JP2023098450A - コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を含有する香味劣化抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】飲食品の保存による香味劣化を抑制するための香味劣化抑制剤の提供。【解決手段】コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を含んでなる、飲食品の保存による香味劣化を抑制するための香味劣化抑制剤であって、該コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物が、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージの抽出処理または搾汁処理を含む製造方法によって製造されるものである、香味劣化抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を含有する香味劣化抑制剤に関する。
コーヒーは、アカネ科(Rubiaceae)コーヒーノキ属に属する低木の広葉樹である。コーヒー果実は、コーヒーの木につく楕円形の果実であり、つき初めは緑色で熟すと紅紫色である。品種によっては稀に黄色の果実をつけるものもある。コーヒー果実はコーヒーチェリーとも呼ばれる。コーヒーチェリー内には2粒の種子が向かい合う形で入っており、その2粒の種子の部分はコーヒー豆と呼ばれる。また、コーヒーチェリーは、外側から外皮、果肉、内果皮(パーチメント)、銀皮(シルバースキン)、種子(コーヒー豆)という構造になっている。
コーヒー飲料を得るための原料はコーヒー豆のみである。したがって、コーヒーチェリーからコーヒー豆を取り出す精製過程で多くの果肉および果皮が発生する。現状ではその利用方法がほとんどなく、廃棄されており、廃棄物問題、環境問題が深刻化している。
本発明者らは、コーヒーチェリーの果肉や果皮から得られるコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を飲食品に添加してその香味の保存劣化を調べたところ、該組成物が飲食品の保存による香味劣化を抑制する効果を有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、飲食品の保存による香味劣化を抑制するための香味劣化抑制剤および香味劣化抑制方法、ならびに該香味劣化抑制剤を含む飲食品を提供する。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を含んでなる、飲食品の保存による香味劣化を抑制するための香味劣化抑制剤であって、該コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物が、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージの抽出処理または搾汁処理を含む製造方法によって製造されるものである、香味劣化抑制剤。
(2) 前記製造方法がろ過助剤での処理をさらに含む、前記(1)に記載の香味劣化抑制剤。
(3) 前記製造方法が濃縮処理をさらに含む、前記(1)または(2)に記載の香味劣化抑制剤。
(4) 前記飲食品が、飲料である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の香味劣化抑制剤。
(5) 飲食品の保存による香味劣化を抑制する方法であって、前記(1)~(4)のいずれかに記載の香味劣化抑制剤を前記飲食品に添加することを含んでなる、方法。
(6) 前記飲食品が、飲料である、前記(5)に記載の方法。
(7) 前記(1)~(4)のいずれかに記載の香味劣化抑制剤を含んでなる、飲食品。
(8) 飲料である、前記(7)に記載の飲食品。
本発明によれば、飲食品の保存による香味劣化を抑制することができる。
発明の具体的説明
本明細書において「%」とは、特に記載のない限り「質量%」を意味する。また、本明細書において、「ppm」は「mg/L」と同義であり、「ppb」は「μg/L」と同義である。さらに、本発明の単位および測定方法は、特段の記載のない限りJISの規定に従う。
本発明の香味劣化抑制剤は、飲食品の保存による香味劣化を抑制するための香味劣化抑制剤であり、コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を含んでなるものである。このコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物は、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージの抽出処理または搾汁処理を含む製造方法によって製造されるものである。
コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物
本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法は、果肉、果皮および/またはミューシレージの抽出処理または搾汁処理を含む。
コーヒーチェリーは、外果皮(果皮)、果肉、ミューシレージ(粘質液)、種皮・パーチメント、および種子(コーヒー豆)から構成されている。このうち、本発明に用いられるのは、種子(コーヒー豆)を除くコーヒーチェリー部分であり、好ましくは果肉、果皮および/またはミューシレージである。これらのコーヒーチェリー部分は、生のままでも、冷凍したものでも、乾燥したものでもよく、経済的または工業的な見地からコーヒー豆の分離において後述の湿式または乾式処理において大量に副生する生の果肉および果皮を用いることもできる。
