JP2023090372A - 制動部を備えた魚釣用リール - Google Patents

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Abstract

【課題】スプールに制動力を付与する制動部を有する魚釣用リールにおいて、スプールが停止している場合でも、ログ保存や外部機器との通信を含む制御部による制御を行う継続することが可能な魚釣用リールを提供する。【解決手段】釣用リールであって、魚釣用リールのリール本体2に回転可能に軸支されたスプール3と、スプールに取り付けられた永久磁石41とリール本体に取り付けられたコイル42との相互作用によりスプールに制動力を付与する制動部4と、制動部を制御する制御部5と、制御部に給電可能な電源部7と、制動部の制動に伴って発電可能な発電部8と、制御部に供給する電力を、発電部による発電電力又は電源部に蓄えられた電力の少なくともいずれかから選択可能な電源選択部9と、を備えるように構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、リール本体に回転自在に装着されたスプールを制動する制動部を備えた魚釣用リールに関する。
従来より、両軸受リール、特に、釣り糸の先端にルアー等の仕掛けを装着して投擲(キャスティング)するベイトキャスティングリールには、投擲(キャスティング)時のバックラッシュを防止するためにスプールを制動する制動手段が設けられている。
このような制動手段を備える魚釣用リールとして、特許文献1では、キャスト時のバックラッシュ発生を抑えるために、電気的に制御可能な制動手段を有する魚釣用リールが開示されている。特許文献1の魚釣用リールでは、スプールに設けた永久磁石と、ステータ(リール本体)に備えたコイルとによって、スプール高速回転時に電力を発電し、そこで発生した誘導起電力を整流回路によって直流変換および電圧の安定化を行うと共に、その電力を蓄電素子に供給し、制御基板を駆動し、コイルの導通状態を適宜制御することで、スプールに適切な制動力を付与することを実現している。
特開2004-208630号公報
特許文献1に係る魚釣用リールでは、スプールの回転検出センサなどの検知手段を設けることで、糸長や巻き取りスピードなどのリール状態を検知することができる。検知したリール状態は、ログを保存したり、スマートフォンなどの外部機器と通信することで、ユーザへの利便性を向上することができる。しかしながら、特許文献1の魚釣用リールでは、スプールの回転数が所定値以下のとき(停止時や低速時)に制御基板に電力を供給することができず、スプール低速回転時におけるリール状態の保存や外部との通信を含めた種々の制御を行うことが実際上難しいという問題があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スプールに制動力を付与する制動部を有する魚釣用リールにおいて、スプールが停止している場合でも、ログ保存や外部機器との通信を含む制御部による制御を行う継続することができる魚釣用リールを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、魚釣用リールのリール本体に回転可能に軸支されたスプールと、該スプールに取り付けられた永久磁石と該リール本体に取り付けられたコイルとの相互作用により該スプールに制動力を付与する制動部と、該制動部を制御する制御部と、該制御部に給電可能な電源部と、 該制動部の制動に伴って発電可能な発電部と、該制御部に供給する電力を、該発電部による発電電力又は該電源部に蓄えられた電力の少なくともいずれかから選択可能な電源選択部と、を備えるように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記発電部は、前記コイルと前記永久磁石の相互作用によって発電するように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記電源部は、充電可能な二次電池であり、前記発電部による発電電力が、該制御部の駆動電力を越えた場合、該発電部による発電電力により該電源部に充電可能であるように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、環境発電部をさらに備え、前記電源選択部は、前記制御部に供給する電力を、前記発電部による発電電力、該環境発電部による発電電力又は前記電源部に蓄えられた電力の少なくともいずれかから選択可能であるように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、前記魚釣用リールの状態を検知する検出部をさらに有し、前記制御部は、該検出部により検知された検知情報を保存する保存部又は該検出部により検知された検知情報を外部に送信する送信部の少なくとも1つを備え、該保存部による検知情報の保存又は該送信部による検知情報の送信の際、該制御部は、前記電源部に蓄えられた電力を専ら使用するように