JP2023106031A - モータステータ及びこれを備えるモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】モータステータに設けられるモータ駆動回路を低コストに形成可能とする。【解決手段】一本の連続したコイル線CLを計12個のティース4のそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより、それぞれ4個ずつ設けられるU相コイル、V相コイル及びW相コイルをコイル線CLの長手方向に沿って順に形成する。コイル線CLのうち、同相のコイル同士を並列接続する渡り線部CL2、CL6、CL10を、それぞれ、U相バスバー5の結線用端子5a、V相バスバー6の結線用端子6a及びW相バスバー7の結線用端子7aに結線すると共に、コイル線CLのうち、相が異なるコイル同士を接続する渡り線部CL4,CL8,CL12を中性点バスバー8の結線用端子8a,8b,8cにそれぞれ結線することにより、スター結線のモータ駆動回路20を形成した。【選択図】図4
Description
本発明は、モータステータ及びこれを備えるモータに関し、特に、電動オイルポンプや電動パーキングブレーキなどといった車両(自動車)に搭載される電装機器の駆動源として好適に用い得る三相ブラシレスモータのステータに関する。
例えば下記の特許文献1には、筒状のステータコアに周方向に間隔を空けて設けられた複数のティースのそれぞれに、インシュレータなどとも称される絶縁部材を介してコイル(U相コイル、V相コイル又はW相コイル)を巻装してなるモータステータと、このモータステータの径方向内側に配されたモータロータとを備えたインナロータ型の三相ブラシレスモータ(以下、単に「モータ」とも言う。)が開示されている。このモータにおいて、モータステータは、ステータコアの軸方向外側に配置されたバスバーユニットをさらに備える。バスバーユニットは、銅等の導電性材料で形成された複数のバスバー(U相バスバー、V相バスバー、W相バスバー及び中性点バスバー等)と、樹脂等の絶縁材料で形成され、複数のバスバーを互いに非接触の状態で保持したバスバーホルダとを備える。各相のバスバーにはコイル線の結線用端子がそれぞれ設けられており、ステータコアの軸方向外側に引き出された各コイルの端末部が対応するバスバーの結線用端子に結線されることによってモータの駆動回路(給電回路)が形成されている。
ところで、ブラシレスモータは、「毎極毎相のスロット数q」が正の整数となる“整数溝モータ”と、「毎極毎相のスロット数q」が分数となる“分数溝モータ”とに大別することができる。「毎極毎相のスロット数q」は、周方向で隣り合うティース間に形成される溝(スロット)の数をN、モータの相数をm、モータの極数(永久磁石の数)をPとした場合、q=N/(m×P)の計算式によって算出される。そのため、例えば、10極12スロットの三相ブラシレスモータ(N=12、m=3、P=10)は、q=12/(3・10)=2/5であることから“分数溝モータ”である。
ブラシレスモータを整数溝モータとするか、あるいは分数溝モータとするかは要求特性等に応じて適宜選択されるが、スロット数が同じ場合、分数溝モータは、整数溝モータよりもコギングトルクを小さくできる分、静粛で出力効率が高いモータを実現し易い、とされている。
近年、自動車の電動化が急速に進展し、自動車に搭載される各種電装機器用のモータの需要が増加する傾向にある関係上、モータに対するコスト低減の要請が厳しさを増している。モータのコスト低減を図る上では、駆動回路の形成時におけるコイルの結線箇所をできるだけ少なくするのが望ましいところ、例えば、上述した10極12スロットの三相ブラシレスモータにおいて、2並列2直列で接続された計4個のU相コイルと、2並列2直列で接続された計4個のV相コイルと、2並列2直列で接続された計4個のW相コイルとがスター結線された駆動回路を形成する場合、結線箇所は、最大で、U相~V相:各2箇所、N相(中性点):6箇所の計12箇所にもなる。このように、コイルの結線箇所が12箇所にもなると、モータステータ、ひいてはモータのコスト低減を図ることが難しくなる。
上記の実情に鑑み、本発明の主な目的は、複数のU相コイル、V相コイル及びW相コイルを互いに結線することで形成されるモータ(三相ブラシレスモータ)の駆動回路を低コストに形成可能とし、これにより、上記駆動回路を有するモータステータのコスト低減を図ることにある。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、
周方向に間隔を空けて設けられた複数のティースを有する円筒状のステータコアと、複数のティースのそれぞれに絶縁部材を介してコイル線を巻装することで形成された複数のU相コイル、V相コイル及びW相コイルと、を備えたモータステータにおいて、
一本の連続したコイル線を複数のティースのそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより、複数のU相コイル、複数のV相コイル、及び複数のW相コイルをコイル線の長手方向に沿って順に形成し、
