JP2023101818A - 制御装置、検知装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 - Google Patents

制御装置、検知装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】物体を検知する検知装置の検知範囲を好適に調整することが可能な制御装置及び検知装置を提供する。【解決手段】制御装置1は、車両5の周辺に存在する物体を検知可能なライダ3を制御するものであって、車両5が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配情報を地図DB20から取得する。そして、制御装置1は、取得した勾配情報に基づいて、ライダ3のライダ検知範囲RLの車両5に対する方向を変更するようにライダ3を制御する。【選択図】図10

Description

本発明は、物体検知用の検知装置の検知範囲の調整技術に関する。
従来から、物体検知用の照射部の調整技術が知られている。例えば、特許文献1には、自車両からレーザ光を周囲に照射して反射光を検出する照射検出部と、自車両の前方に存在する前方道路の勾配変化の有無を検出する勾配検出部と、勾配検出部によって勾配変化が検出された場合に、レーザ光の照射出力を抑制する出力制御部と、を備えるレーザレーダ制御装置が開示されている。
特開2010-127846号公報
坂道付近においては、物体を検知するために出射したレーザ光等の照射範囲に坂道上の物体が含まれなくなる場合があり、その結果、検知すべき物体を的確に検知できず物体検知精度が低下する虞がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、物体を検知する検知装置の検知範囲を好適に調整することが可能な制御装置及び検知装置を提供することを主な目的とする。
請求項に記載の発明は、移動体の周辺に存在する物体を検知可能な検知装置を制御する制御装置であって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得部と、前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御部と、を備える。
また、請求項に記載の発明は、移動体の周辺に対して電磁波又は超音波を照射する照射部と、物体によって反射された前記電磁波又は超音波を受信する受信部と、を備える検知装置であって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得部と、前記第1情報に基づいて、前記照射部が電磁波又は超音波を照射する照射範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記照射部を制御する制御部と、を備える。
また、請求項に記載の発明は、移動体の周辺に存在する物体を検知可能な検知装置を制御する制御装置が実行する制御方法であって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得工程と、前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御工程と、を有する。
また、請求項に記載の発明は、移動体の周辺に存在する物体を検知可能な検知装置を制御するコンピュータが実行するプログラムであって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得部と、前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御部として前記コンピュータを機能させる。
計測システムの概略構成である。 制御装置のブロック構成を示す。 ライダの概略的な構成例を示す。 上り坂付近を車両が走行する場合の車両の進行方向に沿って切断した道路の断面図を示す。 下り坂付近を車両が走行する場合の車両の進行方向に沿って切断した道路の断面図を示す。 ライダの実走査範囲の電子的調整の具体例を示す。 第1実施例のフローチャートである。 上り坂付近を車両が走行する場合の車両の進行方向に沿って切断した道路の断面図を示す。 下り坂付近を車両が走行する場合の車両の進行方向に沿って切断した道路の断面図を示す。 第2実施例のフローチャートである。 第3実施例における中心照射角の決定方法を概略的に示した道路の断面図である。 図11の状態から車両が坂道に進入した場合の道路の断面図を示す。 車両が下り坂を走行中の場合の道路の断面図を示す。 第3実施例のフローチャートである。 第4実施例に基づく例外処理の必要性を説明する図である。 山を形成する坂付近での第4実施例における処理概要を示した道路の断面図である。 谷を形成する坂付近での第4実施例における処理概要を示した道路の断面図である。 第4実施例のフローチャートである。 現在位置と坂道との相対位置関係を示す道路の断面図を示す。 第5実施例のフローチャートである。 変形例に係る計測システムの構成例を示す。
本発明の好適な実施形態によれば、移動体の周辺に存在する物体を検知可能な検知装置を制御する制御装置であって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得部と、前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御部と、を備える。この構成によれば、制御装置は、移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に基づいて、当該坂道上の物体を検知できるように検知装置の検知範囲を好適に制御することができる。
上記制御装置の一態様では、前記制御部は、前記移動体が前記坂道の開始地点から所定距離以内に進入した場合に、前記第1情報に基づいて前記方向を変更するように前記検知装置を制御する。この態様により、制御装置は、坂道に近付いた場合に、坂道上の物体を検知できるように検知装置の検知範囲を好適に制御することができる。
上記制御装置の他の一態様では、前記制御部は、前記坂道が下り坂の場合、前記方向を下方に変化させ、前記坂道が上り坂の場合、前記方向を上方に変化させる。この態様により、制御装置は、坂道上の物体を検知できるように検知装置の検知範囲を好適に定めることができる。
上記制御装置の他の一態様では、前記制御部は、前記移動体が前記坂道の開始地点から所定距離以内に進入した場合に、前記方向を第1方向から第2方向へ変更するように前記検知装置を制御し、前記移動体が前記坂道に進入した後では、前記方向を前記第2方向から前記第1方向へ変更するように前記検知装置を制御する。移動体が坂道に進入した場合、検知装置自体も坂道の勾配に応じて傾く。よって、制御装置は、坂道に進入後では検知範囲の方向を第2方向から第1方向へ戻すことで、坂道の進入前後において坂道上の物体を検知できるように検知装置の検知範囲を好適に定めることができる。
上記制御装置の他の一態様では、前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記移動体が進行する可能性がある方角に向けられた前記検知範囲の仰俯角を変更するように前記検知装置を制御する。この態様により、制御装置は、検知装置の検知範囲が向けられた方角に存在する坂道上の物体を好適に検知できるように検知装置の検知範囲を定めることができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、移動体の周辺に対して電磁波又は超音波を照射する照射部と、物体によって反射された前記電磁波又は超音波を受信する受信部と、を備える検知装置であって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得部と、前記第1情報に基づいて、前記照射部が電磁波又は超音波を照射する照射範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記照射部を制御する制御部と、を備える。ここで、「照射部が電磁波又は超音波を照射する照射範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記照射部を制御する」とは、実際の照射部の照射範囲を、照射部が電磁波又は超音波を照射可能な範囲内で変化させる制御の他、照射部の機構的(物理的)な配置位置を変更させる制御、及び、照射部の配置角度(移動体に対する設置角度)を機構的(物理的)に変更させる制御を含んでもよい。この構成によれば、検知装置は、移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に基づいて、当該坂道上の物体を検知できるように検知装置の検知範囲を好適に制御することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、移動体の周辺に存在する物体を検知可能な検知装置を制御する制御装置が実行する制御方法であって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得工程と、前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御工程と、を有する。制御装置は、この制御方法を実行することで、移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に基づいて、当該坂道上の物体を検知できるように検知装置の検知範囲を好適に制御することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、移動体の周辺に存在する物体を検知可能な検知装置を制御するコンピュータが実行するプログラムであって、前記移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に関する第1情報を取得する取得部と、前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記移動体に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、移動体が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配に基づいて、当該坂道上の物体を検知できるように検知装置の検知範囲を好適に制御することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
