JP2023095277A - 自動調心ころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】保持器が円滑に案内され、騒音、振動、発熱を抑えることが可能な自動調心ころ軸受を提供する。【解決手段】内輪軌道面21の軸方向外側に隣接する案内面22が、フランジ部42に形成された被案内面44と対向する。被案内面44には、せん断面46と、破断面47とが形成される。せん断面46の少なくとも一部は、案内面22により案内される被案内領域44Aである。【選択図】図4

Description

本開示は、自動調心ころ軸受に関する。
自動調心ころ軸受は、一般に、外輪と、複列に並ぶ軌道面を有する内輪との間に、樽型の転動体を介在させた構成を有する。自動調心ころ軸受は、外輪の軌道面の曲率中心が、軸受全体の中心に一致する。このため自動調心ころ軸受は調心性を有する。なおここで曲率中心とは、曲面を球面の一部または円弧とみたときの当該球面の一部または円弧の中心を意味する。
たとえば特開2014-31805号公報(特許文献1)には、内輪に形成された案内面により案内される被案内面を有する保持器を備えた自動調心ころ軸受が開示されている。ここで被案内面とは、内輪に形成された案内面により案内される、案内面に対向する面を意味する。
特開2014-31805号公報
自動調心ころ軸受では、保持器の被案内面と内輪の案内面との間に、案内隙間と呼ばれる隙間が存在する。保持器の挙動を安定させ、騒音、振動、発熱を抑制する観点から、案内隙間は極力小さい方が好ましい。案内面の曲率中心と被案内面を軸方向に二等分する線との軸方向についての位置関係により、案内隙間の位置が決まる。通常、案内隙間の位置は、被案内面を軸方向について二等分する線に対する曲率中心の存在する側と反対側の、被案内面の端部となる。しかしながら、保持器の製造工程における条件等に起因して、案内隙間が、設計された本来の大きさに比べて大きくなることがある。案内隙間が設計値よりも大きくなれば、被案内面にて保持器が円滑に案内されなくなったり、騒音、振動、発熱が大きくなったりする懸念がある。特開2014-31805号公報においては、このような課題に対する検討が何らなされていない。
本開示は上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、保持器が円滑に案内され、騒音、振動、発熱を抑えることが可能な自動調心ころ軸受を提供することである。
本実施の形態に係る自動調心ころ軸受は、内周に外輪軌道面を含む外輪と、外周に内輪軌道面および案内面がそれぞれ複列に並ぶ内輪と、外輪軌道面と内輪軌道面との間に配置される転動体と、転動体を収容するポケットが形成され、軸方向に複数並ぶ保持器とを備える。保持器は、中心軸に対して径方向の外側に配置されポケットが形成された環状部と、環状部に対して径方向の内側に配置されるフランジ部とを含む。内輪軌道面の軸方向外側に隣接する案内面が、フランジ部に形成された被案内面と対向する。被案内面には、せん断面と、破断面とが形成される。せん断面の少なくとも一部は、案内面により案内される被案内領域である。
本開示によれば、保持器が円滑に案内され、騒音、振動、発熱を抑えることが可能な自動調心ころ軸受を提供できる。
各実施の形態に係る自動調心ころ軸受の構成を示す概略断面図である。 図1中の点線で囲まれた領域IIの概略拡大断面図である。 図1および図2の保持器の構成を示す模式図である。 実施の形態1の第1例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。 実施の形態1の第2例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。 各実施の形態における保持器の被案内面を打ち抜きする工程を示す概略断面図である。 実施の形態1の第1例における保持器の被案内面が打ち抜かれる方向を示す概略断面図である。 実施の形態1の第2例における保持器の被案内面が打ち抜かれる方向を示す概略断面図である。 実施の形態1の第1比較例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。 実施の形態1の第2比較例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。 せん断面および破断面との一般的な外観態様を示す概略図である。 実施の形態2の第1例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。 実施の形態2の第2例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。
以下、本実施の形態について図に基づいて説明する。なお図中には、説明の便宜のため、p方向、r方向およびa方向が導入されている。p方向は自動調心ころ軸受の回転する方向に沿う周方向である。r方向は自動調心ころ軸受の中心軸から放射状に延びる径方向である。a方向は自動調心ころ軸受の中心軸の延びる方向に沿う軸方向である。
(実施の形態1)
図1は、各実施の形態に係る自動調心ころ軸受の構成を示す概略断面図である。図2は、図1中の点線で囲まれた領域IIの概略拡大断面図である。図1および図2を参照して、本実施の形態に係る自動調心ころ軸受100は、図の左右方向すなわちa方向に沿って延びる中心軸110を中心とした円環状を有している。自動調心ころ軸受100は、外輪10と、内輪20と、転動体としての球面ころ30と、保持器40とを備えている。
外輪10は、内周に外輪軌道面11が形成されている。外輪軌道面11は球面形状を有している。自動調心ころ軸受100の全体の外径が大きい場合には、外輪10のa方向の中央部に油穴12が設けられてもよい。油穴12は自動調心ころ軸受100に潤滑油を供給するための穴である。図1および図2において外輪10は油穴12により二分されているように見えるが、実際には単一の外輪10および単一の外輪軌道面11を有している。外輪軌道面11は、a方向についての外輪10の全体に亘り形成されている。
