JP2023104569A - 放射線撮影システム - Google Patents

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勇二 甲斐
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裕二 地曵
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光史 谷内
Koji Yanai
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Masataka Sugawara
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Takeyasu Kobayashi
直行 西納
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Abstract

【課題】第1軸回りに放射線画像検出器が傾いた状態で放射線撮影が行われることで、放射線撮影が失敗となるおそれを低減することが可能な放射線撮影システムを提供する。【解決手段】放射線撮影システムは、放射線を発する放射線源と、放射線を受けて放射線画像を検出する電子カセッテと、電子カセッテを保持する可搬型の第1保持器と、第1保持器に取り付けられた紐と、紐を撮影するカメラとを備える。第1保持器は、放射線源に対する電子カセッテの傾きを変更可能な傾き変更機構としてのロック部および可動部を含む。紐とカメラとは、Z軸に交差する軸であり、電子カセッテの放射線の検出面と放射線源とを対向して配置させた場合に放射線源に向かう軸であるX軸回りの電子カセッテの傾きを検出するための第1検出機構を構成する。【選択図】図6

Description

本開示の技術は、放射線撮影システムに関する。
医療施設等の局限された環境下だけでなく、事故、災害の発生現場、あるいは紛争地の野営といった特殊な環境下においても放射線撮影を行うことが可能な放射線撮影システムが提案されている。例えば特許文献1には、放射線を発する放射線源と、放射線を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出器と、放射線源を保持する三脚と、放射線画像検出器を保持する三脚とを備える放射線撮影システムが記載されている。
特許文献1に記載の放射線撮影システムには、特殊な環境下に設置した際に放射線源と放射線画像検出器との相対的な位置がずれた場合に備えて、放射線源と放射線画像検出器との相対的な位置を検出するためのセンサ(特許文献1においては「配向センサ」、「配向トランシーバ」等と表記)が設けられている。特許文献1においては、このセンサの出力に基づいて、放射線源と放射線画像検出器との相対的な位置を調整することが可能である。
特許第5735725号
特許文献1に記載の放射線撮影システムにおいては、放射線源と放射線画像検出器との相対的な位置はセンサにて検出しているが、第1軸回りの放射線画像検出器の傾きは検出していない。ここで第1軸とは、鉛直軸に交差する軸であり、放射線画像検出器の放射線の検出面と放射線源とを対向して配置させた場合に放射線源に向かう軸である。
特許文献1においては、前述のように第1軸回りの放射線画像検出器の傾きを検出していない。このため、第1軸回りに放射線画像検出器が傾いた状態で、鉛直軸に頭尾軸が平行な姿勢の被写体の放射線撮影が行われて、被写体が斜めに写った放射線画像が検出されてしまい、放射線撮影が失敗となるおそれがあった。特に事故、災害の発生現場、あるいは紛争地の野営といった特殊な環境下は設置面が平らでないことが多く、第1軸回りに放射線画像検出器が傾いてしまいがちである。したがって、第1軸回りに放射線画像検出器が傾いた状態で放射線撮影が行われることで、放射線撮影が失敗となるおそれが高い。
本開示の技術に係る1つの実施形態は、第1軸回りに放射線画像検出器が傾いた状態で放射線撮影が行われることで、放射線撮影が失敗となるおそれを低減することが可能な放射線撮影システムを提供する。
本開示の放射線撮影システムは、放射線を発する放射線源と、放射線を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出器と、放射線画像検出器を保持する可搬型の保持器であり、放射線源に対する放射線画像検出器の傾きを変更可能な傾き変更機構を含む保持器と、鉛直軸に交差する軸であり、放射線画像検出器の放射線の検出面と放射線源とを対向して配置させた場合に放射線源に向かう軸である第1軸回りの放射線画像検出器の傾きを検出するための第1検出機構と、を備える。
第1プロセッサを備え、第1プロセッサは、第1軸回りの放射線画像検出器の傾きを表示器に表示する制御を行うことが好ましい。
第1プロセッサは、第1軸回りの放射線画像検出器の傾きに基づいて、第1軸回りの放射線画像検出器の傾きのずれを減ずるための傾き変更機構の変位量を算出し、算出した変位量を表示器に表示する制御を行うことが好ましい。
第1検出機構は、鉛直軸に平行な方向に垂れ下がる紐と、紐を撮影する第1カメラとを含み、第1プロセッサは、第1カメラの紐を含む撮影画像を解析することで、第1軸回りの放射線画像検出器の傾きを検出することが好ましい。
第1カメラは放射線源に設けられていることが好ましい。
第1検出機構は加速度センサを含み、第1プロセッサは、加速度センサの測定結果に基づいて、第1軸回りの放射線画像検出器の傾きを検出することが好ましい。
鉛直軸、および鉛直軸と第1軸に交差する第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの放射線画像検出器の傾きを検出するための第2検出機構を備えることが好ましい。
第2プロセッサを備え、第2プロセッサは、鉛直軸および第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの放射線画像検出器の傾きを表示器に表示する制御を行うことが好ましい。
第2プロセッサは、鉛直軸および第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの放射線画像検出器の傾きに基づいて、鉛直軸および第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの放射線画像検出器の傾きのずれを減ずるための傾き変更機構の変位量を算出し、算出した変位量を表示器に表示する制御を行うことが好ましい。
第2検出機構は、放射線画像検出器または保持器に設けられた少なくとも3個のマーカと、マーカを撮影する第2カメラとを含み、第2プロセッサは、第2カメラの撮影画像を解析することで、鉛直軸および第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの放射線画像検出器の傾きを検出することが好ましい。
第2プロセッサは、第2カメラの撮影画像を解析することで、さらに、放射線の発生点から放射線画像検出器の検出面までの距離、および鉛直軸と第2軸とで構成される平面における、放射線の照射中心に対する放射線画像検出器の位置を検出することが好ましい。
第2カメラは放射線源に設けられていることが好ましい。
保持器は、放射線画像検出器が取り付けられるホルダと、ホルダを支持する少なくとも3つの脚部とを含むことが好ましい。
第2検出機構がマーカを含む場合、マーカはホルダに設けられていることが好ましい。
保持器は、ホルダと脚部との位置関係を固定する固定機構を含むことが好ましい。
本開示の技術によれば、第1軸回りに放射線画像検出器が傾いた状態で放射線撮影が行われることで、放射線撮影が失敗となるおそれを低減することが可能な放射線撮影システムを提供することができる。
放射線撮影システムを示す図である。 電子カセッテおよび第1保持器を示す図である。 第1保持器をZ軸方向から平面視した図である。 コンソールの内部構成を示すブロック図である。 カメラの撮影画像およびコンソールのCPUの処理部を示す図である。 X軸回りの電子カセッテの傾きを検出する様子を示す図である。 X軸回りの電子カセッテの傾きのずれを減ずるための変位量を算出する様子を示す図である。 第1報知画面を示す図である。 Y軸回りの電子カセッテの傾きを検出する様子を示す図である。 Z軸回りの電子カセッテの傾きを検出する様子を示す図である。 Y軸回りの電子カセッテの傾きのずれを減ずるための変位量を算出する様子を示す図である。 第2報知画面を示す図である。 SIDを検出する様子を示す図である。 Y軸方向における電子カセッテの照射中心からのずれを検出する様子を示す図である。 第3報知画面を示す図である。 放射線撮影システムによる放射線撮影の手順を示すフローチャートである。 放射線撮影システムによる放射線撮影の手順を示すフローチャートである。 Z軸回りの電子カセッテの傾きを減ずるための変位量が表示された第2報知画面を示す図である。 電子カセッテにマーカを設けた例を示す図である。 第1検出機構として加速度センサを設けた第2実施形態を示す図である。 第2実施形態のコンソールのCPUの処理部を示す図である。
以下、本開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書にて用いる「第1」および「第2」等の用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、放射線撮影システムに存在する構成要素の数を限定するものではない。
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、放射線撮影システム2は、X線、γ線といった放射線Rを用いて被写体Hの放射線撮影を行うシステムである。放射線撮影システム2は、電子カセッテ10、放射線源11、線源制御装置12、およびコンソール13等を有する。電子カセッテ10は可搬型の第1保持器14に保持され、第1保持器14を介して撮影現場の設置面15に設置される。放射線源11も可搬型の第2保持器16に保持され、第2保持器16を介して撮影現場の設置面15に設置される。線源制御装置12は設置面15に直に置かれる。図1に示す撮影現場は、事故、災害の発生現場、あるいは紛争地の野営といった特殊な環境下の撮影現場であり、設置面15には凹凸がある。