以下、図面を参照して本発明の好適な第1~第5実施例について説明する。
<第1実施例>
[全体構成]
図1は、第1実施例に係る計測システムの概略構成である。計測システムは、車両5の自動運転用の計測を行うシステムであって、主に、制御装置1と、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging、または、Laser Illuminated Detection And Ranging)3を含むセンサ群とを備える。
制御装置1は、ライダ3を含むセンサ群と有線又は無線により接続し、センサ群の出力データに基づき、車両5の高精度な位置推定を行ったり、車両5の自動運転の制御を行ったりする。また、本実施例では、制御装置1は、ライダ3のレーザの照射方向を制御することで、ライダ3による物体の検知範囲を制御する。なお、制御装置1は、車両5の運転を自動制御するECU(Electronic Control Unit)として車両5に内蔵されてもよく、車両5に自動運転等に関する制御信号を送信する車載機等であってもよい。他の例では、制御装置1は、ライダ3の一部として構成されてもよい。
ライダ3は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対して電磁波であるパルスレーザを出射することで、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を示す3次元の点群情報を生成する。この場合、ライダ3は、照射方向を変えながらレーザ光を出射する照射部と、照射したレーザ光の反射光(散乱光)を受信する受信部とを含んでいる。点群情報は、受光部が受光したレーザ光に対応する照射方向と、上述の受光信号に基づき特定される当該レーザ光の応答遅延時間とに基づき生成される。本実施例では、ライダ3は、少なくとも車両の前方(進行方向)をレーザ光の照射範囲に含んでいる。以後では、ライダ3によるレーザ光が照射される範囲であって、ライダ3の最大測距距離以内となる範囲を、「ライダ検知範囲RL」とも呼ぶ。
また、ライダ3は、図示しない角度調整機構を備え、制御装置1から供給される制御信号に基づき、照射部の垂直方向における角度(即ち仰俯角)を調整自在に構成されている。なお、図1の例では、一例として、ライダ3は、車両5の天井部に設けられているが、これに限らず、車両5の任意の部分に設けられてもよい。例えば、ライダ3は、車両5に設けられた図示しない2つのヘッドライトの中間付近に嵌め込まれていてもよい。ライダ3は、検知装置として機能する。
図2は、制御装置1のブロック構成を示す。図2に示すように、制御装置1は、入力部11と、記憶部12と、インターフェース13と、報知部14と、通信部15と、制御部16とを備える。制御部16と他の要素とは、バスなどを介して信号の授受が可能に構成されている。
入力部11は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、自動運転と手動運転との切替えなどの種々の入力を受け付ける。
記憶部12は、制御部16が実行するプログラムや、制御部16が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部12は、地図DB20を記憶する。地図DB20は、車両の手動運転時におけるナビゲーションに用いられるものであってもよく、また、車両の自動運転時における車両の運転制御に用いられるものであってもよい。地図DB20には、リンクやノードにより表された道路データ、施設情報、ライダ3等による検出対象となる地物に関する地物情報などを含んでいる。
インターフェース13は、車両5に設けられた種々のセンサ群からの出力データを制御部16へ供給したり、制御部16からの制御信号をセンサ群の特定のセンサに供給したりする。本実施例では、センサ群は、上述したライダ3に加えて、姿勢センサ4やGPS受信機7などを含んでいる。姿勢センサ4は、例えば3軸加速度センサであって、車両5の姿勢検出用のセンサとして設けられている。なお、ライダ3の姿勢検出用のセンサがさらに設けられてもよい。
報知部14は、例えば、制御部16の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。通信部15は、制御部16の制御に基づき外部装置とデータ通信を行う。
制御部16は、プログラムを実行するCPUなどを含み、計測システムの全体を制御する。本実施例では、制御部16は、車両5が坂道付近を通過する場合であっても、ライダ検知範囲RLが車両5から所定距離(「検知対象距離Dt」とも呼ぶ。)離れた道路上の範囲を含むように、ライダ3の垂直方向における照射角度(即ちレーザ光の仰俯角)を制御する。言い換えると、この場合、制御部16は、ライダ3の水平方向における照射角度(即ちレーザ光の方角)を車両5の前方に向けた状態で、ライダ3の垂直方向における照射角度(即ちレーザ光の仰俯角)を制御する。検知対象距離Dtは、例えば、車両5の進行方向上においてライダ3が物体を検知可能な最大の距離であって、例えば100mに設定される。なお、検知対象距離Dtは、ライダ3が物体を検知可能な最大の距離よりも、長くとってもよいし、短くとってもよい。また、検知対象距離Dtは、予め決められた固定値であってもよいし、車両5の挙動に応じて変動させるようにしてもよい。この場合、例えば、車両5の速度が高速なほど、権利対象距離Dtが長くなるように変動させるようにしてもよい。制御部16は、取得部、第1取得部、第2取得部、制御部、プログラムを実行するコンピュータ等として機能する。
[ライダの構成例]
図3は、ライダ3の概略的な構成例を示す。ライダ3は、TOF(Time Of Flight)方式のライダであって、図3に示すように、主に、光送受信部18と、信号処理部19と、を含む。
光送受信部18は、主に、同期制御部21と、LDドライバ22と、レーザダイオード23と、駆動ドライバ25と、受光素子26と、電流電圧変換回路(トランスインピーダンスアンプ)27と、A/Dコンバータ28と、セグメンテータ29と、水晶発振器30と、を有する。
水晶発振器30は、同期制御部21及びA/Dコンバータ28にパルス状のクロック信号「S1」を出力する。同期制御部21は、パルス状のトリガ信号「S2」をLDドライバ22に出力する。また、同期制御部21は、後述するセグメンテータ29がA/Dコンバータ28の出力を抽出するタイミングを定めるセグメント抽出信号「S3」をセグメンテータ29に出力する。
LDドライバ22は、同期制御部21から入力されるトリガ信号S2に同期してパルス電流をレーザダイオード23へ流す。レーザダイオード23は、例えば赤外パルスレーザであって、LDドライバ22から供給されるパルス電流に基づき光パルスを出射する。
走査部Lは、例えば送出及び受信光学系を含むスキャナとして構成され、レーザダイオード23が出射する光パルスを所定の水平角及び垂直角の範囲において走査すると共に、出射された光パルスが照射された対象物で反射された戻り光を受光素子26に導く。この場合、走査部Lは、上述の水平角を等角度により区切ったセグメントごとに光パルスを出射する。走査部Lは、駆動ドライバ25から供給される信号に基づき光パルスの出射角度等が調整される。走査部Lは、モータにより駆動するミラーであってもよく、静電駆動方式のミラーであってもよい。このように、走査部Lは、電磁波を照射する照射部として機能する。
受光素子26は、例えば、アバランシェフォトダイオードであり、走査部Lにより導かれた対象物からの反射光の光量に応じた微弱電流を生成する。受光素子26は、生成した微弱電流を、電流電圧変換回路27へ供給する。このように、受光素子26は、反射された電磁波を受信する受信部として機能する。電流電圧変換回路27は、受光素子26から供給された微弱電流を増幅して電圧信号に変換し、変換した電圧信号をA/Dコンバータ28へ入力する。