これに対して、外輪10よりもr方向の内側に配置される内輪20は、外周に形成される内輪軌道面21が複列に並んでいる。図1および図2においては、内輪軌道面21はa方向に2列並んでいる。図1および図2では、単一の内輪20に2列の内輪軌道面21が形成されている。2列の内輪軌道面21のそれぞれは球面形状を有している。また内輪20は、外周に形成される案内面22が複列に並んでいる。案内面22は、2列の内輪軌道面21のそれぞれのa方向の外側に隣り合うように形成されている。すなわち図1、図2の左側の内輪軌道面21の左側、および右側の内輪軌道面21の右側に案内面22が配置される。内輪軌道面21と案内面22とは別個の領域である。案内面22を内輪軌道面21の外側に設けることにより、内輪軌道面21にとって有害なキズが外側から内輪軌道面21へ進入したり、外部からの要因により内輪軌道面21が摩耗することを回避できる。
図1、図2の中心軸110を含む断面図において、内輪軌道面21および案内面22は曲線状である。つまり内輪軌道面21および案内面22はやや湾曲する曲面形状である。案内面22は内輪軌道面21と曲率が等しい。ここでの曲率は、後述する図4における曲率半径Rの逆数である。内輪軌道面21と案内面22との曲率は、その全体において完全に同一であってもよいが、完全に同一でなく、たとえば0.1%以内の差異があってもよい。完全に同一ではなく異なる位置の間で曲率に微妙な差異がある場合、内輪軌道面21の曲率は、全体の曲率の平均値である。同様に、異なる位置の間で曲率に微妙な差異がある場合、案内面22の曲率は、全体の曲率の平均値である。また内輪軌道面21と案内面22との曲率が等しいとは、曲率が完全に一致する場合に限らず、両者の曲率の誤差が1%以内である場合を含むこととする。
図1、図2の中心軸110を含む断面図において、内輪軌道面21および案内面22を併せた内輪20の外周の曲面部分は、単一の円弧形状の曲線である。すなわち内輪軌道面21と案内面22とはこれらを併せて単一の曲線となるように形成されている。内輪軌道面21と案内面22とは、両者の境界に変曲点などが存在しないように滑らかに連続している。ここでは内輪軌道面21は内輪20の外周面のうちr方向からの平面視において球面ころ30と重なる領域であると定義し、案内面22は内輪軌道面21に該当しない領域と定義する。
球面ころ30は複数配置され、それぞれの球面ころ30は外輪軌道面11と内輪軌道面21との間に配置されている。つまり複数の球面ころ30のうち一部は、外輪軌道面11と2列のうち一方(左側)の内輪軌道面21との間に配置されている。複数の球面ころ30のうち上記一部以外は、外輪軌道面11と2列のうち他方(右側)の内輪軌道面21との間に配置されている。また図示されないが、図1および図2の左側の球面ころ30と右側の球面ころ30は、いずれもp方向について等間隔に複数並んでいる。球面ころ30は樽型(円柱形状に近い形状)を有している。具体的には球面ころ30は、外輪軌道面11および内輪軌道面21と接触する転動面が球面形状を有しており、上記転動面以外の面として互いに対向する1対の円形状の面を有している。
図3は、図1および図2の保持器の構成を示す模式図である。図3および図1、図2を参照して、保持器40は、一般公知の鉄またはその合金材料により形成されている。保持器40は、a方向に複数並んでいる。図1および図2においては保持器40として、保持器40Aと保持器40Bとの2つがa方向に並んでいる。保持器40A,40Bのそれぞれは、図3に示すような容器に近い形状を有している。具体的には、保持器40A,40Bのそれぞれは、環状部41と、フランジ部42とを含んでいる。環状部41は、保持器40を容器状と仮定したときの側面に相当する部分である。フランジ部42は、保持器40を容器状と仮定したときの底面に相当する部分である。このため図1および図2の断面図において、環状部41は、フランジ部42に比べて中心軸110に対してr方向の外側に配置されている。
保持器40の環状部41には、図3の円環状の周方向に相当するp方向に沿って間隔をあけて、複数のポケット43が形成されている。ポケット43は環状部41を構成する側面を貫通するように形成された孔部である。複数のポケット43のそれぞれに、1個ずつの球面ころ30が収容される。保持器40はa方向に沿って2つ並ぶため、保持器40A,40Bのそれぞれのポケット43に同様に1個ずつの球面ころ30が収容される。このため自動調心ころ軸受100には、p方向に間隔をあけて複数並ぶ球面ころ30が、a方向に2列並ぶように配置される。
図1および図2の断面図において環状部41は大筋でa方向に沿って延びている。しかし環状部41は、a方向の中央部において屈折し、その屈折する位置を境界とする環状部41Aと環状部41Bとの2つの領域に分かれていてもよい。
環状部41の一部は、p方向において間隔をあけて複数並ぶ球面ころ30のうち隣り合う球面ころ30の間の領域に配置される。この領域の環状部41は柱部である。図1、図2においては柱部がp方向について隣り合う球面ころ30に挟まれた領域ごとに配置されることを説明する観点から、左側の保持器40Aが球面ころ30と重なる領域は球面ころ30のp方向手前側に配置されるように図示される(このため環状部41が実線で示される)。一方、右側の保持器40Bが球面ころ30と重なる領域においては球面ころ30のp方向奥側に配置されるように図示される(このため環状部41が点線で示される)。
