JP2023101092A - 車両用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加速度センサの検出値に基づいて車体傾斜角を演算により導出する場合に、路面傾斜角の影響を受けない車体傾斜角を導出し、ヘッドランプの光軸の傾き角度の制御を精度よく行えるようにする。【解決手段】演算手段21により、車体加速度Aがゼロの定速走行中に式(A)の演算によって路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)を算出するとともに、車体加速度の補正係数kを算出し、車体加速度Aがほぼゼロではない加減速走行中に、車体加速度がほぼゼロの定速走行中に算出した補正係数kにより補正した車体加速度A(=k・Aw)を用いた式(B)の演算によって、車体傾斜角θvを算出し、制御手段23により、演算手段21によって算出した車体傾斜角θvに基づき、ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する。【選択図】図1
Description
この発明は、ヘッドランプの光軸の傾き角度を車体傾斜角に応じて制御する車両用制御装置に関する。
従来、ヘッドランプの光軸の傾き角度を車体傾斜角に応じて制御し、対向車両に対する幻惑を防止する技術として、オートレベリング制御技術がある。この種のオートレベリング制御では、車高センサの出力値から導出される車体傾斜角に基づいてヘッドランプの光軸の傾斜角度を制御したり、加速度センサ、ジャイロセンサや地磁気センサ等の傾斜センサを用いて車体傾斜角を導出し、ヘッドランプの光軸の傾斜角度を制御したりするのが一般的である。
しかしながら、車高センサによるヘッドランプの光軸制御の場合、加速度センサやジャイロセンサ等を用いる場合に比べて、車両コストの上昇を招くため、コスト低減の観点から例えば特許文献1に記載のように演算により、加速度センサを用いて車体傾斜角を算出することが行われている。この特許文献1に記載のオートレベリング制御では、車両前後方向の加速度を第1軸に、車両上下方向の加速度を第2軸に設定した座標に、加速時及び減速時の少なくとも一方における加速度センサにより検出される検出値をプロットし、プロットした複数点から得られる直線又はベクトルの傾きを用いて車体の傾斜角である車体姿勢角度を算出し、ヘッドランプの光軸の傾斜角度を制御している。
ところが、特許文献1に記載の発明では、車両前後方向の加速度の方向が常に路面と平行である点に着目してなされたものであるため、車両後部のトランクルームに積載物や後部座席の搭乗者がない場合には、車両前後方向の加速度は車体姿勢角の傾きの影響が小さいため、車両前後方向の加速度、車両上下方向の加速度に基づいて算出される車体傾斜角に一致するようにヘッドランプの光軸の傾斜角度を制御すればよいが、車両後部のトランクルームに積載物や後部座席の搭乗者がある場合には、次のような問題がある。
すなわち、例えば図5に示すような上り坂の場合には、路面の傾斜角をθrとし、積載物等による車体の傾斜角をθvとすると、加速度センサによる車両前後方向の加速度の方向Xは、積載物等による車体の傾斜角θvが路面の傾斜角θrに加算されるにもかかわらず、車両前後方向の加速度Aと一致していると誤って判断されることになり、真の車体傾斜角を導出してヘッドランプの光軸の傾斜角度を精度よく制御することができないという問題がある。なお、下り坂の場合には、車体の傾斜角θvが路面の傾斜角θrから減算される。また、車両の慣性で前部が浮き気味となるノーズアップや、車両の前部が路面に沈み込むノーズダウンの影響による車体傾斜角の誤差を排除できないという問題もある。なお、図5において、Zは車両上下方向の加速度であり、Gは重力加速度であって地表での値は“1”となる。
本発明は、加速度センサの検出値に基づいて車体傾斜角を演算により導出する場合に、路面傾斜角の影響を受けない車体傾斜角を導出し、ヘッドランプの光軸の傾き角度の制御を精度よく行えるようにすることを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の車両用制御装置は、ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する車両用制御装置であって、車両の前後方向及び上下方向の加速度を検出して前後方向出力値X及び上下方向出力値Zを出力する加速度センサと、車輪速を検出して車輪速検出値を出力する車輪速センサと、前記車輪速検出値を時間微分して車体加速度Aを導出し、前記加速度センサからの前記前後方向出力値X及び前記上下方向出力値Z、導出した車体加速度A並びに重力加速度Gに基づき、路面傾斜角をθr、路面に対する車体傾斜角をθvとする所定の演算式の演算により、車体傾斜角θvを算出する演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づき、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する制御手段とを備え、前記演算手段は、
X=A・cosθv-G・sin(θv+θr)
Z=A・sinθv+G・cos(θv+θr)
