JP2023100580A - ウエーハの分割方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、分割起点が形成されたウエーハにブレーキングブレードを押圧して分割するウエーハの分割方法に関する。
分割起点が分割予定ラインに沿って形成されたウエーハの分割予定ラインにブレーキングブレードを位置付けて押圧する等の外力を付与することで、ウエーハを分割するウエーハの分割方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の方法では、ブレーキングブレードと、ウエーハを保持する保持テーブルと、を相対的に移動させながら、ブレーキングブレードを分割予定ラインに位置付けて押圧するが、ブレーキングブレードで押圧することでウエーハを支持する支持シートが伸びて撓み、撓みに引っ張られて分割予定ラインの位置が移動することにより、ブレーキングブレードで分割予定ラインを正確に押圧することができず、分割率が悪化するという問題があった。ブレーキングブレード以外でウエーハに外力を付与する場合でも、同様に、外力の付与によりウエーハを支持する支持シートが伸びて撓むことにより、分割率が悪化するという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエーハに外力を付与して分割する際に、ウエーハを支持する支持シートの撓みを防止し、分割率の悪化を低減できるウエーハの分割方法を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの分割方法は、分割予定ラインに沿って分割起点が形成され、一方の面が支持シートに支持されたウエーハを該分割予定ラインに沿って分割するウエーハの分割方法であって、ウエーハの他方の面に保護フィルムを貼着する貼着ステップと、該貼着ステップの前と、後と、実施中と、の少なくともいずれかにおいて、該ウエーハ、該保護フィルムまたは該支持シートの少なくともいずれかを加熱し、該保護フィルムと該ウエーハ、該保護フィルムと該支持シート、該ウエーハと該支持シート、の少なくともいずれかの組み合わせで密着度を高める加熱ステップと、該貼着ステップの後に、該ウエーハに外力を付与し、該分割起点を起点に分割する分割ステップと、を備える事を特徴とする。
分割ステップでは、該ウエーハのいずれかの面を保持テーブル上に載置し、該保持テーブルとブレーキングブレードとを相対的に移動させながら、ブレーキングブレードを該分割予定ラインに位置付けて該ウエーハを押圧し、該分割起点を起点に分割してもよい。
該保護フィルムは糊層を有さなくてもよい。
本発明は、ウエーハに外力を付与して分割する際に、ウエーハを支持する支持シートの撓みを防止し、分割率の悪化を低減できる。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウエーハの分割方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るウエーハの分割方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係るウエーハの分割方法は、ウエーハ1(図2等参照)にブレーキングブレード150(図6等参照)を押圧して分割する方法であり、図1に示すように、貼着ステップ1001と、加熱ステップ1002と、分割ステップ1003と、を備える。
本発明の実施形態1に係るウエーハの分割方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るウエーハの分割方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係るウエーハの分割方法は、ウエーハ1(図2等参照)にブレーキングブレード150(図6等参照)を押圧して分割する方法であり、図1に示すように、貼着ステップ1001と、加熱ステップ1002と、分割ステップ1003と、を備える。
図2は、実施形態1に係るウエーハの分割方法における分割対称のウエーハ1の一例であるウエーハ1を説明する斜視図である。ウエーハ1は、実施形態1では、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。ウエーハ1は、図2に示すように、平坦な表面2において、交差(実施形態1では、直交)する複数の分割予定ライン3で区画された領域にそれぞれチップ状のデバイス4が形成されている。
また、ウエーハ1は、図2に示すように、一方の面に支持シート5が貼着され、支持シート5の外縁部に環状フレーム6が装着される。支持シート5は、ウエーハ1の一方の面に貼着されることにより、ウエーハ1の一方の面を支持するものである。環状フレーム6は、中央に円形状でウエーハ1の外径よりも大きい開口を有しており、板状に形成されている。環状フレーム6は、実施形態1では、金属製であり、例えば、SUS製である。これにより、環状フレーム6は、開口に支持シート5を介してウエーハ1を収容して支持する。ウエーハ1は、図2に示す例では、デバイス4が形成された表面2側に支持シート5が貼着されているが、本発明ではこれに限定されず、裏面7側に支持シート5が貼着されてもよい。
