JP2023108237A - 再生ポリアミド6樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

再生ポリアミド6樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアミド6を含有する成形体のリサイクルにおいて、再生率の高いポリアミド樹脂の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、少なくとも以下の工程をその順に含むポリアミド樹脂の製造方法である。解重合工程:ポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を、280℃以上350℃以下に加熱された水と飽和蒸気圧以上の圧力で接触させて、カプロラクタム、オリゴマー(B)、および水を含有する解重合液(C)を得る工程。重合工程:前記解重合液(C)の全量又は一部を原料(重合原料)として重合せしめ、ポリアミド樹脂を得る工程。【選択図】なし

Description

本発明は、化石資源の循環利用および地球温暖化ガス排出量低減を目的とした再生ポリアミド6樹脂組成物の製造方法であって、より詳しくは、ポリアミド6樹脂含有樹脂成形体を解重合して得たカプロラクタムとオリゴマーを含む解重合液を重合原料として用いて、高い再生率で再生ポリアミド樹脂を得るリサイクル方法に関するものである。
近年、海洋プラスチック問題をトリガーに地球環境問題に対する関心が高まり、持続可能な社会の構築が必要であるとの認識が広まってきている。地球環境問題には、地球温暖化をはじめ、資源枯渇、水不足などがあるが、その多くは産業革命以降の急速な人間活動により、資源消費量と地球温暖化ガス排出量の増大が原因にある。そのため、持続可能な社会構築のためには、プラスチックなどの化石資源循環利用、および地球温暖化ガス排出量低減に関する技術がますます重要となる。
繊維、フィルム、エンジニアリングプラスチックとして各分野で多量に使用されているポリアミド6の再資源化方法としては、リン酸触媒の存在下、過熱水蒸気を吹き込むことで原料であるε-カプロラクタムを得る方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。
また、酸や塩基などの触媒を用いずにポリアミド6の解重合を行う方法として、ポリアミド6と加熱水を280℃から320℃の温度で接触させてラクタムを回収する方法が開示されている(例えば特許文献2、3参照)。
特開平8-217746号公報 特開平10-510280号公報 特開平10-510282号公報
特許文献1に開示されたε-カプロラクタムの回収方法は、ポリアミド6の解重合収率が80%以上と高収率な反応ではあるものの、解重合の際に触媒を用いること、反応後に精留を行うことから、解重合反応生成物に含有されるオリゴマー成分をポリアミド6再資源化に利用することが困難である。
一方、特許文献2、3に開示されたε-カプロラクタムの回収方法は解重合反応に用いているのは水のみで、上記リン酸のような触媒を用いていないため、添加剤や付着不純物などによる反応失活は起こらない利点がある。しかしながら、開示されているε-カプロラクタムの回収方法は、解重合反応に際して水をポリアミド6に対して約10倍量と多量に用いることから、低濃度のε-カプロラクタム水溶液からε―カプロラクタムを回収する際に多量のエネルギーを要する。
本発明者らは、再生ポリアミド6製造方法において化石資源の循環利用および地球温暖化ガス低減の両立を達成すべく検討を重ねた結果、ポリアミド6を含有する樹脂成形体を特定の条件で水と接触させて得た、カプロラクタム、オリゴマー、水を含有する解重合液を再生ポリアミド製造のための原料として用いることにより、上記した課題を解決できることを見出し、本発明に達した。すなわち本発明は以下の構成を有する。
(1)以下の工程をその順に含むポリアミド樹脂の製造方法。
解重合工程:ポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を、280℃以上350℃以下に加熱された水と飽和蒸気圧以上の圧力で接触させて、カプロラクタム、オリゴマー(B)、および水を含有する解重合液(C)を得る工程。
重合工程:前記解重合液(C)の全量又は一部を原料(重合原料)として重合せしめ、ポリアミド樹脂を得る工程。
