JP2023088626A - 画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 トナー濃度検出センサを用いる場合であっても、リサイクルトナーの補給比率を適切に決定することができる。【解決手段】 画像形成装置(10)は、CPU(21)および現像装置(4)を備え、現像装置には、現像槽(4A)内のトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサ(46)が設けられる。CPU21は、トナー濃度検出センサの検出信号に基づいて出力値を算出し(S3)、出力値差分(出力値)に基づいてトナー濃度値差分(トナー濃度値)を算出し(S5)、そいて、トナー濃度値差分(トナー濃度値)からリサイクルトナーの補給比率を決定する(S7)。【選択図】 図10
Description
この発明は、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、リサイクルトナーを利用する、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関する。
環境保護、ランニングコスト低減などの目的で、廃トナーを捨てず、現像器へ戻すシステム(トナーリサイクル)が多くの画像形成装置で採用されている。しかし、リサイクルトナーは現像のストレスのために外添剤が母体トナー中に埋め込まれたり、割れて微粉化したりするため、流動性の悪化、トナー補給量が減少し画像濃度が薄くなる、トナー凝集が発生する、現像剤の立ち上がり性が悪化して逆帯電トナーや弱帯電トナーが発生し地肌汚れが発生するなどの不具合がある。
このため、特許文献1に開示される画像形成装置では、光学センサーによる基準濃度パターンに対するトナー像の濃度の検知結果に基づき、現像ユニット内の現像剤のトナー濃度が基準値以下と判断されると、トナー補給量の割合が未使用トナーと回収トナーの割合が所定の割合(8:2)になるように、回収トナー補給ローラと未使用トナー補給ローラとの回転時間が制御され、それぞれのトナーが補給される。
この特許文献1の画像形成装置では、感光体ドラム面の画像領域外に基準濃度パターンに対応する静電潜像を形成し、現像ユニットによりトナー像を形成し、この基準濃度パターンに対応するトナー像の濃度を光学センサーで検出して、検出した光学センサーの出力に基づいて現像ユニット内の現像剤のトナー濃度が判断される。
現像剤の透磁率を検知するトナー濃度検出センサによって現像ユニット内の現像剤のトナー濃度を検出する方法もあるが、トナー濃度とQ/Mの関係は経時環境によって変動するため、特許文献1の画像処理装置では、所定の現像ポテンシャルに対して、感光体ドラム面に付着するトナーの量を光学センサで検出することで、トナーの単位重量当たりの帯電電荷(Q/M)を2次的に検知している。
背景技術の画像形成装置では、現像ユニット内の現像剤のトナー濃度を判断するために、基準濃度パターンに対応するトナー像を形成するなどの処理が必要であり、面倒である。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
この発明の他の目的は、トナー濃度検出センサを用いる場合であっても、リサイクルトナーを補給する補給比率を適切に決定することができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
第1の発明は、感光体へトナーを供給する現像装置を有する画像形成装置であって、現像装置の現像槽に設けられるトナー濃度検出センサ、およびトナー濃度検出センサの出力値に基づいて、新トナーに対するリサイクルトナーの補給比率を決定する補給比率決定部を備える、画像形成装置である。
第2の発明は、第1の発明に従属し、標準の出力値に対する標準のトナー濃度の第1関係を記憶する第1関係記憶部、標準のトナー濃度に対する標準のリサイクルトナーの補給比率の第2関係を記憶する第2関係記憶部、第1関係に基づいて、トナー濃度検出センサの出力値に対応する標準のトナー濃度を算出するトナー濃度算出部、および第2関係に基づいて、トナー濃度算出部によって算出されたトナー濃度に対応するリサイクルトナーの補給比率を算出する補給比率算出部を備える。
第3の発明は、第1の発明に従属し、トナー濃度検出センサの出力のリップル値が標準リップル値から離れている度合に基づいて、現在のトナーの帯電量を推定する帯電量推定部をさらに備え、補給比率決定部は、帯電量推定部によって推定された現在のトナーの帯電量に基づいて、補給比率を決定する。
第4の発明は、第3の発明に従属し、標準の出力値に対する標準のリップル値の第3関係を記憶する第3関係記憶部、および第3関係値に基づいて、トナー濃度検出センサの出力のリップル値が基準のリップル値から離れている度合を算出する度合算出部をさらに備える。
第5の発明は、第1から第4の発明までのいずれかに従属し、リサイクルトナーの残量を検出する残量検出部、および残量検出部によって検出されたリサイクルトナーの残量が所定量に満たない場合、所定量以上蓄積されるまで、補給比率に関係無く、リサイクルトナーの補給を停止させる停止部をさらに備える。
第6の発明は、第1から第5の発明までのいずれかに従属し、新トナーの補給量の低下に比例して、補給比率を低下させる。
第7の発明は、感光体へトナーを供給する現像装置および現像装置の現像槽に設けられるトナー濃度検出センサを備える画像形成装置の制御プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、トナー濃度検出センサの出力値に基づいて、新トナーに対するリサイクルトナーの補給比率を決定する補給比率決定ステップを実行させる、制御プログラムである。
第8の発明は、感光体へトナーを供給する現像装置および現像装置の現像槽に設けられるトナー濃度検出センサを備える画像形成装置の制御方法であって、トナー濃度検出センサの出力値に基づいて、新トナーに対するリサイクルトナーの補給比率を決定する、制御方法である。
この発明によれば、トナー濃度検出センサを用いる場合であっても、リサイクルトナーを補給する補給比率を適切に決定することができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
<第1実施例>
図1は、この発明の第1実施例の画像形成装置100に備えられた画像形成部10の簡単な構成を示す正面断面図である。画像形成装置100は、画像形成部10等から構成され、画像データに基づいて用紙に画像を形成する。画像形成部10は、所定速度で回転する感光体ドラム1を有し、感光体ドラムの周囲に順に配置された、帯電器2、書込ユニット(露光ユニット)3、現像装置4、転写器5、クリーニング装置6および除電器7等から構成されている。また、画像形成部10は、リサイクル機構8および廃トナー回収機構9を備えている。
図1は、この発明の第1実施例の画像形成装置100に備えられた画像形成部10の簡単な構成を示す正面断面図である。画像形成装置100は、画像形成部10等から構成され、画像データに基づいて用紙に画像を形成する。画像形成部10は、所定速度で回転する感光体ドラム1を有し、感光体ドラムの周囲に順に配置された、帯電器2、書込ユニット(露光ユニット)3、現像装置4、転写器5、クリーニング装置6および除電器7等から構成されている。また、画像形成部10は、リサイクル機構8および廃トナー回収機構9を備えている。
