JP2023105513A - ガラスフィルムの製造方法及び方向転換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】方向転換装置におけるガイドローラの間へのガラスフィルムの落ち込みを防止する。【解決手段】ガラスフィルムの製造方法は、ダウンドロー法によってガラスフィルムを成形する成形工程と、成形した前記ガラスフィルムを縦方向に搬送する縦搬送工程と、ガラスフィルムの搬送方向を方向転換装置によって縦方向から横方向に転換する方向転換工程と、を備える。方向転換装置は、ガラスフィルムの方向転換軌道に沿って並ぶように配置される複数のガイドローラを備えるとともに、ガラスフィルムがガイドローラの間に落ち込むことを防止する。【選択図】図1
Description
本発明は、ガラスフィルムの製造方法及びガラスフィルムの搬送方向を転換する方向転換装置に関する。
周知のように、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等のパネルディスプレイに用いられる板ガラスにおいては、軽量化への要請の高まりに伴って薄板化が推進されており、その厚みが300μm以下、あるいは200μm以下にまで薄板化されたガラスフィルムが開発、製造されるに至っている。
このガラスフィルムを製造するための方法の一例として、特許文献1には、オーバーフローダウンドロー法、リドロー法、スロットダウンドロー法等に代表されるダウンドロー法を利用した製造方法が開示されている。
この方法は、ダウンドロー法によって成形体から溶融ガラスを縦方向に流下させながら帯状ガラスフィルムを成形する成形工程と、成形された帯状ガラスフィルムを湾曲した搬送軌道に沿って搬送することで、その搬送方向を縦方向から横方向に転換させる方向転換工程と、搬送方向が転換された帯状ガラスフィルムを横方向に搬送する横搬送工程とを含む(同文献の請求項1参照)。
方向転換工程では、方向転換装置によってガラスフィルムの搬送方向を転換する。方向転換装置は、ガラスフィルムを搬送軌道に沿って搬送するローラコンベアを備える。ローラコンベアは、ガラスフィルムの搬送軌道に沿うように所定の間隔をおいて配置される複数のガイドローラを備える(同文献の段落0036、0037及び図1参照)。
従来のガラスフィルムの製造方法では、成形不良や搬送時における変形により、成形工程後にガラスフィルムが破断する場合がある。この場合、方向転換装置よりも上方位置において、破断によりガラスフィルムに新たな端部が形成される。従来の製造方法では、このガラスフィルムの端部が方向転換装置に到達した場合に、間隔をおいて配置されているガイドローラの間を通過して下方に落ち込むおそれがあった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、方向転換装置におけるガイドローラの間へのガラスフィルムの落ち込みを防止することを技術的課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、ダウンドロー法によってガラスフィルムを成形する成形工程と、成形した前記ガラスフィルムを縦方向に搬送する縦搬送工程と、前記ガラスフィルムの搬送方向を方向転換装置によって前記縦方向から横方向に転換する方向転換工程と、を備えるガラスフィルムの製造方法であって、前記方向転換装置は、前記ガラスフィルムの方向転換軌道に沿って並ぶように配置される複数のガイドローラを備えるとともに、前記ガラスフィルムが前記ガイドローラの間に落ち込むことを防止することを特徴とする。
かかる構成によれば、方向転換工程において、ガイドローラの間へのガラスフィルムの落ち込みを方向転換装置によって確実に防止できる。
前記方向転換装置は、前記ガラスフィルムが前記ガイドローラの間に落ち込むことを防止する落ち込み防止部材を備え、前記落ち込み防止部材は、板状部材により構成されてもよい。これにより、ガイドローラの間の隙間を板状部材により構成される落ち込み防止部材によって効果的に覆うことが可能となる。
前記落ち込み防止部材は、金属により構成されてもよい。方向転換装置の上方位置でガラスフィルムが破断した場合、高温のガラスフィルムが落ち込み防止部材に接触するおそれがある。落ち込み防止部材を金属により構成することで、高温のガラスフィルムが接触した場合であっても落ち込み防止部材の熱変形を防止できる。
前記落ち込み防止部材は、前記ガラスフィルムの前記方向転換軌道よりも前記ガイドローラ側に配置されていてもよい。これにより、方向転換軌道上で破断することなく搬送されているガラスフィルムに落ち込み防止部材が接触することを防止できる。
