JP2023106804A - 緩衝器 - Google Patents

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幹郎 山下
Mikiro Yamashita
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Abstract

Figure 2023106804000001
【課題】バルブ部材の耐久性を向上させることができる緩衝器を提供する。
【解決手段】シリンダ内に摺動可能に嵌装され、シリンダ内を2つの室に区画するピストンと、ピストンの移動によりシリンダ内の一方の室から作動流体が流れ出す通路201と、通路201に設けられ、内周側が、両面側からクランプされずに片面側のみ支持部材181により支持される撓み可能な板状のバルブ部材135と、バルブ部材135の移動を制限する移動制限部材142と、を備え、移動制限部材142は焼結または鍛造により形成され、移動制限部材142の軸方向のバルブ部材135側に、板状部材141が配される。
【選択図】図4

Description

本発明は、緩衝器に関する。
緩衝器には、ピストンの移動により作動流体が流通する通路に、内周側がクランプされずに片面側のみ支持される構造の区画ディスクを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許第6722683号公報
緩衝器においては、バルブ部材の耐久性を向上させることが求められている。
したがって、本発明は、バルブ部材の耐久性を向上させることができる緩衝器の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、該シリンダ内を2つの室に区画するピストンと、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の一方の室から作動流体が流れ出す通路と、前記通路に設けられ、内周側が、両面側からクランプされずに片面側のみ支持部材により支持される撓み可能な板状のバルブ部材と、前記バルブ部材の移動を制限する移動制限部材と、を備え、前記移動制限部材は焼結または鍛造により形成され、前記移動制限部材の軸方向の前記バルブ部材側に、板状部材が配される、構成とした。
本発明によれば、バルブ部材の耐久性を向上させることができる。
本発明に係る実施形態の緩衝器を示す断面図である。 本発明に係る実施形態の緩衝器のピストン周辺を示す部分断面図である。 本発明に係る実施形態の緩衝器のピストン、第1減衰力発生機構、第2減衰力発生機構および周波数可変機構を示す片側断面図である。 本発明に係る実施形態の緩衝器の周波数可変機構を示す部分拡大断面図である。
実施形態の緩衝器(Shock absorber)について、図面を参照しつつ以下に説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1~図3における上側を「上」とし、図1~図3における下側を「下」として説明する。
図1に示すように、実施形態の緩衝器1は複筒型の油圧緩衝器である。緩衝器1は車両のサスペンション装置に用いられるものである。緩衝器1は、作動流体としての油液(図示略)が封入されるシリンダ2を備えている。シリンダ2は内筒3と外筒4とを有している。内筒3は円筒状である。外筒4は有底の円筒状である。外筒4の内径は内筒3の外径よりも大径である。内筒3は外筒4の径方向の内側に配置されている。内筒3の中心軸線と外筒4の中心軸線とは一致する。内筒3と外筒4との間はリザーバ室6となっている。緩衝器1はカバー5を有している。カバー5は外筒4の上部開口側を覆っている。
外筒4は胴部材11と底部材12とを有している。胴部材11は円筒状である。底部材12は有底円筒状である。底部材12は、胴部材11の下部側に嵌合されて胴部材11に溶接により固定されている。底部材12は胴部材11の下部を閉塞している。底部材12には、その軸方向において胴部材11とは反対となる外側に取付アイ13が固定されている。カバー5は、胴部材11の上端開口部を覆いつつ胴部材11の外周面に固定されている。
緩衝器1はピストン18を備えている。ピストン18は、シリンダ2の内筒3内に摺動可能に嵌装されている。ピストン18は、内筒3内を上室19および下室20の2つの室に区画している。シリンダ2の軸方向において上室19はピストン18よりも底部材12とは反対側にある。シリンダ2の軸方向において下室20はピストン18よりも底部材12側にある。内筒3内の上室19および下室20内には作動流体としての油液が封入されている。内筒3と外筒4との間のリザーバ室6内には作動流体としての油液とガスとが封入されている。
緩衝器1はピストンロッド21を備えている。ピストンロッド21は、その軸方向における一端側がシリンダ2の内筒3内に配置されている。ピストンロッド21は、この一端部がピストン18に連結されている。ピストンロッド21は、その軸方向における、この一端部とは反対側の他端側がシリンダ2からシリンダ2の外部に延出している。ピストン18はピストンロッド21に固定されている。このため、ピストン18およびピストンロッド21は一体に移動する。緩衝器1は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす方向に移動する行程が、全長が伸びる伸び行程である。緩衝器1は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす方向に移動する行程が、全長が縮む縮み行程である。緩衝器1は、伸び行程においてピストン18が上室19側へ移動する。緩衝器1は、縮み行程においてピストン18が下室20側へ移動する。
内筒3の上端開口側および外筒4の上端開口側には、ロッドガイド22が嵌合されている。外筒4にはロッドガイド22よりも上側にシール部材23が嵌合されている。ロッドガイド22とシール部材23との間には摩擦部材24が設けられている。ロッドガイド22、シール部材23および摩擦部材24は、いずれも円環状である。ピストンロッド21は、ロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23のそれぞれに対して、これらの軸方向に沿って摺動する。ピストンロッド21は、シリンダ2の内部から、シール部材23よりもシリンダ2の外部側に延出している。
ロッドガイド22はピストンロッド21がシリンダ2の内筒3および外筒4に対して径方向に移動することを規制する。ロッドガイド22にピストンロッド21が嵌合されると共にピストン18が内筒3内に嵌合される。これにより、ピストンロッド21の中心軸線とシリンダ2の中心軸線とが一致する。ロッドガイド22はピストンロッド21をピストンロッド21の軸方向に移動可能に支持する。シール部材23は、その外周部が外筒4に密着する。シール部材23は、その内周部がピストンロッド21の外周部に密着する。ピストンロッド21は、シール部材23に対して密着状態を維持しつつシール部材23の軸方向に移動する。シール部材23は、内筒3内の油液と、リザーバ室6内の高圧ガスおよび油液とが外部に漏れ出すのを抑制する。摩擦部材24は、その内周部がピストンロッド21の外周部に接触する。ピストンロッド21は、摩擦部材24に対して摩擦部材24の軸方向に移動する。摩擦部材24はピストンロッド21に対する摩擦抵抗を発生させる。
ロッドガイド22は、その外周部が、下部よりも上部の方が大径となっている。ロッドガイド22は、小径の下部において内筒3の上端の内周部に嵌合する。ロッドガイド22は、大径の上部において外筒4の上部の内周部に嵌合する。外筒4の底部材12上にはベースバルブ25が設置されている。ベースバルブ25は外筒4に対して径方向に位置決めされている。ベースバルブ25は下室20とリザーバ室6とを区画している。ベースバルブ25に内筒3の下端の内周部が嵌合されている。外筒4の上端部は、図示は略すがその一部が外筒4の径方向における内側に加締められている。シール部材23は、この加締め部分とロッドガイド22とに挟まれることでシリンダ2に固定されている。
ピストンロッド21は主軸部27と取付軸部28とを有している。取付軸部28は、その外径が主軸部27の外径よりも小径である。取付軸部28はシリンダ2内に配置されている。取付軸部28にピストン18が取り付けられている。主軸部27は、軸段部29を有している。軸段部29は、主軸部27の軸方向における取付軸部28側の端部に設けられている。軸段部29は、ピストンロッド21の中心軸線に対して直交する方向に広がっている。ピストンロッド21には、取付軸部28の外周部に通路溝30が形成されている。通路溝30は、取付軸部28の軸方向に延びている。通路溝30は、取付軸部28の周方向に間隔をあけて複数形成されている。取付軸部28には、取付軸部28の軸方向における通路溝30よりも主軸部27とは反対側の端部の外周部にオネジ31が形成されている。
