JP2023107413A - ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、2液型塗料組成物、並びに、塗膜 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、2液型塗料組成物、並びに、塗膜 Download PDF

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貴史 小山
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Munenobu Inoue
大智 小俣
Daichi Komata
昇紀 阿部
Shoki Abe
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Abstract

【課題】水分散安定性に優れるとともに、優れた硬度を有する塗膜を形成可能な塗料組成物を得ることができる、ポリイソシアネート組成物。【解決手段】下記式(1)で表される化合物(a)、有機ポリイソシアネート(b)及び第三級アミン(c)の反応生成物である、変性イソシアネート(A)を含む、ポリイソシアネート組成物。TIFF2023107413000019.tif7149[式(1)中、R1は、炭素数2~4のアルカンジイル基を示し、Xは、スルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物及びその製造方法、2液型塗料組成物、並びに、塗膜に関する。
従来、接着剤、塗料等に使用される硬化性組成物の成分として、ポリイソシアネートが知られている。一般的に知られているポリイソシアネートは疎水性を有しているが、近年、環境負荷の軽減等の観点で溶媒として水を使用した水性塗料が用いられるようになってきていることから、疎水性のポリイソシアネートに対して水中での分散安定性(水分散安定性)を付与する手法が検討されている。
例えば、特許文献1には、ポリイソシアネート(例えばイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート)を、ノニオン性の親水性ポリエーテルアルコールにより変性することで、水に乳化させ、分散させる手法が開示されている。しかし、この手法には、高速攪拌等による強いせん断力を適用することによって、ポリイソシアネートを水性媒体に均一に組み込まなければならないという問題点がある。また、ノニオン性の親水性ポリエーテルアルコールが有するポリエーテル構造に起因して、塗膜の硬度が下がるという問題点もある。
これに対し、例えば、特許文献2では、親水化剤としてアニオン性親水基含有アミンを用いてポリイソシアネートを変性させることが提案されている。
特開昭61-291613号公報 特表2003-533566号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の手法で得られる変性ポリイソシアネートの水分散安定性は依然として充分とは言い難く、該変性ポリイソシアネートの水分散安定性を高めようとすると、塗膜の硬度が不充分となるという問題がある。
そこで、本発明は、水分散安定性に優れるとともに、優れた硬度を有する塗膜を形成可能な水性の塗料組成物を得ることができる、ポリイソシアネート組成物を提供することを主な目的とする。
本発明は、下記[1]~[12]を提供する。
[1] 下記式(1)で表される化合物(a)、有機ポリイソシアネート(b)及び第三級アミン(c)の反応生成物である、変性イソシアネート(A)を含む、ポリイソシアネート組成物。
Figure 2023107413000001

[式(1)中、Rは、炭素数2~4のアルカンジイル基を示し、Xは、スルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基を示す。]
[2] 前記式(1)中のRが、エタン-1,2-ジイル基である、[1]に記載のポリイソシアネート組成物。
[3] 前記(b)成分中のイソシアネート基の含有量が、10~35質量%である、[1]又は[2]に記載のポリイソシアネート組成物。
[4] 前記(b)成分が、芳香環を有しない有機ポリイソシアネートである、[1]~[3]のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物。
[5] 前記(b)成分が、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体及びアロファネート変性体、並びに、脂環族ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体及びアロファネート変性体からなる群より選択される少なくとも一種を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物。
[6] 前記(c)成分が、第三級モノアミンである、[1]~[5]のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物。
[7] アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物(e)を更に含む、[1]~[6]のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物。
[8] 前記(a)成分、前記(b)成分、前記(c)成分及び下記式(2)で表される化合物(d)の反応生成物である、変性イソシアネート(B)を更に含む、[1]~[7]のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物。
Figure 2023107413000002

[式(2)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、nは、5~30の整数を示す。]
[9] アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物(e)を含む溶媒中で、下記式(1)で表される化合物(a)と、有機ポリイソシアネート(b)と、第三級アミン(c)とを反応させる工程を含む、ポリイソシアネート組成物の製造方法。
Figure 2023107413000003

[式(1)中、Rは、炭素数2~4のアルカンジイル基を示し、Xは、スルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基を示す。]
[10] 前記溶媒中で、前記(a)成分と、前記(b)成分と、前記(c)成分と、下記式(2)で表される化合物(d)とを反応させる工程を含む、[9]に記載のポリイソシアネート組成物の製造方法。
Figure 2023107413000004

[式(2)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、nは、5~30の整数を示す。]
[11] 主剤を含む第1液と、[1]~[8]のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物を含む第2液と、を備える、2液型塗料組成物。
[12] [11]に記載の2液型塗料組成物から得られる塗膜。
本発明によれば、水分散安定性に優れるとともに、優れた硬度を有する塗膜を形成可能な水性の塗料組成物を得ることができる、ポリイソシアネート組成物を提供することができる。
実施例1で得られたポリイソシアネート組成物のH-NMRスペクトルである。
特許文献2では、アニオン性親水基含有アミンとして第一級アミン(例えば、タウリン)を用いることも検討されている。しかしながら、タウリンのような第一級アミンは、極めて高い親水性を有していることから、該第一級アミンと疎水性の有機ポリイソシアネートとを反応させる手法の開発には至っていなかった。
