JP2023111443A - 移動体の制御システム、プログラム - Google Patents

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Abstract

Figure 2023111443000001
【課題】より適切に移動体を停止させることが可能でありながら、安全性を確保することができる制御システムを提供する。
【解決手段】制御システムは、動作制御部14と、フェイルセーフ制御部17と、を備える。動作制御部14は、車両の走行速度が所定速度を超えているときに第1トルク制御を実行するとともに、移動体の走行速度が所定速度以下であるときに第2トルク制御を実行する。フェイルセーフ制御部17は、第2トルク制御が実行されたときの回転電機の出力トルクと所定の異常判定値との比較に基づいて回転電機に異常が生じたか否かを判定し、回転電機に異常が生じていると判定した場合には、回転電機のフェイルセーフ制御を実行する。
【選択図】図2

Description

本開示は、移動体の制御システム、及びプログラムに関する。
従来、走行のための駆動源として回転電機を搭載する電動車両等の車両がある。このような車両に用いられる回転電機は、駆動及び回生の両方を行うことが可能なモータジェネレータと称されるものである。この車両では、回転電機が回生動作することで車両に制動力が発生するため、車両を減速させることができる。下記の特許文献1に記載の制御装置は、このような回転電機を備える車両に搭載されており、回転電機の回生量を調整することにより、車両の制動力を調整している。
特開2013-158178号公報
回転電機の回生動作により発生する制動力の大きさは、一般的には、運転者によるブレーキの操作量に応じて設定される。しかしながら、車両を停止させる際にブレーキの操作量に応じた大きさの制動力を停車時まで継続的に生じさせた場合、車両が停止した後に、車両が前後方向に大きく振動、すなわち車両がピッチ方向に大きく振動する可能性がある。これは、回転電機のトルクを車輪に伝達させるための動力伝達系に設けられるドライブシャフト等の部材が有している捩れが停車に伴って開放されることに起因して発生するものである。停車時に車両がピッチ方向に振動すると、乗員に不快感を与えるおそれがある。
その対策として、例えば上記の特許文献1に記載の制御装置のように、停車間際に車速の低下に伴って回転電機の回生量を小さくすることが考えられる。しかしながら、車速に応じて回生量を制限しただけでは、停車時の車両のピッチ方向の振動を抑制することは困難である。例えば、低速走行時において制動が開始された場合には、車速が急峻に低下するため、その変化に追従するように回転電機の回生量を変化させることが困難となり、結果として停車時の車両のピッチ方向の振動を抑制することができない可能性がある。また、回転電機から発生する制動力の調整方法によっては、車両の減速の効きが悪いと感じられるような、いわゆる「G抜け」と称される違和感を乗員に与えてしまう可能性もある。このように、回転電機の制動力を用いて車両を停止させる方法に関しては、更なる改良の余地が残されている。
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より適切に移動体を停止させることが可能でありながら、安全性を確保することができる移動体の制御システム及びプログラムを提供することにある。
上記課題を解決する移動体の制御システムは、走行用の駆動源として回転電機(140)が搭載される移動体(100)の制御システム(40)であって、第1トルク指令値設定部(11)と、第2トルク指令値設定部(12)と、波形設定部(13)と、動作制御部(14)と、停止時フェイルセーフ制御部(17)と、を備える。第1トルク指令値設定部は、移動体に対する運転者の操作に基づいて回転電機から出力すべきトルクの目標値である要求トルク指令値を設定する。第2トルク指令値設定部は、移動体が停止したときに移動体の停止状態を維持するために回転電機から出力すべきトルクの目標値である停止時トルク指令値を設定する。波形設定部は、回転電機の出力トルクの目標値の時間的な変化を示すトルク波形を設定する。動作制御部は、移動体の走行速度が所定速度を超えているときに、要求トルク指令値に基づいて回転電機の出力トルクを制御する第1トルク制御を実行するとともに、移動体の走行速度が所定速度以下であるときに、トルク波形に沿うように回転電機の出力トルクを要求トルク指令値から停止時トルク指令値に向かって変化させる第2トルク制御を実行する。停止時フェイルセーフ制御部は、第2トルク制御が実行されたときの回転電機の出力トルクと所定の異常判定値との比較に基づいて回転電機に異常が生じたか否かを判定し、回転電機に異常が生じていると判定した場合には、回転電機のフェイルセーフ制御を実行する。
また、上記課題を解決するプログラムは、コンピュータを、第1トルク指令値設定部(11)と、第2トルク指令値設定部(12)と、波形設定部(13)と、動作制御部(14)と、停止時フェイルセーフ制御部(17)と、として機能させる。第1トルク指令値設定部は、移動体に対する運転者の操作に基づいて回転電機から出力すべきトルクの目標値である要求トルク指令値を設定する。第2トルク指令値設定部は、移動体が停止したときに移動体の停止状態を維持するために回転電機から出力すべきトルクの目標値である停止時トルク指令値を設定する。波形設定部は、回転電機の出力トルクの目標値の時間的な変化を示すトルク波形を設定する。動作制御部は、移動体の走行速度が所定速度を超えているときに、要求トルク指令値に基づいて回転電機の出力トルクを制御する第1トルク制御を実行するとともに、移動体の走行速度が所定速度以下であるときに、トルク波形に沿うように回転電機の出力トルクを要求トルク指令値から停止時トルク指令値に向かって変化させる第2トルク制御を実行する。停止時フェイルセーフ制御部は、第2トルク制御が実行されたときの回転電機の出力トルクと所定の異常判定値との比較に基づいて回転電機に異常が生じたか否かを判定し、回転電機に異常が生じていると判定した場合には、回転電機のフェイルセーフ制御を実行する。
上記構成及びプログラムによれば、第2トルク制御の実行により回転電機の出力トルクが要求トルク指令値から停止時トルク指令値に向かってトルク波形に沿って変化する。このように回転電機の出力トルクがトルク波形に沿って変化することにより、より適切に移動体を停止させることが可能である。また、第2トルク制御が実行されたときの回転電機の出力トルクと所定の異常判定値との比較により回転電機に異常が生じていると判定された場合には、回転電機のフェイルセーフ制御が実行されるため、移動体の安全性を確保することも可能である。
なお、上記手段、特許請求の範囲に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本開示の移動体の制御システム及びプログラムによれば、より適切に移動体を停止させることが可能でありながら、安全性を確保することができる。
図1は、実施形態の車両の概略構成を示すブロック図である。 図2は、実施形態の車両の電気的な構成を示すブロック図である。 図3(A),(B)は、参考例の車両における車速及び回転電機の出力トルクの推移を示すタイミングチャートである。 図4(A),(B)は、本実施形態の車両における車速及び回転電機の出力トルクの推移を示すタイミングチャートである。 図5は、実施形態の制御装置により実行される処理の手順を示すフローチャートである。 図6は、実施形態の制御装置により実行される処理の手順を示すフローチャートである。 図7は、実施形態の制御装置により実行される処理の手順を示すフローチャートである。 図8は、本実施形態の制御装置により用いられる路面の勾配の推定値θと勾配補正トルクTupとの関係を示すマップである。 図9(A)~(C)は、本実施形態の車両における車速、ブレーキペダルの踏み込み量、及び回転電機の出力トルクの推移を示すタイミングチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
はじめに、本実施形態の制御装置が搭載される車両の概略構成について説明する。図1に示されるように、車両100は、車体101と、車輪111,112と、回転電機141,142と、電池150とを備えている。本実施形態では、車両100が移動体に相当する。
車体101は、車両100の本体部分であり、一般に「ボディ」と称される部分である。車輪111は、車体101の前方側部分に設けられた一対の車輪であり、車輪112は、車体101の後方側部分に設けられた一対の車輪である。このように、車両100には合計4つの車輪が設けられている。本実施形態の車両100は、4つの車輪111,112の全てが駆動輪として機能する、いわゆる四輪駆動の車両である。
