JP2023095021A - 制動機構 - Google Patents

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Kiyoshi Miyagi
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Abstract

【課題】簡単か且つコンパクトな構成であり高い耐久性と良好な制動機能を有し、任意に制動力を変更し得る制動機構を提供する。【解決手段】車輪1を軸支する脚部3に取り付けられた基体部Kと、車輪1に取り付けられた制動板8と、制動板8に当接した状態に配置され、制動板8との間に摩擦力を発生させる少なくとも一つの制動片4と、基体部Kに設けられ、制動板8に対する制動片4の位置を、車軸5に垂直な面内において車軸5に対して近接離間させる変位部材7と、変位部材7を作動させる操作部材6と、を備える制動機構B。【選択図】図2

Description

本発明は、歩行車や荷物運搬台車等の各種車両において、走行中に車体のみが進むのを防止するべく、使用者によるブレーキの持続操作を要さず車輪に一定の制動力を付与し、さらにはその制動力を変更し得る制動機構に関する。
従来、このような制動機構としては例えば特許文献1に示すものがある(〔0021〕~〔0022〕および図1、図4参照)。
この制動機構は、手押し車100の車輪400にリング状の内歯歯車である駆動歯車410が設けられ、この駆動歯車410には従動歯車500が歯合している。従動歯車500にはリラクタンスモータ600及び抵抗素子700が接続されている。車輪400の回転に伴い、従動歯車500を介してリラクタンスモータ600が回転する。これにより、リラクタンスモータ600を構成する永久磁石610とステータ(金属部材620)との間に渦電流が発生する。
一方、リラクタンスモータ600には抵抗素子700が接続してあり、生じた渦電流に対して抵抗となり駆動歯車410にトルク抵抗が発生する。この結果、制動機構には一定の減速緩衝効果が発生する。
当該特許文献1の記載によれば、このような抵抗を利用する制動機構であれば、別途電力により駆動する部材が不要となる。また、駆動歯車410がホイールリムを代替し高い汎用性を有する。さらに、従動歯車500は車輪軸210の一側に設けられるため、ホイールリム内に直接収容することができ、手押し車100の車輪400の体積が大幅に増えることがないとのことである。
特許第6568987号公報
上記従来の制動機構にあっては、車輪と一体にリング状の内歯歯車を設け、当該内歯歯車に歯合する従動歯車を設ける必要があるため制動機構が複雑となる。また、様々な車輪の走行条件において、歯車どうしの歯合回転が健全に維持されるだけの耐久性が必要となる。リラクタンスモータにおいても、有効な制動力を得るべく所定の渦電流を発生させるためには比較的高い回転速度が必要であり、高い耐久性が要求される。
走行に際しては、従動歯車とモータが常に回転しており、車輪には定常的に一定の回転抵抗が作用する。この回転抵抗は歯車の回転に応じて発生するものであり、回転抵抗の大きさを走行状態等に応じて任意に変更することはできない。このため、制動が不要なフラットな路面を走行する場合には走行の円滑さが損なわれる。しかも、従動歯車からは一定の騒音が生じ、走行の快適性も損なわれる。
さらに、車輪に従動歯車を付加するほか、モータを保護するケース等が必要となるなど機構部の体格が大きくなる。特に、大きな制動力を発揮し得るモータを用いる場合には全体の体格は更に大きくなる。この結果、制動機構が使用者の脚と干渉し易くなる。また、これら構成部品にコストが掛かり安価な制動機構の提供が困難となる。
このように、従来の制動機構では種々の解決すべき課題を有しており、簡単か且つコンパクトな構成でありながら高い耐久性と良好な制動機能を有し、任意に制動力を変更し得る制動機構の提供が求められている。
(特徴構成)
本発明に係る制動機構の特徴構成は、
車輪を軸支する脚部に取り付けられた基体部と、
前記車輪に取り付けられた制動板と、
