JP2023099632A - シームレスカプセル - Google Patents

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憲一 小山
Kenichi Koyama
智也 鈴木
Tomoya Suzuki
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Abstract

【課題】比較的大きい粒径のシームレスカプセルを提供する。【解決手段】シームレスカプセルの直径を5mm以上とし、皮膜の最小厚みT1に対する最大厚みT2の割合T2/T1を3.5以下とする。【選択図】なし

Description

本発明は、シームレスカプセルに関する。
シームレスカプセルは、内包物を継ぎ目無く皮膜(カプセル皮膜)で包みこんだカプセルである。
例えば、特許文献1には、シームレスソフトカプセルの皮膜の調製において、カプセル皮膜の組成物となるカラギーナンを酸性pH調整剤によって分解し、その分解を中和剤によって停止すること、かつ、カプセル皮膜の組成物としてアルギン酸塩類をカルシウムイオンを含むゲル化助剤水溶液中でゲル化処理すること、によって製造されるシームレスソフトカプセルであって、そのカプセル皮膜の組成物に、カラギーナンと、アルギン酸塩類とを少なくとも有することを特徴とするソフトカプセルが開示されている。そして、この文献には、カプセルの直径が0.5~15mm、好ましくは1~8mmであることが記載されており、実施例では直径4mmのカプセルが製造されている。
特許文献2には、硬化用液と分離されたシームレスカプセルを乾燥中、若しくは乾燥後に、吸着剤粉末で被覆する被覆工程を含むことを特徴とするシームレスカプセルの製造方法が開示されており、シームレスカプセルの直径が1mm~7mmであること、実施例では直径3.5mmのカプセルを得たことが記載されている。
特許第4822299号公報(特許請求の範囲、実施例、段落0068) 特開2015-81249号公報(特許請求の範囲、実施例、段落0051)
本発明の目的は、比較的粒径(直径)が大きいシームレスカプセルを提供することにある。
特許文献1及び2のように、シームレスカプセルの直径は広く記載されているものの、実際には、シームレスカプセルの直径はせいぜい3.5mmや4mmであり、大粒径(例えば、9mm以上、10mm以上)のシームレスカプセルが製造された例は存在しない。
一方、本発明者らの検討によれば、直径の大きいシームレスカプセルを一般的な方法により作成しようとすると、実際には、作成途中で割れてしまって、カプセル自体が形成されない、なんとか製造できても、乾燥途中や小さい衝撃で割れてしまう、皮膜率や皮膜厚みが小さい場合にはもちろんのこと、皮膜率や皮膜厚みが大きい場合にも表面張力の影響が大きいことなどによりカプセル形成に支障があるなど、実用性を担保できるシームレスカプセルを形成できない場合があることがわかった。せいぜい直径3.5mmや4mm程度のカプセルと、大粒径のカプセルとでは、カプセルそのものの態様が大きく異なる可能性があり、このことは、従来、大粒径のシームレスカプセルが、現実的に想定されておらず、実際に製造されていない要因の一つとも考えられた。
このような中、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、シームレスカプセルの製造条件を制御する(さらには皮膜や内包物を選択する)ことなどにより、比較的大粒径であっても、シームレスカプセルが得られること、また、皮膜の厚みのバラツキ(偏肉)が小さい等の特性を有するシームレスカプセルは、大粒径であるにもかかわらず、実用に耐えうるカプセルであること、さらに、皮膜率や皮膜の厚みによらず、所望の皮膜のカプセルが得られること、さらにまた、従来全く知られていないゲル状の内包物を有するシームレスカプセル(特に大粒径のシームレスカプセル)が得られることなどを見出した。
本発明者らは、上記以外にも下記するように種々の新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]直径が5mm以上であり、皮膜の最小厚みT1に対する最大厚みT2の割合T2/T1が3.5以下であるシームレスカプセル。
[2]直径が7mm以上である[1]記載のシームレスカプセル。
[3]直径が10mm以上であり、皮膜の最小厚みT1に対する最大厚みT2の割合T2/T1が3以下である[1]又は[2]記載のシームレスカプセル。
[4]皮膜の最小厚みT1に対する最大厚みT2の割合T2/T1が2.3以下である[1]~[3]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[5]真球度が80%以上である[1]~[4]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[6]直径が10mm以上であり、皮膜の最小厚みT1に対する最大厚みT2の割合T2/T1が2.1以下であり、真球度が85%以上である[1]~[5]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[7]皮膜率が3~60質量%である[1]~[6]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[8]皮膜率が10質量%以下である[1]~[7]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[9]皮膜率が15質量%以上である[1]~[8]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[10]直径が13mm以上である[1]~[9]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[11]直径が15mm以上である[1]~[10]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[12]内包物がゲル状である[1]~[11]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[13]皮膜の厚みの標準偏差をSD、皮膜の厚みをTとするとき、値SD/Tが、0.2以下である[1]~[12]のいずれかに記載のシームレスカプセル。