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記制御部は、前記スプールへの制動力を制御する際、前記発電部により発電された電力を専ら使用するように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、魚釣用リールのリール本体に回転可能に軸支されたスプールと、該スプールに取り付けられた永久磁石と該リール本体に取り付けられたコイルとの相互作用により該スプールに制動力を付与する制動部と、該制動部を制御する制御部と、該制御部に給電可能な電源部と、該制動部の制動に伴って発電可能な発電部と、該電源部を充電する電力を、該発電部による発電電力又は前記魚釣用リールの外部から供給される電力の少なくともいずれかから選択可能な電源選択部と、を備えるように構成される。また、本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、環境発電部をさらに備え、前記電源選択部は、前記電源部を充電する電力を、前記発電部による発電電力、該環境発電部による発電電力又は前記魚釣用リールの外部から供給される電力の少なくともいずれかから選択可能であるように構成される。
上記実施形態によれば、スプールに制動力を付与する制動手段を有する魚釣用リールにおいて、スプールが停止している場合でも、ログ保存や外部機器との通信を含む制御部による制御を継続することができる魚釣用リールを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1による制御方法を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1による制御方法を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1による制御方法を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1による制御方法を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1による制御方法を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1による制御方法を説明する図である。 本発明のその他の実施形態に係る魚釣用リール1を説明する図である。
以下、本発明に係る魚釣用リールの実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
図1から8を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リールについて説明する。図1(a)、(b)、(c)は、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の電気的な機能構成を示すシステム図である。
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の部品構成について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、フレーム(リール本体)2と、スプール3と、制動部(制動手段)4、制御部(制御手段)5と、検出部(検出手段ないしセンサ部)6と、電源部7とを含むように構成されるが、これら以外の構成部材を含むようにしてもよい。
フレーム(リール本体)2は、釣竿(図示しない)に取付け可能に形成されている。本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、従来の魚釣用リールと同様、図示しない操作部ないし操作手段(例えば、ハンドル)を有し、ユーザの操作によってスプール3を正方向に回転させ、釣糸を巻き取ることができる。操作部ないし操作手段(以下、操作部という)の回転は、図示しないギヤ等の伝達手段によってスプール3に伝達される。
また、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、図示しないクラッチ部(クラッチ手段)を有し、ユーザはクラッチ部(クラッチ手段)を操作することで、スプール3への動力伝達の接続・解放を選択することができる。スプール3への動力伝達の接続状態では、操作部による巻き取りが可能にされる。他方、スプール3への動力伝達の開放状態では、スプールを正逆方向に自由に回転させることができ、釣糸が放出可能にされる。
また、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、所定値以上のトルクが発生した際にスプール3を空転させることで釣糸の破断を防止するドラグ部ないしドラグ手段(図示しない)や、操作部の逆回転を防止する逆回転防止部ないし逆回転防止手段(図示しない)を備えるようにしてもよい。さらに、スプール3の回転に応じて釣糸を案内する釣糸案内部の位置を往復運動させることで、釣糸を均等に巻き取るオシレータ装置(図示しない)を設けてもよい。
