JP2023095497A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023095497000001
【課題】腰周りの肌トラブルが起こりにくい吸収性物品を提供すること。
【解決手段】おむつ1が備える表面シート3は、非肌対向面側が肌対向面側に比べて親水度が高い。おむつ1は、高吸収速度領域11と、該高吸収速度領域11に比べて体液吸収速度が相対的に遅い低吸収速度領域12とを有し、該高吸収速度領域11を挟んで縦方向Xの両側に低吸収速度領域12が位置している。高吸収速度領域11と低吸収速度領域12との境界は、脚周り弾性部材8における縦方向Xに伸縮可能に配された部分と縦方向Xにおいて重なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、尿等の排泄物を吸収保持するのに使用可能な吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、典型的には、体液を吸収保持する吸収体と、該吸収体よりも着用者の肌から近い側に配された親水性の表面シートと、該吸収体よりも着用者の肌から遠い側に配された疎水性の裏面シートとを備える。特許文献1には、斯かる構成の使い捨ておむつにおいて、表面シートと裏面シートの縦方向端部どうしを、横方向に連続する帯状の疎水性接着剤層によって接合することが記載されている。特許文献1に記載のおむつによれば、前記疎水性接着剤層により、おむつの縦方向端部からの排泄物の漏れ出しが防止されるとされている。なお、ここでいう縦方向は、吸収性物品の着用者の前後方向に対応する方向であり、横方向は、該縦方向に直交する方向である。
実開昭60-306号公報
吸収性物品を比較的長時間着用すると、該吸収性物品で覆われた着用者の肌がその周辺に存在する水分によって水和し、湿疹、あせも、かぶれ等の肌トラブルが発生することが懸念される。特に、吸収性物品のウエスト端部は、弾性部材が配される等して伸縮性が付与されることで肌との密着性が高められている場合が多く、そのため、該ウエスト端部が配される着用者の腰周りの肌は肌トラブルが比較的発生しやすい。吸収性物品の基本性能である排泄物吸収性、防漏性に優れ、且つ腰周りの肌トラブルが抑制された吸収性物品は未だ提供されていない。
したがって本発明の課題は、腰周りの肌トラブルが起こりにくい吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、体液を吸収保持する吸収性コアを含む吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体の該縦方向に沿う両側縁それぞれから該横方向の外方に延出する一対のサイドフラップ部とを備え、該サイドフラップ部における着用者の脚周りに配される部位に脚周り弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配された吸収性物品である。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記表面シートは、非肌対向面側が肌対向面側に比べて親水度が高い。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記吸収性物品は、高吸収速度領域と、該高吸収速度領域に比べて体液吸収速度が相対的に遅い低吸収速度領域とを有し、該高吸収速度領域を挟んで前記縦方向の両側に該低吸収速度領域が位置している。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記高吸収速度領域と前記低吸収速度領域との境界は、前記脚周り弾性部材における前記縦方向に伸縮可能に配された部分と該縦方向において重なっている。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
本発明によれば、腰周りの肌トラブルが起こりにくい吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつの展開且つ最大伸長状態における肌対向面側(表面シート側)を模式的に示す展開平面図である。 図2は、図1のI-I線断面(股下部の厚み方向に沿う横断面)を模式的に示す横断面図である。 図3(a)及び図3(b)は、それぞれ、本発明に係る吸収性コアの一実施形態の肌対向面側を模式的に示す平面図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1及び図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」とも言う。)が示されている。おむつ1は、着用者の前後方向、すなわち腹側から股間部を介して背側に延びる方向に対応する縦方向Xと、縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。またおむつ1は、着用者の股間部に配され、陰茎等の排泄部に対向する排泄部対向部(図示せず)を含む股下部Mと、股下部Mよりも着用者の腹側(前側)に配される腹側部Fと、股下部Mよりも着用者の背側(後側)に配される背側部Rとを有する。
本実施形態では、おむつ1は、展開且つ最大伸長状態において、横中心線CLyを挟んで一方側と他方側とで対称に形成されている。
腹側部Fは、おむつ1の前身頃の一部であり、背側部Rは、おむつ1の後身頃の一部である。股下部Mは、縦中心線CLxを縦方向Xに跨いでおり、おむつ1の前身頃及び後身頃の双方にわたって存在している。
本発明において、腹側部F、股下部M及び背側部Rは、展開且つ最大伸長状態のおむつ1を縦方向Xに三等分した場合の各領域であり得る。
横中心線CLyは、展開且つ最大伸長状態のおむつ1を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線である。また、縦中心線CLxは、展開且つ最大伸長状態のおむつ1を縦方向Xに二等分して横方向Yに延びる仮想直線である。
本明細書において、「展開且つ最大伸長状態」とは、当該物体(吸収性物品等)を平面状に拡げて展開状態とし、その展開状態の当該物体の各部の弾性部材を最大伸長させて、設計寸法、すなわち弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に拡げたときの寸法まで拡げた状態をいう。当該物体がサイドシール部を有する吸収性物品の場合は、該吸収性物品をサイドシール部で切り離して平面状に拡げて前記展開状態とする。