[14]皮膜の構成成分を含む皮膜液を通過させる外側ノズル及び内包物の構成成分を含む内容液を供給する内側ノズルを同心円状に備えた同心多重ノズルと、形成管とを備えた装置を用い、内側ノズルの吐出口から内容液を、外側ノズルの吐出口から皮膜液を、それぞれ形成管内に吐出することにより、形成管内でカプセルを形成させるカプセル形成工程を含むシームレスカプセルの製造方法であって、
同心多重ノズルの軸心線と、形成管の軸心線との距離をXとし、カプセルの直径をDとするとき、値X/Dを、3以下となるように調整し、かつ、
内側ノズルの吐出口の幅をYとし、カプセルの直径をDとするとき、値Y/Dを、0.4以下に調整する、シームレスカプセルの製造方法。
[15]値X/Dを2以下、値Y/Dを0.28以下に調整し、歩留まり率80%以上でシームレスカプセルを得る[14]記載の製造方法。
[16]シームレスカプセルが、[1]~[13]のいずれかに記載のシームレスカプセルである[14]又は[15]に記載の製造方法。
本発明では、比較的粒径(直径)が大きいシームレスカプセルを提供できる。
本発明のシームレスカプセルは、通常、乾燥途中や小さな衝撃で割れることなどがない。そのため、本発明では、単に、大粒径であるだけでなく、実用性のあるシームレスカプセルを提供できる。
本発明の他の態様では、大粒径であっても、カプセルのへこみ等が少なく、きれいな形状を有するシームレスカプセルを得ることができる。
本発明の他の態様では、長期保存しても、カプセルの変形・破損、内包物の漏れなどがなく、安定性に優れたシームレスカプセルを得ることができる。
本発明の他の態様では、比較的大粒径であるにもかかわらず、要求される所望の特性(例えば、感触、崩壊性など)を備えたシームレスカプセルを得ることができる。
本発明の他の態様では、皮膜率や皮膜の厚みによらず、大粒径のシームレスカプセルを得ることができる。
本発明の他の態様では、固体状(特にゲル状)の内包物を有するシームレスカプセルを得ることができる。
図1は、滴下法によるシームレスカプセルの製造工程(製造装置)を示す模式図である。
[カプセル]
カプセルは、通常、皮膜(被膜、カプセル被膜)と、内包物(この皮膜内に内包された内包物)とを有する。換言すれば、カプセルは、内包物とこの内包物を被覆する皮膜とを有する。
(皮膜)
皮膜は、通常、皮膜形成成分(造膜性基剤、皮膜形成剤)を含んでいてよい。皮膜形成成分としては、特に限定されず、カプセルの用途等に応じて適宜選択でき、例えば、多糖類(又はその誘導体){例えば、海草由来多糖類[例えば、寒天、カラギーナン、アルギン酸又はその塩(例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、鉄塩、スズ塩などの金属塩)、ファーセレラン、カードランなど]、樹脂由来多糖類(例えば、ガティガム、アラビアガムなど)、微生物由来多糖類(例えば、プルラン、ウェランガム、キサンタンガム、ジェランガムなど)、植物由来多糖類(例えば、トラガントガム、ペクチン、グルコマンナン、デンプン、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、難消化性デキストリンなど)、種子由来多糖類[例えば、グアーガム又はその誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルグアーガム、カチオン化グアーガム、グアーガム分解物(グアーガム酵素分解物など)など)、タラガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、サイリウムシードガム、アマシードガムなど]、発酵多糖類(例えば、ダイユータンガムなど)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、キトサンなど}、合成樹脂(ポリビニルアルコールなど)、タンパク質(例えば、ゼラチン、カゼイン、ゼインなど)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、エリスリトール)などが挙げられる。なお、皮膜形成成分は、その種類によっては、可塑剤、甘味料、食物繊維、増量剤などとして機能してもよい。
皮膜形成成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、寒天、カラギーナン、ゼラチンなどが代表的である。そのため、皮膜形成成分は、寒天、カラギーナン及びゼラチンから選択された少なくとも1種の皮膜形成成分(A)で少なくとも構成してもよい。また、特に、皮膜形成成分を、非ゼラチン系成分、例えば、寒天及び/又はカラギーナンで構成してもよい。
寒天としては、特に限定されないが、例えば、粉末寒天、固形寒天、フレーク寒天などが挙げられる。寒天の原料としては、例えば、紅藻類(例えば、天草、オゴノリなど)などが挙げられる。
