JP2023110898A - 血栓予防剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】n-6DPAを含有しかつ経口投与されて血栓予防に用いられ、かつ血栓予防効果に優れる剤、食品組成物、餌飼料組成物、及び医薬品組成物を提供すること。【解決手段】本発明に係る血栓予防剤は、n-6DPAを含有する微細藻、当該微細藻から得られかつn-6DPAを含有する脂肪酸組成物、又はn-6DPAの何れか一つからなり、n-6DPA相当量が9mg/kg・day以下になる有効量で経口投与されることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、血栓予防の為に用いられる剤、食品や餌飼料又は医薬品に関する。より詳細には、n-6DPAを含有し、経口投与されかつ血栓予防効果に優れる剤、食品、餌飼料、又は医薬品に関する。
近年、魚油由来のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、タテゴトアザラシやマンボウの皮下脂肪由来のn-3DPA(n-3ドコサペンタエン酸)などの(n-3)系のPUFAs(多価不飽和脂肪酸)に於いて、脳機能改善作用や中性脂肪値改善作用を元にした健康食品やサプリメント、乳児用ミルクへの適用が一般的になってきている。
魚油、タテゴトアザラシやマンボウの皮下脂肪以外のPUFAsの供給源として、微細藻類であるスラウストキトリッドが挙げられる。スラウストキトリッドはラビリンチュラ類に属する葉緑素を持たない従属栄養性藻類で発酵槽による大規模培養が可能であることから、安定供給性及び安全性、SDGs(持続可能な開発目標)の観点で注目されており、PUFAsの供給源としてシゾキトリウム エスピー(Schizochytrium sp.)ATCC20888株とその派生株(特許文献1及び2)、オーランチオキトリウム リマシナム(Aurantiochytrium limacinum)SR21株など(特許文献3~6、非特許文献1)、スラウストキトリウム エスピー(Thraustochytrium sp.)LFF1株(特許文献7)、ヤブレツボカビ微生物(特許文献8及び9)などが提案されている。なお、微細藻類の中では光合成を行う独立栄養性藻類であるクロレラ、ユーグレナ、スピルリナがより一般的で、藻体の栄養価の高さを元に従来から多くの機能性食品の原料として用いられている(非特許文献2及び3)。
(n-6)系PUFAsであるn-6DPA(n-6ドコサペンタエン酸)に関しては、抗炎症(非特許文献4)や血栓予防作用が示唆されているが、多くのスラウストキトリッドがn-6DPAを含有するにも関わらず、産業利用に至っていない。特に、n-6DPAの血栓予防作用については、試験管内の血管内皮細胞遊走性促進(EPAの10倍、非特許文献5)、血栓関連蛋白質凝集抑制(n-3DPAの10倍)及びマウス静脈内投与による効果(非特許文献6)が提示されており、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞、COVID-19の重症化要因である肺血栓塞栓症、メタボリックシンドロームなどに於ける有用性が期待される。
特許第3127161号公報 特許第3669372号公報 特許第2764572号公報 特許第3985035号公報 特許第6655469号公報 特開2020-054391号公報 特許第4280158号公報 特許第5762393号公報 特開2018-108096号公報
生物工学会誌、日本生物工学会、2015、93巻、7号、p.426-429 食品と開発、インフォーマ マーケッツ ジャパン(株)、2019、54巻、11月号、p.4-7 生物工学誌、日本生物工学会、2013、91巻、11号、p.621-624 Lipid (2010), 45, p.375-384 脂質栄養学、脂質栄養学会、1996、5巻、1号、p.17-22 blood advances (2020), 4, p.4522-4537
しかし、従来技術は、血栓予防効果について、n-6DPAの用量との関係や、n-6DPAを経口投与したときの傾向を何ら示唆していない。
本発明の課題は、n-6DPAを含有しかつ経口投与されて血栓予防に用いられ、かつ血栓予防効果に優れる剤、食品組成物、餌飼料組成物、及び医薬品組成物を提供することにある。