フランジ部42は、環状部41に対してr方向の内側に配置されている。フランジ部42は、環状部41のうち最も図3の下側(底部)に近い位置から、r方向の内側に向けて突起するように延びた領域であり、図3における底面の一部である。フランジ部42を形成する図3の底面は、たとえば円形状を有している。当該円形状の底面の部分には、中心軸110を中心とし当該底面を貫通するように貫通孔が形成されている。この貫通孔は、フランジ部42を形成する底面と同様に、たとえば円形状を有している。当該底面の中央部に円形状の貫通孔が形成されることにより、フランジ部42は円環状を有している。この貫通孔の内壁面は、図2に示す被案内面44である。被案内面44については後に詳述する。
なお、保持器40Aと保持器40Bとは、環状部41の図3における最上部であり、フランジ部42から最も離れた保持器端部45において互いに接近および対向(接触)するように組み込まれている。これにより、図1および図2に示すように保持器40A,40Bが組み込まれる。したがって自動調心ころ軸受100においては、ポケット43およびこれに収容された球面ころ30が、外輪10と内輪20との間に配置される。
図4は、実施の形態1の第1例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。図4および図1~図3を参照して、本実施の形態の第1例において、被案内面44は、保持器40のうち最もr方向の内周(中心軸110に近い位置)に配置される面の全体である。被案内面44は、内輪20の最も外周に形成される案内面22と、r方向について対向している。
被案内面44には、せん断面46と、破断面47とが形成されている。せん断面46および破断面47は、後述するように被案内面44が打ち抜き加工されることにより形成される。破断面47は、せん断面46に比べて表面粗さが大きい。これは破断面47が被案内面44を構成する鉄などの材料がむしり取られるように形成されるためである。せん断面46は平滑な面であり、凹凸が比較的小さい。せん断面46はa方向に沿って打ち抜き加工時のパンチなどの軌跡が残存し視認可能である。これに対して破断面47は凹凸が比較的大きく、平滑な面からの誤差が大きい。
被案内面44は、その位置が、対向する案内面22により案内される面である。ただし被案内面44の全体が案内面22により案内されなくてもよい。具体的には、被案内面44のうちのせん断面46の少なくとも一部は、その位置が案内面22により案内される。被案内面44のうち実際に位置が案内面22により案内される領域を以下では特に被案内領域44Aと呼ぶ。これに対し被案内面44は、実際には位置が案内面22により案内されない領域を含む総称である。つまり被案内領域44Aは被案内面44と異なる語として区別される。図4に示すように、せん断面46の全体が被案内領域44Aであってもよい。たとえばせん断面46のうち面積が60%以上の領域が被案内領域44Aとなるように設計されてもよい。あるいはせん断面46のうち面積が80%以上の領域が被案内領域44Aとされてもよい。
図1、図2、図4を示す平面上において、被案内面44と内輪20との間には、隙間GPが存在する。なお以下では図1、図2,図4を示す平面、すなわちp方向に交差しr方向およびa方向に沿う平面を、「中心軸110を含む断面」と表記する。隙間GPは、被案内面44と内輪20とのr方向(つまり図1、図2、図4での上下方向)についての間隔として表される。隙間GPは被案内面44のa方向における全体において、内輪20(特に案内面22)との間隔として存在する。そのなかでもr方向についての間隔が最小となる隙間GPが、案内隙間GPsである。案内隙間GPsは、実際に案内面22により案内される被案内領域44Aに存在する。したがって案内隙間GPsは、せん断面46における被案内領域44Aと案内面22との隙間のうち寸法が最小となる位置の隙間である。
案内隙間GPsは、せん断面46と破断面47との境界44Bにおける隙間GPよりも小さい。したがって案内隙間GPsは、せん断面46のうち、破断面47との境界44B以外の位置に生じる。具体的には、たとえば図4(図1)が示す中心軸110を含む断面において、被案内面44は、a方向の一方の端部44Eと、その反対側の他方の端部44Fとを有している。一方の端部44Eは被案内面44の図4の左側の端部(隣接する球面ころ30側の端部)であり、他方の端部44Fは被案内面44の図4の右側の端部(隣接する球面ころ30とは反対側の端部)である。被案内面44には、a方向について、せん断面46と破断面47とが1つずつのみ形成されている。図4では、a方向について被案内面44の一方の端部44Eを含むようにせん断面46が形成され、a方向について被案内面44の他方の端部44Fを含むように破断面47が形成されている。このため図4では、一方の端部44Eから境界44Bまで、被案内面44の比較的左側の領域に、a方向について連続するように1つのせん断面46が形成されている。図4では、境界44Bから他方の端部44Fまで、被案内面44の比較的右側の領域に、a方向について連続するように1つの破断面47が形成されている。被案内面44にはせん断面46と破断面47とを有するが、せん断面46の方が破断面47よりも面積割合が大きいことが好ましい。具体的には、せん断面46は被案内面44全体の60%以上を占めることが好ましく、80%以上を占めることがより好ましい。したがって、図4の断面図においても、せん断面46は被案内面44を示すa方向に延びる領域の60%以上を占めることが好ましく、80%以上を占めることがより好ましい。
案内隙間GPsは、a方向についての被案内面44の一方の端部44Eに生じている。つまり案内隙間GPsは、特に図4のせん断面46の左側の端部に生じている。言い換えれば案内隙間GPsは、図4の被案内面44の左側の端部に生じている。
本実施の形態において、被案内面44のうちせん断面46は、図4(図1)の中心軸110を含む断面において直線状である。つまりせん断面46はほぼ湾曲しない平面形状である。一方、破断面47は、せん断面46に比べてやや、他方の端部44Fに近づくにつれr方向の上方すなわち中心軸110から離れている。したがって、破断面47と内輪20(案内面22)との隙間GPは、せん断面46と内輪20(案内面22)との隙間GPよりも大きい。