寒天の強度は、カプセルの用途や食感等に応じて適宜選択できる。例えば、割れ感や感触などの観点では、寒天のゼリー強度は、500g/cm以上(例えば、550~3000g/cm)、好ましくは600g/cm以上(例えば、650~2000g/cm)、さらに好ましくは700g/cm以上(例えば、750~1500g/cm)であってもよく、800g/cm以上であってもよい。
また、柔らかいカプセル皮膜を所望する場合等において、寒天のゼリー強度は、500g/cm以下(例えば、100~500g/cm)、好ましくは300g/cm以下(例えば、100~300g/cm)、さらに好ましくは250g/cm以下(例えば、150~250g/cm)であってもよい。
なお、ゼリー強度は日寒水式で測定できる。
カラギーナンとしては、例えば、κ(カッパ)カラギーナン、ι(イオタ)カラギーナン、λ(ラムダ)カラギーナン、μ(ミュー)カラギーナン、ν(ニュー)カラギーナン、θカラギーナン、ζ(ゼータ)カラギーナン、πカラギーナン等が挙げられる。
なお、カラギーナンは、例えば、紅藻類のスギノリ科、ミリン科、イバラノリ科等の全藻に由来してもよい。
カラギーナンの粘度としては、カプセルの用途や食感等に応じて適宜選択できる。例えば、割れ感や感触などの寒天では、5mPa・s以上であってもよい。粘度の上限は、特に限定されないが、500mPa・s以下のものが好ましい。粘度は、例えば、B型粘度計を用いて測定できる。
ゼラチンとしては、特に限定されず、例えば、豚ゼラチン、牛ゼラチン、鶏ゼラチン、魚ゼラチンなどが挙げられる。
また、ゼラチンとして、コハク化ゼラチン、ゼラチン加水分解物、加水分解ゼラチン、架橋型ゼラチンなどのゼラチン誘導体を使用してもよい。
なお、宗教上の制限、アレルギーの問題等から、ほ乳類(例えば、牛、豚等)由来成分を使用しないことを目的とする場合、ほ乳類由来のゼラチンを使用しないことにより、非ほ乳類性カプセルとすることができる。
ゼラチンの強度は、カプセルの用途や食感等に応じて適宜選択できる。例えば、割れ感や感触などの観点では、ゼラチンのブルーム強度は、150以上(例えば、160~500)、好ましくは170以上(例えば、175~450)、さらに好ましくは200以上(例えば、200~400)であってもよい。
また、柔らかいカプセル皮膜を所望する場合等において、ゼラチンのブルーム強度は、150以下、好ましくは130以下、さらに好ましくは100以下であってもよい。
なお、ブルーム強度は、例えば、直径12.7mmの円筒形のピストンが4mmゲルに押しこまれるのに必要な質量によって定義される。
皮膜が皮膜形成成分(A)を含む場合、皮膜(又は皮膜形成成分)における皮膜形成成分(A)の割合(固形分割合)は、例えば、10質量%以上(例えば、10~100質量%)、好ましくは15質量%以上(例えば、15~95質量%)、さらに好ましくは20質量%以上(例えば、20~90質量%)であってもよく、30質量%以上(例えば、40質量%以上、好ましくは50質量%以上)であってもよい。
また、皮膜は、皮膜形成成分(A)と他の皮膜形成成分とを組み合わせて含んでいてもよい。他の皮膜形成成分(皮膜形成成分(B))としては、皮膜形成成分(A)以外の成分であればよく、カプセルに要求する機能等に応じて選択でき、例えば、アルギン酸又はその塩、微生物由来多糖類(例えば、ジェランガムなど)、植物由来多糖類(例えば、ペクチン、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、難消化性デキストリンなど)、種子由来多糖類[例えば、グアーガム又はその誘導体(例えば、グアーガム分解物など)など]、糖アルコール(例えば、ソルビトール、キシリトールなど)などが挙げられる。皮膜形成成分(B)は、これらの成分の少なくとも1種で構成してもよい。
皮膜形成成分(B)は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
皮膜が皮膜形成成分(B)を含む場合、皮膜(又は皮膜形成成分)における皮膜形成成分(B)の割合(固形分割合)は、例えば、70質量%以下(例えば、0.1~65質量%)、好ましくは60質量%以下(例えば、0.5~55質量%)、さらに好ましくは50質量%以下(例えば、1~45質量%)であってもよく、2質量%以上(例えば、2~40質量%、好ましくは3~35質量%、さらに好ましくは5~30質量%)であってもよい。
皮膜が、皮膜形成成分(A)と皮膜形成成分(B)とを含む場合、これらの割合は、例えば、前者/後者(質量比)=99.5/0.5~10/90(例えば、99/1~15/85)、さらに好ましくは98/2~20/80(例えば、95/5~25/75)であってもよく、99/1~30/70(例えば、95/5~40/60、好ましくは90/10~50/50)程度であってもよい。
なお、皮膜形成成分は、用途に応じて、水溶性及び非水溶性のいずれであってもよく、水溶性成分と非水溶性(疎水性)成分とを組み合わせて使用してもよい。
