JP2023101930A - 嵩上げ工法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023101930000001
【課題】既存の家屋における家屋本体を高い位置に移動させるための嵩上げ工法を、低コストで工期が短く、また、地盤の軟弱化を招きにくいように改良する。
【解決手段】嵩上げの対象となる家屋本体1は、給水管と排水管を備える。家屋本体1は、給水管と排水管を床下で切断してから、敷地外に移される。その後、給水管と排水管を延長した後、コンクリート製の擁壁11を作り、その内部に軽石その他の軽量盛土材を充填し、擁壁11の上に更に板状の蓋材15を設ける。家屋本体1は蓋材15の上に再度乗せられる。延長された給水管と排水管はそれぞれ、家屋本体1に接続される。
【選択図】図10

Description

本発明は、既存の家屋を高い位置に移動させる技術である嵩上げ工法に関する。
日本では自然災害が多く発生し、特に水害が多く発生する。例えば、日本では地震が頻発するので、それに起因する津波が一定の頻度で発生する。また、近年では、台風や豪雨によって生じた河川の氾濫が増えている。それらにより、日本では一定の頻度で水害が発生する。
そして、水害が発生すると、家屋の浸水が生じる。
家屋の浸水を避けるにはもちろん、津波や河川の氾濫の影響を受けない高台に家屋を構えるのが理想的である。とはいえ、すべての家屋を高台に設けるのは現実的ではないため、浸水の被害が一定以上の確率で生じることが明らかな場所に既に家屋が建てられていることがよくある。
津波や河川の氾濫の影響を受けにくいと従来は思われていた場所が後に、津波や河川の氾濫の影響を受ける場所であると判明することもよくあるため、一定以上の確率で浸水の被害を受けることが判明している家屋は存外に多い。
そのような場所に既に建っている家屋を水害の被害から守るには、嵩上げ工法を実施するのが良い。
既存の家屋を一度壊してから嵩上げを行う方法も存在するが、家屋に住んでいる者の心理的な負担の軽減を考慮するのであれば、既存の家屋をそのまま利用する方が理想的である。
既存の家屋をそのまま用いる場合における従来の嵩上げ工法は、例えば以下のようにして実行される。嵩上げされる家屋は、給水(上水、又は上水及び中水を家屋に供給する)を行う給水管と排水(下水を家屋から排水する)を行う排水管を備えた家屋本体と、家屋本体を支える地盤に設けられた基礎とを含むものとする。
嵩上げ工法を実施するには、家屋本体に繋がる給水管と排水管を、例えば床下で切断する。次いで、家屋本体を基礎から切離して横方向に移動させる。次いで、基礎の上に所定の高さまで盛土を行う。次いで、盛土の上に新しい基礎である新基礎を設置する。次いで、新基礎の上に、移動させておいた家屋本体を再度乗せる。そして、最後に、家屋本体に、給水管と排水管を再度接続する。
上述したような嵩上げ工法を実行することにより、家屋本体を盛土の上の一段高い位置に移動させることができる。
しかしながら、上述の嵩上げ工法では、盛土の上に設置した新基礎の上に家屋本体を乗せるため、盛土の地盤としての強固さが不足するおそれが生じる。もちろん盛土に対して地盤改良の技術を応用すれば盛土の地盤としての強固さを確保することが可能となるが、費用が嵩みやすい。
また、上述した嵩上げ工法では、家屋本体に元々接続されていた給水管と排水管は、一旦切断された後再度、盛土の上に移動させられた家屋本体に接続されることになる。このとき、従来の嵩上げ工法では、盛土を行う前に、地盤を掘り返すことで既設の給水管及び排水管を地盤中から取除き、盛土の上に移動させられた家屋本体に新たな給水管及び排水管を接続するということが行われている。したがって、既設の給水管及び排水管を新たな給水管及び排水管に置き換えるための費用が嵩む。また、既設の給水管及び排水管を取出すために地盤を掘り返すことにより、盛土の下の地盤を乱すことにより地盤の強度を弱くしてしまうおそれがある。もちろん、この不具合も地盤改良を改めて行うことにより改善することができるが、そうするとまた費用が嵩む。
そして、盛土、地盤に対する地盤改良や、既設の給水管及び排水管の新しい給水管及び排水管への置き換えを行うと、嵩上げ工法の工期の長期化を招きやすい。
本願発明は、既存の家屋における家屋本体を高い位置に移動させるための嵩上げ工法であって、低コストで工期が短く、また、地盤の軟弱化を招きにくいものを提案することを課題とする。
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、給水を行う給水管と排水を行う排水管を備えた家屋本体と、前記家屋本体を支える地盤に設けられた基礎と、を含む家屋における前記家屋本体を上方に移動させる嵩上げ工法である。本願の嵩上げ工法で上方に移動させられる家屋本体或いは家屋本体を含む家屋は、既存のものであり、通常極一般的なものである。
この嵩上げ工法は、前記給水管及び前記排水管を切断するとともに、前記家屋本体を前記基礎から切離して、少なくとも前記基礎の全体が露出するまで横方向に移動させる第1過程、必要に応じて前記基礎を除去する、前記第1過程を実行した後に実行される第2過程、前記基礎の存在した部分を一周するようにして囲む、所定高さの壁である擁壁を構築する、前記第1過程を実行した後に実行される第3過程、前記地盤から伸びる前記給水管に所定長さの管である延長給水管の一端を接続するとともに、前記地盤から伸びる前記排水管に所定長さの管である延長排水管の一端を接続する、前記第1過程を実行した後に実行される第4過程、前記擁壁で囲まれた空間である内部空間に、土よりも軽い材料でできており、耐水性を有する、盛土の代替材である軽量盛土材を充填する、前記第4過程を実行した後に実行される第5過程、前記擁壁の上部の開口を覆う板状の蓋材を、前記蓋材から前記延長給水管の他端、及び前記延長排水管の他端が突出するようにして設けるとともに、前記蓋材の上に、前記家屋本体を支持する新しい基礎である新基礎を設ける、前記第5過程を実行した後に実行される第6過程、前記新基礎の上に前記家屋本体を乗せてから固定するとともに、前記家屋本体側の前記給水管に前記延長給水管の他端を接続し、且つ前記家屋本体側の前記排水管に前記延長排水管の他端を接続する、前記第6過程を実行した後に実行される第7過程、を含む。