(2)前記重合工程において、前記重合原料が260℃以上350℃以下に加熱されることを特徴とする(1)項に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(3)前記解重合液(C)における前記オリゴマー(B)成分の含有量が、前記カプロラクタムと前記オリゴマー(B)の合計100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である、(1)項または(2)項に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(4)ポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)が廃棄物である、(1)~(3)項のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(5)(1)~(4)項のいずれかに記載の方法で得られるポリアミド樹脂、およびその成形品。
本発明は、解重合工程でポリアミド樹脂成形体を水と接触させて得た、カプロラクタム、オリゴマー、水を含有する解重合液を重合工程における重合原料として用いることで、解重合液を精製して得た純度の高いカプロラクタムを重合原料に用いる場合よりも多量の再生ポリアミド6を得る製造方法を提供できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)ポリアミド6を含有する樹脂成形体
本発明は少なくとも、以下の工程をその順に含むポリアミド樹脂の製造方法である。
解重合工程:ポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を、280℃以上350℃以下に加熱された水と飽和蒸気圧以上の圧力で接触させて、カプロラクタム、オリゴマー(B)、および水を含有する解重合液(C)を得る工程。
重合工程:前記解重合液(C)の全量又は一部を原料(重合原料)として重合せしめ、ポリアミド樹脂を得る工程。
本発明で用いられるポリアミド6とは、6-アミノカプロン酸および/またはε-カプロラクタムを主たる原料とするポリアミド樹脂である。本発明の目的を損なわない範囲で、他の単量体が共重合されたものでもよい。ここで、「主たる原料とする」とは、ポリアミド樹脂を構成する単量体単位の合計100モル%中、6-アミノカプロン酸由来の単位またはε-カプロラクタム由来の単位を合計50モル%以上含むことを意味する。
本発明のポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)には繊維状充填材を含んでいても良い。ここでの繊維状充填材は、繊維状の形状を有するいずれの充填材でもよい。
本発明のポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに繊維状充填材以外の充填剤、ポリアミド6以外の熱可塑性樹脂、各種添加剤などを配合することができる。繊維状充填材以外の充填剤としては、有機充填剤、無機充填剤のいずれでもよいし、例えば非繊維状充填材が挙げられ、これらを2種以上配合しても良い。
本発明のポリアミド6を含む樹脂成形体(A)は、少なくともポリアミド6を含有する樹脂成形体の廃棄物であっても良い。ポリアミド6を含有する樹脂成形体の廃棄物としては、ポリアミド6製品、ポリアミド6製品製造過程で発生する産業廃棄物、あるいはポリアミド6製品使用済み廃棄物などを含む。さらに、ポリアミド6製品の生産工程で発生する製品屑、ペレット屑、塊状屑、切削加工時の切り屑なども廃棄物の対象となる。
(2)解重合工程
本発明における解重合工程は、少なくともポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を、280℃以上350℃以下に加熱された水と飽和蒸気圧以上の圧力で接触させて、カプロラクタム、オリゴマー(B)、および水を含有する解重合液(C)を得ることを特徴とする。
本発明における解重合工程においては、280℃以上350℃以下に加熱された水によりポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)の加水分解を行う。水は圧力22.1MPa、温度374.2℃まで上げると液体でも気体でもない状態を示す。この点を水の臨界点と言い、臨界点よりも低い温度および圧力の熱水を亜臨界水と言う。この亜臨界水は水であるにも関わらず、(i)誘電率が低い、(ii)イオン積が高いといった特徴があり、この亜臨界水の誘電率、イオン積は温度や水の分圧に依存し、制御することが可能である。誘電率が低くなることにより、水でありながらも有機化合物の優れた溶媒となり、イオン積が高くなることにより水素イオンおよび水酸化物イオン濃度が高くなることから優れた加水分解作用を有する。
また、本発明における解重合工程においては、より好ましい反応場を提供するために水は液体状態であることが好ましく、飽和蒸気圧以上の圧力でポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を水と接触させる。また、水の圧力の上限としては特に制限はないが、20MPa以下であることが例示できる。このような圧力範囲にあることにより、上記した水のイオン積が高くなる傾向にあるため好ましい。