支持シート5は、実施形態1では、例えば、基材層と糊層とを有する粘着テープでもよいし、糊層を有さず熱可塑性樹脂を加熱して軟化させて貼着したものであってもよい。また、支持シート5は、糊層を有さず基材層のみのシートであってもよい。支持シート5は、糊層を有さない場合、ウエーハ1の分割後にウエーハ1から糊層由来の残渣を残さずに容易に剥離することができる。支持シート5が糊層を有さない基材層のみのシートである場合、具体的には、主な素材がポリオレフィンでシート状に形成されたもの、すなわちポリオレフィン系シートが好ましく、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートが好ましい。
ウエーハ1は、実施形態1では、内部に分割予定ライン3に沿って分割起点である改質層8(図7参照)が形成されている。ウエーハ1は、改質層8を分割起点にして分割予定ライン3に沿って個々のデバイス4に分割される。改質層8は、実施形態1では、ウエーハ1に対して透過性を有する波長のレーザー光線がウエーハ1の内部に分割予定ライン3に沿って照射されて形成される。改質層8とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。また、分割起点は、本発明では改質層8に限定されず、ウエーハ1に対して吸収性を有する波長のレーザー光線の照射や切削ブレードによる切削で形成した加工溝であってもよい。また、改質層8や、改質層8からウエーハ1の上下方向に伸びるクラック、加工溝によってウエーハ1が既に分割されている場合も、改質層8やクラック、加工溝は本発明で定義する分割起点に含む。
ウエーハ1は、図2に示すように、支持シート5が貼着された一方の面とは反対側の他方の面(図2に示す例では裏面7)に保護フィルム9が貼着された後に、支持シート5または保護フィルム9を介してブレーキングブレード150を押圧して分割する。実施形態1では、支持シート5を介してブレーキングブレード150をウエーハ1に押圧して分割するが、本発明ではこれに限定されず、保護フィルム9を介してブレーキングブレード150をウエーハ1に押圧して分割してもよい。
保護フィルム9は、両面がともに平坦なシート状に形成されている。保護フィルム9は、ウエーハ1に密着して貼着できるものであればどのようなものでもよく、支持シート5に密着して貼着できるものが好ましい。また、保護フィルム9は、糊層を有さず基材層のみのシートが好ましく、この場合、ウエーハ1の分割後にウエーハ1から糊層由来の残渣を残さずに容易に剥離することができる。保護フィルム9は、具体的には、主な素材がポリオレフィンでシート状に形成されたもの、すなわちポリオレフィン系シートが好ましく、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートが好ましい。
図3は、図1の貼着ステップ1001の一例を説明する斜視図である。貼着ステップ1001は、図3に示すように、ウエーハ1の他方の面(裏面7)に保護フィルム9を貼着するステップである。
実施形態1に係るウエーハの分割方法では、貼着ステップ1001を実施する前に、貼着ステップ1001の準備処理を実施する。貼着ステップ1001の準備処理では、まず、チャックテーブル10のポーラスセラミックス等により形成された保持面11上に、ウエーハ1を支持シート5が貼着された側(表面2)を保持面11側に向けて載置し、ウエーハ1の支持シート5が貼着された側とは反対側(裏面7)に、ウエーハ1、支持シート5及び環状フレーム6を面方向に覆う大きさ及び形状の保護フィルム9を載置する。貼着ステップ1001の準備処理では、次に、開閉弁13を開いて吸引源12からの負圧を保持面11に導入することにより、チャックテーブル10の保持面11で支持シート5を下方から吸引保持し、支持シート5を介してウエーハ1及び環状フレーム6を下方から吸引保持するとともに、環状フレーム6よりも外周側の領域において保護フィルム9を下方から吸引保持する。
貼着ステップ1001では、上記した貼着ステップ1001の準備処理を実施した後、図3に示すように、上方から保護フィルム9を介してウエーハ1及び環状フレーム6の一方の端から他方の端に向かってローラー20を回転移動させることにより、ローラー20により保護フィルム9をウエーハ1、支持シート5及び環状フレーム6の一方の端から順に押圧していき、保護フィルム9をウエーハ1、ウエーハ1の外周と環状フレーム6の開口の内周との間の支持シート5の環状領域5-1、及び、環状フレーム6に貼着する。
加熱ステップ1002は、貼着ステップ1001の前と、後と、実施中と、の少なくともいずれかにおいて、ウエーハ1、保護フィルム9または支持シート5の少なくともいずれかを加熱し、保護フィルム9とウエーハ1、保護フィルム9と支持シート5、ウエーハ1と支持シート5、の少なくともいずれかの組み合わせで密着度を高めるステップである。ここで、密着度の高さは、物理的な応力(実施形態1では曲げ応力)が加えられた際に、密着を維持可能な応力の高さを指す。すなわち、密着度を高めることは、より高い応力を加えても密着が維持できるようになることを指す。
まず、貼着ステップ1001の実施前に加熱ステップ1002を実施する形態について説明する。この形態では、加熱ステップ1002では、貼着ステップ1001の準備処理の実施中もしくは実施後、なおかつ、貼着ステップ1001の実施前に、チャックテーブル10の内部に保持面11に沿って配設されたヒーター15により、保持面11上の支持シート5を加熱して支持シート5を軟化し、支持シート5を介してウエーハ1及び環状フレーム6を加熱し、さらにウエーハ1及び環状フレーム6に保護フィルム9が接触した際に、ウエーハ1及び環状フレーム6を介して保護フィルム9を加熱することで、保護フィルム9を軟化させる。なお、この形態では、加熱ステップ1002で保護フィルム9を加熱して軟化したすぐ後に、保護フィルム9が再び硬化してしまう前に、ローラー20で保護フィルム9をウエーハ1に対して押圧する貼着ステップ1001を実施する。