前記課題を解決する為、n-6DPAの血栓予防効果と経口投与用量との関係性を鋭意検討した結果、n-6DPAの経口投与用量が過多になると、むしろ血栓予防効果が下がることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は以下の構成を採用する。
即ち、本発明の第1は、「n-6DPAを含有する微細藻、当該微細藻から得られかつn-6DPAを含有する脂肪酸組成物、又はn-6DPAの何れか一つからなり、n-6DPA相当量が9mg/kg・day以下になる有効量で経口投与されることを特徴とする血栓予防剤。」である。
本発明の第2は、前記第1発明に於いて、微細藻に含有され又は微細藻から得られる脂肪酸組成物の全量に対し、n-6DPAが7%以上含まれることを特徴とする血栓予防剤である。
本発明の第3は、前記第1又は第2発明に於ける有効量が、n-6DPA相当量で0.03mg/kg・day以上になる量であることを特徴とする、血栓予防剤である。
本発明の第4は、前記第1~第3発明のいずれか一つの発明に於ける微細藻が、スラウストキトリッドであることを特徴とする血栓予防剤である。
本発明の第5は、前記第1~第3発明のいずれか一つの発明に於ける血栓予防剤を含有する、血栓予防用の食品組成物又は餌飼料組成物である。
本発明の第6は、前記第1~第3発明のいずれか一つの発明に於ける血栓予防剤を含有する、血栓予防用の医薬品組成物である。
本発明により、n-6DPAを含有しかつ経口投与されて血栓予防に用いられ、かつ高い血栓予防効果を有する剤、食品組成物、餌飼料組成物又は医薬品組成物を提供することができる。
本発明の参考例の結果を示すグラフである。 本発明の参考例の結果を示すグラフである。 本発明の実施例の結果を示すグラフである。
以下、本発明の構成について詳述する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
まず、本発明の剤に含まれる微細藻について述べる。本発明の剤に含まれる微細藻は食品として利用可能な微細藻類の藻体である。食品として利用可能とは食経験があること、或いは動物やヒトに於ける安全性試験で問題のないことが示されたものをいう。微細藻類とは個体の識別に顕微鏡が必要な藻類の総称で、分類学的には広義の細菌に属する原核生物の藍藻類、高等植物に近縁の緑藻類、原生動物門にも分類される鞭毛藻類まで多岐にわたる。本発明に於いて用いることができる食品としての利用可能な微細藻類の例としては、クロレラ(緑藻類)、スピルリナ(藍藻類)、ユーグレナ(和名:ミドリムシ、原生動物/緑藻類)、ドナリエラ(緑藻類)、ナンノクロロプシス(真正眼点藻類)、ラビリンチュラ類スラウストキトリッド(ラビリンチュラ類は本明細書では微細藻類の一種とする。)などが挙げられるが、好ましくは本来的にPUFAsを含有するスピルリナ、ユーグレナ、ナンノクロロプシス、ラビリンチュラ類スラウストキトリッド、或いは脂肪酸の添加培養で藻体内にPUFAsを含有させることのできるクロレラ、より好ましくはPUFAsの含有量の多いナンノクロロプシス、スラウストキトリッド、更に好ましくは閉鎖系でのタンク培養が可能で安全性が高いラビリンチュラ類スラウストキトリッドが挙げられる。
なお、本発明の剤に含まれる脂肪酸組成物は、食品として利用可能か否かにかかわらず、n-6DPAを含有する任意の微細藻から得てよいが、食品として利用可能な微細藻から得ることが好ましい。
本発明の剤に含まれるn-6DPAは、任意の生物から得て、あるいは合成してもよいが、製造効率の観点では微細藻から得ることが好ましい。
ラビリンチュラ類は分類学的にはクロミスタ界、不等毛門、ラビリンチュラ鋼、ラビリンチュラ目に分類される。更に、ラビリンチュラ科に属するラビリンチュリッド(Labyrinthulids)とヤブレツボカビ科に属するスラウストキトリッド(Thraustochytrids)に大別される。スラウストキトリッドには細胞増殖性やPUFAs生産性の観点から応用面での検討例の多いシゾキトリウム属やオーランチオキトリウム属、オブロンギキトリウム属、スラウストキトリウム属、パリエティキトリウム属、ウルケニア属、及びボトリオキトリウム属等があるが、本発明に於いては特に限定されない。