(3)重合工程
本発明における重合工程は、少なくともポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を、280℃以上350℃以下に加熱された水と飽和蒸気圧以上の圧力で接触させて得た、カプロラクタム、オリゴマー(B)、および水を含有する解重合液(C)の全量又は一部を、重合原料として重合せしめることを特徴とする。
本発明における重合工程は、前記解重合工程で製造した解重合液(C)を重合原料として重合せしめる。ここで、解重合液(C)は、前記解重合工程によって製造されたカプロラクタム、オリゴマー(B)、および水を含有する混合液である。解重合液(C)は全量を重合原料として用いても良いし、一部を重合原料としてもよい。解重合液(C)の一部を重合原料として用いる方法は、解重合液中に含有されるカプロラクタムおよびオリゴマー(B)が、解重合工程によってポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)より製造されたものである限り特に限定されず、固液分離、濃縮、希釈などの処理を施したものであってもよい。重合工程で好ましく用いられる解重合液(C)の全量又は一部は、均一溶液であってよく、スラリーやペーストのような液体成分と固体成分が混合したものであってもよいが、送液性の観点から、均一溶液またはスラリーであることが好ましい。
ここでのオリゴマー(B)は、少なくともポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を前記解重合工程において処理することで得られた、6-アミノカプロン酸および/またはε-カプロラクタムを主たる構成成分とするポリアミド6オリゴマーである。オリゴマー(B)には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の単量体を含んでいても良い。ここでの「主たる構成要素とする」とは、ポリアミド6オリゴマーを構成する単量体単位の合計100モル%中、6-アミノカプロン酸由来の単位またはε-カプロラクタム由来の単位を合計50モル%以上含むことを意味する。6-アミノカプロン酸由来の単位またはε-カプロラクタム由来の単位を70モル%以上含むことがより好ましく、90モル%以上含むことがさらに好ましい。含むことができるポリアミド6オリゴマーの構造は、6-アミノカプロン酸および/またはε-カプロラクタムを主たる構成成分とするかぎり特に限定されないが、好ましい構造として、線状オリゴマーおよび/または環状オリゴマーが例示できる。
再生ポリアミドの製造方法において、カプロラクタムを回収して再生ポリアミド製造に用いる方法では、解重合液中に含有されたオリゴマーは残渣として廃棄物となるため、再生率の上限はカプロラクタムの収率に制限される。ここで、再生率は、再生ポリアミドの重量を、原料に要したポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)の重量で除した値のことをいう。本発明における重合工程によれば、カプロラクタムとオリゴマーを両方含む解重合液を重合原料に用いて再生ポリアミドを製造することで、再生ポリアミドの収率が解重合工程におけるカプロラクタムの収率を上回ることが可能になる。
本発明で原料の一部または全部として使用するオリゴマー(B)の割合は、解重合液に含まれるカプロラクタムとオリゴマー(B)の合計を100質量部としたときに1~50質量部であり、さらに好ましくは1~30質量部である。オリゴマー(B)を1質量部以上含むことで、廃棄されるオリゴマー(B)量の削減が可能になり、再生率を高めることができる。また、オリゴマー(B)を50質量部以下とすることで、相対的に解重合液中のカプロラクタムの割合を高めることができ、オリゴマーの解重合液への溶解性を良好にできるため、重合反応の均一な進行に有利である。
本発明におけるポリアミド6の重合工程では、重合原料を水の存在下に加熱溶融重合する通常公知の方法によってポリアミド6を製造することができる。
本発明のポリアミド樹脂製造方法において、重合温度の最高値は得られる重合原料に含まれるカプロラクタム、オリゴマー(B)およびポリアミド重合生成物を溶融混合可能となる温度条件とすることが好ましく、260℃以上が好ましい。カプロラクタム、オリゴマー(B)、ポリアミド6のうち、最も融点が高い化合物群は環状構造を有するオリゴマーである。重合温度の最高値を260℃以上とすることで、3量体以上の環状オリゴマーを溶融でき、環状2量体オリゴマーを溶媒存在下で安定な結晶構造(β晶)から溶媒存在下で不安定な結晶構造(α晶)に変化させることができる。また、重合温度の最高値は350℃以下であることが好ましい。350℃を超える温度ではオリゴマーおよび解重合生成物分解速度が加速し、好ましくない分解反応などが起きることがある。なお、融点は各成分を溶融した後急冷したサンプルを用いて示差走査型熱量計(DSC)で昇温速度20℃/分で測定した結晶融解に基づく吸熱ピークのピークトップ温度として定義される。
