JP2023104903A - エポキシ樹脂硬化助剤、エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】エポキシ樹脂の硬化性、及び得られる硬化体の物性に優れたエポキシ樹脂硬化助剤、該硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を提供する。【解決手段】 式(1)に示すチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤。式(1):【化1】JPEG2023104903000144.jpg24167[式中、A、R1、R2、xは明細書中に定義される通りである。]【選択図】なし
Description
本発明は、硬化性に優れたエポキシ樹脂硬化助剤、及びエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は高耐熱性、高耐薬品性、高絶縁性及び高接着性等の優れた特性ゆえ、その用途は塗料、電気絶縁材料、複合材料、土木建築材料、接着剤等様々である。
エポキシ樹脂を硬化させる際の硬化剤としては、アミン系硬化剤が最も一般的に知られている(特許文献1)。
しかし、発明者らがアミン系硬化剤を用いた場合、特にエポキシ樹脂を薄膜として硬化した際の硬化時間について満足のいくものではなかった。
本発明は、エポキシ樹脂の硬化の際の硬化時間の短縮を課題とする。
上記課題を解決すべく、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定のチオウレタン化合物をエポキシ樹脂硬化助剤として用いることでエポキシ樹脂の硬化時間を短縮できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す広い態様の発明を含むものである。
[項1]
式(1)に示すチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤。
式(1):
式(1)に示すチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤。
式(1):
[式中、Aは水素原子、又は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。
R1は単結合、下記式(a1)で表される(チオ)アミド結合又は下記式(a2)で表されるエステル結合を示す。
式(a1):
R1は単結合、下記式(a1)で表される(チオ)アミド結合又は下記式(a2)で表されるエステル結合を示す。
式(a1):
(式中、Eは酸素原子又は硫黄原子を示す。R3は水素原子、又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(a2):
式(a2):
(式中、*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
xは1以上の整数である。但し、Aが水素原子の場合、R1が式(a1)で表されるチオアミド結合であり且つEが硫黄原子である場合、又はR1が式(a2)で表されるエステル結合である場合、xは1である。
R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
xは1以上の整数である。但し、Aが水素原子の場合、R1が式(a1)で表されるチオアミド結合であり且つEが硫黄原子である場合、又はR1が式(a2)で表されるエステル結合である場合、xは1である。
R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
(式中、R4~R30は同一又は異なって、水素原子、又は、下記式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。R4~R7、R8及びR9、R10~R15、R16~R19、R20~R23、R26及びR27、R28及びR29はそれぞれ互いに結合して環構造を形成していても良い。nは1~4の整数、mは1~4の整数である。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の硫黄原子に結合する結合手を示し、左側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(c1):
式(c1):
(式中、R31はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)]
[項2]
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
置換基が、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、下記式(c2)で表される基、下記式(c3)で表される基からなる群より選択される1以上の置換基である項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
式(c2):
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
置換基が、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、下記式(c2)で表される基、下記式(c3)で表される基からなる群より選択される1以上の置換基である項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
式(c2):
(式中、R32はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)
式(c3):
式(c3):
(式中、R33、R34は同一又は異なって、ヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)]
[項3]
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
下記式(d1)~(d5)からなる群より選択されるいずれかで表される含窒素構造を有する炭化水素基である、項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
式(d1):
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
下記式(d1)~(d5)からなる群より選択されるいずれかで表される含窒素構造を有する炭化水素基である、項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
式(d1):
(式中、R35はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d2):
式(d2):
(式中、R36はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d3):
式(d3):
(式中、R37はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d4):
式(d4):
(式中、R38はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、R39はヘテロ原子で置換されていてもよい1価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。) 式(d5):
(式中、R40はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
[項4]
xが1~8の整数である項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
xが1~8の整数である項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
[項5]
R1が単結合、又は式(a1)で表される(チオ)アミド結合である項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
R1が単結合、又は式(a1)で表される(チオ)アミド結合である項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
[項6]
R1が式(a1)で表され、且つ式(a1)中のEが酸素原子である、項1~5に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
R1が式(a1)で表され、且つ式(a1)中のEが酸素原子である、項1~5に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
[項7]
イソ(チオ)シアネートと下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させて得られる化合物を含む、エポキシ樹脂硬化助剤。
式(2):
イソ(チオ)シアネートと下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させて得られる化合物を含む、エポキシ樹脂硬化助剤。
式(2):
[式中、R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
(式中、R4~R30は同一又は異なって、水素原子、又は、下記式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。R4~R7、R8及びR9、R10~R15、R16~R19、R20~R23、R26及びR27、R28及びR29はそれぞれ互いに結合して環構造を形成していても良い。nは1~4の整数、mは1~4の整数である。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の硫黄原子に結合する結合手を示し、左側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(c1):
式(c1):
(式中、R31はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)]
[項8]
前記イソ(チオ)シアネートが分子内にイソ(チオ)シアネート基を2~8個有する化合物である、項7に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
前記イソ(チオ)シアネートが分子内にイソ(チオ)シアネート基を2~8個有する化合物である、項7に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
[項9]
前記イソ(チオ)シアネートが以下の(i)~(v)のいずれかである、項7又は8に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
(i)脂肪族ポリイソシアネート;
(ii)脂環式ポリイソシアネート;
(iii)芳香族ポリイソシアネート;
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート;
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
前記イソ(チオ)シアネートが以下の(i)~(v)のいずれかである、項7又は8に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
(i)脂肪族ポリイソシアネート;
(ii)脂環式ポリイソシアネート;
(iii)芳香族ポリイソシアネート;
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート;
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
[項10]
項1~9のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂組成物。
項1~9のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂組成物。
[項11]
項1~9のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化助剤、ポリエポキシ化合物、及びアミン化合物を含み、
前記アミン化合物が1級アミン化合物及び/又は2級アミン化合物である、エポキシ樹脂組成物。
項1~9のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化助剤、ポリエポキシ化合物、及びアミン化合物を含み、
前記アミン化合物が1級アミン化合物及び/又は2級アミン化合物である、エポキシ樹脂組成物。
[項12]
前記アミン化合物が1級アミン化合物である、項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
前記アミン化合物が1級アミン化合物である、項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
[項13]
項10に記載の組成物とアミン化合物を混合し、硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
項10に記載の組成物とアミン化合物を混合し、硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[項14]
前記アミン化合物が1級アミン化合物である、項13に記載の製造方法。
前記アミン化合物が1級アミン化合物である、項13に記載の製造方法。
[項15]
項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[項16]
エポキシ樹脂硬化物を製造する方法であって、
(1)項1~9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物を反応させる工程、
(2)工程(1)で得られた反応物とポリエポキシ化合物を反応させる工程、
を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
エポキシ樹脂硬化物を製造する方法であって、
(1)項1~9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物を反応させる工程、
(2)工程(1)で得られた反応物とポリエポキシ化合物を反応させる工程、
を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[項17]
項10に記載のエポキシ樹脂組成物とアミン化合物との混合物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
項10に記載のエポキシ樹脂組成物とアミン化合物との混合物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
[項18]
前記アミン化合物が1級アミン化合物である、項17に記載のエポキシ樹脂硬化物。
前記アミン化合物が1級アミン化合物である、項17に記載のエポキシ樹脂硬化物。
[項19]
項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
[項20]
下記式(3)で表される環状チオウレタン化合物。
式(3):
下記式(3)で表される環状チオウレタン化合物。
式(3):
[式中、A1は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。
R3は水素原子又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。
xは1以上の整数を示す。但し、Aの炭化水素基がイソシアネート基を有さない場合、xは2以上の整数である。
R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
R3は水素原子又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。
xは1以上の整数を示す。但し、Aの炭化水素基がイソシアネート基を有さない場合、xは2以上の整数である。
R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
(式中、R4~R30は同一又は異なって、水素原子、又は、下記式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。R4~R7、R8及びR9、R10~R15、R16~R19、R20~R23、R26及びR27、R28及びR29はそれぞれ互いに結合して環構造を形成していても良い。nは1~4の整数、mは1~4の整数である。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の硫黄原子に結合する結合手を示し、左側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(c1):
式(c1):
(式中、R31はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)]
[項21]
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
置換基が、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基からなる群より選択される1以上の置換基である項20に記載の環状チオウレタン化合物。
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
置換基が、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基からなる群より選択される1以上の置換基である項20に記載の環状チオウレタン化合物。
[項22]
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
下記式(d1)~(d5)からなる群より選択されるいずれかで表される含窒素構造を有する炭化水素基である、項20に記載の環状チオウレタン化合物。
式(d1):
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
下記式(d1)~(d5)からなる群より選択されるいずれかで表される含窒素構造を有する炭化水素基である、項20に記載の環状チオウレタン化合物。
式(d1):
(式中、R35はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d2):
式(d2):
(式中、R36はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d3):
式(d3):
(式中、R37はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d4):
式(d4):
(式中、R38はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、R39はヘテロ原子で置換されていてもよい1価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。) 式(d5):
(式中、R40はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
[項23]
ポリイソシアネートと、下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させて得られる化合物。
式(2):
ポリイソシアネートと、下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させて得られる化合物。
式(2):
[式中、R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
(式中、R4~R30は同一又は異なって、水素原子、又は、下記式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。R4~R7、R8及びR9、R10~R15、R16~R19、R20~R23、R26及びR27、R28及びR29はそれぞれ互いに結合して環構造を形成していても良い。nは1~4の整数、mは1~4の整数である。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の硫黄原子に結合する結合手を示し、左側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(c1):
式(c1):
(式中、R31はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)]
[項24]
前記ポリイソシアネートが、分子内にイソシアネート基を2~8個有する化合物である、項23に記載の化合物。
前記ポリイソシアネートが、分子内にイソシアネート基を2~8個有する化合物である、項23に記載の化合物。
[項25]
前記ポリイソシアネートが以下の(i)~(v)のいずれかである、項23又は24に記載の化合物。
(i)脂肪族ポリイソシアネート;
(ii)脂環式ポリイソシアネート;
(iii)芳香族ポリイソシアネート;
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート;
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
前記ポリイソシアネートが以下の(i)~(v)のいずれかである、項23又は24に記載の化合物。
(i)脂肪族ポリイソシアネート;
(ii)脂環式ポリイソシアネート;
(iii)芳香族ポリイソシアネート;
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート;
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
本発明によれば、エポキシ樹脂の硬化時間を短縮できる。
<エポキシ樹脂硬化助剤>
本発明のエポキシ樹脂硬化助剤は、下記式(1)で表されるチオウレタン化合物を含む。
式(1):
本発明のエポキシ樹脂硬化助剤は、下記式(1)で表されるチオウレタン化合物を含む。
式(1):
[式中、Aは水素原子、又は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。
R1は単結合、下記式(a1)で表される(チオ)アミド結合又は下記式(a2)で表されるエステル結合を示す。
式(a1):
式(a1):
(式中、Eは酸素原子又は硫黄原子を示す。R3は水素原子、又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(a2):
式(a2):
(式中、*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