A/Dコンバータ28は、水晶発振器30から供給されるクロック信号S1に基づき、電流電圧変換回路27から供給される電圧信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をセグメンテータ29に供給する。セグメンテータ29は、セグメント抽出信号S3がアサートされている期間におけるA/Dコンバータ28の出力であるデジタル信号を、セグメントごとの受光強度に関する信号(「セグメント信号Sseg」とも呼ぶ。)として生成する。セグメンテータ29は、生成したセグメント信号Ssegを信号処理部19へ供給する。
信号処理部19は、各光送受信部TRから送信されるセグメント信号Ssegに基づき、対象物の距離及び角度を示す点群情報を生成する。具体的には、信号処理部19は、セグメント信号Ssegの波形からピークを検出し、検出したピークに対応する振幅及び遅延時間の推定を行う。そして、信号処理部19は、セグメント信号Ssegが示す波形のピークのうち、推定した振幅が所定の閾値以上となるピークの遅延時間に対応する距離の情報と対象のセグメントに対応する角度の情報との組を、点群情報を構成する各点の情報として生成する。
[ライダ検知範囲の制御]
次に、第1実施例において制御装置1が実行するライダ検知範囲RLの制御について説明する。概略的には、制御装置1は、坂道に近付いた場合に、車両5の現在位置と、車両5から検知対象距離Dtだけ先の地点(「検知対象地点Pt」とも呼ぶ。)との高度差に関する情報に基づき、ライダ3の垂直方向における照射角度を制御する。これにより、制御装置1は、車両5が坂道に近付いた場合であっても、坂道上に存在する検知対象地点Pt上の対象物が好適にライダ検知範囲RLに含まれるようにライダ3を制御する。
以後では、現在位置と検知対象地点Ptとの高度差を、「高度差H」とも呼ぶ。また、ライダ3がパルスレーザを走査する角度範囲の垂直方向における中心角度(即ちライダ検知範囲RLの中心の仰俯角)を「中心照射角θ」とも呼ぶ。ここで、中心照射角θは、水平面を基準とした絶対的な角度ではなく、車両5を基準(車両5の進行方向を0°)とした相対的な角度とする。また、「標準角度」とは、坂道が現在位置周辺に存在しない平坦な道路を走行中の場合に設定される通常時の中心照射角θを指すものとする。
(1)中心照射角の決定
図4(A)~(C)は、勾配「θ」の上り坂付近を車両5が走行する場合の車両5の進行方向に沿って切断した道路の断面図を示す。ここで、図4(A)は、前方の上り坂が検知対象距離Dt以上離れている状態を示し、図4(B)は、前方の上り坂が検知対象距離Dt以内に存在する状態を示し、図4(C)は、上り坂に車両5が進入する直前の状態を示している。なお、ここでは、検知対象距離Dtを水平距離とみなして検知対象地点Ptを定めている。以後において、実線「LM」は、ライダ3の照射範囲の垂直方向における中心線を指し、実線「LT」、「LL」は、ライダ3の照射範囲の垂直方向における境界線を指す。また、破線「J」は、制御装置1が推定した車両5の現在位置に対応する緯度経度を示し、破線「S」は、制御装置1が推定した検知対象地点Ptに対応する緯度経度を示す。
この場合、まず、制御装置1は、現在位置と検知対象地点Ptとの高度差(「高度差H」とも呼ぶ。)を算出する。例えば、制御装置1は、センサ群の出力に基づき推定した現在位置に対応する道路上の地点の高度情報を地図DB20の道路データから抽出することで、現在位置の高度を特定する。同様に、制御装置1は、現在位置から車両5の進行方向に向かって水平距離で検知対象距離Dtだけ離れた道路上の地点の高度情報を地図DB20の道路データから抽出することで、検知対象地点Ptの高度を特定する。この場合、検知対象距離Dtは、自動運転用の経路又は経路案内用の経路が既に決められている場合には、当該経路に沿った距離であってもよい。そして、制御装置1は、検知対象地点Ptの高度から現在位置の高度を差し引くことで、高度差Hを算出する。
そして、図4(A)の例では、車両5の前方に存在する坂道(勾配)の開始地点(勾配又は高度の変化地点であり、以後では「坂開始地点Ps」とも呼ぶ。)は、現在位置から検知対象距離Dt以上離れており、高度差Hは0となる。よって、この場合、制御装置1は、ライダ検知範囲RLを変更する必要がないと判断し、中心照射角θを予め定められた標準角度(ここでは一例として0°とする)に設定する。そして、図4(A)の例では、検知対象地点Pt付近に存在する先行車両がライダ検知範囲RL内に含まれており、制御装置1は、ライダ3の出力に基づき先行車両の存在を検知することが可能である。
一方、図4(B)、(C)の例では、車両5の現在位置と検知対象地点Ptとの間に坂開始地点Psが存在しており、検知対象地点Ptは、当該坂道上に存在している。そして、この場合、制御装置1が算出する高度差Hは0より大きい正値となる。よって、この場合、制御装置1は、算出した高度差Hに応じて、中心照射角θを設定する。例えば、制御装置1は、各高度差Hに対して適した中心照射角θを規定した式又はマップを予め記憶しておき、当該式又はマップを参照することで、設定すべき中心照射角θを認識する。ここでは、制御装置1は、検知対象地点Ptまでの水平距離である検知対象距離Dtと高度差Hとを用いて、現在位置と検知対象地点Ptとの2地点間の勾配角度(即ちtan-1(H/Dt))を算出し、当該勾配角度分だけ中心照射角θに加算する。これにより、車両5が坂開始地点Psに近付くほど中心照射角θが大きくなる。そして、図4(B)の例では、中心照射角θは坂道の勾配θより小さい角度「θ1」(0<θ1<θ)となっており、車両5が坂開始地点Psの直前に存在する図4(C)の例では、中心照射角θは坂道の勾配θとほぼ等しくなる。そして、これらの場合、坂道上の検知対象地点Ptに存在する先行車両が好適にライダ検知範囲RLに含まれている。
このように、制御装置1は、高度差Hが大きいほど中心照射角θを大きくすることで、現在位置より高い高度に存在する検知対象地点Pt上の対象物を好適にライダ検知範囲RLに含めることができる。
図5(A)、(B)は、勾配「-θ」の下り坂付近を車両5が走行する場合の車両5の進行方向に沿って切断した道路の断面図を示す。図5(A)、(B)では、車両5の現在位置と検知対象地点Ptとの間に勾配-θの坂道の坂開始地点Psが存在しており、検知対象地点Ptは、当該坂道上に存在している。なお、図5(B)では、車両5は、坂開始地点Psの直前の地点に存在している。そして、図5(A)、(B)の例では、制御装置1が算出する高度差Hは、0より小さい負値となる。
この場合、制御装置1は、高度差Hが正値の場合と同様、高度差Hを算出後、算出した高度差Hに基づき、中心照射角θを設定する。例えば、制御装置1は、高度差Hと検知対象距離Dtとを用いて、現在位置と検知対象地点Ptとの2地点間の勾配角度(ここでは負値)を算出し、当該勾配角度分だけ中心照射角θに加算する。これにより、車両5が坂開始地点Psに近付くほど中心照射角θが小さくなり(即ち負値の絶対値が大きくなり)、中心照射角θは坂道の勾配-θに近付く。そして、図5(A)の例では、中心照射角θは角度「-θ2」(0<θ1<θ)となっており、車両5が坂開始地点Psの直前に存在する図5(B)の例では、中心照射角θは角度-θとほぼ等しくなる。そして、図5(A)、(B)のいずれの例においても、坂道上の検知対象地点Ptに存在する先行車両が好適にライダ検知範囲RLに含まれている。
なお、制御装置1は、高度差Hの絶対値が所定値以下の場合には、中心照射角θを変更することなく標準角度に維持してもよい。上述の所定値は、例えば、ライダ3の垂直方向の走査角度範囲(即ち垂直視野角)を勘案し、中心照射角θを標準角度に維持しても検知対象地点Pt上の対象物がライダ検知範囲RLに含まれるような高度差に設定される。
図5(C)は、上り坂への接近時において仮に中心照射角θを標準角度に維持した場合の道路の断面図を示す。この場合、ライダ3のレーザ光の大部分は検知対象地点Ptより手前の道路に照射されてしまうため、検知対象地点Pt上に存在する先行車両を十分な精度により検出することが困難となる。
なお、制御装置1は、高度差Hに加えて、車両5の現在位置での姿勢をさらに勘案して中心照射角θを設定してもよい。例えば、制御装置1は、現在位置に対応する道路に勾配がある場合には、当該勾配分だけライダ3が傾くことから、当該勾配分だけ中心照射角θを補正する。この場合、制御装置1は、例えば、姿勢センサ4の出力に基づき車両5の進行方向における傾きを検出し、検出した傾き分だけ中心照射角θを補正する。他の例では、制御装置1は、地図DB20を参照することで、現在位置が存在する道路の勾配情報を取得し、取得した勾配情報が示す勾配分だけ中心照射角θを補正する。