スプール3は、リール本体2に対して回転可能にリール本体2に支持され、スプール3が正方向に回転することにより、スプール3の外周領域に釣糸を巻き取ることができる。他方、ルアー等を投擲する際は、スプール3が逆方向に回転し、巻回された釣糸を放出することができる。この際、釣糸の放出量がルアー等の移動量よりも多すぎると、余分な釣糸によりバックラッシュと呼ばれる糸絡みが発生し、魚釣用リール1の正常な使用を妨げる場合がある。このため、スプール3に対して後述する制動部4による適切な制動力を付与することにより、このようなバックラッシュを防止するようにしている。
次に、制動部4について説明する。制動部4は、スプール3に設けられた永久磁石41と、フレーム2と一体に保持されるコイル42と、制御部5に設けられたスイッチ素子43と、から構成される。
永久磁石41は、スプール3の回転軸と同軸の概略円筒形状に形成され、外周部がn等分されてN極とS極が交互に着磁される。コイル42は、巻回された芯線が、永久磁石41に対向して磁石41の磁場内に配置されるように略矩形に巻回されている。コイル42を複数配置する場合、それぞれのコイルは直列または並列に電気的に接続されており、その両端がスイッチ素子43に接続される。
スイッチ素子43は、例えば、高速でオンオフ制御できる並列接続された2つのFET(電界効果トランジスタ)で構成され、コイル42の電気的な接続/切断を選択することができる。
このような構成により、スプール3に対していわゆる発電ブレーキによる制動をかけることが可能となる。すなわち、スプール3の高速回転に伴い、永久磁石41の作る磁場はコイル42に対して相対移動をする。このときにスイッチ素子43によりコイル42を電気的に接続すると、コイル42には起電力が生じ、この起電力がコイル42の作る回路内で電流を作ることにより、永久磁石41には回転方向と逆方向に働く磁力が生じる。これにより、スプール3には、回転数の二乗に比例する制動トルクが生じる。また、スイッチ素子43によりコイル42を電気的に切断した場合は、この制動トルクの発生を停止することができる。
スイッチ素子43の接続と切断を適宜切り替えることにより、スプール3に所定の制動トルクを発生させることができる。スプール3に制動トルクを発生させている間、スプール3の機械的エネルギーがコイル42が形成する回路内において電気的エネルギーに変換される。
このような変換手段を、本明細書では、発電部(発電手段若しくは発電機構)8又はスプール発電部8と呼ぶ。ここで、当該発電部8は、永久磁石41と、コイル42と、スイッチ素子43と、整流回路と、蓄電素子とで構成されるが、これらの構成部材以外のものを含むようにしてもよい。当該発電部8により、電気的エネルギーを生成し、生成された電気的エネルギーを制御部5に供給することで、制御部5を作動・駆動させることができる。本明細書においては、当該発電部8で生み出される発電をスプール発電と呼ぶこととする。なお、コイル42の外周には、ヨークを配置することで、永久磁石41による磁場を効率的にコイル42に発生させるようにしてもよい。
次に、制御部5は、制動部4を制御することで、スプール3に対して適切な制動を行う。制御部5は、所定のプログラムを格納したROM、プログラム処理中に検出情報等を一時的に記憶する記憶部(RAM)、これらを制御するCPU等(図示しない)を有し、それぞれの構成要素は、一つの半導体部品内に配置されたり、電気回路が印刷された基板上に配置される。また、制御部5は、電源切断後もデータを保存可能なフラッシュROMなどのストレージ手段(格納部)、LEDやLCDなどの表示部、無線通信ネットワーク技術やUSBコネクタ等により外部との通信を行う通信手段(通信部)を有していてもよい。
制御部5のCPU(図示しない)は、魚釣用リールの状態を検出する検出部6の情報を取得するように構成される。検出部6には、例えば、スプールの回転状態を検出するスプール回転検出部ないし手段61、ハンドルの回転状態を検出するハンドル回転検出部ないし手段62、クラッチの接続/切断状態を検出するクラッチ検出部ないし手段63、釣糸の張力を検出する張力検出部ないし手段64、設定ドラグ力の検出を行う設定ドラグ力検出部ないし手段65、魚釣用リール及び釣竿の動きを検出するモーションセンサ66、制動部4における制動力を検出する制動力検出部67等が考えられるが、これらの一部または全部を備えるように構成することができる。
スプール回転検出部61は、スプールに設けた磁石などの被検出部が、リール本体(フレーム)に設けたコイルなどの検出部に近接した際に生じる電気信号によって、スプールの回転の有無を検出するこができる。検出手段としては、フォトセンサや磁気センサなど、従来公知の方法を用いることができ、検出手段に応じて適宜スプールには適切な被検出部を設けるようにすればよい。
