JP2023094379A - 波形発生装置、方法、プログラムおよび記録媒体ならびに信号発生装置 - Google Patents

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【課題】広域な周波数にわたって低歪かつ低ノイズな波形発生を行うことが可能な波形発生装置等を提供する。【解決手段】上記課題は、任意の周波数のディジタル波形を発生する波形発生装置(2、3、4、5)であって、ディジタルフィルタを備えた正弦波発生部(10、10’、10”)と、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/N(Nは3以上の自然数)の周波数の局部発振波形を発生する局部発振部(11)と、混合部(12)と、低域通過濾波部(13)とを備え、発生する波形の周波数が所定の周波数未満のときには、正弦波発生部が、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数に対して、発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、正弦波発生部が発生した正弦波波形と、局部発振波形とを混合部により混合し、さらに低域通過濾波部により低域通過濾波した正弦波波形を発生し、発生する波形の周波数が所定の周波数以上のときには、正弦波発生部が、発生する波形の周波数の正弦波波形を発生する波形発生装置等により解決することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、波形発生装置、波形発生方法、ディジタル波形を発生させるプログラム、該プログラムが記録された記録媒体、ならびに該波形発生装置を備える信号発生装置に関し、ディジタルフィルタを用いてディジタル波形を発生する波形発生装置等に関する。
インピーダンス測定装置や、記録計、電力計など周波数応答を測定する様々な装置において、任意の周波数の正弦波、矩形波、三角波などのアナログ信号を発生する信号発生装置が広く利用されている。近年のディジタル技術の進歩にともない、アナログ信号を発生する際には、まず波形発生装置によりディジタル波形、すなわち波形の関数列を発生し、ディジタル波形をディジタル・アナログ変換(DA変換)することにより、所望のアナログ信号を発生する方法が主流となっている。また、矩形波、三角波などの波形は、コンパレータや積分器などを用いて正弦波の波形から発生することができるため、出力する波形の種類にかかわらず、まず正弦波波形を発生し、その後、所望の波形へ変換することが一般的である。
特開昭64-73808号公報
波形発生装置は、数十mHzから数十kHzまでの広域な周波数領域にわたって、低歪かつ低ノイズの正弦波波形を発生することが求められる。このために考え得る最も簡便な方法は、予めディジタル波形データを格納したメモリを用意しておき、サンプリング周期毎にメモリからデータを読み出して波形を発生する方法である。高周波領域でも低歪かつ低ノイズの正弦波波形を発生するためには、サンプリング周波数を、発生する正弦波波形の周波数よりも十分に高く設定する必要がある。その反面、必要となるメモリの容量は、サンプリング周波数に応じて大きくなるため、低周波領域の正弦波波形を格納するために膨大なメモリが必要となってしまう。
これに対して、発生する正弦波波形を記述した数式(三角関数)を演算して波形を発生する方法も考えられる。この方法では、大容量のメモリは必要ないが、低歪かつ低ノイズの波形を発生するためには、十分な大きさの語長(有効桁数)が必要となり、膨大な演算量が必要となる。このため、リアルタイムで波形発生する装置で採用することは困難である。
正弦波波形を発生する他の方法として、2次巡回形フィルタなどのディジタルフィルタを用いる方法がある。しかし、2次巡回形フィルタは、乗算係数の変化に対する発振周波数の変化が大きいため、有限語長によって発振周波数の分解能が著しく劣化してしまい、任意の発振周波数を設定することができない。特に、発振周波数がサンプリング周波数に比べて非常に低い周波数ではこの傾向が顕著である。
このため、特許文献1に記載されたように、ディジタルフィルタのループ構成中に加算器や乗算器を設けて、発振周波数がサンプリング周波数に比べて非常に低い場合においても、乗算器係数の変化に対する発振周波数の変化を小さくする方法がある。しかしながら、乗算器が増えることに伴う演算量の増大が、特に高周波になると無視できなくなってしまう。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、低周波領域を含む広域な周波数にわたって低歪かつ低ノイズな波形の発生を可能にすることを目的とする。
上記課題は、任意の周波数のディジタル波形を発生する波形発生装置であって、波形発生装置は、ディジタルフィルタを備えた正弦波発生部と、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/N(Nは3以上の自然数)の周波数の局部発振波形を発生する局部発振部と、混合部と、低域通過濾波部とを備え、発生する波形の周波数が所定の周波数未満のときには、正弦波発生部が、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数に対して、発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、正弦波発生部が発生した正弦波波形と、局部発振波形とを混合部により混合し、さらに低域通過濾波部により低域通過濾波した正弦波波形を発生し、発生する波形の周波数が所定の周波数以上のときには、正弦波発生部が、発生する波形の周波数の正弦波波形を発生する波形発生装置によって、解決することができる。
すなわち、低周波領域の波形を発生する場合には、所望の周波数の波形を直接発生する代わりに、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数との差分が、所望の周波数となるような周波数の波形を発生し、局部発振波形と混合して周波数変換することにより、所望の周波数の波形を発生する。これにより、低周波領域の波形発生を回避することができ、低歪かつ低ノイズな波形発生が可能となる。
ここで、Nは4であることが望ましい。サンプリング周波数の1/4の局部発振波形との混合は、数値演算を行うことなくデータ操作で達成することができるため、演算量を格段に減らすことができる。
また、波形発生装置は、発生する周波数の正弦波波形を再量子化するノイズシェーピング部をさらに備えることが望ましい。ノイズシェーピングにより、低周波領域のノイズを高周波領域に移動させて、低周波領域のノイズを低減することができる。