ピストンロッド21には、円環状のストッパ部材32と円環状の緩衝体33とが設けられている。ストッパ部材32および緩衝体33は、いずれも、主軸部27のピストン18とロッドガイド22との間の部分に設けられている。ストッパ部材32および緩衝体33は、内周側にピストンロッド21が挿入されている。ストッパ部材32は、加締められて主軸部27に固定されている。緩衝体33は、ストッパ部材32とロッドガイド22との間に配置されている。
緩衝器1は、例えばピストンロッド21のシリンダ2から突出する部分が上部に配置されて車両の車体に連結される。その際に、緩衝器1は、シリンダ2側に設けられた取付アイ13が下部に配置されて車両の車輪側に連結される。緩衝器1は、これとは逆に、シリンダ2側が車体に連結されるようにしても良い。この場合、緩衝器1は、ピストンロッド21が車輪側に連結される。
車両においては、その走行に伴って車体に対して車輪が振動する。すると、緩衝器1は、この振動に伴ってシリンダ2とピストンロッド21との位置が相対的に変化する。この変化は、緩衝器1に設けられた流路の流体抵抗により抑制される。以下で説明するとおり緩衝器1に設けられた流路の流体抵抗は、上記した振動の速度や振幅により異なるように作られている。緩衝器1が振動を抑制することにより、車両の乗り心地が改善される。
また、車両においては、シリンダ2とピストンロッド21との間に、車輪が車体に対して発生する振動の他に、車両の走行に伴って車体に発生する慣性力や遠心力も作用する。例えばハンドル操作により走行方向が変化することにより車体に遠心力が発生する。すると、この遠心力に基づく力がシリンダ2とピストンロッド21との間に作用する。以下で説明するとおり、緩衝器1は、車両の走行に伴って車体に発生する力に基づく振動に対して良好な特性を有している。緩衝器1によって車両に高い走行安定性が得られる。
図2に示すように、ピストン18はピストン本体35と摺動部材36とを有している。ピストン本体35は、金属製であり、円環状である。ピストン18は、ピストン本体35がピストンロッド21に嵌合される。摺動部材36は合成樹脂製であり、円環状である。摺動部材36はピストン本体35の外周面に一体的に装着されている。ピストン18は、摺動部材36が内筒3に接触した状態で内筒3に対して摺動する。
ピストン本体35には、通路穴37と通路溝38と通路穴39と通路溝40とが設けられている。通路穴37は、ピストン本体35をピストン本体35の軸方向に貫通している。通路穴37は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に間隔をあけて複数(図2においては断面とした関係上一箇所のみ図示)形成されている。通路穴39は、ピストン本体35をピストン本体35の軸方向に貫通している。通路穴39は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に間隔をあけて複数(図2においては断面とした関係上一箇所のみ図示)形成されている。ピストン本体35には、ピストン本体35の周方向において通路穴37と通路穴39とが一箇所ずつ交互に等ピッチで形成されている。
通路溝38は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に円環状をなして形成されている。通路溝38は、ピストン本体35の軸方向における一端部に形成されている。全ての通路穴37は、ピストン本体35の軸方向における、この一端部側が通路溝38に開口している。通路溝40は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に円環状をなして形成されている。通路溝40は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の他端部に形成されている。全ての通路穴39は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の端部が通路溝40に開口している。複数の通路穴37は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の端部が、ピストン本体35の径方向において通路溝40よりも外側に開口している。複数の通路穴39は、ピストン本体35の軸方向における通路溝40とは反対側の端部が、ピストン本体35の径方向において通路溝38よりも外側に開口している。ピストン18は、複数の通路穴37の内側と通路溝38の内側とが第1通路部43となっている。ピストン18は、複数の通路穴39の内側と通路溝40の内側とが第1通路部44となっている。
第1通路部43には第1減衰力発生機構41が設けられている。第1減衰力発生機構41は、第1通路部43を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力発生機構41は、ピストン18の軸方向における一端側である下室20側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。これにより、第1通路部43は、ピストン18の上室19側への移動によって上室19から下室20に向けて作動流体としての油液が流れ出す通路となる。つまり、第1通路部43は、伸び行程において上室19から下室20に向けて作動流体としての油液が流れ出す伸び側の通路である。第1減衰力発生機構41は、伸び行程において生じる第1通路部43から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構となっている。
第1通路部44には第1減衰力発生機構42が設けられている。第1減衰力発生機構42は、第1通路部44を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力発生機構42は、ピストン18の軸方向における他端側である上室19側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。これにより、第1通路部44は、ピストン18の下室20側への移動によって下室20から上室19に向けて油液が流れ出す通路となる。つまり、第1通路部44は、縮み行程において下室20から上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路である。第1減衰力発生機構42は、縮み行程において生じる第1通路部44から上室19への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構となっている。
ピストン本体35は、その径方向の中央に挿通穴45が、ピストン本体35の軸方向に貫通して形成されている。挿通穴45は、ピストンロッド21の取付軸部28を挿通させる。挿通穴45は小径穴部46と大径穴部47とを有している。大径穴部47は、小径穴部46よりも大径である。ピストン本体35は、その小径穴部46にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。挿通穴45の軸方向において大径穴部47は小径穴部46よりも下室20側にある。
ピストン本体35の軸方向の下室20側の端部にはバルブシート部48が形成されている。バルブシート部48は円環状である。バルブシート部48は、通路溝38の下室20側の開口よりもピストン本体35の径方向における外側に配置されている。バルブシート部48は、第1減衰力発生機構41の一部を構成する。
ピストン本体35の軸方向の上室19側の端部にはバルブシート部49が形成されている。バルブシート部49は円環状である。バルブシート部49は、通路溝40の上室19側の開口よりもピストン本体35の径方向における外側に配置されている。バルブシート部49は、第1減衰力発生機構42の一部を構成する。
ピストン本体35には、ピストン本体35の径方向におけるバルブシート部48の通路溝38とは反対側に、全ての通路穴39内の下室20側の開口が配置されている。ピストン本体35には、ピストン本体35の径方向におけるバルブシート部49の通路溝40とは反対側に、全ての通路穴37の上室19側の開口が配置されている。
図3に示すように、ピストン18の軸方向におけるバルブシート部48側には、ピストン18の軸方向においてピストン18側から順に、一枚のディスク51と、一枚の減衰バルブ52と、一枚のディスク53と、一枚のディスク54と、一つのパイロットケース55と、一枚のディスク56と、一枚のディスク57と、複数枚(具体的には3枚)のディスク58と、一枚のディスク59と、一枚のディスク60とが設けられている。ディスク51,53,54,56~60およびパイロットケース55は、いずれも金属製である。ディスク51,53,54,56~60は、いずれも一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク51,53,54,56~60は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。減衰バルブ52およびパイロットケース55は、いずれも円環状である。減衰バルブ52およびパイロットケース55は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。
