることで、リタデーション(位相差;複屈折率×厚さ)を有するものとなっている。具体的には、シート材として、保護層3Aの厚さよりも厚く形成されたものを用意し、その後、軟化または溶融状態とされたシート材を保護層3Aの厚さとなるまで一方向に向かって延伸した延伸状態とすることで、保護層3Aの層中において、樹脂材料(高分子)を延伸した一方向に沿って配列させる。この樹脂材料の配列により、保護層3Aは、リタデーション(位相差;複屈折率×厚さ)を有するものとなる。
さらに、保護層3Aは、上記のような延伸加工の他、軟化または溶融状態とされた樹脂材料を主材料とする軟化・溶融材料を、軟化または溶融状態のシート材として押出した後に、シート材を搬送しつつ冷却する押出加工を施すことで、形成される保護層3Aの層中において、樹脂材料(高分子)が押し出された一方向に沿って配列し、その結果、リタデーション(位相差;複屈折率×厚さ)を有するものとされたものであってもよい。
なお、延伸加工を施す場合、保護層3Aのリタデーション(Re)は、軟化または溶融状態とされたシート材を一方向に向かって延伸させる際の条件、すなわち、シート材の加熱条件、延伸させた後のシート材の冷却条件およびシート材の延伸条件(延伸力、延伸スピード)等の条件を適宜設定することで、所望の大きさを有するものに設定し得る。
さらに、保護層3Aのリタデーション(Re)は、保護層3Aに含まれる樹脂材料の種類を適宜選択すること、また、押出加工を施す場合、軟化または溶融状態とされた軟化・溶融材料をシート材として押出す際の条件、すなわち、軟化・溶融材料(シート材)の加熱条件、押出されたシート材の冷却条件およびシート材の押出条件(搬送スピード)等の条件を適宜設定することで、所望の大きさを有するものに設定し得る。
樹脂材料としては、透光性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にポリカーボネート系樹脂であるのが好ましい。ポリカーボネート系樹脂の硬化物は、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度および耐熱性に富むため、樹脂材料としてポリカーボネート系樹脂を用いることで、透光性カバー部材1の透明性や耐衝撃性および耐熱性を向上させることができる。また、保護層3Aを、確実にリタデーション(Re)を有するものとし得る。
さらに、このポリカーボネート系樹脂としては、その粘度平均分子量が19000以上40000以下であるのが好ましく、19500以上35000以下であるのがより好ましい。これにより、樹脂材料としてポリカーボネート系樹脂を用いる効果をより顕著に発揮させることができる。
また、保護層3Aのリタデーションとしては、例えば、2400nm以上6000nm以下となるのが好ましく、3000nm以上5600nm以下となるのがより好ましい。
保護層3Aの厚さは、好ましくは0.3mm以上0.6mm以下であり、より好ましくは0.32mm以上0.54mm以下に設定される。保護層3Aの厚さをかかる範囲内に設定することにより、例えば、透光性カバー部材1を湾曲させた湾曲状態で、収納体13の窓部131を覆うように装着した際に、透光性カバー部材1に窓部131を覆うカバー部材としての機能を確実に発揮させることができる。
なお、保護層3Aの屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.58以上1.60以下であるのが好ましく、1.585以上1.595以下であるのがより好ましい。
また、保護層3Aは、OCA粘着層5Aと接する側の表面に対する純水の接触角が55.0°以上90.0°以下であることが好ましく、60.0°以上82.0°以下であることがより好ましい。これにより、保護層3AとOCA粘着層5Aとの間の密着性の向上を図って、前記密着力(95℃)をより確実に前記範囲内に設定することができる。なお、前記接触角の調整は、例えば、保護層3AのOCA粘着層5Aと接する側の表面に、例えば、紫外線照射処理やコロナ処理を施すことが挙げられる。また、前記接触角の測定は、例えば、接触角計を用いて、25℃環境下において、純水1μLをシリンダーにて、保護層3AのOCA粘着層5Aと接する側の表面へ滴下させた後に、前記保護層3A上に形成された水滴の接触角をθ/2法にて測定することで実施することができる。
このような構成の保護層3Aと、保護層3Bとは、それぞれ、その遅相軸が偏光層2の吸収軸と同じ方向となるように配置されている。「遅相軸」とは、保護層3Aや保護層3Bを透過する光の進む速度が遅い(位相が遅れる)方位のことであり、これと反対に、光の進む速度が速い(位相が進む)方位をその位相子の「進相軸」と言う。なお、遅相軸と吸収軸とのズレは、±5度以内までなら許容される。
