JP2023107721A - 弾性繊維用処理剤、及び弾性繊維 - Google Patents

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康平 小田
Kohei Oda
啓一郎 大島
Keiichiro Oshima
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Abstract

【課題】弾性繊維の形状保持性を向上させる。【解決手段】弾性繊維用処理剤は、シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有する。有機リン酸エステル化合物(B)が、式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物である。有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満である。電位差滴定法により有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00である。【選択図】なし

Description

本発明は、弾性繊維用処理剤、及び弾性繊維に関する。
例えば合成繊維の一種である弾性繊維は、他の合成繊維に比べて繊維間の粘着性が強い。弾性繊維を紡糸し、巻取ロールに巻き取ってパッケージを作製した後、パッケージから引き出して加工工程に供する際に、パッケージから安定して解舒することが難しい場合がある。そのため、パッケージから安定して解舒させるために、弾性繊維の紡糸工程において、弾性繊維に油剤を付与することがある。
特許文献1には、シリコーンオイル、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種のベース成分と、アルキルリン酸エステルとを含む弾性繊維用処理剤が開示されている。この弾性繊維用処理剤を弾性繊維に付与することにより、帯電防止性を向上させることが開示されている。
特許文献2には、シリコーンオイル、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種のベース成分と、有機リン酸エステルアミン塩(B3)等の成分(B)と、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩(C)とを含む弾性繊維用処理剤が開示されている。成分(B)100重量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩(C)の重量割合は20~2000重量である。この弾性繊維用処理剤を弾性繊維に付与することにより、高温保管後の制電性、及び解舒性を向上させることが開示されている。
国際公開第2016/129357号 国際公開第2015/125753号
ところで、弾性繊維用処理剤には、弾性繊維用処理剤が付与された弾性繊維を巻き取ってパッケージを作製する際の、形状保持性のさらなる向上が求められている。
態様1の弾性繊維用処理剤は、シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有し、前記有機リン酸エステル化合物(B)が、下記の式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び下記の式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物であり、前記有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満であり、電位差滴定法により前記有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00であることを要旨とする。
(化1において、
:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
a:0以上15以下の整数。)
(化2において、
,R:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O,AO:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
b、c:0以上15以下の整数。)
態様2は、態様1に記載の弾性繊維用処理剤において、前記酸価及び前記全アミン価の比が、1.82≧酸価/全アミン価≧1.05である。
態様3は、態様1又は2に記載の弾性繊維用処理剤において、前記式(1)におけるR、前記式(2)におけるR、及び前記式(2)におけるRが、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基である。
態様4は、態様1~3のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、前記有機リン酸エステル化合物(B)は、前記式(1)におけるRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B1)を含有するとともに、前記式(2)におけるRO(AO)、及びRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有する。
態様5は、態様1~4のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、前記有機アミン(B3)が3級アミンであって、当該3級アミンに置換している3つの置換基のうち、少なくとも1つの置換基が下記の置換基1であり、残り2つの置換基が下記の置換基1又は下記の置換基2である。
置換基1:炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基。
置換基2:炭素数1以上10以下のアルキル基、又は2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基。
態様6は、態様1~5のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、アルカリ過中和前処理した前記有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR測定において、前記有機リン酸エステル(B1)、及び前記有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が25%以上75%以下である。
態様7は、態様1~6のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、前記弾性繊維用処理剤の不揮発分中における前記有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が、0.01質量%以上30質量%以下である。
態様8の弾性繊維は、態様1~7のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤が付着していることを要旨とする。
本発明の弾性繊維用処理剤によると、弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。
パッケージの側面図。
<第1実施形態>
以下、本発明の弾性繊維用処理剤を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態の弾性繊維用処理剤(以下、処理剤という。)は、シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有する。また、有機リン酸エステル化合物(B)が、下記の式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)、及び下記の式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物である。また、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満である。また、電位差滴定法により有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00である。
処理剤が、上記ベース成分(A)と上記有機リン酸エステル化合物(B)とを含有し、さらに有機リン酸エステル化合物(B)の酸価及び全アミン価の比が上記数値範囲であることにより、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。
(ベース成分(A))
シリコーン油は、特に制限されず、公知のシリコーン油を用いることができる。シリコーン油の具体例としては、例えばジメチルシリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキルアラルキル変性シリコーン、アルキルポリエーテル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等が挙げられる。
これらのシリコーン油は、動粘度によって規定される市販品を適宜採用してもよい。動粘度は、適宜設定されるが、25℃における動粘度が2cst(mm/s)以上100cst(mm/s)以下であることが好ましい。25℃における動粘度は、JIS Z 8803に準拠して測定される。
鉱物油は、特に制限されず、公知の鉱物油を用いることができる。鉱物油の具体例としては、例えば芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素等が挙げられる。より具体的には、例えば、スピンドル油、流動パラフィン等が挙げられる。これらの鉱物油は、動粘度によって規定される市販品を適宜採用してもよい。動粘度は、適宜設定されるが、40℃における動粘度が2cst(mm/s)以上50cst(mm/s)以下であることが好ましい。
エステル油は、特に制限されず、公知のエステル油を用いることができる。エステル油としては、脂肪酸とアルコールとから製造されるエステル油が挙げられる。
エステル油の原料である脂肪酸は、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、また、例えば高級脂肪酸であってもよく、環状のシクロ環を有する脂肪酸であってもよく、芳香族環を有する脂肪酸であってもよい。エステル油の原料であるアルコールは、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、また、例えば高級アルコールであっても、環状のシクロ環を有するアルコールであっても、芳香族環を有するアルコールであってもよい。
エステル油の具体例としては、例えば(1)オクチルパルミタート、オレイルラウラート、オレイルオレアート(オレイン酸オレイル)、イソトリデシルステアラート、イソテトラコシルオレアート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(2)1,6-ヘキサンジオールジデカナート、グリセリントリオレアート、トリメチロールプロパントリラウラート、ペンタエリスリトールテトラオクタナート、ソルビタンモノオレアート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(3)ジオレイルアゼラート、チオジプロピオン酸ジオレイル、チオジプロピオン酸ジイソセチル、チオジプロピオン酸ジイソステアリル等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸とのエステル化合物、(4)ベンジルオレアート、ベンジルラウラート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(5)ビスフェノールAジラウラート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、(6)ビス2-エチルヘキシルフタラート、ジイソステアリルイソフタラート、トリオクチルトリメリタート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、(7)ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油及び牛脂等の天然油脂等が挙げられる。
上記ベース成分(A)としてのシリコーン油、鉱物油、及びエステル油は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(有機リン酸エステル化合物(B))
有機リン酸エステル化合物(B)は、下記式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び下記式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)との部分中和物である。
ここで、「部分中和物」とは、有機リン酸エステル(B1)及び有機リン酸エステル(B2)の少なくとも1つの有機アミン(B3)との中和塩を含むとともに、有機リン酸エステル(B1)及び有機リン酸エステル(B2)の少なくとも1つのカウンターイオンがプロトンであるものを含むことを意味する。
言い換えれば、有機リン酸エステル化合物(B)は、有機リン酸エステル(B1)及び有機リン酸エステル(B2)の少なくとも1つにおいて、その一部を中和したものを有することを意味する。すなわち、有機リン酸エステル化合物(B)は、下記式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び下記式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)との部分中和塩を有している。部分中和塩になっている有機アミン(B3)は、プロトンが付加された形態になっている。
(化3において、
:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
a:0以上15以下の整数。)
(化4において、
,R:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O,AO:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
b、c:0以上15以下の整数。)
上記式(1)、式(2)のR,R,Rにおいて、炭素数8以上32以下のアルキル基としては、特に制限されず、直鎖のアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。