上述した第2過程から第4過程はいずれも、第1過程の後に実行されるが、それらの実行の先後は問われず、またそれらのうちの複数が同時に或いは並行して実行されても良い。上述した第5過程は、第2過程から第4過程が終了してから実行される。上述した第6過程は第5過程が実行された後に、第7過程は第6過程が実行された後に実行される。
第1過程では、給水管及び排水管を切断するとともに、家屋本体を基礎から切離して、少なくとも基礎の全体が露出するまで横方向に移動させる。
第1過程で給水管及び排水管を切断するのは、両者の切断を行わないと家屋本体を移動させることができないからである。給水管と排水管の切断位置は、地盤から露出している部分とするのが良く、例えば家屋本体の床下の地盤から露出している部分とすることができる。家屋本体を、基礎の全体が露出するまで移動させる方法は、公知或いは周知の方法で良く、例えば、家曳きの技術を用いれば良い。基礎の全体が露出するまで家屋本体を移動させるのは、第3過程を実行できるようにするためである。
第2過程では、必要に応じて基礎を除去する。基礎を除去しないといけない場合とは、除去をしなかった場合にその基礎が、第3過程、第4過程、第5過程を実施する場合において、それらの実施(施工)に支障をきたす場合である。第2過程では、それらの実施に支障をきたす基礎のみを除去すれば足り、それらの実施に支障をきたさない基礎については除去するには及ばない。また、基礎の地盤から露出する部分のみを除去することも可能である。極端なことを言うのであれば、それらの実施に支障をきたす基礎が存在しないのであれば、第2過程における基礎の除去を行わないこととすることも可能である。
基礎の除去は、公知或いは周知技術によって行うことができる。基礎を除去する場合には、これも公知或いは周知のように、給水管及び排水管を保護する目的で、給水管及び排水管を(既に接続してある場合には、延長給水管及び延長排水管をも)養生しておくのが好ましい。
第3過程では、基礎の存在した部分を一周するようにして囲む、所定高さの壁である擁壁を構築する。
第3過程で作られる擁壁は、後述する軽量盛土材の流れ止の機能を有する。その機能が保証される限り、擁壁は、公知、或いは周知の技術で構築可能であり、例えば、コンクリート、より詳細には鉄筋コンクリートによって構築することができる。
第4過程では、地盤から伸びる給水管に所定長さの管である延長給水管の一端を接続するとともに、地盤から伸びる排水管に所定長さの管である延長排水管の一端を接続する。
延長給水管は、後に高い位置に配される家屋本体に給水管を届かせるための延長管である。延長排水管は、後に高い位置に配される家屋本体に排水管を届かせるための延長管である。延長給水管を給水管に接続するための技術は、公知或いは周知のものでよく延長排水管を排水管に接続するための技術も同様である。
第2、第3、第4過程がすべて終了した後に実行される第5過程では、擁壁で囲まれた空間である内部空間に、土よりも軽い材料でできており、耐水性を有する、盛土の代替材である軽量盛土材を充填する。軽量盛土材は、擁壁と協働して、一般的な嵩上げ工法における盛土の機能を果たす。
第5過程が実行された後に実行される第6過程では、擁壁の上部の開口を覆う板状の蓋材を、蓋材から延長給水管の他端、及び延長排水管の他端が突出するようにして設けるとともに、蓋材の上に、家屋本体を支持する新しい基礎である新基礎を設ける。
蓋材は、擁壁の上部の開口を塞ぐ板であり、公知或いは周知の方法で作ることができる。蓋材によって擁壁の上部の開口を塞いだときに、事実上蓋材の下面と軽量盛土材の上面との間に隙間が生じないようにする。蓋材は例えば、コンクリート、より詳細には鉄筋コンクリートによって構築することができる。蓋材を設けることで、軽量盛土材は、擁壁の内部の空間の中に封じられることになる。蓋材の上に、新基礎が設けられる。新基礎(或いは新基礎及び蓋材)が、高い位置に移動させられた家屋本体の新しい基礎になる。新基礎の構築方法も、公知或いは周知の方法で十分である。
第6過程が実行された後に実行される第7過程では、新基礎の上に家屋本体を乗せてから固定するとともに、家屋本体側の給水管に延長給水管の他端を接続し、且つ家屋本体側の排水管に延長排水管の他端を接続する。
これにより、家屋本体は、地盤よりも、概ね擁壁の高さだけ高い位置に移設されることになる。第1過程で移動させられていた家屋本体を新基礎の上に乗せるためには、横方向と縦方向の移動が必要となるが、それら移動はともに、公知或いは周知技術を用いて行うことができる。例えば、横方向の移動は上述した家曳きの技術を用いて行うことができ、縦方向の移動は、ジャッキやコロを利用して行うことができる。第7過程における家屋本体の移動の一部(例えば、家屋本体の上方への移動)を、第1過程から第6過程と並行して行うことも可能である。家屋本体の新基礎への固定は、公知或いは周知技術を用いて行うことが可能である。