本発明の感光体(または、像担持体)に相当する感光体ドラム1は、表面に光導電層を備え、画像形成時に、一定速度で、正面から見た場合に時計回りに(図1に示す矢印方向に)回転し、現像剤像を担持する。帯電器2は、感光体ドラム1の周面に単一極性の電荷を均一に付与する。書込ユニット3は、後述する制御部20(図2参照)から供給された画像データに基づいて、たとえば、レーザ光である画像光を感光体ドラム1の表面に照射し、光導電作用により感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
現像装置4は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像を顕像化(現像)する。つまり、トナー像が形成される。現像装置4は、現像槽4Aの内部に現像ローラ41、攪拌ローラ42、43および44を備えている。また、現像装置4は、現像槽4Aの上部に補給機構45および補給槽4B、回収層4Cを備えている。
現像槽4Aは、内部に二成分現像剤を構成するトナーおよびキャリアを収容している。現像ローラ41は、感光体ドラム1の表面に間隙を設けて対向し、回転により周面に付着したキャリアに吸着しているトナーを感光体ドラム1の表面に対向する現像領域にまで搬送する。現像領域において、トナーは感光体ドラム1の表面に静電吸着する。
攪拌ローラ42~44は、補給槽4B、回収層4Cから供給されたトナーをキャリアと攪拌、混合させつつ現像ローラに41に搬送する。この時、トナーは、所定の電荷に帯電した状態でキャリアの表面に静電吸着する。表面にトナーが静電吸着したキャリアは、現像ローラ41が内装する磁極の磁力によって現像ローラ41の周面に穂立ちを形成した状態で静電吸着し、現像ローラ41の回転にともなって現像領域に搬送される。この現像領域においてトナーのみが感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像に移動する。
補給槽4Bは、未使用のトナーを収容している。回収層4Cは、クリーニング装置6によって回収された残トナーをリサイクルトナーとして収容する。補給機構45は、補給ローラ45A、45B等から構成され、現像装置4から着脱自在な補給槽4Bおよび回収層4Cから現像槽4A内に各トナーを補給する。また、補給機構45は、制御部20によって制御される。
また、現像装置4は、トナー濃度検出センサ46を現像ローラ41と攪拌ローラ42との間における現像槽4Aの底面に備えている。トナー濃度検出センサ46は、現像槽4A内のトナー量を検出する。第1実施例では、トナー濃度検出センサ46として、透磁率センサ(ATC(Automatic Toner Concentration)センサ)を用いている。透磁率センサは、現像槽4A内における二成分現像剤の透磁率を検知する。この透磁率の変化は、二成分現像剤のうち消費されるトナーの変化を示す。トナーは透磁率が低く、キャリアは透磁率が高い。また、キャリアの量はほとんど変化しない。このため、現像装置内のトナーの量が多いほど透磁率センサが検出する透磁率が低くなる。
制御部20は、透磁率が所定の値を超えた際に現像槽4A内のトナー量が不足していると判断して補給機構45を駆動してトナーを補給させる。
転写器5は、転写位置において感光体ドラム1の表面に担持されたトナー像を、図示しない給紙部から所定のタイミングで搬送された用紙に転写する。トナー像が転写された用紙は、図示しない定着装置等を経由しつつ図示しない排紙トレイに排出される。
クリーニング装置6は、掻き落とし部材61を備え、用紙にトナー像を転写した後に感光体ドラム1の表面に残留しているトナー(すなわち、残トナー)等を除去する。掻き落とし部材61は、この実施例では、自由端部が感光体ドラム1の表面に所定の圧力で当接するブレードを用い、感光体ドラム1の表面において用紙から付着した紙粉等の残留物を含む残トナーを掻き落とす。感光体ドラム1の表面から掻き落とされた残トナーは、クリーニング装置6の内部において一旦収納される。
除電器7は、転写工程を終了した感光体ドラム1の表面に残留している電荷を除去する。リサイクル機構8は、クリーニング装置6と回収層4Cとを接続し、制御部20によって所定のタイミングで駆動され、クリーニング装置6内に収納された残トナーをリサイクルトナーとして回収層4Cの内部に搬送する。また、この実施例のリサイクル機構8は、搬送スクリュ81を有するスクリュコンベア機構で構成されている。搬送スクリュ81は、回転してクリーニング装置6内の残トナーを回収層4Cに搬送する。
廃トナー回収機構9は、この第1実施例においては搬送スクリュ91を有するスクリュコンベア機構で構成されている。廃トナー回収機構9は、制御部20によって所定のタイミングで駆動され、クリーニング装置6内に収納された残トナーを廃トナーとして回収する。また、廃トナー回収機構9は、廃トナーを収容する廃トナー回収層92を備えている。
図2は、制御部20の構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置100は、装置全体の動作を制御する制御部20を備えている。制御部20は、ROM22、RAM23およびEEPROM31等から構成されている。制御部20において、CPU21は、画像処理部60、書込ユニット3、リサイクル機構8、補給機構45、廃トナー回収機構9、サイズ検出センサ70、温度・湿度検出センサ80、トナー濃度検出センサ46、および入力操作部90等に接続されている。
CPU21は、ROM22に予め書き込まれたプログラムにしたがって、センサ46、70等から入力される検出信号を参照しつつ画像形成部10を構成する書込ユニット3等とともに装置全体を統括して制御する。
画像処理部60は、CPU21から出力された制御信号に基づいて、図示しないインタフェースを介して外部装置から入力された画像データ、又は、図示しないスキャナ部において原稿から読み取った画像データに対して所定の画像処理を施す。
リサイクル機構8は、搬送スクリュ81を回転させる駆動モータ82およびモータドライバ83を備えている。CPU21は、クリーニング装置6に回収された残トナーを回収層4Cに搬送する際にモータドライバ83を介して駆動モータ82を駆動する。
補給機構45は、補給ローラ45A、45Bを回転させる駆動モータ451A、451Bおよびモータドライバ452A、452Bを備えている。CPU21は、設定または決定された補給比率に基づいて、モータドライバ452A、452Bを介して駆動モータ451A、451Bを駆動する。
廃トナー回収機構9は、搬送スクリュ91を回転させる駆動モータ93およびモータドライバ94を備えている。CPU21は、クリーニング装置6に回収された残トナーを廃トナーとして回収(廃棄)する際にモータドライバ94を介して駆動モータ93を駆動する。
サイズ検出センサ70は、画像形成処理に使用される用紙のサイズを検出し、検出信号をCPU21に入力する。温度・湿度検出センサ80は、画像形成処理時における画像形成部10近傍の温度および湿度を検出し、CPU21に検出信号を入力する。
トナー濃度検出センサ46は、現像槽4Aに収納されている現像剤中のトナー濃度(トナー比濃度:T/D濃度)を検出し、検出信号をCPU21に入力する。上述したように、トナー濃度検出センサ46として透磁率センサを用いるため、検出信号は、現像槽4A内におけるトナーの見かけの透磁率に応じて電圧レベルが変動する信号である。
