JP2023099895A - 間接加熱蒸着装置 - Google Patents

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康司 菅原
Koji Sugawara
啓一 三澤
Keiichi Misawa
康輔 鈴木
Kosuke Suzuki
徹 高島
Toru Takashima
明 谷口
Akira Taniguchi
昌典 上岡
Masanori Kamioka
紘晃 佐野
Hiroaki Sano
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Abstract

Figure 2023099895000001
【課題】成膜工程の設定作業を容易に行うことができる間接加熱蒸着装置を提供する。
【解決手段】間接加熱蒸着装置1は、容器2と、電子ビーム発生源15と、走査コイル21と、制御部30、40と、記憶部44と、を備えている。制御部30、40は、電子ビーム発生源15及び走査コイル21を制御する。記憶部44は、電子ビーム発生源15の最大出力及び走査コイル21に流す電流下限値を設定する複数の設定値グループを有する設定値テーブルが格納されている。そして、制御部30、40は、記憶部44に格納された複数の設定値グループのうち選択された設定値グループの最大出力及び電流下限値に基づいて、電子ビーム発生源15及び走査コイル21を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸着材料を充填した容器を電子ビーム衝撃(ボンバード)により加熱し、蒸着材料を加熱、蒸発させる間接加熱蒸着装置に関する。
従来から、真空チャンバー内に基板を配置して、この基板に向けて蒸着源を設置した蒸着装置が知られており、間接加熱蒸着装置としては、蒸着材料を充填した容器に電子ビーム(熱電子)を放出する電子線衝撃型蒸着源がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された間接加熱蒸着装置は、容器と、電子源と、容器保持部と、移動機構と、冷却台とを備える。電子源は、容器の底部に熱電子を放出する。容器保持部は、容器の底部を露出させて保持する。移動機構は、容器保持部を駆動させて、容器を水平方向に移動させる。冷却台は、移動機構により電子源の上方から水平方向に移動した容器の底部が接触する上面を有し、容器を冷却する。
また、間接加熱蒸着装置を用いて成膜構成を行う際には、蒸着材料が充填された容器の損傷を防止するために、電子ビーム出力の上限リミットが設定される。さらに、電子ビームの照射範囲が縮小して電子ビームの電流密度が増大し、熱負荷により容器が損傷することを防止するために、走査コイル交流電流に下限リミットが設定される。
特開2018-16836号公報
しかしながら、電子ビーム出力の上限リミットや走査コイル交流電流の下限リミットは、容器の材料の種類に依存し、さらに蒸着用途や加速電圧等の使用条件に応じて、作業者がその都度設定していた。そのため、従来の間接加熱蒸着装置では、設定作業工程が非効率であるだけでなく、人為的なミスにより電子ビームの出力が過大、又は走査コイル交流電流の値が過小することで容器が破損する等の不具合が発生するおそれがあった。
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、成膜工程の設定作業を容易に行うことができる間接加熱蒸着装置を提供することにある。
本発明の間接加熱蒸着装置の一態様は、蒸着材料が充填される容器と、電子ビーム発生源と、走査コイルと、制御部と、記憶部と、を備えている。電子ビーム発生源は、蒸着材料が充填された容器に対して、蒸着材料を蒸発させる蒸着加熱領域において熱電子を照射する。走査コイルは、電子ビーム発生源から照射された熱電子を走査する。制御部は、電子ビーム発生源及び走査コイルを制御する。記憶部は、電子ビーム発生源の最大出力及び走査コイルに流す電流下限値を設定する複数の設定値グループを有する設定値テーブルが格納されている。そして、制御部は、記憶部に格納された複数の設定値グループのうち選択された設定値グループの最大出力及び電流下限値に基づいて、電子ビーム発生源及び走査コイル21を制御する。
上述のように、本発明の一態様によれば、成膜工程の設定作業を容易に行うことができる。
本発明の第1の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置の用途別設定値テーブルの一例を示すものである。 本発明の第1の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置にかかる走査コイル電流波形の一例を示す図である。 本発明に第1の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置にかかるコイル電流波形の他の例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置の概略構成図である。
