JP2023094644A - 検出セル、faims装置、およびプログラム - Google Patents

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Tomohiro Kosaka
知子 寺西
Tomoko Teranishi
慶 生田
Kei Ikuta
友貴 大塚
Yuki Otsuka
レシヤン マドゥカ アベシンゲ
Maduka Abeysinghe Reshan
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    • G01N27/62Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating the ionisation of gases, e.g. aerosols; by investigating electric discharges, e.g. emission of cathode
    • G01N27/622Ion mobility spectrometry
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Abstract

Figure 2023094644000001
【課題】FAIMS分析の回路構成と制御との改善を目的とする。
【解決手段】検出セル20は、互いに離間しつつ対向して配置される一対のフィルタ電極21,22を備え、一方のフィルタ電極21は、流れ方向に沿って設けられる第1領域21Aと、第1領域21Aに対する交差方向について第1領域21Aに並んで配置され、他方のフィルタ電極22との離間距離が小さくなるように突出されている第2領域21Bとを含む。第1領域21Aおよび第2領域21Bの流れ方向の下流側にはそれぞれ、第1下流側電極26Aおよび第2下流側電極26Bが交差方向について離間して備えられ、他方のフィルタ電極22の下流側には、第1下流側電極26Aおよび第2下流側電極26Bと対向する第1対向電極27Aおよび第2対向電極27Aが備えられている。
【選択図】図2

Description

ここに開示される技術は、検出セル、FAIMS装置、およびプログラムに関する。
従来より、複数の成分を含む分析対象物をイオン化し、流動させながら成分分離して検出する分析手法が広く利用されている。例えば、下記の特許文献1には、流路に沿って一対のフィルタ電極と、一対の検出電極と、を備える検出セルをアレイ状に複数配列されている、非対称電界イオン移動度分析(Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometry:FAIMS)システムが開示されている。この特許文献1の構成によると、検出セルごとにイオンを分離するための条件を任意に変化させることができ、同時に異なる種類のイオンを検出することが可能となる。
特許第5015395号公報
しかしながら、上記の構成によると、フィルタ電極の数が増大することに加え、各電極に印加する電圧をそれぞれ制御する必要がある。そのため、各検出セルへの印加電圧の制御と、そのための回路構成(例えば図7参照)とが大規模で複雑になるという課題がある。FAIMS装置における配線の過度な細線化や多層構造化は、フィルタ電界を形成するための高電圧の印加によって短絡や断線等の不具合が生じやすくなる点においても課題がある。
ここに開示される技術は、FAIMS装置の改善(例えば、構成の簡略化と分析時間の短縮等との両立)を目的とする。
(1)本技術に係る検出セルは、互いに離間しつつ対向して配置される一対のフィルタ電極を備え、前記一対のフィルタ電極の一方は、当該一対のフィルタ電極の間に導入される測定対象物の流れ方向に沿って設けられる第1領域と、前記第1領域に対して前記流れ方向に交わる交差方向について前記第1領域に並んで配置され、他方の前記フィルタ電極との離間距離が小さくなるように突出されている第2領域と、を含む。そして、前記第1領域および前記第2領域の前記流れ方向の下流側にはそれぞれ、第1下流側電極および第2下流側電極が前記交差方向について離間して備えられ、前記一対のフィルタ電極の他方の前記下流側には、前記第1下流側電極および前記第2偏向電極と対向する第1対向電極および第2対向電極が備えられている。
(2)また、本技術に係る検出セルの一実施形態では、上記(1)の構成に加え、互いに離間しつつ対向して配置される第1基材および第2基材を備え、前記第1基材は、前記流れ方向に沿って設けられ、前記一方のフィルタ電極の前記第1領域および前記第1下流側電極を支持する第1部分と、前記第1部分に対して前記交差方向において隣り合い、前記第1部分に対して前記第2基材との離間距離が小さくなるように突出し、前記一方のフィルタ電極の前記第2領域および前記第2下流側電極を支持する第2部分と、を備え、前記第2基材は、前記他方のフィルタ電極と、前記第1対向電極および第2対向電極と、を備えていてもよい。
(3)本技術に係る検出セルの一実施形態では、上記(1)の構成に加え、前記一対のフィルタ電極は、前記交差方向の両端と、前記第1領域および前記第2領域の境界付近とにおいてそれぞれ、前記流れ方向に延びるシール部材によって接続されていてもよい。
(4)本技術に係る検出セルの一実施形態では、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加え、前記一方の電極において、前記第1領域と前記第2領域との間には、テーパが設けられていてもよい。
(5)本技術に係る検出セルの一実施形態では、上記(1)~(4)のいずれかの構成に加え、前記一対のフィルタ電極のそれぞれに電力を供給するための一対の主配線を備え、
前記一対の主配線は、前記一対のフィルタ電極の前記交差方向の端部において当該一対のフィルタ電極のそれぞれに接続されていてもよい。
(6)本技術に係る検出セルの一実施形態では、上記(1)~(5)のいずれかの構成に加え、前記第2領域の前記交差方向における寸法は、前記第1領域の前記交差方向における寸法よりも長くてもよい。
(7)本技術に係る検出セルの一実施形態では、上記(1)~(6)のいずれかの構成に加え、前記一方のフィルタ電極は、前記交差方向について前記第1領域および前記第2領域に並んで配置され、前記他方のフィルタ電極との離間距離が小さくなるように突出されている第3領域を含み、前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域は、前記第1領域および前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさの差と、前記第2領域および前記第3領域のそれぞれについて形成される電界の大きさの差と、が等しくなるように、前記他方のフィルタ電極との離間距離が決定されていてもよい。
(8)他の側面において、本技術に係るFAIMS装置は、上記(1)~(7)のいずれかの検出セルと、少なくとも前記一対のフィルタ電極の間に印加する分散電圧を制御する第1制御部と、を備えていてもよい。
(9)本技術に係るFAIMS装置の一実施形態では、上記(8)の構成に加え、前記一対のフィルタ電極の間に印加する補償電圧を制御する第2制御部をさらに備えていてもよい。
(10)本技術に係るFAIMS装置の一実施形態では、上記(8)または(9)の構成に加え、前記第1制御部および第2制御部によって実行されるように構成された1つまたは複数のプログラムを格納する記憶部を備え、1つまたは複数のプログラムは、以下の指示:前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、を含み、前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化されてもよい。
(11)本技術に係るFAIMS装置の一実施形態では、上記(8)~(10)のいずれか1つの構成に加え、前記1つまたは複数のプログラムは、以下の指示:前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさおよび第2の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさまたは前記第2の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、を含み、前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさおよび前記第2の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化されてもよい。
(12)他の側面において、本技術に係るプログラムは、上記(10)のFAIMS装置を運転するためのプログラムであって、以下の指示:前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、を含み、前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化されてもよい。
(13)他の側面において、本技術に係るプログラムは、上記(11)のFAIMS装置を運転するためのプログラムであって、以下の指示:前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさおよび第2の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさまたは前記第2の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、を含み、前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさおよび前記第2の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化される、を含んでもよい。