皮膜は、皮膜強度の調整等のため、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、例えば、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;グリセリンなどの3以上のヒドロキシル基を有するポリオール)、糖類[例えば、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖、グルコース、ガラクトースなど)、二糖類(例えば、ショ糖、麦芽糖、トレハロース、カップリングシュガーなど)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖など)など]、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、エリスリトールなどの前記例示の糖アルコール)、多糖類又はその誘導体[例えば、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ポリデキストロース、デキストリン、マルトデキストリン、難消化性デキストリン、シクロデキストリン(α、β、又はγ)など)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)など]、ポリビニルアルコール、トリアセチンなどが挙げられる。
なお、デンプン誘導体のDE(デンプン分解度)は、例えば、10~90程度であってもよい。
可塑剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、糖アルコール、デンプン、デンプン誘導体などは、前記のように、皮膜形成成分として使用することもできる。
これらのうち可塑剤として、多価アルコール、糖類、デンプン、デンプン誘導体などを好適に使用してもよい。そのため、可塑剤は、少なくともこれらの1種で構成してもよい。一方、本発明では、糖類(例えば、ショ糖、トレハロースなど)を使用しなくても、カプセルを得ることができる。
皮膜が可塑剤を含む場合、皮膜における可塑剤の割合(固形分割合)は、例えば、70質量%以下(例えば、0.1~65質量%)、好ましくは60質量%以下(例えば、0.5~55質量%)、さらに好ましくは50質量%以下(例えば、1~45質量%)であってもよく、2質量%以上(例えば、2~60質量%、好ましくは3~50質量%、さらに好ましくは5~40質量%)であってもよい。
特に、皮膜は、グリセリンを少なくとも含んでいてもよい。皮膜がグリセリンを含む場合、皮膜におけるグリセリンの割合は、例えば、70質量%以下(例えば、0.1~65質量%)、好ましくは60質量%以下(例えば、2~55質量%)、さらに好ましくは50質量%以下(例えば、3~45質量%)であってもよく、5質量%以上(例えば、7~50質量%)であってもよい。
皮膜は、用途等に応じて、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、着色剤(色素、顔料)、着香剤、甘味料、酸化防止剤、防腐剤、調味料、香辛料、酸味料(例えば、クエン酸又はその塩など)、苦味料、塩分、うまみ成分、その他後述の内包物の項に記載の成分(例えば、生理活性物質、生物活性物質など)などが挙げられる。なお、甘味料は、その種類によっては、前記のように、皮膜形成成分や可塑剤として使用することもできる。
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
皮膜が他の成分を含む場合、皮膜における他の成分の割合は、例えば、30質量%以下(例えば、0.01~25質量%)、好ましくは20質量%以下(例えば、0.05~15質量%)、さらに好ましくは10質量%以下(例えば、0.1~8質量%)であってもよい。
皮膜は、溶媒成分(例えば、水)を含んでいてもよい。皮膜における溶媒成分の割合は、例えば、30質量%以下(例えば、0.1~25質量%)、好ましくは20質量%以下(例えば、1~18質量%)、さらに好ましくは15質量%以下(例えば、3~12質量%)程度であってもよい。
(内包物)
カプセルの内包物は、用途等に応じて適宜選択でき、特に限定されない。
内包物は、皮膜の種類や用途に応じて、油性成分(油溶性成分、親油性成分)であってもよく、水溶性成分(親水性成分)であってもよく、これらを両方含んでいてもよい。また、内包物は、液体状、固体状のいずれであってもよく、これらを組み合わせて含んでいてもよい。通常、内包物は、少なくとも液体を含む場合が多い。
内包物は、代表的には、液状であってもよい。このような液状の内包物は、全体として液状であればよく、液状成分(1又は2以上の液状成分)のみで構成してもよいし、液状成分に(又は液状成分を溶媒又は分散媒として)、他の成分(別の液状成分、気体成分、及び/又は固体状成分)が溶解又は分散して(全体として液状の内包物を形成して)いてもよい。
なお、液状には、コロイド状、エマルション状、ジュレ状なども含まれる。
また、本発明の別の態様では、カプセルの内包物は、固体状であってもよい。固体状には、実質的に流動性がない状態、例えば、ゲル[ゲル状(グミ状など)]が含まれる。なお、固体状の内包物は、全体として固体状であればよく、固体状成分(1又は2以上の固体状成分)のみで構成してもよいし、固体状成分に(又は固体状成分を分散媒として)、他の成分(液状成分、気体成分、及び/又は別の固体状成分)が混合又は分散して(全体として固体状の内包物を形成して)いてもよい。
内包物は、特に限定されず、例えば、香料、化粧料、界面活性剤、洗剤、入浴剤、界面活性剤、清涼化剤、生理活性物質(例えば、ビタミン類、アミノ酸、コラーゲン、コラーゲンペプチド、脂質、イソフラボン類、ミネラル類、酵素、ホルモンなど)、生物活性物質(医薬など)、微生物類(例えば、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、酵母菌などの細菌類;酵母などの菌類など)、飲食物(又はその抽出物)、植物(又はその抽出物)、甘味料、酸味料、調味料、強壮剤などに分類されてもよい。これらの成分は、固体状及び液体状のいずれであってもよく、単独で又は2種以上組み合わせてよい。