前記制動板に当接した状態に配置され、前記制動板との間に摩擦力を発生させる少なくとも一つの制動片と、
前記基体部に設けられ、前記制動板に対する前記制動片の位置を、前記車輪の車軸に垂直な面内において前記車軸に対して近接離間させる変位部材と、
前記変位部材を作動させる操作部材と、を備えた点にある。
(効果)
車輪に取り付けられた制動板に対して制動片が摺動し摩擦力を発生させることで、車輪に対して一定の制動力を作用することができる。
さらに、変位部材を作動させて制動片を車軸に近付けた状態では、車軸の周りの制動モーメントが小さくなり、車輪に対して弱い制動力を作用させることができる。逆に、制動片を車軸から離した状態では、車輪周りの制動モーメントが大きくなり、車輪に対して強い制動力を作用させることができる。
制動力の大きさの調節は、制動板に対する制動片の位置で決定されるから、制動機構の利用者は、操作部材を操作して制動片の位置を変更するだけで制動力を調節することができ、例えば、操作部材を一定の力で継続操作すること等は不要となる。
例えばこのような制動機構を歩行車に備えることで、使用者がブレーキレバー等を操作し続けることなく一定の制動力が発揮される。その結果、坂道を下る場合など、使用者は単にハンドルに手を添えたままで一定車速が維持され、快適に歩行車を走行させることができる。
また、本構成の如く、制動板に当接する制動片を設けること、および、当該制動片の位置を変更する変位部材を設けることは比較的簡易であり、コンパクトに形成可能である。よって、歩行車等の車輪に対する搭載性に優れ、耐久性のある制動機構を得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る制動機構においては、前記制動板を磁性部材で構成し、前記制動片を磁石で構成することができる。
(効果)
本構成の場合、磁石である制動片は常に制動板に吸着保持される。つまり、一般の制動機構にあるような制動板とは別の部材に支持された制動片が制動板に作用するものとは構成が異なり、制動板と制動片に生じる吸着力は略一定となる。
そのため、操作部材および変位部材によって制動片の位置を径方向に移動させることで、車軸の周りの制動モーメントを所期の大きさに容易に調節することができる。
また、用いる磁石の磁力の強さや個数を適宜設定することで、発生させる制動力の設定が自在となる。よって、制動機能の設定自由度が高い制動機構を得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る制動機構においては、前記基体部に、前記制動片を前記近接離間させる方向に沿って移動可能に案内するガイド部が備えられていると好都合である。
(効果)
本構成のように、車軸に対する制動片の近接離間移動をガイド部が受け持つことで、制動片に作用する変位部材は、制動片に対して、例えば車軸に対する径方向に沿って外側あるいは内側にのみ作用すればよい。よって、変位部材の構成が簡略化し易くなる。
また、制動片の変位に際し、ガイド部は、制動板と共に一体回転しようとする制動片の回転を規制することになるが、ガイド部は基体部に設けられているため構造が強固であり、制動片を確実に回転規制することができる。このため、変位部材は、主に制動片を車軸に対して近接離間移動させる場合に制動片に作用すればよく、変位部材の部材強度を削減することができる。また、それに伴って変位部材のコンパクト化が可能となる。
(特徴構成)
本発明に係る制動機構においては、前記制動片と前記変位部材との間、或いは、前記制動片と前記ガイド部との間に、前記制動片が前記制動板との摺動によって自転するのを防止する自転規制部を設けておくことができる。
(効果)
制動片が制動板と摺動する場合に、制動片の各領域のうち車軸に近い領域と遠い領域では制動板との相対速度に差が生じる。このため制動片が自転する場合がある。制動片が自転すると、ガイド部や変位部材に対して転がり力が生じ制動片が変位して、発生する制動力が変動する。これを防止し制動力を安定化させるためには、例えば変位部材を位置保持できるよう別途の構成を設けるなど制動機構が複雑になる。