前記落ち込み防止部材は、隣り合う二つの前記ガイドローラの軸心を結ぶ直線よりも前記方向転換軌道側に配置されていてもよい。これにより、隣り合う二つのガイドローラの間の隙間を落ち込み防止部材によって効果的に覆うことが可能となる。
前記方向転換装置は、前記落ち込み防止部材の位置を調整する位置調整機構を備えていてもよい。これにより、ガラスフィルムの落ち込みを防止するために、落ち込み防止部材を最適な位置に設けることができる。
前記落ち込み防止部材は、前記方向転換軌道に沿って搬送される前記ガラスフィルムに対向する複数の突起部を備えていてもよい。
搬送中に生じるガラスフィルムの撓みによって、ガラスフィルムが落ち込み防止部材に接触する場合がある。このような場合であっても、落ち込み防止部材に突起部を設けることで、ガラスフィルムと落ち込み防止部材との接触面積を小さくすることができる。これにより、落ち込み防止部材との接触によりガラスフィルムに作用する摩擦力を可及的に低減し、ガラスフィルムを好適に搬送することが可能となる。
前記落ち込み防止部材の表面は、めっき膜により被覆されていてもよい。かかる構成によれば、めっき膜によって落ち込み防止部材の表面の動摩擦係数を小さくすることができる。これにより、ガラスフィルムが落ち込み防止部材に接触した場合であってもガラスフィルムに作用する摩擦力を最小限に抑えることが可能となる。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、ダウンドロー法によって成形されたガラスフィルムの搬送方向を縦方向から横方向に転換する方向転換装置において、前記ガラスフィルムの方向転換軌道に沿って並ぶように配置される複数のガイドローラと、前記ガイドローラの間に配置されるとともに、前記ガラスフィルムが前記ガイドローラの間から落ち込むことを防止する落ち込み防止部材と、を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、ガイドローラの間に落ち込み防止部材を配置することで、方向転換装置は、ガイドローラの間へのガラスフィルムの落ち込みを確実に防止できる。
本発明によれば、方向転換装置におけるガイドローラの間へのガラスフィルムの落ち込みを防止することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1乃至図5は、本発明に係るガラスフィルムの製造方法及び方向転換装置の一実施形態を示す。
図1は、本方法に使用されるガラスフィルム(ガラスロール)の製造装置の全体構成を示す。製造装置1は、溶融ガラスから帯状の母材ガラスフィルムG1を成形する成形装置2と、母材ガラスフィルムG1の搬送方向を縦方向から横方向に転換する方向転換装置3と、母材ガラスフィルムG1を横方向GXに沿って搬送する横搬送装置4と、母材ガラスフィルムG1の幅方向端部の不要部分を除去し、幅方向中央部を製品ガラスフィルムG2として巻き取ってガラスロールGRを形成する巻取装置5と、を備える。
本明細書において、「横方向」とは、水平方向、又は水平方向に対して上下にそれぞれ10°以下の範囲内で傾斜した方向を意味する。「縦方向」とは、鉛直方向、又は鉛直方向に対して10°以下の角度で傾斜した方向を意味する。
母材ガラスフィルムG1は、第一主面(表面)Gaと、この第一主面Gaの反対側に位置する第二主面(裏面)Gbとを含む。製品ガラスフィルムG2の厚みは、300μm以下とされ、好ましくは100μm以下とされる。
図1に示すように、成形装置2は、上端部にオーバーフロー溝6aが形成された断面視略楔形の成形体6と、成形体6の直下に配置されて、成形体6から溢出した溶融ガラスを表裏両側から挟むエッジローラ7と、エッジローラ7の直下に配備されるアニーラ8と、を備える。
成形装置2は、成形体6のオーバーフロー溝6aの上方から溢流した溶融ガラスを、成形体6の両側面に沿ってそれぞれ流下させ、成形体6の下端で合流させてフィルム状の溶融ガラスを成形する。エッジローラ7は、溶融ガラスの幅方向収縮を規制して所定幅の母材ガラスフィルムG1とする。
アニーラ8は、母材ガラスフィルムG1に対してアニール処理(除歪処理)を施すためのものである。このアニーラ8は、上下方向複数段に配設されたアニーラローラ8aを有する。各アニーラローラ8aは、母材ガラスフィルムG1を表裏両側から挟持するローラ対により構成される。アニーラローラ8aは、成形装置2によって成形された母材ガラスフィルムG1をアニーラ8内において縦方向GYに沿って搬送する縦搬送装置として機能する。