本願発明によれば、上述した第1過程から第7過程を実行することにより、家屋本体を上方向に移動させることが可能となる。上方向に移動した家屋本体の水平方向における向きは、元の家屋本体の向きとは異なっていても構わない。本願発明の嵩上げ工法によれば、延長給水管及び延長排水管を用いることによって、上方向に移動した後の家屋本体においても既存の給水管及び排水管をそのまま利用することが可能であるため、給水管と排水管の置き換えを必要としないので、費用を抑えることが可能である。また、本願の嵩上げ工法によれば、既存の給水管と排水管とを掘り起こすことをせず、また、盛り土の代わりに擁壁で流れ止された軽量盛土材を用いるので、地盤や盛り土の強度不足が生じにくく、またそれらの改良を行うことも省略可能であるので、それによっても費用を抑えることが可能となる。更に、盛土(軽量盛土材)、地盤に対する地盤改良や、既設の給水管及び排水管の新しい給水管及び排水管への置き換えを行わないことが可能となることにより、嵩上げ工法の工期を短期化することもできる。
加えて、軽量盛土材は、土よりも軽い材料でできている。軽量盛土材は第5過程で、擁壁の内部に配されるが、土を盛土材として用いる場合には一般にここで、重機を用いていの締固め或いは転圧が必要となる。しかしながら一般の家屋の嵩上げに用いられる程度の擁壁の大きさ(平面視した場合の面積)はそれ程大きくないことが多いので締固めが行えないことが多い。土よりも軽い軽量盛土材を用いることにより、締固めを省略しても擁壁内部の盛土部分にある程度の強度を出すことが可能となる。また、本願発明で使用される軽量盛土材は耐水性を有する(本願では、「耐水性を有する」とは、水に触れた盛土材が柔らかくなることを意味する。)。したがって、洪水や津波によって出た水が、擁壁の内部空間の中に侵入したとしても、転圧を省略した軽量盛土材が緩みにくい。
軽量盛土材は、上述のように、土よりも軽い材料でできており、耐水性を有する、盛土の代替材である。
そのような性質を満たす限り軽量盛土材は、軽量盛土工法で従来から軽量盛土材として用いられるものから適宜選択することも可能である。前記軽量盛土材の材料として、ガラス発泡材、アッシュ材、軽石、硬質ウレタンの少なくとも1つを用いることができる。これらは、上述の条件を充足する。
前記ガラス発泡材、アッシュ材、軽石は砂状から砕石状又は球状のものとすることができる。砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石は、狭隘な空間に充填しやすく、転圧を行わなくてもある程度締まった状態としやすい。
前記硬質ウレタンは板状であってもよい。板状の硬質ウレタンを軽量盛土材として用いれば、例えば、複数の板状の硬質ウレタンを重ねて敷き詰めれば、転圧を行わなくても締まった盛土と同様の状態を作りやすい。
前記軽量盛土材として、板状の硬質ウレタンと、砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石の少なくとも1つとを用いることもできる。この場合には、例えば、複数の板状の硬質ウレタンの間の空間に、砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石の少なくとも1つを充填する。それにより、転圧を行わなくても締まった盛土と同様の状態をより簡単に作りやすくなる。
ガラス発泡材、軽石、硬質ウレタンをはそれぞれ、公知或いは周知のもので良い。アッシュ材は、石炭、コークス等の灰を固めることによって成形された多孔質材であり、これも公知或いは周知である。
上述したように、第2過程において基礎を除去する場合には、これも公知或いは周知のように、給水管及び排水管を保護する目的で、給水管及び排水管を(既に接続してある場合には、延長給水管及び延長排水管をも)養生しておくのが好ましい。
同様に、前記第5過程を実行する前に、前記地盤から伸びる前記給水管及びそれにその一端が接続された延長給水管と、前記地盤から伸びる前記排水管及びそれにその一端が接続された延長排水管とを養生して、前記軽量盛土材から保護するのが好ましい。それにより、軽量盛土材が擁壁の中に充填された後においても、給水管及び延長給水管と、排水管及び延長排水管を、軽量盛土材から保護することができるようになる。
前記第5過程を実行した後、前記第6過程が実行される前に、前記軽量盛土材の上に、水密な袋であり、前記擁壁外にその先端が位置する管の基端と接続されることによって前記擁壁外に連通したものを配することが可能である。なお、軽量盛土材の上に乗せられた袋の上に、更に防水性或いは遮水性を有するシート(例えば、軽量盛土材の上面全面を覆うシート)を配することも可能である。このシートは、袋の保護と、床下の湿気防止に役立つ。
上述したように、本願発明の嵩上げ工法によれば、擁壁の内部空間に充填された軽量盛土材は、例えば擁壁の内部空間に水が侵入した場合であっても緩みにくい。とはいえ、擁壁の内部空間に例えば水が侵入した場合には、軽量盛土材に多少の緩みが生じるおそれが無いわけではない。そのような軽量盛土材の緩みが生じた場合に、上述の袋が役に立つ。
軽量盛土材に緩みが生じ、軽量盛土材の上面と蓋材の下面との間に隙間が生じた場合には、上述の袋に、管を通して、擁壁外から袋の中に充填されたときに硬化する液状の材料である充填剤(例えば、液状のコンクリート、液状のセメント)流し込み、硬化させる。それにより、擁壁の内部空間において軽量盛土材の上面と蓋材の下面との間に生じた空間を、硬化した充填剤が内部に充填された袋によって(事実上、硬化した充填剤によって)埋めることができるようになる。それにより、蓋材は下方から、強固に支持された状態を取り戻すため、蓋材或いはその上に設けられた新基礎の強度が保たれる。
軽量盛土材の上に配される前記袋は、例えば、前記軽量盛土材の上面の事実上全体を覆うようにすることができる。それにより、軽量盛土材の上面のどの部分において、蓋材の下面との間に空間が生じたとしても、生じた空間を、袋の中に擁壁の外部から流し込んだ充填剤によって埋めることができるようになる。