パイロットケース55は有底筒状である。パイロットケース55には、その径方向における中央に貫通孔70が形成されている。貫通孔70はパイロットケース55をその軸方向に貫通している。パイロットケース55は、底部71と内側円筒状部72と外側円筒状部73と内側シート部74とバルブシート部75とを有している。
貫通孔70は大径穴部76と小径穴部77とを有している。大径穴部76は、小径穴部77よりも大径である。大径穴部76は、貫通孔70の軸方向のピストン18側に配置されている。小径穴部77は、貫通孔70の軸方向の大径穴部76よりもピストン18とは反対側に配置されている。
底部71は有孔の円板状である。底部71には、貫通孔70よりも径方向外側に、底部71を底部71の軸方向に貫通する通路穴78が形成されている。
内側円筒状部72は、円筒状であり、底部71の内周縁部から底部71の軸方向に沿ってピストン18側に突出している。内側円筒状部72は、底部71の径方向における通路穴78よりも内側に設けられている。
外側円筒状部73は、円筒状であり、底部71の外周縁部から底部71の軸方向に沿って内側円筒状部72と同側に突出している。外側円筒状部73は、底部71の径方向における通路穴78よりも外側に設けられている。通路穴78は、底部71の径方向における内側円筒状部72と外側円筒状部73との間に配置されている。
内側シート部74は、円環状であり、底部71の内周縁部から軸方向の内側円筒状部72とは反対側に突出している。
バルブシート部75は、内側シート部74よりも大径の円環状である。バルブシート部75は、内側シート部74の径方向外側で底部71の軸方向に沿って底部71から内側シート部74と同側に突出している。通路穴78は、底部71の径方向における内側シート部74とバルブシート部75との間に配置されている。
ディスク51は、バルブシート部48の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク51には、切欠81が形成されている。切欠81は、ディスク51の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に、通路溝38内まで延在している。切欠81内は絞り82となっている。絞り82は、ピストン18の第1通路部43に常時連通している。ピストン18の大径穴部47内の通路とピストンロッド21の通路溝30内の通路とは常時連通している。大径穴部47内の通路と通路溝30内の通路とがロッド室83を構成している。ディスク51の切欠81内の絞り82は、ロッド室83に常時連通している。絞り82は、第1通路部43とロッド室83とを常時連通させている。
減衰バルブ52は、ディスク85とシール部材86とからなっている。
ディスク85は、金属製であり、有孔の円形平板状である。ディスク85は、バルブシート部48の先端面の外径よりも大径の外径となっている。ディスク85は、内側にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。ディスク85は、ピストン18のバルブシート部48に当接し、バルブシート部48に対し離間および当接することでピストン18に形成された第1通路部43の開口を開閉する。
シール部材86は、ゴム製であり、ディスク85に接着されている。シール部材86は、ディスク85の外周側に固着されており、円環状をなしている。シール部材86は、パイロットケース55の外側円筒状部73の内周部に全周にわたり液密的に嵌合している。シール部材86は、外側円筒状部73の内周部に対し軸方向に摺動可能である。シール部材86は、減衰バルブ52と外側円筒状部73との隙間を常時シールする。
ディスク53は、その外径が、シール部材86の最小内径よりも小径となっている。 ディスク54は、その外径が、ディスク53の外径よりも大径かつシール部材86の最小内径よりも小径となっている。ディスク54には切欠91が形成されている。切欠91は、ディスク54の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に、ディスク53よりも外側まで延在している。切欠91内は絞り92となっている。絞り92は、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と、パイロットケース55の大径穴部76内の通路とに常時連通している。
ディスク56は、パイロットケース55のバルブシート部75の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク57は、バルブシート部75の先端面の外径よりも大径の外径となっている。ディスク57は、バルブシート部75に着座可能となっている。ディスク57には、外周側に切欠93が形成されている。切欠93は、バルブシート部75を径方向に横断している。ディスク58は、ディスク57の外径と同径の外径となっている。ディスク59は、ディスク58の外径よりも小径の外径となっている。ディスク60は、ディスク59の外径よりも大径且つディスク58の外径よりも小径の外径となっている。ディスク57,58がディスクバルブ99を構成している。ディスクバルブ99は、バルブシート部75に離着座可能である。
パイロットケース55の底部71、内側円筒状部72および外側円筒状部73と、減衰バルブ52およびディスク53,54との間と、パイロットケース55の底部71、内側シート部74およびバルブシート部75と、ディスク56およびディスクバルブ99との間と、パイロットケース55の通路穴78内とが、背圧室100となる。背圧室100は、減衰バルブ52にピストン18の方向に圧力を加える。言い換えれば、背圧室100は、減衰バルブ52に、バルブシート部48に着座する閉弁方向に内圧を作用させる。減衰バルブ52は、背圧室100を有するパイロットタイプの減衰バルブである。これら減衰バルブ52および背圧室100は、第1減衰力発生機構41の一部を構成している。背圧室100は、ディスク54の切欠91内の絞り92を介してロッド室83に常時連通している。パイロットケース55の大径穴部76内の通路は、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と常時連通している。パイロットケース55の大径穴部76内の通路もロッド室83を構成している。
ディスク51の切欠81内の絞り82と、ロッド室83と、ディスク54の切欠91内の絞り92とが、ピストン18の第1通路部43と背圧室100とを常時連通させて第1通路部43から背圧室100に油液を導入する第2通路部102となっている。減衰バルブ52は、ディスク85がピストン18のバルブシート部48から離座して開くと、第1通路部43からの油液をピストン18とパイロットケース55の外側円筒状部73との間を介して下室20に流す。その際に、減衰バルブ52は、バルブシート部48との間の油液の流れを抑制する。伸び側の第1減衰力発生機構41は、第2通路部102を介して油液の流れの一部を背圧室100に導入し、背圧室100の圧力によって減衰バルブ52の開弁を制御する。
ディスクバルブ99は、バルブシート部75から離座することで、背圧室100と下室20とを連通させる。その際に、ディスクバルブ99は、バルブシート部75との間の油液の流れを抑制する。ディスクバルブ99の切欠93内の通路は、ディスクバルブ99がバルブシート部75に当接状態にあっても背圧室100を下室20に連通させる固定オリフィス105を構成している。ディスク60は、ディスクバルブ99の開方向への変形時にディスクバルブ99に当接してディスクバルブ99の規定以上の変形を抑制する。
ディスクバルブ99とバルブシート部75とが第2減衰力発生機構110を構成している。第2減衰力発生機構110は、ディスクバルブ99がバルブシート部75から離座すると、背圧室100と下室20とを連通させる。その際に、第2減衰力発生機構110は、背圧室100と下室20との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生させる。第2減衰力発生機構110は、背圧室100と下室20との間に設けられて油液の流動により減衰力を発生させる。第2減衰力発生機構110は、伸び行程において、上室19から、第1通路部43、第2通路部102および背圧室100を介して下室20に油液を流す。第2減衰力発生機構110は、伸び行程において生じる背圧室100から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構となっている。