図4においては、破断面47が形成される他方の端部44F側の領域にもせん断面46が形成されていると仮定した場合の当該せん断面46の位置を点線で示している。当該点線は、境界44Bから図4の右側に延びている。この点線は、せん断面46の延長線としての直線である。この点線に比べてr方向の上方(中心軸110から離れた外周側)に破断面47が位置している。せん断面46と仮の位置を示す点線とからなる仮想の直線(被案内面44)と、内輪20(案内面22)との仮想の隙間GPは、a方向について単調に変化している。図4では、仮想の隙間GPはa方向の左側から右側へ、単調に増加している。
また、破断面47はせん断面46に比べて表面が粗く凹凸が大きいが、この表面の位置を平均し、破断面47をせん断面46と同様の平滑な面で近似する場合を考える。この場合、近似された平滑な面は、境界44Bにおいて(境界44Bを屈曲部として)せん断面46に対して屈曲し、そこからまっすぐ延びる直線となる。当該近似された平滑な面は、せん断面46よりも他方の端部44F側に向けてr方向の上方(中心軸110から離れた外周側)に配置されるように大きな傾きで延びている。この近似された平滑な面とせん断面46とを合わせた直線(屈曲線)と、内輪20との仮想の隙間GPも、a方向の左側から右側へ単調に増加している。
次に、図4(図1)の中心軸110を含む断面における案内面22の曲率中心48を考える。図4の断面において、案内面22は曲率中心48を中心とし曲率半径がRの円弧形状である。なお図4において曲率中心48は実際よりもr方向の下側(中心軸110に近い側)に示されている。図4には、二等分線44Cが施されている。二等分線44Cは、被案内面44をa方向に(被案内面44のa方向の寸法を)二等分する線であり、r方向に沿って延びている。曲率中心48は、二等分線44Cに対して、内輪20のa方向の中央側および当該中央側と反対側のいずれか一方側に存在する。内輪20のa方向の中央側とは、図1および図2におけるa方向に2つ並ぶ球面ころ30(内輪軌道面21)のうち一方と他方との間に挟まれた中央に寄った側であり、図4におけるa方向の左側である。当該中央側と反対側とは、図1および図2におけるa方向における内輪軌道面21の外側つまり案内面22が配置される側であり、図1、図2における中央側から離れた左右の端部側であり、図4におけるa方向の右側である。図4においては曲率中心48は、二等分線44Cの右側、すなわち破断面47が形成される側に存在する。そして上記のように、内輪20のa方向の中央側(図4の左側)にせん断面46が、中央側と反対側(図4の右側)に破断面47が形成されている。ただし二等分線44Cよりも右側の領域であっても、特にその一部である二等分線44Cに近い比較的左側の領域においては、せん断面46が形成される場合がある。二等分線44Cより右側のせん断面46は、二等分線44Cより左側のせん断面46の領域が延長したものである。
以上により、中心軸110を含む断面において、被案内面44および案内面22は、二等分線44Cに対して、内輪20のa方向の中央側および中央側と反対側との間で非対称となってもよい。
なお上記のように、内輪軌道面21と案内面22との曲率が等しく、内輪軌道面21および案内面22を併せた内輪20の曲面部分は単一の円弧形状の曲線である。このため案内面22の曲率中心48は内輪軌道面21の曲率中心48とも考えることができる。
図5は、実施の形態1の第2例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。図5を参照して、本実施の形態の第2例においては、基本的に図4の第1例における図2と同様の構成を有している。このため図4と同一の構成については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
ただし図5は以下の点が図4と異なっている。図5においては保持器40の被案内面44および曲率中心48の、二等分線44Cに対するa方向の左右が反転している。具体的には、一方の端部44Eは被案内面44の図5の右側の端部(隣接する球面ころ30とは反対側の端部)であり、他方の端部44Fは被案内面44の図5の左側の端部(隣接する球面ころ30側の端部)である。このため図5では、一方の端部44Eから境界44Bまで、被案内面44の比較的右側の領域に、a方向について連続するように1つのせん断面46が形成されており、せん断面46の少なくとも一部が被案内領域44Aである。図5では、境界44Bから他方の端部44Fまで、被案内面44の比較的左側の領域に、a方向について連続するように1つの破断面47が形成されている。このため案内隙間GPsは、図5の被案内面44の右側の端部に生じている。図5の断面において、曲率中心48は、二等分線44Cの左側、すなわち破断面47が形成される側に存在する。このような形状により、図5では、仮想の隙間GPはa方向の左側から右側へ、単調に減少している。
次に、以上に述べた自動調心ころ軸受100の保持器40の、特に被案内面44を打ち抜き形成する工程について説明する。
図6は、各実施の形態における保持器の被案内面を打ち抜きする工程を示す概略断面図である。図7は、実施の形態1の第1例における保持器の被案内面が打ち抜かれる方向を示す概略断面図である。図6および図7を参照して、保持器40(40A,40B)は、被案内面形成治具50により材料が部分的に打ち抜き加工されることで形成される。被案内面形成治具50は、上型プレス51と、ダイ52とを備える。上型プレス51は、打ち抜き刃を有するパンチ53を備えている。ダイ52は、被案内面44を打ち抜こうとする保持器40を保持する。パンチ53の外側を向く側面は、ストレート部54を含んでいる。ストレート部54は保持器40をa方向に沿って加工可能な領域である。