直鎖のアルキル基の具体例としては、例えば、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基(セチル基)、オクタデシル基(ステアリル基)、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、オクタコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
分岐鎖を有するアルキル基の具体例としては、例えば、イソオクチル基、イソデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソヘキサデシル基、イソオクタデシル基、イソエイコシル基、イソドコシル基、イソテトラコシル基、イソペンタコシル基、イソヘキサコシル基、イソオクタコシル基、イソトリアコンチル基等が挙げられる。
上記炭素数8以上32以下のアルキル基は、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基であることが好ましい。なお、ゲルベアルコールは脂肪族アルコールを構成するアルキル鎖のβ位に分岐鎖を有する1価脂肪族アルコールを意味する。炭素数8以上32以下のアルキル基が、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基であることによって、処理剤の油剤安定性をより向上させることができる。
上記式(1)、式(2)のAO,AO,AOにおいて、炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。
上記式(1)、式(2)のa,b,cは、0以上15以下の整数であり、一種類のオキシアルキレン基が複数付加されていてもよいし、複数種類のオキシアルキレン基が付加されていてもよい。複数種類のオキシアルキレン基が付加されている場合、ブロック付加物であってもランダム付加物であってもよい。
上記有機アミン(B3)は、一級アミン、二級アミン、及び三級アミンのいずれであってもよい。
なお、有機アミン(B3)は、アンモニアの水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基等で置換されたものを意味するものとし、アンモニアは含まれないものとする。
有機アミン(B3)は3級アミンであって、当該3級アミンに置換している3つの置換基のうち、少なくとも1つの置換基が下記の置換基1であり、残り2つの置換基が下記の置換基1又は下記の置換基2であることが好ましい。
置換基1:炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基。
置換基2:炭素数1以上10以下のアルキル基、又は2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基。
すなわち、有機アミン(B3)は、3つの置換基が全て上記置換基1であってもよい。3つの置換基のうち2つが上記置換基1で、1つが上記置換基2であってもよい。3つの置換基のうち1つが上記置換基1で、2つが上記置換基2であってもよい。
有機アミン(B3)が、上記の構造を有することにより、処理剤が付着した弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
有機アミン(B3)は、下記式(3)で示されることが好ましい。
(化5において、
,R:炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基、又は2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基。
:炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基。)
上記式(3)のR,Rにおいて、炭素数1以上10以下のアルキル基としては、特に制限されず、直鎖のアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。
直鎖のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
分岐鎖を有するアルキル基の具体例としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソへキシル基、イソオクチル基、イソデシル基等が挙げられる。
上記式(3)のR,R,Rにおいて、炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基としては、特に制限されず、直鎖のヒドロキシアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するヒドロキシアルキル基であってもよい。
直鎖のヒドロキシアルキル基の具体例としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキへキシル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
分岐鎖を有するヒドロキシアルキル基の具体例としては、例えば、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシイソブチル基、ヒドロキシイソペンチル基、ヒドロキイソへキシル基、ヒドロキシイソオクチル基、ヒドロキシイソデシル基等が挙げられる。
上記式(3)のR,Rにおいて、2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基としては特に制限されず、上記式(1)、式(2)と同様の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を用いることができる。一種類のオキシアルキレン基が2個以上15個以下付加されていてもよいし、複数種類のオキシアルキレン基が2個以上15個以下付加されていてもよい。複数種類のオキシアルキレン基が付加されている場合、ブロック付加物であってもランダム付加物であってもよい。
有機リン酸エステル化合物(B)は、式(1)におけるRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B1)を含有するとともに、式(2)におけるRO(AO)、及びRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有することが好ましい。
有機リン酸エステル化合物(B)が、上記二種類以上の有機リン酸エステル(B1)及び二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有することによって、処理剤が付着した弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
処理剤における有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合は、特に制限されない。処理剤の不揮発分中における有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましい。有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が上記数値範囲であることにより、パッケージからの弾性繊維の解舒性をより向上させることができる。
有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合は、好ましくは、18質量部未満であり、さらに好ましくは、16質量部未満である。ジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が上記数値範囲であることにより、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性をより向上させることができる。また、処理剤の油剤安定性をより向上させることができる。
(有機リン酸エステル化合物(B)の酸価及び全アミン価の比)
電位差滴定法により有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比は、1.82≧酸価/全アミン価≧1.05であることが好ましい。
酸価及び全アミン価の比が上記数値範囲であることにより、パッケージからの弾性繊維の解舒性をより向上させることができる。電位差滴定法による酸価及び全アミン価の測定方法については後述する。なお、酸価は、有機リン酸エステル化合物(B)1g中の水酸基を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を意味する。また、全アミン価は、有機リン酸エステル化合物(B)1g中の有機アミンを中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムのmg数を意味する。
(有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率)
アルカリ過中和前処理した有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR測定において、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率は特に制限されない。有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が25%以上75%以下であることが好ましい。
有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が上記数値範囲であることにより、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性をより向上させることができる。また、処理剤を付着させた弾性繊維の制電性をより向上させることができる。
ここで、上記「アルカリ過中和前処理」とは、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に対して、過剰量のアルカリを添加する前処理を意味する。なお、アルカリの具体例としては、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。P核NMR測定において、アルカリ過中和前処理を行うことで、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるピークを明瞭に分けることができる。P核NMR測定方法については後述する。
(その他成分(E))
処理剤は、適用目的又は必要性に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前述した成分以外のその他成分(E)、例えば多価アルコール、キレート化剤、シリコーンレジン、溶媒、界面活性剤等をさらに含有してもよい。
多価アルコールの具体例としては、例えばプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
キレート化剤の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸三ナトリウム等が挙げられる。
シリコーンレジンは、M単位とQ単位のモル比率(以下、「MQ比」ともいう。)が、0.5以上1.2以下であることが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、アミノ変性シリコーンレジン、メチルシリコーンレジン等が挙げられる。
溶媒は、大気圧における沸点が105℃以下である。溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール等、ヘキサン等の低極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、一種を単独で使用してもよいし、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、一種の界面活性剤を単独で使用してもよく、二種以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤は、分子中に(ポリ)オキシアルキレン構造を有する非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルコール類又はカルボン酸類にアルキレンオキサイドを付加させたもの、カルボン酸類と多価アルコールとのエステル化合物にアルキレンオキサイドを付加させたエーテル・エステル化合物、アミン化合物としてアルキルアミン類にアルキレンオキサイドを付加させたもの等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるアルコール類の具体例としては、例えば、(1)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール等の直鎖アルキルアルコール、(2)イソブタノール、イソヘキサノール、2-エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノール、イソヘプタデカノール、イソオクタデカノール、イソノナデカノール、イソエイコサノール、イソヘンエイコサノール、イソドコサノール、イソトリコサノール、イソテトラコサノール、イソペンタコサノール、イソヘキサコサノール、イソヘプタコサノール、イソオクタコサノール、イソノナコサノール、イソトリアコンタノール等の分岐アルキルアルコール、(3)テトラデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール等の直鎖アルケニルアルコール、(4)イソヘキサデセノール、イソオクタデセノール等の分岐アルケニルアルコール、(5)シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の環状アルキルアルコール、(6)フェノール、ノニルフェノール、ベンジルアルコール、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール等の芳香族系アルコール等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるカルボン酸類の具体例としては、例えば、(1)オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸等の直鎖アルキルカルボン酸、(2)2-エチルヘキサン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソオクタデカン酸等の分岐アルキルカルボン酸、(3)オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸等の直鎖アルケニルカルボン酸、(4)安息香酸等の芳香族系カルボン酸等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるアルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数は、適宜設定されるが、好ましくは0.1~60モル、より好ましくは1~40モル、さらに好ましくは2~30モルである。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は、仕込み原料中におけるアルコール類又はカルボン酸類1モルに対するアルキレンオキサイドのモル数を示す。複数種類のアルキレンオキサイドが用いられる場合、ブロック付加物であってもランダム付加物であってもよい。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられる多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるアルキルアミンの具体例として、例えばメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、オクタデシルアミン、ヤシアミン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルケニルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルケニルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミンと無機酸との塩、及びポリオキシアルキレンアルケニルアミンと無機酸との塩等が挙げられる。無機酸としては、例えばリン酸が挙げられる。