また、正弦波発生部は、位相が90度異なる2つの正弦波波形を発生し、混合部および低域通過濾波部は、2つの正弦波波形のそれぞれを、局部発振波形と混合して低域通過濾波することが望ましい。正弦波を利用する装置のなかには、直交する位相を有する2つの正弦波を必要とするものも多い。例えば、インピーダンス測定装置では、位相が90度異なる2つの正弦波信号を用いて、測定対象の周波数特定を測定する。このような装置に対して、位相が90度異なる2つの正弦波波形を同時に発生して供給することが可能となる。
さらに、発生する周波数の、位相が90度異なる2つの正弦波波形を合成して任意の位相の正弦波波形を発生する合成部を備えていることが望ましい。すなわち、位相が90度異なる2つの正弦波波形を合成することにより、任意の位相の正弦波波形を発生することができる。これにより、所望の周波数かつ所望の位相の波形を発生することが可能となる。
さらに、上記課題は、任意の周波数のディジタル波形を発生する波形発生装置であって、波形発生装置は、ディジタルフィルタを備えた正弦波発生部と、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/N(Nは3以上の自然数)の周波数の局部発振波形を発生する局部発振部と、混合部と、 低域通過濾波部と、高域通過濾波部とを備え、発生する波形の周波数が所定の周波数未満のときには、正弦波発生部が、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数に対して、発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、正弦波発生部が発生した正弦波波形と、局部発振波形とを混合部により混合し、さらに低域通過濾波部により低域通過濾波した正弦波波形を発生し、発生する波形の周波数が、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/2の周波数の近傍のときには、正弦波発生部が、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数に対して、発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、正弦波発生部が発生した正弦波波形と、局部発振波形とを混合部により混合し、さらに高域通過濾波部により高域通過濾波した正弦波波形を発生し、発生する波形の周波数が、所定の周波数以上であって、かつ、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/2の周波数の近傍でないときには、正弦波発生部により、発生する波形の周波数の正弦波波形を発生する波形発生装置によっても解決することができる。
2次巡回形フィルタなどのディジタルフィルタでは、サンプリング周波数の1/2近傍ンの周波数でも、低周波領域と同様な理由により、任意の発振周波数を発生することができない。そこで、この領域の波形を発生する場合には、所望の周波数の波形を直接発生する代わりに、正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数との差分が、所望の周波数となるような周波数の波形を発生し、局部発振波形と混合して周波数変換することにより、所望の周波数の波形を発生する。これにより、サンプリング周波数の1/2近傍の周波数の波形発生を回避することができ、低歪かつ低ノイズな波形発生が可能となる。
また、波形発生装置は、発生する周波数の正弦波波形を、所定の閾値と比較して矩形波波形へ変換するコンパレータ部をさらに備えることが望ましい。また、波形発生装置は、矩形波波形を積分して三角波波形へ変換する積分部とをさらに備えることが望ましい。かかる構成により、所望の周波数に加え、所望の種類のディジタル波形を発生することが可能となる。
また上記課題は、上述した波形発生装置と、波形発生装置により発生された波形を、アナログ信号に変換するDA変換器とを備える信号発生装置によっても解決することができる。低歪かつ低ノイズなディジタル波形を、DA変換することにより、低歪かつ低ノイズなアナログ波形を生成することが可能となる。
さらに上記課題は、上述した波形発生装置の動作に対応する波形発生方法、上述した波形発生装置の機能を記述したプログラム、該プログラムが記録された記録媒体によっても解決することができる。
本発明に係る波形発生装置等によれば、広域な周波数にわたって低歪かつ低ノイズな波形発生を行うことが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る波形発生装置のブロック図および該波形発生装置を備えた信号発生装置の概略構成図である。 第1実施形態の正弦波発生部のシグナルフロー図である。 第1実施形態のノイズシェーピング部のシグナルフロー図である。 第1実施形態の波形発生装置および信号発生装置の動作のフローチャートである。 第1実施形態および従来技術により発生した正弦波波形およびスペクトルである。 ノイズシェーピング部による処理前後のスペクトルである。 本発明の第2実施形態に係る波形発生装置のブロック図である。 第2実施形態の正弦波発生部のシグナルフロー図である。 第2実施形態の合成部のシグナルフロー図である。 第2実施形態の波形発生装置の動作のフローチャートである。 第2実施形態の波形発生装置が発生する正弦波波形の例である。 本発明の第3実施形態に係る波形発生装置のブロック図である。 第3実施形態の波形発生装置の動作のフローチャートである。 第3実施形態および従来技術により発生した波形のスペクトルである。 本発明の第4実施形態に係る波形発生装置のブロック図である。 第4実施形態の波形発生装置の動作のフローチャートである。 第4実施形態の波形発生装置が発生する正弦波波形の例である。
以下、本発明の第1実施形態について図1~6を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の一例である波形発生装置2のブロック図および波形発生装置2を備えた信号発生装置1の概略構成図である。信号発生装置1は、任意の周波数のアナログ信号を発生する信号発生装置であり、波形発生装置2で発生された任意の周波数のディジタル波形を、波形発生装置2に接続されたディジタル・アナログ変換器(DA変換器)17でアナログ波形に変換し、さらにDA変換器17に接続されたローパスフィルタ(LPF)18で低域通過濾波して、所望のアナログ信号を出力する。