まず、ダイ52上に、保持器40となるべき容器状の部材が、図6のようにセットされる。保持器40を図3のように見たときの最下部である底面が、図6における保持器40となるべき容器状の部材の最下部である。その底面の中央に向かって、図6の矢印が示す方向Fに、パンチ53を備える上型プレス51が押し進められる。これにより、保持器40の底面には貫通孔が形成される。この貫通孔の内壁面が被案内面44となる。図7中の矢印が示す方向Fは、図6の矢印が示す方向Fと同じ方向である。したがって本実施の形態の第1例においては、図7に示すように、被案内面44は、保持器40となるべき容器状の部材の保持器端部45側から底面側に向けて打ち抜き加工がなされることにより形成される。図7の断面は、図4の断面と同一方向である。このため図7と図4との対比により、被案内面44のうち、打ち抜き加工がされる方向Fの起点側(上流側)がせん断面46となり、方向Fの終点側(下流側)が破断面47となるといえる。
図8は、実施の形態1の第2例における保持器の被案内面が打ち抜かれる方向を示す概略断面図である。図8を参照して、実施の形態1の第2例では、図7とは逆方向に打ち抜き加工がなされることにより、保持器40の被案内面44が形成される。図8中の矢印が示す方向Fは、図6の矢印が示す方向Fと逆の方向である。したがって本実施の形態の第2例においては、図8に示すように、被案内面44は、保持器40となるべき容器状の部材の底面側から保持器端部45側に向けて打ち抜き加工がなされることにより形成される。図8の断面は、図5の断面と同一方向である。このため図8と図5との対比により、被案内面44のうち、打ち抜き加工がされる方向Fの起点側(上流側)がせん断面46となり、方向Fの終点側(下流側)が破断面47となるといえる。
次に、図9および図10の比較例を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図9は、実施の形態1の第1比較例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。なお第1比較例は、図4の本実施の形態の第1例に対する比較例である。図9を参照して、第1比較例においては、基本的に図4の本実施の形態における図2の領域Aと同様の構成を有している。このため図9において図4と同一の構成については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
ただし図9の第1比較例においては、曲率中心48は図4と同様に二等分線44Cの右側に配置されるのに対し、被案内面44の各部が図4に対し左右反転しており図5の第2例と同様となっている。また図9では、破断面47の少なくとも一部が被案内領域44Aとなっており、全体として破断面47側の隙間GPがせん断面46側の隙間GPより小さくなっている。曲率中心48が二等分線44Cの右側にあるため二等分線44Cの左側において二等分線44Cの右側よりも案内面22が上側(r方向の外側)に配置され、被案内面44との距離が小さくなりやすいためである。
図10は、実施の形態1の第2比較例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。なお第2比較例は、図5の本実施の形態の第2例に対する比較例である。図10を参照して、第2比較例においては、基本的に図5の本実施の形態における図2の領域Aと同様の構成を有している。このため図10において図5と同一の構成については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし図10では、曲率中心48は図5と同様に二等分線44Cの左側に配置されるのに対し、被案内面44の各部が図5に対し左右反転しており図4の第1例と同様となっている。また図10では、破断面47の少なくとも一部が被案内領域44Aとなっており、全体として破断面47側の隙間GPがせん断面46側の隙間GPより小さくなっている。
この結果、図9および図10では、案内隙間GPsの位置および値の特定が困難となっている。図9において、仮に案内隙間GPsが被案内面44の左側の端部に生じるとすれば、当該部分の他方の端部44Fは、破断面47の左側の端部に形成されるため、案内隙間GPsは設計上の最小寸法を有する案内隙間GPs1に比べて大きくなる。仮に案内隙間GPsが破断面47のせん断面46との境界44Bに生じるとすれば、案内隙間GPs2は、設計上の最小寸法を有する案内隙間GPs1に比べて大きくなる。図10においては上記と左右逆転するが、基本的に上記図9と同様に考えられる。
以上のようになる理由は次の通りである。そもそも破断面47はせん断面46に比べて、被案内領域44Aとしての機能を果たしにくい。ここで図11は、せん断面および破断面との一般的な外観態様を示す概略図である。図11を参照して、破断面47はせん断面46よりも表面が深く剥がされた態様を有し、かつせん断面46よりも表面粗さが大きい。このため破断面47により形成される他方の端部44Fでの案内隙間の値は、本来の値に比べて大きくなったり、破断面47の凹凸形状により少しのa方向の変位により大きく変化する不安定な値(大きさ)となったりする。したがって図9の破断面47においては、a方向についての隙間GPの増減の傾向がせん断面46とは逆転し、たとえば破断面47のa方向左側に向けて隙間GPが漸次大きくなる箇所が形成される場合がある。この結果、図9の被案内面44の左端部である他方の端部44Fと案内面22との隙間GPを案内隙間と考えたとしても、その値は、設計値である案内隙間GPs1よりも大きくなる。