微細藻の藻体は、市販品、OEM製造又は自製品を用いることができる。市販品としてはクロレラ、スピルリナ及びユーグレナの乾燥藻体、シゾキトリウムやオーランチオキトリウムの乾燥藻体が例示される。OEM製造や自製の場合は、特に限定されないが、食品グレードの培養基剤を用いて最適化された条件下での培養により得られた藻体を用いることができる。
次に、本発明の剤に含まれる微細藻、脂肪酸組成物、n-6DPAの製造方法について、微細藻の培養、藻体の回収、乾燥及び粉末化を中心に述べる。微細藻の培養に於いて用いる固体培地及び液体培地は、天然又は人工海水、炭素源、窒素源及び無機塩等を含む公知の培地基材等、いずれも使用することができる。例えば、炭素源としてはグルコース、フルクトース、ガラクトースなどの炭水化物の他、オレイン酸、大豆油などの油脂類や、グリセロール、酢酸、酢酸ナトリウムなどが例示できるが、これらに限定されない。炭素源は、例えば、培地1Lあたり20~300gの濃度で使用することができる。特に好ましい態様によれば、初発の炭素源を消費しつくしたのちに、炭素源をフィードすることにより引き続き培養を行うことができる。このような条件で培養を行うことにより、消費させる炭素源の量を増大させることが可能になり、微細藻から得られる脂肪酸組成物の生産量を増大させることができる。また、窒素源としては、酵母エキス、コーンスティープリカー、ペプトン、ポリペプトン、グルタミン酸ナトリウム、尿素等の有機窒素、又は酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、アンモニア等の無機窒素を使用することができるが、これらに限定されない。無機塩としては、リン酸カリウム等を適宜組み合わせて使用できる。
前記の各培地基材を含有する培地は、適当な酸又は塩基によりpH4.0~9.5に調製後、オートクレーブにより殺菌して使用することが好ましい。培養時のpHは、一般的に3.5~10.0であり、好ましくはpH4.0~9.5である。液体培養は2~10日間、通気攪拌下で行うことができる。培養温度は一般的には10~45℃ 、好ましくは15~35℃ である。なお、培養温度は脂肪酸組成物を生産しうる培養温度に制御することが好ましい。液体培養のスケールは特に限定されないが、市販の閉鎖系培養設備を用いることができる。得られた培養液からの藻体の回収は、例えば、遠心分離法や濾過法などの公知の常法により行うことができる。
培養によって得られた藻体(湿藻体)は、凍結乾燥、空気乾燥、噴霧乾燥、トンネル乾燥、真空乾燥(凍結乾燥)又は類似の過程を含む限定されない方法によって乾燥できる。湿藻体又は湿藻体の回収後に水などで洗浄された菌体は、乾燥工程を経ずに直接用いてもよい。スラウストキトリウム・オーランチオキトリウム属の場合、凍結乾燥処理によって藻体が死滅するため、長期保存における雑菌繁殖のリスクを下げることができる。乾燥藻体の粉体化の方法は特に限定されず、装置としてバッチ式或いは連続式のブレンダー、ミキサー、ミル機、混錬機、粉砕機、解砕機、磨砕機等の機器類が挙げられる。
本発明では乾燥藻体における総脂肪酸中のn-6DPA含有率は、微細藻種及びその培養条件により1重量%以上に調製することが一般的であるが、好ましくは6重量%以上、更に好ましくは7重量%以上である。これにより、所要の血栓予防効果を奏するのに必要な藻体、脂肪酸組成物の含有量を抑えることができ、製造の面で効率的である。
n-6DPAの用量が過多であると血栓予防阻害の傾向がある一方、特に微細藻やそれから得られる脂肪酸組成物にはn-6DPA以外にも多様なPUFAsが含まれ、それらが血栓予防以外の種々有用な機能を持ち得る。このため、乾燥藻体における総脂肪酸中のn-6DPA含有率の上限は、特に限定されないものの、30重量%以下であってよく、好ましくは25重量%以下である。
n-6DPAを含有する脂肪酸組成物は前記藻体から公知の方法で調製することができる。すなわち、培養後の湿藻体或いは乾燥藻体をミルや超音波等による物理的破砕或いは溶剤による化学的溶解の後、クロロホルム、ヘキサン、メタノール、エタノール等を用いた溶媒抽出により、PUFAsを含有した脂肪酸組成物を得ることができる。更に、得られた脂肪酸組成物は任意の公知の技法によって組成物の要件に基づき化学的又は物理的に改変又は加工処理されてもよい。
n-6DPAは、例えば前記脂肪酸組成物又はn-6DPAを含有する他の脂肪酸組成物から公知の方法で調製することができる。すなわち、混合脂肪酸或いは脂肪酸エステルから、例えば、尿素付加法、冷却分離法、カラムクロマトグラフィー法等により分離精製することができる。また、当技術分野における他の方法により分離精製されてもよい。