軽量盛土材の上に配される前記袋を複数とし、前記袋のそれぞれを別々の管により前記擁壁外に連通させることもできる。軽量盛土材に緩みが生じたとき、軽量盛土材の上面には凹凸が生じることがある。そのような場合には、軽量盛土材の例えば上面全面を覆う袋が仮に一つであると、袋のうち、軽量盛土材の上面と蓋材の下面との間に空間が生じた部分に対応する部分に、擁壁の外から充填剤を流し込むのが難しくなることも考えられる。上述のように袋を複数としておけば、各袋に対してそれぞれ擁壁の外部から充填剤を充填できるようになるため、軽量盛土材の上面と蓋材の下面との間に空間が生じた部分に配された袋の中に確実に充填剤を流し込めるようになる。複数の袋は、複数の袋を併せて、軽量盛土材の上面の事実上全体を覆うようにすることができる。なお、各袋にそれぞれ接続される管は、擁壁の内部空間内では別々の管である必要があるが、擁壁の外部では、例えば、一つの管にまとめることも可能である。その場合には、複数の管の接続部分に、どの袋に接続された管に液状の充填剤を流し込むのかを選択するための適当な仕掛け(弁等)を設けておく必要がある。
上述した袋を利用する場合には、本願発明の嵩上げ工法は、前記擁壁外に、前記管の先端側と接続され、且つ前記袋に充填した場合に硬化する液状の材料である充填剤を貯留したタンクを配置することにより、前記軽量盛土材と前記蓋材との間に所定以上の空間が生じた場合に、前記タンクから前記管を介して前記袋に前記充填剤を流し込んだ後硬化させられるようにしてもよい。充填剤は、軽量盛土材に緩みが生じてから準備しても良いが、予め充填剤をタンクに入れて準備しておくことにより、軽量盛土材に緩みが生じたときに速やかに、袋の中に充填剤を充填できるようになる。
充填剤を充填したタンクを予め準備しておく上述の方法を採用する場合、前記充填剤を前記タンクから前記管を介して、重力により前記袋に至らせることができるように、前記タンクを前記袋よりも高い位置に設置することができる。それにより、袋に対してタンクから充填剤を充填する場合に充填剤に加圧をするための、ポンプその他の装置が不要となる。
一実施形態による嵩上げ工法が実行される前の家屋本体を含む家屋の状態を示す斜視図。 一実施形態による嵩上げ工法の第1過程が実行された後の状態を示す斜視図。 一実施形態による嵩上げ工法の第2過程が実行された後の状態を示す斜視図。 一実施形態による嵩上げ工法の第3過程が実行された後の状態を示す斜視図。 一実施形態による嵩上げ工法の第4過程が実行された後の状態を示す斜視図。 一実施形態による嵩上げ工法の第5過程が実行された後の状態を示す斜視図。 軽量盛土材とその上に配された袋の平面図。 軽量盛土材、袋、遮水シートの側断面図。 一実施形態による嵩上げ工法の第6過程が実行された後の状態を示す斜視図。 一実施形態による嵩上げ工法の第7過程が実行された後の状態を示す斜視図。 袋に充填剤が供給された後における、軽量盛土材、袋、遮水シートの側断面図。
以下、本発明の好ましい一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態では、既存の家屋を嵩上げする嵩上げ工法について説明する。
図1中、1の符号が付されているのが家屋本体である。家屋本体1は既存の家屋であり、一般的なもので良い。家屋本体1は、図1において2の符号が付されている敷地2内に建てられている。敷地2は、地盤の一部である。家屋本体1の下方には、基礎3が設けられている。基礎3も一般的なもので良い。この実施形態における基礎3は複数であるが、一体である場合もある。基礎3の一部は多くの場合、地盤の中に埋められている。家屋本体1は地盤に直接設けられた基礎3の上に、地盤から幾らか浮いた状態で建てられている。家屋本体1と地盤の間の隙間は、いわゆる床下である。
家屋本体1には、図1では現れていないが、家屋本体1内に給水を行うための周知の給水管と、家屋本体1から排水を行う周知の排水管とが接続されている。言い換えれば家屋本体1は、給水管及び排水管を備えている。給水管と排水管とはいずれも管であり、例えば金属や樹脂でできている。給水管は、家屋本体1内の例えば水道に接続されており、家屋本体1に上水を供給する。排水管は、家屋本体1の例えば排水溝に接続されており、家屋本体1内で生じた排水(下水)を、家屋本体1から排出する。給水管、排水管とも敷地2内の地盤から、床下を通って家屋本体1に引き込まれている。
以上で説明した家屋本体1を、嵩上げ工法を実施することによって上方に移動させる。家屋本体1は、元の家屋本体1を直上に移動させられる場合もあるし、水平方向に多少移動させられることもあるし、更には直上に移動させられるか、水平方向に多少移動させられるかによらず、その向きが変更させられる場合もある。それらはいずれも、後述する新基礎を、これも後述する第6過程において、上方向に移動させられた家屋本体1に対して適切な位置に設けることによって実現可能である。
嵩上げ工法を実行する場合には、まず第1過程を実行する。
第1過程は、給水管及び排水管を切断するとともに、家屋本体1を基礎3から切離して、少なくとも基礎3の全体が露出するまで横方向に移動させるというものである。
上述したように、家屋本体1には、地盤から床下を通して、給水管と排水管とが引き込まれている。両者の切断を行わないと家屋本体1を移動させることができないから、まず給水管と排水管とを切断する。給水管と排水管の切断位置は、それらの地盤から露出している範囲の中で適当に決定すれば良く家屋本体1の内部でも構わないが、この実施形態では、家屋本体1の床下で給水管と排水管を切断する。給水管と排水管との切断方法は、公知或いは周知技術に倣えば良い。
