JP2023095480A - 酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物 - Google Patents

酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023095480A
JP2023095480A JP2021211401A JP2021211401A JP2023095480A JP 2023095480 A JP2023095480 A JP 2023095480A JP 2021211401 A JP2021211401 A JP 2021211401A JP 2021211401 A JP2021211401 A JP 2021211401A JP 2023095480 A JP2023095480 A JP 2023095480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yeast
mixture
water
contact
treatment step
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021211401A
Other languages
English (en)
Inventor
靖志 淡路
Yasushi Awaji
義雄 前川
Yoshio Maekawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Serea Co Ltd
Original Assignee
Serea Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Serea Co Ltd filed Critical Serea Co Ltd
Priority to JP2021211401A priority Critical patent/JP2023095480A/ja
Publication of JP2023095480A publication Critical patent/JP2023095480A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】酵母細胞壁のβ-グルカンを含む層を外層と内層とから脱離させる酵母処理方法と、この酵母処理方法により得られる酵母処理物及び組成物とを提供する。【解決手段】酵母処理方法は、混合工程S1と、含水工程S2aと、接触処理工程S3と、超音波処理工程S6とを有する。混合工程S1は、酵母と酵母の成分との少なくともいずれか一方の酵母原料11と、珪質頁岩15とを混合して混合物とする。含水工程S2aは、混合物に水を含ませる。接触処理工程S3は、含水した混合物に、過熱水蒸気を接触させる。超音波処理工程S6は、接触処理工程S3を経た混合物に水を加えてから、超音波処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物に関する。
ビール工場等で利用された酵母(廃酵母)の多くは廃棄されており、その利用を図るために、例えば特許文献1には、酵母、酵母の抽出物、又は酵母の細胞壁と、リン酸及びカリウムとの混合物を水熱反応処理して得られる還元性肥料が開示されている。また、特許文献2には、酵母又は酵母の成分に、過熱水蒸気処理を施すことにより得られた微生物材料過熱水蒸気処理物と、過熱水蒸気処理を施していない酵母又は酵母の成分とを含む土壌混合用微生物由来還元性混合物が開示されている。特許文献1には、還元性肥料がさらに珪藻土を含有することが記載され、特許文献2にも同様に、土壌混合用微生物由来還元性混合物がさらに珪藻土を含有することが記載されている。
また、酵母細胞壁のβ-グルカンは疎水性であり、ヒト免疫賦活活性を示すことが知られており、その他の作用や機能の発見次第では種々の用途が期待される。酵母細胞壁のβ-グルカンは、工業的には、酵母細胞壁を次亜塩素酸で処理することにより、酵母細胞壁のうちの外層の主成分であるα-ガラクトマンノプロテイン(α-galactomannoprotein)を分解し、β-グルカンを含む層の内側にある内層を還元性溶媒中の超音波処理で剥離して除去する等の方法で得られる。
国際公開第2013/094235号 国際公開第2013/084822号
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の方法によると、酵母細胞壁の外層と内層との、β-グルカンを含む層からの脱離が十分ではない。また、次亜塩素酸等を用いるようないわゆる化学的処理方法は、外層及び内層を確実に脱離させようとすると、β-グルカンを含む層において架橋している側鎖が分解する等により、β-グルカンの立体構造や疎水性が変化してしまう。
そこで、本発明は、酵母細胞壁のβ-グルカンを含む層を外層と内層とから脱離させる酵母処理方法と、この酵母処理方法により得られる酵母処理物及び組成物とを提供することを目的とする。
本発明の酵母処理方法は、混合工程と、含水工程と、接触処理工程と、超音波処理工程とを有する。混合工程は、酵母と酵母の成分との少なくともいずれか一方の酵母原料と、珪質頁岩とを混合して混合物とする。含水工程は、混合物に水を含ませる。接触処理工程は、含水した混合物に、過熱水蒸気を接触させる。超音波処理工程は、接触処理工程を経た混合物に水を加えてから、超音波処理を行う。
混合物を塊状に成形する成形工程を接触処理工程の前に有し、塊状の混合物を接触処理工程に供することが好ましい。
混合物を凍結する凍結処理工程を接触処理工程の前に有し、凍結状態または凍結後に解凍した混合物を接触処理工程に供することが好ましい。
本発明の酵母処理物は、酵母原料と珪質頁岩との混合物に水を含ませた後に、過熱水蒸気を接触させ、前記過熱水蒸気の接触の後に、水を加えた状態で超音波処理を施されて得られ、酵母原料は酵母と酵母の成分との少なくともいずれか一方である。
本発明の組成物は、複数の第1微粒子と、複数の第2微粒子と、複数の第3微粒子とを備える。第1微粒子は、酵母細胞壁由来のβ-グルカンで構成される。第2微粒子は、酵母細胞壁由来のα-ガラクトマンノプロテインを含有する。第3微粒子は、酵母細胞壁を有する酵母の細胞膜由来のものである。
本発明の酵母処理方法によると、酵母細胞壁のβ-グルカンを含む層から外層と内層が脱離した酵母処理物及び組成物が得られる。
実施形態である酵母の処理方法のフロー図である。 超音波の印加前の混合物をサフラニン染色した光学顕微鏡の画像写真である。 超音波の印加前の混合物をメチレンブルー染色した光学顕微鏡の画像写真である。 超音波処理工程を経た混合物をサフラニン染色した光学顕微鏡の画像写真である。 超音波処理工程を経た混合物をメチレンブルー染色した光学顕微鏡の画像写真である。 原料である珪質頁岩の細孔分布曲線のグラフである。 酵母処理設備の説明図である。 接触処理装置の概略斜視図である。 供給管の配置の説明図である。 別の実施形態である接触処理装置の概略図である。
本発明の一実施形態である酵母処理方法は、図1に示すように、酵母原料11を処理して酵母処理物13とする。得られる酵母処理物13は、例えば農作物の栽培に用いる農業資材として用いることができる。農業資材は組成物であり、例えば、農作物の収穫量を向上させる生育促進組成物である。したがって、この酵母処理方法は、農業資材製造方法、及び、生育促進組成物製造方法でもある。
酵母原料11は、酵母と、酵母の成分との少なくともいずれかである。酵母原料11は、酵母と酵母の成分との少なくともいずれか一方で構成されていてもよいし、また、両方で構成されていてもよい。酵母は、酵母処理物13を製造するために培養されたものでもよいし、ビール、清酒等の製造に用いられた後に、これらの製造設備から排出された利用済のものでもよい。酵母の成分は例えば酵母細胞壁であり、酵母細胞壁は、酵母エキスを抽出した残渣、または、脱核処理して得られたものである。酵母としては、例えば、ビール酵母、トルラ酵母等の種々の酵母を用いることができ、未乾燥のものでもよいし、乾燥したいわゆる乾燥酵母でもよい。酵母の成分についても同様に、未乾燥のものでもよいし、乾燥したものでもよい。
酵母処理方法は、混合工程S1と、予備工程S2と、接触処理工程S3と、超音波処理工程S6とをこの順に有する。予備工程S2は、含水工程S2aを有し、成形工程S2bと凍結処理工程S2cとの少なくともいずれか一方をさらに有することが好ましく、本例では成形工程S2bと凍結処理工程S2cとの両方を有する。本例の予備工程S2は、図1に示すように、含水工程S2a、成形工程S2b、凍結処理工程S2cをこの順で有するが、成形工程S2bは含水工程S2aと並行、すなわち、含水工程S2aと成形工程S2bとを同時に行う態様でもよい。