回転電機141は、電池150からの電力の供給に基づいて、車輪111を回転させるためのトルク、すなわち車両100の走行のための駆動トルクを発生させる装置である。回転電機141は、いわゆるモータジェネレータ(MG : Motor Generator)である。回転電機141で生じたトルクは、パワートレイン部131及びドライブシャフト133を介して各車輪111に伝達されて、車輪111を回転させる。なお、電池150と回転電機141との間における電力の授受は、電力変換器であるインバータを介して行われるが、図1においてはインバータの図示が省略されている。
回転電機142は、電池150からの電力の供給に基づいて駆動トルクを発生することにより、パワートレイン部132及びドライブシャフト134を介して各車輪112を回転させる。回転電機142は、回転電機141と同一の構造を有しているため、その詳細な説明は割愛する。
回転電機141,142は、その回生動作により車輪111,112に制動力を付与することが可能な回生トルクを発生することもできる。この回転電機141,142の回生トルクに基づいて車輪111,112に付与される制動トルクにより、車両100を減速させて停止させることが可能である。以下では、車両100を駆動させるために回転電機141から出力される駆動トルク、及び車両100を制動させるために回転電機141から出力される回生トルクをまとめて「出力トルク」とも称する。また、車両100に駆動力を付与することが可能な回転電機140の駆動トルクを正の値で表し、車両100に制動力を付与することが可能な回転電機140の回生トルクを負の値で表す。
このように車両100は、走行用の駆動源として2つの回転電機141,142を備える、いわゆる電動車両である。制御装置10による制御は各回転電機141,142に対して同時に且つ同様に行われる。そのため、以下の説明においては、回転電機141,142のことを「回転電機140」とも総称する。例えば、「回転電機140の出力トルク」とは、各回転電機141,142の出力トルクの合計値を意味する。
なお、以下では、車両100において、回転電機140のトルクを車輪111,112に伝達するための動力伝達系に設けられている部材を「動力伝達部材」とも称する。動力伝達部材には、例えばパワートレイン部131,132やドライブシャフト133,134等が含まれる。
各車輪111にはブレーキ装置121が設けられている。ブレーキ装置121は、油圧により車輪111に制動力を加える装置である。同様に、各車輪112にもブレーキ装置122が設けられている。
車両100の制動は、回転電機141,142によって行うこともできるし、ブレーキ装置121,122によって行うこともできる。本実施形態においては、車両100の制動は基本的には回転電機140のみによって行われる。ブレーキ装置121,122による制動は必要に応じて補助的に行われる。
電池150は、各回転電機141,142に電力を供給するための蓄電池である。本実施形態では、電池150としてリチウムイオンバッテリーが用いられている。
車両100には、制御装置10とは別にブレーキECU(Electronic Control Unit)20と上位ECU30とが設けられている。制御装置10、ブレーキECU20、及び上位ECU30はいずれも、CPUや記憶装置等を有するマイクロコンピュータを中心に構成されている。これらは、車両100に設けられるネットワークを介して互いに双方向の通信を行うことができる。本実施形態では、制御装置10、ブレーキECU20、及び上位ECU30により制御システム40が構成されている。また、制御装置10、ブレーキECU20、及び上位ECU30のそれぞれがコンピュータに相当する。
上位ECU30は、車両100の全体の動作を統括的に制御する。上位ECU30は、制御装置10及びブレーキECU20のそれぞれと双方向の通信を行いながら、車両100の制御に必要な処理を行う。
なお、制御装置10、ブレーキECU20、及び上位ECU30は、本実施形態のように3つの装置に分かれていなくてもよい。例えば、制御装置10に、ブレーキECU20や上位ECU30の機能が統合されていてもよい。
車両100には、その各種状態量を検出するためのセンサが複数搭載されている。図2に示されるように、このようなセンサには、例えば油圧センサ201、車輪速センサ202、MGレゾルバ203、加速度センサ204、ブレーキセンサ205、アクセルセンサ206、操舵角センサ207、及び電流センサ208が含まれている。
油圧センサ201は、各ブレーキ装置121,122の油圧を検出するためのセンサである。油圧センサ201は、ブレーキ装置121,122のそれぞれに対して個別に設けられているが、図2においては油圧センサ201が単一のブロックとして模式的に描かれている。各油圧センサ201により検出された油圧を示す信号は制御装置10及びブレーキECU20に送信される。
車輪速センサ202は、車輪111,112の単位時間当たりの回転数である回転速度を検出するためのセンサである。車輪速センサ202は、4つの車輪111,112のそれぞれに対して個別に設けられているが、図2においては車輪速センサ202が単一のブロックとして模式的に描かれている。車輪速センサ202により検出された車輪111,112の回転速度を示す信号は制御装置10及びブレーキECU20に送信される。制御装置10及びブレーキECU20は、当該信号に基づいて、車両100の走行速度を検出することができる。
MGレゾルバ203は、各回転電機141,142の出力軸の回転速度を検出するためのセンサである。MGレゾルバ203は、回転電機141,142のそれぞれの出力軸に対して1つずつ個別に設けられているが、図2においてはMGレゾルバ203が単一のブロックとして模式的に描かれている。MGレゾルバ203により検出された回転速度を示す信号は制御装置10及びブレーキECU20に送信される。制御装置10及びブレーキECU20は、当該信号に基づいて、車両100の走行速度を検出することができる。
加速度センサ204は、車両100の加速度を検出するためのセンサである。加速度センサ204は車体101に取り付けられている。加速度センサ204は、車体101の前後方向、左右方向、及び上下方向のそれぞれの加速度に加えて、ピッチ方向、ロー方向、及びヨー方向のそれぞれの加速度を検出することができる、いわゆる6軸加速度センサとして構成されている。加速度センサ204により検出された各加速度を示す信号は制御装置10及びブレーキECU20に送信される。
ブレーキセンサ205は、車両100の運転席に設けられるブレーキペダルの踏み込み量を検出するためのセンサである。ブレーキセンサ205により検出された踏み込み量を示す信号は制御装置10及びブレーキECU20に送信される。
アクセルセンサ206は、車両100の運転席に設けられるアクセルペダルの踏み込み量を検出するためのセンサである。アクセルセンサ206により検出された踏み込み量を示す信号は制御装置10に送信される。
操舵角センサ207は、車両100の運転席に設けられたハンドルの回転角度である操舵角を検出するためのセンサである。操舵角センサ207により検出された操舵角を示す信号は制御装置10に送信される。
電流センサ208は、回転電機141,142のそれぞれに入力される駆動用電流の値を検出するためのセンサである。電流センサ208は、回転電機141,142のそれぞれに対して1つずつ個別に設けられているが、図2においては、電流センサ208は単一のブロックとして模式的に描かれている。電流センサ208により検出された駆動用電流の値を示す信号は制御装置10に入力される。
ブレーキECU20は、上位ECU30からの指示に応じて、ブレーキ装置121,122の動作を制御する。ブレーキECU20は、その記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより実現される機能的な要素として、回生トルク演算部21と、勾配演算部22とを備えている。本実施形態では、ブレーキECU20がブレーキ制御部に相当する。
回生トルク演算部21は、ブレーキセンサ205により検出されるブレーキペダルの踏み込み量から演算式やマップ等に基づいて、回転電機140から出力すべき回生トルクの目標値である回生トルク指令値Tr*を演算する。回生トルク演算部21は、演算した回生トルク指令値Tr*を含む回生要求を制御装置10に送信する。回生要求とは、回転電機140において回生トルクを生じさせる必要がある場合に、ブレーキECU20から制御装置10に送信される制御信号である。