ここに開示される技術によれば、FAIMS装置を改善(例えば、構成の簡略化と分析時間の短縮等とを両立)することができる。
図1は、一実施形態に係る検出セルを備えるFAIMS装置による移動度分析の様子を示す概略図である。 図2は、図1のA-A断面に対応する模式図である。 図3は、異形電極を有する第1基板の部分平面図である。 図4は、一実施形態に係るFAIMS装置における制御装置のブロック図である。 図5は、一実施形態に係るFAIMS装置によって得られたFAIMSスペクトルの部分拡大図である。 図6は、(a)従来と(b)本技術とにおけるFAIMSスペクトルの取得条件について説明する図である。 図7は、従来の電極を有する基板の部分平面図である。 図8Aは、一実施形態に係る検出セルの製造工程の一部を示す段面図である。 図8Bは、一実施形態に係る検出セルの製造工程を他の一部を示す断面図である。 図8Cは、一実施形態に係る検出セルの製造工程を他の一部を示す断面図である。 図9Aは、他の実施形態に係る検出セルの製造工程の一部を示す段面図である。 図9Bは、他の実施形態に係る検出セルの製造工程を他の一部を示す断面図である。 図9Cは、他の実施形態に係る検出セルの製造工程を他の一部を示す断面図である。 図10Aは、他の実施形態に係る検出セルの製造工程の一部を示す段面図である。 図10Bは、他の実施形態に係る検出セルの製造工程を他の一部を示す断面図である。 図11Aは、一実施形態に係る検出セルの一製造工程を示す平面図である。 図11Bは、一実施形態に係る検出セルの一製造工程を示す平面図である。 図11Cは、一実施形態に係る検出セルの一製造工程を示す平面図である。 図11Dは、一実施形態に係る検出セルの一製造工程を示す平面図である。 図12は、他の実施形態に係るFAIMS装置の断面図である。 図13は、他の実施形態に係るFAIMS装置の断面図である。 図14は、他の実施形態に係るFAIMS装置の断面図である。 図15は、他の実施形態に係るFAIMS装置の断面図である。
以下、ここに開示される技術の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項(例えば、ここで開示される検出セルの構造)以外の事柄であって、本技術の実施に必要な事柄(例えば、イオン化源の構成やその駆動技術、ドリフト電界の発生条件等に関する一般的事項、ならびに、検出セルによる検出情報の処理や解析に関する一般的事項)は、分析工学分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪実施形態1≫
まず、ここに開示される検出セルの特徴について、図1~図11Dを適宜に参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の検出セル20を利用したFAIMS装置1(以下、単に「分析装置」という場合がある。)の大まかな構成を示す図である。分析装置1は、イオン化源10と、検出セル20と、ポンプ30(送気装置の一例)と、制御装置40と、を含む。以下、各要素について説明する。図中のX,Y,Zはそれぞれ、測定対象物の流れ方向,交差方向,電界方向を示す。ただし、これらの方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
イオン化源10は、測定対象物である化合物の原子および分子をイオン化する装置である。測定対象物は、イオン化源10によってイオン化されることで、検出セル20において検出可能な構成に変化される。イオン化源10のイオン化手法は特に制限されず、従来の各種のイオン化源を用いることができる。具体的には、イオン化手法としては、例えば、電子衝撃(Electron Impact:EI)法、化学イオン化法、ガス放電法、光イオン化法、脱着イオン化法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、熱イオン化法、および周囲イオン化法等や、これらを組み合わせた方法などであってよく、検出したい成分をイオン化できるイオン化源を適宜選択するとよい。本例では、具体的には図示しないが、イオン化源10として針電極を備えており、この針電極によって大気圧下でコロナ放電を発生させることにより反応イオンを生じさせ、試料原子や試料分子と反応させることで、間接的に試料イオン(荷電粒子)を発生させるようにしている。試料イオンは、測定対象物のイオンに限定されず、反応物イオン、イオンクラスタ等であってもよい。
イオン化源10としては、上記の針電極の他、ニッケル同位体(63Ni)やアメリシウム同位体(241Am)等を含む放射性イオン源を備え、放射性イオン源から発生される試料をイオン化するイオン化ユニットや、紫外線パルスレーザ発振器を備え、紫外線パルスレーザ光を照射して試料を直接的にアブレーションしてイオン化するイオン化ユニット等であってもよい。イオン化源10によって生成された試料イオンは、大気,キャリアガス等の雰囲気ガス(中性のバッファガス)が、後述するポンプ30によって送気されることで発生する気流に乗って、検出セル20に向けて送られる。
ポンプ30は、試料イオンを含む雰囲気ガスを、検出セル20内を流れ方向に沿って移動させるための要素である。本実施形態のポンプ30は、流れ方向について検出セル20の下流側に設置されている。ポンプ30としては、イオン化源10によって生成された試料イオンを、後述する検出セル20に所定の速度で送ることができる各種の送気装置を用いることができる。ポンプ30の送気機構は特に制限されず、ダイアフラム式、回転翼式、ピストン式、ロータリーベーン式、その他の送気装置等であってよい。検出セル20の大きさ等にもよるが、ポンプ30として、一例では、最大吐出圧力が約0.03MPa以下程度、送気量約1L/min以下程度のマイクロブロアを用いることができる。例えば、圧電セラミックスによる高周波振動(例えば超音波振動)によってダイアフラムを変動させるようにしたマイクロブロアによると、脈動を抑制して送気できる点において、本実施形態で用いるポンプ30として好ましい。
検出セル20は、イオン化源10で生成されたイオンを、移動度の差に基づいて分離(フィルタリング)して所定の移動度のイオンごと検出する要素である。検出セル20は、図2および図3に示すように、本技術の一対の基材としての第1基板23(第1基材の一例)および第2基板24(第2基材の一例)と、この一対の基材に支持される電極と、を備えている。電極は、異形電極21(一方のフィルタ電極の一例)、平坦電極22(他方のフィルタ電極の一例)、偏向電極26、および検出電極27を含む。検出セル20のこれらの各要素は、図示しないチャンバ内に配置されていてもよい。
異形電極21および平坦電極22は、互いに離間しつつ対向して配置されることで、FAIMS分析における一対のフィルタ電極を構成する。異形電極21と平坦電極22との間に、試料イオンの流れが導入されるようになっている。以下、異形電極21および平坦電極22の間で試料イオンが流れる方向を「流れ方向」という。異形電極21と平坦電極22との間は、イオン分離空間(ドラフト空間)とされる。本例の異形電極21および平坦電極22はそれぞれ、後述する第1基板23および第2基板24の対向面(支持面と同じ)上に備えられている。一般的な一対のフィルタ電極は、一対の電極の対向面が平らな、いわゆる並行平板電極である。平坦電極22については、従来の電極と同様の構成を採用することができる。平坦電極22の法線方向は、一対のフィルタ電極の間に形成される電界の方向に概ね一致する。これに対し、本技術に係る異形電極21は、平坦電極22に対向する表面が平らではなく、段差を有している。
異形電極21および平坦電極22の形状および大きさ等は、厳密には制限されない。異形電極21および平坦電極22は、典型的には、平面視については、略同じ同じ形状を有する。また本実施形態の異形電極21および平坦電極22はそれぞれ、平面視において、流れ方向に長い矩形状をなしている。異形電極21および平坦電極22の試料イオンの流れ方向に沿う寸法は、これに限定されるものではないが、例えば、0.1cm以上(例えば、1cm以上)程度であり、50cm以下(例えば、10cm以下)程度とすることができる。異形電極21および平坦電極22の厚みは特に制限されず、例えば、それぞれ独立して、50nm以上1μm以下程度の範囲で適宜設定することができる。異形電極21および平坦電極22の厚みは、典型的には600nm以下、例えば400nm以下であり、また、典型的には100nm以上、例えば200nm以上とすることができる。以下、異形電極21と平坦電極22とを区別する必要がないときには、これらをフィルタ電極21,22のように総称する場合がある。
異形電極21は、より詳細には、検出セル20における測定対象物の流れ方向に沿って長手状に設けられる複数の領域:第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21D;を含んでいる。これら第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21Dは、平面視(電界方向に沿って視たとき)において、交差方向について互いに並んで配置されている。本実施形態においてこれらの4つの領域は、平面視で、第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21Dの順に並んでいる。これらの4つの領域は、平坦電極22との離間距離がこの順で小さくなるように、第1領域21Aに対して第2領域21Bが、第2領域21Bに対して第3領域21Cが、第3領域21Cに対して第4領域21Dが、平坦電極22に向けてそれぞれ突出した形状を有している。各領域の間は、連続部分によって連続されており、異形電極21は全体として一つの電極により構成されている。