そして、透光性カバー部材1をカメラ10に用いた使用状態では、カメラ10の外部から入射される、対象物300を反射した反射光すなわち画像LSは、透光性カバー部材1を透過する際に、所定の偏光方向の光が透光性カバー部材1で吸収され、残りの光が画像LSとして収納体13にまで到達し、さらに、光学部材12を介して撮像素子11に導かれることで、撮像素子11により撮像される。このような透光性カバー部材1において、保護層3Aと偏光層2と保護層3Bとを含む積層体は、偏光板20としての機能を発揮する。このようにして、画像LSは、所定の偏光方向の光が吸収されることで生成された偏光光として、収納体13の内側、さらには、撮像素子11に到達する。そのため、フロントガラス102および透光性カバー部材1を反射した反射光が、画像LSとともに撮像素子11に到達するのを的確に抑制または防止することができる。したがって、この反射光に基づく、映り込みが画像LSとともに撮像されるのを的確に抑制または防止することができるため、カメラ10により、対象物300を認識する認識精度の向上が図られる。
また、偏光板20、すなわち、保護層3Aと偏光層2と保護層3Bとを含む積層体を備える透光性カバー部材1の偏光度は、可能な限り100%に近い大きさであることが望まれ、具体的には、80.0%以上98.0%以下であるのが好ましく、85.0%以上98.0%以下であるのがより好ましい。これにより、前記積層体に、偏光板20としての機能をより確実に発揮させて、映り込みが撮像されるのをより的確に抑制または防止することができる。
なお、保護層3Aが、上記では、リタデーションを有していることとしたが、カメラ10による、対象物300を認識する認識精度を、特に優れたものとする必要がない場合には、保護層3Aは、リタデーションを有しないものであってもよい。この場合、保護層3Aは、前記樹脂材料として、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系樹脂を含有するものが挙げられる。
また、偏光層2と保護層3Aとは、接合層4Aを介して接合され、偏光層2と保護層3Bとは、接合層4Bを介して接合されている。
接合層4Aおよび接合層4Bは、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、アクリル接着剤、アクリル粘着剤等の各種接着剤または粘着剤である。これにより、各層同士の接合を確実に行なうことができ、透光性カバー部材1は長期間の使用に耐え得るものとなる。
接合層4A、4Bの厚さとしては、特に限定されず、例えば、0.005mm以上0.04mm以下であるのが好ましく、0.006mm以上0.015mm以下であるのがより好ましい。接合層4A、4Bの厚さが前記下限値未満であると、接着力の低下を招くことがあり、また、接合層4A、4Bの厚さが前記上限値を超えると、接着剤または粘着剤の種類によっては、接合層4A、4Bの硬化・収縮に起因して、透光性カバー部材1にひずみが生じるおそれがある。また、接合層4A、4Bの厚さは、それぞれ、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
接合層4A、4Bの屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.46以上1.55以下であるのが好ましく、1.461以上1.545以下であるのがより好ましい。
上述したような、偏光層2と、保護層3A、3Bと、接合層4A、4Bとにより、本実施形態では、透光性カバー部材1における、偏光板20が構成される。
さらに、図3に示すように、保護層3Aの上面側には、反射防止層6Aが配置され、保護層3Bの下面側には、反射防止層6Bが配置されている。反射防止層6Aと反射防止層6Bとは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、反射防止層6Aについて代表的に説明する。
反射防止層6Aは、例えば、光の干渉効果を利用して、反射防止層6Aに対して入射する入射光としての画像LSと、この画像LSが反射した反射光との逆転した位相を互いに打ち消し合わせることで、反射防止性を発現している層のことを言い、フロントガラス102を介して入射した画像LSの透光性カバー部材1における反射を抑制し、収納体13の内側に対する導入率を向上させる機能を有している。
この反射防止層6Aは、一般的には、保護層3Aの屈折率(より詳細には、OCA粘着層5Aを含めた保護層3Aの屈折率)よりも小さい屈折率を有する透明な化合物(好ましくは、金属酸化物)の低屈折率層と、保護層3Aの屈折率よりも大きな屈折率を有する化合物(好ましくは、金属酸化物)の高屈折率層との積層体で構成される。