おむつ1は、尿等の体液を吸収保持する吸収性コア50を含む吸収体5と、吸収体5の肌対向面側に配された表面シート3と、吸収体5の縦方向Xに沿う両側縁5S,5Sそれぞれから横方向Yの外方に延出する一対のサイドフラップ部20,20とを備え、サイドフラップ部20における着用者の脚周りに配される部位に、脚周り弾性部材8が縦方向Xに伸縮可能に配されている。
本実施形態のおむつ1はいわゆる展開型の使い捨ておむつであり、図1に示すように、おむつ1の背側部Rの縦方向Xに沿う両側縁部に、止着部(図示せず)を有する止着部材21を備えるとともに、おむつ1の腹側部Fの非肌対向面を形成するシート(本実施形態では外装シート6)の非肌対向面に、該止着部が止着可能な止着領域(図示せず)を備える。
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
本実施形態では、おむつ1は吸収性本体2を備える。吸収性本体2は、表面シート3及び吸収体5を含んで構成されている。吸収性本体2は更に、図2に示すように、表面シート3と吸収体5との間に配された中間シート10と、吸収体5の非肌対向面側に配された裏面シート4と、裏面シート4の非肌対向面側に配された外装シート6とを含む。吸収性本体2(吸収体5)は、腹側部Fから背側部Rにわたって縦方向Xに延在し、その長手方向が縦方向Xに一致している。表面シート3は、後述するカフ用シート70とともにおむつ1の肌対向面(内面)を形成し、外装シート6は、おむつ1の非肌対向面(外面)を形成する。吸収性本体2の各構成部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
吸収性本体2の構成部材としては、当該部材について後で説明がある場合はその説明が適用され得ることを前提として、この種の吸収性物品において通常使用されているものを特に制限なく用いることができる。
表面シート3としては、液透過性を有する各種のシートを用いることができ、例えば、不織布、織布、紙が挙げられる。表面シート3は典型的には親水性である。
裏面シート4としては、防漏性を有するシート、具体的には液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂製フィルム、該樹脂製フィルムと不織布との積層体が挙げられる。裏面シート4は典型的には疎水性である。
吸収体5は、図2に示すように、吸水性材料を主体とする吸収性コア50と、吸収性コア50の外面(肌対向面及び非肌対向面)を被覆するコアラップシート51とを含む。前記吸水性材料としては、典型的には、木材パルプ等の繊維材料及び吸水性ポリマーから選択される1種以上が用いられる。吸収性コア50は、例えば、繊維材料の集合体を主体とし、該集合体に必要に応じ吸水性ポリマー粒子を担持させた積繊タイプでもよく、繊維シートの内部又は表面に吸水性ポリマー粒子が固定されたシートタイプでもよい。前記シートタイプは、前記積繊タイプに比べて、厚みが薄く柔軟である。コアラップシート51は液透過性を有し、典型的には、紙、不織布等からなる。吸収体5は、コアラップシート51を含まず、吸収性コア50のみから構成されていてもよい。
外装シート6としては、肌触りの良いものが好ましく、その観点から各種不織布が好ましく用いられる。なお本発明の吸収性物品は、外装シート6を備えていなくてもよい。
中間シート10は、本技術分野でサブレイヤなどとも呼ばれる部材であり、表面シート3から吸収体5への液の透過性の向上、液戻り(吸収体5に吸収された排泄物が表面シート3の肌対向面側に移動する現象)の防止などの役割を担う。
本実施形態では、中間シート10は、腹側部Fから股下部Mを介して背側部Rにわたって縦方向Xに延在し、且つ図2に示すように、吸収体5の肌対向面の略全域を被覆し、吸収体5の周縁から外方には延出していない。
中間シート10は単層構造でも積層構造でもよい。中間シート10としては、親水性且つ液透過性のシートを用いることができ、例えば、紙、織布、不織布、及びこれらの2種以上を含む複合シートが挙げられる。特に不織布は、実用上十分な強度を有し且つ柔軟性に優れるため、中間シート10として好ましい。中間シート10の素材である不織布としては、各種製法による不織布を用いることができ、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、レジンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布が挙げられる。中間シート10の坪量は、好ましくは20g/m以上、より好ましくは30g/m以上、そして、好ましくは60g/m以下、より好ましくは50g/m以下である。
本実施形態では、表面シート3は、図2に示すように、着用者の肌から相対的に近い側に配された第1層31と、第1層31の非肌対向面に重ねて配された第2層32とを含む。第1層31は、表面シート3の肌対向面を形成し、第2層32は、表面シート3の非肌対向面を形成する。
本実施形態では、表面シート3は、肌対向面に凹凸形状を有している。具体的には図2に示すように、第1層31の肌対向面には、着用者の肌に向かって突出した複数の凸部33が散在しており、これにより表面シート3の肌対向面には、各凸部33とその周辺に位置する凹部(非凸部)とからなる凹凸形状が形成されている。表面シート3の非肌対向面を形成する第2層32は、実質的に凹凸形状を有しておらず平坦である。
表面シート3が肌対向面に凹凸形状を有していると、表面シート3の肌触り、クッション性、表面ドライ感が向上するため、おむつ1の着用感の向上が期待できる。
より具体的には、本実施形態では、表面シート3は、第1層31と第2層32との接合部を複数有し、第1層31における該接合部以外の部分が、第2層32側とは反対側に突出して凸部33を形成している。凸部33は、内部に表面シート3の構成繊維が充填された中実構造でもよく、内部に該構成繊維が充填されていない中空構造でもよい。前記接合部における第1層31と第2層32との接合手段は特に制限されず、接着剤、融着等の公知の接合手段であり得る。第1層31と第2層32との融着は、例えば、両層31,32を重ねた状態で厚み方向に加圧しつつ、両層31,32に加熱処理、超音波処理等の形成材料溶融処理を施すことによって行うことができる。