入力操作部90は、操作ボタンおよびタッチパネルを含み、各種の設定、ジョブの実行などの操作を受け付ける。ただし、タッチパネルは、表示装置(たとえば、液晶表示装置またはEL表示装置)の表示面上または表示装置と一体的に設けられる。
EEPROM31は、データ記憶領域31A、積算量記憶領域31B、トナー量記憶領域31C、補給量記憶領域31Dおよび関係値記憶領域31E等から構成されている。データ記憶領域31Aは、設定した用紙の種類およびサイズ等のデータを記憶する。積算量記憶領域31Bは、リサイクルトナーの積算量を記憶する。トナー量記憶領域31Cは、新トナーの使用量(使用率)のデータを記憶する。補給量記憶領域31Dは、リサイクルトナーの補給比率の初期値(第1実施例では、20%)を記憶する。ただし、補給比率は、現像槽4Aに補給されるトナーのうち、未使用のトナーの補給量に対するリサイクルトナーの補給量の比率である。関係値記憶領域31Eは、第1実施例では、後述する、出力値差分の変化に対するT/D値差分の変化の関係を示すT/D値差分テーブルのデータ、T/D値差分の変化に対するリップル値差分の変化の関係を示すリップル値差分テーブルのデータおよびT/D値差分の変化に対応するリサイクルトナーの補給比率の関係を示す補給比率テーブルのデータを記憶する。
なお、残トナーをリサイクルトナーとして回収層に4Cに搬送するかどうかについての判断方法および未使用のトナーの使用量(使用率)の算出方法については、特開2007-127983号公報に開示された公知の方法を採用することができる。ただし、トナーの使用量の算出に必要なデータはEEPROM31に記憶されているものとする。
このような構成の画像形成装置100では、環境保護、ランニングコスト低減などの目的で、廃トナーを捨てず、現像器へ戻すシステム(トナーリサイクル)が採用されている。しかし、リサイクルトナーは現像のストレスのために外添剤が母体トナー中に埋め込まれたり、割れて微粉化したりするため、流動性の悪化、トナー補給量が減少し画像濃度が薄くなる、トナー凝集が発生する、現像剤の立ち上がり性が悪化して逆帯電トナーや弱帯電トナーが発生し地肌汚れが発生するなどの不具合がある。
したがって、リサイクルトナーと未使用のトナー(「フレッシュトナー」ともいう)を混合して利用する場合、トナー濃度の均一性とトナー電荷量の安定性などを維持することが困難である。また、リサイクルトナーの補給量が一定限度を超えると、地肌汚れやトナー飛散が発生して画像品質が劣化したり、転写不良やクリーニング不良が発生しやすくなったりするなどの問題がある。
このため、トナーを補給する場合に、未使用のトナーの補給量に対して、リサイクルトナーの補給量(つまり、補給比率)は適切に決定される必要がある。以下、この第1実施例において、トナー濃度検出センサ46の検出信号に基づいて、リサイクルトナーの補給比率を適切に決定する方法について説明する。
この第1実施例の画像形成装置100では、リサイクルトナーの補給比率は、トナー濃度検出センサ46の検出信号と、後述する各テーブルから決定される。
図3は、トナー濃度検出センサ46から出力される検出信号(電圧値)の時間変化を示す波形図の一例である。図3の横軸は時間経過を示し、縦軸が電圧値を示す。ただし、第1実施例では、トナー濃度検出センサ46の検出信号である電圧値(0~5V)を0~255の値数で示してある。たとえば、トナー濃度検出センサ46の検出信号が2.5Vの場合には、値数128で示される。
この検出信号は、時間軸を拡大して微視的にみると、図4に示すように、攪拌ローラ42の回転の1周期ごとに、最小値と最大値を繰り返す。この検出信号の最大値と最小値の差分からリップル値を算出する。リップル値については、攪拌ローラ42の回転の1周期分から算出するが、1周期分ではバラつきを拾う可能性があることから、或る周期中のたとえば10周期分(つまり、一定時間)の平均でリップル値を決定する手法などが一般的であり、この第1実施例でも同様の方法でリップル値を決定している。
また、第1実施例では、最大値および最小値を有する検出信号の平均値を算出し、トナー濃度検出センサ52の出力値としている。この場合も或る一定時間内の出力値の平均を採用する。
ただし、リップル値および出力値は平均値でなくてもよい。つまり、リップル値は、一周期分のリップル値でもよいし、出力値は検出したタイミングにおける瞬時値でもよい。
図5はトナー濃度検出センサ46の基準の出力値(以下、「基準出力値」)からの出力値の差分(以下、「出力値差分」という)に対する、基準のトナー濃度(以下、「基準T/D値)という)からのT/D値の差分(以下、「T/D値差分」という)の変化(関係)を示すグラフである。この関係は、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。つまり、出力値差分=出力値-基準出力値であり、T/D値差分=T/D値-基準T/D値である。ただし、基準出力値(たとえば、117)および基準T/D値(たとえば、7%)は、発明者等によって予め設定される。
基準出力値は、初期の現像剤が新品の状態において、現像槽4Aの攪拌ローラ42~44を一定時間回転させたときの、トナー濃度検出センサ46の出力値の平均値(または、この攪拌ローラ42~44の回転終了付近の値)で決定してある。図5は、この基準出力値からの出力値の変化量、すなわち、出力値差分を設定したものであり、この図5に示すグラフに従って、基準T/D値からのT/D値の変化量、すなわち、T/D値差分が算出(または、決定)される。なお、図5においては、横軸が出力値差分を示し、縦軸がT/D値差分(%)を示す。
基準T/D値からT/D値が低く変動した場合には、出力値は基準出力値よりも高くなるため、出力値差分は+側の値になる。逆に、基準T/D値からT/D値が高く変動した場合には、出力値は基準出力値よりも低くなるため、出力値差分は-側の値になる。
たとえば、図5に示す例では、トナー濃度検出センサ46の出力値が、基準出力値に対して+12である場合には、T/D値差分は-1(%)である。また、トナー濃度検出センサ46の出力値が、基準出力値に対して-12である場合には、T/D値差分は+1(%)である。
ただし、トナー濃度検出センサ46の出力値に基づいて、T/D値差分を求める方法としては、図5に示すグラフに対応するテーブル(以下、「T/D値差分テーブル」という)が用いられる。一例として、T/D値差分テーブルでは、出力値が-25から+30まで1ずつ変化して記載され、各出力値に対応してT/D値差分が記載される。T/D値差分テーブルに記載されていない数値については、近傍の数値を用いて算出される。このことは他のテーブルを用いる場合についても同様である。
また、図5では、或るライフおよび或る環境条件についての1つの関係を示すグラフの例を示してあるが、実際には、異なる複数のライフの期間および異なる複数の環境条件についての複数の関係が実験で得られており、現在のライフの期間および環境条件に応じた関係のグラフについての変換テーブル(すなわち、T/D値差分テーブル)が使用される。
ただし、第1実施例では、ライフは現像剤のライフであり、環境条件は相対湿度(以下、単に「湿度」という)である。たとえば、ライフの期間は、初期、中期、末期の3つに分類され、環境条件としての湿度は、低湿、中間の湿度および高湿の3段階に分類される。