この反射防止層6Aの構成は、特に限定されず、低屈折率層と高屈折率層との1つの繰り返し体からなる積層体であってもよいが、低屈折率層と高屈折率層との複数の繰り返し体からなる積層体であることが好ましく、その繰り返し単位は、1以上10以下の繰り返し単位であることが好ましく、1以上3以下の繰り返し単位であることがより好ましい。これにより、反射防止層6Aの反射率をより低く設定することができるため、反射防止層6Aを形成することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
このような反射防止層6Aにおいて、低屈折率層の屈折率は、波長500~550nmで、好ましくは1.35以上1.80以下、より好ましくは1.45以上1.50以下に設定される。
この低屈折率層は、特に限定されないが、無機酸化物を主材料として構成され、好ましくはSiOを主材料として構成される。
また、高屈折率層の屈折率は、波長500~550nmで、好ましくは1.90以上2.60以下であり、より好ましくは2.00以上2.40以下に設定される。
この高屈折率層は、特に限定されないが、無機酸化物を主材料として構成される。高屈折率層に用いられる無機酸化物としては、好ましくはZrO、Ta、Y、TiO、NbおよびAlが挙げられ、中でも、ZrOまたはTaであるのがより好ましい。
なお、低屈折率層および高屈折率層は、それぞれ、前述した主材料としての無機酸化物の他に、アクリル系樹脂のようなバインダー樹脂を含有するものであってもよい。
反射防止層6Aの厚さとしては、特に限定されず、例えば、0.002mm以上0.020mm以下であるのが好ましく、0.003mm以上0.015mm以下であるのがより好ましい。また、反射防止層6Aの厚さと反射防止層6Bの厚さとは、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
反射防止層6A、6Bを備える透光性カバー部材1の反射率は、波長400~680nmで、3.0%以下であることが好ましく、0.6%以下であることがより好ましく、波長680~700nmで、4.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。
また、反射防止層6A、6Bを備える透光性カバー部材1の透過率は、波長415~675nmで、35.0%以上85.0%以下であることが好ましく、40.0%以上85.0%以下であることがより好ましい。
反射率および透過率がそれぞれ前記上限値以下および前記範囲内に設定されている、反射防止層6A、6Bを備える透光性カバー部材1とすることで、透光性カバー部材1を、反射防止層6A、6Bを備えるものとすることで得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、反射防止層6A、6Bは、上記の通り、前記低屈折率層と前記高屈折率層との積層体で構成される場合の他、前記高屈折率層の形成が省略された前記低屈折率層からなる単層体であってもよい。これにより、反射防止層6A、6Bをより安価に形成することができる。
このような構成の反射防止層6Aおよび反射防止層6Bは、それぞれ、保護層3Aの上側および保護層3Bの下側に配置されている。
そして、透光性カバー部材1をカメラ10に用いた使用状態では、カメラ10の外部から太陽光のような高い強度を有する光が収納体13内に透光性カバー部材1を透過して入射されると、光学部材12の内側で再反射した光が、透光性カバー部材1が備える反射防止層6A、6Bにおいて反射されるのが抑制される。したがって、この再反射された光に基づく、ゴーストの発生を抑制することができるため、ゴーストがカメラ10により撮像されるのを的確に抑制または防止することができる。よって、カメラ10により、対象物300を認識する認識精度の向上が図られる。
なお、前述したように、本実施形態では、保護層3Aおよび保護層3Bにそれぞれ反射防止層6Aおよび反射防止層6Bが設けられている。この構成は、保護層3Aおよび保護層3Bのいずれか一方の面側に反射防止層6Aまたは反射防止層6Bが設けられている場合に比べて、光学部材12の内側で再反射した光が反射防止層6A、6Bにおいて反射する効果が増大するのに寄与する。なお、反射防止層6Aおよび反射防止層6Bのいずれか一方を省略する場合、収納体13の窓部131に設置した際に、収納体13の外側に位置する反射防止層を省略することが好ましい。これにより、収納体13の内側に位置する反射防止層を省略する場合と比較して、収納体13の内側に位置する反射防止層により、前記効果を確実に発揮させることができる。