表面シート3の好ましい一実施形態として、第1層31及び第2層32がそれぞれ不織布を含み、且つ両層31,32どうしの接合部が融着部である形態が挙げられる。両層31,32を構成する不織布としては、各種製法による不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)不織布が挙げられる。
なお、第1層31は肌対向面に凹凸形状を有していなくてもよい。本発明には、表面シートの肌対向面及び非肌対向面の双方が、実質的に凸部を有しない平坦面である形態が包含される。
表面シート3は、非肌対向面側が肌対向面側に比べて親水度が高い。ここで言う「表面シートの肌対向面側」及び「表面シートの非肌対向面側」の意味は、当該表面シートが単層構造の場合と積層構造の場合とで異なる。すなわち、単層構造の表面シートの場合、「表面シートの肌対向面側」とは、当該表面シートを厚み方向に二等分した場合の肌対向面を含む側(着用者の肌から相対的に近い側)を指し、「表面シートの非肌対向面側」とは、その反対側(着用者の肌から相対的に遠い側)を指す。一方、積層構造の表面シートの場合、「表面シートの肌対向面側」とは、該積層構造における肌対向面側の最表層(本実施形態では第1層31)を指し、「表面シートの非肌対向面側」とは、該積層構造における非肌対向面側の最表層(本実施形態では第2層32)を指す。
本発明において「親水度」とは、下記方法により測定されるシート(繊維層)の構成繊維の接触角を指標とするもので、該接触角に基づき判断される。具体的には、親水度が高いことは接触角が小さいことと同義であり、親水度が低いことは接触角が大きいことと同義である。したがって、非肌対向面側が肌対向面側に比べて親水度が高い表面シート3においては、「肌対向面側(第1層31)の接触角>非肌対向面側(第2層32)の接触角」の関係が成立する。本明細書における「接触角」は、特に断らない限り、下記方法により測定される接触角を指す。本明細書では、接触角が90度以下であれば当該シートは親水性、接触角が90度超であれば当該シートは疎水性である。
<接触角の測定方法>
測定対象のシートから繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。繊維を取り出す際はハサミとピンセットを用い、また、測定対象のシートにおける繊維の取り出し部位は、該シートの両面(両表層部)及びそれらに挟まれた部分(厚み方向の中央部)とする。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA-Jを用いる。接触角の測定には脱イオン水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC-25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、測定方法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。測定対象のシートから取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を、当該繊維の水との接触角と定義する。測定環境は、室温22±2℃、湿度65±2%RHとする。斯かる接触角の値が小さいほど、親水性が高いことを意味する。
なお、吸収性物品において測定対象のシートが他の部材と接着剤、融着などによって接合されている場合には、その接合部を、繊維の接触角に影響を与えない範囲で、コールドスプレーの冷風を吹き付ける等の方法で接着力を除去してから取り出す。この測定対象の使い捨ておむつからの取り出し方法は、他の測定でも利用できる。
表面シート3の坪量は特に制限されないが、本発明の所定の効果を一層確実に奏させるようにする観点から、第1層31及び第2層32の坪量は、それぞれ、好ましくは10g/m以上、より好ましくは12g/m以上、そして、好ましくは30g/m以下、より好ましくは25g/m以下である。第1層31と第2層32とは互いに坪量が同じでもよく、異なっていてもよい。表面シート3が単層構造の場合は、好ましくは5g/m以上、より好ましくは10g/m以上、そして、好ましくは45g/m以下、より好ましくは40g/m以下である。
本実施形態では、おむつ1は、表面シート3の縦方向Xに沿う両側部を被覆するように配された縦方向Xに延びる一対の防漏カフ7,7を備える。防漏カフ7は、該防漏カフ7の主体をなす疎水性のカフ用シート70を含む。防漏カフ7(カフ用シート70)は、図1に示すように、おむつ1の縦方向Xの全長にわたって縦方向Xに連続している。おむつ1の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部は、それぞれ、カフ用シート70によって形成されている。カフ用シート70としては、この種の吸収性物品における防漏カフの素材として使用可能なものを特に制限なく用いることができ、例えば、裏面シート4として使用可能なものを用いることができる。
カフ用シート70は、図2に示すように、少なくとも股下部Mに、横方向Yの外方側が他の部材(本実施形態では表面シート3及び裏面シート4)に固定された固定部71、横方向Yの内方側が他の部材に非固定の自由部72となっている領域(以下、「起立領域」とも言う。)を有している。カフ用シート70の自由部72は、固定部71における横方向Yの最内方に位置する部分を基端部71Pとして、表面シート3から離れる方向に移動可能である。
更に説明すると、カフ用シート70の自由部72の横方向Yの内方側の端部(カフ用シート70の縦方向Xに沿う内側縁部)には、カフ用弾性部材73が、縦方向Xに伸長状態で固定されることで同方向に伸縮可能に配置されている。また本実施形態では、前記起立領域は、股下部M並びに腹側部F及び背側部Rそれぞれの股下部M寄りの部分に位置し、防漏カフ7の縦方向Xの両端部は、自由部72の起立が阻害された起立阻害部である。つまり、カフ用シート70の前記起立領域は、カフ用シート70の縦方向Xの両端部に位置する前記起立阻害部に挟まれている。前記起立阻害部は、典型的には、カフ用シート70が吸収性本体2の肌対向面(表面シート3)に、接着剤、融着等の公知の接合手段によって固定されることで形成される。そしておむつ1の着用時には、防漏カフ7の前記起立領域において、カフ用シート70の自由部72が、カフ用弾性部材73の収縮力により、基端部71Pを起立起点として着用者の肌側に起立する(表面シート3から離れる方向に移動する)。これにより、尿等の排泄物の横方向Yの外方への流出が阻止される。図示の形態では、自由部72に2本のカフ用弾性部材73が配置されているが、カフ用弾性部材の配置数は特に制限されず、1本でも3本以上でもよい。また図示の形態では、基端部71Pは、吸収体5よりも横方向Yの外方に位置しているが、吸収体5と平面視で重なっていてもよい。なお図2では、説明の便宜上、防漏カフ7を起立した状態で示しているが、図1に示す如き展開且つ最大伸長状態のおむつ1において防漏カフ7が必ずしも図2に示すように起立するというわけではない。