そこで本構成のごとく、制動片と変位部材とに亘ってあるいは制動片とガイド部とに亘って制動片の自転を止める構成を設ける。
制動片と当接する部材との相対回転を止める構造は一般に簡単であり、制動機構の構造を複雑化することなく、安定した制動力を発揮させることができる。また、ガイド部や変位部材の摩耗が低減化され制動機構の耐久性を高めることができる。
(特徴構成)
本発明に係る制動機構においては、前記車輪の側面のうち外周側に前記制動板を円環状に設け、前記制動板の内周側に隣接した状態に円環状の非磁性領域を設けるとともに、前記変位部材が前記制動片の位置を前記制動板に当接する位置と前記非磁性領域とに亘って変更可能に構成してあると好都合である。
(効果)
本構成であれば、制動片を内周側の非磁性領域に移動させることで、車輪に対して制動力が作用しない状態を容易に形成することができる。また、この状態から制動片を外周側に徐々に移動させ、制動板との当接面積を増加させることで、制動力を徐々に増やすことができる。このような制動効果を利用すれば、例えば本制動機構を歩行車の車輪に用いた場合、走行ブレーキおよび駐車ブレーキの双方の機能をもつブレーキを得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る制動機構においては、前記制動片が最内部あるいは最外部に位置するとき、前記制動片の側面が当接可能な円筒面を、前記制動板および前記車輪のボス部およびリム部のうち少なくとも何れか一つに設けておくことができる。
(効果)
本構成の如く、制動片が最内部あるいは最外部に位置するとき、制動板およびボス部およびリム部の少なくとも何れかに設けた円筒面に当接することで、制動力を高めることができる。
例えば、制動板の最内部や車輪のボス部に円筒面を設けた場合には、制動片が当該円筒面に当接する直前の状態では、車軸から制動片までの距離が短いため、制動片と制動板との摩擦によって生じる制動力は最少となる。また、車輪が樹脂などで形成されることで内周部のボス部が非磁性領域となる場合には制動力は発生しない。この状態から制動片を内側の円筒面に当接させることで、制動力を増加させることができる。よって内側の円筒面に対する制動片の押付力を変化させることで、本制動機構を例えば走行ブレーキとして利用することができる。
一方、制動板の最外部や車輪のリム部に円筒面を設けた場合には、制動片が当該円筒面に当接する直前の状態では、車軸から制動片までの距離が最も長いため、制動片と制動板との摩擦によって生じる制動力は最大となっている。この状態から制動片を外側の円筒面に当接させることで、制動力を更に増加させることができる。この場合には、円筒面に対する制動片の押付力を変化増加させることで車輪を完全に停止させることができ、本制動機構を例えば駐車ブレーキとして利用することができる。
本発明の第1実施形態に係る制動機構を備えた車両の外観を示す説明図 第1実施形態に係る制動機構を示す分解斜視図 第1実施形態に係る制動機構を示す断面図 第1実施形態に係る制動機構の動作態様を示す説明図 本発明の第2実施形態に係る制動機構を示す分解斜視図 本発明の第3実施形態に係る制動機構を示す分解斜視図 本発明の第4実施形態に係る制動機構を備えた車両の外観を示す説明図
(概要)
本制動機構Bは、例えば、歩行車や荷物運搬用の台車等、特に使用者が乗車せずに走行させる車両Sの車輪1に好適に取り付けられる。この制動機構Bは、例えば、車両Sが長い下り坂を走行する場合に、使用者がブレーキレバー2等を操作して、あるいは、ブレーキレバー2を操作し続けなくとも所定の制動力を発生させ得るものである。
〔第1の実施形態〕
図1乃至図4には、本発明に係る制動機構Bの第1実施形態を示す。図1および図2に示すように、本実施形態の制動機構Bは、車両Sの脚部3に基体部Kが取り付けられ、この基体部Kに、車輪1を制動する少なくとも一つの制動片4が設けられる。この制動片4は、基体部Kのうち車輪1に対向する箇所に設けられ、車輪1の車軸5に対して垂直な面内において車軸5に近接離間するよう移動する。ただし、走行する車輪1に対しては原則として常に相対移動する。