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、各図において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
1.第1実施の形態例
1-1.間接加熱蒸着装置の構成
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる間接加熱蒸着装置の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本例の間接加熱蒸着装置の概略構成図である。
図1に示す間接加熱蒸着装置1は、真空チャンバー内に設置され、容器に充填された蒸着材料を加熱、蒸発させて成膜対象物に蒸着させる。
図1に示すように、間接加熱蒸着装置1は、容器の具体例を示す複数のライナー2と、容器保持部の具体例を示すホルダ3と、リフレクタ5と、防着カバー7と、電子源の具体例を示す電子ビーム発生源15と、制御部の具体例を示す電子銃電源30及び成膜制御システム40と、膜厚計50と、回転駆動部51を備えている。また、間接加熱蒸着装置1は、成膜対象物である基板121を保持する基板保持部120を備えている。
ライナー2は、それぞれ有底の筒状に形成されており、円形の底部2aと、底部2aの周縁に連続する周壁部2bと、周壁部2bの上端に連続するフランジ部2cとを有している。周壁部2bは、底部2aからフランジ部2cに向かうにつれて開口径が連続的に大きくなるテーパー状に形成されている。ライナー2の材料としては、例えば、モリブデンやセラミックスなどの高融点材料を挙げることができる。ライナー2には、蒸着材料4が充填される。
なお、ライナー2を円筒状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ライナー2を角筒状に形成してもよく、あるいはリング状やその他各種の形状に形成してもよい。
ホルダ3は、円形の板状に形成されている。ホルダ3は、複数のライナー2を貫通させる保持用孔3aを有している。複数の保持用孔3aは、円形に形成されており、保持用孔3aの縁部には、後述するリフレクタ5を介してライナー2のフランジ部2cが当接する。ホルダ3の材料は、熱抵抗の大きいものであればよい。したがって、ホルダ3には、ライナー2の熱が伝達され難くなっている。
また、ホルダ3に設けられる保持用孔3aの数は、ライナー2の数に合わせて複数設けられる。しかしながら、本発明にかかるホルダ(容器保持部)としては、1つの保持用孔を有し、1つのライナー(容器)を保持するものであってもよい。
ホルダ3の中心部には、駆動機構の一具体例を示す回転駆動軸14が接続されている。回転駆動軸14は、ホルダ3を回転駆動させて、ホルダ3に保持された複数のライナー2を水平方向に移動させる。この回転駆動軸14は、回転機能を損なわないよう冷却される。また、回転駆動軸14には、回転駆動部51に接続されている。回転駆動部51は、後述する成膜制御システム40の蒸着装置制御部42の制御のもと駆動する。
リフレクタ5は、円筒状に形成されており、ホルダ3の保持用孔3aの縁部に支持されている。そして、リフレクタ5は、ライナー2とホルダ3との間に配置される。また、リフレクタ5は、ライナー2の周壁部2bと対向する。リフレクタ5の材料としては、モリブデンやセラミックスなどの高融点材料を挙げることができる。そして、リフレクタ5は、後述する電子ビーム発生源15から照射された電子ビーム25をライナー2に向かって反射させる。
防着カバー7は、略箱状に形成されており、ホルダ3及びライナー2を覆う。この防着カバー7は、上面板7aと、上面板7aに連続する側面板7bを有している。防着カバー7の上面板7aには、蒸発用開口部7cが形成されている。
蒸発用開口部7cは、基板保持部120に保持された基板121と対向する位置に形成されている。蒸着材料4が加熱されて生じる蒸発粒子は、防着カバー7の蒸発用開口部7cを通って基板121に到達する。
基板保持部120は、防着カバー7の上方に配置されている。この基板保持部120は、円形の板状に形成されており、下面において基板121を保持する。また、基板保持部120における上面の中心部には、回転駆動軸122が接続されている。回転駆動軸122は、基板保持部120を回転駆動させて、基板保持部120に保持された基板121を水平方向に移動させる。また、回転駆動軸122は、回転機能を損なわないよう冷却されている。
