JP2023095457A - シールド材および通信用電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐屈曲性を有し、繰り返して屈曲を受けても、高いノイズ遮蔽効果を維持することができるシールド材、およびそのようなシールド材を備えた通信用電線を提供する。【解決手段】複数の金属素線41aを編み込んだ編組体41と、流動性を有し、かつ導電性材料を含み、前記編組体41に接触して配置されたシールド補助剤42と、を有するシールド材4とする。また、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、を有するコア線と、前記コア線の外周を被覆する前記シールド材4と、を有する通信用電線とする。【選択図】図2

Description

本開示は、シールド材および通信用電線に関する。
通信用電線をはじめとする通信用部材には、シールド材が設けられることが多い。シールド材は、外部からその通信用部材に侵入する電磁波を遮蔽し、通信用部材におけるノイズの発生を抑制する。また、シールド材は、通信用部材から外部へ放出される電磁波を遮蔽し、放出された電磁波が外部においてノイズの原因となるのを抑制する役割も果たす。その種のシールド材として、複数の金属素線を相互に編み込んだ編組体がしばしば用いられる。編組体は高い耐屈曲性を有するため、通信用電線のように、屈曲を伴う用途に使用される通信用部材に設けるシールド材として、好適である。例えば、特許文献1に、耐屈曲信号伝送ケーブルとして、複数の同軸信号線をカッド構造になるように束ねたカッド同軸構造線と、カッド同軸構造線の周囲を被覆する絶縁テープと、絶縁テープの外周に配置される金属網(編組体)と、前記金属網を被覆する絶縁外被と、を備えた構造が開示されている。
特開2008-34341号公報 特開2020-021556号公報 特開2004-214062号公報 特開2016-24953号公報
上記のように、金属素線を編み込んだ編組体は、通信用電線等の通信用部材におけるシールド材として好適に用いることができる。しかし、編組体は、その編目構造に由来して、金属素線の間に空隙を有しているため、高周波(短波長)の電磁波であれば空隙を通過することができ、高周波の電磁波を十分に遮蔽するのが難しい場合がある。しかし、自動車分野等において、通信用電線を用いた通信が高速化しており、シールド材を用いて、高周波数域でもノイズの影響を効果的に低減することが求められる。
例えば、通信用電線において、金属素線よりなる編組体に加えて、金属箔をコア線の外周に配置し、電磁波遮蔽効果の向上が図られる場合がある。しかし金属箔は、一般には編組体ほど高い耐屈曲性を有さず、通信用電線が繰り返して屈曲を受けた場合等に、金属疲労によって金属箔に破断が生じる場合がある。すると、破断によって生じた金属箔の割れ目を電磁波が通過することで、十分なノイズ遮蔽効果が得られなくなる可能性がある。金属箔以外にも、電磁波の透過を低減することができる他の部材を編組体と合わせて用いることで、高周波域におけるノイズ遮蔽効果を高めることも考えられるが、その部材が十分に高い耐屈曲性を有するものでないと、上記金属箔の場合と同様に、通信用電線の屈曲を経た際に、十分なノイズ遮蔽効果を維持しきれない可能性がある。
以上に鑑み、高い耐屈曲性を有し、繰り返して屈曲を受けても、高いノイズ遮蔽効果を維持することができるシールド材、およびそのようなシールド材を備えた通信用電線を提供することを課題とする。
本開示にかかるシールド材は、複数の金属素線を編み込んだ編組体と、流動性を有し、かつ導電性材料を含み、前記編組体に接触して配置されたシールド補助剤と、を有する。本開示にかかる通信用電線は、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、を有するコア線と、前記コア線の外周を被覆する前記シールド材と、を有する。
本開示にかかるシールド材および通信用電線は、高い耐屈曲性を有し、繰り返して屈曲を受けても、高いノイズ遮蔽効果を維持することができるシールド材、およびそのようなシールド材を備えた通信用電線となる。
図1A,1Bは、本開示の一実施形態にかかる通信用電線を示す図であり、それぞれ斜視図、および軸線方向に垂直に切断した断面図である。 図2Aは、本開示の一実施形態にかかるシールド材を構成する編組体を示す平面図である。図2Bは、図2AのA-A断面に対応するシールド材の断面図であり、編組体とシールド補助剤とを含んでいる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施態様を説明する。
本開示にかかるシールド材は、複数の金属素線を編み込んだ編組体と、流動性を有し、かつ導電性材料を含み、前記編組体に接触して配置されたシールド補助剤と、を有する。
上記シールド材は、編組体に加え、導電性材料を含むシールド補助剤を有するため、シールド補助剤に含まれる導電性材料の寄与により、高いノイズ遮蔽性を有するものとなる。シールド補助剤が流動性を有する材料として構成されていることで、編組体の金属素線間の空隙を含め、編組体の内部や表面、また編組体の周辺の領域にシールド補助剤が広がって分布した状態をとりやすく、さらにシールド材が屈曲を受けた場合にも、その広がって分布した状態を維持することができる。よって、シールド補助剤が編組体によるノイズ遮蔽性を効果的に補助することができ、さらに、シールド材の屈曲を経ても、その効果が維持される。金属箔等、シールド材に隣接して設けられる他のノイズ遮蔽用部材が屈曲によって損傷を起こした場合でも、シールド補助剤がその損傷に起因するノイズ遮蔽性の低下を補うことができる。さらに、シールド補助剤が流動性を有する材料として構成されることで、固体の材料である場合とは異なり、屈曲を受けても、負荷の蓄積や、損傷によるシールド性能の低下を起こしにくい。このように、シールド材が、高い耐屈曲性を有するものとなり、繰り返して屈曲を受けても、高いノイズ遮蔽効果を維持することができる。