(イオン性界面活性剤)
イオン性界面活性剤としては、上記有機リン酸エステル化合物(B)を除いたアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、2級アルキルスルホン酸塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩、(2)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにEO及びPOから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(4)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(5)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(6)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、ドデセニルコハク酸塩等の脂肪酸塩、(7)ジオクチルスルホコハク酸塩、ジデシルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、例えばベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
処理剤中のその他成分(E)の含有量は特に制限されないが、処理剤中において、その他成分(E)は、合計で10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。言い換えれば、処理剤中のベース成分(A)及び有機リン酸エステル化合物(B)の含有量は、合計で90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
<第2実施形態>
本発明に係る弾性繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の弾性繊維は、第1実施形態の処理剤が付着している弾性繊維である。弾性繊維に対する第1実施形態の処理剤(溶媒を含まない)の付着量は、特に制限はないが、本発明の効果をより向上させる観点から0.1質量%以上10質量%以下の割合で付着していることが好ましい。
弾性繊維としては、特に制限はないが、例えばポリエステル系弾性繊維、ポリアミド系弾性繊維、ポリオレフィン系弾性繊維、ポリウレタン系弾性繊維等が挙げられる。これらの中でもポリウレタン系弾性繊維が好ましく、さらにこの中でも溶融紡糸法で紡糸されたポリウレタン系弾性繊維が好ましい。かかる場合に本発明の効果の発現をより高くすることができる。
ここで、弾性繊維とは、弾力性に富んだ繊維であって、引張り応力を付与すると伸長することができるとともに、引張り応力が解除されると元の長さに戻る繊維を意味するものとする。弾性繊維は、エラストマー繊維と言い換えることができる。
本実施形態の弾性繊維の製造方法は、第1実施形態の処理剤を紡糸工程で弾性繊維に給油することにより得られる。処理剤の給油方法としては、希釈することなくニート給油法により、弾性繊維の紡糸工程において弾性繊維に付着させる方法が好ましい。付着方法としては、例えばローラー給油法、ガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が適用できる。
本実施形態に適用される弾性繊維自体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造が可能である。例えば湿式紡糸法、溶融紡糸法、乾式紡糸法等が挙げられる。これらの中でも、溶媒を使用しないことで作業環境への負荷が少ない点、より安価に製造ができる観点から溶融紡糸法が好ましく適用される。
紡糸工程における弾性繊維の巻き取り速度に特に制限はないが、500/min以上の高速紡糸であることが好ましい。紡糸工程での巻き取り速度は、1000m/min以上10000m/min以下であることがより好ましい。
<作用及び効果>
第1実施形態の処理剤、及び第2実施形態の弾性繊維の作用について説明する。
処理剤は、酸価/全アミン価>1.00となる有機リン酸エステル化合物(B)を含有する。この有機リン酸エステル化合物(B)は、構造中に反応性の水酸基を有している。また、有機リン酸エステル化合物(B)は、反応性の有機アミン(B3)も含んでいる。これらの反応性成分が弾性繊維表面と相互作用をすることによって、弾性繊維同士を適度に膠着させ、弾性繊維の形状保持性を向上させることが可能になる。
第1実施形態の処理剤、及び第2実施形態の弾性繊維によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)処理剤は、シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有する。有機リン酸エステル化合物(B)は、式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)、及び式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物である。また、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満である。また、電位差滴定法により有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00である。
したがって、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。
(2)酸価及び全アミン価の比が、1.82≧酸価/全アミン価≧1.05である。したがって、パッケージからの弾性繊維の解舒性をより向上させることができる。
(3)式(1)におけるR、式(2)におけるR、及び式(2)におけるRが、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基である。したがって、処理剤の油剤安定性をより向上させることができる。
(4)有機リン酸エステル化合物(B)は、式(1)におけるRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B1)を含有する。また、式(2)におけるRO(AO)、及びRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有する。したがって、処理剤が付着した弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
(5)有機アミン(B3)が3級アミンであって、当該3級アミンに置換している3つの置換基の内、少なくとも1つの置換基が上記の置換基1であり、残り2つの置換基が上記の置換基1又は上記の置換基2である。したがって、処理剤を付着させた弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
(6)有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が25%以上75%以下である。したがって、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性をより向上させることができる。また、処理剤を付着させた弾性繊維の制電性をより向上させることができる。
(7)弾性繊維用処理剤の不揮発分中における前記有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が、0.01質量%以上30質量%以下である。したがって、パッケージからの弾性繊維の解舒性を向上させることができる。
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態、及び、以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
本実施形態の処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤、帯電防止剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常処理剤に用いられる成分をさらに配合してもよい。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
試験区分1(有機リン酸エステル化合物(B)の調製)
以下の方法により、表1に示す有機リン酸エステル化合物(B-1)を合成した。まず、2Lフラスコに、2-ヘキシルデカノール670gを加え、攪拌しながら50℃以上70℃以下の範囲で五酸化二リン130gを徐々に添加した。その後、70℃以上80℃以下の範囲で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、中和剤としてN,N-ジブチルエタノールアミンを43g添加した。その後、100℃で2時間減圧脱水した。得られた有機リン酸エステル化合物(B-1)は、Rが2-ヘキシルデカノールから水酸基を除いた残基である有機リン酸エステル(B1)を含んでいた。また、R及びRが2-ヘキシルデカノールから水酸基を除いた残基である有機リン酸エステル(B2)を含んでいた。
有機リン酸エステル化合物(B-1)の酸価及び全アミン価を前述の方法で測定したところ、酸価が60.0、全アミン価が50.4であり、酸価/全アミン価の比は1.19であった。有機リン酸エステル化合物(B-1)のP核NMRを前述の方法で測定したところ、B1に帰属されるP核NMRの積分比率は40%であり、B2に帰属されるP核NMRの積分比率は60%であった。
有機リン酸エステル化合物(B-2)~(B-38)、(rB-1)~(rB-7)の合成は、有機リン酸エステル化合物(B-1)の合成方法に沿いつつ、各原料の種類、配合、及び反応時間を調整して行った。
有機リン酸エステル化合物(B-1)~(B-38)、(rB-1)~(rB-7)に含有される有機リン酸エステル(B1)、有機リン酸エステル(B2)、及び有機アミン(B3)の詳細について、表1の「有機リン酸エステル(B1)」欄、「有機リン酸エステル(B2)」、「有機アミン(B3)」欄に示す。また、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率、及びP核NMR積分比率について、表1の「有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率」欄、「有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率」欄にそれぞれ示す。
表1において、「C数」は、炭素数を意味する。また、「EO」は、オキシエチレンを意味する。なお、表1において、rB-4、rB-7は、どちらも有機アミン(B3)を含まないため、全アミン価はゼロとなる。そのため、酸価/全アミン価の比率は算出不可であった。
表1の有機アミン(B3)の詳細を表2に示す。なお、上述のとおり、アンモニアは有機アミン(B3)に含まれないものとする。
表1において、有機リン酸エステル化合物(B)における酸価/全アミン価の比は、以下の方法で有機リン酸エステル化合物(B)の酸価と全アミン価とを測定して求めた。
(酸価の測定方法)
メチルアルコール等の溶剤に有機リン酸エステル化合物(B)を溶解した試料を作製した。この試料に、0.1mol/L水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液を用いて、自動電位差滴定装置(メトラー社製DL-40GP)で電位差滴定を行った。中和終点の滴定量(mL)を測定し、下記数式(1)より酸価を算出した。
数式(1)において、
F1:0.1mol/L水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液の滴定量(mL)
G1:0.1mol/L水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液のファクター
H:有機リン酸エステル化合物(B)の採取量(g)
(全アミン価の測定方法)
氷酢酸に有機リン酸エステル化合物(B)を溶解した試料を作製した。この試料に、0.1mol/L過塩素酸・酢酸標準溶液を用いて、自動電位差滴定装置(メトラー社製DL-40GP)で電位差滴定を行った。中和終点の滴定量(mL)を測定し、下記数式(2)より全アミン価を算出した。
数式(2)において、
F2:0.1mol/L過塩素酸・酢酸標準溶液の滴定量(mL)
G2:0.1mol/L過塩素酸・酢酸標準溶液のファクター
H:有機リン酸エステル化合物(B)の採取量(g)
有機リン酸エステル化合物(B)が、複数種類の有機リン酸エステル化合物(B)を含有する場合は、各有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比を算出した後、含有比率から全体の酸価/全アミン価の比を求めてもよい。また、複数種類の有機リン酸エステル化合物(B)を含有した状態で、酸価/全アミン価の比を算出してもよい。
