JP2023112904A - 冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷蔵室を冷却するために冷却板を設けた冷蔵庫において、冷蔵室を短時間で冷却し、かつ、冷蔵室の湿度を高く保つとともに、冷蔵室内において食品等の凍結及び望ましくない部位における結露又は着霜を防止する。【解決手段】冷蔵室と、圧縮機、放熱器、減圧部及び蒸発器を環状に冷媒配管で繋いだ冷凍サイクルと、一面が冷蔵室側の第一風路に面する冷却板と、第一風路の空気を昇圧する冷蔵室ファンと、を備えた冷蔵庫であって、冷却板の他面は、冷媒配管のうち減圧部から圧縮機の吸込側までの部分に接する構成、又は、蒸発器で冷却された冷気が流れる第二風路に面する構成を有し、冷媒配管の部分を流れる冷媒又は第二風路を流れる冷気によって、冷却板の第一風路側の表面温度が、冷蔵室の霜点温度より低い温度にまで冷却される。【選択図】図2
Description
本開示は、冷蔵庫に関する。
特許文献1には、ワイン室を冷却するためのワイン室供給風路の前方が、吹出口を有していない仕切体によって区画され、ワイン室供給風路を流れる空気がワイン室に流れ込まないようにした冷蔵庫(特許文献1の(0077))が開示されている。ここで、ワイン室は、左冷蔵室及び右冷蔵室よりも温度の高い収納空間である保存室であり(特許文献1の(0035))、冷蔵庫は、ワイン室を加熱する手段、例えば、電気ヒータ等を備えても良いこと、これにより、ワイン室の内部を室温よりも高い温度で保温することもできること(特許文献1の(0087))も開示されている。
特許文献2には、冷蔵室は、冷却板を用いて直接冷却方式で冷却され、「冷凍室は、冷凍室用蒸発器と熱交換された冷気が循環することで室内が冷却される冷蔵庫(特許文献2の(0064))が開示されている。また、冷蔵室を直接冷却方式で冷却することで、冷蔵室内の湿度を高い状態に維持することができること(特許文献2の(0065))、冷却板の温度を露点温度より上に保つことで、冷却板に付着する結露をより一層抑えること(特許文献2の(0066))が開示されている。
特許文献3には、直接冷却方式の冷蔵室蒸発器にて冷却される冷蔵室と、間接冷却方式にて冷却される冷凍室と、を備えた冷蔵庫において、冷蔵室の内箱背面に、壁面に接して冷蔵室蒸発器が配置され、冷蔵室内が冷蔵室蒸発器によって冷却される冷却壁面を有する構成(特許文献3の(0007)、(0032)等)が開示されている。そして、冷蔵室の温度により開閉ダンパーの開閉を行うことで、冷凍室内冷気もしくは冷凍室蒸発器と熱交換した冷気の量をコントロールする構成(特許文献3の(0042))、冷蔵室冷却壁面が着霜した場合には、三方弁により冷媒をキャピラリーチューブへ流れる回路に切り替え、冷蔵室蒸発器の冷却を停止して、冷蔵室冷却壁面の除霜を行う構成(特許文献3の(0043))が開示されている。
特許文献1に記載のワイン室は、他の冷蔵室よりも温度が高く設定される(特許文献1の(0035)、(0087)等)。なお、例えばJIS C9801-3:2015及びIEC 62552-3:2015に記載の消費電力量算出のための目標温度は、ワイン室が12℃、冷蔵室が4℃である。よって、ワイン室の場合は、貯蔵室と外気との温度差が小さく、ワイン室を冷却するために必要な冷却能力が比較的低くても成立する。また、特許文献1においては、仕切体への着霜や結露に対する対策は検討されていない。
特許文献2に記載の冷蔵庫においては、冷蔵室を冷却板で冷却する際に、冷蔵室内を高湿にしながら冷却板の温度を露点温度より上に保つため、冷蔵室内と露点温度以上の冷却板とで温度差が小さく、冷却能力の確保が難しい。
なお、特許文献2には、冷蔵室送りダンパを開けて冷却室からより低温の冷気を送り込む間接冷却方式により、冷蔵室を早く冷却することが記載されている(特許文献2の(0064)及び(0065))。しかしながら、冷蔵室を直接冷却方式で冷却することで冷蔵室内の湿度を高い状態に維持していることから、間接冷却方式で冷却能力を補うと冷蔵室の湿度が低下してしまい、この場合も冷蔵室内を高湿にしながら冷却板の温度を露点温度より上に保つことは難しい。また、冷蔵室内の結露を抑える手法として、前述の間接冷却方式により湿度を下げることから(特許文献2の(0066))、冷蔵室内の結露又は着霜を抑えられる範囲でしか高湿にできないと考えられる。
特許文献3に記載の冷蔵庫は、直接冷却方式の冷蔵室蒸発器にて冷却される冷蔵室を備えたものであり、冷蔵室蒸発器によって冷却される冷却壁面が冷蔵室に露出した構成を有している。このため、冷却壁面の温度が着霜する程度の温度となった場合、冷蔵室の冷却壁面の近くに置かれた食品等が凍結してしまう問題が生じると考えられる。
本開示の目的は、冷蔵室を冷却するために冷却板を設けた冷蔵庫において、冷蔵室を短時間で冷却し、かつ、冷蔵室の湿度を高く保つとともに、冷蔵室内において食品等の凍結及び望ましくない部位における結露又は着霜を防止することにある。
本開示の冷蔵庫は、冷蔵室と、圧縮機、放熱器、減圧部及び蒸発器を環状に冷媒配管で繋いだ冷凍サイクルと、一面が冷蔵室側の第一風路に面する冷却板と、第一風路の空気を昇圧する冷蔵室ファンと、を備え、冷却板の他面は、冷媒配管のうち減圧部から圧縮機の吸込側までの部分に接する構成、又は、蒸発器で冷却された冷気が流れる第二風路に面する構成を有し、冷媒配管の部分を流れる冷媒又は第二風路を流れる冷気によって、冷却板の第一風路側の表面温度が、冷蔵室の霜点温度より低い温度にまで冷却されることを特徴とする。
また、本開示の冷蔵庫は、冷蔵室と、圧縮機、放熱器、減圧部及び蒸発器を環状に冷媒配管で繋いだ冷凍サイクルと、一面が冷蔵室側の第一風路に面する冷却板と、第一風路の空気を昇圧する冷蔵室ファンと、を備え、冷却板の他面は、冷媒配管のうち減圧部から圧縮機の吸込側までの部分に接する構成、又は、蒸発器で冷却された冷気が流れる第二風路に面する構成を有し、冷媒配管の部分を流れる冷媒又は第二風路を流れる冷気によって、冷却板の第一風路側に着霜させることを特徴とする。
本開示によれば、冷蔵室を冷却するために冷却板を設けた冷蔵庫において、冷蔵室を短時間で冷却し、かつ、冷蔵室の湿度を高く保つとともに、冷蔵室内において食品等の凍結及び望ましくない部位における結露又は着霜を防止することができる。
以下、本開示に係る実施例について説明する。ただし、本実施例は、以下の内容に何ら制限されず、本開示の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
図1は、実施例に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
本図に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上部から、冷蔵室2、左右に併設された製氷室3及び上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1は、それぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室ドア2a、2b、製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a及び野菜室ドア6aである。冷蔵室ドア2a、2bは観音開きであり、製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a及び野菜室ドア6aは引き出し式である。
冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部および下部に設けられており、上部のドアヒンジはヒンジカバー16で覆われている。
冷蔵室2及び野菜室6は、庫内を基本的に冷蔵温度帯(0℃以上)に制御する冷蔵貯蔵室で、例えば冷蔵室2は約2℃、野菜室6は約6℃に制御される。製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)に制御する冷凍室7(冷凍貯蔵室)を構成する。冷凍室7は、例えば、平均的に-20℃程度に制御されることが望ましい。
冷蔵室2と、製氷室3及び上段冷凍室4とは、断熱仕切壁27によって隔てられている。下段冷凍室5と野菜室6とは、断熱仕切壁28によって隔てられている。また、製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間の前面側には、断熱仕切壁29及び断熱仕切壁30が設けられている。断熱仕切壁30は、ドア3a、4a、5aの隙間から冷蔵庫1内の冷気が庫外へ漏れないように、また庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないようにするためのものである。
図2は、図1のA-A断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1は、外箱10a(鋼板製)と内箱10b(合成樹脂製)との間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。断熱箱体10には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に配設することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。ここで、真空断熱材は、グラスウールやウレタン等の芯材を、外包材で包んで構成される。外包材は、ガスバリア性を確保するために金属層(例えばアルミニウム)を含む。
なお、真空断熱材25は、断熱箱体のうち最も低温の冷凍室7の周囲を断熱するため、冷凍室7の左右壁面及び背面壁に配設されている。なお、背面壁に設けた真空断熱材25は、後述する冷蔵室2の冷蔵室第二風路120の略背面を覆うように配設されている(図6A及び図6B参照)。また、真空断熱材25は、比較的大きな冷凍貯蔵室である下段冷凍室5のドア5aにも、断熱性能を高めるため、配設されている。
野菜室6が過度に低温にならないように、断熱仕切壁28の下部に野菜室6を加熱する電気ヒータ46を設けている。
冷蔵室ドア2a、2bは、庫内側に複数のドアポケット33a、33b、33cを備えている。また、冷蔵室2内は、棚34a、34b、34c、34dによって複数の貯蔵スペースに区画されている。また、冷蔵室2の下部(断熱仕切壁27の上部)には、低温貯蔵空間36が設けられている。低温貯蔵空間36は、内部が-1℃程度に制御されている。この温度は、冷蔵室2の中で特に低温度である。低温貯蔵空間36の前方には、開閉可能な蓋体36aが設けてられている。これにより、低温貯蔵空間36内には、冷蔵室2内の冷気が直接入り込むことなく低温高湿に保たれている。このため、低温貯蔵空間36内は、特に低温で乾燥の抑制が求められる食品(例えば肉や魚など)を収納するスペースとして適している。