本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法は、抽出処理または搾汁処理に加えて、ろ過助剤処理、濃縮処理の各工程を含んでいてもよい。さらに、本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物は、乳酸菌および/または酵母により発酵させてもよく、従って、本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法は、乳酸菌発酵処理、酵母発酵処理の各工程を含んでいてもよい。本明細書において、乳酸菌および/または酵母による発酵工程を経たコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を「コーヒーチェリー果肉果皮発酵組成物」と呼ぶことがあり、また、発酵工程を経ていないコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を「非発酵コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物」と呼ぶことがある。本発明の一つの実施態様によれば、本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物は非発酵コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物とされる。また、本発明の他の実施態様によれば、本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物はコーヒーチェリー果肉果皮発酵組成物とされる。
以下、上記製造方法として、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージの抽出処理および/または搾汁処理を行い、得られた液体の乳酸菌発酵処理を行い、その後、乳酸菌発酵液の酵母発酵処理を行う場合を主に説明する。しかしながら、当業者であれば、上記の各処理の順序が変わってもコーヒーチェリー果肉果皮発酵組成物を製造できることを理解できる。
<コーヒーチェリー果肉果皮抽出液または搾汁液の製造工程>
本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法では、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージを抽出処理および/または搾汁処理に供することにより、抽出液または搾汁液を得ることができる。コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の製造工程としては、特に限定されるものではないが、コーヒー豆を分離除去した果肉、果皮および/またはミューシレージを溶媒と混合し、静置等することにより、果肉、果皮および/またはミューシレージ中の成分を抽出する工程が挙げられる。
また、本発明の別の実施態様によれば、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の製造工程としては、コーヒー豆を分離除去した果肉、果皮および/またはミューシレージを溶媒の非存在下で搾汁(例えば、圧搾による搾汁)する工程が挙げられる。したがって、以下の説明においては、本発明のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液は、果肉、果皮および/またはミューシレージの搾汁液も含む。
コーヒー豆の分離方法としては、特に限定されるものではないが、通常、乾式処理および湿式処理が挙げられる。乾式処理では、収穫後に、最初にコーヒーチェリーの含水量を約10~11重量%とする乾燥を行う。その後、脱皮マシンを用いて、コーヒー豆を被覆する材料(例えば、外皮、果肉、内果皮、および銀皮)から、コーヒー豆が分離される。一方の湿式処理はコーヒーチェリーの乾燥を必要としない。湿式処理方法においては、外皮および果肉は機械的に分離され、豆は発酵させて、豆の上に残存する果肉材料の層が除去される。発酵の後、コーヒー豆は、約12重量%の含水量となるように乾燥され、脱皮されて、内果皮が分離される。上記方法により、コーヒーチェリーの果肉、果皮およびミューシレージが得られる。
抽出時間は、果肉、果皮およびミューシレージの状態、例えば乾燥の程度、粒度等や、抽出温度等により異なり、特に限定されるものではないが、例えば、5分~24時間が挙げられ、好ましくは15分~6時間であり、好ましくは30分~2時間である。抽出における温度は、果肉、果皮およびミューシレージの状態、例えば乾燥の程度、粒度等や、抽出時間等により異なり、特に限定されるものではないが、例えば、20~90℃が挙げられ、好ましくは40~80℃であり、好ましくは50~70℃である。
抽出の際に用いる溶媒としては、特に限定されるものではないが、水、アルコール類、エーテル類、エステル類等の溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いることができ、好ましくは水が用いられる。
抽出の際の果肉、果皮およびミューシレージと上記溶媒との割合は特に限定されないが、実用的な便利さの点から、溶媒1L当り、例えば原料100~2000g、好ましくは300~1600g、さらに好ましくは600~1300gである。かかる抽出濃度として100g/L以上とすることにより、濃厚な抽出物が得ることができ、その後の濃縮の過程で多大なエネルギーや設備を必要としない点で有利である。一方、2000g/L以下とすることにより、抽出操作がより簡便となり抽出液の回収量も多くなる点で有利である。
