JP2023104788A - 電動機の制御方法、及び電動機の制御装置 - Google Patents

電動機の制御方法、及び電動機の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い周波数領域における電圧脈動の低減が可能な電動機の制御方法、及び出動機の制御装置を提供する。【解決手段】固定子巻線を含む電動機をPWM信号により駆動制御する電動機の制御方法であって、トルク指令値に基づいて前記固定子巻線に対する相電圧指令値を算出し、相電圧指令値を基本波としたときに当該基本波の周波数に対して少なくとも(2n+1)次の高調波を含む高調波電圧指令値を算出し、高調波電圧指令値に所定のゲインを乗算した値と相電圧指令値とを加算して得られる最終電圧指令値に基づいてPWM信号を生成し、PWM信号に関連する変調率、PWM信号のキャリア周波数、トルク指令値の少なくともいずれか1つに基づいてゲインを設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、電動機の制御方法、及び電動機の制御装置に関する。
特許文献1は、電動機の制御に関し、直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する電力変換装置がスイッチング動作を行うことにより発生する電圧脈動を抑制する内容を開示している。
特開2018-057207号公報
しかし、特許文献1に係る電動機の制御は、発生する電圧脈動を検出し、検出した電圧脈動に基づいて電力変換装置のスイッチング動作を補正する構成であるため、高い周波数領域(例えばキャリア周波数よりも高い周波数領域)における電圧脈動の低減が困難であった。
本発明は、高い周波数領域における電圧脈動の低減が可能な電動機の制御方法、及び電動機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明による電動機の制御方法は、固定子巻線を含む電動機をPWM信号により駆動制御する電動機の制御方法である。この制御方法では、トルク指令値に基づいて固定子巻線に対する相電圧指令値を算出し、相電圧指令値を基本波としたときに当該基本波の周波数に対して少なくとも(2n+1)次の高調波を含む高調波電圧指令値を算出し、高調波電圧指令値に所定のゲインを乗算した値と相電圧指令値とを加算して得られる最終電圧指令値に基づいてPWM信号を生成する。そして、PWM信号に関連する変調率、PWM信号のキャリア周波数、トルク指令値の少なくともいずれか1つに基づいてゲインを設定する。
本発明によれば、PWM制御により直流電圧を交流電圧に変換して電動機に電力を供給する場合、PWM信号において、高調波、特に特定の変調率で顕著に表れるキャリア周波数の2倍の周波数の脈動成分を低減できるので、直流電圧に重畳される脈動成分を検出することなく当該脈動成分の振幅を抑制できる。よって、高い周波数領域における電圧脈動の低減が可能となる。
図1は、本実施形態の電動機の制御装置の基本構成の一例を示す図である。 図2は、本実施形態のゲイン算出部のブロック図である。 図3は、縦軸をゲインとし、横軸を変調率とした座標空間において、最終三相電圧指令値がバッテリ電圧と一致するときのゲインと変調率との関係を示す第1特性曲線を境界とし最終三相電圧指令値がバッテリ電圧以下となるゲインの領域を示す図である。 図4は、縦軸をゲインとし、横軸を変調率とした座標空間において、最終三相電圧指令値がバッテリ電圧と一致するときのゲインと変調率の関係を表した第1特性曲線を境界とし最終三相電圧指令値がバッテリ電圧以下となるゲインの領域と、所定のキャリア周波数において直流電圧リプルが許容最大振幅と一致するときのゲインと変調率との関係を示す第2特性曲線を境界とし当該直流電圧リプルが許容最大振幅以下となるゲインの領域と、が互いに重なる領域を示す図である。 図5は、キャリア周波数の2倍の周波数で脈動する直流電圧リプルの振幅と変調率との関係を示す図である。 図6は、図4においてトルク指令値が最大トルクに設定され且つキャリア周波数が低キャリア周波数に設定された場合であって直流電圧リプルが許容最大振幅に一致するときのゲインと変調率との関係を表す第3特性曲線を追加した図である。 図7は、図6において、トルク指令値を最大トルクから当該最大トルクよりも低いトルクに切り替えたことに対応して、第3特性曲線が、ゲインが増加する方向にシフトすることを示す図である。 図8は、図6において、キャリア周波数を低キャリア周波数から高キャリア周波数に切り替えたことに対応して、第3特性曲線が極小値を中心とする曲線形状の先鋭度が低くなるように変形することを示す図である。 図9は、本実施形態の電動機の制御装置の制御フローを示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[制御装置の基本構成]
図1は、本実施形態の電動機の制御装置の基本構成の一例を示す図である。
本実施形態における電動機(モータ109)の制御装置(制御方法)は、電動車両のモータ109を制御対象とする。電動車両は、モータ109を駆動力とする電気自動車だけでなく、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車も含まれる。
図1に例示するモータ109は、固定子と回転子を有する。ここで、モータ109の回転子に関しては、その種類を制限するものではなく、例えば、永久磁石型回転子、巻線型回転子、籠型回転子などの回転子に適用可能である。図1では固定子巻線の相数を代表的に3相で表現するが、本実施形態では、3相以上の多相固定子巻線を備える電動機に適用可能である。
本実施形態の制御装置は、トルク制御部101、座標変換器102(dq軸→UVW相変換器)、3次高調波電圧算出部103、ゲイン算出部104、加算器113、PWM変換器105、インバータ106、電圧検出器107、電流検出器108、回転子位置センサ110、回転数算出部111、座標変換器112(UVW相→dq軸変換器)等を備える。
トルク制御部101(相電圧算出手段)には、トルク指令値T、回転数検出値N、バッテリ電圧検出値Vdc、d軸電流i、q軸電流iが入力される。ここで、トルク指令値Tは、アクセル開度等により算出される。