の2つの式を変換し、地表における前記重力加速度Gの値として“1”を代入して、
式(A) X2+Z2+1-A2=2・Z・cos(θv+θr)-2・X・sin(θv+θr)
式(B) X2+Z2-1+A2=2・X・A・cosθv+2・Z・A・sinθv
を導出し、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中における前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの値を前記式(A)に代入して前記路面傾斜角θr及び前記車体傾斜角θvの和(θv+θr)を算出するとともに、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出した前記和(θv+θr)を用いて、前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の所定の演算タイミングにおける前記車体加速度A、前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(A)に代入して前記車体加速度Aに対する影響要素を勘案した車体加速度の補正係数kを算出し、算出した前記補正係数kを用いて、前記式(B)から前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の前記所定の演算タイミングにおける車体傾斜角θvを算出し、前記制御手段は、前記演算手段により算出された車体傾斜角θvに基づいて、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御することを特徴としている。
X=A・cosθv-G・sin(θv+θr)
Z=A・sinθv+G・cos(θv+θr)
の2つの式を変換し、地表における前記重力加速度Gの値として“1”を代入して、
式(A) X2+Z2+1-A2=2・Z・cos(θv+θr)-2・X・sin(θv+θr)
式(B) X2+Z2-1+A2=2・X・A・cosθv+2・Z・A・sinθv
を導出し、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中における前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの値を前記式(A)に代入して前記路面傾斜角θr及び前記車体傾斜角θvの和(θv+θr)を算出するとともに、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出した前記和(θv+θr)を用いて、前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の所定の演算タイミングにおける前記車体加速度A、前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(A)に代入して前記車体加速度Aに対する影響要素を勘案した車体加速度の補正係数kを算出し、算出した前記補正係数kを用いて、前記式(B)から前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の前記所定の演算タイミングにおける車体傾斜角θvを算出し、前記制御手段は、前記演算手段により算出された車体傾斜角θvに基づいて、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御することを特徴としている。
このような構成によれば、演算手段により、車体加速度Aがゼロの定速走行中に式(A)の演算によって路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出されるとともに、車体加速度の補正係数kが算出され、車体加速度Aがゼロではない加減速走行中に、車体加速度がゼロの定速走行中に算出された補正係数k補正した車体加速度A(=k・Aw)を用いた式(B)の演算によって、車体傾斜角θvが算出され、制御手段により、演算手段によって算出された車体傾斜角θvに基づいて、ヘッドランプの光軸の傾き角度が制御されるため、路面傾斜角θrの変化を補正しつつ車体傾斜角θvを導出することができ、路面傾斜角の影響を受けない車体傾斜角θvに基づいてヘッドランプの光軸の傾き角度の制御を精度よく行うことができる。
また、前記加速度センサは、前記光軸の傾き角度の制御以外の用途に車両に搭載されたセンサを使用するとよい。こうすると、光軸の傾き角度の制御以外の用途に車両に搭載された加速度センサを使用するため、光軸の傾き角度の制御専用に加速度センサを設ける必要がなく、コストの低減を図ることができる。
また、前記加速度センサは、車両の下側であって中心付近に配置されているとよい。この場合、車両の下側であって中心付近は、車両の慣性で前部が浮き気味となるノーズアップや、車両の前部が路面に沈み込むノーズダウンの影響を受けにくい位置であることから、加速度センサを車両の下側であって中心付近に配置することによって、車両のノーズアップ、ノーズダウンの影響の少ない車体傾斜角を導出することができる。