本実施形態では、おむつ1は、吸収体5の周縁よりも外方に位置するフラップ部を備える。前記フラップ部は、吸収体5の周縁を跨ぐように配された部材によって構成され、本実施形態では、表面シート3、裏面シート4、外装シート6及びカフ用シート70を含んでいる。また前記フラップ部は、図1に示すように、おむつ1の腹側部F側の縦方向Xの端部では、これらのシート3,4,6,70に加えて更に腹側端部シート22を含み、おむつ1の背側部R側の縦方向Xの端部では、これらのシート3,4,6,70に加えて更に背側端部シート23を含む。両シート22,23は、それぞれ、おむつ1の補強、漏れ防止、後述する胴周り弾性部材9の如き弾性部材の固定先等の目的で採用されたもので、表面シート3(第2層32)と吸収体5(コアラップシート51)との間に配されている。両シート22,23は疎水性であり、それぞれ、裏面シート4の素材として使用可能なものを用いることができる。前記フラップ部を構成する複数の部材どうしは、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。なお、両シート22,23は無くてもよい。
前記フラップ部において、吸収体5の両側縁5S,5S及び各側縁5Sの仮想延長線よりも横方向Yの外方に位置する部分が、サイドフラップ部20である。サイドフラップ部20は、おむつ1の縦方向Xの全長にわたって延在している。
本実施形態では、サイドフラップ部20は、図1に示すように、縦方向Xの中央域(股下部Mに位置する領域)に括れ部を有しているところ、該括れ部は、おむつ1における着用者の脚周りに配される部位(脚周り部)であり、脚周り弾性部材8が縦方向Xに伸縮可能に配されている。
本実施形態では、脚周り弾性部材8は、図2に示すように、カフ用シート70と裏面シート4との間に介在配置されている。脚周り弾性部材8は、サイドフラップ部20における着用者の脚周りに配される部位において、縦方向Xに伸長した状態で接着剤によって両シート4,70に固定されている。これによりおむつ1の着用時には、脚周り弾性部材8の収縮により、サイドフラップ部20の脚周り部にレッグギャザーが形成され、該部位が着用者の脚(大腿部)に密着し得る。
本実施形態では、一対のサイドフラップ部20,20それぞれに脚周り弾性部材8が2本配置されているが、サイドフラップ部20における脚周り弾性部材8の配置数は特に制限されず、1本でも3本以上でもよい。
本実施形態では、脚周り弾性部材8は縦方向Xに平行に延びている(延在方向が縦方向Xに一致している)が、縦方向Xに伸縮可能に配されていればよく、例えば、サイドフラップ部20の縦方向Xの中央域の括れ部に沿って湾曲していてもよい。本発明では、脚周り弾性部材8の延在方向と縦方向Xとのなす角度が45度以下であれば、当該脚周り弾性部材8は縦方向Xに伸縮可能に配されていると言える。
脚周り弾性部材8は、少なくともサイドフラップ部20における着用者の脚周りに配される部位において縦方向Xに伸縮可能に配されていればよく、他の部位(例えば、腹側部F及び/又は背側部Rにおける胴周り配される部位)において縦方向Xに伸縮可能に配されていてもよい。例えば、脚周り弾性部材8は、おむつ1の縦方向Xの全長にわたって同方向に伸縮可能に配されていてもよい。
本実施形態では、おむつ1の背側部R側の縦方向Xの端部(背側ウエスト端部)における前記フラップ部に、複数の胴周り弾性部材9が横方向Yに伸縮可能に配され、それら複数の胴周り弾性部材9は縦方向Xに間欠配置されている。胴周り弾性部材9は、背側端部シート23に、横方向Yに伸長した状態で接着剤によって固定されている。これによりおむつ1の着用時には、胴周り弾性部材9の収縮によって、おむつ1における着用者の腰周りに配される部位にウエストギャザーが形成され、おむつ1が着用者の腰周りに密着し得る。おむつ1の腹側部F側の縦方向Xの端部(腹側ウエスト端部)における前記フラップ部にも、背側部R側と同様に胴周り弾性部材が配されていてもよい。
前述の各弾性部材8,9,73の形態は特に制限されず、例えば、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、あるいはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
おむつ1の主たる特徴の1つとして、図1に示すように、高吸収速度領域11と、高吸収速度領域11に比べて体液吸収速度が相対的に遅い低吸収速度領域12とを有し、高吸収速度領域11を挟んで縦方向Xの両側に低吸収速度領域12が位置している点が挙げられる。すなわちおむつ1は、縦方向Xにおいて3つの領域に区分されており、該3つの領域のうち、縦方向Xの中央に位置する領域が高吸収速度領域11、縦方向Xの両端側に位置する領域が低吸収速度領域12である。おむつ1を適正に着用した場合、着用者の股間部には高吸収速度領域11が配され、着用者の腰周りには低吸収速度領域12が配される。体液吸収速度は以下の方法により測定される。
<体液吸収速度の測定方法>
測定対象の吸収性物品(例えばおむつ1)を、該吸収性物品の肌対向面(表面シート側)を上に向けて平面状に拡げて展開且つ自然状態(外力が加わっていない状態)とし、測定対象部位(例えば高吸収速度領域11又は低吸収速度領域12)の表面シートに、マイクロピペットで2μlの生理食塩水を液滴状態で静置する。前記生理食塩水の液滴が静置後1分以内に表面シートを介して吸収性物品の内部に吸収されたら、該液滴の静置位置とは異なる位置に、マイクロピペットで2μlの生理食塩水を液滴状態で静置する。斯かる一連の操作(液滴の静置、1分間の観察)を30回繰り返し、吸収性物品の内部に吸収された液滴数(以下、「吸収液滴数」とも言う。)を数える。1分以内に液滴が吸収されなかった場合、それまでに吸収された液滴数が前記吸収液滴数である。30回全部で液滴が1分以内に吸収された場合、前記吸収液滴数は30個である。前記吸収液滴数が多いほど、当該測定対象部位は体液吸収速度が速く高吸収性と評価され、該吸収液滴数が少ないほど、当該測定対象部位は体液吸収速度が遅く低吸水性と評価される。