一方、本発明者らは、上記第一級アミンを用いて有機ポリイソシアネートを親水化することができれば、従来のアニオン性親水基含有アミンを用いる場合と比較して、水分散安定性と塗膜の硬化物性とを高度に両立できると考え、検討を行った。その結果、第一級アミンと有機ポリイソシアネートとを反応させるにあたり、第三級アミンを使用すること、及び、反応溶媒として、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一種を含む溶媒を用いることで、これらの反応を進行させることができることを見出し、本件発明を完成させた。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
<ポリイソシアネート組成物>
一実施形態のポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートを含む組成物であり、下記式(1)で表される化合物(a)(以下、「(a)成分」ともいう。)、有機ポリイソシアネート(b)(以下、「(b)成分」ともいう。)及び第三級アミン(c)(以下、「(c)成分」ともいう。)の反応生成物である、変性イソシアネート(A)を少なくとも含む。
Figure 2023107413000005

[式(1)中、Rは、炭素数2~4のアルカンジイル基であり、Xは、スルホ基(-SOH)又はヒドロキシスルホニルオキシ基(-OSOH)を示す。]
(a)成分と(b)成分と(c)成分との反応では、一例として、まず、(a)成分と(c)成分との反応(中和反応)が生じ、(a)成分中のスルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基が(c)成分によって中和される。これにより、(a)成分のアミノ基(-NH)と(b)成分のイソシアネート基(-NCO)とが反応可能となる。次に、上記中和反応の後又は上記中和反応と並行して、(a)成分のアミノ基と(b)成分のイソシアネート基との反応が進行し、変性イソシアネート(A)が生成する。
上記反応の生成物である変性イソシアネート(A)は、(b)成分由来のイソシアネート基を1つ又は複数有するイソシアネートであり、(b)成分が有する複数のイソシアネート基の一部が(a)成分のアミノ基と反応することで形成されたウレア結合を有している。換言すれば、変性イソシアネート(A)は、(a)成分由来の構造((a)成分の反応残基)と、(b)成分由来の構造((b)成分の反応残基)とが、ウレア結合を介して結合してなる構造を有している。
変性イソシアネート(A)は、(a)成分由来のスルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基を有する。ただし、これらの基の一部又は全部は、(c)成分との反応により中和されて塩を形成していてよい。
上記ポリイソシアネート組成物は、上記変性イソシアネート(A)を含むことから、自己乳化が可能な組成物(自己乳化型組成物)であり、優れた水分散安定性を示す。そのため、上記ポリイソシアネート組成物によれば、光沢性に優れる塗膜を形成可能な水性の塗料組成物を得ることができる。また、上記ポリイソシアネート組成物を用いた水性の塗料組成物により形成される塗膜は、硬度にも優れる。ここで、水性の塗料組成物とは、塗膜形成時の溶媒として水系媒体(水又は水溶性溶剤)を用いる塗料組成物をいい、例えば、ポリイソシアネート組成物と、主剤と、水系媒体とを含む組成物である。
上記ポリイシアネート組成物が優れた水分散安定性を示すことは、例えば、ポリイソシアネート組成物と水(精製水)とを、1:9(ポリイソシアネート組成物:精製水)の質量比で、合計量が15mLとなるように混合してなる水分散体のD50粒子径(体積基準累積50%粒子径)によって確認することができる。本実施形態では、水分散体のD50粒子径が200nm以下であることが好ましい。なお、水分散体のD50粒子径の具体的な測定方法は実施例に記載の方法であってよい。
上記ポリイシアネート組成物を用いて得られる塗膜が優れた硬度を有することは、例えば、塗膜の25℃でのマルテンス硬度によって確認することができる。本実施形態では、JIS Z2255に準拠して測定される、上記ポリイシアネート組成物を用いて得られる塗膜の25℃でのマルテンス硬度が90N/mm以上であることが好ましい。
上記ポリイシアネート組成物を用いて得られる塗膜が優れた光沢性を有することは、例えば、塗膜の光沢度によって確認することができる。本実施形態では、JIS Z8741に準拠して測定される、光沢計の入射角が60°のときの塗膜の光沢度(光沢60°)が90以上であることが好ましい。
一実施形態のポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート組成物の水分散安定性の向上の観点から、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び下記式(2)で表される化合物(d)(以下、「(d)成分」ともいう。)の反応生成物である、変性イソシアネート(B)を更に含んでいてもよい。
Figure 2023107413000006

[式(2)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、nは、5~30の整数を示す。]
(a)成分と(b)成分と(c)成分と(d)成分との反応は、上記(b)成分のイソシアネート基と上記(d)成分のヒドロキシ基(-OH)とが反応してウレタン結合が形成されることを除き、(a)成分と(b)成分と(c)成分との反応と同様である。上記ウレタン結合の形成反応(ウレタン化反応)は、上記ウレア化反応と略同時に進行する。
変性イソシアネート(B)は、変性イソシアネート(A)と同様に、(b)成分由来のイソシアネート基を1つ又は複数有するイソシアネートであり、(b)成分が有する複数のイソシアネート基の一部が(d)成分のヒドロキシ基と反応することで形成されたウレタン結合を有していること、すなわち、(b)成分由来の構造((b)成分の反応残基)と、(d)成分由来の構造((d)成分の反応残基)とが、ウレタン結合を介して結合してなる構造を有している点を除き、変性イソシアネート(A)と同様の構造を有する。
上記ポリイソシアネート組成物は、変性イソシアネート(A)に加えて、(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよく、変性イソシアネート(A)及び変性イソシアネート(B)に加えて、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。これらの成分は、反応の原料として使用された成分であってよい。
上記変性イソシアネート(A)及び上記変性イソシアネート(B)は、反応溶媒として、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物(以下、(e)成分ともいう。)を含む溶媒を用いて得られる。したがって、ポリイソシアネート組成物は、(e)成分も含有し得る。ただし、ポリイソシアネート組成物は、(e)成分を含有しなくてもよい。
ポリイソシアネート組成物に含まれる、変性イソシアネート(A)の含有量は、ポリイソシアネート組成物の全質量を基準として、10質量%以上であってよく、34質量%以下、25質量%以下又は23質量%以下であってよく、10~34質量%、10~25質量%又は10~23質量%であってよい。
ポリイソシアネート組成物に含まれる、変性イソシアネート(B)の含有量は、ポリイソシアネート組成物の全質量を基準として、10質量%以上であってよく、22質量%以下、20質量%以下又は18質量%以下であってよく、10~22質量%、10~20質量%又は10~18質量%であってよい。
ポリイソシアネート組成物に含まれる(e)成分の含有量は、ポリイソシアネート組成物の全質量を基準として、5~50質量%であってよく、10~40質量%又は20~30質量%であってもよい。ただし、ポリイソシアネート組成物は、製造に使用された溶媒(例えば(e)成分)が減圧蒸留により除去されたものであってよく、(e)成分を含有しなくてもよい。