基板121に蒸着膜を付着させる場合には、回転駆動軸122によって基板保持部120を回転駆動させて、基板121を蒸発用開口部7cの上方を移動させる。これにより、基板121は、蒸発用開口部7cに対向する位置に配置されたライナー2に対向する。そして、ライナー2に充填された蒸着材料4が加熱された蒸発すると、その蒸発粒子が基板121に堆積する。なお、図1では、基板保持部120が1つの基板121を保持しているが、本発明にかかる基板保持部120としては、複数の基板を保持するものであってもよい。
また、基板保持部120における蒸発用開口部7cと対向する位置の近傍には、蒸発粒子により形成される膜厚を計測する膜厚計50が配置されている。膜厚計50は、計測した膜厚情報を後述する成膜制御システム40に出力する。成膜制御システム40は、膜厚計50から取部した膜厚情報に基づいて、蒸着速度及び累積された膜厚(累積膜厚)を計測する。そして、成膜制御システム40は、計測した蒸着速度が予め設定した蒸着速度となるように、電子銃電源30及び回転駆動部51に信号を出力する。
また、基板保持部120と蒸発用開口部7cとの間に、蒸発粒子を遮断するシャッターを設けてもよい。そして、シャッターを開放している状態では、蒸発用開口部7cを通過した蒸発粒子は、基板121に到達する。また、シャッターが閉じられている状態では、蒸発用開口部7cを通過した蒸発粒子は、シャッターによって遮られる。
次に、電子ビーム発生源15について説明する。
電子ビーム発生源15は、ホルダ3の下方において、ライナー2の回転軌道上の任意の位置に配置されている。これにより、ホルダ3に保持されたライナー2が蒸着位置に配置されると、ライナー2は、電子ビーム発生源15の上方に位置する。電子ビーム発生源15は、フィラメントと、電界分布を形成するウェネルトとを有している。ウェネルトには、フィラメントを露出させる開口部が形成されている。フィラメントは、タングステン材からなる線材によって形成されている。このフィラメントには、電子銃電源30を構成するカソード電源16及び加速電源17が接続されている。電子銃電源30の詳細な構成については、後述する。
また、電子ビーム発生源15の近傍には、走査コイル(偏向コイル)21が配置されている。この走査コイル21は、冷却されたブロック22内に収納されている。走査コイル21には、後述する電子銃電源30の走査コイル電流駆動部31が接続されている。走査コイル電流駆動部31は、走査コイル21に流す電流の出力を制御する。
また、ブロック22の上面には、開口を有するアノード24が固定されている。アノード24は、ライナー2の底部2aと電子ビーム発生源15との間に配置されており、アノード24の開口は、電子ビーム発生源15と所定の距離を空けて対向している。アノード24は、ライナー2からの輻射熱や反射電子による熱負荷を強く受けるため、高融点材料によって形成されている。走査コイル21は、アノード24のライナー2に対向する側に配置されている。そして、走査コイル21は、電流が流れることにより交流磁界を発生する。
フィラメントに所定の値の電流が供給されると、フィラメントは、ジュール加熱により熱電子供給が可能な温度、例えば2300℃前後に加熱される。加速電源17によりアース電位に対して負の高電圧を印加すると、フィラメントから放出された熱電子が電子ビーム発生源15とアノード24との間の電界によって加速され、電子ビーム25が発生する。この電子ビーム25は、走査コイル21により生じる交流磁界により偏向され、所定の走査パターンでライナー2に照射される。
電子ビーム25によりライナー2の底部2aが電子衝撃加熱されると、ライナー2は昇温する。そして、ライナー2からの伝導熱と輻射により蒸着材料4が加熱される。ライナー2の底部2aに対する電子衝撃加熱をある程度持続すると、蒸着材料4は、昇華又は蒸発する。蒸着材料4の蒸発粒子は、防着カバー7の蒸発用開口部7cを通過し、基板121に向かって進行する。その結果、蒸着材料4の蒸発粒子は、基板121に堆積して、所望の厚さの蒸着膜が成膜対象物100に付着する。
次に、電子銃電源30の構成について説明する。
電子銃電源30は、電子ビーム発生源15に接続されるカソード電源16及び加速電源17と、走査コイル電流駆動部31と、カソード電流駆動部33と、走査コイル電流波形制御部32と、エミッション電流制御部34と、加速電圧制御部35と、電子銃制御部36と、設定条件入力部37と、表示部38とを有している。
カソード電源16は、所定の電流をカソードに供給する。そして、ジュール加熱によりカソードは、熱電子放出が可能な温度に加熱される。加速電源17は、接地されており、アース電位に対して負の高電圧、例えば300V~6kVの電圧が印加される。ホルダ3は、アース電位となっており、ホルダ3に保持されたライナー2は、アース電位となる。