図2に示すように、ピストン18の軸方向におけるバルブシート部49側には、ピストン18の軸方向においてピストン18側から順に、一枚のディスク111と、一枚のディスク112と、複数枚(具体的には3枚)のディスク113と、複数枚(具体的には2枚)のディスク114と、一枚のディスク115と、一枚のディスク116と、一枚の環状部材117とが設けられている。ディスク111~116および環状部材117は、いずれも金属製である。ディスク111~116および環状部材117は、いずれも一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク111~116および環状部材117は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。
ディスク111は、ピストン18のバルブシート部49の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク112は、ピストン18のバルブシート部49の先端面の外径よりも若干大径の外径となっている。ディスク112は、バルブシート部49に着座可能となっている。ディスク112には、外周側に切欠121が形成されている。切欠121はバルブシート部49を径方向に横断している。
複数枚のディスク113は、ディスク112の外径と同径の外径となっている。複数枚のディスク114は、ディスク113の外径よりも小径の外径となっている。ディスク115は、ディスク114の外径よりも小径の外径となっている。ディスク116は、ディスク114の外径よりも大径且つディスク113の外径よりも小径の外径となっている。環状部材117は、ディスク116の外径よりも小径且つディスク114の外径よりも大径の外径となっている。環状部材117は、ディスク111~116よりも厚く高剛性となっている。この環状部材117は、ピストンロッド21の軸段部29に当接している。
ディスク112~114が、ディスクバルブ122を構成している。ディスクバルブ122は、バルブシート部49に離着座可能である。ディスクバルブ122は、バルブシート部49から離座することで第1通路部44を上室19に開放可能である。その際に、ディスクバルブ122は、下室20から第1通路部44を介する上室19への油液の流れを抑制する。ディスクバルブ122とバルブシート部49とが縮み側の第1減衰力発生機構42を構成している。ディスク112の切欠121は、固定オリフィス123を構成している。固定オリフィス123は、ディスク112がバルブシート部49に当接状態にあっても下室20と上室19とを連通させる。固定オリフィス123も第1減衰力発生機構42を構成している。
ディスク116はディスクバルブ122の開方向への変形時にディスクバルブ122に当接してディスクバルブ122の開方向への規定以上の変形を抑制する。
図3に示すように、ディスク60の軸方向におけるディスク59とは反対側に、周波数感応機構130が設けられている。周波数感応機構130は、ピストン18の軸方向移動の周波数(以下、ピストン周波数と称す)に応じて減衰力を可変とする。
周波数感応機構130は、軸方向の最もディスク60側に、一つのハウジング本体131を有している。また、周波数感応機構130は、ハウジング本体131の軸方向におけるディスク60とは反対側の内周側に、ハウジング本体131側から順に、一枚のディスク132と、一枚のディスク133と、一枚のディスク134と、を有している。また、周波数感応機構130は、ハウジング本体131の軸方向におけるディスク60とは反対側のディスク133,134よりも径方向外側に一枚のバルブ部材135を有している。また、周波数感応機構130は、図4に示すように、ディスク134およびバルブ部材135の軸方向におけるディスク132とは反対側に、ディスク134およびバルブ部材135側から順に、一枚のディスク136と、一枚のディスク137と、一枚のディスク138と、一枚のディスク139と、一枚のディスク140と、一枚のディスク141(板状部材)と、一枚の移動制限部材142と、を有している。
移動制限部材142の軸方向におけるディスク141とは反対側には、環状部材144が設けられている。
ハウジング本体131、ディスク132~134,136~141、移動制限部材142および環状部材144は、いずれも金属製である。ディスク132~134,136~141および環状部材144は、いずれも一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク133,134,136~141および環状部材144は、径方向の幅が全周にわたって一定である。移動制限部材142は、径方向の幅が全周にわたって一定の有孔の円形平板状である。ディスク132~134,136~141は、いずれも一枚の薄板から打ち抜かれて形成されている。移動制限部材142は焼結により形成されている。ディスク132~134,136~141、移動制限部材142、ハウジング本体131および環状部材144は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。バルブ部材135は、内周側にピストンロッド21の取付軸部28およびディスク133,134を挿通させている。ディスク132~134,136~141、移動制限部材142およびハウジング本体131は、周波数感応機構130のハウジング145を構成している。
図3に示すように、ハウジング本体131は有底の円筒状である。
ハウジング本体131は、その径方向の中央に、ハウジング本体131をその軸方向に貫通する貫通孔155が形成されている。貫通孔155は大径穴部156と小径穴部157とを有している。大径穴部156は、小径穴部157よりも大径である。大径穴部156は、貫通孔155の軸方向のディスク60とは反対側に配置されている。小径穴部157は、貫通孔155の軸方向における大径穴部156よりもディスク60側に配置されている。ハウジング本体131の大径穴部156内の通路は、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と常時連通している。ハウジング本体131の大径穴部156内の通路もロッド室83を構成している。
ハウジング本体131は、底部150と一側突出部151と他側突出部152と筒状部153とシート部154とを有している。
底部150は、有孔の円板状である。
一側突出部151は円環状である。一側突出部151は、底部150の内周縁部から、底部150の軸方向に沿ってディスク60とは反対側に突出している。
他側突出部152は円環状である。他側突出部152は、底部150の内周縁部から、底部150の軸方向に沿って一側突出部151とは反対側に突出している。
筒状部153は円筒状である。筒状部153は、底部150の外周縁部から、底部150の軸方向に沿って一側突出部151と同側に延出している。
シート部154は円環状である。シート部154は、底部150の径方向における一側突出部151と筒状部153との間の位置から、底部150の軸方向に沿って一側突出部151および筒状部153と同側に突出している。シート部154には、その突出先端側の端部に、シート部154を径方向に貫通する切欠158が形成されている。
図4に示すように、ディスク132は、一側突出部151の先端面の外径よりも大径且つシート部154の先端面の内径よりも小径の外径となっている。ディスク132には、切欠161が形成されている。切欠161は、ディスク132の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に、一側突出部151の先端面よりも外側まで延在している。切欠161内は絞り162となっている。絞り162は、ハウジング本体131の大径穴部156内の通路に常時連通している。よって、絞り162は、ロッド室83に常時連通している。
ディスク133は、ディスク132の外径よりも小径の外径となっている。ディスク132の切欠161は、ディスク132の径方向においてディスク133よりも径方向外側まで延在している。ディスク133は、ディスク132よりも軸方向の厚さが厚い。
ディスク134は、ディスク133の外径よりも小径の外径となっている。ディスク134は、ディスク133よりも軸方向の厚さが薄い。
バルブ部材135は、バルブディスク171と弾性シール部材172とからなっている。バルブ部材135は、ハウジング本体131の筒状部153内に配置されている。バルブ部材135は、筒状部153とディスク133,134との径方向の間に配置されている。