ポリイソシアネート組成物に含まれる(a)成分由来の第一級アミノ基及びウレア結合の合計量Cに対する、ポリイソシアネート組成物に含まれる(b)成分由来のイソシアネート基及びウレア結合の合計量Cの比(C/C)は、モル当量比で、12以上又は19以上であってよく、45以下であってよい。上記比(C/C)は、モル当量比で、好ましくは12~45であり、より好ましくは19~45である。ここで、ポリイソシアネート組成物に含まれる(a)成分由来の第一級アミノ基とは、未反応の(a)成分が有する第一級アミノ基である。また、ポリイソシアネート組成物に含まれる(b)成分由来のイソシアネート基とは、未反応の(b)成分が有するイソシアネート基及び一部のイソシアネート基が反応してウレア結合となっている(b)成分が有するイソシアネート基(例えば変性イソシアネート(A)が有するイソシアネート基)の両方を含むものである。
ポリイソシアネート組成物に含まれる(c)成分由来の第三級アミノ基の合計量Cに対する、ポリイソシアネート組成物に含まれる(a)成分由来のスルホ基及びヒドロキシスルホニルオキシ基の合計量Cの比(C/C)は、モル当量比で、0.2以上又は0.5以上であってよく、2.0以下又は1.5以下であってよい。上記比(C/C)は、貯蔵安定性の観点から、モル当量比で、好ましくは0.2~2.0であり、より好ましくは0.5~1.5である。ここで、ポリイソシアネート組成物に含まれる(c)成分由来の第三級アミノ基とは、未反応の(c)成分が有する第三級アミノ基及び反応した(c)成分が有する第三級アミノ基(例えば変性イソシアネート(A)が有する第三級アミノ基)の両方を含むものであり、組成物中で塩として存在しているものも含む。ポリイソシアネート組成物に含まれる(a)成分由来のスルホ基及びヒドロキシスルホニルオキシ基についても同様である。
ポリイソシアネート組成物に含まれる(d)成分由来のヒドロキシ基及びウレタン結合の合計量Cに対する、ポリイソシアネート組成物に含まれる(b)成分由来のイソシアネート基及びウレタン結合の合計量Cの比(C/C)は、モル当量比で、15以上又は21以上であってよく、37以下であってよい。上記比(C/C)は、より高い水分散安定性が得られやすくなる観点から、モル当量比で、好ましくは15~37であり、より好ましくは21~37である。ここで、ポリイソシアネート組成物に含まれる(d)成分由来のヒドロキシ基とは、未反応の(d)成分が有するヒドロキシ基である。
ポリイソシアネート組成物に含まれるイソシアネート基の含有量は、ポリイソシアネート組成物の全質量を基準として、18質量%以上であってよく、24質量%以下又は22質量%以下であってよく、18~24質量%であってよく、18~22質量%であってよい。ポリイソシアネート組成物に含まれるイソシアネート基の含有量が上記範囲であると、より高い水分散安定性及びより高い塗膜硬度が得られやすくなる。なお、上記含有量は、ポリイソシアネート組成物に含まれる全てのイソシアネート基含有化合物が有するイソシアネート基の合計量を意味し、「イソシアネート含量」(NCO含量)ということもある。
以下、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分について詳細に説明する。
((a)成分:式(1)で表される化合物)
(a)成分は、水中でアニオン性を有する化合物である。(a)成分は、アミノ基とスルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基とを連結するアルカンジイル基の炭素数がわずか2~4であり、水分子の接近を阻害する嵩高い置換基を有していないことから、(a)成分によれば、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、2-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)、2-(シクロヘキシルアミノ)ブタンスルホン酸(CABS)等といった従来知られているアニオン性親水化剤と比較して、より効果的に(b)成分に親水性を付与できることが期待される。
式(1)中のRで示されるアルカンジイル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、親水性をより効果的に付与する観点から、好ましくは直鎖状である。同様の観点から、アルカンジイル基の炭素数は、好ましくは2又は3であり、より好ましくは2である。アルカンジイル基の具体例としては、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基及び2-メチルプロパン-1,3-ジイル基が挙げられる。これらの中でも、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基及びブタン-1,4-ジイル基が好ましく、エタン-1,2-ジイル基及びプロパン-1,3-ジイル基がより好ましく、エタン-1,2-ジイル基が更に好ましい。
上記アルカンジイル基を有する(a)成分は、公知の化合物であり、市販品として入手可能である。具体的には、例えば、2-アミノエタンスルホン酸(タウリン)(例えば富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸水素2-アミノエチル(例えば東京化成工業株式会社製)、3-アミノプロパンスルホン酸(例えば富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸水素3-アミノプロパン(例えば重慶福騰医薬有限公司製)、4-アミノブタンスルホン酸(例えばSigma-Aldrich製)、硫酸水素4-アミノブタン(例えばAurora Fine Chemicals製)等が挙げられる。
(a)成分は、一種を単独で、又は、二種以上を組み合わせて使用可能である。
(a)成分は、分子内のスルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基の活性水素が分子内のアミノ基で中和されて、下記式(1A)又は式(1B)で表される内部塩を形成しうる。本明細書において、(a)成分は、このような内部塩も含むものとする。
Figure 2023107413000007

Figure 2023107413000008
((b)成分:有機ポリイソシアネート)
(b)成分は、イソシアネート基を複数有する有機化合物であり、通常、疎水性を有する。(b)成分としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネート、並びに、これらの変性体(変性ポリイソシアネート)が挙げられる。変性体としては、例えば、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体、ウレタン変性体、ビウレット変性体、ウレトイミン変性体、アシルウレア変性体等が挙げられる。(b)成分は、一種を単独で、又は、複数種を組み合わせて使用可能である。
[芳香族ポリイソシアネート]
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、及び、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、並びに、これらの中から選択される二種以上の混合物が挙げられる。混合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート/2,6-トリレンジイソシアネート混合物、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物等が挙げられる。
[芳香脂肪族ポリイソシアネート]