また、前記制御手段は、前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中であっても、アクセル開度が所定開度より大きく、前記車体加速度Aが所定値より小さいとき、及び、前記アクセル開度が前記所定開度より小さく、前記車体加速度Aが前記所定値より大きいときに、前記演算手段により、前記式(B)からそれぞれ算出される前記車体傾斜角θvを、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度制御に使用しないようにするとよい。
このような構成によれば、加減速走行中であっても、アクセル開度が所定開度より大きく、車体加速度Aが所定値より小さいときは、急激な上り坂を走行していると判断できる一方、アクセル開度が所定開度より小さく、車体加速度Aが所定値より大きいときは、急激な下り坂を走行していると判断できることから、急激な上り坂を走行していると判断できるとき、及び、急激な下り坂を走行していると判断できるときに、演算手段により式(B)から算出される車体傾斜角θvをヘッドランプの光軸の傾き角度制御に使用しないことによって、ヘッドランプの光軸の傾き角度の制御の精度をより高くすることができる。
また、ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する車両用制御装置であって、車両の前後方向及び上下方向の加速度を検出して前後方向出力値X及び上下方向出力値Zを出力する加速度センサと、車輪速を検出して車輪速検出値を出力する車輪速センサと、前記車輪速検出値を時間微分して車体加速度Aを導出し、前記加速度センサからの前記前後方向出力値X及び前記上下方向出力値Z、導出した車体加速度A並びに重力加速度Gに基づき、路面傾斜角をθr、路面に対する車体傾斜角をθvとする所定の演算式の演算により、車体傾斜角θvを算出する演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づき、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する制御手段とを備え、前記演算手段は、
X=A・cosθv-G・sin(θv+θr)
Z=A・sinθv+G・cos(θv+θr)
の2つの式を変換し、地表における前記重力加速度Gの値として“1”を代入して、
式(A) X2+Z2+1-A2=2・Z・cos(θv+θr)-2・X・sin(θv+θr)
式(C) sinθv・{X+sin(θv+θr)}=cosθv・{Z-cos(θv+θr)}
を導出し、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中における前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(A)に代入して前記路面傾斜角θr及び前記車体傾斜角θvの和(θv+θr)を算出するとともに、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出した前記和(θv+θr)を用いて、前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(C)に代入して車体傾斜角θvを算出するとともに、前記制御手段は、前記演算手段により算出された車体傾斜角θvに基づいて、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御するとしてもよい。
X=A・cosθv-G・sin(θv+θr)
Z=A・sinθv+G・cos(θv+θr)
の2つの式を変換し、地表における前記重力加速度Gの値として“1”を代入して、
式(A) X2+Z2+1-A2=2・Z・cos(θv+θr)-2・X・sin(θv+θr)
式(C) sinθv・{X+sin(θv+θr)}=cosθv・{Z-cos(θv+θr)}
を導出し、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中における前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(A)に代入して前記路面傾斜角θr及び前記車体傾斜角θvの和(θv+θr)を算出するとともに、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出した前記和(θv+θr)を用いて、前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(C)に代入して車体傾斜角θvを算出するとともに、前記制御手段は、前記演算手段により算出された車体傾斜角θvに基づいて、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御するとしてもよい。
