JP2023093239A - 造形方法及び造形システム - Google Patents
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Abstract
【課題】造形物の表面に積層痕が表出することを抑制する造形方法及び造形システムを提供する。【解決手段】本発明の造形方法は、可動基台部20を積層方向に沿って移動させて硬化層形成面21において第1の硬化層L1に第2の硬化層L2を積層形成させていく過程で、少なくとも前記第2の硬化層L2の外縁部に臨む樹脂液R、及び、前記第2の硬化層L2の外縁部と連続する前記第1の硬化層L1の外縁部に臨む樹脂液を共に、当該積層方向に沿って硬化させる。【選択図】図2
Description
本発明は、液槽光重合法によって造形物を造形する造形方法及び造形システムに関する。
液槽光重合法によって立体的な造形物を造形する造形装置、いわゆる3Dプリンタはすでに広く知られている(例えば特許文献1参照)。そして、一般的な造形装置は、硬化させた樹脂等を層状に積み重ねて立体的に造形する機能を有している。ここで、液槽光重合法には、樹脂液が満たされた槽内に基台を配置し、樹脂液の液面に光を上から照射して基台上の樹脂液を硬化させ、基台を下に降ろしていく自由液面法と、槽の底部を光透過性のものとして下から光を照射し、基台より下の樹脂液を硬化させ、基台を上に上げていく規制液面法と、がある。
しかしながら従来の手法では、図5に示すように、積み重ねられた樹脂層の各境界に溝状の段差が生じてしまい、これが積層痕として当該造形物の外縁部に地層状の紋様が表れて、全体として美観等を損ねるという問題が生ずる。特に、光が液面Sの上方から照射される場合には、各硬化層における外縁部の下側ほど硬化しにくく、これに起因して前記外縁部における上端と下端とでR形状の相違が生じて、より一層、積層痕を顕在化させてしまう。このため、一般的には、積層痕による地層状の紋様を除去すべく、造形物を研磨する煩雑な後工程が必要となっている。
ここで、表面に形成された溝状の積層痕は、造形していく層の厚みを可及的に薄くすることで目立ち難くすることは可能であるが、造形時間が長くなって製造コストが大幅に嵩む問題があるし、結局、積層痕自体は造形物の表面に表出することになるため、当該表面の研磨作業は依然として必要になる。
なお、液槽光重合法にあっては、照射された光が過剰な範囲の樹脂液を硬化させてしまっていわゆる造形物の「膨張」が生じないように、照射される光の波長や強度あるいは線径等を、規定された硬化層の層厚を超えた範囲まで硬化が生じないように細かく厳密に制御されていることは当業者間においてよく知られている。
そこで本発明は、造形物の表面に地層状の紋様が表出することを抑制することができる造形方法を提供することを目的とする。
また本発明は、造形物の表面に地層状の紋様が表出することを抑制することができる造形システムを提供することを目的とする。
本発明は、液状硬化性材料用液槽部内に容れられた光硬化性の液状硬化性材料に、所定の光を照射して当該液状硬化性材料を層状に硬化させて前記液状硬化性材料用液槽部内に硬化層を形成すると共に前記硬化層を積層して所望の造形物を造形する造形方法において、前記液状硬化性材料用液槽部内に配置されて前記硬化層の積層方向に移動自在な可動基台部に設けられた硬化層形成面において第1の硬化層を形成するとともに、当該第1の硬化層を形成することに伴い前記可動基台部を前記硬化層の積層方向に沿って移動させて当該硬化層形成面において当該第1の硬化層に第2の硬化層を積層形成させていく過程で、少なくとも前記第2の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料、及び、当該第2の硬化層の外縁部と前記積層方向において連続する前記第1の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料を共に、前記積層方向に沿って硬化させる工程を含むことを特徴とする造形方法である。
ここで、例えば可動基台部を順次下方に移動させて第1の硬化層上に第2の硬化層を積層する際には、例えば所定の光を下向き(すなわち積層方向)に照射して、第1の硬化層の外縁部及び第2の硬化層の外縁部に各々臨む液状硬化性材料を共に薄膜状に硬化させる。そうすると、第1の硬化層と第2の硬化層との外縁部において、両硬化層の境界に溝状に表出するいわゆる積層痕が、上記した薄膜状に硬化された部位によって覆い隠されて、結局、造形物の表面に地層状の紋様が表出してしまうことが抑制される。ここで、従来からよく知られている液槽光重合法では、造形物の「膨張」が生じないように、第2の硬化層を形成する際に照射される光の波長や強度等は、第1の硬化層に影響が及ばないように照射条件が定められていたところ、造形物の外側面を構成する硬化層の外縁部に限って第1の硬化層まで影響を及ぼす照射条件で光を照射したところに技術的に意義を有している。なお、本発明は、第1の硬化層上に第2の硬化層を積層する構成に限定されることはなく、第1の硬化層下に第2の硬化層を積層する構成であってもよい。また、第1の硬化層は造形物の最下層である必要は無く、硬化層形成面において造形される造形物を構成するいずれか一つの硬化層であればよい。
