JP2023111636A - 放射線撮像装置および放射線撮像システム - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線の照射開始の検出に有利な技術を提供する。
【解決手段】複数の画素と複数の駆動線を介して複数の画素を制御する駆動回路と放射線の照射開始を検知するための検知回路と駆動制御部とを含み、駆動回路は、複数の端子を備え、駆動制御部から供給される開始信号に応じて複数の端子から活性化信号を1回ずつ順番に出力するシフト動作を行い、複数の端子は複数の駆動線のそれぞれに接続された第1端子群と複数の駆動線に接続されていない第2端子群とを含み、第1端子群はシフト動作において最初に活性化信号を出力する第1端子と最後に活性化信号を出力する第2端子とを有し、駆動制御部は、第1開始信号に応じたシフト動作が終了する前に、第2開始信号を駆動回路に供給し、駆動回路は、第1開始信号に応じたシフト動作において第2端子から活性化信号を出力した次に、第2開始信号に応じたシフト動作において第1端子から活性化信号を出力する。
【選択図】図9
【解決手段】複数の画素と複数の駆動線を介して複数の画素を制御する駆動回路と放射線の照射開始を検知するための検知回路と駆動制御部とを含み、駆動回路は、複数の端子を備え、駆動制御部から供給される開始信号に応じて複数の端子から活性化信号を1回ずつ順番に出力するシフト動作を行い、複数の端子は複数の駆動線のそれぞれに接続された第1端子群と複数の駆動線に接続されていない第2端子群とを含み、第1端子群はシフト動作において最初に活性化信号を出力する第1端子と最後に活性化信号を出力する第2端子とを有し、駆動制御部は、第1開始信号に応じたシフト動作が終了する前に、第2開始信号を駆動回路に供給し、駆動回路は、第1開始信号に応じたシフト動作において第2端子から活性化信号を出力した次に、第2開始信号に応じたシフト動作において第1端子から活性化信号を出力する。
【選択図】図9
Description
本発明は、放射線撮像装置および放射線撮像システムに関する。
医療画像診断や非破壊検査において、半導体材料によって構成される平面検出器(FPD)を用いた放射線撮像装置が実用化されている。特許文献1には、オン電圧を印加する走査線を順次切り替えながら複数の放射線検出素子から繰り返し信号を読み出すリセット処理を行うことによって、放射線の照射の開始を検出する放射線画像撮影装置が示されている。
複数の出力端子から走査線を活性化させるための信号を順番に出力する走査回路において、出力端子の数は、全ての走査線の数以上である必要がある。一方で、例えば、走査回路に汎用品が用いられる場合において、走査線の数よりも走査回路の出力端子の数の方が多い場合がある。走査線の数よりも出力端子の数の方が多い場合、放射線の照射開始を検知する際に、走査線に接続されていない出力端子から走査線を活性化する信号が出力されている間は、何れの放射線検出素子からも信号が読み出されない。走査線に接続されていない出力端子から走査線を活性化する信号が出力されている間に放射線の照射が開始された場合、放射線検出素子からの信号を得られず、放射線の照射開始の検出が遅れてしまう可能性がある。
本発明は、放射線の照射開始の検出に有利な技術を提供することを目的とする。
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る放射線撮像装置は、複数の行および複数の列を構成するように配された複数の画素と、行方向に延びるように配された複数の駆動線を介して前記複数の画素を制御する駆動回路と、前記複数の画素から出力される信号に応じて放射線の照射開始を検知するための検知回路と、駆動制御部と、を含む放射線撮像装置であって、前記駆動回路は、複数の端子を備え、前記駆動制御部から供給される第1開始信号および第2開始信号を含む複数の開始信号のそれぞれに応じて、シフトクロックに従って前記複数の端子のそれぞれから活性化信号を1回ずつ順番に出力するシフト動作を行い、前記複数の端子は、前記複数の駆動線のそれぞれに接続され、前記複数の駆動線のそれぞれを活性化させる前記活性化信号を連続して出力する第1端子群と、前記複数の駆動線に接続されていない第2端子群と、を含み、前記第1端子群は、前記シフト動作において前記第1端子群のうち最初に前記活性化信号を出力する第1端子と最後に前記活性化信号を出力する第2端子とを有し、前記検知回路が放射線の照射開始を検知するまでの期間において、前記駆動制御部は、前記第1開始信号に応じた前記シフト動作が終了する前に、前記第2開始信号を前記駆動回路に供給し、前記駆動回路は、前記第1開始信号に応じた前記シフト動作において前記第2端子から前記活性化信号を出力した次に、前記第2開始信号に応じた前記シフト動作において前記第1端子から前記活性化信号を出力することを特徴とする。
