JP2023108703A - レーザ・アークハイブリッド溶接装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、レーザおよびアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置に関する。
特開2021-49562号公報(特許文献1)では、レーザをパルス状に照射するパルスレーザが用いられる。特許文献1では、レーザをパルス照射することにより、連続照射に比べて、パルス照射時の出力を高めることで溶け込み深さを確保しつつ、平均出力を抑えることで母材(被溶接材)への入熱量を低減することができる。母材への入熱量を抑えることで、例えば、異材接合(GI鋼板やGA鋼板等の亜鉛メッキ鋼板とアルミニウム合金板との接合等)の溶接において、溶接に伴ない接合界面に生成される金属間化合物(IMC(Intermetallic Compound))の生成量を抑制することができる。
特許文献1では、レーザが照射される照射領域の形状およびエネルギー密度分布は、回折光学素子(以下「DOE(Diffractive Optical Element)」と称する。)により調整されている。特許文献1では、DOEを用いたレーザ照射により、入熱量を抑制しつつ溶接金属の接合幅を確保し、接合強度の高い溶接を行なっている。
ここで、板厚または継手形状の変更により必要な接合幅が変化した場合、新たにレーザ照射領域の形状の異なるDOEを作成して、作成したDOEを既存のDOEと交換する必要がある。
しかしながら、新たなDOEの作成および交換には、作成費用および工数が増加する等の問題がある。DOEの代わりにガルバノスキャナ等のスキャナを用いることも考えられるが、スキャナに用いる各数値の設定にはノウハウが必要であった。
本開示は、上記の問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、DOEを用いることなく適切な溶接金属の接合幅を確保し、接合強度の高い溶接を行なうことが可能なレーザ・アークハイブリッド溶接装置を提供することである。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置は、レーザおよびアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置に関する。レーザ・アークハイブリッド溶接装置は、被溶接材の接合部との間にアークを発生させるように構成されたアーク溶接装置と、アーク溶接装置による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光を照射しながら照射位置を走査するように構成されたレーザ照射装置と、レーザ照射装置の走査速度を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、ユーザが設定する第1設定値と、予め設定される第2設定値とに基づいて走査速度を決定する。
好ましくは、第1設定値は、アーク溶接装置の溶接速度と、被溶接材の接合幅と、を含む。第2設定値は、レーザ光のビーム径と、レーザ光のオーバーラップ率と、を含む。
好ましくは、走査速度をS(mm/s)、溶接速度をV(mm/s)、接合幅をW(mm)、ビーム径をD(mm)、オーバーラップ率をLとした場合、走査速度はS=2WV/{D(1-L)}で表される。
好ましくは、ビーム径は、0.1≦D≦0.5の範囲であり、オーバーラップ率は、0<L≦0.95の範囲である。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置によれば、板厚または継手形状の変更などの溶接条件が変更になった場合でも、新たなDOEを作成することなく適切な溶接金属の接合幅を確保し、接合強度の高い溶接を行なうことができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、実施の形態におけるレーザ・アークハイブリッド溶接装置のブロック図である。図1を参照して、レーザ・アークハイブリッド溶接装置1(以下、単に「ハイブリッド溶接装置1」と称する。)は、制御装置2と、アーク溶接装置3と、レーザ照射装置4と、表示装置5と、入力装置6とを備える。
制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入出力するための入出力ポートとを含んで構成される(いずれも図示せず)。
アーク溶接装置3は、アーク溶接を行なうための装置である。レーザ照射装置4は、連続的またはパルス状にレーザを発振して照射するための装置である。表示装置5は、制御装置2から出力される信号に基づいて各種情報を表示する液晶モニタ等の装置である。入力装置6は、ユーザによる各種パラメータ値の入力を受け付け、制御装置2へ信号を入力する。入力装置6は、例えば、キーボード等のユーザの操作を受付ける装置である。なお、表示装置5がユーザによる各種パラメータ値の入力を受け付けるタッチパネルの機能を有してもよい。