次いで、家屋本体1を基礎3から切離して、基礎3の全体が露出するまで横方向に移動させる。この実施形態であれば、例えば、家屋本体1の全体を敷地2の外に移動させれば、基礎3の全体が露出するまで家屋本体1を移動させたことになる。家屋本体1の横方向の移動は、家屋本体1の移動の結果基礎3の全体が露出するようなものであれば良く、横方向の移動が家屋本体1の上方向への移動をも伴っていても構わない。家屋本体1の横方向の移動を行うための技術には、公知或いは周知技術を用いれば良い。例えば、公知或いは周知の家曳きの技術を家屋本体1の横方向の移動に用いることができる。
図2に、第1過程を終了した状態を示す。
家屋本体1は、描かれておらず、図外に運ばれた状態となっている。
敷地2には、これには限られないがこの実施形態では9つの基礎3が点在している。また、家屋本体1の床下で切断された、いずれもが敷地2内の地盤から伸びる給水管4と排水管5が敷地2に存在している。
第1過程が終わったら、以下に説明する第2過程から第4過程を実行する。第2過程から第4過程はいずれも、第1過程の後に実行されるが、それらの実行の先後は問われず、またそれらのうちの複数が同時に或いは並行して実行されても良い。
この実施形態ではこれには限られないが、第2過程、第3過程、第4過程が、その順で順次実行されるものとする。
第2過程は、基礎3を必要に応じて除去するというものである。
図2に示したように、家屋本体1を移動させた後には、地盤から基礎3が露出した状態となる。この基礎3を必要に応じて除去する。
基礎3がそのまま存在すると、基礎3が、第3過程、第4過程、第5過程を実施する場合において、それらの実施(施工)に支障をきたす場合がある。そのような第3過程、第4過程、第5過程の実施に支障をきたすような基礎3を第2過程では除去する。第2過程では、それらの実施に支障をきたす基礎3のみを除去すれば足り、それらの実施に支障をきたさない基礎3については除去するには及ばない。地盤から露出している部分のみが第3過程、第4過程、第5過程の実施に支障をきたすのであれば、基礎3の地盤から露出している部分のみを除去することも可能である。また、それらの実施に支障をきたす基礎3が存在しないのであれば、第2過程における基礎3の除去を行わないこととすることも可能である。
基礎3の除去は、少なくとも地盤から露出している部分の除去で足りる場合もあるが、これには限られないがこの実施形態では、すべての基礎3を、地盤に埋まっている部分も含めて除去することにする。
基礎3を除去するための方法は、公知或いは周知技術に倣えば良い。
基礎3を除去した後の状態、つまり第2過程が終了した後の状態を、図3に示す。同図では、図2において基礎3が存在した位置に四角形が描かれているが、地中部分も含めて基礎3が除去されたのであれば基礎3がかつて存在していた位置を痕跡の如く示す、図3に示した四角形は存在しないことになる。
なお、基礎3を除去する場合には、これも公知或いは周知のように、基礎3を除去するための作業から保護する目的で、給水管4及び排水管5を(既に接続してある場合には、延長給水管及び延長排水管をも)養生しておくのが好ましい。それらを養生する技術は、公知或いは周知の技術に倣うことができ、それで十分である。
第3過程は、基礎3の存在した部分を一周するようにして囲む、所定高さの壁である擁壁を構築するというものである。第3過程が実行された後の状態を図4に示す。
第3過程で作られる擁壁11は、後述する軽量盛土材の流れ止の機能を有する。その機能が保証される限り、擁壁11は、公知、或いは周知の技術で構築可能であり、例えば、コンクリート、より詳細には鉄筋コンクリートによって構築することができる。
擁壁11は、元々存在していた基礎3のすべてを囲む範囲、これには限られないがこの実施形態では、敷地2の外周に沿って設けられている。擁壁11はこれには限られないが平面視矩形であり、また、その厚さはこれには限られないがその周方向のすべての部分で同じであり、また、その高さはこれには限られないがその周方向のすべての部分で同じである。
第4過程は、地盤から伸びる給水管4に所定長さの管である延長給水管4Aの一端を接続するとともに、地盤から伸びる排水管5に所定長さの管である延長排水管5Aの一端を接続するというものである。第4過程を終了した後の状態を、図5に示す。
延長給水管4Aは、後に高い位置に配される家屋本体1に給水管4を届かせるための延長管である。延長排水管5Aは、後に高い位置に配される家屋本体1に排水管5を届かせるための延長管である。延長給水管4Aを給水管4に接続するための技術は、公知或いは周知のものでよく延長排水管5Aを排水管5に接続するための技術も同様である。
この実施形態では地盤から鉛直に伸びる給水管4に、直線状であり長さ方向が鉛直方向である延長給水管4Aを接続しているが、延長給水管4Aは必ずしも直線状である必要はない。ただし、延長給水管4Aの給水管4に接続されない側の端部は、後述する蓋材を貫通して蓋材の外部に露出する必要がある。これらの点については、延長排水管5Aについても同様である。
以上で説明した第2、第3、第4過程がすべて終了した後、第5過程が実行される。第5過程は、擁壁11で囲まれた空間である内部空間に、土よりも軽い材料でできており、耐水性を有する、盛土の代替材である軽量盛土材12を充填するというものである。第5過程が実行された後の状態を、図6に示す。軽量盛土材12は、擁壁11と協働して、一般的な嵩上げ工法における盛土の機能を果たす。
なお、第5過程を実行する場合には、その前に、給水管4及び延長給水管4Aと、排水管5及び延長排水管5Aとを、軽量盛土材12から保護するように養生しておくのが好ましい。この場合の養生は、基礎3を除去するときに行った養生と同様に、公知或いは周知のものとすることができ、また、基礎3を除去するときに行った養生をそのまま流用することも可能である。