また、反射防止層6A、6Bは、保護層3A、3Bの反対側の表面に、最外層として、ハードコート層を備えるものであってもよい。これにより、反射防止層6A、6Bの表面強度の向上を図ることができる。
さらに、反射防止層6A、6Bは、保護層3A、3Bの反対側の表面が、図3では平坦面で構成される場合について示したが、平坦面で構成される必要はなく、例えば、モスアイ構造を有する凹凸面で構成されていてもよい。これにより、反射防止層6A、6Bを、防曇化が図られたものとし得る。
また、反射防止層6Aは、OCA粘着層5Aと接する側の表面に対する純水の接触角が25.0°以上65.0°以下であることが好ましく、30.0°以上55.0°以下であることがより好ましい。これにより、反射防止層6AとOCA粘着層5Aとの間の密着性の向上を図って、前記密着力(95℃)をより確実に前記範囲内に設定することができる。なお、前記接触角の調整は、例えば、反射防止層6AのOCA粘着層5Aと接する側の表面に、例えば、紫外線照射処理やケン化処理、プラズマ処理を施すことが挙げられる。また、前記接触角の測定は、前記保護層3Aの表面に対する純水の接触角の測定方法で挙げたのと同様の方法を用いて実施することができる。
また、保護層3Aと反射防止層6Aとは、OCA粘着層5Aを介して接合され、保護層3Bと反射防止層6Bとは、OCA粘着層5Bを介して接合されている。OCA粘着層5AとOCA粘着層5Bとは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、OCA粘着層5Aについて代表的に説明する。
OCA粘着層5Aは、保護層3Aと反射防止層6Aとを接合する接着剤層であり、光学的透明粘着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)からなる接着剤層で構成されており、本発明では、95℃の環境下で、反射防止層6Aの一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、OCA粘着層5Aを介した反射防止層6Aと保護層3Aとの密着力(95℃)が3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを満足するものである。
このように、保護層3Aと反射防止層6Aとを接合する接着剤層として、OCAからなるもので構成することにより、保護層3Aと反射防止層6Aとの間に異物が噛み込むことに起因して、例えば、透光性カバー部材1を介して対象物300を視認したときに、対象物300に歪みが生じて視認される、いわゆる視認物(対象物300)の歪みが発生するのを的確に抑制または防止することができる。さらに、前記密着力(95℃)が前記範囲内に設定されているため、この透光性カバー部材1を、本実施形態のように、カメラ10(車載用カメラ)が備えるものとして使用し、このカメラ10をフロントガラス102の内側等に装着した状態で、夏場のような過酷な条件で使用したとしても、OCA粘着層5A中や、OCA粘着層5Aと保護層3Aとの界面、および、OCA粘着層5Aと反射防止層6Aとの界面における、気泡や、剥離の発生を的確に抑制または防止することができる。したがって、かかる透光性カバー部材1を、優れた長期耐熱性を発揮するものであると言うことができる。
このOCA粘着層5Aとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソブチレン系OCA、スチレンブロック共重合体系OCA、シリコーン系OCA、アクリル系OCAまたはウレタン系OCA等で構成されるものが挙げられるが、中でも、シリコーン系OCAまたはアクリル系OCA(特に、アクリル系OCA)で構成されるものが好ましい。これにより、前記密着力(95℃)が3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを、比較的容易に満足するものとして、透光性カバー部材1を、優れた長期耐熱性を備えるものとし得る。
また、アクリル系OCAとしては、特に限定されないが、例えば、特開2002-363523号公報、特開2013-091785号公報、特開2016-180021号公報等に記載のものが挙げられ、さらに、シリコーン系OCAとしては、特に限定されないが、例えば、特開2013-173944号公報、特開2016-182772号公報、特表2021-508755号公報等に記載のものが挙げられる。
OCA粘着層5Aの厚さとしては、特に限定されず、例えば、0.005mm以上0.100mmであるのが好ましく、0.010mm以上0.075mm以下であるのがより好ましい。OCA粘着層5Aの厚さが前記下限値未満であると、接着力の低下を招くことがあり、また、OCA粘着層5Aの厚さが前記上限値を超えると、光学的透明粘着剤(OCA)の種類によっては、OCA粘着層5A、5Bの収縮に起因して、透光性カバー部材1にひずみが生じるおそれがある。