ここで、前記シールド補助剤は、前記編組体を構成する前記複数の金属素線の間の空隙に充填された状態、および前記空隙を被覆する状態、の少なくとも一方をとっているとよい。すると、編組体において、金属素線に占められていない空隙が、導電性材料を含むシールド補助剤によって閉塞されることになる。その結果、編組体の空隙を介して電磁波が透過しにくくなり、シールド材によって、高周波数域においても電磁波の透過を効率的に抑制し、高いノイズ遮蔽性を得ることができる。
前記シールド補助剤は、粘液状であるとよい。すると、シールド材において、シールド補助剤が、金属素線間の空隙に充填または空隙を被覆した状態等、編組体に保持された状態に留まりやすくなる。その結果、シールド材が、繰り返して屈曲を受けても、シールド補助剤の効果によって高いノイズ遮蔽性を示す状態を維持しやすくなる。
前記シールド補助剤は、前記導電性材料としての金属粉末と、前記金属粉末を分散させる非導電性の分散媒と、を含んでいるとよい。すると、流動性を有し、かつ導電性材料を含んだシールド補助剤を、簡便に調製して利用することができる。また、シールド補助剤が、高いノイズ遮蔽性向上効果を示すものとなる。
前記シールド補助剤における前記金属粉末の含有量は、80質量%以上、98質量%以下であるとよい。すると、シールド材において、シールド補助剤が高いノイズ遮蔽性向上効果を示すとともに、シールド補助剤の流動性の低下等、多量の金属粉末の使用による影響を低減することができる。
前記編組体の編組密度は、50%以上、95%以下であるとよい。すると、シールド材において、高いシールド遮蔽性を得るとともに、編組体を構成する金属素線の量を低減することができる。本開示にかかるシールド材においてはシールド補助剤の流動性により、金属素線間の空隙の箇所を含めて、編組体の広い領域にシールド補助剤が行き渡って分布するため、金属素線の密度がある程度低くても、十分なノイズ遮蔽性を発揮することができる。特に編組密度が80%以下であることが好ましい。
本開示にかかる通信用電線は、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、を有するコア線と、前記コア線の外周を被覆する前記シールド材と、を有する。
上記通信用電線においては、コア線の外周に、編組体とシールド補助剤を含むシールド材が配置されており、シールド材によって、コア線に侵入する電磁波、およびコア線から放出される電磁波が低減され、高いノイズ遮蔽性が得られる。シールド材を構成するシールド補助剤が流動性を有するものであることにより、通信用電線が高い耐屈曲性を有し、屈曲を繰り返しても、シールド材による高いノイズ遮蔽性が維持される。
ここで、前記通信用電線はさらに、前記コア線の外周を被覆する金属箔を有し、前記シールド材は、前記金属箔の外周を被覆しているとよい。金属箔は、通信用電線において、上記シールド材とともに、ノイズ遮蔽効果を発揮するものとなる。通信用電線を屈曲させた際に、金属疲労によって金属箔が損傷し、割れ目が生じる可能性もあるが、金属箔の外周に、シールド補助剤を含み、高い耐屈曲性を有するシールド材が配置されているため、金属箔に割れ目が生じた場合でも、その割れ目を介した電磁波の透過を、シールド材によって抑制し、高いノイズ遮蔽性を維持することができる。よって、通信用電線が屈曲に比較的弱い部材である金属箔を含んでいても、通信用電線全体として、高い耐屈曲性を有するものとなる。
前記金属箔の厚さは、15μm以下であるとよい。すると、金属箔の柔軟性が高くなり、繰り返して屈曲を受けても、金属箔に損傷が発生しにくくなる。金属箔が薄くなることで、金属箔によるノイズ遮蔽性は低くなるが、本開示にかかる通信用電線においては、シールド補助剤を含むシールド材が金属箔と合わせて配置されていることで、金属箔を薄くしても、通信用電線全体として、十分なノイズ遮蔽性を確保することができる。
前記通信用電線はさらに、前記シールド材の外周を被覆するシース層を有するとよい。シース層は、シールド材を保護するものとなる。特に、流動性を有する材料として構成されたシールド補助剤の外部への流出や散逸を防止するものとなる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を用いて、本開示の実施形態にかかるシールド材および通信用電線について、詳細に説明する。本明細書において、特記しない限り、各種特性は、室温、大気中における特性を指すものとする。
本開示の実施形態にかかるシールド材は、編組体とシールド補助剤とを含むものであり、電磁波の透過を低減することで、電磁波に由来するノイズを抑制するシールド部材として機能する。このシールド材は、種々の通信用部材に適用することができるが、特に通信用電線に好適に適用することができる。本開示の実施形態にかかる通信用電線は、本開示の実施形態にかかるシールド材を備えたものである。以下、通信用電線を中心として、説明を行う。
<通信用電線の構成>
図1A,1Bに、本開示の一実施形態にかかる通信用電線1の構造を示す。図1Aは斜視図であり、図1Bは通信用電線1を軸線方向に垂直に切断した断面図である。
(通信用電線の全体構成)
通信用電線1は、同軸電線として構成されている。具体的には、通信用電線1は、導体21と、導体21の外周を被覆する絶縁層22とを有するコア線2を備えている。そして、コア線2の外周に、金属箔3が設けられている。金属箔3の外周を被覆して、本開示の一実施形態にかかるシールド材(複合シールド材)4が設けられている。さらに、複合シールド材4の外周を被覆して、シース層5が設けられている。