制御装置2のCPUは、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御装置2の処理手順が記されたプログラムである。制御装置2は、これらのプログラムに従って、各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
図2は、実施の形態におけるレーザ・アークハイブリッド溶接装置の全体構成を示す図である。図2を参照して、ハイブリッド溶接装置1は、アーク溶接装置3と、レーザ照射装置4とを備える。アーク溶接装置3は、溶接トーチ10と、溶接ワイヤ20と、溶接電源装置30とを含む。レーザ照射装置4は、レーザトーチ40と、レーザ発振装置60とを含む。
このハイブリッド溶接装置1は、各種部材の溶接に用いることができ、異材接合の溶接にも用いることができる。異材接合とは、互いに主成分が異なる異種材料の接合であり、このハイブリッド溶接装置1は、例えば、GI鋼板やGA鋼板等の亜鉛メッキ鋼板とアルミニウム合金板との異材接合の溶接に用いることができる。アルミニウム合金板には、軟質アルミニウムだけでなく、JIS規格の5000番台(例えば5052)、6000番台(例えば6063)、7000番台(例えば7075)等の硬質アルミニウムも適用可能である。ハイブリッド溶接装置1によって、互いに接合される母材70の一方と他方とが、例えば、重ね隅肉溶接継手や突合せ溶接継手等によって接合される。
溶接トーチ10、溶接ワイヤ20、および溶接電源装置30は、母材70の接合部との間にアークを発生させることで溶接を行なうアーク溶接装置3を構成する。溶接トーチ10は、母材70の接合部に向けて、溶接ワイヤ20および図示しないシールドガス(アルゴンガスや炭酸ガス等)を供給する。溶接トーチ10は、溶接電源装置30から溶接電流の供給を受け、溶接ワイヤ20の先端と母材70の接合部との間にアーク25を発生させる。また、図示しないワイヤ送給装置は、溶接ワイヤ20の送給制御を行なう。
なお、溶接ワイヤ20に代えて、溶接金属を形成するためのフィラー(溶加材)を添加しつつ非消耗材の電極(タングステン等)を用いてもよい。すなわち、溶接トーチ10によるアーク溶接は、溶接ワイヤを用いる溶極式(マグ溶接やミグ溶接等)であってもよいし、フィラーの添加を伴なう非溶極式(ティグ溶接等)であってもよい。
溶接電源装置30は、アーク溶接を行なうための溶接電圧および溶接電流を生成し、生成された溶接電圧および溶接電流を溶接トーチ10へ出力する。
レーザトーチ40およびレーザ発振装置60は、母材70の接合部に向けてレーザ光50を照射するレーザ照射装置4を構成する。レーザトーチ40は、レーザ発振装置60からレーザ光の供給を受け、母材70の接合部に向けてレーザ光50を照射する。レーザトーチ40からのレーザ光50は、溶接トーチ10から発生するアーク25の近傍、かつアーク25よりも溶接進行方向の前方に照射される。アーク25の前方にレーザを照射することで、レーザが照射される場所にアーク25を誘導することができ、アーク25を安定させることができる。
本実施の形態のハイブリッド溶接装置1では、レーザトーチ40およびレーザ発振装置60は、レーザ光50をパルス状に照射する。なお、ハイブリッド溶接装置1において連続照射が行なわれるようにしてもよい。
図3は、図2に示したレーザトーチ40の構成を概略的に示す図である。図3を参照して、レーザトーチ40は、Xスキャンミラー44Aと、Yスキャンミラー44Bと、光軸制御装置45と、レンズ42とを含む。
Xスキャンミラー44A、Yスキャンミラー44B、および光軸制御装置45は、被溶接材70上でレーザ光50を走査可能なレーザスキャン装置を構成する。Xスキャンミラー44AおよびYスキャンミラー44Bは、レーザ発振装置60から受けるレーザ光50を反射してレンズ42へ出力する。Xスキャンミラー44Aは、レンズ42を通じて照射されるレーザ光50の照射位置81をX方向に変更可能である。Yスキャンミラー44Bは、レンズ42を通じて照射されるレーザ光50の照射位置81をY方向に変更可能である。
光軸制御装置45は、Xスキャンミラー44AおよびYスキャンミラー44Bの角度を変更する駆動装置(図示せず)と、駆動装置を制御することによってレーザ光の照射位置81を調整する図1に示す制御装置2とを含む。駆動装置は、例えば、Xスキャンミラー44Aを回転駆動するX軸モータと、Yスキャンミラー44Bを回転駆動するY軸モータとによって構成される。このような構成により、被溶接材70上でレーザ光50を溶接速度V(mm/s)に対し走査速度S(mm/s)で走査することによって、被溶接材70上に、所定の幅を有する照射領域82を形成することができる。