表1において、有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率は、以下の方法で求めた。
(P核NMRの測定方法)
まず、有機リン酸エステル化合物(B)に対して、アルカリとしてラウリルアミンを過剰量添加して前処理を行った。前処理を行った試料に対して、31P-NMRを測定して、有機リン酸エステル(B1)、有機リン酸エステル(B2)に帰属される各P核積分値を求めた。なお、P核積分値は、31P-NMR(VALIAN社製の商品名;MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)の測定値を用いた。測定溶媒には重クロロホルムを用いた。下記数式(3)、及び数式(4)に基づき、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMRの積分比率(%)を求めた。
数式(3)において、
B1_P%:有機リン酸エステルB1に帰属されるP核NMRの積分比率
B1_P:有機リン酸エステルB1に帰属されるP核NMRの積分値
B2_P:有機リン酸エステルB2に帰属されるP核NMRの積分値
数式(4)において、
B2_P%:有機リン酸エステルB2に帰属されるP核NMRの積分比率
B1_P:有機リン酸エステルB1に帰属されるP核NMRの積分値
B2_P:有機リン酸エステルB2に帰属されるP核NMRの積分値
有機リン酸エステル化合物(B)が、複数種類の有機リン酸エステル(B1)を含有する場合は、各有機リン酸エステル(B1)のP核NMR積分比率を算出した後、含有比率から全体のP核NMR積分比率を求めてもよい。また、複数種類の有機リン酸エステル(B1)を含有した状態で、P核NMR積分比率を算出してもよい。
試験区分2(弾性繊維用処理剤の調製)
各実施例、各比較例に用いた処理剤は、表3~5に示される各成分を使用し、下記調製方法により調製した。
平滑油として表3に示したベース成分(A-1)46.8質量部、ベース成分(A-4)50質量部、有機リン酸エステル化合物(B-1)0.94質量部、有機リン酸エステル化合物(B-2)1.06質量部、及び、その他成分(E-1)1.2質量部をよく混合した。混合して均一にすることで実施例1の処理剤を調製した。
実施例2~42、及び比較例1~8は、実施例1と同様にしてベース成分(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、その他成分(E)を表3~5に示した割合で混合することで処理剤を調製した。
各例の処理剤中におけるベース成分(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び、その他成分(E)の種類を、表3~5の「ベース成分(A)」欄、「有機リン酸エステル化合物(B)」欄、「その他成分(E)」欄にそれぞれ示す。また、各成分の含有割合の合計を100質量部とした場合における質量部も示す。また、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率、及びP核NMR積分比率について、表3~5の「有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率」欄、「有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率」欄にそれぞれ示す。
なお、表3~5において、「部」は質量部を意味する。
表3~5に記載するA-1~A-7、E-1~E-3の詳細は以下のとおりである。
(ベース成分(A))
A-1:25℃における動粘度が10mm/sであるジメチルシリコーン
A-2:25℃における動粘度が15mm/sであるジメチルシリコーン
A-3:25℃における動粘度が100mm/sであるジメチルシリコーン
A-4:40℃における動粘度が10mm/sである鉱物油
A-5:40℃における動粘度が37mm/sである鉱物油
A-6:オレイン酸オレイル
A-7:ソルビタンモノオレアート
(その他成分(E))
E-1:アミノ変性シリコーンレジン(MQ比が0.8)
E-2:ジブチルエタノールアミン
E-3:ジデシルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩
なお、表4の実施例30では、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩(E-3)の含有割合は15質量部である。表5の比較例1では、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩(E-3)の含有割合は25質量部である。
試験区分3(弾性繊維の製造)
試験区分2で調製した処理剤を用いて、弾性繊維を製造した。
分子量1000のポリテトラメチレングリコールとジフェニルメタンジイソシアネートとから得られたポリウレタン系エラストマーを溶融紡糸し、ポリウレタン系弾性繊維を得た。巻き取り前の延伸ローラーと巻き取り部との間に位置する給油ガイドから、試験区分2で調製した処理剤をガイドオイリング法でニート給油した。引き続いて、処理剤を付与したポリウレタン系弾性繊維を、巻き取り速度500m/minの条件で、長さ58mmの円筒状紙管に巻き取った。
巻き取りは、巻き幅38mmを与えるトラバースガイドを介して、サーフェイスドライブの巻取機を用いて行った。この巻き取りによって、溶融紡糸ポリウレタン系弾性繊維のパッケージ500gを得た。処理剤の付着量の調節は、給油ガイドへの送液量を調整することで何れも5質量%となるように行った。
試験区分4(評価)
実施例1~42、及び比較例1~8の処理剤について、油剤安定性、処理剤を付着させた弾性繊維の解舒性、形状保持性、制電性、及び均一付着性を評価した。各試験の手順について以下に示す。また、試験結果を表3~5の「油剤安定性」欄、「解舒性」欄、「形状保持性」欄、「制電性」欄、及び「均一付着性」欄にそれぞれ示す。
(油剤安定性)
表3~5に記載した実施例1~42、及び比較例1~8の処理剤を、200mLの透明ポリ瓶に150gずつ入れた。25℃のインキュベーターにて3カ月静置した。静置後の処理剤について、外観を観察した。下記の基準に基づき油剤安定性を評価した。
・油剤安定性の評価基準
◎(良好):沈殿や分離が無く、調製時と同様に均一な状態を保っている。
○(可):ごくわずかに沈殿を生じるが、攪拌によって調製時と同様に均一な状態に復元する。
×(不可):沈殿又は分離が生じ、攪拌によって均一な状態に復元しない。
(解舒性)
第1駆動ローラーとこれに常時接する第1遊離ローラーとで送り出し部を形成した。また、第2駆動ローラーとこれに常時接する第2遊離ローラーとで巻き取り部を形成した。送り出し部と巻き取り部の間隔を、水平方向に沿って約20cmとした。
試験区分3で作製したパッケージ(500g巻き)を第1駆動ローラーに装着した。第1駆動ローラーを駆動させてポリウレタン系弾性繊維を送り出すとともに、第2駆動ローラーを駆動させてポリウレタン系弾性繊維を巻き取った。パッケージの糸巻の厚さが2mmになるまで解舒した。
その際、第1駆動ローラーの送り出し速度を50m/minで固定する一方、第2駆動ローラーの巻き取り速度を50m/minより徐々に上げて、ポリウレタン系弾性繊維をパッケージから強制解舒した。この強制解舒において、送り出し部と巻き取り部との間でポリウレタン系弾性繊維の踊りがなくなる時点、言い換えれば、糸の挙動が不安定にならず、スムーズにパッケージから送り出されるようになる時点での巻き取り速度V(m/min)を測定した。下記の式から解舒性(%)を求め、下記の基準で評価した。
解舒性(%)=(V-50)×2
・解舒性の評価基準
◎(良好):解舒性が150%未満
○(可):解舒性が150%以上、180%未満
×(不可):解舒性が180%以上
なお、解舒性の評価基準において、解舒性が150%未満であると、糸切れの発生は無く、安定した状態で解舒することが可能になる。解舒性が150%以上、180%未満であると、糸の引き出しに若干の抵抗があるものの、糸切れの発生は無く、操業に問題はない。解舒性が180%以上であると、糸の引き出し時の抵抗がより大きくなり、糸切れも発生して操業に問題が生じる。
(形状保持性)
20デニールのポリウレタン系弾性繊維を紡糸し、ガイド給油法にて処理剤を5.0質量%付着させた。巻き取り速度が550m/minの条件で巻き取った。
図1に示すように、巻き取りは、長さ57mmの円筒状紙管11に、巻き幅42mmを与えるトラバースガイド(図示省略)を介して、サーフェイスドライブの巻取機(図示省略)を用いて行い、500gのパッケージ10を作製した。得られたパッケージ10について、巻き幅の最大値(Wmax)と最小幅(Wmin)を計測し、双方の差から下記の式でバルジを求めた。下記の基準で評価した。
バルジ=(Wmax-Wmin)
・形状保持性の評価基準
◎(良好):バルジが3mm未満である場合
○(可):バルジが3mm以上、且つ6mm未満である場合
×(不可):バルジが6mm以上である場合
(制電性)
試験区分3で作製した、処理剤を付与した紡糸直後の弾性繊維5gの電気抵抗を、25℃×40%RHの雰囲気下で測定した。測定には、電気抵抗測定器(東亜電波工業社製のSM-5E型)を用いた。測定値を下記の基準で評価した。
・制電性の評価基準
◎(良好):電気抵抗値が、1.0×10Ω未満の場合
〇(可):電気抵抗値が、1.0×10Ω以上且つ1.0×10Ω未満の場合
×(不可):電気抵抗値が、1.0×10Ω以上の場合
(均一付着性)
摩擦測定メーター(エイコー測器社製、SAMPLE FRICTION UNIT MODEL TB-1)を用いた。2つのフリーローラー間に直径1cmで表面粗度2Sのクロムメッキ梨地ピンを配置した。
試験区分3で、製造したパッケージからポリウレタン系弾性繊維を引き出し、クロムメッキ梨地ピンに対して接触角度が90度となるようにセットした。
25℃で60%RHの条件下、入側で初期張力(T)5gをかけ、100m/minの速度で走行させたときの出側の2次張力(T)を0.1秒毎に1分間測定した。この時のTの標準偏差を求め、下記の基準で評価した。
・油剤均一付着性の評価基準
◎(良好):標準偏差が1.5未満である場合
○(可):標準偏差が1.5以上2.0未満である場合
×(不可):標準偏差が2.0以上でる場合
なお、標準偏差が1.5未満である場合は、油剤が均一に付着しており、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動が少ない。
標準偏差が1.5以上2.0未満である場合は、油剤がほぼ均一に付着しており、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動はあるが操業に問題はない。
標準偏差が2.0以上である場合は、油剤が均一に付着しておらず、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動が大きく操業に問題が生じる。
表5より、比較例1の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩(E-3)の含有割合が25質量部であり、油剤安定性、及び形状保持性が劣っていた。
比較例2の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)を含有しておらず、形状保持性、及び制電性が劣っていた。
比較例3の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比が本発明の数値範囲から外れており、油剤安定性、形状保持性、及び制電性が劣っていた。
比較例4の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)を含有しておらず、また、その他成分(E)として、ジブチルエタノールアミンを含有しており、油剤安定性、形状保持性、及び制電性が劣っていた。
比較例5の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率が本発明の数値範囲から外れていた。また、R、R、及びRが、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基ではなく、油剤安定性、形状保持性、制電性、及び均一付着性が劣っていた。
比較例6~8の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)を含有しておらず、油剤安定性、解舒性、形状保持性、制電性、及び均一付着性が劣っていた。
一方、本発明の処理剤によれば、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。また、油剤安定性、解舒性、制電性、及び均一付着性も向上させることができる。
10…パッケージ、11…円筒状紙管。
本発明は、弾性繊維用処理剤、及び弾性繊維に関する。
例えば合成繊維の一種である弾性繊維は、他の合成繊維に比べて繊維間の粘着性が強い。弾性繊維を紡糸し、巻取ロールに巻き取ってパッケージを作製した後、パッケージから引き出して加工工程に供する際に、パッケージから安定して解舒することが難しい場合がある。そのため、パッケージから安定して解舒させるために、弾性繊維の紡糸工程において、弾性繊維に油剤を付与することがある。
特許文献1には、シリコーンオイル、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種のベース成分と、アルキルリン酸エステルとを含む弾性繊維用処理剤が開示されている。この弾性繊維用処理剤を弾性繊維に付与することにより、帯電防止性を向上させることが開示されている。
特許文献2には、シリコーンオイル、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種のベース成分と、有機リン酸エステルアミン塩(B3)等の成分(B)と、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩(C)とを含む弾性繊維用処理剤が開示されている。成分(B)100重量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩(C)の重量割合は20~2000重量である。この弾性繊維用処理剤を弾性繊維に付与することにより、高温保管後の制電性、及び解舒性を向上させることが開示されている。
国際公開第2016/129357号 国際公開第2015/125753号
ところで、弾性繊維用処理剤には、弾性繊維用処理剤が付与された弾性繊維を巻き取ってパッケージを作製する際の、形状保持性のさらなる向上が求められている。