コア線2の外周に、金属箔3と複合シールド材4を有する同軸電線として構成された上記のような通信用電線1は、1GHz以上の高周波域の信号を伝送するのに、好適に用いることができる。しかし、本開示にかかる通信用電線1は、コア線2の外側を包囲して、複合シールド材4が設けられるものであれば、上記のような構造を有するものに限られず、通信周波数や用途に応じた構成を採用すればよい。例えば、上記の同軸型の形態では、コア線2として、導体21と被覆層22を備えた絶縁電線を単独で用いているが、複数の絶縁電線を用いてもよい。例えば、1対の絶縁電線を、相互に撚り合わせるか、並走させるかして、差動信号を伝送するように、コア線2を構成することができる。特許文献1に示されるように、4本の絶縁電線を含むカッド構造としてコア線2を構成してもよい。また、ノイズの影響がそれほど大きくない場合や、通信周波数が、例えば1MHz以下のように比較的低い場合等には、金属箔3を省略してもよい。さらに、上記の形態では、説明した各層を、それぞれ内側の構成層の外周に直接接触させて形成しているが、通信用電線1は、上記で説明した各層以外の構成層を、適宜含むものであってもよい。ただし、金属箔3と複合シールド材4は、間に別の構成層を介さずに、直接接触していることが好ましい。以下、上記で例示した同軸型の通信用電線1の各構成部材について説明する。
コア線2は、通信用電線1において、電気信号の伝送を担う信号線であり、導体21と、導体21の外周を被覆する絶縁層22とを有している。導体21および絶縁層22を構成する材料は、特に限定されるものではない。導体21を構成する材料としては、種々の金属材料を用いることができるが、高い導電性を有する等の点から、銅または銅合金を用いることが好ましい。導体21は、単線として構成されてもよいが、屈曲時の柔軟性を高める等の観点から、複数の素線(例えば7本)が撚り合わせられた撚線として構成されることが好ましい。絶縁層22は、コア線2において、導体21を絶縁するものであり、有機ポリマーを含む材料より構成される。有機ポリマーの種類は、特に限定されるものではなく、ポリオレフィンやオレフィン系共重合体等のオレフィン系ポリマー、ポリ塩化ビニル等のハロゲン系ポリマー、各種エンジニアリングプラスチック、エラストマー、ゴム等を挙げることができる。絶縁層22には、有機ポリマーに加えて、適宜添加剤が含有されてもよい。
金属箔3は、金属材料の薄膜として構成されている。金属箔3を構成する金属の種類は、特に限定されるものではなく、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を例示することができる。金属箔3は、単一の金属種より構成されても、2種以上の金属種の層が積層されてもよい。また、金属箔3は、独立した金属薄膜よりなる形態のほか、高分子フィルム等の基材に、蒸着、めっき、接着等によって金属層が接合されたものであってもよい。金属箔3は、同軸電線構造において、外部導体として、コア線2を伝送される電気信号のリターンパスの機能を果たすとともに、複合シールド材4とともに、コア線2に侵入する電磁波、およびコア線2から放出される電磁波を低減するノイズ遮蔽材として機能する。通信用電線1において、金属箔3は、外側の複合シールド材4と直接接触しており、複合シールド材4を構成する編組体41がグラウンド電位に接続されることで、金属箔3もグラウンド電位に導通される。金属箔3が基材を有する場合には、複合シールド材4との導通を確保する観点から、金属薄膜が設けられた方の面が外側を向くように配置されることが好ましい。金属箔3は、コア線2の外周に、縦添え状に配置しても、横巻き状に配置してもよいが、縦添え状に配置する方が、高いノイズ遮蔽性能が得られる。
金属箔3の厚さは特に限定されるものではないが、十分なノイズ遮蔽性を確保する観点から、1μm以上であることが好ましい。一方、柔軟性を確保し、通信用電線1全体としての耐屈曲性を高める観点から、金属箔3の厚さは、15μm以下、さらには10μm以下であることが好ましい。本実施形態にかかる通信用電線1においては、金属箔3の外側に設けられる複合シールド材4が高いノイズ遮蔽効果を有するので、金属箔3の厚さをこの程度に小さくしても、通信用電線1全体として、十分に高いノイズ遮蔽性を得ることができる。なお、金属箔3が基材を有する場合には、ここに示した厚さは、基材の厚さを含めず、金属薄膜のみの厚さを指す。なお、基材を含めた金属箔3の厚さとしては、30μm以下であることが好ましい。
通信用電線1において、金属箔3は必須に設けられるものではなく、通信周波数が、100MHz以下など比較的低周波数域にある場合や、ノイズの影響が深刻でない場合等には、省略してもよい。しかし、金属箔3を設けておけば、複合シールド材4とともに、ノイズ遮蔽部材として、高い効果を発揮する。特に、数百メガヘルツを超える高周波域では、金属箔3によるノイズ遮蔽の効果が大きくなる。
複合シールド材4については、後に詳しく説明するが、複数の金属素線41aよりなる編組体41と、導電性物質を含み、流動性を有する材料として構成されたシールド補助剤42とが複合されたものである。複合シールド材4は、通信用電線1において、コア線2に侵入する電磁波、およびコア線2から放出される電磁波を遮蔽するノイズ遮蔽部材として機能する。通信用電線1の使用時には、複合シールド材4を構成する編組体41が、グラウンド電位に接続される。
シース層5は、必須に設けられるものではないが、通信用電線1の最外層として配置されることで、内側に配置されたコア線2、金属箔3、複合シールド材4を保護する役割を果たす。特に、シース層5が複合シールド材4の外周を被覆していることで、複合シールド材4に含まれる流動性を有したシールド補助剤42が、通信用電線1の外部に流出したり散逸したりするのを効果的に抑制し、シールド補助剤42を、複合シールド材4に安定に留めることができる。また、通信用電線1の取り扱い性が高くなる。