フィルタ電極21,22の離間距離は、第1領域21Aと平坦電極22との間を第1ギャップg1、第2領域21Bと平坦電極22との間を第2ギャップg2、第3領域21Cと平坦電極22との間を第3ギャップg3、第4領域21Dと平坦電極22との間を第4ギャップg4とすると、これらの間には以下に示す関係がある。
g1>g2>g3>g4
またこのようなフィルタ電極21,22の間にフィルタ電圧Vfを印加したとき、第1領域21Aと平坦電極22との間に生じる電界を第1電界E1、第2領域21Bと平坦電極22との間に生じる電界を第2電界E2、第3領域21Cと平坦電極22との間に生じる電界を第3電界E3、第4領域21Dと平坦電極22との間に生じる電界を第4電界E4とすると、これらの間には以下に示す関係がある。
E1=Vf/g1
E2=Vf/g2
E3=Vf/g3
E4=Vf/g4
E1<E2<E3<E4
すなわち、異形電極21にn個(nは2以上の自然数、典型的には、n=2~50,例えばn=4~5)の領域が設けられ、各領域と平坦電極22との間の寸法がgnであるとき、当該領域において異形電極21と平坦電極22との間にフィルタ電圧Vfを印加して形成される電界Enの大きさは、Vf/gnで表すことができる。したがって、各領域について形成される電界Enの大きさはそれぞれ異なったものとなる。なお、フィルタ電圧Vfは、分散電圧(Dispersion Voltage:DV、非対称高周波電圧ともいう。)と、補償電圧(Compensation Voltage:CV)との和である。本実施形態において異形電極21と平坦電極22とはそれぞれ、後述する制御装置40の第1電位調整部41および第2電位調整部42に接続され、第1電位調整部41および第2電位調整部42によって分散電圧DVおよび補償電圧CVが印加されるようになっている。
フィルタ電極21,22の離間距離(例えば、g1)は、厳密には制限されない。離間距離は、狭くすることでイオン分離空間に形成される電界(例えば、E1)の強度を効果的に高めることができるために好ましい。ここで、フィルタ電極21,22間における試料イオンの流れが、フィルタ電極21,22の表面に沿った層流を形成すると、試料イオンを効率的に輸送できるために好ましい。しかしながら、離間距離が狭すぎると、異形電極21と平坦電極22との間で放電や試料イオンの流れに乱流が生じやすくなるという背反がある。したがって、離間距離(例えば、g1~g4)は、それぞれ独立して、例えば30μm以上(典型的には、50μm以上)程度であって、一例として1mm以下、例えば500μm以下(典型的には、300μm以下)程度とすることができる。
異形電極21の各領域21A~21Dの離間距離g1~g4は、これに限定されるものではないが、離間距離が近い2つの領域について、当該領域21A~21Dと平坦電極22との間に形成される電界E1~E4の差(すなわち、電界ギャップΔE)がなるべく等しくなるように設定するとよい。一例として、離間距離が近い第1領域21Aと第2領域21Bの組み合わせにおける電界の差がΔE12(=E2-E1)であるとき、他の離間距離が近い2つの領域の組み合わせである第2領域21Bと第3領域21C、および、第3領域21Cと第4領域21Dについても、電界の差がΔE23(=E3-E2),ΔE34(=E4-E3)がΔE12と概ね等しくなるように、各領域の離間距離g1~g4が設定されるとよい。本実施形態において、隣り合う2つの領域間の寸法(ギャップΔG)は、離間距離gやフィルタ電圧Vf等に因るため一概には言えないものの、例えば0.1μm以上(典型的には、0.5μm以上、1μm以上)程度であって、例えば100μm以下(典型的には、50μm以下、10μm以下)程度とすることが例示される。
フィルタ電極21,22を構成する材料は特に制限されない。フィルタ電極21,22を構成する材料は、両電極間に後述する電界を発生させることができる各種の導電性材料であればよく、金属材料、無機導電性材料、および有機導電性材料のいずれであってもよい。分析対象である試料およびそのイオンが金属腐食性を示すことが考えられる場合は、フィルタ電極21,22の表面を構成する導電性材料として、無機導電性材料および有機導電性材料のいずれかを採用するとよい。フィルタ電極21,22を構成する金属材料としては特に制限はなく、例えばArFエキシマレーザを用いたリソグラフィ技術によってフィルタ電極21,22を作製する場合、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、Cr(クロム)、モリブデン(Mo)、Ta(タンタル)、およびタングステン(W)等の高導電性金属の中から選択されるいずれか1種類の金属やその金属の合金、いずれか2種以上を含む合金等によって構成するとよい。これらの金属材料は、例えば上層側から順に、W/Ta,Ti/Al,Ti/Al/Ti,またはCu/Ti等の積層構造として、下地(典型的には、基板23,24)に対する密着性等の物性を高めるようにしてもよい。無機導電性材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium-Zinc-Oxide)、IGZO(Indium-Gallium-Zinc-Oxide)、ZnO等が挙げられる。有機導電性材料としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン類等が挙げられる。フィルタ電極21,22は、金属材料、無機導電性材料、および有機導電性材料のいずれか2種以上を積層して構成してもよい。
第1基板23は、異形電極21を支持する要素である。本例において第1基板23は、図1に示すように、異形電極21と、後述する偏向電極26とを、流れ方向について互いに離間した位置に備えている。また、第2基板24は、平坦電極22を支持する要素である。本例において第2基板24は、平坦電極22と、偏向電極26とを、流れ方向について互いに離間した位置に備えている。第1基板23と第2基板24とは、これらの電極が備えられた支持面が互いに対向するように配置される。。以下、第1基板23と第2基板24とを区別する必要がないときには、これらを基板23,24のように総称する。基板23,24の形状は、異形電極21と平坦電極22、検出電極27と偏向電極26を、所定の姿勢で略平行に支持することができるものであればその形状は特に制限されない。本実施形態の第2基板24は、流れ方向について長い矩形をなす平板状をなしている。一方の本実施形態の第1基板23は、概ね第2基板24と同様に、流れ方向について長い矩形をなす平板状をなしているものの、異形電極21の各領域21A~21Dを裏側から安定して支持できるように、支持面に段差が設けられている。
第1基板23は、詳細には、流れ方向に沿って長手状に設けられる複数の部分:第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23D;を含んでいる。これら第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dは、平面視(電界方向に沿って視たとき)において、交差方向について互いに隣接するように並んで配置されている。本実施形態においてこれらの4つの領域は、平面視で、第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dの順に並んでいる。これらの4つの部分は、第2基板24との離間距離がこの順で小さくなるように、第1部分23Aに対して第2部分23Bが、第2部分23Bに対して第3部分23Cが、第3部分23Cに対して第4部分23Dが、第2基板24に向けてそれぞれ突出した階段状をなしている。本実施形態において、第1基板23の対向面と反対側の裏面は、平坦となっている。各部分23A~23Dは一体的に連なって第1基板23を構成している。そして、第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dはそれぞれ、異形電極21の第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21Dを支持している。また、第2基板24は、異形電極21と対向するように平坦電極22を支持している。
本例の基板23,24は、電気絶縁性を有する各種の絶縁性材料によって構成することができる。絶縁性材料としては、室温(例えば25℃)における体積抵抗率が10Ωcm以上(例えば、1010Ωcm以上、1012Ωcm以上、さらには1015Ωcm以上)の材料が挙げられ、例えば、上記体積抵抗率を有する有機材料または無機材料等であってよい。これに限定されるものではないが、第1基板23をリソグラフィ技術によって作製する場合は、基板23,24としてガラス基板を用いるとよく、樹脂モールディング法によって形成する場合は、各種の絶縁性樹脂材料を用いるとよい。基板23,24の厚みに制限はないが、例えば、0.1~1mm程度(一例として、0.5mm、0.7mm等)とすることが例示される。
偏向電極26は、検出セル20に導入された試料イオンを検出電極27に捕集させるように、試料イオンを検出電極27に向けて偏向させるための要素である。本実施形態において偏向電極26は、本技術における下流側電極の一例である。偏向電極26は、第1偏向電極26A、第2偏向電極26B、第3偏向電極26C、および第4偏向電極26Dを含む。第1偏向電極26A、第2偏向電極26B、第3偏向電極26C、および第4偏向電極26Dはそれぞれ、異形電極21の第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21Dの下流側に配されて、第1基板23の第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dに支持されている。これらの各偏向電極26A~26Dは、後述する制御装置40の第3電位調整部43に接続されている。偏向電極26は、後述する第3電位調整部43によって電圧が印加されることによって、偏向電極26と検出電極27との間に試料イオンを検出電極27に偏向させる電界を形成することができるようになっている。偏向電極26と検出電極27との間は、イオン分離空間を通過した試料イオンを検出するための検出空間である。