本発明記載の製造方法で得られた再生ポリアミド6樹脂は、必要に応じて繊維状充填材剤や各種添加剤と溶融混練することによりポリアミド6樹脂組成物を製造し、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、溶融紡糸、フィルム成形などの通常公知の溶融成形方法により、所望の形状に成形することができる。再生ポリアミド6樹脂およびこれを用いたポリアミド6樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、電機・電子機器部品、自動車部品、機械部品などの樹脂成形品、衣料・産業資材などの繊維、包装・磁気記録などのフィルムとして使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。各実施例および比較例における特性評価は下記の方法にしたがって行った。
[ε-カプロラクタムの収率(HPLC)]
各実施例により得られた解重合液0.1gを、脱イオン水10gで希釈し、濾過により脱イオン水に不溶な成分を分離除去した。得られた溶液を用いて、高速液体クロマトグラフィー測定によりε-カプロラクタム収率を算出した。測定条件を下記する。
装置 :島津株式会社製 LC-10Avpシリーズ
カラム :Mightysil RP-18GP150-4.6
検出器 :フォトダイオードアレイ検出器(UV=205nm)
流速 :1mL/min
カラム温度 :40℃
移動相 :0.1%酢酸水溶液/アセトニトリル
ε-カプロラクタムの定量 :絶対検量線法によりポリアミド6に対するε-カプロラクタム量を定量した。
[分子量]
各実施例および比較例により得られたポリアミド樹脂2.5mgを、ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N-トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)4mlに溶解し、得られた溶液を0.45μmのフィルターでろ過した。得られた溶液を用いて、GPC測定により数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定した。測定条件を以下に示す。
ポンプ:e-Alliance GPC system(Waters製)
検出器:示差屈折率計 Waters 2414(Waters製)
カラム:Shodex HFIP-806M(2本)+HFIP-LG
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N-トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:1ml/min
試料注入量:0.1ml
温度:30℃
分子量基準物質:ポリメチルメタクリレート。
[熱特性]
TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC Q20)を用いて、各実施例および比較例により得られたポリアミド樹脂5~7mgを秤量し、窒素雰囲気下、20℃から昇温速度20℃/minで250℃まで昇温した。昇温したときに現れる吸熱ピークの頂点をTm(融点)とした。
[原料]
実施例および比較例において、原料は以下に示すものを用いた。
・ポリアミド6樹脂成形体(東レ株式会社製“アミラン”(登録商標)CM1017)、ηr=2.70、融点225℃。
・ε-カプロラクタム:和光純薬工業(株)製 和光特級。
[実施例1]
<解重合工程>
撹拌機を具備したSUS316L製オートクレーブに、ポリアミド6樹脂成形体20.0g、脱イオン水60.0gを仕込んだ。反応容器の窒素置換を行い、窒素加圧0.5MPa下に密閉した後、200rpmで撹拌しながら320℃、11MPaで15分間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物をスラリーとして回収した。回収した反応混合物の高速液体クロマトグラフィー測定により算出したε-カプロラクタム収率は75%であった。
<重合工程>