シース層5は、有機ポリマーを含む材料より構成されている。有機ポリマーの種類は、特に限定されるものではなく、ポリオレフィンやオレフィン系共重合体等のオレフィン系ポリマー、ポリ塩化ビニル等のハロゲン系ポリマー、各種エンジニアリングプラスチック、エラストマー、ゴム等を挙げることができる。シース層5には、有機ポリマーに加えて、適宜添加剤が含有されてもよい。さらに、シース層5には、粉末状の磁性材料、特に軟磁性材料が含有されてもよい。すると、通信用電線1において、シース層5が、金属箔3および複合シールド材4とともに、ノイズ遮蔽機能を果たすものとなる。軟磁性材料としては、フェライト等の金属酸化物、鉄(純鉄または少量の炭素を含む鉄)、各種磁性ステンレス鋼やFe-Ni系合金(パーマロイ)等の合金を例示することができる。
(シールド材の詳細)
上記のように、本開示の実施形態にかかるシールド材(複合シールド材)4は、編組体41と、シールド補助剤42とを含む複合材として構成されている。図2Aに、複合シールド材4を構成する編組体41のみを拡大した平面図を示す。また、図2Bに、図2AのA-A断面図に対応する複合シールド材4の断面図を示す。
複合シールド材4を構成する編組体41は、複数の金属素線41aが相互に編み込まれた構造を有している。つまり、第一の方向に並べられた金属素線41aの群と、第一の方向と異なる第二の方向に並べられた金属素線41aの群とが、相互に交差され、網目状に編み込まれている。編組体41全体としての形状は特に限定されるものではないが、通信用電線1を構成する複合シールド材4においては、編組体41は、中空筒状に編み上げられている。編組体41を構成する金属素線41aの構成材料は、特に限定されるものではないが、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料、あるいはそれら金属材料の表面に、スズ等によってめっきを施したものを例示することができる。編組体41の編組密度、つまり編組体41の面において金属素線41aが占める面積の割合は、後に説明するように、50%以上、また95%以下であることが好ましい。
編組体41とともに複合シールド材4を構成するシールド補助剤42は、導電性材料を含む物質として構成されている。そして、シールド補助剤42は、流動性を有している。複合シールド材4において、シールド補助剤42は、編組体41に接触して配置されている。ここで、シールド補助剤42が流動性を有しているとは、室温において、編組体41に対して一定の形状および位置に固定されず、不定形状をとって移動可能な状態を指す。おおむね、シールド補助剤42の粘度にして、25℃において10000mPa・s以下である。シールド補助剤42は、流動性を有し、導電性材料を含んでいれば(シールド補助剤42全体が流動性を有する導電性物質よりなる場合も含む)、どのような物質より構成されていてもよいが、後に詳しく説明するように、分散媒に金属粉末が分散されたものを、好適に例示することができる。
複合シールド材4において、シールド補助剤42は、編組体41に接触していれば、どのような配置をとっても構わないが、編組体41の内部および/または表面に、広がって分布している。さらに、シールド補助剤42は、編組体41の周辺の領域(通信用電線1の場合は金属箔3とシース層5に挟まれた領域)にまで、広がって分布していてもよい。シールド補助剤42は、図2Bに示すように、編組体41を構成する複数の金属素線41aの間の空隙Sに充填された状態をとっていることが好ましい。あるいは、編組体41の表面に配置されたシールド補助剤42が、空隙Sを被覆する状態をとっていてもよい。シールド補助剤42は、空隙Sに充填された部位と、空隙Sを被覆する部位を両方有していてもよい。また、図2Bに示した形態のように、隣接する空隙Sを充填または被覆する箇所どうしで、シールド補助剤42が、編組体41の表面を被覆する部位を介して、連続していてもよい。シールド補助剤42が、編組体41の間の空隙Sを充填および/または被覆することで、その空隙Sが、外部の空間に対して、シールド補助剤42によって閉塞されることになる。なお、複合シールド材4を作製し、通信用電線1に配置した初期状態において、シールド補助剤42が編組体41の空隙Sを充填または被覆していなくても、シールド補助剤42が流動性を有していることで、徐々に編組体41の内部および表面においてシールド補助剤42が濡れ広がり、空隙Sを充填および/または被覆する状態となりうる。
シールド補助剤42は導電性材料を含んでおり、導電性材料の寄与により、電磁波を遮蔽し、電磁波の透過を低減することができる。また、シールド補助剤42が編組体41と接触していることにより、シールド補助剤42中の導電性材料と編組体41との間に導通が形成され、電磁波を遮蔽する際に生じる電流を、編組体41を介してグラウンド電位に逃がすことができる。よって、シールド補助剤42は、編組体41および金属箔3のノイズ遮蔽性能を補助するノイズ遮蔽材として機能する。このように、複合シールド材4が編組体41に加えてシールド補助剤42を含むことにより、編組体41のみを用いる場合よりも、高いノイズ遮蔽効果が得られる。