また、カソード電源16は、カソード電流駆動部33に接続されている。カソード電流駆動部33は、エミッション電流制御部34に接続され、このエミッション電流制御部34により制御される。そして、エミッション電流制御部34は、電子銃制御部36に接続され、電子銃制御部36により制御される。
加速電源17は、加速電圧制御部35に接続されており、この加速電圧制御部35により制御される。また、加速電圧制御部35は、電子銃制御部36に接続され、電子銃制御部36により制御される。
走査コイル電流駆動部31は、走査コイル21に接続されている。走査コイル電流駆動部31には、走査コイル電流波形制御部32が接続されている。走査コイル電流波形制御部32は、走査コイル21に供給する電流の波形(以下、「走査コイル電流波形」という)を制御する。すなわち、走査コイル電流波形制御部32は、走査コイル電流駆動部31を制御し、コイル電流波形を調整する。また、走査コイル電流波形制御部32には、複数の走査コイル電流波形が保存されている。そして、この複数の走査コイル電流波形は、後述する記憶部44に格納されたパターン番号に紐付けされている。
走査コイル電流波形制御部32は、電子銃制御部36に接続されている。電子銃制御部36は、蒸着動作の状況に応じて成膜制御システム40や設定条件入力部37から受信した信号を走査コイル電流波形制御部32に出力する。そして、走査コイル電流波形制御部32は、電子銃制御部36を介して成膜制御システム40や設定条件入力部37から出力された信号に基づいて、コイル電流波形を変更する。なお、走査コイル電流波形制御部32による調整されるコイル電流波形の例については、後述する。
設定条件入力部37は、電子銃制御部36に接続されている。設定条件入力部37としては、例えば、キーボードやマウス等が挙げられる。設定条件入力部37には、作業者から例えば、成膜工程に必要な出力リミット値や、走査コイル交流電流の下限リミット値、走査コイル電流波形のパターン等が入力される。
表示部38としては、例えば、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイにより構成されている。表示部38には、後述する成膜制御システム40から出力された成膜情報や、成膜工程に必要な出力リミット値や、走査コイル交流電流の下限リミット値、走査コイル電流波形のパターン等が表示される。また、表示部38には、成膜制御システム40の記憶部44に格納された設定値テーブルが表示されてもよい。
次に、成膜制御システム40について説明する。
成膜制御システム40は、膜厚制御部41と、蒸着装置制御部42と、表示部43と、記憶部44と、設定条件入力部45とを有している。膜厚制御部41は、膜厚計50に接続されており、膜厚計50から膜厚情報を取得する。そして、膜厚制御部41は、膜厚計50から取部した膜厚情報に基づいて、蒸着速度及び累積膜厚を計測する。膜厚制御部41は、蒸着速度が設定値に近づくようフィードバック制御し、電子銃制御部36に信号を出力する。これにより、エミッション電流制御部34が電子電流を調整することで、基板121への蒸着速度が変化する。
また、膜厚制御部41は、蒸着装置制御部42に接続されている。そして、膜厚制御部41は、計測した累積膜厚情報を蒸着装置制御部42に出力する。蒸着装置制御部42は、回転駆動部51や不図示のシャッター、電子銃制御部36に接続されている。蒸着装置制御部42は、回転駆動部51やシャッターの駆動を制御すると共に、電子銃制御部36に成膜工程の設定条件を出力する。また、蒸着装置制御部42は、膜厚制御部41から取得した累積膜厚情報が設定した膜厚値に達すると、不図示のシャッターに閉動作を指示すると共に、出力停止信号を電子銃制御部36に出力する。
蒸着装置制御部42には、表示部43及び記憶部44、設定条件入力部45が接続されている。表示部43としては、例えば、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイにより構成されている。表示部43には、成膜情報や、成膜工程に必要な出力リミット値や、走査コイル交流電流の下限リミット値、走査コイル電流波形のパターン等が表示される。また、表示部43には、記憶部44に格納された設定値テーブルが表示される。
設定条件入力部45としては、例えば、キーボードやマウス等が挙げられる。設定条件入力部45には、記憶部44に格納された設定値テーブルの設定ナンバーが入力される。設定条件入力部45に入力された設定ナンバーは、蒸着装置制御部42に出力される。蒸着装置制御部42は、入力された設定ナンバーに基づいて、記憶部44から設定条件を抽出する。そして、蒸着装置制御部42は、抽出した設定条件に電子銃制御部36に出力する。
記憶部44には、成膜工程を行うために必要な設定条件を設定ナンバーごとにグループ化した用途別設定値テーブルが格納されている。