抽出終了後に、果実および果皮とコーヒーチェリー果肉果皮抽出液とを分離することが好ましい。かかる分離方法は特に限定されないが、ジューサー、遠心分離機、フィルターを用いて分離することができ、ジューサーにより搾汁することが好ましい。
<コーヒーチェリー果肉果皮抽出液またはコーヒーチェリー果肉、果皮および/またはミューシレージを乳酸菌により発酵させる工程>
本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法は、乳酸菌発酵処理の工程を含んでもよい。以下、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を乳酸菌により発酵させる工程を説明するが、乳酸菌発酵処理としては、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージをそのまま乳酸菌により発酵させてもよい。
本発明の好ましい実施態様によれば、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を乳酸菌により発酵させる工程としては、特に限定されるものではないが、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液と乳酸菌とを混合し、該抽出液中で乳酸菌を培養することにより、乳酸菌による発酵を行う方法が挙げられる。
コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を乳酸菌により発酵させる工程は、上記で得られたコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を直接発酵することにより行ってもよいし、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程および/またはコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程の後に行ってもよい。
発酵に用いる乳酸菌としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ラクトコッカス属等またはそれらの組み合わせが挙げられ、好ましくはラクトバシラス属、オエノコッカス属、ラクトコッカス属またはその組み合わせである。ラクトバシラス属に属する乳酸菌としては、例えば、ラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス ガリナーラム(Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、およびラクトバチルス ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)等が挙げられ、好ましくはラクトバシラス プランタラムであり、さらに好ましくはラクトバシラス プランタラム Viniflora株(Nova社)およびラクトバシラス プランタラム 030701株(THT社)である。オエノコッカス属に属する乳酸菌としては、好ましくはオエノコッカス オエニ(Oenococcus oeni)が挙げられ、さらに好ましくはオエノコッカス オエニ PN4株またはオエノコッカス オエニ CH11株である。ペディオコッカス属に属する乳酸菌としては、例えば、ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentsaceus)等が挙げられる。ラクトコッカス属に属する乳酸菌としては、例えば、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス ラクティス サブスピーシズ ラクティス(Lactococcus lactis subsp.lactis)、ラクトコッカス ガルビエアエ(Lactococcus garvieae)、ラクトコッカス ラクティス サブスピーシズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)およびラクトコッカス ラクティス サブスピーシズ ホールドニアエ(Lactococcus lactis subsp.hordniae)が挙げられ、好ましくはラクトコッカス ラクティスである。これらの乳酸菌は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。好ましい乳酸菌の組み合わせとしては、例えば、ラクトバシラス プランタラムおよびオエノコッカス オエニの組み合わせが挙げられ、特に、ラクトバシラス プランタラム 030701株(THT社)およびCO-INOCULANT BACTERIA(Oenobrands社)(ラクトバシラス プランタラムおよびオエノコッカス オエニ)の組み合わせが挙げられる。
乳酸菌の添加量としては、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液に対し、例えば、0.00001~1w/v%となるような添加量が挙げられ、好ましくは0.0004~1w/v%、より好ましくは0.001~1w/v%、より好ましくは0.001~0.1w/v%となるような添加量である。
なお、乳酸菌が乾燥したものである場合は、適した方法にそって復水を行うことができる。