トルク制御部101は、入力された上記情報に基づいてd軸電流指令値i 、q軸電流指令値i を算出し、さらにd軸電流指令値i 、q軸電流指令値i を入力値とする電流ベクトル制御演算を行ってd軸電圧指令値v 、q軸電圧指令値v を算出し、出力する。
キャリア周波数fcarrは、後述の最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )からPWM信号を生成する際に最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )とコンペアマッチするキャリア波の周波数である。キャリア周波数fcarrは、動作条件、例えば回転数検出値N、及び/又は、トルク指令値T(又はモータ109で発生するトルクに対応するd軸電流i、q軸電流i)に基づいて算出する。例えばモータ109を高速回転させる程1回転あたりの制御回数が減少するため、キャリア周波数fcarrを高くする必要がある。
変調率mは、d軸電圧指令値v 、q軸電圧指令値v 、バッテリ電圧検出値Vdcを用いて以下の(1)式により算出する。
Figure 2023104788000002
座標変換器102(相電圧算出手段)は、d軸電圧指令値v 、及びq軸電圧指令値v をモータ109の電気角検出値θに基づき、(2)式に従って三相電圧指令値(v 、v 、v )(相電圧指令値)に変換して出力する。なお、変調率mを、バッテリ電圧検出値Vdcに対する三相電圧指令値(v 、v 、v )の最大値の割合により算出してもよい。さらに変調率mを、PWM信号を生成するためのキャリア波の最大値に対する最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )の最大値の割合により算出してもよい。
Figure 2023104788000003
3次高調波電圧算出部103(高調波算出手段)は、三相電圧指令値(v ,v ,v )及びモータ109の電気角検出値θに基づき電圧利用率向上を目的とした高調波電圧指令値vを出力する。三相電圧指令値(v ,v ,v )に高調波電圧指令値vを加算することで、正弦波である三相電圧指令値(v ,v ,v )と比較して電圧利用率を向上させることができる。
ここで、高調波電圧指令値vは、中性点を有する(2n+1)相固定子巻線を備える回転機における電圧利用率向上を目的としたものであり、少なくとも(2n+1)次の高調波を含むものである。そして、高調波電圧指令値vは、例えば以下の(3)式、(4)式のように表すことができるが、これらの式に示すものに限定されない。
Figure 2023104788000004
ここで、Vnは、三相電圧指令値(vu、vv、vw)の最大振幅である。
Figure 2023104788000005
ここで、max(v ,v ,v )は三相電圧指令値(v ,v ,v )の瞬時値のうち最大となる値であり、min(v ,v ,v )は三相電圧指令値(v ,v ,v )の瞬時値のうち最小となる値である。
ゲイン算出部104(ゲイン出力手段)は、高調波電圧指令値vに変調率m、キャリア周波数fcarr、トルク指令値T(又はモータ109で発生するトルクに対応するd軸電流i、q軸電流i)に応じて設定されるゲインkを乗算した補正値v (=k・v)を出力する。ゲイン算出部104によるゲインkの設定については後述する。
加算器113(最終電圧算出部)は、三相電圧指令値(v ,v ,v )のそれぞれに値v を加算して最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )(最終電圧指令値)を生成して出力する。
PWM変換器105(PWM信号変換手段)は、最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )、キャリア周波数fcarr、バッテリ電圧検出値Vdcに基づき、インバータ106のパワー素子を駆動するパルス信号となるPWM信号(Duu、Dul、Dvu、Dvl、Dwu、Dwl)を出力する。
インバータ106は、PWM信号によってパワー素子を駆動し、バッテリ114から出力されるバッテリ電圧(直流電圧)を三相PWM電圧(v、v、v)に変換してモータ109(固定子巻線)に印加する。
なお、インバータ106とバッテリ114との間には平滑コンデンサ115が配置され、インバータ106で発生する脈動成分であって直流電圧に重畳される脈動成分を平滑化(低減)する。
電圧検出器107は、バッテリ電圧検出値Vdc(平滑コンデンサ115の両端に印加される電圧)を検出する。
電流検出器108は、回転子に流れる三相の電流のうち少なくとも2相の電流i、iを検出する。
座標変換器112は、電流検出器108が検出した電流i、iと、電気角検出値θを用いて、以下の(5)式によりd軸電流i及びq軸電流iを算出する。
Figure 2023104788000006
回転子位置センサ110は、電気角検出値θを検出する。
回転数算出部111は、電気角検出値θの所定時間の変化量から回転数検出値Nを算出して出力する。
[ゲイン算出部104]
図2は、本実施形態のゲイン算出部104のブロック図である。ゲイン算出部104は、高調波電圧指令値v(振幅)を補正するゲインkを設定するゲイン設定部104a(ゲイン設定手段)を含む。
三相電圧指令値(v ,v ,v )に高調波電圧指令値vの補正値v を加算して電圧利用率を向上させる手法は公知技術であるが、モータ109の出力向上に有用な技術である。
しかし、変調率mが特定の値近傍において平滑コンデンサ115に印加される直流電圧においてキャリア周波数fcarrの2倍の周波数における脈動成分(以下、平滑コンデンサ115に印加される直流電圧における脈動成分を「直流電圧リプル」という。)が増大するという課題がある。
例えば、変調率mが50%近傍である場合、U相のPWM信号(Duu、Dul)、V相のPWM信号(Dvu、Dvl)、W相のPWM信号(Dwu、Dwl)は、それぞれDuty比が25%付近で脈動する状態と、Duty比が25%から75%まで直線的に変化する状態と、Duty比が75%付近で脈動する状態と、Duty比が75%から25%まで直線的に変化する状態と、を1周期として変化する。
例えばU相のPWM信号(Duu、Dul)が、そのDuty比が75%付近で脈動する状態であるときは、V相のPWM信号(Dvu、Dvl)が、そのDuty比が25%から75%まで直線的に変化する状態となり、W相のPWM信号(Duu、Dul)が、そのDuty比が25%付近で脈動する状態となっている。