態様1の弾性繊維用処理剤は、シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有し、前記有機リン酸エステル化合物(B)が、下記の式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び下記の式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物であり、前記有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満であり、電位差滴定法により前記有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00であることを要旨とする。
(化1において、
:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
a:0以上15以下の整数。)
(化2において、
,R:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O,AO:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
b、c:0以上15以下の整数。)
(ただし、下記のリン酸エステルマグネシウム塩を含有する態様を除く。
リン酸エステルマグネシウム塩:脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2~4のアルキレンオキサイドを1~10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシハロゲン化リンとを反応させて得られるリン酸エステルのマグネシウム塩)
態様2は、態様1に記載の弾性繊維用処理剤において、前記酸価及び前記全アミン価の比が、1.82≧酸価/全アミン価≧1.05である。
態様3は、態様1又は2に記載の弾性繊維用処理剤において、前記式(1)におけるR、前記式(2)におけるR、及び前記式(2)におけるRが、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基である。
態様4は、態様1~3のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、前記有機リン酸エステル化合物(B)は、前記式(1)におけるRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B1)を含有するとともに、前記式(2)におけるRO(AO)、及びRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有する。
態様5は、態様1~4のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、前記有機アミン(B3)が3級アミンであって、当該3級アミンに置換している3つの置換基のうち、少なくとも1つの置換基が下記の置換基1であり、残り2つの置換基が下記の置換基1又は下記の置換基2である。
置換基1:炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基。
置換基2:炭素数1以上10以下のアルキル基、又は2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基。
態様6は、態様1~5のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、アルカリ過中和前処理した前記有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR測定において、前記有機リン酸エステル(B1)、及び前記有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が25%以上75%以下である。
態様7は、態様1~6のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤において、前記弾性繊維用処理剤の不揮発分中における前記有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が、0.01質量%以上30質量%以下である。
態様8の弾性繊維は、態様1~7のいずれか一態様に記載の弾性繊維用処理剤が付着していることを要旨とする。
本発明の弾性繊維用処理剤によると、弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。
パッケージの側面図。
<第1実施形態>
以下、本発明の弾性繊維用処理剤を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態の弾性繊維用処理剤(以下、処理剤という。)は、シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有する。また、有機リン酸エステル化合物(B)が、下記の式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)、及び下記の式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物である。また、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満である。また、電位差滴定法により有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00である。
(ただし、下記のリン酸エステルマグネシウム塩を含有する態様を除く。
リン酸エステルマグネシウム塩:脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2~4のアルキレンオキサイドを1~10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシハロゲン化リンとを反応させて得られるリン酸エステルのマグネシウム塩)
処理剤が、上記ベース成分(A)と上記有機リン酸エステル化合物(B)とを含有し、さらに有機リン酸エステル化合物(B)の酸価及び全アミン価の比が上記数値範囲であることにより、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。
(ベース成分(A))
シリコーン油は、特に制限されず、公知のシリコーン油を用いることができる。シリコーン油の具体例としては、例えばジメチルシリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキルアラルキル変性シリコーン、アルキルポリエーテル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等が挙げられる。
これらのシリコーン油は、動粘度によって規定される市販品を適宜採用してもよい。動粘度は、適宜設定されるが、25℃における動粘度が2cst(mm/s)以上100cst(mm/s)以下であることが好ましい。25℃における動粘度は、JIS Z
8803に準拠して測定される。
鉱物油は、特に制限されず、公知の鉱物油を用いることができる。鉱物油の具体例としては、例えば芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素等が挙げられる。より具体的には、例えば、スピンドル油、流動パラフィン等が挙げられる。これらの鉱物油は、動粘度によって規定される市販品を適宜採用してもよい。動粘度は、適宜設定されるが、40℃における動粘度が2cst(mm/s)以上50cst(mm/s)以下であることが好ましい。
エステル油は、特に制限されず、公知のエステル油を用いることができる。エステル油としては、脂肪酸とアルコールとから製造されるエステル油が挙げられる。
エステル油の原料である脂肪酸は、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、また、例えば高級脂肪酸であってもよく、環状のシクロ環を有する脂肪酸であってもよく、芳香族環を有する脂肪酸であってもよい。エステル油の原料であるアルコールは、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、また、例えば高級アルコールであっても、環状のシクロ環を有するアルコールであっても、芳香族環を有するアルコールであってもよい。
エステル油の具体例としては、例えば(1)オクチルパルミタート、オレイルラウラート、オレイルオレアート(オレイン酸オレイル)、イソトリデシルステアラート、イソテトラコシルオレアート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(2)1,6-ヘキサンジオールジデカナート、グリセリントリオレアート、トリメチロールプロパントリラウラート、ペンタエリスリトールテトラオクタナート、ソルビタンモノオレアート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(3)ジオレイルアゼラート、チオジプロピオン酸ジオレイル、チオジプロピオン酸ジイソセチル、チオジプロピオン酸ジイソステアリル等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸とのエステル化合物、(4)ベンジルオレアート、ベンジルラウラート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(5)ビスフェノールAジラウラート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、(6)ビス2-エチルヘキシルフタラート、ジイソステアリルイソフタラート、トリオクチルトリメリタート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、(7)ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油及び牛脂等の天然油脂等が挙げられる。
上記ベース成分(A)としてのシリコーン油、鉱物油、及びエステル油は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(有機リン酸エステル化合物(B))
有機リン酸エステル化合物(B)は、下記式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び下記式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)との部分中和物である。
ここで、「部分中和物」とは、有機リン酸エステル(B1)及び有機リン酸エステル(B2)の少なくとも1つの有機アミン(B3)との中和塩を含むとともに、有機リン酸エステル(B1)及び有機リン酸エステル(B2)の少なくとも1つのカウンターイオンがプロトンであるものを含むことを意味する。
言い換えれば、有機リン酸エステル化合物(B)は、有機リン酸エステル(B1)及び有機リン酸エステル(B2)の少なくとも1つにおいて、その一部を中和したものを有することを意味する。すなわち、有機リン酸エステル化合物(B)は、下記式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び下記式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)との部分中和塩を有している。部分中和塩になっている有機アミン(B3)は、プロトンが付加された形態になっている。
(化3において、
:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
a:0以上15以下の整数。)
(化4において、
,R:炭素数8以上32以下のアルキル基。
O,AO:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
b、c:0以上15以下の整数。)
上記式(1)、式(2)のR,R,Rにおいて、炭素数8以上32以下のアルキル基としては、特に制限されず、直鎖のアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。
直鎖のアルキル基の具体例としては、例えば、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基(セチル基)、オクタデシル基(ステアリル基)、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、オクタコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
分岐鎖を有するアルキル基の具体例としては、例えば、イソオクチル基、イソデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソヘキサデシル基、イソオクタデシル基、イソエイコシル基、イソドコシル基、イソテトラコシル基、イソペンタコシル基、イソヘキサコシル基、イソオクタコシル基、イソトリアコンチル基等が挙げられる。
上記炭素数8以上32以下のアルキル基は、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基であることが好ましい。なお、ゲルベアルコールは脂肪族アルコールを構成するアルキル鎖のβ位に分岐鎖を有する1価脂肪族アルコールを意味する。炭素数8以上32以下のアルキル基が、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基であることによって、処理剤の油剤安定性をより向上させることができる。
上記式(1)、式(2)のAO,AO,AOにおいて、炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。
上記式(1)、式(2)のa,b,cは、0以上15以下の整数であり、一種類のオキシアルキレン基が複数付加されていてもよいし、複数種類のオキシアルキレン基が付加されていてもよい。複数種類のオキシアルキレン基が付加されている場合、ブロック付加物であってもランダム付加物であってもよい。
上記有機アミン(B3)は、一級アミン、二級アミン、及び三級アミンのいずれであってもよい。
なお、有機アミン(B3)は、アンモニアの水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基等で置換されたものを意味するものとし、アンモニアは含まれないものとする。