上記コイル線のうち、U相コイル同士を並列接続する渡り線部、V相コイル同士を並列接続する渡り線部、及びW相コイル同士を並列接続する渡り線部を、それぞれ、U相バスバーの結線用端子、V相バスバーの結線用端子及びW相バスバーの結線用端子に結線すると共に、上記コイル線のうち、U相コイルとV相コイルを接続する渡り線部、V相コイルとW相コイルを接続する渡り線部、及びW相コイルとU相コイルを接続する渡り線部を中性点バスバーの結線用端子に結線することにより、スター結線のモータ駆動回路を形成したことを特徴とする。
周方向に間隔を空けて設けられた複数のティースを有する円筒状のステータコアと、複数のティースのそれぞれに絶縁部材を介してコイル線を巻装することで形成された複数のU相コイル、V相コイル及びW相コイルと、を備えたモータステータにおいて、
一本の連続したコイル線を複数のティースのそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより、複数のU相コイル、複数のV相コイル、及び複数のW相コイルをコイル線の長手方向に沿って順に形成し、
上記コイル線のうち、U相コイル同士を並列接続する渡り線部、V相コイル同士を並列接続する渡り線部、及びW相コイル同士を並列接続する渡り線部を、それぞれ、U相バスバーの結線用端子、V相バスバーの結線用端子及びW相バスバーの結線用端子に結線すると共に、上記コイル線のうち、U相コイルとV相コイルを接続する渡り線部、V相コイルとW相コイルを接続する渡り線部、及びW相コイルとU相コイルを接続する渡り線部を中性点バスバーの結線用端子に結線することにより、スター結線のモータ駆動回路を形成したことを特徴とする。
上記の構成は、例えば、前述した12スロットの三相ブラスレスモータ用のステータ、具体的には、2並列2直列で接続された4個のU相コイル、2並列2直列で接続された4個のV相コイル、及び2並列2直列で接続された4個のW相コイルを有し、かつこれらがスター結線された12スロットの三相ブラシレスモータ用のステータに適用することができる。この場合には、U相~W相コイル:各1箇所、中性点:3箇所の計6箇所に減じる(最大の12箇所から半減する)ことができる。これにより、結線作業の簡素化を通じてモータステータのコスト低減を図ることができる。
上記構成において、それぞれがコイル線の結線用端子を有する計4個のバスバーは、ステータコアの軸方向一端側で絶縁部材に互いに非接触の状態で保持させることができる。これはすなわち、ティースとこれに巻装されたコイルの間を絶縁するための絶縁部材が、従来品で言うバスバーユニットのバスバーホルダに相当する部分を一体的に有していることを意味する。この場合、従来品よりも部品点数を削減できる。また、この場合、コイルの巻装時に、バスバーに対するコイル線の結線予定箇所をバスバーの結線用端子に確実に接触させることができるので、コイル巻装後に実施される結線作業を容易にかつ正確に実施することができる。従って、部品点数削減による低コスト化、及び結線作業の容易化による低コスト化を図ることができる。
U相~W相バスバー及び中性点バスバーは、例えば、絶縁部材に設けた溝部にアウトサート(嵌合)することにより、絶縁部材に保持させることができる。このようにすれば、絶縁部材に対して相対移動可能な状態のバスバーの結線用端子に対してコイル線の渡り線部を結線することができる。このため、仮に、渡り線部の形成位置が所定位置からずれていた場合でも、結線作業を精度良く実施することができる。なお、この場合、渡り線部を結線用端子に結線すると、絶縁部材に対するバスバーの相対移動を規制(バスバーを絶縁部材に対して固定的に保持)することができるので、モータステータの取り扱い時等にバスバーが絶縁部材から分離する事態は回避することができる。
各渡り線部は、例えば、熱加締めとも称されるヒュージングにより、対応する結線用端子に結線することができる。ヒュージングであれば、絶縁皮膜付の導線からなるコイル線の絶縁皮膜が除去されるのと略同時に、導線を端子に対して接合することができるので、結線作業を効率良くかつ精度良く行うことができる。
以上の構成において、各渡り線部の周方向における巻き方向は、全て同じにすることができる。渡り線部は折り返すことも可能であるが、この場合には、渡り線部が軸方向に積み重なることによってモータステータが軸方向に長寸化する懸念がある。そのため、各渡り線部の周方向における巻き方向を全て同じにしておけば、モータステータ、ひいてはモータを軸方向にコンパクト化する上で有利となる。
本発明は、U相コイル部におけるU相コイルの並列数、V相コイル部におけるV相コイルの並列数、及びW相コイル部におけるW相コイルの並列数が何れも偶数(同数でかつ偶数)であるモータステータに適用することができる。
本発明に係るモータステータが上記のような特長を有することから、本発明に係るモータステータと、モータロータとを備えたモータ(三相ブラシレスモータ)は、低コストに提供することができる。