アニーラ8の下方には、母材ガラスフィルムG1を表裏両側から挟持する支持ローラ9が配設されている。支持ローラ9とエッジローラ7との間、または支持ローラ9と何れか一箇所のアニーラローラ8aとの間には、母材ガラスフィルムG1を薄肉にすることを助長するための張力が付与されている。
方向転換装置3は、母材ガラスフィルムG1の搬送方向を縦方向GYから横方向GXへと転換する。方向転換装置3は、アニーラ8及び支持ローラ9の下方位置に設けられている。
図2及び図3に示すように、方向転換装置3は、母材ガラスフィルムG1を支持するローラコンベア10と、母材ガラスフィルムG1がローラコンベア10から落ち込むことを防止する落ち込み防止部材11と、落ち込み防止部材11を支持する支持装置12と、を備える。
ローラコンベア10は、母材ガラスフィルムG1の搬送方向を転換するために、母材ガラスフィルムG1を湾曲させた状態で搬送する。以下、ローラコンベア10によって母材ガラスフィルムG1が湾曲状に通常状態で搬送される軌道を方向転換軌道といい、図2及び図3において符号Tで示す。尚、方向変換軌道Tは、正しくは母材ガラスフィルムG1の第二主面Gbと一致する軌道であるが、図面の表現上、図2及び図3では、母材ガラスフィルムG1の厚み方向中心を通過する一点鎖線で表現する。
ローラコンベア10は、方向転換軌道Tに沿って並ぶように配置される複数のガイドローラ13を含む。各ガイドローラ13は、母材ガラスフィルムG1の第二主面Gbに接触しながら、この母材ガラスフィルムG1を方向転換軌道Tに沿って搬送する。各ガイドローラ13は、上下方向及び水平方向の位置が異なるように、所定の間隔をおいて配置されている。ガイドローラ13の外径は、20~100mmとされることが好ましい。
落ち込み防止部材11は、長尺状の板状部材により構成されるが、この構成に限定されるものではない。落ち込み防止部材11は、ステンレス鋼その他の金属により構成される。 図2及び図3に示すように、各落ち込み防止部材11は、隣り合う二つのガイドローラ13の間に配置されている。隣り合う二つのガイドローラ13の間には、その長手方向に沿って複数の落ち込み防止部材11が並設されてもよい。落ち込み防止部材11は、方向転換軌道Tに沿うように、水平方向又は上下方向に対して傾斜している。各落ち込み防止部材11の傾斜角度は、配置される位置に応じて異なっている。
落ち込み防止部材11は、方向転換軌道Tよりもガイドローラ13側に配置されている。具体的には、図3に示すように、側面視において、隣り合う二つのガイドローラ13におおいて母材ガラスフィルムG1に接触し得る頂部同士を結ぶ仮想的な直線L1を引いた場合に、落ち込み防止部材11は、この直線L1から距離D1をおいて離れた位置にある。直線L1と落ち込み防止部材11との距離D1は、1~10mmとされることが好ましい。
図3に示すように、落ち込み防止部材11は、隣り合う二つのガイドローラ13の軸心AC同士を結ぶ仮想的な直線L2よりも方向転換軌道T側に配置されている。具体的には、落ち込み防止部材11は、この直線L2から距離D2をおいて離れた位置にある。
図3及び図4に示すように、落ち込み防止部材11は、方向転換軌道Tに沿って搬送される母材ガラスフィルムG1に対向する第一表面11aと、支持装置12によって支持される第二表面11bとを含む。
図2乃至図4に示すように、落ち込み防止部材11の第一表面11aは、ガラスフィルムに対向する複数の突起部14aを備える。突起部14aは、例えば落ち込み防止部材11の第一表面11aにエンボス加工を施すことにより形成される。落ち込み防止部材11に突起部14aを形成する方法は、本実施形態に限定されない。
突起部14aは、平面視において円形状に構成されるが、突起部14aの形状は本実施形態に限定されない。図4に示すように、突起部14aの表面は、凸状の曲面状又は球面状に構成される。平面視における突起部14aの直径は、1~10mmとされることが好ましい。突起部14aの高さ寸法H(図5参照)は、1~5mmとされることが好ましい。
図5に示すように、落ち込み防止部材11の第一表面11aは、めっき膜14bにより被覆されている。めっき膜14bは、例えば無電解ニッケルめっきにより形成されることが好ましい。めっき膜14bは、テフロン(登録商標)を含有してもよい。めっき膜14bは、鉛合金めっき、銀めっきその他のめっきにより形成されてもよい。また、めっき膜14bは、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂、フッ化系黒鉛等を用いる分散めっきにより形成されてもよい。この他、ニダックス(登録商標)処理、タフラム(登録商標)処理、テフロック(登録商標)処理によってめっき膜14bを形成してもよい。