また、ライフの期間および環境条件に応じた変換テーブルを選択することに代えて、図5に示した1つの関係から得られたT/D値差分が、ライフの期間および環境条件に応じた係数または補正値を用いて変換または補正されてもよい。
なお、変換テーブルに関する内容については、後述する図6および図7に示すグラフについても同様のことが言える。
次に、上記で算出したT/D値差分(%)を、図6のグラフに当てはめて、基準リップル値からのリップル値の差分(以下、「リップル値差分」という)を求める。つまり、リップル値差分=リップル値-基準リップル値である。ただし、基準リップル値は、発明者等によって予め設定された基準のリップル値である。また、リップル値は、図4を用いて説明したように、10周期分の平均で決定される。この図6のグラフもまた、図5のグラフと同様に、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。図6に示すグラフでは、T/D値が下がりQ/M(トナーの帯電量)値が上がると、リップル値差分が変化する関係が示される。図6に示すグラフでは、横軸のT/D値差分は、0を初期の基準T/D値としている。T/D値差分が-側に大きくなると、T/D値は大きく下がり、逆に、T/D値差分が+側に大きくなると、T/D値は大きく上がる。同様に、縦軸のリップ値差分についても、リップル値差分が+側に大きくなると、リップル値が大きく上がり、リップル値差分が-側に大きくなると、リップル値が大きく下がる。つまり、T/D値が下がると、Q/M値が上がり、リップル値が大きくなることを利用した関係が示される。したがって、基準T/D値からT/D値が低く変動した場合には、出力値は基準出力値よりも高くなるため、リップル値差分は+側の値になる。逆に、基準T/D値からT/D値が高く変動した場合には、出力値は基準出力値よりも低くなるため、リップル値差分は-側の値になる。
なお、このように、リップル値を確認するのは、ライフまたは環境での基準リップル値からのずれ分(すなわち、リップル値差分)を係数等で補正する場合に用いるためである。
また、補給比率は、図7に示すグラフに対応する変換テーブル(以下、「補給比率テーブル」という)を用いて決定される。補給比率テーブルでは、T/D値差分が-3から+4まで1ずつ変化され、各T/D値に対応してリサイクルトナーの補給比率が記載される。
図7は、T/D値差分に対応するリサイクルトナーの補給比率の関係を示すグラフである。この図7のグラフもまた、図5および図6のグラフと同様に、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。基準T/D値からT/D値が下がると基準Q/M値からQ/M値が上がるため、リサイクルトナーの補給量を多くしてある。つまり、未使用のトナーの補給量に対するリサイクルトナーの補給量の比率(すなわち、リサイクルトナーの補給比率)を高くしてある。逆に、基準T/D値からT/D値が上がると基準Q/M値からQ/M値が下がるため、リサイクルトナーの補給量を少なくしてある(または、抑えてある)。つまり、リサイクルトナーの補給比率を低くしてある。ただし、基準Q/M値は、発明者等によって予め設定されたQ/M値の基準値である。
たとえば、T/D値差分が1.3(%)である場合には、リサイクルトナーの補給比率は17(%)に決定される。また、T/D値差分が-0.7(%)である場合には、リサイクルトナーの補給比率は30(%)に決定される。
このように、第1実施例によれば、トナー濃度検出センサ(透磁率センサ)46の検出信号(出力値)に基づいて、リサイクルトナーの補給比率(%)を決定することができるので、従来の画像形成装置のように、感光体ドラム1面の画像領域外に基準濃度パターンに対応するトナー像を生成し、生成したトナー像の濃度を光学センサで検出して、検出した光学センサの出力に基づいて現像ユニット内の現像剤のトナー濃度を判断する処理を実行する必要がない。つまり、トナー濃度検出センサ46を用いた場合でも、リサイクルトナーの補給比率を適切に決定することができる。
図8は図2に示したRAM23のメモリマップ300の一例を示す図解図であり、RAM23は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302には、画像形成装置100を制御するための制御プログラムが記憶される。
制御プログラムは、メイン処理プログラム302a、操作検出プログラム302b、画像生成プログラム302c、画像表示プログラム302d、画像読取プログラム302e、画像形成プログラム302f、センサ値算出プログラム302g、T/D値差分算出プログラム302hおよび補給比率決定プログラム302iを含む。
メイン処理プログラム302aは、画像形成装置100の全体的な処理を実行するためのプログラムである。操作検出プログラム302bは、画像形成装置100の各部への操作を検出するためのプログラムである。たとえば、操作検出プログラム302bは、入力操作部90に含まれるタッチパネルから出力されたタッチ座標データを取得して、表示装置に表示される各種の画面に含まれるソフトウェアキーが操作されたことを検出するためのプログラムである。また、操作検出プログラム302bは、入力操作部90に含まれる操作ボタンからの操作入力も検出する。
画像生成プログラム302cは、後述する画像生成データ領域304bに記憶された画像生成データを用いて、各種の操作画面に対応する表示画像データを生成するためのプログラムである。ただし、GPUを設けて、表示画像データの生成処理をGPUに実行させるようにしてもよい。また、画像表示プログラム302dは、画像生成プログラム302cに従って生成された表示画像データを表示装置に出力するためのプログラムである。
画像読取プログラム302eは、画像読取部14を制御して、ADFによって搬送される原稿の画像または原稿載置台に載置された原稿の画像を読み取り(スキャンし)、読み取った画像に対応する画像信号すなわち読取画像データをCPU21に出力するためのプログラムである。CPU21は、読取画像データを受信すると、受信した読取画像データを入力画像データとしてデータ記憶領域304に記憶する。
画像形成プログラム302fは、画像形成部10を制御して、後述する印刷用の画像データに応じてモノクロの画像を記録媒体(用紙)に形成するためのプログラムである。詳細な説明は省略するが、画像形成処理が実行されるときに、入力画像データに画像処理が施され、出力画像データが生成される。
センサ値算出プログラム302gは、トナー濃度検出センサ46の出力値の一定時間分(たとえば、10周期分)の平均値を算出するためのプログラムである。
T/D値差分算出プログラム302hは、図5に示したグラフに基づくT/D値差分テーブルを用いて、センサ値算出プログラム302gに従って算出したトナー濃度検出センサ46の出力値に対応するT/D値差分(%)を算出するためのプログラムである。
補給比率決定プログラム302iは、図7に示したグラフに基づく補給比率テーブルを用いて、T/D値差分算出プログラム302hに従って算出したT/D値差分に対応するリサイクルトナーの補給比率を決定するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、画像形成装置100が備える各種の機能を実行するための他のプログラムが記憶される。