波形発生装置2は、プロセッサ、メモリ、タイマなどのコンピュータの構成を有する装置であり、任意の周波数のディジタル波形を発生する波形発生装置である。波形発生装置2は、正弦波発生部10と、局部発振部11と、正弦波発生部10および局部発振部11に接続された混合部12と、混合部12に接続された低域通過濾波部(LPF)13と、正弦波発生部10およびLPF13に接続されたノイズシェーピング部14とを備える。各ブロック10~14の機能はプログラムで記述されて、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(メモリ)内に保存され、プロセッサにより実行されることによって、その機能を実現する。各ブロック10~14の機能は、個別のプログラムで記述されている必要はなく、複数のブロックの機能を単一の数値処理やデータ操作により実現してもよい。プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、半導体ROM、CD-ROM、ハードディスク、フラッシュメモリ、USBメモリなどのディジタル情報を記録できる媒体である。
信号発生装置1および波形発生装置2は、発生する波形(信号)の周波数fによって、波形発生プロセスが異なる。図1では、発生する波形の周波数fが所定の周波数(閾値)fth未満のときのプロセスを実線で、発生する波形の周波数fが所定の周波数fth以上のときのプロセスを破線で示す。閾値fthは、波形発生装置2内の正弦波発生部10のサンプリング周波数fに基づいて決定される。図から明らかなとおり、破線の発生プロセスの方が簡素であるため、閾値fthは、正弦波発生部10が低歪かつ低ノイズな波形を発生できる範囲内で、可能な限り低い周波数であることが望ましい。本実施例態様の波形発生装置2では、サンプリング周波数fを1MHz、閾値fthを100Hzに設定した。また、正弦波発生部10、局部発振部11、混合部12およびLPF13における正弦波波形は、24ビットのデータとした。
正弦波発生部10は、2次IIRディジタルフィルタを備え、サンプリング周波数fで正弦波のディジタル波形を発生する。局部発振部11は、周波数f/Nの正弦波のディジタル波形である局部発振波形を発生する。ここで、Nは3以上の自然数であるが、数値処理やデータ処理の便宜上、2(nは2以上の自然数)であることが望ましい。本実施形態の波形発生装置2では、N=4(n=2)に設定した。混合部12は、正弦波発生部10で発生した正弦波波形と、局部発振波形とを混合して、両波形の和および差分の周波数に変換した波形を発生する。LPF13は、周波数変換された波形を低域通過濾波して、差分の周波数を有する正弦波波形を抽出する。本実施例態様のLPF13は、次数2のFIRフィルタで構成した。ノイズシェーピング部14は、LPF13から出力される正弦波波形(発生する波形の周波数が閾値未満の場合:実線)または正弦波発生部10で発生された正弦波波形(発生する波形の周波数が閾値以上の場合:破線)を再量子化してノイズシェーピングする。
正弦波発生部10は、以下の(1)式を満たす2次IIRディジタルフィルタを備える。
Figure 2023094379000002
ここで、nはサンプリング毎にインクリメントする変数である。x(n)は入力、y(n)は出力、Aは発生する正弦波波形の振幅、fは発生する正弦波の周波数、fはサンプリング周波数である。x(n)には単位インパルス、すなわち、(2)式のような入力を与える。
Figure 2023094379000003
例えば、(1)式をy(0)=0、y(1)=bとの制約条件で解くと、図2のようなシグナルフローが得られる。このシグナルフローに基づく正弦波発生部10は、入力端子20と、出力端子21と、2つの加算器22、23と、乗算係数aを有する乗算器24と、乗算係数-1を有する乗算器25と、遅延係数z-1を有する2つの遅延器26、27を備える。入力端子20と加算器23の出力は、加算器22の入力に接続されている。遅延器26、27の出力は、それぞれに対応する乗算器24、25を介して、加算器23の入力に接続されている。遅延器26の出力は、遅延器27の入力にも接続されている。加算器22の出力は、出力端子21と遅延器26の入力に接続されている。
(1)式から明らかなように、発生する正弦波の周波数fが、サンプリング周波数fに比べて非常に小さい場合(f<<f)およびサンプリング周波数fの半分程度である場合(f≒f/2)には、乗算係数aの絶対値が1に近い値となり、乗算係数aの変化に対する発生周波数fの変化が大きいため、プロセッサの有限語長によって発生周波数fの分解能が著しく劣化する。このため、正弦波発生部10で、サンプリング周波数fに比べて非常に小さい低周波やf/2近傍の波形を発生させると多くのノイズを含む波形となる。
ノイズシェーピング部14は、LPF13や正弦波発生部10で発生された24ビットの正弦波波形を、ΔΣ変調器で再量子化して16ビットの正弦波波形として、DA変換器17に出力する。ノイズシェーピングにより、発生させる波形の振幅が小さい場合であっても、量子化ノイズ増大に伴う高調波ノイズの発生を抑制することができる。
図3に、2次ΔΣ変調器を用いたノイズシェーピング部14のシグナルフローの一例を示す。ノイズシェーピング部14は、入力端子30と、出力端子31と、3つの加算器32、33、34と、乗算係数-1の乗算器35と、乗算係数2の乗算器36と、遅延係数z-1を有する2つの遅延器37、38と、量子化器39とを備える。入力端子30は、加算器32の入力に接続されている。遅延器37の出力は、乗算器35を介して、加算器32の入力に接続されている。遅延器38の出力は、遅延器37の入力に接続され、また乗算器36を介して加算器33の入力に接続されている。加算器32の出力は、加算器33の入力に接続されている。加算器33の出力は、加算器34の非反転入力と量子化器39に接続されている。加算器34の出力は、遅延器38の入力に接続されている。量子化器39の出力は、出力端子31と加算器34の反転入力に接続されている。
次に、本発明の実施形態の一例である波形発生方法および信号発生方法、すなわち信号発生装置1および波形発生装置2の動作について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。図4のフローチャート全体が信号発生装置1の動作を、一点破線で囲われた部分が波形発生装置2の動作を示す。
はじめに、プロセッサが、波形発生装置2で発生する波形の周波数(信号発生装置1で発生する信号の周波数)fを受信して、閾値周波数fthと比較する(ステップ101)。発生する波形の周波数fが閾値fth未満のとき(図1の実線の場合)には、正弦