以上のことから、本発明によれば、複数のU相コイル、V相コイル及びW相コイルを互いにスター結線することで形成されるモータ(三相ブラシレスモータ)の駆動回路を低コストに形成することが可能となる。これにより、上記駆動回路を有するモータ用のステータ、ひいてはモータのコスト低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面(図1~図7)に基づいて説明する。以下の説明においては、方向性を示すために「軸方向」、「径方向」及び「周方向」との語句を使用するが、これらはそれぞれ、モータステータ1の軸心と平行な方向、軸心を中心とする円の径方向、及び軸心を中心とする円の周方向である。
まず、図7に基づき、本発明の一実施形態に係るモータステータ1を備えたモータ30の一構成例を簡単に説明する。図7に示すモータ30は、モータステータ1と、径方向隙間(図示省略)を介してモータステータ1の径方向内側に配置されたモータロータ32と、これらを収容したケーシング31とを備える。図示例のモータロータ32は、出力軸33と、出力軸33と一体回転可能に設けられたロータコア34と、ロータコア34に周方向等間隔で保持された複数(例えば10極)の永久磁石35とを備え、出力軸33は、軸方向に離間して配設された2つの転がり軸受36,37によりケーシング31に対して回転自在に支持されている。
図7に示すモータ30は、例えば車両に搭載される電動ポンプ、より具体的には、車両のトランスミッションケースに取り付けられ、エンジンの停止中にトランスミッションにオイルを圧送することによってトランスミッション内部で必要とされる油圧を確保するために使用される電動ポンプ(電動オイルポンプ)の駆動源として用いることができる。図示は省略するが、モータ30を電動オイルポンプの駆動源として用いる場合、ケーシング31の外側にある出力軸33の自由端に、出力軸33と一体回転可能なポンプロータが設けられる。
次に、図1~図3に基づき、本発明の一実施形態に係るモータステータ1を説明する。なお、図1は、コイル巻装前のモータステータ1(モータステータ1の構成部材であるステータコアに絶縁部材及びバスバーを組み付けたアセンブリ)の概略斜視図、図2は、図1のモータステータ1からバスバーを分離した図、図3は、本発明の実施形態に係るモータステータ1(コイルが巻装されたモータステータ1)の概略平面図である。
モータステータ1は、磁気特性に優れた金属材料(例えば電磁鋼板)で形成された円筒状のステータコア2と、U相バスバー5、V相バスバー6、W相バスバー7及び中性点バスバー(N相バスバー)8と、樹脂材料等の絶縁材料で形成された絶縁部材10と、複数のコイルCとを備える。
ステータコア2は、筒部3と、筒部3の内周面からステータコア2の中心に向けて突出し、絶縁部材10を介してコイルC(図3参照)が巻装されるティース4とを有し、本実施形態では計12個のティース4が周方向等間隔で設けられている。なお、以下、計12個のティース4を区別して説明する場合には、ステータコア2の周方向に沿って順に配置した計12個のティース12を、それぞれ、第1ティース4A~第12ティース4Lという(図3参照)。図3に示すモータステータ1においては、ステータコア2の12時の位置に第1ティース4Aを配置し、以降、反時計回りに30°ピッチで残り11個のティース4(第2ティース4B~第12ティース4L)を順に配置している。
上記のように、本実施形態のモータステータ1は計12個のティース4(ティース4間に形成されるスロット)を備え、モータステータ1の径方向内側に配置されるモータロータ32には10極の永久磁石35が設けられる(図7参照)。そのため、本実施形態のモータステータ1は、10極12スロットの三相ブラシレスモータ用のモータステータである。このようなブラシレスモータは、スロットの数をN、モータの相数をm、モータロータに設けられる永久磁石の数(極数)をPとした場合、q=N/(m×P)の計算式によって算出される「毎極毎相のスロット数q」が分数(=2/5)となる、いわゆる分数溝モータである。
絶縁部材10は、ステータコア2の筒部3の内周面を被覆する第1被覆部11と、ステータコア2のティース4(詳細には、ティース4のうち、コイル20が巻装される部分)を被覆する第2被覆部12と、ステータコア2の軸方向一端部に設けられ、バスバー5~8を互いに非接触の状態で保持する保持部13と、を備える。
バスバー5~8は、図示しない外部電源から出力されたモータの駆動電流をコイルCに供給(分配)する部材である。このため、バスバー5~8は、何れも、銅やアルミニウム合金等の高い導電性を有する金属材料で形成される。
本実施形態のU相バスバー5、V相バスバー6及びW相バスバー7は、それぞれ、コイル線CLが結線される1個の結線用端子5a,6a,7aと、外部電源に接続される1個の電源用端子5b,6b,7bとを有している(図2参照)。これらU相バスバー5、V相バスバー6及びW相バスバー7は、図1に示すように、端子5a,5b,6a,6b,7a,7bを外部に露出させた状態で保持部13に保持される。また、中性点バスバー8は、後述するU相コイル部21、V相コイル部22及びW相コイル部23との間にそれぞれ中性点を形成する結線用端子8a、8b,8cを有する(図2参照)。この中性点バスバー8も、図1に示すように、端子8a,8b,8cを外部に露出させた状態で保持部13に保持される。