また、RAM23のデータ記憶領域304には、入力データ領域304a、画像生成データ領域304b、入力画像データ領域304c、出力画像データ領域304d、T/D値差分テーブル領域304e、リップル値差分テーブル領域304f、補給比率テーブル領域304g、T/D値差分データ領域304hおよび補給比率データ領域304iなどの領域が設けられる。
入力データ領域304aは、操作検出プログラム302bに従って検出または取得したタッチ座標データおよび/または操作データ、トナー濃度検出センサ46から入力される検出信号を、時系列に従って記憶するための領域である。
画像生成データ領域304bは、表示画像データを生成するためのデータを記憶するための領域であり、この画像生成データ領域304bには、ソフトウェアキーの画像データ等も記憶される。
入力画像データ領域304cは、画像読取部で読み取った読取画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等の画像データを記憶するための領域である。出力画像データ領域304dは、入力画像データに基づいて生成された印刷用の画像データを記憶するための領域である。
T/D値差分テーブル領域304eは、トナー濃度検出センサ46の出力値に対応するT/D値差分を算出するためのT/D値差分テーブルのデータを記憶するための領域である。リップル値差分テーブル領域304fは、T/D値差分に対応するリップル値差分を算出するためのリップル値差分テーブルのデータを記憶するための領域である。補給比率テーブル領域304gは、T/D値差分に対応するリサイクルトナーの補給比率を算出するための補給比率テーブルのデータを記憶するための領域である。
T/D値差分データ領域304hは、T/D値差分算出プログラム302hに従って算出されたT/D値差分のデータを記憶するための領域である。補給比率データ領域304iは、補給比率決定プログラム302kに従って決定された補給比率のデータを記憶するための領域である。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、制御プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)およびフラグが設けられたりする。
図10は、第1実施例のCPU21の動作の一例を示すフロー図である。図示は省略するが、図10に示す動作の開始するときに、ライフおよび環境条件に基づいて、T/D値差分テーブルおよび補給比率テーブルがそれぞれ選択され、各テーブルのデータがEEPROM31の関係値記憶領域31Eから読み出され、対応するRAM23の記憶領域304eおよび304fに記憶される。
図10に示すように、最初のステップS1では、CPU21は、トナー濃度検出センサ46(図2)からの検出信号を受信して、データ記憶領域304の入力データ領域304aに記憶する。この検出信号に従って、ステップS3で、CPU21は、図3に示す一定時間毎のトナー濃度検出センサ46の出力値(平均値)を算出する。この出力値のデータも、データ記憶領域304の入力データ領域304aに記憶される。
続くステップS5では、CPU21は、図5に示したようなグラフに対応するT/D値差分テーブルを用いて、出力値差分からT/D値差分を算出する。このT/D値差分のデータが、データ記憶領域304のT/D値差分データ領域304hに記憶される。
次のステップS7では、図7に示したようなグラフに対応する補給比率テーブルを用いて、ステップS5で算出したT/D値差分からリサイクルトナーの補給比率を決定し、CPU21の動作は、そのときのジョブを実行するための制御フローへ移行する。
ただし、今回決定された補給比率のデータは、データ記憶領域304の補給比率データ領域304kに記憶される。
図示は省略するが、補給処理は、トナー濃度検出センサ46による検出信号を参照して現像槽4A内にトナーを補給する。トナーを補給する際、CPU21は、補給比率データ領域304kに記憶された補給比率のデータに応じて補給機構45に備えられた駆動モータ451B、451Cを駆動して補給ローラ45B、45Cの回転速度比を変更する。駆動モータ451B、451Cの駆動時間は等しい設定であるので、補給比に応じた補給量のトナーが補給槽4Bおよび回収層4Cから補給される。
第1実施例によれば、出力値に基づいてT/D値差分を算出し、算出したT/D値差分に基づいてリサイクルトナーの補給比率を決定するので、トナー濃度検出センサを用いた場合であっても、リサイクルトナーの補給比率を適切に決定することができる。
なお、第1実施例では、出力値差分に対応するT/D値差分を算出し、T/D値差分に対応するリサイクルトナーの補給比率を決定するようにしたが、これに限定される必要はない。出力値に対応するT/D値の関係(図12参照)およびT/D値に対応するリサイクルトナーの補給比率の関係のそれぞれを示すテーブルを予め用意(記憶)しておくことにより、出力値とT/D値に基づいてリサイクルトナーの補給比率を決定することもできる。
<第2実施例>
第2実施例の画像形成装置100は、トナー濃度検出センサ46の出力のリップル値に基づいて帯電量を推定し、推定した帯電量に基づいてリサイクルトナーの補給比率を決定するようにした以外は、第1実施例の画像形成装置100と同じであるため、異なる内容について説明し、重複する内容についての説明は省略する。
第2実施例の画像形成装置100は、トナー濃度検出センサ46の出力のリップル値に基づいて帯電量を推定し、推定した帯電量に基づいてリサイクルトナーの補給比率を決定するようにした以外は、第1実施例の画像形成装置100と同じであるため、異なる内容について説明し、重複する内容についての説明は省略する。
図11はT/D値差分の変化に対するQ/M値差分の変化の関係を示すグラフである。この関係は、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。T/D値差分が下がれば、つまり、基準T/D値からT/D値が下がる方向に変動すれば、Q/M値差分は高くなる、つまり、基準Q/M値からQ/M値が上がる方向に変動する。逆に、T/D値差分が上がれば、つまり、T/D値が基準T/D値から上がる方向に変動すれば、Q/M値差分は低くなる、つまり、Q/M値が基準Q/M値から下がる方向に変動する。
このような関係からQ/M値の高低をT/D値の高低に置き換えた方が一般的であるため、第2実施例では、T/D値に基づいて、Q/M値の高低を判断するとともに、Q/M値を算出(推定)する。以下、具体的に説明する。
図12は標準の出力値に対する標準のT/D値の関係を示すグラフである。この関係は、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。このグラフに対応する変換テーブル(以下、「T/D値テーブル」という)を用いて、出力値に対するT/D値が算出される。図12に示すように、出力値が大きくなるにつれて、T/D値は小さくなる。この関係によれば、たとえば、出力値が117である場合に、T/D値は7%である。T/D値テーブルでは、出力値が100から160までの間を1ずつ変化され、各出力値に対応してT/D値が記載される。