前記のように、本発明の一態様では、内包物は液状である。液状の内包物を構成する液状成分(又は液状の内包物)は、親水性、親油性のいずれであってもよいが、後述のように、通常、皮膜(又は皮膜と接触する部分)に対して非溶解性(非浸食性)であってもよい。
具体的な液状成分(親油性の液状成分)としては、例えば、脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、オレイン酸、リノール酸など)、脂肪酸エステル[例えば、トリグリセリド(中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCTなど)などのグリセリンエステル(脂肪);ミリスチン酸イソプロピルなどの非グリセリン系の脂肪酸エステル)など]、植物油(例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、コーン油、ラッカセイ油、ブドウ種子油、小麦胚芽油、菜種油、ホホバ油、サフラワー油)、硬化油、鉱物油、シリコーン油、ショ糖脂肪酸エステル、流動パラフィン、スクワラン、香料(例えば、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素化合物、含硫化合物類、酸類など)などが挙げられる。
液状の内包物は、上記のような液状成分のみで構成してもよく、液状成分(分散媒としての液状成分)に他の成分(例えば、別の液状成分及び/又は固体状成分)が溶解又は分散していてもよい。
本発明の別の態様では、内包物は固体状(ゲル状など)であってもよい。固体状の内包物を構成する固体状成分は、親水性、親油性のいずれであってもよい。また、固体状成分は、皮膜(又は皮膜と接触する部分)に対して溶解性(浸食性)又は非溶解性(非浸食性)であってもよく、特に非溶解性であってもよい。
なお、従来、内包物が固体状(グミ状など)である(さらには大粒径の)シームレスカプセルは知られていない。シームレスカプセルは、通常、液の状態でなければ製造できないため、このことが、従来、固体状の内包物を有するシームレスカプセルが知られていない要因の1つと考えられる。
固体状成分(又は固体状の内包物を構成する固体状成分)としては、特に限定されず、例えば、前記皮膜の項で例示の成分[例えば、皮膜形成成分(ゼラチン、寒天、カラギーナンなど)、可塑剤など]などが挙げられる。
固体状の内包物は、このような固体状成分のみで構成してもよく、固体状成分(分散媒又はマトリックスとしての固体状成分)に他の成分(例えば、別の固体状成分及び/又は液体状成分)が混合又は分散していてもよい。
これらの成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
内包物が、液状成分と固体状成分とを含む場合、これらの割合は特に限定されず、内包物の形態が液状又は固体状のいずれであるか等に応じて適宜選択できるが、例えば、前者/後者(質量比)=99.99/0.01~0.01/99.99、好ましくは99.9/0.1~0.1/99.9、さらに好ましくは99.5/0.5~0.5/95.5程度であってもよく、99.99/0.01~10/90(例えば、99.9/0.1~20/80、好ましくは99.5/0.5~30/70、さらに好ましくは99/1~50/50)、0.01/99.99~90/10(例えば、0.01/99.9~80/20、好ましくは0.5/99.5~70/30、さらに好ましくは1/99~50/50)であってもよい。
(カプセルの形態)
カプセルは、最外層として皮膜(シェル)を有し、皮膜内(内部)に内包物を含んでいる。このようなカプセルは、通常、シームレスカプセル(継ぎ目のないカプセル)であってもよい。
皮膜は、一層であってもよく、複数の層で形成されていてもよい。なお、複数の層で形成されている場合、一方の層と他方の層との厚み比は、特に限定されず、例えば、100/1~0.01/1(例えば、50/1~0.02/1)、好ましくは20/1~0.05/1(例えば、10/1~0.1/1)、さらに好ましくは5/1~0.2/1程度であってもよい。
カプセル(又は皮膜)の径(直径、平均直径)は、比較的大きく、例えば、5mm以上(例えば、6~50mm)、好ましくは7mm以上(例えば、7.5~40mm)、さらに好ましくは8mm以上(例えば、9~35mm)、特に10mm以上(例えば、10~30mm)であってもよく、10mm超(例えば、10.5mm以上)、11mm以上(例えば、11.5mm以上、12mm以上、13mm以上、15mm以上、16mm以上、17mm以上、18mm以上、19mm以上)とすることもできる。
本発明のカプセルは、通常、皮膜の厚みの偏りが小さい。例えば、カプセル(又は皮膜)の最小厚みT1に対する最大厚みT2の割合T2/T1が、3.5以下(例えば、3.2以下)の範囲から選択でき、好ましくは3以下(例えば、2.8以下)、さらに好ましくは2.5以下(例えば、2.3以下)、特に好ましくは2.1以下(例えば、2.0以下)、最も好ましくは1.8以下(例えば、1.6以下)であってもよく、1.2以下であってもよい。
皮膜の厚み(平均厚み、複数の層で形成されている場合には総厚み、以下同じ)は、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択できるが、例えば、20μm~5mm、好ましくは30μm~3mm、さらに好ましくは40μm~1mm程度であってもよく、比較的小さくする[例えば、1mm以下(例えば、800μm以下、500μm以下、300μm以下など)とする]こともできるし、比較的大きくする[例えば、1mm以上(例えば、1.5mm以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、7mm以上など)とする]こともできる。