xは1以上の整数である。但し、Aが水素原子の場合、R1が式(a1)で表されるチオアミド結合であり且つEが硫黄原子である場合、又はR1が式(a2)で表されるエステル結合である場合、xは1である。
xは1以上の整数である。但し、Aが水素原子の場合、R1が式(a1)で表されるチオアミド結合であり且つEが硫黄原子である場合、又はR1が式(a2)で表されるエステル結合である場合、xは1である。
R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
(式中、R4~R30は同一又は異なって、水素原子、又は、下記式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。R4~R7、R8及びR9、R10~R15、R16~R19、R20~R23、R26及びR27、R28及びR29はそれぞれ互いに結合して環構造を形成していても良い。nは1~4の整数、mは1~4の整数である。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の硫黄原子に結合する結合手を示し、左側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(c1):
式(c1):
(式中、R31はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)]
式(1)中、Aは水素原子、又は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。
式(1)中、Aは水素原子、又は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。
置換若しくは無置換の炭化水素基としては、好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~230の炭化水素基、より好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~150の炭化水素基、さらに好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~50の炭化水素基、特に好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~30の炭化水素基である。
別の様態としては、置換若しくは無置換の炭化水素基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は芳香脂肪族炭化水素基が挙げられ、好ましくは水素原子、炭素数が1~150の置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、炭素数が3~150の置換若しくは無置換の脂環式炭化水素基、炭素数6~150の置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は炭素数7~150の置換若しくは無置換の芳香脂肪族炭化水素基である。
さらに別の様態として好ましくは水素原子、炭素数が1~50の置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、炭素数が3~50の置換若しくは無置換の脂環式炭化水素基、炭素数6~50の置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は炭素数7~50の置換若しくは無置換の芳香脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数が1~30の置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、炭素数が3~30の置換若しくは無置換の脂環式炭化水素基、炭素数6~30の置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は炭素数7~30の置換若しくは無置換の芳香脂肪族炭化水素基である。
本明細書において、「置換若しくは無置換の炭化水素基」は、(i)置換基を有していても良い炭化水素基と、(ii)ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、(iii)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換された炭化水素基を含む。
また、「置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基」は(iv)置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基と、(v)ヘテロ原子で置換されていても良い脂肪族炭化水素基、(vi)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換された脂肪族炭化水素基を含む。
また、「置換若しくは無置換の脂環式炭化水素基」は、(vii)置換基を有していても良い脂環式炭化水素基と、(viii)ヘテロ原子で置換されていても良い脂環式炭化水素基、(ix)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換された脂環式炭化水素基を含む。
また、「置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基」は(x)置換基を有していても良い芳香族炭化水素基と、(xi)ヘテロ原子で置換されていても良い芳香族炭化水素基、(xii)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基を含む。
また、「置換若しくは無置換の芳香脂肪族炭化水素基」は(xiii)置換基を有していても良い芳香族脂肪炭化水素基と、(xiv)ヘテロ原子で置換されていても良い芳香脂肪族炭化水素基、(xv)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換された芳香脂肪族炭化水素基を含む。
「無置換の炭化水素基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、アリル基等が挙げられる。
「無置換の脂肪族炭化水素基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、アリル基等が挙げられる。
「無置換の脂環式炭化水素基」としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
「無置換の芳香族炭化水素基」としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
「無置換の芳香脂肪族炭化水素基」としては、ベンジル基、フェネチル基、キシリレン基等が挙げられる。
Aにおいて、無置換の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、アリル基等が挙げられる。
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、下記式(c2)で表される基、下記式(c3)で表される基等が挙げられる。この中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、イソシアネート基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、下記式(c2)で表される基、又は下記式(c3)で表される基が好ましく、アルコキシ基、イソシアネート基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、又は(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、がより好ましく、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、又は(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、がさらに好ましい。これらの基は、エポキシ基との反応性が低く、エポキシ樹脂の硬化を阻害しないと考えられるため、好ましい。エポキシ樹脂組成物とするときの保存安定性の観点からは、特に好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、イソシアネート基、下記式(c2)で表される基、又は下記式(c3)で表される基である。
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
式(c2):
式(c2):
(式中、R32はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)
式(c3):
式(c3):
(式中、R33、R34は同一又は異なって、ヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)
上記Aの置換基として挙げられているジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、1-エチルペンチル、ヘプチル、オクチル、2-エチルへキシル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~12のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1又は2である。
また、Aにおいて、炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていても良い。ヘテロ原子の数は、好ましくは1~10個、より好ましくは1~6個、とすることができる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO2-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
式(c2)中、R32、及び式(c3)中、R33、R34は同一又は異なって、ヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基、より好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基、特に好ましくは、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~6の炭化水素基である。
ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、トリル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、tert-ブチル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2-メトキシエチル基であり、特に好ましくはメチル基、tert-ブチル基、フェニル基、トリル基が挙げられる。
式(c2)中、R32、及び式(c3)中、R33、R34において、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子の数は、好ましくは1~10個、より好ましくは1~6個、とすることができる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO2-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
式(c2)で表される基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-トリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
式(c3)で表される基としては、モノメチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、モノエチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ベンジルアミノカルボニル基等が挙げられる。
また別の様態において、式(1)中、Aはイソシアネートから一部又は全部のイソシアネート基を除いた基であり、好ましくは以下の(i)~(v)のイソシアネートから一部又はすべてのイソシアネート基を除く炭化水素基である。なお、本明細書において、『イソシアネート』とは、イソシアネート基を有する化合物であり、モノイソシアネート及びポリイソシアネートを含む。
(i)脂肪族イソシアネート、
(ii)脂環式イソシアネート、
(iii)芳香族イソシアネート、
(iv)芳香脂肪族イソシアネート、
(v)脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネート及び芳香脂肪族イソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
(i)脂肪族イソシアネート、
(ii)脂環式イソシアネート、
(iii)芳香族イソシアネート、
(iv)芳香脂肪族イソシアネート、
(v)脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネート及び芳香脂肪族イソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
(i)~(v)のイソシアネートにおいて、置換基を有していても良い。置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、式(c2)で表される基、式(c3)で表される基等が挙げられる。
Aは、(i)脂肪族イソシアネート、(iv)芳香脂肪族イソシアネート、(v)脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネート及び芳香脂肪族イソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート、の一部又は全部のイソシアネート基を除く炭化水素基であると、エポキシ樹脂組成物、およびエポキシ樹脂硬化物とする際にポリエポキシ化合物との相溶性が良いため、取扱性の観点から好ましい。
脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキシルイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3-イソシアナトメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族イソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、2-メトキシカルボニルフェニルイソシアネート、4-クロロフェニルイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ベンジルイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソシアン酸3-イソプロペニルクミル等が挙げられる。
変性イソシアネートとしては、例えば、上記イソシアネートと活性水素基を有する化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物やイソシアネート化合物又は/及び該イソシアネート基末端化合物の反応物(例えば、イソシアヌレート化反応によるイソシアネート変性体(イソシアヌレート結合を有する変性イソシアネート)、ビウレット化反応によるイソシアネート変性体(ビウレット結合を有する変性イソシアネート)、ウレトジオン化反応によるイソシアネート変性体(ウレトジオン結合を有する変性イソシアネート)、アロファネート化反応によるイソシアネート変性体(アロファネート結合を有する変性イソシアネート)、アダクト型変性イソシアネート等)が挙げられ、イソシアヌレート結合を有する変性イソシアネート、ビウレット結合を有する変性イソシアネート、アダクト型変性イソシアネートが好ましい。
変性イソシアネートに包含されるイソシアヌレート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、触媒等により環状3量化反応を行い、転化率が約5~約80質量%になったときに反応を停止し、未反応ポリイソシアネートを除去精製して得られる。この際に、1~6価のアルコール化合物を併用することができる。
上記イソシアヌレート化反応の触媒としては、一般に塩基性を有するものが好ましい。上記触媒の例としては、
(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(3)アルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルキル金属塩、
(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、
(5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、
(6)マンニッヒ塩基類、
(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、
(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物
等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(3)アルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルキル金属塩、
(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、
(5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、
(6)マンニッヒ塩基類、
(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、
(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物
等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
イソシアヌレート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、下記に示すHDIのイソシアヌレート変性体、IPDIのイソシアヌレート変性体、TDIのイソシアヌレート変性体が挙げられ、市販されている製品としては、住化コベストロウレタン株式会社製のスミジュールN3300、デスモジュール3900、デスモジュールZ4470BA、デスモジュールXP2763、デスモジュールIL1351BAデスモジュールHLBAや旭化成株式会社性のデュラネートTPA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートTUL-100、デュラネートTSA-100等が挙げられる。
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるビウレット結合を有する変性イソシアネートは、水、tert-ブタノール、尿素等のいわゆるビウレット化剤とイソシアネートとを、ビウレット化剤/イソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/2~約1/100で反応させた後、未反応イソシアネート化合物を除去精製し得られる。
ビウレット結合を有する変性イソシアネートは、例えば、下記に示す1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビウレット変性体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のビウレット変性体、トルエンジイソシアネート(TDI)のビウレット変性体が挙げられ、市販されている製品としては、住化コベストロウレタン株式会社製のデスモジュールN75、デスモジュールN100、デスモジュールN3200や旭化成株式会社製のデュラネート24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E等が挙げられる。
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるアダクト型変性イソシアネートは、2~6価のアルコール系化合物とジイソシアネートとを、アルコール系化合物の水酸基/ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/2~約1/100で反応させた後、未反応ポリイソシアネートを除去精製し得られる。未反応トリイソシアネートの除去精製は必ずしも必要ではない。
2~6価のアルコール系化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコールの反応物、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリエステルポリオール、ビスフェノールAポリオール、アクリルポリオール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリンが挙げられる。なお、2~6価のアルコール系化合物としては分子量(重量平均分子量)が90~2000の範囲にあるものが好ましい。
アダクト型変性イソシアネートは、例えば、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートとの反応物が挙げられ、具体的には、下記に示すHDIとジオール型ポリプロピレングリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリプロピレングリコールの反応物、TDIとジオール型ポリプロピレングリコールの反応物や、HDIとジオール型ポリエチレングリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリエチレングリコールの反応物、TDIとジオール型ポリエチレングリコールの反応物、HDIとジオール型ポリトリメチレンエーテルグリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリトリメチレンエーテルグリコールの反応物、TDIとジオール型ポリトリメチレンエーテルグリコールの反応物、HDIとジオール型ポリテトラメチレンエーテルグリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリテトラメチレンエーテルグリコールの反応物、TDIとジオール型ポリテトラメチレンエーテルグリコールの反応物が挙げられる。また、そのほかにも、例えば、HDIとTMPの反応物、IPDIとTMPの反応物、TDIとTMPの反応物が挙げられる。市販されている製品としては、住化コベストロウレタン株式会社製のデスモジュールN3800、デスモジュールXP2599、デスモジュールXP2890、デスモジュールE2863XP、デスモジュールXP2763、デスモジュールXP2617、デスモジュールXP2763、デスモジュールVP LS2371、デスモジュールXP2406、デスモジュールXP2838、デスモジュールE14、デスモジュールE15、デスモジュールE1660、スミジュールE21-1、スミジュールE21-2、デスモジュールE22、デスモジュールE23、デスモジュールE29、デスモジュールE20100、デスモジュールEXP2753、SBUイソシアネートH710、デスモジュールHLBA、スミジュール HT、デスモジュールL75(C)、デスモジュールUltra L 75、デスモジュールL 67 BA、デスモジュールL 67 MPA/Xや旭化成株式会社性のデュラネートTPA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートTUL-100、デュラネートTSA-100等が挙げられる。