次に、貼着ステップ1001の実施中に加熱ステップ1002を実施する形態について説明する。この形態の第1例では、加熱ステップ1002で前述と同様にヒーター15により保護フィルム9及び支持シート5を加熱して軟化しつつ、それと並行して、貼着ステップ1001でローラー20により保護フィルム9をウエーハ1、支持シート5の環状領域5-1及び環状フレーム6に貼着する。また、この形態の第2例では、加熱ステップ1002でローラー20の内部に設けられたヒーター21により、ローラー20を介して保護フィルム9を加熱して軟化しつつ、貼着ステップ1001でローラー20により保護フィルム9をウエーハ1、支持シート5の環状領域5-1及び環状フレーム6に貼着し、さらにウエーハ1及び環状フレーム6に保護フィルム9が接触した際に、保護フィルム9、ウエーハ1及び環状フレーム6を介して支持シート5を加熱して軟化する。
次に、貼着ステップ1001の実施後に加熱ステップ1002を実施する形態について説明する。図4は、図1の加熱ステップ1002の一例を説明する斜視図である。この形態では、加熱ステップ1002では、図4に示すように、加熱ユニット30により、先に貼着ステップ1001でウエーハ1、支持シート5の環状領域5-1及び環状フレーム6に貼着された保護フィルム9に向けて熱風31を吹き付けることにより、保護フィルム9を加熱して軟化させ、保護フィルム9とウエーハ1、及び、保護フィルム9と支持シート5の間の密着度を向上させ、さらに、保護フィルム9、ウエーハ1及び環状フレーム6を介して支持シート5を加熱して軟化させ、保護フィルム9と支持シート5、及び、ウエーハ1と支持シート5の間の密着度を向上させる。
以上のような種々の形態の加熱ステップ1002は、貼着ステップ1001の前と、後と、実施中と、のいずれで実施する場合でも、ウエーハ1、支持シート5の環状領域5-1及び環状フレーム6に貼着される前(直前)、最中、後の保護フィルム9及び支持シート5を加熱して軟化するので、保護フィルム9と、ウエーハ1、支持シート5の環状領域5-1及び環状フレーム6との密着度を高めることができ、支持シート5と、ウエーハ1、保護フィルム9の環状領域5-1と対向する領域及び環状フレーム6との密着度を高めることができる。
図5は、図1の貼着ステップ1001の後に実施する余剰領域切除処理の一例を説明する斜視図である。実施形態1では、貼着ステップ1001の実施後に、ウエーハ1、支持シート5の環状領域5-1及び環状フレーム6に貼着した保護フィルム9の環状フレーム6の外縁からはみ出した部分である余剰領域を切除する余剰領域切除処理を実施する。
余剰領域切除処理では、図5に示すように、保護フィルム9を貼着したウエーハ1の支持シート5が貼着された側をチャックテーブル10の保持面11で下方から吸引保持し、上方からカッター40の刃先を環状フレーム6上で保護フィルム9に切り込ませ、不図示の回転移動ユニットによりカッター40を回転移動させることで、カッター40を環状フレーム6上で周方向に沿って回転移動させて、保護フィルム9の余剰領域を切除する。
図6は、図1の分割ステップ1003で使用するブレーキング装置100の構成例を模式的に示す断面図である。ブレーキング装置100は、図6に示すように、保持テーブル110と、テーブル移動ユニット120と、支持ユニット130と、撮像ユニット140と、ブレーキングブレード150と、ブレード移動ユニット160と、分割検出ユニット170と、制御ユニット180と、を備える。
保持テーブル110は、円板状に形成されており、中央に厚み方向に貫通する貫通孔112が形成されている。保持テーブル110の上面は、水平面に平行であり、ウエーハ1に装着された環状フレーム6が載置され、載置された環状フレーム6を保持する保持面111である。保持テーブル110は、保持面111上に載置された環状フレーム6を保持面111上で固定する固定機能を有している。保持テーブル110の固定機能は、例えば、保持面111に接続され、保持面111に負圧を導入することにより保持面111での支持シート5または保護フィルム9を介した環状フレーム6の吸引保持を可能にする不図示の吸引源でもよいし、保持面111の外周側に配設され、保持面111上の環状フレーム6を挟持して固定する不図示のクランプでもよい。
保持テーブル110は、テーブル移動ユニット120上に配設されている。保持テーブル110は、テーブル移動ユニット120により、水平方向の一方向であり保持面111に平行なX軸方向に移動自在に、なおかつ、鉛直方向であり保持面111に直交するZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。