混合工程S1は、酵母原料11と珪質頁岩15とを混合して混合物17とする。珪質頁岩15は、後工程である成形工程S2bにおいて成形しやすくする目的、及び、接触処理工程S3における高熱下で酵母原料11のメイラード反応を抑制する目的で、酵母原料11に混合する。混合工程S1では、酵母原料11と珪質頁岩15とが均一に混ざった状態になるまで例えば攪拌してもよいが、混合工程S1の後の予備工程S2中、及び/または、予備工程S2を経た混合物17を接触処理工程S3に供する際に、均一に混ざる場合もあるので、そのような場合には混合工程S1において必ずしも均一になるまで攪拌する必要はない。このように、酵母原料11と珪質頁岩15とは、接触処理工程S3の開始までに均一に混ざった状態にすればよい。
混合工程S1で酵母原料11に混合する珪質頁岩15の体積V15は特に限定されないが、酵母原料11の体積をV11とするときに、V11×0.1以上V11×0.5以下の範囲内の体積V15の珪質頁岩15を酵母原料11に混合することが好ましい。珪質頁岩15の体積V15及び酵母原料11の体積V11は、粒間の空隙の体積を含んだいわゆる見かけの体積である。体積V15をV11×0.1以上とすることにより、後工程(本例では次工程)である含水工程S2aにおいて、混合物17の含水率を十分に確保することができる。一方、体積V15がV11×0.5以下である場合も同様に、V11×0.5よりも高い場合に比べて、含水工程S2aにより混合物17の含水率が高くなりやすい。これは、酵母原料11の含水率の上限が概ね1.5以上1.7以下の範囲内である一方、珪質頁岩15の含水率の上限が概ね0.39であるために、酵母原料11に対する珪質頁岩15の体積比率が一定量を超える等、過度に高い場合には、混合物11としての含水率を抑制してしまうからと考えられる。
本例では珪質頁岩15として微粒子である珪質頁岩を用いており、これにより、得られる酵母処理物13は、極めて小さな微粒子を含むものとして得られる。なお、珪質頁岩15の詳細については後述する。
含水工程S2aは、後工程である接触処理工程S3において層間剥離を確実に起こさせるためのものである。層間剥離は、酵母細胞壁のβ-グルカンで形成されている層(以下、β-グルカン層と称する)と、β-グルカン層よりも外側の外層とβ-グルカン層との剥離、及び、β-グルカン層とこのβ-グルカン層よりも内側の内層との剥離である。含水工程S2aは、混合物17に水を含ませ、含水した混合物17を得る。これにより、接触処理工程S3において吸熱反応が、酵母細胞壁の層間剥離を生じさせる程度に、確実に起こる。また、混合物17を含水した状態、特に、珪質頁岩15を含水した状態にして接触処理工程S3に混合物17を供することにより、接触処理工程S3で酵母原料11におけるメイラード反応が抑制される。なお、接触処理工程S3で生じさせる層間剥離は、酵母細胞壁の複層構造を維持しつつ層と層とを剥がすものであり、剥がれていない箇所が部分的にあってもよい。一方、含水工程S2aを実施せずに混合物17を接触処理工程S3に供した場合には、水分量が少なすぎて、上記のような層間剥離は生じず、また、酵母原料11にてメイラード反応が起こる。なお、酵母細胞壁のβ-グルカンは、疎水性のβ-1,3-グルカンの主鎖に、親水性(可溶性)のβ-1,6-グルカンが結合し、三次元の螺旋構造を有する。
含水工程S2aは、混合物17の含水率が少なくとも40%、すなわち40%以上になるように混合物17に含水させることが好ましい。これにより、後工程である接触処理工程S3において、吸熱反応が継続する時間がより長く確保される。その結果、層間剥離がより確実になる。これらの層間剥離をさらに確実にする観点で、含水工程S2aは、より好ましくは含水率が少なくとも50%になるように、さらに好ましくは含水率が少なくとも60%になるように、混合物17に含水させる。含水率(単位:%)は、含水させた混合物17からサンプリングしたサンプルの質量をWb、サンプルを減圧乾燥機で乾燥させた乾燥サンプルの質量をWaとするときに、{(Wb-Wa)/Wb}×100で求める百分率である。本例ではサンプルを十分に乾燥させる条件として、減圧乾燥機における乾燥処理時間を24時間とし、温度は25℃以上35℃以下の範囲内としている。
水は、特に限定されず、本例では酵母処理物13を農業資材に用いること、及びヒト免疫賦活活性用途等の種々の展開を考慮して、ヒトが飲料として摂取できる程度の清浄度のものを使用しており、例えば水道水や脱イオン水を用いている。水としてのその他のものとしては、蒸留水、イオン交換水、RO(逆浸透)膜により精製されたRO水等が挙げられる。
成形工程S2bは、含水した混合物17を塊状に成形する。成形工程S2bは、接触処理工程S3の前に行われ、これにより、本例では、塊状の混合物17を接触処理工程S3に供しており、混合物17は酵母原料11に珪質頁岩15が加えられているので塊状に成形されやすい成形は、後の接触処理工程S3で用いた後述のメッシュ部材58a(図8)の網目から落下しないために行っている。そのため、個々の塊の大きさはメッシュ部材58aの網目を通過しない大きさであればよく、塊ごとに異なる大きさでもよい。本例では、概ね2cm以上4cm以下の径の塊状とする場合や、0.5mm程度の径の塊状にする場合があり、形も大きさ同様に定まったものではなく、角柱形状、円柱形状、錐台形状などが混在したものとしている。また、メッシュ部材58aのような網目がない例えば平板の上に混合物17を載置して接触処理工程S3を実施する場合には、成形工程S2bは実施しなくてもよい。
凍結処理工程S2cは、接触処理工程S3での層間剥離をより確実に生じさせるためのものである。凍結処理工程S2cは、接触処理工程S3の前に、含水した混合物17を凍結する。酵母細胞壁を構成するβ-グルカン層と外層内層とは、構成する物質が互いに異なることから、凍結に要する時間が互いに異なる。これにより、接触処理工程S3において、層間剥離がより確実に生じる。なお、この作用は、凍結の過程を経ることで得られるから、接触処理工程S3には、混合物17を凍結した状態のまま供してもよいし、解凍した後に供してもよい。このように、混合物17を凍結した場合には、凍結状態または凍結後に解凍した混合物17を接触処理工程S3に供する。
接触処理工程S3は、含水した混合物17に、過熱水蒸気を接触させる。上記の通り、含水した混合物17は、凍結処理工程S2cを経ていないもの、凍結状態のもの、凍結後に解凍されたもののいずれでもよい。この接触処理工程S3により、含水している混合物17において吸熱反応が確実に生じ、酵母細胞壁に層間剥離が生じる。混合物17は水を含んでおり、混合物17を構成する珪質頁岩15にも水が含まれているので、接触処理工程S3において高熱下にされても混合物17を構成する酵母原料11におけるメイラード反応が抑制される。接触処理工程S3の詳細については、別の図面を用いて後述する。
この例の酵母処理方法は、接触処理工程S3の次工程を超音波処理工程S6としているが、接触処理工程S3の次工程として、接触処理工程S3を経た混合物17を乾燥する乾燥工程(図示無し)を有してもよい。この乾燥工程は、接触処理工程S3によって高温になった混合物17を、結露を抑制するように室温(25℃)にまで降温してから、または降温しながら、乾燥することがこのましく、減圧乾燥機を用いることができる。このように乾燥することにより微生物による汚染が抑制され、乾燥工程により乾燥された混合物17は、長期の保存が可能である。保存する場合には、密閉包装(真空包装など)することが好ましい。
超音波処理工程S6は、接触処理工程S3の後工程であり、外層と内層とをβ-グルカン層とから脱離するためのものである。超音波処理工程S6は、接触処理工程S3を経た混合物17に、混合物17が浸る程度の水を加えてから超音波処理を行う。これにより、接触処理工程S3で層間剥離していた酵母細胞壁は、外層とβ-グルカン層と内層との各層間で分離する。このようにして、β-グルカン層から外層と内層とが脱離する。この超音波処理工程S6により、酵母細胞壁由来のβ-グルカンで構成される複数の第1微粒子と、細胞壁由来のα-ガラクトマンノプロテインを含有する複数の第2微粒子と、酵母細胞壁を備える酵母の細胞膜由来の複数の第3微粒子と、珪質頁岩15の複数の微粒子とを備える組成物が水に分散した状態で得られ、これが本例での酵母処理物13である。なお、水分を蒸発させることにより、固形分のみからなる組成物を酵母処理物13として得ることができ、この場合の酵母処理物13は微粒子の粉体である。水分を蒸発させる場合には、再び水を加えた際の微粒子、特に上記の第1微粒子の疎水性に起因する水に対する分散性を低下させないために、昇温を抑えた状態で蒸発させることが好ましく、例えば減圧常温乾燥の方法を採ることができる。