図1に示すように、高吸収速度領域11と低吸収速度領域12との境界は、脚周り弾性部材8における縦方向Xに伸縮可能に配された部分(以下、「伸縮部」とも言う。)80と縦方向Xにおいて重なっている。すなわち、両領域11,12の境界は、伸縮部80の横方向Yへの投影像と重なっている。
本実施形態では、図1中、点線で示した部分が伸縮部80であり、伸縮部80は、股下部M並びに腹側部F及び背側部Rにおける股下部M寄りの部分において縦方向Xに連続している。領域11,12の境界が伸縮部80と縦方向Xにおいて重なるということは、少なくとも高吸収速度領域11は伸縮部80と縦方向Xにおいて重なるということである。
典型的には、股下部Mの少なくとも一部(股下部Mの縦方向Xの中央域)は高吸収速度領域11であり、腹側部F及び背側部Rそれぞれの少なくとも一部(腹側部F及び背側部Rそれぞれの縦方向Xの端部域)は低吸収速度領域12である。本発明では、腹側部Fと股下部Mとの境界及び背側部Rと股下部Mとの境界が、それぞれ、高吸収速度領域11と低吸収速度領域12との境界に一致する形態が含まれる。斯かる形態では、股下部Mの全体が高吸収速度領域11であり、且つ腹側部F及び背側部Rそれぞれの全体が低吸収速度領域12である。
本発明では、伸縮部80は、サイドフラップ部20の脚周り部の略全長にわたってレッグギャザーが形成可能に配されていればよく、該脚周り部のみに配されていてもよく、該脚周り部から腹側部F側及び/又は背側部Rに延出していてもよい。また伸縮部80は、脚周り弾性部材8の全部であってもよい。例えば、おむつ1の縦方向Xの全長にわたって伸縮部80が延在していてもよく、この場合は、脚周り弾性部材8の全部が伸縮部80である。
伸縮部80は、典型的には、脚周り弾性部材8における他の部材(本実施形態では裏面シート4及びカフ用シート70)との固定部である。伸縮部80は、伸長状態の脚周り弾性部材8を固定手段によって他の部材に固定させた後、該伸長状態を解除することによって形成されている。前記固定手段は特に制限されず、接着剤、融着等の公知の固定手段を用いることができるが、典型的には、ホットメルト型接着剤等の接着剤である。伸縮部80は、「脚周り弾性部材8における他の部材との固定部」(接着剤が塗布された部分)と言うこともできる。
本発明が解決しようとする課題の1つは、吸収性物品の着用者の腰周りの肌トラブルの防止である。この腰周りの肌トラブルの主な原因の1つは、吸収性物品における着用者の腰周りに対応する部位(ウエスト端部)での液戻りである。前述したおむつ1の前記ウエスト端部は、腹側部F及び背側部Rそれぞれの縦方向Xの外方側の端部である。液戻りについては周知のとおりであり、おむつ1を例に取れば、表面シート3を介して吸収体5に吸収保持された排泄物が、吸収体5に着用者の体圧等がかかるなどして吸収体5が加圧されたときに、吸収体5から表面シート3の肌対向面側に移行する現象である。前記ウエスト端部で液戻りする排泄物の多くは、着用者の股間部から股下部Mに向けて排泄された尿や便である。すなわち、吸収体5における股下部Mに位置する部分で吸収された排泄物が、腹側部F及び背側部Rに拡散して前記ウエスト端部で液戻りすることが、着用者の腰周りの肌トラブルの主な原因の1つである。
このような課題に対し、おむつ1では前述したとおり、1)表面シート3は非肌対向面側が肌対向面側に比べて親水度が高く、すなわち「肌対向面側(第1層31)の接触角>非肌対向面側(第2層32)の接触角」の関係が成立することに加えて、2)前記ウエスト端部が、体液吸収速度が比較的遅く液戻り抑制効果に優れる低吸収速度領域12であり、且つ3)高吸収速度領域11と低吸収速度領域12との境界が脚周り弾性部材8の伸縮部80と縦方向Xにおいて重なっているため、着用者の腰周りの肌の周辺における水分量が効果的に低減され、腰周りの肌トラブルが発生しにくい。
前記1)及び2)は、おむつ1の全体で液戻りを抑制するために必要である。前記2)は、特に着用者の腰周りでの液戻りを抑制して腰周りの肌トラブルを防止するために必要である。仮に、おむつ1において前記1)が採用されずに、表面シート3の非肌対向面側が肌対向面側に比べて親水度が低い場合は、排泄物が十分に吸収体へ吸収されず、前記2)が採用されていても腰周りの肌トラブルを防止できないおそれがある。
前記3)の採用は、特に腰周りの肌トラブル防止の点で有効である。仮に、おむつ1において前記3)が採用されずに、両領域11,12の境界が伸縮部80と縦方向Xにおいて重ならない場合、すなわち高吸収速度領域11が伸縮部80と縦方向Xにおいて重ならない部分を有する場合には、該部分が着用者の肌に密着して肌トラブルが発生するおそれがある。
一方、低吸収速度領域12は高吸収速度領域11に比べて体液吸収速度が遅く、高吸収速度領域11と同等の排泄物吸収性能は望めないが、着用者の腰周りの肌から排泄される排泄物(主に汗)の量は、股間部から高吸収速度領域11(股下部M)に向けて排泄される尿、便等の排泄物の量に比べて格段に少量であるので、腰周りに対応する低吸収速度領域12の排泄物吸収性能が多少低くても、高吸収速度領域11でそれを十分に補うことが可能であり、おむつ1全体の防漏性能の点で実質的に問題は無い。
したがっておむつ1は、吸収性物品の基本性能である排泄物吸収性、防漏性に優れ、且つ腰周りの肌トラブルが抑制されている。
前述した作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、高吸収速度領域11と低吸収速度領域12との境界は、脚周り弾性部材8の伸縮部80と縦方向Xにおいて重なっていることを前提として、おむつ1の腹側部F側の縦方向端1F又は背側部R側の縦方向端1R(図1参照)から股下部M側に、おむつ1の縦方向Xの全長に対して好ましくは27~40%、より好ましくは30~35%離間した位置に存在することが好ましい。ここで言う「おむつ1の縦方向Xの全長」とは、自然状態(外力が加わっていない状態)のおむつ1における、縦方向前端1Fと縦方向後端1Rとの縦方向Xに沿う長さを指す。