図13は標準のT/D値に対する標準のQ/M値の関係を示すグラフである。この関係は、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。このグラフに対応する変換テーブル(以下、「Q/M値テーブル」という)を用いて、T/D値に対するQ/M値が算出される。ただし、図13では、ベース1の関係が現在採用される標準的な関係であり、ライフおよび湿度(環境条件)に応じて、採用される関係が適宜変更される。一例として、ライフは、初期、中期および末期の3つの期間に分類される。また、一例として、湿度は低湿(0%以上40%未満)、中間の湿度(40%以上70%未満)、高湿(70%以上100%以下)の3段階に分類される。Q/M値テーブルでは、T/D値が2から10までの間を1ずつ変化され、各T/D値に対応してQ/M値が記載される。ただし、Q/M値テーブルは、ベース1、ベース2およびベース3のそれぞれについて設けられる。
第2実施例では、現像剤のライフが中期であり、湿度が中間の湿度である場合においては、標準の帯電量であるため、ベース1の関係が標準的な関係として用いられる。また、現像剤のライフが初期であり、湿度が低湿である場合においては、帯電量が高いため、ベース2の関係が標準的な関係として用いられる。さらに、現像剤のライフが末期であり、湿度が高湿である場合においては、帯電量が低いため、ベース3の関係が標準的な関係として用いられる。
ただし、この段階では、帯電量の高低が不明であるため、Q/M値を確定することができない。
図14は、標準の出力値に対する標準のリップル値の関係を示すグラフである。この関係は、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。図14に示す例では、図13で示したベース1の場合と同じ条件についての関係が示される。このグラフに対応する変換テーブル(以下、「リップル値テーブル」という)を用いて、現在のリップル値が標準のリップル値よりも高いか低いかが判定される。図示は省略するが、他の条件と同じ条件についても関係も得られており、条件応じて適宜使用される。図14に示すように、出力値が大きくなるにつれて、リップル値も大きくなる。リップル値テーブルでは、出力値が100から160まで1ずつ変化され、各出力値に対応してリップル値が記載される。ただし、リップル値テーブルは、ベース1、ベース2およびベース3のそれぞれの場合と同じ条件について設けられる。ベース1と同じ条件のリップル値テーブルをベースAのリップル値テーブルとし、ベース2と同じ条件のリップル値テーブルをベースBのリップル値テーブルとし、ベース3と同じ条件のリップル値テーブルをベースCのリップル値テーブルとする。
一例として、図14に示すベースAの関係を用いて、現在の出力値に対する現在のリップル値が、図14に示すベースAにおける標準のリップル値よりも高いか低いかを判定する。ただし、判定は、標準の出力値に対する標準のリップル値の関係に基づいて、計算式またはテーブルで計算(推定)される。ここでは、計算式で算出する場合についての一例を説明することにする。現在のリップル値がグラフすなわち曲線よりも上側である場合には、現在のリップル値はベースAにおける標準のリップル値よりも高いと判定される。一方、現在のリップル値がグラフすなわち曲線よりも下側である場合には、現在のリップル値はベースAにおける標準のリップル値よりも低いと判定される。
第2実施例では、現在のリップル値がベースAにおけるリップル値から離れている、すなわち、ベースAにおけるリップル値よりも高いまたは低いと判定された場合に、リサイクルトナーの補給比率が決定(更新)される。
出力値が117である場合には、ベース1に基づく標準のリップル値(以下、「標準リップル値」という)は15である。これに対して、検出した現在のリップル値が図14の点aで示すように20であるとすると、つまり、現在のリップル値が標準のリップル値よりも高いと判定される場合には、現在のリップル値に対する標準のリップル値の比率は、20/15≒1.33である。この比率は実験値(比率≒1.33)と相関性があるため、図13に示した3つの関係から現在のライフおよび環境条件に合致する1つの関係を選択し、選択した1つの関係から算出したQ/M値に上記の比率を乗算した値が現在のQ/M値として推定される。
たとえば、現在のライフおよび環境条件にベース1の関係が合致する場合には、T/D値7%に対応するQ/M値は22μC/gであり、これに比率1.33を乗算した約29.3μC/gが現在のQ/M値として推定される。
現在のQ/M値が推定されると、推定されたQ/M値に基づいて、リサイクルトナーの補給比率が決定される。図15はQ/M値に対するリサイクルトナーの補給比率の関係を示すグラフである。この関係は、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。Q/M値が大きくなるにつれて、リサイクルトナーの補給比率が大きくなる。このグラフに対応する変換テーブル(以下、「補給比率テーブル」という)を用いて、推定されたリップル値に対応するリサイクルトナーの補給比率が決定される。補給比率テーブルでは、リップル値が5から50までの間で1ずつ変化され、各Q/M値に対応してリサイクルトナーの補給比率が記載される。ただし、第2実施例の補給比率テーブルは、第1実施例の補給比率テーブルとは異なる。
図15に示す関係から、図13および図14に基づいて推定したQ/M値に対応する補給比率が算出される。上述した具体例では、Q/M値は約29.3μC/gと推定されるため、補給比率は約48%に決定される。
ただし、実際には、新トナーの残量条件などの制御(現像剤のライフまたは環境および新トナーの残量が減ってくると係数を乗算するなど)による影響を受けるため、推定したQ/M値に対応する補給比率と標準のQ/M値に対応する補給比率の差分を、現在の補給比率に加算して、補給比率を決定(更新)するようにしてある。
つまり、上述の第1実施例では、T/D値差分(T/D値)に基づいて推定されるQ/M値差分(Q/M値)に応じた補給比率テーブルから補給比率が決定されるが、第2実施例では、リップル値に基づいてQ/M値を推定し、第1実施例の方法で決定される補給比率を補正している。
したがって、第2実施例では、T/D値差分テーブルに代えて、関係値記憶領域31Eに、T/D値テーブル、Q/M値テーブルおよびリップル値テーブルが記憶される。また、第1実施例の補給比率テーブルに代えて、第2実施例の補給比率テーブルが関係値記憶領域31Eに記憶される。
図16は第2実施例におけるRAM23のメモリマップ300の一例を示す図である。また、図17は図16に示すRAM23のデータ記憶領域304の一例を示す図である。上述したように、第2実施例では、Q/M値を推定して、リサイクルトナーの補給比率を決定するため、第1実施例で示したプログラムおよびデータの一部が変更される。
具体的には、第2実施例では、T/D値差分算出プログラム302hに代えて、リップル値算出プログラム302m、T/D値算出プログラム302n、Q/M値算出プログラム302p、高低判定プログラム302qおよびQ/M値推定プログラム302rがプログラム記憶領域302に記憶される。
リップル値算出プログラム302mは、出力値からリップル値(平均値)を算出するためのプログラムである。T/D値算出プログラム302nは、T/D値テーブルを用いて、出力値からT/D値を算出するためのプログラムである。Q/M値算出プログラム302pは、Q/M値テーブルを用いて、T/D値からQ/M値を算出するためのプログラムである。高低判定プログラム302qは、リップル値テーブルを用いて、現在のリップル値が標準リップル値よりも高いか低いかを判定するためのプログラムである。Q/M値推定プログラム302rは、現在のリップル値が標準リップル値よりも高いまたは低い場合に、その比率を算出し、算出した比率を用いてQ/M値を推定するためのプログラムである。なお、現在のリップル値が標準リップル値と同じである場合には、Q/M値は推定されない。
