JP2023089749A - サーボ型振動検出器、及び、組立方法 - Google Patents

サーボ型振動検出器、及び、組立方法 Download PDF

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Teruo Maruyama
琢巳 岡田
Takumi Okada
敏喜 山口
Toshiki Yamaguchi
寛 滝本
Hiroshi Takimoto
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Abstract

【課題】従来サーボ型振動検出器の量産組立工程において、静電容量を決める可動側電極と固定側電極間の隙間の計測には、外表面から2つの電極間のスリットを観測する光学的手段以外には無く、隙間の計測精度に限界があった。【解決手段】センサ可動部材の両端が開放構造にできるサーボ型加速度センサ構造に注目する。前記可動部材の両端を固定部材に対して仮固定した状態で、電極間隙間内に隙間調整用シートを挿入し、前記固定側電極を前記可動側電極方向に移動させて、前記固定側電極を前記固定部材に固定する。その後、前記可動部材の仮固定を解消すると共に、前記隙間調整用シートを前記電極間隙間から離脱する。【選択図】図1a

Description

本発明は、基礎に対して支持され、外乱を受けて振動する制御対象物の加速度、あるいは、慣性空間に対する絶対速度、又は、絶対変位を、広い周波数帯域で信号検出するサーボ型振動センサ、及び、組立方法に関するものである。
1.世の中のトレンド
半導体製造プロセス、液晶製造プロセス、精密機械加工などの様々な分野で、微細な振動を遮断・抑制するための振動制御の利用が広がっている。これらのプロセスで用いられる走査型電子顕微鏡、半導体露光装置(ステッパ)などの微細加工・検査装置は、装置の性能を保障するための厳しい振動許容条件が要求される。今後、製品のさらなる高集積化・微細化と共に、加工プロセスの高速化と装置の大型化が進み、振動許容条件はますます厳しくなる傾向にある。
2.除振装置が除去すべき外乱
近年、振動制御対象の構造物(たとえば、精密除振台)の複数箇所に配置された振動センサからの変位・速度・加速度情報に基づいて制御信号を作り、制御装置を制御するアクティブ振動制御技術が普及している。
図31に、従来のアクティブ除振台のモデル図を示す。このアクティブ除振台は、特許文献1、特許文献2にも記載されているように公知のものである。床面500には、定盤501を支持するための複数組の空気圧アクチュエータ(502a、502b)が配置されている。この定盤501の上に精密装置(図示せず)が搭載される。503は、定盤501の垂直・水平方向の加速度を検出するための加速度センサ、504は、床面500の加速度(基礎の振動状態)を検出する加速度センサである。505a、505bは、床面500に対する定盤501の垂直・水平方向相対変位をそれぞれ検出するための変位センサである。これら各センサからの出力信号がそれぞれコントローラ506に入力される。空気圧アクチュエータ502aには、配管507を介して、コントローラ506により制御されるサーボ弁508が接続されている。このサーボ弁508により、空気圧アクチュエータ502aへ供給・排気される圧縮空気の流量を調整することで、アクチュエータ502aの内圧が制御されて、空気圧アクチュエータを駆動する。
除振装置において除去すべき外乱は、設置床の振動に起因する地動外乱と、除振台上から入力される直動外乱に大別される。
地動外乱となる振動の発生源として、歩行振動と呼ばれる人の移動によるものは1~3Hz、エアコンなどのモータによるものは6~35Hz、床や壁の共振点は10~100Hz程度である。超高層・免振ビルでは0.2~0.3Hz近傍に固有振動数を有する。また風揺れによって、建築物は0.1~1.0Hzの微振動が発生する。したがって、除振台には、高周波の振動抑制だけではなく、低い周波数の振動を取り除くことも要求される。
直動外乱による高周波振動の発生源として、除振台にたとえば位置決めステージ509が搭載されている場合、ステージの加減速運転によって、除振台を含めた構造物は打撃を受け、かつ駆動反力によって揺動する。この打撃による振動および駆動反力に起因した揺れを抑制しなければステージの性能を維持できない。要約すれば、除振装置は地動外乱による「除振」に加えて、直動外乱による「制振」の両方を併せ持つ機能が要求される。
3.振動センサのアクティブ除振装置における役割
アクティブ振動制御では、状態フィードバックによる制御方法が採られている。これは、振動制御対象の構造物の複数個所に配置された振動センサからの加速度・速度・変位情報に基づいて、制御装置を制御する方法である。広い周波数領域で除振性能を得るために、たとえば、加速度信号は主に10Hz以上の状態量を制御し、速度信号は1~10Hz、変位信号は1Hz以下の状態量を制御するのに用いられる。たとえば、
a.定盤501上に配置された加速度センサ(図31の加速度センサ503を利用)からの信号を用いて、加速度フィードバックを施せば、質量Mの増加と等価となり、固有振動数を低下させ、共振ピークを低減させるなどの効果が得られる。
b.上記加速度センサ(図31の503)からの信号を絶対速度あるいは絶対変位信号に変換し、フィードバックあるいはフィードフォワードを施せば、広い周波数領域で大幅な除振性能の改善ができる。
c.定盤501直下に配置された加速度センサ(図31の504)からの信号を用いて、その信号を絶対速度あるいは絶対変位信号に変換し、同様にフィードフォワードを施せば、広い周波数領域で除振性能の改善ができる。
上記b.c.の制御を行うためには、慣性空間に対する速度、位置情報が必要である。加速度センサは慣性空間に対する加速度を計測することができるため、加速度センサを制御対象に取り付けることで、制御対象に加わる加速度が検出できる。したがって、従来のアクティブ除振装置では、加速度センサの出力を1回積分することで速度信号を求め、さらに2回積分することで変位信号を求める方法が採用されている。
4.加速度センサの基本構成と検出原理
図32は、静電容量型加速度センサの基本構成と検出原理を示すモデル図である。301はセンサの各部材を収納する本体部、302は質量体、303は振動測定面Aに対して質量体302を機械的に支持するバネ、304は減衰器である。質量体302は静電容量型センサの可動側電極も兼ねている。305は可動側電極(質量体302)の対向面側に配置された固定側電極、306は前記2つの電極間の空隙部である。
307は振動測定面Aに対して、質量体302を垂直方向に駆動する電磁アクチュエータである。空隙部306の間隙の大きさで静電容量Cが決まるため、この静電容量Cを計測することにより、地動絶対変位Uと質量体の絶対変位Xの差である相対変位U-Xを検出できる。サーボ回路310(2点鎖線で示す)は、記相対変位信号U-Xを検出する変位検出器311を経て、利得KPで増幅する比例増幅器312から構成される。
以下、加速度センサの検出原理について、数式を用いて説明する。質量体302の質量をm、前記質量体を支持する機械ばね303のばね定数をk、減衰器304の減衰係数をc、アクチュエータ307の駆動力をF = Af i0とすれば、次の運動方程式が成り立つ。
Figure 2023089749000002
相対変位u-xが零になるように、比例ゲイン定数KPの増幅器により、アクチュエータの電流i0が制御される。
Figure 2023089749000003
Figure 2023089749000004
比例ゲイン定数KPが十分に大きく、式(3)の右辺における第3項と比べて、第1項、第2項が無視できるとすれば、
Figure 2023089749000005
式(2)、式(4)からアクチュエータに流す電流i0を検出すれば、質量体302の加速度を近似的に求めることができる。
5.従来のサーボ型加速度センサの具体構造
図33は、従来の静電容量式加速度センサの具体構造例 [特許文献(3)] を示す正面断面図であり、図32で示した基本構成と検出原理により構成されている。11は永久磁石、12はポールピース部、13はポールピース凸部、14は永久磁石側ヨーク材、15はコイル側ヨーク材、16aはフォースコイル、16bは検定コイル、17はコイルボビン、18,19は非磁性でかつ非導電性材料によるコイルボビン支持部材、20はフロント側ディスク状ばね、21はリアー側ディスク状ばね、22はフロント側ディスク状ばね20とコイル側ヨーク材15のフロント側連結部材、23はリアー側ディスク状ばね21とコイル側ヨーク材15のリアー側連結部材である。
24は可動側電極、25は固定側電極、26はフロント側パネル、27は中央プレート、28は固定側電極25とフロント側パネル26の締結部材である。
ポールピース部12の外周部とコイル側ヨーク材15の内周部間は半径方向の磁気空隙部29が形成されている。29aは永久磁石側空隙部、29bはヨーク材側空隙部である。「永久磁石11→ポールピース部12→磁気空隙部29→コイル側ヨーク材15→永久磁石側ヨーク材14」により、閉ループ磁気回路B Cを形成している。磁気空隙部29の空間に配置されたフォースコイル16aに電流が流れると、可動側電極24を軸方向に移動させるローレンツ力が発生する。30は可動側電極24と固定側電極25で形成される空隙部である。空隙部30の間隙の大きさで静電容量Cが決まるため、静電容量Cを計測することにより、地動絶対変位Uと質量体の絶対変位Xの差である相対変位U-Xを検出できる。サーボ回路は、変位検出器31、増幅器32、ドライバー33から構成される。増幅器32、ドライバー33は、前記相対変位信号U-Xを利得KPで増幅する変位増幅器である。相対変位u-xが零になるように、比例ゲイン定数KPの増幅器により、アクチュエータの電流i0が制御される。フォースコイル16aに流す電流i0を検出すれば、前述したように、可動部に作用する加速度を求めることができる。
特開2006-283966号公報 特開2007-155038号公報 特開2004-205284号公報 特開2010-96509号公報
前述したように、サーボ型加速度センサが検出する静電容量Cは、可動側電極24と固定側電極25で形成される空隙部30の隙間の大きさで決まる。よく知られているように、平行して設置された2枚の導体板の面積をA、隙間をd、誘電率をε0としたとき、静電容量Cは
Figure 2023089749000006
すなわち、電極面積Aが大きい程、電極間隙間dが狭い程、静電容量Cは大きく、センサ出力(感度)は向上する。但し、電極面積Aと電極間隙間dは、隙間に介在する空気粘性による減衰作用がセンサ動特性に多大な影響を与える。
Figure 2023089749000007
上式において、Dはダンピング定数(減衰係数)、μは空気の粘性係数である。したがって静電容量Cを増大させるために、電極面積Aを大きく、隙間dを狭くした場合、ダンピング定数Dは電極面積Aの2乗に比例して、かつ、間隙dの3乗に逆比例して増大する。したがって、式(5)と式(6)から、電極面積Aと電極間隙間dはセンサ感度とセンサ動特性の両面を考慮して、適切な値(d=d0)に設定する必要がある。
図34は、従来加速度センサの量産工程における課題を示すものである。従来加速度センサの量産工程において、電極間隙間dを目標値d0に近づけるための補正(Δd→0)と、隙間の傾斜角補正(Δθ→0)をするための隙間調整が固定電極側25に必要である。電極間隙間の傾斜角補正(Δθ→0)が要求される理由は、隙間が円周方向で不均一の場合、可動側電極24のストローク、すなわち、許容できる加速度の上限値が制約されるからである。
従来加速度センサの具体構造で示したように、可動側電極24を含む可動部は多くの部品を繋ぐ接着工法で製作される。図33において、可動部を構成する部品は、可動側電極24、フォースコイル16a、検定コイル16b、コイルボビン17、コイルボビン支持部材18,19等である。接着工法が採用される理由は、広い周波数帯域と高い応答性のセンサ性能を得るためには、可動部の慣性質量は極力軽量化が要求されるからである。そのため、各部品単品の加工精度、接着剤の厚みなどの誤差要因が累積されて、可動電極面の軸芯に対する直角度精度は限界があった。
従来加速度センサの量産組立工程において、電極間隙間の絶対値、及び、隙間の傾斜角は、高倍率カメラなどの光学的手段で、2つの電極の外表面から電極間のスリット(隙間)を観測する以外は無かった。しかし、スリットの幅:d=20~30μmが隙間調整手段である光学的方法の実用上の計測限界であった。上述した電極間隙間調整の難しさが、サーボ型加速度センサの感度向上を阻む重要な課題であり、また量産時における歩留まりと信頼性を低下させる主要因となっていた。