制動機構Bが例えば歩行車に設けられているとき、利用者がブレーキレバー2をケーブル6aなどの操作部材6を操作することで変位部材7の姿勢が変化し制動片4の位置が変更される。車両Sが下り道を走行している場合には、利用者は操作部材6の位置を調整することで、制動片4が車輪1の車軸5から所定距離離れた位置に移動し、制動板8との摩擦力を発生させて車輪1を制動する。この制動力は車軸5と制動片4との距離に応じて増減するから、車両Sの走行状態に応じて所期の制動機能を発揮させることができる。
(基体部)
図2に示す如く、基体部Kと車両Sの脚部3は、例えば、基体部Kに形成した固定孔に脚部3を挿入した状態で一体化される。基体部Kは、脚部3に取り付けられる第1基体部K1と、制動片4の移動を案内する円盤状の第2基体部K2とを備えている。第1基体部K1と第2基体部K2とは本実施形態では各種の樹脂材料などを用いて一体に形成してある。ただし、別体に構成したものを互いに接続するものであっても良い。
第2基体部K2には、少なくとも一つの制動片4を車輪1の車軸5に対して近接離間方向に移動可能に案内するガイド部9が備えられている。ガイド部9としては、例えば図2に示すように直線溝9aが形成してある。本実施形態では、直線溝9aは車軸5を挿通する車孔10に対して側方に、且つ、車輪1の径方向に沿って延出している。直線溝9aの幅は、円盤状の制動片4の直径よりも僅かに大きく構成してある。
一方、直線溝9aの底部には、制動片4の背面に対向して、制動片4が制動板8から過度に離間するのを防止する底面9bが形成してある。さらに底面9bの中央には、直線溝9aの延出方向に沿って案内溝9cが設けてある。この案内溝9cには、後述の制動片4の操作軸部4aが配置され、変位部材7による制動片4の操作が可能となっている。
このような直線溝9aは、例えば、樹脂の射出成形によって設けることもできるし、基体部Kを構成する素材をフライス盤で加工することもでき、加工工数が少なく加工コストも安価である。
このようなガイド部9によれば、車輪1が回転する際に、制動板8に吸着して一体回転しようとする制動片4にガイド部9の壁部9dが当接し、制動片4の供回りを防止する。この壁部9dは、基体部Kの一部として構成されるため、制動片4を受け止めるのに十分な反力を発生し得る。よって、制動板8に対する制動片4の吸着力の強さを任意に設定することが可能となる。
(制動片)
図2および図3に示すように、直線溝9aには一つの制動片4が配置される。制動片4は例えば磁石4bで構成し、外径に対して高さの低い円柱状に構成し、磁石4bの外周をカップ状のケース4cで覆ってある。ケース4cは、鋼材などの磁性材料で構成され、磁石4bから生じる磁束を集中させて磁力を高めると共に、磁石4bの保護機能を発揮する。
また、制動片4のうち制動板8に当接する部位には、耐久性のある摺接部材4dとして例えばカーボンの薄板を貼り付けておくと良い。この摺接部材4dにより制動片4と制動板8との間に生じる摩擦力を調節可能である。例えば、摺接部材4dを厚くするほど制動板8に対する磁石4bの着磁力が減少し制動力を弱めることができる。
カップ状のケース4cの裏面からは棒状の操作軸部4aが突出形成してある。操作軸部4aは案内溝9cを貫通した状態に配置され、変位部材7の一端に係合している。変位部材7の操作により、制動片4は、直線溝9aに沿った任意の位置に設定される。
本実施形態に示す制動片4は円柱状であり操作軸部4aの周りに方向性がないため直線溝9aに対する設置作業が容易となる。また、直線溝9aの内部を移動するとき、あるいは、直線溝9aの特定箇所において制動板8と摺動する際に制動片4は回転可能である。よって、制動板8に対する制動片4の摺接方向が適宜変化し、カーボンの薄板やケース4cの摩耗程度が均等化される。
尚、ガイド部9は基体部Kに設けられているため構造が強固であり、制動片4を確実に回転規制することができる。このため、変位部材7は、主に制動片4を車軸5に対して近接離間移動させる場合に制動片4に作用すればよく、変位部材7の部材強度を削減することができる。また、それに伴って変位部材7のコンパクト化が可能となる。