本発明によれば、放射線の照射開始の検出に有利な技術を提供することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
また、本発明における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども含みうる。
図1~図15を参照して、本開示の実施形態による放射線撮像装置および放射線撮像装置を用いた放射線撮像システムについて説明する。図1は、本実施形態の放射線撮像装置100の構成例を示す図である。図1に示されるように、放射線撮像装置100は、複数の行および複数の列を構成するように配された複数の画素101(図3に示されている。)が配された画素アレイ102、行方向(図1、3において横方向。)に延びるように配された複数の駆動線105を介して複数の画素101を制御する駆動回路103、複数の画素101から出力される信号に応じて放射線の照射開始を検知するための検知回路111、駆動制御部114、を含む。また、放射線撮像装置100は、駆動回路103と協働して画素101に蓄えられた電荷を電気信号に変換して読み出す読出回路104、読出回路104から出力される電気信号を画像信号として取り出すための画像入力部113を含みうる。さらに、放射線撮像装置100は、放射線撮像装置100内の各構成を制御するための制御部112を含みうる。
検出部110は、図2に示されるように、シンチレータ115、画素アレイ102、駆動回路103、読出回路104を含みうる。シンチレータ115は、例えばX線などの放射線を画素101で検知可能な光に変換する。画素アレイ102は、行列状に配された複数の画素101を備え、シンチレータ115によって放射線から変換された光を電荷に変換する。駆動回路103は、行列状に配された複数の画素101を、駆動線105を介して行ごとに選択する。駆動回路103は、例えば、図2に示されるように、複数のドライバIC203によって構成されていてもよい。読出回路104は、駆動回路103によって選択された画素101に蓄えられた電荷に応じた電気信号を出力する。読出回路104は、例えば、図2に示されるように、複数のリードアウトIC204によって構成されていてもよい。
図3には、画素アレイ102の構成例が示されている。上述のように、画素アレイ102には、複数の画素101が配されている。それぞれの画素101は、シンチレータ115で放射線から生成された光を電荷に変換する変換素子109、変換素子109で生成された電荷に応じた信号を、列方向(図3において縦方向。)に延びるように配された複数の信号線106のうち対応する信号線に読み出すためのスイッチ素子108を含む。変換素子109には、例えば、フォトダイオードなどが用いられる。スイッチ素子108には、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)などが用いられる。駆動回路103から複数の駆動線105のそれぞれを活性化させる活性化信号が出力され、活性化信号が入力された駆動線に接続されたスイッチ素子108がオン動作することによって、信号線106に画素101から信号が読み出される。
本実施形態において、放射線をシンチレータ115によって変換素子109で検知可能な光に変換する、所謂、間接型の変換素子が画素アレイ102に配される例が示されているが、これに限られることはない。シンチレータ115が配されず、変換素子109が、放射線を直接、電荷信号に変換する、直接型の変換素子が画素アレイ102に配されていてもよい。
画素アレイ102には、バイアス源307から変換素子109にバイアス電圧を供給するためのバイアス線107が配されている。バイアス源307は、検知回路111とともに放射線撮像装置100に配されうる。検知回路111は、複数の画素101から出力される信号としてバイアス線107を流れる電流に応じて放射線の照射開始を検知する。より具体的には、バイアス線107は、放射線が入射した際に、変換素子109に電流が流れ電荷が蓄積されるが、この電荷を供給するバイアス源307に接続されている。スイッチ素子108がオン動作した際に、変換素子109に蓄えられた電荷が信号線106に放出されるが、同時に、バイアス線107に接続されたバイアス源307から電荷が補充される。この際に、電流が流れるため、駆動線105が活性化されスイッチ素子108がオン動作したときのバイアス線107に流れる電流の変化を検知することによって、放射線の照射開始を検知することが可能になる。