しかして、本願第1の発明に係るサーボ型振動検出器は、固定部材と、前記固定部材に対して所定方向に移動可能に設けられた可動部材と、前記固定部材に対して前記可動部材が空隙部を介して配置されるように支持する弾性部材と、前記可動部材の所定方向の変位を検出する変位検出部と、前記変位検出部で前記可動部材の原点位置からの相対変位が検出された場合に、前記可動部材を原点位置に戻す力を発生する駆動手段と、を備え、前記変位検出部が、前記可動部材の一方の軸方向端面に設けられた可動側電極と、この可動側電極と対向して設けられた固定側電極と、この固定側電極を支持、もしくは、前記固定側電極と一体化した固定側電極支持部材と、を具備し、前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部で形成される静電容量を検出するように構成されており、前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部の隙間調整手段が適用可能な開口部が前記固定部材、もしくは、前記固定側電極支持部材に形成されており、前記可動部材の軸方向両端部は解放軸、もしくは、前記可動側電極と反対側の端部は解放軸であることを特徴とするものである。
すなわち、本発明は可動部の軸両端、もしくは、前記可動側電極と反対側の前記可動部材端部を解放構造にできるアクチュエータ構造を適用している。このアクチュエータ構造と前記開口部を利用した隙間調整手段を組み合わせることで、光学的手段に限定されないで、高精度の電極間隙間調整が可能となる。
本願第2の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記軸方向両端部の解放軸、もしくは、前記可動側電極と反対側の前記可動部材端部の解放軸を用いて、前記可動部材を外部から把持、もしくは、軸方向移動規制ができる構造としたものである。
すなわち、本発明は同一の軸芯上で、可動部材の左右両端を外部から押圧する支持方法により、可動部材に外力のモーメントを与えることなく、可動部材を固定できる。あるいは、前記可動側電極と反対側の前記可動部材端部を、全軸(X軸、Y軸、Z軸)方向で把持すれば、同様の効果が得られる。
その効果により、可動側電極が微小量傾斜している場合でも、その傾斜状態を維持したままで、シム、スペーサなどを用いた電極間の隙間調整手段が適用できる。
本願第3の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記隙間調整手段は、シム又はスペーサを含む隙間調整部材であり、この隙間調整部材が前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部に挿入できるように、前記開口部が形成されていることを特徴とするものである。
すなわち、本発明は前記開口部から挿入されたシム、スペーサといった隙間調整部材によって、電極間隙間が円周方向で均一に調整できるように、少なくとも円周方向で3分割された開口部を形成する。あるいは、電極径に近い広い幅を有するシムを用いて、かつ、支持ロッドの外径以上の空隙部を中心部に有するシムが挿入できる形状に前記開口部を形成する。
本願第4の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記固定側電極の中心部には、細径部材が外部から挿入できる貫通穴を形成したものである。
すなわち、本発明のセンサ構造において前記固定側電極の中心部には、前記可動部材を押圧する支持ロッドが挿入できるように貫通穴が形成されている。そのため、左右両端から前記可動部材を固定できる。前記貫通穴は細径でよいため、総面積で決まる静電容量には大きな影響を与えない。
本願第5の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記固定部材に対して前記固定側電極支持部材を固定する締結部が前記固定部材、又は、前記固定側電極支持部材の外周面に設けたものである。
すなわち、本発明のセンサ構造により、所定の電極間隙間を維持した状態で、前記締結部を利用して、前記固定電極支持部材を半径方向からねじ締結できる。かつ、前記締結部はセンサ本体の外周面に設けられているため、充分に大きな作業空間を有し、締結は容易である。また、センサ本体の両端面に配置された左右の支持ロッド、あるいは、前記固定電極支持部材を前記可動電極側に押し当てるための治具などが配置されていても、ねじ締結作業の支障にならない。
具体的な態様としては、所定の電極間隙間を維持する手段として、電極間隙間に隙間調整シートを挿入して、かつ、固定側電極を可動側電極に押圧した状態を保つために、固定リングとコイル側ヨーク材を締結する軸方向締結ボルトを用いることが挙げられる。
この方法の代わりに、所定の電極間隙間が保たれている状態を前記開口部を利用した光学的手段で計測し、かつ固定電極側の軸方向位置、角度を拘束した状態で、前記固定電極側をねじ締結してもよい。いずれの方法でも、本発明のセンサ構造により、接着剤を用いない電極間隙間調整が実現できる。
本願第6の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記固定部材にサーボ型振動検出器の本体を外部に固定する締結部を具備すると共に、前記締結部は前記可動部材の軸芯の位置が定まるように、サーボ型振動検出器の本体を外部部材に対して篏合した状態で締結できるように形成したものである。
すなわち、本発明のサーボ型振動検出器本体を、前記締結部を利用してセンサ本体部固定部材に固定する。このセンサ本体部固定部材をベース台に設置することにより、ベース台の左右に配置された支持ロッドにより、前記可動部材を両端から固定支持できる。かつ、サーボ型振動検出器の本体をセンサ本体部固定部材に対して篏合した状態で固定する。前記可動部材の軸芯と、ベース台に配置された支持ロッドの軸芯を合わせることができるため、左右の支持ロッド軸芯の偏芯によるモーメント荷重を低減できる。
本願第7の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記可動部材、あるいは、前記固定部材に配置された永久磁石と、前記永久磁石とは反対側の前記部材に配置されたコイルと前記可動部材の軸両端近傍でこの可動部材を支持する弾性部材と、前記可動部材、前記可動部材と前記固定部材との間の空隙部、前記固定部材、前記永久磁石で形成された閉ループ磁気回路と、をさらに備え、前記駆動手段が、前記閉ループ磁気回路によって前記可動部材を軸方向に移動させる電磁気力を発生させるように構成されているとともに、前記可動部材の軸両端近傍で、前記可動部材と前記固定部材の間の空隙部に磁束が流れるように構成されていることを特徴とするものである。
すなわち、本発明のサーボ型振動検出器は、電磁気力による前記駆動手段を備えており、前記可動部材の軸両端近傍で、前記可動部材と前記固定部材の間で磁束が流れる空隙部を有するように磁気回路を構成している。また可動部材を支持するディスクばねも左右に設けられる。その必然の結果として、可動部材の軸両端は解放構造になるため、隙間調整部材による電極間隙間調整が可能となる。
本願第8の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記コイルが、前記固定部材側に固定されており、前記可動部材が、前記永久磁石、及び、この永久磁石と磁路を繋ぐ可動側ヨーク材で構成されているものである。
すなわち、本発明は前記可動部材側に永久磁石を配置して、前記固定部材にコイルを配置するMM式(ムービング・マグネット式)加速度センサの基本構成を示すものである。前記永久磁石、前記可動部材、前記固定部材の間で形成される閉ループ磁気回路は、前記可動部材側の両端部と前記固定部材の間で、少なくとも左右2箇所に磁気空隙部を有する。その結果、前記可動部材の軸両端は解放構造になり、本発明の電極間隙間調整方法が適用できる。
本願第9の発明に係るサーボ型振動検出器は、前記変位検出部は、前記可動部材の軸方向両端部にそれぞれ1組ずつ前記可動側電極と前記固定側電極を具備し、各組の前記可動側電極と前記固定側電極の間で形成される2つの静電容量差を検出する差動式センサとして構成されており、かつ、前記隙間調整部材が挿入できる前記開口部が前記軸方向両端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
本願第10の発明に係るサーボ型振動検出器は前記永久磁石が、固定部材側に固定されており、前記コイルが、前記可動部材と前記固定部材との間の空隙部内に配置されて可動部材側に固定されており、この永久磁石と磁路を繋ぐ内周側ヨーク材と、前記永久磁石、又は、前記内周側ヨーク材と半径方向の空隙部を介して配置された外周側ヨーク材と、前記コイルを支持する弾性部材と、をさらに備え、前記閉ループ磁気回路が、前記永久磁石、前記内周側ヨーク材、前記可動部材と前記固定部材との間の空隙部、外周側ヨーク材で形成されており、前記永久磁石、及び、又は、前記内周側ヨーク材には貫通穴が形成されており、前記可動側電極には前記貫通穴まで伸びた延長軸が形成されていることを特徴とする。
[組立方法]
本願第11の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、固定部材と、前記固定部材に対して所定方向に移動可能に設けられた可動部材と、前記固定部材に対して前記可動部材が空隙部を介して配置されるように支持する弾性部材と、前記可動部材の所定方向の変位を検出する変位検出部と、前記変位検出部で前記可動部材の原点位置からの相対変位が検出された場合に、前記可動部材を原点位置に戻す力を発生する駆動手段を備え、前記変位検出部が、前記可動部材の一方の軸方向端面に設けられた可動側電極と、この可動側電極と対向して設けられた固定側電極と、この固定側電極を支持、もしくは、前記固定側電極と一体化した固定側電極支持部材と、を具備し、前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部で形成される静電容量を検出するように構成されたサーボ型振動検出器の組立方法であって、前記可動部材を前記固定部材に対して仮固定した状態で、前記可動側電極側と前記固定電極側で形成される間隙内に隙間調整部材を挿入し、前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部が所定の隙間になるように前記固定側電極を前記可動側電極方向に相対移動させた後、前記固定側電極を前記固定部材に固定し、前記可動部材の前記固定部材に対する仮固定を解消すると共に、前記隙間調整部材を前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部から離脱することを特徴とするものである。
すなわち、本発明は前記可動電極面が軸芯に対して傾斜して設置されていても、前記可動電極が前記固定部材に対して仮固定されているため、前記隙間調整部材を電極間に挿入した状態で、前記固定側電極を固定することで、円周方向、軸方向の電極間隙間は前記隙間調整部材の厚みになる。その結果、光学的手段の計測限界を超える高い精度で電極間隙間を設定できる。
本願第12の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記可動部材の一方の前記軸方向端面と、もう一方の軸方向端面を互いに押圧する押圧手段により前記可動部材を前記固定部材に対して把持したものである。
すなわち、本発明は同一の軸芯上で、可動部材の左右両端を押圧する支持方法により、前記可動部材に外力のモーメントを与えることなく、前記可動部材を固定できる。したがって、可動側電極が微小量傾斜している場合でも、その傾斜状態を維持したままで、機械的に可動部材を固定することができる。
本願第13の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、微動送り機構によって、前記可動部材の両端面を前記微動送り機構の出力軸先端で押圧するものである。
すなわち、本発明は前記押圧手段に例えばマイクロメータ等の微動送り機構を用いることにより、前記可動部材の軸方向位置が初期状態を保つように、前記可動部材を固定したものである。
本願第14の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記微動送り機構の出力軸で押圧される前記可動部材の変位検出に、前記空隙部の静電容量を計測したものである。
すなわち、本発明はサーボ型振動検出器自身が保有する静電容量型変位センサ機能を利用して、前記微動送り機構の出力軸先端の移動量を1μm以下の高精度で計測したものである。