勾配演算部22は、車両100が現在位置している路面の勾配を演算する。勾配演算部22は、例えば車輪速センサ202により検出される車輪111,112の回転速度から車両100の走行速度である車速を演算するとともに、演算された車速と、加速度センサ204により検出される車両100の加速度とに基づいて路面の勾配を演算する。
制御装置10は、その記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより実現される機能的な要素として、第1トルク指令値設定部11と、第2トルク指令値設定部12と、波形設定部13と、動作制御部14と、勾配演算部15とを備えている。本実施形態では、制御装置10が回転電機制御部に相当する。
動作制御部14は、回転電機140の動作を制御する。動作制御部14は、回転電機141,142のそれぞれの出力トルクを個別に制御することができる。ただし、本実施形態では、回転電機141,142のそれぞれで同一の制駆動トルクを出力する場合を例に挙げて説明する。動作制御部14は、回転電機140の出力トルクを、第1トルク指令値設定部11及び第2トルク指令値設定部12により設定されるトルク指令値に制御する。
勾配演算部15は、車両100が現在位置している路面の勾配を演算する。勾配演算部15は、ブレーキECU20の勾配演算部22と同様に、車両100の車速と、加速度センサ204により検出される車両100の加速度とに基づいて路面の勾配を演算する。
第1トルク指令値設定部11は要求トルク指令値TA*を設定する。要求トルク指令値TA*は、車両100に対する運転者の操作に基づいて、回転電機140から出力すべきトルクの目標値である。第1トルク指令値設定部11は、例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んでいる場合、アクセルセンサ206により検出されるアクセルペダルの踏み込み量に基づいて要求トルク指令値TA*を設定する。一方、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいる場合、ブレーキECU20から制御装置10に回生要求が送信される。この場合、第1トルク指令値設定部11は、回生要求に含まれる回生トルク指令値Tr*を要求トルク指令値TA*として用いる。
第2トルク指令値設定部12は停止時トルク指令値TB*を設定する。停止時トルク指令値TB*は、車両100が停止したときにブレーキ装置121,122を用いることなく、車両100の停止状態を維持するために回転電機140から出力すべきトルクの目標値である。
波形設定部13はトルク波形を設定する。トルク波形とは、回転電機140の出力トルクを要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*まで変化させる際に回転電機140から出力すべきトルクの目標値の時間的な変化を示すものである。
動作制御部14は、通常、回転電機140の出力トルクを要求トルク指令値TA*に制御する第1トルク制御を実行する。一方、走行中の車両が停止するとき、動作制御部14は、回転電機140の出力トルクを要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*までトルク波形に沿って変化させて車両100を停止させる第2トルク制御を実行する。
先ず、第2トルク制御が行われることなく車両100を停止させる場合の例について、図3を参照しながら説明する。図3には、比較例の制御装置で制御が実行され、これにより車両100を停止させる場合における例が示されている。図3(A)に示されるのは、車両100の走行速度である車速の時間変化の例である。図3(B)に示されるのは、回転電機140の出力トルクの時間変化の例である。
図3の例では、時刻t10までの期間において、車両100は速度V0で定速走行している。図3(B)では、当該期間における回転電機140の出力トルクは「0」となっている。
時刻t10以降は、運転者によるブレーキペダルの踏み込みが行われているため、回転電機140の出力トルクの値が、負の値である「T1」になっている。図3(A)に示されるように、時刻t10以降は、車両100の車速は次第に低下して行き、時刻t12において「0」となる。ブレーキペダルの踏み込み量が一定であると仮定すると、この比較例において回転電機140の出力トルクの大きさは、車両100が停止する時刻t12まで一定の「T1」とされる。
車両100が減速しながら走行している期間、すなわち時刻t10から時刻t12までの期間においては、回転電機140から車輪111,112までの間に設けられる動力伝達部材には捩れが生じた状態となっている。その後、時刻t12において車両100が停止すると、動力伝達部材の捩れが解放される。つまり、動力伝達部材が元の状態に戻ろうとする。この影響により、図3(A)に示されるように、時刻t12以降においては車体101がピッチ方向に振動してしまうことがある。このような振動は、車両100の乗員に不快感を与えるため好ましくない。
そこで、本実施形態の制御装置10では、先に述べたトルク波形を適切に設定した上で、トルク波形を用いて回転電機140の出力トルクを制御する第2トルク制御を実行することにより、上記のような振動の発生を防止することとしている。図4を参照しながら、制御装置10により実行される第2トルク制御の例について説明する。図4には、第2トルク制御が実行された場合における車速及び回転電機140の出力トルクの時間変化が図3と同様の方法で描かれている。
図4の例においても、図3の例と同様に、時刻t10までの期間において車両100は速度V0で定速走行している。また、時刻t10以降は、運転者によるブレーキペダルの踏み込みが行われている。
時刻t10から時刻t11までの期間においては、回転電機140の出力トルクの値は「T1」とされ、車速はV0から次第に低下して行く。この「T1」は、第1トルク指令値設定部11により設定される要求トルク指令値TA*に基づいて回転電機140から出力されるトルク、すなわち運転者が行うブレーキペダルの操作に応じて、従来の制御と同様に出力されるトルクである。
停車間際の時刻t11になると、第2トルク制御が開始される。第2トルク制御では、回転電機140の出力トルクの値を、トルク波形に沿って要求トルク指令値TA*(この例では「T1」)から停止時トルク指令値TB*(この例では「0」)へ変化させる処理が行われる。図4(B)に示されるグラフのうち、時刻t11から時刻t12までの範囲における波形が、上記の「トルク波形」に該当する。
第2トルク制御が行われると、回転電機140から出力されるトルクの値は、要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*へと急激に変化するのではなく、時間の経過と共に緩やかに変化して行く。そのため、制動に伴い捩れが生じていた動力伝達部材は、第2トルク制御が行われている期間において元の状態に戻される。換言すれば、動力伝達部材で生じていた捩れが元の状態に戻るような適切な波形として、トルク波形が予め設定されている。
時刻t12においては、第2トルク制御が終了すると同時に車両100が停止した状態となる。このタイミングにおいては、動力伝達部材で生じていた捩れは無くなっているので、図4(A)に示されるような車体101の振動は生じない。このように、本実施形態に係る制御装置10によれば、回転電機140の制動力で車両100を適切に停止させることができる。
以上のような第2トルク制御を実現するために、制御装置10により実行される具体的な処理の手順について説明する。図5に示される一連の処理は、例えば車両100を停止させる必要が生じた際に制御装置10によって実行されるものである。所定の制御周期が経過する毎に、図5の処理が繰り返し実行されてもよい。
制御装置10は、まず、ステップS10の処理として、ブレーキECU20から回生要求が送信されているか否かを判定する。制御装置10は、ブレーキECU20から回生要求が送信されていない場合には、ステップS10の処理で否定的な判定を行って、ステップS10の判定処理を繰り返し実行する。制御装置10は、ブレーキECU20から回生要求が送信された場合には、ステップS10の処理で肯定的な判定を行って、ステップS11の処理に移行する。
制御装置10は、ステップS11の処理として、第2トルク指令値設定部12により停止時トルク指令値TB*を設定する処理を行う。上述の通り、停止時トルク指令値TB*とは、車両100が停止した時点で、回転電機140から出力すべきトルクの目標値である。本実施形態の第2トルク指令値設定部12は、車両100が停止した後、その状態を維持するために回転電機140から出力すべきトルクとして、停止時トルク指令値TB*を設定している。例えば、車両100が昇り勾配の斜面で停止する際に、回転電機140からの出力トルクが「0」に設定されていると、重力によって車両100が後退する可能性がある。この場合、第2トルク指令値設定部12は、重力に抗して車両100が停止状態を維持するために回転電機140から出力すべきトルクの目標値として、停止時トルク指令値TB*を「0」よりも大きな値に設定する。