バルブディスク171は金属製である。バルブディスク171は、一定厚さの有孔の円形平板状である。バルブディスク171は、径方向の幅が一定の円環状である。バルブディスク171は、内周側にピストンロッド21の取付軸部28が挿通されている。バルブディスク171は、ハウジング本体131の筒状部153内に配置されている。バルブディスク171は、弾性変形可能つまり撓み可能となっている。バルブディスク171は、その内径がディスク133の外径よりも大径となっている。バルブディスク171は、内側にディスク133,134を径方向に隙間をもって配置可能な内径となっている。バルブディスク171は、ディスク133,134の二枚分の軸方向の厚さよりも軸方向の厚さが薄くなっている。バルブディスク171は、ハウジング本体131のシート部154の先端面の外径よりも大径の外径となっている。
弾性シール部材172は、ゴム製であり、円環状である。弾性シール部材172は、バルブディスク171の外周側に接着されている。弾性シール部材172は、バルブディスク171に焼き付けられてバルブディスク171と一体に設けられている。弾性シール部材172は、シール部175と複数(図4においては断面とした関係上一カ所のみ図示)の当接部176とを有している。シール部175は、円環状であり、バルブディスク171の外周側に全周にわたって固着されている。シール部175は、バルブ部材135の軸方向において、バルブディスク171からハウジング本体131の底部150側に突出している。複数の当接部176は、バルブディスク171の外周側に固着されている。複数の当接部176は、バルブディスク171の周方向に等間隔をあけて配置されている。複数の当接部176は、バルブ部材135の軸方向において、バルブディスク171から底部150とは反対側に突出している。
バルブディスク171と、ハウジング本体131の筒状部153との間には、環状の隙間が設けられている。弾性シール部材172は、この隙間を介してバルブディスク171の両面にシール部175と複数の当接部176とを固着している。このような構成としたことにより、バルブディスク171へのシール部175および複数の当接部176の固着を容易にしている。
弾性シール部材172は、そのシール部175が、ハウジング本体131の筒状部153の内周部に全周にわたって液密的に嵌合している。シール部175は、筒状部153に対して筒状部153の軸方向に摺動可能となっている。弾性シール部材172は、そのシール部175が、バルブ部材135と筒状部153との隙間を常時シールする。シール部175は、その最小内径がシート部154の先端面の外径よりも大径となっている。バルブ部材135は、そのバルブディスク171がハウジング本体131のシート部154に着座可能となっている。
ディスク136は、バルブディスク171の内径よりも大径の外径となっている。ディスク136は、ディスク134よりも軸方向の厚さが薄い。ディスク136は、バルブディスク171よりも軸方向の厚さが薄い。ディスク136は、バルブディスク171の内周側に全周にわたって当接している。これにより、ディスク136とバルブディスク171の隙間が閉塞される。バルブ部材135は、そのバルブディスク171の内周側が、ディスク132とディスク136との軸方向の間位置に配置されると共に、ディスク136に当接して支持されている。バルブ部材135は、そのバルブディスク171の内周側が、ディスク132とディスク136との間にて、二枚のディスク133,134の軸方向長の範囲で移動可能となっている。バルブ部材135は、シール部175が全周にわたって筒状部153に接触することによってハウジング145に対し芯出しされる。バルブ部材135は、その内周側であるバルブディスク171の内周側が、両面側からクランプされずに片面側のみディスク136に支持される。バルブ部材135は、そのバルブディスク171のディスク136よりも径方向外側が、両面側からクランプされずに片面側のみシート部154に支持される。よって、バルブ部材135は、軸方向にクランプされることなく、そのバルブディスク171の一面側がディスク136に支持され、バルブディスク171の他面側がシート部154に支持される単純支持構造となっている。バルブ部材135は、全体として円環状で、弾性変形可能つまり撓み可能となっている。
ディスク137は、ディスク136の外径よりも大径かつ複数の当接部176の最小内径よりも小径の外径となっている。ディスク137は、ディスク136よりも軸方向の厚さが薄い。
ディスク138は、ディスク137の外径よりも小径の外径となっている。ディスク138は、ディスク137よりも軸方向の厚さが厚い。
ディスク139は、ディスク138の外径よりも小径の外径となっている。ディスク139は、ディスク136~138のそれぞれよりも軸方向の厚さが厚い。ディスク139は、一枚の薄板から打ち抜いて形成する以外に、削り出しにより形成することも可能である。
ディスク140は、その外径が、ディスク139の外径よりも大径であってディスク137の外径と同等となっている。ディスク140は、ディスク139よりも軸方向の厚さが厚い。ディスク140は、一枚の薄板から打ち抜いて形成する以外に、削り出しにより形成することも可能である。
ディスク141は、その外径が、ディスク140の外径よりも大径となっている。ディスク141は、ディスク140よりも軸方向の厚さが薄い。ディスク141は、ディスク136~138のそれぞれよりも軸方向の厚さが厚い。ディスク141は、一枚の薄板から打ち抜いて形成する以外に、削り出しにより形成することも可能である。ディスク141は、その外径が、筒状部153の内径よりも小径となっている。ディスク141は、バルブ部材135の複数の当接部176に常時当接する。
いずれも板状部材であるディスク136~138が積層されて支持部材181が形成されている。ディスク136~138のうちのディスク137,138は、軸方向のバルブディスク171側のディスク137と比して、軸方向のバルブディスク171とは反対側のディスク138の方が外径が小径である。ディスク137,138は、軸方向のバルブディスク171側のディスク137と比して、軸方向のバルブディスク171とは反対側のディスク138の方が厚さが大きい。支持部材181は、バルブ部材135のバルブディスク171の内周側を支持する。バルブ部材135のバルブディスク171は、内周側が、軸方向の両面側からクランプされずに軸方向の片面側のみが支持部材181のディスク136により支持される。
移動制限部材142は、その外径が、ディスク141の外径と同等となっている。移動制限部材142は、ディスク132~134,136~141のいずれよりも全体の厚さが厚い。移動制限部材142は、焼結により一体成形されている。移動制限部材142は、焼結による成形時に、外周部の軸方向両端側に段差状の欠部183が形成される。これらの欠部183は、移動制限部材142を焼結する際に焼結型により移動制限部材142の角部に生じる欠けである。これにより、移動制限部材142は、その径方向における中間部から内周側の厚肉部184と、その径方向における外周側の薄肉部185とを有している。厚肉部184は有孔円板状であり、薄肉部185は円環状である。厚肉部184は一定の厚さであり、薄肉部185は、厚肉部184よりも厚肉部184の軸方向における厚さが薄くなっている。薄肉部185の径方向の幅は、厚肉部184の径方向の幅よりも小さい。
移動制限部材142は、焼結以外にも、鍛造によって形成することも可能である。移動制限部材142は、鍛造で形成される場合も、成形時に、外周部の軸方向両端側に上記とほぼ同様の欠部183が形成されるため、上記とほぼ同様の形状になる。
移動制限部材142は、その外径が、ディスク141の外径よりも小径であっても良い。すなわち、ディスク141は、移動制限部材142と同径もしくは移動制限部材142よりも大径である。なお、ディスク141には、その外周部の軸方向両端側に面取り等があっても良いが、その径方向の大きさは、移動制限部材142の欠部183の径方向の大きさよりも小さい。
環状部材144は、移動制限部材142の厚肉部184の外径よりも小径の外径となっている。
移動制限部材142と、移動制限部材142の軸方向のバルブ部材135側に隣り合って配されるディスク141とがストッパ部材188を構成している。ストッパ部材188は、ハウジング本体131の軸方向におけるバルブ部材135のシート部154とは反対方向への移動を制限する。言い換えれば、移動制限部材142は、ハウジング本体131の軸方向におけるバルブ部材135のシート部154とは反対方向への移動を、ディスク141とによって制限する。
ストッパ部材188は、内周側がピストンロッド21に固定となっている。ストッパ部材188は、内周側がハウジング本体131に対して非可動である。弾性シール部材172は、その複数の当接部176がハウジング本体131の軸方向に伸縮可能である。弾性シール部材172の複数の当接部176とストッパ部材188のディスク141とは常に当接している。
ストッパ部材188とハウジング本体131の筒状部153との径方向の間は連通路195となっている。連通路195は下室20に常時連通している。連通路195は、ストッパ部材188に当接する弾性シール部材172の複数の当接部176よりも径方向外側に配置されている。