テーブル移動ユニット120は、一対のガイドレール121と、移動基台122と、ギア123と、駆動部124と、を備える。一対のガイドレール121は、ブレーキング装置100の装置基台101上に、所定の間隙を設けて、X軸方向に延びて互いに平行に配設されている。移動基台122は、一対のガイドレール121上に、一対のガイドレール121の延びるX軸方向に沿って移動自在に設置されている。移動基台122は、保持テーブル110よりも径方向に大きい円板状に形成されており、中央に厚み方向に貫通する貫通孔125が形成されており、上面に保持テーブル110が嵌め込まれる凹部126が形成されている。移動基台122は、駆動部124と接続されており、駆動部124により、一対のガイドレール121に沿ってX軸方向に移動し、凹部126に嵌め込まれた保持テーブル110をX軸方向に移動させる。
ギア123は、移動基台122の外周部に設置されている。ギア123は、駆動部124と接続されており、駆動部124により、移動基台122をZ軸方向と平行な軸心回りに回転移動させることにより、凹部126に嵌め込まれた保持テーブル110をZ軸方向と平行な軸心回りに回転移動させる。
支持ユニット130は、一対の支持レール131と、一対の支持台132と、を備える。一対の支持レール131は、装置基台101上の一対のガイドレール121の間の領域に、貫通孔112,125内の空間にわたって、所定の間隙を設けて、水平方向に平行でありX軸方向に直交するY軸方向に延びて互いに平行に配設されている。一対の支持台132は、一対の支持レール131の上方側の端部に設けられている。一対の支持台132の上面は、水平面に平行に形成され、保持テーブル110の保持面111と同一平面上に配置されており、ウエーハ1が載置され、載置されたウエーハ1を支持シート5または保護フィルム9を介して支持する支持面133である。
撮像ユニット140は、装置基台101上の一対の支持レール131の間の領域に、設置されている。撮像ユニット140は、撮像方向がZ軸方向に沿って上方に向けられて設置されており、保持テーブル110の保持面111上及び支持台132の支持面133上に載置されたウエーハ1、支持シート5及び保護フィルム9を透過して、ウエーハ1の内部に形成された改質層8、及び、ブレーキングブレード150の先端部151を撮像する。撮像ユニット140は、実施形態1では、例えば、赤外線カメラである。
ブレーキングブレード150は、Y軸方向に延びて形成されており、Z軸方向の下方に向けてY軸方向に延びる刃状の先端部151が形成されている。ブレーキングブレード150は、刃状の先端部151が撮像ユニット140に向けて設置されている。
ブレード移動ユニット160は、ブレーキングブレード150をZ軸方向の上方から、Z軸方向に沿って移動自在に支持する。ブレード移動ユニット160は、ブレーキングブレード150をZ軸方向に沿って昇降移動させる。ブレード移動ユニット160は、ブレーキングブレード150を降下させて、ブレーキングブレード150の先端部151を保持テーブル110及び支持台132で保持及び支持されたウエーハ1に接触させ、ブレーキングブレード150をさらに降下させることにより、ブレーキングブレード150の先端部151でウエーハ1を押圧してウエーハ1に曲げ応力を加える。
分割検出ユニット170は、ウエーハ1がブレーキングブレード150により曲げ応力が加えられて分割されたことを検出する。分割検出ユニット170は、実施形態1では、例えば、装置基台101上に、かつ、支持レール131に接触して配設されており、ブレーキングブレード150によりウエーハ1に曲げ応力を加えた際に支持台132に発生する振動を支持レール131を介して検出し、予め記憶した閾値以上の振動値を検出した場合に、ウエーハ1が分割された旨の信号を制御ユニット180に出力する振動検出器である。
制御ユニット180は、ブレーキング装置100の各構成要素の動作を制御して、分割ステップ1003をブレーキング装置100に実施させる。制御ユニット180は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット180が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット180の演算処理装置は、制御ユニット180の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ブレーキング装置100を制御するための制御信号を、制御ユニット180の入出力インターフェース装置を介してブレーキング装置100の各構成要素に出力する。
分割ステップ1003は、貼着ステップ1001及び加熱ステップ1002の実施後に、ウエーハ1に外力を付与し、分割起点を起点に分割するステップである。実施形態1では、分割ステップ1003によりウエーハ1に付与する外力は、ブレーキングブレード150を押圧する押圧力である。すなわち、分割ステップ1003では、実施形態1では、貼着ステップ1001及び加熱ステップ1002の実施後に、ウエーハ1のいずれかの面を保持テーブル110上に載置し、保持テーブル110とブレーキングブレード150とを相対的に移動させながら、ブレーキングブレード150を分割予定ライン3に位置付けてウエーハ1を押圧し、分割起点を起点に分割する。
分割ステップ1003では、具体的には、まず、図6に示すように、ウエーハ1に装着された環状フレーム6の保護フィルム9が貼着された側の面を保持テーブル110の保持面111上に載置し、ウエーハ1の保護フィルム9が貼着された側の面(裏面7)を支持台132の支持面133に載置する。