製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6には、それぞれドア3a、4a、5a、6aと一体に引き出される製氷室容器3b、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b、野菜室容器6bが設けられている。
下段冷凍室5の略背部には、蒸発器室8が設けられている。蒸発器室8には、蒸発器14が設けられている。ここで、蒸発器14の下方の領域は蒸発器室8a、蒸発器14の上方の領域は蒸発器室8bと呼ぶ。蒸発器室8bの上部には、蒸発器ファン9aが設けられている。蒸発器14で発生する冷気は、蒸発器ファン9aにより上方に送られる。したがって、蒸発器室8のうち、蒸発器室8aは、蒸発器14の空気流れの下流側となり、蒸発器室8bは、蒸発器14の空気流れの上流側となる。蒸発器ファン9aは、冷蔵室2、冷凍室7及び野菜室6の何れの貯蔵室にも送風する風量が必要である。このため、蒸発器ファン9aとしては、大風量が得られる軸流ファンであるプロペラファンを用いている。
蒸発器ファン9aの吹き出し領域には、冷凍室風路100が設けられている。冷凍室風路100は、前方の製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5のそれぞれに冷気を供給する製氷室吹き出し口101、上段冷凍室吹き出し口102、下段冷凍室吹き出し口103が設けられている。
蒸発器室8aの前方には、冷凍室戻り風路105が設けられている。冷凍室戻り風路105には、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5からの戻り空気が流れる。冷凍室戻り風路105は、蒸発器14の幅と略等しい幅に形成されている。これにより、戻り空気が蒸発器14に効率よく流入するようになっている。
蒸発器室8の下部には、蒸発器14を加熱する除霜ヒータ21が設けられている。この除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータで、冷蔵庫1内で最も発熱量の高いヒータであり、本図に示す例では150Wのラジアントヒータとしている。蒸発器14に付着した霜を解かすため、冷蔵庫1では、圧縮機24を停止しつつ除霜ヒータ21に通電して蒸発器14及びその霜を加熱する除霜運転を行う。蒸発器14の除霜時に発生した除霜水(融解水)は、蒸発器室8の下部に設けた蒸発器用樋23に落下し、蒸発器用排水口22及び蒸発器用排水管127を介して、機械室39内の圧縮機24の上部に設けた蒸発皿32に排出される。蒸発皿32に流入した除霜水は、圧縮機24からの放熱や、図示しない機械室ファンによる通風等の作用により蒸発する。
冷蔵室2の背面には、冷蔵室第一風路110が設けられている。冷蔵室第一風路110の下部には、冷蔵室ファン9bが設置されている。冷蔵室ファン9bは、比較的狭い風路で、かつ、冷蔵室2内の循環を行うために、狭い風路への設置性の高い遠心ファンのターボファンを用いている。
冷蔵室第一風路110には、最上段の棚34aの上方、及び棚34aと上から2段目の棚34bとの間の空間に、それぞれ冷蔵室2内に空気を吹き出す冷蔵室吹き出し口111a、111bが設けられている。
冷蔵室第一風路110の後方には、隔壁を隔てて隣接する冷蔵室第二風路120が設けられている。冷蔵室第一風路110と冷蔵室第二風路120との間に設けられた隔壁は、冷却板200である。冷蔵室第一風路110内の空気と冷蔵室第二風路120内の空気とは、冷却板200を介して熱交換されるようになっている。なお、本例においては、冷蔵室吹き出し口111aの開口面積は1000mm2、冷蔵室吹き出し口111bの開口面積は500mm2であり、最上段の吹き出し口の開口面積を大きくしている。
なお、冷蔵室第一風路110及び冷蔵室第二風路120の流路断面の厚さ、すなわち、流路の冷蔵庫1における奥行方向の寸法は、通風抵抗及び省スペース性から、それぞれが5~20mmであることが望ましい。
野菜室6の上部の断熱仕切壁28には、野菜室戻り口136が設けられ、野菜室戻り風路135を介して、野菜室6の空気が蒸発器室8の下部に流入するように構成されている。
冷蔵室第一風路110の下部には冷蔵室第一ダンパ151、冷蔵室第二風路120の下部には、冷蔵室第二ダンパ152が設けられている。冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152は、冷気遮断手段である。冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152は、一体に形成されていてもよく、単一のモータで駆動されるように構成されていてもよい。冷蔵室第一ダンパ151、冷蔵室第二ダンパ152の機能を合わせた部品を「冷蔵室ダンパ」と呼ぶ。
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43、野菜室温度センサ44を設けている。また、蒸発器14の上部には蒸発器温度センサ40、冷却板200の上部には冷却板温度センサ201を設けている。これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6、蒸発器14及び冷却板200の温度を検知している。また、ヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度を検知する外気温度センサ37と、外気の湿度を検知する外気湿度センサ38と、が設けられている。その他のセンサとして、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ(図示せず)や、製氷皿内の水(氷)の温度を検知する製氷室温度センサ(図示せず)等も設けられている。
冷蔵庫1の上部には、図示していないが、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を有する制御基板(制御部)が配置されている。制御基板は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43、野菜室温度センサ44、蒸発器温度センサ40、冷却板温度センサ201、ドアセンサ、製氷室温度センサ等と電気配線(図示せず)で接続されている。
冷蔵室2内の壁面には、操作部18が設けられている。冷蔵室2、冷凍室7及び野菜室6の温度調整や、付加機能、例えば冷蔵室2の冷却能力を高める急速冷蔵機能などの実施指示を行うことができる。
また、制御基板は、各センサの出力値や操作部18の設定、ROMに予め記録されたプログラム等に基づいて、圧縮機24、蒸発器ファン9a、冷蔵室ファン9b、冷蔵室第一ダンパ151、冷蔵室第二ダンパ152、野菜室ダンパ160等の制御を行う。なお、野菜室ダンパ160も、冷気遮断手段である。
図3は、図2の冷蔵室第一風路110及び冷蔵室第二風路120を示す分解斜視図である。
図3に示すように、冷蔵室第一風路110は、略直方体形状の箱形部材の内部に形成されている。また、冷蔵室第二風路120は、略直方体形状の箱形部材の内部に形成されている。2つの箱形部材の間には、冷却板200が挟み込まれている。これにより、冷蔵室第一風路110と冷蔵室第二風路120との間が仕切られ、空気の流通が遮断されている。冷却板200の前面には、プレート式の電気ヒータである冷却板補助ヒータ202が設けられている。なお、冷蔵室第一風路110の箱形部材の開放面は、冷却板補助ヒータ202に面する側に位置している。言い換えると、冷蔵室第一風路110の背面側は、冷却板補助ヒータ202を有する冷却板200によって閉じられている。
冷却板200の前面上部には、冷却板200の温度を検知する冷却板温度センサ201が設けられている。なお、冷却板補助ヒータ202は、除霜ヒータ21に比べて消費電力が少なく、本例では、最大電力(DUTY100%通電時の消費電力)が30Wであり、除霜ヒータ21の1/5である。
冷蔵室第一風路110の前面(図2の冷蔵室2側)の上部には、冷蔵室吹き出し口111a、111bが設けられている。また、冷蔵室第一風路110の前面の下方には、冷蔵室第一戻り口115が設けられている。冷蔵室第一戻り口115の後方には、冷蔵室ファン9bが設けられている。
冷蔵室第二風路120の内部には、鉛直方向に仕切部材121が設けられている。これにより、冷蔵室第二ダンパ152を開とした場合には、図中に矢印で示すように、冷気は、冷蔵室第二風路120の左側風路120aを上方に向かって流れ、冷蔵室第二風路120の上部において反転し、冷蔵室第二風路120の右側風路120bを下方に流れる。
本図の例においては、冷却板200の材質は、アルミニウム合金である。アルミニウム合金は、熱伝導率が高いため、これを採用することで、冷蔵室第二風路120側の冷熱を冷蔵室第一風路110の空気に伝えやすくしている。なお、冷却板200については、材質は限定されない。冷却板200は、ポリプロピレン等の樹脂を採用してもよい。ポリプロピレン等は、コストの抑制に寄与する。ただし、アルミニウム合金に比べて熱伝導率の低い樹脂部材を用いる場合は、冷却板200の冷却能力を確保するため、例えばフィンやディンプルを設けるなど、形状の工夫により交換熱量を高めることが望ましい。冷却板200の形状については、冷蔵室第二風路120の前面を封止するものであればよい。
図4は、本実施例に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図である。
本図においては、圧縮機24と、庫外放熱器50aと、断熱箱体10(図2)の両側面に配置された壁面放熱配管50bと、外箱10a(図2)の外面における結露を防止する結露防止配管50cと、冷媒を減圧する減圧手段(減圧部)であるキャピラリチューブ53と、冷媒と庫内の空気との熱交換をすることで庫内の熱を吸熱する蒸発器14と、が冷媒配管により環状に接続されることにより冷凍サイクルを構成している。なお、壁面放熱配管50bは、外箱10aと内箱10bとの間の領域であって、外箱10aの内面に配置されている。結露防止配管50cは、断熱仕切壁27、28、29、30の前面側に配置されている。庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b及び結露防止配管50cは、冷媒の放熱を行う放熱手段(放熱器)である。
結露防止配管50cとキャピラリチューブ53との間には、冷凍サイクルを循環する冷媒に混入した水分を除去するドライヤ51が設けられている。蒸発器14と圧縮機24との間には、液冷媒の圧縮機24への流入を抑制する気液分離器54が設けられている。蒸発器14と圧縮機24とを接続する冷媒配管の一部は、キャピラリチューブ53と接し、熱交換部57を構成している。