例えば、第2トルク指令値設定部12は、加速度センサ204により検出される車両100の第1減速度、及び車輪速センサ202により検出される車輪111,112の回転速度から演算可能な車両100の第2減速度に基づいて停止時トルク指令値TB*を演算する。第1減速度には、大きくは、車両前後方向における車両100の実際の減速度と、重力加速度の車両進行方向成分とが含まれている。第2減速度は、車両前後方向における車両100の実際の減速度である。したがって、第1減速度と第2減速度との差分値を求めることにより、重力加速度の車両前後方向成分を求めることができる。これを利用し、第2トルク指令値設定部12は、第1減速度と第2減速度との差分値を演算するとともに、演算された差分値から公知の演算式等を用いて、車両100が停止した際に車両前後方向において車両100に作用する重力成分である減速力を演算する。第2トルク指令値設定部12は、演算された減速力を、これに抗するトルクに所定の演算式等を用いて換算することにより停止時トルク指令値TB*を演算する。
なお、加速度センサ204により検出される第1減速度には、車両前後方向の車両100の実際の減速度、及び重力加速度の車両前後方向成分だけでなく、旋回抵抗トルクに応じた減速度や、ブレーキ制動トルクに応じた減速度等が含まれている。そのため、より精度良く停止時トルク指令値TB*を演算するために、第2トルク指令値設定部12は、旋回抵抗トルクやブレーキ制動トルクを停止時トルク指令値TB*から除外してもよい。
「旋回抵抗トルク」は、車両100が旋回しているときに、見かけ上、車両100を減速させる方向の力として加速度センサ204により検出される力を、これに抗するトルクに換算したものである。旋回抵抗トルクTgyは、例えば以下の式f1により演算することができる。
Figure 2023111443000002
式f1において、「m」は車両100の質量であり、「V」は車両100の車速である。「θ」は、操舵角センサ207により検出される操舵角である。「K」はステアリングギア比である。「L」は車両100のホイールベース長さであり、「L」は車両100の重心から車輪112(つまり後輪)の軸までの距離であり、「r」は車輪111,112の半径である。
「ブレーキ制動トルク」は、ブレーキ装置121,122において生じる制動力を、これに抗するトルクに換算したものである。ブレーキ制動トルクは、例えばブレーキECU20からの信号に基づいて算出することができる。このような態様に代えて、ブレーキセンサ205からの信号や、油圧センサ201からの信号等に基づいてブレーキ制動トルクを演算してもよい。
第2トルク指令値設定部12は、ステップS11の処理として、停止時トルク指令値TB*から旋回抵抗トルク及びブレーキ制動トルクの両方を差し引いたものを、改めて停止時トルク指令値TB*として演算する。あるいは、第2トルク指令値設定部12は、勾配演算部15により演算される路面の勾配からマップや演算式等に基づいて停止時トルク指令値TB*を演算してもよい。
制御装置10は、ステップS11に続くステップS12の処理として、第1トルク指令値設定部11により要求トルク指令値TA*を設定する。具体的には、第1トルク指令値設定部11は、アクセルセンサ206により検出されるアクセルペダルの踏み込み量から演算式やマップ等を用いて駆動トルク指令値を演算する。そして、第1トルク指令値設定部11は、演算された駆動トルク指令値と、ステップS10の処理でブレーキECU20から送信される回生要求に含まれる回生トルク指令値Tr*とに基づいて、回転電機140から出力すべきトルクの目標値である要求トルク指令値TA*を設定する。
なお、車両100を停止させる際には、通常は運転者がアクセルペダルを踏み込んでいない状態、すなわちアクセルペダルの踏み込み量が「0」の状態であるため、駆動トルク指令値は「0」である。したがって、要求トルク指令値TA*は、回生トルク指令値Tr*と同一の値に設定されることになる。
制御装置10は、ステップS12に続くステップS13の処理として、動作制御部14により回転速度判定値ωを設定する処理を行う。回転速度判定値ωは、車輪111,112の回転速度が、第2トルク制御を開始すべき回転速度まで低下したか否かを判定するための判定値である。回転速度判定値ωは、例えば以下の式f2により演算することができる。
Figure 2023111443000003
式f2において、「ΔT」は、ステップS11の処理で演算される停止時トルク指令値TB*から、ステップS12の処理で演算される要求トルク指令値TA*を減算したトルク差分値である。「I」は、車体101の質量を、車輪111等の回転系におけるイナーシャに換算したものである。イナーシャIは、車両100の質量m及び車輪111,112の半径rを用いて、例えば「I=mr」の式により演算することができる。「τ」は、第2トルク制御で用いられる一次遅れ系のトルク波形の時定数として予め設定された値である。時定数τの設定方法については後に説明する。
式f2を用いて回転速度判定値ωを設定した後、車輪111の回転速度が回転速度判定値ωを下回った時点で第2トルク制御が開始されると、第2トルク制御が完了したタイミングと概ね同じタイミングで車両100の車速が「0」となる。このように、回転速度判定値ωは、回転電機140から出力される制駆動トルクが停止時トルク指令値TB*になる時点(つまり第2トルク制御が終了する時点)と、車両100が停止する時点とが互いに一致するように設定される。
なお、回転速度判定値ωを設定するにあたっては、回転電機140から出力される制駆動トルクが停止時トルク指令値TB*になる時点と、車両100が停止する時点とが互いに一致するのであれば、上記の式f2と異なる式が用いられてもよい。また、「車両100が停止する時点」とは、車速が完全に「0」となるタイミングでなくてもよい。例えば、車速の絶対値が、所定の微少な閾値を下回るタイミングであってもよい。
制御装置10は、図5に示される処理を完了した後、図6に示される一連の処理を所定の周期で繰り返し実行する。
図6に示されるように、制御装置10は、まず、ステップS20の処理として、車輪速センサ202により検出される車輪111,112の回転速度ωが、図5のステップS13の処理で設定される回転速度判定値ω以下であるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、車輪速センサ202により検出される車輪111,112の回転速度の平均値を求めた上で、その回転速度の平均値が回転速度判定値ω以下であるか否かを判定する。本実施形態では、このステップS20の処理が、車両100の車速が所定速度以下であるか否かを判定する処理に相当する。所定速度は例えば「1[km/h]」である。
なお、制御装置10は、ステップS20の処理において、一方の車輪111の回転速度の平均値が回転速度判定値ω以下であるか否かを判定してもよい。また、ステップS20における回転速度ωについての判定は、MGレゾルバ203により測定される回転速度に基づいて行われてもよい。この場合、MGレゾルバ203により測定された回転電機140の回転速度を車輪111等の回転速度に換算すればよい。また、回転速度判定値ωが、MGレゾルバ203により測定される回転速度についての判定値として設定されることとしてもよい。この場合、第2トルク制御を開始するための目標タイミングは、間接的に、車輪111等の回転速度について設定されることとなる。
車両100を停止させるために回転電機140から回生トルクを発生させた初期の時点では、多くの場合、車両100の車速は所定速度Vthを超えているため、回転電機140の回転速度ωは回転速度判定値ωよりも大きい。そのため、制御装置10は、ステップS20の処理で否定的な判断を行って、ステップS25の処理に移行する。
制御装置10では、ステップS25の処理として、動作制御部14により第1トルク制御が実行される。第1トルク制御は、回転電機140の出力トルクを、図5のステップS12の処理で設定される要求トルク指令値TA*に一致させる制御である。したがって、動作制御部14が第1トルク制御を実行している場合、回転電機140の出力トルクは、基本的には、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて変化することとなる。具体的には、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなるほど、より大きい回生トルクが回転電機140から出力される。この回転電機140から出力される回生トルクにより車両100に制動力が加わることで車両100が減速する。車輪111,112の回転速度ωが次第に低下しているが、この時点では未だ第2トルク制御は実行されていない。