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、及びこれらの混合物;1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、及びこれらの混合物;ω,ω’-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン等が挙げられる。
[脂肪族ポリイソシアネート]
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-α,α’-ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2-イソシアネートエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、及び、2-イソシアネートプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、並びに、これらの中から選択される二種以上の混合物が挙げられる。
[脂環族ポリイソシアネート]
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、水添ダイマー酸ジイソシアネート、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、及び、水添テトラメチルキシレンジイソシアネート、並びに、これらの中から選択される二種以上の混合物が挙げられる。
(b)成分としては、耐候性に優れる観点では、芳香環を有しない有機ポリイソシアネートが好ましく用いられる。これらの中でも、塗膜の耐久性及び基材(被着材)に対する密着性がより良好となる観点では、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体及びアロファネート変性体、並びに、脂環族ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体及びアロファネート変性体からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、光沢性に優れる観点では、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート、及び/又は、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
(b)成分中のイソシアネート基の含有量(イソシアネート基の質量分率)は、塗膜硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性等の諸物性をより高度に発現させる観点から、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上である。(b)成分中のイソシアネート基の含有量は、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは24質量%以下である。これらの観点から、(b)成分中のイソシアネート基の含有量は、10~35質量%、15~30質量%、15~24質量%、20~24質量%等であってよい。
((c)成分:第三級アミン)
(d)成分は、NR313233で表される化合物である。R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を示す。R31、R32及びR33のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成していてもよい。
31、R32及びR33で示される炭化水素基の合計の炭素数は、例えば、3~12である。炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。置換基は、第三級アミノ基(-NR3435)であってもよい。すなわち、第三級アミンは、第三級ポリアミンであってもよい。ただし、第三級アミンは、イソシアネートに対する反応性を低くする観点から、好ましくは第三級モノアミン又は第三級ジアミンであり、より好ましくは第三級モノアミンである。同様の観点から、第三級アミンは、置換基を有しないことが好ましい。
第三級モノアミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネートに対する反応性をより低くする観点から、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及びN-メチルモルホリンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく用いられる。
第三級ジアミンとしては、1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパン、1,4-ビス(ジメチルアミノ)ブタン、N,N’-ジメチルピペラジン等が挙げられる。
((d)成分:式(2)で表される化合物)
(d)成分は、ノニオン性の親水性化合物(一官能アルコール)である。(d)成分は、ポリイソシアネート組成物の水分散安定性の向上に寄与する。
式(2)中のRで示される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基及びt-ブチル基を例示することができる。
式(2)中のnは、(d)成分の親水性がより高くなり、より高い水分散安定性が得られやすくなる観点及びより高い塗膜硬度が得られる観点から、好ましくは8~20である。
(d)成分としては、市販されているものを用いることができる。また、(d)成分として、ROH(式中のRは、式(2)中のRと同じ)とエチレンオキシドとから調製したものを用いてもよい。(d)成分の具体例は、メトキシポリエチレングリコールである。
((e)成分)
(e)成分としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらは一種を単独で、又は、二種以上を組み合わせて使用可能である。これらの中でも、硬度の観点では、テトラヒドロフランが好ましく、光沢の観点では、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドがより好ましく、ジメチルスルホキシドが更に好ましい。塗膜の乾燥性及び溶媒除去の容易性の観点では、アセトニトリル及びテトラヒドロフランが好ましく用いられる。
ポリイソシアネート組成物は、必要に応じて、上記以外の成分を更に含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、難燃剤、加水分解防止剤、潤滑剤、可塑剤、充填剤、貯蔵安定剤、基材湿潤剤、造膜助剤等の添加剤が挙げられる。
以上説明したポリイソシアネート組成物は、硬度が求められる塗膜用の水性塗料に好適に用いられ、特に、光沢、耐候性等が求められる塗膜用の水性塗料に好適に用いられる。水性塗料は、例えば、2液型の塗料であり、ウレタン樹脂形成性又はポリウレア樹脂形成性の塗料である。
<ポリイソシアネート組成物の製造方法>
上記実施形態のポリイソシアネート組成物は、(e)成分を含む溶媒中で、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、場合により(d)成分とを反応させる工程を含む方法により得ることができる。上記工程では、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分とが反応することにより、変性イソシアネート(A)が得られる。また、上記工程において(d)成分を用いる場合、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分との反応に加えて、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、(d)成分との反応が起こる。その結果、上記変性イソシアネート(A)に加えて、変性イソシアネート(B)が得られる。