また本発明は、光硬化性の液状硬化性材料が容れられた液状硬化性材料用液槽部と、前記液状硬化性材料層部内の液状硬化性材料を硬化させる光を照射する光照射部と、前記光照射部から光が照射されることに起因して前記液状硬化性材料用液槽部内に形成された硬化層が積層される硬化層形成面が設けられた可動基台部と、前記光照射部から前記液状硬化性材料に向けて光を照射する制御内容、及び前記可動基台部を前記硬化層の積層方向に移動させる制御内容を具備する制御部と、を備え、前記硬化層形成面に前記硬化層を積層することで所望の造形物を造形する造形システムにおいて、前記制御部は、前記可動基台部における前記硬化層形成面において第1の硬化層を形成することに伴い前記可動基台部を移動させて当該第1の硬化層に第2の硬化層を積層形成させ、かつ、少なくとも前記第2の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料、及び、当該第2の硬化層の外縁部と前記積層方向において連続する前記第1の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料を共に、前記積層方向に沿って光を照射させて硬化させる制御内容を具備することを特徴とする造形システムである。
なお、本発明の造形システムにおいても、第1の硬化層上に第2の硬化層を積層する構成に限定されることはなく、第1の硬化層下に第2の硬化層を積層する構成であってもよい。また、第1の硬化層は造形物の最下層である必要は無く、硬化層形成面において造形される造形物を構成するいずれか一つの硬化層であればよい。
かかる構成にあっては、上述のように第1の硬化層と第2の硬化層との外縁部において、両硬化層の境界に溝状に表出するいわゆる積層痕が、積層方向に照射された光によって薄膜状に硬化された部位によって覆い隠されて、結局、造形物の表面に地層状の紋様が表出してしまうことを抑制する機能を具備している。
本発明の造形方法は、造形物の表面に積層痕が表出することを抑制できる優れた効果がある。
本発明の造形システムは、造形物の表面に積層痕が表出することを抑制できる優れた効果がある。
以下、本発明の造形方法及び造形システムを具体化した実施例を詳細に説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜、設計変更が可能である。
造形システム1は、自由液面法によって造形物を造形する3Dプリンタであり、図1に示すように、光硬化性の樹脂液Rが容れられた樹脂液槽部10を備えている。
なお、光硬化性の樹脂液Rは公知の樹脂材を使用することができ、また光硬化性の他の材料に代えて使用することもできる。なお、樹脂液Rにより本発明に係る液状硬化性材料が構成される。また、樹脂液槽部10により本発明に係る液状硬化性材料用液槽部が構成される。
また、樹脂液槽部10内には、上下動可能なプレート状の可動基台部20が配置されている。そして、可動基台部20の上面が、硬化層形成面21とされている。
一方、樹脂液槽部10の外であって当該樹脂液槽部10の上方には、樹脂液Rを硬化させる光を照射する光照射部30を備えている。なお、光照射部30は、例えば互いに性能が異なる複数の光源から光が照射される構成であってもよいし、単独の光源に対して複数の照射条件を設定して相異なる特性の光を照射することができる構成であってもよいし、その他の構成であってもよい。なお、本実施例の光照射部30は、後述する硬化層の広域を占める主要部を硬化させる広域用照射光α(第1の照射光)を照射する第1の光源と、硬化層における主要部の外縁部を硬化させる外縁部用照射光β(第2の照射光)を照射する第2の光源とを具備している。ここで、広域用照射光αは、狭域用の外縁部用照射光βに比して、ビーム径が相対的に大きく、かつ出力が相対的に小さい性能を有していることが好ましい。
そして、上述の可動基台部20及び光照射部30は、図示しない制御部によって動作が制御されている。例えば制御部は、いわゆる中央演算処理装置によって構成することができる。
次に、造形システム1を用いた造形手順を説明する。
図2(a)に示すように、樹脂液Rの液面Sに対して例えば0.05μmの深さだけ下方に位置した可動基台部20の上側の樹脂液Rに対して光照射部30から光を照射して、硬化層形成面21に第1の硬化層L1を形成する。
次に、可動基台部20を下降させて第1の硬化層L1の上側に厚さ0.05μmの樹脂液Rを満たし、さらに光を照射して図2(b)に示すように第2の硬化層L2を積層形成する。