脱離は、染色法により確認することができる。例えば、酵母原料11と酵母細胞壁の外層とはサフラニンにより選択的に染色され、内層はメチレンブルーにより選択的に染色することができるので、これらのサフラニン染色とメチレンブルー染色とにより染色し、光学顕微鏡で観察することにより脱離の有無を確認することができる。すなわち、超音波を印加する前の、混合物17に水を加えた液からサンプリングしてサフラニン染色を行うことにより、外層を構成するα-ガラクトマンノプロテインが染色される(図2参照、画像において黒食部分が染色された部分であり、光学顕微鏡においては鮮やかな赤色で観察される)。また、同様にサンプリングしてメチレンブルー染色を行うことにより、内層及び内層を含む細胞質が染色される(図3参照、画像において黒色部分が染色された部分であり、光学顕微鏡においては鮮やかな青色で観察される)。これに対し、超音波処理工程S6で得られた液からサンプリングして、サフラニン染色を行った場合には染色されていない微粒子が多数確認され(図4参照)、メチレンブルー染色を行った場合も同様に染色されていない微粒子が多数確認される(図5参照)。また、超音波処理工程S6を経た微粒子は、超音波処理前の微粒子よりも大きく(図2~図5参照)、これは、細胞壁が破壊されて水により膨れたものと考えられる。この観察方法によると、水の存在下における第1微粒子は、径が2μm以上5μm以下の楕円形状で観察される。
上記の観察においては、径が20μm以上である無染色の個体数(微粒子数)を基準としたときに、サフラニン染色では基準の約3倍の個体数が確認されたので、外層と内層とβ-グルカン層とが分離したと考えられる。メチレンブルー染色では基準の約2倍の個体数が確認されたので、β-グルカン層と内層とが分離したと考えられる。外層及び内層が脱離して生じた微粒子は10μm以下の径の個体として観察される。なお、前述の化学的処理の場合と、混合工程S1、含水工程S2a、超音波処理工程S6の各工程を実施せずに接触処理工程S3を実施した場合とでは、サフラニン染色及びメチレンブルー染色を行っても上記基準の個体数を上回る個体数は確認されない。
これらの観察においては、各微粒子が分散していることが確認され、したがって、第1微粒子を構成しているβ-1,3-グルカンも疎水性を保持して存在していることがわかる。なお、β-グルカンを得る方法として、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を用いた超音波処理を行う方法も知られているが、その方法では、β-グルカンの末端が分解されてしまうことが多い。これに対して、本例のように、混合工程S1、含水工程S2a、接触処理工程S3、水を用いた超音波処理工程S6によると、β-グルカンの末端の分解が抑制される。なお、超音波処理工程S6において超音波を付与する時間(超音波処理時間)は特に限定されず、本例では5分以上20分以下の範囲内としている。超音波処理時間を長くするほど、微粒子の径、特に第1微粒子が小さくなることが確認されており、したがって、超音波処理時間を増減することにより微粒子の径を調整することができる。
超音波処理工程S6での超音波の周波数は高くても30kHzであることが好ましく、このような低周波数超音波を用いることにより、30kHzよりも高い周波数の超音波を用いる場合に比べて、β-グルカンの末端(主鎖の末端と側鎖の末端との少なくともいずれか一方)が酸化されにくく、還元性を保持した状態で処理されるので、構造がより確実に保持される。その結果、β-グルカンがより確実に得られる。超音波の周波数は、高くても28kHzであることがより好ましく、24kHz以上28kHz以下の範囲内であることがさらに好ましく、本例では24kHzとしている。
ここで、珪質頁岩15について説明する。本例の珪質頁岩15は微粒子であるので、接触処理工程S3及び超音波処理工程S6の処理効率を高める。粒径(不定形の粒の径のうち最も大きい径)は、特に限定されないが、例えば農業資材及びヒト免疫賦活活性用途等の多種多様な用途を考慮して、大きくても2mmであることが好ましく、100μm以上2mm以下の範囲内であることがより好ましく、0.5mm以上2mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。本例では0.5mm以上1mm以下の範囲内のものを用いている。なお、微粒子とは言えないほどの大きな塊(ブロック)状の珪質頁岩しか入手することができない場合には、酵母処理工程は、当該珪質頁岩を粒状に粉砕する粉砕工程を有してもよい。粉砕工程に用いる粉砕装置(図示無し)としては、珪質頁岩15を粉砕できるものであれば特に限定されず、市販の粉砕装置でもよい。珪質頁岩15の処理量(粉砕する量)、目的とする粒径及び粒度等とに応じて、粉砕機(ローラミル、ジェットミル、高速回転粉砕機、容器駆動型ミル等)と破砕機(ジョークラッシャ、バケットクラッシャ、ジイトレトリクラツシャ、コーンクラッシャ、ダブルロールクラッシャ、インパクトクラッシャ等)から選ばれる少なくとも2種を組み合わせて使用してもよい。例えば、(株)ホーライ製のインパクト型と二軸型との破砕機と高速回転粉砕機とを組み合わせ、粒度の調整を兼ねた粉砕を行うことができる。珪質頁岩15の代わりに、メソ孔を有する珪藻土を用いてもよい。
珪質頁岩15の細孔は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry、国際純正及び応用化学連合)においては、細孔径が2nm以下である細孔をミクロ孔(ミクロポア)、細孔径が2nm以上50nm以下である細孔をメソ孔(メソポア)、細孔径が50nm以上である細孔をマクロ孔(マクロポア)と分類される。この分類に基づいた場合に、珪質頁岩15は、ミクロ孔とメソ孔とマクロ孔とのいずれも有し、これらが共に存在している。マクロ孔を画定する内壁面にはメソ孔が形成され、メソ孔を画定する内壁面にはミクロ孔が形成されていると後述の細孔分布曲線等から考えられる。なお、メソ孔とミクロ孔とのそれぞれは、珪質頁岩15において独立して存在しているものもあり、また、ミクロ孔の中にはマクロ孔の内壁面に形成されているものもある。
珪質頁岩には細孔を画定する内壁面に微生物(細菌、菌類、ウイルスなど)などが付着している可能性があり、珪質頁岩の細孔の大きさはこれらの付着物の有無を考慮して測定することはできない。したがって、本例で原料として用いている珪質頁岩15の細孔の大きさの測定結果と、得られる酵母処理物13に含まれる、珪質頁岩15における細孔の大きさの測定結果とはごくわずかに差がある可能性はある。しかし、過熱水蒸気との接触処理は、微生物等の付着物は脱離しても、珪質頁岩15の成分自体を脱離させるものではないので、多孔質体成分における細孔の大きさは、原料である珪質頁岩15の細孔の大きさと同じものとみなすことができる。
原料である珪質頁岩15は、細孔半径が大きくても10μmである。珪質頁岩15は、図6に示すように、細孔半径と細孔容積との関係を示す細孔分布曲線において、細孔半径が0nmよりも大きく10nm以下の第1範囲に0.02cm/gを超える第1ピークと、100nm以上10μm以下の第2範囲に0.02cm/gを超える第2ピークとを有する。したがって、酵母処理物13に含有される多孔質体成分である珪質頁岩15も同様に、細孔半径が大きくても10μmである。なお、図6に示す細孔分布曲線は、加圧成型した珪質頁岩15におけるデータであるが、この点、マクロ孔とメソ孔とマイクロ孔とからなる細孔分布には加圧成型は影響を与えないと(公)幌延地圏環境研究所から報告を受けている。図6の縦軸は細孔容積、横軸は細孔半径であり対数表記としている。