有機アミン(B3)は3級アミンであって、当該3級アミンに置換している3つの置換基のうち、少なくとも1つの置換基が下記の置換基1であり、残り2つの置換基が下記の置換基1又は下記の置換基2であることが好ましい。
置換基1:炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基。
置換基2:炭素数1以上10以下のアルキル基、又は2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基。
すなわち、有機アミン(B3)は、3つの置換基が全て上記置換基1であってもよい。3つの置換基のうち2つが上記置換基1で、1つが上記置換基2であってもよい。3つの置換基のうち1つが上記置換基1で、2つが上記置換基2であってもよい。
有機アミン(B3)が、上記の構造を有することにより、処理剤が付着した弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
有機アミン(B3)は、下記式(3)で示されることが好ましい。
(化5において、
,R:炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基、又は2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基。
:炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基。)
上記式(3)のR,Rにおいて、炭素数1以上10以下のアルキル基としては、特に制限されず、直鎖のアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。
直鎖のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
分岐鎖を有するアルキル基の具体例としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソへキシル基、イソオクチル基、イソデシル基等が挙げられる。
上記式(3)のR,R,Rにおいて、炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基としては、特に制限されず、直鎖のヒドロキシアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するヒドロキシアルキル基であってもよい。
直鎖のヒドロキシアルキル基の具体例としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキへキシル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
分岐鎖を有するヒドロキシアルキル基の具体例としては、例えば、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシイソブチル基、ヒドロキシイソペンチル基、ヒドロキイソへキシル基、ヒドロキシイソオクチル基、ヒドロキシイソデシル基等が挙げられる。
上記式(3)のR,Rにおいて、2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基としては特に制限されず、上記式(1)、式(2)と同様の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を用いることができる。一種類のオキシアルキレン基が2個以上15個以下付加されていてもよいし、複数種類のオキシアルキレン基が2個以上15個以下付加されていてもよい。複数種類のオキシアルキレン基が付加されている場合、ブロック付加物であってもランダム付加物であってもよい。
有機リン酸エステル化合物(B)は、式(1)におけるRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B1)を含有するとともに、式(2)におけるRO(AO)、及びRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有することが好ましい。
有機リン酸エステル化合物(B)が、上記二種類以上の有機リン酸エステル(B1)及び二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有することによって、処理剤が付着した弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
処理剤における有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合は、特に制限されない。処理剤の不揮発分中における有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましい。有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が上記数値範囲であることにより、パッケージからの弾性繊維の解舒性をより向上させることができる。
有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合は、好ましくは、18質量部未満であり、さらに好ましくは、16質量部未満である。ジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が上記数値範囲であることにより、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性をより向上させることができる。また、処理剤の油剤安定性をより向上させることができる。
(有機リン酸エステル化合物(B)の酸価及び全アミン価の比)
電位差滴定法により有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比は、1.82≧酸価/全アミン価≧1.05であることが好ましい。
酸価及び全アミン価の比が上記数値範囲であることにより、パッケージからの弾性繊維の解舒性をより向上させることができる。電位差滴定法による酸価及び全アミン価の測定方法については後述する。なお、酸価は、有機リン酸エステル化合物(B)1g中の水酸基を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を意味する。また、全アミン価は、有機リン酸エステル化合物(B)1g中の有機アミンを中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムのmg数を意味する。
(有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率)
アルカリ過中和前処理した有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR測定において、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率は特に制限されない。有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が25%以上75%以下であることが好ましい。
有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が上記数値範囲であることにより、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性をより向上させることができる。また、処理剤を付着させた弾性繊維の制電性をより向上させることができる。
ここで、上記「アルカリ過中和前処理」とは、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に対して、過剰量のアルカリを添加する前処理を意味する。なお、アルカリの具体例としては、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。P核NMR測定において、アルカリ過中和前処理を行うことで、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるピークを明瞭に分けることができる。P核NMR測定方法については後述する。
(その他成分(E))
処理剤は、適用目的又は必要性に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前述した成分以外のその他成分(E)、例えば多価アルコール、キレート化剤、シリコーンレジン、溶媒、界面活性剤等をさらに含有してもよい。
多価アルコールの具体例としては、例えばプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
キレート化剤の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸三ナトリウム等が挙げられる。
シリコーンレジンは、M単位とQ単位のモル比率(以下、「MQ比」ともいう。)が、0.5以上1.2以下であることが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、アミノ変性シリコーンレジン、メチルシリコーンレジン等が挙げられる。
溶媒は、大気圧における沸点が105℃以下である。溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール等、ヘキサン等の低極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、一種を単独で使用してもよいし、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、一種の界面活性剤を単独で使用してもよく、二種以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤は、分子中に(ポリ)オキシアルキレン構造を有する非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルコール類又はカルボン酸類にアルキレンオキサイドを付加させたもの、カルボン酸類と多価アルコールとのエステル化合物にアルキレンオキサイドを付加させたエーテル・エステル化合物、アミン化合物としてアルキルアミン類にアルキレンオキサイドを付加させたもの等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるアルコール類の具体例としては、例えば、(1)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール等の直鎖アルキルアルコール、(2)イソブタノール、イソヘキサノール、2-エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノール、イソヘプタデカノール、イソオクタデカノール、イソノナデカノール、イソエイコサノール、イソヘンエイコサノール、イソドコサノール、イソトリコサノール、イソテトラコサノール、イソペンタコサノール、イソヘキサコサノール、イソヘプタコサノール、イソオクタコサノール、イソノナコサノール、イソトリアコンタノール等の分岐アルキルアルコール、(3)テトラデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール等の直鎖アルケニルアルコール、(4)イソヘキサデセノール、イソオクタデセノール等の分岐アルケニルアルコール、(5)シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の環状アルキルアルコール、(6)フェノール、ノニルフェノール、ベンジルアルコール、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール等の芳香族系アルコール等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるカルボン酸類の具体例としては、例えば、(1)オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸等の直鎖アルキルカルボン酸、(2)2-エチルヘキサン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソオクタデカン酸等の分岐アルキルカルボン酸、(3)オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸等の直鎖アルケニルカルボン酸、(4)安息香酸等の芳香族系カルボン酸等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるアルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数は、適宜設定されるが、好ましくは0.1~60モル、より好ましくは1~40モル、さらに好ましくは2~30モルである。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は、仕込み原料中におけるアルコール類又はカルボン酸類1モルに対するアルキレンオキサイドのモル数を示す。複数種類のアルキレンオキサイドが用いられる場合、ブロック付加物であってもランダム付加物であってもよい。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられる多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の原料として用いられるアルキルアミンの具体例として、例えばメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、オクタデシルアミン、ヤシアミン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルケニルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルケニルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミンと無機酸との塩、及びポリオキシアルキレンアルケニルアミンと無機酸との塩等が挙げられる。無機酸としては、例えばリン酸が挙げられる。
(イオン性界面活性剤)