(式中、Rはポリプロピレングリコール鎖、ポリエチレングリコール鎖、ポリトリメチレンエーテルグリコール鎖、又は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール鎖を示す。aは0又は1以上の整数である。*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるウレトジオン結合を有する変性イソシアネートは、例えば、触媒等により環状2量化反応を行い、転化率が約5~約80質量%になったときに反応を停止し、未反応ポリイソシアネートを除去精製して得られる。
ウレトジオン化反応触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリス-(ジメチルアミノ)-ホスフィン等のトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン、シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン等のシクロアルキルホスフィン等が挙げられる。
ウレトジオン結合を有する変性イソシアネートは、例えば、下記に示す1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン変性体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のウレトジオン変性体、トルエンジイソシアネート(TDI)のウレトジオン変性体が挙げられ、市販されている製品としては、Desmodur N3400、Thanecure T9、クレランEF403等が挙げられる。
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるアロファネート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、アルコール系化合物とジイソシアネートとを、アルコール系化合物の水酸基/ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/5~約1/100で反応させた後、アロファネート化反応触媒を配合し、アロファネート化反応を進行させ、未反応ポリイソシアネートを除去精製して得られる。
アロファネート化反応触媒としては、特に限定されないが、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム又は水酸化アリールアルキルアンモニウム、塩化鉄(III)又はオクタン酸カリウムのような金属塩、ステアリン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛又はアセチルアセトン酸亜鉛のような亜鉛化合物、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、酸化ジブチルスズ、二塩化ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ又は二酢酸ジオクチルスズのようなスズ化合物等が挙げられる。
アロファネート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、下記に示す1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のアロファネート変性体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のアロファネート変性体、トルエンジイソシアネート(TDI)のアロファネート変性体が挙げられ、市販されている製品としては、デスモジュールXP2860、デスモジュールXP2565等が挙げられる。
(式中、Rはヘテロ原子で置換されていても良い1価の炭化水素基を示す。*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
イソシアネートや変性イソシアネートのイソシアネート基の一部が公知のブロック剤で封止されているイソシアネートの公知のブロック剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、t-ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール等のアルコール類、3,5-ジメチルピラゾール、1,2-ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられ、その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられる。
1つの態様において、Aが変性イソシアネートのイソシアネート基を除く炭化水素基である場合、Aは好ましくは、下記式(d1)~(d5)で表される含窒素構造を有する炭化水素基である。
式(d1):
式(d1):
(式中、R35はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d2):
式(d2):
(式中、R36はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d3):
式(d3):
(式中、R37はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d4):
式(d4):
(式中、R38はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、R39はヘテロ原子で置換されていてもよい1価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。) 式(d5):
(式中、R40はヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基、*はR1に結合する結合手を示す。)
式(d1)~(d5)中、R35、R36、R37、R38、R40は、ヘテロ原子で置換されていてもよい2価の炭化水素基を示す。好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の2価の炭化水素基、より好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の2価の炭化水素基である。下記のいずれかの2価の炭化水素基であることが特に好ましい。
(式中、*は結合手を示す。2か所の*は、いずれが式(d1)~(d5)中の窒素原子に結合していても良い。)
式(d1)~(d5)中、R35、R36、R37、R38、R40において、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO2-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
式(d4)中のR39はヘテロ原子で置換されていてもよい1価の炭化水素基を示し、好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の1価の炭化水素基、より好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の1価の炭化水素基である。
ヘテロ原子で置換されていても良い1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ネオペンチル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、ネオペンチル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、フェニル基が挙げられる。
式(d4)中のR39において、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO2-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
式(1)中、R1は単結合、下記式(a1)で表される(チオ)アミド結合、又は下記式(a2)で表されるエステル結合を示す。
式(a1):
式(a1):
(式中、Eは酸素原子又は硫黄原子を示す。R3は水素原子、又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(a2):
式(a2):
(式中、*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(1)中、R1は好ましくは、単結合、又は式(a1)で表される(チオ)アミド結合である。より好ましくは、式(a1)で表される(チオ)アミド結合である。チオウレタン構造の窒素原子が電子吸引基を有している方が、エポキシ樹脂の硬化時間短縮の観点から好ましい。
式(a1)中、Eは酸素原子又は硫黄原子を示す。好ましくは、Eは酸素原子である。
式(a1)中、R3は水素原子、又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。好ましくは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基、より好ましくは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~8の炭化水素基である。
ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ネオペンチル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、ネオペンチル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、フェニル基が挙げられる。
R3において、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていても良い。ヘテロ原子の数は、好ましくは1~10個、より好ましくは1~6個、とすることができる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO2-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
式(1)中、xは1以上の整数である。Aが水素原子の場合、R1が式(a1)で表されるチオアミド結合であり且つEが硫黄原子である場合、又はR1が式(a2)で表されるエステル結合である場合、xは1である。xは好ましくは1~8の整数であり、より好ましくは1~6の整数であり、さらに好ましくは1~4の整数であり、特に好ましくは1又は2である。
式(1)中、R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
(式中、R4~R30は同一又は異なって、水素原子、又は、下記式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。R4~R7、R8及びR9、R10~R15、R16~R19、R20~R23、R26及びR27、R28及びR29はそれぞれ互いに結合して環構造を形成していても良い。nは1~4の整数、mは1~4の整数である。*は結合手を示し、右側の*はチオウレタン構造の硫黄原子に結合する結合手を示し、左側の*はチオウレタン構造の窒素原子に結合する結合手を示す。)
式(c1):
式(c1):
(式中、R31はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。*は結合手を示す。)
式(b1)~(b8)中、R4~R30は、水素原子、又は、式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。好ましくは、水素原子、又は式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、より好ましくは水素原子、又は、式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基、特に好ましくは水素原子、又は、式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~8の炭化水素基である。
式(b1)~(b8)中、R4~R30において、ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基であり、特に好ましくはメチル基、tert-ブチル基が挙げられる。
式(b1)~(b8)中、R4~R30において、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子の数は、好ましくは1~10個、より好ましくは1~6個、とすることができる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-NH-、-S-、-SO2-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
式(c1)中、R31はヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基を示す。好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基、より好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基、特に好ましくは、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~6の炭化水素基である。
ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基、等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、tert-ブチル基、ベンジル基であり、特に好ましくはメチル基、tert-ブチル基が挙げられる。
式(c1)中、R31において、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子の数は、好ましくは1~10個、より好ましくは1~6個、とすることができる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO2-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
式(c1)で表される基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクタデシルカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-トリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、2,6-ジイソプロピルフェニルオキシカルボニル基、2,4,6-トリメチルフェニルオキシカルボニル基、2-メトキシエチルオキシカルボニル基、2-エトキシエチルオキシカルボニル基、2-(ジメチルアミノ)エチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
別の態様として、式(b1)~(b8)中、R4~R7、R8及びR9、R10~R15、R16~R19、R20~R23、R26及びR27、R28及びR29はそれぞれ互いに結合して環構造を形成していても良い。環構造としては、5~10員環が好ましく、5~7員環がより好ましく、特に好ましくは5員環又は6員環である。
環構造を形成している場合、環構造としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、1,3-ジオキソラン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。当該環構造が、式(c1)で表される基若しくはヘテロ原子で置換されていてもよい。
式(b3)~(b5)中、nは1~4の整数であり、1又は2が好ましく、特に好ましくは1である。
式(b6)~(b8)中、mは1~4の整数であり、1又は2が好ましく、特に好ましくは1である。
好ましい1つの態様において、式(1)で表されるチオウレタン化合物は、下記式(3)で表される環状チオウレタン化合物である。
式(3):
式(3):
[式中、A1は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。
R2、R3は前記に定義されるとおりである。
xは1以上の整数を示す。但し、A1の炭化水素基がイソシアネート基を有さない場合、xは2以上の整数である。]
R2、R3は前記に定義されるとおりである。
xは1以上の整数を示す。但し、A1の炭化水素基がイソシアネート基を有さない場合、xは2以上の整数である。]
式(3)中、A1は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。A1における置換若しくは無置換の炭化水素基は前記式(1)中のAにおいて記載の置換若しくは無置換の炭化水素基が同様に用いられる。A1が置換基を有する炭化水素基である場合、置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
式(3)中、xは1以上の整数を示す。但し、A1の炭化水素基がイソシアネート基を有さない場合、xは2以上の整数である。xは好ましくは2~8の整数であり、より好ましくは2~6の整数であり、さらに好ましくは2~4の整数である。
式(1)のチオウレタン化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
表1
表1続き
表1続き
表1続き
表2
表2続き
表2続き
表2続き
化合物番号(1-2-10)~(1-2-12)、(1-2-22)~(1-2-24)、(1-2-34)~(1-2-36)、(1-2-46)~(1-2-48)、(1-2-58)~(1-2-60)、(1-2-70)~(1-2-72)、(1-2-82)~(1-2-84)、(1-2-94)~(1-2-96)中、Raにおける*は結合手を示す。
表3
表4
表4続き
表4続き
表4続き
表5
表5続き
表6
表6続き
表6続き
化合物番号(1-6-1)~(1-6-36)中、Raにおける*は結合手を示す。
表7
表7続き
表7続き
表7続き
化合物番号(1-7-1)~(1-7-39)中、Raにおける*は結合手を示す。化合物番号(1-7-1)~(1-7-39)中のRaにおける2か所の*は、それぞれ、Raに結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。
表8
表8続き
表8続き
化合物番号(1-8-1)~(1-8-36)中、PPGはポリプロピレングリコール、PEGはポリエチレングリコール、PTMEはポリテトラメチレンエーテルを示す。また、aは0又は1以上の整数である。Raにおける*は結合手を示す。化合物番号(1-8-1)~(1-8-36)中のRaにおける2か所の*は、それぞれ、Raに結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。
表9
化合物番号(1-9-1)~(1-9-9)中、Raにおける*は結合手を示す。化合物番号(1-9-1)~(1-9-9)中のRaにおける2か所の*は、それぞれ、Raに結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。
式(1)のチオウレタン化合物としては、式(1-1-1)、(1-3-1)、(1-4-1)、(1-5-1)、(1-6-1)、(1-6-3)、(1-6-4)、(1-7-1)、(1-7-9)、(1-8-3)、(1-9-1)で表される化合物が好ましい。より好ましくは式(1-1-1)、(1-3-1)、(1-4-1)、(1-5-1)、(1-6-1)、(1-6-3)、(1-6-4)(1-8-3)、(1-9-1)で表される化合物が好ましい。
式(1)で表されるチオウレタン化合物は、市販のものを使用しても良く、公知の方法により得られたものを使用しても良い。また、式(1)で表されるチオウレタン化合物は、下記の製造方法により製造したものを使用しても良い。
<チオウレタン化合物の製造方法>
本発明で使用できるチオウレタン化合物は、例えば、以下に示す方法により製造できる。
(方法A)イソ(チオ)シアネートと式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる方法。
(方法B)アミノ基と反応しウレタン結合を形成する化合物と式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる方法。
(方法C)アルキル化剤と式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる方法。
本発明で使用できるチオウレタン化合物は、例えば、以下に示す方法により製造できる。
(方法A)イソ(チオ)シアネートと式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる方法。
(方法B)アミノ基と反応しウレタン結合を形成する化合物と式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる方法。
(方法C)アルキル化剤と式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる方法。
なお、本明細書においてイソ(チオ)シアネートとは、分子内にイソシアネート基又は/及びイソチオシアネート基を1つ以上有する化合物である。
以下、(方法A)について説明する。
イソ(チオ)シアネートと式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させることで、本発明で使用できるチオウレタン化合物が得られる。
式(1)で表されるチオウレタン化合物のうち、R1が式(a1)で表される(チオ)アミド結合を有する化合物(上記式(3)で表されるチオウレタン化合物)について、以下の(工程A-1)を含む方法により製造することができる。また、(工程A-1)により得られる式(3a)の化合物は、必要に応じてさらに工程(A-2)の反応を行うことができる。