また上記のように破断面47の領域は、その領域が仮にせん断面46である場合に比べて隙間GPが大きくなる傾向にあるため、最小の隙間である案内隙間GPsの位置が、本来存在すべき被案内面44の左端部に比べて、右側にシフトする可能性がある。ただしこのシフトの量は、破断面47が設計値に比べてどの程度隙間GPを広げているか、あるいは内輪20の案内面22の曲率半径Rと曲率中心48の位置とによって変化する場合がある。最も大きくシフトする場合、案内隙間の位置はせん断面46の左端部となる。この場合、せん断面46の左端部である境界44Bと案内面22との隙間GPを案内隙間と考えたとしても、通常はその値GPs2は、設計値であるGPs1よりも大きくなる。図9の態様であれば本来設計値として被案内面44の左端部に小さい案内隙間GPs1が生じるはずなのに、案内隙間が右側へシフトすることにより、少なくとも設計上は隙間GPの値が右側ほど大きくなるためである。
案内隙間GPsが大きくなれば、保持器40の挙動が不安定になることがある。また案内隙間GPsを生じる被案内面44が凹凸の大きい平滑でない面となれば、保持器40に騒音、振動、発熱が生じ、保持器40の使用が困難になることが懸念される。
以上の課題に鑑み、本実施の形態における自動調心ころ軸受100は、外輪10と、内輪20と、転動体としての球面ころ30と、保持器40とを備える。外輪10は内周に外輪軌道面11を含む。内輪20は外周に内輪軌道面21および案内面22がそれぞれ複列に並ぶ。球面ころ30は外輪軌道面11と内輪軌道面21との間に配置される。保持器40は球面ころ30を収容するポケット43が形成され、a方向に複数並ぶ。保持器40は、中心軸110に対してr方向の外側に配置されポケット43が形成された環状部41と、環状部41に対してr方向の内側に配置されるフランジ部42とを含む。内輪軌道面21のa方向外側に隣接する案内面22が、フランジ部42に形成された被案内面44と対向する。被案内面44には、せん断面46と、破断面47とが形成される。せん断面46の少なくとも一部は、案内面22により案内される被案内領域44Aである。
被案内面44がフランジ部42の打ち抜き加工により形成される場合、被案内面44にはせん断面46と破断面47とが形成される。せん断面46は破断面47より平滑であり、表面が余分に剥がされたような態様を有さない。このためせん断面46は破断面47よりも、案内面22との距離の制御が容易である。その結果、保持器40が内輪20により円滑に案内され、保持器40の挙動を安定させることができる。また被案内領域44Aの表面が平滑になるため、騒音、振動、発熱を抑制できる。
上記の自動調心ころ軸受100において、中心軸110を含む断面において、被案内面44と内輪20とのr方向について最小となる隙間は、せん断面46における被案内領域44Aと案内面22との案内隙間GPsである。案内隙間GPsは、せん断面46と破断面47との境界44Bにおける隙間GPよりも小さくてもよい。
案内隙間GPsがせん断面46と破断面47との境界44Bにおける隙間GPより小さければ、たとえば実際の案内隙間が図9におけるGPs2となることによりその設計上(想定上)の値よりも大幅に大きくなるようなことを抑制できる。また本実施の形態によれば、せん断面46の少なくとも一部(または全体)が被案内領域44Aとなり、全体としてせん断面46側の隙間GPが破断面47側の隙間GPより小さくなる。したがって、案内面22との距離の制御が容易であるせん断面46と、内輪20(案内面22)とのr方向寸法の最小値が案内隙間GPsとなれば、破断面47と内輪20(案内面22)とのr方向寸法の最小値が案内隙間となる場合に比べて案内隙間を小さくできる。
その結果、保持器40が内輪20により円滑に案内され、保持器40の挙動を安定させることができる。また破断面47と内輪20(案内面22)とのr方向寸法の最小値が案内隙間となる場合に比べて被案内領域44Aの表面が平滑になるため、騒音、振動、発熱を抑制できる。
上記の自動調心ころ軸受100において、中心軸110を含む断面における案内面22の曲率中心48が、被案内面44をa方向に二等分する線である二等分線44Cに対して、内輪20のa方向の中央側および中央側と反対側のいずれか一方側に存在する。上記一方側の少なくとも一部に破断面47が、上記一方側とは異なる他方側にせん断面46が形成される。このような構成であってもよい。具体的には、被案内面44のa方向の中央側にせん断面46が形成され、中央側から離れた側(反対側)に破断面47が形成されてもよい。たとえば二等分線44Cに対して図4の左側(他方側)の全体にせん断面46が形成されてもよい。二等分線44Cに対して図4の右側(一方側)の一部(他方の端部44Fに近い側)に破断面47が形成され、二等分線44Cに対して図4の右側の他の一部(他方の端部44Fから離れ二等分線44Cに近い側)にはせん断面46が形成される場合がある。
a方向に沿ってパンチ53(図6参照)を動かすことにより被案内面44が形成される。この工程では、第1の条件すなわちパンチ53による打ち抜き方向(図6における矢印Fの方向)と、第2の条件すなわち案内面22の曲率中心48と二等分線44Cとの位置関係と、に応じて、破断面47の形成される位置を制御可能である。図4の第1例では図7のように保持器端部45から底面への方向Fに打ち抜き、図5の第2例では図8のように底面から保持器端部45への方向Fに打ち抜くことにより、被案内面44の破断面47を所望の方向に形成できる。仮に上記第1の条件および上記第2の条件が整合せず、たとえばa方向について二等分線44Cに対して曲率中心48の存在する側と反対側に破断面47が形成される方向にパンチ53を動かし打ち抜き加工すれば、図9および図10のような被案内領域44Aおよび案内隙間GPsの態様となり、設計値よりも大きな案内隙間GPsが形成されることが生じ得る。
