JP2023106642A - 観察装置及び観察方法 - Google Patents

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貴文 樋口
Takafumi Higuchi
正典 小林
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Abstract

【課題】観察対象物の正確な画像を得ることができる観察装置及び観察方法を提供する。【解決手段】観察装置1は、変調信号S1、S2、及びS3で変調された励起光L1、L2、及びL3を試料Tに同時に照射する照射部10と、試料Tからの検出光L11、L12、及びL13を検出信号Sとして検出する検出部40と、各検出光L11、L12、及びL13の画像を生成する画像処理部70と、を備え、画像処理部70は、所定の復調タイミングで検出光L13の画像を生成する際、所定の復調タイミングで生成された検出光L13の画像と、異なる復調タイミングで生成された検出光L13の画像との間の差分値を算出し、当該差分値が所定の閾値よりも小さくなった場合に、所定の復調タイミング以降において、検出光L13に対応する励起光L3の照射をOFFに設定する。【選択図】図1

Description

本開示は、観察装置及び観察方法に関する。
従来、観察対象物の蛍光観察を行う観察装置として、例えば特許文献1に記載された顕微鏡装置が知られている。この顕微鏡装置では、複数の蛍光物質により多重染色された試料に対して、複数の蛍光物質をそれぞれ励起する波長を有し且つ互いに異なる変調周波数で変調された複数の励起光が、同時に照射される。複数の励起光の照射に伴って、これら励起光に対応する複数の蛍光が試料から発生する。この顕微鏡装置では、これら蛍光が同時に検出され、各蛍光を示す信号が変調周波数に基づいて周波数分離されることによって、各蛍光の画像が蛍光毎に生成される。
特開2005-091895号公報
上述した顕微鏡装置では、各蛍光の画像が生成される際、或る蛍光のショットノイズ成分が他の蛍光の画像に偽信号として現れてしまうことがある。このような現象は、当該或る蛍光の光量が当該他の蛍光に比して大きい場合に、特に顕著に現れる。このような現象が生じると、各蛍光の正確な画像を生成することが困難となり得る。
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、観察対象物の正確な画像を得ることができる観察装置及び観察方法を提供する。
本開示の一側面に係る観察装置は、互いに異なる波長を有すると共に、互いに異なる変調条件による複数の変調パターンでそれぞれ変調された複数の励起光を、観察対象物に同時に照射する照射部と、複数の励起光の照射に伴う観察対象物からの複数の検出光を検出信号として検出する検出部と、互いに異なる複数の復調タイミングで検出信号を復調することにより、各復調タイミングにおいて複数の検出光の画像を検出光毎に生成する画像処理部と、を備え、各変調パターンは、励起光の照射のON/OFFを切り替えるように励起光を変調させる変調パターンであり、各復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たすように設定され、複数の復調タイミングは、第1の復調タイミングと、第1の復調タイミングよりも前の第2の復調タイミングと、を含み、画像処理部は、第1の復調タイミングにおいて複数の検出光のうちの第1の検出光の画像を生成する際、第1の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像と、第2の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像との間の差分値を算出し、差分値が所定の閾値よりも小さくなった場合に、第1の復調タイミング以降において、第1の検出光に対応する励起光の照射をOFFに設定する。
上記の観察装置では、第1の復調タイミングで第1の検出光が生成される際、第1の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像と、第2の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像との間の差分値が、所定の閾値よりも小さくなった場合に、第1の復調タイミング以降において、第1の検出光に対応する励起光の照射がOFFに設定される。このように第1の検出光に対応する励起光の照射がOFFに設定されることによって、第1の復調タイミング以降に生成される他の検出光の画像に、第1の検出光のショットノイズ成分が現れる事態を抑制することができる。更に、第1の復調タイミング及び第2の復調タイミングでそれぞれ生成された第1の検出光の画像の間の差分値が所定の閾値よりも小さくなっていれば、これらの画像の変化が小さいと判断できるので、第1の復調タイミング以降において第1の検出光に対応する励起光の照射がOFFに設定されても、生成された第1の検出光の画像の精度に与える影響は小さい。更に、各変調パターンは、各復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たすように設定されているので、各変調パターンに対応する各検出光を示す検出信号を正確に復調することができる。したがって、上記の観察装置によれば、第1の検出光のショットノイズ成分が他の検出光の画像に現れる事態を抑制しつつ、各検出光の画像を正確に復調することができる。すなわち、各検出光の正確な画像を得ることができる。
照射部は、複数の変調パターンを記憶する記憶部を有してもよい。この場合、各変調パターンを生成する処理を行う必要がないので、各変調パターンを生成する場合と比べて、処理負担を軽減することができる。
照射部は、複数の変調パターンを生成する生成部を有してもよい。この場合、所望の各変調パターンを容易に得ることができる。
各変調パターンは、励起光の照射のON/OFFを切り替えるように励起光を変調させる矩形波状の変調パターンであってもよい。この場合、復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たす各変調パターンを好適に設定することができる。
各変調パターンは、励起光の照射のON/OFFを切り替えるように励起光を変調させる正弦波状の変調パターンであってもよい。この場合、復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たす各変調パターンを好適に設定することができる。
複数の検出光は、第1の検出光よりも小さい光量を有する第2の検出光を含んでもよい。ショットノイズ成分は、光量の大きい検出光から光量の小さい検出光の画像に現れやすい。これに対し、上記の観察装置によれば、光量の大きい第1の検出光のショットノイズ成分が、光量の小さい第2の検出光の画像に現れる事態を抑制することができるので、上述した効果を好適に奏することができる。
第1の検出光は、複数の検出光の中で最も大きい光量を有してもよい。ショットノイズ成分は、光量の大きい検出光から光量の小さい検出光の画像に現れやすく、それらの検出光の光量差が大きくなるほど大きくなる。これに対し、上記の観察装置によれば、光量の最も大きい第1の検出光のショットノイズ成分が、光量の小さい第2の検出光の画像に現れる事態を抑制することができるので、上述した効果をより好適に奏することができる。
画像処理部は、第1の復調タイミング以降において第1の検出光に対応する励起光の照射をOFFに設定した場合に、第1の復調タイミング以降に検出された検出信号に含まれるデータを用いて、第2の検出光の画像を生成してもよい。この場合、第1の復調タイミング以降においては、第1の検出光に対応する励起光の照射がOFFに設定されているので、第1の復調タイミング以降に検出された検出信号に含まれるデータには、第1の検出光が含まれないか、或いは、極めて小さい光量の第1の検出光が含まれる。したがって、このデータを用いて第2の検出光を生成すれば、第1の検出光のショットノイズ成分が第2の検出光の画像に現れる事態を効果的に抑制することができる。
画像処理部は、第1の復調タイミング以降において第1の検出光に対応する励起光の照射をOFFに設定した場合に、第1の復調タイミング以前において、第1の検出光に対応する励起光の照射がONになる期間以外の期間に検出された検出信号に含まれるデータを用いて、第2の検出光の画像を生成してもよい。この場合、第1の復調タイミング以前において、第1の検出光に対応する励起光の照射がONになる期間以外の期間に検出された検出信号のデータには、第1の検出光が含まれないか、或いは、極めて小さい光量の第1の検出光が含まれる。したがって、このデータを用いて第2の検出光を生成すれば、第1の検出光のショットノイズ成分が第2の検出光の画像に現れる事態を効果的に抑制することができる。
第2の復調タイミングは、第1の復調タイミングの直前の復調タイミングであってもよい。この場合、第1の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像と、第2の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像と、の間の画像の変化が小さいか否かの判断を容易に行うことができる。
本開示の一側面に係る観察方法は、互いに異なる波長を有すると共に、互いに異なる変調条件による複数の変調パターンでそれぞれ変調された複数の励起光を、観察対象物に同時に照射するステップと、複数の励起光の照射に伴う観察対象物からの複数の検出光を検出信号として検出するステップと、互いに異なる複数の復調タイミングで検出信号を復調することにより、各復調タイミングにおいて複数の検出光の画像を検出光毎に生成するステップと、を備え、各変調パターンは、励起光の照射のON/OFFを切り替えるように励起光を変調させる変調パターンであり、各復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たすように設定され、複数の復調タイミングは、第1の復調タイミングと、第1の復調タイミングよりも前の第2の復調タイミングと、を含み、複数の検出光の画像を検出光毎に生成するステップでは、第1の復調タイミングにおいて複数の検出光のうちの第1の検出光の画像を生成する際、第1の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像と、第2の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像との間の差分値を算出し、差分値が所定の閾値よりも小さくなった場合に、第1の復調タイミング以降において、第1の検出光に対応する励起光の照射をOFFに設定する。
この観察方法では、第1の復調タイミングで第1の検出光が生成される際、第1の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像と、第2の復調タイミングで生成された第1の検出光の画像との間の差分値が、所定の閾値よりも小さくなった場合に、第1の復調タイミング以降において、第1の検出光に対応する励起光の照射がOFFに設定される。このように第1の検出光に対応する励起光の照射がOFFに設定されることによって、第1の復調タイミング以降に生成される他の検出光の画像に、第1の検出光のショットノイズ成分が現れる事態を抑制することができる。更に、第1の復調タイミング及び第2の復調タイミングでそれぞれ生成された第1の検出光の画像の間の差分値が所定の閾値よりも小さくなっていれば、これらの画像の変化が小さいと判断できるので、第1の復調タイミング以降において第1の検出光に対応する励起光の照射がOFFに設定されても、生成された第1の検出光の画像の精度に与える影響は小さい。更に、各変調パターンは、各復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たすように設定されているので、各変調パターンに対応する各検出光を示す検出信号を正確に復調することができる。したがって、上記の観察方法によれば、第1の検出光のショットノイズ成分が他の検出光の画像に現れる事態を抑制しつつ、各検出光の画像を正確に復調することができる。すなわち、各検出光の正確な画像を得ることができる。