珪質頁岩は、地理学的には珪藻土の一種として分類されており、珪藻土も細孔を有することが一般に知られている。稚内層珪質頁岩及び日本国内で産出される主な珪藻土は、表1に示す細孔特性をそれぞれ有する。表1の「珪藻土平均比表面積」は、秋田珪藻土、石川珪藻土、岡山珪藻土、大分珪藻土の4種の珪藻土の各比表面積x1の平均値av1であり、「比表面積の珪藻土平均に対する割合」は、x1/av1の算出式にて求める。表1の「珪藻土平均細孔容積」は、4種の珪藻土の各細孔容積x2の平均値av2であり、「細孔容積の珪藻土平均に対する割合」は、x2/av2の算出式にて求める。表1の「珪藻土平均細孔半径」は、4種の珪藻土の各平均細孔半径x3の平均値av3であり、「平均細孔半径の珪藻土平均に対する割合」は、x3/av3の算出式にて求める。表1は、幌延砂利工業株式会社(現在の株式会社セレア)が公益財団法人北海道科学技術総合振興センター幌延地圏環境研究所に成型珪質頁岩の分析を依頼し、当該研究所から幌延砂利工業株式会社への報告書より抜粋である。また、幌延町字上幌延の稚内層硬質頁岩は表2に示す基本性状を有する。表2の出典は(公)幌延地圏環境研究所からの上記報告書である。表1中の「稚内層珪質頁岩」及び表2中の「上幌延産出硬質頁岩」は上記幌延町字上幌延の稚内層硬質頁岩であり、本例で用いている珪質頁岩15である。なお、本例では、北海道幌延町字上幌延稚内層珪質頁岩を珪質頁岩15として用いている。ただし、原料として用いる珪質頁岩は、本例の珪質頁岩15に限定されず、例えば上記の第2ピークをもたない珪藻土及び珪質頁岩でもよいし、細孔半径が0nmよりも大きく10nm以下の第1範囲にピークはあるもののそのピークが0.02cm/gよりも小さい珪藻土及び珪質頁岩でもよい。
Figure 2023095480000002
Figure 2023095480000003
珪質頁岩15は特に限定されないが、前述の稚内層珪質頁岩を用いることが上記の細孔をもつことから好ましい。本例で用いている珪質頁岩15の物性を表3に示す。表3に示す物性値は、北海道立工業試験場及び北海道立中央農業試験場(現、地方独立行政法人北海道立総合研究機構内)による分析結果をまとめて一覧にしたものである。
表3の「吸水率」は、北海道立工業試験場での分析結果である。分析方法は、試料を乾燥後、24時間吸水させて、表面の水分を除去した後に試料の重量を測定した。その後、150℃に設定した乾燥機により8時間乾燥し、乾燥した試料の重量を測定した。乾燥前の重量と乾燥後の重量とから吸水率を求めた。なお、試料は、粒径1mmの試料と8mmの試料との2種類であり、粒径1mmについては試料2つの吸水率の平均値、粒径8mmについては試料4つの吸水率の平均値である。
表3の「吸湿率」は、北海道立工業試験場での分析結果である(工試成績第193123号)。試験方法は、絶乾試料1gを秤量びんに精秤し、温度25℃一定の恒温恒湿槽内で、湿度を24時間毎に90%RH、50%RHと変化させた。それぞれの雰囲気における試料の質量を測定し、以下の算出式で吸湿率を算出した。
吸湿率(%)=100×吸湿量/絶乾質量
表3の「塩基交換容量」は、北海道立中央農業試験場での分析結果である(中農環保第1-42号)。分析法は、「土壌および作物栄養の診断基準-分析法(改訂版)-」(北海道農政部、道立中央農試、1992)による。この分析法(土壌分析法)は、酢酸アンモニウム抽出-ショーレンベルガー法-ホルモル滴定法を用いている。
表3の「有効水分量」は、北海道立中央農業試験場での分析結果である(中農環保第1-37号)。分析法は、「土壌および作物栄養の診断基準-分析法(改訂版)-」(北海道農政部、道立中央農試、1992)による。この分析法(土壌分析法)では、100ml採土管に試料現物を詰め、飽水後、三相計で気相を測り、以降、遠心法でpF3段階について測定した。最後に105℃で熱乾燥し、含水量を測定した。pF0の含水量は飽水時の含水量と気相割合を加えた値とした。
Figure 2023095480000004
酵母処理物13は、例えば図7に示す酵母処理設備(以下、単に「処理設備」と称する)31により得ることができる。処理設備31は、酵母原料11を処理して酵母処理物13を得るためのものであるとともに、農業資材の製造設備及び生育促進組成物の製造設備でもある。
処理設備31は、混合含水装置32と、過熱水蒸気接触処理装置(以下、単に「接触処理装置」と称する)33と、超音波処理装置34とを備える。処理設備31は、本例のように成形工程S2bと凍結工程S2cとを行う場合には成形凍結装置35を備える。
混合含水装置32は、混合工程S1及び含水工程S2aのためのものであり、酵母原料11に珪質頁岩15を混合して混合物17とし、この混合物17に水36を含ませる。混合含水装置32の代わりに、含水工程S2aのための含水装置(図示無し)と混合工程S1のための混合装置(図示無し)とを用いてもよい。
混合含水装置32は、酵母原料11と水36と珪質頁岩15とを収容するための容器(図示無し)と、この容器内に収容された収容物を攪拌する攪拌機(図示無し)とを備える。攪拌機は、容器内に配される例えば攪拌翼(図示無し)と、攪拌翼が周面に固定されて攪拌翼を支持する棒状の支持部材(図示無し)と、この支持部材を周方向に回転することで攪拌翼を容器内で回転移動させる駆動部(図示無し)とを有する。混合含水装置32は、例えば、混合含水装置32の容器に、酵母原料11と珪質頁岩15とを入れ、攪拌翼で攪拌することにより混合工程S1を実施し、混合物17とする。含水工程S2aは、混合物17に水36を加え、例えば24時間静置することにより、混合物17、特に珪質頁岩15に十分保水(吸水)させ、このようにして含水工程S2aを実施する。水36は、混合物17の全量が浸る程度に容器に入れることが好ましい。なお、含水工程S2aで容器に入れた水36の一部が混合物17に保水されずに残った場合には、容器から排出してもよいし、成形工程S2bで成形できる程度の水分残量であれば排出せずに成形工程S2bにそのまま供してもよい。珪質頁岩15に保水させることにより、接触処理工程S3での接触処理において珪質頁岩15が酸化を抑制されて、酸化還元電位が混合工程S1に供したときよりも低下した還元領域を示す還元性珪質頁岩により確実になる。
成形凍結装置35は、成形する塊の型が凹みとして複数形成された型枠材(図示無し)と、この型枠材を収容し、温度調整機構(図示無し)が搭載された冷凍機(図示無し)とを備える。型枠材はトレー状に形成され、それぞれの凹みに、含水した混合物17が入れられることにより、凹みが混合物17の塊の型として機能する。このようにして、成形工程S2bが実施される。成形工程S2bは、市販の混練押出機により実施することもできる。混練押出機では、含水した混合物17を混練して先端の押出部から例えば5mm径に押し出し、長さ5mm程度に切断することにより円柱状に成形するなどの手法も用いることができる。冷凍機は、混合物17が入れられた状態の型枠材を収容する。冷凍機は、温度調整機構によって、混合物17が凍結する例えば-5℃などのマイナス領域の温度に調整され、これにより、混合物17で冷凍機に入れられ、混合物17が凍結する。このようにして凍結処理工程S2cが実施される。
含水工程S2aと成形工程S2bとを並行する場合には、例えば市販のパン造粒機などを用いてもよい。パン造粒機としては湿式造粒を行う湿式パン造粒機を用いる。
接触処理装置33は、接触処理工程S3のためのものである。接触処理装置としてはバッチ(回分)式の接触処理装置と連続式の接触処理装置とのいずれも用いることができ、接触処理装置33はバッチ式のものとしている。接触処理装置33は、接触処理部37と過熱水蒸気供給部38等で構成されている。過熱水蒸気供給部38は過熱水蒸気を接触処理部37に供給するためのものであり、接触処理部37と接続している。接触処理部37は、過熱水蒸気供給部38によって供給された過熱水蒸気を、水36を含んでいる混合物17に接触させることにより、混合物17を昇温させる。これにより混合物17に含まれている酵母原料11の酵母細胞壁が層間剥離するとともに、珪質頁岩15の酸化還元電位が低下する。
過熱水蒸気供給部38は接触処理装置33に備えられているが、過熱水蒸気供給部38は接触処理部37と接続していれば接触処理装置33の外部に設けられた外部装置であってもよい。なお、接触処理装置33の詳細は、別の図面を用いて後述する。
超音波処理装置34は、接触処理工程S3を経た混合物17を収容するための容器(図示無し)と、この容器に設けられた複数の超音波発振子(図示無し)と、超音波発振子に所定の周波数の超音波を発振させることで容器内の収容物に超音波処理を施す制御部(図示無し)とを備える。超音波処理工程S6は、超音波処理装置34の容器内に水36と接触処理工程S3を経た混合物17を収容し、超音波を発振させることにより、容器内の収容物に超音波処理を行う。超音波処理装置34としては市販のものを用いてよく、本例でも市販品(CGOLDENWALLのUltrasonic NBK 超音波ホモジナイザー、16mmプローブ(24kHz))を用いている。