図3に示すように、コイルCは、ステータコア2に取り付けられた絶縁部材10(の第2被覆部12)を介して、計12個のティース4のそれぞれに巻装されている。コイルCには、計4個のU相コイルCU1~CU4と、計4個のV相コイルCV1~CV4と、計4個のW相コイルCW1~CW4とがあり、これらが上記のバスバー5~8を用いてスター結線されることにより、図4及び図5に示すようなモータの駆動回路(給電回路)20が形成される。
計12個設けられるコイルCは、一本の連続したコイル線(銅等の金属材料からなる導線を絶縁皮膜で被覆したもの)CLを絶縁部材10(の第2被覆部12)で被覆された計12個のティース4のそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより形成される。本実施形態では、図4及び図5に示すように、最初にU相コイルCU1が形成(巻装)され、以降、CU2→CU3→CU4→CV3→CV4→CV1→CV2→CW1→CW2→CW3→CW4の順にコイルCが形成される。以下、各ティース4にコイルCを巻装するコイル巻装工程、及びコイル巻装工程後に実施される結線工程について説明する。
[コイル巻装工程]
図4に示すように、この工程では、まず、第1ティース4Aの外周にコイル線CLが反時計回り方向に所定回数巻き回される。これにより、U相コイルCU1が第1ティース4Aの外周に集中巻きで巻装される。なお、第1ティース4Aの外周へのコイル線CLの巻き回しは、ステータコア2の軸方向一端側(保持部13が設けられた側であり、図4では紙面上側。以下の説明においても同様。)から開始し、ステータコア2の軸方向一端側で終了させる。つまり、U相コイルCU1を第1ティース4Aに巻装する際、コイル線CLの巻き始め部及び巻き終わり部は、何れも、ステータコア2の軸方向一端側に引き出す。残りのU相コイルCU2~CU4、V相コイルCV1~CV4、及びW相コイルCW1~CW4を対応するティースに巻装する際も同様である。これは、コイル線CLのうち、その長手方向で隣り合う2つのコイル間に介在して両コイルを接続する部分(渡り線部CL1~CL12)をステータコア2の軸方向一端側に配置し、これらを保持部13に保持されたバスバー5~8の結線用端子に結線するためである。
図4に示すように、この工程では、まず、第1ティース4Aの外周にコイル線CLが反時計回り方向に所定回数巻き回される。これにより、U相コイルCU1が第1ティース4Aの外周に集中巻きで巻装される。なお、第1ティース4Aの外周へのコイル線CLの巻き回しは、ステータコア2の軸方向一端側(保持部13が設けられた側であり、図4では紙面上側。以下の説明においても同様。)から開始し、ステータコア2の軸方向一端側で終了させる。つまり、U相コイルCU1を第1ティース4Aに巻装する際、コイル線CLの巻き始め部及び巻き終わり部は、何れも、ステータコア2の軸方向一端側に引き出す。残りのU相コイルCU2~CU4、V相コイルCV1~CV4、及びW相コイルCW1~CW4を対応するティースに巻装する際も同様である。これは、コイル線CLのうち、その長手方向で隣り合う2つのコイル間に介在して両コイルを接続する部分(渡り線部CL1~CL12)をステータコア2の軸方向一端側に配置し、これらを保持部13に保持されたバスバー5~8の結線用端子に結線するためである。
U相コイルCU1を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第2ティース4Bの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、U相コイルCU2が第2ティース4Bの外周に集中巻きで巻装される。
U相コイルCU2を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第7ティース4Gの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、U相コイルCU3が第7ティース4Gの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第7ティース4Gの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、U相コイルCU2,CU3の間に介在して両コイルを接続する渡り線部CL2(の一部)を、保持部13に保持されたU相バスバー5の結線用端子5aに絡げておく。U相コイルCU3を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第8ティース4Hの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、U相コイルCU4が第8ティース4Hの外周に集中巻きで巻装される。