本願第15の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、 前記空隙部の隙間が仮設定の段階で静電容量C=C0を計測し、第1の微動送り機構Rの出力軸を前記可動部材の一方の端面Rに近接させて、静電容量がC>C0となるタイミングで前記第1の微動送り機構Rの移動を停止し、第2の微動送り機構Lの出力軸を前記可動部材の反対側の端面Lに移動可能になる位置まで近接させて前記可動部材を押圧した後、前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部に前記隙間調整用部材を挿入するものである。
すなわち、本発明は前記電極間隙間が仮設定の段階で、静電容量C=C0を予め計測しておき、微動送り機構Rの出力軸先端が前記可動部材に接触開始する位置を静電容量Cの変化を利用して設定するものである。その後、微動送り機構Lの出力軸を移動させて、可動部材を両面から押圧することで前記隙間調整用部材が挿入できる。
本願第16の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、空隙部の隙間が仮設定の段階で静電容量C=C0を計測し、第1の微動送り機構Rの出力軸を前記可動部材の一方の端面Rに近接させて、静電容量がC>C0となるタイミングで前記第1の微動送り機構Rの移動を停止し、再度、前記第1の微動送り機構Rの前記出力軸を前記端面Rから離れる方向に移動して、静電容量がC=C0となるタイミングで前記第1の微動送り機構Rの微小移動を停止し、第2の微動送り機構Lの出力軸を前記可動部材の一方の端面Lに近接させて、静電容量がC<C0となるタイミングで前記第2の微動送り機構Lの移動を停止し、再度、前記第2の微動送り機構Lの前記出力軸を前記端面Lから離れる方向に移動して、静電容量がC=C0となるタイミングで前記第2の微動送り機構Rの微小移動を停止し、前記第1の微動送り機構Rと前記第2の微動送り機構Lを同時に両端面方向に微小移動させて、前記可動部材を両端面から押圧した後、前記空隙部に前記隙間調整用部材を挿入するものである。
すなわち、本発明は前記電極間隙間が仮設定の段階で、静電容量C=C0を予め計測しておき、微動送り機構Rの出力軸先端が前記可動部材に接触開始する位置を静電容量の変化C>C0を利用して検出後、再度、前記微動送り機構Rの前記出力軸を前記端面Rから微小変位離れて停止させる。前記微動送り機構Lも同様にその出力軸を前記端面Lから微小変位離れて停止させる。この段階で、前記可動部材は「疑似剛体化」ともいうべき無拘束状態になる。次に、前記微動送り機構RとLを同時に両端面方向に微小移動すれば、前記可動部材は両端面から拘束されるため、前記隙間調整用部材が挿入できる。
本願第17の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記固定側電極を前記固定部材に固定する手段は、解体、及び、再組立が可能なネジ締結を用いたものである。
すなわち、本発明は電極間隙間調整工程の最終段階で、接着剤を用いないで、前記固定側電極を前記固定部材に固定する手段に、解体、及び、再組立が可能なネジ締結を用いたものである。本発明の適用により、生産品の基本性能評価段階、あるいは、信頼性評価段階において、製品の品質に不具合が見出された場合、「センサ本体の解体→要因究明→対策→再組立→再評価」の基本サイクルを廻すことが可能となる。不具合が見出された生産品は再利用が可能となるため、歩留まりを大幅に向上できる。
本願第18の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記固定側電極を前記固定部材にネジ締結固定して、サーボ型振動検出器本体の品質等を評価後、前記固定側電極を前記固定部材に接着固定したものである。
すなわち、本発明は前記固定側電極を前記固定部材にネジ締結固定して、生産品の基本性能評価、あるいは、信頼性評価などを完了し、量産仕様が確実に満足できることを確認後に、前記固定側電極を前記固定部材に接着固定したものである。接着剤は、前記ネジ締結箇所で前記ネジの緩み止め防止に用いてよい。あるいは、両部材を接着締結する箇所を別途設けてもよい。
本願第19の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記微動送り機構の移動量を測定する変位センサを外部に設置したことを特徴とする。
本願第20の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記変位センサは前記微動送り機構の出力軸先端に設置されたエアーマイクロメータであることを特徴とする。
本願第21の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記エアーマイクロメータはその先端部と前記可動部材間の変位計測と、前記可動部材への押圧手段を兼ねて用いることを特徴とする。
本願第22の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記可動部材の軸芯と、前記微動送り機構出力軸の軸芯が同一線上になるようにサーボ型振動検出器本体を床面に固定したことを特徴とする。
本願第23の発明に係るサーボ型振動検出器の組立方法は、前記固定側電極を前記固定部材に固定するネジ締結において、ネジ先端が塑性変形により対向面に食い込ませた状態で保持されることを特徴とする。
本発明のサーボ型振動検出器であれば、可動部の軸両端、もしくは、前記可動側電極と反対側の前記可動部材端部を解放構造にできるアクチュエータ構造を適用しているので、このアクチュエータ構造と前記開口部を利用した隙間調整手段を組み合わせることで、光学的手段に限定されないで、高精度の電極間隙間調整が可能となる。
本発明の実施形態1に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すもので、図1aは図1bの側面図。 本発明の実施形態1に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すもので、図1bは図1aのAA断面図。 本発明の実施形態1に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すもので、図1cは図1bのBB断面図。 本発明の実施形態1に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すもので、図1dはリアー側ディスクの側面図。 従来MC式で、電極間隙間の調整に光学的手段に限定されることを示す図。 本発明のMM式で、電極間隙間の調整に可動部の両端を挟持できることを示す図。 本発明の実施形態1に係る、MM式サーボ型加速度センサの電極間隙間調整治具の概要を示すもので、図4aは加速度センサ本体部と隙間調整治具の配置を示す全体図。 本発明の実施形態1に係る、MM式サーボ型加速度センサの電極間隙間調整治具の概要を示すもので、図4bは加速度センサ可動部が左右の支持ロッドにより挟持されて、電極間にシムが挿入されていることを示す図。 隙間調整工程のStep1で静電容量の仮設定を示す図。 隙間調整工程のStep2でセンサ可動部の右端固定を示す図。 隙間調整工程のStep3でセンサ可動部の左端固定を示す図。 隙間調整工程のStep4でシムにより電極間隙間設定を示す図。 隙間調整工程のStep5で固定リング接着固定を示す図。 隙間調整工程のStep6で電極間の隙間調整工程完了を示す図。 本発明の実施形態2に係るMM式サーボ型加速度センサの正面断面図。 隙間調整工程のStep1でシムによる電極間隙間設定を示す図。 隙間調整工程のStep2で半径方向締結ボルトで固定リングの固定を示す図。 隙間調整工程のStep3でシムなどのセンサ本体から離脱を示す図。 本生産品を解体した状態を示す図。 本発明の実施形態2を一部改良したもので、図16aは可動側電極近傍の正面断面図。 本発明の実施形態2を一部改良したもので、図16bは解体図。 本発明の実施形態3に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すもので、図17aは図17の側面図。 本発明の実施形態3に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すもので、図17bは図17aのAA断面図。 本発明の実施形態3に係る、MM式サーボ型加速度センサの電極間隙間調整治具の概要を示す図で、図18aは加速度センサ本体部と隙間調整治具の配置を示す全体図。 本発明の実施形態3に係る、MM式サーボ型加速度センサの電極間隙間調整治具の概要を示す図で、図18bは加速度センサの可動部が左右の支持ユニットにより挟持されて、電極間にシムが挿入されていることを示す図。 隙間調整工程のStep1でセンサ可動部の左右両端固定を示す図。 隙間調整工程のStep2でシムにより電極間隙間設定を示す図。 隙間調整工程のStep3で仮締結ねじにより固定側電極固定を示す図。 隙間調整工程のStep4で固定リングの接着固定を示す図。 隙間調整工程のStep5で電極間の隙間調整工程完了を示す図。 第1実施形態を補足する図で、図24(a)は図24(b)のAA矢視図、図24(b)は断面図。 電極間隙間調整工程において、可動部材の軸芯と、支持ロッドの軸芯を合致させるための治具構成を示す図。 第1実施形態を補足する図で、図26aは図26bの側面図。 第1実施形態を補足する図で、図26bは断面図。 電極間隙間調整の力学的根拠を示すモデル図。 本発明の実施形態4に係るMC式サーボ型加速度センサの正面断面図。 本実施形態センサの隙間調整方法を示すもので、図29(a)は隙間調整時の正面断面図、図29(b)は図29(a)の鎖線円の拡大図。 本発明の実施形態5に係る差動式サーボ型加速度センサの正面断面図。 従来のアクティブ除振台のモデル図。 静電容量型加速度センサの基本構成と検出原理を示すモデル図。 従来の直動運動式加速度センサの具体構造例を示す正面断面図。 従来加速度センサの量産工程における課題を示す図。 従来サーボ型加速度センサの解体と再組立が困難な理由を示す図。
[本発明に至るまでの経緯]
前述したサーボ型加速度センサ(図33)には、電極間の隙間調整以外にも量産時の歩留まり・信頼性に係る生産技術面の課題があった。その課題は、可動部であるコイル(16a、16b)が動くがゆえに、コイルと固定側の間でセンサ信号を授受せねばならないというムービング・コイル式(以下MC式と呼ぶ)の基本動作原理に起因するものである。可動部と固定側を繋ぐ複数信号を流す導通路は、両者を連結する弾性部材(ディスク状ばね20、21)を利用して形成せざるを得ない。その結果、(1)複数の導通路を形成するための前記ディスク状ばねの分割、(2)信号線の絶縁、(3)極細線の半田付け工程を伴う複雑な生産工法、等を必要とするため、量産時における歩留まり・信頼性を低下させる大きな要因となっていた。
さて、本発明者らは、コイルを固定して永久磁石を可動させることで、極細線処理が不要なムービング・マグネット式(以下MM式と呼ぶ)サーボ型加速度センサを提案して、出願中である。しかして、MM式のサーボ型加速度センサは過去に前例を見ない。その理由として、「MM式は可動部の慣性質量が増大するために、高周波域の伝達特性・応答性が不利になる」という暗黙の前提とも言うべき固定観念(盲点)があった、と思われる。既提案の発明は、以下示す工夫によりこの「盲点」を突いたものであった。すなわち、
(1)可動部(可動部材)を軽量化する磁気回路構成
(2)漏れ磁束の影響を低減する磁極形状
(3)コイル容積の増大が図れる電磁石構造の工夫により、発生力UPと発熱抑制
を両立できるコイル仕様(巻数、線径)を見出す。
などにより、MM式の弱点を解消すると共に、MM式の特徴を活かすことでMC式を大きく凌駕するセンサ性能を実現することができた。
本発明は、MM式サーボ型加速度センサの上述した特徴に加えて、可動部材の両端が開放構造にできる点に注目したものである。すなわち、「可動軸両端部が開放構造」を利用して可動部材を固定支持できれば、光学的計測手段に限定されないで、より高精度の電極間隙間調整ができないか・・・というのが本発明の発想の原点であった。
[第1実施形態] (以下、MM式)
図1は、本発明の実施形態1に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すものである。本実施形態における電極間隙間調整工法は、センサ可動部の軸方向位置の検出に、加速度センサ自身が保有する静電容量の変化を利用したものである。
図1aは図1bの側面図、図1bは図1aのAA断面図、図1cは図1bのBB断面図、図1dはスパイラル・ディスクばね単体の外観図である。前述したように、MM式サーボ型加速度センサは本発明者らによって出願中のもので、高精度の電極間隙間調整を図るために、さらに改良を施したものである。
[1] 本実施形態のセンサ構造
[1-1] アクチュエータ部