検出電極27は、検出セル20に導入された試料イオンが接触することでその電荷を受け取る要素である。本実施形態において検出電極27は、対向電極の一例である。検出電極27は、平坦電極22の下流側に配置される。検出電極27は、第1検出電極27A、第2検出電極27B、第3検出電極27C、および第4検出電極27Dを含む。第1検出電極27A、第2検出電極27B、第3検出電極27C、および第4検出電極27Dはそれぞれ、第1偏向電極26A、第2偏向電極26B、第3偏向電極26C、および第4偏向電極26Dに対向するように、第2基板24の対向面の下流側に支持されている。各検出電極27A~27Dは、各偏向電極26A~26Dと対向する側の表面が、試料イオンを受ける捕集面となっている。また、各検出電極27A~27Dは、制御装置40の計測部44と接続されている。このような構成によって、検出電極27は、捕集面において受け取った試料イオンの量を制御装置40にて把握することができるようになっている。
ここで、異形電極21の第1領域21Aと平坦電極22との間のフィルタ空間を通過した試料イオンは、第1偏向電極26Aと第1検出電極27Aとの間の検出空間に導入されて、第1検出電極27Aに捕捉される。同様に、第2~4領域21B~21Dと平坦電極22との間のフィルタ空間を通過した試料イオンはそれぞれ、第2~4偏向電極26B~26Dと第2~4検出電極27B~27Dとの間の検出空間に導入されて、第2~4検出電極27B~27Dに捕捉される。上記のとおり、異形電極21の領域21A~21Dごとに平坦電極22との間に形成される電界E1~E4の大きさが異なることから、異形電極21のフィルタ空間を通過する試料イオンは、各領域ごとに異なる。その結果、第1~4検出電極27A~27Dによって検出される情報は、互いに異なる試料イオンについての情報となる。
検出電極27および偏向電極26の形状は特に制限されない。検出電極27および偏向電極26の厚みはそれぞれ、例えば1μm以下程度であってよく、典型的には600nm以下、例えば500nm以下、400nm以下、200nm以下などであってよい。また、検出電極27および偏向電極26の厚みは、それぞれ独立して、10nm以上程度であってよく、典型的には50nm以上、例えば100nm以上であってよい。検出電極27および偏向電極26を構成する材料およびその構造については、上記のフィルタ電極21,22と同様であってよい。
なお、フィルタ電極21,22の離間距離を安定して保つために、基板23,24間に、スペーサ28(図12等参照)を配置することができる。スペーサ28は、フィルタ電極21,22の離間距離を適切に保つことができれば、その形状および構成等は特に制限されない。また、スペーサ28は、異形電極21および平坦電極22の少なくとも一方の上に配置されていてもよい。スペーサ28を異形電極21および/または平坦電極22上に配置する場合には、スペーサ28は電気絶縁性を有する材料により構成するとよい。これに限定されるものではないが、スペーサ28は、所定の粒径(例えば、第1ギャップg1であり、約30μm以上500μm以下程度、典型的には約50μm以上300μm以下程度)を有するスペーサ粒子(例えば、スチレンビーズ、ガラスビース等)と、スペーサ粒子を基板23,24(またはフィルタ電極21,22)に固定するためのバインダと、を含むとよい。バインダは、各種のバインダ樹脂、エラストマー材料等であってよい。スペーサ28は、スペーサ粒子の間隙を埋めるマトリックス樹脂材料を含んでいてもよい。スペーサ28は、流れ方向に沿って連続的または断続的に設けることで、試料イオンを含むキャリアガスの流路を形成することができるために好適である。本実施形態においてスペーサ28は、フィルタ電極21,22、検出電極27、および偏向電極26の両端において、流れ方向に沿うように連続して延びる、2本のライン状に形成されている。これにより、イオン分離空間は、二条のスペーサ28とフィルタ電極21,22とによって四方が取り囲まれ、流路が形成されている。また、検出空間は、二条のスペーサ28と検出電極27および偏向電極26とによって四方が取り囲まれ、流路が形成されている。また、イオン分離空間と検出空間との間についても、二条のスペーサ28と基板23,24とによって四方が取り囲まれ、流路が形成されている。
制御装置40は、分析装置1の駆動を制御する要素である。制御装置40は、図4に示すように、各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、各種の情報を記憶する記憶部Mと、計時機能を有するタイマT等と、を有するマイクロコンピュータによって構成されている。記憶部Mは、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)とを備えている。これに限定されるものではないが、ROMには、例えば、後述する第1電位調整部41~第3電位調整部43のそれぞれを駆動させるために用いられるコンピュータプログラム、データベース、データテーブルや、計測部44によって検出された試料イオンの量に基づく各種解析処理を行うためのコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納されていてもよい。また記憶部Mには、例えば、分析対象のID情報、検出された試料イオンの量に関する情報、各種解析処理に用いられる情報、解析結果等に関する情報等を格納することができる。
制御装置40は、第1電位調整部41と、第2電位調整部42と、第3電位調整部43と、計測部44と、イオン化源制御部45と、流量調整部46と、を備えている。これらの各部は独立して、ハードウェアによって構成されていてもよいし、CPUがプログラムを実行することにより機能的に実現されていてもよい。
本実施形態の制御装置40は、検出セル20と接続されている。より具体的には、制御装置40の第1電位調整部41、第2電位調整部42、第3電位調整部43、および計測部44は、異形電極21、平坦電極22、偏向電極26、および検出電極27に接続されており、これらの動作を制御したり、これらの電位状態を検知したりすることができるように構成されている。また、本実施形態の制御装置40は付加的に、イオン化源10、ポンプ30に接続されるとともに、分析装置1に電力を供給するための外部電源(図示せず)と接続できるようになっている。
第1電位調整部41は、少なくとも一対のフィルタ電極21,22の間に分散電圧を印加するとともに、この分散電圧を制御する要素である。フィルタ電極21,22の間に分散電圧が印加されると、フィルタ電極21,22間に電界が形成される。本実施形態において、第1電位調整部41は、平坦電極22に対して分散電圧を印加するようになっている。分散電圧は、正と負の両方の極性を示す双極性パルス電圧である。正と負の両方の極性における電位は、典型的には、非対称に切り替えられる。電圧波形は、高電界を形成する高電圧レベルVである期間Tと、低電界を形成する低電圧レベルVである期間Tと、を交互に含む非対称パルス波形となっている。この電圧波形において、電圧の時間平均はゼロとなるように設定されている。ここで、イオンの移動度は、低電界中では電界強度によらず一定であるが、高電界中では電界強度に依存してその値が変化する。そこで第1電位調整部41は、典型的にはパルス電圧発生装置等の可変電圧発生器に接続されており、例えば、矩形波状の分散電圧を印加できるようになっている。ただし、分散電圧の波形はこれに限定されず、正弦波や、矩形波と複合派の中間形状等であってよい。
フィルタ電極21,22の間のイオン分離空間には、後述する流量調整部46によるポンプ30の駆動によって、試料イオンを含むキャリアガス(典型的には中性)の流れが一定の流速で形成されている。ここで、第1電位調整部41によって高電圧レベルVの電圧が印加されることで、イオン分離空間に高電界が形成される。また、第1電位調整部41によって低電圧レベルVの電圧が印加されることで、イオン分離空間に低電界が形成される。高電界と低電界とでは、極性が異なっている。このような非対称な電界が交互に発生する環境に試料イオンが送られると、試料イオンは、異形電極21および平坦電極22に交互に引き寄せられながらジグザグに進行する。このとき、異形電極21または平坦電極22に大きく偏向された試料イオンは、異形電極21または平坦電極22に衝突し、フィルタ電極21,22を通過できない。異形電極21と平坦電極22との間でバランスした試料イオンのみが、フィルタ電極21,22を通過して、下流側の検出電極27に送られる。
第2電位調整部42は、フィルタ電極21,22の間に補償電圧を印加するとともに、この補償電圧を制御する要素である。上記のとおり、試料イオンは、異形電極21と平坦電極22との間に形成されたドリフト電界の中でバランスしたもののみが、フィルタ電極21,22間を通過する。第2電位調整部42は、フィルタ電極21,22の間に、分散電圧DVに重畳させて補償電圧を印加することで、フィルタ電極21,22を通過するイオン種を変化させる。補償電圧は、直流電圧であり、フィルタ電極21,22間に概ね均一に印加される。また補償電圧は、例えば、所定の分散電圧DVごとに、一定の変化率および周期TCVで大きさを変化させる(換言すれば、周期TCVで下限電圧VCVLから上限電圧VCVHの間を変化させる)。これにより、移動度の異なるイオン種を順に検出空間に送ることができる。