図3、4には、駆動回路103と駆動線105との接続例が示されている。駆動回路103は、複数の駆動線105のそれぞれを活性化させるための活性化信号を出力する複数の端子Gを含んでいる。また、駆動回路103は、例えば、シフトレジスタを含み、駆動制御部114から供給される複数の開始信号のそれぞれに応じて、シフトクロックに従って複数の端子Gのそれぞれから活性化信号を1回ずつ順番に出力するシフト動作を行う。このような駆動回路103において、駆動回路103を構成するドライバIC203には、汎用品が用いられる場合がある。画素アレイ102は、用途によって総画素数がまちまちであり、画素アレイ102によって駆動線105の数が異なってくる。駆動線105を活性化させるための活性化信号を順番に出力する駆動回路103において、活性化信号を出力する端子の数は、全ての駆動線105の数以上である必要がある。一方で、ドライバIC203に汎用品を用いた場合、複数のドライバIC203によって構成された駆動回路103に配される活性化信号を出力する端子の数が、駆動線105の数よりも多くなってしまう場合がある。
図3、4は、画素アレイ102に配された駆動線105よりも、駆動回路103に配された端子Gの方が多い場合を示している。この場合、駆動回路103に配された複数の端子Gは、複数の駆動線105のそれぞれに接続され、複数の駆動線105のそれぞれを活性化させる活性化信号を連続して出力する端子群301と、複数の駆動線105に接続されていない端子群302と、を含む。図3に示されるように、本実施形態おいて、駆動回路103に配された端子Gのうち端子Giから端子Gi+n-1までのn個の端子が、それぞれ対応する駆動線105に接続された端子群301である。駆動回路103に配された端子Gのうち端子G1から端子Gi-1までのi個の端子、および、端子Gi+nから端子Gi+n+kまでのk+1個の端子が、駆動線105に接続されていない端子群302である。
駆動回路103は、例えば、シフトレジスタを含み、活性化信号を出力する端子が順番に選択されるため、駆動線105に接続されていない端子群302に含まれる端子Gからも順番に活性化信号が出力される。端子群302に含まれる端子Gから活性化信号が順番に出力されている間は、バイアス線107には電流が流れない。つまり、端子群302に含まれる端子Gから活性化信号が順番に出力されている間に放射線の照射が開始された場合、画素101からの信号を得られず、放射線の照射開始の検知が遅れてしまう可能性がある。例えば、駆動線105の数が3000本程度、駆動線105に接続されていない端子群302に含まれる端子の数が30本程度であったとすると、画素アレイ102の1つの画像の操作時間の約1%の時間にわたって、放射線の照射開始を検知できない可能性がある。1つの駆動線105の駆動時間(例えば、1つの駆動線105に活性化信号を出力する時間。)を30μsとした場合、約1msは放射線の検知が行われない不感時間になってしまう。画素101のサイズと画素アレイ102のサイズによっては、端子群302に含まれる端子の数が100個程度になる可能性があり、3msから4msの不感時間が生じる可能性がある。
図5~8を用いて、駆動回路103に配された端子G1から端子Gi+n+kまで、順番に活性化信号を出力させ、端子Gi+n+kの次に端子G1から活性化信号を出力させる比較例の動作の、上述の問題点について詳しく説明する。図5に示されるように、放射線撮像装置100において放射線の照射開始を検知する際に、画素101の変換素子109に蓄積される暗電流成分を読み出す動作を繰り返し行っている。この場合、駆動回路103は、それぞれの端子Gから順番に活性化信号を出力し、対応する駆動線105に接続された複数のスイッチ素子108は、一斉にオン動作を行う。このとき、バイアス線107にはそれぞれの画素101のスイッチ素子108をオン動作させたことによる電流や暗電流の合計値が流れる。図5および図6には、比較例の制御方法と、放射線が入射した場合の電流波形などが記載されている。
図5には、放射線を検知する際の駆動線105の駆動とその際にバイアス線107に流れるバイアス電流Ivsとの概要が示されている。それぞれの端子Gにおいて、「ON」と表記されている間に、それぞれの端子Gに対応する駆動線105に活性化信号が入力する。図6には、放射線が入射する前後におけるバイアス電流Ivsの変化と、バイアス電流Ivsを電流-電圧変換した後の電圧Vvsの変化と、の詳細な時間変化が示されている。電圧Vvsは、図1に示される検知回路111の電流-電圧(IV)変換AMPとアナログ-デジタル変換器(ADC)との間のノードnの電圧でありうる。