シールド補助剤42が流動性を有しており、編組体41の内部および/または表面、さらに編組体41の周辺の領域に広がりうることにより、シールド材41の各部において、シールド補助剤42が、ノイズ遮蔽性の向上に寄与しうる。特に、シールド補助剤42が、編組体41の金属素線41aの間の空隙Sを充填または被覆することで、シールド補助剤42の寄与によって、空隙Sを介した高周波数の電磁波の透過を効果的に低減することができる。その結果、シールド補助剤42が、高周波域でのノイズ遮蔽性の向上に、高い効果を示す。シールド補助剤42は、流動性を有しており、金属素線41aに挟まれた、あるいは囲まれた領域に、液膜を形成しやすい。その液膜の形成によって、シールド補助剤42が、金属素線41aの間の空隙Sを、隙間なく充填または被覆し、空隙Sを閉塞することで、特にノイズ遮蔽効果が高くなる。
さらに、複合シールド材4は、編組体41と流動性を有するシールド補助剤42の複合材として構成されていることにより、高い柔軟性および耐屈曲性を有する。まず、編組体41が、複数の細い金属素線41aが編み込まれて構成されていることにより、高い柔軟性を示す。また、編組体41は、繰り返して屈曲を受けても、金属疲労による損傷を起こしにくい。そして、シールド補助剤42が、流動性を有する物質として構成されていることにより、編組体41の屈曲によく追随して、液膜を形成した状態等を保って、編組体41の内部および/または表面、さらに編組体41の周辺の領域に保持された状態を維持する。編組体41の屈曲運動の途中で、一時的に液膜が途切れること等によって、シールド補助剤42の存在量が少なくなる箇所が生じたとしても、屈曲運動が落ち着くと、シールド補助剤42がその流動性によって再度広がり、広い領域に行き渡った状態に復帰することができる。よって、複合シールド材4が繰り返して屈曲を受けても、シールド補助剤42によって複合シールド材4のノイズ遮蔽性が高められた状態が、安定に維持される。また、シールド補助剤42が流動性を有する物質として構成され、剛性をほぼ有さないことで、シールド補助剤42を編組体41に保持した複合シールド材4が屈曲を受けても、シールド補助剤42においては、変形による応力の蓄積は実質的に起こらない。よって、シールド材4が屈曲を繰り返し受けても、シールド補助剤42の損傷が進行する事態は生じにくい。
このように、複合シールド材4においては、編組体41とシールド補助剤42の両方が高い耐屈曲性を有することで、複合シールド材4全体として高い屈曲性を有し、複合シールド材4、また複合シールド材4が配置された通信用電線1等の通信用部材が繰り返して屈曲を受けても、複合シールド材4の高いノイズ遮蔽性能が安定に維持される。なお、流動性を有するシールド補助剤42の代わりに、導電性を有する固体物質(ゴム状物質等の弾性体やゲル状物質等、柔軟性を有する固体物質も含め、常温で流動を起こさない物質)を、接合等によって編組体41と複合して編組体41のノイズ遮蔽性能を補助することも考えうる。しかし、この場合には、編組体41の屈曲に伴って、その固体物質に負荷が印加されて内部応力が発生する。屈曲が繰り返されることで、負荷が固体物質に蓄積され、固体物質の破断等の損傷に至る可能性がある。すると、固体物質が付与するノイズ遮蔽性能が、損傷によって低下してしまう。
上記通信用電線1においては、シールド補助剤42を含んだ複合シールド材4が、金属箔3と積層して配置されており、複合シールド材4が、屈曲による金属箔3の損傷によるノイズ遮蔽性能の低下を補う役割も果たしうる。通信用電線1の屈曲に伴って金属箔3が屈曲を繰り返して受けると、金属疲労により、金属箔3に破断等の損傷が発生する可能性がある。この時に、金属箔3に割れ目が生じると、その割れ目を電磁波が透過することで、金属箔3が有するノイズ遮蔽性が損なわれる可能性がある。特に、コア線2から発生した電磁界を金属箔3の内側に閉じ込めておくことが難しくなる。また、とりわけ高周波域でのノイズ遮蔽性能が低下しやすい。しかし、上記通信用電線1においては、金属箔3の外周に、シールド補助剤42を含み、高い耐屈曲性を備えた複合シールド材4が設けられており、金属箔3に屈曲による損傷が生じたとしても、この複合シールド材4によって、通信用電線1全体として、高いノイズ遮蔽性が維持される。金属箔3に損傷による割れ目が生じたとしても、そのすぐ外側に、流動性を有するシールド補助剤42が編組体41に保持された状態で広がっていることで、割れ目の開口部を編組体41とシールド補助剤42が覆い、それら編組体41およびシールド補助剤42によって、金属箔3の割れ目を介した電磁波の透過が抑制されるからである。
シールド補助剤42は、流動性を有するものであれば、具体的な粘度は特に限定されない。しかし、編組体41によってシールド補助剤42を安定に保持し、金属素線41aの間の空隙Sを充填または被覆する部位を含め、シールド補助剤42によって連続性の高い液膜を形成させる観点から、シールド補助剤42は、ある程度の粘性を有するものであることが好ましい。具体的には、シールド補助剤42は、粘液状(ペースト状、半液状)であることが好ましい。すると、シールド補助剤42を、金属素線41aの間の空隙Sの箇所を含め、編組体41の内部や表面、また周辺の領域に安定に保持することができ、さらに、複合シールド材4の屈曲を経ても、その安定に保持された状態を維持しやすくなる。例えば、シールド補助剤42の粘度が、5mPa・s以上、さらには10mPa・s以上、100mPa・s以上であることが好ましい。一方、シールド補助剤42の粘度が高すぎても、編組体41の各部に行き渡りにくくなるため、シールド補助剤42の粘度は、1000mPa・s以下、さらには500mPa・s以下であることが好ましい。