レーザトーチ40およびレーザ発振装置60から成るレーザ照射装置4においては、アーク溶接装置3による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光50をパルス状に照射しながら照射位置を走査する。制御装置2は、レーザ照射装置4の走査速度Sを制御する。
走査速度Sの設定は、アーク溶接装置3の溶接速度、母材70の接合部における接合幅、レーザ光50のビーム径、レーザ光50のオーバーラップ率を考慮して設定する必要がある。オーバーラップ率とは、パルス照射されるn番目のレーザ光50の照射領域(以下「レーザ照射領域」と称する場合がある。)とn+1番目のレーザ照射領域とが重なり合う被り幅をレーザ光の溶接進行方向の照射幅で割った値である。このように、走査速度Sの設定は、複数のパラメータの設定の必要がある。複数のパラメータの設定は、パラメータ設定時の作業者の負担を増加させてしまう。
複数のパラメータの設定の代わりにDOEを用いることも考えられる。しかしながら、DOEにより所望のレーザ光50が得られない場合に、新たにDOEを作成して、作成したDOEを既存のDOEと交換しなければならない。新たなDOEの作成および交換には、作成費用および工数が増加する等の問題がある。そこで、DOEを用いることなく、パラメータ設定時の作業者の負担を軽減することが望ましい。以下に、本実施の形態における走査速度の設定について具体的に説明する。
図4は、レーザトーチ40から出力されるレーザ光50のオーバーラップ率の一例を説明する図である。本実施の形態において、レーザ光50は、図4に示すように端部が点aから点bに向けてパルス状に照射される期間と、端部が点bから点cに位置を戻して照射されない期間と、端部が点cから点dに向けてパルス状に照射される期間とがある。制御装置2は、レーザ照射装置4を制御して、パルス状の照射を繰り返す。
レーザ光の走査速度をS(mm/s)、溶接速度をV(mm/s)、接合幅をW(mm)、ビーム径をD(mm)、オーバーラップ率をL、レーザ光の周波数をf(Hz)とする。走査速度Sは、レーザ光の照射期間と非照射期間とを合計した期間の平均速度である。なお、走査速度は、レーザ光の照射期間と非照射期間とで異なるようにしてもよいし、同じであってもよい。また、走査速度S、溶接速度Vの単位は、(mm/s)ではなく(m/min)であってもよい。
1周期は、1/f=2W/Sで表わされる。1周期で溶接進行方向に進む距離は、V/f=2WV/Sで表わされる。オーバーラップ率Lは、n番目とn+1番目のレーザ照射領域の被り幅/レーザの進行方向の照射幅で表わされるため、以下の式(1)となる。
L={D-(v/f)}/D={D-(2WV/S)}/D=1-{(2WV/SD)} …(1)
式(1)を整理すると、以下の式(2)となる。
式(1)を整理すると、以下の式(2)となる。
S=2WV/{D(1-L)} …(2)
ここで、ユーザが設定するアーク溶接装置3の溶接速度Vと、母材70の接合幅Wとは、ユーザが設定する第1設定値である。それに対し、レーザ光50のビーム径Dと、レーザ光50のオーバーラップ率Lとは、予め設定される第2設定値である。ビーム径Dは、レーザ照射装置4の機器の種類により予め一定値を設定する。オーバーラップ率Lは、材質、継手、板厚等により予め一定値を設定する。例えば、ビーム径Dは、0.1≦D≦0.5の範囲が好ましい。オーバーラップ率Lは、0<L≦0.95の範囲が好ましい。
ここで、ユーザが設定するアーク溶接装置3の溶接速度Vと、母材70の接合幅Wとは、ユーザが設定する第1設定値である。それに対し、レーザ光50のビーム径Dと、レーザ光50のオーバーラップ率Lとは、予め設定される第2設定値である。ビーム径Dは、レーザ照射装置4の機器の種類により予め一定値を設定する。オーバーラップ率Lは、材質、継手、板厚等により予め一定値を設定する。例えば、ビーム径Dは、0.1≦D≦0.5の範囲が好ましい。オーバーラップ率Lは、0<L≦0.95の範囲が好ましい。
したがって、ユーザは、上記式(2)において、溶接速度Vと接合幅Wとを入力するのみで走査速度Sを導き出すことができる。なお、必要な接合幅W(mm)は、3≦W≦10の範囲が好ましい。
次に、制御装置2が実行するレーザ照射装置4の走査速度Sを制御する走査速度処理について説明する。図5は、走査速度処理を示すフローチャートである。図5のフローチャートの処理は、溶接制御のメインルーチンから、サブルーチンとして繰返し呼び出されて実行される。走査速度処理は、各種処理を実行する制御装置2のCPUが実行する処理である。以下では、CPUが実行するフローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