このとき、PWM信号(Duu)の立ち上がるタイミング、PWM信号(Dwl)が立ち下がるタイミング、PWM信号(Dwl)が立ち上がるタイミング、PWM信号(Duu)の立ち上がるタイミングが、等間隔の時間で発生する。よって、これに起因して平滑コンデンサ115側では、キャリア周波数fcarrの2倍の周波数の直流電圧リプル(三角波)が強く発生する。
ところで、モータ109等の電動機(回転機)を駆動する場合、インバータ106等の電力変換器の入力である直流母線に平滑コンデンサ115等の静電容量手段を並列に接続することが一般的である。このように構成することで、例えば直流母線に接続された他の機器の負荷変動や電力変換器のスイッチングに起因して発生する直流電圧の脈動が抑制されるため、良好なトルク又は電流制御が可能となる他、静電容量手段やバッテリ等の電源装置の発熱が抑制される。
ところが、静電容量手段の大型化は装置の大型化を招くため、直流電圧の脈動を抑制できる電力装置が望まれている。
従来技術(特許文献1等)では静電容量手段に印加される直流電圧に重畳される脈動成分を検出し、その脈動成分の瞬時値の増大に応じて電動機の負荷角を増大させることでその脈動の抑制を行っていた。
しかし、従来技術では、静電容量手段に印加される直流電圧に重畳される脈動成分を検出する構成であるため、検出速度以上の周波数において、静電容量手段に印加される直流電圧に重畳される脈動成分を抑制できないという問題がある。
また、従来技術では、PWM制御で電動機を駆動し、検出した静電容量手段に印加される直流電圧に重畳される脈動成分に対して電動機の負荷角を増大させる構成であるため、PWM信号のキャリア周波数以上の周波数において、静電容量手段に印加される直流電圧に重畳される脈動成分を抑制できないという問題がある。
一方、本実施形態では、PWM信号が前記の特定のDuty比付近で脈動するときの脈動幅を高調波電圧指令値vに乗算するゲインkにより変化させることができる。そして、当該脈動幅を大きくすることで、PWM信号が前記の特定のDuty比付近に滞在する時間の割合を減らすことで、電圧利用率の低下を抑制しつつキャリア周波数fcarrの2倍の周波数の直流電圧リプルの振幅を小さくすることが可能である。
そこで、本実施形態では、変調率m、キャリア周波数fcarr、トルク指令値Tの少なくともいずれか一つに応じてゲインkを設定することでキャリア周波数fcarrの2倍の周波数における直流電圧リプルを低減することができ、平滑コンデンサ115に印加される直流電圧に重畳される脈動成分(直流電圧リプル)を低減することができる。
[ゲインkの設定可能な範囲]
図3は、縦軸をゲインkとし、横軸を変調率mとした座標空間において、最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)と一致するときのゲインkと変調率mとの関係を示す第1特性曲線201を境界とし最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)以下となるゲインkの領域を示す図である。
次に最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)を超えないゲインkの範囲について説明する。
ゲインkの絶対値を増加させるとゲイン算出部104の出力である補正値v が増加する。下記ではゲインkを負に増加させる場合を示すが、正に増加させる場合も同様である。補正値v が増加することで最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )が増加し、バッテリ電圧で出力可能な範囲を超過する。
最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧で出力可能な範囲を超過すると三相電圧指令値(v ,v ,v )通りの電圧をモータ109へ印加できずトルクが不足する。また、指令値通りの電圧がモータ109へ印加できないと、平滑コンデンサ115の直流電圧における脈動成分の低減を意図通りに実現できない。そこで、ゲインkは最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )の最大値がバッテリ電圧で出力可能な範囲を超えない値に制限する。
図3に示す第1特性曲線201は、最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )の最大値がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)に一致するときのゲインkと変調率mの関係を示しており、変調率mの増加とともにゲインkが単調に増加する(絶対値が小さくなる)曲線を描いている。
図3において、最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )生成するときのゲインkと変調率mを示す特性点(k,m)は、第1特性曲線201上と第1特性曲線201よりも左側の領域(ハッチングにより示される領域)の任意の位置に配置可能である。図3に示すように、ゲインkの設定可能な範囲は変調率mが増加する程制限される。
図4は、縦軸をゲインkとし、横軸を変調率mとした座標空間において、最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)と一致するときのゲインkと変調率mの関係を表した第1特性曲線201を境界とし最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)以下となるゲインkの領域と、所定のキャリア周波数fcarrにおいて直流電圧リプルが許容最大振幅と一致するときのゲインkと変調率mとの関係を示す第2特性曲線202A(第2特性曲線202B)を境界とし当該直流電圧リプルが許容最大振幅以下となるゲインkの領域と、が互いに重なる領域を示す図である。
ここでは、キャリア周波数fcarrに応じたゲインkの範囲について説明する。一般的に平滑コンデンサ115の等価直列抵抗は本実施形態で想定されるキャリア周波数fcarrの領域では低周波程大きくなる特性を持つ。従って、同じエネルギー量の直流電圧リプルが発生した場合、低周波側の損失が大きくなるため、周波数毎に定格電圧が異なる。