そこで、上記第1の条件および上記第2の条件が整合するように留意し、具体的にはa方向について破断面47が二等分線44Cに対して曲率中心48と同じ側に形成される方向にパンチ53を動かし打ち抜き加工されることが好ましい。二等分線44Cに対して曲率中心48と同じ側は、曲率中心48と反対側よりも案内面22が下側(r方向の内側)に配置され、被案内面44との距離が大きくなりやすいためである。これにより、本実施の形態の作用効果を奏するように設計値通りの小さい案内隙間GPsを形成できる。したがって、破断面47の形成位置を制御することにより、破断面47に起因する案内隙間GPsの増大、および破断面47の表面粗さに起因する被案内面44の騒音、振動、発熱を抑制できる。
上記の自動調心ころ軸受100において、破断面47が上記一方側(図4の二等分線44Cの右側)に存在する場合、曲率中心48は二等分線44Cに対して中央側と反対側(図4の二等分線44Cの右側)に存在してもよい。これは具体的には図4の第1例の構成に対応する。
被案内面44が打ち抜き加工により形成される自動調心ころ軸受100において、図7のように保持器端部45側から保持器の底面(フランジ部42)側へ打ち抜き加工をすることにより、破断面47を図4での曲率中心48と同じ側、すなわち二等分線44Cに対し右側(a方向中央側と反対側)に設けることができる。このようにすれば、図4に示すように、(破断面47の凹凸形状により部分的に例外があるが)全体的には図4の被案内面44と案内面22との隙間GPが図の左側から右側に向けて概ね漸次増加する態様とすることができ、かつ図4の被案内面44の左側をせん断面46に、右側を破断面47にできる。したがって、図4にて設計通りに被案内面44(せん断面46)の左端部の一方の端部44Eに案内隙間GPsを生じることができる。この案内隙間GPsの大きさは想定(設計上)の値とほぼ同じ、比較的小さい値となる。この結果、保持器40が内輪20により円滑に案内され、保持器40の挙動を安定させることができる。また保持器40の騒音、振動、発熱を抑制できる。
逆に、図5の第2例のように、破断面47が上記他方側(図5の二等分線44Cの左側)に存在し、曲率中心48が二等分線44Cに対して中央側(図5の二等分線44Cの左側)に存在してもよい。図8のように保持器の底面(フランジ部42)側から保持器端部45側へ打ち抜き加工をすることにより、破断面47を図5での曲率中心48と同じく二等分線44Cに対し左側(a方向中央側)に設けることができる。これにより、図4と左右逆転するが、基本的に図5の構成においても図4と同様の作用効果を奏することができる。
上記自動調心ころ軸受100では、a方向について、せん断面46と破断面47とが1つずつ形成されてもよい。つまり被案内面44には、たとえばa方向の一方の端部44E側の領域に1つのせん断面46と、a方向の他方の端部44F側の領域に1つの破断面47とのみが形成されてもよい。このことは、既述の本実施の形態の各特徴による作用効果をもたらすための前提となる。仮に複数のせん断面46および破断面47がa方向に並べば、a方向について隙間が増加する領域と減少する領域とを複数有するために、最小隙間としての案内隙間GPsをたとえば一方の端部44Eに形成するなどの制御が困難になるためである。その点、上記特徴を備えれば、案内隙間GPsは、a方向についての被案内面44の一方の端部44Eに生じることが好ましい。上記特徴により破断面47は、a方向について被案内面44の一方の端部44Eとは異なる他方の端部44Fを含むように形成されてもよい。さらに、a方向の中央側における被案内面44と案内面22との隙間GPは、a方向の中央から離れた側(反対側)における被案内面44と案内面22との隙間GPよりも小さいことが好ましい。このような特徴を有するからこそ、上記のようにせん断面46と破断面47との境界44Bにおける隙間GPよりも、せん断面46の有する側の一方の端部44Eにおける隙間を小さくし、当該隙間を最小値である案内隙間GPsとするよう設計可能である。したがって上記のように、せん断面46と案内面22との最小の隙間を一方の端部44Eにおいて案内隙間GPsとして生じさせることで、案内隙間GPsを設計値通りに小さくすることができ、保持器40が安定に駆動可能となる。またせん断面46は平坦なため、案内隙間GPsの位置における騒音、振動、発熱を抑制できる。
上記自動調心ころ軸受100では、図4の断面において被案内面44からの点線の延長線のように被案内面44の全体をせん断面46と仮定したとき、被案内面44と内輪20との仮想の隙間は、a方向について単調に変化(左側から右側へ単調に増加)することができる。この特徴も、特にせん断面46および破断面47をa方向に1つずつ有するという前提の下で、比較的容易に得られる。また作用効果についても上記の特徴と同様である。すなわち、隙間GPがa方向に単調に変化(増減)するという特徴を有するからこそ、上記のようにせん断面46と破断面47との境界44Bにおける隙間GPよりも、せん断面46の有する側の一方の端部44Eにおける隙間を小さくし、当該隙間を最小値である案内隙間GPsとするよう設計可能である。したがって上記のように、せん断面46と案内面22との最小の隙間を一方の端部44Eにおいて案内隙間GPsとして生じさせることで、案内隙間GPsを設計値通りに小さくすることができ、保持器40が安定に駆動可能となる。またせん断面46は平坦なため、案内隙間GPsの位置における騒音、振動、発熱を抑制できる。
(実施の形態2)
図12は、実施の形態2の第1例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。図13は、実施の形態2の第2例における、図2中の点線で囲まれた領域Aの概略拡大断面図である。図12を参照して、実施の形態2の第1例においては、基本的に図4の本実施の形態における図2の領域Aと同様の構成を有している。図13を参照して、実施の形態2の第2例においては、基本的に図5の本実施の形態における図2の領域Aと同様の構成を有している。このため図12、図13において図4、図5と同一の構成については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