上記工程は、例えば、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、(e)成分と、場合により(d)成分とを配合して反応液を得る工程と、該反応液中で、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、場合により(d)成分とを反応させる工程とを含んでいてよい。各成分の配合順序に特に制限はない。
(a)成分と(b)成分の配合量は、(a)成分が有する第一級アミノ基のモル当量qに対する(b)成分が有するイソシアネート基のモル当量qの比(q/q)が、12~45となる量であることが好ましく、19~45となる量であることがより好ましい。
(a)成分と(c)成分の配合量は、得られるポリイソシアネート組成物の貯蔵安定性の観点から、(a)成分が有するスルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基のモル当量qに対する(c)成分が有する第三級アミノ基のモル当量qの比(q/q)が、0.2~2.0となる量であることが好ましく、0.5~1.5となる量であることがより好ましい。
(b)成分と(d)成分の配合量は、より高い水分散安定性を有するポリイソシアネート組成物が得られやすくなる観点から、(d)成分が有するヒドロキシ基のモル当量qに対する(b)成分が有するイソシアネート基のモル当量qの比(q/q)が、15~37となる量であることが好ましく、21~37となる量であることがより好ましい。
溶媒(反応液)に、上述した添加剤を配合してもよい。添加剤の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜調整してよい。また、(d)成分に代えて、又は、(d)成分に加えて、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルモノアルコール等を、分散安定性が低下しない範囲で添加してもよい。この場合、ポリイソシアネート組成物は、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、場合により(d)成分と、上記化合物との反応生成物(変性イソシアネート)を更に含むこととなる。なお、添加剤は、反応後(例えば後述する減圧濃縮の後)に添加されてもよい。
上記各成分を反応させる条件は、特に限定されず、通常のウレタン化反応の条件を適用することができる。例えば、上記反応液中の各成分の反応を進行させるために、反応液を加熱してよい。加熱温度は、50~95℃であってよく、60~90℃であってもよく、70~85℃であってもよい。加熱は、攪拌しながら行ってよい。上記各成分の混合時にも加熱を行ってよい。上記加熱温度での保持時間(例えば攪拌時間)は、1~30時間であってよく、2~25時間であってもよく、3~22時間であってもよい。
上記工程では、(a)成分の一部、(b)成分の一部、(c)成分の一部及び(d)成分の一部が、未反応のまま反応液中に残存してもよい。この場合、未反応の成分は、除去されることなく、ポリイソシアネート組成物中に含まれてもよい。
反応後は、減圧濃縮等によって、反応生成物(変性イソシアネート)を含む溶液から溶媒及び/又は未反応の成分を除去してよい。
<2液型塗料組成物>
一実施形態の2液型塗料組成物は、主剤を含む第1液と、上記実施形態のポリイソシアネート組成物を含む第2液と、を備える。ポリイソシアネート組成物は、例えば、主剤の硬化剤である。第1液と第2液とは、通常、異なる容器に収容されて、保管及び運搬され、使用時に適当な混合比率で混合される。2液型塗料組成物は、例えば、ウレタン樹脂形成性又はポリウレア樹脂形成性の塗料組成物である。
主剤としては、常温(5~40℃)で液状の高分子化合物(樹脂等)が好ましく使用できる。主剤は、水に不溶又は親和性を有しない高分子化合物であってよく、水に可溶又はある程度の親和性を有する高分子化合物(例えば、水溶性樹脂及び水系エマルジョン)であってもよい。
主剤として用いられる高分子化合物は、分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基(以下、「求核基」という。)を有していることが好ましい。求核基を有する高分子化合物を使用した場合は、高分子化合物中の求核基とポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基とが反応して架橋構造が形成されるため、耐候性、耐溶剤性等が更に向上する。求核基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基及びアミノ基が挙げられる。高分子化合物は、一分子あたり2個以上の求核基を有することが好ましい。なお、求核基は、常温(5~40℃)でイソシアネート基と反応し得る基であってよい。
主剤として用いられる高分子化合物は、上記求核基を有していなくてもよい。このような場合であっても、最終的にはポリイソシアネート組成物が水と反応してポリウレア化合物となり、硬くて強靭な塗膜を得ることができる。また、ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基が被着材表面に存在する求核基と反応するため、被着材との密着性も向上する。
上記高分子化合物としては、例えば、飽和或いは不飽和ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、飽和或いは不飽和の脂肪酸変性アルキッドポリオール、アミノアルキッドポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、含フッ素ポリオール、飽和或いは不飽和ポリエステル樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースアセテートブチラート樹脂、含フッ素樹脂等が挙げられる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、水溶性エチレン-酢酸ビニル共重合体、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性リグニン誘導体、水溶性フッ素樹脂、水溶性シリコーン樹脂等が挙げられる。
水系エマルジョンは、いわゆるラテックス、エマルジョンと表現されるもの全てを包含する。水系エマルジョンとしては、例えば、スチレンブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリルブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタアクリレートブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックス等のゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリブタジエンラテックス、及び、これらのラテックスをカルボキシ変性したもの、並びに、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリルエマルジョン、シリコーンアクリルエマルジョン、酢酸ビニルアクリルエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。
上記の中でも、光沢、耐候性等の塗膜性能、及び、接着強度に優れる観点から、アクリルポリオール、アクリル樹脂、水溶性アクリル樹脂、アクリルエマルジョン、ウレタンアクリルエマルジョン及びポリウレタンエマルジョンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく用いられる。
主剤として用いられる高分子化合物の数平均分子量は、例えば1,000~1,000,000であり、10,000~100,000であってもよい。