(工程A-1)下記式(4)で表されるイソ(チオ)シアネートと下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させ、式(3a)の化合物を得る工程。
(工程A-2)式(3a)の化合物のイソシアネート由来の窒素原子に置換基を導入する工程。
(工程A-1)下記式(4)で表されるイソ(チオ)シアネートと下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させ、式(3a)の化合物を得る工程。
(工程A-2)式(3a)の化合物のイソシアネート由来の窒素原子に置換基を導入する工程。
(工程A-1)について説明する。
(工程A-1):
(工程A-1):
[式中、A1は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。Eは酸素原子又は硫黄原子を示す。xは1以上の整数である。但し、Eが硫黄原子である場合、xは1である。R2は前記に定義されるとおりである。]
式(4)中、A1は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。A1における置換若しくは無置換の炭化水素基は前記式(1)中のAにおいて記載の置換若しくは無置換の炭化水素基が同様に用いられる。
式(4)中、Eは酸素原子又は硫黄原子を示す。好ましくは、Eは酸素原子である。
式(4)中、xは1以上の整数を示す。但し、Eが硫黄原子である場合、xは1である。xは好ましくは2~8の整数であり、より好ましくは2~6の整数であり、さらに好ましくは2~4の整数である。
式(4)で表されるイソシアネート(式(4)中、Eが酸素原子である化合物)としては、以下の(i)~(v)のイソシアネートが挙げられる。なお、本明細書において、イソシアネートとは、モノイソシアネート及びポリイソシアネートを含む。
(i)脂肪族イソシアネート、
(ii)脂環式イソシアネート、
(iii)芳香族イソシアネート、
(iv)芳香脂肪族イソシアネート、
(v)脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネート及び芳香脂肪族イソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
(i)脂肪族イソシアネート、
(ii)脂環式イソシアネート、
(iii)芳香族イソシアネート、
(iv)芳香脂肪族イソシアネート、
(v)脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネート及び芳香脂肪族イソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
なお、(i)~(v)のイソシアネートにおいて、置換基を有していても良い。置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、イソシアネート基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、又は、ジアルキルアミノカルボニル基等が挙げられる。
イソシアネートは、モノイソシアネートであっても良く、ポリイソシアネートであっても良いが、ポリイソシアネートが好ましい。また、イソシアネートは、分子内にイソシアネート基を1~8個有することが好ましく、2~8個有することがより好ましく、2~6個有することが特に好ましい。
イソシアネートとしては、
(i)脂肪族ポリイソシアネート、
(ii)脂環式ポリイソシアネート、
(iii)芳香族ポリイソシアネート、
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート、
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性ポリイソシアネート、
のいずれかが好ましく、
(i)脂肪族ポリイソシアネート、
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート、
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族イソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性ポリイソシアネート、
のいずれかがより好ましい。
(i)脂肪族ポリイソシアネート、
(ii)脂環式ポリイソシアネート、
(iii)芳香族ポリイソシアネート、
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート、
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性ポリイソシアネート、
のいずれかが好ましく、
(i)脂肪族ポリイソシアネート、
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート、
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族イソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性ポリイソシアネート、
のいずれかがより好ましい。
脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキシルイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3-イソシアナトメチル3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族イソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、2-メトキシカルボニルフェニルイソシアネート、4-クロロフェニルイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族イソシアネートとしては、例えば、メチルイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性イソシアネートとしては、例えば、上記イソシアネートと活性水素基を有する化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物やイソシアネート又は/及び該イソシアネート基末端化合物の反応物(例えば、イソシアヌレート化反応によるイソシアネート変性体(イソシアヌレート結合を有する変性イソシアネート)、ビウレット化反応によるイソシアネート変性体(ビウレット結合を有する変性イソシアネート)、ウレトジオン化反応によるイソシアネート変性体(ウレトジオン結合を有する変性イソシアネート)、アロファネート化反応によるイソシアネート変性体(アロファネート結合を有する変性イソシアネート)、アダクト型変性イソシアネート等)が挙げられ、イソシアヌレート結合を有する変性イソシアネート、ビウレット結合を有する変性イソシアネート、アダクト型変性イソシアネートが好ましい。
変性イソシアネートに包含されるイソシアヌレート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、触媒等により環状3量化反応を行い、転化率が約5~約80質量%になったときに反応を停止し、未反応ポリイソシアネートを除去精製して得られる。この際に、1~6価のアルコール化合物を併用することができる。
上記イソシアヌレート化反応の触媒としては、一般に塩基性を有するものが好ましい。上記触媒の例としては、
(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(3)アルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルキル金属塩、
(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、
(5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、
(6)マンニッヒ塩基類、
(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、
(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物
等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(3)アルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルキル金属塩、
(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、
(5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、
(6)マンニッヒ塩基類、
(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、
(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物
等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
イソシアヌレート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、下記に示すHDIのイソシアヌレート変性体、IPDIのイソシアヌレート変性体、TDIのイソシアヌレート変性体が挙げられ、市販されている製品としては、住化コベストロウレタン株式会社製のスミジュールN3300、デスモジュール3900、デスモジュールZ4470BA、デスモジュールXP2763、デスモジュールIL1351BAデスモジュールHLBAや旭化成株式会社性のデュラネートTPA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートTUL-100、デュラネートTSA-100等が挙げられる。
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるビウレット結合を有する変性イソシアネートは、水、tert-ブタノール、尿素等のいわゆるビウレット化剤とイソシアネートとを、ビウレット化剤/イソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/2~約1/100で反応させた後、未反応イソシアネートを除去精製し得られる。
ビウレット結合を有する変性イソシアネート化合物は、例えば、下記に示す1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビウレット変性体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のビウレット変性体、トルエンジイソシアネート(TDI)のビウレット変性体が挙げられ、市販されている製品としては、住化コベストロウレタン株式会社製のデスモジュールN75、デスモジュールN100、デスモジュールN3200や旭化成株式会社製のデュラネート24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E等が挙げられる。
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるアダクト型変性イソシアネートは、2~6価のアルコール系化合物とジイソシアネートとを、アルコール系化合物の水酸基/ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/2~約1/100で反応させた後、未反応ポリイソシアネートを除去精製し得られる。未反応トリイソシアネートの除去精製は必ずしも必要ではない。
2~6価のアルコール系化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコールの反応物、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリエステルポリオール、ビスフェノールAポリオール、アクリルポリオール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリンが挙げられる。なお、2~6価のアルコール系化合物としては分子量(重量平均分子量)が90~2000の範囲にあるものが好ましい。
アダクト型変性イソシアネートは、例えば、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートとの反応物が挙げられ、具体的には、下記に示すHDIとジオール型ポリプロピレングリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリプロピレングリコールの反応物、TDIとジオール型ポリプロピレングリコールの反応物や、HDIとジオール型ポリエチレングリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリエチレングリコールの反応物、TDIとジオール型ポリエチレングリコールの反応物、HDIとジオール型ポリトリメチレンエーテルグリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリトリメチレンエーテルグリコールの反応物、TDIとジオール型ポリトリメチレンエーテルグリコールの反応物、HDIとジオール型ポリテトラメチレンエーテルグリコールの反応物、IPDIとジオール型ポリテトラメチレンエーテルグリコールの反応物、TDIとジオール型ポリテトラメチレンエーテルグリコールの反応物が挙げられる。また、そのほかにも、例えば、HDIとTMPの反応物、IPDIとTMPの反応物、TDIとTMPの反応物が挙げられる。市販されている製品としては、住化コベストロウレタン株式会社製のデスモジュールN3800、デスモジュールXP2599、デスモジュールXP2890、デスモジュールE2863XP、デスモジュールXP2763、デスモジュールXP2617、デスモジュールXP2763、デスモジュールVP LS2371、デスモジュールXP2406、デスモジュールXP2838、デスモジュールE14、デスモジュールE15、デスモジュールE1660、スミジュールE21-1、スミジュールE21-2、デスモジュールE22、デスモジュールE23、デスモジュールE29、デスモジュールE20100、デスモジュールEXP2753、SBUイソシアネートH710、デスモジュールHLBA、スミジュール HT、デスモジュールL75(C)、デスモジュールUltra L 75、デスモジュールL 67 BA、デスモジュールL 67 MPA/Xや旭化成株式会社性のデュラネートTPA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートTUL-100、デュラネートTSA-100等が挙げられる。
(式中、Rはポリプロピレングリコール鎖、ポリエチレングリコール鎖、ポリトリメチレンエーテルグリコール鎖、又は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール鎖を示す。aは0又は1以上の整数である。*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるウレトジオン結合を有する変性イソシアネートは、例えば、触媒等により環状2量化反応を行い、転化率が約5~約80質量%になったときに反応を停止し、未反応ポリイソシアネートを除去精製して得られる。
ウレトジオン化反応触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリス-(ジメチルアミノ)-ホスフィン等のトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン、シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン等のシクロアルキルホスフィン等が挙げられる。
ウレトジオン結合を有する変性イソシアネートは、例えば、下記に示す1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン変性体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のウレトジオン変性体、トルエンジイソシアネート(TDI)のウレトジオン変性体が挙げられ、市販されている製品としては、ウレトジオン変性体が挙げられ、市販されている製品としては、Desmodur N3400、Thanecure(登録商標)T9、クレランEF403等が挙げられる。
(式中、*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
変性イソシアネートに包含されるアロファネート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、アルコール系化合物とジイソシアネートとを、アルコール系化合物の水酸基/ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/5~約1/100で反応させた後、アロファネート化反応触媒を配合し、アロファネート化反応を進行させ、未反応ポリイソシアネートを除去精製して得られる。
アロファネート化反応触媒としては、特に限定されないが、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム又は水酸化アリールアルキルアンモニウム、塩化鉄(III)又はオクタン酸カリウムのような金属塩、ステアリン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛又はアセチルアセトン酸亜鉛のような亜鉛化合物、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、酸化ジブチルスズ、二塩化ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ又は二酢酸ジオクチルスズのようなスズ化合物等が挙げられる。
アロファネート結合を有する変性イソシアネートは、例えば、下記に示す1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のアロファネート変性体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のアロファネート変性体、トルエンジイソシアネート(TDI)のアロファネート変性体が挙げられ、市販されている製品としては、デスモジュールXP2860、デスモジュールXP2565等が挙げられる。
(式中、Rはヘテロ原子で置換されていても良い1価の炭化水素基を示す。*は結合手を示す。R’における2か所の*は、それぞれ、R’に結合する窒素原子のうちいずれに結合していても良い。)
イソシアネートや変性イソシアネートのイソシアネート基の一部が公知のブロック剤で封止されているイソシアネートの公知のブロック剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、t-ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルアルコール等のアルコール類、3,5-ジメチルピラゾール、1,2-ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられ、その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられる。
式(4)で表されるイソチオシアネート(式(4)においてEが硫黄原子である化合物)としては、エチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、シクロプロピルイソチオシアネート、イソプロピルイソチオシアネート、プロピルイソチオシアネート、イソブチルイソチオシアネート、n-ブチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、トリルイソチオシアネート、2-クロロフェニルイソチオシアネート、1,4-ジイソチオシアナトベンゼン、4-ブロモフェニルイソチオシアネート等が挙げられる。
イソチオシアネートは、モノイソチオシアネートであっても良く、ポリイソチオシアネートであっても良い。また、イソチオシアネートは、分子内にイソチオシアネート基を1~8個有することが好ましく、2~8個有することがより好ましく、2~6個有することが特に好ましい。
(工程A-1)において使用される式(4)で表されるイソ(チオ)シアネートと式(2)で表されるチオウレタン化合物の使用量は、式(2)で表されるチオウレタン化合物に対する、式(4)で表されるイソ(チオ)シアネートのイソ(チオ)シアネート基のモル比が1/5~5/1であることが好ましく、1/3~2/1であることがより好ましい。
反応温度は、通常、0℃から100℃又は溶媒の沸騰する温度である。好ましくは10℃から80℃、より好ましくは20℃から50℃である。
反応時間は通常、1~48時間であり、好ましくは1~20時間である。
反応溶媒としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては式(2)で表されるチオウレタン化合物1質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは0.1~50質量部である。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
必要に応じて、ウレタン化触媒を用いても良い。ウレタン化触媒としては、公知のものを用いることができ、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ-2-エチルヘキサネート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオキサイド、ジオクチル錫ジオキサイド、錫アセチルアセトナート、酢酸錫、オクチル酸錫、ラウリン酸錫等の錫化合物や、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ビスマスアセチルアセトナート等のビスマス化合物、チタン酸テトラ-n-ブチル、チタン酸テトライソプロピル、テレフタル酸チタン等のチタン化合物、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-メチルN’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エ-テル、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の3級アミン化合物、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム-2-エチルヘキサン酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム-2-エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類等の4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。ウレタン化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ウレタン化触媒の配合量は、式(2)で表されるチオウレタン化合物1モルに対して、0.01~0.50モルが好ましく、0.05~0.20モルがより好ましい。