図2は、記憶部44に格納された用途別設定値テーブルの一例を示す図である。
図2に示すように、用途別設定値テーブルは、複数の設定値グループを有している。設定値グループは、「設定ナンバー(No.)」と、「最大出力(kW)」と、「走査コイル交流電流下限値(App)」と、「走査コイル電流波形(パターン番号)」とを有している。「最大出力(kW)」は、電子ビーム25の出力の上限リミットを規定し、「走査コイル交流電流下限値(App)」は、電子ビーム25の照射範囲径を決める走査コイル21の交流電流値の下限リミットを規定している。そして、ライナー2の損傷防止に必要な設定値である「最大出力(kW)」及び「走査コイル交流下限値(App)」と、「走査コイル電流波形(パターン番号)」は、それぞれ使用用途を示す「設定ナンバー(No.)」ごとにグループ化されている。
このように、「最大出力(kW)」及び「走査コイル交流下限値(App)」を「設定ナンバー(No.)」ごとに用途に応じて予め記憶部44に保存しておくことで、成膜構成の設定作業を容易に行うことができる。
「走査コイル電流波形」には、走査コイル21の電流波形ごとにパターン番号(パターン1、パターン2、パターン3・・・)が規定されている。図3及び図4は、走査コイル電流波形の一例を示す図であり、図3はパターン1の走査コイル電流波形を示し、図4はパターン2の走査コイル電流波形を示している。
ここで、走査コイル電流波形が未補正の場合、電子ビーム25がライナー2の底部2aに垂直に入射する電子ビーム発生源15の直上が最も温度が高く、直上から外周部に離れるにつれて温度が低くなる温度分布となる。
図3に示すパターン1の走査コイル電流波形は、ライナー2の底部2aの形状に合わせて円形に電子ビーム25が走査される。これにより、ライナー2の底部2aの中央部が局所的に昇温される。その結果、図3に示すパターン1の走査コイル電流波形は、高い蒸着レートが要求される場合に適している。
図4に示すように、パターン2の走査コイル電流波形は、リング上に電子ビーム25を走査している。これにより、ライナー2の中心部をより弱くし、外周部をより強くすることができ、ライナー2の底部2aの温度分布を均一化させることができる。そのため、図4に示すパターン2の走査コイル電流波形は、蒸着材料4がフッ化物のような昇華性材料の蒸着安定化が求められている場合に適している。
なお、走査コイル電流波形としては、図3及び図4に示す例に限定されるものではなく、電子ビーム25を矩形状に走査するパターンやその他各種の電流波形が適用できるものである。
また、用途別設定値テーブルは、ライナー2の材料や蒸着材料4の材料ごとに、「最大出力(kW)」、「走査コイル交流下限値(App)」及び「走査コイル電流波形(パターン番号)」が予め設定されている。
なお、用途別設定値テーブルに保存される項目としては、上述した項目のみに限定されるものではなく、使用条件や時間、回転駆動部51の駆動速度等のその他各種の項目を追加してもよい。
1-2.間接加熱蒸着装置の動作例
次に、上述した構成を有する間接加熱蒸着装置1の動作例について説明する。
まず、作業者は、成膜制御システム40の設定条件入力部45を用いて、使用用途に応じた設定ナンバー(NO.)を入力する。次に、蒸着装置制御部42は、入力された設定ナンバーに対応する設定値グループ(「最大出力(kW)」、「走査コイル交流電流下限値(App)」、「走査コイル電流波形(パターン番号)」)を記憶部44から読み出す。そして、蒸着装置制御部42は、読み出した設定値グループ(設定条件)を電子銃制御部36に出力する。
例えば、設定値ナンバー3が入力されると、設定条件として、「最大出力」が4kW、「走査コイル交流電流下限値」が3App、「走査コイル電流波形」がパターン1に自動的に設定される。
このように、設定ナンバーを入力するだけで、成膜工程に必要な設定条件を容易に設定することができ、人為的なミスが発生することを防止できる。
なお、上述した例では、設定ナンバーを入力する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ライナー2の材料や蒸着材料4の材料を入力し、入力されたライナー2や蒸着材料の材料に基づいて、蒸着装置制御部42が記憶部44から設定条件を読み出してもよい。このとき、蒸着装置制御部42は、入力されたライナー2や蒸着材料の材料に基づいて、記憶部44から複数の設定条件を抽出し、抽出した複数の設定条件を表示部43に表示させてもよい。そして、作業者が表示部43に表示された複数の設定条件から所望の設定条件を選択し、選択された設定条件を蒸着装置制御部42は、電子銃制御部36に出力するようにしてもよい。