図3に示すように、支持装置12は、落ち込み防止部材11の位置を調整する位置調整機構15を備える。位置調整機構15は、第一調整部15aと、第二調整部15bとを備える。
第一調整部15aは、シリンダ機構等のアクチュエータにより伸縮可能な構成を有している。第一調整部15aは、長尺状に構成されるとともに、その長手方向に沿って移動可能な支持部材16を有する。
第二調整部15bは、落ち込み防止部材11の傾斜角度を調整する角度調整機構により構成される。第二調整部15bは、第一調整部15aの支持部材16の端部に設けられている。具体的には、第二調整部15bは、支持部材16の端部と、落ち込み防止部材11の第二表面11bに設けられたブラケット17とを連結する支持軸18を有する。支持軸18は、落ち込み防止部材11の傾斜角度を変更するようにブラケット17を支持し、落ち込み防止部材11を傾斜姿勢で固定することができる。
横搬送装置4は、母材ガラスフィルムG1の進行方向において、方向転換装置3の下流側に配置されている。横搬送装置4は、第一搬送装置19と、第二搬送装置20と、第三搬送装置21とを有する。
第一搬送装置19は、例えば浮上式のベルトコンベアにより構成される。第一搬送装置19は、方向転換装置3によって搬送方向が転換された母材ガラスフィルムG1を横方向GXに沿って下流側に搬送する。
第二搬送装置20は、ベルトコンベアと22と、母材ガラスフィルムG1の幅方向端部を非製品部Gcとして切断する切断装置23とを備える。
第二搬送装置20は、母材ガラスフィルムG1をベルトコンベア22の中途部へと搬送し、この中途部において、切断装置23によって母材ガラスフィルムG1を切断することで形成される製品ガラスフィルムG2及び非製品部Gcを下流側へと搬送する。
切断装置23は、例えばレーザ割断により母材ガラスフィルムG1を切断するが、この切断態様に限定されない。切断装置23は、一対のレーザ照射装置23aと、当該レーザ照射装置23aの下流側に配置される一対の冷却装置23bとを含む。切断装置23は、搬送される母材ガラスフィルムG1の所定部位に各レーザ照射装置23aからレーザ光を照射して加熱した後、冷却装置23bから冷媒を放出して当該加熱部位を冷却する。
第三搬送装置21は、例えば吸着コンベアにより構成される。第三搬送装置21は、製品ガラスフィルムG2を固定保持した状態で、下流側に搬送する。
巻取装置5は、第三搬送装置21の下流側に設置されている。巻取装置5は、巻取ローラ24と、この巻取ローラ24を回転駆動するモータ(図示省略)と、巻取ローラ24に保護シートPSを供給する保護シート供給部25とを有する。
巻取装置5は、保護シート供給部25から保護シートPSを製品ガラスフィルムG2に重ね合わせつつ、モータにより巻取ローラ24を回転させることで、製品ガラスフィルムG2をロール状に巻き取る。巻き取られた製品ガラスフィルムG2は、ガラスロールGRとして構成される。
以下、上記構成の製造装置1を使用してガラスフィルムG1,G2(ガラスロールGR)を製造する方法について説明する。本方法は、オーバーフローダウンドロー法によって母材ガラスフィルムG1を成形する成形工程と、各ガラスフィルムG1,G2を搬送する搬送工程と、製品ガラスフィルムG2をロール状に巻き取る巻取工程と、を備える。
成形工程では、成形装置2における成形体6のオーバーフロー溝6aの上方から溢流した溶融ガラスを成形体6の両側面に沿ってそれぞれ流下させ、これらの溶融ガラスを成形体6の下端で合流させて当該溶融ガラスをフィルム状に成形する。この際、溶融ガラスの幅方向収縮をエッジローラ7により規制して所定幅の母材ガラスフィルムG1とする。その後、母材ガラスフィルムG1に対してアニーラ8によりアニール処理を施す(アニール工程)。母材ガラスフィルムG1は、支持ローラ9によって付与される張力の作用により、所定の厚みに形成される。
搬送工程は、母材ガラスフィルムG1を縦方向GYに沿って搬送する縦搬送工程と、母材ガラスフィルムG1の搬送方向を縦方向GYから横方向GXに転換する方向転換工程と、母材ガラスフィルムG1を横方向GXに沿って搬送する横搬送工程と、を含む。
縦搬送工程では、母材ガラスフィルムG1にアニール処理を施しながら、縦搬送装置としてのアニーラローラ8aによって当該母材ガラスフィルムG1を縦方向GY(下方)に沿って搬送する。