波発生部10が、正弦波発生部のサンプリング周波数fの1/N(Nは3以上の自然数)の周波数f/Nに対して、発生する波形の周波数fだけ異なる周波数f/N±fの正弦波波形W1を発生する。すなわち、SSB変調の上側波帯(USB)に相当する周波数f/N+fの正弦波波形、または、下側波帯(LSB)に相当する周波数f/N-fの正弦波波形を発生する。第1実施態様の波形発生装置2では、N=4かつUSBに設定されているため、サンプリング周波数fの1/4の周波数f/4に対して周波数fを加算した周波数をf/4+fの正弦波波形W1を発生する(ステップ102)。また、局部発振部11が、正弦波発生部10のサンプリング周波数fの1/N、すなわち周波数f/4の局部発振波形W2を発生する(ステップ103)。
次に、正弦波発生部10が発生した正弦波波形W1と、局部発振波形W2とを混合部12により混合して波形W3を発生する(ステップ104)。波形W3には、正弦波波形W1の周波数f/4+fと局部発振波形W2の周波数f/4の和の周波数f/2+fおよび差分の周波数fの波形が含まれているため、LPF13により波形W3を低域通過濾波して、差分の周波数fの正弦波波形W4を抽出する(ステップ105)。これにより、周波数fの正弦波波形を発生させることができる。
一方、発生する波形の周波数fが所定の周波数fth以上のとき(図1の破線の場合)には、正弦波発生部10が、周波数fの正弦波波形W6を発生する(ステップ106)。ステップ105またはステップ106で発生された周波数fの正弦波波形W4、W6は、ノイズシェーピング部14で再量子化されて、量子化ノイズ増大に伴う高調波ノイズの発生が抑制された正弦波波形W5、W7が発生される(ステップ107)。以上により、波形発生装置2の出力波形が得られる。
信号発生装置1は、DA変換器17により、ディジタル正弦波波形W5、W7をDA変換して、アナログ正弦波波形に変換する(ステップ108)。その後、LPF18により、アナログ正弦波波形を低域通過濾波する(ステップ109)。以上により、信号発生装置1の出力信号が得られる。
ところで、第1実施態様の波形発生装置2は、Nが4に設定されているために、ステップ103~105の動作を、数値演算によらずデータ操作のみで実施することが可能となる。すなわち、周波数f/4の局部発振波形W2は、{1、0、-1、0}の関数列を周期的に繰り返した波形となる。したがって、混合後の波形W3のディジタル値は、1サンプルおきに0となり、さらに非ゼロのサンプルを1サンプルおきに符号反転させた関数列となる。連続する2サンプルのうち一方は0であることから、2サンプルの移動平均(次数2のFIRフィルタ)は、混合後の非ゼロのディジタル値を、ディジタル値0のサンプルにコピーすることにより実施することができる。このように、Nを4に設定することにより、演算量を大幅に低減することができる。一般に、Nを2(nは2以上の自然数)に設定することにより、局部発振波形W2のディジタル値は、nサンプルおきに0になるため、演算量を低減することができるが、n>2の場合には、遅延器と加算器が追加で必要となるため、N=4(n=2)のときに、演算量が少なくなる。
図5に、従来技術、すなわち図2で示したようなディジタルフィルタを用いて周波数10Hzの正弦波波形を発生させたときの波形(a)とそのスペクトル(b)を、さらに本発明の第1実施態様である波形発生装置2で周波数10Hzの正弦波波形を発生させたときの波形(c)とそのスペクトル(d)とを示す。波形図(a)、(c)の横軸は時間、縦軸は振幅である。また、スペクトル図(b)、(d)の横軸は周波数、縦軸は大きさである。図から明らかなとおり、従来技術で発生した波形は歪んでおり、所望の周波数である10Hz以外のノイズ成分が多く含まれているが、波形発生装置2で発生された波形は歪がなく、10Hz以外のノイズ成分が非常に小さいことがわかる。
図6に、信号の大きさが-90dBの波形をノイズシェーピング部14に入力したときの、入力波形(a)および出力波形(b)のスペクトルを示す。横軸は周波数、縦軸は信号の大きさである。図から明らかなように、ノイズシェーピング処理によって、低振幅レベルの波形であっても、量子化ノイズ増大に伴う高調波ノイズ発生が抑制されていることがわかる。
なお、第1実施態様の波形発生装置2では、発正弦波発生部のサンプリング周波数fの1/N(Nは3以上の自然数)の周波数f/Nに対して、発生する波形の周波数fだけ異なる周波数f/N±fの正弦波波形W1を発生する際に、USBに相当する正弦波波形(両波形を加算した周波数f/N+fの正弦波波形)を発生させているが、これに代えてLSBに相当する正弦波波形(減算した周波数f/N-fの正弦波波形)を発生させてもよい。この場合には、混合部12により混合した波形W3(ステップ104)には、正弦波波形W1の周波数f/N-fと局部発振波形W2の周波数f/Nの和の周波数f/2N-fおよび差分の周波数fの波形が含まれる。LPF13により波形W3を低域通過濾波することにより(ステップ105)、差分の周波数fの正弦波波形W4を抽出して、周波数fの正弦波波形を発生させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図7~11を参照して説明する。図7は、本発明の実施形態の一例である波形発生装置3のブロック図である。波形発生装置3は、任意の周波数fの、位相が90度異なる2つの正弦波のディジタル波形、および/または該2つの正弦波のディジタル波形を合成して発生する任意の位相の正弦波のディジタル波形を発生する波形発生装置である。波形発生装置3の構成および動作を、図1や図4における波形発生装置2の構成および動作と置き換えることにより、すなわち、波形発生装置3に接続されたDA変換器17により、ディジタル正弦波波形をアナログ波形に変換し(ステップ108)、さらにDA変換器17に接続されたLPF18により低域通過濾波する(ステップ109)ことにより、位相が90度異なる2つの正弦波のアナログ信号、および/または該2つの正弦波のディジタル波形を合成して発生する任意の位相の正弦波のアナログ信号を出力する信号発生装置を構成することができる。
波形発生装置3は、正弦波発生部10’と、局部発振部11と、正弦波発生部10’および局部発振部11に接続された混合部12と、混合部12に接続されたLPF13と、正弦波発生部10’およびLPF13に接続された合成部15と、正弦波発生部10’、LPF13および合成部15に接続されたノイズシェーピング部14とを備える。波形発生装置3は、正弦波発生部10’が位相が90度異なる2つの正弦波波形を発生する点、混合部12およびLPF13が、2つの正弦波波形のそれぞれに対して、混合および低域通過濾波を行う点、合成部15が2つの正弦波波形を合成して任意の位相の正弦波波形を発生する点、ノイズシェーピング部14が、2つの正弦波波形のそれぞれ、または合成された正弦波波形のノイズシェーピングを行う点が、波形発生装置2と異なる。