第3電位調整部43は、検出電極27と偏向電極26との間に所定の電位差を付与する要素である。これにより、イオン分離空間を通過して検出空間に侵入した試料イオンを、検出電極27に向けて偏向させることができる。本実施形態における第3電位調整部43は、偏向電極26に接続されており、偏向電極26に対して電位を付与するようになっている。第2電位調整部42は、検出セル20に導入された試料イオンがプラスイオンであれば、検出電極27に対して偏向電極26が高電位となるように、検出セル20に導入された試料イオンがマイナスイオンであれば、検出電極27に対して偏向電極26が低電位となるように、偏向電極26の電位を調整する。
計測部44は、検出電極27に到達した試料イオンの数量を検出する要素である。試料イオンは、検出電極27に触れると、その電荷を検出電極27に付与して電荷を消失する。検出電極27は、到達した試料イオンの有する電荷とその数に応じて電荷を受け取る。計測部44は、検出電極27に接続されており、検出電極27に到達した試料イオンから受け取った電荷に関する情報を電気信号として取得する。計測部44は、当該試料イオンの数量を計測するだけでなく、例えば第1電位調整部41と協働して、試料イオンを定性および定量することができるように構成されていてもよい。計測部44によって計測された試料イオンの数量等に関する情報は、例えば、記憶部Mに記憶される。
このようにして、分散電圧と補償電圧と検出電極27からの電気信号との関係から、図5に示すようなFAIMSスペクトルを得ることができる。なお、FAIMS分析において分解能を高めるには、分散電圧と補償電圧のステップ数(条件数)を増やせばよい。従来の並行平板の検出セルを用いて図5に示すようなFAIMSスペクトル(部分)を得るためには、例えば図6(a)に概念的に示すように、第1電位調整部41によって分散電圧DVを8条件、第2電位調整部42によって補償電圧CVを12条件、計96条件に変動させる必要がある。FAIMS分析に要する時間は、凡そ以下の数式(数1)に基づいて把握することができる。このように、分析条件数が多いことは、通常、その分だけ測定時間が増大することにつながる。ここで、本技術の検出セル20を用い、第2電位調整部42が異形電極21に所定の補償電圧CV1を印加すると、例えば図6(b)に概念的に示すように、フィルタ電極21,22間には4とおりの補償電圧CV1-1~CV1-4を印加したのと同様の電界が形成される。換言すると、フィルタ電極21,22に所定のフィルタ電圧Vfを印加すると、異なるn通りのフィルタ電圧Vf(本実施形態では、5通りの補償電圧)を印加したのと同様のフィルタ空間が形成される。このことにより、本技術によると、フィルタ電圧Vf(本実施形態では補償電圧CV)の印加条件を簡略化しつつ、分解能の高いFAIMS分析を行うことができる。なお、以下の数式において、tscanは測定時間、nDVは分散電圧のステップ数(通常10~100)、tDVは分散電圧の設定時間(通常10~500ms)、nCVは補償電圧のステップ数(通常100~1000)、tCVは補償電圧の設定時間(通常0.1~2ms)、tsampleはAD変換に掛かる時間(通常0.1~5ms)、tsptは信号処理に掛かる時間(通常1~5ms)であり、「Anttalainen et al (2019) Possible strategy to use differential mobility spectrometry in real time applications, Int. J. Ion Mobil. Spec.」に参照される。
Figure 2023094644000002
イオン化源制御部45は、イオン化源10に接続されており、イオン化源10の動作を制御できるように構成されている。イオン化源制御部45は、例えば、イオン化源10において針電極に印加する電圧の極性をプラスとマイナスとで切り替えることで、発生させる試料イオンの極性を、プラスイオンとマイナスイオンとに切り替えることができるようになっている。これに限定されるものではないAg、イオン化源制御部45が、マイナスの試料イオンを発生させたときは、第1電位調整部41,第2電位調整部42,第3電位調整部43は、マイナスの試料イオンがフィルタ電極21,22を通過して検出電極27に到達できるように、フィルタ電極21,22および偏向電極26に印加する電圧を調整する。また、イオン化源制御部45が、プラスの試料イオンを発生させたときは、第1電位調整部41,第2電位調整部42,第3電位調整部43は、プラスの試料イオンがフィルタ電極21,22を通過できるように、を通過して検出電極27に到達できるように、フィルタ電極21,22および偏向電極26に印加する電圧を調整する。
流量調整部46は、ポンプ30に接続されており、ポンプ30の動作を制御できるように構成されている。流量調整部46は、例えば、ポンプ30の駆動と停止のタイミングや、ポンプ30に備えられたファンの回転速度を制御することで、検出セル20内の気体の流速等を調整できるようになっている。
以上の検出セル20の製造方法について以下に説明する。本技術に係る検出セル20は、大まかには、次の手順で進めることができる。以下において、参考のため参照する図面では、一つの第1基板23に異形電極21を形成する場合について示している。しかしながら、かかる図および説明を参考にして、複数の第1基板23がアレイ状に繋がったマザー基板に異形電極21を形成してもよい。また、工程2は、第2基板24への平坦電極22の形成に適用してもよい。
工程1:第1基板23の準備
工程2:第1基板23への異形電極21の形成
工程3:検出セル20の組立て
上記のとおりフィルタ電極21,22や、偏向電極26、および検出電極27は、薄膜状をなし得る。したがって、これらの電極は、工程2において、薄膜形成技術とリソグラフィ技術等とによって、第1基板23および第2基板24の支持面に直接製膜することで、好適に作製することができる。また、第1基板23は支持面に複雑な形状の段差を有することから、電極の形成に先立つ工程1において、第1基板23を用意するとよい。第1基板23の作製方法は限定されない。まずは、以下に3通りの電極付き基板の作製方法(工程1および工程2)について説明する。
<1.フォトフォトリソグラフィ法>
(工程1-1)
まず図8Aに示すように、工程(1a)では、ガラス基板からなる平坦な第1基板23Xを用意する。次いで、工程(1b)では、平坦な第1基板23Xの支持面のうち、最も突出する第4部分23Dに対応する部分と、二つ隣の第2部分23Bに対応する部分に、レジストM1をパターニングする。また、後工程で裏面がエッチングされないよう、裏面の全面にもレジストM2を塗布する。工程(1c)では、平坦な第1基板23Xのうち、レジストM1,M2で覆われていない部分を、ギャップΔGの分だけエッチング(例えば、ガラス用のウェットエッチング)する(第1エッチング)。工程(1d)では、第1エッチング後の第1基板23XからレジストM1,M2を除去し、リンスする。次いで、図8Bに示すように、工程(1e)では、第1エッチング後の第1基板23Xの支持面のうち、最も突出する第4部分23Dとその隣の第3部分23Cとに対応する部分に、レジストM3をパターニングする。工程1bと同様に、裏面の全面にもレジストM4を塗布する。工程(1f)では、第1エッチング後の第1基板23Xのうち、レジストで覆われていない部分を、2ギャップ分(2×ΔG)だけエッチングする(第2エッチング)。工程(1g)では、第2エッチング後の第1基板23Xからレジストを除去、リンスする。これにより、第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dを含む第1基板23を用意することができる。
(工程2-1)
次に、第1基板23の支持面上に、異形電極21、および偏向電極26を作製する。すなわち、工程(2a)において、第1基板23の支持面の全面に、電極層21Xを全面に製膜する。電極層21Xは、上記のフィルタ電極21,22を構成する材料を用いて形成することができる。電極層21Xを例えばMoにより構成する場合、スパッタ法やメッキ法等によりMo層を100~600nmの厚みで堆積させるとよい。Moの他に、Ti、Al、Cu、Au、W、Ta、MoW等の金属材料や、ITO、IZO、ZnO等の導電性酸化物により形成してもよい。さらに電極層22Xは、密着性を向上させるために、上層側からW/Ta、Ti/Al、Ti/Al/Ti、Cu/Ti等の金属層の組み合わせからなる積層構造としてもよい。
このとき、図11Aに示すように、異形電極21および偏向電極26と制御装置40等とを電気的に接続するために、第1基板23の端部にまで延びる配線部21Y,26Y等を同時に形成するとよい。なお、フィールド電圧を印加するための外部接続端子を一方の基板23,24(例えば、第2基板24)に集約することも考えられる。この場合、例えば、図11Bに示すように、当該第2基板24は、他方の第1基板23よりも大きいものとし、当該第2基板24に他方の第1基板23の配線部21Yとの接続端子29を形成して第2基板24の端部にまで引き出すとよい。
次いで、図8Cに示すように、工程(2b)では、異形電極21,偏向電極26に対応する部分に、レジストM5をパターニングする。工程(2c)では、第1基板23上の電極層21Xのうち、レジストで覆われていない部分をエッチング(例えば、金属用のウェットエッチング)する(第3エッチング)。工程(2d)では、第3エッチング後の第1基板23からレジストを除去、リンスする。これにより、第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21Dを含む異形電極21を備えた第1基板23を用意することができる。
<2.永久レジスト膜法>
(工程1-2)