(制動板)
図2および図3に示す如く、車輪1の側面には制動板8が取り付けられる。制動板8は、制動片4と当接する環状領域を備えた板部材である。車輪1は例えば樹脂成形されるが、制動板8は制動片4が吸着できるように例えば磁性部材である鋼材で構成する。車輪1に対する取付けは、例えば図2に示すようにネジ11を用いる。また、この他に、接着剤などで固定することもできる。
図2に示すように、制動板8の径方向の幅は、少なくとも制動片4の直径よりも大きなものとする。制動板8の幅が制動片4の直径よりも十分に大きいと、制動片4の位置を変更することで制動力の幅広い設定が可能となる。例えば、制動片4が径外方向外側にあるほど、車軸5からのアーム寸法が大きくなり、摩擦力との積で求められる制動力が増大する。
また、制動板8の径方向の幅が仮に制動片4の直径と同じであっても制動力の調節が可能である。その場合には、制動片4の一部あるいは全部が、制動板8から車軸5の側に外れて位置設定できるようにする。図2に示すように、制動板8の内周側に制動板8の板面と面一となるように車輪1のボス部1aを利用して非磁性領域NMを形成しておき、双方の領域に亘って制動片4が移動できるようにする。
この場合、例えば、制動片4の半分の領域を制動板8に当接させると制動力は約半分となる。さらに、制動片4が制動板8に対して車軸5の側に完全に外れる状態では制動力がゼロとなる。このように発生させる制動力を可変とすることで、例えば本制動機構Bを歩行車の車輪1に用いた場合、走行ブレーキとして利用することができる。
さらに、図2に示すように、制動板8の外縁部には制動片4の側面が当接可能な円筒面8aを設けている。つまり、制動片4が最外位置にあるときには、制動片4の側面と円筒面8aとの当接により、制動片4が発生させる摩擦力の総量をさらに増大させる。制動片4は円筒面8aとの接触により自転しようとするが、この自転は必ずしも止める必要はない。仮に制動片4の回転を止める構成を設ける場合には、制動片4の側面と円筒面8aとの間に確実に摩擦力が発生する。しかし、制動片4の自転が可能な場合であっても、制動片4と円筒面8aとが滑りなく相対回転する場合を除けば、両者の間に幾分の摩擦力の増加が期待できる。
本構成により、例えば、車輪1の回転を完全に止めることができる。制動片4と制動板8とによって生じる制動力が、車輪1と路面との静止摩擦力よりも大きい場合には車輪1がロックし、駐車ブレーキを作用させた状態と同じになる。このように本構成であれば、走行ブレーキと駐車ブレーキとを併せ持つ制動機構Bを得ることができる。
制動板8を磁性部材で構成し、磁石4bを用いて制動片4を構成することで制動片4は常に制動板8に吸着される。本構成は、一般の制動機構Bにあるような制動板8とは別の部材に支持された制動片4が制動板8に作用するものとは異なり、制動板8と制動片4に生じる吸着力は略一定となる。
そのため、操作部材6および変位部材7によって制動片4の位置を車軸5の径方向に移動させることで、車軸5に作用させる制動モーメントの大きさを容易に調節することができる。
また、磁石4bの磁力の強さやサイズを適宜設定することで制動力の設定が自在となる。よって、簡便な構成でありながら、制動機能の設定自由度が高い制動機構Bを得ることができる。
(変位部材)
制動片4の位置は変位部材7によって調節する。変位部材7は、図2乃至図4に示すように、基体部Kの裏面に軸支された略L字形の部材である。中央の折曲り部に設けた枢支孔7aが基体部Kに軸支され、一方の先端に設けたフォーク部7bが制動片4の操作軸部4aに係合する。他方に設けられた操作孔7cには例えば歩行車のブレーキレバー2から延出する操作部材6すなわちケーブル6aが接続される。
本実施形態では、フォーク部7bに操作軸部4aが係合し、フォーク部7bが枢支孔7aを中心に回動するのに対して、操作軸部4aは案内溝9cに沿って往復直線移動する。本実施形態では、変位部材7にスプリング12が接続してあり、制動片4を車軸5に向けて引張るように付勢している。これは、制動片4を車軸5に近付けた場合に、磁石4bである制動片4が制動板8に引き付けられ径外方向に移動するのを打ち消すものである。このスプリング12を設けることで、制動片4の位置ズレが防止できるだけでなく、変位部材7の操作力を軽減することができる。