電子カセッテ10は、被写体Hを透過した放射線Rに応じた放射線画像を出力する可搬型の放射線画像検出器である。電子カセッテ10は、放射線Rの検出面17が放射線源11と対向するよう配置される。電子カセッテ10は、有線または無線によりコンソール13と通信可能に接続されている。電子カセッテ10は、本開示の技術に係る「放射線画像検出器」の一例である。なお、以下では、鉛直軸をZ軸と表記し、Z軸に交差する軸であり、電子カセッテ10の検出面17と放射線源11とを対向して配置させた場合に放射線源11に向かう軸である第1軸をX軸と表記し、Z軸とX軸に交差する第2軸をY軸と表記する。X軸は、より詳しくはZ軸に直交する水平軸であり、Y軸は、Z軸とX軸に直交する水平軸である。ここで、「直交」および「水平」とは、完全な直交および水平の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差(例えば1%~10%程度の誤差)を含めた意味合いでの直交および水平を指す。後述する「30°」といった角度を表す言葉も同様に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差(例えば1%~10%程度の誤差)を含む。
電子カセッテ10は、放射線Rに応じた電荷を蓄積する複数の画素が二次元マトリックス状に配列された検出パネルを有する。検出パネルはFPD(Flat Panel Detector)とも呼ばれる。電子カセッテ10は、放射線Rの照射開始および照射終了を検知する機能を有する。放射線Rの照射開始を検知した場合、検出パネルは、画素に電荷を蓄積させる蓄積動作を開始する。放射線Rの照射終了を検知した場合、検出パネルは、画素に蓄積された電荷を電気信号として読み出す読み出し動作を開始する。
なお、電子カセッテ10と線源制御装置12とを通信可能に接続し、電子カセッテ10と線源制御装置12との間で放射線Rの照射開始および照射終了を示す同期信号を遣り取りすることで、放射線Rの照射開始と蓄積動作の開始タイミング、および放射線Rの照射終了と読み出し動作の開始タイミングを同期させてもよい。
コンソール13はタブレット端末であり、診療放射線技師等のオペレータOPが携行する。コンソール13は、各種画面を表示するとともにオペレータOPの操作指示を受け付けるタッチパネルディスプレイ55(図4参照)を有する。タッチパネルディスプレイ55は、本開示の技術に係る「表示器」の一例である。コンソール13は、電子カセッテ10に各種信号を送信する。また、コンソール13は、電子カセッテ10から放射線画像を受信する。コンソール13は、放射線画像をタッチパネルディスプレイ55に表示する。なお、コンソール13はノート型のパーソナルコンピュータでもよい。
コンソール13は、オペレータOPによる放射線撮影の撮影メニューの選択指示を受け付ける。撮影メニューは、胸部、腹部等の撮影部位、立位、座位等の撮影姿勢、正面、背面、側面等の撮影向きの組み合わせである。撮影メニューには、放射線Rの発生点から電子カセッテ10の検出面17までの距離であるSID(Source to Image receptor Distance)が対応付けられている。
放射線源11は、放射線管18および照射野限定器19を有する。放射線管18には、フィラメント、ターゲット、グリッド電極等(いずれも図示省略)が設けられている。陰極であるフィラメントと陽極であるターゲットの間には電圧が印加される。このフィラメントとターゲットの間に印加される電圧は、管電圧と呼ばれる。フィラメントは、印加された管電圧に応じた熱電子をターゲットに向けて放出する。ターゲットは、フィラメントからの熱電子の衝突によって放射線Rを放射する。グリッド電極は、フィラメントとターゲットの間に配置されている。グリッド電極は、印加電圧に応じて、フィラメントからターゲットに向かう熱電子の流量を変更する。このフィラメントからターゲットに向かう熱電子の流量は、管電流と呼ばれる。なお、前述の放射線Rの発生点は、ターゲットにおいて熱電子が衝突する点である。
照射野限定器19はコリメータとも呼ばれ、放射線管18から放射された放射線Rの照射野を限定する。照射野限定器19は、例えば、放射線Rを遮蔽する鉛等の4枚の遮蔽板が四角形の各辺上に配置され、放射線Rを透過させる四角形の出射開口が中央部に形成された構成である。照射野限定器19は、各遮蔽板の位置を変更することで出射開口の大きさを変化させ、これにより放射線Rの照射野を変更する。なお、本例においては、放射線源11を位置および姿勢の調整の基準とし、Y軸回りおよびZ軸回りの放射線源11の傾きの調整を不要とするために、照射野限定器19の出射開口には常に最大の大きさが設定され、放射線Rの照射野も常に最大の大きさとされる。
照射野限定器19にはカメラ20が内蔵されている。カメラ20はデジタル画像を撮影するデジタルカメラである。カメラ20は、有線または無線によりコンソール13と通信可能に接続されている。カメラ20は、コンソール13からの撮影指示に応じて、電子カセッテ10および第1保持器14の一部を撮影する。カメラ20は、電子カセッテ10および第1保持器14の一部を撮影した撮影画像75(図5等参照)をコンソール13に送信する。カメラ20は、撮影画像75の中心(画角の中心)を通るZ軸に平行な線LC(図14参照)が、放射線Rの照射中心を通るZ軸に平行な線と一致するよう、その配置等が調整されている。放射線Rの照射中心とは、照射野限定器19で規定される放射線Rの照射野の中心である。カメラ20は、本開示の技術に係る「第1カメラ」および「第2カメラ」の一例である。
コンソール13を通じたカメラ20への撮影画像75の撮影指示は、計3回行われる。1回目の撮影指示は、第1保持器14および第2保持器16を介して、最初に電子カセッテ10および放射線源11を設置面15に設置した際に行われる。2回目の撮影指示は、1回目の撮影指示で撮影された撮影画像75に基づいて、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれが減じられた後に行われる。3回目の撮影指示は、2回目の撮影指示で撮影された撮影画像75に基づいて、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれが減じられた後に行われる。
線源制御装置12には放射線源11が有線接続されている。また、線源制御装置12には、有線または無線によりコンソール13が通信可能に接続されている。線源制御装置12は、コンソール13からの各種操作指示に応じて、放射線源11の動作を制御する。
線源制御装置12には、コンソール13を介してオペレータOPにより放射線Rの照射条件が設定される。照射条件は、放射線管18に印加する管電圧、管電流、および放射線Rの照射時間である。照射条件は、撮影メニューによって予め大体の値が決まっている。また、線源制御装置12には、コンソール13を介してオペレータOPにより放射線Rの照射開始指示が入力される。コンソール13から照射開始指示が入力された場合、線源制御装置12は、設定された照射条件にて放射線管18から放射線Rを照射させる。線源制御装置12は、放射線Rの照射開始後、照射条件で設定された照射時間が経過した場合、放射線管18からの放射線Rの照射を停止させる。なお、自動露出制御(AEC:Auto Exposure Control)機能により放射線Rの照射を終了させてもよい。AEC機能は、放射線Rの照射中に放射線Rの線量を検出して、検出した線量の積算値(累積線量)が予め設定した目標線量に達した時点で、放射線管18からの放射線Rの照射を停止させる機能である。この場合、電子カセッテ10の検出パネルは、放射線Rの累積線量が目標線量に達したときに読み出し動作を開始する。なお、管電流と照射時間の積である管電流照射時間積を照射条件としてもよい。
一例として図2に示すように、第1保持器14は、ホルダ30、センターポール31、本体部32、並びに3つの脚部33A、33B、および33C等を有するいわゆる三脚である。ホルダ30には電子カセッテ10が着脱可能に取り付けられる。第1保持器14は、本開示の技術に係る「保持器」の一例である。なお、以下では、特に区別する必要がない場合、脚部33A~33Cをまとめて脚部33と表記する場合がある。
ホルダ30の右側下部には、紐34の一端が取り付けられている。紐34の他端には錘35が取り付けられている。この錘35の作用により、紐34はZ軸に平行な方向に緩みなく垂れ下がる。紐34は、Z軸に平行な方向に緩みなく垂れ下がるものであれば何でもよいが、撮影画像75から紐34の像を抽出しやすくするために、放射線Rを遮蔽する材料からなることが好ましい。例えば、紐34は、太さ数mm、長さ数十cmの鉛製のワイヤーあるいはチェーン等である。紐34は、放射線源11を基準とした、X軸回りの電子カセッテ10の傾きを検出するために設けられている。紐34は、カメラ20とともに、本開示の技術に係る「第1検出機構」を構成する。
電子カセッテ10の検出面17が配置される側のホルダ30の面には、4個のマーカM1、M2、M3、およびM4が設けられている。マーカM1は左上隅、マーカM2は右上隅、マーカM3は左下隅、マーカM4は右下隅にそれぞれ配置されている。マーカM1~M4は、紐34と同様、撮影画像75からマーカM1~M4の像を抽出しやすくするために、放射線Rを遮蔽する材料からなることが好ましい。例えば、マーカM1~M4は、直径数cm程度の円形状をした鉛板である。マーカM1~M4は、放射線源11を基準とした、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きを検出するために設けられている。マーカM1~M4は、カメラ20とともに、本開示の技術に係る「第2検出機構」を構成する。