本開示によれば、観察対象物の正確な画像を得ることができる。
図1は、観察装置の一実施形態を示す概略構成図である。 図2は、図1に示す各変調信号を示す図である。 図3は、図1に示す各変調信号が満たす直交条件を説明するための図である。 図4は、画像生成部による画像変化の判定を説明するためのグラフである。 図5は、観察方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図6は、図5に示す画像処理ステップの詳細を示すフローチャートである。 図7は、実施例及び比較例のシミュレーション条件を説明するための図である。 図8は、比較例のシミュレーション条件を示す図である。 図9は、比較例のシミュレーション結果を示す図である。 図10は、実施例のシミュレーション結果を示す図である。 図11は、画像生成部による画像生成処理の変形例を示す図である。 図12は、図11の一部を拡大した拡大図である。 図13は、図11に示す変形例のシミュレーション結果を示す図である。 図14は、図11に示す変形例の更なる変形例を示す図である。 図15は、図14の一部を拡大した拡大図である。 図16は、図14に示す変形例のシミュレーション結果を示す図である。 図17は、観察装置の変形例を示す概略構成図である。 図18は、観察装置の別の変形例を示す概略構成図である。 図19は、各変調信号の変形例を示す図である。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る観察装置1を示す概略構成図である。観察装置1は、観察対象物である試料Tの蛍光観察を行う。試料Tは、例えば、互いに異なる複数種類の蛍光物質を含む生体組織等のサンプルである。各蛍光物質は、所定の波長域の励起光が照射された場合に、励起光の波長に応じた波長を有する蛍光等の検出光を発生する。蛍光物質としては、例えば、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、及び5-アミノレブリン酸等の蛍光色素が挙げられる。観察装置1は、試料Tの複数の蛍光物質をそれぞれ励起する複数の励起光L1、L2、及びL3を試料Tに同時に照射し、それに伴って試料Tから発生する複数の検出光L11、L12、及びL13を同時に撮像する。
図1に示すように、観察装置1は、例えば、照射部10と、検出部40と、画像処理部70と、を備える。照射部10は、互いに異なる波長λ1、λ2、及びλ3を有し、且つ互いに異なる変調条件M1、M2、及びM3でそれぞれ変調された複数の励起光L1、L2、及びL3を、試料Tに同時に照射する。照射部10は、励起光L1、L2、及びL3をそれぞれ出力する複数の光源11、12、及び13と、各励起光L1、L2、及びL3が互いに異なる変調条件M1、M2、及びM3で変調されるように各光源11、12、及び13を制御する変調部15と、各光源11、12、及び13から出力された各励起光L1、L2、及びL3を試料Tに導光する導光光学系20と、を有する。
各光源11、12、及び13は、試料Tの蛍光物質を励起させる波長を含む光を生成可能なコヒーレント光源又はインコヒーレント光源である。光源11は、波長λ1を有する励起光L1を生成可能である。光源12は、波長λ2を有する励起光L2を生成可能である。光源13は、波長λ3を有する励起光L3を生成可能である。コヒーレント光源としては、例えば、レーザダイオード(LD)といったレーザ光源等が挙げられる。インコヒーレント光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)又はランプ系光源等が挙げられる。
変調部15は、各光源11、12、及び13と電気的に接続されている。変調部15は、互いに異なる変調条件M1、M2、及びM3をそれぞれ有する複数の変調信号S1、S2、及びS3を用いて、複数の励起光L1、L2、及びL3をそれぞれ変調させる。変調部15は、変調信号S1、S2、及びS3を生成する変調信号生成部16(生成部)と、変調条件M1、M2、及びM3を設定する変調条件設定部17と、を有する。
変調条件設定部17は、変調信号S1、S2、及びS3毎に、互いに異なる変調条件(例えば、位相又は周波数)を設定する。本実施形態では、変調条件設定部17は、例えば、変調条件M3を最も高い最速変調周波数に設定し、変調条件M2を変調条件M3よりも低い変調周波数に設定し、変調条件M1を最も低い変調周波数に設定する。例えば、変調条件設定部17は、変調条件M3を変調条件M1の4倍の変調周波数に設定し、変調条件M2を変調条件M1の2倍の変調周波数に設定する。なお、変調条件設定部17は、変調信号S1、S2、及びS3毎に互いに異なる位相を設定してもよい。変調条件M1、M2、及びM3は、予め変調条件設定部17に記憶された値であってもよいし、入出力デバイス等を介して外部から入力された値であってもよい。
変調信号生成部16は、変調条件設定部17によって設定された変調条件M1、M2、及びM3をそれぞれ有する変調信号S1、S2、及びS3を生成する。各変調信号S1、S2、及びS3は、各光源11、12、及び13から出力される各励起光L1、L2、及びL3を時間的に変調させるための変調パターンである。具体的には、変調信号S1は、励起光L1の照射のON/OFFが交互に切り替えられるように、励起光L1を変調条件M1で変調させる矩形波状のパルス信号である。変調信号S2は、励起光L2の照射のON/OFFが交互に切り替えられるように、励起光L2を変調条件M2で変調させる矩形波状のパルス信号である。変調信号S3は、励起光L3の照射のON/OFFが交互に切り替えられるように、励起光L3を変調条件M3で変調させる矩形波状のパルス信号である。各変調信号S1、S2、及びS3のより詳細な説明については、後述する。
変調信号生成部16は、生成した変調信号S1、S2、及びS3を光源11、12、及び13にそれぞれ出力する。各変調信号S1、S2、及びS3に従って、各光源11、12、及び13から出力される各励起光L1、L2、及びL3が変調される。その結果、変調条件M1で変調された励起光L1が光源11から出力され、変調条件M2で変調された励起光L2が光源12から出力され、変調条件M3で変調された励起光L3が光源13から出力される。
導光光学系20は、コリメータレンズ21、22、及び23と、ダイクロイックミラー24、25、及び29と、フィルタ26及び27と、リレーレンズ28と、対物レンズ31と、を含む。コリメータレンズ21は、光源11から出力された励起光L1を平行化する。コリメータレンズ22は、光源12から出力された励起光L2を平行化する。コリメータレンズ23は、光源13から出力された励起光L3を平行化する。ダイクロイックミラー24は、光源13の光軸と光源12の光軸とが交差する位置に配置されている。コリメータレンズ22を経た励起光L2、及びコリメータレンズ23を経た励起光L3は、ダイクロイックミラー24に到達する。
ダイクロイックミラー24は、波長λ2の励起光L2を反射し、波長λ3の励起光L3を透過するように構成されている。ダイクロイックミラー24を経た励起光L2及びL3と、コリメータレンズ21を経た励起光L1とは、ダイクロイックミラー25に到達する。ダイクロイックミラー25は、光源12の光軸と光源11の光軸とが交差する位置に配置されている。ダイクロイックミラー25は、波長λ2の励起光L2、及び波長λ3の励起光L3を反射し、波長λ1の励起光L1を透過するように構成されている。ダイクロイックミラー25を経た励起光L1、L2、及びL3は、対物レンズ31に向かって進行する。
フィルタ26及び27は、ダイクロイックミラー25と対物レンズ31との間の光路上に並んで配置されている。フィルタ26及び27は、波長λ1の励起光L1、波長λ2の励起光L2、及び波長λ3の励起光L3のみを選択的に透過し、他の波長の光を遮断するバンドパスフィルタである。したがって、ダイクロイックミラー25を経た励起光L1、L2、及びL3は、フィルタ26及び27を透過する。リレーレンズ28は、フィルタ26及び27の間の光路上に配置されている。リレーレンズ28は、励起光L1、L2、及びL3を対物レンズ31まで効率よく導く役割を有する。
ダイクロイックミラー29は、フィルタ27と対物レンズ31との間の光路上に配置されている。フィルタ27を経た励起光L1、L2、及びL3は、ダイクロイックミラー29に到達する。ダイクロイックミラー29は、波長λ1の励起光L1、波長λ2の励起光L2、及び波長λ3の励起光L3を反射し、蛍光波長の検出光L11、L12、及びL13を透過するように構成されている。ダイクロイックミラー29を経た励起光L1、L2、及びL3は、対物レンズ31に到達する。
対物レンズ31は、励起光L1、L2、及びL3を集光し、集光した励起光L1、L2、及びL3を試料Tに同時に照射する。更に、対物レンズ31は、励起光L1、L2、及びL3の照射に伴って試料Tから発生した検出光L11、L12、及びL13を導光する。対物レンズ31は、例えば、ピエゾアクチュエータ又はステッピングモータ等の駆動素子により、対物レンズ31の光軸に沿って移動可能に構成されている。これにより、励起光L1、L2、及びL3の集光位置、及び検出光L11、L12、及びL13の検出のための焦点位置が調整可能となっている。
検出光L11、L12、及びL13は、励起光L1、L2、及びL3の照射に伴って試料Tからそれぞれ発生する蛍光である。本実施形態では、検出光L11、L12、及びL13のうちの検出光L13が最も大きい光量を有する検出光(第1の検出光)となっており、検出光L11及びL12のそれぞれは、検出光L13よりも小さい光量を有する検出光(第2の検出光)となっている。検出光L11の光量は、検出光L12の光量よりも小さく、検出光L11、L12、及びL13の中で最も小さい。最も大きい光量を有する検出光L13は、最も高い変調周波数を有する励起光L3の照射に伴って発生した光である。
なお、検出光L11、L12、及びL13の光量は、励起光L1、L2、及びL3の照射を一度行えば測定できるので、検出光L11、L12、及びL13の光量が観察装置1に予め記憶されていてもよい。そして、各検出光L11、L12、及びL13の光量の違いを考慮して、各励起光L1、L2、及びL3の変調条件が決定されてもよい。例えば、最も大きい光量を有する検出光L13に対応する励起光L3の変調条件が最速変調周波数となるように、予め設定されていてもよい。
検出部40は、試料Tから発生した検出光L11、L12、及びL13を検出する。検出部40は、検出光L11、L12、及びL13を導光する導光光学系30と、導光光学系30によって導光された検出光L11、L12、及びL13を検出するセンサ35と、を有する。導光光学系30は、対物レンズ31と、ダイクロイックミラー29と、フィルタ32と、結像レンズ33と、を有する。対物レンズ31は、検出光L11、L12、及びL13を結像レンズ33に向けて導光する。ダイクロイックミラー29及びフィルタ32は、対物レンズ31と結像レンズ33との間の光路上に配置されている。フィルタ32は、蛍光波長の検出光L11、L12、及びL13のみを選択的に透過し、他の波長の光を遮断するバンドパスフィルタである。したがって、対物レンズ31を経た検出光L11、L12、及びL13は、ダイクロイックミラー29及びフィルタ32を透過し、結像レンズ33に到達する。結像レンズ33は、検出光L11、L12、及びL13をセンサ35に結像する。