図1bにおいて、100はセンサ本体部である。101はフロント側永久磁石、102はリアー側永久磁石、103はポールピース部(可動側ヨーク材)である。図1cに示すように、前記フロント側永久磁石、前記リアー側永久磁石共に半径方向に着磁した複数のセグメント型永久磁石より構成されて、ポールピース部103に装着されている。フロント側永久磁石101とリアー側永久磁石102の半径方向の着磁方向は逆である。104と105はポールピース部103を軽量化するために、前記ポールピース部の左右に形成された円筒形状の空隙部である。106はフロント側スパイラル・ディスクばね(以下、フロント側ディスク)、107はリアー側スパイラル・ディスクばね(以下、リアー側ディスク)である。前記フロント側ディスク、及び、前記リアー側ディスクは、図1dに示すように、スパイラル形状の峰部107aと溝部107bから形成されている。フロント側ディスク106は、可動側電極の電気信号を外部に設置された制御回路に伝搬する信号伝達経路の役割を兼ねている。本実施形態、及び、後述する実施形態も同様であるが、ばねの形状はこのスパイラル曲線に限定されるものではない。加速度センサに要求される特性から、低剛性かつ低共振周波数が得られるばね構造と仕様を選択すればよく、例えば、よく知られている雲形ばねなども適用できる。108は前記フロント側ディスクによって支持された可動側電極、109はコイル側ヨーク材(ハウジング)、110はコイルボビン、111はフロント側フォースコイル、及び、検定コイル、112はリアー側フォースコイル、及び、検定コイルである。コイル111とコイル112の巻き線方向は逆である。113はコイルボビン110の内周面と2つの永久磁石の間に形成される磁気空隙部であり、113aはフロント側磁気空隙部、113bはリアー側磁気空隙部である。「永久磁石102→コイル側ヨーク材109→永久磁石101→ポールピース部103→永久磁石102」により、鎖線の矢印で示すように、閉ループ磁気回路BMを形成している。フロント側ディスク106は、可動部の支持と静電容量を検出する導通路を兼ねている。可動側電極108と固定側電極(後述)間の微小な静電容量信号を検出するために、可動側電極108と外部を繋ぐ導通路は、完全な電気的絶縁が図られている。すなわち、フロント側ディスク106は外周リング114を介在して、ボルト115によりコイル側ヨーク材109に締結される。外周リング114は非導電性材料で構成されており、フロント側ディスク106と外周リング114は接着剤によって、予め固定されている。またフロント側ディスク106に形成したボルト用穴径をボルト径よりも大きくすることで、ボルト115とフロント側ディスク106は電気的に絶縁されている。可動側電極108はフロント側ディスク106と接合部116で接着固定される。また可動側電極108の中心部は、非導電性材料117を介して、前記ポールピース部端面と接着固定されている。前記ポールピース部、及び、前記コイル側ヨーク材には渦電流が発生するが、この電気的絶縁対策(非導電性材料114、117)によって、2つの電極間(可動側、及び、固定側)の静電容量信号はこの渦電流の影響を回避できる。非導電性材料としては、無機固体絶縁材料であるマイカ(雲母)、磁器(セラミックス)、ガラス、ポリイミド(スーパーエンジニアリング・プラスティック)などが適用できる。2つのフォースコイル111、112に流す電流を制御するために、これらのコイルの引き出し線は、コイル側ヨーク材109を貫通して外部に設置された制御回路と繋がっている(図示せず)。
118はポールピース部103のリアー側端面で、ボルト119により締結されたディスク締結部材、120はこのディスク締結部材の中心部に位置するリアー側端面部である。121は可動側電極108の中心部に位置するフロント側端面部である。
本実施形態の可動部(可動部材)は、2つの永久磁石101と102、ポールピース部103、及び、可動側電極108、ディスク締結部材118から構成される。固定部は各コイルが収納されたコイルボビン110、コイル側ヨーク材109から構成される。本実施形態の加速度センサでは、上記可動部の駆動手段は、既提案中のムービング・マグネット式(MM式)を用いている。良く知られているように、磁界中に置かれた導体に電流が流れると、電磁力であるLorentz力が発生する。あらゆるアクチュータは、その駆動原理の種類に関わらず、固定側と移動側の力関係は相対的である。すなわち、固定側と移動側のいずれか一方を固定すれば、もう一方が移動する。本実施例では、コイルボビン110に収納されたフォースコイル111、112に電流が流れると、前記可動部を軸方向に移動させるLorentz力の反力が発生する。
本実施形態のMM式センサは、閉ループ磁気回路BMに左右に2ケ所の独立した磁気空隙部113a、113bを有するように、前記永久磁石と前記コイルが配置されている。また、可動部を支持するディスクばねも左右2ケ所106,107に設けられる。その必然の結果として、ポールピース部103を含む可動部は軸両端開放構造になる。
[1-2] 変位検出部
122は固定側電極、123は絶縁リング、124は固定リング(固定側電極支持部材)である。固定側電極122は前記絶縁リングを介在して、前記固定リングに対して矜持される。125はコイル側ヨーク材109(固定部材)に対して、固定リング124を固定するための接着剤塗布部、126は固定リング124とコイル側ヨーク材109を仮固定するための締結ボルトである。127は固定側電極122の中心部に形成された貫通穴である。128は固定側電極122と可動側電極108間の空隙部である。
図1a、及び、図1bにおいて、129は空隙部(電極間隙間)128内に隙間調整シート(後述)を挿入するための開口部である。本実施形態では、この開口部129はコイル側ヨーク材(固定部材)109の円周方向の3箇所(鎖線129a、129b、129c)に形成されている。208a、208b、208cは隙間調整部材である隙間調整シート(一点鎖線)である。後述する隙間調整段階(Step4)で、前記隙間調整シートを前記開口部から空隙部128に挿入する。この調整工程により、電極間隙間dを目標値d0に近づけるための補正(Δd→0)と、隙間の傾斜角補正(Δθ→0)がなされる。図1bにおいて、131はセンサ本体部100をセンサ本体部固定部材(後述)に締結するためのねじ締結部である。
[2] 本発明の着目点
図2は従来MC式で、電極間の隙間調整は光学的手段に限定されることを示す図、図3は本発明のMM式で、可動部両端を押圧して、可動部を固定することで、電極間の隙間調整は光学的手段に限定されないことを示す図である。以下、従来MC式(図2)と本発明MM式(図3)の対比の基で、本発明の着眼点について説明する。
(1)従来MC式の場合
MC式の従来構造(図33、図34)に一例を示すように、可動側電極24が装着された軽量の可動部(コイル16とコイルボビン17)は、質量の大きな固定部(永久磁石11とポールピース部12)を包み込むように収納される。この構造が採用される理由は、前述したように、広い周波数帯域と高い応答性のセンサ性能を得るためには、可動部の慣性質量は極力軽量化が要求されるからである。上記構造では電極間の隙間調整時において、可動側電極24が微小量傾斜した状態(図34)を維持したままで、機械的に可動部を固定する手段が無い。そのため、従来MC式の電極間の隙間調整は、光学的手段(たとえば、ハイビジョン・マイクロスコープ)を用いて、外表面から電極間隙間(スリット)を観測する。すなわち、可動側電極24が傾斜した状態に合わせて、電極間隙間(空隙部30)が円周方向で均一となるように、固定側電極の傾斜を調整するなどの方策を選択せざるを得ない。
(2)本発明のMM式の場合
本発明のMM式の場合、可動部の両端が開放構造にできる点に注目する。可動部両端が開放構造にできる理由は、前述したように、本実施形態のMM式センサは、閉ループ磁気回路BMに左右に2ケ所の独立した磁気空隙部113a、113bを有するように、前記永久磁石と前記コイルが配置されているからである。
図3は電極間の隙間調整時において、この可動部の両端をフロント側支持ロッド131とリアー側支持ロッド132により、軸方向力Fを与えて押圧した状態を示す。可動部は、2つの永久磁石101と102、ポールピース部103、及び、可動側電極108、ディスク締結部材118から構成される。上記2つの支持ロッド131、132の球面先端は、フロント側端面部121とリアー側端面部120と点接触している。すなわち、同一の軸芯上で、可動部の左右両端を押圧する支持方法により、可動部に外力のモーメントを与えることなく、可動部を固定できる。したがって、本発明MM式の電極間隙間調整工程では、可動側電極108が微小量傾斜している場合でも、その傾斜状態を維持したままで、機械的に可動部を固定することができる。すなわち、精密機械の隙間調整に用いられるシム、シムリング、スペーサなどの隙間調整用シート(隙間調整部材)が適用可能と予想される。
両電極、もしくは一方の電極をたとえば凸形形状にすれば、電極間距離の大きな箇所に隙間調整部材を挿入して隙間調整ができる。この場合は、隙間調整部材はシート状でなくてもよく、充分な厚みのあるブロック形状でもよい(図示せず)。
(3)磁気回路からMM式可動部の両端が開放構造にできる理由
以下、閉ループ磁気回路の比較から、本発明MM式の特徴について考察する。MM式は可動部(ポールピース部103)に永久磁石を配置して、コイルは永久磁石を包みこむように外周部に配置する。その逆の配置が不具合な理由は、可動部の慣性質量が増大してしまうからである。可動部に永久磁石を配置した図3に示すように、閉ループ磁気回路BMは左右2箇所の磁気空隙部113a、113bを設ける必要がある。可動部(ポールピース部103)を支持するディスクばね106.107も左右2箇所に設ける。必然の結果として、可動部の両端は解放構造(開放軸)になる。前述したように、MM式は極細線処理に係るMC式の課題を解決できるが、その弱点は可動部の慣性質量増加であった。しかし、既出願特許により、MM式の弱点を解消した結果、生産技術上のもうひとつの大きな課題、すなわち、電極間の隙間調整が解決できる方策が浮上したのである。すなわち、量産時の電極間隙間調整に係る本発明の効果は、新たに見出された本発明MM式の特徴である。
[3] 電極間隙間調整工程
本実施形態における電極間隙間調整工法は、センサ可動部の軸方向位置の検出に、センサ自身が保有する静電容量の変化を利用したものである。
[3-1]隙間調整治具の全体図
図4は、本発明の実施形態1に係る、MM式サーボ型加速度センサの電極間隙間調整治具の概要を示すものである。図4aは加速度センサ本体部(鎖線A)と隙間調整治具の配置を示す全体図である。図4bは隙間調整工程の一例を示すもので、加速度センサの可動部を左右の支持ロッドにより押圧した状態で、隙間調整手段として電極間隙間にシムが挿入されていることを示す図(後述するStep4)である。
図4aにおいて、201aと201bはフロント側とリアー側マイクロメータ(微動送り機構)である。202aと202bはフロント側とリアー側のマイクロメータ固定部、203はベース台である。204aと204bは、前記フロント側と前記リアー側マイクロメータの出力軸先端に装着されたフロント側支持ロッド、及び、リアー側支持ロッドである。205はベース台203に固定されたセンサ本体部固定部材である。図4bにおいて、センサ本体部100は、ボルト206によりセンサ本体部固定部材205により締結される。
[3-2]隙間調整工程の実施例(その1)
Step1 静電容量の仮設定
図5において、207はシムAであり、ボルト126を開放した状態で、コイル側ヨーク材109と固定リング(固定側電極支持部材)124で形成される隙間に挿入し、ボルト126を締結する。この段階では、固定側電極122の傾斜角精度は未調整である。そのため、前記シムAの板厚tAは、この段階における空隙部128の隙間と比べて充分に厚く、実施例では、たとえば、tA=100μmに設定した。このStep1の状態で、本センサの静電容量C=C0を計測する。
Step2 センサ可動部の右端を固定
図6において、センサの静電容量C=C0を計測しながら、リアー側支持ロッド204bを左方に微小移動させる。静電容量がC>C0となるタイミングで、前記リアー側支持ロッドの移動を停止する。この段階は、前記リアー側支持ロッドの球面先端がポールピース部103のリアー側端面部120と点接触した状態である。
Step3 センサ可動部の左端を固定
図7において、フロント側支持ロッド204aを右方に微小移動させる。前記フロント側支持ロッドの球面先端がポールピース部103のフロント側端面部121と接触すると、前記フロント側支持ロッドは移動不可の状態となるため、この段階で作業を停止する。上記Step2とStep3の工程により、前記ポールピース部を含むセンサ可動部は挟持された状態となる。
Step4 シムにより電極間隙間設定