マーカM1~M4は、X軸、Y軸、およびZ軸のいずれの軸回りにも、放射線源11に対する電子カセッテ10の傾きにずれがない場合に、マーカM1~M4の中心を結ぶ線で形成される図形が長方形となる位置に配置されている。すなわち、マーカM1とマーカM2は、Z軸に関して同じ高さ位置に設けられている。同じく、マーカM3とマーカM4は、Z軸に関して同じ高さ位置に設けられている。また、マーカM1とマーカM3は、Y軸に関して同じ水平位置に設けられている。同じく、マーカM2とマーカM4は、Y軸に関して同じ水平位置に設けられている。
センターポール31の一端はホルダ30に接続され、他端は本体部32を貫通して下方に延びている。センターポール31は、本体部32の内部において、円筒ウォームとウォームホイールからなるウォームギヤ、あるいはラックアンドピニオンギヤによってハンドル36と接続されており、ハンドル36を回転操作することで、本体部32に対して矢印方向に上下動可能である。このセンターポール31の上下動により、ホルダ30、ひいては電子カセッテ10の高さ位置を調整することができる。センターポール31には例えば1cm間隔で目盛りが設けられており、電子カセッテ10の高さ位置が分かるようになっている。
脚部33A~33Cはいずれも同じ構成を有し、本体部32側から順に、基部37、ロック部38、可動部39、および石突40を有する。基部37は120°間隔で本体部32に接続され、本体部32に対して開閉可能である。ロック部38は、例えば反時計回りに回すと緩み、時計回りに回すと締まるロックナットである。可動部39は、ロック部38が緩んでいる場合に、基部37に対して矢印方向に伸縮可能である。可動部39には例えば1cm間隔で目盛りが設けられており、基部37に対する伸縮量(変位量)が分かるようになっている。石突40は、設置面15に直に接する部分である。ロック部38および可動部39は、本開示の技術に係る「傾き変更機構」の一例である。なお、ロック部38は、ロック位置とロック解除位置の2つの位置をとるロックレバーであってもよい。
一例として図3に示すように、本体部32には、ホルダ30と脚部33との位置関係を固定する固定機構45が設けられている。固定機構45は、センターポール31を上下動可能に内部に保持する保持部46と、保持部46から突没可能なクリックボール47と、センターポール31を軸に保持部46の回りを回転する回転部48とを有するクリックストップ機構である。回転部48を回転させることで、脚部33A~33Cの位置を変更することができる。本体部32には例えば1°間隔で目盛りが設けられており、元の位置から何°回転させたかが分かるようになっている。
回転部48には、クリックボール47が入り込む溝49が120°毎に形成されている。溝49は、電子カセッテ10が取り付けられた第1保持器14をZ軸方向から平面視した図3の場合において、脚部33A~33Cのうちの1つの脚部33(図3においては脚部33C、脚部33A、および脚部33Bのいずれかであっても可)と、電子カセッテ10の検出面17とが直交する位置に形成されている。また、溝49は、電子カセッテ10が取り付けられた第1保持器14をZ軸方向から平面視した図3の場合において、電子カセッテ10の検出面17と直交する位置にある脚部33以外の隣り合う2つの脚部33(図3においては脚部33Aおよび33B、脚部33Bおよび33C、並びに脚部33Cおよび33Aのいずれかであっても可)が、電子カセッテ10の検出面17に関して対称な方向、具体的には30°の角度をなす方向に延びる位置に形成されている。こうした位置に溝49を形成することで、ホルダ30と脚部33A~33Cとの位置関係が常に上記の状態に固定される。なお、第2保持器16は、保持対象が電子カセッテ10から放射線源11に変わるだけで、基本的な構成は第1保持器14と同じであるため、説明を省略する。
一例として図4に示すように、コンソール13は、前述のタッチパネルディスプレイ55に加えて、ストレージ56、メモリ57、CPU(Central Processing Unit)58、および通信I/F(Interface)59を備えている。これらタッチパネルディスプレイ55、ストレージ56、メモリ57、CPU58、および通信I/F59は、図示省略したバスラインを介して相互接続されている。
ストレージ56は、コンソール13を構成するコンピュータに内蔵、またはケーブル、ネットワークを通じて接続されたハードディスクドライブである。ストレージ56には、オペレーティングシステム等の制御プログラム、作動プログラム60等の各種アプリケーションプログラム、およびこれらのプログラムに付随する各種データ等が記憶されている。作動プログラム60は、コンピュータをコンソール13として機能させるためのアプリケーションプログラムである。なお、ハードディスクドライブに代えてソリッドステートドライブを用いてもよい。
メモリ57は、CPU58が処理を実行するためのワークメモリである。CPU58は、ストレージ56に記憶されたプログラムをメモリ57へロードして、プログラムにしたがった処理を実行する。これによりCPU58は、コンピュータの各部を統括的に制御する。CPU58は、本開示の技術に係る「第1プロセッサ」および「第2プロセッサ」の一例である。なお、メモリ57は、CPU58に内蔵されていてもよい。通信I/F59は、電子カセッテ10、線源制御装置12、およびカメラ20といった外部装置との各種情報の伝送制御を行う。
一例として図5に示すように、作動プログラム60が起動されると、コンソール13を構成するコンピュータのCPU58は、メモリ57等と協働して、画像解析部70、変位量算出部71、および表示制御部72として機能する。
画像解析部70には、カメラ20からの撮影画像75が入力される。撮影画像75には、電子カセッテ10の下部、ホルダ30、および紐34等が写っている。画像解析部70は、撮影画像75を解析することで、X軸、Y軸、およびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きを検出する。また、画像解析部70は、撮影画像75を解析することで、さらに、SID、およびY軸とZ軸とで構成されるYZ平面における、放射線Rの照射中心に対する電子カセッテ10の位置(以下、照射中心に対する位置と略記する)を検出する。画像解析部70は、検出した電子カセッテ10の傾き等を、解析結果76として変位量算出部71および表示制御部72に出力する。
変位量算出部71は、解析結果76のうちのX軸回りの電子カセッテ10の傾きに基づいて、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量を算出する。また、変位量算出部71は、解析結果76のうちのY軸回りの電子カセッテ10の傾きに基づいて、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量を算出する。変位量算出部71は、変位量算出結果77を表示制御部72に出力する。ここで、電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量とは、例えば、ずれを解消するための変位量である。ずれを解消するための変位量には、ずれを完全に解消する変位量だけでなく、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差(例えば1%~10%程度の誤差)を含んでいてもよい。あるいは、電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量とは、ずれを予め設定された閾値未満とする変位量であってもよい。
表示制御部72は、各種画面をタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。例えば表示制御部72は、X軸回りの電子カセッテ10の傾き、およびX軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量を含む第1報知画面90(図8参照)をタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。また、表示制御部72は、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾き、並びにY軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量を含む第2報知画面115(図12参照)をタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。さらに、表示制御部72は、SIDおよび照射中心に対する位置を含む第3報知画面125(図15照)をタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。
一例として図6に解析画像80_1として示すように、画像解析部70は、1回目の撮影指示で撮影された撮影画像75_1から、周知の画像認識技術を用いて、マーカM3とマーカM4、および紐34の像を抽出する。画像解析部70は、マーカM3とマーカM4の中心を結ぶ線L_M34と、紐34に倣う線LSとのなす角度を算出する。そして、算出した角度から90°を減じた角度を、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαとして検出する。線L_M34と線LSのなす角度が図示のように90°未満(鋭角)の場合、αは負の値をとる。反対に、線L_M34と線LSのなす角度が90°より大きい(鈍角)場合、αは正の値をとる。線L_M34と線LSのなす角度が90°の場合はα=0°であり、この場合はX軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれはないということである。画像解析部70は、検出したX軸回りの電子カセッテ10の傾きαを解析結果76_1として変位量算出部71等に出力する。図6においては、線L_M34と線LSのなす角度が80°で、α=80°-90°=-10°であった場合を例示している。