このような構成によれば、演算手段により、車体加速度Aがゼロの定速走行中に式(A)を用いて路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出されるとともに、この和(θv+θr)を用いて、車体加速度Aがゼロではないか減速走行中に、車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出された(θv+θr)を用いた式(C)の演算によって、車体傾斜角θvが算出され、制御手段により、演算手段によって算出された車体傾斜角θvに基づいて、ヘッドランプの光軸の傾き角度が制御されるため、路面傾斜角θrの変化を補正しつつ車体傾斜角θvを導出することができ、路面傾斜角の影響を受けない車体傾斜角θvに基づいてヘッドランプの光軸の傾き角度の制御を精度よく行うことができる。
この発明によれば、加速度センサの検出値に基づいて車体傾斜角を演算により導出する場合に、路面傾斜角の影響を受けない車体傾斜角を導出して、ヘッドランプの光軸の傾き角度の制御を精度よく行うことができる。
(第1実施形態)
本発明に係る車両用制御装置の第1実施形態について、図1ないし図3を参照して詳述する。
本発明に係る車両用制御装置の第1実施形態について、図1ないし図3を参照して詳述する。
図1に示すように、本実施形態における車両用制御装置1は、ヘッドランプ光軸制御用ECU(Electronic Control Unit)2と、3軸加速度センサ3と、車輪速センサ4と、ナビゲーションシステム5とを備える。加速度センサ3は、車体の下側であって中心付近に配置され、車両の左右方向、前後方向及び上下方向の加速度を検出し、車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値ZをECU2に出力する。車輪速センサ4は、車両の各車輪の車輪速を検出して車輪速検出値をECU2に出力する。ナビゲーションシステム5は、GPS(Global Positionig System)機能を有し、走行中の周辺道路の地図情報や路面情報をECU2に出力し、ECU2は当該路面情報から走行中の路面傾斜角θrを取得する。なお、路面傾斜角θrの取得は、加速度センサ3からであってもよいし、カメラなどの外界認識センサからであってもよいし、これらの組合せであってもよい。
ECU2は、車輪速センサ4による車輪速検出値を時間微分して車体加速度Aを導出し、加速度センサ3からの前後方向出力値X及び上下方向出力値Z、導出した車体加速度A並びに重力加速度Gに基づき、走行中の路面に対する車体傾斜角θvを所定の演算式に基づいて算出する演算手段21と、演算手段21の演算の際に使用されるデータを一時的に格納したりその他の制御に必要なデータを保持するためのメモリ22と、演算手段21により導出された車体傾斜角に基づき、ヘッドランプ光軸調整手段6を制御してヘッドランプの傾き角度を制御する制御手段23を備える。ここで、ナビゲーションシステム5からの入力情報から走行中の道路の路面傾斜角θrがわかり、地表における重力加速度Gは“1”である。
演算手段21は、車輪速センサ4による車輪速検出値を時間微分して車体加速度Aを導出し、加速度センサ3からの前後方向出力値X及び上下方向出力値Z、導出した車体加速度A並びに重力加速度Gに基づき、路面傾斜角θr、路面に対する車体傾斜角θvを用いて、以下に説明する所定の演算式の演算を行い、車体傾斜角θvを算出する。
いま、図2に示すように、路面傾斜角θrの上り坂を車両が走行中である場合、車両の上下方向(図2中のZ方向)は重力方向である鉛直方向(図2のG方向)に対して、路面傾斜角θrと車体傾斜角θvを加算(θr+θv)した角度傾斜しているため、加速度センサ3により検出される車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zは、数1の式(1)及び数2の式(2)で表すことができる。そして、(1)及び(2)の両式において、重力加速度Gに地表での値である“1”を代入して変形することにより、式(1)、式(2)はそれぞれ、数3の式(3)及び数4の式(4)に書き直すことができる。
さらに、式(3)、式(4)それぞれを二乗して加算することにより、数5の式(5)(本発明における式(A)に相当)が得られ、式(3)をsin(θv+θr)で書き直すと、数6の式(6)となり、同様に式(4)をcos(θv+θr)で書き直すと、数7の式(7)となり、式(6)及び式(7)をそれぞれ二乗して加算することにより、数8の式(8)(本発明における式(B)に相当)が得られる。
そして、演算手段21により、上記した式(5)(本発明の式(A))に、車体加速度Aとして定速走行中の値である“0”が代入されて路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出される。このとき、車体加速度A、加速度センサ3による車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値を式(5)(本発明の式(A))に代入することにより、式(5)は式(9)に変形することができ、この式(9)に加速度センサ3による車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zを代入することにより、車体加速度Aがゼロのときの路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)の値が算出される。