また、ハンドル回転検出部62は、ハンドルまたはそれに連動して回転するギヤ等に回転センサを取付けることで実現可能である。フォトインタラプタや磁気センサを利用したインクリメンタル式の回転センサなど、公知の手段で実現可能である。ハンドルのスムーズな回転を実現するため、非接触式の回転センサが望ましい。ハンドル回転検出部62と、スプール回転検出部61との差分を取ることにより、ドラグ装置によって空転した回転量を算出することができる。
また、クラッチ検出手段63は、クラッチの作動する部材の一部に、リミットスイッチ、近接センサ又はその他のセンサ等を取付けることで、釣糸がスプールから放出可能か否かを検出するこができる。張力検出部64は、釣糸を案内するプーリーの回転軸に働く力をひずみセンサで検出するなど、従来公知の様々な技術により実現可能である。
また、設定ドラグ力検出部65は、スプールが空転する閾値となる設定張力を検出する。ドラグ装置内の摩擦部材に働くチャージ力を、圧力センサ等により検出することにより実現可能である。
また、モーションセンサ66は、釣竿やリールの動作を検出することができる。振動させた圧電素子の周波数変化を検知する方式など、従来公知の技術であるジャイロセンサを利用することにより実現可能である。なお、直交する3軸それぞれの方位、加速度、角速度を検出する9軸モーションセンサと呼ばれるセンサを利用することで、方位検出部、加速度検出部、角速度検出部とすることができる。また、設定制動力検出部67は、バックラッシュ抑制のための制動力の設定値を検出することができる。
制御部5は、上述した検出部6の検出結果に応じて、公知の切り替えタイミングによって適宜スイッチ素子43の接続と切断を切り替えることにより、スプール3に所定の制動トルクを発生させることができる。これにより、バックラッシュの発生を避けつつ、ルアー等の飛距離を増やすことができる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、制御部5は、リール状態の保存を行うようにしてもよい。その方法の一例として、所定のタイミング(例えば、所定時間毎に)で、検出部の検出結果を取得するようにすることができる。そして必要に応じて、当該検出結果を演算し、一時記憶領域やストレージ部ないし手段に保存する。これにより、魚釣用リールのリール状態の時間変化を保存することができる。すなわち、投擲(キャスト)中のスプール回転数の時間変化を詳細に把握したり、ルアー回収の際の釣糸の糸長変化や巻取りスピードを記録することができる。また、保存した情報は、通信部(通信手段)によってパーソナルコンピューターやスマートフォン等の情報通信端末、当該通信部を備えた他の魚釣用リールや魚群探知機等の外部機器に送信してもよい。また、LCDやスピーカ等の出力部(出力手段)に出力することによりユーザに伝えるようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、魚釣用リール1のリール本体2に回転可能に軸支されたスプール3と、該スプール3に取り付けられた永久磁石41と該リール本体2に取り付けられたコイル42との相互作用により該スプール3に制動力を付与する制動部4と、該制動部4を制御する制御部5と、該制御部5に給電可能な電源部7と、該制動部4の制動に伴って発電可能な発電部8と、該制御部5に供給する電力を、該発電部8による発電電力又は該電源部7に蓄えられた電力の少なくともいずれかから選択可能な電源選択部9と、を備えるように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、スプール3に制動力を付与する制動部4を有する魚釣用リール1において、スプール3が停止している場合でも、ログ保存や外部機器との通信を含む制御部5による制御を継続することができる魚釣用リール1を提供することが可能となる。具体的には、例えば、釣りをしている間の糸長変化を保存し、スマートフォン等の外部機器でその情報を確認することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、発電部8は、該スプール3に取り付けられた永久磁石41と該リール本体2に取り付けられたコイル42との相互作用により発電するように構成される。このようにして、スプール3回転時の運動エネルギーによって、制御部を駆動するための電力を発電することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、電源部7は、充電可能な二次電池であり、当該発電部8による発電電力が、当該制御部5の駆動・作動電力を越えた場合、該発電部8による発電電力により該電源部7に充電可能であるように構成される。このようにして、スプールの回転数が所定値以上になった際に、外部から給電することなく電源部7への充電が可能となる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、環境発電部10をさらに備え、当該電源選択部9は、当該制御部5に供給する電力を、当該発電部8による発電電力、該環境発電部10による発電電力又は該電源部7に蓄えられた電力の少なくともいずれかから選択可能であるように構成される。