上述のように、駆動回路103の端子G1から端子Gi+n+kまで、画素アレイ102の駆動線105との接続の有無に関係なく活性化信号が出力される。このとき、駆動線105が接続されていない端子群302に含まれる端子Gから活性化信号が出力されている間、バイアス線107には電流は流れない。より詳細には、図6の拡大図に示されるように、バイアス電流Ivsの波形は、活性化信号に応じてスイッチ素子108がオン動作とオフ動作との間を遷移した際に流れるインジェクション電流による上下方向のパルス状の波形を備える。この上下方向のインジェクション電流間に流れるバイアス電流Ivsが、放射線の入射が無い場合は所定の値、放射線入射された場合は入射量に応じて図の上方向に変化する。以下、バイアス電流Ivsの変化とは、パルス状のインジェクション電流間に流れる電流の変化のことを示す。
また、バイアス線107の電流量の変化を検出するためには、電流-電圧変換を行う必要がある。このとき、外来ノイズ、振動などの影響でインパルス状のノイズが加わる可能性があるため、ノイズを除去するためのLPFの機能も、検知回路111のIV変換AMPは備えうる。このため、電流-電圧変換を行った際に得られる電圧Vvsの波形は、図6に示されるように、立ち上がり、立下りがなまった波形となる。このとき、図6に示されるように、立ち上がり方向と立ち下り方向との時定数を変えており、立ち上がり方向は時定数を短く、立ち下がり方向は時定数を長くし、放射線の入射に対して検知を早くし、検知漏れが起き難くなるように波形を保持してもよい。このため、図6に示されるように、立ち上がりが早く、立ち下りが遅い波形が、検知回路111のADCに入力される。
上述したように、駆動線105が接続されていない端子群302に含まれる端子Gから活性化信号が出力されている期間は、バイアス電流Ivsが流れない不感期間601になり、放射線の検知ができない。また、不感期間601は、バイアス電流Ivsが流れないため、立下りが継続し電圧Vvsが低下し続ける。このため、電圧Vvsの検知範囲602が大きくなり、後段の検知回路111に配されたADCの入力幅を大きくする必要がある。
図7、8には、上述の問題点がより顕著になる例が示される。放射線撮像装置100の仕様によっては、画素アレイ102に要求される駆動線105の本数が、駆動回路103の端子Gの数と大きく乖離し、駆動線105に接続されない端子群302に含まれる端子Gの数が多くなる場合が想定される。この場合、図5、6に示される場合よりも、不感期間801が長くなる。また、電圧Vvsの検知範囲802も、図6に示される場合よりも大きくなる。
この場合、放射線撮像装置100は、不感時間802が長くなることから、放射線の照射開始から検知までの時間が長くなり、応答性が鈍くなる可能性がある。また、バイアス電流Ivsが流れない時間が長くなるため、電流-電圧変換した後の電圧Vvsが、マイナス方向に落ち込み、放射線の照射開始後の検出閾値に達するまでの時間が長くなってしまう。この結果、放射線の照射開始の検知が遅れてしまい、放射線の照射開始が検知されるまでに画素101から信号の読み出しが行われてしまうため、この期間に蓄積された電荷に応じた信号が取得できない。
さらに、電圧Vvsの検知範囲が大きくなるため、後段の検知回路111に配されたADCの入力幅を大きくする必要がある。検知回路111に配されるADCの分解能は、8Bitなど固定の値でありうる。例えば、検知範囲802が、検知範囲602の2倍であった場合、ADCに入力される入力電圧の精度は、倍の精度になる。例えば、0.1VごとにAD変換していた精度が、0.2Vごとの精度に低下してしまう。放射線の照射開始に対して、放射線の入力が無い場合とある場合との小さな電圧差を検出する必要があるため、ADCの変換精度の差が、放射線撮像装置100における放射線の照射を検知する能力の差になる。検知範囲602、802の拡大に対して、より高い分解能を備えるADCを使用した場合、コストが増加してしまう。
以上のような問題点を鑑みて、本実施形態の放射線撮像装置100の駆動方法を、図9、10を用いて説明する。上述のように、シフトレジスタを含み構成される駆動回路103は、駆動制御部114から供給される開始信号に応じて、複数の端子Gのそれぞれから活性化信号を1回ずつ順番に出力するシフト動作を行う。つまり、駆動回路103は、開始信号に応じて端子G1から端子Gi+n+kまで、順番に活性化信号を出力する。ここで、駆動回路103に配された端子Gのうち端子群301に含まれる端子Gは、シフト動作において最初に端子Giから活性化信号が出力され、最後に端子Gi+n-1から活性化信号が出力される。換言すると、端子群301は、シフト動作において端子群301のうち最初に活性化信号を出力する端子Giと最後に活性化信号を出力する端子Gi+n-1とを有している。