一例として図7に示すように、変位量算出部71は、変位量算出テーブル85を参照して、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための変位量を算出する。変位量算出テーブル85はストレージ56に記憶されている。変位量算出テーブル85には、X軸回りの電子カセッテ10の傾きα毎に、可動部39の変位量が登録されている。変位量算出部71は、画像解析部70からの解析結果76_1に含まれるX軸回りの電子カセッテ10の傾きαに応じた変位量を変位量算出テーブル85から読み出し、読み出した変位量を変位量算出結果77_1として表示制御部72に出力する。
ここで、電子カセッテ10の検出面17に関して対称な方向、具体的には30°の角度をなす方向に延びる2つの脚部33のうち、被写体Hの左側に位置する脚部33を左前の脚部33、被写体Hの右側に位置する脚部33を右前の脚部33とする、また、電子カセッテ10の検出面17と直交する位置にある脚部33を後ろの脚部33とする。そうした場合、後ろの脚部33の可動部39を変位させても、X軸回りの電子カセッテ10の傾きは変更されない。このため、変位量算出テーブル85には右前および左前の脚部33の可動部39の変位量は登録されているが、後ろの脚部33の可動部39の変位量は登録されていない。図7においては、解析結果76_1に含まれるX軸回りの電子カセッテ10の傾きαが-10°で、左前の脚部33の可動部39を+8cmとし、右前の脚部33の可動部39を-2cmとする旨の変位量算出結果77_1が算出された場合を例示している。なお、右前および左前の脚部33のうちの一方の可動部39を変位させればX軸回りの電子カセッテ10の傾きは変更されるので、変位量算出テーブル85には右前および左前の脚部33のうちの一方の可動部39の変位量のみが登録されていてもよい。
一例として図8に示すように、1回目の撮影指示の後にタッチパネルディスプレイ55に表示される第1報知画面90は、イラスト表示領域91、結果表示領域92、およびガイド表示領域93を有する。イラスト表示領域91には、電子カセッテ10が取り付けられた第1保持器14、および被写体HをZ軸方向から平面視したイラストと、電子カセッテ10とホルダ30をX軸方向から平面視したイラストとが表示される。電子カセッテ10が取り付けられた第1保持器14、および被写体HをZ軸方向から平面視したイラストには、脚部33A~33Cを区別するための単語である「左前」、「右前」、および「後ろ」が表示される。
結果表示領域92には、解析結果76_1および変位量算出結果77_1が表示される。より詳しくは、結果表示領域92には、X軸回りの電子カセッテ10の傾きα、および、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量が表示される。ガイド表示領域93には、可動部39の長さの調整の仕方を示すガイドが表示される。なお、α=0°であった場合は、結果表示領域92に変位量算出結果77_1は表示されず、代わりに可動部39の長さ調整が不要である旨のメッセージが表示される。
なお、X軸回りの放射線源11の傾きにずれがあり、紐34に倣う線LSが解析画像80_1の左右の辺と平行に写らない場合もあり得る。その場合は、紐34に倣う線LSと解析画像80_1の左右の辺とのなす角度を、X軸回りの放射線源11の傾きとして算出し、さらに、X軸回りの放射線源11の傾きを減ずるための第2保持器16の可動部の変位量を算出する。そして、X軸回りの放射線源11の傾き、および、X軸回りの放射線源11の傾きを減ずるための第2保持器16の可動部の変位量を第1報知画面90に表示し、オペレータOPに第2保持器16の可動部の長さ調整を促す。
第1報知画面90の下部には、OKボタン94が設けられている。オペレータOPは、結果表示領域92の表示にしたがって、目盛りを頼りに可動部39を変位させた後、OKボタン94を選択する。OKボタン94が選択された場合、2回目の撮影指示がなされる。なお、OKボタン94が選択されたときに、未だX軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれが十分に減じられていなかった場合は、2回目の撮影指示を行わず、再度オペレータOPに可動部39の長さ調整を促す。ここで、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれが十分に減じられていなかった場合とは、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαが0°となっていなかった場合、あるいは0°を中心とした予め設定された許容範囲(-1°<α<+1°等)に収まっていなかった場合である。
一例として図9に解析画像80_2として示すように、画像解析部70は、2回目の撮影指示で撮影された撮影画像75_2から、周知の画像認識技術を用いて、マーカM1~M4の像を抽出する。画像解析部70は、マーカM1とマーカM2の中心を結ぶ線L_M12の長さと、マーカM3とマーカM4の中心を結ぶ線L_M34の長さを算出する。そして、線L_M12の長さと線L_M34の長さの比L_M12/L_M34から、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβを算出する式100を用いて、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβを算出する。式100は、比L_M12/L_M34を変数とし、βを解とする方程式であり、ストレージ56に記憶されている。電子カセッテ10が図示のように後ろ側に傾いていた場合、線L_M12の長さは線L_M34の長さよりも短くなり、比L_M12/L_M34は1より小さくなる。この場合、βは負の値をとる。反対に、電子カセッテ10が前側に傾いていた場合、線L_M12の長さは線L_M34の長さよりも長くなり、比L_M12/L_M34は1より大きくなる。この場合、βは正の値をとる。電子カセッテ10の検出面17がZ軸に平行であった場合は、線L_M12の長さと線L_M34の長さは同じになり、比L_M12/L_M34は1となる。この場合はβ=0°であり、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれはないということである。画像解析部70は、算出したβを解析結果76_2Aとして変位量算出部71等に出力する。
また、一例として図10に示すように、画像解析部70は、2回目の撮影指示で撮影された撮影画像75_2の解析画像80_2において、マーカM1とマーカM3の中心を結ぶ線L_M13の長さと、マーカM2とマーカM4の中心を結ぶ線L_M24の長さを算出する。そして、線L_M13の長さと線L_M24の長さの比L_M13/L_M24から、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きγを算出する式105を用いて、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きγを算出する。式105は、比L_M13/L_M24を変数とし、γを解とする方程式であり、ストレージ56に記憶されている。電子カセッテ10が図示のように左側に傾いていた場合、線L_M13の長さは線L_M24の長さよりも長くなり、比L_M13/L_M24は1より大きくなる。この場合、γは負の値をとる。反対に、電子カセッテ10が右側に傾いていた場合、線L_M13の長さは線L_M24の長さよりも短くなり、比L_M13/L_M24は1より小さくなる。この場合、γは正の値をとる。電子カセッテ10の検出面17がY軸に平行であった場合は、線L_M13の長さと線L_M24の長さは同じになり、比L_M13/L_M24は1となる。この場合はγ=0°であり、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれはないということである。画像解析部70は、算出したγを解析結果76_2Bとして変位量算出部71等に出力する。なお、便宜上、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβを算出する図9で示した処理と、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きγを算出する図10で示した処理とを分けて説明したが、画像解析部70は、これら図9および図10の処理を並行して実施する。
一例として図11に示すように、変位量算出部71は、変位量算出テーブル110を参照して、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための変位量を算出する。変位量算出テーブル110はストレージ56に記憶されている。変位量算出テーブル110には、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβ毎に、可動部39の変位量が登録されている。変位量算出部71は、画像解析部70からの解析結果76_2Aに含まれるY軸回りの電子カセッテ10の傾きβに応じた変位量を変位量算出テーブル110から読み出し、読み出した変位量を変位量算出結果77_2Aとして表示制御部72に出力する。
Y軸回りの電子カセッテ10の傾きを変更する場合、右前および左前の脚部33の可動部39を両方同じ量変位させるよりも、後ろの脚部33の可動部39のみを変位させたほうが、調整が短時間で済む。このため、変位量算出テーブル110には右前および左前の脚部33の可動部39の変位量は登録されておらず、後ろの脚部33の可動部39の変位量のみが登録されている。図11においては、解析結果76_2Aに含まれるY軸回りの電子カセッテ10の傾きβが-10°で、後ろの脚部33の可動部39を+10cmとする旨の変位量算出結果77_2Aが算出された場合を例示している。