また、OCA粘着層5Aの屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.46以上1.55以下であるのが好ましく、1.461以上1.545以下であるのがより好ましい。
ここで、前記密着力(95℃)は、3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であれば良いが、4.0N/25mm以上17.0N/25mm以下であるのが好ましく、5.0N/25mm以上16.0N/25mm以下であるのがより好ましい。これにより、透光性カバー部材1を備えるカメラ10を、フロントガラス102の内側等に装着した状態で、夏場のような過酷な条件で使用したとしても、OCA粘着層5A中や、OCA粘着層5Aと保護層3Aとの界面、および、OCA粘着層5Aと反射防止層6Aとの界面における、気泡や、剥離の発生をより的確に抑制または防止することができる。
さらに、115℃の環境下で、反射防止層6Aの一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、OCA粘着層5Aを介した反射防止層6Aと保護層3Aとの密着力(115℃)は、1.0N/25mm以上10.0N/25mm以下であることが好ましく、2.0N/25mm以上10.0N/25mm以下であることが好ましく、2.5N/25mm以上9.0N/25mm以下であることがより好ましい。かかる高温領域における前記密着力(115℃)が前記範囲内に設定されることにより、前記密着力(95℃)を前記範囲内に設定することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、OCA粘着層5A、5Bおよび反射防止層6A、6Bの形成は、例えば、保護層3A、3Bに対する、反射防止フィルムとOCAフィルムとが積層された積層体の貼付により行うことができる。この場合、積層体として、反射防止フィルムとOCAフィルムとがこの順で積層された積層体を用意し、積層体を、OCAフィルムが保護層3A、3Bに対向するようにして、保護層3A、3Bに対して貼付することで、保護層3A、3B上に、OCA粘着層5A、5Bを介して、反射防止層6A、6Bを形成することができる。
以上のような透光性カバー部材1は、その総厚が例えば0.4mm以上1.5mm以下であるのが好ましく、0.7mm以上1.2mm以下であるのがより好ましい。これにより、透光性カバー部材1をできる限り薄いものとし得るとともに、自動車100内での通常の使用に耐え得る程度の剛性を有するものとし得る。
また、透光性カバー部材1は、その平面視で長方形をなすものであり、縦が5mm以上30mm以下であるのが好ましく、10mm以上20mm以下であるのがより好ましく、横が10mm以上40mm以下であるのが好ましく、13mm以上30mm以下であるのがより好ましい。
以上のような構成をなす透光性カバー部材1(本発明の透光性樹脂シート)を、カメラ10が備えるものとして用いることで、カメラ10は、透光性カバー部材1が収納体13の窓部131に装着されることで、映り込みを画像LSとともに撮像すること、さらには、カメラが備えるレンズの内側における光の再反射に基づくゴーストを撮像することの双方を的確に抑制または防止することができる。そのため、カメラ10による、対象物300を認識する認識精度の向上が図られる。さらに、このカメラ10を、フロントガラス102の内側等に装着して、夏場のような過酷な条件においても使用することができる。したがって、かかるカメラ10を備える自動車100を、優れた信頼性を有するものとし得る。
以上、本発明の透光性樹脂シート、カメラおよび移動体について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、透光性樹脂シートを構成する各層は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
さらに、前記実施形態では、本発明のカメラを、移動体としての自動車100が備えるカメラ10に適用する場合について説明したが、カメラ10が適用される移動体としては自動車100に限らず、例えば、船舶、鉄道車両、飛行機、バス、オートバイ、自転車、フォークリフト、工事現場等で所定の作業をする作業車、ゴルフカート等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.各種フィルムの準備