シールド補助剤42は、導電性物質を含み、流動性を有する材料として構成されていれば、特にその種類や成分組成を限定されるものではない。つまり、例えば液状の導電性ポリマーやイオン液体等、常温で流動性を有する導電性物質よりシールド補助剤42が構成されても、流動性を有する分散媒に対して、導電性物質より構成された粉末材料が分散され、全体として常温で流動性を有する複合材料として、シールド補助剤42が構成されていてもよい。好ましくは、入手の容易性や汎用性等の観点から、分散媒に導電性物質の粉末が分散されている後者の形態の方が好ましい。この場合に、分散媒は、導電性を有していても、非導電性であってもいずれでもよいが、入手の容易性や汎用性等の観点から、非導電性であることが好ましい。特に、非導電性の有機分散媒であることが好ましい。分散媒に分散される導電性物質の粉末は、グラファイトやカーボンブラックをはじめとする炭素材料、導電性酸化物等、非金属導電体の粉末として構成されてもよいが、導電性の高さ等の観点から、金属粉末として構成されることが好ましい。
シールド補助剤42を構成する分散媒として好適に用いることができる有機分散媒としては、室温で流動性を有し、かつ揮発性の低い(おおむね沸点にして150℃以上である)有機物であれば、各種の化合物を適用できる。例えば、炭化水素系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、ハロゲン化炭化水素系等の低揮発性または不揮発性の有機溶剤、液状樹脂や液状ゴム等の液状ポリマー等を好適に用いることができる。また、導電性物質の粉末を分散媒に分散させた際に、粘液状のシールド補助剤42を与えやすいという点で、分散媒が、ある程度の粘度を有していることが好ましい。例えば、分散媒の粘度が、5mPa・s以上、また50mPa・s以下であることが好ましい。適切な粘度を有し、シールド補助剤42を構成する分散媒として好適に用いることができる有機分散媒として、トリメリット酸エステルをはじめとするエステル系有機溶剤、ポリエチレングリコール等を好適に用いることができる。トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)(TOTM)等を挙げることができる。分散媒としては、1種のみを用いても、2種以上の物質を混合して用いてもよい。
シールド補助剤42において分散媒に分散される金属粉末を構成する金属種も、特に限定されるものではないが、編組体41や金属箔3のノイズ遮蔽性を効果的に補助する観点から、導電性の高い金属であることが好ましく、非磁性金属であってよい。銅、アルミニウム、銀、金、鉄、コバルト、亜鉛、あるいはそれらの合金を好適に例示することができる。中でも、導電性の高さや汎用性の観点から、銅または銅合金を好適に用いることができる。金属粉末としては、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。金属粉末の粒径は、特に限定されるものではないが、高いノイズ遮蔽効果を発揮する等の観点から、20μm以上であることが好ましい。一方、複合シールド材4の耐屈曲性を高める等の観点から、100μm以下であることが好ましい。金属粉末の粒子形状も特に限定されるものではなく、球状、扁平形状、不定形等、任意の粒子形状をとることができる。金属粉末は、表面に酸化物等の金属化合物の層を有していてもよく、また、適宜、有機分子等によって表面処理を施されていてもよい。
シールド補助剤42における金属粉末の含有量は、特に限定されるものではないが、十分なノイズ遮蔽性能を発揮させる等の観点からシールド補助剤42全体を100質量%として、80質量%以上であることが好ましい。また、シールド補助剤42全体を100体積%として、38体積%以上であることが好ましい。一方、シールド補助剤42の柔軟性を確保し、耐屈曲性を高める観点、またシールド補助剤42の流動性を確保する観点等から、金属粉末の含有量は、98質量%以下、また85体積%以下に抑えられているとよい。シールド補助剤42において、金属粉末の含有量を増やすほど、シールド補助剤42全体としての導電性が高くなる。しかし、本実施形態にかかるシールド補助剤42においては、分散媒に分散された金属粉末が粒子間で接触し、通信用電線1の軸線方向に沿って、金属粒子によって導電経路が形成されるほどの量で金属粉末が含有されなくても、十分に高いノイズ遮蔽性能を有するシールド補助剤42を構成することができる。シールド補助剤42に含有された金属粉末の少なくとも一部が、編組体41を構成する金属素線41aに接触し、グラウンド電位に接続される編組体41と等電位に保たれるからである。
シールド補助剤42は、流動性や導電性等、シールド補助剤42およびその構成成分が有する特性に著しい影響を与えない限り、適宜、添加剤を含有してもよい。そのような添加剤としては、安定化剤、酸化防止剤、銅害防止剤、滑剤等を例示することができる。
上でも簡単に述べたように、複合シールド材4を構成する編組体41における編組密度は、特に限定されるものではないが、50%以上であることが好ましい。すると、金属素線41a自体のノイズ遮蔽効果により、また金属素線41aの間の空隙Sを含む部位に、シールド補助剤42を液膜状等で安定に保持できることの効果により、複合シールド材4が高いノイズ遮蔽性能を有するものとなる。一方、編組体41の編組密度は、95%以下であることが好ましい。すると、複合シールド材4を、柔軟化また軽量化することができる。さらに、通信用電線1の軽量化および細径化の観点から、編組密度が80%以下であることが好ましい。95%以下、また80%以下のような編組密度は、一般的に通信用電線1に適用される編組シールドにおける編組密度と比較して低いものであるが、複合シールド材4においては、金属素線41aだけでなくシールド補助剤42もノイズ遮蔽に寄与するため、編組体41の編組密度が低くても、複合シールド材4全体として、十分に高いノイズ遮蔽性能を発揮することができる。また、シールド補助剤42が流動性を有する物質として構成され、表面張力と粘性によって液膜を構成しうるため、編組密度が低く、金属素線41aの間の空隙Sの幅がある程度広い場合でも、液膜の形成によってその空隙Sを閉塞し、空隙Sを介した電磁波の透過を抑制することができる。