図8において、センサ可動部を挟持したStep3の状態で、締結ボルト126を緩めて、固定リング124とコイル側ヨーク材109の仮固定を開放する。208はシムBである。この状態で、前記シムBを開口部129から電極間隙間(空隙部128)に挿入して、再度、固定リング124とコイル側ヨーク材109を締結ボルト126で固定する。前記シムBの板厚tBは、静電容量を決定する最終段階での電極間隙間に相当する。シムBの板厚tBは、隙間の仮設定(Step1)に用いたシムAの板厚tAと比べて充分に小さく、tA≫tBである。実施例では板厚tB=15μmに設定した。
本ステップ(Step4)において、固定リング124をコイル側ヨーク材109側に「押し当てる力」を与える手段として、締結ボルト126以外の方法でもよい。たとえば、フロント側支持ロッド204aの外周部を包み込むような弾性部材を介在して、固定リング124に円周方向に均一な力を与えてもよい。この方法は後述する他の実施形態にも適用できる。(図示せず)
Step5 固定リングを接着固定
図9において、前記シムBを電極間隙間に挿入した状態(Step4)を維持したままで、円周状に形成された接着剤塗布部125に接着剤を塗布する。この段階で、コイル側ヨーク材109(ハウジング)に対して、固定リング124、及び、固定側電極122は完全固定される。本ステップで接着工程を導入した理由は、本実施形態では製品仕様、生産方法等の量産仕様が完成された段階にあることを前提にしているからである。
Step6 電極間の隙間調整工程完了
図9の工程終了後、フロント側支持ロッド204a、リアー側支持ロッド204bを開放する。可動側電極108を含むセンサ可動部は軸方向規制が無くなるために、前記シムBは容易にセンサ本体から離脱できる。この段階で、電極間の隙間調整工程は完了する。
[3-3]隙間調整工程の実施例(その2)
以下、前述した隙間調整工程(その1)をさらに改良した実施例について述べる。センサ可動部の軸方向位置の検出に、センサ自身が保有する静電容量の変化を利用する点は、工程(その1)と同様である。改良した工程には、微動送り機構には、1μm以下の位置決め精度が容易なピエゾアクチュータ付きマイクロメータ(後述)等を用いるのが好ましい。Step1、及び、Step2の工程は[実施例その1]と同様である。
前述したStep2が終了した段階で、微動送り機構の位置決め精度が高く、C>C0となるタイミングの位置精度(z=z10)が精度良く得られるならば、点接触を開始する直前の位置(たとえば、z=z10+5μm)まで前記リアー側支持ロッドを逆向きに戻す。この段階で、前記リアー側支持ロッドはリアー側端面部120に対して、非接触の状態(5μmの間隙)を保つことになる。
Step3の段階で、フロント側支持ロッド204aの移動も、センサの静電容量C=C0を計測しながら行う。Step2の場合とは逆で、C<C0となるタイミングの位置(z=z20)でフロント側支持ロッド204aを停止する。その後、点接触を開始する直前の位置(たとえば、z=z20-5μm)まで前記フロント側支持ロッドを逆向きに戻す。この段階で、前記ポールピース部(センサ可動部)の左右端部は、各支持ロッドに対して、極めて微小な間隙(5μm)を保った状態にある。すなわち、センサ可動部は「擬似剛体化」とも言うべき無負荷平衡状態にある。
次のステップで、前記リアー側支持ロッドと、前記フロント側支持ロッドを同時に移動させる。同時移動のためには、左右のピエゾアクチュータに電圧を同時に印加する。
前記リアー側支持ロッドは、最初に停止した位置(z=z10)よりも、さらにマイナス方向に移動する微小変位信号を与える。前記フロント側支持ロッドは、最初に停止した位置(z=z20)よりも、さらにプラス方向に移動する微小変位信号を与える。上記ステップにより、前記可動部はその両端に充分に大きな荷重Fが与えられた状態(図3参照)で、無負荷時の軸方向位置を保つことができる。
[第2実施形態] (接着レスの隙間調整・・・ネジ締結により解体・再組立可能)
図11は本発明の実施形態2に係るMM式サーボ型加速度センサの一例であり、電極間隙間調整工程の最終段階で、接着剤を用いないで固定側と可動側電極を締結する構造を示すものである。
[1] 従来加速度センサの課題
従来加速度センサ(図33)の大きな課題の一つは、量産時において高歩留まりが得られないということであった。従来加速度センサの具体構造(図33)で前述したように、可動側電極24を含む可動部は多くの部品を繋ぐ接着工法で製作される。接着工法が採用される理由は、広い周波数帯域と高い応答性のセンサ性能を得るためには、可動部の慣性質量は極力軽量化が要求されるからである。
サーボ型加速度センサの場合、性能評価ができる製品にするためには、量産工程の最終段階で、電極間隙間調整に接着工法を適用せざるを得なかった。接着した部品を再度本体から離脱させて、センサ本体を接着前の状態に再現するのは容易ではない。その結果、基本性能評価の段階、あるいは、信頼性評価の段階において、製品の品質に不具合が見出された場合、「センサ本体の解体→要因究明→対策→再組立→再評価」の基本サイクルを廻せないという課題があった。この課題は、従来サーボ型加速度センサの基本動作原理・基本構造に起因するものである。不具合が見出された生産品は、再利用が不可能のため廃棄せざるを得ず、歩留まりを低下させる最大の要因であった。
[2] 本実施形態のセンサ構造
本実施形態の「アクチュエータ部」、「変位検出部」は第1実施形態と共通な部分が多いため、主要部品のみ図番を記載する。また第1実施形態と異なる形状の部品は記号Cを添付して表記する。
図11は本実施形態の正面断面図、図12~図14は電極間隙間調整工程(Step1~Step3)を示す。図11において、コイル側ヨーク材(ハウジング)109→109C、固定リング(固定側電極支持部材)124→124C、開口部129→129C(図12)である。本実施形態では、この開口部129Cはコイル側ヨーク材(固定部材)109Cの円周方向の3箇所(鎖線129Ca、129Cb、129Cc)に形成されている(詳細は図示せず)。また、600はセンサ本体部である。
図11は、本実施形態センサの組立工程が完了した状態、即ち、鎖線円Eで示す箇所において、コイル側ヨーク材109Cに装着されたボルトにより固定リング124Cが固定された状態を示す。601a、601bは固定リング124Cの外周面に形成されたテーパ部、602a、602bはコイル側ヨーク材109Cに形成されたねじ部(図13参照)、603a、603bは半径方向締結ボルトである。左右の前記締結ボルトによるテーパ面からの垂直抗力の水平方向成分が左右で平衡するため、固定側電極122側はコイル側ヨーク材109Cに対して確実に固定される。
[3] 隙間調整工程の実施例
以下、本実施形態の説明をセンサ可動部の左右両端が、フロント側支持ロッド204a、及び、リアー側支持ロッド204bにより、既に固定された状態からスタートする。
Step1 シムによる電極間隙間設定
図12において、シム208を開口部129Cから電極間隙間(空隙部128)に挿入して、固定リング124Cとコイル側ヨーク材109Cを軸方向締結ボルト126Cで固定する。
Step2 半径方向締結ボルトで、可動電極側と固定電極側を固定
図13において、電極間隙間128にシム208を挿入した状態で、半径方向締結ボルト603a、603bにより、固定リング124Cを前記コイル側ヨーク材の外周面から固定する。この段階では、センサ本体の軸方向両端面は、可動部を支持するフロント側支持ロッド204a、リアー側支持ロッド204bが配備されている。しかし、半径方向締結ボルト603a、603bの位置はセンサ本体の外周面であり、締結に必要な作業空間は充分に大きい。したがって、前記半径方向締結ボルトによる固定電極側の固定は容易に実施できる。
Step3 支持ロッド、シムなどをセンサ本体から離脱
図14において、フロント側支持ロッド204a、リアー側支持ロッド204b、軸方向締結ボルト126Cを開放する。可動側電極108を含むセンサ可動部は軸方向規制が無くなるために、前記シムは容易にセンサ本体から離脱できる。この段階で、接着工法を省略した電極間の隙間調整工程は完了する。
上記Step3の工程を終えて、生産品は基本性能評価、あるいは、信頼性評価などを実施できる段階となる。上記評価段階で生産品に不具合が見出された場合は、前述したように、「センサ本体の解体→要因究明→対策→再組立→再評価」の基本サイクルを廻せばよい。
図15は、Step3の工程終了後、本生産品を解体した状態を示す図である。
本発明を軸両端開放構造のMM式に適用した場合、解体可能な箇所は固定側電極部材だけではない。加速度センサを構成する各部品、及び、複数部品で構成される下記ユニット単位でセンサ本体を解体できる。
(i)固定電極側ユニット604・・・固定側電極122、絶縁リング123、固定リング124Cから構成。
(ii)可動電極側ユニット605・・・可動側電極108、フロント側ディスク106、ポールピース部103、フロント側永久磁石101、リアー側永久磁石102、外周リング114から構成。
(iii)コイルユニット606・・・コイルボビン110、フロント側フォースコイル111、リアー側フォースコイル112から構成。
また、コイル側ヨーク材109C、リアー側ディスク107、リアー側端面部120などは部品単位で解体が可能である。
前記ユニットは複数部品を接着剤で固定して構成される。ユニット化する箇所は、可動部の軽量化と、部品間の電気的絶縁が必要な箇所に限定される。Step3の工程終了後、生産品の品質に不具合が見出された場合は、解体後の上記ユニット単位で、下記内容を検査すればよい。たとえば、電極間の狭い隙間に浮遊する塵挨、部品加工精度、各部品の基本仕様(ディスク剛性、永久磁石の磁化特性)、組立精度(磁気回路の空隙部 etc.)、電気的絶縁特性(フロント側ディスク106の絶縁材料による支持部114、117etc.)などを詳細に検査すればよい。その結果、不具合要因を迅速に究明できて、各部品の再加工・再利用も可能となる。従来サーボ型加速度センサの場合、補足(2)で後述するように、電極間隙間調整工程のみならず、不具合発生時の要因究明は容易ではない。多くの場合、生産品本体を廃棄せざるを得ない場合が多い。
[4] 可動側電極と可動部材のネジ締結構造
図16は前述した本発明の第2実施形態を改良した構造を示すもので、複数部品を接着して構成した可動電極側ユニット605を、さらにネジ締結できる要素まで解体可能に再構成したものである。図16aは可動側電極近傍の正面断面図、図16bは解体図である。以下、第1実施形態と異なる形状の部品は記号Dを添付して表記する。可動側電極108Dは、絶縁シート651a、絶縁シート651bを表裏に挟み、ワッシャー652を介在して、ボルト653によりポールピース部103Dに締結される。654はポールピース部103Dの端面に形成されたネジ部である。フロント側ディスク106Dは、予め可動側電極108Dと接合部655で接着固定されている。フロント側ディスク106Dは、絶縁シート655a、絶縁シート655bを表裏に挟み、ワッシャー656を介在して、ボルト657によりコイル側ヨーク材109Dに締結される。
可動側電極108Dとポールピース部103Dをネジ締結にすることにより、厚みが不均一になり易い接着工法と比べて、可動部材(ポールピース部103D)の軸芯Aに対する可動側電極108の電極面Bの直角度を高い精度で確保できる。
本実施形態では、所定の電極間隙間を維持する手段として、電極間隙間128に隙間調整シート208を挿入して、かつ、固定側電極122を可動側電極108に押圧した状態を保つために、固定リング124Cとコイル側ヨーク材109Cを締結する軸方向締結ボルト126Cを用いた。この方法の代わりに、隙間調整手段として、所定の電極間隙間が保たれている状態を前記開口部129Cを利用した光学的方法で計測して、かつ固定電極122の軸方向位置、角度を別手段で拘束した状態で、前記固定電極側をねじ締結してもよい。いずれの方法でも、本発明のセンサ構造により、接着剤を用いない電極間隙間調整が実現できる。
本発明の加速度センサでは、品質の評価後、量産仕様が確実に満足できることを確認できれば、さらなる長期信頼性を確立するために、ネジ締結箇所(図11の鎖線円E)における締結ボルト603a、603bの緩み止め防止に、接着剤を用いてもよい。あるいは、両部材に接着剤塗布・締結する箇所(たとえば、テーパ部601aを利用)を別途設けてもよい。この場合は、最終段階で締結ボルト603a、603bを離脱させてもよい。
図11において、604は可動部(ポールピース部103)のリアー方向ストッパー(想像線で示す)である。フロント方向は固定側電極122が前記可動部の移動を抑止するストッパーとなる。この2つのストッパーにより、計測可能な範囲を超える大きな加速度が加わった場合、フロント側ディスク106、及び、リアー側ディスクが弾性変形の範囲に収まるように、前記可動部の軸方向変位を抑止することができる。リアー方向ストッパー604は、前述した隙間調整工程が終了後にセンサ本体に装着してもよい。