また、第1実施例とは異なり、第2実施例では、補給比率決定プログラム302kは、第2実施例の補給比率テーブルを用いて、推定したQ/M値からリサイクルトナーの補給比率を決定する。
また、図17に示すように、第2実施例では、T/D値差分テーブル領域304eおよびリップル値差分テーブル領域304fに代えて、T/D値テーブル領域304m、Q/M値テーブル領域304n、リップル値テーブル領域304pがRAM23のデータ記憶領域304に設けられる。また、T/D値差分データ領域304hに代えて、T/D値データ領域304q、リップル値データ領域304r、Q/M値データ領域304sおよびQ/M比率データ領域304tが設けられる。
T/D値テーブル領域304mは、トナー濃度検出センサ46の出力値に対応するT/D値を算出するためのT/D値テーブルのデータを記憶するための領域である。Q/M値テーブル領域304nは、T/D値に対応するQ/M値を算出するためのベース1~ベース3の各々のQ/M値テーブルのデータを記憶するための領域である。リップル値テーブル領域304pは、現在のリップル値が基準リップル値よりも高いか低いかを判定するためのベースA~ベースCの各々のリップル値テーブルのデータを記憶するための領域である。
T/D値データ領域304qは、T/D値算出プログラム302nに従って算出されたT/D値のデータを記憶するための領域である。リップル値データ領域304rは、リップル値算出プログラム302mに従って算出されたリップル値のデータを記憶するための領域である。Q/M値データ領域304sは、Q/M値算出プログラム302pに従って算出されたQ/M値のデータを記憶するための領域である。Q/M比率データ領域304tは、Q/M値推定プログラム302rに従ってQ/M値を推定する場合に算出されるQ/M比率のデータを記憶するための領域である。
ただし、第1実施例とは異なり、第2実施例では、補給比率テーブル領域304gは、第2実施例の補給比率テーブルのデータを記憶する。
具体的には、第2実施例では、CPU21は、図16に示す制御処理を実行する。以下、第2実施例の制御処理について説明するが、第1実施例で説明した内容と同じ内容については、同じ参照符号を付して示すとともに、簡単に説明することとする。図示は省略するが、図16に示す動作の開始するときに、ライフおよび環境条件に基づいて、T/D値テーブル、Q/M値テーブルおよびリップル値テーブルがそれぞれ選択され、各テーブルのデータがEEPROM31から読み出され、対応するRAM23の記憶領域304m、304n、304pに記憶される。
図16に示すように、CPU21は、ステップS1で、トナー濃度検出センサ46(図2)からの検出信号を受信して、データ記憶領域304の入力データ領域304aに記憶する。この検出信号に従って、ステップS3で、CPU21は、図3に示す一定時間毎のトナー濃度検出センサ46の出力値(平均値)を算出する。
また、ステップS3の処理と並行して、あるいは前後して、CPU21は、ステップS21で、図4に示す一定時間毎のリップル値を算出する。算出されたリップル値のデータは、RAM23のデータ記憶領域304に記憶される。
続くステップS23では、図12に示したようなグラフに対応するT/D値テーブルを用いて、ステップS3で算出したトナー濃度検出センサ46の出力値からT/D値を算出する。このT/D値のデータが、データ記憶領域304のT/D値データ領域304qに記憶される。
次のステップS25では、CPU21は、図14に示したようなグラフに対応するリップル値テーブルを用いて、ステップS21で算出した現在のリップル値が標準リップル値よりも高いか低いかを判定する。つまり、CPU21は、標準の出力値に対するリップル値のテーブル(標準の曲線)と、現在の出力とリップル値を比較して、同じ出力値において、現在のリップル値が標準の曲線から離れているかを算出する。ただし、算出された現在のリップル値のデータは、データ記憶領域304のリップル値データ領域304rに記憶される。
続いて、ステップS27では、帯電量が標準よりもいくら高いか低いかを算出し、帯電量を推定する。ただし、第2実施例では、CPU21は、リップル値テーブルに基づいて、標準リップル値に対する現在のリップル値の比率を算出し、この比率に基づいて標準Q/M値に対する現在のQ/M値の比率すなわちQ/M比率を算出し、ライフおよび環境条件に応じて選択したQ/M値テーブルで算出されるQ/M値にQ/M比率を乗算して、現在のQ/M値を推定する。
そして、ステップS29で、CPU21は、推定した現在の帯電量すなわちQ/M値に基づいてリサイクルトナーの補給比率を決定し、CPU21の動作は、そのときのジョブを実行するための制御フローへ移行する。上述したように、ステップS29では、CPU21は、推定したQ/M値に対応する補給比率から標準Q/M値に対応する補給比率の差分を算出し、現在の補給比率にその差分を加算する。ただし、今回決定された補給比率のデータは、データ記憶領域304の補給比率データ領域304kに記憶される。
第2実施例においても、トナー濃度検出センサを用いた場合にも、リサイクルトナーの補給比率を適切に決定することができる。
<第3実施例>
第3実施例の画像形成装置100は、リサイクルトナーの残量が少なく、安定して補給できない場合に、新トナーのみを補給するようにした以外は、第1実施例および第2実施例と同じあるため、異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
第3実施例の画像形成装置100は、リサイクルトナーの残量が少なく、安定して補給できない場合に、新トナーのみを補給するようにした以外は、第1実施例および第2実施例と同じあるため、異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
第3実施例では、リサイクルトナーの残量を検出するためのセンサ(残量検知センサ)72が回収層4Cの底部に設けられる。残量検知センサ72としては、圧電センサまたは透磁率センサを用いることができる。残量検知センサ72は、CPU21に接続され、リサイクルトナーの残量(蓄積量)を検出し、検出信号をCPU21に入力する。
CPU21は、リサイクルトナーの残量が少なく、安定して補給できないと判断した場合には、安定して補給できる所定量だけリサイクルトナーが溜まるまで、リサイクルトナーの補給を停止し、新トナーのみを補給するようにする。一例として、所定量は、2分間連続しで補給量が安定している量であり、具体的には、20gである。また、新トナーのみを補給する場合には、リサイクルトナーの補給比率が削除される。ただし、リサイクルトナーの補給比率に関係無く、駆動モータ451Aおよびモータドライバ452Aを駆動せずに、駆動モータ451Bおよびモータドライバ452Bのみを駆動するようにしてもよい。この場合、リサイクルトナーの補給比率を削除する必要はない。
第3実施例においても、トナー濃度検出センサを用いた場合にも、リサイクルトナーの補給比率を適切に決定することができる。
また、第3実施例によれば、リサイクルトナーの補給を安定して行えない場合には、新トナーのみを補給するように制御するので、混合した全体のトナー補給量の低下を回避することができる。