さらに、演算手段21により算出された車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出された路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)を用いて、演算手段21により、車体加速度Aがゼロではない加減速走行中における所定の演算タイミングで、車輪速センサ4による車輪速検出値から導出される実データである車体加速度Aw、加速度センサ3による車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値が取得されて式(5)(本発明の式(A))に代入されることによって、車体加速度Aに対する影響要素(タイヤサイズの変更、及び、タイヤ空気圧の変化等の少なくともいずれかから発生する要素)を勘案した車体加速度A(=k・Aw)の補正係数kが算出され、この演算の繰り返しにより得られた補正係数kが平均化処理される。
さらに、平均化された補正係数kによって補正された車体加速度A(=k・Aw)が、演算手段21により、数(8)(本発明の式(B))に代入されて車体傾斜角θvが算出され、算出された車体傾斜角θvに基づいて、制御手段23によりヘッドランプ光軸調整手段6が制御され、ヘッドランプ光軸調整手段6により、ヘッドランプ光軸の傾き角度の制御が行われる。
次に、演算手段21、制御手段23等によるヘッドランプ光軸の傾き角度の制御手順について図3のフローチャートを参照して説明する。
図3に示すように、演算手段21により、加速度センサ3により検出される車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zが取得され(ステップS1)、車輪速センサ4による車輪速検出値を時間微分することにより車体加速度Awが導出され(ステップS2)、導出された車体加速度Awが定速走行中と判断できるほぼゼロ(例えば、±0.5m/s2以下)か否かの判定がなされる(ステップS3)。
そして、この判定結果がYESで定速走行中であると判断されれば、上記した式(5)(本発明の式(A))にステップS1で検出された前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値、及び、A=0が代入されて、路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出され(ステップS4)、算出された和(θv+θr)の値がメモリ22に記憶され(ステップS5)、その後動作は終了する。
一方、上記したステップS3の判定結果がNOであれば加減速走行中と判断されてステップS6に移行し、上記した式(5)(本発明の式(A))にステップS1で検出された前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値、及び、ステップS4,S5で算出されてメモリ22に記憶された路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)の値が代入されて車体加速度A(=k・Aw)の補正係数kが算出され(ステップS6)、算出された補正係数kが平均化処理される(ステップS7)。
続いて、平均化された補正係数kによって補正された車体加速度A(=k・Aw)が数(8)(本発明の式(B))に代入されて車体傾斜角θvが導出され(ステップS8)、導出された車体傾斜角θvに基づいて、制御手段23によりヘッドランプ光軸調整手段6が制御され、ヘッドランプ光軸調整手段6により、ヘッドランプ光軸の傾き角度の制御が行われ(ステップS9)、その後動作は終了する。
したがって、上記した第1実施形態によれば、演算手段21により、車体加速度Aがゼロの定速走行中に式(5)(本発明における式(A))の演算によって路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出されるとともに、車体加速度の補正係数kが算出され、車体加速度Aがゼロではない加減速走行中に、車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出された補正係数kの値により補正した車体加速度A(=k・Aw)を用いた式(B)の演算によって、車体傾斜角θvが算出され、制御手段23により、演算手段21によって算出された車体傾斜角θvに基づいて、ヘッドランプの光軸の傾き角度が制御されるため、路面傾斜角θrの変化を補正しつつ車体傾斜角θvを導出することができ、路面傾斜角θrの影響を受けない車体傾斜角θvに基づいてヘッドランプの光軸の傾き角度の制御を精度よく行うことができる。
また、車両の下側であって中心付近は、車両の慣性で前部が浮き気味となるノーズアップや、車両の前部が路面に沈み込むノーズダウンの影響を受けにくい位置であることから、加速度センサ3を車両の下側であって中心付近に配置することによって、車両のノーズアップ、ノーズダウンの影響の少ない車体傾斜角θvを導出することができる。
(第2実施形態)