方向転換工程では、アニーラ8から搬送された母材ガラスフィルムG1の搬送方向を方向転換装置3によって縦方向GYから横方向GXに転換する。方向転換装置3は、アニーラ8から下方に搬送される母材ガラスフィルムG1にガイドローラ13を順次接触させ、この母材ガラスフィルムG1を方向転換軌道Tに沿って搬送する。この場合において、落ち込み防止部材11は、母材ガラスフィルムG1から離れた位置にあり、母材ガラスフィルムG1の第二主面Gbには接触しない。
横搬送工程では、方向転換装置3を通過した母材ガラスフィルムG1を第一搬送装置19及び第二搬送装置20によって搬送し、製品ガラスフィルムG2を第二搬送装置20及び第三搬送装置21によって搬送する。
横搬送工程は、母材ガラスフィルムG1を製品ガラスフィルムG2と非製品部Gcとに分断する切断工程と、非製品部Gcを廃棄する廃棄工程とを備える。
切断工程では、第一搬送装置19から搬送された母材ガラスフィルムG1を第二搬送装置20のベルトコンベア22によって下流側に搬送する。この搬送の途中において、切断装置23は、レーザ照射装置23aからレーザ光を母材ガラスフィルムG1の一部に照射して加熱する。
その後、加熱した部位に冷却装置23bによって冷媒を吹き付ける。これにより、母材ガラスフィルムG1に熱応力が生じる。母材ガラスフィルムG1には、予め初期クラックが形成されており、切断装置23は、このクラックを熱応力によって進展させる。これにより、母材ガラスフィルムG1から製品ガラスフィルムG2と、非製品部Gcとが形成される。
廃棄工程において、非製品部Gcは、第二搬送装置20によって下流側に搬送される。その後、非製品部Gcは、製品ガラスフィルムG2の搬送経路から下方に離脱し、廃棄に適した長さに切断される。
巻取工程では、保護シート供給部25から保護シートPSを製品ガラスフィルムG2に供給しつつ、第三搬送装置21によって搬送された製品ガラスフィルムG2を巻取装置5の巻取ローラ24にてロール状に巻き取る。所定長さの製品ガラスフィルムG2を巻取ローラ24により巻き取ることで、ガラスロールGRが完成する。
上記の製造方法の実施中において、成形工程における母材ガラスフィルムG1の成形不良や縦搬送工程中における母材ガラスフィルムG1の変形等に起因して、母材ガラスフィルムG1が縦搬送工程中に破断する場合がある。この場合には、破断により、母材ガラスフィルムG1に新たな端部(下端部)が形成される。母材ガラスフィルムG1の端部は、下方の方向転換装置3に到達したときに、隣り合う二つのガイドローラ13の間を通過しようとする。
この場合において、落ち込み防止部材11は、この母材ガラスフィルムG1の端部に接触し、二つのガイドローラ13の間から母材ガラスフィルムG1の端部が下方に落ち込むことを防止する。母材ガラスフィルムG1の端部は、落ち込み防止部材11及びガイドローラ13によって案内されることで、横搬送装置4に向かって移動する。
また、上記の製造方法の実施中において、横搬送工程における母材ガラスフィルムG1や製品ガラスフィルムG2の搬送の不具合等に起因して、方向転換軌道T上の母材ガラスフィルムG1に撓みが生じる場合がある。この場合において、母材ガラスフィルムG1の一部が方向転換装置3の落ち込み防止部材11に接触する。
このとき、落ち込み防止部材11の突起部14aが母材ガラスフィルムG1の第二主面Gbに接触する。これにより、母材ガラスフィルムG1の第二主面Gbは、落ち込み防止部材11の第一表面11aにおける突起部14a以外の部位に接触し難くなる。すなわち、母材ガラスフィルムG1の落ち込み防止部材11に対する接触面積を可及的に小さくすることができる。これにより、母材ガラスフィルムG1に作用する摩擦力を最小限に抑えることで、母材ガラスフィルムG1を好適に搬送することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、オーバーフローダウンドロー法によって帯状の母材ガラスフィルムG1を製造する例を示したが、本発明はこれに限らず、スロットダウンドロー法やリドロー法等によって母材ガラスフィルムG1を製造することができる。
上記の実施形態では、板状部材により構成された落ち込み防止部材11を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。落ち込み防止部材11としては、例えばガイドローラ13よりも小径のローラを用いることができる。