まず、各実施例および各比較例の透光性樹脂シートの製造に用いた各種フィルムを以下に示す。
(PVAフィルム)
PVA(ポリビニルアルコール)フィルムとして、クラレビニロン#7500(クラレ社製)を用意した。
(保護用フィルム)
保護用フィルムとして、ポリカーボネート樹脂シートを用意した。
(反射防止フィルム1)
反射防止フィルム1として、KSL-3A(大日本印刷社製)を用意した。
(反射防止フィルム2)
反射防止フィルム2として、DSG-17V1(大日本印刷社製)を用意した。
(OCAフィルム1)
OCAフィルム1として、アクリル系OCAで構成されるNA081CC(王子ホールディングス社製)を用意した。
(OCAフィルム2)
OCAフィルム2として、アクリル系OCAで構成されるCS9862UA(日東電工社製)を用意した。
(OCAフィルム3)
OCAフィルム3として、アクリル系OCAで構成されるEA381CC(王子ホールディングス社製)を用意した。
(OCAフィルム4)
OCAフィルム4として、シリコーン系OCAで構成されるtk25(岩谷産業社製)を用意した。
2.透光性樹脂シートの製造
(実施例1)
<1> まず、膨潤槽、染色槽、架橋槽、乾燥機を具備する染色装置にて、PVAフィルムを延伸させながら二色性染料を溶解させた水溶液(ブリリアントブルー6Bが4g/L、ベンゾパープリンが2g/L、JAPANSOL FAST BLACK D conc.が1g/L)中において40℃の条件で10分間染色し、硼酸架橋することで、偏光層2を形成した。
<2> 次に、得られた偏光層2の両面に一液型湿気硬化型ポリウレタン系接着剤を介して、保護用フィルムを保護層3A、3Bとして圧着することで総厚0.8mmの偏光板20を作製した。なお、接触角計(協和界面科学社製、「DMs-401」)を用いて、25℃環境下において、純水1μLをシリンダーにて、保護層3A、3Bの偏光層2と反対側(すなわちOCAフィルムと接触する側)の表面へ滴下させた後に、保護層3A、3B上に形成された水滴の接触角をθ/2法にて測定したところ、81.9°であった。
<3> 次に、反射防止フィルム1にOCAフィルム1を貼付した積層体を得た後に、この積層体を、OCAフィルム1を保護層3A、3B側として、偏光板20の両面に、それぞれ、貼付することにより、実施例1の透光性樹脂シートを得た。なお、OCAフィルム1の貼付に先立って、接触角計(協和界面科学社製、「DMs-401」)を用いて、25℃環境下において、純水1μLをシリンダーにて、反射防止フィルム1のOCAフィルム1側の表面へ滴下させた後に、OCAフィルム1上に形成された水滴の接触角をθ/2法にて測定したところ、60.2°であった。
この透光性樹脂シートの反射率を、分光透過率測定装置(日本分光社製、「V-670」)を用いて測定したところ、波長400~680nmにおいて2.4%以下であり、波長680~700nmにおいて2.7%以下であった。
さらに、この透光性樹脂シートの偏光度を、分光透過率測定装置(日本分光社製、「V-670」)を用いて測定したところ97.4%であった。
(実施例2~4、比較例1)
前記工程<3>において、積層体の形成に用いた、反射防止フィルムとOCAフィルムとの組み合わせについて、表1に示すものとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~4、比較例1の透光性樹脂シートを得た。
(実施例5)
前記工程<2>において、偏光板20を作製した後に、保護層3A、3Bの偏光層2と反対側の表面に、紫外線照射処理を施したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例5の透光性樹脂シートを得た。
(比較例2)
OCAフィルム1に代えて、2液混合ウレタン系接着剤(Ru-77/H-7、混合比率(重量比):10/1)を介して、反射防止フィルム1と、保護層3A、3Bとを接合したこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例2の透光性樹脂シートを得た。
3.評価
各実施例および各比較例の透光性樹脂シートを、以下の方法で評価した。
<A>密着力(95℃)の評価
まず、各実施例および各比較例の透光性樹脂シートの幅を25mmとし、その後、スクレーパーを用いて引き剥がした反射防止層6Aの一端を持ち、JIS G 3469に準拠して、95℃環境下で、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度(ピール強度)の平均値を、OCA粘着層5Aを介した反射防止層6Aと保護層3Aとの密着力(95℃)[N/25mm]として、オートグラフ装置(島津製作所社製、「AG-Xplus」)を用いて測定した。なお、95℃環境下での密着力(95℃)の測定は、透光性樹脂シートを95℃の恒温槽に5分間静置した後に、この恒温槽中において、密着力を測定することにより行った。