乳酸菌の発酵条件については、発酵が実施され得る条件であれば特に限定されず、必要に応じて発酵に適した条件(例えば、使用する乳酸菌の種類またはその菌量(初期菌量)、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の量(濃度)、温度、pH、酸素または二酸化炭素濃度、発酵時間等)を適宜設定することができる。発酵温度としては、例えば、10~40℃が挙げられ、好ましくは20~30℃である。また、発酵時間としては、特に限定されないが、用いられるコーヒーチェリー果肉果皮抽出液の質によって、あるいは、乳酸菌の種類または量によって、適宜、選択すればよい。また、抽出液の枯渇を目安に、発酵工程を終了してもよい。ここで、発酵時間としては、例えば、1~10日間が挙げられ、好ましくは2~8日間である。
また、本発明における乳酸菌発酵工程においては、上記の発酵条件(例えば、使用する乳酸菌の種類やその菌量(初期菌量)、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の量(濃度)、温度、pH、酸素または二酸化炭素濃度、発酵時間等)を自動および/または手動で制御可能な設備・装置(例えば、恒温槽、タンク、貯蔵庫等)にて発酵工程を行うこともできる。
<コーヒーチェリー果肉果皮抽出液またはコーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージを酵母により発酵させる工程>
本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法は、酵母発酵処理をさらに含んでもよい。以下、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を酵母により発酵させる工程を説明するが、酵母発酵処理としては、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージをそのまま酵母により発酵させてもよい。
本発明の好ましい実施態様によれば、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を酵母により発酵させる工程としては、特に限定されるものではないが、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液と酵母とを混合し、該抽出液中で酵母を培養することにより、酵母による発酵を行う方法が挙げられる。
コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を酵母により発酵させる工程は、乳酸菌による発酵工程の後が好ましい。かかる場合には、酵母による発酵が行われるコーヒーチェリー果肉果皮抽出液は、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の乳酸菌発酵液である。
発酵に用いる酵母としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、サッカロマイセス属(Saccharomyces)酵母、クロイベロマイセス属(Kluyveromyces)酵母、トルラスポラ属(Torulaspora)酵母を単独または組み合わせて使用してもよい。好ましい酵母は、サッカロマイセス属酵母である。サッカロマイセス属に属する酵母としては、好ましくはサッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が挙げられ、さらに好ましくはサッカロマイセス セレビシエ VIN13株、サッカロマイセス セレビシエ S-04株、サッカロマイセス セレビシエ w-34/70株、またはサッカロマイセス セレビシエ スーパーカメリア株であり、さらに好ましくはサッカロマイセス セレビシエ VIN13株、サッカロマイセス セレビシエ S-04株、またはサッカロマイセス セレビシエ w-34/70株であり、さらに好ましくはサッカロマイセス セレビシエ VIN13株、またはサッカロマイセス セレビシエ S-04株である。クロイベロマイセス属酵母としては、例えば、クロイベロマイセス・サーモトラレンス(Kluyveromyces thermotolerans)等が挙げられる。トルラスポラ属酵母としては、例えば、トルラスポラ・デルブレキ(Torulaspora delbrueckii)等が挙げられる。
酵母の添加量としては、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液に対し、例えば、0.00001~1w/v%となるような添加量が挙げられ、好ましくは、0.001~0.1w/v%となるような添加量である。
なお、酵母が乾燥したものである場合は、適した方法にそって復水を行うことができる。
酵母の発酵条件については、発酵が実施され得る条件であれば特に限定されず、必要に応じて発酵に適した条件(例えば、使用する酵母の種類やその菌量(初期菌量)、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の量(濃度)、該抽出液の発酵の有無、温度、pH、酸素または二酸化炭素濃度、発酵時間等)を適宜設定することができる。発酵温度としては、例えば、5~35℃が挙げられ、好ましくは15~25℃である。また、発酵時間としては、特に限定されないが、用いられるコーヒーチェリー果肉果皮抽出液の質(例えば、発酵の有無)によって、あるいは、酵母の種類や量によって、適宜、選択すればよい。また、抽出液の枯渇を目安に、発酵工程を終了してもよい。ここで、発酵時間としては、例えば、1~10日間が挙げられ、好ましくは2~8日間である。
また、本発明における酵母発酵工程においては、上記の発酵条件(例えば、使用する酵母の種類やその菌量(初期菌量)、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の量(濃度)、温度、pH、酸素または二酸化炭素濃度、発酵時間等)を自動および/または手動で制御可能な設備・装置(例えば、恒温槽、タンク、貯蔵庫等)にて発酵工程を行うこともできる。
<コーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程>
本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法は、ろ過助剤での処理をさらに含んでもよい。以下、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程を説明するが、ろ過助剤での処理としては、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理してもよい。
コーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程としては、特に限定されるものではないが、例えば、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液とろ過助剤とを攪拌等により混合する工程であって、かかる工程によりコーヒーチェリー果肉果皮抽出液中のポリフェノール等の成分を低減できる点で有利である。
コーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程は、発酵工程の前に行うことが好ましい。
ろ過助剤は、当業者であれば目的に応じて適宜選択できる。かかるろ過助剤としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、ポリフェノール等の成分を低減できるものが好ましく、具体的には、ポリビニルポリピロリドン(Polyvinylpolypyrrolidone;PVPP)、ケイ藻土等が挙げられ、ポリフェノールの除去の観点から、より好ましくはPVPPである。
ろ過助剤での処理条件については、当業者であれば目的に応じた条件を適宜設定できる。かかる条件としては、特に限定されないが、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液中のポリフェノール等の成分を低減し得る条件が好ましく、必要に応じて処理に適した条件(例えば、使用するろ過助剤の種類やその量、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の量(濃度)、温度、pH、処理時間等)を適宜設定することができる。ろ過助剤の量としては、例えば、0.1~10w/v%が挙げられ、好ましくは0.5~5w/v%である。処理時間としては、例えば、10分~5時間が挙げられ、好ましくは30分~2時間である。
ろ過助剤での処理後にろ過助剤に吸着した成分をろ過助剤と共に除去することが好ましい。かかる除去方法としては、例えば、遠心分離、ろ過等が挙げられる。
<コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程>
本発明のコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法は、濃縮処理をさらに含んでもよい。以下、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程を説明するが、濃縮処理としては、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮処理してもよい。
コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程としては、特に限定されるものではないが、膜濃縮(例えば、限外ろ過、逆浸透法)、蒸発濃縮(例えば、減圧濃縮、真空濃縮)、遠心濃縮、冷却濃縮等の公知の方法が挙げられ、好ましくは、蒸発濃縮である。液量(質量)が例えば1/2~1/10、好ましくは、1/4~1/6になるように濃縮することができる。
コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程はコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を乳酸菌により発酵させる工程の前に行うことが好ましい。かかる濃縮工程は、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程の前、後のいずれでもよいが、濃縮工程負荷の観点から、ろ過助剤での処理工程の後が好ましい。
本発明の好ましい実施態様によれば、コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法において、各工程が以下の順序で行われる:
(1)コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を製造する工程;
(2)所望により、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程;
(3)所望により、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程;
(4)所望により、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を乳酸菌により発酵させる工程;
(5)所望により、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の乳酸菌発酵液を酵母により発酵させる工程。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法において、各工程が以下の順序で行われる:
(1)所望により、コーヒーチェリーの果肉および果皮を乳酸菌により発酵させる工程;
(2)発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮の抽出液を製造する工程;
(3)所望により、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程;
(4)所望により、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程;
(5)所望により、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を酵母により発酵させる工程。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法において、各工程が以下の順序で行われる:
(1)所望により、コーヒーチェリーの果肉および果皮を乳酸菌により発酵させる工程;
(2)所望により、乳酸菌発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮を酵母により発酵させる工程;
(3)発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を製造する工程;
(4)所望により、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程;
(5)所望により、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の製造方法において、各工程が以下の順序で行われる:
(1)所望により、コーヒーチェリーの果肉および果皮を酵母により発酵させる工程;
(2)所望により、発酵後のコーヒーチェリーの果肉および果皮を乳酸菌により発酵させる工程;
(3)発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を製造する工程;
(4)所望により、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液をろ過助剤で処理する工程;
(5)所望により、発酵後のコーヒーチェリー果肉果皮抽出液を濃縮する工程。
本発明の香味劣化抑制剤を含む飲食品
本発明の飲食品は、本発明の香味劣化抑制剤を含有する。本発明の香味劣化抑制剤を含有することにより、本発明の飲食品は、その保存による香味劣化が抑制される。
飲食品中の本発明の組成物の含有量は特に限定されないが、例えば、飲食品中に固形含量として0.0005~100質量%とすることができ、好ましくは0.0005~10質量%であり、より好ましくは0.0005~5質量%であり、さらに好ましくは0.0005~2質量%である。
飲食品の保存による香味劣化を抑制する方法
本発明の他の態様によれば、飲食品の保存による香味劣化を抑制する方法が提供され、該方法は、本発明の香味劣化抑制剤を前記飲食品に添加することを含んでなる。
飲食品への本発明の組成物の添加量は特に限定されないが、例えば、飲食品中に固形含量として0.0005~100質量%とすることができ、好ましくは0.0005~10質量%であり、より好ましくは0.0005~5質量%であり、さらに好ましくは0.0005~2質量%である。
本発明の対象となる飲食品としては、例えば、アルコール飲料、非アルコール飲料等の飲料;飯類、麺類、パン類およびパスタ類等炭水化物含有飲食品;クッキーやケーキ等の洋菓子類、饅頭や羊羹等の和菓子類、キャンディー類、ガム類、ヨーグルトやプリン等の冷菓や氷菓等の各種菓子類、卵を用いた加工品、魚介類(イカ、タコ、貝、ウナギ等)や畜肉(レバー等の臓物を含む)の加工品(珍味を含む)が挙げられる。上述のアルコール飲料としては、具体的には、ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、ノンアルコール酎ハイ、ノンアルコールワイン、発泡酒、その他雑酒、酎ハイ等が挙げられる。上述の非アルコール飲料としては、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、サイダー、ラムネ飲料、コーラ飲料等の炭酸飲料、清涼飲料水、牛乳、豆乳、オーツミルク、アーモンドミルク、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、ドリンクタイプのゼリー、コーヒー、ココア、茶飲料、栄養ドリンク、スポーツ飲料、ミネラルウォーター、ビールテイスト飲料、アルコールテイスト飲料等が挙げられる。本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の飲食品は飲料とされ、より好ましくは抽出系飲料であり、さらに好ましくはコーヒー(乳入りまたは乳なし)、紅茶(乳入りまたは乳なし)、緑茶またはウーロン茶とされる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物の飲食品の保存による香味劣化に対する影響
コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物サンプルの調製
サンプルの調製における各工程は、以下のように行った。
(1)コーヒーチェリー果肉果皮抽出液の調製
(i)ミューシレージ果肉果皮エキス
コーヒー豆(コーヒー種子)を取り除いた後の果肉果皮(アラビカ種、コロンビア産)をミューシレージと一緒に圧搾・濃縮し、Bx60以上のミューシレージ果肉果皮エキスを得た。
(ii)冷凍果肉果皮抽出液