設定条件が蒸着装置制御部42から出力されると、電子銃制御部36は、出力された設定条件に基づいて、各制御部に制御信号を出力する。これにより、カソード電源16及び加速電源17から電子ビーム発生源15に所定の電圧及び電流が印加される。
成膜動作中に、加速電源17の加速電圧を変更した場合、変更した加速電圧と、設定条件として成膜動作の開始時に設定された最大出力(設定値ナンバー3では4kW)により定まる最大エミッション電流が、蒸着装置制御部42で算出される。これにより、エミッション電流の上限値を自動的に変更することができる。
また、成膜動作中に走査コイル電流を減少させた場合、設定条件として成膜動作の開始時に設定された走査コイル電流下限値(設定値ナンバー3では3App)を下回らないようにリミットがかかる。
加速電源17により電子ビーム発生源15に負の高電圧を印加した後、カソードが熱電子放出可能な温度まで加熱されると、カソードから熱電子が放出される。そして、放出された熱電子が電子ビーム発生源15とアノード24との間の電界によって加速されて、電子ビーム25が発生する。電子ビーム25は、走査コイル21に流れる電流により走査されてライナー2及びリフレクタ20に電子衝撃する。ライナー2の底部2aが電子衝撃加熱されることにより、ライナー2が昇温する。そして、ライナー2からの熱伝導と輻射によりライナー2に貯蔵された蒸着材料4は加熱され、蒸発又は昇華し、蒸発粒子となる。
蒸発粒子は、蒸発用開口部7cを通過して、基板保持部120に保持された基板121に到達する。これにより、基板121に蒸発粒子が堆積し、基板121に所望の膜を形成することが可能となる。
基板121に形成された膜の膜厚は、膜厚計50により計測され、膜厚制御部41に出力される。そして、膜厚制御部41により蒸着速度及び累積膜厚が計測される。膜厚制御部41は、蒸着速度が設定値に近づくようフィードバック制御し、電子銃制御部36に信号を出力する。これにより、エミッション電流制御部34が電子電流を調整することで、基板121への蒸着速度が変化する。このとき、エミッション電流制御部34で調整されるエミッション電流の上限値は、成膜動作の開始時に設定された最大出力に基づいて設定される。
また、膜厚制御部41で計測された累積膜厚は、蒸着装置制御部42に出力される。累積膜厚が設定した膜厚値に到達すると、蒸着装置制御部42は、不図示のシャッターに閉動作を指示すると共に、出力停止信号を電子銃制御部36に出力する。これにより、本例の間接加熱蒸着装置1により成膜動作が完了する。
なお、多層成膜を実施する場合、一層ごとにホルダ3を回転駆動軸14により回転させることで、所望の蒸着材料4を充填したライナー2を電子ビーム発生源15の直上へ移動させる。この場合、設定条件を設定する際に、蒸着材料の種類や用途ごとに異なる設定値グループを選択してもよい。作業者は、予め各層に適した設定値グループ(設定ナンバー)を入力する。そして、蒸着装置制御部42は、入力された各層に適した設定値グループを記憶部44から読み出し、電子銃制御部36に出力する。これにより、電子銃制御部36は、各層に応じて最大出力、走査コイル交流電流下限値、走査コイル電流波形を自動的に変更する。
このように、本例の間接加熱蒸着装置1によれば、多層成膜を実施する場合でも、作業者は、各層に適した設定ナンバーを入力するだけで、容易に設定条件を設定することができる。
2.第2の実施の形態例
次に、第2の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置について図5を参照して説明する。
図5は、第2の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置の概略構成図である。なお、ここでは、第1の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図5に示すように、間接加熱蒸着装置1Bは、成膜制御システム40だけではなく、電子銃電源30Bにも記憶部39が設けられている。記憶部39には、成膜制御システム40に設けた記憶部44と同様に、設定条件を示す複数の設定値グループを有する用途別設定値テーブルが格納されている。この用途別設定値テーブルには、図2に示すように、「最大出力(kW)」、「走査コイル交流電流下限値(App)」、「走査コイル電流波形(パターン番号)」等がグループ化されている。
この第2の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置1Bによれば、成膜動作を開始する際に、作業者は、電子銃電源30Bに設けた設定条件入力部37を用いて設定ナンバーを入力してもよい。そして、電子銃制御部36は、入力された設定ナンバーに対応する設定値グループ(設定条件)を記憶部44から読み出し、読みだした設定値グループに基づいて各制御部を制御する。