<B>密着力(115℃)の評価
まず、各実施例および各比較例の透光性樹脂シートの幅を25mmとし、その後、スクレーパーを用いて引き剥がした反射防止層6Aの一端を持ち、JIS G 3469に準拠して、115℃環境下で、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度(ピール強度)の平均値を、OCA粘着層5Aを介した反射防止層6Aと保護層3Aとの密着力(115℃)[N/25mm]として、オートグラフ装置(島津製作所社製、「AG-Xplus」)を用いて測定した。なお、115℃環境下での密着力(115℃)の測定は、透光性樹脂シートを115℃の恒温槽に5分間静置した後に、この恒温槽中において、密着力を測定することにより行った。
<C>密着力(常温)の評価
まず、各実施例および各比較例の透光性樹脂シートの幅を25mmとし、その後、スクレーパーを用いて引き剥がした反射防止層6Aの一端を持ち、JIS G 3469に準拠して、25℃環境下で、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度(ピール強度)の平均値を、OCA粘着層5Aを介した反射防止層6Aと保護層3Aとの密着力(常温)[N/25mm]として、オートグラフ装置(島津製作所社製、「AG-Xplus」)を用いて測定した。なお、25℃環境下での密着力(常温)の測定は、透光性樹脂シートを25℃の恒温槽に5分間静置した後に、この恒温槽中において、密着力を測定することにより行った。
<D>映り込みの評価
まず、車のダッシュボードに携帯電話(スマートフォン)を置き、この携帯電話における表示画像をフロントガラスに映り込みさせた。そして、各実施例および各比較例の透光性樹脂シートについて、それぞれ、フロントガラスにおける映り込みを、透光性樹脂シートを通して目視にて確認し、以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:フロントガラスにおける映り込みが、目視にて見えない。
〇:フロントガラスにおける映り込みが、目視にて若干見えるが、
対象物の認識精度に影響を与えない程度である。
×:フロントガラスにおける映り込みが、目視にて明らかに見え、
対象物の認識精度に明らかな影響を与える。
<E>ゴーストの評価
各実施例および各比較例の透光性樹脂シートについて、それぞれ、屋外防雨型可視光カメラ(フリアー システムズ社製、「DUO PRO R」)を使用し、透光性樹脂シートをカメラレンズより撮像すべき対象物側に設置した状態で、対象物の撮像を実施し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:対象物を撮像した画像において、ゴーストが認められず、
優れた認識精度で対象物を認識することができる。
〇:対象物を撮像した画像において、ゴーストが若干認められるものの、
優れた認識精度で対象物を認識し得る範囲内である。
×:対象物を撮像した画像において、明らかな虚像が認められ、
優れた認識精度で対象物を認識することができない。
<F>視認物の歪みの評価
各実施例および各比較例の透光性樹脂シートについて、それぞれ、視認物の歪みの発生の有無を、目視にて確認し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:透光性樹脂シートにおいて、視認物の歪みの発生が認められない。
〇:透光性樹脂シートにおいて、視認物の歪みの発生が若干認められる
ものの、透光性樹脂シートとしての使用に問題は認められない。
×:透光性樹脂シートにおいて明らかな視認物の歪みの発生が認められる。
<G>耐熱試験の評価
まず、各実施例および各比較例の透光性樹脂シートについて、それぞれ、5cm角の試験片とし、その後、これらの試験片を、115℃に設定したオーブン内に投入した後に、1000時間静置した。そして、静置後の試験片について、その外観を目視にて観察することにより、反射防止層6A、6Bの剥離の有無、OCA粘着層5A、5Bにおける気泡の発生の有無を観察して、以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:反射防止層6A、6Bの剥離および
OCA粘着層5A、5Bにおける気泡の発生がともに認められない。
〇:OCA粘着層5A、5Bにおける気泡の発生が若干認められるものの、
透光性樹脂シートとしての使用に問題は認められない。