上記の実施形態では、巻取装置5によってガラスロールGRを製造する例を示したが、本発明はこれに限らず、巻取装置5に代えて幅方向切断装置を設け、製品ガラスフィルムG2を所定の長さで繰り返し切断することで、枚葉の製品ガラスフィルムG2を製造しても良い。また、枚葉のガラスフィルムを製造する場合には、切断装置23を省略して、母材ガラスフィルムG1を所定の長さで繰り返し切断して、枚葉の母材ガラスフィルムG1を製造することもできる。
上記の実施形態では、安定して母材ガラスフィルムG1を方向変換装置3で方向変換している間でも落ち込み防止部材11がローラコンベア10間に配置されていたが、落ち込み防止部材11をローラコンベア10間から退避させる退避手段を別途設けても良い。これにより、横搬送工程における母材ガラスフィルムG1や製品ガラスフィルムG2の搬送の不具合等に起因して、方向転換軌道T上の母材ガラスフィルムG1に撓みが生じる場合があっても、母材ガラスフィルムG1と落ち込み防止部材11とが接触するのを防止することができる。退避手段は、例えば、落ち込み防止部材11をローラコンベア10の軸方向にスライドさせることが挙げられる。この場合、母材ガラスフィルムG1が縦搬送工程中に破断したことをセンサ等の検知手段等により検知して、落ち込み防止部材11を再びローラコンベア10間に配置すればよい。
3 方向転換装置
11 落ち込み防止部材
13 ガイドローラ
14a 突起部
14b めっき膜
15 位置調整機構
G1 母材ガラスフィルム
GX 横方向
GY 縦方向
T 方向転換軌道
11 落ち込み防止部材
13 ガイドローラ
14a 突起部
14b めっき膜
15 位置調整機構
G1 母材ガラスフィルム
GX 横方向
GY 縦方向
T 方向転換軌道
Claims (9)
- ダウンドロー法によってガラスフィルムを成形する成形工程と、成形した前記ガラスフィルムを縦方向に搬送する縦搬送工程と、前記ガラスフィルムの搬送方向を方向転換装置によって前記縦方向から横方向に転換する方向転換工程と、を備えるガラスフィルムの製造方法であって、
前記方向転換装置は、前記ガラスフィルムの方向転換軌道に沿って並ぶように配置される複数のガイドローラを備えるとともに、前記ガラスフィルムが前記ガイドローラの間に落ち込むことを防止する、
ことを特徴とするガラスフィルムの製造方法。 - 前記方向転換装置は、前記ガラスフィルムが前記ガイドローラの間に落ち込むことを防止する落ち込み防止部材を備え、
前記落ち込み防止部材は、板状部材により構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。 - 前記落ち込み防止部材は、金属により構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のガラスフィルムの製造方法。 - 前記落ち込み防止部材は、前記ガラスフィルムの前記方向転換軌道よりも前記ガイドローラ側に配置されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のガラスフィルムの製造方法。 - 前記落ち込み防止部材は、隣り合う二つの前記ガイドローラの軸心を結ぶ直線よりも前記方向転換軌道側に配置されている、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。 - 前記方向転換装置は、前記落ち込み防止部材の位置を調整する位置調整機構を備えている、
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。 - 前記落ち込み防止部材は、前記方向転換軌道に沿って搬送される前記ガラスフィルムに対向する複数の突起部を備えている、
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。 - 前記落ち込み防止部材の表面は、めっき膜により被覆されている、
ことを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載のガラスフィルムの製造方法。 - ダウンドロー法によって成形されたガラスフィルムの搬送方向を縦方向から横方向に転換する方向転換装置において、
前記ガラスフィルムの方向転換軌道に沿って並ぶように配置される複数のガイドローラと、前記ガイドローラの間に配置されるとともに、前記ガラスフィルムが前記ガイドローラの間から落ち込むことを防止する落ち込み防止部材と、を備える、
ことを特徴とする方向転換装置。
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