第1液には、必要に応じて、上述したポリイソシアネート組成物に含まれ得る添加剤を更に含有させてもよい。
2液型塗料組成物は、水系媒体(水又は水溶性溶剤)を含んでいてもよい。水系媒体は、第1液及び第2液の一方又は両方に含まれていてよい。水溶性溶剤としては、例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。水系媒体は、水と水溶性溶剤との混合液であってもよい。水系媒体は、好ましくは水を含む。水系媒体に含まれる水の含有量は、水系媒体の全質量を基準として、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上である。水系媒体は水のみからなっていてもよい。
<塗膜>
一実施形態の塗膜は、上記実施形態の2液型塗料組成物から得られる塗膜であり、具体的には、例えば、2液型塗料組成物の第1液(主剤)と第2液(硬化剤)とを配合(混合)してなる混合物からなる膜の硬化物である。該硬化物は、例えば、変性イソシアネート(A)及び/又は変性イソシアネート(B)と主剤との反応生成物(ウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等)を含む。本実施形態の塗膜は、上記実施形態の2液型塗料組成物から得られることから、優れた硬度を有しており、光沢性にも優れる。
2液型塗料組成物の第1液と第2液との配合方法としては、(1)水系媒体を含む第1液と第2液とを混合し、ポリイソシアネート組成物を第1液中の水系媒体中に分散させる方法、(2)第2液を水系媒体と混合し、ポリイソシアネート組成物を水系媒体中に分散させてから、得られた水系分散液と第1液とを混合する方法、(3)第2液をウレタン分野で常用の溶剤と混合し、該溶剤にポリイソシアネート組成物を溶解させてから、得られた溶液と第1液とを混合する方法等が挙げられる。(1)の方法では、場合により第1液と第2液との混合液に水系媒体を配合して配合液粘度及び固形分を調整してよい。これらの中でも、(1)の方法、及び、(2)の方法が好ましい。第1液と第2液との混合には、ホモミキサー等の本技術分野において公知の攪拌装置を用いてよい。
第1液と第2液の配合比は、主剤として、水酸基価換算での求核基量が30mgKOH/g以上である高分子化合物を使用する場合、ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基と主剤中の求核基とのモル比が、9:1~1:9となる範囲であることが好ましく、6:4~4:6となる範囲であることがより好ましい。このような配合比とすることで、より優れた性能を有する塗膜を得ることができる。
第1液と第2液の配合比は、主剤として、求核基を有しない、又は、水酸基価換算での求核基量が30mgKOH/g未満である高分子化合物を使用する場合、質量比で5:5~9:1となる範囲であることが好ましく、7:3~9:1となる範囲であることがより好ましい。このような配合比とすることで、より優れた性能を有する塗膜を得ることができる。
2液型塗料組成物を用いた塗膜の形成は、従来行なわれている通常の塗装方法によって行うことができる。塗装には、エアレススプレー機、エアスプレー機、静電塗装機、浸漬、ロールコーター、ナイフコーター、ハケ等を用いることができる。塗膜の形成は、通常、第1液と第2液とを配合(混合)した後、得られた塗液を上記方法で被着材(塗装対象物)に適用することによって実施されるが、第1液及び第2液をそれぞれ被着材に適用することによって実施されてもよい。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例では、下記材料を用いた。
<有機ポリイソシアネート>
・コロネートHXLV(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(イソシアヌレート変性ポリイソシアネート)、イソシアネート基含有量:23.2質量%、東ソー株式会社製)
<第一級アミン>
・タウリン(2-アミノエタンスルホン酸、和光一級、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・硫酸水素2-アミノエチル(東京化成工業株式会社製)
・3-アミノプロパンスルホン酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・硫酸水素3-アミノプロパン(重慶福騰医薬有限公司製)
・4-アミノブタンスルホン酸(Sigma-Aldrich製)
・硫酸水素4-アミノブタン(Aurora Fine Chemicals製)
・CAPS(3-(シクロヘキシルアミノ)-プロパンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)
・CHES(3-(シクロヘキシルアミノ)-エタンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)
<第三級アミン>
・ジメチルシクロヘキシルアミン(試薬特級、東京化成工業株式会社製)
<ノニオン性親水性化合物>
・メトキシPEG(メトキシポリエチレングリコール、分子量400、東邦化学社製)
<溶媒>
・アセトニトリル(超脱水、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・テトラヒドロフラン(超脱水、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・N,N-ジメチルホルムアミド(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・ジメチルスルホキシド(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・酢酸エチル(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・トルエン(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)
<実施例1>
(ポリイソシアネート組成物の調製)
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた100mLの反応器に、コロネートHXLV(38.43g)と、タウリン(0.76g)と、ジメチルシクロヘキシルアミン(0.81g)と、アセトニトリル(40mL)と、を加えて反応液を得た後、該反応液を80℃で22時間攪拌した。次いで、攪拌後の反応液中に含まれるアセトニトリルと過剰量のジメチルシクロヘキシルアミンをロータリーエバポレーターにて減圧留去した。これにより、タウリン、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性イソシアネート(A))を含む、ポリイソシアネート組成物(P-1)を得た。ポリイソシアネート組成物(P-1)が上記変性イソシアネート(A)を含むことは、AVANCE II 400(Bruker社製)を用いて測定した、ポリイソシアネート組成物(P-1)のH-NMRスペクトルにより確認した。参考までに、得られたH-NMRスペクトルを図1に示し、その帰属を以下に示す。なお、ポリイソシアネート組成物(P-1)が上記変性イソシアネート(A)を含むことは、後述のD50粒子径が変化しなくなったこと(段々と小さくなり、その後略一定となったこと)、及び、イソシアネート含量(NCO含量)が21.7質量%まで減少したことからも確認された。
H‐NMR(400MHz,MeOD):δ3.87-3.83(m,36H),3.52(t,J=6.6Hz,2H),3.12-3.04(m,6H),2.91(t,J=6.6Hz,2H),2.79(s,6H),2.04-2.01(m,2H),1.93-1.90(m,2H),1.66-1.57(m,70H),1.66-1.57(m,5H),1.45-1.33(m,90H).