コーヒー豆(コーヒー種子)を取り除いた後のコーヒーチェリー(アラビカ種、沖縄産)の果皮および果肉1500gに2250mLの水を加え、所定の温度で1時間静置した。その後、ジューサーで搾汁して抽出液と果実を分離し、冷凍果肉果皮抽出液を得た。ここで、果皮および果肉としては、外皮および果肉のみを用いた。また、果皮および果肉の代わりにミューシレージを用いたサンプルも用意した。また、抽出を行わないサンプルも用意した。抽出を行わないサンプルについては、所定の温度において1時間静置する工程を行わなかった。
(iii)乾燥果肉果皮抽出液
コーヒー豆(コーヒー種子)を取り除いた後の果肉果皮(アラビカ種、ニカラグア産)を乾燥したカスカラ600gに3600mLの水を加え、所定の温度で1時間静置した。その後、ジューサーで搾汁して抽出液と果実を分離し、コーヒーチェリー果肉果皮抽出液を得た。
(2)PVPP(ろ過助剤)処理
(1)で得られた液にポリビニルポリピロリドン(PVPP)(PVPP顆粒、羽島顆粒工業(株)製)を1w/v%添加し、1時間スターラーにて撹拌した。その後、遠心分離機を用いて、5000rpmで10分遠心して、上清のみを別の容器に移した。
(3)濃縮処理
上記(1)(ii)または(2)で得られた液の上清600gを、エバポレーターを用いて70℃で減圧下にて濃縮側が400gになるまで濃縮した。
(4)乳酸菌発酵
蒸留水に懸濁した10w/v%乳酸菌液を、所定の乳酸菌量となるように上記(1)~(3)のいずれかで得られた液に添加し、25℃で5日間インキュベートし、乳酸菌発酵液を得た。乳酸菌としては、オエノコッカス オエニ(Oenococcus oeni) PN4株(THT社)、オエノコッカス オエニ(Oenococcus oeni) CH11株、ラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum) Viniflora株(Nova社)、ラクトバシラス プランタラム 030701株(THT社)、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)のいずれかを用いた。また、これらとCO-INOCULANT BACTERIA(Oenococcus oeni/Lactobacillus plantarum blend)(Oenobrands社)の組み合わせも用いた。
(5)酵母発酵
蒸留水に懸濁した10w/v%酵母液を、所定の酵母量となるように上記(4)で得られた液に添加し、20℃で3日間インキュベートし、乳酸菌・酵母発酵液を得た。酵母としては、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) VIN13株(ワイン酵母。Oenobrands社)、サッカロマイセス セレビシエ S-04株(ビール上面酵母。brewland)、サッカロマイセス セレビシエ w-34/70株(ビール下面酵母。brewland)、サッカロマイセス セレビシエ スーパーカメリア株(パン酵母。日清フーズ)のいずれかを用いた。
以下の表に示す「ミューシレージ果肉果皮エキス」は、果肉、果皮およびミューシレージを用いて上記(1)の処理を行ったコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物(非発酵コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物)である。「ミューシレージ果肉果皮エキスを乳酸菌酵母発酵したエキス」は、ミューシレージ果肉果皮エキスに対して上記(4)および(5)の処理を行って得られたコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物(コーヒーチェリー果肉果皮発酵組成物)である。「冷凍果肉果皮抽出液」は、冷凍されていた果肉および果皮のみを用いて上記(1)から(3)までの処理を行ったコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物(非発酵コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物)である。「乾燥果肉果皮抽出液」は、乾燥された果肉および果皮のみを用いて上記(1)および(2)までの処理を行ったコーヒーチェリー果肉果皮液体組成物(非発酵コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物)である。
Brix値およびタンニン値の測定
各試飲サンプルにおけるBrix値(Bx)を測定した。Brixは可溶性固形分濃度であり、値は屈折率計の表示に従う。Brix値(Bx)は、ATAGO社製のデジタル屈折計RX-5000αを使用して測定した。本発明において、「タンニン含有量」(タンニン値)は、茶類のポリフェノール量を評価する際の基準である日本食品分析センター編「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月、p.252)に記載の公定法(酒石酸鉄吸光度法)を用いて測定した。この測定方法においては、液中のポリフェノールと、酒石酸鉄試薬とを反応させて生じた紫色成分について、吸光度(540nm)を測定することにより、没食子酸エチルを標準物質として作成した検量線を用いて定量を行い、得られた定量値に1.5倍したものをタンニン含有量とした。また、乳入り紅茶飲料におけるタンニン含有量(タンニン値)は、乳入り紅茶飲料の製造の過程において、牛乳の添加前に測定した値である。
官能評価
各試験区のコーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物サンプルを所定の濃度で添加した試飲サンプルの香味の官能評価を、サンプルの製造直後、60℃で2週間保存した後、および60℃で4週間保存した後の3つの時点で行った。