本発明に係る車両用制御装置の第2実施形態について、図4を参照して詳述する。なお、本実施形態における車両用制御装置の構成は、上記した第1実施形態と同じであるため、以下では図1のブロック図も参照して説明する。
本発明に係る車両用制御装置の第2実施形態について、図4を参照して詳述する。なお、本実施形態における車両用制御装置の構成は、上記した第1実施形態と同じであるため、以下では図1のブロック図も参照して説明する。
第2実施形態では、第1実施形態と同様にして、式(1)、式(2)をそれぞれ変形して得られる数3の式(3)及び数4の式(4)それぞれを二乗して加算することにより、数5の式(5)(本発明における式(A)に相当)が得られ、さらに式(3)、式(4)を比で表わすことにより数10の式(10)が得られ、式(10)の内項の積と外項の積とが等しいことから数11の式(11)(本発明における式(C)に相当)が得られる。
そして、演算手段21により、上記した式(5)(本発明の式(A))に、車体加速度Aとして定速走行中の値である“0”が代入されて路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出される。このとき、車体加速度A、加速度センサ3による車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値を式(5)(本発明の式(A))に代入することにより、式(5)は式(9)に変形することができ、この式(9)に加速度センサ3による車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zを代入することにより、車体加速度Aがゼロのときの路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)の値が算出される。
さらに、演算手段21により算出された車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出された路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)を用いて、演算手段21により、車体加速度Aがゼロではない加減速走行中における所定の演算タイミングで、車輪速センサ4による車輪速検出値から導出される車体加速度A、加速度センサ3による車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値が取得され、式(11)(本発明の式(C))に代入されて車体傾斜角θvが算出され、この演算の繰り返しにより得られた車体傾斜角θvが平均化処理され、平均化された車体傾斜角θvに基づいて、制御手段23によりヘッドランプ光軸調整手段6が制御され、ヘッドランプ光軸調整手段6により、ヘッドランプ光軸の傾き角度の制御が行われる。
次に、演算手段21、制御手段23等によるヘッドランプ光軸の傾き角度の制御手順について図4のフローチャートを参照して説明する。
図4に示すように、演算手段21により、加速度センサ3により検出される車両の前後方向出力値X及び上下方向出力値Zが取得され(ステップS21)、車輪速センサ4による車輪速検出値を時間微分することにより車体加速度Awが導出され(ステップS22)、導出された車体加速度Awが定速走行中と判断できるほぼゼロ(例えば、±0.5m/s2以下)か否かの判定がなされる(ステップS23)。
そして、この判定結果がYESで定速走行中であると判断されれば、上記した式(5)(本発明の式(A))にステップS1で検出された前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値、及び、A=0が代入されて、路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出され(ステップS24)、算出された和(θv+θr)の値がメモリ22に記憶され(ステップS25)、その後動作は終了する。
一方、上記したステップS23の判定結果がNOであれば加減速走行中と判断されてステップS26に移行し、上記した式(11)(本発明の式(C))にステップS21で検出された前後方向出力値X及び上下方向出力値Zの各値、及び、ステップS4,S5で算出されてメモリ22に記憶された路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)の値が代入されて車体傾斜角θvが算出され(ステップS26)、算出された車体傾斜角θvが平均化され(ステップS27)、平均化された車体傾斜角θvに基づいて、制御手段23によりヘッドランプ光軸調整手段6が制御され、ヘッドランプ光軸調整手段6により、ヘッドランプ光軸の傾き角度の制御が行われ(ステップS28)、その後動作は終了する。
したがって、上記した第2実施形態によれば、演算手段21により、車体加速度Aがゼロの定速走行中に式(5)(本発明における式(A))の演算によって路面傾斜角θr及び車体傾斜角θvの和(θv+θr)が算出されるとともに、この和(θv+θr)の値を用いて、車体加速度Aがゼロではない加減速走行中に、車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出された(θv+θr)の値を用いた式(C)の演算によって車体傾斜角θvが算出され、制御手段23により、演算手段21によって算出された車体傾斜角θvに基づいて、ヘッドランプの光軸の傾き角度が制御されるため、路面傾斜角θrの変化を補正しつつ車体傾斜角θvを導出することができ、路面傾斜角θrの影響を受けない車体傾斜角θvに基づいてヘッドランプの光軸の傾き角度の制御を精度よく行うことができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