このようにして、太陽光、温度差、振動等の魚釣用リールの周囲に存在する環境エネルギーを用いて制御部5を駆動することが可能となり、魚釣用リールの電池寿命の長寿命化が可能となる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、当該魚釣用リール1の状態を検知する検出部(センサ部)6をさらに有し、当該制御部5は、該検出部(センサ部)6により検知された検知情報を保存する保存部11又は該検出部(センサ部)6により検知された検知情報を外部に送信する送信部12の少なくとも1つを備え、該保存部11による検知情報の保存又は該送信部12による検知情報の送信の際、該制御部5は、当該電源部7に蓄えられた電力を専ら使用するように構成される。ここで、「専ら」とは、制御部5を駆動するための最低電力以上を同一電源から供給することをいうものとする。このようにして、スプールの回転数が所定値以下となり、発電部8からの電力が小さい場合でも、当該電源部8による電力によって制御部5を安定して駆動することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該制御部5は、当該スプール3への制動力を制御する際、当該発電部8により発電された電力を専ら使用するように構成される。ここで、「専ら」とは、制御部5を駆動するための最低電力以上を同一電源から供給することをいうものとする。このようにして、投擲中は発電部8からの電力で制御部を駆動できるため、電源部内の電力消費を避けることができ、電池の長寿命化の実現が可能となる。特に、発電部8によって発電した電力は、発電した直後に制御部にて消費されるため、蓄電によるエネルギー損失の影響を受けにくくなり、効率的に電力を使用することができる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、魚釣用リール1のリール本体2に回転可能に軸支されたスプール3と、該スプール3に取り付けられた永久磁石41と該リール本体2に取り付けられたコイル42との相互作用により該スプール3に制動力を付与する制動部4と、該制動部4を制御する制御部5と、該制御部5に給電可能な電源部7と、該制動部4の制動に伴って発電可能な発電部8と、該電源部7を充電する電力を、該発電部8による発電電力又は該魚釣用リール1の外部から供給される電力の少なくともいずれかから選択可能な電源選択部9と、を備えるように構成される。また、本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、環境発電部をさらに備え、前記電源選択部は、前記電源部を充電する電力を、前記発電部による発電電力、該環境発電部による発電電力又は前記魚釣用リールの外部から供給される電力の少なくともいずれかから選択可能であるように構成される。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、スプール3に制動力を付与する制動部4を有する魚釣用リール1において、スプール3が停止している場合でも、ログ保存や外部機器との通信を含む制御部5による制御を行う継続することが可能な魚釣用リール1を提供することが可能となる。具体的には、投擲後に魚の食い付きを待っている間等、スプール3を停止させているときでも、加速度センサで竿の操作を記録し、そのデータをスマートフォンに送信すること等が可能となる。
既述の通り、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1における制御部5への電源供給元は、電源選択部9によって選択される。電源供給元の選択肢には、少なくとも上述の発電部(スプール発電部)8、及び電源部7(例えば、電池)が含まれる。電源部7としての電池には、ボタン電池等の交換可能な乾電池や、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等の二次電池、リチウムイオンキャパシターや電気二重層キャパシタなどの蓄電デバイス等、一定時間以上制御部4を駆動する電力を蓄えられる部材が挙げられるが、これらに限られない。
電源選択部9は、制御部5や検出部6等の電気部品への電源供給元を電気的に選択する手段であり、例えば、電源セレクタICやFET、スイッチ等によって実現される。図2ないし7を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1における電源選択手段9について説明する。
次に、図2ないし7を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1についてさらに説明する。図2ないし図7は、各構成要素からの電力の移動方向を示した図である。スプール3の回転数が所定値以上になり、発電部(スプール発電部)8による電力が制御部5の消費電力を上回る場合は、図2に示す通り、コイル42で発生した電力を用いて制御部5を作動ないし駆動させるように電源選択部9を切り替える。