本図に示す冷凍サイクルにおいては、圧縮機24が駆動すると、冷媒が圧縮されて、高温高圧になったガス冷媒が、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b及び結露防止配管50cを流れる間に放熱し、液冷媒になる。この冷媒は、ドライヤ51を流れて水分が除去された後、キャピラリチューブ53にて減圧され、低温低圧の二相冷媒になって蒸発器14の入口に至る。
蒸発器ファン9a(図2)の駆動によって庫内の各貯蔵室から戻った空気は、蒸発器14を通過することで、蒸発器14内の低温冷媒と熱交換して低温になり、再び庫内の各貯蔵室の冷却を行う。このとき、冷媒は、庫内の空気から吸熱してエンタルピが上昇し、渇き度が上がり、略飽和ガス冷媒となって蒸発器14の出口に至る。
蒸発器14の出口から圧縮機24に戻る配管の一部は、キャピラリチューブ53と熱交換するように近接して設けられている。このため、キャピラリチューブ53内の冷媒によって加熱されてエンタルピが上昇し(温度が上がり)、再び圧縮機24に吸い込まれる。このように熱交換部57を備えることで、圧縮機24に吸い込まれる冷媒の温度が上昇して、冷媒配管への結露や着霜が防止できるとともに、熱交換によって蒸発器14に流入する冷媒のエンタルピが低下して、蒸発器における冷却能力が向上する。
なお、本図の例において冷凍サイクルに用いる冷媒は、可燃性冷媒のイソブタンである。
次に、本実施例に係る冷蔵庫の風路構成を説明する。
図5は、実施例に係る冷蔵庫の風路構成を示す概略図である。
本図においては、上から、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6を模式的に示している。また、蒸発器室8内の蒸発器14と熱交換した冷気を循環させる蒸発器ファン9aを示している。
蒸発器ファン9aから送り出される冷気は、冷凍室風路100を通って、冷蔵室第一ダンパ151、冷蔵室第二ダンパ152及び野菜室ダンパ160の開閉状態によらず、製氷室吹き出し口101、上段冷凍室吹き出し口102、下段冷凍室吹き出し口103から、それぞれ製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5に流入する。製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5を冷却した冷気は、下段冷凍室5から冷凍室戻り風路105を通って蒸発器室8に戻る。
野菜室ダンパ160を開とした状態の場合、蒸発器ファン9aから送り出される冷気は、冷凍室風路100の下流において分岐した野菜室風路130を流れ、野菜室吹き出し口131から野菜室6に流入する。野菜室6においては、野菜室容器6bの外面に沿って冷気が流れるようにしてあり、野菜室容器6bに収納される野菜等の食品の乾燥や、過度の温度の低下を抑制している。野菜室6を冷却した冷気は、野菜室戻り口136を通って野菜室戻り風路135に入り、蒸発器室8に戻る。
冷蔵室第一ダンパ151を開とした場合、蒸発器ファン9aから送り出される冷気は、冷蔵室第一風路110に流入し、冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に流入し、冷蔵室2を冷却する。冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室戻り口126を通って冷蔵室戻り風路125を流れ、蒸発器室8に戻る。このように冷蔵室第一ダンパ151を開として、冷蔵室2を冷却する運転方式を、以下では「直接冷却運転」と呼ぶ。
また、冷蔵室第二ダンパ152を開とした場合、蒸発器ファン9aから送り出される冷気は、冷蔵室第二風路120に流入し、冷却板200を介して冷蔵室第一風路110内の空気と熱交換した後、冷蔵室戻り風路125を流れ、蒸発器室8に戻る。
この場合において、冷蔵室第一ダンパ151を閉とした状態で、冷蔵室ファン9bを駆動すると、冷蔵室2内の空気が冷蔵室第一戻り口115から冷蔵室第一風路110に入り、冷蔵室第一風路110を流れて冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に入る。すなわち、冷蔵室2内を循環する空気流が形成される。
そのため、冷蔵室第一ダンパ151を閉とした状態で、冷蔵室第二ダンパ152を開とし、蒸発器ファン9a及び冷蔵室ファン9bを駆動させると、蒸発器ファン9aから送り出され冷蔵室第二風路120に流入する冷気が冷却板200を介して冷蔵室第一風路110内の空気を冷却し、これにより低温になった冷蔵室第一風路110内の空気が冷蔵室2内に送られる。これにより、閉じた空間となっている冷蔵室2内を冷却することができる。このように冷蔵室第一ダンパ151を閉、冷蔵室第二ダンパ152を開として、冷蔵室2を冷却する運転方式を、以下では「間接冷却運転」と呼ぶ。
以上のように、本明細書においては、「直接冷却運転」及び「間接冷却運転」の定義が特許文献2及び3とは異なる。
図6Aは、冷蔵庫の直接冷却運転を示す正面図である。なお、本図においては、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6a及び容器3b、4b、5b、6bは省略している。
本図においては、冷蔵室第一ダンパ151を開とし、冷蔵室第二ダンパ152を閉としているため、蒸発器ファン9aによって昇圧された冷気は、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第一風路110を通って冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に流入し、冷蔵室2を冷却する。冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室戻り口126を通って冷蔵室戻り風路125を流れ、蒸発器室8(図5)に戻る。
なお、冷蔵室第一風路110に冷蔵室ファン9bを配設しているため、冷蔵室第一ダンパ151を開とした状態で冷蔵室ファン9bを駆動させると、冷気が冷蔵室ファン9bにより昇圧され、冷蔵室第一風路110に流入させる蒸発器14からの冷気量を増やすことができる。
図6Bは、冷蔵庫の間接冷却運転を示す正面図である。なお、本図においては、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6a及び容器3b、4b、5b、6bは省略している。
本図においては、冷蔵室第一ダンパ151を閉とし、冷蔵室第二ダンパ152を開としているため、蒸発器ファン9aによって昇圧された冷気は、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第二風路120を流れる。冷蔵室第二風路120の冷気は、冷却板200を介して冷蔵室第一風路110内の空気と熱交換した後、冷蔵室戻り風路125を流れ、蒸発器室8(図5)に戻る。
なお、詳細は後述するが、間接冷却運転中は、冷却板200の温度が冷蔵室2の霜点温度Tfpより低い温度(冷蔵室2の露点温度より低い温度でかつ融点の0℃以下の温度)で、冷却板200の冷蔵室第一風路110側の表面に着霜が生じる状態で冷却している。
ここで、上記した冷蔵室2の2つの冷却運転、すなわち直接冷却運転と間接冷却運転とを比較する。
直接冷却運転では、蒸発器14からの低温冷気で冷蔵室2を冷却するため冷却能力を確保しやすい冷却運転であるが、冷凍温度帯の冷凍室7を冷却するために基本的に-20℃以下の低温度に制御している蒸発器14によって低湿になった空気が冷蔵室2に到達する。また、冷蔵室2内の空気は、蒸発器14により除湿されるため、冷蔵室2内の水分量は低下しやすい。
一方、間接冷却運転では、冷却板200を介して冷却するため、冷蔵室2内の空気が低温度の蒸発器14に送られて除湿されることがない。間接冷却運転の場合、冷蔵室2内の空気は、冷却板200に着霜するが、冷却板200は、蒸発器14から送られた冷蔵室第二風路120を流れる空気に冷却されるため、蒸発器14よりも高温となる。このため、冷蔵室2内の水分量の低下を抑制することができる。このため、冷蔵室2内の相対湿度を高く保ちやすい。
なお、一般に、壁面(熱交換面)と空気との熱交換においては、空気の絶対湿度をXairとし、壁面の温度における飽和状態の絶対湿度(壁面の飽和絶対湿度)をXwallとすると、絶対湿度差(Xair-Xwall)が大きいほど、壁面への物質移動量は大きくなる。また、熱交換する壁面温度(この場合は蒸発器14の表面温度)が低いほど、Xwallは低くなる。
例えば、冷蔵室2内の空気が温度2℃、相対湿度80%の場合、Xairは3.5×10-3kg/kg(DA)であり、壁面温度が-20℃の場合、Xwallは0.6×10-3kg/kg(DA)である。このため、Xair-Xwallは2.9×10-3kg/kg(DA)になる。
これに対して、壁面温度が-5℃の場合、Xwallは2.5×10-3kg/kg(DA)であるため、Xair-Xwallは1.0×10-3kg/kg(DA)となる。この場合、壁面温度-20℃の場合に比べてXair-Xwallが小さく、除湿量は少なくなる。
なお、Xair-Xwallが負の値、すなわちXwall>Xairとなった場合は、壁面に水分があった場合はその水分が気化して、空気中の水分量(絶対湿度)が増加する。
以上の運転の他に、冷却板200の除霜運転である第一循環運転がある。
図7は、実施例に係る冷蔵庫の第一循環運転時における空気の流れを示す正面図である。
本図に示すように、第一循環運転は、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152のいずれも閉とし、冷蔵室ファン9bを駆動させている。冷蔵室第二ダンパ152を閉としているため、蒸発器14からの空気が冷蔵室第二風路120に流入しない状態であり、冷却板200の冷却は停止している。また、冷蔵室第一ダンパ151を閉としているため、冷蔵室第一風路110に流入する空気は、冷蔵室2の空気である。
霜は、基本的に氷の融点以下、すなわち0℃以下であるため、冷却板200に霜がついている場合、冷蔵室2の空気(0℃超)が冷蔵室第一風路110に流入することにより、冷却板200及び冷却板200に付着した霜と、冷蔵室2の空気とで熱交換が生じる。これにより、冷蔵室2を冷却するとともに、冷却板200を除霜することができる。
ここで、蒸発器14の霜を解かす蒸発器室8の除霜ヒータ21(図2)は、150W程度の消費電力を要するが、冷却板200の霜を解かす第一循環運転において消費する電力は、冷蔵室ファン9bの動力(基本的に3W以下)のみである。さらに、冷却板200(霜を含む。)と冷蔵室2の空気との熱交換で冷蔵室2の冷却を行えるという付随効果も得られるため、第一循環運転で冷却板200の除霜を行うことで、除霜ヒータ21(図2)などの電気ヒータによって除霜する場合に比べ、省エネルギー性能を高めることができる。
また、この第一循環除霜中、冷却板200に付着した霜と、冷蔵室第一風路110に流入する冷蔵室2の空気との間で物質移動も生じる。詳細は後述するが、この物質移動によって冷蔵室2の空気を加湿することができる。