これに対して、本実施形態において、検知回路111が放射線の照射開始を検知するまでの期間に、駆動制御部114は、複数の開始信号のうち第1開始信号に応じたシフト動作が終了する前に、複数の開始信号のうち第2開始信号を駆動回路103に供給する。これによって、駆動回路103は、第1開始信号に応じたシフト動作において端子Gi+n-1から活性化信号を出力した次に、第2開始信号に応じたシフト動作において端子Giから活性化信号を出力する。
このように、1つの開始信号に応じて駆動回路103に配されたそれぞれの端子Gから活性化信号が出力されているシフト動作の間に、駆動制御部114から後続の開始信号が供給され、後続のシフト動作が開始される。これによって、駆動線105に接続されていない端子群302に含まれる端子Gが単独で活性化信号を出力する時間が無くなり、図6、8に示されるような不感時間602、608をなくすことができる。つまり、図、9、10に示されるように、駆動線105に接続されていない端子群302に含まれるそれぞれの端子Gが活性化信号を出力するタイミングで、駆動線105に接続された端子群301のうち何れかの端子G(端子Gi~Gi+n-1)が活性化信号を出力することになる。この駆動方式によって不感時間がなくなるため、図10に示されるようにバイアス電流Ivsは、途切れることがなくなる。また、検知回路111のIV変換AMPにおいて電流-電圧変換した後の電圧Vvsの落ち込みが発生し難くなるため、必要最低限の検知範囲1002で、放射線の照射を検知することができる。
図3に示される構成において、端子Giは、それぞれのシフト動作の開始からシフトクロックに従ってi番目に活性化信号を出力する端子である。この場合、検知回路111が放射線の照射開始を検知するまでの期間において、駆動制御部114は、第1開始信号に応じたシフト動作において複数の端子Gのうち端子Gi+n-1の(i-1)個前の端子Gが活性化信号を出力するタイミングで第2開始信号に応じたシフト動作が開始されるように、第2開始信号を駆動回路103に供給すればよい。
また、駆動回路103と駆動線105との接続において、端子G1から端子Gi-1が配されず、駆動線105に接続された端子群301に含まれる端子G1が、シフト動作において最初に活性化信号を出力する端子である場合も考えられる。この場合、検知回路111が放射線の照射開始を検知するまでの期間において、駆動制御部114は、第1開始信号に応じたシフト動作において複数の端子Gのうち端子群301に含まれる端子のうち最後に活性化信号を出力する端子Gi+n-1の次の端子Gが活性化信号を出力するタイミングで第2開始信号に応じたシフト動作が開始されるように、第2開始信号を駆動回路103に供給すればよい。これによって、上述の不感時間に起因した放射線の照射開始の検知遅れの発生が抑制できる。
図10に示されるように、複数の開始信号のうち第1開始信号の次に駆動回路103に供給される開始信号が、第2開始信号であってもよい。この場合、常に1つの駆動線105に活性化信号が供給されることになる。しかしながら、これに限られることはない。例えば、検知感度を向上させるために複数の駆動線105に同時に活性化信号を供給してもよい。つまり、駆動制御部114は、上述の第1開始信号と第2開始信号との間に、複数の開始信号のうち少なくとも1つの開始信号を駆動回路103に供給してもよい。この場合、第1開始信号と第2開始信号との間の追加の開始信号に応じたシフト動作において複数の端子Gのうち端子群301に含まれる端子のうち最後に活性化信号を出力する端子Gの次に活性化信号を出力する端子Gが活性化信号を出力するタイミングで、複数の端子Gのうち端子群301に含まれる端子のうち最初に活性化信号を出力する端子Gが活性化信号を出力するように、さらなる追加の開始信号が、駆動制御部114から駆動回路103に供給されてもよい。
以上の動作によって、放射線撮像装置100は、検知回路111が放射線の照射開始を検知する期間において、常に画素101からの出力される信号として、バイアス線107を流れるバイアス電流Ivsを検出することができる。これによって、本実施形態に示される放射線撮像装置100は、放射線の照射開始をより確実に迅速に検知することが可能になる。
図11、12は、上述の放射線撮像装置100の変形例を示す図である。図11には、図3に示される画素アレイ102の変形例の画素アレイ102’の構成例が示されている。図12には、画素アレイ102’が配された、図1に示される放射線撮像装置100の変形例の放射線撮像装置100’の構成例が示されている。