接触処理装置33について、図8を参照しながら説明する。過熱水蒸気供給部38は、接触処理工程S3(図1参照)を実施する装置の一例である。接触処理装置33は、液体の水から過熱水蒸気23を生成する水蒸気生成部51と、バルブ52と、水蒸気生成部51及びバルブ52を統括して制御するコントローラ53とを備える。水蒸気生成部51には液体の水が供給され、コントローラ53の制御のもと、生成する過熱水蒸気23の量、及び過熱水蒸気23の温度が調節される。また、バルブ52は、コントローラ53によって開度(開閉を含む)が制御され、これによって接触処理部37へ供給する過熱水蒸気23の流量(供給流量)が調節される。なお、バルブ52を例えば全開など一定の開度に保持して、水蒸気生成部51での過熱水蒸気23の生成速度を調節することにより、接触処理部37へ供給する過熱水蒸気の流量を調節してもよい。
接触処理部37は、処理部本体56と処理部本体56を支持する支持台57とを備える。処理部本体56は、混合物17が載置される3つの載置具58A~58Cと、載置具58A~58Cを支持する板状の支持部材61と、過熱水蒸気23を載置具58A~58Cに供給する供給管62とを備える。3つの載置具58A~58Cは、鉛直方向すなわち上下方向において間隔を空けて配され、下から順に符号58A,58B,58Cを付す。なお、以降の説明において、載置具58A~58Cを区別しない場合には載置具58と記載する。載置具58を複数配する場合には本例のように上下方向に間隔を空けて設置することが好ましい。載置具58の数は限定されず、接触処理工程S3に供する混合物17の量などに応じて決定すればよい。
支持部材61は、載置具58を支持するためのものであり、一対設けている。この例では、供給管62の先端開口である過熱水蒸気23の送出口62оが載置具58Aの下方に位置するように供給管62を配置する目的で、支持部材61を支持台57上に設けている。支持部材61は、起立した姿勢で支持台57に固定され、一対の支持部材61の互いに対面する対面壁には載置具58を支持する突起61aが形成されている。一対の支持部材61は、突起61aの高さが互いに等しくされており、載置具58は姿勢を維持した状態で床面から浮いた状態で支持される。突起61aの形状は特に限定されず、本例では水平方向に延びて形成しており、載置具58がこの突起61aに沿ってスライド移動し、支持部材61に対して着脱自在となっている。なお、一対の支持部材61が対面する方向をX方向とする。
載置具58は、上面が開放した箱状に形成されており、メッシュ部材58aと、メッシュ部材58aに張力を付与した状態で支持するフレーム58bとを備える。載置具58は60cm×40cm×高さ8cmの外寸であるが、載置具58の大きさは特に限定されない。フレーム58bは、メッシュ部材58aに対して斜めに起立した姿勢となっており、これにより、上記の突起61aに支持されるとともに、載置された混合物17の載置具58からの落下を抑制している。ただし、混合物17を載置する量が少ない場合などには落下しにくいから、落下の可能性に応じて、フレーム58bの代わりに、メッシュ部材58aと同様に水平方向に平坦なフレームを用いてもよい。
メッシュ部材58aは、混合物17を保持するとともに、下方からの過熱水蒸気23を混合物17に案内するためのものである。メッシュ部材58aは、厚み方向に貫通した貫通孔としての網目を複数有し、これらの各網目は、過熱水蒸気23を通過させる。この例では、過熱水蒸気23は後述するように載置具58Aの下面に向かって供給管62の送出口62оから送出され、メッシュ部材58aの網目により載置具58の上面側に案内される。その結果、過熱水蒸気23はメッシュ部材58a上の混合物17に接触する。このように、載置具58は過熱水蒸気23を接触させる間の混合物17を支持する支持部材として機能し、網目が、送出された過熱水蒸気23を混合物17へ案内する案内路として機能する。なお、メッシュ部材58aは矩形であるが、矩形以外の例えば円形であってもよい。
メッシュ部材58aは、例えば金属で形成された網であり、フレーム58bも金属で形成されている。金属としては、過熱水蒸気23と接触しても溶解せずに形状を保持できるものであれば特に限定されない。本例のメッシュ部材58a及びフレーム58bの素材はステンレス鋼である。メッシュ部材58aは混合物17を支持する支持部材として機能するために、網目は混合物17が通過しない大きさとする。混合物17が通過してしまう場合には、複数のメッシュ部材58aを、互いの網目がずれた位置となる状態に、厚み方向に重ねて配し、複数のメッシュ部材58aの各網目よりも小さい網目を形成してもよい。なお、メッシュ部材58aは、混合物17が通過しない大きさのものとする。
メッシュ部材58aは多孔部材の一例であり、多孔部材はメッシュ部材58aに限られない。例えば、金属板に例えばパンチング処理によって孔を複数形成した多孔板でもよい。また、多孔板を厚み方向に複数重ねて用いてもよいし、多孔板とメッシュ部材58aとを厚み方向に重ねて用いてもよい。
供給管62は過熱水蒸気供給部38に接続し、送出口62оが載置具58の下面に向くように配されている。載置具58を本例のように複数設けた場合には、供給管62を複数の載置具58の各々の下方に供給管62を設置して各々の下面に送出口62оを向けてもよい。しかし、過熱水蒸気23は送出口62оから送出されると上方へ向かうので、供給管62は、複数の載置具58のうち最も下の載置具38Aにのみ配する態様であっても、過熱水蒸気23はすべての載置具58A~58C上の混合物17に案内されるので十分である。
供給管62は、本例では、水平面上で交差する2方向のうちの一方において対面するように2つが一対の支持部材61の個々の下方に設けられており、個々の送出口62оは、X方向において支持部材61よりも内側に位置している(図9参照)。これにより、送出口62оから出た過熱水蒸気23は、板状の支持部材61により一対の支持部材61の間で上方に向けて案内される。そのため、載置具58A~58Cに載置されている混合物17に案内されて接触するとともに、送出された過熱水蒸気23が混合物17への接触に無駄なく利用される。また、この構成によると、過熱水蒸気が下方から上向きに供給されるので、水を多く含んだ混合物17であっても、処理空間の温度が均一になりやすく、混合物17に対してより均等に接触処理が行われる。
混合物17に過熱水蒸気23が接触することにより、混合物17は各粒の中央まで加熱されて、混合物17に含まれていた液体の水36(図7参照)が気体の水、すなわち水蒸気になる。水36を含んでいる混合物17に過熱水蒸気23を接触させることにより、酵母原料11の酵母細胞壁において層間剥離が生じる。
処理空間の温度は、160℃以上300℃以下の範囲内であることがより好ましく、170℃以上250℃以下の範囲内であることがさらに好ましく、180℃以上230℃以下の範囲内であることが特に好ましい。処理空間の温度は、載置台58周辺の温度を検出し、この検出した温度を処理空間の温度とみなしてよい。載置台58周辺の温度は、例えば、支持部材61の載置具58が設置される側の壁面に温度センサ(図示無し)などを設けて検出することができる。
水蒸気生成部51で生成される過熱水蒸気23の流量の最大値は、過熱水蒸気23の温度により変化し、またこの変化の程度は用いる水蒸気生成部51によって異なる。例えば、過熱水蒸気23の温度が100℃低下すると1.5倍増加する水蒸気生成部51もある。また、流量調節は再現性に乏しい。そのため、過熱水蒸気23の温度と過熱水蒸気23を生成させるための液体の水量とは一定として行うようにしている。
供給される過熱水蒸気23の温度は、水蒸気生成部51において調節した水蒸気の温度に加えて、バルブ52の開度制御による流量の調節にも依存する。そこで、過熱水蒸気23の温度は、バルブ52の開度制御によって、より精緻に制御することが好ましく、本例でもそのようにしている。具体的には、例えば支持部材61に設けた前述の温度センサ(図示無し)の検出結果に基づいて、コントローラ53によりバルブ52の開度を調節するとよい。過熱水蒸気23の温度を高める場合には、バルブ52の開度を小さくする方に調節し、温度を低くする場合には、開度を大きくする方に調節する。過熱水蒸気23は、水蒸気生成部51で生成されてから載置具58に至るまでの間に温度が下降する場合があり、そのような場合には、温度の下降分を考慮して、水蒸気生成部51から送り出す過熱水蒸気の温度を水蒸気生成部51により調節するとよい。