バルブ部材135のシール部175は、ハウジング本体131の筒状部153の内周面に全周にわたり接触している。これにより、シール部175は、バルブ部材135と筒状部153との隙間をシールする。つまり、バルブ部材135はパッキンバルブである。シール部175は、バルブ部材135がハウジング145内で許容される範囲で変形しても、バルブ部材135と筒状部153との隙間を常時シールする。バルブ部材135は、そのシール部175が筒状部153に全周にわたって接触することでハウジング145に対して芯出しされる。バルブ部材135は、そのバルブディスク171がディスク136に全周にわたって接触することで、ディスク136との隙間を閉塞する。
ハウジング本体131のシート部154は、バルブ部材135のバルブディスク171を軸方向一側から支持する。支持部材181は、そのディスク136がバルブディスク171のシート部154よりも内周側を軸方向他側から支持する。シート部154とディスク136との間の軸方向の最短距離は、バルブディスク171の軸方向の厚さよりも小さくなっている。よって、バルブディスク171は、若干テーパ状に弾性変形した状態でシート部154とディスク136とに自身の弾性力で全周にわたって圧接する。
バルブ部材135は、ハウジング145内を可変室191と可変室192とに区画する。可変室191は、ハウジング本体131の底部150側とバルブ部材135との間にある。可変室192は、バルブ部材135とストッパ部材188との間にある。可変室191および可変室192は、いずれも容量が可変であり、バルブ部材135の変形により容量が変化する。言い換えれば、2つの可変室191,192は、バルブ部材135により画成されてハウジング145内に設けられている。可変室191はディスク132の切欠161内の絞り162を介してロッド室83に常時連通している。よって、可変室191は、ディスク132内の絞り162とロッド室83と図3に示すディスク51内の絞り82と第1通路部43とを介して上室19に常時連通している。また、可変室191は、ディスク132内の絞り162とロッド室83とディスク54内の絞り92とを介して背圧室100に常時連通している。可変室191および可変室192が、ハウジング145内に設けられるハウジング内室198を構成している。バルブ部材135は、ハウジング内室198に設けられている。
バルブ部材135は、図4に示す当接部176が周方向に間隔をあけて複数配置されている。これにより、可変室192は、その径方向における当接部176よりも内側と外側とが常時連通している。また、ハウジング本体131のシート部154に切欠158が設けられている。これにより、可変室191は、その径方向におけるシート部154よりも内側と外側とが常時連通している。これらによって、バルブディスク171のシール部175が設けられる側と、バルブディスク171の当接部176が設けられる側の受圧面積とは同程度となる。可変室192は連通路195を介して下室20に常時連通している。
伸び行程においては、図3に示す上室19からの油液が、第1通路部43とディスク51内の絞り82とロッド室83とディスク132内の絞り162とを介して可変室191に導入される。すると、バルブ部材135のバルブディスク171は、支持部材181の図4に示すディスク136との接点を支点として外周側がシート部154からシート部154の軸方向に離れるようにテーパ状に変形する。その際に、バルブディスク171は、ストッパ部材188のディスク141に当接するバルブ部材135の弾性シール部材172の当接部176を圧縮変形させる。バルブディスク171のこの変形によって、可変室191の容積は増えることになる。
その際に、バルブディスク171を支持している支持部材181が、バルブディスク171のこの変形に抵抗力を与える。ここで、バルブディスク171のこの変形時に、可変室192の容積は減ることになる。その際に可変室192の油液は連通路195を介して下室20に流れる。
バルブディスク171は、ストッパ部材188側への変形の初期には、自身が変形すると共に、ストッパ部材188のディスク141に当接する弾性シール部材172の当接部176を圧縮変形させる。
バルブディスク171のストッパ部材188側への変形がさらに進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に弾性シール部材172の当接部176をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材181のディスク137の外周側に当接し、ディスク137の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に弾性変形させる。
バルブディスク171のストッパ部材188側への変形がさらに進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に弾性シール部材172の当接部176をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材181のディスク137の外周側をさらにストッパ部材188側にテーパ状に変形させる。それと共に、バルブディスク171は、ディスク137を介してディスク138の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に弾性変形させる。
図3に示す第1通路部43と、絞り82とロッド室83と絞り162とハウジング内室198と連通路195とが通路201を構成している。通路201は、上室19と下室20とを連通可能である。通路201は、第1通路部43と絞り82とロッド室83と絞り162と可変室191とが上室19に常時連通している。通路201は、可変室192と連通路195とが下室20に常時連通している。通路201は、第1通路部43と絞り82とロッド室83と絞り162と可変室191とが、伸び行程におけるピストン18の移動によりシリンダ2内の一方の室である上室19から作動流体である油液が流れ出す。通路201は、連通路195と可変室192とが縮み行程におけるピストン18の移動によりシリンダ2内の一方の室である下室20から作動流体である油液が流れ出す。バルブディスク171を含む撓み可能な板状のバルブ部材135は、この通路201に設けられている。
バルブ部材135は、そのバルブディスク171の内周側がディスク132とディスク136との間で移動可能である。バルブ部材135は、バルブディスク171の内周側が全周にわたってディスク136に接触する状態では、可変室191,192間の油液の流通を遮断する。また、バルブ部材135は、バルブディスク171の内周側がディスク136から離間する状態では、可変室192と可変室191との間の油液の流通を許容する。バルブディスク171の内周側とディスク136とは、チェック弁205を構成している。チェック弁205は、通路201に設けられている。チェック弁205は、可変室191から可変室192への油液の流れを規制する一方で、可変室192から可変室191への油液の流れを許容する。チェック弁205は、上室19の圧力が下室20の圧力より高くなる伸び行程では通路201の連通を遮断する。チェック弁205は、下室20の圧力が上室19の圧力より高くなる縮み行程では通路201を連通状態とする。
チェック弁205は、その弁体であるバルブ部材135の全体が軸方向にクランプされずに移動可能なフリーバルブである。なお、バルブ部材135は、可変室191,192の圧力状態にかかわらず、そのバルブディスク171の内周の全周を常にディスク136に接触させるように設定しても良い。すなわち、可変室191,192間の流通を常時遮断するようにしても良い。つまり、バルブ部材135のバルブディスク171は、通路201の少なくとも一方向への油液の流通を遮断すれば良い。
ピストンロッド21には、取付軸部28をそれぞれの内側に挿通させた状態で、図3に示す環状部材117、ディスク116、ディスク115、複数枚のディスク114、複数枚のディスク113、ディスク112、ディスク111、ピストン18、ディスク51、減衰バルブ52、ディスク53、ディスク54、パイロットケース55、ディスク56、ディスク57、複数枚のディスク58、ディスク59、ディスク60、ハウジング本体131、ディスク132、ディスク133およびディスク134が、この順に、軸段部29に重ねられる。このとき、パイロットケース55は、減衰バルブ52のシール部材86を外側円筒状部73に嵌合させる。
また、図4に示すように、取付軸部28およびディスク133,134を内側に挿通させた状態で、バルブ部材135がハウジング本体131のシート部154に重ねられる。このとき、バルブ部材135の弾性シール部材172は、ハウジング本体131の筒状部153に嵌合される。さらに、取付軸部28をそれぞれの内側に挿通させた状態で、ディスク136、ディスク137、ディスク138、ディスク139、ディスク140、ディスク141、移動制限部材142および環状部材144が、この順に、ディスク134とバルブ部材135のバルブディスク171とに重ねられる。