このとき、外縁部用照射光βの照射条件を、0.1μmの深さまで硬化させる条件として、光を積層方向に沿って下向きに照射することで、互いに連続している第2の硬化層L2の外縁部と第1の硬化層L1の外縁部とをともに硬化処理する。具体的には、第2の硬化層L2の外縁部に臨む樹脂液R部分と、第1の硬化層L1の外縁部に臨む樹脂液R部分とを積層方向に沿って連続するように所定寸法の範囲内において膨張させることなく薄厚で硬化させる。
そうすると、所定の規定線Aからはみ出ることなく第1の硬化層L1と第2の硬化層L2との境界を跨ぐように薄厚の硬化被膜が形成されることとなり、これにより、第1の硬化層L1と第2の硬化層L2との境界に表出していた積層痕を消失させることが可能となる。
そして、さらに可動基台部20を下降させて第2の硬化層L2の上側に樹脂液Rを満たし、広域用照射光α及び外縁部用照射光βを照射することによって、図3に示すような第3の硬化層L3を積層形成していく。このときも同様に、当該第3の硬化層L3の外縁部だけでなく、少なくとも直下に形成されている第2の硬化層L2の硬化層の外縁部もともに薄厚で硬化させていく。
こうした上述の手順を繰り返し実行することによって、図4に示すように、造形物Xの外縁部には各硬化層(L1~L4)の境界に表出していた積層痕が形成されることがなくなり、美観に優れた造形物Xを形成することができる。
なお、本発明は、自由液面法ではなく規制液面法によって造形物を造形する造形システムにも適用可能である。
1 造形システム
10 樹脂液槽部(液状硬化性材料用液槽部)
20 可動基台部
21 硬化層形成面
30 光照射部
L1 第1の硬化層
L2 第2の硬化層
L3 第3の硬化層
R 樹脂液(液状硬化性材料)
S 液面
X 造形物
α 広域用照射光
β 外縁部用照射光
10 樹脂液槽部(液状硬化性材料用液槽部)
20 可動基台部
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L1 第1の硬化層
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R 樹脂液(液状硬化性材料)
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X 造形物
α 広域用照射光
β 外縁部用照射光
Claims (2)
- 液状硬化性材料用液槽部内に容れられた光硬化性の液状硬化性材料に、所定の光を照射して当該液状硬化性材料を層状に硬化させて前記液状硬化性材料用液槽部内に硬化層を形成すると共に前記硬化層を積層して所望の造形物を造形する造形方法において、
前記液状硬化性材料用液槽部内に配置されて前記硬化層の積層方向に移動自在な可動基台部に設けられた硬化層形成面において第1の硬化層を形成するとともに、当該第1の硬化層を形成することに伴い前記可動基台部を前記硬化層の積層方向に沿って移動させて当該硬化層形成面において当該第1の硬化層に第2の硬化層を積層形成させていく過程で、少なくとも前記第2の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料、及び、当該第2の硬化層の外縁部と前記積層方向において連続する前記第1の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料を共に、前記積層方向に沿って硬化させる工程を含む
ことを特徴とする造形方法。 - 光硬化性の液状硬化性材料が容れられた液状硬化性材料用液槽部と、
前記液状硬化性材料層部内の液状硬化性材料を硬化させる光を照射する光照射部と、
前記光照射部から光が照射されることに起因して前記液状硬化性材料用液槽部内に形成された硬化層が積層される硬化層形成面が設けられた可動基台部と、
前記光照射部から前記液状硬化性材料に向けて光を照射する制御内容、及び前記可動基台部を前記硬化層の積層方向に移動させる制御内容を具備する制御部と、
を備え、前記硬化層形成面に前記硬化層を積層することで所望の造形物を造形する造形システムにおいて、
前記制御部は、
前記可動基台部における前記硬化層形成面において第1の硬化層を形成することに伴い前記可動基台部を移動させて当該第1の硬化層に第2の硬化層を積層形成させ、かつ、少なくとも前記第2の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料、及び、当該第2の硬化層の外縁部と前記積層方向において連続する前記第1の硬化層の外縁部に臨む液状硬化性材料を共に、前記積層方向に沿って光を照射させて硬化させる制御内容を具備する
ことを特徴とする造形システム。
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JP2021208756A JP2023093239A (ja) | 2021-12-22 | 2021-12-22 | 造形方法及び造形システム |
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