ここで、当該コイル巻装工程の実施段階において、バスバー5~8は、絶縁部材10に対して相対移動不可能に保持部13に保持させておいても良いし、絶縁部材10に対して相対移動可能に保持部13に保持させておいても良い。前者の構成は、例えば、バスバー5~8をインサート部品として絶縁部材10(保持部13)を樹脂で射出成形することにより得ることができる。また、後者の構成は、図2に示すように、バスバー嵌合用の溝部13a~13dを有する絶縁部材10(保持部13)を樹脂で射出成形した後、上記溝部13a~13dにバスバー5~8をアウトサートすることにより得ることができる。後者の構成であれば、前者の構成に比べ、当該コイル巻装工程で実施されるバスバーの結線用端子へのコイル線(渡り線部)の絡げ作業を容易化することができる。なお、後者の構成を採用した場合、各バスバーの結線用端子にコイル線を結線することにより、絶縁部材10に対するバスバー5~8の相対移動を規制(保持部13に対してバスバー5~8を固定)することができる。
U相コイルCU4(計4つのU相コイルCU1~CU4)を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第9ティース4Iの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV3が第9ティース4Iの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第9ティース4Iの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、U相コイルCU4とV相コイルCV3を接続する渡り線部CL4(の一部)を、保持部13に保持された中性点バスバー8の結線用端子8aに絡げておく。V相コイルCV3を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第10ティース4Jの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV4が第10ティース4Jの外周に集中巻きで巻装される。
V相コイルCV4を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第3ティース4Cの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV1が第3ティース4Cの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第3ティース4Cの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、V相コイルCV4,CV1を接続する渡り線部CL6(の一部)を、保持部13に保持されたV相バスバー6の結線用端子6aに絡げておく。V相コイルCV1を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第4ティース4Dの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV2が第4ティース4Dの外周に集中巻きで巻装される。
V相コイルCV2(計4つのV相コイルCV1~CV4)を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第5ティース4Eの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW1が第5ティース4Eの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第5ティース4Eの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、V相コイルCV2とW相コイルCW1を接続する渡り線部CL8(の一部)を、保持部13に保持された中性点バスバー8の結線用端子8bに絡げておく。W相コイルCW1を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第6ティース4Fの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW2が第6ティース4Fの外周に集中巻きで巻装される。
W相コイルCW2を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第11ティース4Kの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW3が第11ティース4Kの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第11ティース4Kの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、W相コイルCW2,CW3を接続する渡り線部CL10(の一部)を、保持部13に保持されたW相バスバー7の結線用端子7aに絡げておく。W相コイルCW3を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第12ティース4Lの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW4が第12ティース4Lの外周に集中巻きで巻装される。