皮膜の直径(平均直径)をD、皮膜の厚み(平均厚み)をTとするとき、値[T/D]×100(%)は、例えば、0.1~95%、好ましくは0.2~90%、さらに好ましくは0.3~80%程度であってもよく、比較的大きく(例えば、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上などに)することもできるし、比較的小さく(例えば、5%以下、4%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下などに)することもできる。
本発明では、比較的バラツキの小さいカプセルを提供することができる。例えば、皮膜の厚みの標準偏差をSD、皮膜の厚み(平均厚み)をTとするとき、値SD/Tは、0.5以下、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下、特に0.2以下(例えば、0.16以下)であってもよく、0.15以下(例えば、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.090以下、0.080以下)とすることもできる。
皮膜の厚みやその皮膜厚みに対する割合が小さい場合には、皮膜の薄さにより、また、皮膜の厚みやその皮膜厚みに対する割合が大きい場合には、カプセル製造工程における表面張力の影響などに起因して、それぞれ良好なカプセルが得られにくいが、本発明では、いずれの場合においても、カプセルを提供できる。
本発明のカプセルにおいて、皮膜率(カプセル全体(皮膜及び内包物の総量)に対する皮膜の割合)は、例えば、0.1~99質量%(例えば、0.5~95質量%)、好ましくは1~90質量%、さらに好ましくは2~80質量%(例えば、2.5~70質量%)、通常3~60質量%(例えば、3~50質量%)程度であってもよく、比較的大きく[例えば、10質量%以上(例えば、12~90質量%)、好ましくは15質量%以上(例えば、18~80質量%)、さらに好ましくは20質量%以上(例えば、22~70質量%)、通常10~50質量%(例えば、15~45質量%)に]することもできるし、比較的小さく[例えば、20質量%以下(例えば、0.1~18質量%)、好ましくは15質量%以下(例えば、0.5~12質量%)、さらに好ましくは10質量%以下(例えば、1~8質量%)、特に8質量%以下(例えば、2~7質量%以下)に]することもできる。
前記厚みと同様に、皮膜率が大きい場合、小さい場合のいずれにおいても、通常、大きな直径でカプセルを得ることは難しいが、本発明ではこのような皮膜率が大きい場合及び小さい場合のいずれにおいても、良好なカプセルを得ることができる。
本発明のカプセルにおいて、皮膜の含水率は、カプセルの用途等に応じて選択できるが、例えば、50質量%以下(例えば、0.1~40質量%)、好ましくは30質量%以下(例えば、0.5~25質量%)、さらに好ましくは20質量%以下(例えば、1~15質量%)であってもよい。
本発明のカプセル(皮膜)の強度(平均強度)は、特に限定されないが、例えば、カプセルを5mm押し込んだ時の最大荷重値として、0.1N以上、好ましくは0.2N~50N、さらに好ましくは0.3N~30N程度であってもよい。本発明のカプセルは、比較的大粒径であるものの、小さな衝撃で破壊されることがなく、実用性を有する。
本発明のカプセル(又は皮膜)の形状は、非球状(楕円体状、扁平状など)であってもよいが、通常、球状であってもよい。
球状のカプセルにおいて、真球度(平均真球度)は、例えば、50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に80%以上であってもよく、85%以上(例えば、90%以上)とすることもできる。
本発明では、特に、比較的大粒径である場合、皮膜率が小さい又は大きい場合、皮膜の厚みが小さい場合又は大きい場合、皮膜の直径に対する皮膜の厚みが小さい又は大きい場合、内包物がゲル状(グミ状)である場合などであっても、高い真球度のカプセルを得ることができる。
本発明のカプセルは、通常、安定であり、長期にわたって形状を保持できる。例えば、本発明のカプセルは、保存前の直径(平均直径)をD1、35℃(密閉状態)で6ヶ月間保存後の直径(平均直径)をD2とするとき、D1/D2の値(平均値)が、0.5~2(例えば、0.6~1.7)、好ましくは0.65~1.5(例えば、0.7~1.4)、さらに好ましくは0.8~1.3(例えば、0.85~1.2)、特に0.9~1.1(例えば、0.95~1.05)であってもよく、実質的に1(保存前後で直径の変化無し)であってもよい。
本発明のカプセルは、前記のように、皮膜(シェル)と、この皮膜内(内部)に内包物(コア)を有する。
内包物は複数の層(多層)を形成していてもよい。すなわち、このようなカプセルは、皮膜と、複数の層で構成された内包物(コア)とを有していてもよい。複数の層は、2以上の層であればよく、例えば、2~5層、好ましくは2~4層、さらに好ましくは2~3層であってもよい。
内包物(カプセル内部、皮膜の内側)は、カプセル(第2のカプセル)を含んでいてもよい。内包物に第2のカプセルを含むカプセルの態様としては、例えば、皮膜(第1のカプセルの皮膜)と、液状成分及びこの液状成分中に分散したカプセルを含む内包物とを有するカプセルなどが挙げられる。このような内包物において、第2のカプセルの数は、1以上であればよく、複数(例えば、2~10)であってもよい。第2のカプセルは、第1のカプセルと同様に、皮膜とこの皮膜内に内包物を有していてもよい。このような第2のカプセルにおいて、皮膜や内包物としては、前記と同様の成分等を利用できる。