なお、上記反応の終点(反応液の攪拌時間)は、粒径測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックMT3300EX)を用いて測定されるD50粒子径及びJIS K6806に準じて測定されるイソシアネート含量により決定した。具体的には、D50粒子径が略一定となり、且つ、イソシアネート含量が21.7質量%(理論値)となる攪拌時間を求め、該攪拌時間が経過した時点を反応終点とした。
D50粒子径は、以下の方法で測定した。まず、攪拌後の反応液を減圧留去して得られる成分(例えばポリイソシアネート組成物(P-1))と精製水とを、30mLのサンプル瓶に、1:9(ポリイソシアネート組成物:精製水)の質量比で、合計量が15mLとなるように量りとった。次いで、サンプル瓶を密閉した後、20秒間で60回往復上下に振とうした。このようにして得られた水分散液(水分散体)の体積基準累積50%粒子径(D50粒子径)を求めた。
上記方法で測定されるポリイソシアネート組成物(P-1)の水分散体のD50粒子径は180nmであり、ポリイソシアネート組成物(P-1)のイソシアネート含量(NCO含量)は21.7質量%であった。
<実施例2~6>
タウリンに代えて、表1に示す第一級アミンを用いたこと、及び、各成分の配合量を表1に示す量に変更したことを除き、実施例1と同様にして、第一級アミン、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性イソシアネート(A))を含む、ポリイソシアネート組成物(P-2~P-6)を得た。また、ポリイソシアネート組成物(P-2~P-6)のイソシアネート含量(NCO含量)、及び、ポリイソシアネート組成物(P-2~P-6)の水分散体のD50粒子径を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
Figure 2023107413000009
<実施例7>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた100mLの反応器に、コロネートHXLV(37.62g)と、タウリン(0.76g)と、メトキシPEG(0.80g)と、ジメチルシクロヘキシルアミン(0.82g)と、アセトニトリル(40mL)とを加えて反応液を得た後、該反応液を80℃で22時間攪拌した。次いで、攪拌後の反応液中に含まれるアセトニトリルと過剰量のジメチルシクロヘキシルアミンをロータリーエバポレーターにて減圧留去した。これにより、タウリン、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性イソシアネート(A))、並びに、タウリン、メトキシPEG、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性イソシアネート(B))を含む、ポリイソシアネート組成物(P-7)を得た。また、ポリイソシアネート組成物(P-7)のイソシアネート含量(NCO含量)、及び、ポリイソシアネート組成物(P-7)の水分散体のD50粒子径を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
<実施例8>
タウリンに代えて硫酸水素2-アミノエチルを用いたこと、及び、各成分の配合量を表2に示す量に変更したことを除き、実施例7と同様にして、硫酸水素2-アミノエチル、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性イソシアネート(A))、並びに、硫酸水素2-アミノエチル、メトキシPEG、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性イソシアネート(B))を含む、ポリイソシアネート組成物(P-8)を得た。また、ポリイソシアネート組成物(P-8)のイソシアネート含量(NCO含量)、及び、ポリイソシアネート組成物(P-8)の水分散体のD50粒子径を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
<実施例9~11>
アセトニトリルに代えて、表2に示す溶媒を用いたこと、及び、各成分の配合量を表2に示す量に変更したことを除き、実施例1と同様にして、タウリン、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性イソシアネート(A))を含む、ポリイソシアネート組成物(P-9~P-11)を得た。実施例11では反応終了後、ろ過により未反応のタウリン(0.61g)が回収された。また、ポリイソシアネート組成物(P-9~P-11)のイソシアネート含量(NCO含量)、及び、ポリイソシアネート組成物(P-9~P-11)の水分散体のD50粒子径を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
Figure 2023107413000010
<比較例1>
タウリンに代えてCAPSを用いたこと、及び、各成分の配合量を表3に示す量に変更したことを除き、実施例1と同様にして、CAPS、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性ポリイソシアネート)を含む、ポリイソシアネート組成物(P-12)を得た。また、ポリイソシアネート組成物(P-12)のイソシアネート含量(NCO含量)、及び、ポリイソシアネート組成物(P-12)の水分散体のD50粒子径を実施例1と同様にして測定した。ポリイソシアネート組成物(P-12)のイソシアネート含量(NCO含量)は22.1質量%であり、D50粒子径は240nmであった。なお、本比較例1において、80℃での撹拌を追加で16時間行ったが、得られたポリイソシアネート組成物のD50粒子径は240nmのままであった。
<比較例2>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた500mLの反応器を用いたこと、タウリンに代えてCHESを用いたこと、及び、各成分の配合量を表3に示す量に変更したことを除き、実施例1と同様にして、CHES、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性ポリイソシアネート)を含む、ポリイソシアネート組成物(P-13)を得た。また、ポリイソシアネート組成物(P-13)のイソシアネートの含量(NCO含量)、及び、ポリイソシアネート組成物(P-13)の水分散体のD50粒子径を実施例1と同様にして測定した。ポリイソシアネート組成物(P-13)のイソシアネート含量(NCO含量)は、22.1質量%であり、D50粒子径は230nmであった。なお、本比較例2において、80℃での撹拌を追加で16時間行ったが、得られたポリイソシアネート組成物のD50粒子径は230nmのままであった。
<比較例3~6>
アセトニトリルに代えて、表3に示す溶媒を用いたことを除き、比較例1と同様にして、CAPS、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート及びジメチルシクロヘキシルアミンの反応生成物(変性ポリイソシアネート)を含む、ポリイソシアネート組成物(P-14~P-17)を得た。また、ポリイソシアネート組成物(P-14~P-17)のイソシアネート含量(NCO含量)、及び、ポリイソシアネート組成物(P-14~P-17)の水分散体のD50粒子径を実施例1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