なお、図7に示す第一循環運転は、圧縮機24を停止して冷凍室7の冷却をしていない状態であっても実施可能である。この場合は、蒸発器ファン9aが停止していれば、冷蔵室第二ダンパ152が開であっても、蒸発器14から冷蔵室第二風路120への空気の流れが抑制されるため、第一循環運転となる。
次に、本実施形態に係る冷蔵庫の冷却運転制御について、温度チャート及びフローチャートを用いて説明する。
図8は、実施例に係る冷蔵庫の冷却運転中の温度変化の一例を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸は各部の温度及び各部品の操作の状態を示している。温度変化については、野菜室、冷蔵室、冷却面(冷却板)、冷凍室及び蒸発器を示している。また、これらの温度に対応する値として、野菜室の基準下限温度TV_off、冷却板の除霜基準温度TDR_off、冷蔵室の設定温度TR_off、冷凍室の基準上限温度TF_start及び冷凍室の基準下限温度TF_offを示している。
本図の横軸において、t0は冷却運転の開始時刻、t1は野菜室ダンパ160を閉とする時刻、t2は冷蔵室ファン9bを停止し冷蔵室第二ダンパ152を閉とする時刻、t3は圧縮機24及び蒸発器ファン9aを停止する時刻、t4は圧縮機24、蒸発器ファン9a及び冷蔵室ファン9bを駆動し冷蔵室第二ダンパ152及び野菜室ダンパ160を開とする時刻、t5は野菜室ダンパ160を閉とする時刻、t6は冷蔵室第二ダンパ152を閉とする時刻、t7は圧縮機24及び蒸発器ファン9aを停止する時刻、t8は冷蔵室ファン9bを停止する時刻、t9は圧縮機24、蒸発器ファン9a及び冷蔵室ファン9bを駆動し冷蔵室第二ダンパ152及び野菜室ダンパ160を開とする時刻を示している。
なお、本図に示す冷却運転中においては、冷蔵室第一ダンパ151を閉としている。
図9は、実施例に係る冷蔵庫の冷却運転の基本制御を示すフローチャートである。
本図に示すように、冷凍室温度センサ43により検知する冷凍室温度TFが基準上限温度TF_start以上(例えば-18℃以上)であるかどうかを判定する(時刻t0、工程S-1)。TF≧TF_startである場合は、圧縮機24及び蒸発器ファン9aを駆動させて冷却運転を開始する(工程S-2)。
その後、冷凍室温度TFが基準下限温度TF_off以下(例えば-22℃以下)であるかどうかを判定する(時刻t3、工程S-3)。TF≦TF_offである場合は、圧縮機24及び蒸発器ファン9aを停止する(工程S-4)。そして、工程S-1に戻り、再び、TF≧TF_startとなった場合は、圧縮機24及び蒸発器ファン9aを駆動させて冷却運転を行い(時刻t4)、TF≦TF_offになるまで冷却運転を行う(時刻t7)。基本的には、このような流れで冷却運転制御を実施する。
この間に、冷蔵室2及び野菜室6の冷却制御が行われる。
まず、野菜室6の冷却制御について説明する。
上記の冷却運転が開始されると、野菜室制御も開始され、野菜室ダンパ160を開とし(工程S-V1)、野菜室6の冷却を開始する(時刻t0)。そして、野菜室温度センサ44により検知する野菜室温度TVが基準下限温度TV_offに到達したかどうかを判定する(工程S-V2)。TV≦TV_offである場合は、野菜室6の冷え過ぎを防止するため、野菜室ダンパ160を閉とし、野菜室6の冷却を止める(工程S-V3、時刻t1)。
なお、工程S-4により圧縮機24が停止した場合も、工程S-V2でYesと判定し、野菜室ダンパ160を閉とし、野菜室6の冷却を止める(工程S-V3)。
また、冷却運転中(圧縮機24が停止していない場合)に野菜室温度TVが所定温度TV_restart以上になった場合(工程S-V4でYes)、野菜室6の温度を所定範囲に維持するため、再び野菜室ダンパ160を開とし、野菜室6の冷却運転を行う(工程S-V1)。
次に、冷蔵室2の冷却制御について説明する。
冷却運転が開始される(時刻t0)と、冷蔵室制御も開始される。
まず、冷却板200の除霜を確実に終わらせるため、第一循環運転又は後述する第二循環運転の実施中に冷却運転に入らないようにする必要がある。そこで、第一循環運転及び第二循環運転が終了しているか否かの判定を行う(工程S-R1)。第一循環運転及び第二循環運転が終了している場合(工程S-R1でYes)、次に、冷蔵室温度センサ41により検知する冷蔵室温度TRが所定温度TR_high以上(例えば5℃以上)か否かの判定を行う(工程S-R2)。
図8に示すグラフにおいては、冷蔵室TRがTR_high未満(時刻t0時に工程S-R2がNo)の場合を示している。この場合、冷蔵室ファン9bを駆動するとともに、冷蔵室第一ダンパ151を閉、冷蔵室第二ダンパ152を開とし(工程S-R3)、冷蔵室2内の相対湿度を高く保ちやすい間接冷却運転(図6B)により冷蔵室2を冷却する。これにより、低温に保つことで冷蔵室2内の食品劣化を抑制するとともに、乾燥による冷蔵室2の食品劣化も抑制することができる。なお、この間、冷蔵室2が高湿(絶対湿度が高い。)となり、冷却板200は冷蔵室2を冷却するために低温(壁面の飽和絶対湿度が低い。)になるため、冷蔵室2の空気から冷却板200に物質移動(水分の付着)が発生する。また、冷却板200は、図8に示すように、冷却中(時刻t0~t2)は基本的に0℃以下であることから、冷却板200に着霜が生じる。なお、詳細は後述するが、実施例では、断熱仕切壁27等への着霜を抑えるため、意図的に冷却板200に着霜させている。このための制御については、図13を用いて説明する。
なお、図8に示すグラフにおいては条件を満たしていないため実施していないが、冷蔵室TRがTR_high以上になった場合(工程S-R2でYes)、冷蔵室2の温度を下げることを優先する必要がある。この場合は、冷蔵室ファン9bを駆動させるとともに、冷蔵室第一ダンパ151を開、冷蔵室第二ダンパ152を閉とし(工程S-R3)、蒸発器14からの低温空気を冷蔵室2に送風する直接冷却運転(図6A)により冷蔵室2を冷却する。これにより、短時間で冷蔵室2が高温の状態を解消し、高温による冷蔵室2の食品劣化を抑制することができる。
なお、圧縮機24が途中で停止しない場合(工程S-R4がNo)は、適宜工程S-R2の判定を行い、冷蔵室温度TRが所定温度TR_highよりも低くなれば(工程S-R2がNo)、間接冷却運転に移行する。
そして、間接冷却運転により冷蔵室2を冷却し、圧縮機24が停止するか、冷蔵室温度TRが所定温度TR_offに到達した場合(時刻t2、工程S-R6がYes)、冷蔵室2の冷え過ぎを防止するために冷蔵室第二ダンパ152を閉とし(工程S-R7)、冷蔵室2の冷却を終了する。なお、第一循環運転が終了した(工程S-R8~S-R13)後も、圧縮機24が駆動しており、冷蔵室温度TRが所定温度TR_restartよりも高くなった場合(工程S-R14がYes)、冷蔵室2の温度を所定範囲に維持するため、再び冷蔵室2の冷却を行う(工程S-R2~S-R7)。
冷蔵室2の冷却が終了した後は、第一循環運転を行う。なお、毎回の除霜は必要ないとして、第一循環運転は、N回に1回行うようにしている(工程S-R8~S-R10)。図8の例では前述のNが2であり、時刻t2はカウントが1のために第一循環運転を省略し、時刻t6にてカウントが2となるため、第一循環運転を開始している。
第一循環運転は、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152の両方が閉(工程S-R7)の状態で、冷蔵室ファン9bを駆動させる(工程S-R11)。
冷却板温度センサ201により検知する冷却板温度TDRが霜の融解温度の0℃より高い所定温度TDR_off以上(例えば2℃以上)になった後(時刻t8、工程S-R12がYes)、冷蔵室ファン9bを停止し(工程S-R13)、第一循環運転を終了する。
以下、上述の冷却運転制御の詳細及び効果について更に説明する。
まず、本実施例の冷蔵庫においては、図8及び図9で示すように、冷蔵室2は、基本的に間接冷却運転、すなわち冷却板200を介して冷却する構成にしている。そして、間接冷却運転中には、冷却板200に着霜するようにしている。この理由について説明する。
図6A及び図6Bを用いて説明したように、直接冷却運転で冷蔵室2を冷却する場合に比べ、間接冷却運転で冷却する方が冷蔵室2を高湿に保つことができる。よって、例えば周囲が異常な高温の場合や、ドア開閉、食品の投入などの外部負荷が流入しない場合は、間接冷却運転で冷蔵室2を冷却することが望ましい。このため、間接冷却運転において冷却板200で冷蔵室2を十分に冷却できる冷却能力を確保できるようにしている。
加えて、詳細は後述するが、冷蔵室2内を更に高湿に保つために有効な第一循環運転の時間の確保、すなわち冷却運転を行っていない時間の確保のためにも、間接冷却運転には高い冷却能力が求められる。間接冷却運転で冷蔵室2を冷却する場合、冷蔵室第一風路110を流れる空気と冷却板200との熱交換が行われる。
また、冷蔵室第一風路110の空気は、冷蔵室2の戻り空気が流れるため、少なくとも冷蔵室第一風路110の流入直後(冷蔵室第一戻り口115付近)の空気の温度及び湿度は、基本的に冷蔵室2と等しくなる。高湿の冷蔵室2、例えば冷蔵室2が2℃で相対湿度が80%の場合は、露点温度(霜点温度)が-1.0℃で、すなわち3.0℃以上の温度差が生じると、熱交換とともに、冷蔵室第一風路110の空気から壁面への水分の物質移動(結露や着霜)が生じる。ここで、冷却板200と冷蔵室第一風路110内の空気との交換熱量は、冷却板200と熱交換する冷蔵室第一風路110内の空気の質量流量、冷却板200と冷蔵室第一風路110内の空気との間の熱伝達率、冷却板200の面積、及び冷却板200の冷蔵室第一風路110側表面温度と冷蔵室第一風路110の空気温度との温度差によって決まる。
したがって、間接冷却運転において冷却板200で冷蔵室2を十分に冷却できる冷却能力(高い交換熱量)を得るためには、冷却板200の冷蔵室第一風路110側表面温度と冷蔵室第一風路110の空気温度との温度差を確保する必要がある。すなわち、冷蔵室2内を高湿にしながら必要な冷却能力を確保するためには、冷蔵室第一風路110から冷蔵室第一風路110側の冷却板200の表面に物質移動(結露又は着霜)を伴うように、冷却板200の温度を低くする必要がある。
また、冷蔵室は、例えばJIS C9801-3:2015及びIEC 62552-3:2015に記載の消費電力量算出のための目標温度が4℃であり、本実施例の冷蔵室2は、更に低温の約2℃に平均温度を制御していることから、融点温度の0℃に近い。よって、高い交換熱量を得るために冷却板200と空気との温度差を確保すると、冷却板200の冷蔵室第一風路110側の表面温度は0℃未満となり、冷却板200に移動した水分は冷蔵室第一風路110側の表面で霜として付着する。