これにより、電源部7(例えば、電池)に蓄えられた電力を消費することなく制御部5を作動ないし駆動させることができる。切替え時に発生する瞬時電圧低下はコンデンサ等でカバーすることができる。また、電源部7(例えば、電池)に充電可能な二次電池を用いた場合で、かつ発電した電力が十分大きい時は、制御部5の作動ないし駆動に加え、発電部(スプール発電部)8による電力で充電回路13を機能させることにより、二次電池に充電をさせるようにすることができる。二次電池への充電の可否は、所定時間内に発電部(スプール発電部)8による発電電力が所定値を越えるか否かで判定するとよい。これにより、魚釣用リールの使用中でも、ユーザは特別な操作をすることなく電池を充電することができる。なお、一次電池を用いる際は、充電回路13は不要となる。
他方、スプール3が停止している場合や低速回転をしている場合等、スプール3が所定値以下の回転数の場合、制御部5の消費電力が発電部(スプール発電部)8による電力を上回ることとなる。この場合は、図4に示すように、電源部7(例えば、電池)内に蓄えられた電力を用いて制御部5を作動ないし駆動するように電源選択部9を切替えることができる。これにより、スプール3の回転量によらずに、常に制御部5を作動ないし駆動することができる。そのため、スプール3が停止している場合や魚釣用リールをゆっくり巻取っている場合でも、スプール3の回転数等のリール状態の保存を行ったり、リール状態の表示や外部との通信を行ったりすることができる。
ここで、発電部(スプール発電部)8による発電量が、制御部5や検出部6を作動ないし駆動可能とする閾値は、発電部(スプール発電部)8の発電効率により決定される。発電効率を上げるには、永久磁石41の体積を大きくする、磁束密度の高い材質を用いる、コイル42の巻き数を増やす、巻き線の径を大きくする、等の手段が考えられる。また、制御部5や検出部6の消費電力を小さくすることで、上記閾値を小さくすることができる。
また、釣糸を巻き取る際には、スイッチ素子43を接続し、制動部4を常時制動状態(制動状態とは、コイル42の作る回路がループを形成することで、コイル42に逆起電力が生じ、スプールに設けた磁石に制動力が働く状態を意味する)に切替えることで、発電部(スプール発電部)8による発電量を大きくすることができる。これにより、ユーザがハンドルを操作する際の操作トルクが増えてしまうものの、蓄電素子に蓄える電力を増やし、制御部5や検出部6を駆動する時間を長くすることができる。検出部6によって、スプール3の回転方向を検知し、放出方向に所定値以上の回転数になった場合、バックラッシュ防止のための制動シーケンスを実行し、必要に応じてスイッチ素子43を間歇駆動するとよい。スプール3の回転方向が巻取り方向だった場合、制動部4を常時制動状態にして、発電部(スプール発電部)8による発電量を確保することができる。
その他の実施形態として、電源選択部9に電源選択の機能に加え、複数の電力を合成する機能を有する電源・合成機能を備えるようにすることができ、その場合、下記のようなことを行うことができる(本明細書では、便宜上、電源選択部9という)。ここで、合成とは、複数の電力供給源から供給される電力を合計したものを制御部5に供給することをいうものとする。スプール3の回転数が十分高く、制御部5の消費電力よりも高い時は、上述の場合と同様、図2に示す通り、発電部(スプール発電部)8で発生した電力を用いて制御部を作動ないし駆動させるように電源選択部9を切替える。
スプール3の回転数が所定値以下となり、発電部(スプール発電部)8による発電量がほぼ無いような状態では、図3に示すように、電源部7(例えば、電池)内に蓄えられた電力を用いて制御部5を駆動するため、電源選択部9の切替えを行う。スプール3の回転数が所定値以上であり、発電部(スプール発電部)8による発電量が一定程度はあるものの、制御部5の消費電力よりも低い場合は、図4に示す通り、発電部(スプール発電部)8で発生した電力と、電源部7(例えば、電池)内に蓄えられた電力を合成して制御部に供給するため、電源選択部9の切替えを行う。
このような方法・態様により、電源選択部9の構成により、発電部(スプール発電部)8での発電量が制御部5の消費電力を下回る場合においても、電源部7(例えば、電池)による消費電力を抑えることができ、電池の長寿命化を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、電源供給源としての選択肢に環境発電部(環境発電手段)10を含むようにすることができる。具体的には、環境発電部10には、光エネルギーを電気的エネルギーに変換する光電池や、機械的な振動エネルギーを電気的エネルギーに変換する振動発電部・手段、2点の温度差に応じたエネルギーを電力に変換する温度差発電部・手段等が考えられるが、これら以外でもよい。またこれらの中の一つでも良いし、複数を組み合わせてもよい。