Z軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれは、可動部39を変位させても減ずることはない。このため、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれに関しては、第1保持器14毎、Z軸回りに電子カセッテ10を回転させることで減ずることとする。
一例として図12に示すように、2回目の撮影指示の後にタッチパネルディスプレイ55に表示される第2報知画面115は、第1報知画面90と同じイラスト表示領域91およびガイド表示領域93と、結果表示領域116Aおよび116Bとを有する。結果表示領域116Aには、解析結果76_2Aおよび変位量算出結果77_2Aが表示される。より詳しくは、結果表示領域116Aには、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβ、および、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量が表示される。なお、β=0°であった場合は、結果表示領域116Aに変位量算出結果77_2Aは表示されず、代わりに可動部39の長さ調整が不要である旨のメッセージが表示される。
結果表示領域116Bには、解析結果76_2B、より詳しくは、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きγが表示される。また、結果表示領域116Bには、解析結果76_2Bから導き出される、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための第1保持器14の回転方向および回転量が表示される。なお、γ=0°であった場合は、第1保持器14の回転方向および回転量は表示されず、代わりに第1保持器14の向き調整が不要である旨のメッセージが表示される。
第2報知画面115の下部には、OKボタン117が設けられている。オペレータOPは、結果表示領域116Aおよび116Bの表示にしたがって、目盛りを頼りに可動部39を変位させたり第1保持器14を変位させた後、OKボタン117を選択する。OKボタン117が選択された場合、3回目の撮影指示がなされる。なお、OKボタン117が選択されたときに、未だY軸回りおよび/またはZ軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれが十分に減じられていなかった場合は、3回目の撮影指示を行わず、再度オペレータOPに可動部39の長さ調整等を促す。ここで、Y軸回りおよび/またはZ軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれが十分に減じられていなかった場合とは、Y軸回りおよび/またはZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよび/またはγが0°となっていなかった場合、あるいは0°を中心とした予め設定された許容範囲(-1°<β<+1°、-1°<γ<+1°等)に収まっていなかった場合である。
一例として図13に解析画像80_3として示すように、画像解析部70は、3回目の撮影指示で撮影された撮影画像75_3から、周知の画像認識技術を用いて、マーカM1~M4の像を抽出する。画像解析部70は、マーカM1~M4の中心を結ぶ線で囲まれた長方形の面積Sを算出する。なお、画像解析部70において、解析画像80からマーカM1~M4、および紐34の像を抽出する画像認識技術には、畳み込みニューラルネットワークを用いた機械学習モデルによるセマンティックセグメンテーションといった技術も含まれる。
画像解析部70は、SID算出テーブル120を参照して、面積SからSIDを算出する。SID算出テーブル120には、面積S毎にSIDが登録されている。SID算出テーブル120はストレージ56に記憶されている。面積Sが小さい場合のSIDは相対的に長く、面積Sが大きい場合のSIDは相対的に短い。画像解析部70は、算出したSIDを解析結果76_3Aとして表示制御部72に出力する。図13においては、面積S=300で、SIDとして300cmが算出された場合を例示している。
また、一例として図14に示すように、画像解析部70は、3回目の撮影指示で撮影された撮影画像75_3の解析画像80_3において、マーカM1~M4の中心を結ぶ線で囲まれた長方形の重心(ここでは長方形の中心)MCを抽出する。画像解析部70は、抽出した重心MCと、撮影画像75の中心を通るZ軸に平行な線LCとのY軸方向の間隔Δを算出する。前述のように、線LCは、放射線Rの照射中心を通るZ軸に平行な線と一致する。このためΔは、Y軸方向における電子カセッテ10の照射中心からのずれ(以下、照射中心からのずれと略記する)を表す。すなわちΔは、照射中心に対する位置に他ならない。画像解析部70は、算出した照射中心からのずれΔを解析結果76_3Bとして表示制御部72に出力する。図14においては、照射中心からのずれΔとして+20cmが算出された場合を例示している。なお、便宜上、SIDを算出する図13で示した処理と、照射中心からのずれΔを算出する図14で示した処理とを分けて説明したが、画像解析部70は、これら図13および図14の処理を並行して実施する。
一例として図15に示すように、3回目の撮影指示の後にタッチパネルディスプレイ55に表示される第3報知画面125は、イラスト表示領域126と、結果表示領域127Aおよび127Bとを有する。イラスト表示領域126には、電子カセッテ10、放射線源11、および被写体Hのイラストと、SIDとが表示される。電子カセッテ10のイラストの近傍には、「右」および「左」が表示される。
結果表示領域127Aには、解析結果76_3A、より詳しくはSIDが表示される。また、結果表示領域127Aには、解析結果76_3Aから導き出される、SIDを撮影メニューに対応付けられた値とするための電子カセッテ10および放射線源11のX軸方向の移動量が表示される。なお、SIDが撮影メニューに対応付けられた値であった場合は、電子カセッテ10および放射線源11のX軸方向の移動量は表示されず、代わりに電子カセッテ10および放射線源11のX軸方向の移動が不要である旨のメッセージが表示される。
結果表示領域127Bには、解析結果76_3B、より詳しくは、照射中心からのずれΔが表示される。また、結果表示領域127Bには、解析結果76_3Bから導き出される、照射中心からのずれΔを減ずるための第1保持器14の移動方向および移動量が表示される。ここで、照射中心からのずれΔを減ずるための第1保持器14の移動量とは、例えば、ずれΔを解消するための移動量である。ずれΔを解消するための移動量には、ずれΔを完全に解消する移動量だけでなく、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差(例えば1%~10%程度の誤差)を含んでいてもよい。あるいは、照射中心からのずれΔを減ずるための第1保持器14の移動量とは、ずれΔを予め設定された閾値未満とする移動量であってもよい。なお、照射中心からのずれΔがなかった場合は、第1保持器14の移動方向および移動量は表示されず、代わりに第1保持器14の移動が不要である旨のメッセージが表示される。
第3報知画面125の下部には、OKボタン128が設けられている。オペレータOPは、結果表示領域127Aおよび127Bの表示にしたがって、電子カセッテ10および放射線源11をX軸に沿って移動させたり、第1保持器14をY軸に沿って移動させた後、OKボタン128を選択する。OKボタン128が選択された場合、線源制御装置12に放射線Rの照射開始指示を入力するための画面に表示が切り替わる。なお、OKボタン128が選択されたときに、未だSIDが撮影メニューに対応付けられた値となっていなかった場合、および/または、照射中心からのずれΔが十分に減じられていなかった場合は、線源制御装置12に放射線Rの照射開始指示を入力するための画面に移行せず、再度オペレータOPに電子カセッテ10および放射線源11の位置調整を促す。ここで、SIDが撮影メニューに対応付けられた値となっていなかった場合とは、SIDが撮影メニューに対応付けられた値と一致していなかった場合、あるいは撮影メニューに対応付けられた値を中心とした予め設定された許容範囲(-5cm<撮影メニューに対応付けられた値<+5cm等)にSIDが収まっていなかった場合である。照射中心からのずれΔが十分に減じられていなかった場合とは、照射中心からのずれΔが0cmとなっていなかった場合、あるいは0cmを中心とした予め設定された許容範囲(-1cm<Δ<+1cm等)に収まっていなかった場合である。
次に、上記構成による作用について、一例として図16および図17に示すフローチャートを参照して説明する。まず、図16に示すように、オペレータOPは、撮影現場に放射線撮影システム2(電子カセッテ10、放射線源11、線源制御装置12、コンソール13、第1保持器14、および第2保持器16)を搬入する(ステップST100)。オペレータOPは、電子カセッテ10を第1保持器14に、放射線源11を第2保持器16にそれぞれ取り付ける(ステップST110)。そして、第1保持器14および第2保持器16を介して、電子カセッテ10および放射線源11を撮影現場の設置面15に設置(仮置き)する(ステップST120)。この際、オペレータOPは、検出面17がなるべくZ軸に沿うように電子カセッテ10を配置する。また、オペレータOPは、カメラ20の画角に少なくともマーカM3およびM4と紐34が収まるよう、電子カセッテ10の検出面17と放射線源11とを対向して配置させる。
オペレータOPは、コンソール13を操作して、撮影メニューの選択、および放射線Rの照射条件の設定を行う(ステップST130)。続いて、オペレータOPは、コンソール13を操作して、カメラ20に対して1回目の撮影指示を行う(ステップST140)。この1回目の撮影指示に応じて、カメラ20により撮影画像75_1が撮影される。