図11に示されるように、画素アレイ102’に配される複数の画素101は、複数の駆動線105のうち互いに異なる駆動線に接続された第1画素群に属する画素101aと第2画素群に属する画素101bとを含む。このとき、上述のバイアス源307は、第1画素群に属する画素101aの変換素子109と、第2画素群に属する画素101bの変換素子109と、に電気的に独立したバイアス線107a、107bを介してバイアス電圧を供給する。
図11に示されるように、駆動線105が延在する行方向に、第1画素群に属する画素101aと第2画素群に属する画素101bとが、交互に配されていてもよい。この場合、互いに隣り合う第1画素群に属する画素101aと第2画素群に属する画素101bとが、複数の信号線106のうち1つの信号線106を共有していてもよい。図11に示される画素アレイ102において、画素101の数が図3に示される画素アレイ102と同じ場合、駆動線105の数は、画素群の数(電気的に独立したバイアス線の数)倍になりうる。つまり、本実施形態において、駆動線105の数が2倍になってしまう。このため、画素アレイ102’において、駆動回路103から駆動線105に順番に活性化信号を出力して走査する走査時間は、画素アレイ102の2倍になってしまう。しかしながら、信号線106の数が半分になることによって読出回路104の規模を半減することが可能になるためコスト的な優位性がある。
図12に示される放射線撮像装置100’において、検知回路111’の構成が図1に示される検知回路111と異なっている。図12に示される構成において、バイアス線107が、バイアス線107aとバイアス線107bとの2本になる。このため、2本のバイアス線107a、107bを流れるバイアス電流Ivsa、Ivsbをそれぞれ電流-電圧変換した後に、絶対値回路において両電圧の差分を取りその絶対値をAD変換する。次いで、AD変換された接待値を記憶部(Memory)に記憶された所定の閾値と比較器で比較することによって、放射線の照射が検知される。つまり、検知回路111は、第1画素群の画素101aに接続されたバイアス線107aを流れるバイアス電流Ivsaを表す第1信号値と、第2画素群の画素101bに接続されたバイアス線107bを流れるバイアス電流Ivsbを表す第2信号値と、をサンプリングするタイミングの少なくとも一部が重なるように取得し、第1信号値および第2信号値に基づいて、放射線の照射開始を検知することになる。例えば、第1信号値および第2信号値の差分に基づいて放射線の照射を検知することによって、外来ノイズや振動などの影響を抑制することができる。
図13、14を用いて、放射線撮像装置100’の動作について説明する。シフトレジスタなどを含み構成される駆動回路103は、図9、10を用いて説明した動作と同様に、駆動制御部114から供給される開始信号に応じて、複数の端子Gのそれぞれから活性化信号を1回ずつ順番に出力するシフト動作を行う。つまり、駆動回路103は、開始信号に応じて端子GA1から端子GBi+n+kまで、順番に活性化信号を出力する。ここで、駆動回路103に配された端子Gのうち端子群301に含まれる端子Gは、シフト動作において最初に端子GAiから活性化信号が出力され、最後に端子GBi+n-1から活性化信号が出力される。
このとき、検知回路111が放射線の照射開始を検知するまでの期間に、駆動制御部114は、複数の開始信号のうち第1開始信号に応じたシフト動作が終了する前に、複数の開始信号のうち第2開始信号を駆動回路103に供給する。これによって、図9、10を用いて説明した場合と同様に、駆動回路103は、第1開始信号に応じたシフト動作において端子GBi+n-1から活性化信号を出力した次に、第2開始信号に応じたシフト動作において端子GAiから活性化信号を出力する。このように、1つの開始信号に応じて駆動回路103に配されたそれぞれの端子Gから活性化信号が出力されているシフト動作の間に、駆動制御部114から後続の開始信号が供給され、後続のシフト動作が開始される。これによって、駆動線105に接続されていない端子群302に含まれる端子Gが単独で活性化信号を出力する時間が無くなり、図6、8に示されるような不感時間602、608をなくすことができる。