センサ35は、2次元的に配列された複数の画素によって構成された受光面を有している。センサ35は、例えば、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等のエリアイメージセンサである。このようなイメージセンサとして、例えば、モノクロセンサ、カラーセンサ、マルチスペクトルセンサ、又はハイパースペクトルセンサ等を用いることができる。センサ35は、導光光学系30により導光された検出光L11、L12、及びL13による光像を撮像し、検出光L11、L12、及びL13のぞれぞれの光像を含む画像データとして検出信号Sを出力する。
センサ35は、所定のフレームレート(例えば、100fps)で撮像し、各フレームに対応する検出信号Sを繰り返し出力するように設定されている。センサ35は、例えば、フレーム周期(フレームレートの逆数)以下の範囲で露光時間を可変に設定可能に構成されている。また、センサ35は、変調信号生成部16と通信可能に構成されており、センサ35による撮像と、各変調信号S1、S2、及びS3に基づく励起光L1、L2、及びL3の変調と、が同期するように設定されている。
画像処理部70は、例えば、コンピュータであり、物理的には、RAM及びROM等のメモリ、CPU等のプロセッサ(演算回路)、通信インターフェイス、ハードディスク等の格納部、並びに、ディスプレイ等の表示部、を備えて構成されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータ、クラウドサーバ、又はスマートデバイス(スマートフォン或いはタブレット端末など)などが挙げられる。コンピュータは、コンピュータのメモリに格納されるプログラムをコンピュータシステムのCPUで実行することにより、画像処理部70としての機能の他、各構成を制御するコントローラとして機能してもよいし、変調部15として機能してもよい。
画像処理部70は、センサ35と電気的に接続されており、センサ35から出力された検出信号Sの処理を行う。画像処理部70は、変調条件M1、M2、及びM3に基づいて検出信号Sを復調することにより、検出光L11、L12、及びL13それぞれの光像に対応する画像データである復調信号S11、S12、及びS13を出力する信号復調部71と、各復調信号S11、S12、及びS13に基づいて各検出光L11、L12、及びL13それぞれの光像を示す画像を生成する画像生成部72と、を有する。信号復調部71は、所定のフレームレートで出力される検出信号Sを復調タイミングTM1、TM2、…(後述する図2参照)で復調する。また、復調タイミングTM1、TM2、…は、他の変調信号S2及びS3の変調周期の整数倍になるように設定されている。したがって、画像処理部70の信号復調部71は、復調タイミングTM1、TM2、…毎に、変調信号S1、S2、及びS3に基づいて検出信号Sを復調し、復調信号S11、S12、及びS13を生成する。信号復調部71における復調は、複数回(例えば、N回(Nは正の整数を示す))行われてもよい。この場合、信号復調部71は、復調信号S11、S12、及びS13の生成をN回行い、画像生成部72は、生成されたN個の復調信号S11、N個の復調信号S12、及びN個の復調信号S13に対して、それぞれ平均処理もしくは加算処理等を行う。これにより、画像生成部72は、検出光L11、L12、及びL13それぞれの光像に対応する画像を生成する。
信号復調部71は、検出信号Sから復調信号S11、S12、及びS13を復調する際、変調信号S1、S2、及びS3の変調条件M1、M2、及びM3に基づいて復調処理を行う。検出信号Sに含まれる各検出光L11、L12、及びL13は、各励起光L1、L2、及びL3の照射に応じて発生する光であるため、各検出光L11、L12、及びL13を示す各復調信号S11、S12、及びS13についても、各変調信号S1、S2、及びS3の各変調条件M1、M2、及びM3で変調されている。そこで、信号復調部71は、復調タイミングTM1、TM2、…において、変調条件M1、M2、及びM3による検出信号Sの復調処理を行うことにより、検出信号Sから復調信号S11、S12、及びS13を復調する。
具体的には、信号復調部71は、センサ35から出力される検出信号Sのうち、変調信号S1のON期間(すなわち、試料Tへの励起光L1の照射がONになる期間)に対応する検出信号Sに係数(例えば、“1”)を乗じ、OFF期間(すなわち、試料Tへの励起光L1の照射がOFFになる期間)に対応する検出信号Sに別の係数(例えば、“-1”)を乗じ、これらに対し平均処理もしくは加算処理を行うことで、復調信号S11を得る。また、信号復調部71は、センサ35から出力される検出信号Sのうち、変調信号S2のON期間(すなわち、試料Tへの励起光L2の照射がONになる期間)に対応する検出信号Sに係数(例えば、“1”)を乗じ、OFF期間(すなわち、試料Tへの励起光L2の照射がOFFになる期間)に対応する検出信号Sに別の係数(例えば、“-1”)を乗じ、これらに対し平均処理もしくは加算処理を行うことで、復調信号S12を得る。また、信号復調部71は、センサ35から出力される検出信号Sのうち、変調信号S3のON期間(すなわち、試料Tへの励起光L3の照射がONになる期間)に対応する検出信号Sに係数(例えば、“1”)を乗じ、OFF期間(すなわち、試料Tへの励起光L3の照射がOFFになる期間)に対応する検出信号Sに別の係数(例えば、“-1”)を乗じ、これらに対し平均処理もしくは加算処理を行うことで、復調信号S13を得る。なお、検出信号Sに乗じる係数は、変調信号S1、S2、及びS3の振幅に対応させてもよい。信号復調部71は、復調タイミングTM1、TM2、…毎に復調信号S11,S12、及びS13を生成し、これら復調信号S11、S12、及びS13を画像生成部72に出力する。
画像生成部72は、信号復調部71から出力された復調信号S11、S12、及びS13に基づいて、検出光L11、L12、及びL13それぞれに対応する画像を生成する。本実施形態のように複数の復調タイミングTM1、TM2、…が設定されている場合、信号復調部71は、復調タイミングTM1、TM2、…毎に復調信号S11、S12、及びS13を生成し、これら復調信号S11、S12、及びS13を画像生成部72に出力する。そのため、画像生成部72には、復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成された複数の復調信号S11が入力される。画像生成部72は、複数の復調信号S11を平均処理もしくは加算処理することにより、検出光L11の画像を生成する。同様に、画像生成部72には、復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成された複数の復調信号S12が入力される。画像生成部72は、複数の復調信号S12を平均処理もしくは加算処理することにより、検出光L12の画像を生成する。同様に、画像生成部72には、復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成された複数の復調信号S13が入力される。画像生成部72は、複数の復調信号S13を平均処理もしくは加算処理することにより、検出光L13の画像を生成する。
なお、復調信号S11、S12、及びS13は復調タイミングTM1、TM2、…毎に復調されるため、復調信号S11、S12、及びS13に基づいて生成される検出光L11、L12、及びL13の画像も、復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成されてもよい。この場合、画像生成部72は、検出光L11、L12、及びL13の画像が生成される度に、それぞれの画像を更新して表示してもよい。つまり、画像生成部72は、復調タイミングTM1、TM2、…が到来する度に、各検出光L11、L12、及びL13の画像を更新してもよい。また、画像生成部72は、検出光L11、L12、及びL13の画像をそれぞれ並べて表示してもよいし、これらの画像を互いに重ね合わせて表示してもよい。更に、画像生成部72は、各検出光L11、L12、及びL13の画像について更新前後の画像を比較し、その比較結果に基づいて励起光L1、L2、及びL3の照射の制御を行う。この処理の詳細については後述する。
ここで、図2及び図3を参照して、上述した変調信号S1、S2、及びS3について詳細に説明する。図2の(a)は、変調条件M1を有する変調信号S1を示している。図2の(b)は、変調条件M2を有する変調信号S2を示している。図2の(c)は、変調条件M3を有する変調信号S3を示している。図2の(a)、図2の(b)、及び図2の(c)において、横軸は時間を示しており、縦軸は変調信号S1、S2、及びS3の出力を示している。なお、図2の(a)、図2の(b)、及び図2の(c)には、各検出光L11、L12、及びL13の画像の生成に用いられるフレームの範囲が、ドット柄のハッチングで併せて示されている。本実施形態では、各復調信号S11、S12、及びS13の全フレームを用いて各検出光L11、L12、及びL13の画像が生成される。すなわち、各検出光L11、L12、及びL13の画像の生成には、画像の生成が開始されてから画像の生成が終了するまでの全期間のフレームが用いられる。図2の(a)における各プロットは、復調信号S11に含まれるフレーム(すなわち、検出光L11の光像を示す画像データ)に対応している。図2の(b)における各プロットは、復調信号S12に含まれるフレーム(すなわち、検出光L12の光像を示す画像データ)に対応している。図2の(c)における各プロットは、復調信号S13に含まれるフレーム(すなわち、検出光L13の光像を示す画像データ)に対応している。各復調信号S11、S12、及びS13のフレームは、センサ35から所定のフレームレートで出力される検出信号Sに含まれており、各検出光L11、L12、及びL13の画像の生成に用いられる。
図2の(a)に示す変調信号S1は、例えば、試料Tへの励起光L1の照射がONになる期間と、試料Tへの励起光L1の照射がOFFになる期間とを含む期間を一周期T1として、変調条件M1の変調周波数で交互に繰り返すように励起光L1を変調させる。図2の(b)に示す変調信号S2は、例えば、試料Tへの励起光L2の照射がONになる期間と、試料Tへの励起光L2の照射がOFFになる期間とを含む期間を一周期T2として、変調条件M2の変調周波数で交互に繰り返すように励起光L2を変調させる。本実施形態では、変調信号S2の変調条件M2は、変調信号S1の変調条件M1の2倍の変調周波数に設定されているので、変調信号S1の一周期T1の中に、変調信号S2の一周期T2が2つ含まれている。
図2の(c)に示す変調信号S3は、例えば、試料Tへの励起光L3の照射がONになる期間と、試料Tへの励起光L3の照射がOFFになる期間とを含む期間を一周期T3として、変調条件M3の変調周波数で交互に繰り返すように励起光L3を変調させる。本実施形態では、変調信号S3の変調条件M3は、変調信号S1の変調条件M1の4倍の変調周波数に設定されているので、変調信号S1の一周期T1の中に、変調信号S3の一周期T3が4つ含まれている。