微細藻から抽出された脂肪酸組成物、及びn-6DPAは、常法に従い、糖質、乳化剤、乳タンパク質、酸化防止剤などを混合することで乳化物を調製した後、噴霧式加熱乾燥法、噴霧式冷却法、粉砕式凍結乾燥法、粉砕式冷却固化法、コーティング式マイクロカプセル法、コーティング式散布混合法又は類似の過程を含むがこれらに限定されない方法によって、粉末油脂に加工されてもよい。
本発明の剤の経口投与における1日当りのn-6DPA相当量(/体重kg)は、過大になると血栓予防効果がむしろ低下するため、9mg以下であり、好ましくは7mg以下、好ましくは6mg以下、好ましくは5mg以下、好ましくは4mg以下、好ましくは3mg以下である。
1日当りのn-6DPA相当量(/体重kg)の下限は、所要の血栓予防効果とコスト等を勘案して適宜選択されてよく、特に限定されないが、例えば0.03mg以上であってよく、好ましくは0.10mg以上、好ましくは0.15mg以上、好ましくは1.00mg以上である。
本発明に於ける食品組成物は、上記本発明の剤を含有し、血栓予防に用いられる。具体的には、機能性食品(機能性表示食品や特定保健用食品を含む。食品添加剤も含む。)及び栄養補助食品であってよい。その性状は、固形、半液状又は液状であってもよい。
食品としては、油脂を含む食品、例えば、天然食品(肉、魚、ナッツ等)、調理時に油脂を加える食品(中華料理、ラーメン、スープ等)、熱媒体として油脂を用いた食品(天ぷら、フライ、油揚げ、チャーハン、ドーナッツ、かりん糖等)、油脂食品又は加工時に油脂を加えた加工食品(バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、チョコレート、即席ラーメン、キャラメル、ビスケット、クッキー、ケーキ、アイスクリーム等)、加工仕上げ時に油脂を噴霧又は塗布した食品(おかき、ハードビスケット、あんパン等)が挙げられる。また、油脂を含む食品に限定されず、例えば、農産食品(パン、めん類、ごはん、菓子類、豆腐及びその加工品等)、発酵食品(清酒、薬用酒、みりん、食酢、醤油、味噌等)、畜産食品(ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージ等)、水産食品(かまぼこ、揚げ天、はんぺん等)、飲料(果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、茶等)も挙げられるが、特に限定されない。
機能性食品及び栄養補助食品としては、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、ドリンク剤、自然流動食、半消化態栄養食、成分栄養食、経腸栄養剤等の形態を有する飲食品として製造することができる。その際、本発明の油脂とともに他の栄養成分或いは機能性成分を配合してもよい。また、医薬製剤の形態、例えば蛋白質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料等に本発明の藻体或いは脂肪酸組成物が配合された自然流動食、半消化態栄養食及び成分栄養食や、ドリンク剤、経腸栄養剤等の加工形態を挙げることができるが、前記の飲食品の形態であってもよい。
本発明に於ける餌飼料組成物は、上記本発明の剤を含有し、血栓予防に用いられる。具体的には、動物用飼料、採卵用家禽用飼料、微小餌料生物用餌料であってよい。血栓予防作用、すなわち血流促進効果による動物の健康維持、或いは鶏卵や魚介類・甲殻類を介したヒトの健康維持を期待することができる。
動物用飼料としては、愛玩動物用の飼料を含むペット用飼料、家畜用飼料、水産養殖用飼料、動物園動物用飼料、使役動物用飼料又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。また、藻体からn-6DPAを含有する油脂を抽出した後の抽出残渣も、動物飼料や前記食品組成物に使用することができる。この抽出残渣は、脂肪酸組成物の他に、蛋白質、灰分、炭水化物なども含んでいるため好ましい。
採卵用家禽用飼料は、採卵用家禽、特に鶏用の飼料として卵の生産、並びにn-6DPA含有卵黄油の生産に用いることができる。また、このような家禽卵、特に卵黄から常法に従って油脂を抽出することによって、n-6DPAを強化した卵黄油が得られる。この卵黄油は、本発明の剤に含まれ、又はその原料になり得る。