以上のように、本実施例1の冷蔵庫1は、冷却板200と熱交換する冷蔵室第一風路110を配設するとともに、冷却板200の冷蔵室第一風路110側の表面に着霜が生じる温度範囲、すなわち霜点温度より低い温度にまで冷却板200の冷蔵室第一風路110側の表面温度を低くする。これにより、間接冷却運転で必要な冷却能力を確保することができ、高い湿度の冷蔵室を実現することができる。
なお、冷蔵室第一風路110を設けずに冷蔵室2内に冷却板200を設ける構成(冷蔵室2内に冷却板200を露出させる構成)とすることにより、冷蔵室2の空気を冷却板200により直接冷却することも考えられる。
しかしながら、この場合、冷蔵室2内の貯蔵物(食品等)にこの霜が接触してしまうことや、霜点温度以下の冷却板200と貯蔵物が直接接触しまうことで、貯蔵物に意図しない凍結や低温障害などの劣化を引き起こしてしまうことがある。
加えて、冷蔵室第一風路110を設けないと、冷蔵室2の空気が冷却板200の近傍に積極的に流れず(流速が低く)、冷却板200と空気との熱伝達率が低くなるため、必要な冷却能力(交換熱量)の確保が難しいという問題も生じる。なお、熱伝達率が低いと物質伝達率も低くなることから、後述する第一循環運転での加湿(物質移動)も難しくなる。
これに対し、本実施例の冷蔵庫1では、冷却板200と熱交換する冷蔵室第一風路110を配設することで、冷却板200の着霜面及び霜点温度以下の低温度とした冷却板200と食品の接触を抑制している。また、冷蔵室2の空気が冷蔵室第一風路110を流れるようにすることで、冷却板200の近傍に空気の流れが集約され、冷却板200との熱伝達率が向上し、熱交換性能が向上する。すなわち、冷却板200に着霜を生じさせ(冷却板200を霜点温度より低い温度にまで冷却し)、間接冷却運転で必要な冷却能力を確保するためには、冷蔵室2の空気を冷却板200と熱交換させるための風路である冷蔵室第一風路110を設けることが望ましい。
次に、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152の両方を閉とし、冷蔵室ファン9bを駆動させる第一循環運転を行う理由について説明する。
第1の理由は、蒸発器14の除霜運転と同様に、霜成長の抑制である。前述のように、本実施例の冷蔵庫1では、冷却板200の表面に着霜させている。この着霜による霜成長が過度に進むと、冷蔵室第一風路110の閉塞や冷却板200と空気との間の熱抵抗増加が生じ、熱交換性能が低下する。すなわち、霜成長が続くと必要な冷却能力の確保が難しくなるため、それを抑制するために除霜運転として第一循環運転を行っている。
第2の理由として、着霜により冷却板200に付着した水分の冷蔵室2への還元である。間接冷却運転中に冷却板200に着霜させることで、冷蔵室2の水分が減少してしまうが、第一循環運転を行うことにより、この水分を冷蔵室2に戻すことができる。第一循環運転では、図7等を用いて前述したように、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152の両方を閉とし、冷蔵室ファン9bを駆動させ、冷蔵室第一風路110を介して冷蔵室2と冷却板200との間で空気を循環させている。この時、冷却板200は、冷却されていない状態で冷蔵室2の空気と熱交換しているため、冷蔵室2と冷却板200との温度差は小さく、かつ、冷蔵室2は間接冷却運転によって除湿されているため、冷蔵室2の露点温度よりも冷却板200の温度が高くなることがある。冷却板200の温度が露点温度よりも高くなると、壁面の飽和絶対湿度Xwallが空気の絶対湿度Xairより大きくなり(Xwall>Xair)、壁面に霜がある状態ではその霜の水分が空気に物質移動(気化)し、空気を加湿することができる。すなわち、第一循環運転を行うことで、霜成長を抑制する(除霜を行う)とともに、冷蔵室2の湿度を高めることができる。
ここで、冷蔵室第一風路110を設け、第一循環運転中に冷蔵室ファン9bを駆動させて冷蔵室第一風路110に積極的に冷蔵室2の空気を流入させることで、冷却板200と冷蔵室第一風路110内の空気との間の熱伝達率及び物質伝達率を高めている。冷却板200と冷蔵室第一風路110内の空気との間の熱伝達率を高めることで、交換熱量が増加する。また、冷却板200と冷蔵室第一風路110内の空気との間の物質伝達率を高めることで、時間当たりの物質移動量が増加する。すなわち、除霜のための交換熱量と加湿のための時間当たり物質移動量とを増加させ、前述の効果(霜成長の抑制と冷蔵室2の高湿化)が確実に得られるようにしている。
以上から、本実施例の冷蔵庫1は、以下の特徴と効果を持つ。
まず、蒸発器14よりも高い温度の冷却板200を用いた間接冷却運転を行うことで、直接冷却運転に比べて冷蔵室2内の絶対湿度(水分量)の低下を抑制している。そして、間接冷却運転によって、冷蔵室2を冷却するためには着霜が生じるが、冷蔵室2と冷却板200との間で空気を循環させる第一循環運転を行うことで、冷却板200に付着した霜から冷蔵室2の空気に物質移動し、絶対湿度を高めることができる。すなわち、高い湿度の冷蔵室を実現した冷蔵庫を提供することができる。
なお、冷却板200の霜成長の抑制方法(除霜方式)として、例えば、冷蔵室ファン9bによる冷蔵室2と冷却板200との間の空気循環(強制対流)を行わずに自然対流によって冷却板200の霜を解かす方式や、蒸発器14の除霜運転と同様に電気ヒータによる加熱で霜を解かす方式も考えられる。しかしながら、冷蔵室2と冷却板200との間で空気を循環させていない場合(正確には自然対流のみでの循環の場合)、冷却板200から空気への水分移動がほとんど生じず、冷却板200に付着した霜による冷蔵室2の加湿がほとんど行えず、高い湿度の冷蔵室の実現が困難になる。
また、電気ヒータを用いずに自然対流のみで霜を解かすと、霜を解かすのに時間を要し、冷蔵室2の間接冷却運転の時間が確保できず、短時間で冷却できる直接冷却運転での冷却が必要になり、その点でも冷蔵室2内の湿度を高く保つことが難しい。
一方、電気ヒータを用いた場合も、除霜運転の消費電力量が課題となり、高頻度で実施することができない。
図7を用いて前述したように、本実施例の除霜方式の方が電気ヒータを用いるよりも電力損失を低減することができ、省エネルギー性能が高い。第一循環運転は、1日に10回程度実施するが、蒸発器14の除霜運転は、省エネルギー性能への影響が大きいことから、1日に1回程度である。すなわち、電気ヒータ方式では、第一循環運転による加湿効果が少なく、さらにその冷蔵室2を加湿する第一循環運転を低頻度でしか行うことができず、高い湿度の冷蔵室の実現が困難になる。
以上のように、前述した間接冷却運転で必要な冷却能力を確保するために冷却板200に着霜させても、冷却板200の冷却を抑えた状態(冷蔵室第二ダンパ152を閉じて冷蔵室第二風路120への送風を抑制した状態)で、冷蔵室ファン9bによって冷蔵室2と冷却板200との間で空気を循環させる第一循環運転を行うことで、過度な霜成長を抑制できる。加えて、着霜によって冷却板200に移動した水分を再び冷蔵室2に還元することができる。そして、より確実に、高い湿度の冷蔵室2を実現することができる。
なお、本実施例では、冷却板温度センサ201により検知する冷却板温度TDRが霜の融解温度の0℃より高い所定温度TDR_off以上(例えば2℃以上)になるまで第一循環運転を実施しているが、第一循環運転による加湿効果を主目的とし、冷却板200の霜を必ずしも解かさなくてもよい。ただし、この場合は、より確実に除霜する運転を備える必要がある。これについては、図11及び図12を用いて、第二循環運転として後述する。
また、より確実に除霜する第二循環運転に加えて、第一循環運転でも、冷却板温度センサ201により検知する冷却板温度TDRによって融点温度超になるまで実行することで、長時間にわたる霜成長が抑えられる。
また、より確実に除霜する第二循環運転を備えているため、第一循環運転では、冷却板200の霜が解けきらないとしても、空気側の表面の霜が一度融解して水となり、その水が霜内部に浸透して霜の密度が高くなる。言い換えると、霜よりも氷に近い状態になる。これだけでも霜成長抑制の効果は得られる。密度が高くなることで、冷蔵室第一風路110の閉塞や霜による熱抵抗が抑えられ、霜による冷却能力が低下する影響が抑えられ、第二除霜運転が必要になるまでの期間を長くすることができる。
本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室第二風路120を介して蒸発器14からの空気で冷却板200を冷却する構成としているが、上記した効果は、次に示す変形例1及び2の構成でも得られる。
(変形例1)
図10Aは、変形例1の冷凍サイクルを示す構成図である。
図10Aは、変形例1の冷凍サイクルを示す構成図である。
図10Aの説明においては、図4と異なる構成についてのみ説明する。
図10Aにおいては、気液分離器54と熱交換部57との間に設けた冷媒配管200p(破線で示す。)が冷却板200に接するように構成されている。すなわち、本変形例は、冷凍サイクルにより間接冷却運転を実現するものである。
この場合、冷却板200は、蒸発器14からの低温空気の代わりに、蒸発器14の下流側を流れる低温の冷媒により冷却される。この場合、蒸発器14において蒸発器室8内の空気により加熱されガス化した冷媒を用いるため、蒸発器14よりも高い壁面温度の冷却板200により冷蔵室2内の空気を冷却することができる。このため、本変形例による間接冷却運転によれば、冷蔵室2内の絶対湿度の低下が抑えることができる。
また、圧縮機24を停止している間は、冷却板200の冷却が抑えられ、この間に蒸発器14からの空気が流入しないようにしながら冷蔵室ファン9bを駆動させて冷蔵室2と冷却板200との間で空気を循環させることで第一循環運転を実施することができる。
本変形例では、冷却板200を冷やすための冷蔵室第二風路120が不要であり、風路構成を簡素にすることができる。
一方、本変形例においては、冷媒配管200pの温度が蒸発器14を流れる冷媒の状態に依存するため、冷却板200の温度の制御が難しい場合がある。
この点、実施例の構成においては、冷蔵室第二ダンパ152により冷蔵室第二風路120への送風を制御することができるため、冷却板200の温度制御が容易である。また、実施例の構成においては、図4に示すような通常の冷凍サイクルを用いることができ、図3に示す風路構成部材を用いるだけで通常の冷蔵庫と変わりなく組み立て作業を行うことができる。したがって、製造する冷蔵庫のバリエーションを増やす際の生産性を高めることもできる。
また、本変形例でも、第一循環運転は可能であるが、圧縮機24の駆動中は常に冷却板200が冷却される。このため、本変形例では、第一循環運転を実施できるのが圧縮機24の停止中のみになる。