以上により、一本の連続したコイル線CLの長手方向に沿って計4個のU相コイル、計4個のV相コイル、及び計4個のW相コイルが順に形成される。なお、計12個のコイルCが形成された一本の連続したコイル線CLの巻き始め部CLs及び巻き終わり部CLfは、何れも、中性点バスバー8の結線用端子8cに絡げられる。これにより、計12個のティース4のそれぞれにコイルCを集中巻きで巻装するコイル巻装工程が完了する。
[結線工程]
この結線工程では、バスバー5~8の結線用端子に絡げられたコイル線CL(の渡り線部)が、絡げ先の結線用端子に結線される。具体的には、
・コイル線CLの渡り線部CL2がU相バスバー5の結線用端子5aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL6がV相バスバー6の結線用端子6aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL10がW相バスバー7の結線用端子7aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL4が中性点バスバー8の結線用端子8aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL8が中性点バスバー8の結線用端子8bに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL12(コイル線CLのスタート線CLs及びフィニッシュ線CLf)が中性点バスバー8の結線用端子8cに結線される。
この結線工程では、バスバー5~8の結線用端子に絡げられたコイル線CL(の渡り線部)が、絡げ先の結線用端子に結線される。具体的には、
・コイル線CLの渡り線部CL2がU相バスバー5の結線用端子5aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL6がV相バスバー6の結線用端子6aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL10がW相バスバー7の結線用端子7aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL4が中性点バスバー8の結線用端子8aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL8が中性点バスバー8の結線用端子8bに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL12(コイル線CLのスタート線CLs及びフィニッシュ線CLf)が中性点バスバー8の結線用端子8cに結線される。
図示は省略するが、コイル線CLの結線は、一対の電極でバスバーの結線用端子に絡げられたコイル線CLを線径方向に圧縮しながら一対の電極間に所定時間通電する、いわゆるヒュージング(熱加締め)により行われる。ヒュージングであれば、絶縁皮膜付の導線からなるコイル線CLの絶縁皮膜が除去されるのと略同時に、結線用端子に対して導線を接合することができるので、コイル線CLの結線作業を効率良く行い得る。
なお、上記6つの結線用端子に対するコイル線CL(の渡り線部)の結線は、個別に施すようにしても良いし、まとめて施すようにしても良い。また、前述したコイル巻装工程を実施するのに先立って、コイル線CLのうち、結線用端子に絡げられる部分(端子に対して接合される接合予定領域)の絶縁皮膜を除去しておいても良い。この場合、結線工程では、例えば、コイル線CLのうち結線用端子に絡げられた部分(絶縁皮膜の除去部)を加締めるだけでもコイル線CLを結線用端子に対して結線することができる他、TIG溶接やレーザ溶接等の溶接によってコイル線CLを結線用端子に対して結線することもできる。
上記態様でバスバー5~8の結線用端子にコイル線CL(の渡り線部)が結線されると、図5に示すように、計4個のU相コイルCU1~CU4が2並列2直列で接続されたU相コイル部21と、計4個のV相コイルCV1~CV4が2並列2直列で接続されたV相コイル部22と、計4個のW相コイルCW1~CW4が2並列2直列で接続されたW相コイル部23とがバスバー5~8を用いて互いに結線(スター結線)されたモータ駆動回路20が得られる。
本実施形態のU相コイル部21は、U相コイルCU1,CU2を直列に接続してなる第1列と、U相コイルCU3,CU4を直列に接続してなる第2列とが、コイル線CLのうちU相コイルCU2,CU3を接続する渡り線部CL2によって並列接続されたものである。また、V相コイル部22は、V相コイルCV3,CV4を直列に接続してなる第1列と、V相コイルCV1,CV2を直列に接続してなる第2列とが、コイル線CLのうちV相コイルCV4,CV1を接続する渡り線部CL6によって並列接続されたものである。また、W相コイル部23は、W相コイルCW1,CW2を直列接続してなる第1列と、W相コイルCW3,CW4を直列接続してなる第2列とが、コイル線CLのうちW相コイルCW2,CW3を接続する渡り線部CL10によって並列接続されたものである。