過熱水蒸気23との接触による接触処理効率をより向上し、かつ、混合物17に含まれている酵母原料11の層間剥離をより進ませるために、送出口62оと最も下の載置具58Aとの距離はできるだけ小さくする方が好ましい。
板状の支持部材61は、載置具58を支持する観点では、例えば起立した姿勢の柱状(棒状)部材でもよい。このような柱状の支持部材の場合や本例の支持部材61を用いた場合には、支持部材と支持部材との間は開放されているので、過熱水蒸気23と混合物17との接触処理がなされる接触処理空間は開放系である。また、接触処理空間は、外部空間と仕切る閉鎖系であってもよい。閉鎖系とする場合には、例えば載置具58を囲むようにして、接触処理空間を外部空間から仕切る箱状の仕切部材を用いるとよい。この仕切部材の下面は、過熱水蒸気23を導入するために開放するとよい。また、この仕切部材の上面は閉じていてもよいが、水36が蒸発した水蒸気の排出を促すために、仕切部材の上面に開口を設け、この開口から水蒸気を自然排出したり、この開口に気体を吸引する吸引機構を設けて水蒸気を吸引してもよい。また、供給管62の位置は、載置具58のうち最も上の載置具58Cよりも上にしてもよい。ただし、混合物17に含まれている水が蒸発した際により効果的に処理空間外へ排出される観点で、供給管62は載置具58Aの下方に配することが好ましい。
過熱水蒸気23の混合物17に対する接触の時間、すなわち接触処理工程S3の時間は特に限定されないが、少なくとも10分であることが好ましい。これにより、層間剥離がより進む。接触処理工程S3の時間は、少なくとも15分であることがより好ましい。
処理設備31はバッチ式である上記の接触処理装置33を備えるが、接触処理装置33の代わりに連続式の接触処理装置を備えてもよい。図10において、連続式の接触処理装置85は、処理対象物である混合物17に過熱水蒸気を接触させることができるものであれば特に限定されない。接触処理装置85は、混合物17を搬送する搬送部86と、搬送中の混合物17に過熱水蒸気23(図8参照)を接触させる接触処理部87とを備えるコンベア式接触処理装置である。
搬送部86は、混合物17が載置され、長尺かつ環状に形成された帯状の搬送ベルト90と、搬送ベルト90に上方から混合物17を供給するホッパ91と、搬送ベルト90を支持して搬送路を形成する複数のローラ92a~92iとを備え、ローラ92a~92iのうちの少なくともひとつが、モータ93を有する駆動ローラとされている。図10には、混合物17の搬送方向(以下、単に搬送方向と称する)における最も上流のローラ92aと最も下流のローラ92iとを駆動ローラとして描いている。搬送部86は、モータ93により駆動ローラを周方向に回転させる駆動コントローラ94と、回収容器96等をさらに備える。駆動コントローラ94により駆動ローラを回転させることにより、駆動ローラの周面に接する環状の搬送ベルト90は循環するように走行する。これにより、ホッパ91から搬送ベルト90上に載置された混合物17は搬送され、搬送ベルト90の走行路の一端側の下方に設けられた回収容器96に回収される。
搬送ベルト90はメッシュ部材58a(図8参照)が長尺かつ環状に形成されたものである。接触処理部87は、過熱水蒸気23を混合物17に接触させる処理空間を、搬送ベルト90の上方に形成するように設けられている。この例では、接触処理部37における一対の支持部材61が、上記処理空間を形成するように、搬送ベルト90の幅方向における両端側に起立した姿勢で設けられている。この例の支持部材61は、処理空間を外部空間から区画して形成するためのものである。搬送方向における支持部材61の長さL61は、搬送路の長さ、搬送速度等に応じて適宜設定すればよい。さらに、一対の支持部材61の間の上部に天板を設けて、処理空間をトンネル状に形成してもよい。
過熱水蒸気23を処理空間に供給するための供給管62は、搬送ベルト90の下方かつ搬送ベルト90の幅方向における両側に、一対設けられている。接触処理部37における場合と同様に、支持部材61の下方の供給管62は、過熱水蒸気23を送出する送出口62о(図8参照)が、混合物17が載置される搬送ベルト90の下面に向くように上向き傾斜した姿勢で配されている。これにより、送出口62оから出た過熱水蒸気23が搬送ベルト90の網目を通過して搬送ベルト90上の混合物17に接触する。このようにして処理空間は搬送ベルト上に形成されている。搬送方向における供給管62の数はこの例では1つであるが、2つ以上であってもよい。
本例では、過熱水蒸気23の温度、時間当たりの過熱水蒸気23の生成量及び送出口62оにおける温度は固定している。ただし、混合物17の含水率により処理空間の出口(搬送方向における支持部材61の下流端)の温度は変化する。入口温度は、低くても160℃、すなわち160℃以上であることが好ましく、混合物17の処理効率の観点においては160℃以上300℃以下の範囲内であることがより好ましく、170℃以上250℃以下の範囲内であることがさらに好ましく、180℃以上230℃以下の範囲内であることが特に好ましい。出口の温度を検出することができない場合には、搬送ベルト90の上部や搬送ベルト90の幅方向における支持部材61の内側面に温度センサ(図示無し)を設けて搬送ベルト90周辺の温度を検出し、この検出した温度を出口の温度とみなしてもよい。送出口62оにおける温度と出口との両方に温度センサを設置することが望ましい。
過熱水蒸気23の温度と過熱水蒸気23を生成させるための液体の水の量とは一定としている。この一定条件下において、混合物17の含水率により出口の温度は変化する。出口の温度変化を指標として、処理を開始した後出口の温度は低下し、その後、やがて上昇する。この上昇の開始までは、層間剥離が主として進む。出口の温度が上昇し始めてから入口の温度程度に達する間は、混合物17は乾燥及び一部が焙焼(成分である珪質頁岩が還元される還元焙焼)される。有機物の分解には、送出口62оの温度、含水率の高い状態での過熱水蒸気23の接触処理、出口の温度変化に応じた取り出し時期を考慮して、搬送ベルト90の搬送速度等を設定することがより好ましい。
上記構成によると、層間剥離と、β-グルカン層からの外層及び内層の脱離とが効率的かつ効果的になされる。また、得られる酵母処理物13は、0%よりも大きく10%以下の濃度の水分散液(懸濁液)として得られた場合、及び、一旦乾燥してから水を加えて当該濃度の水分散液(懸濁液)とした場合には、さらに水を加えても凝集性が認められない。具体的には、1000倍希釈まで凝集性は認められないことを確認しており、また、10%濃度の水分散液である酵母処理物13を1000倍希釈した場合には、チンダル現象を確認している。したがって、β-グルカンの疎水性が維持され、酵母処理物13は分散性が極めて高いことがわかる。そのため、酵母処理物13は、適度な疎水性と極めて細かい微粒子が水に分散する微小分散性とが必要とされる、植物の細胞膜の透過性能をもつ。さらに、例えば5μm前後といわれるヒト腸管細胞の間隙を通過することが期待される。よって、生育促進組成物などとしての農業資材として有用であり、ヒト免疫賦活活性用途への展開など、様々な用途展開の可能性が広がる。
[評価実験1]
上記の方法により、水に微粒子が分散した分散液を酵母処理物13として製造した。酵母原料11は、市販されている日本国産ビール酵母の酵母細胞壁であった。この酵母処理物13を、農業資材として評価した。具体的には、酵母処理物13を農作物の葉面に散布する葉面散布剤に用い、農作物の生育促進組成物としての評価を以下のように行った。
まず、水及び微粒子を含む上記の酵母処理物13を成分として用いた葉面散布剤サンプルを、葉面散布剤である市販の液体肥料(以下、液肥と称する)の保証成分票に基づいて調製した。調製した葉面散布剤サンプル(以下、葉面散布剤サンプル1とする)を以下の各農作物に対して葉面散布し、農作物の生育状態を後述の対照実験と比べて評価した。上記の市販の液肥は、公定規格の液体微量要素複合肥料として微量要素(成分)が添加され、ホウ素(B)とマンガン(Mn)とを含有するもの(以下、BM型液肥と称する)であり、「ナイトソイルBM (B:Mn=0.4:0.5)」(製造元は(株)セレア)である。この市販の液肥は、ホウ素とマンガンの比率が、B:Mn=0.4:0.5(単位は液肥中における%)であったので、調製した葉面散布剤サンプル1についても同様にした。
1.イチゴ
イチゴは苗毎に隔離し、高設栽培した。高設栽培は、例えば栽培及び収穫を容易にする目的で、本圃を腰の高さの位置に作って行う栽培であり、イチゴでは広く行われている。栽培したところ、葉面散布剤サンプル1の散布後、地上部の生育抑制が認められたものの、後述の対照実験と比べて、果実を収穫することができる収穫期間が長くなり、その結果、収量が対照実験に比べて多く、良好であった。