実施例のように、冷蔵室2の他に、更に低温の冷凍室7を備えている場合、図8及び図9で示すように、冷蔵室2の冷却が終了しても、冷凍室7を冷却するために圧縮機24を駆動させている時間(圧縮機24が停止していない時間)が比較的長い。
このため、本変形例において実施例の圧縮機24の駆動パターンを適用するとすると、圧縮機24の停止中のみでは、第一循環運転の時間が限定されるため、第一循環運転時間が十分には確保できず、加湿が十分に行えない問題や、霜成長が進んでしまう問題が生じると考えられる。
除霜時間を確保するために、圧縮機24を停止する時間を長くすることが考えられるが、冷却運転中の冷却能力を高める必要があり、その手段として一般的には圧縮機24の回転速度を高めることになる。圧縮機24の回転速度を高めると、蒸発温度の低下や凝縮温度の上昇に伴って、通常、省エネルギー性能が低下する。
これに対し、実施例の構成によれば、冷凍室7の冷却中(圧縮機24駆動中)も第一循環運転を実施することができる。
(変形例2)
図10Bは、変形例2の冷凍サイクルを示す構成図である。
図10Bは、変形例2の冷凍サイクルを示す構成図である。
本図の説明においても、図4と異なる構成についてのみ説明する。
図10Bにおいては、ドライヤ51と熱交換部57との間に三方弁300を設けている。熱交換部57には、キャピラリチューブ53に加え、第二のキャピラリチューブ53bを設けている。そして、三方弁300を切り替えることにより、キャピラリチューブ53及び第二のキャピラリチューブ53bのいずれかに冷媒を流すように構成されている。
また、冷媒配管200p(破線で示す。)は、図10Aと同様に、冷却板200に接するように構成されている。ただし、図10Bにおいては、冷媒配管200pは、第二のキャピラリチューブ53bの下流側に設けられている。そして、冷媒配管200pを通過した冷媒は、キャピラリチューブ53の下流側に合流し、蒸発器14に流入するようになっている。
よって、図10Bにおいては、蒸発器14の上流側の冷媒により冷却板200を冷却するように構成されている。そして、三方弁300を切り替えてキャピラリチューブ53に冷媒を流すようにすることができるため、冷却板200に接する冷媒配管200pに冷媒を流さないようにしながら蒸発器14に冷媒を流すことができる。
このように、本図においては、三方弁300によりキャピラリチューブ53側に冷媒を流して冷媒配管200pに冷媒を流さないようにする間は、冷却板200の冷却が抑えられる。この間に、蒸発器14からの空気が流入しないようにしながら冷蔵室ファン9bを駆動させて冷蔵室2と冷却板200との間で空気を循環させることで、第一循環運転を実施することができる。すなわち、本変形例においては、実施例と同様に、冷凍室7の冷却中(圧縮機24駆動中)でも第一循環運転が実施でき、高い湿度の冷蔵室を実現することができる。
図10Cは、変形例1及び2における冷却板の周囲の構成を示す概略図である。図中、左側が冷蔵室内部、右側が冷蔵室の庫内背面側を示している。
本図に示すように、冷却板200の背面には、冷媒配管200pが接するように配置されている。冷却板200の冷蔵室側には、冷蔵室第一風路110が設けられている。
このように、上記の実施例の冷蔵室第二風路120の代わりに、低温の冷媒が流れる冷媒配管200pにより冷却板200を冷却し、冷蔵室第一風路110の空気を冷却している。すなわち、変形例1及び2においては、間接冷却運転を行っている。
実施例と比較すると、変形例1及び2においては、冷蔵室第二風路120が不要となるため、冷蔵室2等に利用できる空間が増加するという長所がある。その一方で、変形例2(図10B)の構成では、三方弁300や2つのキャピラリチューブの追加などが必要となるため、冷凍サイクルを構成する部品の数が増加し、それらの接続に伴う製造時の作業時間などが増加し、コストが高くなりやすいという短所がある。
したがって、これらの長所及び短所を考慮すると、製造容易性、コスト等の面から、本実施例の方が望ましい構成であると考えられる。
また、本開示に係る実施例及び変形例の付随効果として、以下の効果が得られる。
まず、間接冷却運転中に着霜させるようにしているが、この理由として、前述した高い冷却能力を確保することとともに、冷蔵室2内の着霜抑制もある。
冷却板200で着霜が生じない場合、例えばドアの開閉時の流入や食品からの蒸発により冷蔵室2内の水分が増えた場合、冷却板200で着霜(除湿)できないと、冷蔵室2内の低温の壁面に結露または着霜が生じてしまう。特に、実施例の冷蔵庫では、冷蔵室2と断熱仕切壁27を介して冷凍室7と近接しており、冷蔵室2の下部壁面(断熱仕切壁27の冷蔵室2側)は低温で0℃未満になりやすく、着霜が生じやすい。断熱仕切壁27の上部に電気ヒータを設けることも考えられるが、その場合は省エネルギー性能の低下を招く。また、実施例のように、冷蔵室2の下部に、冷蔵室2よりも低温の低温貯蔵空間36を設けていると、電気ヒータで過度に加熱することもできない。
実施例では、間接冷却運転中の冷却板200の温度が冷蔵室2の下部壁面等よりも低くなるように制御することが容易である。このように制御することにより、冷却板200に着霜しやすくし、冷蔵室2の下部壁面等に望ましくない結露又は着霜が生じることを防止することができ、冷蔵室2の湿度を適切な範囲に除湿することができる。着霜によって湿度が低下し過ぎた場合は、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152を閉として除霜運転をすることによって水分を冷蔵室2に戻すことができる。
なお、実施例では、図13に示すように冷却板温度センサ201を用いて、間接冷却運転中の冷却板温度TDRが冷蔵室2の霜点を下回るように制御するが、これに加えて、断熱仕切壁27より低温になるように制御するようにしてもよい。これにより、より確実に冷蔵室2側の断熱仕切壁27よりも間接冷却運転中の冷却板200の温度を低温にすることができる。
図13は、実施例に係る冷蔵庫の冷蔵室の冷却運転中における基本制御を示すフローチャートである。
本図に示すように、冷蔵室2の冷却運転の制御を開始し(工程S3-0)、冷却板温度センサ201により測定される温度TDRを取得する(工程S3-1)。
そして、冷蔵室2内の相対湿度と冷蔵室温度センサ41で検出する温度とから霜点温度Tfpを推定する(工程S3-2)。なお、冷蔵室2内の相対湿度も、実施例では推定値を用いる。
TDRが霜点温度Tfpの大小関係を判定する(工程S3-3)。TDR<Tfpの場合は、工程S3-1に戻る(工程S3-5)。
一方、TDR≧Tfpの場合は、次の操作(1)~(3)のうちいずれか1つ又は2つ以上を選択する(工程S3-4)。これにより、冷却板200の温度を低下させる。
(1)圧縮機24の回転速度を高める。
(2)冷蔵室ファン9bの回転速度を低下させる。
(3)蒸発器ファン9aの回転速度を高める。
上記の操作(1)により、蒸発器14の温度が低下し、冷蔵室第二風路120の空気の温度が低下するため、冷蔵室第二風路120による冷却量を増やすことができ、冷却板200の温度を低下させることができる。
上記の操作(2)により、冷蔵室第一風路110を流れる空気の量が減るため、冷蔵室第一風路110の空気による冷却板200の加熱量を減らすことができ、冷却板200の温度を低下させることができる。
上記の操作(3)により、冷蔵室第二風路120を流れる空気の量が増えるため、冷蔵室第二風路120の空気による冷却量を増やすことができ、冷却板200の温度を低下させることができる。
なお、基本的には、予め推定した冷蔵室2内の温度及び湿度から霜点温度Tfpを推定しておき、それに合わせて、事前に外気温別に圧縮機24、冷蔵室ファン9b及び蒸発器ファン9aの回転速度を調整しておくことが望ましい。また、推定したデータは、データベースとして制御装置の記憶部に格納しておくことが望ましい。
また、冷却板温度センサ201を設けていない場合は、上記のとおり、想定した霜点温度に合わせて、事前に圧縮機24、冷蔵室ファン9b及び蒸発器ファン9aの回転速度を調整しておくとよい。ただし、冷却板温度センサ201を設けることで、より多岐にわたる場合、具体的にはより広範囲な外気温への対応や、ドア開閉による冷蔵室2内の温度及び湿度、必要冷却能力の変化への対応が可能となり、より確実に冷却板200に着霜させることができ、冷蔵室2内の壁面への着霜を抑制することができる。
また、霜点温度の推定精度を更に高めるために、冷蔵室内の湿度を測定する冷蔵室湿度センサを設けてもよい。冷蔵室湿度センサ及び冷蔵室温度センサ41を用いることにより、実際の冷蔵室内における温度及び湿度の状態から霜点温度を算出することができ、より正確に霜点温度以下に制御することができる。
また、実施例において間接冷却運転による絶対湿度の低下抑制と、第一循環運転による加湿及び除霜の機能を有する高湿冷蔵室を実現するという効果を確実に得るため、実施例では、以下のような制御をすることが望ましい。
図9に示すように、第一循環運転又は第二循環運転が終了するまでは、冷蔵室2の冷却を停止している。これにより、霜の解け残りを防止することができる。第二循環運転が可能な構成を有する場合は、第一循環運転による加湿効果を主目的とし、冷却板200の霜を必ずしも解かさなくてもよいが、実施例では、長時間にわたる霜成長を抑制するため、第一循環運転の終了まで冷蔵室2の冷却を停止し、霜の解け残りを極力抑えている。
また、第一循環運転による加湿効果を主目的と考えると、第一循環運転で毎回確実に霜を解かす必要はないため、例えば、第一循環運転が終了条件を満たさなくても冷蔵室2の冷却を実施してもよいが、2回連続で第一循環運転の終了条件を満たさない場合は、第一循環運転が終了するまで冷蔵室2の冷却を停止するようにしてもよい。
また、図9の工程S-R12、S-R13で示すように、第一循環運転は、冷却板温度センサ201により検知する冷却板温度TDRにより検知する冷却板温度が、霜の融解温度の0℃より高い所定温度TDR_off以上になると終了するようにしている。すなわち、冷却板200の温度が霜の融解温度を超えていることを検知し、冷却板200における霜の解け残りを防止する。
なお、例えば、冷却板温度センサ201を設けず、例えば一定時間第一循環運転を行うようにしてもよい。ただし、この場合は、冷却板200の状態が検知できないため、霜の解け残りが懸念される。また、前述の第一循環運転が終了するまで冷蔵室2の冷却を停止する制御(工程S-R1)を行っている場合、霜の残りを考慮して除霜時間を長くすると、冷却運転の開始が遅くなって冷蔵室2の温度が上昇してしまう懸念がある。このため、適切なタイミングで第一循環運転を終了させる必要がある。よって、冷却板温度センサ201を用いて適切なタイミングで第一循環運転の終了を判定することが望ましい。
また、第一循環運転が終了するまで冷蔵室2の冷却を停止する制御(工程S-R1)を行っていない場合においても、冷却板温度センサ201を設け、冷却板温度TDRが所定の温度になると第一循環運転を止めるように制御することで、冷却板200の温度が上昇して冷蔵室2の露点温度よりも高くなり、加湿できない状態における不要な冷蔵室ファン9bの駆動を抑制することができる。これは、省エネルギー性能の観点からも望ましい。