微小餌料生物用餌料は、魚貝類や甲殻類の養殖に必須とされるワムシやアルテミア等の微小餌料生物の培養に用いることができる。本発明の脂肪酸組成物を含有する藻体又は培養液を微小餌料生物に与えることにより、n-6DPAを含有する微小餌料生物が得られる。上記の微小餌料生物は、本発明の剤に含まれ、又はその原料になり得る。
本発明に於ける医薬品組成物は、上記本発明の剤を含有し、経口投与を通じた血栓予防に用いられる。n-6DPAの血栓予防作用、すなわち血流促進効果による健康維持が期待できる。
当該医薬品組成物は、公知の調剤技術により経口投与用に製剤化され得、固体状、液体状、半固体状等の任意の形態であってよい。医薬品組成物中のn-6DPA又はそれらの混合物は、遊離の形であっても、また薬剤として許容されうる塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、又は他のアルカリ金属塩、亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のような他の金属塩の形態や、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、低級アルコールのエステル、リン脂質、糖脂質、アミド等の種々の形態であってもよい。ここで低級アルコールとは炭素数6以下の一価アルコールを指し、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等を例示することができる。
本発明は、本発明の剤を生体(ヒト及びヒト以外の哺乳類等)に経口投与する工程を含む、血栓が形成される可能性がある対象の処置方法を包含する。
本発明の処置方法によれば、投与対象における血栓形成の可能性を低減することができる。
経口投与量は、投与対象の状態(年齢、体重、症状等)等に応じて適宜調整できるが、上述のとおり、n-6DPAの用量が高すぎると、かえって血栓予防効果が低下するため、1日当りのn-6DPA相当量(/体重kg)が9mg以下となるように調整する。
以下、本発明について実施例により詳説する。だだし、実施例はあくまで一例であり、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、以下に於いて、特に断らない限り、%は重量%を示す。
参考例:ラットPIT血栓モデルを用いたPUFAs・静脈投与の評価試験
(1)投与サンプルの調製
n-6DPA(all-cis-4,7,10,13,16-docosapentaenoic acid;Cayman Chemical社製)、n-3DPA(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z-docosapentaenoic acid;Cayman Chemical社製)、EPA(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z-eicosapentaenoic acid;Cayman Chemical社製)は投与当日に使用量を分注し、窒素ガス吹き付けによりエタノールを留去した。
その後、DMSOを用いて、0.0025、0.025、0.25、2.5mg/mLのn-6DPA溶液と、0.25、2.5、25mg/mLのn-3DPA溶液及びEPA溶液を調製し、投与サンプルとした。
(2)サンプル投与とラットPIT血栓モデルによる評価
公知の常法(薬学雑誌、日本薬学会、2012、132巻、9号、p.1019-1024)に従い、PIT動物モデル(PIT;Photochemically induced thrombosis)によるPUFAsの血栓予防の評価試験を行った。試験動物としてはハンドリングの観点からWistarラット(9週齢の雄、9匹/群)を使用し、前記n-6DPA溶液、n-3DPA溶液、EPA溶液、及びDMSO(対照:比較例)を静脈投与した。ラット体重(kg)当たりの各サンプルの投与量を以下に示す。
n-6DPA:0.01mg、0.1mg、1mg、3mg、5mg、7mg、9mg、10mg
n-3DPA及びEPA:1mg、10mg、100mg