<第4実施例>
第4実施例の画像形成装置100は、新トナーの残量が少なく、ニアエンド状態となり、補給量が低下してきたと推定した場合に、新トナーの補給量に応じた補給比率でリサイクルトナーを補給するようにした以外は、第1実施例~第3実施例と同じあるため、異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
第4実施例の画像形成装置100は、新トナーの残量が少なく、ニアエンド状態となり、補給量が低下してきたと推定した場合に、新トナーの補給量に応じた補給比率でリサイクルトナーを補給するようにした以外は、第1実施例~第3実施例と同じあるため、異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図19は新トナーの使用率(%)に対する新トナーの補給量(g/分)の関係を示すグラフである。この関係は、発明者等が事前に行った実験結果に基づいて作成される。図19から分かるように、新トナー使用率が0~80%では、新トナーは安定して補給され、新トナーの補給量は10g/分(一定)である。ただし、新トナー使用率が80%を超えると、つまり、ニアエンド状態になると、新トナーの補給量は次第に低下する。新トナー使用率が95%では、新トナー補給量は安定時の半分程度に低下している。
このように、新トナーの補給量が安定して補給されるとき(以下、単に「安定時」という)よりも低下した場合に、補給比率に従ってリサイクルトナーを補給すると、決定した補給比率よりも、リサイクルトナーの割合が多くなってしまい、補給するトナーの性能が低下し、不具合を発生させてしまう。たとえば、現像剤の帯電量および流動性が低下するなどの不具合が発生する。
このため、図20に示すような減算係数を設定し、補給量が低下するニアエンド状態において、リサイクルトナーの補給比率を補正(すなわち、補給比率に減算係数を乗算)するようにしてある。図20は、新トナー使用率(%)に対応するリサイクルトナーの補給比率の減算係数の関係を示すグラフであり、新トナーの補給量が低下した場合にも、新トナーに対するリサイクルトナーの補給比率を維持するように減算係数が算出される。図20からも分かるように、新トナー使用率が0~80%では、新トナーは安定して補給されるため、減算係数(X)は1(一定)である。ただし、新トナー使用率が80%を超えると、つまり、ニアエンド状態になると、新トナーの補給量は次第に低下するため、新トナーの補給量の低下に比例するように、減算係数も低下される。
具体的には、CPU21は、図10でステップS7の処理を実行した後または図18に示したステップS29の処理を実行した後に、減算係数を算出し、ステップS7またはステップS29で決定した補給比率に減算係数が乗算される。つまり、新トナーの補給量の低下に比例して、補給比率が低下(補正)される。
第4実施例においても、トナー濃度検出センサを用いた場合にも、リサイクルトナーの補給比率を適切に決定することができる。
また、第4実施例によれば、新トナーの補給量が低下した場合には、その低下に合せて補給比率を低下させるので、新トナーとリサイクルトナーの混合比率を一定に保つことができる。つまり、補給するトナーの性能が低下するのを回避することができる。
なお、上述の各実施例では、モノクロの画像形成部を有する画像形成装置100について説明したが、これに限定される必要はない。イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのそれぞれの色についての画像形成部が並んで配置されたタンデム式のカラーの画像形成装置にも適用可能である。この場合、色毎に、補給比率が決定される。したがって、上記の各実施例で説明したテーブルは色毎に予め用意される。
なお、上述の各実施例に示すグラフやその数値等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
1 …感光体ドラム
4 …現像装置
6 …クリーニング装置
8 …リサイクル記憶
10 …画像形成部
20 …制御部
21 …CPU
23 …RAM
31 …EEPROM
46 …トナー濃度検出センサ
100 …画像形成装置
4 …現像装置
6 …クリーニング装置
8 …リサイクル記憶
10 …画像形成部
20 …制御部
21 …CPU
23 …RAM
31 …EEPROM
46 …トナー濃度検出センサ
100 …画像形成装置
Claims (8)
- 感光体へトナーを供給する現像装置を有する画像形成装置であって、
前記現像装置の現像槽に設けられるトナー濃度検出センサ、および
前記トナー濃度検出センサの出力値に基づいて、新トナーに対するリサイクルトナーの補給比率を決定する補給比率決定部を備える、画像形成装置。 - 標準の前記出力値に対する標準のトナー濃度の第1関係を記憶する第1関係記憶部、
前記標準のトナー濃度に対する標準の前記リサイクルトナーの補給比率の第2関係を記憶する第2関係記憶部、
前記第1関係に基づいて、前記トナー濃度検出センサの出力値に対応する前記標準のトナー濃度を算出するトナー濃度算出部、および
前記第2関係に基づいて、前記トナー濃度算出部によって算出されたトナー濃度に対応する前記リサイクルトナーの補給比率を算出する補給比率算出部を備える、請求項1記載の画像形成装置。 - 前記トナー濃度検出センサの出力のリップル値が標準リップル値から離れている度合に基づいて、現在のトナーの帯電量を推定する帯電量推定部をさらに備え、
前記補給比率決定部は、帯電量推定部によって推定された現在のトナーの帯電量に基づいて、前記補給比率を決定する、請求項1記載の画像形成装置。 - 標準の前記出力値に対する標準のリップル値の第3関係を記憶する第3関係記憶部、および
前記第3関係値に基づいて、前記トナー濃度検出センサの出力のリップル値が前記基準のリップル値から離れている度合を算出する度合算出部をさらに備える、請求項3記載の画像形成装置。 - 前記リサイクルトナーの残量を検出する残量検出部、および
前記残量検出部によって検出された前記リサイクルトナーの残量が所定量に満たない場合、所定量以上蓄積されるまで、前記補給比率に関係無く、前記リサイクルトナーの補給を停止させる停止部をさらに備える、請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記新トナーの補給量の低下に比例して、前記補給比率を低下させる、請求項1から5までのいずれかに記載の画像形成装置。
- 感光体へトナーを供給する現像装置および前記現像装置の現像槽に設けられるトナー濃度検出センサを備える画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、前記トナー濃度検出センサの出力値に基づいて、新トナーに対するリサイクルトナーの補給比率を決定する補給比率決定ステップを実行させる、制御プログラム。 - 感光体へトナーを供給する現像装置および前記現像装置の現像槽に設けられるトナー濃度検出センサを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記トナー濃度検出センサの出力値に基づいて、新トナーに対するリサイクルトナーの補給比率を決定する、制御方法。
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