図6で示したように、撮影画像75_1は画像解析部70により解析され、これによりX軸回りの電子カセッテ10の傾きαが検出される(ステップST150)。X軸回りの電子カセッテ10の傾きαを含む解析結果76_1は、画像解析部70から変位量算出部71および表示制御部72に出力される。
図7で示したように、変位量算出部71において、変位量算出テーブル85を参照して、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量が算出される(ステップST160)。この変位量算出結果77_1は、変位量算出部71から表示制御部72に出力される。
図8で示したように、表示制御部72の制御の下、コンソール13のタッチパネルディスプレイ55に第1報知画面90が表示される(ステップST170)。第1報知画面90は、X軸回りの電子カセッテ10の傾きα、および、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量が表示された結果表示領域92を有する。オペレータOPは、結果表示領域92の表示にしたがって可動部39の長さを調整する(ステップST180)。なお、X軸回りの電子カセッテ10の傾きα=0°であった場合は、ステップST180は省略される。
オペレータOPは、第1報知画面90のOKボタン94を選択することで、カメラ20に対して2回目の撮影指示を行う(ステップST190)。この2回目の撮影指示に応じて、カメラ20により撮影画像75_2が撮影される。
図9および図10で示したように、撮影画像75_2は画像解析部70により解析され、これによりY軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγが検出される(ステップST200)。Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβを含む解析結果76_2Aは、画像解析部70から変位量算出部71および表示制御部72に出力される。また、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きγを含む解析結果76_2Bは、画像解析部70から表示制御部72に出力される。
図11で示したように、変位量算出部71において、変位量算出テーブル110を参照して、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量が算出される(ステップST210)。この変位量算出結果77_2Aは、変位量算出部71から表示制御部72に出力される。
図12で示したように、表示制御部72の制御の下、コンソール13のタッチパネルディスプレイ55に第2報知画面115が表示される(ステップST220)。第2報知画面115は、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβ、および、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量が表示された結果表示領域116Aを有する。また、第2報知画面115は、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きγ、および、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための第1保持器14の回転方向および回転量が表示された結果表示領域116Bを有する。オペレータOPは、結果表示領域116Aおよび116Bの表示にしたがって可動部39の長さ等を調整する(ステップST230)。なお、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβ=0°、かつZ軸回りの電子カセッテ10の傾きγ=0°であった場合は、ステップST230は省略される。
図17に示すように、オペレータOPは、第2報知画面115のOKボタン117を選択することで、カメラ20に対して3回目の撮影指示を行う(ステップST240)。この3回目の撮影指示に応じて、カメラ20により撮影画像75_3が撮影される。
図13で示したように、撮影画像75_3は画像解析部70により解析され、マーカM1~M4の中心を結ぶ線で囲まれた長方形の面積Sが算出される。そして、SID算出テーブル120を参照することで、面積SからSIDが算出される(ステップST250)。また、図14で示したように、照射中心からのずれΔが算出される(ステップST250)。SIDを含む解析結果76_3A、および照射中心からのずれΔを含む解析結果76_3Bは、画像解析部70から表示制御部72に出力される。
図15で示したように、表示制御部72の制御の下、コンソール13のタッチパネルディスプレイ55に第3報知画面125が表示される(ステップST260)。第3報知画面125は、SID、および、SIDを撮影メニューに対応付けられた値とするための電子カセッテ10および放射線源11のX軸方向の移動量が表示された結果表示領域127Aを有する。また、第3報知画面125は、照射中心からのずれΔ、および、照射中心からのずれΔを減ずるための第1保持器14の移動方向および移動量が表示された結果表示領域127Bを有する。オペレータOPは、結果表示領域127Aおよび127Bの表示にしたがって電子カセッテ10および放射線源11の位置(第1保持器14および第2保持器16の位置)を調整する(ステップST270)。なお、SIDが撮影メニューに対応付けられた値で、かつ照射中心からのずれΔがなかった場合は、ステップST270は省略される。
オペレータOPは、第3報知画面125のOKボタン128を選択する。次いで、オペレータOPは、被写体Hを電子カセッテ10の前に立たせ、Z軸に頭尾軸が平行な姿勢としたり、腕を横に組ませる等して被写体Hの位置および姿勢を調整する(ステップST280)。そして、オペレータOPは、第1保持器14のハンドル36を操作して、電子カセッテ10の高さ位置を被写体Hの体型に合わせて調整する。続いて、第2保持器16のハンドルを操作して、放射線源11の高さ位置を電子カセッテ10の高さ位置に合わせる(ステップST290)。その後、オペレータOPは、コンソール13を操作して、線源制御装置12への放射線Rの照射開始指示を入力する。これにより放射線源11から被写体Hに向けて放射線Rが照射され、被写体Hを透過した放射線Rが電子カセッテ10で検出されて、電子カセッテ10から放射線画像が出力される(ステップST300)。放射線画像は、電子カセッテ10からコンソール13に送信される。そして、表示制御部72の制御の下、タッチパネルディスプレイ55に表示されてオペレータOPの閲覧に供される。
以上説明したように、放射線撮影システム2は、放射線Rを発する放射線源11と、放射線Rを受けて放射線画像を検出する電子カセッテ10と、電子カセッテ10を保持する可搬型の第1保持器14と、第1保持器14に取り付けられた紐34と、紐34を撮影するカメラ20とを備える。第1保持器14は、放射線源11に対する電子カセッテ10の傾きを変更可能な傾き変更機構としてのロック部38および可動部39を含む。紐34とカメラ20とは、Z軸に交差する軸であり、電子カセッテ10の放射線Rの検出面17と放射線源11とを対向して配置させた場合に放射線源11に向かう軸であるX軸回りの電子カセッテ10の傾きαを検出するための第1検出機構を構成する。紐34とカメラ20とでX軸回りの電子カセッテ10の傾きαを検出することができるので、X軸回りに電子カセッテ10が傾いた状態で、Z軸に頭尾軸が平行な姿勢の被写体Hの放射線撮影が行われて、被写体Hが斜めに写った放射線画像が検出されてしまい、放射線撮影が失敗となるおそれを低減することが可能となる。
表示制御部72は、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαをタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。このため、オペレータOPにX軸回りの電子カセッテ10の傾きαを報せることができ、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずる術を講じるよう、オペレータOPに促すことができる。
変位量算出部71は、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαに基づいて、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量を算出する。表示制御部72は、算出したX軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量をタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。このため、X軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量をオペレータOPに報せることができる。オペレータOPは、表示された変位量にしたがって可動部39の長さを調整するだけでよいので、容易にX軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずることができる。
第1検出機構は、Z軸に平行な方向に垂れ下がる紐34と、紐34を撮影するカメラ20とを含む。画像解析部70は、カメラ20の紐34を含む撮影画像75_1を解析することで、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαを検出する。紐34は、Z軸に平行な方向に緩みなく垂れ下がるものであれば何でもよく、カメラ20は、紐34の像を画像認識により抽出できる程度の解像度があればよい。このため、比較的安価で簡単な構成により、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαを検出することができる。