また、制御装置1は、高度差Hに加えて、検知対象地点Ptでの道路勾配をさらに勘案して中心照射角θを設定してもよい。例えば、制御装置1は、地図DB20から取得した検知対象地点Ptでの勾配情報が示す下りの道路勾配が所定角度以上である場合(即ち急な下り坂に検知対象地点Ptが存在する場合)、高度差Hに基づき中心照射角θを設定すると、レーザ光が坂開始地点Psの手前の道路に遮られると判断し、当該道路にレーザ光が遮られない角度(例えば標準角度)となるように中心照射角θを設定する。同様に、制御装置1は、地図DB20から取得した検知対象地点Ptでの勾配情報が示す上りの道路勾配が所定角度以上である場合、高度差Hに基づき中心照射角θを設定すると、現在位置から坂開始地点Psまでに存在する先行車両等を検出することができないと判断し、ライダ検知範囲RLが坂開始地点Ps付近の先行車両等を検出可能な角度(例えば標準角度)となるように中心照射角θを設定する。
(2)角度調整例
制御装置1は、中心照射角θを調整する場合、ライダ3に備わる角度調整機構を利用してライダ3の垂直方向の向きを機構的(物理的)に調整する機構的調整を行ってもよく、後述する実走査範囲を変更する電子的調整を行ってもよい。機構的調整の具体例については、例えば不図示のモータ等で構成される機構的調整部により、ライダ3全体を車両5に対して物理的に動かすことによって、中心照射角θを調整する。ここで、上述の電子的調整の具体例について、図6を参照して説明する。
図6(A)は、ライダ3の出射方向に垂直な仮想照射平面上における、当該ライダ3の走査可能範囲「SR」と、中心照射角θが標準角度である場合の実走査範囲「FOV」との対応関係を示す。ここで、走査可能範囲SRは、パルスレーザによる走査が可能な範囲を指し、実走査範囲FOVは、パルスレーザによる走査が実際に行われている範囲を指す。なお、実走査範囲FOV内の矢印は走査方向の一例を示している。
図6(A)に示すように、実走査範囲FOVは、走査可能範囲SRより小さい範囲に設定されており、ライダ3は、光送受信部18の内部信号のパラメータの変更を指示する制御信号を制御装置1から受信することで、走査可能範囲SR内で実走査範囲FOVの位置調整が可能となっている。ここで、実走査範囲FOVの上辺及び下辺は、図4及び図5に示した境界線LT、LLに対応し、長手方向に沿った実走査範囲FOVの中心線は、図4及び図5に示した中心線LMに対応している。
図6(B)は、制御装置1から供給される制御信号に基づき、実走査範囲FOVを走査可能範囲SR内で上方に移動させた場合の走査可能範囲SRと、実走査範囲FOVとの対応関係を示す。この場合、走査可能範囲SR内で実走査範囲FOVが上方に移動したことにより、中心照射角θが標準角度から所定値だけ加算され、ライダ検知範囲RLが図6(A)の場合よりも上方に移動する。図6(C)は、制御装置1から供給される制御信号に基づき、実走査範囲FOVを走査可能範囲SR内で下方に移動させた場合の走査可能範囲SRと、実走査範囲FOVとの対応関係を示す。この場合、走査可能範囲SR内で実走査範囲FOVが下方に移動したことにより、中心照射角θが標準角度から所定値だけ減算され、ライダ検知範囲RLが図6(A)の場合よりも下方に移動する。なお、この場合、実走査範囲FOVは、左右方向には移動せず、車両5に対するライダ検知範囲RLの方角については変更されない。
このように、制御装置1は、実走査範囲FOVを走査可能範囲SR内で上下に移動させる電子的調整により、中心照射角θを好適に調整することができる。従って、制御装置1は、ライダ3に対して機構的調整又は電子的調整の少なくともいずれかを実行することで、ライダ3の中心照射角θを好適に調整することができる。例えば、制御装置1は、上述した電子的調整のみでは中心照射角θを目標の角度に設定することができないと判断した場合に、角度調整機構を利用したライダ3の機構的調整を行う。この場合、制御装置1は、電子的調整により調整可能な中心照射角θの角度範囲の情報を予め記憶してもよい。また、本実施例においては、実走査範囲FOVを調整する際に、中心線LM(中心照射角θ)を調整することとしたが、境界線LTやLLを調整することとしてもよい。
(3)処理フロー
図7は、第1実施例における制御装置1のライダ検知範囲RLの制御に関する処理手順を示すフローチャートである。制御装置1は、図7のフローチャートの処理を、繰り返し実行する。
まず、制御装置1は、センサ群の出力に基づき車両5の現在位置を推定後、地図DB20を参照することで、推定した現在位置と検知対象地点Ptとの高度差Hを算出する(ステップS101)。この場合、制御装置1は、地図DB20を参照し、推定した現在位置に対応する道路上の地点の高度、及び、当該地点から水平距離で検知対象距離Dtだけ先の地点の高度をそれぞれ抽出することで、高度差Hを算出する。
次に、制御装置1は、ステップS101で算出した高度差Hに基づき、中心照射角θを調整する(ステップS102)。この場合、制御装置1は、高度差Hが大きいほど、中心照射角θが大きくなるように設定する。これにより、制御装置1は、検知対象地点Ptが坂道上に存在する場合であっても、検知対象地点Pt付近の先行車両等をライダ3の出力に基づき検出することができる。なお、この場合、制御装置1は、姿勢センサ4等の出力に基づき、車両5の前後方向が傾いている(即ち現在位置に道路勾配がある)と判断した場合、検出した傾き分だけ中心照射角θを補正してもよい。
以上説明したように、第1実施例に係る制御装置1は、車両5の周辺に存在する物体を検知可能なライダ3を制御するものであって、車両5の現在位置と当該現在位置から検知対象距離Dt離れた検知対象地点Ptとの高度差Hの情報(第1情報)を取得する。そして、制御装置1は、取得した高度差Hに基づいて、ライダ3のライダ検知範囲RLの車両5に対する方向を変更するようにライダ3を制御する。これにより、制御装置1は、検知対象地点Ptが坂道上に存在する場合であっても、検知対象地点Pt付近に存在する対象物をライダ3の出力に基づき好適に検知することができる。
<第2実施例>
第2実施例では、概略的には、制御装置1は、進行方向上に存在する坂道の坂開始地点Psに所定距離(「閾値距離Lth」とも呼ぶ。)以内に近付いた場合に、坂道の勾配θに基づき中心照射角θを設定する。以後では、第1実施例と同様の計測システムの各構成要素については適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
図8(A)~(C)は、勾配θの上り坂付近を車両5が走行する場合の車両5の走行道路の断面図を示す。ここで、図8(A)は、坂開始地点Psが車両5の現在位置から閾値距離Lthよりも遠くに存在する状態を示し、図8(B)は、坂開始地点Psが車両5の現在位置から閾値距離Lth以内となる状態を示し、図8(C)は、上り坂の坂開始地点Psを車両5が通過後の状態を示している。
まず、制御装置1は、例えば車両5の走行道路の勾配情報又は高度情報を地図DB20から取得することで、閾値距離Lth以内での坂開始地点Psの存否を判定する。閾値距離Lthは、例えば、第1実施例で用いた検知対象距離Dtよりも短い距離となるように設定される。
ここで、坂開始地点Psの特定方法の具体例について説明する。例えば、地図DB20において、勾配が異なる道路ごとにリンクデータが存在し、かつ、各リンクの開始地点及び終了地点に対して高度情報が存在する場合には、制御装置1は、各リンクの開始地点と終了地点との高度差及び緯度経度に基づく水平距離差に基づき各リンクの勾配を算出し、勾配の絶対値が所定角度以上となるリンクの開始地点を坂開始地点Psとみなす。他の例では、地図DB20において、勾配が異なる道路ごとに勾配情報を含むリンクデータが存在する場合には、制御装置1は、絶対値が所定角度以上となる勾配を示す勾配情報を含むリンクの開始地点を坂開始地点Psとみなす。
そして、図8(A)の例では、制御装置1は、現在位置から閾値距離Lth以内に坂開始地点Psが存在しないことから、中心照射角θを調整する必要がないと判断し、中心照射角θを標準角度に維持する。
一方、図8(B)の例では、制御装置1は、坂開始地点Psが現在位置から閾値距離Lth以内に存在すると判断し、当該上り坂の勾配θに基づき中心照射角θを決定する。具体的には、制御装置1は、中心照射角θを標準角度(ここでは0度)から角度θだけ加算する。この場合、ライダ検知範囲RLの中心を通る中心線LMは、坂道の路面と平行となるため、坂道上の先行車両等をライダ検知範囲RLに含めることができる。よって、この場合、制御装置1は、ライダ3の出力に基づき、走行予定の坂道上に存在する先行車両等を好適に検知することができる。
また、図8(C)の例では、制御装置1は、例えば坂開始地点Psの位置情報及びセンサ群の出力から推定される車両5の現在位置情報に基づき、車両5が坂開始地点Psを通過したことを認識する。この場合、制御装置1は、中心照射角θを標準角度(ここでは0度)に戻す。ここで、図8(C)の例では、車両5は、勾配θの坂道上に存在することから、角度θの仰角を有して傾いている。よって、制御装置1は、坂開始地点Psの通過後では、中心照射角θを角度θから標準角度に戻すことで、ライダ3の照射範囲の中心を通る中心線LMを坂道の路面と引き続き平行にする。これにより、制御装置1は、坂道上の先行車両等をライダ検知範囲RLに含めることができ、ライダ3の出力に基づき先行車両等を好適に検出することができる。
図9(A)、(B)は、勾配-θの下り坂付近を車両が走行する場合の車両の進行方向に沿って切断した道路の断面図を示す。ここで、図9(A)は、下り坂の坂開始地点Psから車両5の現在位置が閾値距離Lth以内となる状態を示し、図9(B)は、下り坂の坂開始地点Psを車両5が通過後の状態を示す。