また例えば、本実施形態とバッテリ電源を共通にする機器の誤動作又は故障等を防ぐ目的で周波数毎の直流電圧リプルの閾値を予め設定される場合、周波数毎に直流電圧リプルの閾値が異なる。つまり、直流電圧リプルの超えてはならない閾値(許容最大振幅)が周波数毎に異なる。
また、設定するキャリア周波数fcarrに応じて直流電圧リプルの周波数分布が変化するため、キャリア周波数毎にゲインkの制限範囲が異なる。よって、直流電圧リプルの超えてはならない閾値(許容最大振幅)が周波数毎に異なる。従って、本実施形態では予め設定された周波数毎の直流電圧リプルの閾値を超えないように、キャリア周波数fcarrに応じてゲインkを制限する。
図4に示す第2特性曲線202A(第2特性曲線202B)は、設定されたキャリア周波数fcarrにおいて直流電圧リプルの許容最大振幅と一致するときのゲインkと当該ゲインkに対応する変調率mとの関係を表すものである。第2特性曲線202A(第2特性曲線202B)は変調率mの増加とともにゲインkが単調に増加する曲線を描く。
図4において、最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )生成するときのゲインkと変調率mを示す特性点(k,m)は、第2特性曲線202A(第2特性曲線202B)よりも左側の領域となる。そして設定可能なゲインkは、第1特性曲線201よりも左側の領域且つ第2特性曲線202A(第2特性曲線202B)よりも左側の領域(ハッチングにより示される)領域に設定可能となる。
例えば、キャリア周波数fcarrとして高キャリア周波数(例えば10[kHz])が設定された場合、第2特性曲線202Bが第1特性曲線201よりも右側に配置されるので、高キャリア周波数が設定された場合は実質的に第1特性曲線201を境界として特性点(k,m)の設定可能な領域が制限される。
一方、キャリア周波数fcarrとして低キャリア周波数(例えば5[kHz])が設定された場合、第2特性曲線202Aが第1特性曲線201よりも左側に配置される部分(ゲインkが-6.3から-3.7までの部分)と右側に配置され部分(ゲインkが-6.3よりも低い部分と、ゲインkが-3.7より高い部分)が存在する。よって、低キャリア周波数が設定された場合、ゲインkが-6.3よりも低く、-3.7より高い領域では、第2特性曲線202Aを境界として特性点(k,m)を設定可能な領域が制限され、ゲインkが-6.3以上で-3.7以下の場合は第1特性曲線201を境界として特性点(k,m)を設定可能な領域が制限される。
図5は、キャリア周波数fcarrの2倍の周波数で脈動する直流電圧リプルの振幅と変調率mとの関係を示す図である。
図6は、図4においてトルク指令値Tが最大トルクに設定され且つキャリア周波数fcarrが低キャリア周波数に設定された場合であって直流電圧リプルが許容最大振幅に一致するときのゲインkと変調率mとの関係を表す第3特性曲線203Aを追加した図である。
図7は、図6において、トルク指令値Tを最大トルクから当該最大トルクよりも低いトルクに切り替えたことに対応して、第3特性曲線203Bが、ゲインkが増加する方向にシフトすることを示す図である。
図5に示すように、キャリア周波数fcarrを低キャリア周波数(例えば5[kHz])に設定した場合、低キャリア周波数の2倍の周波数(10[kHz])で脈動する直流電圧リプルが発生するが当該直流電流リプルは変調率mにより増減する。特に変調率mが0.5付近(特性点204)で直流電圧リプルが最大となる。またトルク指令値Tが増加しても直流電圧リプルが増加する。よって、モータ109に所定のトルク指令値Tが設定される場合、特性点(k,m)の設定可能な範囲は、図6の第3特性曲線203A(トルク指令値Tが最大トルク以下のトルクである場合も含む)上に制限される。
図6において、第3特性曲線203Aは、トルク指令値Tが最大トルクに設定され且つキャリア周波数fcarrが低キャリア周波数に設定された場合であって直流電圧リプルが許容最大振幅に一致するときのゲインkと変調率mとの関係を示すものである。第3特性曲線203A(図7の第3特性曲線203B、図8の第3特性曲線203C)は、図5に示す曲線を逆さまにしたものに対応し、直流電圧リプルが最大となるときの変調率mであって最もゲインkが低くなる位置を極小値とし、ゲインkが低くなる方向を凸とする曲線形状を有する。
ここで、第3特性曲線203A(図7の第3特性曲線203B)は、第1特性曲線201及び第2特性曲線202A(キャリア周波数fcarrが第3特性曲線203Aと同じ)に交差することなく、第1特性曲線201及び第2特性曲線202Aよりも左側、即ちゲインkが設定可能な領域内に配置されている。よって、トルク指令値Tが最大トルクとなる場合の特性点(k,m)を第3特性曲線203A上に設定することができる。
なお、図6に示すように、第3特性曲線203A上の極小値(変調率mは約0.5)に特性点(k,m)(特性点204)を設定すると、従来技術(特許文献1等)のようにゲインkを1に設定した場合と比較して、キャリア周波数fcarrの2倍の周波数で脈動する直流電圧リプルが約23.6%低減することが本願発明者により確認された。
トルク指令値T(モータ109で発生するトルク)が小さくなると直流電圧リプルも小さくなる。よって、その分ゲインkを大きな値に設定可能である。
図7は、図6において、トルク指令値Tを最大トルクから当該最大トルクよりも低いトルクに切り替えたことに対応して、第3特性曲線203Bが、ゲインkが増加する方向にシフトすることを示す図である。
図7に示すように、第3特性曲線203Bは、第3特性曲線203Aと比較してトルク指令値Tの減少とともにゲインkが高くなる方向にシフトする。これにより、トルク指令値Tに応じて直流電圧リプルが許容最大振幅(平滑コンデンサ115の閾値電圧)を超えないゲインkであって最も高いゲインkを設定することができる。
図8は、図6において、キャリア周波数fcarrを低キャリア周波数から高キャリア周波数に切り替えたことに対応して、第3特性曲線203Cが極小値を中心とする曲線形状の先鋭度が低くなるように変形することを示す図である。
キャリア周波数fcarrが変化すると予め設定されたキャリア周波数fcarrごとの直流電圧リプルの閾値(許容最大振幅)も異なる。キャリア周波数fcarrを高キャリア周波数(例えば10[kHz])に設定した場合、当該高キャリア周波数の整数倍の周波数で脈動する直流電圧リプルが発生し得るが、変調率mの変化に伴う直流電圧リプルの振幅の変化が小さくなる傾向がある。