この構成では、電源選択部9を下記のように機能させることができる。まず、スプール3の回転数が所定値以上であり、発電部(スプール発電部)8による発電量が制御部5の消費電力よりも大きい時は、図5に示す通り、発電部(スプール発電部)8で発生した電力を用いて制御部5を作動ないし駆動させるように電源選択部9を切替える。このとき、電源部7として二次電池を用い、かつ発電した電力が消費電力よりも大きいときは、充電回路13により二次電池を充電するようにしてもよい。
スプール3の回転数が所定値以下であり、発電部(スプール発電部)8による発電量が制御部5の消費電力よりも小さいものの、環境発電部10による発電量が制御部5の消費電力よりも大きい場合、図6に示す通り、環境発電部10で発生した電力を用いて制御部5を作動ないし駆動させるように電源選択部9を切替える。このとき、電源部7として二次電池を用い、かつ発電した電力が消費電力よりも大きいときは、充電回路13により二次電池を充電するようにしてもよい。
発電部(スプール発電部)8による発電量及び環境発電部10による発電量が共に制御部5の消費電力よりも小さい場合、図7に示す通り、電源部7(例えば、電池)内に蓄えられた電力を制御部5に供給するように電源選択部9を切替える。これにより、電池内に蓄えられた電力を使う頻度を少なくすることで、電池の長寿命化を実現可能となる。
また、電源選択部9が電源選択の機能に加え、複数の電力を合成する機能を有する場合、上述の方法と同様、発電部(スプール発電部)8及び環境発電部10の発電電力、電源部7(例えば、電池)に蓄えられた電力を合成して制御部5を作動ないし駆動し、また、必要に応じて電池を充電するようにしてもよい。
さらに、電源選択部9は、電源供給源の選択肢として外部給電を加えることができる。ここで、外部給電としては、魚釣用リール1にUSB端子等のコネクタ端子を設け、有線ケーブルをコネクタ端子と接続することで、外部から有線により電力を供給する有線給電手段や、機器内に電力受信用のコイルを設けることで外部アンテナより無線給電を行う無線給電手段等が考えられるが、これらに限られない。このように、外部供給電力を用いて制御部5に給電をすることで、有線ケーブルや外部アンテナによる拘束を受けるものの、制御部5への安定的な電力供給が可能となり、魚釣用リール1の接続中の電池切れを心配する必要が無くなる。
次に、本発明の別の実施形態について、図8を用いて説明する。本発明の別の実施形態に係る魚釣用リール1では、電源部7として充電可能な二次電池を用い、制御部5への給電に二次電池を用いることができる。制御部5は、上記した実施形態同様、検出部6からの信号が入力されることで魚釣用リールのリール状態を把握し、それに応じて制動部4に制御命令を出したり、リール状態をログとして保存したり、外部機器に出力したりすることができる。
スプール3の回転数が所定値以上になると、発電部(スプール発電部)8で得られた電力は充電回路13を介して電源部7である二次電池に供給することができる。充電回路13に供給する電力の供給源は、電源選択部9により発電部(スプール発電部)8、外部電源14、環境発電部10の中から1つ以上を選択することができる。これらの選択肢の中から、最も発電電力の大きなものを選択してもよいし、外部電源が接続されているときは外部電源を優先して選択するようにしてもよいし、これらの中から2つ以上を選択(合成)するようにしてもよい。なお、環境発電部10は必須のものではなく、省略することもできる。
また、上記実施例と同様、電源選択部9として複数の電力を合成する機能を有するように構成でき、上記電源供給源となる複数の選択肢からの発電電力を合成した後、充電回路13に供給してもよい。これにより、充電回路13は複雑化するものの、発電した電力を有効に活用することができる。本発明の上述の実施形態に係る魚釣用リール1によって、魚釣用リール1に外部から電源が供給されていない状態でも、発電部(スプール発電部)8により発電した電力を電源部7(例えば、電池)に供給することができる。これにより、電池の長寿命化や低容量化、低コスト化が実現可能である。
最後に、本発明の上述の実施形態に係る魚釣用リール1による効果について説明する。本発明の上述の実施形態に係る魚釣用リール1において、スプール発電部8に加え、電源部により制御部を作動ないし駆動する場合、スプールの回転数が低く、発電によって十分な電力を発生することができないときでも、制御部に対して安定的に給電を行うことができる。そのため、スプールが停止している場合や低速で釣糸を巻き取っている場合等においても、制御部(及び検出部)に電力を供給することができるため、リール情報を常時記録したり、当該情報を外部機器に表示したり、通信したりすることができる。
また、本発明の上述の実施形態に係る魚釣用リール1において、電源部として充電可能な二次電池を用いた場合、スプール発電部や環境発電部により、電源部としての二次電池への充電を行うことができる。これにより、魚釣用リールを使用している間でも、状況によって二次電池へ充電を行うことができ、電池の長寿命化や、電池の低容量化による小型化・低コスト化を実現することが可能となる。