本実施形態にかかるシールド補助剤42は、金属素線41aを編んで編組体41を形成したうえで、形成された編組体41に、塗布、滴下、浸漬等によってシールド補助剤42を接触させることで、製造することができる。あるいは、編組体41の原料となる金属素線41aの外周に、塗布、滴下、浸漬等によって、シールド補助剤42を液膜等の形で配置しておき、その状態の金属素線41aを編み上げることで、複合シールド材4を製造することができる。この場合にも、シールド補助剤42の流動性により、金属素線41aの外周に配置されたシールド補助剤42を、金属素線41aに占められない領域に相当する空隙Sにも行き渡らせることができる。通信用電線1において、金属箔3で被覆したコア線2の外周に金属素線41aを中空筒状に編み上げて編組体41を形成する場合のように、複合シールド材4を構成する編組体41を連続的に形成する場合には、後者の形態、つまり金属素線41aの外周にシールド補助剤42を配置したうえで金属素線41aを編組構造に編み上げる方法を、好適に採用することができる。特に金属素線41aの外周への、シールド補助剤42の配置を、シールド補助剤42への金属素線41aの浸漬によって行うようにすれば、連続的なシールド材4の形成を簡便に行うことができる。
以下に実施例を示す。ここでは、編組体に対するシールド補助剤の併用の有無による、通信用電線の耐屈曲性への影響を検証した。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。特記しない限り、試料の作製および評価は、室温、大気中にて行った。
<試料の作製>
試料1として、編組体とシールド補助剤を含む複合シールド材を備えた、同軸型通信用電線を作製した。具体的には、銅合金の撚線として構成された導体の外周にポリプロピレンよりなる絶縁層を形成したコア線を被覆して、金属箔を縦添え状に配置した。金属箔としては、厚さ9μmの銅薄膜と厚さ16μmのPETフィルムを厚さ1μm以下の接着層で接合したものを用いた。
次に、コア線の外周に配置した金属箔の外側に、複合シールド材を形成した。具体的には、金属素線をシールド補助剤に浸漬しながら、金属箔の外周に中空筒状に編み上げて編組構造を形成することで、編組体とシールド補助剤を含む複合シールド材を形成した。この際、金属素線としては、線径0.1mmのスズめっき軟銅線(TA線)を用い、持数5、打数16、ピッチ16mmの編組構造を形成した。編組密度は58%であった。シールド補助剤としては、粒径が0.3~5.0μmの粒径を有する銅粉末を、トリメリット酸エステル(TOTM)に分散させたものを用いた。銅粉末の含有量は、シールド補助剤全体に対して95質量%(68体積%)とした。このシールド補助剤は、粘液状となっていた。上記のようにして作製した複合シールド材においては、金属素線間の空隙にシールド補助剤が充填され、保持されていることが、目視観察によって確認された。さらに、複合シールド材の外周に、シース層を形成することで、試料1の通信用電線を得た。シース層の構成材料としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を90質量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)を10質量部、酸化防止剤を2質量部、難燃剤としての水酸化マグネシウムを120質量部含有するものを用いた。
また、試料2として、シールド補助剤が複合されない通常の編組体をシールド材として備えた、同軸型通信用電線を作製した。ここでは、試料1と同様にして、しかし金属素線をシールド補助剤に浸漬することなく、そのまま編組構造に編み上げて、試料2の通信用電線を得た。
<評価方法>
試料1,2の通信用電線に対して、ノイズ遮蔽性を評価した。評価としては、CISPR25に準拠した放射エミッション評価を行った。具体的には、電波暗室内にて、1500mmに切り出した通信用電線の中央部から側方に1.0m離した位置に、ホーンアンテナを設置した。そして、通信用電線に、1.6GHzの周波数の電気信号を入力し、この際のノイズ放射量を、ホーンアンテナにより計測した。ノイズ放射量が24dB(μV/m)未満の場合をノイズ遮蔽性が高い(A)と評価した。一方、ノイズ放射量が24dB(μV/m)以上の場合をノイズ遮蔽性が低い(B)と評価した。
試料1,2のそれぞれに対して、初期状態において上記のノイズ遮蔽性の評価を行ったうえで、屈曲試験を実施した。屈曲試験としては、各試料に対して、23℃にて、曲げ半径(R)を50m、屈曲速度を5回/秒、屈曲角度を90°として、1000回の屈曲を行った。その後、上記のノイズ遮蔽性の評価を再度実施した。合わせて、屈曲試験後の試料に対して、目視観察にて、金属箔の状態を確認した。試料1については、複合シールド材の状態も合わせて確認した。
<評価結果>
下の表1に、試料1,2について、屈曲試験前後のノイズ遮蔽性の評価結果を示す。
Figure 2023095457000002
表1に示すように、編組体にシールド補助剤を複合した複合シールド材を用いている試料1および、シールド補助剤を複合していない編組体を用いている試料2の両方とも、屈曲を加えていない初期状態においては、高いノイズ遮蔽性が得られている(A)。しかし、試料2では、屈曲試験を経て、ノイズ遮蔽性が低下しており、ノイズ遮蔽性が低いという結果になっている(B)。これに対し、試料1では、屈曲試験を経ても、高いノイズ遮蔽性が維持されている(A)。