分割ステップ1003では、次に、制御ユニット180は、撮像ユニット140により、ウエーハ1の改質層8及びブレーキングブレード150の先端部151を撮像し、撮像した画像に基づいて、改質層8の形成された分割予定ライン3とブレーキングブレード150の先端部151との間の距離及び角度を検出する。分割ステップ1003では、そして、制御ユニット180は、この検出した距離及び角度に応じて、テーブル移動ユニット120により、撮像ユニット140及びブレーキングブレード150の先端部151に対して相対的に、保持テーブル110をX軸方向に移動及びZ軸方向と平行な軸心回りに回転移動させることにより、保持テーブル110上のウエーハ1の改質層8の形成された分割予定ライン3とブレーキングブレード150の先端部151とが互いにZ軸方向に重なるように位置合わせをする。
図7は、図1の分割ステップ1003の一例を説明する断面図である。分割ステップ1003では、次に、制御ユニット180は、図7上に示すように、ブレード移動ユニット160により、分割予定ライン3とZ軸方向に重なるように位置合わせしたブレーキングブレード150を降下させて、ブレーキングブレード150の先端部151をウエーハ1の一方の面(表面2)に貼着された支持シート5に接触させることにより、ウエーハ1の分割予定ライン3に位置付ける。分割ステップ1003では、そして、制御ユニット180は、図7下に示すように、ブレーキングブレード150をさらに降下させることにより、ブレーキングブレード150の先端部151でウエーハ1を分割予定ライン3に沿って押圧して、ウエーハ1を支持する支持台132とともにウエーハ1に曲げ応力を加え、分割予定ライン3に沿って形成された改質層8を分割起点にして、ウエーハ1を分割予定ライン3に沿って分割する。
分割ステップ1003では、ウエーハ1の全ての分割予定ライン3について、上記のようにブレーキングブレード150の先端部151の位置合わせ、位置付け、先端部151での押圧による曲げ応力の付加を順次行うことにより、ウエーハ1を全ての分割予定ライン3に沿って分割して、個々のデバイス4に分割する。
なお、分割ステップ1003では、実施形態1では、支持シート5を介してブレーキングブレード150をウエーハ1に押圧してウエーハ1を分割する形態を説明したが、本発明ではこれに限定されず、保護フィルム9を介してブレーキングブレード150をウエーハ1に押圧してウエーハ1を分割してもよい。分割ステップ1003では、保護フィルム9を介してブレーキングブレード150をウエーハ1に押圧して分割する場合には、ウエーハ1に装着された環状フレーム6の支持シート5が貼着された側の面を保持テーブル110の保持面111上に載置し、ウエーハ1の支持シート5が貼着された側の面(裏面7)を支持台132の支持面133に載置し、分割予定ライン3とブレーキングブレード150の先端部151との位置合わせの後、ブレーキングブレード150の先端部151をウエーハ1の他方の面(裏面7)に貼着された保護フィルム9に接触させることにより、ウエーハ1の分割予定ライン3に位置付け、ブレーキングブレード150の先端部151でウエーハ1を分割予定ライン3に沿って押圧して分割する。
従来では、外力の付与によりウエーハを支持する支持シートが伸びて撓むことにより、分割率が悪化するという問題があった。特に、ブレーキングブレードで押圧することでウエーハの一方の面を支持する支持シートが伸びて撓み、撓みに引っ張られてまだブレーキングブレードで押圧されていない分割予定ラインの位置が移動することにより、ブレーキングブレードで分割予定ラインを押圧することができず、分割率が悪化する恐れがあった。これに対し、以上のような構成を有する実施形態1に係るウエーハの分割方法は、加熱ステップ1002で、ウエーハ1と保護フィルム9との密着度を高めるので、ブレーキングブレード150で押圧した際に、仮にウエーハ1と支持シート5との密着力が低下している場合でも、加熱ステップ1002で密着度を高めたウエーハ1と保護フィルム9とが密着を維持して、分割されたチップ状のデバイス4が必要以上に押圧されて沈み込み支持シート5がたわむことを防止するとともに、撓まない支持シート5によりウエーハ1の水平方向の移動を抑制することができる。これにより、実施形態1に係るウエーハの分割方法は、ウエーハ1と支持シート5との沈み込みを抑制し、支持シート5が過剰に伸びて撓むことを防止できるため、ブレーキングブレード150の先端部151と分割予定ライン3との位置がずれることを抑制し、分割率が悪化することを抑制できるという作用効果を奏する。
ウエーハ1と支持シート5との沈み込みや支持シート5が過剰に伸びて撓むことは、支持シート5の密着力の低下に起因する。このため、特に、例えば支持シート5が貼着されたウエーハ1に改質層8が形成されてすぐに保護フィルム9を貼着するためにチャックテーブル10上に搬送される等のように、支持シート5とウエーハ1との密着力が低下する可能性がある状態で分割前に支持シート5を貼り替えることができないような場合には、実施形態1に係るウエーハの分割方法は、特に顕著な作用効果を奏するものとなる。
実施形態1に係るウエーハの分割方法は、さらに、加熱ステップ1002で、保護フィルム9と支持シート5の環状領域5-1及び環状フレーム6との密着度も高めるので、支持シート5の外周部分は伸びにくくなり、ブレーキングブレード150で分割予定ライン3を押圧した際に、外周部分が内側に引っ張られにくくなり、ウエーハ1が貼着されたウエーハ領域の支持シート5のたわみが大きくなることを防止する。これにより、ウエーハ1と支持シート5との沈み込みをさらに抑制し、支持シート5が過剰に伸びて撓むことをさらに防止できるため、ブレーキングブレード150の先端部151と分割予定ライン3との位置がずれることをさらに抑制し、分割率が悪化することをさらに抑制できる。