擁壁11の内部空間に充填される軽量盛土材12は、土よりも軽い。また、軽量盛土材12は、耐水性がある。つまり、軽量盛土材12は、水に浸ったときに柔なくならないものである。そのような性質を満たす限り軽量盛土材12は、軽量盛土工法で従来から軽量盛土材として用いられるものから適宜選択することも可能である。軽量盛土材12の材料として、ガラス発泡材、アッシュ材、軽石、硬質ウレタンの少なくとも1つを用いることができる。これらは、上述の条件を充足する。
ガラス発泡材、アッシュ材、軽石は砂状から砕石状又は球状のものとすることができる。砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石は、転圧を行わなくてもある程度締まった状態としやすい。ガラス発泡材、アッシュ材、軽石が砂状から砕石状又は球状であれば、狭隘な空間にも充填しやすく、転圧がなくても締まった状態としやすい。
ガラス発泡材の一例となるのは、日本建設技術株式会社が開発し製品化した、容器包装廃棄物である空きビン等のガラス廃材を用いて作られたミラクルソル(商標)である。ミラクルソルは、60mmから10mmの大きさに破砕されているものが市販されているので、それを用いれば良い。アッシュ材の一例となるのは、中国高圧コンクリート工業株式会社が製造、販売する石炭灰であるライトサンド(商標)である。ライトサンドは、砂状から礫状である。軽石は、公知或いは周知のものを用いれば良い。様々な大きさの軽石が市販されているので、適宜のものを用いれば良い。
硬質ウレタンは板状であってもよい。板状の硬質ウレタンを軽量盛土材12として用いれば、例えば、複数の板状の硬質ウレタンを重ねて敷き詰めれば、転圧を行わなくても締まった盛土と同様の状態を作りやすい。硬質ウレタンとしては例えば、幅900mm長さ1800mm程度のものを用いることができる。厚さは例えば、50mmから300mm、好ましくは150mm程度である。そのような硬質ウレタンは普通に市販されている。
軽量盛土材12として、上述した板状の硬質ウレタンと、上述した砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石の少なくとも1つとを用いることもできる。この場合には、例えば、複数の板状の硬質ウレタンの間の空間に、砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石の少なくとも1つを充填することができる。それにより、転圧を行わなくても締まった盛土と同様の状態をより簡単に作りやすくなる。
ガラス発泡材、軽石、硬質ウレタンをはそれぞれ、公知或いは周知のもので良い。アッシュ材は、石炭、コークス等の灰を固めることによって成形された多孔質材であり、これも公知或いは周知である。
軽量盛土材12は、第3過程で作られた擁壁11で囲まれた空間である内部空間の中に充填される。軽量盛土材12は、内部空間の全体を満たすようにして、例えば擁壁11の高さぎりぎり一杯まで充填される。
これには限られないがこの実施形態では、軽量盛土材12は、板状の硬質ウレタンと、砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石の少なくとも1つとからなる。擁壁11の内部空間に重ねた状態で敷き詰められた複数の板状の硬質ウレタンの間の隙間に、砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石の少なくとも1つが充填される。複数の板状の硬質ウレタンの大きさ、厚さは同じでなくてもよく、また現場にて必要に応じて切断しても良い。軽量盛土材12には、例えば重機を用いての転圧を行っても良いが行わなくても良い。
これには限られないがこの実施形態では、軽量盛土材12の上に、袋13を配することとしている。また、これには限られないがこの実施形態では、袋13の更に上に、遮水シート14を配することとしている(図7の平面図、図8の側断面図参照)。
遮水シート14は、袋13を保護する機能と、軽量盛土材12への雨水の侵入を防ぐ機能とを有し、遮水性を有する。遮水シート14は、そのような用途で用いられる公知或いは周知のシートで良い。例えば、遮水シート14は、ポリエチレン製のシートである。その厚さは例えば、0.3mmである。
袋13は、追って説明するように、軽量盛土材12に緩みが生じて、軽量盛土材12の上面と後述する蓋材(図8中15の符号が付された部材である。)の下面との間に隙間が生じたときに、その隙間を埋めるために利用される。そのような隙間が生じたときに、袋13には袋13に充填された後に硬化する性質を有する液状の材料である充填剤が充填される。袋13の中で硬化した充填剤が、上述の隙間を埋め、後述する蓋材を下から強固に支えることとなる。充填剤としては、例えば、液状のコンクリート、液状のセメントを用いることができる。
そのような袋13の用い方を行えるようにするため、袋13には水密性と、変形を許容する柔軟性と、軽量盛土材12との擦れや遮水シート14が存在しない場合における蓋材との擦れに対するある程度の強度が求められる。袋13の素材は例えば、塩化ビニル製のシートとすることができる。そのシートの厚さは例えば、0.6mmである。
袋13に充填された後に硬化した充填剤によって、軽量盛土材12と蓋材との間にできた隙間を軽量盛土材12の上面のどこに隙間ができた場合においても埋められるようにするには、袋13によって、軽量盛土材12の上面の事実上全体が覆われていれば良い。この実施形態では必ずしもそうする必要はないが、袋13によって軽量盛土材12の上面の事実上全体が覆われている。