[第3実施形態] (MM式の第3案・・・エアーマイクロメータ方式)
図17は、本発明の実施形態3に係るMM式サーボ型加速度センサの一例を示すものである。本実施形態における電極間隙間調整工法は、センサ可動部の軸方向位置の検出に、エアーマイクロメータを用いたものである。図17aは図17bの側面図、図17bは図17aのAA断面図である。
[1] 本実施形態のセンサ構造
本実施形態の「アクチュエータ部」、「変位検出部」は第1実施形態と共通な部分が多いため、第1実施形態と異なる形状の部品だけを記号Aを添付して表記する。図17bにおいて、コイル側ヨーク材(ハウジング)109→109A、固定リング(固定側電極支持部材)124→124A、接着剤塗布部125→125A、開口部129→129Aである。本実施形態では、この開口部129Aはコイル側ヨーク材(固定部材)109Aの円周方向の3箇所(鎖線129Aa、129Ab、129Ac)に形成されている。また、400はセンサ本体部である。
[2] 電極間隙間調整工程
[2-1] 隙間調整治具の全体図
図18は、本発明の実施形態3に係る、MM式サーボ型加速度センサの電極間隙間調整治具の概要を示すものである。フロント側支持ユニット、及び、リアー側支持ユニットの先端にエアーマイクロメータを装着して、センサ可動部の軸方向位置を検出している。図18aは加速度センサ本体部(鎖線B)と隙間調整治具の配置を示す全体図である。図18bは隙間調整工程の一例を示すもので、加速度センサの可動部(可動部材)が左右の支持ユニットにより挟持されて、電極間にシムが挿入されていることを示す図(後述するStep2)である。
図18aにおいて、401aと401bはフロント側とリアー側マイクロメータ(微動送り機構)である。本実施形態における左右2つのマイクロメータには、「ピエゾアクチュエータ付き」を用いた。すなわち、通常のマイクロメータの出力端に、1μm以下の位置決めができるピエゾアクチュエータが直列に配置されているため、さらなる高精度位置決めが可能である。402aと402bはフロント側とリアー側のマイクロメータ固定部、403はベース台である。
404aと404bは、前記フロント側と前記リアー側マイクロメータの出力軸先端に装着されたフロント側支持ユニット、及び、リアー側支持ユニットである。405はベース台403に固定されたセンサ本体部固定部材である。図17bにおいて、センサ本体部400はセンサ本体部であり、ボルト406bによりセンサ本体部固定部材405により締結される。前記フロント側支持ユニット、及び、前記リアー側支持ユニットは、変位を計測するエアーマイクロメータと、ポールピース部103を含むセンサ可動部を固定する手段を兼ねている。以下、前記リアー側支持ユニットを構成する各部品(記号bを添付)を説明するが、前記フロント側支持ユニットの構成部品(記号aを添付)も同様である。
406bはユニット本体部、407bは供給路、408bは供給側ノズル、409bは測定側流路、410bはノズル、411bはノズル先端部である。エアーマイクロメータの原理は良く知られているもので、2つのノズル、すなわち、固定空気抵抗と可変空気抵抗から構成される。固定空気抵抗は供給側ノズル408b、可変空気抵抗はノズル先端部と測定対象との距離で決定される。測定側流路409bの中間圧を計測すれば、ノズル先端部と対向面であるリアー側測定端部120の距離が測定できる。
[3-2] 隙間調整工程の実施例
Step1 センサ可動部の左右両端を固定
図19において、最初に、前記ノズル先端部と対向面の距離(測定側流路409bの中間圧)を計測しながら、リアー側支持ユニット404bをセンサ本体部側400に微小移動させる。前記ノズル先端部と対向面の距離をδとして、δ≒0となったタイミングで、前記リアー側支持ユニットの移動を停止する。前記フロント側支持ユニットも同様の作業を行う。この工程により、前記ポールピース部を含むセンサ可動部部は、極めて高い位置精度で挟持された状態となる。ここで、センサ可動部に外力が加わらない状態を「無負荷平衡状態」とする。ピエゾアクチュエータ付きマイクロメータとエアーマイクロメータを組み併せた本工程により、「無負荷平衡状態」に近い状態で、センサ可動部の左右両端を固定できる。
Step2 シムにより電極間隙間設定
図20において、センサ可動部を挟持したStep1の状態で、締結ボルト126Aを緩めて、固定リング124Aとコイル側ヨーク材109Aの仮固定を開放する。412はシムCである。この状態で、前記シムCを電極間隙間(空隙部128)に挿入して、再度、固定リング124Aとコイル側ヨーク材109Aを締結ボルト126Aで固定する。前記シムCの板厚tBは、静電容量を決定する最終段階での電極間隙間に相当する。実施例では、シムBの板厚tB=15μmに設定した。
Step3 仮締結ねじにより固定側電極を固定
図21において、Step2の状態を維持したままで、コイル側ヨーク材109Aと固定側電極122を固定する。そのために、コイル側ヨーク材109Aに形成されているねじ部413を利用して、仮締結ねじ414により、固定リング124Aを固定する。
この仮締結ねじ414の装着により、前記フロント側とリアー側支持ユニット、締結ボルト126A、及び、前記シムCを開放すれば、電極間隙間(空隙部128)は所定の目標値(tB=15μm)を維持することができる。すなわち、仮締結ねじ414を装着した状態で、生産品の基本性能評価、あるいは信頼性評価などが可能となる。生産品に不具合が見出された場合は、第2実施形態と同様に、「センサ本体の解体→要因究明→対策→再組立→再評価」を繰り返せばよい。
Step4 固定リングを接着固定
図22において、Step3の状態で、円周状に形成された接着剤塗布部125Aに接着剤を塗布する。この段階で、コイル側ヨーク材109A(ハウジング)に対して、固定リング124A、及び、固定側電極122は完全固定される。
Step5 電極間の隙間調整工程完了
図23において、仮締結ねじ414、締結ボルト126Aをセンサ本体から離脱する。この段階で、電極間の隙間調整工程は完了する。
[第1~第3実施形態の補足]
(その1) シムの形状
第1実施形態において、図1aで示したように、シム208a、208b、208cはコイル側ヨーク材109に形成された3ケ所の前記開口部129から空隙部128に挿入した。上記方法の代わりに、図24に示すように、1枚のシム209を1ケ所の開口部210から挿入する方法でもよい。図24(a)は図24(b)のAA矢視図、図24(b)はセンサ一部の断面図である。シム挿入時には、前記開口部近傍の締結ボルト126は外しておく。また、シム209は固定側電極127の貫通穴127の内径よりも大きな幅dを有するU字形状にすればよい。1枚のシム209を空隙部128に挿入する開口部は、図24に示すように一箇所でもよい。但し、最終段階で光学的手段を用いて工程の再確認をする場合は、開口部210に高倍率カメラを設置して、180度異なる位置に光源を設置できるように、2箇所以上の開口部を設けてもよい(図示せず)。
(その2) センサ本体の軸芯を出す勘合部・締結部をセンサ本体に形成
図25は電極間隙間調整工程において、可動部材(図1bの103)の軸芯と、この可動部材を左右から押圧する支持ロッドの軸芯を合致させるための治具構成を示すものである。204aはフロント側支持ロッド、204bはリアー側支持ロッド204bである。
センサ本体400Aの外周面は、ベース台に固定されるセンサ本体部固定部材405Aと、鎖線円AAの箇所で篏合して、両者はボルト206により締結される。この治具構成により、前記可動部材と前記2つの支持ロッドの軸芯は、同一の高さHを保つことができる。
(その3) 固定側電極支持部材にシム挿入開口部
第1実施形態において、図1で示したように、コイル側ヨーク材109側に開口部129を設けている。上記構成の代わりに、図26に示すように、固定リング(固定側電極支持部材)側にシム挿入の開口部を設けてもよい。図26aは図26bの側面図、図26bは図26aのAA断面図である。「アクチュエータ部」、「変位検出部」は第1実施形態と共通な部分が多いため、上記実施形態と異なる形状の部品だけを記号Eを添付して表記する。図26bにおいて、コイル側ヨーク材(ハウジング)109→109E、固定リング(固定側電極支持部材)124→124E、接着剤塗布部125→125E、開口部129→129Eである。この開口部129Eはコイル側ヨーク材(固定部材)109Eの円周方向の3箇所(鎖線129Ea、129Eb、129Ec)に形成されている。600はセンサ本体部である。前述した実施形態で用いた隙間調整工法を適用することにより、高精度の電極間隙間調整を図ることができる。
[本発明工法が成立する力学的根拠]
本発明は、MM式サーボ型加速度センサの「軸両端部開放構造」を利用して、可動部を固定支持することにより、高精度の電極間隙間調整を実現したものである。以下、その力学的根拠について、図27のモデル図を用いて説明する。
(1) モーメントの平衡式
FAをフロント側支持ロッド251a、リアー側支持ロッド251bが可動部材の端面を押圧する力、Lを可動部材252の長さ、μを前記支持ロッド先端部と前記可動部材端面間の静摩擦係数とする。μFAは静摩擦力のため、MAは外力による前記可動部材の回転開始を抑制するモーメントである。
MA=μLFA ・・・・・(7)
Dを可動側電極253の外径、fBを隙間調整シート挿入により働く外力とすると、MBは隙間調整シート挿入により可動部材に働くモーメントである。
MB=DfB ・・・・・(8)
δを前記フロント側支持ロッドと前記リアー側支持ロッドの各軸芯の偏芯量とすれば、Mδは各支持ロッドの偏芯による前記可動部材に働くモーメントである。
Mδ=δFA ・・・・・(9)
以下、第1実施形態における[3-3]節の隙間調整工程(その2)を用いた場合について説明する。前記可動部材のフロント側とリアー側端部近傍に前記支持ロッドを配置した後、両端部を同時に支持ロッドで押圧する。このとき前記可動部材の両端部には、軸方向荷重FAが加わる。この状態で、空隙部に隙間調整シートを挿入する。MA>MB+Mδならば、前記可動部材は前記支持ロッドで押圧する前の初期状態の位置を保つ。すなわち、
μLFA>DfB+δFA ・・・・・(10)
式(10)から、前記可動部材の長さLが大きい程、前記支持ロッド先端部と前記可動部材端面間の静摩擦係数μが大きい程、隙間調整シート挿入時の外力fBの影響を受けないで、可動部の初期状態を保持できる。
(2) 具体事例
前記可動部材の長さ L=15mm、前記可動側電極の外径 D=13mm、鉄の静摩擦係数μ=0.3、前記可動部材両端の前記支持ロッド偏芯量δ=0.2mmと仮定する。
μLFA≫δFA のため、式(10)の右辺第2項は無視できる。寸法LとDは同オーダーのため、要約すれば、μFA>fBを満足すれば、本発明工法は成立する。fBは固定側電極を可動側電極253に密着させるのに必要な力である。たとえば、軸方向締結ボルト(図12の126C)を、トルク設定ができるトルクレンチを用いて、必要最低限の締結力を設定すればよい。FAは、たとえば、ピエゾアクチュエータ付き・マイクロメータで発生させる軸方向外力であり、その上限値は任意に設定できる。したがって、式(10)は成立可能と予想される。
[第4実施形態] (MC式に本発明を適用)
図28は、本発明の実施形態4に係るムービング・コイル式(MC式)サーボ型加速度センサの一例を示すものである。従来MC式センサでは、可動部の両端が開放構造ではないため、可動部を固定できず、電極間隙間調整に光学的手段を用いるのは必然の選択であったと思われる。本実施形態は、従来加速度センサの構造に対して、MM式センサで得られた知見を活かして、本発明を適用可能にする工夫を施したものである。
711は永久磁石、712はポールピース部、713はポールピース凸部、714は永久磁石側ヨーク材、715はコイル側ヨーク材、716はフォースコイル、及び、検定コイル、717はコイルボビン、718,719は非磁性でかつ非導伝性材料によるコイルボビン支持部材、720はフロント側ディスク状ばね、721はリアー側ディスク状ばね、722はフロント側ディスク状ばね720とコイル側ヨーク材715のフロント側連結部材、723はリアー側ディスク状ばね721とコイル側ヨーク材715のリアー側連結部材である。724は可動側電極、725は固定側電極、726はフロント側パネル、727は隙間調整シートを挿入するための開口部、728は固定側電極725とフロント側パネル726の締結部材である。ポールピース部712の外周部とコイル側ヨーク材715の内周部間は半径方向の磁気空隙部729が形成されている。729aは永久磁石側空隙部、729bはヨーク材側空隙部である。「永久磁石711→ポールピース部712→磁気空隙部729→コイル側ヨーク材715→永久磁石側ヨーク材714」により、閉ループ磁気回路を形成している。730は可動側電極724と固定側電極725で形成される空隙部である。