例えば、上記した第1実施形態において、CAN(Cotroller Area Network)通信により、他の制御装置により検出されて送信されるアクセル開度情報に基づき、アクセル開度が予め設定された所定開度より大きく、車体加速度Aが予め設定された所定値より小さいときは、急激な上り坂を走行していると判断できる一方、アクセル開度が所定開度より小さく、車体加速度Aが所定値より大きいときは、急激な下り坂を走行していると判断できることから、急激な上り坂を走行していると判断できるとき、及び、急激な下り坂を走行していると判断できるときに、演算手段21により式(B)から算出される車体傾斜角θvをヘッドランプの光軸の傾き角度制御に使用しないようにしてもよく、こうすることでヘッドランプの光軸の傾き角度の制御の精度をより高くすることができる。
このとき、上記したアクセル開度の判断しきい値となる所定開度、及び、上記した車体加速度の判断しきい値となる所定値はそれぞれ、ヘッドランプの光軸の傾き角度の制御精度を所定レベルに維持するのに最適な値を予め実験等により求めておくのが望ましい。
また、上記した実施形態では、加速度センサ3に3軸の加速度センサを用いた場合について説明したが、前後、上下の2軸の加速度センサであってもよく、前後用及び上下用の1軸加速度センサを2個設けてもよい。
また、上記した実施形態では、加速度センサ3は、横滑り防止制御用などに既に車両に搭載されている加速度センサを利用してもよく、これによりヘッドランプの光軸制御専用の加速度センサを設ける必要がなく、コストを低減することができる。
また、路面傾斜角θrを取得する手段として、上記した実施形態ではGPS機能を有するナビゲーションシステム5を搭載した例を示したが、路面傾斜角θrを取得する手段はこれに限定されるものではない。
また、車輪速センサ4による車輪速検出値は、CAN通信によりECU2に送信されて取得されるものであってもよい。
そして、本発明は、ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する車両用制御装置に適用することができる。
1 …車両用制御装置
3 …加速度センサ
4 …車輪速センサ
5 …ナビゲーションシステム
6 …ヘッドランプ光軸調整手段
21 …演算手段
23 …制御手段
3 …加速度センサ
4 …車輪速センサ
5 …ナビゲーションシステム
6 …ヘッドランプ光軸調整手段
21 …演算手段
23 …制御手段
Claims (5)
- ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する車両用制御装置であって、
車両の前後方向及び上下方向の加速度を検出して前後方向出力値X及び上下方向出力値Zを出力する加速度センサと、
車輪速を検出して車輪速検出値を出力する車輪速センサと、
前記車輪速検出値を時間微分して車体加速度Aを導出し、前記加速度センサからの前記前後方向出力値X及び前記上下方向出力値Z、導出した車体加速度A並びに重力加速度Gに基づき、路面傾斜角をθr、路面に対する車体傾斜角をθvとする所定の演算式の演算により、車体傾斜角θvを算出する演算手段と、
前記演算手段の演算結果に基づき、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する制御手段と
を備え、
前記演算手段は、
X=A・cosθv-G・sin(θv+θr)
Z=A・sinθv+G・cos(θv+θr)
の2つの式を変換し、地表における前記重力加速度Gの値として“1”を代入して、
式(A) X2+Z2+1-A2=2・Z・cos(θv+θr)-2・X・sin(θv+θr)
式(B) X2+Z2-1+A2=2・X・A・cosθv+2・Z・A・sinθv
を導出し、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中における前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの値を前記式(A)に代入して前記路面傾斜角θr及び前記車体傾斜角θvの和(θv+θr)を算出するとともに、
前記車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出した前記和(θv+θr)を用いて、前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の所定の演算タイミングにおける前記車体加速度A、前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(A)に代入して前記車体加速度Aに対する影響要素を勘案した車体加速度の補正係数kを算出し、