ただし図12および図13においては、被案内面44のうちせん断面46は、図12、図13(図1)の中心軸110を含む断面において曲線状である。つまりせん断面46は平面に比べてやや湾曲する曲面形状である。図12、図13においても、図4、図5と同様に、破断面47が形成される他方の端部44F側の領域にもせん断面46が形成されていると仮定した場合の当該せん断面46の位置を点線で示している。この点線は、せん断面46の延長線としての曲線である。せん断面46と点線とからなる曲線(被案内面44)と内輪20(案内面22)との仮想の隙間GPは、a方向について単調に変化している。図12ではa方向の左側から右側へ単調増加し、図13ではa方向の左側から右側へ単調減少する。
図12、図13において、せん断面46は、点線からなる仮想の延長線と曲率が等しい。またせん断面46と点線からなる延長線とを併せた曲線は、単一のたとえば円弧状の曲線となる。この点について、せん断面46と点線の延長線との関係は、内輪軌道面21と案内面22との関係と同様である。ここで、せん断面46と点線からなる延長線とを併せた曲線は、内輪軌道面21と案内面22とを併せた曲線と同一の曲率を有することがより好ましい。このようにすれば、保持器40の被案内面44を、案内面22による案内に好適となるように仕上げるための追加工が不要となり、被案内面44を安価に加工できる。その結果、保持器40を安価に製造できる。
本実施の形態のように被案内面44が曲面形状であってもよい。この場合も、実施の形態1のように被案内面44が平面形状である場合と基本的に同様の作用効果を奏するため、ここではその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態においては実施の形態1よりも、破断面47側における隙間GPがより大きくなるため、せん断面46側(一方の端部44E側)に案内隙間GPsを生じさせることによる作用効果は、実施の形態1よりも大きくなる。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 外輪、11 外輪軌道面、12 油穴、20 内輪、21 内輪軌道面、22 案内面、30 球面ころ、40,40A,40B 保持器、41,41A,41B 環状部、42 フランジ部、43 ポケット、44 被案内面、44A 被案内領域、44B 境界、44C 二等分線、44E 一方の端部、44F 他方の端部、45 保持器端部、46 せん断面、47 破断面、48 曲率中心、50 被案内面形成治具、51 上型プレス、52 ダイ、53 パンチ、54 ストレート部、55 傾斜部、100 自動調心ころ軸受、110 中心軸、GP 隙間、GPs,GPs1,GPs2 案内隙間。

Claims (10)

  1. 内周に外輪軌道面を含む外輪と、
    外周に内輪軌道面および案内面がそれぞれ複列に並ぶ内輪と、
    前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に配置される転動体と、
    前記転動体を収容するポケットが形成され、軸方向に複数並ぶ保持器とを備え、
    前記保持器は、中心軸に対して径方向の外側に配置され前記ポケットが形成された環状部と、前記環状部に対して前記径方向の内側に配置されるフランジ部とを含み、
    前記内輪軌道面の前記軸方向外側に隣接する前記案内面が、前記フランジ部に形成された被案内面と対向し、
    前記被案内面には、せん断面と、破断面とが形成され、
    前記せん断面の少なくとも一部は、前記案内面により案内される被案内領域である、自動調心ころ軸受。
  2. 前記中心軸を含む断面において、前記被案内面と前記内輪との前記径方向について最小となる隙間は、前記せん断面における前記被案内領域と前記案内面との案内隙間であり、
    前記案内隙間は、前記せん断面と前記破断面との境界における前記隙間よりも小さい、請求項1に記載の自動調心ころ軸受。
  3. 前記断面において、前記内輪軌道面と前記案内面との曲率が等しい、請求項2に記載の自動調心ころ軸受。
  4. 前記断面において、前記内輪軌道面および前記案内面を併せた前記内輪の曲面部分は単一の円弧形状の曲線である、請求項2または3に記載の自動調心ころ軸受。
  5. 前記断面における前記案内面の曲率中心が、前記被案内面を前記軸方向に二等分する線に対して、前記内輪の前記軸方向の中央側および前記中央側と反対側のいずれか一方側に存在し、
    前記一方側の少なくとも一部に前記破断面が、前記一方側とは異なる他方側に前記せん断面が形成される、請求項2~4のいずれか1項に記載の自動調心ころ軸受。
  6. 前記曲率中心は前記二等分する線に対して前記中央側と反対側に存在する、請求項5に記載の自動調心ころ軸受。
  7. 前記軸方向について、前記せん断面と前記破断面とが1つずつ形成される、請求項2~6のいずれか1項に記載の自動調心ころ軸受。
  8. 前記案内隙間は、前記軸方向についての前記被案内面の一方の端部に生じる、請求項2~7のいずれか1項に記載の自動調心ころ軸受。
  9. 前記破断面は、前記軸方向について前記被案内面の前記一方の端部とは異なる他方の端部を含むように形成される、請求項8に記載の自動調心ころ軸受。
  10. 前記被案内面の全体を前記せん断面と仮定したとき、前記断面において、前記被案内面と前記内輪との仮想の前記隙間は、前記軸方向について単調に変化している、請求項2~9のいずれか1項に記載の自動調心ころ軸受。
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