このように環状部材117から環状部材144までの部品がピストンロッド21に配置された状態で、環状部材144よりも突出する取付軸部28の図3に示すオネジ31にナット211が螺合される。これにより、環状部材117、ディスク116、ディスク115、複数枚のディスク114、複数枚のディスク113、ディスク112、ディスク111、ピストン18、ディスク51、減衰バルブ52、ディスク53、ディスク54、パイロットケース55、ディスク56、ディスク57、複数枚のディスク58、ディスク59、ディスク60、ハウジング本体131、ディスク132、ディスク133、ディスク134、ディスク136、ディスク137、ディスク138、ディスク139、ディスク140、ディスク141、移動制限部材142および環状部材144は、それぞれの内周側または全部がピストンロッド21の軸段部29とナット211とに挟持されて軸方向にクランプされる。その際に、バルブ部材135は、内周側が軸方向にクランプされることはない。この状態で、バルブ部材135は、バルブディスク171が、ハウジング本体131のシート部154と支持部材181のディスク136とに当接する。また、この状態で、バルブ部材135は、弾性シール部材172の当接部176がストッパ部材188のディスク141に締め代をもって当接する。
図1に示すように、内筒3と外筒4の底部材12との間には、上記したベースバルブ25が設けられている。このベースバルブ25は、ベースバルブ部材221とディスクバルブ222とディスクバルブ223と取付ピン224とを有している。ベースバルブ25は、ベースバルブ部材221において底部材12に載置されており、ベースバルブ部材221において内筒3に嵌合している。ベースバルブ部材221は、下室20とリザーバ室6とを仕切っている。ディスクバルブ222は、ベースバルブ部材221の下側つまりリザーバ室6側に設けられている。ディスクバルブ223は、ベースバルブ部材221の上側つまり下室20側に設けられている。取付ピン224は、ベースバルブ部材221にディスクバルブ222およびディスクバルブ223を取り付けている。
ベースバルブ部材221は、円環状をなしており、径方向の中央に取付ピン224が挿通される。ベースバルブ部材221には、複数の通路穴225と複数の通路穴226とが形成されている。複数の通路穴225は、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。複数の通路穴226は、ベースバルブ部材221の径方向における複数の通路穴225の外側に配置されている。複数の通路穴226は、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。リザーバ室6側のディスクバルブ222は、下室20から通路穴225を介するリザーバ室6への油液の流れを許容する。その一方で、ディスクバルブ222はリザーバ室6から下室20への通路穴225を介する油液の流れを抑制する。ディスクバルブ223は、リザーバ室6から通路穴226を介する下室20への油液の流れを許容する。その一方で、ディスクバルブ223は、下室20からリザーバ室6への通路穴226を介する油液の流れを抑制する。
ディスクバルブ222は、ベースバルブ部材221とによって減衰バルブ機構227を構成している。減衰バルブ機構227は、緩衝器1の縮み行程において開弁して下室20からリザーバ室6に油液を流すとともに減衰力を発生させる。ディスクバルブ223は、ベースバルブ部材221とによってサクションバルブ機構228を構成している。サクションバルブ機構228は、緩衝器1の伸び行程において開弁してリザーバ室6から下室20内に油液を流す。なお、サクションバルブ機構228は、主としてピストンロッド21のシリンダ2からの伸び出しにより生じる液の不足分を補うようにリザーバ室6から下室20に実質的に減衰力を発生させることなく油液を流す機能を果たす。
次に緩衝器1の主な作動について説明する。
「伸び行程において、周波数感応機構130が作用せず、伸び側の第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構110のみが作用すると仮定した場合」
この場合に、ピストン18の移動速度(以下、ピストン速度と称す)が第1所定値よりも遅い時、上室19からの油液は、図3に示す第1通路部43、絞り82、ロッド室83、絞り92、背圧室100および固定オリフィス105を介して下室20に流れる。よって、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度が第1所定値よりも遅い時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が比較的高くなる。
ピストン速度が第1所定値以上かつ第2所定値未満になると、上室19からの油液は、第1通路部43、絞り82、ロッド室83、絞り92、背圧室100を通り、ディスクバルブ99を開きながら、ディスクバルブ99とバルブシート部75との間を通って、下室20に流れる。よって、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度が第1所定値以上かつ第2所定値未満の時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が、ピストン速度が第1所定値未満の時よりも下がることになる。
ピストン速度が第2所定値以上に速くなると、減衰バルブ52に作用する力(油圧)の関係は、第1通路部43から加わる開方向の力が背圧室100から加わる閉方向の力よりも大きくなる。よって、この領域では、ピストン速度の増加に伴い減衰バルブ52がピストン18のバルブシート部48から離れて開くことになる。よって、上室19からの油液は、第1通路部43、絞り82、ロッド室83、絞り92、背圧室100を通り、ディスクバルブ99とバルブシート部75との間を通る下室20への流れに加え、第1通路部43から減衰バルブ52とバルブシート部48との間を通って下室20へ流れる。このため、ピストン速度が第2所定値以上の時のピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率は、ピストン速度が第1所定値以上かつ第2所定値未満の時よりも下がる。
「縮み行程において、周波数感応機構130が作用せず、縮み側の第1減衰力発生機構42のみが作用すると仮定した場合」
この場合に、ピストン速度が第3所定値よりも遅い時、下室20からの油液は、図2に示す第1通路部44とディスクバルブ122の固定オリフィス123とを介して上室19に流れる。これにより、オリフィス特性の減衰力が発生することになる。このため、ピストン速度が第3所定値よりも遅い時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が比較的高くなる。
ピストン速度が第3所定値以上に速くなると、下室20から第1通路部44に導入された油液がディスクバルブ122を開きながらディスクバルブ122とバルブシート部49との間を通って上室19に流れることになる。これにより、バルブ特性の減衰力が発生する。このため、ピストン速度が第3所定値以上の時のピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が、ピストン速度が第3所定値未満の時よりも下がることになる。
「伸び行程において、周波数感応機構130が作用する場合」
本実施形態では、周波数感応機構130が、ピストン速度が同じ場合でも、ピストン周波数に応じて減衰力を可変とする。
伸び行程では、上室19から、第1通路部43、絞り82、ロッド室83および図4に示す絞り162を介して周波数感応機構130の可変室191に油液が導入される。よって、シート部154と支持部材181のディスク136とに当接していたバルブ部材135のバルブディスク171が、ディスク136との接点を支点として外周側がシート部154から離れる方向にテーパ状に変形する。その際に、バルブ部材135は、ストッパ部材188のディスク141に当接する弾性シール部材172の当接部176を圧縮変形させる。また、その際に、バルブ部材135は、周波数感応機構130の可変室192から、連通路195を介して下室20に油液を排出させる。
ここで、ピストン周波数が高いときの伸び行程では、ピストン18のストロークが小さい。このため、上室19から、第1通路部43、絞り82、ロッド室83および絞り162を介して可変室191に導入される油液の量が少ない。よって、バルブ部材135のバルブディスク171は、上記のように変形するものの限界近くまで変形することはない。