各変調信号S1、S2、及びS3によって各励起光L1、L2、及びL3の照射のON/OFFが切り替えられると、これに応じて、各検出光L11、L12、及びL13の発光/非発光が切り替えられる。つまり、各励起光L1、L2、及びL3の照射がONのときは、各検出光L11、L12、及びL13が発光する一方、各励起光L1、L2、及びL3の照射がOFFのときは、各検出光L11、L12、及びL13が発光しないか、極めて小さい光量の各検出光L11、L12、及びL13が発光する。したがって、各検出光L11、L12、及びL13を示す各復調信号S11、S12、及びS13は、各変調信号S1、S2、及びS3に応じて変化する信号となる。図2の(a)、図2の(b)、及び図2の(c)には、復調信号S11、S12、及びS13が復調される復調タイミングTM1、TM2、…が示されている。復調タイミングTM1、TM2、…は、変調信号S1の一周期T1が経過するタイミングに一致している。
復調タイミングTM1、TM2、…において、検出信号Sから復調信号S11、S12、及びS13が正確に復調されるためには、各復調信号S11、S12、及びS13に対応する各復調信号S11、S12、及びS13が互いに直交条件を満たす必要がある。「直交条件を満たす」とは、復調タイミングTM1、TM2、…において各変調信号S1、S2、及びS3の間の内積がゼロになることをいう。この直交条件について、図3を用いてより詳細に説明する。
図3は、変調信号S1及びS2が満たす直交条件を説明するための図である。図3に示す例では、変調信号S1及びS2の関係に着目し、励起光L1及びL2の照射がONになるときの変調信号S1及びS2の出力を+1とし、励起光L1及びL2の照射がOFFになるときの変調信号S1及びS2の出力を-1とする。そして、各変調信号S1及びS2について、出力が切り替わるタイミングで時間領域R1、R2、R3及びR4に分割する。変調信号S1と変調信号S2とでは、変調信号S2の方が出力の切り替えが多いので、変調信号S2の出力が切り替わるタイミングで時間領域R1、R2、R3及びR4に分割する。その結果、時間領域R1及びR3は、変調信号S2に対応する励起光L2の照射がONになる期間に相当し、時間領域R2及びR4は、励起光L2の照射がOFFになる期間に相当することとなる。
そして、各時間領域R1、R2、R3及びR4について、変調信号S1の出力と変調信号S2の出力との積を計算する。時間領域R1においては、変調信号S1の出力が+1であり、変調信号S2の出力も+1であるので、これらの積は+1である。一方、時間領域R2においては、変調信号S1の出力が+1であり、変調信号S2の出力は-1であるので、これらの積は-1である。同様に計算すると、時間領域R3においては、変調信号S1及びS2の積は-1となり、時間領域R4においては、変調信号S1及びS2の積は+1となる。そして、これら時間領域R1、R2、R3、及びR4における上記積の合計はゼロになる。これは、各変調信号S1及びS2の間の内積がゼロになることを意味する。したがって、時間領域R4が経過したタイミングである復調タイミングTM1(すなわち、変調信号S1の一周期T1が経過するタイミング)において、変調信号S1及びS2が互いに直交条件を満たすこととなる。
上記の変調信号S1及びS2の関係は、変調信号S1、S2、及びS3のいずれの2つの変調信号の間においても成り立つ。したがって、各変調信号S1、S2、及びS3は、復調タイミングTM1、TM2、…において互いに直交条件を満たす。復調タイミングTM1、TM2、…は、上述したように、変調信号S1、S2、及びS3のうち、最も低い変調周波数を有する変調信号S1の一周期T1が経過するタイミングに一致する。このタイミングでは、変調信号S1、S2、及びS3の全てが常に互いに直交条件を満たす。なお、直交条件を満たす変調信号の組み合わせのパターンは、センサ35の規定フレーム数だけ存在する。本実施形態のように矩形波状の変調信号を用いる場合において、例えば、センサ35の規定フレーム数が16であるとき、直交条件を満たす変調信号の組み合わせは最大で16パターン存在する。つまり、規定フレーム数分だけ検出光を同時に検出することが可能である。
再び、図2を参照する。上述したように、復調タイミングTM1、TM2、…においては、各復調信号S11、S12、及びS13が正確に復調され、各復調信号S11、S12、及びS13に基づいて各検出光L11、L12、及びL13の画像が生成される。各検出光L11、L12、及びL13の画像が生成されると、画像生成部72(図1参照)は、生成した画像を更新して表示する。このとき、画像生成部72は、更新前後の画像の比較結果に基づいて、励起光L1、L2、及びL3の照射の制御を行う。
具体的には、画像生成部72は、復調タイミングTM2、TM3…毎に、各検出光L11、L12、及びL13の画像について更新時の画像と更新前の画像とを比較する。更新時とは、各検出光L11、L12、及びL13の画像が生成されるいずれかの復調タイミングTM2、TM3…を意味する。更新前とは、更新時の復調タイミングよりも前のいずれかの復調タイミングTM1、TM2、…を意味する。更新前の復調タイミングは、更新時の復調タイミングの直前の復調タイミングであってもよいし、更新時の復調タイミングの2つ前の復調タイミングであってもよいし、更新前後の画像の比較が最初に行われる復調タイミングTM2に固定されてもよい。なお、復調タイミングTM1においては、比較対象となる更新前の画像が存在しないため、更新前後の画像の比較は行われない。したがって、復調タイミングTM2において、更新前後の画像の比較が最初に行われる。
本実施形態では、画像生成部72は、更新時の復調タイミングに生成された画像と、更新時の復調タイミングの直前の復調タイミングに生成された画像とを比較する。本実施形態において、単に「画像」という場合、検出光L11の画像、検出光L12の画像、及び検出光L13の画像のいずれかの画像を意味する。そして、比較対象となる更新前の画像は、更新時の画像中の検出光と同種の検出光の画像とする。例えば、「画像」が検出光L11の画像を意図する場合、更新時の検出光L11の画像と、更新前の検出光L11の画像とが比較される。検出光L12及びL13についても同様である。
画像生成部72は、更新前後の画像を比較する際、更新時の画像と更新前の画像との差分値を算出する。「差分値」は、更新時の画像と更新前の画像との間の変化の大きさを示す。したがって、「差分値」が大きい場合、更新前後の画像の変化が大きいと判断することができ、「差分値」が小さい場合、更新前後の画像の変化が小さいと判断することができる。「差分値」は、更新前後の画像の変化の大きさが判断可能な指標であれば、いかなる指標であってもよい。本実施形態では、画像生成部72は、更新時の画像のコントラストと、更新前の画像のコントラストとの間の平均二乗誤差を「差分値」として算出する。「差分値」は、更新時の画像のコントラストと更新前の画像のコントラストとの間の平均二乗誤差に限らず、更新時の画像のコントラストと更新前の画像のコントラストとの間の平均絶対誤差(MAE)、平均絶対誤差率(MAPE)又は平均平方二乗誤差率(RMSPE)であってもよい。
したがって、本実施形態では、画像生成部72は、更新時の復調タイミングに生成された画像のコントラストと、当該復調タイミングの直前の復調タイミングに生成された画像のコントラストとの間の平均二乗誤差を差分値として、復調タイミングTM2、TM3、…毎に算出する。そして、画像生成部72は、算出した差分値が所定の閾値よりも小さいか否かを復調タイミングTM2、TM3、…毎に判定する。画像生成部72は、差分値が所定の閾値よりも小さいと判定した場合には、更新前後の画像の変化が小さいと判断する。一方、画像生成部72は、差分値が所定の閾値よりも大きいと判定した場合には、更新前後の画像の変化が大きいと判断する。この画像生成部72による画像変化の判定について、図4を用いてより具体的に説明する。
図4は、画像生成部72による画像変化の判定を説明するためのグラフである。図4は、検出光L12の画像変化の判定が行われる場合を示している。図4に示すグラフG1は、復調タイミングTM2、TM3、…毎に算出される差分値の変化を示している。ここでの「差分値」は、或る復調タイミングで生成された検出光L12の画像のコントラストと、当該或る復調タイミングの直前の復調タイミングで生成された検出光L12の画像のコントラストと、の間の平均二乗誤差である。図4において、縦軸は二乗平均誤差を示しており、横軸は時間を示している。図4には、差分値が算出される各復調タイミングTM2、TM3、…が示されている。
図4に示す復調タイミングTM2においては、画像生成部72は、復調タイミングTM2に生成された検出光L12の画像と、復調タイミングTM2の直前の復調タイミングTM1に生成された検出光L12の画像との差分値を最初に算出する。そして、画像生成部72は、算出した差分値が所定の閾値Etよりも小さいか否かを判定する。閾値Etは、検出光L12の更新前後の画像の変化が十分に小さいか否かを判定するための基準値である。図4に示す例では、閾値Etは2に設定されている。
復調タイミングTM2では、画像生成部72は、差分値は閾値Et以上であると判定する。この場合、検出光L12の画像について更新を繰り返せば、検出光L12の画像の精度が向上する余地が大きいと考えられる。したがって、画像生成部72は、差分値は閾値Et以上であると判定した場合には、励起光L2の照射の制御を行わず、次の復調タイミングTM3において同様に差分値を算出し、上述した画像変化の判定を繰り返す。
図4に示すように、算出された差分値は、復調タイミングTM2、TM3、…が経過する度に徐々に小さくなっていることが分かる。つまり、検出光L12の更新前後の画像の変化が徐々に小さくなっている。そして、復調タイミングTM7において、差分値が閾値Etよりも小さくなっている。したがって、復調タイミングTM7では、画像生成部72は、復調タイミングTM7(第1の復調タイミング)に生成された検出光L12の画像と、復調タイミングTM7の直前の復調タイミングTM6(第2の復調タイミング)に生成された検出光L12の画像との差分値が閾値Etよりも小さいと判定する。この場合、画像生成部72は、検出光L12の更新前後の画像の変化が十分に小さくなったと判断する。検出光L12の更新前後の画像の変化が十分に小さくなれば、検出光L12の画像について更新を繰り返しても、検出光L12の画像の精度が向上する余地は小さいと考えられる。
そこで、画像生成部72は、差分値が閾値Etよりも小さいと判定した復調タイミングTM7以降、検出光L12に対応する励起光L2の照射をOFFに設定し、検出光L12の画像の生成を終了する。画像生成部72は、例えば、励起光L2のON/OFFを切り替える変調信号S2を調整することによって、復調タイミングTM7以降における励起光L2の照射をOFFに設定する。すなわち、図2の(b)に示すように、画像生成部72は、復調タイミングTM7以降の期間において励起光L2の照射が全てOFFに設定されるように、変調信号S2を調整する。これにより、復調タイミングTM7以降、励起光L2の照射が全てOFFになる。