歩行車の通常走行時において、例えばブレーキレバー2を介してケーブル6aを引く力はゼロである。この状態では、変位部材7は図4に実線で示す状態となり、フォーク部7bが車軸5に最も近付く姿勢となる。この状態では、制動片4は制動板8と当接しない。
歩行車の使用者がブレーキレバー2を操作してケーブル6aを引くことで、図4の一点鎖線で示すように、フォーク部7bが径外方向に移動し、制動片4が制動板8と摺動し始める。制動片4と制動板8との当接面積が広がるほど制動力が増大する。また、制動片4の全面が制動板8と当接する状態になった後は、さらに制動片4を径外方向に移動させることで、車軸5から制動片4までのモーメントアームが伸びて制動力が増大する。
変位部材7は、図2や図4に示すように、使用者の操作力に応じて位置変更可能な構造にしてもよいし所定の位置で固定可能な構造にしてもよい。例えば図示は省略するが、変位部材7に接続したケーブル6aの端部にクリック機構付きの操作ダイヤル等を接続し、これをハンドルHの近くに設置しておくことで、操作ダイヤルの選択位置に応じて制動片4の位置が固定される。
この場合には、使用者がその後特段の操作をしなくても各設定位置に応じて所定の制動力が発生する。よって、下り坂を走行するような場合に、使用者は単にハンドルHに手を添えたままで一定車速が維持され、快適に歩行車を走行させることができる。
また、本構成の如く、制動板8に当接する制動片4を設けること、および、当該制動片4の位置を変更する変位部材7を設けることは比較的容易であり、制動機構Bをコンパクトに形成可能である。よって、歩行車等の車輪1に対して搭載性に優れ、耐久性のある制動機構Bを得ることができる。
〔第2の実施形態〕
本発明に係る制動機構Bにおいては、変位部材7あるいはガイド部9に、制動片4が制動板8との摺動に際して自転するのを防止する自転規制部Rを設けておくことができる。
制動片4が制動板8と摺動する場合に、制動片4の各領域のうち車軸5に近い領域と遠い領域では制動板8との相対速度に差が生じる。このため制動片4が自転し易くなる。制動片4が自転すると、ガイド部9や変位部材7に対して転がり力が発生し、制動片4が移動して制動力が変化する。制動力を安定化させるためには制動片4の自転を止め、変位部材7の位置を確実に保持する必要がある。
具体的には、図5に示すように、制動片4の裏側に自転規制部Rを設けておく。この自転規制部Rは角柱状の形状であって雌ネジ部を備えている。一方の制動片4の裏側にはボルト4fが固設してあり、このボルト4fに自転規制部Rが螺合固定される。自転規制部Rの互いに平行な2面が第1規制面R1となる。また、自転規制部Rには、変位部材7が係合する操作軸部4aが螺合固定されている。
図示は省略するが、ボルト4fと操作軸部4aとは自転規制部Rの内部で端部どうしが当接する。よって、例えば、操作軸部4aを自転規制部Rに強く捻じ込むことで、ボルト4fと操作軸部4aとが操作軸部4aの雌ネジ部に対してロック固定される。
一方、第2基体部K2の案内溝9cの幅は、互いに平行な第1規制面R1に合わせて設定し、自転規制部Rが案内溝9cの内部で回転しない構造とする。この案内溝9cの対向面を第2規制面R2とする。
このような自転規制部Rを設けることで、簡便な構成の追加に留めながら制動片4の自転を確実に規制することができ、制動力を安定化することができる。
また、制動片4がガイド部9や変位部材7と相対回転しないことで、ガイド部9や変位部材7の摩耗が低減化され、制動機構Bの耐久性を高めることができる。
さらに、図5の構成の他に制動片4の自転を規制する構成としては、例えば変位部材7の先端をフォーク状にするのではなく、先端に例えば角孔を設けておき、制動片4の操作軸部4aを角柱状にして変位部材7に対して制動片4が回転不能に構成しておいても良い。この場合には、制動片4の移動軌跡は変位部材7の角穴の移動軌跡となる。本構成であれば、制動片4の位置を確実に保持するには変位部材7の強度が必要になるが、基体部Kに対する直線溝9aや案内溝9cを省略することも可能となり、制動機構Bをより簡便に構成することができる。