屈曲後の試料の目視観察によると、試料2では、金属箔が破断を起こしていた。この破断を介して電磁波が透過することで、屈曲後のノイズ遮蔽性が低くなったものと解釈される。一方、試料1でも、金属箔には破断が生じていたが、複合シールド材に設けられたシールド補助剤が、金属素線間の空隙を含む箇所に、破断のない液膜を形成した維持していた。このことから、金属箔の破断箇所の外側に、編組体とともにシールド補助剤が広がって配置されることで、金属箔の破断箇所を介した電磁波の透過が抑制され、高いノイズ遮蔽性が維持されたものと解釈される。以上の結果から、金属素線にシールド補助剤を接触させた複合シールド材を用いることで、高いシールド遮蔽性が得られるとともに、高い耐屈曲性が得られ、屈曲を経ても高いシールド遮蔽性が維持されることが確認された。
本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 通信用電線
2 コア線
21 導体
22 絶縁層
3 金属箔
4 (複合)シールド材
41 編組体
41a 金属素線
42 シールド補助剤
S 空隙
通信用電線1において、金属箔3は必須に設けられるものではなく、通信周波数が、MHz以下など比較的低周波数域にある場合や、ノイズの影響が深刻でない場合等には、省略してもよい。しかし、金属箔3を設けておけば、複合シールド材4とともに、ノイズ遮蔽部材として、高い効果を発揮する。特に、数百メガヘルツを超える高周波域では、金属箔3によるノイズ遮蔽の効果が大きくなる。
次に、コア線の外周に配置した金属箔の外側に、複合シールド材を形成した。具体的には、金属素線をシールド補助剤に浸漬しながら、金属箔の外周に中空筒状に編み上げて編組構造を形成することで、編組体とシールド補助剤を含む複合シールド材を形成した。この際、金属素線としては、線径0.1mmのスズめっき軟銅線(TA線)を用い、持数5、打数16、ピッチ16mmの編組構造を形成した。編組密度は58%であった。シールド補助剤としては、0.3~5.0μmの粒径を有する銅粉末を、トリメリット酸エステル(TOTM)に分散させたものを用いた。銅粉末の含有量は、シールド補助剤全体に対して95質量%(68体積%)とした。このシールド補助剤は、粘液状となっていた。上記のようにして作製した複合シールド材においては、金属素線間の空隙にシールド補助剤が充填され、保持されていることが、目視観察によって確認された。さらに、複合シールド材の外周に、シース層を形成することで、試料1の通信用電線を得た。シース層の構成材料としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を90質量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)を10質量部、酸化防止剤を2質量部、難燃剤としての水酸化マグネシウムを120質量部含有するものを用いた。
屈曲後の試料の目視観察によると、試料2では、金属箔が破断を起こしていた。この破断を介して電磁波が透過することで、屈曲後のノイズ遮蔽性が低くなったものと解釈される。一方、試料1でも、金属箔には破断が生じていたが、複合シールド材に設けられたシールド補助剤が、金属素線間の空隙を含む箇所に、破断のない液膜を形成した状態を維持していた。このことから、金属箔の破断箇所の外側に、編組体とともにシールド補助剤が広がって配置されることで、金属箔の破断箇所を介した電磁波の透過が抑制され、高いノイズ遮蔽性が維持されたものと解釈される。以上の結果から、金属素線にシールド補助剤を接触させた複合シールド材を用いることで、高いシールド遮蔽性が得られるとともに、高い耐屈曲性が得られ、屈曲を経ても高いシールド遮蔽性が維持されることが確認された。

Claims (10)

  1. 複数の金属素線を編み込んだ編組体と、
    流動性を有し、かつ導電性材料を含み、前記編組体に接触して配置されたシールド補助剤と、を有するシールド材。
  2. 前記シールド補助剤は、
    前記編組体を構成する前記複数の金属素線の間の空隙に充填された状態、および
    前記空隙を被覆する状態、の少なくとも一方をとっている、請求項1に記載のシールド材。
  3. 前記シールド補助剤は、粘液状である、請求項1または請求項2に記載のシールド材。
  4. 前記シールド補助剤は、
    前記導電性材料としての金属粉末と、
    前記金属粉末を分散させる非導電性の分散媒と、を含んでいる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシールド材。
  5. 前記シールド補助剤における前記金属粉末の含有量は、80質量%以上、98質量%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールド材。
  6. 前記編組体の編組密度は、50%以上、95%以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシールド材。
  7. 導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、を有するコア線と、
    前記コア線の外周を被覆する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシールド材と、を有する通信用電線。
  8. 前記通信用電線はさらに、前記コア線の外周を被覆する金属箔を有し、
    前記シールド材は、前記金属箔の外周を被覆している、請求項7に記載の通信用電線。
  9. 前記金属箔の厚さは、15μm以下である、請求項8に記載の通信用電線。
  10. 前記通信用電線はさらに、前記シールド材の外周を被覆するシース層を有する、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の通信用電線。
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