よって、図8に示すように、キャリア周波数fcarrが高キャリア周波数に設定されたときの第3特性曲線203Cは、キャリア周波数fcarrが低キャリア周波数(例えば5[kHz])に設定されたときの第3特性曲線203Aと比較して、極小値の位置の変化はほとんどないが、極小値を中心とする曲線形状の先鋭度が低下している。すなわち変調率mの変化に伴うゲインkの変化が小さくなるように変形している。
なお、第3特性曲線203Cは、第1特性曲線201及び第2特性曲線202B(キャリア周波数fcarrが第3特性曲線203Cと同じ)に交差することなく、第1特性曲線201及び第2特性曲線202Bよりも左側、即ちゲインkが設定可能な領域内に配置されている。
図6に示す第3特性曲線203A、図7に示す第3特性曲線203B、図8に示す第3特性曲線203Cはそれぞれマップとして記憶しておくことが可能であり、変調率m、キャリア周波数fcarr、トルク指令値T(又はモータ109で発生するトルクに対応するd軸電流i,q軸電流i)を入力値とし、マップを参照してゲインkを設定することが可能となる。もちろん第3特性曲線203A等を多項式等の式に置き換えることも可能である。
過変調領域(変調率mが1より高い領域)では既に最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)で出力可能な範囲を超えており、本実施形態を適用することができない。しかし本実施形態は従来の高調波電圧指令値vにゲインkを乗算する構成のため、過変調領域においてゲインkを1倍に設定することで従来の構成が実現される。従って、最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )がバッテリ電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)の範囲を超える範囲においてゲインkを1倍に設定することで本実施形態と従来技術の構成のロジックの切り替えが不要となる。
[制御フロー]
図9は、本実施形態の電動機の制御装置の制御フローを示す図である。本実施形態の電動機の制御装置(制御方法)のフローについて説明する。なお、本実施形態の制御装置(制御方法)は、以下のステップS301乃至ステップS311の処理を実行するためのプログラムを備えている。
ステップS301において、電流検出器108が回転子に流れる三相の電流のうち電流i、電流iを検知し、回転子位置センサ110が、回転子の電気角検出値θを検知する。
ステップS302において、座標変換器112が電流i、電流i、電流i(i=-i-i)を、上記の(5)式に基づいて、d軸電流i、q軸電流iに変換する。また、回転数算出部111は、電気角検出値θに基づいて回転数検出値Nを算出する。
ステップS303において、トルク制御部101は、トルク指令値T、d軸電流i、q軸電流i、回転数検出値N、バッテリ電圧検出値Vdcに基づき、電流ベクトル制御を介してd軸電圧指令値v 及びq軸電圧指令値v を算出する。またトルク制御部101は、車両の動作条件に基づいてキャリア周波数fcarrを設定し、上記の(1)式等に基づいて変調率mを算出する。
ステップS304において、座標変換器102は、上記の(2)式に基づいてd軸電圧指令値v 及びq軸電圧指令値v に座標変換を行うことで三相電圧指令値(v ,v ,v )を生成する。
ステップS305において、3次高調波電圧算出部103は、三相電圧指令値(v ,v ,v )、モータ109の電気角検出値θに基づき、例えば上記の(3)式、(4)式に基づいて高調波電圧指令値vを生成する。
ステップS306において、ゲイン算出部104は、キャリア周波数fcarr、トルク指令値T、変調率mを入力する。
ステップS307において、ゲイン算出部104(ゲイン設定部104a)は、過変調であるか否か、すなわち変調率mが1より高いか否かを判断し、YESであればステップS308に移行し、NOであればステップS309に移行する。
ステップS308において、ゲイン算出部104(ゲイン設定部104a)は、キャリア周波数fcarr及びトルク指令値Tに関わらずゲインkを1倍に設定し、高調波電圧指令値vにゲインkを乗じて補正値v を算出する。
ステップS309において、ゲイン算出部104(ゲイン設定部104a)は、マップを参照して、キャリア周波数fcarr、トルク指令値T、変調率mに対応するゲインkの値を設定する。
ステップS311において、ゲイン算出部104(ゲイン設定部104a)は、高調波電圧指令値vにゲインkを乗じて補正値v を算出する。
ステップS312において、加算器113は、三相電圧指令値(v ,v ,v )と補正値v とを加算して最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )を算出し、PWM変換器105は最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 )に基づいてPWM信号(Duu、Dul、Dvu、Dvl、Dwu、Dwl)を算出する。
[本実施形態の効果]
本実施形態の電動機(モータ109)の制御方法によれば、固定子巻線を含む電動機(モータ109)をPWM信号により駆動制御する電動機(モータ109)の制御方法であって、トルク指令値Tに基づいて固定子巻線に対する相電圧指令値(三相電圧指令値(v ,v ,v ))を算出し、相電圧指令値(三相電圧指令値(v ,v ,v ))を基本波としたときに当該基本波の周波数に対して少なくとも(2n+1)次の高調波を含む高調波電圧指令値vを算出し、高調波電圧指令値vに所定のゲインkを乗算した値(補正値v*)と相電圧指令値(三相電圧指令値(v ,v ,v ))とを加算して得られる最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))に基づいてPWM信号を生成し、PWM信号に関連する変調率m、PWM信号のキャリア周波数fcarr、トルク指令値Tの少なくともいずれか1つに基づいてゲインkを設定する。
上記方法により、PWM制御により直流電圧を交流電圧に変換して電動機に電力を供給する場合、PWM信号において、高調波、特に特定の変調率mで顕著に表れるキャリア周波数fcarrの2倍の周波数の脈動成分を低減できるので、直流電圧に重畳される脈動成分を検出することなく当該脈動成分の振幅を抑制できる。よって、高い周波数領域における電圧脈動の低減が可能となる。