イオン性界面活性剤としては、上記有機リン酸エステル化合物(B)を除いたアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、2級アルキルスルホン酸塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩、(2)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにEO及びPOから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(4)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(5)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(6)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、ドデセニルコハク酸塩等の脂肪酸塩、(7)ジオクチルスルホコハク酸塩、ジデシルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、例えばベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
処理剤中のその他成分(E)の含有量は特に制限されないが、処理剤中において、その他成分(E)は、合計で10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。言い換えれば、処理剤中のベース成分(A)及び有機リン酸エステル化合物(B)の含有量は、合計で90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
<第2実施形態>
本発明に係る弾性繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の弾性繊維は、第1実施形態の処理剤が付着している弾性繊維である。弾性繊維に対する第1実施形態の処理剤(溶媒を含まない)の付着量は、特に制限はないが、本発明の効果をより向上させる観点から0.1質量%以上10質量%以下の割合で付着していることが好ましい。
弾性繊維としては、特に制限はないが、例えばポリエステル系弾性繊維、ポリアミド系弾性繊維、ポリオレフィン系弾性繊維、ポリウレタン系弾性繊維等が挙げられる。これらの中でもポリウレタン系弾性繊維が好ましく、さらにこの中でも溶融紡糸法で紡糸されたポリウレタン系弾性繊維が好ましい。かかる場合に本発明の効果の発現をより高くすることができる。
ここで、弾性繊維とは、弾力性に富んだ繊維であって、引張り応力を付与すると伸長することができるとともに、引張り応力が解除されると元の長さに戻る繊維を意味するものとする。弾性繊維は、エラストマー繊維と言い換えることができる。
本実施形態の弾性繊維の製造方法は、第1実施形態の処理剤を紡糸工程で弾性繊維に給油することにより得られる。処理剤の給油方法としては、希釈することなくニート給油法により、弾性繊維の紡糸工程において弾性繊維に付着させる方法が好ましい。付着方法としては、例えばローラー給油法、ガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が適用できる。
本実施形態に適用される弾性繊維自体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造が可能である。例えば湿式紡糸法、溶融紡糸法、乾式紡糸法等が挙げられる。これらの中でも、溶媒を使用しないことで作業環境への負荷が少ない点、より安価に製造ができる観点から溶融紡糸法が好ましく適用される。
紡糸工程における弾性繊維の巻き取り速度に特に制限はないが、500/min以上の高速紡糸であることが好ましい。紡糸工程での巻き取り速度は、1000m/min以上10000m/min以下であることがより好ましい。
<作用及び効果>
第1実施形態の処理剤、及び第2実施形態の弾性繊維の作用について説明する。
処理剤は、酸価/全アミン価>1.00となる有機リン酸エステル化合物(B)を含有する。この有機リン酸エステル化合物(B)は、構造中に反応性の水酸基を有している。また、有機リン酸エステル化合物(B)は、反応性の有機アミン(B3)も含んでいる。これらの反応性成分が弾性繊維表面と相互作用をすることによって、弾性繊維同士を適度に膠着させ、弾性繊維の形状保持性を向上させることが可能になる。
第1実施形態の処理剤、及び第2実施形態の弾性繊維によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)処理剤は、シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有する。有機リン酸エステル化合物(B)は、式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)、及び式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物である。また、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満である。また、電位差滴定法により有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00である。
したがって、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。
(2)酸価及び全アミン価の比が、1.82≧酸価/全アミン価≧1.05である。したがって、パッケージからの弾性繊維の解舒性をより向上させることができる。
(3)式(1)におけるR、式(2)におけるR、及び式(2)におけるRが、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基である。したがって、処理剤の油剤安定性をより向上させることができる。
(4)有機リン酸エステル化合物(B)は、式(1)におけるRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B1)を含有する。また、式(2)におけるRO(AO)、及びRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有する。したがって、処理剤が付着した弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
(5)有機アミン(B3)が3級アミンであって、当該3級アミンに置換している3つの置換基の内、少なくとも1つの置換基が上記の置換基1であり、残り2つの置換基が上記の置換基1又は上記の置換基2である。したがって、処理剤を付着させた弾性繊維の制電性をより向上させることができる。また、弾性繊維に対する処理剤の均一付着性をより向上させることができる。
(6)有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が25%以上75%以下である。したがって、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性をより向上させることができる。また、処理剤を付着させた弾性繊維の制電性をより向上させることができる。
(7)弾性繊維用処理剤の不揮発分中における前記有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が、0.01質量%以上30質量%以下である。したがって、パッケージからの弾性繊維の解舒性を向上させることができる。
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態、及び、以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
本実施形態の処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤、帯電防止剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常処理剤に用いられる成分をさらに配合してもよい。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
試験区分1(有機リン酸エステル化合物(B)の調製)
以下の方法により、表1に示す有機リン酸エステル化合物(B-1)を合成した。まず、2Lフラスコに、2-ヘキシルデカノール670gを加え、攪拌しながら50℃以上70℃以下の範囲で五酸化二リン130gを徐々に添加した。その後、70℃以上80℃以下の範囲で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、中和剤としてN,N-ジブチルエタノールアミンを43g添加した。その後、100℃で2時間減圧脱水した。得られた有機リン酸エステル化合物(B-1)は、Rが2-ヘキシルデカノールから水酸基を除いた残基である有機リン酸エステル(B1)を含んでいた。また、R及びRが2-ヘキシルデカノールから水酸基を除いた残基である有機リン酸エステル(B2)を含んでいた。
有機リン酸エステル化合物(B-1)の酸価及び全アミン価を前述の方法で測定したところ、酸価が60.0、全アミン価が50.4であり、酸価/全アミン価の比は1.19であった。有機リン酸エステル化合物(B-1)のP核NMRを前述の方法で測定したところ、B1に帰属されるP核NMRの積分比率は40%であり、B2に帰属されるP核NMRの積分比率は60%であった。
有機リン酸エステル化合物(B-2)~(B-38)、(rB-1)~(rB-7)の合成は、有機リン酸エステル化合物(B-1)の合成方法に沿いつつ、各原料の種類、配合、及び反応時間を調整して行った。
有機リン酸エステル化合物(B-1)~(B-38)、(rB-1)~(rB-7)に含有される有機リン酸エステル(B1)、有機リン酸エステル(B2)、及び有機アミン(B3)の詳細について、表1の「有機リン酸エステル(B1)」欄、「有機リン酸エステル(B2)」、「有機アミン(B3)」欄に示す。また、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率、及びP核NMR積分比率について、表1の「有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率」欄、「有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率」欄にそれぞれ示す。
表1において、「C数」は、炭素数を意味する。また、「EO」は、オキシエチレンを意味する。なお、表1において、rB-4、rB-7は、どちらも有機アミン(B3)を含まないため、全アミン価はゼロとなる。そのため、酸価/全アミン価の比率は算出不可であった。
表1の有機アミン(B3)の詳細を表2に示す。なお、上述のとおり、アンモニアは有機アミン(B3)に含まれないものとする。
表1において、有機リン酸エステル化合物(B)における酸価/全アミン価の比は、以下の方法で有機リン酸エステル化合物(B)の酸価と全アミン価とを測定して求めた。
(酸価の測定方法)
メチルアルコール等の溶剤に有機リン酸エステル化合物(B)を溶解した試料を作製した。この試料に、0.1mol/L水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液を用いて、自動電位差滴定装置(メトラー社製DL-40GP)で電位差滴定を行った。中和終点の滴定量(mL)を測定し、下記数式(1)より酸価を算出した。
数式(1)において、
F1:0.1mol/L水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液の滴定量(mL)
G1:0.1mol/L水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液のファクター
H:有機リン酸エステル化合物(B)の採取量(g)
(全アミン価の測定方法)
氷酢酸に有機リン酸エステル化合物(B)を溶解した試料を作製した。この試料に、0.1mol/L過塩素酸・酢酸標準溶液を用いて、自動電位差滴定装置(メトラー社製DL-40GP)で電位差滴定を行った。中和終点の滴定量(mL)を測定し、下記数式(2)より全アミン価を算出した。
数式(2)において、
F2:0.1mol/L過塩素酸・酢酸標準溶液の滴定量(mL)
G2:0.1mol/L過塩素酸・酢酸標準溶液のファクター
H:有機リン酸エステル化合物(B)の採取量(g)
有機リン酸エステル化合物(B)が、複数種類の有機リン酸エステル化合物(B)を含有する場合は、各有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比を算出した後、含有比率から全体の酸価/全アミン価の比を求めてもよい。また、複数種類の有機リン酸エステル化合物(B)を含有した状態で、酸価/全アミン価の比を算出してもよい。
表1において、有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率は、以下の方法で求めた。
(P核NMRの測定方法)
まず、有機リン酸エステル化合物(B)に対して、アルカリとしてラウリルアミンを過剰量添加して前処理を行った。前処理を行った試料に対して、31P-NMRを測定して、有機リン酸エステル(B1)、有機リン酸エステル(B2)に帰属される各P核積分値を求めた。なお、P核積分値は、31P-NMR(VALIAN社製の商品名;MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)の測定値を用いた。測定溶媒には重クロロホルムを用いた。下記数式(3)、及び数式(4)に基づき、有機リン酸エステル(B1)、及び有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMRの積分比率(%)を求めた。
数式(3)において、
B1_P%:有機リン酸エステルB1に帰属されるP核NMRの積分比率
B1_P:有機リン酸エステルB1に帰属されるP核NMRの積分値
B2_P:有機リン酸エステルB2に帰属されるP核NMRの積分値
数式(4)において、
B2_P%:有機リン酸エステルB2に帰属されるP核NMRの積分比率
B1_P:有機リン酸エステルB1に帰属されるP核NMRの積分値
B2_P:有機リン酸エステルB2に帰属されるP核NMRの積分値
有機リン酸エステル化合物(B)が、複数種類の有機リン酸エステル(B1)を含有する場合は、各有機リン酸エステル(B1)のP核NMR積分比率を算出した後、含有比率から全体のP核NMR積分比率を求めてもよい。また、複数種類の有機リン酸エステル(B1)を含有した状態で、P核NMR積分比率を算出してもよい。
試験区分2(弾性繊維用処理剤の調製)
各実施例、各比較例に用いた処理剤は、表3~5に示される各成分を使用し、下記調製方法により調製した。