図14には、バイアス線107a、107bをそれぞれ流れるバイアス電流Ivsa、Ivsb、検知回路111の絶対値回路によって得られるバイアス電流Ivsaとバイアス電流Ivsbとの差分の絶対値の波形が示されている。また、図14には、検知回路111のADCに入力される電流-電圧変換をした後の電圧Vvsの波形が示されている。バイアス線107a、107bは、それぞれ異なる画素群に配された画素101a、101bに接続される。バイアス線107a、107bには行ごとに各々のバイアス線107a、107bに接続されている画素101a、101bが活性化信号に応じてオン動作することによって、バイアス電流Ivsa、Ivsbが流れる。したがって、駆動線105に順次、活性化信号を与えると、駆動する行ごとに、バイアス線107aとバイアス線107bとの相互にバイアス電流Ivsa、Ivsbが流れる。また、駆動線105を介ししてスイッチ素子108がオン動作とオフ動作との間を遷移する場合に、TFTなどのスイッチ素子108のゲート-ソース間、および、ゲート-ドレイン間に存在する浮遊容量によって、バイアス線107にはインジェクション電流が流れる。
バイアス線107を2本(2系統)にした場合、バイアス線107aとバイアス線107bとが、近接して並行して配されうるため、線間の結合容量によって、オン動作とオフ動作との間を遷移した画素101(ここでは、画素101aとして以下、説明する。)に接続されたバイアス線107aのインジェクション電流によって、もう一方のバイアス線107bにも電流が流れる。この電流の大きさは、異なるが同方向に流れる。一方、放射線が入射した場合に変換素子109で生成された電荷は、スイッチ素子108がオン動作したときにしか流れないため、両電流の差分をとった場合、放射線によって生じる電荷は変化なく取り出し、インジェクション電流の影響を軽減させることができる。インジェクション電流の影響が軽減されるため、電圧Vvsの検知範囲1402は、図10に示される検知範囲1002よりも狭めることができる。つまり、電気的に互いに独立したバイアス線107を用いて、画素101を複数の画素群に分けることによって、放射線の照射を検知する分解能をより高めることができる。さらに、上述のように、バイアス電流Ivsaとバイアス電流Ivsbとの差分をとることによって、バイアス線107a、107bに重畳する同相ノイズが抑制できるため、振動や外来ノイズなどの影響の抑制に効果的である。
以上の動作によって、放射線撮像装置100、100’は、検知回路111が放射線の照射開始を検知する期間において、常に画素101からの出力される信号として、バイアス線107を流れるバイアス電流Ivsを検出することができる。これによって、本実施形態に示される放射線撮像装置100は、放射線の照射開始をより確実に迅速に検知することが可能になる。
以下、図15を参照しながら上述の放射線撮像装置100、100’が組み込まれた放射線検出システムを例示的に説明する。放射線撮像装置100、100’に放射線を照射するための放射線源であるX線チューブ6050で発生したX線6060は、患者又は被験者6061の胸部6062を透過し、放射線撮像装置100、100’に入射する。この入射したX線に患者または被験者6061の体内部の情報が含まれる。放射線撮像装置100、100’において、X線6060の入射に対応してシンチレータ115が発光し、これが光電変換素子で光電変換され、電気的情報を得る。この情報は、デジタルに変換され信号処理部としてのイメージプロセッサ6070によって画像処理され、制御室の表示部としてのディスプレイ6080で観察できる。
また、この情報は、電話回線6090などの伝送処理部によって遠隔地へ転送できる。これによって別の場所のドクタールームなどの表示部であるディスプレイ6081に表示し、遠隔地の医師が診断することも可能である。また、この情報は、光ディスクなどの記録媒体に記録することができ、またフィルムプロセッサ6100によって記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
100:放射線撮像装置、101:画素、103:駆動回路、105:駆動性、111:検知回路、114:駆動制御部、301,302:端子群、G:端子
Claims (12)
- 複数の行および複数の列を構成するように配された複数の画素と、行方向に延びるように配された複数の駆動線を介して前記複数の画素を制御する駆動回路と、前記複数の画素から出力される信号に応じて放射線の照射開始を検知するための検知回路と、駆動制御部と、を含む放射線撮像装置であって、
前記駆動回路は、複数の端子を備え、前記駆動制御部から供給される第1開始信号および第2開始信号を含む複数の開始信号のそれぞれに応じて、シフトクロックに従って前記複数の端子のそれぞれから活性化信号を1回ずつ順番に出力するシフト動作を行い、
前記複数の端子は、前記複数の駆動線のそれぞれに接続され、前記複数の駆動線のそれぞれを活性化させる前記活性化信号を連続して出力する第1端子群と、前記複数の駆動線に接続されていない第2端子群と、を含み、
前記第1端子群は、前記シフト動作において前記第1端子群のうち最初に前記活性化信号を出力する第1端子と最後に前記活性化信号を出力する第2端子とを有し、