本実施形態において、駆動制御において直流電源(バッテリ114)から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動機(モータ109)に印加するものとし、ゲインkを、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))の最大値が直流電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)を超えない値に設定する。
これにより、直流電源(バッテリ114)が供給する直流電圧の範囲内で最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))を生成することで所望の電圧指令値を実現できるため、平滑コンデンサ115に印加される直流電圧における脈動成分を意図通りに低減できる。
本実施形態において、駆動制御において直流電源(バッテリ114)から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動機(モータ109)に印加するとともに、直流電圧を交流電圧に変換する際に直流電圧に重畳される脈動成分を平滑コンデンサ115により平滑化する場合において、ゲインkを、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))の最大値が直流電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)を超えない値であって、キャリア周波数fcarrに対応して設定された脈動成分の許容最大振幅を超えないように当該キャリア周波数fcarrに応じて設定する。
上記方法により、キャリア周波数fcarrごとに平滑コンデンサ115に印加される直流電圧に重畳される脈動成分の低減量を調整することができる。
本実施形態において、駆動制御において直流電源(バッテリ114)から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動機(モータ109)に印加するとともに、直流電圧を交流電圧に変換する際に直流電圧に重畳される脈動成分を平滑コンデンサ115により平滑化する場合であって、トルク指令値Tが電動機(モータ109)で印加可能な最大トルクに設定され、且つ脈動成分がキャリア周波数fcarrの2倍の周波数であって、脈動成分の振幅が特定の変調率mにおいて極大値を有する場合において、ゲインkを、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))の最大値が直流電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)を超えない値であって、キャリア周波数fcarrに対応して設定された平滑コンデンサ115の閾値電圧(許容最大振幅)を超えないように、且つ特定の変調率mにおいて設定される脈動成分の許容最大振幅を超えないように設定する。
上記方法により、平滑コンデンサ115に印加される直流電圧においてキャリア周波数fcarrの2倍の周波数の脈動成分の振幅が最大となる動作点で、その脈動成分を最も低減することができる。
本実施形態において、変調率mが所定値(例えば1)を超えた場合にゲインkを1に設定する。
上記方法により、過変調領域においてゲインkを1倍に設定することで、本発明内容を適用することができない過変調領域と本発明内容を適用することができる通常領域とでロジック切り替えが不要となる。
本実施形態において、駆動制御により直流電源(バッテリ114)から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動機(モータ9)に印加し、ゲインkを第1軸とし変調率mを第2軸とする座標空間において、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))の最大値と直流電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)が一致するときのゲインkと、変調率mと、の関係を示す第1特性曲線201を表し、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))を算出する際のゲインk及び変調率mを座標空間上の特性点として表す場合において、特性点に係るゲインkが、特性点と同じ変調率mとなる第1特性曲線201上の点以上の値となる位置に配置され、特性点に係る変調率mが、特性点と同じゲインkとなる第1特性曲線201上の点以下の値となる位置に配置されるようにゲインkを設定する。
これにより、直流電源(バッテリ114)が供給する直流電圧の範囲内で最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))を生成することで所望の電圧指令値を実現できるため、平滑コンデンサ115に印加される直流電圧における脈動成分を意図通りに低減できる。
本実施形態において、駆動制御において直流電源(バッテリ114)から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動機(モータ109)に印加するとともに、直流電圧を交流電圧に変換する際に直流電圧に重畳される脈動成分を平滑コンデンサ115により平滑化する場合であって、ゲインkを第1軸とし変調率mを第2軸とする座標空間において、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))の最大値と直流電圧(バッテリ電圧検出値Vdc)が一致するときのゲインkと、変調率mと、の関係を示す第1特性曲線201と、脈動成分(直流電圧リプル)の振幅がキャリア周波数fcarrに対応して設定された脈動成分の許容最大振幅と一致するときのゲインkと、変調率mと、の関係を示す第2特性曲線202A(202B)と、を表し、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))を算出する際のゲインk及び変調率mを座標空間上の特性点として表す場合において、特性点に係るゲインkが、特性点と同じ変調率mとなる第1特性曲線201上の点及び第2特性曲線202A(202B)上の点以上となる位置に配置され、特性点に係る変調率mが、特性点と同じゲインkとなる第1特性曲線201上の点及び第2特性曲線202A(202B)上の点以下となる位置に配置されるようにゲインkを設定する。