以上、画像生成部72による画像変化の判定について、検出光L12の画像に着目して説明したが、他の検出光L11及びL13の画像についても同様に行われる。画像生成部72は、検出光L13の画像について画像変化の判定を行う場合、更新前後の画像の差分値の判定が最初に行われる復調タイミングTM2において、復調タイミングTM2(第1の復調タイミング)に生成された検出光L13の画像と、復調タイミングTM2の直前の復調タイミングTM1(第2の復調タイミング)に生成された検出光L13の画像との差分値が閾値Etよりも小さいと判定する。このため、画像生成部72は、復調タイミングTM2以降、検出光L13に対応する励起光L3の照射をOFFに設定する。したがって、図2の(c)に示すように、励起光L3に対応する変調信号S3が、復調タイミングTM2以降の期間において励起光L3の照射が全てOFFになるように設定されている。
図2の(b)及び図2の(c)に示すように、励起光L3がOFFに設定される復調タイミングTM2は、励起光L2がOFFに設定される復調タイミングTM7よりも前である。これは、検出光L13の光量が検出光L12の光量よりも大きいことに起因する。つまり、大きな光量を有する検出光L13の画像は、S/N比が高いので、比較的早いタイミングで画像の変化が小さくなる。このため、画像生成部72は、復調タイミングTM2以降、励起光L3の照射がOFFになるように設定し、検出光L13の画像の生成を終了する。
一方、検出光L11の光量は、検出光L12の光量よりも小さいため、画像の変化が小さくなるタイミングが比較的遅くなる。したがって、検出光L11の画像については、図2の(a)に示すように、励起光L2がOFFに設定される復調タイミングTM7よりも後になる。検出光L11の画像については、復調タイミングTM7よりも後の復調タイミングで、励起光L1の照射がOFFに設定されることもあるし、規定フレーム数に達するまで励起光L1の照射がOFFに設定されないこともある。
したがって、検出光L11の画像、検出光L12の画像、及び検出光L13の画像のうち、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2が最も早く到来し、検出光L13の画像の生成が終了した後に、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7が到来する。画像生成部72は、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2から、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7以前の期間においては、検出光L11及びL12の画像の生成を継続する。そして、画像生成部72は、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7以降の期間においては、検出光L11の画像の生成のみを継続する。
画像生成部72は、復調タイミングTM2以降の期間に検出光L11の画像を生成する際、復調タイミングTM2以降の期間に検出された検出信号Sに含まれる画像データ(すなわ、復調タイミングTM2以降の期間に得られるフレーム)を用いて、検出光L11の画像を生成する。画像生成部72は、復調タイミングTM2以降の期間に検出光L12の画像を生成する際、復調タイミングTM2から復調タイミングTM7までの期間に検出された検出信号Sに含まれる画像データ(すなわち、復調タイミングTM2から復調タイミングTM7までの期間に得られるフレーム)を用いて、検出光L12の画像を生成する。
続いて、上述した観察装置1を用いて実施される観察方法について説明する。図5は、本実施形態に係る観察方法を示すフローチャートである。図6は、図5に示す画像処理ステップの詳細を示すフローチャートである。
まず、照射部10は、互いに異なる波長λ1、λ2、及びλ3を有し、且つ互いに異なる変調条件M1、M2、及びM3でそれぞれ変調された励起光L1、L2、及びL3を、試料Tに同時に照射する(照射ステップP1)。このとき、変調信号生成部16は、各励起光L1、L2、及びL3を変調させる各変調信号S1、S2、及びS3を生成し、各変調信号S1、S2、及びS3を各光源11、12、及び13に出力する。これにより、変調条件M1で変調された励起光L1が光源11から出力され、変調条件M2で変調された励起光L2が光源12から出力され、変調条件M3で変調された励起光L3が光源13から出力される。これら励起光L1、L2、及びL3は、導光光学系20によって試料Tに同時に照射される。
次に、検出部40は、励起光L1、L2、及びL3の照射に伴って試料Tから発生した検出光L11、L12、及びL13を同時に検出する(検出ステップP2)。具体的には、試料Tから発生した検出光L11、L12、及びL13が導光光学系30によってセンサ35に導光され、センサ35は、検出光L11、L12、及びL13の光像を示す検出信号Sを出力する。
次に、画像処理部70は、検出信号Sに基づいて検出光L11、L12、及びL13の画像をそれぞれ生成する(画像処理ステップP3)。具体的には、信号復調部71が、変調信号S1、S2、及びS3に基づいて、検出信号Sから復調信号S11、S12、及びS13を復調タイミングTM1、TM2、…毎に復調する。そして、画像生成部72が、各復調信号S11、S12、及びS13に基づいて、各検出光L11、L12、及びL13の画像をそれぞれ生成する。複数の復調タイミングTM1、TM2、…が設定されている場合、検出光L11の画像は、各復調タイミングTM1、TM2、…に対応する各復調信号S11を平均処理もしくは加算処理することにより生成されてもよいし、復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成されてもよい。同様に、検出光L12の画像は、各復調タイミングTM1、TM2、…に対応する各復調信号S12を平均処理もしくは加算処理することにより生成されてもよいし、復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成されてもよい。同様に、検出光L13の画像は、各復調タイミングTM1、TM2、…に対応する各復調信号S13を平均処理もしくは加算処理することにより生成されてもよいし、復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成されてもよい。
検出光L11、L12、及びL13の画像が復調タイミングTM1、TM2、…毎に生成される場合、図6に示すように、まず、画像生成部72は、復調タイミングTM2において各検出光L11、L12、及びL13の画像を更新する(ステップP31)。次に、画像生成部72は、各検出光L11、L12、及びL13の画像について、更新前後の画像の差分値を復調タイミングTM2に算出する(ステップP32)。具体的には、画像生成部72は、復調タイミングTM2に生成された画像のコントラストと、復調タイミングTM2の直前の復調タイミングTM1に生成された画像のコントラストと、の間の平均二乗誤差を差分値として算出する。
次に、画像生成部72は、復調タイミングTM2において、算出した差分値が所定の閾値Etよりも小さいか否かを判定する(ステップP33)。画像生成部72は、差分値が閾値Etよりも小さいと判定した場合(ステップP33においてYes)、復調タイミングTM2以降、判定した画像中の検出光に対応する励起光の照射をOFFに設定し、その検出光の画像の生成を終了する(ステップP34)。一方、画像生成部72は、差分値が閾値Et以上であると判定した場合(ステップP33においてNo)には、励起光の照射の制御は行わない。
本実施形態では、画像生成部72は、復調タイミングTM2において、検出光L13の画像についての差分値が閾値Etよりも小さいと判定し、検出光L13の画像の生成を終了する。一方、画像生成部72は、他の検出光L11及びL12の画像については、差分値が閾値Et以上であると判定し、検出光L11及びL12の画像の生成を継続する。その後、画像生成部72は、全てのフレームが処理されたか否かを判定する(ステップP35)。画像生成部72は、全てのフレームが処理されたと判定した場合(ステップP35においてYes)には、全ての画像の生成を終了する。一方、画像生成部72は、全てのフレームが処理されていないと判定した場合(ステップP35においてNo)には、次の復調タイミングTM3においてステップP31~ステップP35が繰り返される。以上の過程を経て、最終的な各検出光L11、L12、及びL13の画像が得られる。
続いて、図7、図8、図9、及び図10に示すシミュレーションを参照しながら、上述した観察装置1及び観察方法の作用効果について説明する。図7は、実施例及び比較例のシミュレーション条件を説明するための図である。
図7に示すように、励起光L1、L2、及びL3の照射に伴って試料Tから発生する検出光L11、L12、及びL13が順に左右に並んで配置されており、本実施形態と同様、検出光L13の光量が最も大きく、検出光L12の光量が検出光L13の光量よりも小さく、検出光L11の光量が最も小さくなっている場合をシミュレーションする。例えば、検出光L13の光量が200[光子/フレーム]に設定され、検出光L12の光量が10[光子/フレーム]に設定され、検出光L11の光量が2[光子/フレーム]に設定される。
図8は、比較例のシミュレーション条件を示す図である。図8の(a)は、変調信号S1に相当する変調信号S101を示している。図8の(b)は、変調信号S2に相当する変調信号S102を示している。図8の(c)は、変調信号S3に相当する変調信号S103を示している。比較例では、上述した画像生成部72による画像変化の判定が行われない。したがって、各変調信号S101、S102、及びS103には、各変調信号S1、S2、及びS3とは異なり、或る復調タイミング以降に励起光の照射が全てOFFに設定される期間、が設けられていない。
図9は、比較例のシミュレーション結果を示す図である。図9の(a)は、変調信号S101に対応する検出光L11の画像を示している。図9の(b)は、変調信号S102に対応する検出光L12の画像を示している。図9の(c)は、変調信号S103に対応する検出光L13の画像を示している。図9の(a)及び図9の(b)に示すように、検出光L11及びL12の画像には、大きなショットノイズ成分N113がそれぞれ現れていることが分かる。これは、検出光L11及びL12の画像を生成する際に、検出光L13のショットノイズ成分N113が、検出光L11及びL12の画像の生成に用いられる復調信号にそれぞれ重畳したことに起因する。
本シミュレーションのように、検出光L13の光量と、検出光L11及びL12の光量との間に差がある場合、光量の大きい検出光L13のショットノイズ成分N113が、光量の小さい検出光L11及び検出光L12の画像にそれぞれ現れる傾向がある(図9の(a)及び図9の(b)参照)。更に、本シミュレーションのように、検出光L12の光量と、検出光L11の光量との間に差がある場合、光量の大きい検出光L12のショットノイズ成分N112が、光量の小さい検出光L11の画像に現れる傾向がある(図9の(a)参照)。
一方、図10は、実施例のシミュレーション結果を示す図である。実施例では、本実施形態と同じ変調信号S1、S2、及びS3(図2参照)が用いられ、上述した画像生成部72による画像変化の判定が行われる。したがって、図2の(b)に示す変調信号S2のように、復調タイミングTM7以降、励起光L2の照射がOFFになるように設定されている。また、図2の(c)に示す変調信号S3のように、復調タイミングTM2以降、励起光L3の照射がOFFになるように設定されている。その他の条件は比較例と同じである。図10の(a)は、変調信号S1に対応する検出光L11の画像を示している。図10の(b)は、変調信号S2に対応する検出光L12の画像を示している。図10の(c)は、変調信号S3に対応する検出光L13の画像を示している。