評価基準は、以下の通りとした:
5点:製造直後と同等の香味;
4点:製造直後と比較するとやや香味劣化があるが許容範囲;
3点:製造直後と比較すると香味劣化があるが許容範囲;
2点:比較なしに香味劣化があり、許容範囲外;
1点:著しく香味劣化があり、許容範囲外。
官能評価は、訓練されたパネル3名によって行い、1点~5点の評価点を用いて0.5点刻みで行った。この官能評価にあたっては、各サンプルの製造直後の評価を5点とし、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物サンプルを添加していない比較区の60℃で4週間保存した後の評価を3点に固定した。また、評価にあたっては、各パネルの評価を比較し、評価基準に大きな乖離が生じないように確認した。
結果
結果を以下の表に示す。
Figure 2023098450000001
Figure 2023098450000002
Figure 2023098450000003
Figure 2023098450000004
Figure 2023098450000005
官能評価結果は、全パネルの評価点の平均値を示す。全てのサンプルについて、評価点の標準偏差が0.25以内であることを確認した。
表1における試験区と比較区との比較により、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物が、コーヒーの保存による香味劣化を抑制することが分かった。また、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物は、その製造過程に乳酸菌発酵処理および酵母発酵処理を含むか否かにかかわらず、コーヒーの保存による香味劣化の抑制効果を示すことが分かった。さらに、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物は、コーヒー抽出時のコーヒー豆の使用量(コーヒー固形(%)を参照)の多少にかかわらず、コーヒーの保存による香味劣化の抑制効果を示すことが分かった。さらに、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物は、乳入りコーヒーにおいても、コーヒーの保存による香味劣化の抑制効果を示すことが分かった(試験区10および11ならびに比較区5および6)。さらに、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物は、香料入りのコーヒーにおいても、コーヒーの保存による香味劣化の抑制効果を示すことが分かった(試験区9)。
次に、表2における試験区と比較区との比較により、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物は、紅茶の保存による香味劣化を抑制することが分かった。また、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物は、牛乳や香料を含有する紅茶においても、紅茶の保存による香味劣化の抑制効果を示すことが分かった。
さらに、表3における試験区と比較区との比較により、コーヒーチェリー果肉果皮抽出組成物は、緑茶やウーロン茶においても、保存による香味劣化を抑制することが分かった。
なお、試験区12および13は、乳酸菌としてラクトバシラス プランタラム 030701株(THT社)、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)、CO-INOCULANT BACTERIA(Oenococcus oeni/Lactobacillus plantarum blend)(Oenobrands社)を用い、酵母としてサッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) VIN13株(ワイン酵母。Oenobrands社)を用いて得られたコーヒーチェリー果肉果皮発酵組成物の試験であるが、上述の他の乳酸菌および他の酵母を用いて得られたコーヒーチェリー果肉果皮発酵組成物についても、同様の効果が得られることを確認した。

Claims (8)

  1. コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物を含んでなる、飲食品の保存による香味劣化を抑制するための香味劣化抑制剤であって、該コーヒーチェリー果肉果皮液体組成物が、コーヒーチェリーの果肉、果皮および/またはミューシレージの抽出処理または搾汁処理を含む製造方法によって製造されるものである、香味劣化抑制剤。
  2. 前記製造方法がろ過助剤での処理をさらに含む、請求項1に記載の香味劣化抑制剤。
  3. 前記製造方法が濃縮処理をさらに含む、請求項1または2に記載の香味劣化抑制剤。
  4. 前記飲食品が、飲料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の香味劣化抑制剤。
  5. 飲食品の保存による香味劣化を抑制する方法であって、請求項1~4のいずれか一項に記載の香味劣化抑制剤を前記飲食品に添加することを含んでなる、方法。
  6. 前記飲食品が、飲料である、請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1~4のいずれか一項に記載の香味劣化抑制剤を含んでなる、飲食品。
  8. 飲料である、請求項7に記載の飲食品。
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