上記方法により、キャリア周波数fcarrごとに平滑コンデンサ115に印加される直流電圧に重畳される脈動成分の低減量を調整することができる。
本実施形態において、座標空間において、脈動成分(直流電圧リプル)の振幅がトルク指令値Tに基づいて設定される脈動成分(直流電圧リプル)の許容最大振幅に一致するときのゲインkと、変調率mと、の関係を示す第3特性曲線203A(203B,203C)を表すとともに、第3特性曲線203A(203B,203C)上のゲインkが、当該ゲインkに係る第3特性曲線203A(203B,203C)上の変調率mと同じ変調率mとなる第1特性曲線201上の点及び第2特性曲線202A(202B)上の点以上となる位置に配置され、第3特性曲線203A(203B,203C)上の変調率mが、当該変調率mに係る第3特性曲線203A(203B,203C)上のゲインkと同じゲインkとなる第1特性曲線201上の点及び第2特性曲線202A(202B)上の点以下となる位置に配置されるように第3特性曲線203A(203B,203C)が表される場合において、特性点が第3特性曲線203A(203B,203C)上に配置されるように、ゲインkを設定する。
上記方法により、トルク指令値Tが高い値に設定されていたとしても、脈動成分を低減することができる。
本実施形態において、脈動成分がキャリア周波数fcarrの2倍の周波数を含み、当該脈動成分の振幅が特定の変調率mにおいて極大値を有することで第3特性曲線203A(203B,203C)が特定の変調率mにおいて極小値を有する場合において、トルク指令値Tを電動機(モータ9)で印加可能な最大トルクに設定する。
上記方法により、平滑コンデンサ115に印加される直流電圧においてキャリア周波数fcarrの2倍の周波数の脈動成分の振幅が最大となる動作点(座標空間上の特性点)で、その脈動成分を最も低減することができる。
本実施形態において、トルク指令値Tが小さくなるほど第3特性曲線203A(203B,203C)が座標空間の第1軸の方向であってゲインkが高くなる方向にシフトするようにゲインkを設定する。これにより、トルク指令値Tの変化に基づいて適正なゲインkを設定できる。
本実施形態において、脈動成分がキャリア周波数fcarrの2倍の周波数を含み、当該脈動成分の振幅が特定の変調率mにおいて極大値を有することで第3特性曲線203A(203B,203C)が特定の変調率mにおいて極小値を有する場合において、キャリア周波数fcarrが高くなるほど第3特性曲線203A(203B,203C)の極小値を中心とする曲線形状の先鋭度が低くなるようにゲインkを設定する。これにより、キャリア周波数fcarrの変化に基づいて適正なゲインkを設定できる。
本実施形態の電動機の制御装置によれば、固定子巻線を含む電動機(モータ109)をPWM信号により駆動制御する電動機(モータ109)の制御装置であって、トルク指令値Tに基づいて固定子巻線に対する相電圧指令値(三相電圧指令値(v 、v 、v ))を算出する相電圧算出手段(トルク制御部101、座標変換器102)と、相電圧指令値(三相電圧指令値(v 、v 、v ))を基本波としたときに当該基本波の周波数に対して少なくとも(2n+1)次の高調波を含む高調波電圧指令値vを算出する高調波算出手段(3次高調波電圧算出部103)と、高調波電圧指令値vに所定のゲインkを乗算した値(補正値v )を出力する高調波出力手段(ゲイン算出部104)と、相電圧指令値(三相電圧指令値(v 、v 、v ))と高調波出力手段(ゲイン算出部104)の出力(補正値v )とを加算して最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))を生成する最終電圧算出部(加算器113)と、最終電圧指令値(最終三相電圧指令値(vu0 ,vv0 ,vw0 ))をPWM信号に変換するPWM信号変換手段(PWM変換器105)と、を含み、高調波出力手段(ゲイン算出部104)は、PWM信号に関連する変調率m、PWM信号のキャリア周波数fcarr、トルク指令値Tの少なくともいずれか1つに基づいてゲインkを設定するゲイン設定手段(ゲイン設定部104a)を含む。
上記構成により、PWM制御により直流電圧を交流電圧に変換して電動機に電力を供給する場合、PWM信号において、高調波、特に特定の変調率mで顕著に表れるキャリア周波数fcarrの2倍の周波数の脈動成分を低減できるので、直流電圧に重畳される脈動成分を検出することなく当該脈動成分の振幅を抑制できる。よって、高い周波数領域における電圧脈動の低減が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
101 トルク制御部,102 座標変換器,103 3次高調波電圧算出部,ゲイン算出部104,104a ゲイン設定部,105 PWM変換器,109 モータ,113 加算器

Claims (12)

  1. 固定子巻線を含む電動機をPWM信号により駆動制御する電動機の制御方法であって、
    トルク指令値に基づいて前記固定子巻線に対する相電圧指令値を算出し、
    前記相電圧指令値を基本波としたときに当該基本波の周波数に対して少なくとも(2n+1)次の高調波を含む高調波電圧指令値を算出し、
    前記高調波電圧指令値に所定のゲインを乗算した値と前記相電圧指令値とを加算して得られる最終電圧指令値に基づいて前記PWM信号を生成し、
    前記PWM信号に関連する変調率、前記PWM信号のキャリア周波数、前記トルク指令値の少なくともいずれか1つに基づいて前記ゲインを設定する電動機の制御方法。
  2. 前記駆動制御において直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換して前記電動機に印加するものとし、
    前記ゲインを、前記最終電圧指令値の最大値が前記直流電圧を超えない値に設定する請求項1に記載の電動機の制御方法。
  3. 前記駆動制御において直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換して前記電動機に印加するとともに、前記直流電圧を前記交流電圧に変換する際に前記直流電圧に重畳される脈動成分を平滑コンデンサにより平滑化する場合において、