前述した作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、各領域11,12の体液吸収速度は以下の範囲にあることが好ましい。
高吸収速度領域11の体液吸収速度は、低吸収速度領域12の体液吸収速度に比べて速いことを前提として、前記吸収液滴数が好ましくは15個以上、より好ましくは18個以上である。高吸収速度領域11の体液吸収速度の上限は特に制限されないが、前記吸収液滴数が好ましくは27個以下、より好ましくは24個以下である。
低吸収速度領域12の体液吸収速度は、高吸収速度領域11の体液吸収速度に比べて遅いことを前提として、前記吸収液滴数が好ましくは15個以下、より好ましくは12個以下である。低吸収速度領域12の体液吸収速度の下限は特に制限されないが、着用者の腰周りから排泄される汗などの排泄物の吸収を一層確実にする観点から、前記吸収液滴数が好ましくは3個以上、より好ましくは6個以上である。
体液吸収速度の調整は、各領域11,12の構成部材、具体的には例えば、吸収体5及びその肌対向面側に配された部材(本実施形態では表面シート3及び中間シート10)、並びに構成部材どうしを接合する接着剤を適宜調整することで実施可能である。
例えば、高吸収速度領域11と低吸収速度領域12とで表面シート3の親水度を異ならせる方法が挙げられる。この方法では、高吸収速度領域11の表面シート3の親水度を相対的に高くし(接触角を相対的に低くし)、低吸収速度領域12の表面シート3の親水度を相対的に低くする(接触角を相対的に高くする)。斯かる表面シート3の親水度の制御方法の一例として、両領域11,12で表面シート3の素材を変更する方法が挙げられる。斯かる表面シート3の親水度の制御方法の他の一例として、両領域11,12で表面シート3の素材としては同じもの(例えばエアスルー不織布)を使用するが、高吸収速度領域11の表面シート3に対して親水化処理を施す、及び/又は 低吸収速度領域12の表面シート3に対して疎水化処理を施す方法が挙げられる。
表面シート3の肌対向面側及び非肌対向面側は、それぞれ、接触角が90度以下であること、すなわち親水性であることが好ましい。特に低吸収速度領域12はこれを満たすことが好ましい。本実施形態では、表面シート3は第1層31及び第2層32の二層構造であるので、両層31,32が何れも接触角90度以下であることが好ましい。斯かる構成により、前記ウエスト端部をはじめとするおむつ1の肌対向面の排泄物吸収性が向上し、着用者の腰周りの肌トラブルが一層確実に抑制され得る。
前述した作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、表面シート3の各部の接触角は、前述した「肌対向面側(第1層31)の接触角>非肌対向面側(第2層32)の接触角」の関係が成立することを前提として、それぞれ以下のように設定することが好ましい。
表面シート3の肌対向面側(第1層31)の接触角は、好ましくは75度以上、より好ましくは78度以上、そして、好ましくは90度以下、より好ましくは87度以下である。
表面シート3の非肌対向面側(第2層32)の接触角は、好ましくは60度以上、より好ましくは65度以上、そして、好ましくは85度以下、より好ましくは80度以下である。
表面シート3の各部の親水度は、構成繊維の種類、親水化剤及び/又は疎水化剤の使用などによって調整可能である。
表面シート3の非肌対向面に接着剤が塗布され、表面シート3が該接着剤を介して他の部材(本実施形態では中間シート10)に接合されている場合、低吸収速度領域12は、高吸収速度領域11に比べて、該接着剤の坪量が大きいことが好ましい。この種の吸収性物品において部材どうしの接合に使用されるホットメルト型接着剤等の接着剤は通常疎水性であるので、吸収性物品において接着剤の塗布量(坪量)が比較的多い部位は、それが比較的少ない部位に比べて体液吸収速度が遅く、液戻り抑制効果が高い。したがって、高吸収速度領域11よりも高い液戻り抑制効果を有することが求められる低吸収速度領域12は、表面シート3の非肌対向面における接着剤の坪量が高吸収速度領域11に比べて大きいことが好ましい。
接着剤の坪量の調整は、例えば、高吸収速度領域11と低吸収速度領域12とで接着剤の塗布パターンを変えることで実施できる。この場合、少なくとも相対的に接着剤の坪量が少ない高吸収速度領域11は、該領域11に接着剤の非塗布部が存在するように、接着剤を間欠塗布することが好ましい。接着剤の間欠塗布パターンの具体例として、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、ストライプ状を例示できる。
低吸収速度領域12における表面シート3の非肌対向面の接着剤の坪量A12と、高吸収速度領域11における表面シート3の非肌対向面の接着剤の坪量A11との比率は、A12>A11を前提として、A12/A11として、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.4以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
坪量A12は、坪量A11に比べて大きいことを前提として、好ましくは2.5g/m以上、より好ましくは3g/m以上、そして、好ましくは8g/m以下、より好ましくは6.5g/m以下である。
坪量A11は、坪量A12に比べて小さいことを前提として、好ましくは1g/m以上、より好ましくは1.5g/m以上、そして、好ましくは5g/m以下、より好ましくは4g/m以下である。
本実施形態では、前述したとおり図2に示すように、低吸収速度領域12における表面シート3と吸収体5との間に中間シート10が配されているため、中間シート10が配されていない場合に比べて、おむつ1の着用者の肌と吸収体5との離間距離が長い。そのため本実施形態のおむつ1は、低吸収速度領域12の液戻り抑制効果に優れ、腰周りの肌トラブルを起こし難い。
中間シート10は、肌対向面側が非肌対向面側に比べて繊維密度が低いことが好ましい。これにより、中間シート10の肌対向面側で存在し得る自由水の量が低減されるため、液戻りが一層確実に抑制され、腰周りの肌トラブルの発生が一層確実に防止され得る。