以上で説明したように、本実施形態のモータステータ1においては、
一本の連続したコイル線CLを計12個のティース4のそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより、計4個のU相コイルCU1~CU4、計4個のV相コイルCV1~CV4(並び順は、CV3→CV4→CV1→CV2)、及び計4個のW相コイルCW1~CW4をコイル線CLの長手方向に沿って順に形成し、
コイル線CLのうち、U相コイルCU2,CU3同士を並列接続する渡り線部CL2、V相コイルCV4,CV1同士を並列接続する渡り線部CL6、及びW相コイルCW2,CW3同士を並列接続する渡り線部CL10を、それぞれ、U相バスバー5の結線用端子5a、V相バスバー6の結線用端子6a及びW相バスバー7の結線用端子7aに結線すると共に、
コイル線CLのうち、U相コイルCU4とV相コイルCV3(U相コイル部21とV相コイル部22)を接続する渡り線部CL4、V相コイルCV2とW相コイルCW1(V相コイル部22とW相コイル部23)を接続する渡り線部CL8、及びW相コイルCW4とU相コイルCU1(W相コイル部23とU相コイル部21)を接続する渡り線部CL12を中性点バスバー8の結線用端子8a~8cにそれぞれ結線することにより、スター結線のモータ駆動回路20を形成した。
一本の連続したコイル線CLを計12個のティース4のそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより、計4個のU相コイルCU1~CU4、計4個のV相コイルCV1~CV4(並び順は、CV3→CV4→CV1→CV2)、及び計4個のW相コイルCW1~CW4をコイル線CLの長手方向に沿って順に形成し、
コイル線CLのうち、U相コイルCU2,CU3同士を並列接続する渡り線部CL2、V相コイルCV4,CV1同士を並列接続する渡り線部CL6、及びW相コイルCW2,CW3同士を並列接続する渡り線部CL10を、それぞれ、U相バスバー5の結線用端子5a、V相バスバー6の結線用端子6a及びW相バスバー7の結線用端子7aに結線すると共に、
コイル線CLのうち、U相コイルCU4とV相コイルCV3(U相コイル部21とV相コイル部22)を接続する渡り線部CL4、V相コイルCV2とW相コイルCW1(V相コイル部22とW相コイル部23)を接続する渡り線部CL8、及びW相コイルCW4とU相コイルCU1(W相コイル部23とU相コイル部21)を接続する渡り線部CL12を中性点バスバー8の結線用端子8a~8cにそれぞれ結線することにより、スター結線のモータ駆動回路20を形成した。
例えば10極12スロットの三相ブラシレスモータ用の駆動回路(スター結線)を形成する際、計4個のバスバー(U相バスバー、V相バスバー、W相バスバー及び中性点バスバー)に対する結線箇所は最大で12箇所にも及ぶ。これに対し、上記態様でモータ駆動回路20を形成すれば、計4個のバスバー5~8に対する結線箇所を6箇所にまで減じることができる。これにより、結線作業の簡素化を通じてモータステータ1のコスト低減を図ることができる。
また、本実施形態のモータステータ1では、計4個のバスバー5~8を、ステータコア2の軸方向一端側で絶縁部材10(の保持部13)に互いに非接触の状態で保持している。これはすなわち、ティース4とこれに巻装されたコイルCの間を絶縁するための絶縁部材10が、従来品で言うバスバーユニットのバスバーホルダに相当する部分を一体的に有していることを意味する。この場合、モータステータとは別とに設けられるのが一般的であるバスバーユニットが不要となるので部品点数を削減できる。また、この場合、コイルCの巻装時に、バスバー5~8に対するコイル線CLの結線予定箇所(各渡り線部)をバスバー5~8の結線用端子に接触させることができる(本実施形態では絡げている)ので、コイル巻装後の結線作業を容易にかつ正確に実行することができる。従って、部品点数削減及び結線作業の容易化によりステータコア1を低コスト化することができる。
以上、本発明の実施形態に係るモータステータ1について説明を行ったが、モータステータ1には、本発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜の変形を施すことができる。例えば、一本の連続したコイル線CLを計12個のティース4のそれぞれに集中巻きで順次コイルCを巻装する際のコイルCの巻装順は、図6に示すように変更することもできる。具体的には、第8ティース4HにU相コイルCU4を巻装した後、第5ティース4EにW相コイルCW1を巻装する前に、CV4→CV3→CV2→CV1の順でV相コイルを巻装しても構わない。但し、この場合、コイル線CLのうち、その長手方向で隣り合う2つのコイル同士を接続する渡り線部には、ステータコア2の周方向における巻き方向が正方向であるものと逆方向であるものとが混在することになる。