実施形態1に係るウエーハの分割方法は、さらに、加熱ステップ1002で、ウエーハ1と支持シート5のウエーハ領域との密着度も高めるので、ウエーハ1と支持シート5との沈み込みをさらに抑制し、支持シート5が過剰に伸びて撓むことをさらに防止できるため、ブレーキングブレード150の先端部151と分割予定ライン3との位置がずれることをさらに抑制し、分割率が悪化することをさらに抑制できる。
また、実施形態1に係るウエーハの分割方法は、ウエーハ1に貼着して密着度が高められる保護フィルム9が、糊層を有さず基材層のみのシートである。このため、実施形態1に係るウエーハの分割方法は、ウエーハ1の分割後にウエーハ1から糊層由来の残渣を残さずに容易に剥離することができる。実施形態1に係るウエーハの分割方法は、特に、支持シート5がウエーハ1の裏面7側に貼着され、保護フィルム9がウエーハ1のデバイス4が形成された表面2に貼着される場合、デバイス4への糊残りを防止できる。また、実施形態1に係るウエーハの分割方法は、ウエーハ1の一方の面に貼着されてウエーハ1を支持する支持シート5が、糊層を有さず基材層のみのシートである場合、支持シート5に起因するウエーハ1への糊残りを防止できる。
次に、本発明の発明者は、実施形態1に係るウエーハの分割方法の作用効果を確認した。図8は、実施形態1に係るウエーハの分割方法の作用効果を説明する図である。図8は、作用効果を確認した際に得られた結果をまとめて示している。
図8の左側の「比較例」の欄は、実施形態1に係るウエーハの分割方法の加熱ステップ1002を実施しないで、ウエーハに保護フィルムを貼着、ウエーハの載置、ブレーキングブレードによるウエーハの分割のみを実施する従来相当のウエーハの分割方法を実施したときのウエーハの分割後の支持シートの状態を示している。図8の右側の「実施例」の欄は、加熱ステップ1002を含む実施形態1に係るウエーハの分割方法を実施したときのウエーハの分割後の支持シートの状態を示している。なお、図8の「比較例」及び「実施例」では、いずれも、保護フィルムとして糊層を有さず基材層のみのポリオレフィン系シートを使用し、支持シート側からブレーキングシートをウエーハに押圧してウエーハを分割した。
図8に示すように、実施形態1に係るウエーハの分割方法の加熱ステップ1002を実施しない従来相当のウエーハの分割方法を実施したときは、全面にわたって支持シートが過剰に伸びて撓んだ様子が見られた一方で、加熱ステップ1002を含む実施形態1に係るウエーハの分割方法を実施したときは、支持シートに延びて撓んだ様子が全く見られないという結果が得られた。さらに、加熱ステップ1002を含む実施形態1に係るウエーハの分割方法を実施した後に、保護フィルムをウエーハから剥がすと、支持シートの内部応力が開放されて、全面にわたって支持シートが過剰に伸びて撓んだ様子が見られた。これにより、図8に示す実施例では、加熱ステップ1002を実施することで、特にウエーハと保護フィルムとの密着度が高められることにより、ウエーハ1と支持シート5との沈み込みを抑制し、支持シート5が過剰に伸びて撓むことを防止できることが明らかとなった。
また、図8では、支持シート側からブレーキングシートをウエーハに押圧してウエーハを分割した実施例を示したが、保護フィルム側からブレーキングシートをウエーハに押圧してウエーハを分割した場合でも、図8に示す例と同様の傾向の、加熱ステップ1002を実施しないときは全面にわたって支持シートが過剰に伸びて撓んだ様子が見られた一方で、加熱ステップ1002を実施したときは支持シートに延びて撓んだ様子が全く見られず、その後に保護フィルムをウエーハから剥がすと、全面にわたって支持シートが過剰に伸びて撓んだ様子が見られるという結果が得られた。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウエーハの分割方法を図面に基づいて説明する。図9は、実施形態2に係るウエーハの分割方法の分割ステップ1003を説明する断面図である。図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態2に係るウエーハの分割方法を図面に基づいて説明する。図9は、実施形態2に係るウエーハの分割方法の分割ステップ1003を説明する断面図である。図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係るウエーハの分割方法は、実施形態1において、分割ステップ1003を変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。実施形態2に係るウエーハの分割方法の分割ステップ1003は、図9に示すブレーキング装置200により実施する。ブレーキング装置200は、図9に示すように、保持テーブル210と、押圧ローラー220と、制御ユニット230と、を備える。