Figure 2023107413000011
<比較例7>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた100mLの反応器に、コロネートHXLV(38.62g)と、タウリン(0.76g)と、ジメチルシクロヘキシルアミン(0.82g)と、酢酸エチル(40mL)と、を加えて反応液を得た後、該反応液を80℃で22時間攪拌した。タウリンは結晶状のまま沈降し、反応しなかった。
<比較例8>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた100mLの反応器に、コロネートHXLV(38.62g)と、タウリン(0.76g)と、ジメチルシクロヘキシルアミン(0.82g)と、トルエン(40mL)と、を加えて反応液を得た後、該反応液を80℃で22時間攪拌した。タウリンは結晶状のまま沈降し、反応しなかった。
<評価>
(水分散安定性評価)
上記で得られたポリイソシアネート組成物(P-1~P-17)の水分散安定性を以下の方法で評価した。
まず、ポリイソシアネート組成物と精製水とを、30mLのサンプル瓶に、1:9(ポリイソシアネート組成物:精製水)の質量比で、合計量が15mLとなるように量りとった。次いで、サンプル瓶を密閉した後、2,000rpmで1分間攪拌した。このようにして得られた水分散液(水分散体)を25℃で1時間放置した後、水分散液の分散状態を目視で観察し、以下の基準でポリイソシアネート組成物の水分散安定性を評価した。結果を表4~6に示す。
A:水分散液中に相分離及び沈殿が観察されなかった
B:水分散液中に相分離又は沈殿が観察された
(塗膜物性評価)
[評価用塗料組成物の調製]
上記で得られたポリイソシアネート組成物(P-1~P-17)を用いて、評価用塗料組成物を調製した。
具体的には、まず、主剤(アクリルエマルジョン、DIC株式会社製、WE-303、固形分:45質量%、水酸基価:固形分換算で84mgKOH/g)と、ポリイソシアネート組成物とを、イソシアネート基/水酸基=1.25(モル比)になるように配合した。得られた配合液に、固形分の全量が40質量%になるように水を加え、ホモミキサーを用いて2,000rpmで60秒間高速攪拌することにより、評価用塗料組成物を得た。
[塗膜の形成]
上記で得られた評価用塗料組成物を、アプリケーターを用いて鋼板に塗布した後、温度80℃の雰囲気下で10時間養生を行い、評価用塗膜を形成した。評価用塗膜の乾燥後の膜厚は40μmとした。
[光沢性評価]
JIS Z8741に準拠して、光沢計の入射角が60°のときの評価用塗膜の光沢度(光沢60°)を測定した。光沢計には、BYK社製のMicro-TRI-grossを用いた。光沢60°が高いほど、塗膜が優れた光沢性を有するといえる。結果を表4~6に示す。
[硬度評価]
微小硬さ試験機(フィッシャーインスツルメンツ社製のHM-2000)を用い、評価用塗膜の25℃でのマルテンス硬度を測定した。マルテンス硬度が高いほど、塗膜が優れた硬度を有するといえる。結果を表4~6に示す。
Figure 2023107413000012
Figure 2023107413000013
Figure 2023107413000014

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される化合物(a)、有機ポリイソシアネート(b)及び第三級アミン(c)の反応生成物である、変性イソシアネート(A)を含む、ポリイソシアネート組成物。
    Figure 2023107413000015

    [式(1)中、Rは、炭素数2~4のアルカンジイル基を示し、Xは、スルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基を示す。]
  2. 前記式(1)中のRが、エタン-1,2-ジイル基である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  3. 前記(b)成分中のイソシアネート基の含有量が、10~35質量%である、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  4. 前記(b)成分が、芳香環を有しない有機ポリイソシアネートである、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  5. 前記(b)成分が、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体及びアロファネート変性体、並びに、脂環族ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体及びアロファネート変性体からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  6. 前記(c)成分が、第三級モノアミンである、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  7. アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物(e)を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  8. 前記(a)成分、前記(b)成分、前記(c)成分及び下記式(2)で表される化合物(d)の反応生成物である、変性イソシアネート(B)を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
    Figure 2023107413000016

    [式(2)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、nは、5~30の整数を示す。]
  9. アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物(e)を含む溶媒中で、下記式(1)で表される化合物(a)と、有機ポリイソシアネート(b)と、第三級アミン(c)とを反応させる工程を含む、ポリイソシアネート組成物の製造方法。
    Figure 2023107413000017

    [式(1)中、Rは、炭素数2~4のアルカンジイル基を示し、Xは、スルホ基又はヒドロキシスルホニルオキシ基を示す。]
  10. 前記溶媒中で、前記(a)成分と、前記(b)成分と、前記(c)成分と、下記式(2)で表される化合物(d)とを反応させる工程を含む、請求項9に記載のポリイソシアネート組成物の製造方法。
    Figure 2023107413000018

    [式(2)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、nは、5~30の整数を示す。]
  11. 主剤を含む第1液と、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物を含む第2液と、を備える、2液型塗料組成物。
  12. 請求項11に記載の2液型塗料組成物から得られる塗膜。
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