その後、車輪111,112の回転速度ωが回転速度判定値ω以下になると、すなわち車両100の車速が所定速度Vth以下になると、制御装置10は、ステップS20の処理で肯定的な判定を行って、ステップS21の処理に移行する。この場合、後述のステップS24に移行することで第2トルク制御が開始されることになる。第2トルク制御の開始に先立ち、ステップS21では、トルク波形を設定する処理が波形設定部13により行われる。トルク波形は、停車に伴って車両100に発生するピッチ方向の振動を減衰させることができるように設定されている。波形設定部13は、例えば以下の式f3を用いることによりトルク波形を設定する。
Figure 2023111443000004
式f3の左辺の「T(t)」は、回転電機140のトルク指令値の時間的な変化を示す関数である。この関数T(t)が示す時間的な波形がトルク波形に相当する。「t」は、ステップS21に最初に移行したタイミング、すなわち第2トルク制御の実行が開始されたタイミングからの経過時間である。
式f3の右辺において、「ΔT」は、式f2のトルク差分値ΔTと同じもの、すなわち図5に示されるステップS11の処理で演算される停止時トルク指令値TB*から、ステップS12の処理で演算される要求トルク指令値TA*を減算したものである。「τ」は、式f2の時定数τと同じもの、すなわちトルク波形の時定数として予め設定された値である。時定数τの値は波形設定部13によって設定される。
トルク波形の時定数τを大きくし過ぎた場合には、第2トルク制御の実行中において車体101の車速変化を示す波形の周波数が小さくなりすぎて、当該周波数が車両100のピッチ共振周波数よりも低くなってしまう。その結果、車体101のピッチングが生じ難くなる。しかしながら、停車前(すなわち走行中)の時点で制動力が「0」になったと感じられるような、いわゆる「G抜け」と称される違和感を乗員に与えないためには、敢えて車体101にピッチングを生じさせた方が好ましい。そこで、本実施形態における波形設定部13は、トルク波形が、車両100のピッチ共振周波数よりも高い周波数成分を含む波形となるように、時定数τをピッチ共振周波数以下の値に設定する。
車両100のピッチ共振周波数fは、以下の式f4により求めることができる。
Figure 2023111443000005
式4において、「g」は重力加速度、「L」は車両100のホイールベース長さ、「L」は車体101の全長、「h」は車体101の重心高さである。
波形設定部13は、上記のように算出されるピッチ共振周波数fの逆数(つまり、車両100のピッチ共振周期)の値を、時定数τについての上限値とした上で、当該上限値以下の値になるように時定数τを設定する。その結果、トルク波形は、車両100のピッチ共振周波数よりも高い周波数成分を含む波形として設定されることとなる。このように、式f4は、時定数τについての上限値を決定するための式ということができる。
一方、トルク波形の時定数τの値を小さくし過ぎた場合には、第2トルク制御の実行中において、動力伝達部材における捩れが素早く解放され過ぎてしまい、いわゆるバックラッシュに当たる際の衝撃を乗員に感じさせてしまうこととなる。また、動力伝達部材に生じていた捩れが十分に解放されないまま車両100が停止し、停止後に車両100が振動してしまう可能性もある。
そこで、波形設定部13は以下の式f5に示される条件を満たすような値として、時定数τを設定する。
Figure 2023111443000006
式f5において、「ΔT」は、式f2で用いられるものと同様のトルク、すなわち停止時トルク指令値TB*から要求トルク指令値TA*を減算したトルク差分値である。「K」は、動力伝達部材の剛性を示す係数、具体的にはドライブシャフト133,134の剛性、又はサスペンションの前後の等価剛性である。「ωα」は、動力伝達部材にバックラッシュが発生し難い車輪111,112の回転速度の閾値である。回転速度閾値ωαは、例えば「4.8[rad/s]」に設定される。
式f5は、時定数τについての下限値を設定するための式ということができる。時定数τが、上記のような下限値以上の値に設定されると、第2トルク制御が開始された直後におけるトルク波形の時間変化の傾きは所定の値以下に抑えられることとなる。
波形設定部13は、図6に示されるステップS21の処理において、式f4で決定される上限値と、式f5で決定される下限値との間の値となるように時定数τの値を設定し、その時定数τと式f3とを用いてトルク波形を設定する。これにより、第2トルク制御の実行時においては、乗員にG抜け及びバックラッシュの衝撃のいずれをも感じさせることなく、車両100を適切に停止させることが可能となる。
なお、波形設定部13により設定される時定数τの値には、上記の下限値と上限値との間に常に収まるように、予め設定された固定値が用いられてもよい。また、トルク差分値ΔTの算出値に応じて、式f5等を用いて時定数τが都度算出され設定されることとしてもよい。
波形設定部13は、ステップS21に続くステップS22の処理として、車輪速センサ202により検出される車輪111,112の回転速度から車両100の走行速度である車速Vを演算するとともに、演算された車速Vが「0」であるか否かを判定する。車両100が停止する前の時点では、車速Vが「0」ではないため、波形設定部13は、ステップS22の処理でも否定的な判定を行う。この場合、制御装置10では、ステップS24の処理として、第2トルク制御が動作制御部14により実行される。具体的には、動作制御部14は、回転電機140の出力トルクを、式f3に示されるトルク波形T(t)に沿った大きさとなるように調整する処理が実行される。
このようにしてステップS24の処理が実行された後、制御装置10は、図6に示される処理を一旦終了するとともに、所定の周期の経過後に図6に示される処理を再び開始する。以降、制御装置10は、ステップS22の処理で否定的な判定を行っている期間、ステップS24の処理がトルク波形T(t)に基づいて繰り返し実行される。ステップS24の処理が繰り返し実行されることにより、回転電機140の出力トルクが要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*に向かってトルク波形T(t)に沿って変化していき、最終的には車両100が停止した状態になる。このように、ステップS24の処理が繰り返されることで車両100の停止が実現される。当該第2トルク制御は、図4の例において時刻t11から時刻t12までの期間に行われる処理である。
なお、図6に示される一連の処理が繰り返し実行される際には、ステップS21の処理は初回の実行時においてのみ実行され、2回目以降はステップS21の処理がスキップされる。このような態様に代えて、ステップS21の処理が都度実行され、トルク波形が状況に応じて調整されていくこととしてもよい。
その後、車速Vが「0」になると、すなわち車両100が停止すると、波形設定部13は、ステップS22の処理で肯定的な判定を行う。この場合、波形設定部13は、ステップS23の処理として、必要に応じて、トルク波形T(t)を補正する処理が行われる。例えば、停止時トルク指令値TB*の算出に誤差があり、このままでは停車状態を維持することが難しいと判定された場合には、トルク波形の全体に対して必要なトルクを加算又は減算することで、停車状態を維持し得るように調整する。このようなトルクの調整は、例えば、停止直後における車速の変化等に基づいて行うこととすればよい。ステップS23の処理が実行された後、動作制御部14が、ステップS24の処理を実行することにより、すなわち第2トルク制御を実行することにより、車両100が停止状態に維持される。
ところで、図1に示されるような構成の場合、回転電機140に何らかの異常が生じると、図5及び図6に示される第1トルク制御及び第2トルク制御を適切に実行することができなくなる。このような場合、例えば回転電機140から所望の回生トルクが得られなくなるため、車両100が停止しない可能性がある。
そこで、本実施形態の制御システム40は、回転電機140の動作状態を監視しつつ、仮に回転電機140の動作の異常が検出された場合には回転電機140のフェイルセーフ制御を実行する。このような構成を実現するために、図2に示されるように、ブレーキECU20は、その記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより実現される機能的な要素として、フェイルセーフ制御部23を更に備えている。また、制御装置10は、その記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより実現される機能的な要素として、勾配推定部16と、フェイルセーフ制御部17とを更に備えている。