なお、前記のように、本発明のカプセル(第1のカプセル)は、通常、シームレスカプセルであるが、第2のカプセルは必ずしもシームレスカプセルである必要はなく、第1のカプセル同様、シームレスカプセルであってもよい。
なお、カプセル(第1のカプセル、第2のカプセル)において、皮膜と内包物とは互いに非溶解性(非浸食性)であってもよい。例えば、皮膜が、水溶性である場合には、内包物(又は内包物のうち、皮膜と接触する部分)は非水溶性(疎水性)であってもよい。
また、内包物が複数の層である場合、接触又は隣接する層は互いに非溶解性であってもよい(例えば、水溶性の層とこの水溶性の層と接触する非水溶性の層とで構成されていてもよい)。さらに、内包物が、液状成分(例えば、疎水性又は油溶性の液状成分)とカプセル(第2のカプセル)とを含む場合、第2のカプセルの少なくとも表面(皮膜)が、液状成分に対して非溶解性(例えば、水溶性)であってもよい。
なお、本発明のカプセルは、必要に応じて、コーティング層(皮膜を被覆又はコーティングする層)を有してもよい。コーティング層を構成するコーティング剤としては、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択でき、例えば、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなど)、メタクリル酸コポリマー、セラック、水溶性セラック、シリコーンオイル、カルナバロウ、ツェインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、必要に応じて、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
[カプセルの製造方法]
本発明には、カプセルの製造方法が含まれる。
カプセルは、通常、多重ノズルを用いる滴下法(シームレスカプセル法)により製造できる。すなわち、滴下法(滴下方式)により、内包物を皮膜(又は皮膜の内部)に充填し、カプセルを得ることができる。
滴下方式では、例えば、図1に記載されるように、略同心円様に整列した複合ノズル装置を使用する。複合ノズル装置は、例えば、投入口Aから供給される内容液(内包物の構成成分を含む液、内包液)を通過させる内側ノズル4と、投入口Bから供給された皮膜液(皮膜の構成成分を含む液)を通過させる外側ノズル5とを有し、内側ノズル4及び外側ノズル5は略同心円様に整列し、複合ノズル(同心多重ノズル)を備えている。そして、この複合ノズル装置を用いて、内側ノズル4に供給された内溶液1は内側ノズル4の吐出口から形成管7に吐出され、外側ノズル5に供給された皮膜液2は外側ノズル5の吐出口(幅Y)から形成管7に吐出される。内溶液1と皮膜液2は、内側ノズル4及び外側ノズル5から同時に、油液又は気体中に吐出され、同軸的な流れを、下流に流れる担体流6内に形成し、振動等の物理的力を加えられて、その吐出液を一定間隔で切断し、切断部を、油液又は気体と皮膜液との界面又は表面張力により球状として、膜層を冷却によってゲル化させ、カプセル(湿潤カプセル)を製造するものである。皮膜層2は、押し出された内包物1を包囲してカプセル3を形成する。得られたカプセル3は、回収後、乾燥され、最終形態のシームレスカプセル(乾燥カプセル)としてもよい。
シームレスカプセルは、代表的には、皮膜液を通過させる外側ノズル及び内容液を供給する内側ノズルを同心円状に備えたノズルユニット(同心多重ノズル)と、形成管(ノズルユニットの下流側又は軸線上に設けられた形成管)とを備えた装置を用い、内側ノズルの吐出口から内容液を、外側ノズルの吐出口から皮膜液を、それぞれ形成管内に吐出することにより、形成管内でカプセルを形成させる工程を経て製造される。
ここで、本発明では、この一連の製造工程における条件を調整するのが好ましい。
例えば、同心多重ノズルの軸心線(中心線)と、形成管の軸心線(中心線)との距離(すなわち、同心多重ノズルの形成管の中心からのずれ)をXとし、カプセル(皮膜)の直径をDとするとき、値X/Dを、3.5以下(例えば、3.2以下)、好ましくは3以下(例えば、2.5以下)、さらに好ましくは2.4以下(例えば、2.35以下)、特に好ましくは2.3以下(例えば、2.2以下)、通常2以下(例えば、1.9以下)となるように調整してもよく、1.8以下(例えば、1.7以下)、1.5以下、1以下、0.7以下、0.5以下などとなるように調整してもよい。
また、内側ノズルの吐出口の幅(すなわち、ノズル間隔)をYとし、カプセル(皮膜)の直径をDとするとき、値Y/Dを、0.4以下(例えば、0.001~0.37)、好ましくは0.35以下(例えば、0.005~0.34)、さらに好ましくは0.3以下(例えば、0.01~0.29)、特に好ましくは0.28以下(例えば、0.03~0.26)、最も好ましくは0.25以下(例えば、0.05~0.25)となるように調整してもよい。
このような条件の調整(選択)により、シームレスカプセル、とりわけ、前記のような比較的大きい粒径のシームレスカプセルを効率よく得ることができる。また、このような条件の調整により、皮膜厚みの偏りが小さいシームレスカプセルや、複数のカプセル間でのバラツキの小さいシームレスカプセルを得やすい。
しかも、カプセルの成形性そのものが高く、原材料を比較的もれなくカプセル化できる。