よって、ピストン周波数が高いときの伸び行程では、伸び行程の都度、周波数感応機構130のバルブ部材135のバルブディスク171が上記のように変形することにより、可変室191に上室19から油液を導入することになる。すると、上室19から、第1通路部43、絞り82、ロッド室83、絞り92および背圧室100を通り、第2減衰力発生機構110を開きながら、下室20に流れる油液の流量が減ることになる。また、これに加えて、第1通路部43から第1減衰力発生機構41を開きながら、下室20に流れる油液の流量も減ることになる。加えて、可変室191に上室19から油液を導入することによって、可変室191がない場合と比べて背圧室100の圧力上昇が抑えられ、第1減衰力発生機構41の減衰バルブ52が開弁しやすくなる。これらによって伸び側の減衰力がソフトになる。ここで、バルブ部材135の内周側は、ディスク132から離間してディスク136に片面側からのみ支持されている。このため、バルブ部材135は、内周側がディスク132に近づくように変形し易い。よって、バルブ部材135は、外周側の当接部176が容易に圧縮変形する。
ここで、伸び行程では、バルブ部材135のバルブディスク171は、上記したように、支持部材181のディスク136との接点を支点としてストッパ部材188側へテーパ状に変形する。バルブディスク171は、この変形の初期には、自身が変形すると共に、ストッパ部材188のディスク141に当接する弾性シール部材172の当接部176を圧縮変形させる。
さらにバルブディスク171のストッパ部材188側への変形が進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に弾性シール部材172の当接部176をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材181のディスク137の外周側に当接し、ディスク137の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に変形させる。
さらにバルブディスク171のストッパ部材188側への変形が進むと、バルブディスク171は、自身がさらに変形すると共に弾性シール部材172の当接部176をさらに圧縮変形させる。それと共に、バルブディスク171は、支持部材181のディスク137の外周側およびディスク138の外周側をストッパ部材188側にテーパ状に変形させる。
他方で、ピストン周波数が低いときの伸び行程では、ピストン18のストロークが大きい。このため、上室19から、第1通路部43、絞り82、ロッド室83および絞り162を介して可変室191に導入される油液の量が多い。よって、ピストン18のストロークの初期に、上室19から可変室191に油液が流れるものの、その後は、バルブ部材135のバルブディスク171は限界近くまで変形して、それ以上変形しなくなる。その結果、上室19から可変室191に油液が流れなくなる。これにより、上室19から、第1通路部43、絞り82、ロッド室83、絞り92および背圧室100を通り、第2減衰力発生機構110を開きながら、下室20に流れる油液の流量が減らないことになる。また、これに加えて、第1通路部43から第1減衰力発生機構41を開きながら、下室20に流れる油液の流量も減らないことになる。加えて、可変室191に上室19から油液が導入されないことによって、背圧室100の圧力が上昇し、第1減衰力発生機構41の減衰バルブ52が開弁しにくくなる。これらによって伸び側の減衰力が高周波のときよりもハードになる。このピストン周波数が低いときの伸び行程でも、バルブディスク171は、ピストン周波数が高いときと同様に支持部材181を変形させながら変形する。
縮み行程では、下室20の圧力が高くなるが、周波数感応機構130のバルブ部材135のバルブディスク171が、ハウジング本体131のシート部154に当接して可変室192の拡大を抑制する。このため、下室20から連通路195を介して可変室192に導入される油液の量は抑制されることになる。その結果、下室20から第1通路部44に導入され第1減衰力発生機構42を通過して上室19に流れる油液の流量がほぼ減らない状態となる。よって、減衰力がハードになる。縮み行程において、ピストン速度が速くなって可変室192の圧力が可変室191の圧力よりも所定値以上高くなると、バルブ部材135のバルブディスク171の内周側がディスク136から離れる。言い換えれば、チェック弁205が開く。これにより、下室20から、連通路195、可変室192、可変室191、絞り162、ロッド室83、絞り82および第1通路部43を介して上室19に油液が流れる。このように、チェック弁205が開くことで、バルブ部材135のバルブディスク171は、可変室192側と可変室191側との差圧が抑制される。よって、バルブディスク171が過度に撓むことが抑制される。
上記した特許文献1には、ピストンの移動により作動流体が流通する通路に、内周側がクランプされずに片面側のみ支持される単純支持構造の区画ディスクを設けた緩衝器が開示されている。この緩衝器においては、区画ディスクすなわちバルブ部材の変形を制限する蓋部材すなわち移動制限部材が設けられている。この移動制限部材の剛性が低いと、高負荷がかかった際のバルブ部材の変形時に、移動制限部材も変形してしまう可能性がある。すると、バルブ部材によって得ようとする特性を得ることができない可能性がある。
このため、コスト増を抑制しつつ剛性を高めるように移動制限部材を焼結または鍛造により形成することを考えた。しかしながら、移動制限部材を焼結または鍛造により形成すると、成形時の金型の製作上の都合により移動制限部材の角部に欠けが生じてしまう。バルブ部材が移動制限部材に当接する際に、この欠けがバルブ部材の耐久性に影響を及ぼす可能性がある。特に、緩衝器1のように、バルブ部材135がゴム製の弾性材料からなる当接部176を有する構造であると、ゴム製の当接部176において移動制限部材142に当接することになる。そして、バルブ部材135の変形時に、当接部176が移動制限部材142の欠部183に当接することになると、特に高負荷がバルブ部材135にかかった際に、当接部176に過大な応力集中を生じ、当接部176の耐久性に影響を及ぼす可能性がある。
本実施形態の緩衝器1は、焼結または鍛造により形成される移動制限部材142の、軸方向のバルブ部材135側に、ディスク141が配されている。このため、バルブ部材135をディスク141に当接させることが可能になる。具体的には、バルブ部材135の当接部176をディスク141に当接させることが可能になる。よって、バルブ部材135の当接部176が移動制限部材142の欠部183に当接することを抑制することができる。これにより、移動制限部材142の欠部183に当接することにより生じる当接部176の応力集中を抑制することができる。したがって、当接部176の耐久性、ひいてはバルブ部材135の耐久性を向上させることができる。また、バルブ部材135が高負荷を受けることが可能となるため、バルブ部材135を含む周波数感応機構130が高減衰力対応の機構となる。
また、本実施形態の緩衝器1は、ディスク141が、移動制限部材142と同径もしくは移動制限部材142よりも大径である。このため、バルブ部材135の当接部176は、ディスク141に確実に当接することになり、移動制限部材142の欠部183に当接することがなくなる。よって、移動制限部材142の欠部183に当接することにより生じる当接部176の応力集中がなくなる。したがって、当接部176の耐久性、ひいてはバルブ部材135の耐久性を向上させることが確実にできる。
上記実施形態では、油圧緩衝器を例に示したが、作動流体として水や空気を用いることもできる。
1…緩衝器、2…シリンダ、18…ピストン、19…上室(室)、20…下室(室)、135…バルブ部材、141…ディスク(板状部材)、142…移動制限部材、201…通路。

Claims (2)

  1. 作動流体が封入されるシリンダと、
    前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、該シリンダ内を2つの室に区画するピストンと、
    前記ピストンの移動により前記シリンダ内の一方の室から作動流体が流れ出す通路と、
    前記通路に設けられ、内周側が、両面側からクランプされずに片面側のみ支持部材により支持される撓み可能な板状のバルブ部材と、
    前記バルブ部材の移動を制限する移動制限部材と、
    を備え、
    前記移動制限部材は焼結または鍛造により形成され、
    前記移動制限部材の軸方向の前記バルブ部材側に、板状部材が配される緩衝器。
  2. 前記板状部材は、前記移動制限部材と同径もしくは前記移動制限部材よりも大径である請求項1に記載の緩衝器。
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