図9(A)の例では、制御装置1は、次に通過する下り坂に対する坂開始地点Psが閾値距離Lth以内に近付いたと判断し、当該下り坂の勾配-θに基づき中心照射角θを決定する。具体的には、制御装置1は、中心照射角θを標準角度から角度θだけ減算する。この場合、ライダ検知範囲RLの中心を通る中心線LMは、坂道の路面と平行となるため、下り坂上の先行車両等をライダ検知範囲RLに含めることができる。よって、制御装置1は、ライダ3の出力に基づき、走行予定の下り坂に存在する先行車両等を好適に検知することができる。
図9(B)の例では、制御装置1は、例えば坂開始地点Psの位置情報及びセンサ群の出力から推定される車両5の現在位置情報に基づき、車両5が坂開始地点Psを通過したことを認識する。この場合、制御装置1は、中心照射角θを標準角度に戻す。これにより、制御装置1は、ライダ3の照射範囲の中心を通る中心線LMを坂道の路面と引き続き平行にし、坂道上の先行車両等をライダ検知範囲RLに含めることができる。
図10は、第2実施例における制御装置1のライダ検知範囲RLの制御に関する処理手順を示すフローチャートである。制御装置1は、図10のフローチャートの処理を、繰り返し実行する。
まず、制御装置1は、車両5が坂に接近したか否か判定する(ステップS201)。具体的には、制御装置1は、地図DB20を参照し、センサ群の出力等に基づき推定した現在位置から閾値距離Lth以内に坂開始地点Psが存在するか否か判定する。そして、制御装置1は、坂に接近していないと判断した場合(ステップS201;No)、即ち現在位置から閾値距離Lth以内に坂開始地点Psが存在しない場合、中心照射角θを標準角度に設定する(ステップS202)。
一方、制御装置1は、坂に接近したと判断した場合(ステップS201;Yes)、地図DB20から接近中の坂の勾配θの情報を取得し、当該勾配θに基づき、中心照射角θを設定する(ステップS203)。この場合、例えば、制御装置1は、標準角度である中心照射角θに角度θ(下り坂の場合には負値)を加算する。これにより、車両5が接近する坂に存在する先行車両等を好適にライダ検知範囲RLに含めることができる。なお、この場合、制御装置1は、第1実施例と同様に、現在位置での車両5の姿勢(即ち現在位置での道路勾配)に基づき中心照射角θを補正してもよい。
次に、制御装置1は、車両5が坂開始地点Psを通過したか否か判定する(ステップS204)。そして、制御装置1は、車両5が坂開始地点Psを通過していない場合(ステップS204;No)、引き続きステップS203を実行し、中心照射角θを勾配θに基づく値に設定する。
一方、制御装置1は、車両5が坂開始地点Psを通過したと判断した場合(ステップS204;Yes)、中心照射角θを標準角度に戻す(ステップS205)。これにより、制御装置1は、車両5が坂道に進入して車両5自体の傾きが変化した場合であっても、坂道上の先行車両等をライダ検知範囲RLに好適に含めることができる。この場合、ステップS202及びステップS205で設定された中心照射角θに基づくライダ検知範囲RLの方向は、第1方向として機能し、ステップS203で設定された中心照射角θに基づくライダ検知範囲RLの方向は、第2方向として機能する。
以上説明したように、第2実施例に係る制御装置1は、車両5の周辺に存在する物体を検知可能なライダ3を制御するものであって、車両5が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配情報(第1情報)を地図DB20から取得する。そして、制御装置1は、取得した勾配情報に基づいて、ライダ3のライダ検知範囲RLの車両5に対する方向を変更するようにライダ3を制御する。これにより、制御装置1は、坂道に接近した場合であっても、ライダ3の出力に基づき対象物を的確に検知することができる。
<第3実施例>
第3実施例では、概略的には、制御装置1は、現在位置と検知対象地点Ptとの2地点間の高度差に基づく勾配(「2地点間勾配θSJ」とも呼ぶ。)と、現在位置での勾配(「自車位置勾配θ」とも呼ぶ。)とに基づき中心照射角θを設定する。以後では、第1及び第2実施例と同様の計測システムの構成要素については適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
図11は、第3実施例における中心照射角θの決定方法を概略的に示した道路の断面図である。なお、図11において、「h」は、路面からのライダ3の取付高さを示し、「Ht」は、検知対象地点Ptにおいて物体を検出する目標高さを示し、「θ」は、検知対象地点Ptでの勾配を示す。図11の例では、車両5の前方に勾配θの坂道が存在し、当該坂道の先の道路上の検知対象地点Pt付近に先行車両が存在している。
第3実施例では、制御装置1は、2地点間勾配θSJ及び自車位置勾配θを取得し、中心照射角θを以下の式(1)に基づき算出する。
ここで、本実施例では、制御装置1は、式(1)に用いる2地点間勾配θSJを、高度差H及び検知対象距離Dtに加えて、取付高さh及び目標高さHtをさらに勘案し、以下の式(2)に基づき幾何学的に算出する。
このように、制御装置1は、取付高さh及び目標高さHtを用いることで、より正確に中心照射角θを決定することができる。なお、式(2)の計算において、制御装置1は、高度差Hを、第1実施例と同様、現在位置の高度情報と検知対象地点Ptでの高度情報とを地図DB20から抽出することで算出する。また、取付高さh及び目標高さHtの情報は、例えば、予め記憶部12に記憶されている。
また、制御装置1は、自車位置勾配θを、例えば地図DB20に含まれる現在位置での道路勾配の情報又は姿勢センサ4の出力に基づき取得する。図11の例では、車両5は平坦な道路上に存在するため、自車位置勾配θは0度となっている。従って、この場合、制御装置1は、式(1)に基づき、中心照射角θを2地点間勾配θSJに設定する。
図11の例では、中心照射角θを2地点間勾配θSJに設定した場合、ライダ3の照射範囲の中心線LMは、検知対象地点Pt上において目標高さHtを通過する。これにより、制御装置1は、検知対象地点Pt付近に存在する先行車両を好適にライダ検知範囲RLに含めることができる。
図12は、図11の状態から車両5が坂道に進入した場合の道路の断面図を示す。この場合、車両5が勾配θの坂道に進入したことにより、自車位置勾配θは勾配θと等しくなっている。この場合、制御装置1は、地図DB20又は姿勢センサ4の出力に基づき、勾配θと等しい自車位置勾配θを検出する。また、制御装置1は、図11の場合と同様に、2地点間勾配θSJを、式(2)を用いて、高度差H、検知対象距離Dt、取付高さh及び目標高さHtから算出する。そして、制御装置1は、式(1)に基づき、中心照射角θを、2地点間勾配θSJから自車位置勾配θ(即ち勾配θ)を減算した値に設定する。
なお、図12では、車両5が傾いているため、実際のライダ3の取付高さ(即ち地表に対するライダ3の高度差)は、記憶部12に記憶されている平坦な道路上での取付高さに対して僅かなずれが生じている可能性がある。以上を勘案し、制御装置1は、この場合、車両5の傾きを考慮した取付高さhを、平坦道路上での取付高さから坂道の勾配θを用いることで幾何学的に算出してもよい。検知対象地点Ptが坂道上に存在する場合にも同様に、制御装置1は、検知対象地点Ptの道路勾配を考慮した目標高さHtを、記憶部12に記憶された平坦道路上での目標高さから勾配θを用いることで幾何学的に算出してもよい。
図13は、車両5が下り坂を走行中の場合の道路の断面図を示す。この場合、車両5が勾配-θの下り坂に進入したことにより、自車位置勾配θは勾配-θと等しくなっている。この場合、制御装置1は、地図DB20又は姿勢センサ4の出力に基づき、勾配-θと等しい自車位置勾配θを検出する。また、制御装置1は、図11及び図12の場合と同様に、2地点間勾配θSJを、式(2)を用いて、高度差H(ここでは負値)、検知対象距離Dt、取付高さh及び目標高さHtから算出する。そして、制御装置1は、式(1)に基づき、中心照射角θを、2地点間勾配θSJから自車位置勾配θ(即ち勾配-θ)を減算した値(即ちθ=θSJ+θ)に設定する。
図12及び図13の例においても、図11の例と同様、ライダ3の照射範囲の中心線LMは、検知対象地点Pt上において目標高さHtを通過する。従って、制御装置1は、車両5が上り坂又は下り坂を走行中であっても、検知対象地点Pt付近に存在する先行車両を好適にライダ検知範囲RLに含めることができる。
図14は、第3実施例における制御装置1のライダ検知範囲RLの制御に関する処理手順を示すフローチャートである。制御装置1は、図14のフローチャートの処理を、繰り返し実行する。
まず、制御装置1は、自車位置勾配θを取得する(ステップS301)。この場合、制御装置1は、現在位置に対応する道路の勾配情報を地図DB20から参照することで自車位置勾配θを取得してもよく、姿勢センサ4の出力により検出した車両4の前後方向の傾きを自車位置勾配θとして取得してもよい。
次に、制御装置1は、現在位置と検知対象地点Ptとの高度差H、検知対象距離Dt、取付高さh、目標高さHtに基づき、式(2)から2地点間勾配θSJを算出する(ステップS302)。