ブレーキECU20のフェイルセーフ制御部23は、図6に示されるステップS20の処理で否定的な判定が行われている場合、すなわち車両100の車速が所定速度Vth(例えば1[km/h])を超えている場合に回転電機140の動作を監視する。例えば、フェイルセーフ制御部23は、MGレゾルバ203により検出される回転電機140の回転速度と回転電機140の定格とから演算式等に基づいて回転電機140の実際の出力トルクTを演算する。そして、フェイルセーフ制御部23は、演算された回転電機140の実出力トルクTと、回生トルク演算部21により演算される回生トルク指令値Tr*とを比較することにより回転電機140に異常が生じているか否かを判定する。
具体的には、図6に示されるように、ステップS20の処理で否定的な判定が行われている場合、ステップS25の処理として第1トルク制御が実行される。すなわち、回転電機140の出力トルクは要求トルク指令値TA*に制御される。車両100が減速している際には、要求トルク指令値TA*は回生トルク指令値Tr*に設定されるため、回転電機140の出力トルクは回生トルク指令値Tr*に制御されることになる。したがって、回転電機140が正常であれば、回転電機140の実出力トルクTは回生トルク指令値Tr*と略同一の値を示すことになる。
そこで、フェイルセーフ制御部23は、回転電機140の実出力トルクTが「Tr*-α≦T≦Tr*+α」を満たしている場合には、回転電機140が正常であると判定して、フェイルセーフ制御を実行しない。なお、「α」は所定の定数であり、予め定められている。一方、フェイルセーフ制御部23は、回転電機140の実出力トルクTが「T<Tr*-α」を満たしている場合、又は「Tr*+α<T」を満たしている場合には、回転電機140に異常が生じたと判定して、フェイルセーフ制御を実行する。フェイルセーフ制御部23は、フェイルセーフ制御として、例えば制御装置10及び回転電機140を停止させる制御を実行する。本実施形態では、フェイルセーフ制御部23が走行時フェイルセーフ制御部に相当する。
制御装置10のフェイルセーフ制御部17は、図6のステップS20の処理で肯定的な判定が行われている場合、すなわち車両100の車速が所定速度Vth(例えば1[km/h])以下である場合に回転電機140の動作を監視する。その際、フェイルセーフ制御部17は、車両100が現在位置している路面の勾配を用いる。路面の勾配を精度良く検出するために、制御装置10は勾配推定部16を備えている。
勾配推定部16は、制御装置10の勾配演算部15により演算される路面の勾配の演算値と、ブレーキECU20の勾配演算部22により演算される路面の勾配の演算値とに基づいて、路面の勾配の推定値を演算する。例えば、勾配推定部16は、前者の路面の勾配の演算値と後者の路面の勾配の演算値との平均値を演算するとともに、演算された平均値を路面の勾配の推定値として用いる。
制御装置10のフェイルセーフ制御部17は、ブレーキECU20のフェイルセーフ制御部23と同様に、MGレゾルバ203により検出される回転電機140の回転速度と回転電機140の定格とから演算式等に基づいて回転電機140の実出力トルクTを演算する。そして、フェイルセーフ制御部17は、演算された回転電機140の実出力トルクと、第2トルク指令値設定部12により設定される停止時トルク指令値TB*とを比較することにより、回転電機140に異常が生じているか否かを判定する。
具体的には、図6に示されるように、ステップS20の処理で肯定的な判定が行われている場合、ステップS24の処理として第2トルク制御が実行される。すなわち、回転電機140の出力トルクはトルク波形T(t)に沿って要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*に向かって制御される。したがって、回転電機140が正常であれば、回転電機140の実出力トルクTが収束した際に、その収束値Tmcが、停止時トルク指令値TB*に対応したトルク、すなわち車両100が現在位置している路面の勾配に対応したトルクを示すことになる。
そこで、フェイルセーフ制御部17は、勾配推定部16により演算された路面の勾配の推定値に基づいて勾配補正トルクTupを演算する。勾配補正トルクTupは、車両100の停止状態を維持するために回転電機140から出力すべきトルクである。フェイルセーフ制御部17は、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup-β≦Tmc≦Tup+β」を満たしている場合には、制御装置10及び回転電機140が正常であると判定して、フェイルセーフ制御を実行しない。なお、「β」は所定の定数であり、予め設定されている。定数βは、例えば「0.1[G]」相当のトルクに対応する値に設定される。一方、フェイルセーフ制御部17は、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tmc<Tup-β」を満たしている場合、又は「Tup+β<Tmc」を満たしている場合には、回転電機140に異常が生じたと判定して、フェイルセーフ制御を実行する。本実施形態では、「Tup-β」及び「Tup+β」が異常判定値に相当する。フェイルセーフ制御部17は、フェイルセーフ制御として、例えば制御装置10及び回転電機140を停止させる処理、又は第2トルク制御を中止する処理を実行する。本実施形態では、フェイルセーフ制御部17が停止時フェイルセーフ制御部に相当する。
以上のような制御を実現するために、フェイルセーフ制御部17により実行される具体的な処理の手順について説明する。図7に示される一連の処理は、フェイルセーフ制御部17により実行されるものである。所定の制御周期が経過する毎に、図7の処理が繰り返し実行されてもよい。
フェイルセーフ制御部17は、まず、ステップS30の処理として、勾配補正トルクTupを演算する。具体的には、フェイルセーフ制御部17は、勾配推定部16により演算された路面の勾配の推定値θから、図8に示されるマップを用いることにより勾配補正トルクTupを演算する。なお、路面の勾配の推定値θは、登り勾配の場合には正の値を示すと共に、登り勾配の傾斜が急になるほど、その絶対値が大きくなる。また、路面の勾配の推定値θは、下り勾配の場合には負の値を示すと共に、下り勾配の傾斜が急になるほど、その絶対値が大きくなる。
図7に示されるように、フェイルセーフ制御部17は、ステップS30に続くステップS31の処理として、車両100の車速Vが所定速度Vth以下であるか否かを判定する。フェイルセーフ制御部17は、車速Vが所定速度Vthを超えている場合には、すなわち第1トルク制御が実行されている場合には、ステップS31の処理で否定的な判定を行って、ステップS32の処理として、異常カウンタCfの値を初期化する。
一方、フェイルセーフ制御部17は、ステップS31の処理において、車速Vが所定速度Vth以下である場合には、すなわち第2トルク制御が実行されている場合には、ステップS31の処理で肯定的な判定を行う。この場合、フェイルセーフ制御部17は、ステップS33の処理として、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup+β」を超えているか否かを判定する。フェイルセーフ制御部17は、第2トルク制御が開始された後、回転電機140の実出力トルクTの推移を監視しており、実出力トルクTの単位時間当たりの変化量が所定値以下になることに基づいて回転電機140の実出力トルクTが収束したと判定するとともに、そのときの回転電機140の実出力トルクTの値を収束値Tmcとして用いる。フェイルセーフ制御部17は、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup+β」を超えている場合には、ステップS33の処理で肯定的な判定を行う。この場合、フェイルセーフ制御部17は、回転電機140に異常が生じていると判断して、ステップS34の処理として、異常カウンタCfの値をインクリメントする。