CPUは、S1においてレーザ光50のビーム径Dおよびオーバーラップ率Lを設定する。ビーム径Dおよびオーバーラップ率Lは、予め一定値に設定されているデータである。次いで、CPUは、S2においてアーク溶接装置3の溶接速度Vおよび被溶接部材である母材70の接合幅Wのデータを取得したか否かを判定する。溶接速度Vおよび接合幅Wのデータは、ユーザが入力装置6を介して数値を入力することにより、制御装置2に送信される。
CPUは、溶接速度Vおよび接合幅Wのデータを取得していないと判定した場合(S2でNO)、ユーザから溶接速度Vおよび接合幅Wのデータが送信されるまでS2の処理を繰り返す。CPUは、溶接速度Vおよび接合幅Wのデータを取得していないと判定した場合(S2でNO)、ユーザから溶接速度Vおよび接合幅Wのデータが送信されるまでS2の処理を繰り返す。CPUは、溶接速度Vおよび接合幅Wのデータを取得していると判定した場合(S2でYES)、S3の処理へ移行する。
CPUは、S3の処理において走査速度を求める関係式であるS=2WV/{D(1-L)}に、各設定値を入力する。これにより、CPUは、レーザ照射装置4の走査速度Sを決定する。次いで、CPUは、決定された走査速度Sによりレーザ照射装置4を制御し(S4)、メインルーチンに処理を戻す。なお、予め式で算出された結果をマップとして記憶しておいて、マップを参照して溶接速度Vと接合幅Wから走査速度Sを求めてもよい。
このように、制御装置2は、ユーザから入力される溶接速度Vと接合幅Wとのデータのみに基づいて走査速度Sを導き出すことができる。したがって、ハイブリッド溶接装置1は、設定される走査速度Sにより板厚または継手形状の変更などの溶接条件が変更になった場合でも、新たなDOEを用いることなく適切な溶接金属の接合幅を確保し、接合強度の高い溶接を行なうことができる。
<各種溶接の結果>
次に実際の各種溶接の結果について説明する。なお、以下で示すtは、板厚(thickness)の略記号である。下板鋼t1.6(mm)、上板アルミt3.0(mm)の重ね隅肉継手の溶接において、ビーム径Dが0.4(mm)のレーザ溶接装置を用い、溶接速度Vを1.5(m/min)、接合幅Wを7(mm)、オーバーラップ率Lを0.7とした結果、式(2)より走査速度Sは、175(m/min)となった。この条件で溶接を行なったところ、接合幅Wが約7(mm)でかつビード全域で接合する良好な溶接結果が得られた。また、溶接速度Vを0.6(m/min)とした結果、式(2)より走査速度Sは、70(m/min)となった。この条件で溶接を行なったところ、溶接速度1.5(m/min)と同様、接合幅Wが約7(mm)でかつビード全域で接合する、良好な溶接結果が得られた。
次に実際の各種溶接の結果について説明する。なお、以下で示すtは、板厚(thickness)の略記号である。下板鋼t1.6(mm)、上板アルミt3.0(mm)の重ね隅肉継手の溶接において、ビーム径Dが0.4(mm)のレーザ溶接装置を用い、溶接速度Vを1.5(m/min)、接合幅Wを7(mm)、オーバーラップ率Lを0.7とした結果、式(2)より走査速度Sは、175(m/min)となった。この条件で溶接を行なったところ、接合幅Wが約7(mm)でかつビード全域で接合する良好な溶接結果が得られた。また、溶接速度Vを0.6(m/min)とした結果、式(2)より走査速度Sは、70(m/min)となった。この条件で溶接を行なったところ、溶接速度1.5(m/min)と同様、接合幅Wが約7(mm)でかつビード全域で接合する、良好な溶接結果が得られた。
下板鋼t1.2(mm)、上板アルミt2.0(mm)の重ね隅肉継手の溶接において、ビーム径Dが0.2(mm)のレーザ溶接装置を用い、溶接速度Vを1.2(m/min)、接合幅Wを5(mm)、オーバーラップ率Lを0.6とした結果、式(2)より走査速度Sは、150(m/min)となった。この条件で溶接を行なったところ、接合幅Wが約5(mm)でかつビード全域で接合する良好な溶接結果が得られた。また、溶接速度Vを1.0(m/min)とした結果、式(2)より走査速度Sは、125(m/min)となった。この条件で溶接を行なったところ、溶接速度1.2(m/min)と同様、接合幅Wが約5(mm)でかつビード全域で接合する、良好な溶接結果が得られた。
<まとめ>
本開示は、レーザおよびアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置1に関する。レーザ・アークハイブリッド溶接装置1は、母材70の接合部との間にアーク25を発生させるように構成されたアーク溶接装置3と、アーク溶接装置3による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光50を照射しながら照射位置を走査するように構成されたレーザ照射装置4と、レーザ照射装置4の走査速度Sを制御する制御装置2と、を備える。制御装置2は、ユーザが設定する第1設定値と、予め設定される第2設定値とに基づいて走査速度Sを決定する。