ここで言う「中間シートの肌対向面側」及び「中間シートの非肌対向面側」の意味は、当該中間シートが単層構造の場合と積層構造の場合とで異なる。すなわち、単層構造の中間シートの場合、「中間シートの肌対向面側」とは、当該中間シートを厚み方向に二等分した場合の肌対向面を含む側(着用者の肌から相対的に近い側)を指し、「中間シートの非肌対向面側」とは、その反対側(着用者の肌から相対的に遠い側)を指す。一方、積層構造の中間シートの場合、「中間シートの肌対向面側」とは、該積層構造における肌対向面側の最表層を指し、「中間シートの非肌対向面側」とは、該積層構造における非肌対向面側の最表層を指す。
肌対向面側と非肌対向面側とで繊維密度が異なる単層構造の中間シート10の一例としてエアスルー不織布が挙げられる。一般的なエアスルー不織布の製造方法では、繊維ウエブに対しその片面側から熱風を吹き付けるエアスルー処理を施すところ、このエアスルー処理を経て製造されたエアスルー不織布においては、熱風が吹き付けられた面側とその反対側の面側とで繊維密度が異なる。また、肌対向面側と非肌対向面側とで繊維密度が異なる積層構造の中間シート10としては、例えば、繊維密度が互いに異なる複数の層を積層一体化したものを用いることができる。
中間シート10において、肌対向面側の繊維密度と非肌対向面側の繊維密度との比率は、前者<後者を前提として、前者/後者として、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.35以上、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.75以下である。繊維密度は下記方法により測定される。
<繊維密度の測定方法>
測定対象のシート(中間シート)を厚み方向に沿って切断し、その切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30~60本程度計測できる倍率に調整;150~500倍)し、一定面積当たり(0.5mm程度)の該切断面における繊維の断面数を数える。こうして数えた断面数を1mm当たりの繊維の断面数に換算し、その換算値を当該測定箇所の繊維密度とする。以上の操作を測定対象のシートの任意の3箇所で行い、その3箇所の繊維密度の算術平均値を当該測定対象のシートの繊維密度とする。前記走査電子顕微鏡としては、例えば、日本電子(株)社製のJCM-5100(商品名)を用いることができる。
中間シート10の肌対向面及び非肌対向面に接着剤が塗布され、中間シート10が該接着剤を介して他の部材(本実施形態では、中間シート10の肌対向面側が表面シート3、中間シート10の非肌対向面側が吸収体5)に接合されている場合、中間シート10の肌対向面は、中間シート10の非肌対向面に比べて、該接着剤の塗布面積率が低いことが好ましい。ここで言う「接着剤の塗布面積率」とは、中間シート10の肌対向面又は非肌対向面の全面積に対する、当該面における接着剤の被塗布部の面積の割合を指す。中間シート10における接着剤の塗布面積率について斯かる大小関係が成立することで、中間シート10の肌対向面側に位置する他の部材(本実施形態では表面シート3)に吸収された排泄物が速やかに中間シート10に移行するようになり、その結果、表面シート3で存在し得る自由水の量が低減され、液戻りが一層確実に抑制され得る。前記接着剤としては、この種の吸収性物品において部材どうしの接合に使用されるものを特に制限なく用いることができ、例えばホットメルト型接着剤が挙げられる。
接着剤の塗布面積率の調整は、例えば、中間シート10の肌対向面と非肌対向面とで接着剤の塗布パターンを変えることで実施できる。この場合、少なくとも相対的に接着剤の塗布面積率が低い中間シート10の肌対向面は、該肌対向面に接着剤の非塗布部が存在するように、接着剤を間欠塗布することが好ましい。接着剤の間欠塗布パターンの具体例として、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、ストライプ状を例示できる。
中間シート10において、肌対向面の接着剤の塗布面積率と非肌対向面の接着剤の塗布面積率との比率は、前者<後者を前提として、前者/後者として、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、そして、好ましくは2.5以下、より好ましくは2以下である。
本実施形態では、吸収性コア50は、図1及び図2に示すように、低吸収速度領域12に、吸収性コア50の非肌対向面に開口を有する凹陥部52を有している。凹陥部52は、吸水性材料をはじめとする吸収性コア50の形成材料が実質的に存在しない空間部である。低吸収速度領域12の吸収性コア50に凹陥部52が形成されていることで、低吸収速度領域12の通気性及び体液吸収速度が向上するため、前述した構成による作用効果と相俟って、着用者の腰周りの肌トラブルが一層確実に防止され得る。低吸収速度領域12に含まれるおむつ1の前記ウエスト端部は、着用者の肌に対する密着性が特に高い部位であり、このような肌への密着性の高い部位の通気性が向上することは、肌トラブルの回避に特に有効である。また凹陥部52は、吸収体5の柔軟性、可撓性を高めて、吸収性物品の着用者の身体に対する追従性を向上させる効果も奏し得る。
本実施形態では、凹陥部52は、図1に示すように、縦方向Xに延びる平面視直線状の複数の縦凹陥部と、横方向Yに延びる平面視直線状の複数の横凹陥部とを含み、これら複数の凹陥部が互いに直交して平面視格子状をなしている。凹陥部52は、低吸収速度領域12のみならず、高吸収速度領域11にも形成されおり、前記縦凹陥部が、高吸収速度領域11からその縦方向Xの両側に位置する低吸収速度領域12にわたって延在している。凹陥部52が高吸収速度領域11に形成されていると、高吸収速度領域11の体液吸収速度が向上するとともに、高吸収速度領域11から低吸収速度領域12への排泄物の移動が抑制されるため、結果として、低吸収速度領域12での液戻りが抑制され得る。したがって凹陥部52は、高吸収速度領域11及び低吸収速度領域12の双方に形成されていることがより好ましい。
本発明では、凹陥部52は、吸収性コア50の肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有するものであればよく、図1及び図2に示すものに限定されない。
例えば、図3(a)に示す吸収性コア50Aが備える凹陥部52は、前記横凹陥部のみを含み、図3(b)に示す吸収性コア50Bが備える凹陥部52は、前記縦凹陥部のみを含む。本発明には何れの形態も包含される。