前記検知回路が放射線の照射開始を検知するまでの期間において、
前記駆動制御部は、前記第1開始信号に応じた前記シフト動作が終了する前に、前記第2開始信号を前記駆動回路に供給し、
前記駆動回路は、前記第1開始信号に応じた前記シフト動作において前記第2端子から前記活性化信号を出力した次に、前記第2開始信号に応じた前記シフト動作において前記第1端子から前記活性化信号を出力することを特徴とする放射線撮像装置。 - 前記複数の開始信号のうち前記第1開始信号の次に前記駆動回路に供給される開始信号が、前記第2開始信号であることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
- 前記駆動制御部は、前記第1開始信号と前記第2開始信号との間に、前記複数の開始信号のうち少なくとも1つの開始信号を前記駆動回路に供給することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
- 前記第1端子は、前記シフト動作の開始から前記シフトクロックに従ってi番目に前記活性化信号を出力し、
前記検知回路が放射線の照射開始を検知するまでの期間において、前記駆動制御部は、前記第1開始信号に応じた前記シフト動作において前記複数の端子のうち前記第2端子の(i-1)個前の端子が前記活性化信号を出力するタイミングで前記第2開始信号に応じた前記シフト動作が開始されるように、前記第2開始信号を前記駆動回路に供給することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の放射線撮像装置。 - 前記第1端子は、前記シフト動作において最初に前記活性化信号を出力し、
前記検知回路が放射線の照射開始を検知するまでの期間において、前記駆動制御部は、前記第1開始信号に応じた前記シフト動作において前記複数の端子のうち前記第2端子の次の端子が前記活性化信号を出力するタイミングで前記第2開始信号に応じた前記シフト動作が開始されるように、前記第2開始信号を前記駆動回路に供給することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の放射線撮像装置。 - バイアス源をさらに含み、
前記複数の画素のそれぞれは、放射線を電荷に変換する変換素子を含み、
前記バイアス源は、前記変換素子にバイアス線を介してバイアス電圧を供給し、
前記検知回路は、前記複数の画素から出力される信号として前記バイアス線を流れる電流に応じて放射線の照射開始を検知することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の放射線撮像装置。 - 前記複数の画素が、前記複数の駆動線のうち互いに異なる駆動線に接続された第1画素群に属する画素と第2画素群に属する画素とを含み、
前記バイアス源は、前記第1画素群に属する画素の前記変換素子と、前記第2画素群に属する画素の前記変換素子と、に電気的に独立した前記バイアス線を介して前記バイアス電圧を供給することを特徴とする請求項6に記載の放射線撮像装置。 - 前記検知回路は、
前記第1画素群の画素に接続された前記バイアス線を流れる電流を表す第1信号値と、前記第2画素群の画素に接続された前記バイアス線を流れる電流を表す第2信号値と、をサンプリングするタイミングの少なくとも一部が重なるように取得し、
前記第1信号値および前記第2信号値に基づいて、放射線の照射開始を検知することを特徴とする請求項7に記載の放射線撮像装置。 - 前記行方向に、前記第1画素群に属する画素と前記第2画素群に属する画素とが、交互に配されることを特徴とする請求項7または8に記載の放射線撮像装置。
- 前記複数の画素のそれぞれで生成された信号を読み出すために、列方向に延びるように配された複数の信号線をさらに含み
互いに隣り合う前記第1画素群に属する画素と前記第2画素群に属する画素とが、前記複数の信号線のうち1つの信号線を共有していることを特徴とする請求項9に記載の放射線撮像装置。 - 前記第2端子群に含まれるそれぞれの端子が前記活性化信号を出力するタイミングで、前記第1端子群のうち何れかの端子が前記活性化信号を出力することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の放射線撮像装置。
- 請求項1乃至11の何れか1項に記載の放射線撮像装置と、
前記放射線撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と、
を備えることを特徴とする放射線撮像システム。
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