フェイルセーフ制御部17は、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup+β」以下である場合には、ステップS33の処理で否定的な判定を行う。この場合、フェイルセーフ制御部17は、ステップS34の処理として、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup-β」未満であるか否かを判定する。フェイルセーフ制御部17は、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup-β」未満である場合には、ステップS35の処理で肯定的な判定を行う。この場合、フェイルセーフ制御部17は、回転電機140に異常が生じていると判断して、ステップS36の処理として、異常カウンタCfの値をインクリメントする。このように、本実施形態では、異常カウンタCfの値が異常判定回数に相当する。
フェイルセーフ制御部17は、ステップS35の処理において、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup+β」を超えている場合には、ステップS35の処理で否定的な判定を行う。この場合、フェイルセーフ制御部17は、制御装置10及び回転電機140が正常であると判断して、ステップS37の処理として、異常カウンタCfの値を初期化する。
フェイルセーフ制御部17は、ステップS34,S36,S37のいずれかの処理を実行した場合には、ステップS38の処理として、異常カウンタCfが所定値Caを超えているか否かを判定する。所定値Caは、「0」よりも大きい整数に設定されている。本実施形態では、所定値Caが所定数に相当する。回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tup-β≦Tmc≦Tup+β」を満たしている場合、すなわち回転電機140が正常な場合には、異常カウンタCfが「0」に設定されたままであるため、フェイルセーフ制御部17はステップS38の処理で否定的な判定を行う。この場合、フェイルセーフ制御部17は、図8に示される一連の処理を終了する。
一方、回転電機140の実出力トルクの収束値Tmcが「Tmc<Tup-β」を満たしている場合、又は「Tup+β<Tmc」を満たしている場合、すなわち回転電機140に異常が生じている場合には、ステップS34の処理又はステップS36の処理が実行される。異常が生じた初期の段階では、異常カウンタCfの値が所定値Ca以下であるため、フェイルセーフ制御部17は、ステップS38の処理で否定的な判定を行う。その後、図7に示される処理が所定の周期で実行されることで、ステップS34の処理又はステップS36の処理が繰り返して実行されると、異常カウンタCfの値が増加する。そして、異常カウンタCfの値が所定値Caを超えると、フェイルセーフ制御部17は、ステップS39の処理として、フェイルセーフ制御を実行する。
次に、本実施形態の制御システム40の動作例について説明する。
図9(B)に示されるように時刻t20で運転者がブレーキペダルの踏み込み操作を行ったとすると、図9(C)に示されるように回転電機140から負の値のトルク「T1」、すなわち回生トルクが出力される。そのため、時刻t20以降、図9(A)に示されるように車両100の車速Vが徐々に低下する。この場合、時刻t20から、車両100の車速Vが所定速度Vth以下になる時刻t21までの期間は第1トルク制御が実行される。すなわち、回転電機140の出力トルクは要求トルク指令値TA*に制御される。なお、要求トルク指令値TA*は回生トルク指令値Tr*に設定されている。
そして、時刻t21の時点で車両100の車速Vが所定速度Vth以下になると、それ以降は第2トルク制御が実行される。すなわち、回転電機140の出力トルクは、トルク波形T(t)に沿って要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*に向かって制御される。なお、図9では、停止時トルク指令値TB*が正の値に設定されている場合、換言すれば車両100が登り坂の傾斜路で停止する場合が示されている。このとき、時刻t22で回転電機140の出力トルクTが収束したとする。そのときの出力トルクの収束値Tmcが図9(C)に示されるように「Tup-β≦Tmc≦Tup+β」を満たしている場合には、フェイルセーフ制御部17は、制御装置10及び回転電機140が正常であると判定する。すなわちフェイルセーフ制御は実行されない。
一方、回転電機140の出力トルクの収束値Tmcが「Tmc<Tup-β」を満たしている場合、又は「Tup+β<Tmc」を満たしている場合には、異常カウンタCfの値が所定値Caを超えることを条件にフェイルセーフ制御が実行される。
以上説明した本実施形態の車両100の制御システム40によれば、以下の(1)~(7)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)動作制御部14は、車両100の車速Vが所定速度Vthを超えているときに、要求トルク指令値TA*に基づいて回転電機140の出力トルクを制御する第1トルク制御を実行する。また、動作制御部14は、車両100の車速Vが所定速度Vth以下であるときに、トルク波形T(t)に沿うように回転電機140の出力トルクを要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*に向かって変化させる第2トルク制御を実行する。フェイルセーフ制御部17は、第2トルク制御が実行されたときの回転電機140の実出力トルクTと異常判定値「Tup-β」,「Tup+β」との比較に基づいて回転電機140に異常が生じたか否かを判定する。フェイルセーフ制御部17は、回転電機140に異常が生じたと判定した場合には、回転電機140のフェイルセーフ制御を実行する。この構成によれば、第2トルク制御の実行により回転電機140の出力トルクが要求トルク指令値TA*から停止時トルク指令値TB*に向かってトルク波形T(t)に沿って変化する。このように回転電機140の出力トルクがトルク波形T(t)に沿って変化することにより、より適切に車両100を停止させることが可能である。また、第2トルク制御を実行した後に回転電機140の出力トルクと異常判定値「Tup-β」,「Tup+β」との比較により回転電機140に異常が生じていると判定された場合には、回転電機140のフェイルセーフ制御が実行されるため、車両100の安全性を確保することも可能である。
(2)異常判定値「Tup+β」は、回転電機140の出力トルクの収束値Tmcの上限値を定める上限判定値である。異常判定値「Tup-β」は、回転電機140の出力トルクの収束値Tmcの加減値を定める下限判定値である。フェイルセーフ制御部17は、回転電機140の出力トルクの収束値Tmcが異常判定値「Tup+β」を超えていることに基づいて、あるいは回転電機140の出力トルクの収束値Tmcが異常判定値「Tup-β」未満であることに基づいて、回転電機140に異常が生じていると判定する。この構成によれば、回転電機140に異常が生じているか否かを容易に判定することが可能となる。
(3)フェイルセーフ制御部17は、フェイルセーフ制御として、第2トルク制御を禁止、又は回転電機140の制御を禁止する。この構成によれば、回転電機140に異常が生じた際に、より的確に安全性を確保することが可能となる。
(4)フェイルセーフ制御部17は、回転電機140に異常が生じていると判定した回数を異常カウンタCfとしてカウントし、異常カウンタCfが所定値Caを超えることに基づいて、フェイルセーフ制御を実行する。この構成によれば、例えば回転電機140の異常が誤って一回検出されただけでフェイルセーフ制御が実行されるような状況を回避することができるため、より実情に即した形でフェイルセーフ制御を実行することができる。
(5)ブレーキECU20は、回生トルク演算部21と、フェイルセーフ制御部23とを備えている。回生トルク演算部21は、回転電機140から出力すべき回生トルクの指令値である回生トルク指令値Tr*を演算する。フェイルセーフ制御部23は、車両100の車速Vが所定速度Vthを超えているとき、回転電機140の実出力トルクTと回生トルク指令値Tr*とを比較することにより回転電機140に異常が発生しているか否かを判定する。フェイルセーフ制御部23は、回転電機140に異常が発生していると判定することに基づいて回転電機140のフェイルセーフ制御を実行する。この構成によれば、車両100が所定速度Vthを超える速度で走行している場合であっても、回転電機140に異常が発生した場合にはフェイルセーフ制御が実行されるため、車両100の安全性を更に高めることができる。
(6)制御システム40は、車両100が停止する路面の勾配を推定する勾配推定部16を更に備える。フェイルセーフ制御部17は、図8に示されるマップを用いることにより、勾配推定部16により推定される路面の勾配に基づいて、異常判定値「Tup-β」、「Tup+β」を可変設定する。この構成によれば、より適切な異常判定値を設定することが可能となる。