本開示は、レーザおよびアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置1に関する。レーザ・アークハイブリッド溶接装置1は、母材70の接合部との間にアーク25を発生させるように構成されたアーク溶接装置3と、アーク溶接装置3による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光50を照射しながら照射位置を走査するように構成されたレーザ照射装置4と、レーザ照射装置4の走査速度Sを制御する制御装置2と、を備える。制御装置2は、ユーザが設定する第1設定値と、予め設定される第2設定値とに基づいて走査速度Sを決定する。
好ましくは、第1設定値は、アーク溶接装置3の溶接速度Vと、母材70の接合幅Wと、を含む。第2設定値は、レーザ光50のビーム径Dと、レーザ光Dのオーバーラップ率Lと、を含む。
好ましくは、走査速度をS(mm/s)、溶接速度をV(mm/s)、接合幅をW(mm)、ビーム径をD(mm)、オーバーラップ率をLとした場合、走査速度はS=2WV/{D(1-L)}で表される。
好ましくは、ビーム径Dは、0.1≦D≦0.5の範囲であり、オーバーラップ率Lは、0<L≦0.95の範囲である。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置1は、上記構成を備えることにより、板厚または継手形状の変更などの溶接条件が変更になった場合でも、DOEを用いることなく適切な溶接金属の接合幅を確保し、接合強度の高い溶接を行なうことができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 レーザ・アークハイブリッド溶接装置、2 制御装置、3 アーク溶接装置、4 レーザ照射装置、5 表示装置、6 入力装置、10 溶接トーチ、20 溶接ワイヤ、25 アーク、30 溶接電源装置、40 レーザトーチ、41 DOE、42 レンズ、50 レーザ光、60 レーザ発振装置、70 母材、80 照射領域、D ビーム径、L オーバーラップ率、S 走査速度、V 溶接速度、W 接合幅。
Claims (4)
- レーザおよびアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置であって、
被溶接材の接合部との間にアークを発生させるように構成されたアーク溶接装置と、
前記アーク溶接装置による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光を照射しながら照射位置を走査するように構成されたレーザ照射装置と、
前記レーザ照射装置の走査速度を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、ユーザが設定する第1設定値と、予め設定される第2設定値とに基づいて前記走査速度を決定する、レーザ・アークハイブリッド溶接装置。 - 前記第1設定値は、前記アーク溶接装置の溶接速度と、前記被溶接材の接合幅と、を含み、
前記第2設定値は、前記レーザ光のビーム径と、前記レーザ光のオーバーラップ率と、を含む、請求項1に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接装置。 - 前記走査速度をS(mm/s)、前記溶接速度をV(mm/s)、前記接合幅をW(mm)、前記ビーム径をD(mm)、前記オーバーラップ率をLとした場合、前記走査速度はS=2WV/{D(1-L)}で表される、請求項2に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
- 前記ビーム径は、0.1≦D≦0.5の範囲であり、前記オーバーラップ率は、0<L≦0.95の範囲である、請求項3に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
Priority Applications (1)
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JP2022009889A JP2023108703A (ja) | 2022-01-26 | 2022-01-26 | レーザ・アークハイブリッド溶接装置 |
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2022
- 2022-01-26 JP JP2022009889A patent/JP2023108703A/ja active Pending
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