また、軽量盛土材12の上に配される袋13を複数とし、各袋13のそれぞれに対して他の袋13とは独立した状態で、充填剤を送り込むことを可能とすることができる。軽量盛土材12に緩みが生じたとき、軽量盛土材12の上面には凹凸が生じることがある。そのような場合には、軽量盛土材12の例えば上面全面を覆う袋13が仮に一つであると、袋13のうち、軽量盛土材12の上面と蓋材の下面との間に空間が生じた部分に対応する部分に、擁壁11の外から充填剤を流し込むのが難しくなることも考えられる。上述のように袋13を複数としておけば、各袋13に対してそれぞれ擁壁11の外部から充填剤を充填できるようになるため、軽量盛土材12の上面と蓋材の下面との間に空間が生じた部分に配された袋13の中に確実に充填剤を流し込めるようになる。
これには限られないが、この実施形態では、複数の袋13によって、軽量盛土材12の上面の事実上全面を覆うようにしている。
図7は、軽量盛土材12とその上に配された袋13の平面図であるが、これには限られないがこの実施形態では、軽量盛土材12の上に、平面視矩形の袋13が、3×3のマトリクス状に配されている。これには限られないがこの実施形態では各袋13は同じものとされ、隣接する袋13の間に若干の隙間はあるものの、事実上軽量盛土材12の全面を覆っている。
袋13のそれぞれには図7、図8では、図示を省略の管がそれぞれ接続されている。管は柔軟なものでも良いし、そうでなくとも良い。この実施形態では、管は、例えばゴム製の柔軟なものが用いられている。各管は、袋13にその一端が接続され、その他端が擁壁11の内部空間の外に至っている。内部空間の外と連通した管を介して、各袋13には、内部空間の外から、充填剤を供給することできるようになっている。管は、擁壁11か後述する蓋材に設けられた孔を通過するようになっており、それにより、内部空間の内外を連通させるようになっている。なお、袋13が1つの場合には、管は1つで足りる。
第5過程が実行された後、第6過程が実行される。第6過程は、擁壁11の上部の開口を覆う板状の蓋材15を、蓋材15から延長給水管4Aの他端(上端)、及び延長排水管5Aの他端(上端)が突出するようにして設けるとともに、蓋材15の上に、家屋本体1を支持する新しい基礎である新基礎16を設けるというものである。第6過程が実行された後の状態を図9に示す。
蓋材15は、擁壁11の上部の開口を塞ぐ板であり、公知或いは周知の方法で作ることができる。蓋材15によって擁壁11の上部の開口を塞いだときに、事実上蓋材15の下面と軽量盛土材12の上面との間に隙間が生じないようにする。それにより、蓋材15は、その縁を擁壁11により、縁以外の部分を軽量盛土材12によって下から支えられるようになる。
蓋材15は例えば、コンクリート、より詳細には鉄筋コンクリートによって構築することができる。蓋材15を設けることで、軽量盛土材12は、擁壁11の内部の空間の中に封じられることになる。
蓋材15の上に、新基礎16が設けられる。新基礎16(或いは新基礎16及び蓋材15)が、高い位置に移動させられた家屋本体1の新しい基礎になる。新基礎16の構築方法も、公知或いは周知の方法で十分である。
新基礎16は、家屋本体1を支えるものであるから、嵩上げ工法が終了したときにおける家屋本体1の位置と向きに対応するようにして設けられる。新基礎16を設ける位置及びそれらの配置により、最終的な家屋本体1の位置と向きが決定されることになる。
第6過程が実行された後に第7過程が実行される。第7過程は、新基礎16の上に家屋本体1を乗せてから固定するとともに、家屋本体1側の給水管(図示せず)に延長給水管4Aの他端を接続し、且つ家屋本体1側の排水管(図示せず)に延長排水管5Aの他端を接続するというものである。
これにより、家屋本体1は、地盤よりも、概ね擁壁11の高さだけ高い位置に移設されることになる。第1過程で移動させられていた家屋本体1を新基礎16の上に乗せるためには、横方向と縦方向の移動が必要となるが、それら移動はともに、公知或いは周知技術を用いて行うことができる。例えば、横方向の移動はエンドレスコロ(例えば、カツヤマキカイ株式会社製のチルタンク(商標))を利用した家曳きの技術を用いて行うことができ、縦方向の移動は、ジャッキを使用した家揚げの技術を用いて行うことができる。第7過程における家屋本体1の移動の一部(例えば、家屋本体1の上方への移動)を、第1過程から第6過程と並行して行うことも可能である。家屋本体1の新基礎16への固定は、公知或いは周知技術を用いて行うことが可能である。
家屋本体1側の給水管に延長給水管4Aの他端を接続するための技術は、公知或いは周知のもので十分であり、また両者の接続のために更に別の管を用いても良い。家屋本体1側の排水管に延長排水管5Aの他端を接続する場合も同様である。
以上により、移動前の家屋本体1は、基本的にそのままの状態で、新基礎16の上に移動し、新基礎16の蓋材15からの高さが基礎3の地盤からの高さと同じだと仮定すれば、擁壁11と蓋材15を併せた高さ分だけ上方に移動することになる。それにより、家屋本体1は水害に強くなる。
これには限られないがこの実施形態では、第7過程を行うのと前後して、タンク17を設置する。
タンク17は充填剤で満たされた容器である。上述したように袋13には、軽量盛土材12の上面と蓋材15の下面との間に隙間が生じたときに充填剤が供給される必要がある。タンク17はそのために必要となる充填剤を予め準備したものである。
タンク17は、この実施形態では、蓋材15の上の適当な部分に設けられる。蓋材15の上(正確には袋13よりも上)にタンク17を設けると、タンク17から袋13に充填剤を流し込むときに、重力を利用してタンク17から袋13へと、ポンプその他の装置を用いずに充填剤を流し込むことができるため便利であるしコスト的にも有利である。充填剤を大きな落差で袋13に対して流し込むことができるようにするため、これには限られないがこの実施形態では、タンク17は脚17Aを用いて、蓋材15の更に上に配されている。