永久レジスト膜法では、概して、土台部分23Lと、段状部分23Uと、からなる第1基板23を作製する。まず図9Aに示すように、工程(3a)では、ガラス基板からなる平坦な土台部分23Lを用意する。次いで、工程(3b)では、土台部分23Lの支持面の全面に、感光性のある永久レジストを所定の膜厚で塗布して、永久膜23UXを形成する。ここで膜厚は、ΔG×(n-1)である(ただし、nは領域の数であり、2以上の自然数。ここではn=4である。)。永久レジストとしては、感光性および耐久性を有するエポキシ樹脂等の合成樹脂(いわゆる、永久フォトレジスト材料であってよい)を用いることができる。工程(3c)では、グレートーンマスクを用い、永久膜23UXを露光して現像する。グレートーンマスクは、3次元マスクなどとも呼ばれ、露光機の解像度以下のスリットを備え、このスリット部が光の一部を遮ることを利用して、スリットの密度によって所定の密度での露光を実現する。グレートーンマスクは、光透過量が3段階(n-1段階)となるように構成されている。例えば、最も突出する第4部分23Dに対応する部分の露光度はゼロ(0%)で、第3部分23Cに対応する部分の露光度が1/3、第2部分23Bに対応する部分の露光度が2/3、第1部分23Aに対応する部分の露光度が1(100%)となるように光透過量が制御されている。これにより、工程(3d)では、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dを構成する段状部分23Uが、第1部分23Aを構成する土台部分23Lの上に一体的に形成される。永久レジスト材料は、化学的安定性に劣る可能性があるため、図9Bに示すように、付加的に工程(3e)では、段状部分23Uおよび土台部分23Lの支持面にパッシベーション膜Pを形成する。パッシベーション膜Pは、例えば、窒化ケイ素(例えば、Si、SiNと表すこともある)、シリコン酸窒化物(例えば、SiONと表すこともある)等の絶縁性材料によって形成することができる。これにより、第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dを含む第1基板23を得ることができる。
(工程2-2)
次に、第1基板23の支持面上に、異形電極21,偏向電極26を作製する。図9Bから図9Cに示すように、電極層21Xの形成工程(4a)、レジストM6のパターニング工程(4b)、電極層21Xのエッチング工程(4c)、レジストM6の除去およびリンス工程(4d)については、工程2-1と共通であるため、重ねての説明は省略する。
<3.樹脂モールディング法>
(工程1-3)
基板23,24は、合成樹脂材料によって構成することもできる。この場合、基板23,24は、以下の樹脂モールディング法によって好適に作製することができる。すなわち、まず図10Aの工程(5a)に示すように、第1基板23に対応するキャビティを有する成形型UM,LMを用意し、この成形型UM,LMのキャビティに溶融状態の合成樹脂材料を注入する。成形型UM,LMの内部で合成樹脂が硬化したのち、工程(1b)に示すように、型内で硬化することで形成された第1基板23を離型する。これにより、第1部分23A、第2部分23B、第3部分23C、および第4部分23Dを含む第1基板23を得ることができる。
(工程2-3)
次に、第1基板23の支持面上に、異形電極21,偏向電極26を作製する。電極層21Xの形成工程(6a)、レジストM7のパターニング工程(6b)、電極層21Xのエッチング工程(6c)、レジストM7の除去およびリンス工程(6d)については、工程2-1と共通であるため、重ねての説明は省略する。
(工程3)
工程3では、それぞれの電極を形成した第1基板23と第2基板24とを貼り合わせる。基板23,24の貼り合わせに際しては、異形電極21と平坦電極22とが、また、偏向電極26と検出電極27とが対向するように、第1基板23の裏表を変えて重ねる。また、第1基板23上に、第1基板23と第2基板24とが所定のフィルタギャップを維持できるように、スペーサ用材料28Xを供給する。本実施形態では、例えば図11Cに示すように、流れ方向に沿って、異形電極21および検出電極27を挟むように、ディスペンサ等の供給手段によってスペーサ用材料28Xを二条に供給している。しかしながら、スペーサ用材料28Xは、異形電極21および検出電極27の両端部に重なるように供給してもよい。本実施形態のスペーサ用材料28Xは、所定の粒径スペーサ粒子を含むペースト状の絶縁性シール材料(例えば、乾燥硬化性の樹脂組成物)である。そしてスペーサ用材料28Xが硬化しないうちに、図11Dに示すように、第1基板23の上に第2基板24を載せて両者を固着する。このとき、配線部21Yの端部は、基板23,24の間で接続端子29と接続される。また、配線部22Yの端部と、接続端子29とは、平面視で第1基板23から露出させるとよい。検出電極27および偏向電極26がそれぞれ対向するように、電極を形成する位置を調整するとよい。なお、第1基板23の配線部21Yと第2基板24との間、および、第2基板24の配線部22Yと第1基板23との間を確実に接続するために、これらの接続部分に導電性ペースト29A(例えば銀ペースト、図示せず)を介在させてもよい。
必須の工程ではないが、第1基板23と第2基板24とを貼り合わせた後に、必要に応じて、第1基板23と第2基板24とを加圧したり、アニール処理を施すなどして、各要素の密着性を高めるようにしてもよい。これにより、検出セル20を得ることができる。
<実施形態1の構成と効果>
上記の検出セル20において、異形電極21(一対のフィルタ電極の一方)は、流れ方向に沿って設けられる第1領域21Aと、第1領域21Aに対して流れ方向に交わる交差方向について第1領域21Aに並んで配置され、平坦電極22(他方の電極)との離間距離が小さくなるように突出されている第2領域21Bと、を含んでいる。このような構成によると、フィルタ電極21,22の離間距離は、第1ギャップg1と、第1のギャップよりも小さい第2ギャップg2とのように、領域によって異なるものとなる。このようなフィルタ電極21,22に電圧を印加すると、これらの電極間には、第1領域21Aに対応して形成される第1の電界E1よりも、第2領域21Bに対応して形成される第2の電界E2の方が大きなものとなる。つまり、フィルタ電極21,22間に任意の一つのフィルタ電圧Vfを印加しながら、電極間に発生される電界の大きさを複数通りに変化させることができる。このようなフィルタ電極21,22を備える検出セル20をFAIMS分析に利用することで、フィルタ電極21,22に印加する電圧の走査領域を、例えば1/2に、延いては、領域の数の逆数倍に、低減させることができる。
上記の検出セル20は、互いに離間しつつ対向して配置される第1基板23および第2基板24を備えている。第1基板23は、流れ方向に沿って設けられ、異形電極21の第1領域21Aおよび第1偏向電極26A(第1下流側電極)を支持する第1部分23Aと、第1部分に対して前記交差方向において隣り合い、前記第1部分に対して前記第2基材との離間距離が小さくなるように突出し、異形電極21の第2領域21Bおよび第2偏向電極26Bを支持する第2部分23Bと、を備えている。このような構成の基板23,24によると、検出セル20においてフィルタ電極21,22を安定して支持することができる。また、異形電極21の作製に関し、第1基板23上に電極を膜ないしは層状にボトムアップ形成することで、複雑な形状を有する異形電極21を正確かつ簡便に作製することができる点においても好ましい。
上記の検出セル20は、フィルタ電極21,22のそれぞれに電力を供給するための配線部21Y,22Y(一対の主配線の一例)を備え、これらの配線部21Y,22Yは、フィルタ電極21,22の交差方向の端部においてそれぞれに接続されている。このような構成によると、配線部21Y,22Yが測定対象物の流れと交差することを避けることができる。その結果、配線部21Y,22Yを流れる電極によって形成される電界が、測定対象物の流れに影響を与える事態が低減され、分析精度の低下を抑制することができる。なお、フィルタ電極21,22と配線部21Y,22Yとを絶縁層を介した多層構造にして、フィルタ電極21,22と配線部21Y,22Yとを厚み方向(すなわち、流れ方向および交差方向に交わる方向)について重畳させる構成を考えることもできる。この構成は、フィルタ電極21,22と配線部21Y,22Yの重畳部分に高い電位差が生じるため、短絡することが懸念される。そのため上記構成は、このような重畳多層構造を採用しなくてもよい点において好ましい。
なお、参考のため、図7に示すように、複数のフィルタ電極21Pを持つ検出セルを備えるFAIMS装置において、複数のフィルタ電極21Pに異なる複数の分散電圧VCを同時に印加することが考えられる。このようなFAIMS装置においては、複数の条件の分散電圧を各フィルタ電極に同時に印加しようとすると、各フィルタ電極へ配線する必要があり、配線回路が複雑となってしまう。また、FAIMS装置において印加される分散電圧は高周波高電圧であり、頻繁なスイッチングにより発熱するため、回路構成が複雑であると更にコンパクト化が難しい。また、各フィルタ電極への引き回し配線は、フィルタ電極と重畳させずに配線しようとすると、他の分散電圧条件のフィルタの流路(チャネル)を横切らざるを得ず、分析精度に影響を及ぼしてしまう。したがって、このような不都合を回避できる点においても、本技術に係る検出セル20は好適である。
上記の検出セル20において、異形電極21(一方のフィルタ電極)は、交差方向について第1領域21Aおよび第2領域21Bに並んで配置され、平坦電極22との離間距離が小さくなるように突出されている第3領域21Cを含み、第1領域21A、第2領域21B、および第3領域21Cは、第1領域21Aおよび第2領域21Bのそれぞれについて形成される電界の大きさの差ΔE12と、第2領域21Bおよび第3領域21Cのそれぞれについて形成される電界の大きさの差ΔE23と、が等しくなるように、平坦電極22(他方のフィルタ電極)との離間距離が決定されている。このような構成によると、一対のフィルタ電極21,22間に任意の一つのフィルタ電圧Vfを印加したときに電極間に発生される電界の大きさを、等差変化させることができる。これにより、FAIMSスペクトルの解像度を均質に高めることができる。