上述した点を除き、局部発振部11、混合部12、LPF13およびノイズシェーピング部14の各ブロックの基本的な機能は、波形発生装置2と同一であるため、図1と同じ参照番号を付した。また、図1と同様に、発生する波形の周波数fが所定の周波数fth未満のときのプロセスを実線で、発生する波形の周波数fが所定の周波数fth以上のときのプロセスを破線で示す。ただし、波形発生装置3の正弦波発生部10’が位相が90度異なる2つの正弦波波形を発生するため、図7では、2本の実線・破線で示した。波形発生装置3でも、サンプリング周波数fを1MHz、閾値fthを100Hz、N=4に設定した。また、正弦波発生部10’、局部発振部11、混合部12、LPF13および合成部15で発生される正弦波波形は24ビットのデータ、ノイズシェーピング部14で発生する正弦波波形は16ビットのデータである。以下の説明において、波形発生装置2と重複する内容は省く。
波形発生装置3は、プロセッサ、メモリ、タイマなどのコンピュータの構成を有する装置であり、各ブロック10’、11~15の機能はプログラムで記述されて、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(メモリ)内に保存され、プロセッサにより実行されることによって、その機能を実現する。各ブロック10’、11~15の機能は、個別のプログラムで記述されている必要はなく、複数のブロックの機能を単一の数値処理やデータ操作により実現してもよい。
図8に、波形発生装置3の正弦波発生部10’の例示的なシグナルフローを示す。正弦波発生部10’は、2次IIRディジタルフィルタを備え、サンプリング周波数fで位相が90度異なる2つの正弦波波形(周波数fにより、W21、W22の組またはW61、W62の組となる。以下では単に列記して表示する)を発生する。正弦波発生部10’は、波形発生装置2の正弦波発生部10に1つの加算器41と2つの乗算器42、43を追加した構成となっているため、追加部分以外は、図2と同じ参照番号を付した。
正弦波発生部10’は、入力端子20と、出力端子21、40と、3つの加算器22、23、41と、乗算係数aを有する乗算器24と、乗算係数-1を有する乗算器25と、乗算係数cを有する乗算器42と、乗算係数d有する乗算器43と、遅延係数z-1を有する2つの遅延器26、27を備える。入力端子20と加算器23の出力は、加算器22の入力に接続されている。遅延器26、27の出力は、それぞれに対応する乗算器24、25を介して、加算器23の入力に接続されている。遅延器26の出力は、出力端子21、遅延器27の入力および乗算器42の入力にも接続されている。乗算器42の出力は、加算器41の反転入力に接続されている。加算器22の出力は、加算器41の非反転入力と遅延器26の入力に接続されている。加算器41の出力は、乗算器43の入力に接続されている。乗算器43の出力は、出力端子40に接続されている。入力端子20に(2)式で示した単位インパルスを入力すると、出力端子21、40からは、互いに位相が90度異なる2つの正弦波波形W21、W22、W61、W62が出力される。
合成部15は、位相が90度異なる2つの正弦波波形W41、W42、W61、W62を合成して任意の位相の正弦波波形W81、W82を発生する。入力される2つの波形を、sinωtおよびcosωtで表すと、(3)式の関係式を満たす乗算係数C=sinθ、D=cosθを乗算器に設定することにより、所望の位相θの正弦波波形sin(ωt+θ)を発生することができる。
Figure 2023094379000004
図9に、合成部15の例示的なシグナルフローを示す。合成部15は、位相が90度異なる2つの正弦波波形のそれぞれが入力される入力端子60、61と、出力端子62と、加算器66と、乗算係数Cを有する乗算器64と、乗算係数Dを有する乗算器65とを備える。入力端子60、61は、それぞれに対応する乗算器64、65を介して、加算器66の入力に接続されている。加算器66の出力は、出力端子62に接続されている。
図10に、波形発生装置3の動作フローチャートを示す。プロセッサが、波形発生装置3により発生する出力波形の周波数fを受信すると、プロセッサが、周波数fと閾値周波数fthと比較する(ステップ201)。発生する波形の周波数fが閾値fth未満のとき(図7の実線の場合)には、正弦波発生部10’が、正弦波発生部のサンプリング周波数fの1/N(Nは3以上の自然数)の周波数f/Nに対して、発生する波形の周波数fだけ異なる周波数f/N±fの、互いに位相が90度異なる2つの正弦波波形W21、W22を発生する。本実施態様の波形発生装置3では、N=4およびUSBに設定されているため、サンプリング周波数fの1/4の周波数f/4に対して周波数fを加算した周波数をf/4+fの正弦波波形W21、W22を発生する(ステップ202)。また、局部発振部11が、正弦波発生部10のサンプリング周波数fの1/N、すなわち周波数f/4の局部発振波形W2を発生する(ステップ203)。
次に、正弦波発生部10’が発生した正弦波波形W21、W22のそれぞれと、局部発振波形W2とを、混合部12で混合して波形W31、W32を発生する(ステップ204)。波形W31、W32には、局部発振波形W21、W22の周波数f/4+fと正弦波波形W2の周波数f/4の和の周波数f/2+fおよび差分の周波数fの波形が含まれているため、LPF13により各波形W31、W32を低域通過濾波して、差分の周波数fの正弦波波形W41、W42を抽出する(ステップ205)。一方、発生する波形の周波数fが所定の周波数fth以上のとき(図7の破線の場合)には、正弦波発生部10’が、周波数fの正弦波波形W61、W62を発生する(ステップ206)。
次に、プロセッサが、任意の位相の正弦波波形を発生するか否か、発生する場合には所望の位相θに関する情報を受信する。受信した情報から、プロセッサが、任意の位相の正弦波波形を発生すると判定したときには(ステップ207)、合成部15で、2つの正弦波波形W41、W42、W61、W62を合成して、所望の位相θの正弦波波形W81、W82を発生する(ステップ208)。一方、任意の位相の正弦波波形を発生しないときには、合成部15による合成は行わない。
ステップ205、ステップ206またはステップ208で発生された周波数fの正弦波波形W41、W42、W61、W62、W81、W82は、ノイズシェーピング部14で再量子化されて、量子化ノイズ増大に伴う高調波ノイズの発生が抑制された正弦波波形W51、W52、W71、W72、W83、84が発生される(ステップ209)。すなわち、発生する波形の周波数fが閾値fth未満で、かつ任意の位相波形を発生しない場合には、位相が90度異なる2つの正弦波波形W51、W52が、発生する波形の周波数fが閾値fth未満で、かつ任意の位相波形を発生する場合には、所望の位相θを有する正弦波波形W83が、発生する波形の周波数fが閾値fth以上で、かつ任意の位相波形を発生しない場合には、位相が90度異なる2つの正弦波波形W71、W72が、発生する波形の周波数fが閾値fth以上で、かつ任意の位相波形を発生する場合には、所望の位相θを有する正弦波波形W84が、出力される。以上により、波形発生装置3の出力波形が得られる。