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
反応終了後は、有機溶媒を用いた洗浄による不純物(例えば、未反応の原料)の除去や反応液の濃縮等により、式(3a)の化合物を得ることができ、必要に応じ、再結晶等の精製をしても良い。また、精製せずに工程(A-2)の原料とすることもできる。また、反応終了後、精製せずにそのままエポキシ樹脂硬化助剤として用いることもできる。
(工程A-2)について説明する。
(工程A-2):
(式中、A1、E、x、R2は前記に定義されるとおりである。R3はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。Xは脱離基を示す。)
(工程A-2)は、式(3a)の化合物の窒素原子をヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基で置換する工程である。
式(3b)、式(5)中、R3はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R3におけるヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基は前記式(a1)中のR3において記載のヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基が同様に用いられる。
式(5)中、Xは脱離基を示す。脱離基とは、反応に伴って脱離する基であり、特に限定するものではないが、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、メチルスルホニルオキシ基(-OSO2CH3)、p-トルエンスルホニルオキシ基(-OSO2C6H5CH3)、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基(-OSO2CF3)等が挙げられる。
式(5)で表される化合物の具体例としては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ベンジル、ベンジルp-トルエンスルホナート、メチルp-トルエンスルホナート、トリフルオロスルホン酸メチル等が挙げられる。
反応は、塩基存在下で行う。塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等の有機塩基、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシ度、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機リチウム等が挙げられる。
反応温度は、通常、0℃から100℃又は溶媒の沸騰する温度である。好ましくは10℃から100℃、より好ましくは20℃から80℃である。
反応時間は通常、1~48時間であり、好ましくは1~20時間である。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては式(3a)で表される化合物1質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは0.1~50質量部である。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
反応終了後は、有機溶媒を用いた洗浄による不純物(例えば、未反応の原料)の除去や反応液の濃縮等により、式(3b)の化合物を得ることができ、必要に応じ、再結晶等の精製をしても良い。また、反応終了後、精製せずにそのままエポキシ樹脂硬化助剤として用いることもできる。
以下、方法(B)について説明する。
式(1)で表されるチオウレタン化合物のうち、R1が式(a2)で表されるエステル結合を有する化合物について、以下の(工程B)を含む方法により製造することができる。
(工程B)下記式(6)で表されるアミノ基と反応しウレタン結合を形成する化合物と、式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる工程。
(工程B)下記式(6)で表されるアミノ基と反応しウレタン結合を形成する化合物と、式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる工程。
(工程B)について説明する。
(工程B):
(式中、A2は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。Yは脱離基を示す。R2は前記に定義されるとおりである。)
式(6)中、A2は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。A2における置換若しくは無置換の炭化水素基は前記式(1)中のAにおいて記載の置換若しくは無置換の炭化水素基が同様に用いられる。
式(6)中、Yは脱離基を示す。脱離基とは、反応に伴って脱離する基であり、特に限定するものではないが、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、メチルオキシ基、エチルオキシ基、アリルオキシ基、イソプロピルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、2-クロロエトキシ基、シクロプロピルオキシ基、ピリジルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、ニトロフェノキシ基、アリルオキシカルボニルオキシ基、tert-アミルオキシカルボニルオキシ基、tert-ブチルオキシカルボニルオキシ基、フェニルオキシ基、トリフルオロメチルエトキシ基等が挙げられる。
式(6)で表される化合物の具体例としては、二炭酸ジ-tert-ブチル、ベンジルオキシカルボニルクロリド、炭酸ジメチル、炭酸ジベンジル、炭酸ジフェニル、炭酸ジエチル、炭酸ジアリル、炭酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル) 、二炭酸ジ-tert-アミル、二炭酸ジアリル等が挙げられる。
反応は、塩基存在下で行う。塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシ度、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機リチウム等が挙げられる。
反応温度は、通常、0℃から100℃又は溶媒の沸騰する温度である。好ましくは10℃から800℃、より好ましくは20℃から50℃である。
反応時間は通常、1~48時間であり、好ましくは1~20時間である。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては式(2)で表される化合物1質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは0.1~50質量部である。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
反応終了後は、有機溶媒を用いた洗浄による不純物(例えば、未反応の原料)の除去や反応液の濃縮等により、式(7)の化合物を得ることができ、必要に応じ、再結晶等の精製をしても良い。また、反応終了後、精製せずにそのままエポキシ樹脂硬化助剤として用いることもできる。
以下、(方法C)について説明する。
式(1)で表されるチオウレタン化合物のうち、R1が単結合かつAが置換若しくは無置換の炭化水素基である化合物について、以下の(工程C)を含む方法により製造することができる。
(工程C)下記式(8)で表される化合物と式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる工程。
(工程C)下記式(8)で表される化合物と式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させる工程。
(式中、A3は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。Zは脱離基を示す。R2は前記に定義されるとおりである。)
式(8)中、A3は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。A3における置換若しくは無置換の炭化水素基は前記式(1)中のAにおいて記載の置換若しくは無置換の炭化水素基が同様に用いられる。
式(8)中、Zは脱離基を示す。脱離基とは、反応に伴って脱離する基であり、特に限定するものではないが、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、メチルスルホニルオキシ基(-OSO2CH3)、p-トルエンスルホニルオキシ基(-OSO2C6H5CH3)、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基(-OSO2CF3)、メチルオキシスルホニルオキシ基(-OSO2OCH3)等が挙げられる。
式(8)で表される化合物の具体例としては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ベンジル、ベンジルp-トルエンスルホナート、メチルp-トルエンスルホナート、トリフルオロスルホン酸メチル、硫酸ジメチル等が挙げられる。
反応は、塩基存在下で行う。塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機リチウム等が挙げられる。
反応温度は、通常、0℃から100℃又は溶媒の沸騰する温度である。好ましくは10℃から800℃、より好ましくは20℃から50℃である。
反応時間は通常、1~48時間であり、好ましくは1~20時間である。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、塩化メチレン等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては式(2)で表される化合物1質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは0.1~50質量部である。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
反応終了後は、有機溶媒を用いた洗浄による不純物(例えば、未反応の原料)の除去や反応液の濃縮等により、式(9)の化合物を得ることができ、必要に応じ、再結晶等の精製をしても良い。また、反応終了後、精製せずにそのままエポキシ樹脂硬化助剤として用いることもできる。
<エポキシ樹脂組成物>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物を含み、好ましくは、アミン化合物をさらに含む。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物を含み、好ましくは、アミン化合物をさらに含む。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、ポリエポキシ化合物及びアミン化合物と必要に応じてその他添加剤を使用前に混合し、調製することもできる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、A剤として、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物、と必要に応じてその他添加剤を配合し、B剤として、アミン化合物と必要に応じてその他添加剤を配合し、A剤とB剤とを使用前に混合する2成分型として調製することもできる。さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、C剤として、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物、と必要に応じてその他添加剤を配合し、D剤として、ポリエポキシ化合物と必要に応じてその他添加剤を配合し、C剤とD剤とを使用前に混合する2成分型として調製することもできる。この中でも、A剤とB剤とを使用前に混合する2成分型として調製することが好ましい。
ここで、エポキシ樹脂硬化剤として、分子内にSH基を有するチオール系硬化剤が知られているが、このようなチオール系硬化剤はSH基に由来する悪臭や、SH基の酸化による反応性の低下によりエポキシ樹脂製造時に十分硬化しないといった問題点があった。一方、本発明のチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤は分子内にSH基を有さず、また、エポキシ樹脂の硬化の際に、反応途中でSH基が生じるものの、エポキシ基との反応が速やかに進行するため、これらの問題を有さないと考えられる。
本発明において、ポリエポキシ化合物とは、エポキシ基を2つ以上有する化合物である。好ましくは分子内にエポキシ基が2~8個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~4個、特に好ましくは2個有する化合物である。なお、ポリエポキシ化合物としては、通常、エポキシ樹脂として知られるものを使用することができる。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸のグリシジルエステル類及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N-ジグリシジルアニリン、ビス(4-(N-メチル-N-グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物が挙げられる。これらのポリエポキシ化合物は、多価の活性水素化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールや、多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、等)を用いて高分子量化したものであってもよい。
上記の「エポキシ樹脂」としては、たとえば、1分子中に2つのエポキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、イソホロンビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂や、これらビスフェノール型エポキシ樹脂のハロゲン、アルキル置換体、水添品、単量体に限らず複数の繰り返し単位を有する高分子量体、アルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルや、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂や、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレ-ト、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂や、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂や、フタル酸ジグリシジルエステルや、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルや、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルや、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミン等のグリシジルアミン類等を挙げることができる。
市販品としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、jER825、jER827、jER828、jER834、jER1001、jER1002、jER1003、jER1055、jER1007、jER1009、jER1010(以上、三菱化学株式会社製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC株式会社製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、jER806、jER807、jER4004、jER4005、jER4007、jER4010(以上、三菱化学株式会社製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC株式会社製)、LCE-21、RE-602S(以上、日本化薬株式会社製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、jER152、jER154、jER157S70、jER157S65(以上、三菱化学株式会社製)、EPICLON N-740、EPICLON N-770、EPICLON N-775(以上、DIC株式会社製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N-660、EPICLON N-665、EPICLON N-670、EPICLON N-673、EPICLON N-680、EPICLON N-690、EPICLON N-695(以上、DIC株式会社製)、EOCN-1020(日本化薬株式会社製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP-4080S、同EP-4085S、同EP-4088S(以上、株式会社ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、株式会社ダイセル製)、デナコール EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L(以上、ナガセケムテックス株式会社製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、株式会社ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、株式会社ADEKA製)、jER1031S(三菱化学株式会社製)等が挙げられる。
ポリエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエポキシ化合物は、エポキシ当量が100~400であり、170~250のものが好ましい。
本発明において、アミン化合物は、分子内に1つ以上の1級又は2級アミノ基を有する化合物であり、分子内に1~6つの1級又は2級アミノ基を有することが好ましく、分子内に1つ又は2つの1級又は2級アミノ基を有することがさらに好ましい。式(1)においてx=1の場合、分子内に2つの1級又は2級アミノ基を有することが好ましい。アミン化合物は、1級アミン化合物であっても良く、2級アミン化合物であっても良く、1級アミン化合物と2級アミン化合物を併用しても良いが、1級アミンが好ましい。
アミン化合物としては、例えば、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、ヘキシルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、m-キシレンジアミン等の脂肪族アミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ジシクロペンタンジアミン、ジアミノジシクロメタン、ジシクロペンタジエンジメチルアミン、N-シクロヘキシルプロピレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン等の脂環式アミン;1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン等の複素環式アミン;ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン、ポリアミドアミン等の変性アミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(エチレングリコ―ル)ビス(2-アミノプロピルエーテル)、ポリ(テトラメチレングリコ―ル)ビス(2-アミノプロピルエーテル)、ポリオキシプロピレントリアミン等のようなポリエーテルポリアミンやα,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテル、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラメチレングリコールエーテル等の高分子量アミンが挙げられる。アミン化合物は市販のものを使用しても良く、実施例の記載あるいは公知の方法により得られたものを使用しても良い。
アミン化合物の市販品としては、たとえば、ラッカマイドWN-405、ラッカマイドWN-620、ラッカマイドWH-614、ラッカマイドF4、ラッカマイドWH-650(以上、DIC株式会社製)、トーマイド215-70X、トーマイド225-X、トーマイドTXS-53-C、トーマイドTXS-674-B、トーマイドTXS-685-A、トーマイドTXS-694、フジキュアーFXI-919、フジキュアーFXH-927、フジキュアーFXH-935、フジキュアー4011、フジキュアー4025、フジキュアー4030(以上、株式会社T&K TOKA製)、バーサミン340 1N、バーサミン551、バーサミン552(以上、BASFジャパン株式会社製)、サンマイド150-65、サンマイドWH-910、アンカミン2280、アンカミン2643、アンカマイド350A、(以上、エアープロダクツアンドケミカルズ社製)、JERキュアXD#639、JERキュアST14、JERキュア113、JERキュアYN10011、JERキュアTO184、JERキュア113、JERキュアWD11M60(以上、三菱ケミカル株式会社製)、アデカハードナーEH-4602、アデカハードナーEH-34274A(以上、株式会社ADEKA製)、ベジケムグリーンV115、ベジケムグリーンV125、ベジケムグリーンV140、ベジケムグリーンG747(以上、築野食品工業株式会社製)、ジェファーミンD-230、ジェファーミンT-403(以上、ハンツマン社製)、ニューマイド511-55、ニューマイド3510(以上、ハリマ化成グループ株式会社製)、ダイトクラールI-5986、ダイトクラールI-6020、ダイトクラールX-5663H、ダイトクラールX-6102(以上、大都産業株式会社製)、ベッコポックスEH613W/80WA、ベッコポックスEH623W/80WA(以上、サーフェース・スペシャリティージャパン社製)等が挙げられる。
アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物として、たとえば、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミンのような比較的低分子量のアミンを用いた場合、引張強さ(Tb)に優れた硬化物が得られる。一方高分子量アミンを用いた場合、破断伸び(Eb)に優れた硬化物が得られる。引張強さ(Tb)に優れた硬化体を得たい場合には、アミンの分子量として、500以下が好ましく、60~500のものを使用することがより好ましい。破断伸び(Eb)に優れた硬化物を得たい場合には、アミンの分子量として、600以上が好ましく、600~2200のものを使用することがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物中において、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤及びポリエポキシ化合物の使用量は、ポリエポキシ化合物のエポキシ当量に対する、エポキシ樹脂硬化助剤のチオウレタン当量が0.10~1.00であることが好ましく、0.10~0.80がより好ましく、0.10~0.50が特に好ましい。本発明のエポキシ樹脂硬化助剤を用いない場合と比較して、エポキシ樹脂硬化助剤のチオウレタン当量が0.10以上である場合には、硬化時間の短縮が十分に観測され、また0.80以下の場合には、硬化物とした際の引張強度が上がるため好ましい。
また、アミン化合物の使用量については、ポリエポキシ化合物のエポキシ当量に対する、アミン化合物の活性水素当量が0.5~3.0であることが好ましく、0.8~2.5がより好ましく、1.0~2.0が特に好ましい。アミン化合物の活性水素当量が2.0以下の場合には、硬化不良や硬化物の白化等の問題が生じず、0.5以上である場合には、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤を用いない場合と比較して、硬化時間の短縮が十分に観測されるため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化助剤とアミン化合物の使用量の量比については、アミン化合物の活性水素当量に対する、エポキシ樹脂硬化助剤のチオウレタン当量が0.05~1.00であることが好ましく、0.05~0.60がより好ましく、0.05~0.40が特に好ましい。本発明のエポキシ樹脂硬化助剤を用いない場合と比較して、エポキシ樹脂硬化助剤のチオウレタン当量が0.05以上である場合には、硬化時間の短縮が十分に観測され、0.8以下の場合には、硬化物とした際の引張強度が向上するため好ましい。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤を使用する場合、その使用量により反応時間の短縮効果の度合い(硬化時間)の調整ができる。また、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤を使用する場合、その使用量によりエポキシ樹脂組成物を硬化させた際の硬化物の引張強度や、柔軟性、伸び率といったエポキシ樹脂硬化物の物性を調整することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、必要に応じて、当該技術分野で常用される公知の添加剤、顔料、溶剤等を使用することができる。
添加剤としては、特に限定するものではなく、例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、過塩素酸塩系、ヒドロキシルアミン系等の着色防止剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤、錫系、亜鉛系、アミン系等のウレタン化触媒、その他、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤等が挙げられる。
顔料としては、特に限定するものではなく、例えば、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料、その他、炭素系顔料、金属箔状顔料、防錆顔料等の顔料が挙げられる。
溶剤としては、特に限定するものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素等が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、コンクリート、各種金属、皮革、ガラス、ゴム、プラスチック、木材、布、紙等に対する塗料あるいは接着剤;包装用粘着テープ、粘着ラベル、冷凍食品ラベル、リムーバルラベル、粘着壁紙、粘着床材の粘着剤;アート紙、軽量コート紙、キャストコート紙、塗工板紙、カーボンレス複写機、含浸紙等の加工紙;天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の収束剤、ほつれ防止剤、加工剤等の繊維処理剤;シーリング材、セメント混和剤、防水材等の建築材料;電子・電気機器用封止剤等の、広範な用途に使用することができる。
<エポキシ樹脂硬化物の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂組成物からのエポキシ樹脂硬化物の製造方法について記載する。
本発明のエポキシ樹脂組成物からのエポキシ樹脂硬化物の製造方法について記載する。
エポキシ樹脂硬化物の製造方法としては、以下の硬化方法が挙げられる。
(方法1)本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
(方法2)本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物を反応させたのちに、当該反応物とポリエポキシ化合物を反応させる工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
(方法1)本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
(方法2)本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物を反応させたのちに、当該反応物とポリエポキシ化合物を反応させる工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
(方法1)について説明する。
(方法1)においては、エポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物を含む本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化することにより、エポキシ樹脂硬化物を製造する。より詳しくは、エポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物を含む本発明のエポキシ樹脂組成物に対しアミン化合物を混合して得られる混合物を硬化する、又は、エポキシ樹脂硬化助剤、ポリエポキシ化合物、及びアミン化合物を含む本発明のエポキシ樹脂組成物を混合し硬化することにより、エポキシ樹脂硬化物を製造する。このとき、必要に応じて加熱しても良い。
上記アミン化合物は、分子内に1つ以上の1級又は2級アミノ基を有する化合物であり、分子内に1~6つの1級又は2級アミノ基を有することが好ましく、分子内に1つ又は2つの1級又は2級アミノ基を有することがさらに好ましい。式(1)においてx=1の場合、分子内に2つの1級又は2級アミノ基を有することが好ましい。アミン化合物は、1級アミン化合物であっても良く、2級アミン化合物であっても良く、1級アミン化合物と2級アミン化合物を併用しても良いが、1級アミンが好ましい。
アミン化合物としては、例えば、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、ヘキシルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、m-キシレンジアミン等の脂肪族アミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ジシクロペンタンジアミン、ジアミノジシクロメタン、ジシクロペンタジエンジメチルアミン、N-シクロヘキシルプロピレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン等の脂環式アミン;1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン等の複素環式アミン;ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン、ポリアミドアミン等の変性アミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(エチレングリコ―ル)ビス(2-アミノプロピルエーテル)、ポリ(テトラメチレングリコ―ル)ビス(2-アミノプロピルエーテル)、ポリオキシプロピレントリアミン等のようなポリエーテルポリアミンやα,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテル、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラメチレングリコールエーテル等の高分子量アミンが挙げられる。アミン化合物は市販のものを使用しても良く、実施例の記載あるいは公知の方法により得られたものを使用しても良い。
アミン化合物の市販品としては、たとえば、ラッカマイドWN-405、ラッカマイドWN-620、ラッカマイドWH-614、ラッカマイドF4、ラッカマイドWH-650(以上、DIC株式会社製)、トーマイド215-70X、トーマイド225-X、トーマイドTXS-53-C、トーマイドTXS-674-B、トーマイドTXS-685-A、トーマイドTXS-694、フジキュアーFXI-919、フジキュアーFXH-927、フジキュアーFXH-935、フジキュアー4011、フジキュアー4025、フジキュアー4030(以上、株式会社T&K TOKA製)、バーサミン340 1N、バーサミン551、バーサミン552(以上、BASFジャパン株式会社製)、サンマイド150-65、サンマイドWH-910、アンカミン2280、アンカミン2643、アンカマイド350A、(以上、エアープロダクツアンドケミカルズ社製)、JERキュアXD#639、JERキュアST14、JERキュア113、JERキュアYN10011、JERキュアTO184、JERキュア113、JERキュアWD11M60(以上、三菱ケミカル株式会社製)、アデカハードナーEH-4602、アデカハードナーEH-34274A(以上、株式会社ADEKA製)、ベジケムグリーンV115、ベジケムグリーンV125、ベジケムグリーンV140、ベジケムグリーンG747(以上、築野食品工業株式会社製)、ジェファーミンD-230、ジェファーミンT-403(以上、ハンツマン社製)、ニューマイド511-55、ニューマイド3510(以上、ハリマ化成グループ株式会社製)、ダイトクラールI-5986、ダイトクラールI-6020、ダイトクラールX-5663H、ダイトクラールX-6102(以上、大都産業株式会社製)、ベッコポックスEH613W/80WA、ベッコポックスEH623W/80WA(以上、サーフェース・スペシャリティージャパン社製)等が挙げられる。
アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物の使用量は、「<エポキシ樹脂組成物>」の項におけるエポキシ樹脂硬化助剤とアミン化合物の使用量の量比と同様にすることができる。
チオウレタン化合物とポリエポキシ化合物との反応性が低いことから、(方法1)においては、アミン化合物の混合により反応が進行することで、下記Path A及びPath Bの反応が並行して進行するものと考えられる。なお、下記化学式の記載においては、簡略化のため、チアゾリジン-2-オン、モノアミン、及びモノエポキシ化合物を用いた場合の例を記載するが、これに限定されない。
反応温度は、使用するエポキシ樹脂硬化助剤及びアミン化合物によっても異なるが、通常5℃以上であり、好ましくは15~150℃であり、特に好ましくは15~30℃である。
反応時間は、5分~5時間程度であり、5分~1.5時間が好ましい。
エポキシ樹脂の硬化にアミン化合物だけでなく本発明のエポキシ樹脂硬化助剤も併用することで、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合に対してエポキシ樹脂の硬化反応時間が短縮される。(方法1)の製造方法によると、エポキシ樹脂の硬化反応時間が、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合と比較して、短縮される。また、エポキシ樹脂の硬化反応時間が、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合と比較して、短縮される。
また、エポキシ樹脂の硬化にアミン化合物だけでなく本発明のエポキシ樹脂硬化助剤も併用することで、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合に対して硬化物の柔軟性が向上(アスカーA硬度が低下)する。
さらに、エポキシ樹脂の硬化にアミン化合物だけでなく本発明のエポキシ樹脂硬化助剤も併用することで、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合に対して硬化物の伸び率が向上する。
エポキシ樹脂の硬化の際に、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤を使用することで硬化物の柔軟性や伸び率が向上する理由は以下のように考えられる。
アミン化合物とポリエポキシ化合物との反応は通常、下記反応式中のPath Bの反応が進行するが、この場合はアミン化合物とポリエポキシ化合物の反応により生じた化合物中の二級アミノ基にさらにポリエポキシ化合物のエポキシ基が反応するため、得られる反応物は重合した分子鎖同士が架橋した状態となる。
エポキシ樹脂の硬化にアミン化合物だけでなく本発明のエポキシ樹脂硬化助剤も併用した場合、下記反応式中のPath Aの反応が進行する(アミン化合物とチオウレタン化合物との反応により生じる化合物中のSH基がポリエポキシ化合物のエポキシ基と反応する)。これにより生じた化合物のOH基はさらにポリエポキシ化合物などの重合反応物中のエポキシ基と反応する。このように、Path Aの反応によっては、反応により伸張した分子鎖が直鎖状となる。
このとき、Path Bの反応よりPath Aの反応の方が優先して進行するために、結果として、得られる重合物の分子鎖同士の架橋が抑制される。
エポキシ樹脂硬化物中の分子鎖として直鎖状の構造の比率が高い場合、柔軟性や伸び率が向上する。このように、アミン化合物に加え、エポキシ樹脂の硬化の際に、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤を使用した場合、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合と比較して、硬化物の柔軟性や伸び率が向上する。
後述する(方法2)の方法を採った場合においても(方法1)と同様に、硬化物の柔軟性や伸び率が向上すると考えられ、その理由も(方法1)と同様であると考えられる。
下記反応式において、簡略化のため、チアゾリジン-2-オン、モノアミン、及びモノエポキシ化合物を用いた場合の例を記載するが、これに限定されない。
(方法2)について説明する。
(方法2)においては、下記(1)、及び(2)の工程を含む。なお、下記化学式の記載においては、簡略化のため、チアゾリジン-2-オン、モノアミン化合物、モノエポキシ化合物を用いた場合の例を記載するが、これに限定されない。
(1)本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物を反応させる工程。
(2)(1)で得られた反応物とポリエポキシ化合物を反応させ、エポキシ樹脂を硬化させる工程。
(方法2)においては、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤のチオウレタンとアミン化合物を先に反応させ、その後ポリエポキシ化合物と反応させる。(方法2)においては、C剤として、本発明のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物、と必要に応じてその他添加剤を配合し、D剤として、ポリエポキシ化合物と必要に応じてその他添加剤を配合し、C剤とD剤とを使用前に混合する2成分型として調製することができる。
(1)の工程の反応温度は、使用するエポキシ樹脂硬化助剤及びアミン化合物によっても異なるが、通常5℃以上であり、好ましくは15~150℃であり、特に好ましくは15~30℃である。
(1)の工程の反応時間は、5分~1時間程度であり、5分~15分が好ましい。
(2)の工程の反応温度は、使用するエポキシ樹脂硬化助剤及びアミン化合物によっても異なるが、通常5℃以上であり、好ましくは15~150℃であり、特に好ましくは15~30℃である。
(2)の工程の反応時間は、0.5分~5時間程度であり、0.5分~1.5時間が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の硬化にアミン化合物だけでなく本発明のエポキシ樹脂硬化助剤も併用することで、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合に対してエポキシ樹脂の硬化反応時間((方法2)の(2)の工程の反応時間)が短縮される。(方法2)の製造方法によると、エポキシ樹脂の硬化反応時間が、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合と比較して短縮される。また、エポキシ樹脂の硬化反応時間が、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合と比較して短縮される。
また、本発明のエポキシ樹脂の硬化にアミン化合物だけでなく本発明のエポキシ樹脂硬化助剤も併用することで、(方法2)により得られるエポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合に対して硬化物の柔軟性が向上(アスカーA硬度が低下)する。
さらに、本発明のエポキシ樹脂の硬化にアミン化合物だけでなく本発明のエポキシ樹脂硬化助剤も併用することで、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミン化合物のみを用いた場合に対して硬化物の伸び率が向上する。
本発明を製造例及び実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。
(1)1H-NMR分析条件
装置:ブルカー・バイオスピン株式会社製AV400
周波数:400MHz
重溶媒:重クロロホルム又は重DMSO
基準ピーク:テトラメチルシランを0.00ppmとした
(2)赤外分光分析条件
装置:日本分光製フーリエ変換赤外分光光度計 FT/IR6600
測定方法:全反射測定法(クリスタル:ゲルマニウム)
積算回数:16回
(3)アミン価測定
装置:株式会社HIRANUMA製 TS-3000
測定方法:試料約0.5gを精密に量り、イソプロパノール50mLを加えて溶かし、0.1 mol/L塩酸で電気滴定法(電位差測定)により滴定した。
装置:ブルカー・バイオスピン株式会社製AV400
周波数:400MHz
重溶媒:重クロロホルム又は重DMSO
基準ピーク:テトラメチルシランを0.00ppmとした
(2)赤外分光分析条件
装置:日本分光製フーリエ変換赤外分光光度計 FT/IR6600
測定方法:全反射測定法(クリスタル:ゲルマニウム)
積算回数:16回
(3)アミン価測定
装置:株式会社HIRANUMA製 TS-3000
測定方法:試料約0.5gを精密に量り、イソプロパノール50mLを加えて溶かし、0.1 mol/L塩酸で電気滴定法(電位差測定)により滴定した。
アミン価 = a÷b×5.611
a = 0.1 mol/L塩酸の消費量(ml)
b = 試料の量(g)
(4)硬化時間測定に用いた装置及び測定条件
装置:株式会社サイバー製 自動硬化時間測定装置まどか
攪拌棒:型番3JC-5060W
攪拌速度:自転100rpm、公転25rpm
(5)アスカーA硬度測定条件
装置:高分子計器株式会社製アスカーゴム硬度計A型
(6)引張試験
装置:株式会社島津製作所製 オートグラフAGS-X STD
試験片形状:ダンベル3号形
測定方法:JIS K6251(1993)「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠
a = 0.1 mol/L塩酸の消費量(ml)
b = 試料の量(g)
(4)硬化時間測定に用いた装置及び測定条件
装置:株式会社サイバー製 自動硬化時間測定装置まどか
攪拌棒:型番3JC-5060W
攪拌速度:自転100rpm、公転25rpm
(5)アスカーA硬度測定条件
装置:高分子計器株式会社製アスカーゴム硬度計A型
(6)引張試験
装置:株式会社島津製作所製 オートグラフAGS-X STD
試験片形状:ダンベル3号形
測定方法:JIS K6251(1993)「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠
[合成例1]アミン化合物1(PTMGPA2000)の合成
メカニカルスターラーを取り付けた5L四つ口フラスコを窒素置換したのち、カリウムtert-ブトキシドを1.7g(15.2mmol)、2-メチル-2-プロパノールを748.4g(10.1mol)、ポリオール(分子量2000,保土谷化学工業株式会社製 PTG-2000SN)を1484.1g(0.7mol)を入れ、内温50℃まで加熱した。内温50℃で2時間攪拌した後、アクリロニトリル486.9g(9.2mol)を30分かけて滴下した。アクリロニトリル滴下で得られた混合物を内温50℃で30時間攪拌した。攪拌終了後、酢酸60.1g(1.0mol)で中和した。得られた混合物を減圧下濃縮し、濃縮後に得られた混合物にトルエン1506.5gを加え、20時間攪拌した。攪拌後に得られた混合物を濾過し、得られた濾液にトルエン102.0gを加え、2865.5gの混合液を得た。
メカニカルスターラーを取り付けた5L四つ口フラスコを窒素置換したのち、カリウムtert-ブトキシドを1.7g(15.2mmol)、2-メチル-2-プロパノールを748.4g(10.1mol)、ポリオール(分子量2000,保土谷化学工業株式会社製 PTG-2000SN)を1484.1g(0.7mol)を入れ、内温50℃まで加熱した。内温50℃で2時間攪拌した後、アクリロニトリル486.9g(9.2mol)を30分かけて滴下した。アクリロニトリル滴下で得られた混合物を内温50℃で30時間攪拌した。攪拌終了後、酢酸60.1g(1.0mol)で中和した。得られた混合物を減圧下濃縮し、濃縮後に得られた混合物にトルエン1506.5gを加え、20時間攪拌した。攪拌後に得られた混合物を濾過し、得られた濾液にトルエン102.0gを加え、2865.5gの混合液を得た。