算出した前記補正係数kを用いて、前記式(B)から前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の前記所定の演算タイミングにおける車体傾斜角θvを算出し、
前記制御手段は、前記演算手段により算出された車体傾斜角θvに基づいて、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する
ことを特徴する車両用制御装置。 - 請求項1に記載の車両用制御装置において、
前記加速度センサは、前記光軸の傾き角度の制御以外の用途に車両に搭載されたセンサを使用することを特徴とする車両用制御装置。 - 請求項2に記載の車両用制御装置において、
前記加速度センサは、車両下側であって中心付近に配置されていることを特徴とする車両用制御装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用制御装置において、
前記制御手段は、
前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中であっても、アクセル開度が所定開度より大きく、前記車体加速度Aが所定値より小さいとき、及び、前記アクセル開度が前記所定開度より小さく、前記車体加速度Aが前記所定値より大きいときに、前記演算手段により、前記式(B)からそれぞれ算出される前記車体傾斜角θvを、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度制御に使用しないことを特徴とする車両用制御装置。 - ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する車両用制御装置であって、
車両の前後方向及び上下方向の加速度を検出して前後方向出力値X及び上下方向出力値Zを出力する加速度センサと、
車輪速を検出して車輪速検出値を出力する車輪速センサと、
前記車輪速検出値を時間微分して車体加速度Aを導出し、前記加速度センサからの前記前後方向出力値X及び前記上下方向出力値Z、導出した車体加速度A並びに重力加速度Gに基づき、路面傾斜角をθr、路面に対する車体傾斜角をθvとする所定の演算式の演算により、車体傾斜角θvを算出する演算手段と、
前記演算手段の演算結果に基づき、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する制御手段と
を備え、
前記演算手段は、
X=A・cosθv-G・sin(θv+θr)
Z=A・sinθv+G・cos(θv+θr)
の2つの式を変換し、地表における前記重力加速度Gの値として“1”を代入して、
式(A) X2+Z2+1-A2=2・Z・cos(θv+θr)-2・X・sin(θv+θr)
式(C) sinθv・{X+sin(θv+θr)}=cosθv・{Z-cos(θv+θr)}
を導出し、前記車体加速度Aがゼロの定速走行中における前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(A)に代入して前記路面傾斜角θr及び前記車体傾斜角θvの和(θv+θr)を算出するとともに、
前記車体加速度Aがゼロの定速走行中に算出した前記和(θv+θr)を用いて、前記車体加速度Aがゼロではない加減速走行中の前記前後方向出力値X、前記上下方向出力値Zの各値を前記式(C)に代入して車体傾斜角θvを算出するとともに、
前記制御手段は、前記演算手段により算出された車体傾斜角θvに基づいて、前記ヘッドランプの光軸の傾き角度を制御する
ことを特徴とする車両用制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022001462A JP2023101092A (ja) | 2022-01-07 | 2022-01-07 | 車両用制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022001462A JP2023101092A (ja) | 2022-01-07 | 2022-01-07 | 車両用制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023101092A true JP2023101092A (ja) | 2023-07-20 |
Family
ID=87201776
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022001462A Pending JP2023101092A (ja) | 2022-01-07 | 2022-01-07 | 車両用制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023101092A (ja) |
-
2022
- 2022-01-07 JP JP2022001462A patent/JP2023101092A/ja active Pending
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