そして、制御装置1は、ステップS301で算出した自車位置勾配θと、ステップS302で算出した2地点間勾配θSJとに基づき、式(1)から中心照射角θを設定する(ステップS303)。このようにすることで、制御装置1は、進行方向に坂道があるか否かを検出することなく、かつ、坂道の通過前、通過中、通過後のいずれの状態であるかによらず、検知対象地点Pt付近の対象物がライダ検知範囲RLに含まれるように2地点間勾配θSJを適切に設定することができる。なお、中心照射角θの標準角度が0°ではない場合には、制御装置1は、標準角度に対し、式(1)の右辺の「θSJ-θ」を加算した値を、中心照射角θとして定めるとよい。
以上説明したように、第3実施例に係る制御装置1は、車両5の周辺に存在する物体を検知可能なライダ3を制御するものであって、車両5の現在位置と検知対象地点Ptとの高度差に基づく2地点間勾配θSJの情報(第1情報)と、車両5の姿勢に関する自車位置勾配θの情報(第2情報)とを取得する。そして、制御装置1は、取得した2地点間勾配θSJ及び自車位置勾配θの情報に基づいて、ライダ3のライダ検知範囲RLの車両5に対する方向を変更するようにライダ3を制御する。これにより、制御装置1は、坂道周辺を走行する場合であっても、検知対象地点Pt付近に存在する物体をライダ3の出力に基づき的確に検知することができる。
<第4実施例>
第4実施例では、概略的には、制御装置1は、第1実施例の例外的な処理として、現在位置から検知対象地点Ptまでの間に山又は谷を形成する道路区間が存在する場合に、山の頂又は谷の底を基準として中心照射角θを設定する。以後では、第1実施例と同様の計測システムの構成要素については適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
まず、第4実施例に基づく例外処理の必要性について、図15を参照して説明する。
図15(A)は、現在位置と検知対象地点Ptとの間に山頂位置「Pp」の山が存在する道路において、第1実施例に基づき中心照射角θを決定した場合の概要図である。この例では、制御装置1は、現在位置と検知対象地点Ptとの高度差Hが0であり、かつ、現在位置での道路勾配も0°であることから、中心照射角θを標準角度(ここでは0°)に設定している。
この場合、ライダ3から出射されるレーザ光は、車両5の前方の山の上り坂部分によって遮られ、山頂位置Pp付近に存在する先行車両31がライダ検知範囲RLに含まれない。よって、この場合、制御装置1は、先行車両31をライダ3の出力に基づき検知することができない。
図15(B)は、現在位置と検知対象地点Ptとの間に谷底位置「Pd」の谷が存在する道路において、第1実施例に基づき中心照射角θを決定した場合の概要図である。この例では、制御装置1は、現在位置と検知対象地点Ptとの高度差Hと、現在位置での道路勾配とに基づき、検知対象地点Pt上の物体を捕捉可能な方向(ここでは水平方向)にライダ検知範囲RLを設定している。
この場合、ライダ3から出射されるレーザ光は、谷底位置Pdより高い高度を有する検知対象地点Pt上に向けられるため、谷底位置Pd付近に存在する先行車両32には照射されない。よって、この場合、先行車両32はライダ検知範囲RLに含まれないため、制御装置1は、先行車両32をライダ3の出力に基づき検知することができない。
このように、現在位置と検知対象地点Ptとの間に山又は谷を形成する道路区間が存在する場合、第1実施例に基づく中心照射角θの決定方法では、山頂位置Pp又は谷底位置Pd付近の対象物をライダ検知範囲RLに含めることができない。以上を勘案し、第4実施例では、制御装置1は、現在位置と検知対象地点Ptとの間に所定の条件を満たす山頂位置Pp又は谷底位置Pdが存在する場合には、例外処理として、山頂位置Pp又は谷底位置Pdを基準として中心照射角θを決定する。
次に、上述の例外処理への切替タイミングについて具体的に説明する。概略的には、制御装置1は、山頂位置Pp又は谷底位置Pdを基準として中心照射角θを設定した場合と検知対象地点Ptを基準として中心照射角θを設定した場合との中心照射角θの角度差(「照射角度差θxy」とも呼ぶ。)を算出し、当該照射角度差θxyが所定角度以上の場合に、上述の例外処理を行う。
図16(A)は、図15(A)と同じ状況下において、例外処理への切替判定に用いる照射角度差θxyを明示した道路の断面図である。
この場合、制御装置1は、まず、地図DB20を参照し、現在位置から検知対象距離Dt以内の経路上に山頂位置Ppの存否を判定する。例えば、山の上り坂と下り坂とで別々のリンクデータが存在すると仮定した場合、制御装置1は、リンクの終了地点が当該リンクの開始地点よりも所定長だけ高いリンクと、リンクの開始地点が当該リンクの終了地点よりも所定長だけ高いリンクとが隣接するときに、これらのリンクの接続部分(即ちノード)が山頂位置Ppであると判定する。
制御装置1は、山頂位置Ppの検出後、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θ(破線Lx参照)と、山頂位置Ppを基準とした中心照射角θ(破線Ly参照)とをそれぞれ算出する。ここでは、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θにより車両5からレーザ光が照射された場合の光路を破線Lxにより示し、山頂位置Ppを基準とした中心照射角θにより車両5からレーザ光が照射された場合の光路を破線Lyにより示している。破線Lxは第1の線として機能し、破線Lyは第2の線として機能する。なお、図16(A)の例では、制御装置1は、現在位置の路面の高度にライダ3の取付高さhを加算した高度と、検知対象地点Pt又は山頂位置Ppでの道路の高度に目標高さHtを加算した高度との差を、第1実施例における高度差Hとして算出する。そして、制御装置1は、算出したそれぞれの高度差Hに応じた角度及び現在位置の勾配等に基づき、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θと、山頂位置Ppを基準とした中心照射角θとを算出する。
そして、制御装置1は、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θと、山頂位置Ppを基準とした中心照射角θとの照射角度差θxyを算出し、照射角度差θxyが所定角度(「閾値角度θth」とも呼ぶ。)以上の場合、山頂位置Ppを基準として中心照射角θを決定する。上述の閾値角度θthは、例えば、ライダ3の垂直視野角(即ち垂直方向において走査を行う角度範囲)の1/2に設定される。これにより、制御装置1は、山頂位置Ppに至るまでの道路上に存在する対象物がライダ検知範囲RLに含まれなくなるのを防ぐ。
なお、制御装置1は、照射角度差θxyを求めるための中心照射角θの算出において、取付高さh又は/及び目標高さHtを考慮しなくともよい。例えば、制御装置1は、山頂位置Ppを基準とした中心照射角θ(破線Ly参照)の算出では、算出すべき高度差に目標高さHtを加算しなくともよい。同様に、制御装置1は、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θ(破線Lx参照)の算出においても、算出すべき高度差に目標高さHtを加算しなくともよい。
図16(B)は、図16(A)の状況下において、照射角度差θxyが閾値角度θthより大きかった場合のライダ3の照射範囲を明示した道路断面図である。図16(B)の例では、制御装置1は、ライダ3の垂直視野角「θv」の1/2を閾値角度θthとして設定し、照射角度差θxyが垂直視野角θvの1/2より大きいことから、山頂位置Ppを基準として中心照射角θを決定している。この場合、中心照射角θによる照射方向を示す中心線LMは、図16(A)の破線Lyと一致している。そして、この場合、山頂位置Pp付近に存在する先行車両31は、ライダ検知範囲RLに含まれることになり、制御装置1は、先行車両31をライダ3の出力に基づき好適に検知することができる。
図17(A)は、図15(B)と同じ状況下において、例外処理への切替判定に用いる照射角度差θxyを明示した道路の断面図である。
この場合、制御装置1は、まず、地図DB20を参照し、現在位置から検知対象距離Dt以内の経路上における谷底位置Pdの存否を判定する。例えば、谷の下り坂と上り坂とで別々のリンクデータが存在すると仮定した場合、制御装置1は、リンクの終了地点が当該リンクの開始地点よりも所定長だけ低いリンクと、リンクの開始地点が当該リンクの終了地点よりも所定長だけ低いリンクとが隣接するときに、これらのリンクの接続部分(即ちノード)が谷底位置Pdであると判定する。
制御装置1は、谷底位置Pdの検出後、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θ(破線Lx参照)と、谷底位置Pdを基準とした中心照射角θ(破線Ly参照)とをそれぞれ算出することで、照射角度差θxyを求める。ここでは、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θにより車両5からレーザ光が照射された場合の光路を破線Lxにより示し、谷底位置Pdを基準とした中心照射角θにより車両5からレーザ光が照射された場合の光路を破線Lyにより示している。破線Lxは第1の線として機能し、破線Lyは第2の線として機能する。図17(A)の例では、制御装置1は、図16(A)の例と同様、ライダ3の取付高さh、検知対象地点Pt及び谷底位置Pdでの目標高さHtを考慮して高度差Hを算出し、算出した高度差H及び現在位置の勾配等に基づき、それぞれの中心照射角θを算出している。