また凹陥部52には、吸収性コア50を厚み方向に貫通していない非貫通型と、吸収性コア50を厚み方向に貫通する貫通型とが包含される。前述した吸収性コア50,50A,50Bが備える凹陥部52は何れも前者であり、図2に示すように、吸収性コア50の非肌対向面に開口を有するとともに、該開口とは反対側に底部を有する。非貫通型の凹陥部52は、吸収性コア50の肌対向面に開口を有するとともに、該開口とは反対側に底部を有するものでもよい。
凹陥部52は、吸収性コア50の製造時において、吸収性コア50の形成材料の、凹陥部52の形成予定部位への供給を阻害することによって形成することができる。あるいは、凹陥部52を有しない吸収性コア50に、エンボス加工等の圧搾加工を施して凹陥部52を形成してもよい。後者の方法で形成された凹陥部52は、その周辺部(非凹陥部)に比べて密度が高い。
本発明の吸収性物品は、前記実施形態の如き展開型使い捨ておむつに制限されず、人体から排出される体液(尿、経血、軟便、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、止着部材21の如き止着構造を有しないパンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ等も包含する。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
例えば、防漏カフ7はカフ用弾性部材73を含んでいなくてもよい。すなわち防漏カフ7は、カフ用シート70に配置された弾性部材の収縮によって着用者の肌に向かって起立するようになされていなくてもよい。
表面シート3(第1層31)が肌対向面に凹凸形状を有する場合において、該凹凸形状のパターン(凸部33の形状及び配置)は特に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意のものを適宜選択できる。例えば、凸部33の平面視形状は、円形、楕円形、三角形、四角形以上の多角形であり得る。また、前記凹凸形状のパターンの一例として、複数の凸部33が千鳥状に配され、各凸部33の周囲が凹部となっている形態が挙げられる。前記凹凸形状のパターンの他の一例として、縦方向及び横方向の両方向に交差する第1方向に延びる平面視線状の第1の凹部と、該第1方向に交差する第2方向に延びる平面視線状の第2の凹部とが格子状に配され、両凹部で囲まれた複数の区画それぞれに凸部33が存在する形態が挙げられる。前記凹凸形状のパターンの更に他の一例として、縦方向又は横方向に延在する畝部としての凸部33と、同方向に延在する溝部としての凹部とが、それらの延在方向と直交する方向に交互に配された形態が挙げられる。
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 吸収性本体
20 サイドフラップ部
3 表面シート
31 第1層
32 第2層
33 凸部
4 裏面シート
5 吸収体
50,50A,50B 吸収性コア
51 コアラップシート
52 凹陥部
7 防漏カフ
8 脚周り弾性部材
10 中間シート
11 高吸収速度領域
12 低吸収速度領域
F 腹側部
M 股下部
R 背側部
X 縦方向
Y 横方向

Claims (8)

  1. 着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、体液を吸収保持する吸収性コアを含む吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体の該縦方向に沿う両側縁それぞれから該横方向の外方に延出する一対のサイドフラップ部とを備え、該サイドフラップ部における着用者の脚周りに配される部位に脚周り弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配された吸収性物品であって、
    前記表面シートは、非肌対向面側が肌対向面側に比べて親水度が高く、
    前記吸収性物品は、高吸収速度領域と、該高吸収速度領域に比べて体液吸収速度が相対的に遅い低吸収速度領域とを有し、該高吸収速度領域を挟んで前記縦方向の両側に該低吸収速度領域が位置しており、
    前記高吸収速度領域と前記低吸収速度領域との境界は、前記脚周り弾性部材における前記縦方向に伸縮可能に配された部分と該縦方向において重なっている、吸収性物品。
  2. 前記表面シートは、着用者の肌から相対的に近い側に配された第1層と、該第1層の非肌対向面に重ねて配された第2層とを含む、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアは、前記低吸収速度領域に、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有する凹陥部を有している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記表面シートの肌対向面側及び非肌対向面側は、それぞれ、接触角が90度以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記表面シートの非肌対向面に接着剤が塗布され、該表面シートは該接着剤を介して他の部材に接合されており、
    前記低吸収速度領域は、前記高吸収速度領域に比べて、前記接着剤の坪量が大きい、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記低吸収速度領域における前記表面シートと前記吸収体との間に中間シートが配されている、請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記中間シートは、肌対向面側が非肌対向面側に比べて繊維密度が低い、請求項6に記載の吸収性物品。
  8. 前記中間シートの肌対向面及び非肌対向面に接着剤が塗布され、該中間シートは該接着剤を介して他の部材に接合されており、
    前記中間シートの肌対向面は、該中間シートの非肌対向面に比べて、前記接着剤の塗布面積率が低い、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
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