得られた混合液のうち1300g(0.3mol)と、トルエン1298g、及びトルエン置換したスポンジコバルト触媒(日興リカ株式会社製R-400K)を260.3g(4.4mol)5Lオートクレーブへ仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。35℃でアンモニアを導入し容器内圧力を0.5MPaとした後、水素を導入し容器内圧力を3.0MPaとした。その後、オートクレーブ内の反応液を80℃まで加熱した後に、さらに水素を導入してオートクレーブ内の圧力を4.5MPaとし、内温80℃で3時間反応を行った。反応後、内温を45℃、圧力を常圧まで下げ、容器内雰囲気を水素雰囲気とした。得られた混合物にトルエン107.8gを加えて加圧濾過器にて濾過し、つづいてトルエン332.0gによって加圧濾過器上の濾残を洗浄して、2967gの濾液を得た。得られた濾液を60℃にて減圧下で濃縮した。得られた濃縮残に水650gを加え、80℃にて減圧下で濃縮する操作を2度行い、1149gのアミン化合物1(ポリエーテルアミン化合物PTMGPA2000)を得た(収率84.4%)。アミン化合物1のアミン価は50.0mgKOH/gであった。
[合成例2]アミン化合物2(PEGPA1500)の合成
2L四つ口フラスコを窒素置換したのち、シグマアルドリッチ社製ポリエチレングリコール1500(分子量1500)を480.2g(320.1mmol)、水を241.1g仕込み50℃まで昇温した。昇温後、48%水酸化ナトリウムを0.5g(6.5mmol)、水を4.5g加えた。得られた混合物を50℃で1時間攪拌後、内温27℃まで冷却しアクリロニトリル51.2g(964.9mmol)を2時間かけて滴下した。滴下後、室温下にて16時間攪拌した。得られた混合物にリン酸を0.7g、水を4.7g加え、室温で2時間攪拌した。得られた混合物に水を77.6g加え、減圧下で濃縮し、濃縮残を得た。得られた濃縮残に対してトルエン88.0gを加え減圧下で濃縮する操作を3回行い、濃縮残を532.8g得た。得られた濃縮残にトルエン468.9gを加え、1001.6gの混合物を得た。得られた混合物のうち470.2g(150.3mmol)、50.5gのスポンジニッケル触媒(川研ファインケミカル株式会社製NDT-65)、トルエン30gをオートクレーブに入れ、オートクレーブ内を窒素置換した。内温35℃でオートクレーブ内にアンモニアを導入し容器内圧力を0.5MPaとした後、水素を導入し容器内の圧力を3.0MPaとした。内温80℃まで加熱した後に、水素を導入し容器内圧力を4.5MPaとし、内温80℃で3時間反応を行った。反応後、内温を45℃、圧力を常圧まで下げ、容器内雰囲気を窒素雰囲気とした。トルエン50.3gを加え、混合物599.2gを得た。得られた混合物にトルエン83.8gを加えて加圧濾過器に加え濾過をし、つづいてトルエン121.3gによって加圧濾過器上の濾残を洗浄して、818.5gの濾液を得た。得られた濾液に114.3gの水を加え、減圧下で濃縮し237.8gのアミン化合物2(ポリエーテルアミン化合物PEGPA1500)を得た。得られたアミン2化合物のアミン価は79.6mgKOH/gであった。
2L四つ口フラスコを窒素置換したのち、シグマアルドリッチ社製ポリエチレングリコール1500(分子量1500)を480.2g(320.1mmol)、水を241.1g仕込み50℃まで昇温した。昇温後、48%水酸化ナトリウムを0.5g(6.5mmol)、水を4.5g加えた。得られた混合物を50℃で1時間攪拌後、内温27℃まで冷却しアクリロニトリル51.2g(964.9mmol)を2時間かけて滴下した。滴下後、室温下にて16時間攪拌した。得られた混合物にリン酸を0.7g、水を4.7g加え、室温で2時間攪拌した。得られた混合物に水を77.6g加え、減圧下で濃縮し、濃縮残を得た。得られた濃縮残に対してトルエン88.0gを加え減圧下で濃縮する操作を3回行い、濃縮残を532.8g得た。得られた濃縮残にトルエン468.9gを加え、1001.6gの混合物を得た。得られた混合物のうち470.2g(150.3mmol)、50.5gのスポンジニッケル触媒(川研ファインケミカル株式会社製NDT-65)、トルエン30gをオートクレーブに入れ、オートクレーブ内を窒素置換した。内温35℃でオートクレーブ内にアンモニアを導入し容器内圧力を0.5MPaとした後、水素を導入し容器内の圧力を3.0MPaとした。内温80℃まで加熱した後に、水素を導入し容器内圧力を4.5MPaとし、内温80℃で3時間反応を行った。反応後、内温を45℃、圧力を常圧まで下げ、容器内雰囲気を窒素雰囲気とした。トルエン50.3gを加え、混合物599.2gを得た。得られた混合物にトルエン83.8gを加えて加圧濾過器に加え濾過をし、つづいてトルエン121.3gによって加圧濾過器上の濾残を洗浄して、818.5gの濾液を得た。得られた濾液に114.3gの水を加え、減圧下で濃縮し237.8gのアミン化合物2(ポリエーテルアミン化合物PEGPA1500)を得た。得られたアミン2化合物のアミン価は79.6mgKOH/gであった。
[合成例3]アミン化合物3(PEGPA1000)の合成
メカニカルスターラーを取り付けた3L四つ口フラスコを窒素置換し、そこへポリエチレングリコール(分子量1000、日油株式会社製 PEG-1000)を1500.7g(1.5mol)、水750.1gを入れ50℃まで加熱した。内温50℃に加熱した混合液に48%水酸化ナトリウム水溶液2.5g(30.0mmol)を加え、内温50℃にて1時間攪拌後、29℃まで冷却した。冷却後、アクリロニトリル486.9g(9.2mol)を30分かけて滴下した。アクリロニトリルの滴下後、混合液を室温にて17時間攪拌した。攪拌後、混合液へ85%リン酸2.5g(純分換算21.7mmol)を加えた。得られた混合物を減圧下で濃縮し、得られた混合物に対して、トルエン255.0gを加え減圧下で濃縮する操作を2度行った後、トルエン255.0gを加え減圧下濃縮し、濃縮残渣1747.5gを得た。得られた濃縮残渣のうち1300.0g、スポンジコバルト触媒(日興リカ株式会社製 R-100)263.0g、トルエン1300.0gを5Lオートクレーブへ入れ、オートクレーブ内を窒素置換した。続いてオートクレーブ内を水素置換し、その後、オートクレーブ内をアンモニア置換してオートクレーブ内圧力を35℃で0.5MPaとなるように調製した。オートクレーブ内に水素を導入し、オートクレーブ内圧力を3.0MPaとし、内温80℃まで昇温した。昇温後、さらに水素を導入し、オートクレーブ内圧力を4.5MPaとして、内温80℃にて反応を2.5時間行った。反応後、反応混合物を40℃まで冷却した。オートクレーブ内の圧力を常圧まで下げ、容器内雰囲気を水素雰囲気とし、室温まで冷却した。冷却された反応混合物を45℃に昇温し、脱圧して常圧まで戻した後、オートクレーブ内に窒素を導入し、さらに脱圧することで窒素置換をした。得られた混合物にトルエン122.0gを加え2927.7gの混合物を得た。得られた混合物を加圧濾過器にて濾過し、つづいてトルエン360.0gによって加圧濾過器上の濾残を洗浄して、3034.7gの濾液を得た。得られた濾液を減圧下で濃縮し、濃縮残を得た。得られた濃縮残に600.0gの水を加え減圧下で濃縮する操作を2度行い、得られた濃縮残を70℃にて加圧濾過し濾液を得た。得られた濾液を減圧下乾燥し、1305.0gのアミン化合物3(ポリエーテルアミン化合物PEGPA1000)を得た。アミン化合物3のアミン価は117.5mgKOH/gであった。
メカニカルスターラーを取り付けた3L四つ口フラスコを窒素置換し、そこへポリエチレングリコール(分子量1000、日油株式会社製 PEG-1000)を1500.7g(1.5mol)、水750.1gを入れ50℃まで加熱した。内温50℃に加熱した混合液に48%水酸化ナトリウム水溶液2.5g(30.0mmol)を加え、内温50℃にて1時間攪拌後、29℃まで冷却した。冷却後、アクリロニトリル486.9g(9.2mol)を30分かけて滴下した。アクリロニトリルの滴下後、混合液を室温にて17時間攪拌した。攪拌後、混合液へ85%リン酸2.5g(純分換算21.7mmol)を加えた。得られた混合物を減圧下で濃縮し、得られた混合物に対して、トルエン255.0gを加え減圧下で濃縮する操作を2度行った後、トルエン255.0gを加え減圧下濃縮し、濃縮残渣1747.5gを得た。得られた濃縮残渣のうち1300.0g、スポンジコバルト触媒(日興リカ株式会社製 R-100)263.0g、トルエン1300.0gを5Lオートクレーブへ入れ、オートクレーブ内を窒素置換した。続いてオートクレーブ内を水素置換し、その後、オートクレーブ内をアンモニア置換してオートクレーブ内圧力を35℃で0.5MPaとなるように調製した。オートクレーブ内に水素を導入し、オートクレーブ内圧力を3.0MPaとし、内温80℃まで昇温した。昇温後、さらに水素を導入し、オートクレーブ内圧力を4.5MPaとして、内温80℃にて反応を2.5時間行った。反応後、反応混合物を40℃まで冷却した。オートクレーブ内の圧力を常圧まで下げ、容器内雰囲気を水素雰囲気とし、室温まで冷却した。冷却された反応混合物を45℃に昇温し、脱圧して常圧まで戻した後、オートクレーブ内に窒素を導入し、さらに脱圧することで窒素置換をした。得られた混合物にトルエン122.0gを加え2927.7gの混合物を得た。得られた混合物を加圧濾過器にて濾過し、つづいてトルエン360.0gによって加圧濾過器上の濾残を洗浄して、3034.7gの濾液を得た。得られた濾液を減圧下で濃縮し、濃縮残を得た。得られた濃縮残に600.0gの水を加え減圧下で濃縮する操作を2度行い、得られた濃縮残を70℃にて加圧濾過し濾液を得た。得られた濾液を減圧下乾燥し、1305.0gのアミン化合物3(ポリエーテルアミン化合物PEGPA1000)を得た。アミン化合物3のアミン価は117.5mgKOH/gであった。
[合成例4]ニトリル体13の合成
ニトリル体13:
メカニカルスターラーを取り付けた1L四つ口フラスコを窒素置換したのち、トリメチロールプロパンを100.6g(749.8mmol)、水酸化リチウム1水和物を238.4mg(5.7mmol)を入れ、内温50℃まで加熱した後、アクリロニトリル237.3g(4.5mol)を3.5時間かけて滴下した。アクリロニトリル滴下で得られた混合物を内温80℃で1.5時間攪拌した。得られた混合物を減圧下濃縮し、ジクロロメタン220.2g、水222.2gを加えて得られた液を30分攪拌後、分液操作により水相を除いた。得られた有機層を減圧下濃縮し、ニトリル体13を221.1g得た。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=3.65(t、6H、J=6.0Hz)、3.38(s,6H)、2.59(t、6.0Hz)、1.44(q、2H、7.6Hz)、0.87(t、2H、J=7.6Hz)
ニトリル体13:
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=3.65(t、6H、J=6.0Hz)、3.38(s,6H)、2.59(t、6.0Hz)、1.44(q、2H、7.6Hz)、0.87(t、2H、J=7.6Hz)
[合成例5]アミン化合物13の合成
アミン化合物13:
アミン化合物13:
1LオートクレーブにOFT-MS(川研ファインケミカル株式会社製)を90.0g、メタノールを99.0g、水126.1gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換後、窒素置換した。その後アンモニアを反応器内に仕込み、圧力を6.0MPaとした後、内温を60℃とし圧力を8.0MPaとした。続いて内温60℃、内圧を8.0MPaに保ち、合成例4で合成したニトリル体150.0g(511.3mmol)をメタノール51.0gに溶解させ、反応器内に3時間かけて滴下した。その後2時間反応を行い、メタノール57.6gを加え、オートクレーブより反応液を抜き出し、反応液566.5gを得た。得られた反応液にメタノール226.4gを加えろ過し、得られたろ液644.4gを減圧下濃縮し、濃縮残を199.7g得た。得られた濃縮残にトルエン100.0gを加え、減圧下共沸脱水をする操作を3度行い、上式に示すアミン化合物13を144.7g得た(純度91.2%、473.9mmol、収率92.7%)。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=3.45(m、6H)、3.26(s,6H)、2.78(m、6.8Hz)、1.68(m、6H)、1.39(q、2H、J=7.6Hz)、0.84(t、3H、J=7.6Hz)
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=3.45(m、6H)、3.26(s,6H)、2.78(m、6.8Hz)、1.68(m、6H)、1.39(q、2H、J=7.6Hz)、0.84(t、3H、J=7.6Hz)
[合成例6]チオウレタン化合物Cの合成
(1)TDI―D2000の合成
TDI―D2000:
(1)TDI―D2000の合成
TDI―D2000:
(式中、PPGはポリプロピレングリコール鎖である。aは0又は1以上の整数である。)
窒素置換した1Lセパラブルフラスコに富士フィルム和光純薬社製のポリプロピレングリコール-ジオール型-2000を490.0g、トリレンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)を106.7g仕込み、10℃ずつ段階的に80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行い596.0gの上記式で表される化合物(TDI-D2000)を得た。得られた反応混合物のNCO(%)は5.1%であった。
(2)TDI-D2000からチオウレタン化合物Cの合成
チオウレタン化合物C:
チオウレタン化合物C:
(式中、PPGはポリプロピレングリコール鎖である。aは0又は1以上の整数である。)
窒素置換した30mL3つ口フラスコに(1)で得られたTDI-D2000を7.0g(3.0mmol)、テトラヒドロフランを13.6g、2-ベンゾチアゾロール0.9g(6.0mmol、東京化成工業株式会社製)を入れ、混合した。得られた混合物を室温下で攪拌しながら、トリエチルアミン60.8mg(0.6mmol)を加えた。その後室温で72時間攪拌し、得られた混合物を減圧下にて濃縮し、上記式で表される化合物(チオウレタン化合物C)7.8gを得た(収率98.7%)。赤外分光分析にて2260cm-1のNCOピークが消失していることを確認した。
[合成例7]チオウレタン化合物Eの合成
チオウレタン化合物E:
チオウレタン化合物E:
窒素置換した100mL3つ口フラスコにジアザビシクロウンデセン(DBU、BASF社製)を0.2g(1.3mmol)、テトラヒドロフランを20g、チアゾリジン-2-オン5.0g(48.5mmol、東京化成工業株式会社製)を仕込んだ。得られた反応混合物を室温下で攪拌しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート4.0g(23.8mmol、東京化成工業株式会社製)を加えた。その後室温で16時間攪拌し、得られた混合物を減圧下にて乾燥し、上記式で表される化合物(チオウレタン化合物E)を6.9g得た(収率77.5%)。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=8.04(s,2H)、4.25-4.21(m,4H)、3.30-3.24(m,8H)、1.64-1.53(m,4H)、1.37-1.33(m,4H)
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=8.04(s,2H)、4.25-4.21(m,4H)、3.30-3.24(m,8H)、1.64-1.53(m,4H)、1.37-1.33(m,4H)
[合成例8]チオウレタン化合物Fの合成
チオウレタン化合物F:
チオウレタン化合物F:
窒素置換した100mL3つ口フラスコにジアザビシクロウンデセン(DBU、BASF社製)を0.1g(0.7mmol)、チアゾリジン-2-オン1.8g(17.7mmol、東京化成工業株式会社製)を仕込んだ。得られた反応混合物を室温下で攪拌しながら、塩化メチレン9.2gに溶解させたデスモジュールN3300 3.0g(6.0mmol、東京化成工業株式会社製)を5分間かけて加えた。その後室温で1時間攪拌し、得られた混合物を減圧下にて乾燥し、上記式で表される化合物(チオウレタン化合物F)を4.4g得た(収率90.9%)。
1H-NMR(DMSO)δ(ppm)=8.00-7.97(m,3H)、4.09-4.05(m,6H)、3.73-3.70(m,6H)、3.37-3.32(m,6H)、3.17-3.12(m,6H)、1.51-1.50(m,6H)、1.44-1.42(m,6H)、1.28-1.25(m,12H)
1H-NMR(DMSO)δ(ppm)=8.00-7.97(m,3H)、4.09-4.05(m,6H)、3.73-3.70(m,6H)、3.37-3.32(m,6H)、3.17-3.12(m,6H)、1.51-1.50(m,6H)、1.44-1.42(m,6H)、1.28-1.25(m,12H)
[合成例9]チオウレタン化合物Gの合成
チオウレタン化合物G:
チオウレタン化合物G:
窒素置換した100mL3つ口フラスコにトリエチルアミンを0.2g(2.0mmol、純正化学株式会社製)、チアゾリジン-2-オン3.5g(34.3mmol、東京化成工業株式会社製)、塩化メチレン15.0gを仕込んだ。得られた反応混合物を室温下で攪拌しながらトリレンジイソシアネート3.0g(17.2mmol、東京化成工業株式会社製)を15分間かけて加えた。その後室温で1時間攪拌し、析出した白色固体を濾取し、得られた白色固体を減圧下にて乾燥し、上記式で表される化合物(チオウレタン化合物G)を6.3g得た(収率96.1%)。
1H-NMR(DMSO)δ(ppm)=10.00-9.95(m,2H)、8.05(s,1H)、7.20-7.14(m,2H)、4.19-4.12(m,4H)、3.42-3.36(m,4H)、2.15-2.06(m、3H)
1H-NMR(DMSO)δ(ppm)=10.00-9.95(m,2H)、8.05(s,1H)、7.20-7.14(m,2H)、4.19-4.12(m,4H)、3.42-3.36(m,4H)、2.15-2.06(m、3H)
[合成例10]チオウレタン化合物Hの合成
チオウレタン化合物H:
チオウレタン化合物H:
窒素置換した100mL3つ口フラスコに、4-ジメチルアミノピリジン0.66g(5.40mmol、東京化成工業株式会社製)、チアゾリジン-2-オン5.00g(48.5mmol、東京化成工業株式会社製)、トリエチルアミン12.10g(119.6mmol、東京化成工業株式会社製)、塩化メチレン5.00gを加え、室温下15分間攪拌した。攪拌後、二炭酸ジ-t-ブチル15.70g(71.9mmol、東京化成工業株式会社製)を塩化メチレン30.00gに溶解させたものを15分間かけて加えた。室温下1時間反応させた後、得られた反応液を減圧下濃縮した。得られた乾固残に水50.00gを加え、一般的な分液操作を行い、水層(上層)を除去した。得られた有機層を減圧下濃縮し、上記式で表される化合物(チオウレタン化合物H)を9.38g得た(収率95.2%)。1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=4.07(t,J=7.20Hz,2H)、3.23(t,J=7.20Hz,2H)、1.53(s,9H)
[合成例11]チオウレタン化合物Iの合成
チオウレタン化合物I:
チオウレタン化合物I:
窒素置換した400mL四つ口フラスコに、水素化ナトリウム5.26g(132.8mmol、純分60.6重量%、東京化成工業株式会社製)、テトラヒドロフラン50.0gを仕込み、合成例7で合成したチオウレタン化合物E5.0g(13.3mmol)をテトラヒドロフラン34.6gに溶かしたものを15分かけて滴下した。室温で1時間攪拌後、ヨードメタン18.8g(132.5mmol)をテトラヒドロフラン50.0gと塩化メチレン30.0gに溶解させたものを15分かけて滴下した。窒素気流下、室温にて16時間反応させ、反応混合物を得た。窒素気流下、イソプロパノール50.0gを加え、続いて水10.0gを加えた。得られた混合物を減圧下にて濃縮し、得られた濃縮残に対して塩化メチレン50.0gを加え上層を一般的な分液操作にて除いた。得られた下層を減圧下濃縮し、上記式で表される化合物(チオウレタン化合物I)を5.0g得た(収率93.0%)。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=4.07(t,7.20Hz,4H)、3.23(t,7.20Hz,4H)、3.17-3.15(m,4H)、2.90(s,6H)、1.51-1.48(m,8H)
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=4.07(t,7.20Hz,4H)、3.23(t,7.20Hz,4H)、3.17-3.15(m,4H)、2.90(s,6H)、1.51-1.48(m,8H)
[合成例12]チオウレタン化合物Jの合成
チオウレタン化合物J:
チオウレタン化合物J:
窒素置換した100mL3つ口フラスコにジアザビシクロウンデセン(DBU、BASF社製)を1.50g(9.9mmol)、チアゾリジン-2-オン5.20g(50.4mmol、東京化成工業株式会社製)を仕込んだ。得られた反応混合物を室温下で攪拌しながら、塩化メチレン34.00gに溶解させたヘキサメチレンジイソシアネート17.00g(101.1mmol、東京化成工業株式会社製)を15分間かけて加えた。その後室温で30分間攪拌し、一般的な濾過操作により析出した固体を得た。得られた固体を減圧下にて乾燥し、上記式で表される化合物(チオウレタン化合物J)を7.17g得た(純度60%、収率31.4%)。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=8.10-7.97(m,1H)、4.25-4.21(m,2H)、3.34-3.24(m,4H)、3.37-3.32(m,6H)、1.56-1.53(m,2H)、1.37-1.34(m,2H)
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=8.10-7.97(m,1H)、4.25-4.21(m,2H)、3.34-3.24(m,4H)、3.37-3.32(m,6H)、1.56-1.53(m,2H)、1.37-1.34(m,2H)
<実施例1> エポキシ樹脂組成物の硬化時間測定
エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:2:1になるよう、チオウレタン化合物A、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)、アミン化合物1の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。
エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:2:1になるよう、チオウレタン化合物A、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)、アミン化合物1の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。
あらかじめ140℃に加熱しておいた自動硬化時間測定装置のホットプレート(深さ約2mm)上に調製したエポキシ樹脂組成物約0.6mlを注ぎ、攪拌し、攪拌開始直後の攪拌トルク1%(0.04mN・m)未満の状態から撹拌トルクが20%(0.86mN・m)を超えるまでの時間を硬化時間として、硬化時間の測定、評価を行った。結果を表10に示す。
<実施例2~16、18~32、比較例1~21> エポキシ樹脂組成物の硬化時間測定
表10に記載のチオウレタン化合物、エポキシ樹脂、アミン化合物、自動硬化時間測定装置の予熱温度とする以外はすべて実施例1と同様にして硬化時間の測定、評価を行った。なお、比較例13,14においては、自動硬化時間測定装置の測定上限時間である167分で検討を終了した。結果を表10に示す。
表10に記載のチオウレタン化合物、エポキシ樹脂、アミン化合物、自動硬化時間測定装置の予熱温度とする以外はすべて実施例1と同様にして硬化時間の測定、評価を行った。なお、比較例13,14においては、自動硬化時間測定装置の測定上限時間である167分で検討を終了した。結果を表10に示す。
<実施例17> エポキシ樹脂組成物の硬化時間測定
チオウレタン化合物E、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)を混合し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の5倍質量のTHFを加えたのちに、アミン化合物10(ヘキシルアミン)の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。なお、エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:2:1になるよう調製した。
チオウレタン化合物E、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)を混合し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の5倍質量のTHFを加えたのちに、アミン化合物10(ヘキシルアミン)の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。なお、エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:2:1になるよう調製した。
あらかじめ30℃に加熱しておいた自動硬化時間測定装置のホットプレート(深さ約2mm)上に調製したエポキシ樹脂組成物約0.6mlを注ぎ、攪拌し、攪拌開始直後の攪拌トルク1%(0.04mN・m)未満の状態から撹拌トルクが20%(0.86mN・m)を超えるまでの時間を硬化時間として、硬化時間の測定、評価を行った。結果を表10に示す。
表1~3中で用いている略号の説明を以下に示す。
(エポキシ化合物)
BPA:ビスフェノールA型エポキシ樹脂。日鉄ケミカル&マテリアル株式会社のエポトートYD-128を使用した。
H-BPA:水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂。日鉄ケミカル&マテリアル株式会社のST-3000を使用した。
セロキサイド:3,4-エポキシシクロへキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート。株式会社ダイセル製。
THI-DE:1,2:5,6―ジエポキシヘキサヒドロインダン。東京化成工業株式会社製。
(アミン)
1:合成例1で得られたアミン化合物1(PTMGPA2000)。数平均分子量2100。
2:合成例2で得られたアミン化合物2(PEGPA1500)。数平均分子量1600。
3:合成例3で得られたアミン化合物3(PEGPA1000)。数平均分子量1100。
4:ポリ(プロピレングリコ―ル)ビス(2-アミノプロピルエーテル)。シグマアルドリッチ社製。
5:4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン。東京化成工業株式会社製。
6:1,4-ブタンジアミン。東京化成工業株式会社製。
7:N,N’-ジメチルエチレンジアミン。東京化成工業株式会社製。
8:1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン。東京化成工業株式会社製。
9:トリス(2-アミノエチル)アミン。Pressure Chemical Co.製。
10:ヘキシルアミン。東京化成工業株式会社製。
11:ベジケムグリーンV140。築野食品工業株式会社製のポリアミドアミン。アミン価370-400KOHmg/g。
12:トリス(3-アミノプロピル)アミン。東京化成工業株式会社製。
13:合成例5で得られたアミン化合物13。
BPA:ビスフェノールA型エポキシ樹脂。日鉄ケミカル&マテリアル株式会社のエポトートYD-128を使用した。
H-BPA:水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂。日鉄ケミカル&マテリアル株式会社のST-3000を使用した。
セロキサイド:3,4-エポキシシクロへキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート。株式会社ダイセル製。
1:合成例1で得られたアミン化合物1(PTMGPA2000)。数平均分子量2100。
2:合成例2で得られたアミン化合物2(PEGPA1500)。数平均分子量1600。
3:合成例3で得られたアミン化合物3(PEGPA1000)。数平均分子量1100。
4:ポリ(プロピレングリコ―ル)ビス(2-アミノプロピルエーテル)。シグマアルドリッチ社製。
5:4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン。東京化成工業株式会社製。
6:1,4-ブタンジアミン。東京化成工業株式会社製。
7:N,N’-ジメチルエチレンジアミン。東京化成工業株式会社製。
8:1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン。東京化成工業株式会社製。
9:トリス(2-アミノエチル)アミン。Pressure Chemical Co.製。
10:ヘキシルアミン。東京化成工業株式会社製。
11:ベジケムグリーンV140。築野食品工業株式会社製のポリアミドアミン。アミン価370-400KOHmg/g。
12:トリス(3-アミノプロピル)アミン。東京化成工業株式会社製。
13:合成例5で得られたアミン化合物13。
(チオウレタン)
A:チアゾリジン-2-オン。東京化成工業株式会社製。
B:2-ベンゾチアゾロール。東京化成工業株式会社製。
C:合成例6に記載のチオウレタン化合物C。
D:チアゾリジンジオン。東京化成工業株式会社製。
E:合成例7に記載のチオウレタン化合物E。
F:合成例8に記載のチオウレタン化合物F。
G:合成例9に記載のチオウレタン化合物G。
H:合成例10に記載のチオウレタン化合物H。
I:合成例11に記載のチオウレタン化合物I。
J:合成例12に記載のチオウレタン化合物J。
A:チアゾリジン-2-オン。東京化成工業株式会社製。
B:2-ベンゾチアゾロール。東京化成工業株式会社製。
C:合成例6に記載のチオウレタン化合物C。
D:チアゾリジンジオン。東京化成工業株式会社製。
E:合成例7に記載のチオウレタン化合物E。
F:合成例8に記載のチオウレタン化合物F。
G:合成例9に記載のチオウレタン化合物G。
H:合成例10に記載のチオウレタン化合物H。
I:合成例11に記載のチオウレタン化合物I。
J:合成例12に記載のチオウレタン化合物J。
表中、対N-H結合(mol倍)は以下の通りである。
・エポキシ基(mol部):エポキシ化合物中のエポキシ基のmol部
・N-H結合(mol部):アミン化合物中のN-H結合のmol部
・チオウレタン基(mol部):チオウレタン化合物中のチオウレタン基のmol部
・対N-H結合(mol倍)=(チオウレタン基のmol部)/(アミン化合物中のN-H結合mol部)
・エポキシ基(mol部):エポキシ化合物中のエポキシ基のmol部
・N-H結合(mol部):アミン化合物中のN-H結合のmol部
・チオウレタン基(mol部):チオウレタン化合物中のチオウレタン基のmol部
・対N-H結合(mol倍)=(チオウレタン基のmol部)/(アミン化合物中のN-H結合mol部)
表10
表10の結果より、本発明のエポキシ樹脂組成物は短時間で硬化するため、速硬化性に優れることが分かった。
また実施例5、比較例5、比較例13、比較例14の結果より、アミン化合物、ポリエポキシ化合物、チオウレタン化合物の三つが揃った際に、硬化時間の短縮効果が得られることが分かった。比較例5の結果より、アミン化合物とポリエポキシ化合物の反応により重合が進行していることが確認された。一方、比較例13の結果より、アミン化合物とチオウレタン化合物の反応は進行するが、アミン化合物とチオウレタン化合物の反応により生じたSH基がさらにチオウレタン化合物と反応して開環重合する可能性は低い、又は開環重合したとしても非常に反応速度が遅いと考えられる。また、比較例14の結果によると、チオウレタン化合物とポリエポキシ化合物のみでの重合は進行していないものと考えられる。
実施例5、比較例5、比較例13、比較例14の結果を鑑みると、本発明では、重合が以下に示す機構中のPath A、Path B双方の経路で進行していると考えられる。なお、下記化学式の記載においては、簡略化のため、チアゾリジン-2-オン、モノアミン、及びモノエポキシ化合物を用いた場合の例を記載するが、これに限定されない。
<実施例33> 硬化物の性質(アスカーA硬度)
エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:1:1になるよう、チオウレタン化合物A、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)、アミン化合物5の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。
エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:1:1になるよう、チオウレタン化合物A、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)、アミン化合物5の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。
調製したエポキシ樹脂組成物を円形のアルミ容器に膜厚1cmとなるように流し込み、80℃で2時間硬化させ、さらに、120℃で2時間硬化させた。室温まで冷却した硬化物のアスカーA硬度を高分子計器株式会社製アスカーゴム硬度計A型で測定した。結果を表11に示す。
<実施例34、比較例22~23> 硬化物の性質(アスカーA硬度)
表2に記載のチオウレタン化合物、エポキシ樹脂、アミン化合物とし、硬化温度を140℃、硬化時間を1時間とする以外はすべて実施例33と同様にして硬化物のアスカーA硬度の測定、評価を行った。結果を表11に示す。
表2に記載のチオウレタン化合物、エポキシ樹脂、アミン化合物とし、硬化温度を140℃、硬化時間を1時間とする以外はすべて実施例33と同様にして硬化物のアスカーA硬度の測定、評価を行った。結果を表11に示す。
表11
チオウレタン化合物Bを加えた実施例33,34では、それぞれ比較例22,23よりも柔軟な硬化物が得られた。
<実施例35> 硬化物の性質(引張試験)
エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:2:0.1になるよう、チオウレタン化合物A、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)、アミン化合物5の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。
エポキシ樹脂組成物の組成が、エポキシ基(mol):N-H結合(mol):チオウレタン基(mol)= 1:2:0.1になるよう、チオウレタン化合物A、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD-128)、アミン化合物5の順に加えて均一に溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。
調製したエポキシ樹脂組成物を幅200mm×長さ200mm×高さ2mmの型に流し込み、80℃で2時間、120℃で2時間、計4時間加熱した。得られたシートを室温まで冷却し、シートからダンベル3号形を使用して試験片を打ち抜き、試験片を得た(試験片厚み2mm)。得られた試験片について、切断時の引張強さ:Tb、切断時の伸び:Ebを、JIS K6251(1993)「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠して株式会社島津製作所製オートグラフAGS-X STDで測定した。結果を表12に示す。
<実施例36~39,比較例24~25> 硬化物の性質(引張試験)
表3に記載のチオウレタン化合物を用いる以外はすべて実施例35と同様にして硬化物の引張試験を行った。結果を表12に示す。
表3に記載のチオウレタン化合物を用いる以外はすべて実施例35と同様にして硬化物の引張試験を行った。結果を表12に示す。
表12
分子量220と比較的低分子量のアミン化合物5のN-H結合に対してチオウレタン化合物を0.05~0.40mol倍加えた実施例35~38で得られた硬化物は、比較例24で得られた硬化物と比較して、Tbが大幅に向上した。一方、分子量1000のアミン化合物3のN-H結合に対してチオウレタン化合物を0.05mol倍加えた実施例39で得られた硬化物は、比較例25で得られた硬化物と比較して、Ebが大幅に向上した。
ここで、チオウレタン化合物は、アミン化合物と反応してウレア結合を形成する。ウレア結合のNHに対してはエポキシ化合物のエポキシ基が反応しない。そうすると、アミン化合物とエポキシ化合物のみで反応させた場合よりも架橋密度が下がると考えられる。
比較的低分子量のアミン化合物5では、硬化により生成するウレア基の距離が十分に近く、ウレア基同士の相互作用が、架橋密度低下に伴うTb低下の影響を上回った為、Tbが大幅に向上したものと思われる。一方、分子量1000のアミン化合物3のような高分子アミンではEbは向上したものの、ウレア基の距離が遠く、ウレア基同士が相互作用せず、架橋密度低下の影響によりTbが低下したと思われる。
上記の実験結果より、本発明のチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤を使用することで、エポキシ樹脂組成物の硬化の際に、反応時間の短縮できることが分かった。さらに、本発明のチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤を使用した場合、エポキシ樹脂硬化物の柔軟性、伸び率の向上が可能であることが分かった。また、本発明のチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤の使用量によってエポキシ樹脂硬化物の柔軟性や伸び率の調整が可能であることが分かった。
Claims (25)
- 式(1)に示すチオウレタン化合物を含むエポキシ樹脂硬化助剤。
式(1):
R1は単結合、下記式(a1)で表される(チオ)アミド結合又は下記式(a2)で表されるエステル結合を示す。
式(a1):
式(a2):
xは1以上の整数である。但し、Aが水素原子の場合、R1が式(a1)で表されるチオアミド結合であり且つEが硫黄原子である場合、又はR1が式(a2)で表されるエステル結合である場合、xは1である。
R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
式(c1):
- Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
置換基が、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、下記式(c2)で表される基、下記式(c3)で表される基からなる群より選択される1以上の置換基である請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
式(c2):
式(c3):
- Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
下記式(d1)~(d5)からなる群より選択されるいずれかで表される含窒素構造を有する炭化水素基である、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
式(d1):
式(d2):
式(d3):
式(d4):
- xが1~8の整数である請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
- R1が単結合、又は式(a1)で表される(チオ)アミド結合である請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
- R1が式(a1)で表され、且つ式(a1)中のEが酸素原子である、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
- イソ(チオ)シアネートと下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させて得られる化合物を含む、エポキシ樹脂硬化助剤。
式(2):
式(c1):
- 前記イソ(チオ)シアネートが分子内にイソ(チオ)シアネート基を2~8個有する化合物である、請求項7に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
- 前記イソ(チオ)シアネートが以下の(i)~(v)のいずれかである、請求項7又は8に記載のエポキシ樹脂硬化助剤。
(i)脂肪族ポリイソシアネート;
(ii)脂環式ポリイソシアネート;
(iii)芳香族ポリイソシアネート;
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート;
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。 - 請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤、及びポリエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤、ポリエポキシ化合物、及びアミン化合物を含み、
前記アミン化合物が1級アミン化合物及び/又は2級アミン化合物である、エポキシ樹脂組成物。 - 前記アミン化合物が1級アミン化合物である、請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項10に記載の組成物とアミン化合物を混合し、硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
- 前記アミン化合物が1級アミン化合物である、請求項13に記載の製造方法。
- 請求項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化する工程を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
- エポキシ樹脂硬化物を製造する方法であって、
(1)請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化助剤、及びアミン化合物を反応させる工程、
(2)工程(1)で得られた反応物とポリエポキシ化合物を反応させる工程、
を含む、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。 - 請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物とアミン化合物との混合物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
- 前記アミン化合物が1級アミン化合物である、請求項17に記載のエポキシ樹脂硬化物。
- 請求項11又は12に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
- 下記式(3)で表される環状チオウレタン化合物。
式(3):
R3は水素原子又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。
xは1以上の整数を示す。但し、Aの炭化水素基がイソシアネート基を有さない場合、xは2以上の整数である。
R2は下記式(b1)~下記式(b8)のいずれかで表される基を示す。
式(c1):
- Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
置換基が、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、(モノアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基からなる群より選択される1以上の置換基である請求項20に記載の環状チオウレタン化合物。 - Aが置換基を有する炭化水素基である場合、
下記式(d1)~(d5)からなる群より選択されるいずれかで表される含窒素構造を有する炭化水素基である、請求項20に記載の環状チオウレタン化合物。
式(d1):
式(d2):
式(d3):
式(d4):
- ポリイソシアネートと、下記式(2)で表されるチオウレタン化合物を反応させて得られる化合物。
式(2):
式(c1):
- 前記ポリイソシアネートが、分子内にイソシアネート基を2~8個有する化合物である、請求項23に記載の化合物。
- 前記ポリイソシアネートが以下の(i)~(v)のいずれかである、請求項23又は24に記載の化合物。
(i)脂肪族ポリイソシアネート;
(ii)脂環式ポリイソシアネート;
(iii)芳香族ポリイソシアネート;
(iv)芳香脂肪族ポリイソシアネート;
(v)脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種から形成された変性イソシアネート。
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