図10の(a)及び図10の(b)に示すように、検出光L11及びL12の画像にそれぞれ現れる検出光L13のショットノイズ成分N13が、比較例のシミュレーション結果(すなわち、図9の(a)及び図9の(b)に示すショットノイズ成分N113)と比べて、大きく低減されていることが分かる。同様に、図10の(a)に示すように、検出光L11の画像に現れる検出光L12のショットノイズ成分N12が、比較例のシミュレーション結果(すなわち、図9の(a)に示すショットノイズ成分N112)と比べて、大きく低減されていることが分かる。
検出光L13のショットノイズ成分N13は、検出光L13の光量に応じて大きくなる。上述したように、検出光L13に対応する励起光L3がONになる期間では、検出光L13が発光する一方、励起光L3がOFFになる期間では、検出光L13が発光しないか、極めて小さい光量の検出光L13が発光する。したがって、励起光L3がONになる期間では、検出光L13の光量が比較的大きくなるため、これに応じて、検出光L13のショットノイズ成分N13も大きくなる。一方、励起光L3がOFFになる期間では、検出光L13の光量が極めて小さいため、これに応じて、検出光L13のショットノイズ成分N13も小さくなる。検出光L12のショットノイズ成分N12についても、同様である。
そこで、本実施形態に係る観察装置1及び観察方法では、上述したように、復調タイミングTM2において検出光L13の画像が生成される際、復調タイミングTM2で生成された検出光L13の画像と、復調タイミングTM1で生成された検出光L13の画像との間の差分値が、所定の閾値Etよりも小さくなったときに、復調タイミングTM2以降において、検出光L13に対応する励起光L3の照射がOFFに設定される。このように励起光L3の照射がOFFに設定されることによって、復調タイミングTM2以降に検出される検出光L13のショットノイズ成分N13を低減することができる。これにより、図10の(a)及び図10の(b)に示すように、復調タイミングTM2以降に生成される他の検出光L11及びL12の画像に、検出光L13のショットノイズ成分N13が現れる事態を抑制することができる。
検出光L12の画像についても同様に、復調タイミングTM7において検出光L12の画像が生成される際、復調タイミングTM7で生成された検出光L12の画像と、復調タイミングTM6で生成された検出光L12の画像と、の間の差分値が所定の閾値Etよりも小さくなったときに、復調タイミングTM7以降において、検出光L12に対応する励起光L2の照射がOFFに設定される。このように励起光L2の照射がOFFに設定されることによって、復調タイミングTM7以降に検出される検出光L12のショットノイズ成分N12を低減することができる。これにより、図10の(a)に示すように、復調タイミングTM7以降に生成される検出光L11の画像に、検出光L12のショットノイズ成分N12が現れる事態を抑制することができる。
更に、復調タイミングTM2及び復調タイミングTM1においてそれぞれ生成された検出光L13の画像の間の差分値が所定の閾値Etよりも小さくなっていれば、これらの画像の変化が小さいと判断できるので、復調タイミングTM2以降において検出光L13に対応する励起光L3の照射がOFFに設定されても、生成された検出光L13の画像の精度に与える影響は小さい。検出光L12の画像についても同様に、復調タイミングTM7及び復調タイミングTM6においてそれぞれ生成された検出光L12の画像の間の差分値が所定の閾値Etよりも小さくなっていれば、これらの画像の変化が小さいと判断できるので、復調タイミングTM7以降において検出光L12に対応する励起光L2の照射がOFFに設定されても、生成された検出光L12の画像の精度に与える影響は小さい。
更に、各変調信号S1、S2、及びS3は、各復調タイミングTM1、TM2、…において互いに直交条件を満たすように設定されているので、各変調信号S1、S2、及びS3に対応する各復調信号S11、S12、及びS13を検出信号Sから正確に復調することができる。したがって、本実施形態に係る観察装置1及び観察方法によれば、検出光L13のショットノイズ成分N13が他の検出光L11、L12、及びL13の画像に現れる事態を抑制しつつ、各検出光L11、L12、及びL13の画像を正確に復調することができる。すなわち、各検出光L11、L12、及びL13の正確な画像を得ることができる。
本実施形態では、照射部10は、変調信号S1、S2、及びS3を生成する変調信号生成部16を有している。この構成では、所望の各変調信号S1、S2、及びS3を容易に得ることができる。
本実施形態では、各変調信号S1、S2、及びS3は、各励起光L1、L2、及びL3の照射のON/OFFを切り替えるように各励起光L1、L2、及びL3を変調させる矩形波状の変調パターンである。この構成では、復調タイミングTM1、TM2、…において互いに直交条件を満たす各変調信号S1、S2、及びS3を好適に設定することができる。
本実施形態では、検出光L11及びL12は、検出光L13よりも小さい光量を有する。ショットノイズ成分は、光量の大きい検出光から光量の小さい検出光の画像に現れやすい。これに対し、本実施形態では、光量の大きい検出光L13のショットノイズ成分N13が、光量の小さい検出光L11及びL12の画像に現れる事態を抑制することができるので、上述した効果を好適に奏することができる。
本実施形態では、検出光L13は、複数の検出光L11、L12、及びL13の中で最も大きい光量を有している。ショットノイズ成分は、光量の大きい検出光から光量の小さい検出光の画像に現れやすく、それらの検出光の光量差が大きくなるほど大きくなる。これに対し、本実施形態では、光量の最も大きい検出光L13のショットノイズ成分N13が、光量の小さい検出光L11及びL12の画像に現れる事態を抑制することができるので、上述した効果をより好適に奏することができる。
本実施形態では、画像処理部70は、復調タイミングTM2以降において検出光L13に対応する励起光L3の照射をOFFに設定した場合に、復調タイミングTM2以降に検出された検出信号Sに含まれる画像データを用いて、検出光L11及びL12の画像を生成している。上述したように、復調タイミングTM2以降においては、検出光L13に対応する励起光L3の照射がOFFに設定されているので、復調タイミングTM2以降に検出された検出信号Sに含まれる画像データには、検出光L13が含まれないか、或いは、極めて小さい光量の検出光L13が含まれる。したがって、この画像データを用いて検出光L11及びL12を生成すれば、検出光L13のショットノイズ成分N13が検出光L11及びL12の画像にそれぞれ現れる事態を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、画像処理部70は、復調タイミングTM7以降において検出光L12に対応する励起光L2の照射をOFFに設定した場合に、復調タイミングTM7以降に検出された検出信号Sに含まれる画像データを用いて、検出光L11の画像を生成している。上述したように、復調タイミングTM7以降においては、検出光L12に対応する励起光L2の照射がOFFに設定されているので、復調タイミングTM7以降に検出された検出信号Sに含まれる画像データには、検出光L12が含まれないか、或いは、極めて小さい光量の検出光L12が含まれる。したがって、この画像データを用いて検出光L11の画像を生成すれば、検出光L12のショットノイズ成分N12が検出光L11の画像に現れる事態を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、検出光L13の画像変化の判定が行われる際、比較対象の検出光L13の画像が生成される復調タイミングTM1は、更新時の検出光L13の画像が生成される復調タイミングTM2の直前の復調タイミングである。これにより、復調タイミングTM2で生成された検出光L13の画像と、復調タイミングTM1で生成された検出光L13の画像と、の間の画像の変化が小さいか否かの判断を容易に行うことができる。同様に、検出光L12の画像変化の判定が行われる際、比較対象の検出光L12の画像が生成される復調タイミングTM6は、更新時の検出光L12の画像が生成される復調タイミングTM7の直前の復調タイミングである。これにより、復調タイミングTM7で生成された検出光L12の画像と、復調タイミングTM6で生成された検出光L12の画像と、の間の画像の変化が小さいか否かの判断を容易に行うことができる。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
図11は、画像生成部72による画像生成処理の変形例を示す図である。図11の(a)、図11の(b)、及び図11の(c)は、変調信号S1、S2、及びS3をそれぞれ示している。図11の(a)、図11の(b)、及び図11の(c)には、各変調信号S1、S2、及びS3に対応する各検出光L11、L12、及びL13の画像の生成に用いられるフレームの範囲が、ドット柄のハッチングで併せて示されている。上述した実施形態では、各検出光L11、L12、及びL13の画像が生成される際、各検出光L11、L12、及びL13に対応する各復調信号S11、S12、及びS13の全フレームが用いられる場合を説明した。一方、本変形例では、各検出光L11、L12、及びL13の画像が生成される際、各復調信号S11、S12、及びS13の一部のフレームのみが用いられる。
図11の(c)に示すように、変調信号S3に対応する検出光L13の画像が生成される際には、上記実施形態と同様、検出光L13の画像が生成されてから検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2までの期間T3A内の全てのフレームが用いられる。なお、復調タイミングTM2以降の期間T3Bにおいては、検出光L13の画像の生成が終了している。
一方、図11の(b)に示すように、変調信号S2に対応する検出光L12の画像が生成される際には、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2から、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7までの期間T2Bについては全てのフレームが用いられるが、検出光L12の画像が生成されてから、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2までの期間T2Aについては一部のフレームのみが用いられる。当該一部のフレームは、図11の(b)に示す時間領域R11内に得られたフレームであり、検出光L12の画像の生成に用いられる。なお、復調タイミングTM7以降の期間T2Cでは、検出光L12の画像の生成が終了している。
同様に、図11の(a)に示すように、変調信号S1に対応する検出光L11の画像が生成される際には、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2以降の期間T1Bについては全てのフレームが用いられるが、検出光L11の画像が生成されてから、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2までの期間T1Aについては一部のフレームのみが用いられる。当該一部のフレームは、図11の(a)に示す時間領域R11内に得られたフレームであり、検出光L11の画像の生成に用いられる。図11の(a)に示す時間領域R11は、図11の(b)に示す時間領域R11と一致する。