また、図2、図6A及び図6Bに示すように、背面壁に設けた真空断熱材25は、間接冷却運転中に蒸発器14からの低温空気が流れる冷蔵室第二風路120の略背面を覆うように配設している。前述したように、冷蔵庫1は、冷蔵室2内を高湿に保つため、基本的に冷却板200を介した間接冷却運転で冷蔵室2を冷却している。このため、直接冷却運転により冷却する場合に比べて、冷却時間が長くなりやすい。この場合、冷蔵室第二風路120の背面が低温で、外気との温度差が大きい時間が長くなるため、この部分は、外気からの熱の侵入が多くなりやすい。このような熱の侵入を抑制する観点から、冷蔵室第二風路120の略背面を覆うように真空断熱材25を設けることが望ましい。これにより、省エネルギー性能の低下も防止することができる。
次に、蒸発器14の除霜運転中における冷却板200に関する制御を説明する。
図11は、実施例に係る冷蔵庫における蒸発器の除霜運転中の温度変化の一例を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸は各部の温度及び各部品の操作の状態を示している。温度変化については、野菜室、冷蔵室、冷却面(冷却板)、冷凍室及び蒸発器を示している。また、これらの温度に対応する値として、冷却板の除霜基準温度TDR_off、冷却板の除霜が確実に完了したと考えられる所定の温度TDR_off2、冷凍室の基準下限温度TF_off及びTF_offよりも低い下限温度のTF_off2を示している。
本図の横軸において、td0は除霜運転の開始時刻、td1は冷凍室温度TFが下限温度のTF_off2に達する時刻、td2は蒸発器温度TDFが霜の融解温度よりも十分に高いTDF_offになる時刻、td3は除霜運転終了後、排水時間Δtd2を経過した時刻、td4は冷蔵室ファン9bを停止する時刻、td5は冷却板補助ヒータ202への通電を停止する時刻を示している。
td1では、圧縮機24及び蒸発器ファン9aを停止するとともに、除霜ヒータ21及び冷却板補助ヒータ202に通電する。なお、td0の後td1の前に、野菜室ダンパ160を閉とする。td2では、除霜ヒータ21への通電を停止する。td3では、圧縮機24、蒸発器ファン9a及び冷蔵室ファン9bに通電するとともに、冷蔵室第一ダンパ151及び野菜室ダンパ160を開とする。なお、本図に示す除霜運転中においては、冷蔵室第二ダンパ152を閉としている。
本図に示すように、td1では、除霜ヒータ21に通電するため、蒸発器の温度が急上昇し、蒸発器に付着している霜の融点で一定となる。蒸発器の霜がすべて融解すると再び蒸発器の温度が上昇する。また、td1では、冷却板補助ヒータ202に通電するため、冷却面の温度も上昇する。さらに、td1では、圧縮機24及び蒸発器ファン9aを停止するため、冷凍室の温度も上昇する。
図12は、実施例に係る冷蔵庫における蒸発器の除霜運転の基本制御を示すフローチャートである。
なお、図8及び図9と共通する部分については、説明を省略する。
実施例の冷蔵庫1における除霜運転の開始条件は複数あるが、図12において、冷却運転中(工程S2-0)に、例えば圧縮機24の積算回転数が所定値になり、除霜運転の開始と判定されると(時刻td0、工程S2-1がYes)、通常よりも冷凍室7を低温まで冷却するプリクール運転を開始する(工程S2-2)。プリクール運転が始まると、冷蔵室2の冷却を止め、第一循環運転を開始する(工程S2-2)。これにより、除霜運転中の冷凍室7の温度上昇を抑制するとともに、後述する第二除霜が短時間で終わるようにしている。
プリクール運転は、所定時間Δtd1(例えば30分)経過、或いは冷凍室温度TFが通常の所定温度TF_offよりも低温のTF_off2以下(例えば-24℃以下)になると終了し(時刻td1、工程S2-3)、圧縮機24及び蒸発器ファン9aを停止し、除霜ヒータ21に通電する蒸発器14の除霜運転を開始する(工程S2-4)。
蒸発器14の除霜運転が開始されると、冷却板200の除霜を行う第二循環運転も開始する。
まず、蒸発器14の除霜運転における制御について説明する。
圧縮機24及び蒸発器ファン9aをOFFとし、除霜ヒータ21をONにすることで、蒸発器14及び蒸発器14に付着した霜は、除霜ヒータ21により加熱され、徐々に温度が上昇し、融解温度(0℃)になると、蒸発器14に付着した霜が融解する。蒸発器温度センサ40により検出する蒸発器温度TDFが霜の融解温度よりも十分に高いTDF_off(例えば10℃)になると(時刻td2、工程S2-5)、除霜ヒータ21をOFFとし、除霜運転を終了する(工程S2-6)。除霜運転終了後は、排水時間Δtd2(例えば3分)経過した後(時刻td3、工程S2-7)、冷却運転を再開する(工程S2-8)。
次に、第二循環運転に関する制御について説明する。
第一循環運転は加湿と除霜を目的にしているのに対し、第二循環運転は冷却板200の除霜を主目的とした運転であり、より確実に冷却板200の霜を融解するための運転である。具体的には、通常、冷却運転に比べて圧縮機24の停止時間が長くなる蒸発器14の除霜運転の時間を利用して、第二循環運転は、冷却運転中に実施する第一循環運転に比べて、より高い温度まで冷却板200の加熱を行う。
時刻td1で蒸発器14の除霜運転が開始されると、第一循環運転と同様に、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152を閉とし、冷蔵室ファン9bを駆動させる。さらに、第二循環運転では、冷却板補助ヒータ202に通電する(工程S2-11)。これにより、冷蔵室2と冷却板200との熱交換により冷却板200を加熱するとともに、冷却板補助ヒータ202に通電することで、高い加熱量で冷却板を加熱する。なお、冷却板補助ヒータ202は、DUTY制御により、平均電力(1分当たりの電力)を50%の15Wに低下させている。その状態で冷却板温度TDRが第一循環運転の終了温度TDR_off(例えば2℃)に達したときに(工程S2-12)、冷却板補助ヒータ202の通電を続けたまま、冷蔵室ファン9bを停止させる(工程S2-13)。なお、冷蔵室ファン9bの停止に用いる所定温度(工程S2-12の判定温度)は、第一循環運転の終了温度TDR_offとは別に設けてもよい。
その後、冷却板温度TDRがTDR_offよりも高く、確実に除霜が完了したと考えられる所定の温度TDR_off2以上(例えば8℃以上)に達したときに(工程S2-14)、冷却板補助ヒータ202への通電を停止し、第二循環運転を終了する(工程S2-15)。
なお、図9で示すように、霜の解け残り防止のために圧縮機24駆動後も第二循環運転が続いている場合は、冷蔵室2を冷却しないようにしている(図9の工程S-R1参照)。
そのため、もし第二循環運転の方が蒸発器14の除霜運転よりも長くなってしまった場合(工程S2-9がNo)、第二除霜が短時間で終わるよう、蒸発器14の除霜運転終了後も第二循環運転が続いていた場合は、冷却板補助ヒータ202のDuty制御のDutyを100%に上げて平均電力を30Wに高めるようにしている(工程S2-10)。
以上が実施例の蒸発器14の除霜運転である。
次に、前述中に示す効果以外に、上記の制御が奏する効果について説明する。
第二循環運転では、冷却運転中に行う第一循環運転とは異なり、冷却板補助ヒータ202に通電する。第一循環運転では冷蔵室2と冷却板200との熱交換により除霜するため、冷却板200の温度を冷蔵室2よりも高くすることができない。
一方、電気ヒータを用いる場合、冷却板200の温度を冷蔵室2よりも高くすることはできる。ただし、電気ヒータに通電する電力の消費に加え、次の冷却運転でその冷却板200の加熱に要した熱を除去するための冷却にもエネルギーを要するため、消費電力量が増えてしまう。
そこで、第一循環運転は、1日に10回程度実施しているのに対し、第二循環運転は、1日に1回程度と少ない頻度で実施する蒸発器14の除霜運転時に合わせて実施するようにしている。頻度が少ないため、電気ヒータによる消費電力量の増加を抑えることができる。一方で、1日に1回は冷却板200を比較的高い温度として、確実に冷却板200の霜を解かすことができる。すなわち、冷却運転で説明したように高い湿度の冷蔵室2を実現しながら、信頼性の高い冷蔵庫としている。
また、冷却板温度TDRが、第二循環運転の終了温度TDR_off2よりも低温のTDR_offに達したときに(工程S2-12)、冷却板補助ヒータ202の通電を続けたまま冷蔵室ファン9bを停止させている(工程S2-13)。これは、冷却板補助ヒータ202により冷却板200の方が冷蔵室2よりも温度が高くなり冷蔵室2の空気が加熱されて温度上昇すること、及び冷蔵室2の空気により冷却板200が冷却されて除霜の妨げになることを防ぐためである。
なお、上記した効果は、特に、冷蔵室2よりも冷却板200の温度を高くするために冷却板補助ヒータ202を用いていることから、例えば冷蔵室ファン9bを停止させるまで(工程S2-11~S2-13)、冷却板補助ヒータ202をOFFとし、冷蔵室ファン9bを停止させて冷蔵室2の空気と冷却板200との熱交換を抑制した後で冷却板補助ヒータ202に通電するようにしてもよい。
一方、図12の例においては、蒸発器14の除霜運転終了後も第二循環運転が続いて冷却運転に影響が生じないよう(図9のS-R1がNoとならないよう)、第二循環運転を比較的短く終わらせるため、冷蔵室ファン9bを駆動している間も(工程S2-11~S2~13)、冷却板補助ヒータ202を低いDUTYで通電させている。
また、第二循環運転は、開始直後から冷蔵室ファン9bを停止させ、冷却板補助ヒータ202のみで除霜するようにしてもよい。ただし、冷却板200が比較的低温(工程S2-12がNo)のうちは冷蔵室ファン9bを駆動させておくことで、冷蔵室2の空気と冷却板200との熱交換により、冷蔵室2の冷却及び冷却板200の加熱を行うことができ(第一循環運転と同様の効果が得られる。)、除霜時間の短縮及び省エネルギー性能向上効果が得られる。加えて、第一循環運転で説明した冷却板200の霜からの物質移動による冷蔵室2の加湿効果も得られることから、より確実に高湿な冷蔵室2を実現するためには、第二循環運転時も所定温度までは冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152を止めた状態で冷蔵室ファン9bを駆動させることが望ましい。