カメラ20は放射線源11に設けられている。このため、例えば、撮影画像75の中心を通るZ軸に平行な線LCを、放射線Rの照射中心を通るZ軸に平行な線と一致させる等、カメラ20の画角と放射線Rの照射野とを容易に関連付けることができる。なお、本開示の技術において「カメラが放射線源に設けられている」とは、本実施形態のように、放射線源11とカメラ20とが別体で、カメラ20が放射線源11に「取り付けられている」場合と、放射線源11にカメラ20が「一体的に組み込まれている」場合とを両方含む概念である。
Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγを検出するための第2検出機構としてのマーカM1~M4とカメラ20とを備える。X軸回りの電子カセッテ10の傾きαだけでなく、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγを検出することができるので、Y軸回りおよび/またはZ軸回りに電子カセッテ10が傾いた状態で放射線撮影が行われて、放射線Rの照射具合が上下または左右で異なる放射線画像が検出されてしまい、放射線撮影が失敗となるおそれも低減することが可能となる。
表示制御部72は、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγをタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。このため、オペレータOPにY軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγを報せることができ、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずる術を講じるよう、オペレータOPに促すことができる。
変位量算出部71は、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きβに基づいて、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量を算出する。表示制御部72は、算出したY軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量をタッチパネルディスプレイ55に表示する制御を行う。このため、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量をオペレータOPに報せることができる。オペレータOPは、表示された変位量にしたがって可動部39の長さを調整するだけでよいので、容易にY軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずることができる。
なお、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きを変更可能な傾き変更機構として、脚部33A~33Cの位置関係を保持したまま、Z軸回りに電子カセッテ10を回転させる回転機構を第1保持器14に設けてもよい。この場合、変位量算出部71は、Y軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量に加えて、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きγに基づいて、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための回転機構の回転量も算出する。また、表示制御部72は、一例として図18に示す第2報知画面115の結果表示領域116Bのように、Z軸回りの電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための回転機構の回転量もタッチパネルディスプレイ55に表示する。
第2検出機構は、第1保持器14に設けられた4個のマーカM1~M4と、マーカM1~M4を撮影するカメラ20とを含む。画像解析部70は、カメラ20の撮影画像75_2を解析することで、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγを検出する。このため、比較的安価で簡単な構成により、Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγを検出することができる。
画像解析部70は、カメラ20の撮影画像75_3を解析することで、さらに、放射線Rの発生点から電子カセッテ10の検出面17までの距離であるSID、およびY軸とZ軸とで構成されるYZ平面における、放射線Rの照射中心に対する電子カセッテ10の位置である照射中心からのずれΔを検出する。このため、SIDを撮影メニューに対応付けられた値とし、かつ照射中心からのずれΔを減ずることができ、さらに放射線撮影が失敗となるおそれを低減することが可能となる。
第1保持器14は、電子カセッテ10が取り付けられるホルダ30と、ホルダ30を支持する3つの脚部33A~33Cとを含む。このように第1保持器14は非常にシンプルな構成であるため、容易に撮影現場に搬入することができ、撮影現場の設置面15への設置も簡単に済む。なお、第1保持器14は例示の三脚に限らず、四脚、五脚等でもよい。つまり、脚部33は4つ以上でもよい。
マーカM1~M4はホルダ30に設けられている。このため、マーカM1~M4の放射線画像への写り込みを防止することができる。また、電子カセッテ10の前に立った被写体HによってマーカM1~M4が隠されないホルダ30の位置にマーカM1~M4を設けておけば、被写体Hを電子カセッテ10の前に立たせた後に、上記の放射線源11に対する電子カセッテ10の位置および姿勢の調整を行うこともできる。なお、前述の「カメラが放射線源に設けられている」場合と同様に、本開示の技術において「マーカがホルダに設けられている」とは、本実施形態のように、ホルダ30とマーカM1~M4とが別体で、マーカM1~M4がホルダ30に「取り付けられている」場合と、ホルダ30にマーカM1~M4が「一体的に組み込まれている」場合とを両方含む概念である。
なお、一例として図19に示すように、マーカM1~M4は電子カセッテ10に設けられていてもよい。ただしこの場合は、マーカM1~M4の放射線画像への写り込みを防止するため、放射線Rの検出面17を避けてマーカM1~M4を設けることが好ましい。
第1保持器14は、ホルダ30と脚部33A~33Cとの位置関係を固定する固定機構45を含む。このため、ホルダ30と脚部33A~33Cとの位置関係を常に図3で示した状態に固定することができる。被写体Hを電子カセッテ10の前に立たせる際に、脚部33A~33Cが邪魔になることがない。また、ホルダ30と脚部33A~33Cとの位置関係が固定されていることを前提に変位量算出テーブル85および110を作成することができ、変位量算出テーブル85および110を参照して、容易に可動部39の変位量を算出することができる。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、紐34およびカメラ20を第1検出機構として例示したが、これに限らない。第2実施形態においては、加速度センサ130を第1検出機構として用いる。
一例として図20に示すように、第2実施形態の第1保持器14のホルダ30の中心部には、加速度センサ130が内蔵されている。加速度センサ130は、X軸回りの電子カセッテ10の傾きα=0°のときに、測定結果136(図21参照)として重力加速度gを出力するよう予め設定されている。
一例として図21に示すように、第2実施形態のコンソール13のCPU58には、上記第1実施形態の各部70~72に加えて、傾き算出部135が構築される。傾き算出部135には、加速度センサ130からの測定結果136が入力される。傾き算出部135は、測定結果136をACとした場合、下記式(1)を用いてX軸回りの電子カセッテ10の傾きαを算出する。
α=cos-1(AC/g)・・・(1)
傾き算出部135は、算出したX軸回りの電子カセッテ10の傾きαを含む解析結果76_1を、変位量算出部71および表示制御部72に出力する。
このように、第2実施形態においては、第1検出機構は加速度センサ130を含む。傾き算出部135は、加速度センサ130の測定結果136に基づいて、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαを検出する。加速度センサ130のみという、紐34およびカメラ20よりもさらに安価で簡単な構成により、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαを検出することができる。なお、加速度センサ130は、ホルダ30ではなく電子カセッテ10に内蔵されていてもよい。
モータ等のアクチュエータを用いてセンターポール31を上下動させてもよい。この場合、リモートコントローラーにてセンターポール31の上下動を遠隔操作可能に構成してもよい。第1保持器14のセンターポール31だけでなく、第2保持器16のセンターポールもモータ等のアクチュエータを用いて上下動可能、かつリモートコントローラーにて上下動を遠隔操作可能に構成してもよい。また、第1保持器14と第2保持器16とを通信可能に接続し、第1保持器14のセンターポール31の上下動に連動して、第2保持器16のセンターポールも上下動させてもよい。
可動部39の伸縮もモータ等のアクチュエータを用いて行い、変位量算出部71にて算出した変位量に応じて、オペレータOPの手を借りずに可動部39を自動的に伸縮させてもよい。この場合は、電子カセッテ10の傾き、および、電子カセッテ10の傾きのずれを減ずるための可動部39の変位量をタッチパネルディスプレイ55に表示する必要はない。