図12は、図11の一部を拡大した拡大図である。なお、図12では、図12の(a)に示す変調信号S1と、図12の(b)に示す変調信号S3とが示され、変調信号S2は省略して示されている。図12の(a)及び図12の(b)に示すように、時間領域R11は、変調信号S3における期間TAに一致している。期間TAは、変調信号S3に対応する励起光L3の照射がOFFに設定される期間である。したがって、検出光L11の画像が生成される際、期間T1Aにおいては、励起光L3の照射がOFFに設定される時間領域R11内のフレームのみが用いられ、励起光L3の照射がOFFに設定されない時間領域(期間T1Aのうち時間領域R11以外の時間領域)内のフレームは用いられない。期間T1Aのうちの時間領域R11以外の時間領域内のフレームを用いない検出光L11の画像の生成は、例えば、以下の手法によって行うことができる。信号復調部71は、検出信号Sを復調する際、例えば、センサ35から出力される検出信号Sのうち、変調信号S1における期間T1A内の時間領域R11以外の時間領域に対応する検出信号Sに、常に同一の係数(例えば、“0”)を乗じる。これにより、当該時間領域において変調信号S1がON/OFFのいずれであるかに関わらず、当該時間領域内のフレームを考慮せずに復調信号S11を生成することができる。従って、この復調信号S11に基づいて検出光L11の画像の生成を行えば、期間T1Aのうちの時間領域R11以外の時間領域内のフレームを用いずに検出光L11の画像を生成することができる。
図12の(a)に示す時間領域R11は、図11の(b)に示す変調信号S2に対応する検出光L12を生成する際にも同様に設定される。したがって、検出光L12の画像が生成される際、励起光L3の照射がOFFになる時間領域R11内のフレームのみが用いられ、励起光L3の照射がOFFにならない時間領域(期間T2Aのうち時間領域R11以外の時間領域)のフレームは用いられない。時間領域R11では、励起光L3の照射がOFFになっているので、時間領域R11に得られたフレームには、検出光L13が含まれないか、或いは、極めて小さい光量の検出光L13が含まれる。したがって、このフレームを用いて検出光L11及びL12の画像を生成すれば、検出光L13のショットノイズ成分N13が検出光L11及びL12の画像に現れる事態を効果的に抑制することができる。期間T2Aのうちの時間領域R11以外の時間領域内のフレームを用いない検出光L12の画像の生成は、上述した手法(すなわち、期間T1Aのうちの時間領域R11以外の時間領域内のフレームを用いずに検出光L11の画像を生成する手法)と同様に行うことができる。
図13は、本変形例のシミュレーション結果を示す図である。このシミュレーションにおいても、図7に示すシミュレーションと同様の条件を設定する。図13の(a)は、変調信号S1に対応する検出光L11の画像を示している。図13の(b)は、変調信号S2に対応する検出光L12の画像を示している。図13の(c)は、変調信号S3に対応する検出光L13の画像を示している。図13の(a)及び図13の(b)に示すように、検出光L13のショットノイズ成分N13は、図10の(a)及び図10の(b)に示すシミュレーション結果よりも、更に低減されていることが分かる。このように、本変形例によれば、検出光L13のショットノイズ成分N13を大きく低減することができる。
図14は、図11に示す変形例の更なる変形例を示す図である。図14の(a)及び図14の(b)に示す変形例では、図11に示す変形例と同様、検出光L11及びL12の画像が生成される際、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2以前の期間T1A及びT2Aにおいて、一部の時間領域R1に得られたフレームが用いられる。更に、図14に示す変形例では、検出光L11の画像が生成される際、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2から検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7までの期間T1Cにおいても、一部の時間領域R12に得られたフレームが用いられる。なお、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7以降の期間T1Dにおいては、図11に示す変形例と同様、全てのフレームが用いられる。
図15は、図14の一部を拡大した拡大図である。図15の(a)及び図15の(b)に示すように、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2以前の期間T1A及びT2Aにおいては、図11に示す変形例と同一の時間領域R11がそれぞれ設定されている。更に、本変形例では、図15の(a)に示すように、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2から、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7までの期間T1Cに、時間領域R12が設定されている。時間領域R12は、期間T1Cのうち、検出光L11の画像を生成するためのフレームが用いられる期間を示している。時間領域R12は、図15の(b)に示す期間TBに一致する。期間TBは、変調信号S2に対応する励起光L2の照射がOFFに設定される期間である。
したがって、本変形例では、検出光L11の画像が生成される際、期間T1Cにおいては、励起光L2の照射がOFFになる時間領域R12内のフレームが用いられ、励起光L2の照射がOFFにならない時間領域(期間T1Cのうち時間領域R12以外の時間領域)のフレームは用いられない。なお、変調信号S2の変調周波数は、変調信号S3の変調周波数よりも低いため、変調信号S2に対応する励起光L2がOFFになる期間TBは、変調信号S3に対応する励起光L3がOFFになる期間TAよりも長くなる。このため、期間TBに対応する時間領域R12は、期間TAに対応する時間領域R11よりも長くなっている。期間T1Cのうちの時間領域R12以外の時間領域内のフレームを用いない検出光L11の画像の生成は、図11に示す変形例における上述した手法(すなわち、期間T1Aのうちの時間領域R11以外の時間領域内のフレームを用いずに検出光L11の画像を生成する手法)と同様に行うことができる。
本変形例によれば、図11に示す変形例と同様、検出光L11及びL12の画像が生成される際、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2以降において、励起光L3の照射がOFFになる時間領域R11に得られたフレームが用いられるので、検出光L13のショットノイズ成分N13が検出光L11及びL12の画像に現れる事態を効果的に抑制することができる。更に、本変形例によれば、検出光L11の画像が生成される際、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2から、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7までの期間T1Cにおいて、励起光L2の照射がOFFになる時間領域R11に得られたフレームが用いられるので、検出光L12のショットノイズ成分N12が検出光L11の画像に現れる事態を効果的に抑制することができる。
図16は、本変形例のシミュレーション結果を示す図である。このシミュレーションにおいても、図7に示すシミュレーションと同様の条件を設定する。図16の(a)は、変調信号S1に対応する検出光L11の画像を示している。図16の(b)は、変調信号S2に対応する検出光L12の画像を示している。図16の(c)は、変調信号S3に対応する検出光L13の画像を示している。図16の(a)及び図16の(b)に示すように、検出光L13のショットノイズ成分N13は、図10の(a)及び図10の(b)に示すシミュレーション結果よりも、更に低減されていることが分かる。更に、図16の(a)に示すように、検出光L12のショットノイズ成分N12は、図13の(a)に示すシミュレーション結果よりも、更に低減されている。このように、本変形例によれば、検出光L13のショットノイズ成分N13を大きく低減することができ、更に検出光L12のショットノイズ成分N12についても大きく低減することができる。
図17は、観察装置1の変形例を示す概略構成図である。図17に示す観察装置1Aでは、照射部10Aの変調部15Aの構成が、上記実施形態に係る観察装置1とは異なる。すなわち、変調部15Aは、変調信号生成部16及び変調条件設定部17に代えて、変調信号記憶部16A(記憶部)を有している。変調信号記憶部16Aは、各変調条件M1、M2、及びM3を有する各変調信号S1、S2、及びS3を予め記憶しており、各変調信号S1、S2、及びS3を各光源11、12、及び13に出力可能に構成されている。図12に示す観察装置1Aであっても、上述した実施形態に係る観察装置1と同様の効果が得られる。更に、観察装置1Aによれば、各変調信号S1、S2、及びS3を生成する処理を行う必要がないので、各変調信号S1、S2、及びS3を生成する場合と比べて、処理負担を軽減することができる。
図18は、観察装置1の別の変形例を示す概略構成図である。図18に示す観察装置1Bは、照射部10Bが光源11、12、及び13に加えて、別の光源18及び19を有する点で、上記実施形態に係る観察装置1とは異なる。光源18は、暗視野照明用の光源であり、波長λ8を有する暗視野照明L8を出力可能に構成されている。光源19は、明視野照明用の光源であり、波長λ9を有する明視野照明L9を出力可能に構成されている。光源18及び19として、光源11、12、及び13と同種の光源が用いられてもよい。光源19は、試料Tを挟んで対物レンズ31と対向する位置に配置されており、試料Tの背面から明視野照明L9を出力する。光源18は、試料Tに対して対物レンズ31側に配置され、対物レンズ31の光軸に対して傾斜する方向から暗視野照明L8を出力する。暗視野照明L8及び明視野照明L9のそれぞれは、特定の波長帯域を有する光であってもよいし、ブロードな波長帯域を有する光であってもよい。
光源18及び19は、光源11、12、及び13と同様、変調部15と電気的に接続されている。変調部15の変調信号生成部16は、変調信号S1、S2、及びS3に加えて、変調条件M8を有する変調信号S8と、変調条件M9を有する変調信号S9と、を生成する。変調信号S8は、光源18から出力される暗視野照明L8を時間的に変調させるための変調パターンである。具体的には、暗視野照明L8の照射のON/OFFを交互に切り替えるように、暗視野照明L8を変調条件M8で変調させる矩形波状のパルス信号である。変調信号S9は、光源19から出力される明視野照明L9を時間的に変調させるための変調パターンである。具体的には、明視野照明L9の照射のON/OFFを交互に切り替えるように、明視野照明L9を変調条件M9で変調させる矩形波状のパルス信号である。
光源18及び19からそれぞれ出力された暗視野照明L8及び明視野照明L9は、導光光学系20によって導光され、励起光L1、L2、及びL3と共に、試料Tに同時に照射される。明視野照明L9が試料Tに照射されると、試料Tを透過した明視野照明L9の透過光が検出光L19として検出部40に検出される。暗視野照明L8が試料Tに照射されると、試料Tにおいて生じる暗視野照明L8の散乱光が検出光L18として検出部40に検出される。検出部40のセンサ35は、各検出光L11、L12、L13、L18、及びL19を同時に検出し、検出信号SBを出力する。そして、画像処理部70は、変調条件M1、M2、M3、M8、及びM9に基づいて検出信号SBを同時に復調することにより、各検出光L11、L12、L13、L18、及びL19の画像を同時に生成する。このような形態であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