〔第3の実施形態〕
本発明に係る制動機構Bにおいては、図6に示すように、車輪1のボス部1aの側面に内側円筒面8bを設けておき、制動片4が最内部に位置するとき、制動片4の側面が当接するように構成することもできる。
内側円筒面8bを設けた場合、制動片4が内側円筒面8bに当接する直前の状態では、車軸5から制動片4までの距離が最短となる。このため、制動片4と制動板8との摩擦によって生じる制動力は最小となる。また、内周部に非磁性領域NMを設けている場合には制動力は発生していない。この状態から制動片4を内側円筒面8bに当接させることで、制動片4の位置を大きく変更することなく制動力を増やすことができる。この場合、ブレーキレバー2の操作などによって内側円筒面8bに対する制動片4の押付力を変えることで走行ブレーキとして利用することができる。
尚、この場合にも、制動片4の側面には各種の摺動板を設けておき、内側円筒面8bとの摩擦力を高めておくと良い。また、制動片4と第2基体部K2あるいは制動片4と変位部材7との間に自転規制部Rを設けておくのが良い。
〔第4の実施形態〕
図7に示すように、制動力の調節は、ハンドルHの近傍に設けた調節スイッチ21により行うものであっても良い。調節スイッチ21には例えばトグル式のレバー21aが設けられており、レバー21aの位置を選択することで変位部材7の姿勢を調節する。レバー21aは、その位置を無段階に設定できるものや段階的に設定するもの等任意の構成を取り得る。
〔その他の実施形態〕
制動板8に対する制動片4の当接は、磁力を用いるものの他に、各種形状のばね等の付勢部材を利用するものであっても良い。
本発明の制動機構は、歩行車や荷物運搬用の台車等の車両、特に使用者がその車両に乗車せずに走行させるものに好適に適用可能である。また、その他にも使用者が乗車する自転車や自動車などの車両に搭載することができる。さらに、車両に限らず、回転体の回転を定常的に制動する必要のある装置に用いることも可能である。
1 車輪
1a ボス部
1b リム部
3 脚部
4 制動片
4b 磁石
5 車軸
6 操作部材
7 変位部材
8 制動板
8a 円筒面
9 ガイド部
B 制動機構
K 基体部
NM 非磁性領域
R 自転規制部

Claims (6)

  1. 車輪を軸支する脚部に取り付けられた基体部と、
    前記車輪に取り付けられた制動板と、
    前記制動板に当接した状態に配置され、前記制動板との間に摩擦力を発生させる少なくとも一つの制動片と、
    前記基体部に設けられ、前記制動板に対する前記制動片の位置を、前記車輪の車軸に垂直な面内において前記車軸に対して近接離間させる変位部材と、
    前記変位部材を作動させる操作部材と、を備える制動機構。
  2. 前記制動板が磁性部材であり、前記制動片が磁石である請求項1に記載の制動機構。
  3. 前記基体部に、前記制動片を前記近接離間させる方向に沿って移動可能に案内するガイド部が備えられている請求項1または2に記載の制動機構。
  4. 前記制動片と前記変位部材との間、或いは、前記制動片と前記ガイド部との間に、前記制動片が前記制動板との摺動によって自転するのを防止する自転規制部Rが設けられている請求項3に記載の制動機構。
  5. 前記車輪の側面のうち外周側に前記制動板を円環状に設け、前記制動板の内周側に隣接した状態に円環状の非磁性領域を設けるとともに、前記変位部材が前記制動片の位置を前記制動板に当接する位置と前記非磁性領域とに亘って変更可能に構成してある請求項1から4の何れか一項に記載の制動機構。
  6. 前記制動片が最内部あるいは最外部に位置するとき、前記制動片の側面が当接可能な円筒面を、前記制動板および前記車輪のボス部およびリム部のうち少なくとも何れか一つに設けてある請求項1から5の何れか一項に記載の制動機構。
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