一方、前述した実施形態では、渡り線部(CL1~CL12)の周方向における巻き方向が全て同じ(図3に示す態様で配列されたティース4のそれぞれに図4に示す順番でコイルを巻装する場合、渡り線部の巻き方向は全て反時計回り)である。この場合には、各ティース4にコイルを集中巻きで順次巻装するときに、コイル線CLが折り返されないため、渡り線部が軸方向に積み重なることによるモータステータ1の大型化やコイル線CLの断線を防止することができる。逆に言えば、図6に示す順番でコイルCを巻装することにより、周方向における巻き方向が正方向である渡り線部と、周方向における巻き方向が逆方向である渡り線部とが混在することになると、モータステータ1が軸方向に大型化したり、コイル線CLが断線したりする可能性がある。従って、渡り線部(CL1~CL12)の周方向における巻き方向は、全て同じにするのが好ましい。
以上では、10極12スロットの三相ブラシレスモータ(分数溝モータ)用のステータ1に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、その他の分数溝モータ用のステータ、例えば14極12スロットの三相ブラシレスモータ用のステータや、14極18スロットの三相ブラシレスモータ用のステータに適用することもできる。後者の場合、例えば2並列3直列で接続されたU相~W相コイルをスター結線することでモータ駆動回路が形成される。
本発明は以上で説明した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは言うまでもない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 モータステータ
2 ステータコア
4 ティース
5 U相バスバー
5a 結線用端子
6 V相バスバー
6a 結線用端子
7 W相バスバー
7a 結線用端子
8 中性点バスバー
8a,8b,8c 結線用端子
10 絶縁部材
13 保持部
20 モータ駆動回路
30 モータ
32 モータロータ
33 出力軸
35 永久磁石
C コイル
CU1,CU2,CU3,CU4 U相コイル
CV1,CV2,CV3,CV4 V相コイル
CW1,CW2,CW3,CW4 W相コイル
CL コイル線
CL1~CL12 渡り線部
2 ステータコア
4 ティース
5 U相バスバー
5a 結線用端子
6 V相バスバー
6a 結線用端子
7 W相バスバー
7a 結線用端子
8 中性点バスバー
8a,8b,8c 結線用端子
10 絶縁部材
13 保持部
20 モータ駆動回路
30 モータ
32 モータロータ
33 出力軸
35 永久磁石
C コイル
CU1,CU2,CU3,CU4 U相コイル
CV1,CV2,CV3,CV4 V相コイル
CW1,CW2,CW3,CW4 W相コイル
CL コイル線
CL1~CL12 渡り線部
Claims (8)
- 周方向に間隔を空けて設けられた複数のティースを有する円筒状のステータコアと、前記複数のティースのそれぞれに絶縁部材を介してコイル線を巻装することで形成された複数のU相コイル、V相コイル及びW相コイルと、を備えたモータステータにおいて、
一本の連続した前記コイル線を前記複数のティースのそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより、前記複数のU相コイル、前記複数のV相コイル、及び前記複数のW相コイルを前記コイル線の長手方向に沿って順に形成し、
前記コイル線のうち、前記U相コイル同士を並列接続する渡り線部、前記V相コイル同士を並列接続する渡り線部、及び前記W相コイル同士を並列接続する渡り線部を、それぞれ、U相バスバーの結線用端子、V相バスバーの結線用端子及び前記W相バスバーの結線用端子に結線すると共に、前記コイル線のうち、前記U相コイルと前記V相コイルを接続する渡り線部、前記V相コイルと前記W相コイルを接続する渡り線部、及び前記W相コイルと前記U相コイルを接続する渡り線部を中性点バスバーの結線用端子に結線することにより、スター結線のモータ駆動回路を形成したことを特徴とするモータステータ。 - 前記U相バスバー、前記V相バスバー、前記W相バスバー及び前記中性点バスバーが、前記ステータコアの軸方向一端側で前記絶縁部材に互いに非接触の状態で保持されている請求項1に記載のモータステータ。
- 前記U相バスバー、前記V相バスバー、前記W相バスバー及び前記中性点バスバーが、前記絶縁部材に設けた溝部にアウトサートされている請求項2に記載のモータステータ。
- ヒュージングにより、各渡り線部が対応する結線用端子に結線されている請求項1~3の何れか一項に記載のモータステータ。
- 各渡り線部の周方向における巻き方向を全て同じにした請求項1~4の何れか一項に記載のモータステータ。
- 前記U相コイルの並列数、前記V相コイルの並列数、及び前記W相コイルの並列数が何れも偶数である請求項1~5の何れか一項に記載のモータステータ。
- 10極12スロットの三相ブラシレスモータ用である請求項1~6の何れか一項に記載のモータステータ。
- 請求項1~7の何れか一項に記載のモータステータと、モータロータとを備えたモータ。
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