そして、制御装置1は、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θと、谷底位置Pdを基準とした中心照射角θとの照射角度差θxyが閾値角度θth以上の場合、検知対象地点Ptより前の道路上がライダ検知範囲RLに含まれなくなる可能性があると判断し、谷底位置Pdを基準として中心照射角θを決定する。
図17(B)は、図17(A)の状況下において、照射角度差θxyが閾値角度θthより大きかった場合のライダ3の照射範囲を明示した道路断面図である。図17(B)の例では、制御装置1は、ライダ3の垂直視野角「θv」の1/2を閾値角度θthとして設定し、照射角度差θxyが垂直視野角θvの1/2より大きいことから、谷底位置Pdを基準として中心照射角θを決定している。この場合、中心照射角θによる照射方向を示す中心線LMは、図17(A)の破線Lyと一致している。そして、この場合、谷底位置Pd付近に存在する先行車両32は、ライダ検知範囲RLに含まれることになり、制御装置1は、先行車両32をライダ3の出力に基づき検出することができる。
図18は、第4実施例における制御装置1のライダ検知範囲RLの制御に関する処理手順を示すフローチャートである。制御装置1は、図18のフローチャートの処理を、繰り返し実行する。
まず、制御装置1は、検知対象地点Ptの手前に山又は谷を形成する道路区間が存在するか否か判定する(ステップS401)。例えば、制御装置1は、経路沿いの道路に対応するリンクデータの高度情報を地図DB20から参照することで、山頂位置Pp又は谷底位置Pdの存否を判定する。
そして、制御装置1は、検知対象地点Ptの手前に山又は谷を形成する道路区間が存在すると判断した場合(ステップS401;Yes)、検知対象地点Ptを基準とした中心照射角θと山頂位置Pp又は谷底位置Pdを基準とした中心照射角θとの照射角度差θxyを算出する(ステップS402)。そして、制御装置1は、照射角度差θxyが閾値角度θth以上である場合(ステップS403;Yes)、山頂位置Pp又は谷底位置Pdを基準として中心照射角θを調整する(ステップS404)。この場合、制御装置1は、現在位置と山頂位置Pp又は谷底位置Pdとの高度差や現在位置での勾配等に基づき、中心照射角θを設定する。
一方、制御装置1は、照射角度差θxyが閾値角度θth未満である場合(ステップS403;No)、又は検知対象地点Ptの手前に山頂位置Pp及び谷底位置Pdを形成する道路区間が存在しない場合(ステップS401;No)、検知対象地点Ptを基準として中心照射角θを調整する(ステップS405)。この場合、制御装置1は、第1実施例と同様、現在位置と検知対象地点Ptとの高度差Hや現在位置での勾配等に基づき、中心照射角θを設定する。
以上説明したように、第4実施例に係る制御装置1は、ライダ検知範囲RL内に存在する物体を検知可能なライダ3を制御するものであって、車両5の現在位置と当該現在位置から水平方向に検知対象距離Dt離れた検知対象地点Ptとの間に存在する山頂位置Pp又は谷底位置Pdの情報(第1情報)を取得する。そして、制御装置1は、取得した山頂位置Pp又は谷底位置Pdの情報に基づき、ライダ3のライダ検知範囲RLの車両5に対する方向を変更するようにライダ3を制御する。これにより、制御装置1は、坂道周辺を走行する場合であっても、検知対象地点Pt付近に存在する物体を、ライダ3の出力に基づき的確に検知することができる。
<第5実施例>
第5実施例では、制御装置1は、現在位置から坂開始地点Psまでの距離(「坂到達距離Ds」とも呼ぶ。)に基づいて中心照射角θを設定する点で、第1~第4実施例と異なる。以後では、他の実施例と同様の計測システムの構成要素については適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
図19(A)~(C)は、現在位置「P」と坂道との相対位置関係を示す道路の断面図を示す。図19(A)~(C)において、破線円「CL」は、現在位置Pから検知対象距離Dtだけ離れた位置を結んだ線であり、座標値(0、0)、(Dt、0)、(Ds、0)は、現在位置Pを原点とし、水平方向をX軸、鉛直方向をY軸とした場合の2次元座標を示す。
本実施例では、制御装置1は、半径が検知対象距離Dtとなる破線円CLと車両5の経路との交点位置を検知対象地点Ptとみなし、当該検知対象地点Ptを基準として中心照射角θを定める。従って、本実施例では、検知対象地点Ptは、現在位置から直線距離にて検知対象距離Dtだけ離れた地点となる。
図19(A)の例では、現在位置Pが坂開始地点Psから検知対象距離Dt以上離れていることにより、破線円CLと車両5の経路との交点位置である検知対象地点Ptは、平坦な道路上の地点となる。よって、この場合、制御装置1は、検知対象地点Ptの座標値(Dt,0)を基準として中心照射角θを決定する。この場合、ライダ検知範囲RLの中心線LMは、現在位置Pの座標値(0、0)と座標値(Dt,0)とを結ぶ線となり、中心照射角θは0°となる。
図19(B)の例では、現在位置Pが坂開始地点Psから検知対象距離Dt以内に近づいていることにより、破線円CLと車両5の経路との交点位置である検知対象地点Ptは、勾配θの坂道上に存在する。従って、この場合、制御装置1は、上述の交点位置を算出し、当該交点位置と現在位置Pとを結ぶ線をライダ検知範囲RLの中心線LMと一致させるように中心照射角θを決定する。この場合、後述するように、制御装置1は、上述の交点位置となる検知対象地点Ptの座標値を、坂勾配θ及び坂到達距離Dsに基づき算出する。
また、図19(C)の例では、現在位置Pが坂開始地点Psの直前に存在する。この場合、ライダ3の照射範囲の中心線LMは、坂道と略平行となり、このときの中心照射角θは、坂勾配θと略一致する。
次に、図19(B)の場合の検知対象地点Ptの座標値「(x、y)」の算出方法について説明する。
まず、検知対象地点Ptは、原点を中心とする破線円CL上に存在するため、以下の式(3)が成立する。
また、検知対象地点Ptは、(Ds、0)を開始地点とした勾配θの坂上に存在するため、以下の式(4)が成立する。
よって、式(4)のyを式(3)に代入し、xの2次方程式の解を求めると、以下の式(5)が得られる。
そして、式(5)を式(4)に代入することで、yが算出される。
ここで、図19(B)に示されるように、中心照射角θとx、yとは以下の式(6)が成立する。
よって、制御装置1は、進行方向上に存在する坂道の坂開始地点Psに検知対象距離Dt以内に近づいた場合に、検知対象距離Dt、坂到達距離Ds、坂勾配θに基づき、検知対象地点Ptの座標値(x、y)を式(4)、(5)から算出する。これにより、制御装置1は、式(6)に基づき中心照射角θを好適に定めることができる。この場合、制御装置1は、坂開始地点Psを、第2実施例と同様、センサ群の出力から推定した現在位置及び地図DB20の道路データに基づき検出する。
なお、制御装置1は、xを求めるための式(5)が複雑化するのを回避するため、近似的にx、yを求めることで計算による処理負荷を低減してもよい。例えば、制御装置1は、坂勾配θが日本国内において最大37度であることに着目し、xを検知対象距離Dtとみなす。この場合、式(4)に基づき以下の式(7)が得られる。
よって、式(7)に基づき式(6)から中心照射角θを求めると、以下の式(8)が得られる。
制御装置1は、式(8)に基づき中心照射角θを決定することで、中心照射角θを決定するための処理負荷を好適に低減することができる。
ここで、「x=Dt」とする近似式を用いることの妥当性について説明する。式(8)を用いた場合、勾配θを30°、検知対象距離Dtを100mとすると、「tan30°=0.57735」なので、中心照射角θは、「Ds=100m」のときに0°(誤差なし)、「Ds=75m」のときに8.213°、「Ds=50m」のときに16.102°(誤差1.102°)、「Ds=25m」のときに23.413°、「Ds=0m」のときに30°(誤差なし)となる。そして、検知対象距離Dtを100mとした場合に誤差が最大となる勾配θ及び坂到達距離Dsの組み合わせは、37°及び50mであり、この場合、中心照射角θは20.64°(誤差2.14°)となる。一方、一般的には、ライダ3の垂直視野角(図17(B)のθv)はこの誤差より十分大きい値(例えば15°)に設定されるため、「x=Dt」とする近似式を用いた場合であっても、検知対象地点Pt上の対象物を好適にライダ検知範囲RLに含めることができる。
図20は、第5実施例における制御装置1のライダ検知範囲RLの制御に関する処理手順を示すフローチャートである。制御装置1は、図20のフローチャートの処理を、繰り返し実行する。