(7)勾配推定部16は、制御装置10の勾配演算部15により演算される路面の勾配の演算値と、ブレーキECU20の勾配演算部22により演算される路面の勾配の演算値とに基づいて路面の勾配の推定値を演算する。この構成によれば、路面の勾配を高い精度で推定することができるため、結果的に異常判定値の演算精度を向上させることができる。
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・図5に示されるステップS20の処理は、MGレゾルバ203により検出される回転電機140の回転速度に基づいて行われてもよい。この場合、MGレゾルバ203により検出される回転電機140の回転速度を所定の演算式を用いて車輪111の回転速度に換算すれば、類似の判定処理を行うことができる。また、回転速度判定値ωが、MGレゾルバ203により検出される回転電機140の回転速度に対して設定されていてもよい。
・車両100には、図1の回転電機140に代えて、各車輪111,112に埋め込まれたインホイールモータが用いられていてもよい。制御装置10は、各車輪111,112に埋め込まれたインホイールモータの制駆動トルクを制御することにより、上記実施形態の制御装置10と同様の制御を行う。
・上記の実施形態の構成は、車両100に限らず、任意の移動体に適用することが可能である。
・本開示に記載の制御システム40及びその制御方法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御システム40及びその制御方法は、1つ又は複数の専用ハードウェア論理回路を含むプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御システム40及びその制御方法は、1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1つ又は複数のハードウェア論理回路を含むプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。専用ハードウェア論理回路及びハードウェア論理回路は、複数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路により実現されてもよい。
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
10:制御装置(回転電機制御部)
11:第1トルク指令値設定部
12:第2トルク指令値設定部
13:波形設定部
14:動作制御部
16:勾配推定部
17:フェイルセーフ制御部(停止時フェイルセーフ制御部)
20:ブレーキECU(ブレーキ制御部)
21:回生トルク演算部
23:フェイルセーフ制御部(走行時フェイルセーフ制御部)
40:制御システム
100:車両(移動体)
140:回転電機

Claims (9)

  1. 走行用の駆動源として回転電機(140)が搭載される移動体(100)の制御システム(40)であって、
    前記移動体に対する運転者の操作に基づいて前記回転電機から出力すべきトルクの目標値である要求トルク指令値を設定する第1トルク指令値設定部(11)と、
    前記移動体が停止したときに前記移動体の停止状態を維持するために前記回転電機から出力すべきトルクの目標値である停止時トルク指令値を設定する第2トルク指令値設定部(12)と、
    前記回転電機の出力トルクの目標値の時間的な変化を示すトルク波形を設定する波形設定部(13)と、
    前記移動体の走行速度が所定速度を超えているときに、前記要求トルク指令値に基づいて前記回転電機の出力トルクを制御する第1トルク制御を実行するとともに、前記移動体の走行速度が前記所定速度以下であるときに、前記トルク波形に沿うように前記回転電機の出力トルクを前記要求トルク指令値から前記停止時トルク指令値に向かって変化させる第2トルク制御を実行する動作制御部(14)と、
    前記第2トルク制御が実行されたときの前記回転電機の出力トルクと所定の異常判定値との比較に基づいて前記回転電機に異常が生じたか否かを判定し、前記回転電機に異常が生じていると判定した場合には、前記回転電機のフェイルセーフ制御を実行する停止時フェイルセーフ制御部(17)と、を備える
    移動体の制御システム。
  2. 前記異常判定値は、前記回転電機の出力トルクの収束値の上限値を定める上限判定値であり、
    前記停止時フェイルセーフ制御部は、前記回転電機の出力トルクの収束値が前記上限判定値を超えていることに基づいて、前記回転電機に異常が生じていると判定する
    請求項1に記載の移動体の制御システム。
  3. 前記異常判定値は、前記回転電機の出力トルクの収束値の下限値を定める下限判定値であり、
    前記停止時フェイルセーフ制御部は、前記回転電機の出力トルクの収束値が前記下限判定値未満であることに基づいて、前記回転電機に異常が生じていると判定する
    請求項1に記載の移動体の制御システム。
  4. 前記停止時フェイルセーフ制御部は、前記フェイルセーフ制御として、前記第2トルク制御を禁止、又は前記回転電機の制御を禁止する
    請求項1~3のいずれか一項に記載の移動体の制御システム。
  5. 前記停止時フェイルセーフ制御部は、前記回転電機に異常が生じていると判定した回数である異常判定回数をカウントし、前記異常判定回数が所定数を超えることに基づいて、前記フェイルセーフ制御を実行する
    請求項1~4のいずれか一項に記載の移動体の制御システム。
  6. 前記回転電機を制御する回転電機制御部(10)と、
    前記移動体のブレーキ装置を制御するブレーキ制御部(20)と、を更に備え、
    前記回転電機制御部は、前記第1トルク指令値設定部と、前記第2トルク指令値設定部と、前記波形設定部と、前記動作制御部と、前記停止時フェイルセーフ制御部と、を有し、
    前記ブレーキ制御部は、
    前記回転電機から出力すべき回生トルクの指令値である回生トルク指令値を演算する回生トルク演算部(21)と、
    前記移動体の走行速度が前記所定速度を超えているときに、前記回転電機の実際の出力トルクと前記回生トルク指令値とを比較することにより前記回転電機に異常が生じているか否かを判定し、前記回転電機に異常が生じていると判定することに基づいて前記フェイルセーフ制御を実行する走行時フェイルセーフ制御部(23)と、を有する
    請求項1~5のいずれか一項に記載の移動体の制御システム。
  7. 前記移動体が停止する路面の勾配を推定する勾配推定部(16)を更に備え、
    前記停止時フェイルセーフ制御部は、前記路面の勾配の推定値に基づいて前記異常判定値を可変設定する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の移動体の制御システム。
  8. 前記回転電機を制御する回転電機制御部(10)と、
    前記移動体のブレーキ装置を制御するブレーキ制御部(20)と、を更に備え、
    前記勾配推定部は、前記回転電機制御部により演算される路面の勾配の演算値と、前記ブレーキ制御部により演算される路面の勾配の演算値とに基づいて、前記路面の勾配の推定値を演算する
    請求項7に記載の移動体の制御システム。
  9. コンピュータを、
    移動体に対する運転者の操作に基づいて回転電機から出力すべきトルクの目標値である要求トルク指令値を設定する第1トルク指令値設定部(11)と、
    前記移動体が停止したときに前記移動体の停止状態を維持するために前記回転電機から出力すべきトルクの目標値である停止時トルク指令値を設定する第2トルク指令値設定部(12)と、
    前記回転電機の出力トルクの目標値の時間的な変化を示すトルク波形を設定する波形設定部(13)と、
    前記移動体の走行速度が所定速度を超えているときに、前記要求トルク指令値に基づいて前記回転電機の出力トルクを制御する第1トルク制御を実行するとともに、前記移動体の走行速度が前記所定速度以下であるときに、前記トルク波形に沿うように前記回転電機の出力トルクを前記要求トルク指令値から前記停止時トルク指令値に向かって変化させる第2トルク制御を実行する動作制御部(14)と、
    前記第2トルク制御が実行されたときの前記回転電機の出力トルクと所定の異常判定値との比較に基づいて前記回転電機に異常が生じたか否かを判定し、前記回転電機に異常が生じていると判定した場合には、前記回転電機のフェイルセーフ制御を実行する停止時フェイルセーフ制御部(17)と、として機能させる
    プログラム。
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