Y軸回りおよびZ軸回りの電子カセッテ10の傾きβおよびγの算出等を先に行い、X軸回りの電子カセッテ10の傾きαの算出等を後に行ってもよい。
ホルダ30と脚部33との位置関係を固定する固定機構としては、上記第1実施形態で例示した固定機構45(クリックストップ機構)に限らない。図3で示した位置関係でホルダ30と脚部33とを回転不能に固定する固定機構であってもよい。また、本体部32に対して脚部33がフリーで回転可能な構成とし、図3で示した位置関係となる本体部32の箇所にマーカを付しておいてもよい。
第2検出機構を構成するマーカは少なくとも3個あればよい。このためマーカは5個以上でも構わない。被写体Hを電子カセッテ10の前に立たせた後に、上記の放射線源11に対する電子カセッテ10の位置および姿勢の調整を行う場合に、複数個のマーカのうちの被写体Hで隠れていない少なくとも3個のマーカを用いて、X軸回りの電子カセッテ10の傾きα等を検出してもよい。
紐34は電子カセッテ10に吊り下げてもよい。紐34が風等で揺れることを想定して、紐34の揺れを抑制する機構を設けてもよい。また、第2検出機構を構成するマーカは、電子カセッテ10またはホルダ30に印刷したものでもよい。
放射線画像検出器として電子カセッテを例示したが、これに限らない。フイルムカセッテあるいはIP(Imaging Plate)カセッテでもよい。
上記各実施形態では、コンソール13のCPU58の表示制御部72の制御の下、第1報知画面90、第2報知画面115、および第3報知画面125といった各種画面を表示器であるコンソール13のタッチパネルディスプレイ55に表示する態様を例示したが、これに限らない。第1報知画面90、第2報知画面115、および第3報知画面125といった各種画面の画面データをコンソール13にて生成し、コンソール13から表示器を有する他の外部機器、例えばオペレータOPが所有するスマートフォンに、生成した画面データを配信する態様でもよい。この場合はスマートフォンのタッチパネルディスプレイが本開示の技術に係る「表示器」の一例となる。
上記各実施形態において、例えば、画像解析部70、変位量算出部71、表示制御部72、および傾き算出部135といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(作動プログラム60)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU58に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のASICの組み合わせ、および/または、ASICとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
本開示の技術は、上述の種々の実施形態および/または種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
2 放射線撮影システム
10 電子カセッテ
11 放射線源
12 線源制御装置
13 コンソール
14 第1保持器
15 設置面
16 第2保持器
17 検出面
18 放射線管
19 照射野限定器
20 カメラ
30 ホルダ
31 センターポール
32 本体部
33、33A、33B、33C 脚部
34 紐
35 錘
36 ハンドル
37 基部
38 ロック部
39 可動部
40 石突
45 固定機構
46 保持部
47 クリックボール
48 回転部
49 溝
55 タッチパネルディスプレイ
56 ストレージ
57 メモリ
58 CPU
59 通信I/F
60 作動プログラム
70 画像解析部
71 変位量算出部
72 表示制御部
75 撮影画像
76 解析結果
77 変位量算出結果
80 解析画像
85、110 変位量算出テーブル
90 第1報知画面
91、126 イラスト表示領域
92、116A、116B、127A、127B 結果表示領域
93 ガイド表示領域
94、117、128 OKボタン
100 Y軸回りの電子カセッテの傾きを算出する式
105 Z軸回りの電子カセッテの傾きを算出する式
115 第2報知画面
120 SID算出テーブル
125 第3報知画面
130 加速度センサ
135 傾き算出部
136 測定結果
α X軸回りの電子カセッテの傾き
β Y軸回りの電子カセッテの傾き
γ Z軸回りの電子カセッテの傾き
Δ Y軸方向における電子カセッテの照射中心からのずれ
H 被写体
L マーカの中心を結ぶ線
LC 撮影画像の中心を通るZ軸に平行な線
LS 紐に倣う線
M1、M2、M3、M4 マーカ
MC マーカの中心を結ぶ線で囲まれた長方形の重心
OP オペレータ
R 放射線
S マーカの中心を結ぶ線で囲まれた長方形の面積
SID 放射線の発生点から電子カセッテの検出面までの距離
ST100、ST110、ST120、ST130、ST140、ST150、ST160、ST170、ST180、ST190、ST200、ST210、ST220、ST230、ST240、ST250、ST260、ST270、ST280、ST290、ST300 ステップ

Claims (15)

  1. 放射線を発する放射線源と、
    前記放射線を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出器と、
    前記放射線画像検出器を保持する可搬型の保持器であり、前記放射線源に対する前記放射線画像検出器の傾きを変更可能な傾き変更機構を含む保持器と、
    鉛直軸に交差する軸であり、前記放射線画像検出器の前記放射線の検出面と前記放射線源とを対向して配置させた場合に前記放射線源に向かう軸である第1軸回りの前記放射線画像検出器の傾きを検出するための第1検出機構と、
    を備える放射線撮影システム。
  2. 第1プロセッサを備え、
    前記第1プロセッサは、
    前記第1軸回りの前記放射線画像検出器の傾きを表示器に表示する制御を行う請求項1に記載の放射線撮影システム。
  3. 前記第1プロセッサは、
    前記第1軸回りの前記放射線画像検出器の傾きに基づいて、前記第1軸回りの前記放射線画像検出器の傾きのずれを減ずるための前記傾き変更機構の変位量を算出し、
    算出した前記変位量を前記表示器に表示する制御を行う請求項2に記載の放射線撮影システム。
  4. 前記第1検出機構は、前記鉛直軸に平行な方向に垂れ下がる紐と、前記紐を撮影する第1カメラとを含み、
    前記第1プロセッサは、
    前記第1カメラの前記紐を含む撮影画像を解析することで、前記第1軸回りの前記放射線画像検出器の傾きを検出する請求項2または請求項3に記載の放射線撮影システム。
  5. 前記第1カメラは前記放射線源に設けられている請求項4に記載の放射線撮影システム。
  6. 前記第1検出機構は加速度センサを含み、
    前記第1プロセッサは、
    前記加速度センサの測定結果に基づいて、前記第1軸回りの前記放射線画像検出器の傾きを検出する請求項2または請求項3に記載の放射線撮影システム。
  7. 前記鉛直軸、および前記鉛直軸と前記第1軸に交差する第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの前記放射線画像検出器の傾きを検出するための第2検出機構を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射線撮影システム。
  8. 第2プロセッサを備え、
    前記第2プロセッサは、
    前記鉛直軸および前記第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの前記放射線画像検出器の傾きを表示器に表示する制御を行う請求項7に記載の放射線撮影システム。
  9. 前記第2プロセッサは、
    前記鉛直軸および前記第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの前記放射線画像検出器の傾きに基づいて、前記鉛直軸および前記第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの前記放射線画像検出器の傾きのずれを減ずるための前記傾き変更機構の変位量を算出し、
    算出した前記変位量を前記表示器に表示する制御を行う請求項8に記載の放射線撮影システム。
  10. 前記第2検出機構は、前記放射線画像検出器または前記保持器に設けられた少なくとも3個のマーカと、前記マーカを撮影する第2カメラとを含み、
    前記第2プロセッサは、
    前記第2カメラの撮影画像を解析することで、前記鉛直軸および前記第2軸のうちの少なくともいずれかの軸回りの前記放射線画像検出器の傾きを検出する請求項8または請求項9に記載の放射線撮影システム。
  11. 前記第2プロセッサは、
    前記第2カメラの撮影画像を解析することで、さらに、前記放射線の発生点から前記放射線画像検出器の前記検出面までの距離、および前記鉛直軸と前記第2軸とで構成される平面における、前記放射線の照射中心に対する前記放射線画像検出器の位置を検出する請求項10に記載の放射線撮影システム。
  12. 前記第2カメラは前記放射線源に設けられている請求項10または請求項11に記載の放射線撮影システム。
  13. 前記保持器は、前記放射線画像検出器が取り付けられるホルダと、
    前記ホルダを支持する少なくとも3つの脚部とを含む請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の放射線撮影システム。
  14. 請求項10を引用する請求項13に記載の放射線撮影システムにおいて、
    前記マーカは前記ホルダに設けられている放射線撮影システム。
  15. 前記保持器は、前記ホルダと前記脚部との位置関係を固定する固定機構を含む請求項13または請求項14に記載の放射線撮影システム。
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