タンク17には、各袋13にその一端が接続されたこの実施形態では9本の管13Aの他端がそれぞれ固定されている。各管13Aのタンク17との接続部分には開閉自在な図示せぬ弁が取付けられており、各弁を開閉することにより、各袋13の任意のものに他の袋13から独立して充填剤を流し込むことが可能となっている。この実施形態では、各管13Aの一端は、蓋材15を貫通するようにして設けられた1つの孔15Aを通して(勿論孔15Aは1つでなくても良いし、孔15は擁壁11に設けられていても良い。)擁壁11内の空間内に導かれ、各袋13に接続されている。
軽量盛土材12の上面と蓋材15の下面との間に隙間が生じた場合であって、袋13の中に充填剤が供給された状態を図11の側断面図に示す。この場合では、横方向に3つ並んだ袋13のうち、中央の袋13に対応する部分において、軽量盛土材12の上面と蓋材15の下面との間に隙間が生じている。したがって、中央の袋13にのみその中に充填剤18が供給されている。袋13の中の充填剤18は、袋13の中に供給されたら、所定の時間が経過した後硬化する。それにより、上述の隙間を袋13の中の硬化した充填剤18或いは充填剤18が充填された袋13が埋めた状態となるから、蓋材15の軽量盛土材12による支持は再び強固なものとなる。
なお、袋13への充填剤18の供給は、必ずしも予め準備したタンク17から行う必要がない。例えば水害が生じて擁壁11の内部空間に水が侵入したことによって軽量盛土材12の上面と蓋材15の下面との間に隙間が生じた後にはじめて充填剤18を準備し、その充填剤18を各袋13から伸びる管13Aを介して各袋13に対して供給することも勿論可能である。
1 家屋本体
2 敷地
3 基礎
4 給水管
4A 延長給水管
5 排水管
5A 延長排水管
11 擁壁
12 軽量盛土材
13 袋
15 蓋材
16 新基礎
17 タンク
18 充填剤

Claims (11)

  1. 給水を行う給水管と排水を行う排水管を備えた家屋本体と、前記家屋本体を支える地盤に設けられた基礎と、を含む家屋における前記家屋本体を上方に移動させる嵩上げ工法であって、
    前記給水管及び前記排水管を切断するとともに、前記家屋本体を前記基礎から切離して、少なくとも前記基礎の全体が露出するまで横方向に移動させる第1過程、
    前記基礎を必要に応じて除去する、前記第1過程を実行した後に実行される第2過程、
    前記基礎の存在した部分を一周するようにして囲む、所定高さの壁である擁壁を構築する、前記第1過程を実行した後に実行される第3過程、
    前記地盤から伸びる前記給水管に所定長さの管である延長給水管の一端を接続するとともに、前記地盤から伸びる前記排水管に所定長さの管である延長排水管の一端を接続する、前記第1過程を実行した後に実行される第4過程、
    前記擁壁で囲まれた空間である内部空間に、土よりも軽い材料でできた、耐水性を有する盛土の代替材である軽量盛土材を充填する、前記第4過程を実行した後に実行される第5過程、
    前記擁壁の上部の開口を覆う板状の蓋材を、前記蓋材から前記延長給水管の他端、及び前記延長排水管の他端が突出するようにして設けるとともに、前記蓋材の上に、前記家屋本体を支持する新しい基礎である新基礎を設ける、前記第5過程を実行した後に実行される第6過程、
    前記新基礎の上に前記家屋本体を乗せてから固定するとともに、前記家屋本体側の前記給水管に前記延長給水管の他端を接続し、且つ前記家屋本体側の前記排水管に前記延長排水管の他端を接続する、前記第6過程を実行した後に実行される第7過程、
    を含む嵩上げ工法。
  2. 前記軽量盛土材の材料として、ガラス発泡材、アッシュ材、軽石、硬質ウレタンの少なくとも1つを用いる、
    請求項1記載の嵩上げ工法。
  3. 前記ガラス発泡材、アッシュ材、軽石は砕石状又は球状である、
    請求項2記載の嵩上げ工法。
  4. 前記硬質ウレタンは板状である、
    請求項2記載の嵩上げ工法。
  5. 前記形状盛土材として、板状の硬質ウレタンと、砂状から砕石状又は球状のガラス発泡材、アッシュ材、軽石の少なくとも1つとを用いる、
    請求項2記載の嵩上げ工法。
  6. 前記第5過程を実行する前に、前記地盤から伸びる前記給水管及びそれにその一端が接続された延長給水管と、前記地盤から伸びる前記排水管及びそれにその一端が接続された延長排水管とを養生して、前記軽量盛土材から保護する、
    請求項1記載の嵩上げ工法。
  7. 前記第5過程を実行した後、前記第6過程が実行される前に、前記軽量盛土材の上に、水密な袋であり、前記擁壁外にその先端が位置する管の基端と接続されることによって前記擁壁外に連通したものを配する、
    請求項1記載の嵩上げ工法。
  8. 前記袋が、前記軽量盛土材の上面の事実上全体を覆うようにする、
    請求項7記載の嵩上げ工法。
  9. 前記袋を複数とし、前記袋のそれぞれを別々の管により前記擁壁外に連通させる、
    請求項7又は8記載の嵩上げ工法。
  10. 前記擁壁外に、前記管の先端側と接続され、且つ前記袋に充填した場合に硬化する液状の材料である充填剤を貯留したタンクを配置することにより、前記軽量盛土材と前記蓋材との間に所定以上の空間が生じた場合に、前記タンクから前記管を介して前記袋に前記充填剤を流し込んだ後硬化させられるようにした、
    請求項7から9のいずれかに記載の嵩上げ工法。
  11. 前記充填剤を、前記タンクから前記管を介して、重力により前記袋に至らせることができるように、前記タンクを前記袋よりも高い位置に設置する、
    請求項10記載の嵩上げ工法。
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