図19は、各変調信号S1、S2、及びS3の変形例を示す図である。図19の(a)は、変調信号S1に対応する変調信号S1Aを示している。図19の(b)は、変調信号S2に対応する変調信号S2Aを示している。図19の(b)は、変調信号S3に対応する変調信号S3Aを示している。図19の(a)、図19の(b)、及び図19の(c)に示す各変調信号S1A、S2A、及びS3Aは、各励起光L1、L2、及びL3の照射のON/OFFが交互に切り替えられるように各励起光L1、L2、及びL3を変調させる正弦波状の変調パターンとなっている。この場合、復調タイミングTM1、TM2、…において互いに直交条件を満たす各変調信号S1A、S2A、及びS3Aを好適に設定することができる。また、このような形態であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
本開示は、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態及び各変形例を、必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。また、上述した実施形態では、検出光L12の光量が検出光L11の光量よりも大きくなっている場合を説明したが、検出光L11及びL12の光量は互いに同一であってもよい。或いは、全ての検出光L11、L12、及びL13の光量が互いに同一であってもよい。また、上述した実施形態では、最も光量の大きい検出光L13に対応する励起光L3の変調条件M3を最速変調周波数に設定する場合を説明したが、検出光L13よりも光量の小さい検出光L11に対応する励起光L1の変調条件M1を最速変調周波数に設定してもよいし、検出光L12に対応する励起光L2の変調条件M2を最速変調周波数に設定してもよい。
上述した実施形態では、3つの励起光L1、L2、及びL3を試料Tに照射し、3つの検出光L11、L12、及びL13を検出する場合を説明したが、励起光の数、及び検出光の数は、適宜変更可能である。励起光の数、及び検出光の数はそれぞれ、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。励起光を変調させる変調信号の変調条件の設定は、上述した実施形態及び各変形例に限られず、適宜変更可能である。
上述した実施形態では、各変調信号S1、S2、及びS3が周期的な変調パターンである場合を説明したが、各変調信号が非周期的な変調パターンであってもよい。この場合においても、各変調信号が直交条件を満たす復調タイミングにおいて、各変調信号に対応する各検出光の画像が生成される。非周期的な変調パターンの各変調信号を、図11に示す変形例に適用する場合、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2までの期間T1A及びT2Aにおいて、各変調信号S1、S2、及びS3が必ずしも互いに直交するとは限らない。このため、検出光L11及びL12の画像を生成する際、復調タイミングTM2以前のフレームは用いずに、復調タイミングTM2以降の期間T1B及びT2Bのフレームのみを用いて、検出光L11及びL12の画像を生成してもよい。
非周期的な変調パターンの各変調信号を、図14に示す変形例に適用する場合、検出光L13の画像の生成が終了する復調タイミングTM2から、検出光L12の画像の生成が終了する復調タイミングTM7までの期間T1C及びT2Bにおいても、変調信号S1及びS2が必ずしも互いに直交するとは限らない。このため、検出光L11の画像を生成する際、復調タイミングTM7以前のフレームは用いずに、復調タイミングTM7以降の期間T1Dのフレームのみを用いて、検出光L11の画像を生成してもよい。
上述した実施形態では、光源11、12、及び13が導光光学系20に直接設置される場合を説明した。しかし、光源11、12、及び13は、装置外部に配置され、光ファイバ等を介して導光光学系20に光学的に接続される構成であってもよい。照射部10は、光源11、12、及び13に代えて、多波長の励起光を出力可能な1つの光源を有してもよい。この場合は、この光源は、互いに異なる波長を有する励起光L1、L2、及びL3を同時に出力する。
上述した実施形態では、変調部15が、変調信号S1、S2、及びS3を用いて光源11、12、及び13を制御することによって、励起光L1、L2、及びL3を変調する場合を説明した。しかし、変調部による励起光の変調方法は上述した例に限られない。例えば、変調部は、励起光を機械的に変調させるオプティカルチョッパーであってもよい。この場合、各光源に対応して各オプティカルチョッパーが設置され、各オプティカルチョッパーによる各励起光の通過又は遮断の繰り返しによって各励起光が時間的に変調されてもよい。オプティカルチョッパーによる励起光の変調パターンは、上述した変調信号に応じたものとなるように設定される。この場合、オプティカルチョッパーは、その変調パターンに従って励起光の照射のON/OFFが切り替えられるように、励起光を変調する。
変調部は、DMD(Digital Micro mirror Device)又は空間光変調器(SLM:Spatial light modulator)等の光学的変調デバイスであってもよい。この場合、各光源に対応して各光学的変調デバイスが設置され、各光学的変調デバイスに各変調パターンを表示させることによって、各光源からの各励起光が時間的に変調される。各変調パターンは、上述した変調信号に応じたものとなるように設定される。この場合、光学的変調デバイスは、その変調パターンに従って励起光の照射のON/OFFが切り替えられるように、励起光を変調する。
1,1A,1B…観察装置、10,10A,10B…照射部、16…変調信号生成部(生成部)、16A…変調信号記憶部(記憶部)、40…検出部、70…画像処理部、Et…閾値、L1,L2,L3…励起光、L11,L12…検出光(第2の検出光)、L13…検出光(第1の検出光)、L18,L19…検出光、S,SB…検出信号、S1,S1A,S2,S2A,S3,S3A,S8,S9…変調信号(変調パターン)、T…試料(観察対象物)、TA,TB…期間、TM1、TM6…復調タイミング(第2の復調タイミング)、TM2、TM7…復調タイミング(第1の復調タイミング)、TM3,TM4,TM5,TM8…復調タイミング。

Claims (11)

  1. 互いに異なる波長を有すると共に、互いに異なる変調条件による複数の変調パターンでそれぞれ変調された複数の励起光を、観察対象物に同時に照射する照射部と、
    前記複数の励起光の照射に伴う前記観察対象物からの複数の検出光を検出信号として検出する検出部と、
    互いに異なる複数の復調タイミングで前記検出信号を復調することにより、各前記復調タイミングにおいて前記複数の検出光の画像を前記検出光毎に生成する画像処理部と、を備え、
    各前記変調パターンは、前記励起光の照射のON/OFFを切り替えるように前記励起光を変調させる変調パターンであり、各前記復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たすように設定され、
    前記複数の復調タイミングは、第1の復調タイミングと、前記第1の復調タイミングよりも前の第2の復調タイミングと、を含み、
    前記画像処理部は、前記第1の復調タイミングにおいて前記複数の検出光のうちの第1の検出光の画像を生成する際、前記第1の復調タイミングで生成された前記第1の検出光の画像と、前記第2の復調タイミングで生成された前記第1の検出光の画像との間の差分値を算出し、前記差分値が所定の閾値よりも小さくなった場合に、前記第1の復調タイミング以降において、前記第1の検出光に対応する前記励起光の照射をOFFに設定する、観察装置。
  2. 前記照射部は、前記複数の変調パターンを記憶する記憶部を有する、請求項1に記載の観察装置。
  3. 前記照射部は、前記複数の変調パターンを生成する生成部を有する、請求項1に記載の観察装置。
  4. 各前記変調パターンは、前記励起光の照射のON/OFFを切り替えるように前記励起光を変調させる矩形波状の変調パターンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の観察装置。
  5. 各前記変調パターンは、前記励起光の照射のON/OFFを切り替えるように前記励起光を変調させる正弦波状の変調パターンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の観察装置。
  6. 前記複数の検出光は、前記第1の検出光よりも小さい光量を有する第2の検出光を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の観察装置。
  7. 前記第1の検出光は、前記複数の検出光の中で最も大きい光量を有する、請求項6に記載の観察装置。
  8. 前記画像処理部は、前記第1の復調タイミング以降において前記第1の検出光に対応する前記励起光の照射をOFFに設定した場合に、前記第1の復調タイミング以降に検出された前記検出信号に含まれるデータを用いて、前記第2の検出光の画像を生成する、請求項6又は7に記載の観察装置。
  9. 前記画像処理部は、前記第1の復調タイミング以降において前記第1の検出光に対応する前記励起光の照射をOFFに設定した場合に、前記第1の復調タイミング以前において、前記第1の検出光に対応する前記励起光の照射がONになる期間以外の期間に検出された検出信号に含まれるデータを用いて、前記第2の検出光の画像を生成する、請求項6~8のいずれか一項に記載の観察装置。
  10. 前記第2の復調タイミングは、前記第1の復調タイミングの直前の前記復調タイミングである、請求項1~8のいずれか一項に記載の観察装置。
  11. 互いに異なる波長を有すると共に、互いに異なる変調条件による複数の変調パターンでそれぞれ変調された複数の励起光を、観察対象物に同時に照射するステップと、
    前記複数の励起光の照射に伴う前記観察対象物からの複数の検出光を検出信号として検出するステップと、
    互いに異なる複数の復調タイミングで前記検出信号を復調することにより、各前記復調タイミングにおいて前記複数の検出光の画像を前記検出光毎に生成するステップと、を備え、
    各前記変調パターンは、前記励起光の照射のON/OFFを切り替えるように前記励起光を変調させる変調パターンであり、各前記復調タイミングにおいて互いに直交条件を満たすように設定され、
    前記複数の復調タイミングは、第1の復調タイミングと、前記第1の復調タイミングよりも前の第2の復調タイミングと、を含み、
    前記複数の検出光の画像を前記検出光毎に生成するステップでは、
    前記第1の復調タイミングにおいて前記複数の検出光のうちの第1の検出光の画像を生成する際、前記第1の復調タイミングで生成された前記第1の検出光の画像と、前記第2の復調タイミングで生成された前記第1の検出光の画像との間の差分値を算出し、前記差分値が所定の閾値よりも小さくなった場合に、前記第1の復調タイミング以降において、前記第1の検出光に対応する前記励起光の照射をOFFに設定する、観察方法。
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