試験管に解重合工程に記載の方法で得た解重合液5.0gを量り取り、そのまま重合原料として使用した。重合原料中に含まれるカプロラクタムとオリゴマーの合計100質量部のうち、カプロラクタムは75質量部、オリゴマーは25質量部であった。試験管をオートクレーブ内に仕込み密閉し、オートクレーブ内を窒素置換した後、オートクレーブ外側にあるヒーターの設定温度を350℃とし、加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0でに保持し、缶内温度が220℃になるまで昇温した。缶内温度が220℃に到達した後、ヒーターの設定温度を250℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:245℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)180分間保持して粗生成物を得た(最高到達温度:260℃)。
続いて、得られた粗生成物を凍結粉砕し粉末とした。メタノールでソックスレー抽出を行い、未反応の重合原料(カプロラクタムおよびオリゴマー)を除去した。抽出残分を60℃、12時間真空乾燥し、回収した。このようにして得られた再生ポリアミド樹脂の抽出残分は用いたカプロラクタムとオリゴマーの合計量に対して83質量%、重量平均分子量は2.57万、融点(Tm)は217℃であった。
[実施例2]
実施例1の重合工程において、重合原料を解重合工程で製造した解重合液を濾過して得た均一溶液に変更した以外は実施例1の重合工程と同様にした。重合原料中に含まれるカプロラクタムとオリゴマーの合計100質量部のうち、カプロラクタムは83質量部、オリゴマーは17質量部であった。得られた再生ポリアミド樹脂の抽出残分は用いたカプロラクタムとオリゴマーの合計量に対して84質量%、重量平均分子量は2.54万、融点(Tm)は215℃であった。
[実施例3]
実施例1において、ヒーターの設定温度を280℃、窒素フロー時の保持時間を90分にした以外は実施例1と同様にした(常圧到達時の缶内温度:248℃、最高到達温度:253℃)。このようにして得られた再生ポリアミド樹脂の抽出残分は用いたカプロラクタムとオリゴマーの合計量に対して84質量%、重量平均分子量は1.89万、融点(Tm)は217℃であった。
[比較例1]
実施例1の重合工程において、重合原料をカプロラクタム25質量%水溶液5.0gに変更した以外は実施例1の重合工程と同様にした。得られたポリアミド樹脂の重量平均分子量は2.51万、融点(Tm)は216℃であった。
Figure 2023108237000001
実施例1~3において、重合原料に含まれる回収カプロラクタム量以上の再生ポリアミドを回収することができた。さらに、重合工程の最高温度が好ましい範囲である実施例1,2では、同条件で重合した比較例1に記載のε-カプロラクタムを用いた場合と比較して、重量平均分子量および融点が同程度の再生ポリアミド6を得られた。なお、重合工程の最高温度が好ましい範囲未満である実施例3では、重量平均分子量が実施例1、2および比較例1と比較してやや小さい再生ポリアミド6を得た。
これらの結果から、本発明のオリゴマーを含む解重合液を重合原料に用いる再生ポリアミドの製造方法によれば、重合原料に含まれるカプロラクタム量を超えて再生ポリアミド樹脂を得ることができ、ポリアミド樹脂の再生率を高めることができる。加えて、重合工程の最高温度を好ましい範囲とすることで、オリゴマーを含有する解重合液を原料に用いても純度が高いε-カプロラクタムを用いた場合と同程度の分子量を有する再生ポリアミドを得られるとわかる。

Claims (5)

  1. 以下の工程をその順に含むポリアミド樹脂の製造方法。
    解重合工程:ポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)を、280℃以上350℃以下に加熱された水と飽和蒸気圧以上の圧力で接触させて、カプロラクタム、オリゴマー(B)、および水を含有する解重合液(C)を得る工程。
    重合工程:前記解重合液(C)の全量又は一部を原料(重合原料)として重合せしめ、ポリアミド樹脂を得る工程。
  2. 前記重合工程において、前記重合原料が260℃以上350℃以下に加熱されることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  3. 前記解重合液(C)における前記オリゴマー(B)成分の含有量が、前記カプロラクタムと前記オリゴマー(B)の合計100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  4. ポリアミド6を含有する樹脂成形体(A)が廃棄物である、請求項1~3のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の方法で得られるポリアミド樹脂、およびその成形品。
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