また、本発明の上述の実施形態に係る魚釣用リール1において、投擲時の制動力調整に制御部を用いるが、一般に投擲時は、スプールの回転数が高くなり、回転数の変化も大きくなる。その場合、制御部は高速で制動部の制動力調整を行う必要があり、一般的に消費電力も高くなるところ、スプール発電部による発電電力は、スプールの回転数に応じて高くなることから、消費電力が高くなるにつれ発電電力が高くなるため、結果として、電源部における消費電力の増加を避けることができる。このように、投擲中においては、主にスプール発電部による電力を用いて制御部を作動ないし駆動することができる。
また、制御部は、投擲時以外にはリール状態の検出や外部との通信に用いることができる。この場合、投擲時に比べてリール状態の変化は小さいため、制御部の消費電力は一般的に小さくなる。投擲時以外の場合においてはスプール発電部による発電電力は小さくなってしまうものの、制御部の消費電力が比較的小さいため、電池寿命に与える影響を低減することができる。このように、投擲時以外の場合において、検知部によるリール情報の取得や保存、通信を行う場合は、主に電源部(例えば、電池)に蓄えられた電力を用いて制御部を作動ないし駆動するようにすることができる。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
1 魚釣用リール
2 フレーム(リール本体)
3 スプール
4 制動部
5 制御部
6 検出部
7 電源部
8 発電部
9 電源選択部
10 環境発電部
11 保存部
12 送信部
13 充電回路
14 外部電源
61 スプール回転検出部(スプール回転検出手段)
62 ハンドル回転検出部(ハンドル回転検出手段)
63 クラッチ検出部(クラッチ検出手段)
64 張力検出部(張力検出手段)
65 設定ドラグ力検出部(設定ドラグ検出手段)
66 モーションセンサ
67 制動力検出部(制動力検出手段)

Claims (8)

  1. 魚釣用リールのリール本体に回転可能に軸支されたスプールと、
    該スプールに取り付けられた永久磁石と該リール本体に取り付けられたコイルとの相互作用により該スプールに制動力を付与する制動部と、
    該制動部を制御する制御部と、
    該制御部に給電可能な電源部と、
    該制動部の制動に伴って発電可能な発電部と、
    該制御部に供給する電力を、該発電部による発電電力又は該電源部に蓄えられた電力の少なくともいずれかから選択可能な電源選択部と、
    を備えることを特徴とする魚釣用リール。
  2. 前記発電部は、前記コイルと前記永久磁石の相互作用によって発電する、請求項1に記載の魚釣用リール。
  3. 前記電源部は、充電可能な二次電池であり、
    前記発電部による発電電力が、該制御部の駆動電力を越えた場合、該発電部による発電電力により該電源部に充電可能である、請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
  4. 環境発電部をさらに備え、
    前記電源選択部は、前記制御部に供給する電力を、前記発電部による発電電力、該環境発電部による発電電力又は前記電源部に蓄えられた電力の少なくともいずれかから選択可能である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の魚釣用リール。
  5. 前記魚釣用リールの状態を検知する検出部をさらに有し、
    前記制御部は、該検出部により検知された検知情報を保存する保存部又は該検出部により検知された検知情報を外部に送信する送信部の少なくとも1つを備え、
    該保存部による検知情報の保存又は該送信部による検知情報の送信の際、該制御部は、前記電源部に蓄えられた電力を専ら使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の魚釣用リール。
  6. 前記制御部は、前記スプールへの制動力を制御する際、前記発電部により発電された電力を専ら使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の魚釣用リール。
  7. 魚釣用リールのリール本体に回転可能に軸支されたスプールと、
    該スプールに取り付けられた永久磁石と該リール本体に取り付けられたコイルとの相互作用により該スプールに制動力を付与する制動部と、
    該制動部を制御する制御部と、
    該制御部に給電可能な電源部と、
    該制動部の制動に伴って発電可能な発電部と、
    該電源部を充電する電力を、該発電部による発電電力又は前記魚釣用リールの外部から供給される電力の少なくともいずれかから選択可能な電源選択部と、
    を備えることを特徴とする魚釣用リール。
  8. 環境発電部をさらに備え、
    前記電源選択部は、前記電源部を充電する電力を、前記発電部による発電電力、該環境発電部による発電電力又は前記魚釣用リールの外部から供給される電力の少なくともいずれかから選択可能である、請求項7に記載の魚釣用リール。
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