まず、制御装置1は、坂開始地点Psとの距離である坂到達距離Dsが検知対象距離Dt以下となったか否か判定する(ステップS501)。そして、制御装置1は、坂到達距離Dsが検知対象距離Dt以下の場合(ステップS501;Yes)、ステップS502~ステップS505の処理を実行する。一方、制御装置1は、坂到達距離Dsが検知対象距離Dtより長い場合(ステップS501;No)、坂道を考慮して中心照射角θを決定する必要がないと判断し、中心照射角θを標準角度に設定する(ステップS506)。
次に、ステップS502において、制御装置1は、坂到達距離Ds及び近接する坂道の坂勾配θを取得する(ステップS502)。そして、制御装置1は、検知対象距離Dt、坂到達距離Ds、及び坂勾配θに基づき、現在位置から直線距離で検知対象距離Dtとなる坂道上の座標値(x、y)を算出する(ステップS503)。この場合、制御装置1は、上述した式(4)、(5)に基づき座標値(xt、yt)を算出してもよく、「x=Dt」の近似式を用いて式(7)に基づきyを算出してもよい。そして、制御装置1は、式(6)に基づき中心照射角θを設定する(ステップS504)。これにより、制御装置1は、現在位置から直線距離で検知対象距離Dtとなる坂道上の地点を基準として好適にライダ検知範囲RLを定めることができる。
そして、制御装置1は、坂開始地点Psに到達したか否か判定する(ステップS505)。そして、制御装置1は、坂開始地点Psに到達したと判断した場合(ステップS505;Yes)、中心照射角θを標準角度に設定する(ステップS506)。一方、制御装置1は、坂開始地点Psに到達していない場合(ステップS505;No)、引き続きステップS502~S504を実行し、坂到達距離Dsに応じて中心照射角θを設定する。
以上説明したように、第5実施例に係る制御装置1は、車両5の周辺に存在する物体を検知可能なライダ3を制御するものであって、車両5が進行する可能性がある方向に存在する坂道の勾配θに関する勾配情報を地図DB20から取得する。そして、制御装置1は、現在位置から坂開始地点Psまでの坂到達距離Dsが検知対象距離Dt以下となった場合、勾配θに関する勾配情報と坂到達距離Dsに関する距離情報とに基づいて、ライダ3のライダ検知範囲RLの車両5に対する方向を変更するようにライダ3を制御する。これにより、制御装置1は、坂道に接近した場合であっても、坂道上の対象物をライダ3の出力に基づき的確に検知することができる。
<変形例>
次に、第1~第5実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
[変形例1]
第1~第5実施例において、制御装置1の制御部16が行う処理の一部又は全部を、ライダ3の信号処理部19が実行してもよい。例えば、信号処理部19は、図7、図10、図14、図18、図20のフローチャートの処理を制御装置1の代わりに実行してもよい。この場合、信号処理部19は、図示しないライダ3の記憶部又は他の装置に記憶された地図データから走行中の道路に関する高度情報や勾配情報などを取得し、各フローチャートの処理を実行することで中心照射角θを決定し、決定した中心照射角θが実現されるように光送受信部18の内部パラメータの変更等を行う。この場合、信号処理部19は、本発明における制御装置及びコンピュータとして機能する。
[変形例2]
第1~第5実施例において、ライダ3は、車両5に対して複数設けられてもよい。
図21は、本変形例に係る計測システムの構成例を示す。図21の例では、車両5の前方をライダ検知範囲RLとするライダ3と、車両5の後方をライダ検知範囲RLとするライダ3aとがヘッドライトと同様の高さの位置に設けられている。この例では、制御装置1は、ライダ3について、上述した第1~第5実施例のいずれかに基づきライダ検知範囲RLを制御する。また、制御装置1は、ライダ3aについても、ライダ3aが検知対象とする検知対象距離「Dta」だけ現在位置から後方にある検知対象地点「Pta」を特定し、現在位置と検知対象地点Ptaとの高度差及び現在位置の道路勾配等に基づき、第1~第5実施例と同様のアルゴリズムによりライダ3aの中心照射角θを決定する。このようにすることで、制御装置1は、ライダ3Aaのライダ検知範囲RLについても好適に制御することができる。
[変形例3]
第1~第5実施例において、制御装置1は、地図DB20を備える代わりに、地図DB20と同等な情報を記憶するサーバ装置から処理に必要な情報を受信してもよい。
[変形例4]
第1~第5実施例において、制御装置1は、ライダ3のライダ検知範囲RLを調整する代わりに、ライダ3以外の電磁波又は超音波を照射する外界センサの検知範囲を調整するものであってもよい。この場合であっても、制御装置1は、坂道付近における対象の外界センサの検知範囲を的確に制御して物体検知精度を向上させることができる。
[変形例5]
第1実施例において、制御装置1は、第3実施例及び第4実施例と同様に、ライダ3の取付高さh及び検知対象地点Ptでの目標高さHtを勘案して高低差Hを算出してもよい。この場合、制御装置1は、地図DB20から抽出した現在位置及び検知対象地点Ptの各高度情報に基づく高度差に対して、目標高さHtを加算し、かつ、取付高さhを減じた値を、第1実施例における高低差Hとして算出すればよい。
一方、第3実施例及び第4実施例において、制御装置1は、第1実施例と同様に、取付高さh及び目標高さHtを考慮することなく中心照射角θを決定してもよい。
1 制御装置
3 ライダ
5 車両
11 入力部
12 記憶部
13 インターフェース
14 報知部
15 通信部
16 制御部
18 光送受信部
19 信号処理部
20 地図DB

Claims (8)

  1. 車両に搭載され、前記車両の前方に存在する先行車両を検知可能な検知装置を制御する制御装置であって、
    前記車両が坂道の開始地点に所定距離以内に近づいたと判定した場合に、
    記憶部に記憶された前記坂道の勾配を示す第1情報を取得する取得部と、
    前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記車両に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御部と、
    を備える制御装置。
  2. 前記制御部は、前記坂道が下り坂の場合、前記方向を下方に変化させ、前記坂道が上り
    坂の場合、前記方向を上方に変化させる請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記制御部は、前記車両が前記坂道の開始地点に前記所定距離以内に近づいたと判定
    した場合に、前記方向を第1方向から第2方向へ変更するように前記検知装置を制御し、
    前記車両が前記坂道に進入した後では、前記方向を前記第2方向から前記第1方向へ変
    更するように前記検知装置を制御する請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記車両が進行する可能性がある方角に向
    けられた前記検知範囲の仰俯角を変更するように前記検知装置を制御する請求項1~3の
    いずれか一項に記載の制御装置。
  5. 車両に搭載され、前記車両の前方に存在する先行車両を検知可能であって、前記車両の周辺に対して電磁波又は超音波を照射する照射部と、物体によって反射された前記電磁波又は超音波を受信する受信部と、を備える検知装置であって、
    前記車両が坂道の開始地点に所定距離以内に近づいたと判定した場合に、
    記憶部に記憶された前記坂道の勾配を示す第1情報を取得する取得部と、
    前記第1情報に基づいて、前記照射部が電磁波又は超音波を照射する照射範囲の前記車両に対する方向を変更するように前記照射部を制御する制御部と、
    を備える検知装置。
  6. 車両に搭載され、前記車両の前方に存在する先行車両を検知可能な検知装置を制御する制御装置が実行する制御方法であって、
    前記車両が坂道の開始地点に所定距離以内に近づいたと判定した場合に、
    記憶部に記憶された前記坂道の勾配を示す第1情報を取得する取得工程と、
    前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記車両に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御工程と、
    を有する制御方法。
  7. 車両に搭載され、前記車両の前方に存在する先行車両を検知可能な検知装置を制御するコンピュータが実行するプログラムであって、
    前記車両が坂道の開始地点に所定距離以内に近づいたと判定した場合に、
    記憶部に記憶された前記坂道の勾配を示す第1情報を取得する取得部と、
    前記第1情報に基づいて、前記検知装置の検知範囲の前記車両に対する方向を変更するように前記検知装置を制御する制御部
    として前記コンピュータを機能させるプログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
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