また、生育状態の評価に加えて、葉面での吸収性と植物体の細胞の細胞膜における透過性とを下記のように評価した。
(a)葉面での吸収性
葉面散布剤サンプル1を水で20倍に希釈することにより希釈液をつくり、この希釈液をイチゴの本葉へ滴下した。目視で観察した結果、葉面での吸収が対照実験1よりも速く、30分以内に希釈液は本葉に吸収され、残存は認められなかった。
(b)細胞膜における透過性
市販されている浸透性殺菌剤の単独使用において薬害の発生しない2000倍液に、葉面散布剤サンプル1を2000倍に希釈した希釈液を展着剤として添加し、イチゴの本葉へ散布した。なお、上記の浸透性殺菌剤の説明書には、展着剤の使用により薬害が発生することから単独使用を推奨することが記載されており、高感受性作物としてイチゴが記載されていた。散布後の本葉を目視で観察した結果、2000倍希釈で明瞭な薬害症状が確認され、細胞膜透過性があるとの評価結果が得られた。
2.タマネギ(品種:ソニック)
兵庫県において2021年に早生種である上記品種のタマネギを作付けし、梅雨期の前に収穫した。栽培中の3月から干ばつがあったが、対照実験1と比べて立根の伸長が非常に促進され、干ばつ後の収穫においては、対照実験1と比べて120%の収量(45株の総鱗茎重量であり、7.63kgだった)となり、極めて良好であった。太根が多く、かつ、伸長していることから干ばつ対策に有効であることがわかった。
3.ナス(品種:筑陽)
熊本県上益城郡施設栽培圃場において、2020年から2021年にかけて評価を実施した。具体的には、葉面散布剤サンプル1を1000倍に希釈して希釈液とし、茎葉部に散布した。黒枯病の発生がなく、2020年9月から2021年7月上旬までの間、安定して収穫され、10a(アール、10a=1000m)あたり29t(トン)の収量であった。
4.ズッキーニ
千葉県山武郡施設栽培圃場で評価を実施した。幼苗期の茎葉部への散布により、葉に加えて根部からの作用も図り、評価した。散布の直後に萎凋がみられたものの、翌朝には回復し、以後の生育は極めて良好で、対照実験1に対して約120%の収量となった。胴部の肥大と食味が極めて良好であった。
5.サツマイモ
兵庫県において2021年に評価した。収穫予定30日前に茎葉部に散布した。2021年は、肥大期に入ってからの干ばつで全国的には不作の年であったが、本評価実験では、1株当たりの塊根量が0.89kgであり、収量は対照実験1よりも極めて多かった。
6.イネ
収穫量は、10aあたりの平均精米重は、約533kgであった。
[比較実験1]
混合工程S1と予備工程S2とを実施しない製造方法で酵母処理物を製造した。すなわち、この酵母処理物は珪質頁岩15を含有せず、含水工程S2aを経ていない。その他の条件は評価実験1と同じであり、結果は以下である。
1.イチゴ
対照実験1と比べて地上部の生育がやや抑制され、収量は対照実験1とほぼ同じであった。
また、評価実験1と同じく、葉面での吸収性と植物体の細胞の細胞膜における透過性とを評価した。
(a)葉面での吸収性
葉面での吸収が遅かったが、滴下後30分以内には多くが吸収された。しかし、メイラード反応物が葉面の滴下部に残存した。
(b)細胞膜における透過性
評価実験1における葉面散布剤サンプル1の代わりに、上記酵母処理物を用いた葉面散布剤サンプル(以下、比較葉面散布剤サンプル1とする)をつくり、この比較葉面散布剤サンプル1を2000倍に希釈した希釈液をつくって展着剤とした。その他の条件は評価実験1と同じである。散布後の本葉を目視で観察した結果、薬害症状は確認されず、細胞膜に対する透過性は葉面散布剤サンプル1と比較して低いとの評価結果を得た。
2.タマネギ(品種:ソニック)
対照実験1と比べて立根の伸長は見られたものの、収量(塊茎の収量)は対照実験1の80%程度(5.55kg)であった。
3.ナス(品種:筑陽)
黒枯病の発生がなく、樹勢の低下は見られなかったが、10aあたりの収量は22tであり、対照実験1と概ね同等であった。
4.ズッキーニ
対照実験1と収量及び品質は同等であった。
5.サツマイモ
株当たりの塊根量で、対照実験1よりも増加したが葉面散布剤サンプル1よりも減少した。
6.イネ
収穫量は、対照実験1よりやや増加した程度であった。
[対照実験1]
上記の市販の液肥(BM型液肥)を用いて栽培した。その他の条件は、評価実験1と同じである。
1.イチゴ
評価実験1の葉面散布剤サンプル1の代わりに上記の市販の液肥を用いた。その他の条件は評価実験1と同じである。収量は前年(2020年)比で101であった。この前年比は、前年の収量を100としたときの値である。
また、評価実験1と同じく、葉面での吸収性と植物体の細胞の細胞膜における透過性とを評価した。
(a)葉面での吸収性
葉面での吸収は非常に遅く、メイラード反応物が葉面の滴下部に残存した。
(b)細胞膜における透過性
評価実験1における葉面散布剤サンプル1の代わりに上記の市販の液肥を用い、2000倍の希釈液をつくって展着剤とした。その他の条件は評価実験1と同じである。散布後の本葉を目視で観察した結果、薬害症状は確認されず、細胞膜透過性は葉面散布剤サンプル1と比較して低いとの評価結果を得た。
2.タマネギ(品種:ソニック)
立根は比較実験1よりも少なく、伸長も劣った。45株の総鱗茎重は6.20kgであった。
3.ナス(品種:筑陽)
収穫の最盛期から樹勢の低下が続き、一時、黒枯病が発生した。10aあたりの収量はは23tであった。
4.ズッキーニ
収量は前年(2020年)比で97であった。
5.サツマイモ
収穫はできたが、前年に対して約20%の減収となった。
6.イネ
収穫量は、10aあたりの平均精米重は約348kgであった。
[評価実験2]
評価実験1で用いた酵母処理物13と同じ酵母処理物13を成分として用いた葉面散布剤サンプルを、リン(P)とカリウム(K)とを添加した市販の液体複合肥料(以下、リン・カリ液体複合肥料と称する)の保証成分票に基づいて調製し、下記の各農作物に葉面散布した。その他の条件は、評価実験1と同じである。調製した葉面散布剤サンプルを、葉面散布サンプル2とする。上記のリン・カリ液体複合肥料は、家庭園芸用複合肥料「ネオエスプラス (N:P:K=0.5:5:4)」(製造元は(株)STRAW)である。このリン・カリ液体複合肥料は、窒素(N)とリン(P)とカリウム(K)との比率が、N:P:K=0.5:5:4(単位は肥料中における%)であったので、調製した葉面散布剤サンプル2についても同様にした。
(1)イチゴ
対照実験2よりも収穫期間が長く、延長期間が長くなった分が増収分となった。。
(a)葉面での吸収性
吸収が対照実験2よりも速く、30分以内に希釈液は本葉に吸収され、残存は認められなかった。
(b)細胞膜における透過性
2000倍希釈で明瞭な薬害症状が確認され、細胞膜透過性があるとの評価結果を得られた。
2.タマネギ(品種:ソニック)
対照実験2と比べて立根の数及び伸長が非常に促進され、45株の総鱗茎重で対照実験2よりも約20%の増収となった。
3.ナス(品種:筑陽)
黒枯病の発生がなく樹勢低下も認められなかった。対照実験2よりも約20%の増収となった。
4.ズッキーニ
対照実験2よりも約10%収量が多く、食味も対照実験2よりも良好であった。
5.サツマイモ
1株当たりの塊根量は対照実験2よりも多く、1.2kgであった。
6.イネ
10aあたりの平均精米重は550kgと、対照実験2を大幅に上回った。
[比較実験2]
混合工程S1と予備工程S2とを実施しない製造方法で酵母処理物を製造した。すなわち、この酵母処理物は珪質頁岩15を含有せず、含水工程S2aを経ていない。その他の条件は評価実験2と同じであり、結果は以下である。
1.イチゴ
対照実験2と比べて地上部の生育がやや抑制され、収量は対照実験2とほぼ同じであった。
(a)葉面での吸収性
葉面での吸収が遅かったものの、滴下後30分以内には多くが吸収された。しかし、メイラード反応物が葉面の滴下部に残存した。
(b)細胞膜における透過性
評価実験2における葉面散布剤サンプル2の代わりに、上記酵母処理物を用いた葉面散布剤サンプル(以下、比較葉面散布剤サンプル2とする)をつくり、この比較葉面散布剤サンプル2を2000倍に希釈した希釈液をつくって展着剤とした。その他の条件は評価実験2と同じである。薬害症状は確認されず、細胞膜透過性は無いとの評価結果であった。
2.タマネギ(品種:ソニック)
対照実験2と比べて立根の伸長は見られたものの、収量(塊茎の収量)は対照実験2よりも少なく、4.38kgであった。