上記FAIMS装置1は、検出セル20と、少なくとも一対のフィルタ電極21,22の間に印加する分散電圧を制御する第1電位調整部41と、を備えている。FAIMS装置1は、さらに、一対のフィルタ電極21,22の間に印加する補償電圧を制御する第2電位調整部42をさらに備えることができる。実施形態1においては、第1電位調整部41は、平坦電極22に分散電圧を印加し、第2電位調整部42は、異形電極21に補償電圧を印加している。このような構成によると、第2電位調整部42による補償電圧の条件数を1/2またはそれ以下(「領域数-1」の逆数倍)に低減させることができる。これにより、分析精度は維持しながら測定に要する時間を短縮してFAIMS分析を実施することができる。あるいは、同じ測定時間で測定ポイントを増やしてより高精度にFAIMS分析を実施することができる。
上記FAIMS装置1は、第1電位調整部41および第2電位調整部42によって実行されるように構成された1つまたは複数のプログラムを格納する記憶部Mを備えている。そしてこの1つまたは複数のプログラムは、以下の指示:第1電位調整部41によって、一対のフィルタ電極21,22間に、第1の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、一対のフィルタ電極21,22間に第1の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、第2電位調整部42によって、一対のフィルタ電極21,22間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、を含む。そして、第2電位調整部42によって印加される直流電圧の大きさは、第1の大きさの非対称な交流電圧によって第1領域21Aについて形成される電界の大きさと、第2領域21Bのそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化される。このようなプログラムによると、例えば、第2電位調整部42によって印加される補償電圧の大きさは、より高い電界を発生させる第2領域21Bにおいて発生される電界よりも小さい範囲で変化(スキャン)させられるため、測定時間の短縮を図ることができる。また、測定時間の短縮と分析精度の向上とをより一層高いレベルで両立することができる。
上記FAIMS装置1において、1つまたは複数のプログラムは、以下の指示:第1電位調整部41によって、一対のフィルタ電極21,22間に、第1の大きさおよび第2の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、一対のフィルタ電極21,22間に第1の大きさまたは第2の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、第2電位調整部42によって、一対のフィルタ電極21,22間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、を含む。そして、第2電位調整部42によって印加される直流電圧の大きさは、第1の大きさおよび第2の大きさの非対称な交流電圧によって第1領域21Aについて形成される電界の大きさと、第2~4領域21B~21Dのそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化される。換言すると、このようなプログラムによると、重複した条件での分析を避けることができる。そのため、例えば、測定時間の短縮と分析精度の向上との少なくとも一方をより一層高いレベルで実現することができる。
≪実施形態2≫
実施形態2に係るFAIMS装置101について、図12を参照して説明する。実施形態2において、フィルタ電極21,22は、交差方向の両端がスペーサ28によってシールされている。これに加え、フィルタ電極21,22は、隣り合う各領域21A~21Dの境界近傍においてそれぞれ、流れ方向に延びるシール部材128によって接続されている。それ以外の構成については、実施形態1と同様であるため、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
フィルタ電極21,22はスペーサ28によってその離間距離が調整されているため、シール部材128は、フィルタ空間を区切ることができるものであればよい。換言すれば、スペーサ28は、剛性の高いスペーサ粒子を含んでいるが、シール部材128は、スペーサ粒子を含まなくてもよく、例えば、弾性を有する材料によって構成されていてもよい。このようなシール部材128を構成する材料としては、例えば、各種の合成樹脂材料、エラストマー材料が好適例として挙げられる。シール部材128は、図12に示すように、各領域21A~21Dの境界のうち、離間距離がより小さい方の領域においてフィルタ電極21,22間に設けられていてもよい。また、シール部材128は、具体的には図示しないが、離間距離がより大きい方の領域においてフィルタ電極21,22間に設けられていてもよい。
(変形例)
実施形態2の変形例に係るFAIMS装置201について、図13を参照して説明する。シール部材128Aは、図13に示すように、各領域21A~21Dの境界において、両方の領域に跨るように設けられていている点において、実施形態2と異なる。その他の点は、上記実施形態2と同じである。この場合、流路の内表面が滑らかなものとなり、測定対象物質の流れを乱す可能性が低減されるために好ましい。また、具体的には図示しないが、各領域21A~21Dの境界は、図13のように角張った段差を形成しているのではなく、テーパが設けられていてもよい。この場合、シール部材とフィルタ電極21,22との密着性が高められるために好ましい。
≪実施形態3≫
実施形態3に係るFAIMS装置301について、図14を参照して説明する。実施形態3の異形電極321において、第2領域321Bの交差方向の寸法は、第1領域321Aの交差方向における寸法よりも長い。また、各領域321A~321Dの交差方向の寸法W1~W4は、次の関係:W1<W2<W3<W4;を有している。それ以外の構成については、実施形態1または2と同様であるため、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
このような構成によると、第1領域321Aよりも、フィルタ電極321,22間の距離が小さい第2領域21Bの面積を増やすことができる。換言すると、第1領域321Aと平坦電極22との間に形成される電界についての流路断面積と、第2領域21Bと平坦電極22との間に形成される電界についての流路断面積と、の差を低減させることができる。例えば、各流路の断面積を等しくすることができる。これによると、角流路を通過する試料の量を均等にすることができ、例えば、測定結果の分析を簡略化することができる。このような構成は、とりわけ、一対のフィルタ電極間をシール部材128で区画する構成の検出セル320に対して適用することで、その効果がより顕著となるために好ましい。
≪実施形態4≫
実施形態4に係るFAIMS装置401について、図15を参照して説明する。実施形態4のFAIMS装置101において、平坦電極422は、異形電極421の各領域421A~421Dに対応する領域ごとに、分割されている。すなわち、平坦電極422は、第1平坦電極422A、第2平坦電極422B、第3平坦電極422C、および第4平坦電極422Dを含む。これら第1~第4平坦電極422A~422Dはそれぞれ、流れ方向に長い矩形状をなし、互いに離間している。また、第1電位調整部41は、異形電極421に対して分散電圧を印加し、第2電位調整部42は、第1~第4平坦電極422A~422Dのそれぞれに対して補償電圧を印加している。それ以外の構成については、実施形態1または2と同様であるため、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
上記構成において、第2電位調整部42は、第1~第4平坦電極422A~422Dのそれぞれに対し、異形電極421との離間距離g1~g4を考慮しながら、異形電極421との間に等しい補償電界が形成されるように、第1~第4平坦電極422A~422Dのそれぞれに印加する補償電圧を調製するように構成されている。このような構成によると、第1電位調整部41がフィルタ電極421、422間に所定の大きさの分散電圧VDを印加すると、この分散電圧VDによってフィルタ電極421、422間に形成される電界を変化させることができる。換言すると、第1電位調整部41による分散電圧の条件数を1/2またはそれ以下(「領域数-1」の逆数倍)に低減させることができる。このような構成によっても、分析精度は維持しながら測定に要する時間を短縮してFAIMS分析を実施することができる。あるいは、同じ測定時間で測定ポイントを増やしてより高精度にFAIMS分析を実施することができる。
<他の実施形態>
ここに開示される技術は、上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において、異形電極21は、流れ方向に沿って延びる4つの領域を含み、3つの段差を有していた。しかしながら異形電極21が含む領域の数はこれに限定されず、2つ以上(例えば、2つ、3つ、5つ、それ以上)であってよい。