図11に、波形発生装置3により発生された、位相が90度異なる10Hzの2つの正弦波波形の一例を示す。図において、横軸は時間、縦軸は振幅で、2つの正弦波波形を実線と破線とで示した。図から明らかなように、発生する正弦波の周波数f=10Hzが、サンプリング周波数f=1MHzに比べて非常に小さい場合であっても、低歪かつ低ノイズな、位相が90度異なる2つの正弦波波形が得られていることがわかる。
なお、第1実施態様の波形発生装置2と同様に、正弦波波形W21、W22を発生する際に、USBに相当する周波数f/N+fの正弦波波形に代えて、LSBに相当する周波数f/N-fの正弦波波形を発生させてもよい。また、任意の位相波形を発生する場合に、所望の位相θの正弦波波形W83、W84と加えて、位相が90度異なる2つの正弦波波形W51、W52、W71、W72も同時に出力するように構成してもよい。また、ノイズシェーピング部14と合成部15の順序を入れ替えて構成してもよい。
次に、本発明の第3実施形態について図12~14を参照して説明する。図12は、本発明の実施形態の一例である波形発生装置4のブロック図である。波形発生装置4は、任意の周波数の正弦波のディジタル波形を発生する波形発生装置である。波形発生装置4の構成および動作を、図1や図4における波形発生装置2の構成および動作と置き換えることにより、すなわち、波形発生装置4に接続されたDA変換器17により、ディジタル正弦波波形をアナログ波形に変換し(ステップ108)、さらにDA変換器17に接続されたLPF18により低域通過濾波する(ステップ109)ことにより、正弦波のアナログ信号を出力する信号発生装置を構成することができる。
波形発生装置4は、発生する波形(信号)の周波数fによって、3つの発生プロセスを有する点、および混合部12に接続された高域通過濾波部(ハイパスフィルター、HPF)16を有する点、ノイズシェーピング部14が設けられていない点が、波形発生装置2と異なる。波形発生装置4は、発生する波形の周波数fが所定の周波数(閾値)fth未満のときには、実線で示されたプロセスで、発生する波形の周波数fが、正弦波発生部のサンプリング周波数fの1/2の周波数f/2の近傍のときには、一点破線で示されたプロセスで、発生する波形の周波数fが、閾値fth以上であって、かつ、正弦波発生部のサンプリング周波数fの1/2の周波数f/2の近傍でないときには、破線で示されたプロセスにより正弦波波形を発生する。「近傍」の範囲の設定は波形発生装置の構成や使用目的などにより適宜設定可能であるが、第3実施態様の波形発生装置4では上下各100Hzの範囲に設定した。
波形発生装置4は、正弦波発生部10”と、局部発振部11と、正弦波発生部10”および局部発振部11に接続された混合部12と、混合部12に接続されたLPF13およびHPF16とを備える。局部発振部11、混合部12およびLPF13の各ブロックの機能は、波形発生装置2と同一であるため、図1と同じ参照番号を付した。波形発生装置4でも、サンプリング周波数fを1MHz、閾値fthを100Hz、N=4に設定した。また、正弦波発生部10”、局部発振部11、混合部12、LPF13および合成部15で発生される正弦波波形は24ビットのデータである。以下の説明においても、波形発生装置2と重複する内容は省く。
波形発生装置4は、プロセッサ、メモリ、タイマなどのコンピュータの構成を有する装置であり、各ブロック10”、11~13、16の機能はプログラムで記述されて、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(メモリ)内に保存され、プロセッサにより実行されることによって、その機能を実現する。各ブロック10”、11~13、16の機能は、個別のプログラムで記述されている必要はなく、複数のブロックの機能を単一の数値処理やデータ操作により実現してもよい。
正弦波発生部10”は、図2に例示したような2次IIRディジタルフィルタを備え、サンプリング周波数fで正弦波のディジタル波形を発生する点は、正弦波発生部10と同じであるため、構成に関する説明は省略する。HPF16は、混合部12で周波数変換された波形を高域通過濾波して、正弦波発生部10”で発生し正弦波波形の周波数と局部発振波形の周波数との和の周波数を有する正弦波波形を抽出する。
図13に、波形発生装置4の動作フローチャートを示す。プロセッサが、波形発生装置4により発生する波形の周波数fを受信すると、プロセッサが、周波数fと閾値周波数fthと比較する(ステップ101)。発生する波形の周波数fが閾値fth未満のとき(図12の実線の場合)には、図4のステップ102~105と同様な動作により、周波数fの正弦波波形W4を発生する。
一方、発生する波形の周波数fが所定の周波数fth以上のときには、プロセッサはさらに、発生する波形の周波数fが正弦波発生部10”のサンプリング周波数fの1/2の周波数の近傍(500kHz±100Hz)の周波数か否かを判定する(ステップ301)。発生する波形の周波数fがサンプリング周波数fの1/2の周波数の近傍のとき(図12の一点破線の場合)には、正弦波発生部10”が、正弦波発生部のサンプリング周波数fの1/N(Nは3以上の自然数)の周波数f/Nに対して、発生する波形の周波数fだけ異なる周波数f-f/Nの正弦波波形W1”を発生する。第3実施態様の波形発生装置4では、N=4に設定されているため、正弦波発生部10”が、周波数f-f/4の正弦波波形W1”を発生する(ステップ302)。また、局部発振部11が、正弦波発生部10のサンプリング周波数fの1/N、すなわち周波数f/4の局部発振波形W2を発生する(ステップ303)。
次に、正弦波発生部10”が発生した正弦波波形W1”と、局部発振波形W2とを混合部12により混合した波形W3”を発生する(ステップ304)。波形W3”には、正弦波波形W1”の周波数f-f/4と局部発振波形W2の周波数f/4との和の周波数fおよび差分の周波数f-f/2の波形が含まれているため、HPF16により波形W3”を高域通過濾波して、和の周波数fの正弦波波形W8を抽出する(ステップ305)。これにより、周波数fの正弦波波形を発生させることができる。
他方、ステップ301で、発生する波形の周波数fが、正弦波発生部10”のサンプリング周波数fの1/2の周波数f/2の近傍でないと判断されたとき、すなわち、発生する波形の周波数fが、所定の周波数fth以上であって、かつ、正弦波発生部のサンプリング周波数fの1/2の周波数の近傍f/2でないとき(図12の破線の場合)には、正弦波発生部10”が、図4のステップ106と同様な動作により、周波数fの正弦波波形W6を発生する。以上により、波形発生装置4の出力波形が得られる。