731は固定側電極の中央部に形成された貫通穴aであり、この貫通穴によりフロント側支持ロッドが挿入できる。732はポールピース部712に形成された貫通穴b、733は永久磁石711に形成された貫通穴c、734は永久磁石側ヨーク材714に形成された貫通穴dである。735は可動側電極724から前記ポールピース部の前記貫通穴bまで延びて形成された延長ロッド(延長軸)である。この延長ロッド735、可動側電極724、コイル716等が本実施形態センサの可動部材になる。
図29(a)は、本実施形態センサの隙間調整方法を示すもので、可動側電極724と延長ロッド735などの可動部材を、左右の支持ロッド751、752により押圧した状態で、電極間隙間730にシム753が挿入されていることを示す図である。図29(b)は図29(a)の鎖線円の拡大図である。FAを支持ロッドが可動部材の端面を押圧する力、Lを可動部材の長さ、μを支持ロッド先端部と可動部材端面間の静摩擦係数、Dを電極の外径、fBを隙間調整シート挿入により働く外力とする。隙間調整シート挿入の影響を受けないで、可動部材を固定できる条件は、前述したように、
μLFA>DfB+δFA ・・・・・(10-2)
本実施形態センサの着眼点は、可動側電極724に延長ロッド735を形成して、式(10-2)が成立するように、充分に長い寸法Lを設定したものである。さらに、拡大図29(b)に示すように、支持ロッド751の先端751aを台形形状にして、可動部材に対して面接触支持とすることで、静摩擦係数μの増大を図っている。
本実施形態は、ムービング・コイル式(MC式)ため、可動部と固定側を繋ぐ複数信号を流す導通路は、両者を連結する弾性部材(ディスク状ばね720、721)を利用して形成せざるを得ない。その結果、(1)複数の導通路を形成するための前記ディスク状ばねの分割、(2)信号線の絶縁、(3)極細線の半田付け工程を伴う複雑な生産工法、等を必要とする。その複雑な構造ゆえに、MM式実施形態で示したようなセンサ本体(各部品、各ユニットで構成)の解体は困難である。
しかし、コイル側ヨーク材715とフロント側パネル726間を、第2実施形態で示したように、着脱自在なボルト締結構造(本実施形態では図示せず)にすれば、前記可動側電極側に対して前記固定側電極側は解体可能となる。生産品の品質評価の段階で、静電容量検出部に起因すると思われる不具合(たとえば、ノイズ発生)が見出された場合は、たとえば、電極間の狭い隙間に浮遊する塵挨、飛散したはんだボールとフラックスの電極面への付着、電極面加工精度等を検査すればよい。
[第5実施形態] (MM式の差動式に本発明を適用)
図30は、本発明の実施形態5に係る差動式サーボ型加速度センサの正面断面図である。左右の出力軸がいずれも開放端になる直動型MM式の構造上の特徴に注目して、静電容量を検出する電極を左右2箇所に設けることにより、差動式の静電容量式センサを構成したものである。加速度センサを差動式にすることにより、センサ出力がノイズ、ドリフトなどの外乱信号の影響を受けにくい高分解能センサが実現できる。
(1) 基本構造の説明
図30の加速度センサは、径方向着磁の永久磁石を用いた第2実施形態とは異なり、軸方向に着磁した永久磁石をポールピース部中央部に配置することで、閉ループ磁気回路を形成している。801は軸方向に着磁された永久磁石、802aはフロント側ポールピース部、802bはリアー側ポールピース部、803はコイル側ヨーク材、804はコイルボビン、805はこのコイルボビンと前記コイル側ヨーク材の締結ボルト、806aはフロント側コイル、806bはリアー側コイルである。807aと807bは、フロント側とリアー側ポールピース部802a、802bの中心部に形成された空隙部である。808aはフロント側磁気空隙部、808bはリアー側磁気空隙部であり、それぞれ前記2つのポールピース部と前記コイル側ヨーク材間の半径方向の空隙を示す。「永久磁石801→フロント側ポールピース部802a→フロント側磁気空隙部808a→コイル側ヨーク材803→リアー側磁気空隙部808b→永久磁石801」により閉ループ磁気回路BMを形成している。809aは前記ポールピース部のフロント側内周支持部材、809bはリアー側内周支持部材、810aはフロント側ディスク、810bはリアー側ディスクである。811aはフロント側可動電極、811bはリアー側可動電極、812aはフロント側固定電極、812bはリアー側固定電極、813aはフロント側絶縁リング、813bはリアー側絶縁リング、814aはフロント側締結リング、814bはリアー側締結リングである。
フロント側内周支持部材809aとフロント側ポールピース部802a、及び、リアー側内周支持部材809bとリアー側ポールピース部802bは絶縁被膜815a、815bによって、電気的絶縁が施されている。また、フロント側ディスク810aとコイル側ヨーク材803、及び、リアー側ディスク810bとコイル側ヨーク材803は、それぞれ外周側絶縁リング816a、816bによって、電気的絶縁が施されている。817a、817bは左右の電極間空隙部である。
(2)電極間隙間調整のための構成部品
以下、本発明の電極間隙間調整工程を適用するために具備した構成部品、隙間調整工治具について述べる。
850L、850Rは静電容量を仮設定するためのシムAL、及び、シムARである。851L、851Rはフロント側支持ロッド、及び、リアー側支持ロッドである。本発明の第1実施形態で示したように、静電容量の仮設定を利用して、左右の前記支持ロッドにより、可動部を左右から押圧して固定する。
852a、852bは電極間空隙部817a、817bに挿入するシムBL、及び、シムBRである。853L、853Rは、前記シムBL、前記シムBRを前記電極間空隙部に挿入した状態で、2つの締結リング814a、814bをコイル側ヨーク材803に仮固定するための軸方向締結ボルトである。
854a、854bは半径方向締結ボルトである。前記電極間空隙部に前記シムBL、前記シムBRを挿入した状態で、前記半径方向締結ボルトにより、前記フロント側とリアー側の締結リングをコイル側ヨーク材803に対して固定する。
上記ステップを経て、左右の前記支持ロッド、前記軸方向締結ボルト、前記シムBL、BRを開放する。この段階で、可動電極側部材は固定電極側に対して、所定の隙間を保った状態で固定される。
本実施形態で用いた半径方向締結ボルト854a、854bは、ねじ先端がテーパ形状の「とがり先ねじ」を用いた。このとがり先ねじは、JIS B 1125に規定されているねじ先で、とがった先端付近までねじ山があるものを示す。また2つの締結リング814a、814bは、塑性変形し易いアルミ材を用いた。このとがり先ねじを用いることで、コイル側ヨーク材(固定部材)803に対して締結リング814a、814bを確実に固定できる。すなわち、ねじ先端と対向面間の滑りなどの影響を受けることなく、電極間隙間を一定値に保つことができる。同図中の鎖線円に示すように、半径方向締結ボルト854aの先端部が、締結リング814aに食い込んでいる状態(塑性変形部855a)を示す。
ちなみに、締結ボルト先端を対向面の柔らかい金属に食い込ませて、塑性変形により固定側電極部材を固定する本実施例の方法は、他の実施例にも適用できる。ねじ先端により、固定側電極部材が効果的に塑性変形しているか否かは、本センサを解体することで容易に検証できる。
(3)本実施形態の効果
MM式差動式センサは本発明者らによって既に提案・出願中であるが、本発明のセンサ構造、及び、隙間調整工法を上記差動式に適用することにより、次の効果が得られる。電極が片側だけに設置される通常センサ(図33)の場合、従来隙間調整工法(図2)で設定した隙間δXは、コイルにバイアス電流I0を流すことで、目標隙間δ0になるように再調整できる。すなわち、誤差Δδ=δX0はΔδ→0となるように、バイアス電流で補正できる。直動型加速度センサを差動式にして、電極間隙間調整を終了し、左右の隙間をδL、δRに設定した場合を想定する。この場合、上記隙間δL、δRを共に目標値δ0となるように、バイアス電流I0で調整するのは困難である。なぜならば差動式の場合、電極間隙間調整を終了した段階で、「δLR=一定値」に制約されてしまうからである。
可動部材の両端を固定部材に対して仮固定した状態で、電極間隙間内に隙間調整用シートを挿入する本発明工法を用いれば、左右の隙間δL、δRは、隙間調整の段階で充分に高い精度で得られる。サーボ型加速度センサの電極間隙間δ0は、数ミクロン・オーダーの隙間精度でセンサの動特性(ゲイン・位相特性)に多大な影響を与えることが分かっている。本発明の適用により、ノイズ、ドリフトなどの外乱信号の影響を受けにくい効果に加えて、理想的動特性を併せ持つ差動式センサが実現できる。
[補足1] 可動部材を固定する方法
前述した実施形態では、可動部材を固定するために、可動部材の軸両端が開放構造である点を利用した。可動部材の左右両端を外部から押圧する支持するのは、電極間隙間調整の段階だけでよい。製品として完成した最終形態では、前記可動部材の左右両端はケースなどで封止されていてよい。
また、前記固定部材、もしくは、前記固定側電極支持部材に形成する開口部、あるいは、第2実施形態において、前記固定部材に対して前記固定側電極支持部材を固定する接着剤レス締結部なども同様である。上記開口部、締結部等は製品の最終形態では再現が困難な状態に封止、あるいは追加工されていてもよい。
電極間隙間調整工程において、可動部材を固定するために、左右に微動送り機構で駆動される支持ロッドを配備する方法を示した。可動部材の軸両端開放構造を利用すれば、一方の端部を壁面に押し当てた状態で、もう一方の端部を微動送り機構を用いて、軸方向荷重をかけてもよい。
あるいは、前記可動側電極と反対側の軸端部だけを外部から把持できるようにして、可動部材の軸方向位置、あるいは、傾斜角が初期状態を保つようにしてもよい。
固定された可動側電極に対して、シムを介在して固定側電極を押し付ける手段は締結ボルトでなくてもよい。たとえば、センサ本体を垂直配置して、固定電極側に重りを搭載して垂直荷重をかけてもよい。
[補足2] 従来サーボ型加速度センサの解体と再組立が困難な理由
特許文献(1)に開示された直線運動式・MC型加速度センサの場合、基本動作原理・構造に起因する生産技術面での大きな課題があった。図35(a)はフロント側ディスク状ばねの形状を示す正面図、図35(b)は前述したセンサ全体図(図33)からフロント側パネル26、固定側電極25などを取り外した正面断面図である。図35(c)は図35(b)のA部拡大図で、可動側電極24が軸方向に変形した状態を示す図である。
フォースコイル16a、及び、検定コイル16bの各端子と外部に設置された制御回路を繋ぐためには、4本の導通路を必要とする。さらに可動側電極24と変位検出器31(図33)を繋ぐ導通路を含めると、総計5本の独立した導通路が必要である。前記2つのコイルと前記可動側電極は軸方向に移動するため、5本の端子と外部固定部の間をリード線で連結することはできない。そのため、図35(a)、図35(c)に示すように、5本の導通路はフロント側ディスク状ばね20、及び、リアー側ディスク状ばね21を利用して形成する。すなわち、2つのディスク状ばね20、21は可動部(コイルボビン17、可動側電極24等)の弾性支持と、前記5本の独立した導通路を兼ねて形成される。
図35(a)において、34a、34b、34cはフロント側ディスク状ばね20の外周側固定部である。この3つの外周側固定部は鎖線円AAで示すように、電気的絶縁を図るために、円周方向の3箇所で切断されている。35a、35b、35cは前記フロント側ディスク状ばねの内周側ばね部である。この3つの内周側ばね部は鎖線円BBで示すように、電気的絶縁を図るために、円周方向の3箇所で切断されている。36a、36b、36cは各コイル端子と前記内周側ばね部を導通させるための半田付け部である。図34cには、検定コイル16bの端子と内周側ばね部35cを半田付け部36cで導通させた状態を示している。37は絶縁パイプ、38はこの絶縁パイプ内に挿入された信号線である。前記絶縁パイプと前記信号線は、ディスク状ばね20を貫通して、数箇所に装着されている。ちなみに、サーボ型加速度センサに用いられるコイル線径は、たとえば、30~40μm程度の極細線である。すなわち、従来サーボ型加速度センサは、基本動作原理・構造に起因する生産技術面での課題として、ディスク状ばねとコイル間の「切断・絶縁・半田付け」の工程を必須とする。上記複雑な工程で製作される構造ゆえに、センサ本体の解体と再組立、部品の再利用は困難であった。