    前記ゲインを、前記最終電圧指令値の最大値が前記直流電圧を超えない値であって、前記キャリア周波数に対応して設定された前記脈動成分の許容最大振幅を超えないように当該キャリア周波数に応じて設定する請求項1に記載の電動機の制御方法。
  4. 前記駆動制御において直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換して前記電動機に印加するとともに、前記直流電圧を前記交流電圧に変換する際に前記直流電圧に重畳される脈動成分を平滑コンデンサにより平滑化する場合であって、
    前記トルク指令値が前記電動機で印加可能な最大トルクに設定され、且つ前記脈動成分が前記キャリア周波数の2倍の周波数を含み、前記脈動成分の振幅が特定の前記変調率において極大値を有する場合において、
    前記ゲインを、前記最終電圧指令値の最大値が前記直流電圧を超えない値であって、前記キャリア周波数に対応して設定された前記平滑コンデンサの閾値電圧を超えないように、且つ前記特定の前記変調率において設定される前記脈動成分の許容最大振幅を超えないように設定する請求項1に記載の電動機の制御方法。
  5. 前記変調率が所定値を超えた場合に前記ゲインを1に設定する請求項1又は請求項2に記載の電動機の制御方法。
  6. 前記駆動制御により直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換して前記電動機に印加し、前記ゲインを第1軸とし前記変調率を第2軸とする座標空間において、前記最終電圧指令値の最大値と前記直流電圧が一致するときの前記ゲインと、前記変調率と、の関係を示す第1特性曲線を表し、前記最終電圧指令値を算出する際の前記ゲイン及び前記変調率を前記座標空間上の特性点として表す場合において、
    前記特性点に係る前記ゲインが、前記特性点と同じ前記変調率となる前記第1特性曲線上の点以上の値となる位置に配置され、前記特性点に係る前記変調率が、前記特性点と同じ前記ゲインとなる前記第1特性曲線上の点以下の値となる位置に配置されるように前記ゲインを設定する請求項1に記載の電動機の制御方法。
  7. 前記駆動制御において直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換して前記電動機に印加するとともに、前記直流電圧を前記交流電圧に変換する際に前記直流電圧に重畳される脈動成分を平滑コンデンサにより平滑化する場合であって、前記ゲインを第1軸とし前記変調率を第2軸とする座標空間において、前記最終電圧指令値の最大値と前記直流電圧が一致するときの前記ゲインと、前記変調率と、の関係を示す第1特性曲線と、前記脈動成分の振幅が前記キャリア周波数に対応して設定された前記脈動成分の許容最大振幅と一致するときの前記ゲインと、前記変調率と、の関係を示す第2特性曲線と、を表し、前記最終電圧指令値を算出する際の前記ゲイン及び前記変調率を前記座標空間上の特性点として表す場合において、
    前記特性点に係る前記ゲインが、前記特性点と同じ前記変調率となる前記第1特性曲線上の点及び前記第2特性曲線上の点以上となる位置に配置され、前記特性点に係る前記変調率が、前記特性点と同じ前記ゲインとなる前記第1特性曲線上の点及び前記第2特性曲線上の点以下となる位置に配置されるように前記ゲインを設定する請求項1に記載の電動機の制御方法。
  8. 前記座標空間において、前記脈動成分の振幅が前記トルク指令値に基づいて設定される前記脈動成分の許容最大振幅に一致するときの前記ゲインと、前記変調率と、の関係を示す第3特性曲線を表すとともに、前記第3特性曲線上の前記ゲインが、前記ゲインに係る前記第3特性曲線上の前記変調率と同じ前記変調率となる前記第1特性曲線上の点及び前記第2特性曲線上の点以上となる位置に配置され、前記第3特性曲線上の前記変調率が、前記変調率に係る前記第3特性曲線上の前記ゲインと同じ前記ゲインとなる前記第1特性曲線上の点及び前記第2特性曲線上の点以下となる位置に配置されるように前記第3特性曲線が表される場合において、
    前記特性点が前記第3特性曲線上に配置されるように、前記ゲインを設定する請求項7に記載の電動機の制御方法。
  9. 前記脈動成分が前記キャリア周波数の2倍の周波数を含み、当該脈動成分の振幅が特定の前記変調率において極大値を有することで前記第3特性曲線が前記特定の前記変調率において極小値を有する場合において、前記トルク指令値を前記電動機で印加可能な最大トルクに設定する請求項8に記載の電動機の制御方法。
  10. 前記トルク指令値が小さくなるほど前記第3特性曲線が前記座標空間の前記第1軸の方向であって前記ゲインが高くなる方向にシフトするように前記ゲインを設定する請求項8又は請求項9に記載の電動機の制御方法。
  11. 前記脈動成分が前記キャリア周波数の2倍の周波数を含み、当該脈動成分の振幅が特定の前記変調率において極大値を有することで前記第3特性曲線が前記特定の前記変調率において極小値を有する場合において、前記キャリア周波数が高くなるほど前記第3特性曲線の前記極小値を中心とする曲線形状の先鋭度が低くなるように前記ゲインを設定する請求項8に記載の電動機の制御方法。
  12. 固定子巻線を含む電動機をPWM信号により駆動制御する電動機の制御装置であって、
    トルク指令値に基づいて前記固定子巻線に対する相電圧指令値を算出する相電圧算出手段と、
    前記相電圧指令値を基本波としたときに当該基本波の周波数に対して少なくとも(2n+1)次の高調波を含む高調波電圧指令値を算出する高調波算出手段と、
    前記高調波電圧指令値に所定のゲインを乗算した値を出力する高調波出力手段と、
    前記相電圧指令値と前記高調波出力手段の出力とを加算して最終電圧指令値を生成する最終電圧算出部と、
    前記最終電圧指令値を前記PWM信号に変換するPWM信号変換手段と、を含み、
    前記高調波出力手段は、
    前記PWM信号に関連する変調率、前記PWM信号のキャリア周波数、前記トルク指令値の少なくともいずれか1つに基づいて前記ゲインを設定するゲイン設定手段を含む電動機の制御装置。
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