また、間接加熱蒸着装置1Bは、電子銃電源30Bに設けた記憶部39及び成膜制御システム40に設けた記憶部39のうち使用する記憶部を切り替える切替部を有している。
なお、成膜制御システム40の記憶部44に格納された用途別設定値テーブルと、電子銃電源30Bの記憶部39に格納された用途別設定値テーブルの内容は、同じ内容でもよく、あるいは異なる内容であってもよい。
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる間接加熱蒸着装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。この第2の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置1Bによっても、上述した第1の実施の形態例にかかる間接加熱蒸着装置1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、予備加熱を行う予備加熱用蒸着電子ビーム源を設けてもよい。そして、用途別設定値テーブルには、予備加熱用蒸着電子ビーム源の「最大出力」や「走査コイル交流電流下限値」等の設定条件が複数のグループごとに予め格納される。
設定値テーブルが格納された記憶部を電子銃電源や成膜システムに設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。電子ビーム発生源や電子銃電源が設けられた装置とは離れた位置にある外部サーバーに設定値テーブルが格納された記憶部を設けてもよい。そして、外部サーバーと成膜システムや電子銃電源は、通信部を介して情報を送受信可能に接続される。
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
1、1B…間接加熱蒸着装置、 2…ライナー(容器)、 3…ホルダ、 4…蒸着材料、 5…リフレクタ、 7…防着カバー、 7c…蒸発用開口部、 14…回転駆動軸、 15…電子ビーム発生源、 16…カソード電源、 17…加速電源、 21…走査コイル、 22…ブロック、 24…アノード、 25…電子ビーム、 30…電子銃電源(制御部)、 31…走査コイル電流駆動部、 32…走査コイル電流波形制御部、 33…カソード電流駆動部、 34…エミッション電流制御部、 35…加速電圧制御部、 36…電子銃制御部、 37…設定条件入力部、 38…表示部、 39…記憶部、 40…成膜制御システム(制御部)、 41…膜厚制御部、 42…蒸着装置制御部、 43…表示部、 44…記憶部、 45…設定条件入力部、 50…膜厚計、 51…回転駆動部、 120…基板保持部、 121…基板

Claims (6)

  1. 蒸着材料が充填される容器と、
    前記蒸着材料が充填された容器に対して、前記蒸着材料を蒸発させる蒸着加熱領域において熱電子を照射する電子ビーム発生源と、
    前記電子ビーム発生源から照射された前記熱電子を走査する走査コイルと、
    前記電子ビーム発生源及び前記走査コイルを制御する制御部と、
    前記電子ビーム発生源の最大出力及び前記走査コイルに流す電流下限値を設定する複数の設定値グループを有する設定値テーブルが格納された記憶部と、を備え、
    前記制御部は、前記記憶部に格納された複数の前記設定値グループのうち選択された設定値グループの前記最大出力及び前記電流下限値に基づいて、前記電子ビーム発生源及び走査コイル21を制御する
    間接加熱蒸着装置。
  2. 前記制御部は、前記電子ビーム発生源の電源となる電子銃電源と、
    前記電子銃電源に制御信号を出力する成膜システムと、を有し、
    前記記憶部は、前記電子銃電源及び前記成膜システムのうち少なくとも一方に設けられる
    請求項1に記載の間接加熱蒸着装置。
  3. 前記成膜システムは、選択された前記設定値グループの前記最大出力に基づいて、前記電子ビーム発生源に供給するエミッション電流の最大値を設定する
    請求項2に記載の間接加熱蒸着装置。
  4. 前記設定値グループは、前記走査コイルに供給する電流の波形を示す走査コイル電流波形を有する
    請求項1から3のいずれか1項に記載の間接加熱蒸着装置。
  5. 前記設定値グループは、使用用途、前記容器の材料及び/又は前記容器に充填される蒸着材料の種類に応じて複数用意される
    請求項1から4のいずれか1項に記載の間接加熱蒸着装置。
  6. 多層成膜を行う際、前記制御部は、各層ごとに複数の前記設定値グループから選択された設定値グループに基づいて、前記電子ビーム発生源を制御する
    請求項1から5のいずれか1項に記載の間接加熱蒸着装置。
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