[補足3]
サーボ型加速度計の具体的構造は、大きく分けて、(1)質量部が直線運動するタイプ、(2)質量部が揺動運動するタイプ、の2種類が用いられている。前述した実施形態では、いずれも上記(1)の直線運動タイプに本発明を適用した場合について述べた。しかし、揺動運動アクチュエータで駆動されるサーボ型センサの場合でも、固定側電極と可動側電極間の相対的隙間の変化は疑似的に直線運動とみなしてよい。したがって、本発明の電極間隙間調整工法とセンサ構造は適用できる。
[補足4]
本発明のたとえば、第2実施形態のMM式センサ構造(図11)において、永久磁石101、102とコイル111,112を逆配置すれば、MC式センサ構造に変換できる。つまり、永久磁石側が固定されて、コイル側が駆動される構成となる。但し、この場合でも、(1)複数の導通路を形成するためのディスク状ばねの分割、(2)信号線の絶縁、(3)極細線の半田付け工程を伴う複雑な生産工法、等がやはり必要となるため、MM式の優位性は変わらない。
101 永久磁石
102 可動側部材
105 固定側部材
116、104 可動側ヨーク材
106 コイル
110 変位検出器の可動部
117 空隙部

Claims (23)

  1. 固定部材と、
    前記固定部材に対して所定方向に移動可能に設けられた可動部材と、
    前記固定部材に対して前記可動部材が空隙部を介して配置されるように支持する弾性部材と、
    前記可動部材の所定方向の変位を検出する変位検出部と、
    前記変位検出部で前記可動部材の原点位置からの相対変位が検出された場合に、前記可動部材を原点位置に戻す力を発生する駆動手段と、を備え、
    前記変位検出部が、
    前記可動部材の一方の軸方向端面に設けられた可動側電極と、
    この可動側電極と対向して設けられた固定側電極と、
    この固定側電極を支持、もしくは、前記固定側電極と一体化した固定側電極支持部材と、を具備し、
    前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部で形成される静電容量を検出するように構成されており、
    前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部の隙間調整手段が適用可能な開口部が前記固定部材、もしくは、前記固定側電極支持部材に形成されており、
    前記可動部材の軸方向両端部は解放軸、もしくは、前記可動側電極と反対側の端部は解放軸であることを特徴とするサーボ型振動検出器。
  2. 前記軸方向両端部の解放軸、もしくは、前記可動側電極と反対側の前記可動部材端部の解放軸を用いて、前記可動部材を外部から把持、もしくは、軸方向移動規制ができる構造であることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動検出器。
  3. 前記隙間調整手段は、シム又はスペーサを含む隙間調整部材であり、この隙間調整部材が前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部に挿入できるように、前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のサーボ型振動検出器。
  4. 前記固定側電極の中心部には、細径部材が外部から挿入できる貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項2記載のサーボ型振動検出器。
  5. 前記固定部材に対して前記固定側電極支持部材を固定する締結部が前記固定部材、又は、前記固定側電極支持部材の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動検出器。
  6. 前記固定部材にサーボ型振動検出器の本体を外部に固定する締結部を具備するとともに、前記締結部は前記可動部材の軸芯の位置が定まるように、サーボ型振動検出器の本体を外部部材に対して篏合した状態で締結できるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動検出器。
  7. 前記可動部材、あるいは、前記固定部材に配置された永久磁石と、
    前記永久磁石とは反対側の前記部材に配置されたコイルと
    前記可動部材の軸両端近傍でこの可動部材を支持する弾性部材と、
    前記可動部材、前記可動部材と前記固定部材との間の空隙部、前記固定部材、前記永久磁石で形成された閉ループ磁気回路と、をさらに備え、
    前記駆動手段が、前記閉ループ磁気回路によって前記可動部材を軸方向に移動させる電磁気力を発生させるように構成されているとともに、
    前記可動部材の軸両端近傍で、前記可動部材と前記固定部材の間の空隙部に磁束が流れるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のサーボ型振動検出器。
  8. 前記コイルが、前記固定部材側に固定されており、
    前記可動部材が、前記永久磁石、及び、この永久磁石と磁路を繋ぐ可動側ヨーク材で構成されている請求項7記載のサーボ型振動検出器。
  9. 前記変位検出部は、前記可動部材の軸方向両端部にそれぞれ1組ずつ前記可動側電極と前記固定側電極を具備し、各組の前記可動側電極と前記固定側電極の間で形成される2つの静電容量差を検出する差動式センサとして構成されており、かつ、前記隙間調整部材が挿入できる前記開口部が前記軸方向両端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2記載のサーボ型振動検出器
  10. 前記永久磁石が、固定部材側に固定されており、
    前コイルが、前記可動部材と前記固定部材との間の空隙部内に配置されて可動部材側に固定されており、
    この永久磁石と磁路を繋ぐ内周側ヨーク材と、
    前記永久磁石、又は、前記内周側ヨーク材と半径方向の空隙部を介して配置された外周側ヨーク材と、
    前記コイルを支持する弾性部材と、をさらに備え、
    前記閉ループ磁気回路が、前記永久磁石、前記内周側ヨーク材、前記可動部材と前記固定部材との間の空隙部、外周側ヨーク材で形成されており、
    前記永久磁石、及び、又は、前記内周側ヨーク材には貫通穴が形成されており、
    前記可動側電極には前記貫通穴まで伸びた延長軸が形成されていることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動検出器。
  11. 固定部材と、前記固定部材に対して所定方向に移動可能に設けられた可動部材と、前記固定部材に対して前記可動部材が空隙部を介して配置されるように支持する弾性部材と、前記可動部材の所定方向の変位を検出する変位検出部と、前記変位検出部で前記可動部材の原点位置からの相対変位が検出された場合に、前記可動部材を原点位置に戻す力を発生する駆動手段を備え、前記変位検出部が、前記可動部材の一方の軸方向端面に設けられた可動側電極と、この可動側電極と対向して設けられた固定側電極と、この固定側電極を支持、もしくは、前記固定側電極と一体化した固定側電極支持部材と、を具備し、前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部で形成される静電容量を検出するように構成されたサーボ型振動検出器の組立方法であって、
    前記可動部材を前記固定部材に対して仮固定した状態で、前記可動側電極側と前記固定電極側で形成される間隙内に隙間調整部材を挿入し、
    前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部が所定の隙間になるように前記固定側電極を前記可動側電極方向に相対移動させた後、
    前記固定側電極を前記固定部材に固定し、
    前記可動部材の前記固定部材に対する仮固定を解消すると共に、前記隙間調整部材を前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部から離脱することを特徴とするサーボ型振動検出器の組立方法。
  12. 前記可動部材の一方の前記軸方向端面と、もう一方の軸方向端面を互いに押圧する押圧手段により前記可動部材を前記固定部材に対して把持したことを特徴とする請求項11記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  13. 微動送り機構によって、前記可動部材の両端面を前記微動送り機構の出力軸先端で押圧する請求項11記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  14. 前記微動送り機構の出力軸で押圧される前記可動部材の変位検出に、前記空隙部の静電容量を計測することを特徴とする請求項13記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  15. 前記空隙部の隙間が仮設定の段階で静電容量C=C0を計測し、
    第1の微動送り機構Rの出力軸を前記可動部材の一方の端面Rに近接させて、静電容量がC>C0となるタイミングで前記第1の微動送り機構Rの移動を停止し、
    第2の微動送り機構Lの出力軸を前記可動部材の反対側の端面Lに移動可能になる位置まで近接させて前記可動部材を押圧した後、
    前記可動側電極と前記固定側電極間の空隙部に前記隙間調整用部材を挿入することを特徴とする請求項14記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  16. 前記空隙部の隙間が仮設定の段階で静電容量C=C0を計測し、
    第1の微動送り機構Rの出力軸を前記可動部材の一方の端面Rに近接させて、静電容量がC>C0となるタイミングで前記第1の微動送り機構Rの移動を停止し、
    再度、前記第1の微動送り機構Rの前記出力軸を前記端面Rから離れる方向に移動して、静電容量がC=C0となるタイミングで前記第1の微動送り機構Rの微小移動を停止し、
    第2の微動送り機構Lの出力軸を前記可動部材の一方の端面Lに近接させて、静電容量がC<C0となるタイミングで前記第2の微動送り機構Lの移動を停止し、
    再度、前記第2の微動送り機構Lの前記出力軸を前記端面Lから離れる方向に移動して、静電容量がC=C0となるタイミングで前記第2の微動送り機構Rの微小移動を停止し、
    前記第1の微動送り機構Rと前記第2の微動送り機構Lを同時に両端面方向に微小移動させて、前記可動部材を両端面から押圧した後、
    前記空隙部に前記隙間調整用部材を挿入することを特徴とする請求項14記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  17. 前記固定側電極を前記固定部材に固定する手段は、解体、及び、再組立が可能なネジ締結であることを特徴とする請求項11記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  18. 前記固定側電極を前記固定部材にネジ締結固定して、サーボ型振動検出器本体の品質を評価後、前記固定側電極を前記固定部材に接着固定することを特徴とする請求項16記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  19. 前記微動送り機構の移動量を測定する変位センサを外部に設置したことを特徴とする請求項13記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  20. 前記変位センサは前記微動送り機構の出力軸先端に設置されたエアーマイクロメータであることを特徴とする請求項19記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  21. 前記エアーマイクロメータはその先端部と前記可動部材間の変位計測と、前記可動部材への押圧手段を兼ねて用いることを特徴とする請求項20記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  22. 前記可動部材の軸芯と、前記微動送り機構出力軸の軸芯が同一線上になるようにサーボ型振動検出器本体を床面に固定したことを特徴とする請求項13記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
  23. 前記固定側電極を前記固定部材に固定するネジ締結において、ネジ先端が塑性変形により対向面に食い込ませた状態で保持されることを特徴とする請求項11記載のサーボ型振動検出器の組立方法。
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