保持テーブル210は、図9に示すように、テーブル基台211と、弾性部材212と、を備える。テーブル基台211及び弾性部材212は、いずれも、円板状に形成されており、テーブル基台211の上面に弾性部材212が設けられている。弾性部材212を構成する材料は、押圧ローラー220によりウエーハ1を介して押圧されることに応じて、弾性変形するとともに、押圧された方向に対する反発力(弾性力)を発生させる材料であり、実施形態2では、例えば、ゴム、スポンジ等である。保持テーブル210の上面、すなわち弾性部材212の上面は、支持シート5及び保護フィルム9がそれぞれ表面2及び裏面7に貼着されたウエーハ1及び環状フレーム6を、ウエーハ1の表面2側から支持シート5を介して、もしくは、ウエーハ1の裏面7側から保護フィルム9を介して、それぞれ下方から保持する保持面213である。保持面213は、弾性部材212が弾性変形していない際に、平坦に、なおかつ、水平面に平行になるように形成される。
押圧ローラー220は、保持テーブル210の上方に設けられ、保持テーブル210上に保持されたウエーハ1及び環状フレーム6に対し、上方から、ウエーハ1の裏面7側から保護フィルム9を介して、もしくは、ウエーハ1の表面2側から支持シート5を介して、下方に向けて押圧しながら、ウエーハ1の一方の端から他方の端に向かって回転移動することにより、ウエーハ1に押圧力を付与する。
制御ユニット230は、ブレーキング装置200の各構成要素の動作を制御して、実施形態2の分割ステップ1003をブレーキング装置200に実施させる。制御ユニット230は、制御ユニット180と同様のコンピュータシステムを含む。制御ユニット230の演算処理装置は、制御ユニット230の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ブレーキング装置200を制御するための制御信号を、制御ユニット230の入出力インターフェース装置を介してブレーキング装置200の各構成要素に出力する。
実施形態2の分割ステップ1003によりウエーハ1に付与する外力は、押圧ローラー220による押圧力と、それによって弾性部材212において発生する弾性力である。具体的には、実施形態2の分割ステップ1003では、貼着ステップ1001及び加熱ステップ1002の実施後に、ウエーハ1のいずれかの面を保持テーブル210の保持面213上に載置し、押圧ローラー220を、保持面213上に保持されたウエーハ1及び環状フレーム6に対し、上方から、表面2側を保持面213上に載置した場合にはウエーハ1の裏面7側から保護フィルム9を介して、裏面7側を保持面213上に載置した場合にはウエーハ1の表面2側から支持シート5を介して、下方に向けて押圧しながら、ウエーハ1の一方の端から他方の端に向かって回転移動する。これにより、実施形態2の分割ステップ1003では、押圧ローラー220による押圧力をウエーハ1に付与し、押圧ローラー220による押圧によって弾性部材212において発生する弾性力をウエーハ1に付与することにより、ウエーハ1に両面から外力を付与して、分割起点を起点に分割する。
従来、弾性部材上に保持して押圧ローラーにより上方から押圧してウエーハを分割する場合に、押圧による押圧力及び弾性力の付与によりウエーハを支持する支持シートが伸びて撓むことにより、分割率が悪化するという問題があった。これに対し、以上のような構成を有する実施形態2に係るウエーハの分割方法は、実施形態1と同様に、加熱ステップ1002で、ウエーハ1と保護フィルム9との密着度を高めるので、押圧ローラー220で押圧する際にも、実施形態1と同様の効果を奏するものとなる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るウエーハの分割方法を図面に基づいて説明する。図10は、実施形態3に係るウエーハの分割方法の分割ステップ1003を説明する断面図である。図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態3に係るウエーハの分割方法を図面に基づいて説明する。図10は、実施形態3に係るウエーハの分割方法の分割ステップ1003を説明する断面図である。図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係るウエーハの分割方法は、実施形態1において、分割ステップ1003を変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。実施形態3に係るウエーハの分割方法の分割ステップ1003は、図10に示すブレーキング装置300により実施する。ブレーキング装置300は、図10に示すように、フレーム固定部310と、保持テーブル320と、突き上げ部材330と、拡張ローラー340と、昇降ユニット350と、制御ユニット360と、を備える。
フレーム固定部310は、環状フレーム6を下方から支持するフレーム支持部と、環状フレーム6を上方から押さえるフレーム押さえ部と、を有する。フレーム固定部310のフレーム支持部及びフレーム押さえ部には、いずれも、環状フレーム6の開口の内径よりも大きい開口が形成されている。
保持テーブル320は、円形状であり、突き上げ部材330の内周かつ同軸に設けられる。保持テーブル320は、また、フレーム支持部の開口の内周かつ同軸に設けられる。保持テーブル320の上面は、フレーム固定部310に固定された環状フレーム6に支持シート5及び保護フィルム9を介して支持されたウエーハ1を、表面2側及び裏面7側のいずれかから、ウエーハ1の裏面7側から保護フィルム9を介して、もしくは、ウエーハ1の表面2側から支持シート5を介して、下方から保持する保持面321である。保持面321は、平坦に、なおかつ、水平面に平行に形成される。