また、蒸発器14の除霜運転の実施に合わせ、通常の第一循環運転よりも確実に冷却板200の除霜を行う第二循環運転を実施したが、必ずしも蒸発器14の加熱に合わせる必要はなく、例えば第一循環運転の3回に1回は第二循環運転にしてもよい。ただし、第二循環運転は、圧縮機24の停止時間が比較的長い蒸発器14の除霜運転の時間に行うことが望ましく、これにより、冷却運転に影響を与えず、あるいは影響を抑えながら、第一循環運転時よりも冷却板200を高い温度まで加熱することができる。また、蒸発器14の除霜運転に合わせることで、第二循環運転の開始タイミングを計る専用のタイマやカウンタを設ける必要がないという利点もある。
なお、第二循環運転の制御は、例えば冷却板温度センサ201を設けず、第一循環運転の時間よりも第二循環運転の時間の方が長くするようにしてもよい。しかしながら、第二循環運転は、第一循環運転以上に確実に除霜することが求められること、及び冷却板200の方が冷蔵室2よりも温度が高くなり、その間に冷蔵室2の空気と冷却板200とで熱交換させると冷蔵室2の加熱及び冷却板200の冷却が生じることから、冷却板温度センサ201を用いて、工程S2-12~S2-14に示す制御を実施することが望ましい。
また、図9の工程S-R1のように、第一循環運転に加え、第二循環運転も終了するまで冷蔵室2の冷却を停止することにより、第一循環運転時と同様に、第二循環運転時に霜の解け残りを防止することができる。これは、第二循環運転時の方が重要である。第二循環運転は、第一循環運転よりも冷却板200の温度を上げて、より確実に霜を排出させる運転であるため、第一循環運転以上に霜の解け残りを防止する必要がある。したがって、冷蔵室2の冷却運転によって第二循環運転が途中で終了することがないよう、第二循環運転が終了するまで冷蔵室2の冷却を停止する制御を設けている。
また、前述したように、プリクール運転中から第一循環運転を行い(工程S2-3)、予め冷却板200の温度を高めた状態で第二循環運転を開始する。前述したように、第二循環運転の方が蒸発器14の除霜運転よりも長くなってしまった場合を想定して、蒸発器14の除霜運転終了後も第二循環運転が続いた場合は、冷却板補助ヒータ202のDutyを高める制御を設けている(工程S2-10)。しかし、基本的には、冷却板補助ヒータ202の通電量は抑えることが望ましい。よって、冷却板200の温度を高めた状態で第二循環運転を開始することで、第二循環運転の時間が蒸発器14の除霜時間より長くなる状態、すなわち圧縮機24駆動後も冷蔵室2を冷却できない状態が極力発生しないようにしている。
なお、冷却板補助ヒータ202は、最大電力が30Wと除霜ヒータ21の150Wに比べて発熱量の少ないヒータを用いている。蒸発器14は、1日に1回の除霜運転ですべての霜の排出が必要であるが、冷却板200は、1日に10回程度実施する第一循環運転により、適宜、霜の排出を行っている。このため、第二循環運転で霜の融解に必要な熱量が少ない。また、蒸発器14の加熱源が除霜ヒータ21のみであるのに対し、第二循環運転中も冷却板200が低温のうちは冷蔵室2の空気も冷却板200の加熱源となる。すなわち、第一循環運転の実施、さらに第二循環運転時も所定温度まで冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152を止めた状態で冷蔵室ファン9bを駆動させているため、冷却板補助ヒータ202は、除霜ヒータ21よりも発熱量の少ない電気ヒータでよい。したがって、冷却板補助ヒータ202は、コストや安全性等の制約が比較的少ない。
なお、上記の実施例及び変形例1は、蒸発器1つで冷蔵室と冷凍室とを有する冷蔵庫であって、冷蔵室の湿度を高く保つものに関する。変形例1においては、冷媒配管200pが蒸発器と類似の作用を及ぼすが、気液分離器54の下流側にあることから、基本的に、蒸発器14及び気液分離器54においてすべての液冷媒が気化し、気液分離器54の下流側の冷媒配管200pにおいてはガス冷媒が流れ、冷媒の蒸発は生じない。
一方、変形例2の場合は、冷却板200に接する冷媒配管200pにも気液混合冷媒が流れるため、冷媒配管200pは、実質的には蒸発器として機能する。
本開示によれば、冷蔵室を冷却するために設けた冷却板の表面温度が、冷蔵室の霜点温度より低い温度にまで冷却される冷蔵庫において、冷蔵室を短時間で冷却し、かつ、冷蔵室の湿度を高く保つとともに、冷蔵室内の望ましくない部位における結露又は着霜を防止することができる。
以下、本開示に係る冷蔵庫の望ましい実施形態について説明する。
冷蔵室内には、平均温度が0℃未満となる壁面が設けられている。
冷媒配管の部分を流れる冷媒を遮断した状態若しくは減少させた状態、又は、第二風路を流れる冷気を遮断した状態若しくは減少させた状態で、冷蔵室ファンを駆動させて冷蔵室と冷却板とで熱交換させる循環運転を行うことにより冷却板に冷蔵室からの空気が流れるように制御する。
循環運転により冷却板に付着した霜を解かす。
冷却板は、第二風路を流れる冷気によって冷却される。
蒸発器により冷却される冷凍室を更に備えている。
冷却板を加熱する電気ヒータを更に備えている。
循環運転は、所定時間経過するまで実施する。
冷却板の温度を検知する冷却板温度センサを更に備え、循環運転は、冷却板温度センサが所定温度に到達するまで、又は、所定温度に到達した後所定時間経過するまで実施する。
循環運転の所定時間又は所定温度についての条件を満たすまで、第二風路を流れる冷気を遮断した状態若しくは減少させた状態を継続する。
循環運転は、第一循環運転及び第二循環運転を含み、第一循環運転は、冷蔵室を閉空間とした状態で、冷蔵室の空気を冷却板に送ることにより、冷蔵室の空気と冷却板とで熱交換させる運転であり、第二循環運転は、第一循環運転よりも所定時間が長く、又は所定温度が高い。
冷却板を加熱する電気ヒータを更に備え、第二循環運転は、第一循環運転の状態で、更に冷却板を電気ヒータにより加熱することにより、冷却板の除霜をする運転である。
蒸発器を加熱する除霜ヒータを更に備え、除霜ヒータに通電して蒸発器の霜を解かす除霜運転をし、第二循環運転は、除霜運転中に実施する。
なお、本開示に係る実施形態は、上記の実施例並びに変形例1及び2に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。上記の実施例並びに変形例1及び2は、本開示の技術内容を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施例並びに変形例1及び2の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、実施例の冷蔵庫では、蒸発器ファン9aが駆動すると常に冷凍室7に送風されるようにしているが、冷凍室7への送風を制御する冷凍室ダンパを設けてもよい。
1:冷蔵庫、2:冷蔵室、3:製氷室、4:上段冷凍室、5:下段冷凍室、6:野菜室、7:冷凍室、8:蒸発器室、9a:蒸発器ファン、9b:冷蔵室ファン、10:断熱箱体、10a:外箱、10b:内箱、14:蒸発器、16:ヒンジカバー、21:除霜ヒータ、22:蒸発器用排水口、23:蒸発器用樋、24:圧縮機、25:真空断熱材、27、28、29、30:断熱仕切壁、39:機械室、40:蒸発器温度センサ、41:冷蔵室温度センサ、43:冷凍室温度センサ、44:野菜室温度センサ、50a:庫外放熱器、50b:壁面放熱配管、50c:結露防止配管、53:キャピラリチューブ、54:気液分離器、57:熱交換部、151:冷蔵室第一ダンパ、152:冷蔵室第二ダンパ、160:野菜室ダンパ、200:冷却板、201:冷却板温度センサ、202:冷却板補助ヒータ。
Claims (14)
- 冷蔵室と、
圧縮機、放熱器、減圧部及び蒸発器を環状に冷媒配管で繋いだ冷凍サイクルと、
一面が前記冷蔵室側の第一風路に面する冷却板と、
前記第一風路の空気を昇圧する冷蔵室ファンと、を備え、
前記冷却板の他面は、前記冷媒配管のうち前記減圧部から前記圧縮機の吸込側までの部分に接する構成、又は、前記蒸発器で冷却された冷気が流れる第二風路に面する構成を有し、
前記冷媒配管の前記部分を流れる冷媒又は前記第二風路を流れる前記冷気によって、前記冷却板の前記第一風路側の表面温度が、前記冷蔵室の霜点温度より低い温度にまで冷却されることを特徴とする冷蔵庫。 - 冷蔵室と、
圧縮機、放熱器、減圧部及び蒸発器を環状に冷媒配管で繋いだ冷凍サイクルと、
一面が前記冷蔵室側の第一風路に面する冷却板と、
前記第一風路の空気を昇圧する冷蔵室ファンと、を備え、
前記冷却板の他面は、前記冷媒配管のうち前記減圧部から前記圧縮機の吸込側までの部分に接する構成、又は、前記蒸発器で冷却された冷気が流れる第二風路に面する構成を有し、
前記冷媒配管の前記部分を流れる冷媒又は前記第二風路を流れる前記冷気によって、前記冷却板の前記第一風路側に着霜させることを特徴とする冷蔵庫。 - 前記冷蔵室内には、平均温度が0℃未満となる壁面が設けられている、請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
- 前記冷媒配管の前記部分を流れる前記冷媒を遮断した状態若しくは減少させた状態、又は、前記第二風路を流れる前記冷気を遮断した状態若しくは減少させた状態で、前記冷蔵室ファンを駆動させて前記冷蔵室と前記冷却板とで熱交換させる循環運転を行うことにより前記冷却板に前記冷蔵室からの空気が流れるように制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
- 前記循環運転により前記冷却板に付着した霜を解かす、請求項4に記載の冷蔵庫。
- 前記冷却板は、前記第二風路を流れる前記冷気によって冷却される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
- 前記蒸発器により冷却される冷凍室を更に備えた、請求項6に記載の冷蔵庫。
- 前記冷却板を加熱する電気ヒータを更に備えた、請求項7に記載の冷蔵庫。
- 前記循環運転は、所定時間経過するまで実施する、請求項5に記載の冷蔵庫。
- 前記冷却板の温度を検知する冷却板温度センサを更に備え、
前記循環運転は、前記冷却板温度センサが所定温度に到達するまで、又は、所定温度に到達した後所定時間経過するまで実施する、請求項5に記載の冷蔵庫。 - 前記循環運転の前記所定時間又は前記所定温度についての条件を満たすまで、前記第二風路を流れる前記冷気を遮断した状態若しくは減少させた状態を継続する、請求項10に記載の冷蔵庫。
- 前記循環運転は、第一循環運転及び第二循環運転を含み、
前記第二循環運転は、前記冷却板の除霜をする運転で、前記第一循環運転よりも前記所定時間が長く、又は前記所定温度が高い、請求項11に記載の冷蔵庫。 - 前記冷却板を加熱する電気ヒータを更に備え、
前記第二循環運転は、前記冷却板を前記電気ヒータにより加熱する、請求項12に記載の冷蔵庫。 - 前記蒸発器を加熱する除霜ヒータを更に備え、
前記除霜ヒータに通電して前記蒸発器の霜を解かす除霜運転をし、
前記第二循環運転は、前記除霜運転中に実施する、請求項12又は13に記載の冷蔵庫。
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