×:反射防止層6A、6Bの明らかな剥離が認められる。
以上のようにして得られた各実施例および各比較例の透光性樹脂シートにおける評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
Figure 2023114940000002
表1に示したように、各実施例における透光性樹脂シートでは、反射防止層と保護層との接合にOCA粘着層が用いられ、かつ、このOCA粘着層を介した反射防止層と保護層との密着力(95℃)が3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下の範囲内に設定されており、これにより、優れた認識精度で対象物を認識することができ、かつ、優れた耐熱性を発揮する透光性樹脂シートが得られる結果を示した。
これに対して、各比較例における透光性樹脂シートでは、反射防止層と保護層との接合に接着剤を用いた場合には、透光性樹脂シートに、視認物の歪みが発生し、また、反射防止層と保護層との接合にOCA粘着層が用いたとしても、このOCA粘着層を介した反射防止層と保護層との密着力(95℃)が3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを満足しない場合には、反射防止層の明らかな剥離が認められ、優れた耐熱性を備えるとは言えない結果を示した。
1 透光性カバー部材
2 偏光層
3A 保護層
3B 保護層
4A 接合層
4B 接合層
5A OCA粘着層
5B OCA粘着層
6A 反射防止層
6B 反射防止層
10 カメラ
11 撮像素子
12 光学部材
13 収納体
20 偏光板
100 自動車
102 フロントガラス
131 窓部
300 対象物
LS 画像

Claims (10)

  1. 光を透過させることが可能な透光性カバー部材に用いられる透光性樹脂シートであって、
    偏光子で構成された偏光層と、該偏光層の双方の面側にそれぞれ設けられ、主として樹脂材料で構成された保護層とを備え、前記光の偏光光を生成する偏光板と、
    前記偏光板の少なくとも一方の面側に積層された反射防止層と、
    前記反射防止層と、前記偏光板が備える前記保護層とを接合するOCA粘着層とを有し、
    95℃の環境下で、前記反射防止層の一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、前記OCA粘着層を介した前記反射防止層と前記保護層との密着力(95℃)は、3.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることを特徴とする透光性樹脂シート。
  2. 前記OCA粘着層は、アクリル系OCAで構成される請求項1に記載の透光性樹脂シート。
  3. 前記反射防止層は、前記OCA粘着層と接する側の表面に対する純水の接触角が25.0°以上65.0°以下ある請求項1または2に記載の透光性樹脂シート。
  4. 前記保護層は、前記OCA粘着層と接する側の表面に対する純水の接触角が55.0°以上90.0°以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の透光性樹脂シート。
  5. 115℃の環境下で、前記反射防止層の一端を持ち、180°の方向にて100mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される、前記OCA粘着層を介した前記反射防止層と前記保護層との密着力(115℃)は、1.0N/25mm以上10.0N/25mm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の透光性樹脂シート。
  6. 前記保護層は、リタデーションを有し、その遅相軸が前記偏光層の吸収軸と同じ方向となるように配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の透光性樹脂シート。
  7. 前記樹脂材料は、ポリカーボネート系樹脂である請求項6に記載の透光性樹脂シート。
  8. 当該透光性樹脂シートは、対象物を反射した反射光を前記光として透過させることでカメラ内に導く前記透光性カバー部材として用いられる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の透光性樹脂シート。
  9. 請求項8に記載の透光性樹脂シートを、前記透光性カバー部材として備えることを特徴とするカメラ。
  10. 請求項9に記載のカメラを備えることを特徴とする移動体。
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