(2)上記実施形態において、異形電極21が含む4つの領域:第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21D;は、交差方向についてこの順で並んでいた。しかしながら、第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、および第4領域21Dの並び順はこれに限定されない。例えば、平坦電極22との離間距離が最も大きい第1領域21Aを中心に、残りの電極をその両脇に順に分けて配してもよい。例えば、交差方向について、第3領域21C、第1領域21A、第2領域21B、第4領域21Dのように各領域が配されていてもよい。第1領域21Aの両脇に配する他の領域の組み合わせは限定されない。また、交差方向について、第4領域21D、第3領域21C、第2領域21B、第1領域21A、第2領域21B、第3領域21C、第4領域21Dのように、一つまたは複数の領域を2つの部分に分けて配してもよい。
(3)上記実施形態において、検出電極および偏向電極は、異形電極(一方のフィルタ電極)の下流側と、平坦電極(他方のフィルタ電極)の下流側と、のいずれであってもよい。また、上記実施形態において、偏向電極はいずれも複数の検出電極と対となって複数設けられている。しかしながら、偏向電極は上記の複数の偏向電極が連続した単一の偏向電極であってよい。いずれも複数の検出電極と対となって複数設けられている。
(4)上記実施形態では、各電極等を作製するための超微細加工技術(リソグラフィ技術)において、露光源として、ArFエキシマレーザを用いていた。露光源はこの例に限定されず、例えば、KrFエキシマレーザ、紫外線、EUV(極端紫外線)、放射光(典型的には、X線)、放射線(典型的には、電子線)、イオンビーム等の他の露光源であってよい。
(5)上記実施形態において第1基材および第2基材はいずれも板状であった。しかしながら、第1基材および第2基材は、電極の支持面が面所定の形状(段差または平坦)である限りにおいて、その他背面等の形状は特に制限されない。
(6)上記実施形態においてスペーサは、乾燥硬化するシール材料によって構成されていた。しかしながら、スペーサの構成はこの例に限定されず、例えば、所定の厚さを有する両面テープや合成樹脂部材等を用いてもよい。また、検出セル20は、例えば、一つの検出セル20よりも大寸法の第1基板23と第2基板24とにそれぞれ、アレイ状に電極層を複数形成しておき、第1基板23と第2基板24とを貼り合わせたのちに、一つの検出セル20に切り分けるようにするとよい。切り分けは、ダイシングカッターを用いた接触加工により行ってもよいし、レーザを用いた非接触加工により行ってもよい。第1基板23および第2基板24の切り分けは、第1基板23と第2基板24の貼り合わせの前に行ってもよいし、貼り合わせ後に行ってもよい。
1,101,201,301,401…移動度分析装置(分析装置、FAIMS装置)、10…イオン化源、20…検出セル、21…異形電極(一方のフィルタ電極)、22…平坦電極(他方のフィルタ電極)、23…第1基板、24…第2基板、26…偏向電極、27…検出電極、28…スペーサ、29…接続端子、30…ポンプ、40…制御部、41…第1電位調整部、42…第2電位調整部、43…第3電位調整部、44…計測部、45…イオン化源制御部、46…流量調整部

Claims (13)

  1. 互いに離間しつつ対向して配置される一対のフィルタ電極を備え、
    前記一対のフィルタ電極の一方は、
    当該一対のフィルタ電極の間に導入される測定対象物の流れ方向に沿って設けられる第1領域と、
    前記第1領域に対して前記流れ方向に交わる交差方向について前記第1領域に並んで配置され、前記一対のフィルタ電極の他方との離間距離が小さくなるように突出されている第2領域と、
    を含み、
    前記第1領域および前記第2領域の前記流れ方向の下流側にはそれぞれ、第1下流側電極および第2下流側電極が前記交差方向について離間して備えられ、
    前記一対のフィルタ電極の他方の前記下流側には、前記第1下流側電極および前記第2下流側電極と対向する第1対向電極および第2対向電極が備えられている、検出セル。
  2. 互いに離間しつつ対向して配置される第1基材および第2基材を備え、
    前記第1基材は、
    前記流れ方向に沿って設けられ、前記一方のフィルタ電極の前記第1領域および前記第1下流側電極を支持する第1部分と、
    前記第1部分に対して前記交差方向において隣り合い、前記第1部分に対して前記第2基材との離間距離が小さくなるように突出し、前記一方のフィルタ電極の前記第2領域および前記第2下流側電極を支持する第2部分と、
    を備え、
    前記第2基材は、前記他方のフィルタ電極と、前記第1対向電極および第2対向電極と、を備える、請求項1に記載の検出セル。
  3. 前記一対のフィルタ電極は、前記交差方向の両端と、前記第1領域および前記第2領域の境界付近とにおいてそれぞれ、前記流れ方向に延びるシール部材によって接続されている、請求項1に記載の検出セル。
  4. 前記一方のフィルタ電極において、前記第1領域と前記第2領域との間には、テーパが設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出セル。
  5. 前記一対のフィルタ電極のそれぞれに電力を供給するための一対の主配線を備え、
    前記一対の主配線は、前記一対のフィルタ電極の前記交差方向の端部において当該一対のフィルタ電極のそれぞれに接続されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の検出セル。
  6. 前記第2領域の前記交差方向における寸法は、前記第1領域の前記交差方向における寸法よりも長い、請求項1~5のいずれか1項に記載の検出セル。
  7. 前記一方のフィルタ電極は、前記交差方向について前記第1領域および前記第2領域に並んで配置され、前記他方のフィルタ電極との離間距離が小さくなるように突出されている第3領域を含み、
    前記第1領域、前記第2領域、および前記第3領域は、前記第1領域および前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさの差と、前記第2領域および前記第3領域のそれぞれについて形成される電界の大きさの差と、が等しくなるように、前記他方のフィルタ電極との離間距離が決定されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の検出セル。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の検出セルと、
    少なくとも前記一対のフィルタ電極の間に印加する分散電圧を制御する第1制御部と、
    を備える、FAIMS装置。
  9. 前記一対のフィルタ電極の間に印加する補償電圧を制御する第2制御部をさらに備える、請求項8に記載のFAIMS装置。
  10. 前記第1制御部および第2制御部によって実行されるように構成された1つまたは複数のプログラムを格納する記憶部を備え、
    1つまたは複数のプログラムは、以下の指示:
    前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、
    前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、
    を含み、
    前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化される、請求項9に記載のFAIMS装置。
  11. 前記1つまたは複数のプログラムは、以下の指示:
    前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさおよび第2の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、
    前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさまたは前記第2の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、
    を含み、
    前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさおよび前記第2の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化される、請求項9または10に記載のFAIMS装置。
  12. 請求項10のFAIMS装置を運転するためのプログラムであって、以下の指示:
    前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、
    前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、
    を含み、
    前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化される、
    を含む、プログラム。
  13. 請求項11のFAIMS装置を運転するためのプログラムであって、以下の指示:
    前記第1制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、第1の大きさおよび第2の大きさの非対称な交流電圧を印加すること、
    前記一対のフィルタ電極間に前記第1の大きさまたは前記第2の大きさの非対称な交流電圧が印加されている間に、前記第2制御部によって、前記一対のフィルタ電極間に、直流電圧をその大きさを変化させて印加すること、
    を含み、
    前記第2制御部によって印加される前記直流電圧の大きさは、前記第1の大きさおよび前記第2の大きさの非対称な交流電圧によって前記第1領域について形成される電界の大きさと、前記第2領域のそれぞれについて形成される電界の大きさとが重複しない範囲で変化される、
    を含む、プログラム。
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