各サンプルを静脈投与後、ラットを麻酔し、右大腿動脈の鼠径動脈分岐部分を中心に緑色光のプローブとペン型血流計を設置した。生理食塩液((株)大塚製薬工場製)を用いて調製したローズベンガル(10mg/mL、富士フィルム和光純薬(株)製)1mL(/ラットkg)を尾静脈から投与し、同時に緑色光を照射することで血栓形成を誘導した。血管閉塞が1分間持続するまでの平均時間(血管閉塞時間)を図1及び2に示す。
血液中に存在するn-6DPAは、n-3DPA及びEPAの100分の1の濃度で非常に高い血栓予防効果があることが確認された。また、10mg(/ラットkg)投与区の結果から、血液中のn-6DPA濃度が過多になると血栓予防の阻害傾向が意外にも認められた。この傾向は、n-3DPA及びEPAにはあてはまらず、n-6DPAに特有で予想外なものである。
実施例:ラットPIT血栓モデルを用いた乾燥藻体・経口投与の評価試験
(1)乾燥藻体の製造
オーランチオキトリウム属NBRC111922株(Aurantiochytrium sp.、製品評価技術基盤機構から分譲)から紫外線突然変異誘発により作出したSPA-214株を、90L培養装置を用いて液体培地(グリセロール4%、酵母エキス4%、人工海水0.9%)で4日間、培養した。培養液の遠心分離処理によって得られた湿藻体約3kgを真空凍結乾燥処理し、乾燥藻体約700gを調製した。
(2)脂質の抽出とPUFAs分析
常法(特開2020-54391号公報)に従って、湿菌体にクロロホルム・メタノール(体積比2:1)を加えて脂質を抽出、濃縮乾固後、n-ヘキサンで再抽出したサンプルをガスクロマトグラフィー(GC-FID)により分析した。これにより、脂肪酸は脂肪酸メチルエステルとして抽出され、全脂肪酸メチルエステルに対する各脂肪酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を求めた。乾燥藻体に含まれる各PUFAsの比率を以下に示す。
DHA:11.6%、n-6DPA:2.9%、n-3DPA:0.1%、EPA:0.1%
(3)投与サンプルの調製及び投与とラットPIT血栓モデルによる評価
乾燥藻体を注射用水((株)大塚製薬工場製)を用いて0.4、4、40mg/mLとなるよう懸濁した各投与サンプル及び注射用水(対照:比較例)を、Wistarラット(5週齢の雄、8匹/群)に経口ゾンデを用いて連続経口投与(28日間、1回/日)した。ラット体重(kg)当たりの乾燥藻体及びその乾燥藻体が含有するn-6DPAの1日の投与量を以下に示す。
乾燥藻体(n-6DPA):4mg(0.12mg)、40mg(1.2mg)、400mg(12mg)
連続経口投与後、前記と同様に血栓形成を誘導し、血管閉塞時間を測定した(図3)。
乾燥藻体の連続経口投与に於いて血栓予防効果が認められた。400mg(/ラットkg・day)投与区の結果から、経口投与する藻体の用量が過多になると血栓予防の阻害傾向が意外にも認められた。実施例で用いた乾燥藻体のPUFAs組成において、DHAは血栓予防能を有しないことが既知であり、n-3DPAとEPAは微量かつ血栓予防能がn-6DPAよりも低い(図1及び2)こと、また、図1の血中n-6DPAの量と血栓予防効果との関係性をあわせ考慮すると、経口投与における血栓予防効果及び用量過多による血栓予防阻害は、n-6DPAに起因することが明らかである。
なお、乾燥藻体の投与期間中、ラットの体重変化等の異常は確認されなかった。

Claims (6)

  1. n-6DPA(n-6ドコサペンタエン酸)を含有する微細藻、当該微細藻から得られかつn-6DPAを含有する脂肪酸組成物、又はn-6DPAの何れか一つからなり、n-6DPA相当量が9mg/kg・day以下になる有効量で経口投与されることを特徴とする血栓予防剤。
  2. 前記微細藻に含有され又は前記微細藻から得られる脂肪酸組成物の全量に対し、n-6DPAが7%以上含まれることを特徴とする請求項1記載の血栓予防剤。
  3. 前記有効量は、n-6DPA相当量が0.03mg/kg・day以上になる量であることを特徴とする請求項1記載の血栓予防剤。
  4. 微細藻がスラウストキトリッドであることを特徴とする請求項1記載の血栓予防剤。
  5. 請求項1~4のいずれか1項記載の血栓予防剤を含有する、血栓予防用の食品組成物又は餌飼料組成物。
  6. 請求項1~4のいずれか1項記載の血栓予防剤を含有する、血栓予防用の医薬品組成物。

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