突き上げ部材330は、ウエーハ1の外径よりも大きく、かつ、環状フレーム6の開口の内径よりも小さい円筒形状であり、保持テーブル320の外周かつ同軸に設けられる。突き上げ部材330は、また、フレーム支持部の開口の内周かつ同軸に設けられる。拡張ローラー340は、保持テーブル320の保持面321と同一平面上または僅かに上方、かつ突き上げ部材330の上端に、環状に複数配列され、いずれも突き上げ部材330の周方向に沿った回転軸回りに回転自在に設けられる。昇降ユニット350は、保持テーブル320及び突き上げ部材330の下方に接続して設けられ、保持テーブル320及び突き上げ部材330(拡張ローラー340)を一体的に上昇させる。
制御ユニット360は、ブレーキング装置300の各構成要素の動作を制御して、実施形態3の分割ステップ1003をブレーキング装置300に実施させる。制御ユニット360は、制御ユニット180,230と同様のコンピュータシステムを含む。制御ユニット360の演算処理装置は、制御ユニット360の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ブレーキング装置300を制御するための制御信号を、制御ユニット360の入出力インターフェース装置を介してブレーキング装置300の各構成要素に出力する。
実施形態3の分割ステップ1003によりウエーハ1に付与する外力は、拡張ローラー340によってウエーハ1に貼着された支持シート5の環状領域5-1及び保護フィルム9のウエーハ1の外周と環状フレーム6の開口の内周との間の環状領域9-1をウエーハ1の厚み方向に押圧することにより、支持シート5及び保護フィルム9が面方向に拡張することに伴って発生する引っ張り力である。具体的には、実施形態3の分割ステップ1003では、貼着ステップ1001及び加熱ステップ1002の実施後に、フレーム固定部310により環状フレーム6を外周側から固定し、ウエーハ1のいずれかの面を保持テーブル320上に載置し、昇降ユニット350により保持テーブル320及び突き上げ部材330(拡張ローラー340)を、環状フレーム6を固定するフレーム固定部310に対して相対的に上昇させることにより、拡張ローラー340により支持シート5の環状領域5-1及び保護フィルム9の環状領域9-1をウエーハ1の厚み方向に押圧する。なお、実施形態3の分割ステップ1003での拡張ローラー340による押圧は、支持シート5側から押圧しても良いし、保護フィルム9側から押圧してもよい。これにより、実施形態3の分割ステップ1003では、支持シート5及び保護フィルム9が面方向に拡張することに伴って発生する引っ張り力により、ウエーハ1を、分割起点を起点に分割する。
従来、拡張ローラーにより支持シートの環状領域及び保護フィルムの環状領域をウエーハの厚み方向に押圧することによりウエーハを分割する場合に、この押圧力及びこの押圧によって発生する支持シート及び保護フィルムの面方向に沿った引っ張り力の付与によりウエーハを支持する支持シートが伸びて撓むことにより、分割率が悪化するという問題があった。これに対し、以上のような構成を有する実施形態3に係るウエーハの分割方法は、実施形態1,2と同様に、加熱ステップ1002で、ウエーハ1と保護フィルム9との密着度を高めるので、拡張ローラー340により支持シート5の環状領域5-1及び保護フィルム9の環状領域9-1をウエーハ1の厚み方向に押圧する際にも、実施形態1,2と同様の効果を奏するものとなる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 ウエーハ
2 表面
3 分割予定ライン
5 支持シート
7 裏面
8 改質層
9 保護フィルム
110,210,320 保持テーブル
150 ブレーキングブレード
2 表面
3 分割予定ライン
5 支持シート
7 裏面
8 改質層
9 保護フィルム
110,210,320 保持テーブル
150 ブレーキングブレード
Claims (3)
- 分割予定ラインに沿って分割起点が形成され、一方の面が支持シートに支持されたウエーハを該分割予定ラインに沿って分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハの他方の面に保護フィルムを貼着する貼着ステップと、
該貼着ステップの前と、後と、実施中と、の少なくともいずれかにおいて、該ウエーハ、該保護フィルムまたは該支持シートの少なくともいずれかを加熱し、該保護フィルムと該ウエーハ、該保護フィルムと該支持シート、該ウエーハと該支持シート、の少なくともいずれかの組み合わせで密着度を高める加熱ステップと、
該貼着ステップの後に、該ウエーハに外力を付与し、該分割起点を起点に分割する分割ステップと、
を備える事を特徴とするウエーハの分割方法。 - 分割ステップでは、該ウエーハのいずれかの面を保持テーブル上に載置し、該保持テーブルとブレーキングブレードとを相対的に移動させながら、ブレーキングブレードを該分割予定ラインに位置付けて該ウエーハを押圧し、該分割起点を起点に分割する事を特徴とする請求項1に記載のウエーハの分割方法。
- 該保護フィルムは糊層を有さない事を特徴とする請求項1に記載のウエーハの分割方法。
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