図14に、従来技術、すなわち図2で示したようなディジタルフィルタを用いて周波数500kHzの正弦波波形を発生させたときのスペクトル(a)と、本発明の第3実施態様である波形発生装置4で正弦波波形を発生させたときのスペクトル(b)とを示す。横軸は周波数、縦軸は大きさである。図から明らかなとおり、従来技術で発生した波形のスペクトルには、所望の周波数である500kHz以外のノイズ成分が多く含まれているが、波形発生装置4で発生された波形には500kHz以外のノイズ成分が小さいことがわかる。
なお、波形発生装置4には、ノイズシェーピング部が設けられていないが、発生する波形の周波数fが閾値fth未満のとき(実線)と、閾値fth以上、かつ、サンプリング周波数fの1/2の周波数f/2の近傍でないとき(破線)には、正弦波波形W4、W6を、図3で例示したようなノイズシェーピング部14に入力して、ノイズシェーピングを行ってもよい。さらに、サンプリング周波数fの1/2の周波数f/2の近傍(一点破線)の正弦波波形W8に対しては、低域側に量子化ノイズを持ち上げるような特性を有するΔΣ変調によるノイズシェーピングを行ってもよい。
次に、本発明の第4実施形態について図15~17を参照して説明する。図15は、本発明の実施形態の一例である波形発生装置5のブロック図である。波形発生装置5は、任意の周波数の正弦波、矩形波または三角波のディジタル波形を発生する波形発生装置である。波形発生装置5の構成および動作を、図1や図4における波形発生装置2の構成および動作と置き換えることにより、すなわち、波形発生装置5に接続されたディジタル・アナログ変換器(DA変換器)17により、ディジタル正弦波波形をアナログ波形に変換し(ステップ108)、さらにDA変換器17に接続されたローパスフィルタ(LPF)18により低域通過濾波する(ステップ109)ことにより、正弦波、矩形波または三角波のアナログ信号を出力する信号発生装置を構成することができる。
波形発生装置5は、正弦波発生部10と、局部発振部11と、正弦波発生部10および局部発振部11に接続された混合部12と、混合部12に接続された低域通過濾波部(LPF)13と、正弦波発生部10およびLPF13に接続されたノイズシェーピング部14と、ノイズシェーピング部14に接続されたコンパレータ部50と、コンパレータ部50に接続された積分部51とを備える。正弦波発生部10、局部発振部11、混合部12、LPF13およびノイズシェーピング部14の各ブロックの機能は、波形発生装置2と同一であるため、図1と同じ参照番号を付した。発生する波形の周波数によって波形発生プロセスが異なる点も波形発生装置2と同様であるが、煩雑さを避けるため、ノイズシェーピング部14以降のプロセスは実線のみで図示した。また、以下の説明においても、波形発生装置2と重複する内容は省く。
波形発生装置5は、プロセッサ、メモリ、タイマなどのコンピュータの構成を有する装置であり、各ブロック10~14、50、51の機能はプログラムで記述されて、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(メモリ)内に保存され、プロセッサにより実行されることによって、その機能を実現する。各ブロック10~14、50、51の機能は、個別のプログラムで記述されている必要はなく、複数のブロックの機能を単一の数値処理やデータ操作により実現してもよい。
コンパレータ部50は、ノイズシェーピング部14から出力された正弦波波形のレベル(ディジタル値)を、所定の閾値と比較して、正弦波波形のレベルが閾値以上のときには高レベルのディジタル値に、正弦波波形のレベルが閾値未満のときには低レベルのディジタル値に変換することにより、高レベルおよび低レベルのディジタル値の2値で構成される矩形波波形に変換する。高レベルおよび低レベルに対応するディジタル値は、任意に設定することができる。また、閾値の設定により、矩形波波形のデューティー比を任意に設定することができる。積分部51は、コンパレータ部50から出力された矩形波のディジタル値の積分することにより、三角波波形に変換する。
図16に、波形発生装置5の動作フローチャートを示す。プロセッサが、波形発生装置5により発生する出力波形の種類と周波数を受信すると、発生する波形の周波数の正弦波波形を発生する(ステップ401)。ステップ401の動作は、図4の一点破線内の動作(ステップ101~107)と同じである。次に、プロセッサは、出力波形の種類が正弦波波形であるか否かを判定する(ステップ402)。出力波形の種類が正弦波波形である場合には、ノイズシェーピング部14で発生した正弦波波形W11を出力して終了する。
出力波形の種類が正弦波波形でない場合には、ノイズシェーピング部14が発生した正弦波波形をコンパレータ部50で矩形波波形に変換する(ステップ403)。次に、プロセッサは、出力波形の種類矩形波波形であるか否かを判定する(ステップ404)。出力波形の種類が矩形波波形である場合には、変換された矩形波波形W12を出力して終了する。
出力波形の種類が矩形波波形でない場合には、コンパレータ部50が発生した矩形波波形を積分部51で三角波波形に変換する(ステップ405)。そして、変換された三角波波形W13を出力して終了する。
図17に波形発生装置5が発生した波形の一例を示す。図17(a)は出力波形として50Hzの矩形波波形を指定した場合、図17(b)は出力波形として50Hzの三角波波形を指定した場合の出力波形であり、ともに横軸は時間を、縦軸は波形の振幅(レベル、ディジタル値)を示す。図から明らかなにように、低歪かつ低ノイズの波形が得られていることがわかる。
なお、上述した波形発生装置5では、デューティー比を変化させた矩形波波形を正弦波波形から発生しているが、三角波波形を発生した後にさらにコンパレータを用いて矩形波波形を発生してもよい。この場合、コンパレータの閾値を制御することにより、所望のデューティー比の矩形波波形を発生させることができる。また、矩形波波形を微分演算する微分部を設けることにより、パルス波波形を発生することもできる。さらに、上述した波形発生装置5では、正弦波、矩形波または三角波のいずれか種類の波形を出力波形として出力しているが、任意の複数の種類のディジタル波形を出力するように構成してもよい。また、ΔΣ変調は2次である必要はなく、種々のものでも構わない。
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
1 信号発生装置
2、3、4、5 波形発生装置
10、10’、10” 正弦波発生部