3.ナス(品種:筑陽)
黒枯病の発生がなく、収量は対照実験2と概ね同等であった。
4.ズッキーニ
対照実験2と収量及び品質は同等であった。
5.サツマイモ
1株当たりの塊根量は、0.84kgであった。
6.イネ
10aあたりの平均精米重は約491kgであった。
[対照実験2]
上記のリン・カリ液体複合肥料を用いて栽培した。その他の条件は評価実験2と同じである。
1.イチゴ
前年(2020年)比で98の収量であった。
(a)葉面での吸収性
葉面での吸収は非常に遅く、メイラード反応物が葉面の滴下部に残存し、葉裏まで浸潤した。
(b)細胞膜における透過性
薬害症状は確認されず、細胞膜透過性は葉面散布剤サンプル2よりも低いとの評価結果であった。
2.タマネギ(品種:ソニック)
比較試験2より立根の数が少なく伸長も劣った。収量(塊茎の収量)は約6kgであった。
3.ナス(品種:筑陽)
収穫の最盛期から樹勢の低下が続き、一時、黒枯病が発生した。10aあたりの収量はは約20tであった。
4.ズッキーニ
収量は前年(2020年)比で約97であった。
5.サツマイモ
収量は前年(2020年)比で82~85であり、1株当たりの塊根量は0.39kgであった。
6.イネ
10aあたりの平均精米重は約333kgであった。
11 酵母原料
13 酵母処理物
15 珪質頁岩
17 混合物
31 処理設備
32 混合含水装置
33、85 接触処理装置
34 超音波処理装置
35 成形凍結装置
36 水
37 接触処理部
38 過熱水蒸気供給部
S1 混合工程
S2 予備工程
S2a 含水工程
S2b 成形工程
S2c 凍結処理工程
S3 接触処理工程
S6 超音波処理工程

Claims (5)

  1. 酵母と酵母の成分との少なくともいずれか一方の酵母原料と、珪質頁岩とを混合して混合物とする混合工程と、
    前記混合物に水を含ませる含水工程と、
    含水した前記混合物に、過熱水蒸気を接触させる接触処理工程と、
    前記接触処理工程を経た前記混合物に水を加えてから、超音波処理を行う超音波処理工程と
    を有することを特徴とする酵母処理方法。
  2. 前記混合物を塊状に成形する成形工程を前記接触処理工程の前に有し、
    塊状の前記混合物を前記接触処理工程に供する請求項1に記載の酵母処理方法。
  3. 前記混合物を凍結する凍結処理工程を前記接触処理工程の前に有し、
    凍結状態または凍結後に解凍した前記混合物を前記接触処理工程に供する請求項1または2に記載の酵母処理方法。
  4. 酵母原料と珪質頁岩との混合物に水を含ませた後に、過熱水蒸気を接触させ、前記過熱水蒸気の接触の後に、水を加えた状態で超音波処理を施されて得られ、
    前記酵母原料が酵母と酵母の成分との少なくともいずれか一方である酵母処理物。
  5. 酵母細胞壁由来のβ-グルカンで構成される複数の第1微粒子と、
    前記酵母細胞壁由来のα-ガラクトマンノプロテインを含有する複数の第2微粒子と、
    前記酵母細胞壁を有する酵母の細胞膜由来の複数の第3微粒子と、
    珪質頁岩の微粒子と
    を備える組成物。
JP2021211401A 2021-12-24 2021-12-24 酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物 Pending JP2023095480A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021211401A JP2023095480A (ja) 2021-12-24 2021-12-24 酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021211401A JP2023095480A (ja) 2021-12-24 2021-12-24 酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023095480A true JP2023095480A (ja) 2023-07-06

Family

ID=87002593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021211401A Pending JP2023095480A (ja) 2021-12-24 2021-12-24 酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023095480A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101282645B (zh) 改良的抗真菌组合物
RU2167531C2 (ru) Способ производства сушеных припасов из плодово-ягодного сырья
CN109890971B (zh) 富里酸溶液的制造方法以及富里酸溶液
CN101842476A (zh) 用于递送生物防治真菌以减少黄曲霉毒素的水分散性制剂
CN109010385B (zh) 一种灵芝粉的制备方法
CN104222076A (zh) 一种甲基营养型芽孢杆菌可湿性粉剂及其制备方法和应用
Oluwaseun et al. Effects of Opuntia cactus mucilage extract and storage under evaporative coolant system on the shelf life of Carica papaya fruits
CN103975970A (zh) 一种植物源抑菌杀菌剂的制备方法及在平菇生产中的应用
De Corato et al. Use of alginate for extending shelf life in a lyophilized yeast-based formulate in controlling green mould disease on citrus fruit under postharvest condition
RU2424660C1 (ru) Композиция для обработки растений и плодов и способы повышения урожая плодоовощной и растениеводческой продукции и увеличение срока его хранения
Rudoy et al. Overview of methods of wheat grain conservation in early stages of ripeness
JP2023095480A (ja) 酵母処理方法、酵母処理物、及び組成物
US12274213B2 (en) Horticultural hydrogels
CN106579094A (zh) 紫花苜蓿精粉的生产工艺
JP2004024124A (ja) 乾燥粉末生食品及びその製造法
US8298813B2 (en) Method for preparing an expanded product for fermentation
CN110604251B (zh) 一种利用二氧化氯处理仓储玉米中黄曲霉毒素b1的方法
JP2009000039A (ja) 乾燥マカの製造方法
JP7551645B2 (ja) アフラトキシンバイオコントロール組成物
Chernyshov et al. Analysis of design features and test results of fractional grain cleaners
JP3943577B2 (ja) 水分含有率の高い米粉、米粉の製造及び保存方法、及び所望の水分含有率を有する米粉の製造方法
Shakerardekani et al. Types of dryers and their effect on the pistachio nuts quality-a Review
JP2023095479A (ja) ケイ酸植物系有機物の処理方法、ケイ酸植物系有機処理物、籾殻処理物、育苗資材、及び家畜経口摂取組成物
US10266456B2 (en) Wet milled organic fertilizer and feed product
JP7177539B2 (ja) フルボ酸およびフミン酸の混合溶液の製造方法およびフミン酸の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20241025