平滑油として表3に示したベース成分(A-1)46.8質量部、ベース成分(A-4)50質量部、有機リン酸エステル化合物(B-1)0.94質量部、有機リン酸エステル化合物(B-2)1.06質量部、及び、その他成分(E-1)1.2質量部をよく混合した。混合して均一にすることで実施例1の処理剤を調製した。
実施例2~42、及び比較例1~8は、実施例1と同様にしてベース成分(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、その他成分(E)を表3~5に示した割合で混合することで処理剤を調製した。
各例の処理剤中におけるベース成分(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び、その他成分(E)の種類を、表3~5の「ベース成分(A)」欄、「有機リン酸エステル化合物(B)」欄、「その他成分(E)」欄にそれぞれ示す。また、各成分の含有割合の合計を100質量部とした場合における質量部も示す。また、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率、及びP核NMR積分比率について、表3~5の「有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率」欄、「有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR積分比率」欄にそれぞれ示す。
なお、表3~5において、「部」は質量部を意味する。
表3~5に記載するA-1~A-7、E-1~E-3の詳細は以下のとおりである。
(ベース成分(A))
A-1:25℃における動粘度が10mm/sであるジメチルシリコーン
A-2:25℃における動粘度が15mm/sであるジメチルシリコーン
A-3:25℃における動粘度が100mm/sであるジメチルシリコーン
A-4:40℃における動粘度が10mm/sである鉱物油
A-5:40℃における動粘度が37mm/sである鉱物油
A-6:オレイン酸オレイル
A-7:ソルビタンモノオレアート
(その他成分(E))
E-1:アミノ変性シリコーンレジン(MQ比が0.8)
E-2:ジブチルエタノールアミン
E-3:ジデシルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩
なお、表4の実施例30では、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩(E-3)の含有割合は15質量部である。表5の比較例1では、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩(E-3)の含有割合は25質量部である。
試験区分3(弾性繊維の製造)
試験区分2で調製した処理剤を用いて、弾性繊維を製造した。
分子量1000のポリテトラメチレングリコールとジフェニルメタンジイソシアネートとから得られたポリウレタン系エラストマーを溶融紡糸し、ポリウレタン系弾性繊維を得た。巻き取り前の延伸ローラーと巻き取り部との間に位置する給油ガイドから、試験区分2で調製した処理剤をガイドオイリング法でニート給油した。引き続いて、処理剤を付与したポリウレタン系弾性繊維を、巻き取り速度500m/minの条件で、長さ58mmの円筒状紙管に巻き取った。
巻き取りは、巻き幅38mmを与えるトラバースガイドを介して、サーフェイスドライブの巻取機を用いて行った。この巻き取りによって、溶融紡糸ポリウレタン系弾性繊維のパッケージ500gを得た。処理剤の付着量の調節は、給油ガイドへの送液量を調整することで何れも5質量%となるように行った。
試験区分4(評価)
実施例1~42、及び比較例1~8の処理剤について、油剤安定性、処理剤を付着させた弾性繊維の解舒性、形状保持性、制電性、及び均一付着性を評価した。各試験の手順について以下に示す。また、試験結果を表3~5の「油剤安定性」欄、「解舒性」欄、「形状保持性」欄、「制電性」欄、及び「均一付着性」欄にそれぞれ示す。
(油剤安定性)
表3~5に記載した実施例1~42、及び比較例1~8の処理剤を、200mLの透明ポリ瓶に150gずつ入れた。25℃のインキュベーターにて3カ月静置した。静置後の処理剤について、外観を観察した。下記の基準に基づき油剤安定性を評価した。
・油剤安定性の評価基準
◎(良好):沈殿や分離が無く、調製時と同様に均一な状態を保っている。
○(可):ごくわずかに沈殿を生じるが、攪拌によって調製時と同様に均一な状態に復元する。
×(不可):沈殿又は分離が生じ、攪拌によって均一な状態に復元しない。
(解舒性)
第1駆動ローラーとこれに常時接する第1遊離ローラーとで送り出し部を形成した。また、第2駆動ローラーとこれに常時接する第2遊離ローラーとで巻き取り部を形成した。送り出し部と巻き取り部の間隔を、水平方向に沿って約20cmとした。
試験区分3で作製したパッケージ(500g巻き)を第1駆動ローラーに装着した。第1駆動ローラーを駆動させてポリウレタン系弾性繊維を送り出すとともに、第2駆動ローラーを駆動させてポリウレタン系弾性繊維を巻き取った。パッケージの糸巻の厚さが2mmになるまで解舒した。
その際、第1駆動ローラーの送り出し速度を50m/minで固定する一方、第2駆動ローラーの巻き取り速度を50m/minより徐々に上げて、ポリウレタン系弾性繊維をパッケージから強制解舒した。この強制解舒において、送り出し部と巻き取り部との間でポリウレタン系弾性繊維の踊りがなくなる時点、言い換えれば、糸の挙動が不安定にならず、スムーズにパッケージから送り出されるようになる時点での巻き取り速度V(m/min)を測定した。下記の式から解舒性(%)を求め、下記の基準で評価した。
解舒性(%)=(V-50)×2
・解舒性の評価基準
◎(良好):解舒性が150%未満
○(可):解舒性が150%以上、180%未満
×(不可):解舒性が180%以上
なお、解舒性の評価基準において、解舒性が150%未満であると、糸切れの発生は無く、安定した状態で解舒することが可能になる。解舒性が150%以上、180%未満であると、糸の引き出しに若干の抵抗があるものの、糸切れの発生は無く、操業に問題はない。解舒性が180%以上であると、糸の引き出し時の抵抗がより大きくなり、糸切れも発生して操業に問題が生じる。
(形状保持性)
20デニールのポリウレタン系弾性繊維を紡糸し、ガイド給油法にて処理剤を5.0質量%付着させた。巻き取り速度が550m/minの条件で巻き取った。
図1に示すように、巻き取りは、長さ57mmの円筒状紙管11に、巻き幅42mmを与えるトラバースガイド(図示省略)を介して、サーフェイスドライブの巻取機(図示省略)を用いて行い、500gのパッケージ10を作製した。得られたパッケージ10について、巻き幅の最大値(Wmax)と最小幅(Wmin)を計測し、双方の差から下記の式でバルジを求めた。下記の基準で評価した。
バルジ=(Wmax-Wmin)
・形状保持性の評価基準
◎(良好):バルジが3mm未満である場合
○(可):バルジが3mm以上、且つ6mm未満である場合
×(不可):バルジが6mm以上である場合
(制電性)
試験区分3で作製した、処理剤を付与した紡糸直後の弾性繊維5gの電気抵抗を、25℃×40%RHの雰囲気下で測定した。測定には、電気抵抗測定器(東亜電波工業社製のSM-5E型)を用いた。測定値を下記の基準で評価した。
・制電性の評価基準
◎(良好):電気抵抗値が、1.0×10Ω未満の場合
〇(可):電気抵抗値が、1.0×10Ω以上且つ1.0×10Ω未満の場合
×(不可):電気抵抗値が、1.0×10Ω以上の場合
(均一付着性)
摩擦測定メーター(エイコー測器社製、SAMPLE FRICTION UNIT MODEL TB-1)を用いた。2つのフリーローラー間に直径1cmで表面粗度2Sのクロムメッキ梨地ピンを配置した。
試験区分3で、製造したパッケージからポリウレタン系弾性繊維を引き出し、クロムメッキ梨地ピンに対して接触角度が90度となるようにセットした。
25℃で60%RHの条件下、入側で初期張力(T)5gをかけ、100m/minの速度で走行させたときの出側の2次張力(T)を0.1秒毎に1分間測定した。この時のTの標準偏差を求め、下記の基準で評価した。
・油剤均一付着性の評価基準
◎(良好):標準偏差が1.5未満である場合
○(可):標準偏差が1.5以上2.0未満である場合
×(不可):標準偏差が2.0以上でる場合
なお、標準偏差が1.5未満である場合は、油剤が均一に付着しており、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動が少ない。
標準偏差が1.5以上2.0未満である場合は、油剤がほぼ均一に付着しており、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動はあるが操業に問題はない。
標準偏差が2.0以上である場合は、油剤が均一に付着しておらず、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動が大きく操業に問題が生じる。
表5より、比較例1の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩(E-3)の含有割合が25質量部であり、油剤安定性、及び形状保持性が劣っていた。
比較例2の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)を含有しておらず、形状保持性、及び制電性が劣っていた。
比較例3の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比が本発明の数値範囲から外れており、油剤安定性、形状保持性、及び制電性が劣っていた。
比較例4の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)を含有しておらず、また、その他成分(E)として、ジブチルエタノールアミンを含有しており、油剤安定性、形状保持性、及び制電性が劣っていた。
比較例5の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)の酸価/全アミン価の比率が本発明の数値範囲から外れていた。また、R、R、及びRが、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基ではなく、油剤安定性、形状保持性、制電性、及び均一付着性が劣っていた。
比較例6~8の処理剤は、有機リン酸エステル化合物(B)を含有しておらず、油剤安定性、解舒性、形状保持性、制電性、及び均一付着性が劣っていた。
一方、本発明の処理剤によれば、処理剤を付着させた弾性繊維の形状保持性を向上させることができる。また、油剤安定性、解舒性、制電性、及び均一付着性も向上させることができる。
10…パッケージ、11…円筒状紙管。

Claims (8)

  1. シリコーン油、鉱物油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(A)と、有機リン酸エステル化合物(B)とを含有し、
    前記有機リン酸エステル化合物(B)が、下記の式(1)で示される有機リン酸エステル(B1)及び下記の式(2)で示される有機リン酸エステル(B2)から選ばれる少なくとも1つと、有機アミン(B3)と、の部分中和物であり、
    前記有機リン酸エステル化合物(B)100質量部に対するジアルキルスルホコハク酸エステル塩の含有割合が20質量部未満であり、
    電位差滴定法により前記有機リン酸エステル化合物(B)から検出される酸価及び全アミン価の比が、酸価/全アミン価>1.00であることを特徴とする弾性繊維用処理剤。
    (化1において、
    :炭素数8以上32以下のアルキル基。
    O:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
    a:0以上15以下の整数。)
    (化2において、
    ,R:炭素数8以上32以下のアルキル基。
    O,AO:炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基。
    b、c:0以上15以下の整数。)
  2. 前記酸価及び前記全アミン価の比が、1.82≧酸価/全アミン価≧1.05である請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
  3. 前記式(1)におけるR、前記式(2)におけるR、及び前記式(2)におけるRが、ゲルベアルコールから水酸基を除いた残基である請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
  4. 前記有機リン酸エステル化合物(B)は、前記式(1)におけるRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B1)を含有するとともに、前記式(2)におけるRO(AO)、及びRO(AO)が異なる二種類以上の有機リン酸エステル(B2)を含有する請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
  5. 前記有機アミン(B3)が3級アミンであって、当該3級アミンに置換している3つの置換基のうち、少なくとも1つの置換基が下記の置換基1であり、残り2つの置換基が下記の置換基1又は下記の置換基2である請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
    置換基1:炭素数1以上10以下のヒドロキシアルキル基。
    置換基2:炭素数1以上10以下のアルキル基、又は2個以上15個以下の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基から形成されたポリオキシアルキレン基。
  6. アルカリ過中和前処理した前記有機リン酸エステル化合物(B)のP核NMR測定において、前記有機リン酸エステル(B1)、及び前記有機リン酸エステル(B2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記有機リン酸エステル(B1)に帰属されるP核NMR積分比率が25%以上75%以下である請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
  7. 前記弾性繊維用処理剤の不揮発分中における前記有機リン酸エステル化合物(B)の含有割合が、0.01質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の弾性繊維用処理剤が付着していることを特徴とする弾性繊維。
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