11 局部発振部
12 混合部
13 低域通過濾波部
14 ノイズシェーピング部
15 合成部
16 高域通過濾波部
17 DA変換器
18 低域通過濾波器
20、30、60、61 入力端子
21、31、40、62 出力端子
22、23、32、33、34、41、66 加算器
24、25、35、36、42、43、64、65 乗算器
26、27、37、38 遅延器
39 量子化器
50 コンパレータ部
51 積分部

Claims (12)

  1. 任意の周波数のディジタル波形を発生する波形発生装置であって、
    前記波形発生装置は、
    ディジタルフィルタを備えた正弦波発生部と、
    前記正弦波発生部のサンプリング周波数の1/N(Nは3以上の自然数)の周波数の局部発振波形を発生する局部発振部と、
    混合部と、
    低域通過濾波部と、
    を備え、
    発生する波形の周波数が所定の周波数未満のときには、
    前記正弦波発生部が、前記正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数に対して、前記発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、
    前記正弦波発生部が発生した正弦波波形と、前記局部発振波形とを前記混合部により混合し、さらに前記低域通過濾波部により低域通過濾波した正弦波波形を発生し、
    前記発生する波形の周波数が所定の周波数以上のときには、前記正弦波発生部が、前記発生する波形の周波数の正弦波波形を発生する、
    波形発生装置。
  2. 前記Nは4である、請求項1に記載の波形発生装置。
  3. 前記発生する周波数の正弦波波形を再量子化するノイズシェーピング部をさらに備える、請求項1または2に記載の波形発生装置。
  4. 前記正弦波発生部は、位相が90度異なる2つの正弦波波形を発生し、
    前記混合部および前記低域通過濾波部は、前記2つの正弦波波形のそれぞれを、前記局部発振波形と混合して低域通過濾波する、
    請求項1から3までのいずれか1項に記載の波形発生装置。
  5. 前記発生する周波数の、位相が90度異なる2つの正弦波波形を合成して任意の位相の正弦波波形を発生する合成部をさらに備える、請求項4に記載の波形発生装置。
  6. 任意の周波数のディジタル波形を発生する波形発生装置であって、
    前記波形発生装置は、
    ディジタルフィルタを備えた正弦波発生部と、
    前記正弦波発生部のサンプリング周波数の1/N(Nは3以上の自然数)の周波数の局部発振波形を発生する局部発振部と、
    混合部と、
    低域通過濾波部と、
    高域通過濾波部と、
    を備え、
    発生する波形の周波数が所定の周波数未満のときには、
    前記正弦波発生部が、前記正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数に対して、前記発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、
    前記正弦波発生部が発生した正弦波波形と、前記局部発振波形とを前記混合部により混合し、さらに前記低域通過濾波部により低域通過濾波した正弦波波形を発生し、
    前記発生する波形の周波数が、前記正弦波発生部のサンプリング周波数の1/2の周波数の近傍のときには、
    前記正弦波発生部が、前記正弦波発生部のサンプリング周波数の1/Nの周波数に対して、前記発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、
    前記正弦波発生部が発生した正弦波波形と、前記局部発振波形とを前記混合部により混合し、さらに前記高域通過濾波部により高域通過濾波した正弦波波形を発生し、
    前記発生する波形の周波数が、前記所定の周波数以上であって、かつ、前記正弦波発生部のサンプリング周波数の1/2の周波数の近傍でないときには、前記正弦波発生部により、前記発生する波形の周波数の正弦波波形を発生する、
    波形発生装置。
  7. 前記発生する周波数の正弦波波形を、所定の閾値と比較して矩形波波形へ変換するコンパレータ部をさらに備える、請求項1から6までのいずれか1項に記載の波形発生装置。
  8. 前記矩形波波形を積分して三角波波形へ変換する積分部をさらに備える、請求項7に記載の波形発生装置。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項に記載の波形発生装置と、
    前記波形発生装置により発生された波形を、アナログ信号に変換するDA変換器と、
    を備える、
    信号発生装置。
  10. 任意の周波数のディジタル波形を発生する波形発生方法であって、
    発生する波形の周波数が所定の周波数未満のときには、
    ディジタルフィルタを用いて、前記ディジタルフィルタのサンプリング周波数の1/N(Nは3以上の自然数)の周波数に対して、前記発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、
    前記ディジタルフィルタが発生した正弦波波形と、前記ディジタルフィルタのサンプリング周波数の1/Nの周波数の局部発振波形とを混合し、さらに低域通過濾波して正弦波波形を発生する、
    ステップと、
    前記発生する波形の周波数が所定の周波数以上のときには、前記ディジタルフィルタを用いて、前記発生する波形の周波数の正弦波波形を発生するステップと、
    を含む、波形発生方法。
  11. コンピュータに、任意の周波数のディジタル波形を発生させるプログラムであって、前記コンピュータに、
    発生する波形の周波数が所定の周波数未満のときには、
    ディジタルフィルタを用いて、前記ディジタルフィルタのサンプリング周波数の1/N(Nは3以上の自然数)の周波数に対して、前記発生する波形の周波数だけ異なる周波数の正弦波波形を発生し、
    前記ディジタルフィルタが発生した正弦波波形と、前記ディジタルフィルタのサンプリング周波数の1/Nの周波数の局部発振波形とを混合し、さらに低域通過濾波して正弦波波形を発生する、
    機能と、
    前記発生する波形の周波数が所定の周波数以上のときには、前記ディジタルフィルタを用いて、前記発生する波形の周波数の正弦波波形を発生する機能と、
    を実現させるためのプログラム。
  12. 請求項11に記載されたプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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