例えば、本発明の方法において、歩留まり率(原料のうちカプセル化した原料の質量割合)は、20%以上(例えば、30%以上)、好ましくは40%以上(例えば、50%以上)、さらに好ましくは60%以上(例えば、70%以上)、特に80%以上(例えば、85%以上)であってもよい。
皮膜液及び内容液は、それぞれ、皮膜及び内包物の構成成分を含む液(液状成分)である。このような液は、加温(加熱)溶融により液状となっていてもよく、溶媒を含んでいてもよい。
例えば、皮膜液は、皮膜形成成分(寒天など)が溶媒(例えば、水、エタノールなどのアルコール、特に水)に溶解した溶液であってもよい。また、内容液は、内包物が液状成分である場合には、内包物そのものを内容液としてもよく、内包物が固体状(ゲル状など)である場合には、溶媒により内包物を液状にしてもよく、加熱溶融した内包物を内容液としてもよい。
皮膜液や内容液の粘度は、適宜選択できる。例えば、皮膜液の粘度は、例えば、50mPa・s以上(例えば、70~500mPa・s、好ましくは80~300mPa・s)であってもよい。また、内容液の粘度は、流動性を担保できる範囲であればよく、内包物の種類などに応じて適宜選択できる。
なお、その他の製造条件(皮膜液の温度、内容液の温度、冷却温度、冷却時間、乾燥温度、乾燥時間など)は、皮膜液や内包物の種類、皮膜の厚み、皮膜率などに応じて、適宜選択できる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
各種物性などは、以下のようにして測定又は評価した。
[皮膜の直径(カプセルの外径)、厚み、SD値、真球度]
ノギス(ミツトヨ製デジタルノギスCD-10CX)を使用して、カプセルの長径及び短径を測定した。
そして、直径(平均直径)は、長径と短径との相加平均として求めた。
また、真球度は、[短径/直径]×100(%)とした。
また、カプセルを縦横に切断し、同ノギスを用いて、最大厚みと最小厚みを測定した。カプセルの厚み(平均厚み)は、これらの相加平均とし、皮膜の最小厚みT1に対する最大厚みT2の割合T2/T1は、これらの厚みをもとに算出した。
なお、測定数はいずれも10(n=10)とし、これらの相加平均を各値とした。
SD値は、標準偏差である。
[歩留まり率]
使用した原料の量に対して、カプセル化できた量(乾燥に耐え、カプセルの形態を保持した量)の質量割合を歩留まり率とした。なお、カプセル化に至らなかった原料には、カプセルを全く形成しなかったものの他、乾燥中に割れたものを含む。
[成形可否]
シームレスカプセルの成形性を以下のように評価した。
◎:歩留まり率が80%以上でカプセル化できた。
〇:歩留まり率が50%以上80%未満でカプセル化できた。
△:歩留まり率が50%未満でカプセル化できた。
×:カプセル化できなかった。
[安定性試験]
カプセルを6号瓶に入れて中栓をし、ふたをしめた状態で、35℃で6ヶ月保存した。
保存後のカプセルについて以下の基準で評価した。
(カプセル変形)
〇:保存前の皮膜の直径をD2、保存後の皮膜の直径をD1とするとき、D1/D2の値が0.9~1.1(1又はほぼ1)。
×:D1/D2の値が0.9よりはるかに小さいか又は1.1よりはるかに大きい。
(カプセルの破損・漏れ)
目視にて、カプセルに破損・漏れの有無を確認した。
以下に示す各仕様(処方)で、前記図で説明したような液中滴下法(同心円状のノズルから流動性のある液体を一定間隔の振動を与えながら押し出し、カプセルを液中で冷却することでカプセルを成型する方法)により、シームレスカプセルの製造を試みた。
なお、液中滴下法は以下の表に示した条件で行い、皮膜液及び内容液は、以下のようにして調製した。
(皮膜液)
原料と適量の水を混合し、その後、所定の温度(65~90℃程度)で適宜撹拌をしながら2時間以上加温し、原料がすべて溶解していることを確認することで、調製した。なお、必要に応じて、真空ポンプを用いた吸引式脱泡又は遠心分離による脱泡を行った。
(内容液)
必要に応じて加温し、原料が均一になるように混合した。なお、充填時は、液状である必要があるため、ゲル又は流動性が悪い場合には、適宜加温し、流動性を出した。混合においては、必要に応じて、高速攪拌機及び/又は微粉砕機を使用した。
Figure 2023099632000001
Figure 2023099632000002
Figure 2023099632000003
Figure 2023099632000004
Figure 2023099632000005
Figure 2023099632000006
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Figure 2023099632000008
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Figure 2023099632000010
Figure 2023099632000011
Figure 2023099632000012
Figure 2023099632000013
結果を下記表に示す。
Figure 2023099632000014
Figure 2023099632000015
本発明では、比較的大きな粒径のシームレスカプセルを得ることができる。
1 内包物
2 皮膜層(皮膜)
3 シームレスカプセル
4 内側ノズル
5 外側ノズル
6 担体流
7 形成管
A 内包液の投入口
B 皮膜液の投入口

Claims (1)

  1. 本明細書に記載の発明。
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