JP2023088613A - 測定装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】センサの検出性能を考慮した測定量を得る。【解決手段】センサと通信を行う測定装置1は、センサから、自己のセンサ固有の検出量に関する情報及びそのセンサで検出された検出量を取得する。そして測定装置1は、取得された検出量をセンサ固有の検出量に関する情報に基づいて補正する。そして測定装置1は、補正された検出量に基づいて測定対象についての測定量を演算する。【選択図】図1
Description
本発明は、測定装置及びプログラムに関する。
特許文献1には、センサによって検出された検出量に基づいて測定量を測定する測定装置が開示されている。
上述の測定装置においては、測定対象についての測定量を検出するセンサの出力端が、測定装置の入力端に電気的に接続される。そして測定装置は、そのセンサからセンサの検出量を取得し、センサの検出量に基づいて測定対象についての測定量を演算する。
しかしながら、測定装置が取得するセンサの検出量には、センサの検出特性又はセンサ自体の個体差などの検出性能に起因する誤差が含まれる。それゆえ、センサの検出量に基づいて演算される測定量にもセンサの検出性能に起因する誤差成分が含まれてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、センサの検出性能を考慮した測定量を得ることを目的とする。
本発明のある態様によれば、センサと通信を行う測定装置は、前記センサから、前記センサ固有の検出量に関する情報及び前記センサで検出された前記検出量を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記検出量を前記情報に基づいて補正する処理手段と、前記処理手段により補正された前記検出量に基づいて測定対象についての測定量を演算する演算手段とを含む。
この態様によれば、測定量を演算する際において、センサ自体から取得したセンサ固有の検出量に関する情報を用いることにより、センサの検出性能に起因する誤差を考慮することが可能となる。このため、センサの検出性能を考慮した測定量を得ることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態における複数のセンサに接続された測定装置の構成を示すブロック図である。
測定装置1は、一又は複数のセンサを用いて測定対象9の状態を測定する装置である。測定装置1は、例えば、電力解析器、電圧測定器、電流測定器、磁界測定器、又は光測定器により実現される。
測定対象9としては、電力を伝送する電線路、電気抵抗を有する物体、光、及び磁束密度などが挙げられる。本実施形態における測定対象9は、交流電力を伝送する電線路である。以下では、電線路を流れる交流電流の周波数のことを測定周波数と称する。
本実施形態において、測定装置1は、電流センサ2及び電圧センサ3の出力信号に基づいて測定対象9の交流電力を測定する。測定装置1は、プロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース、及びこれらを相互に接続するバスなどによって構成されるコンピュータである。
電流センサ2及び電圧センサ3は、測定対象9についての検出量を検出するセンサであり、内部のROM又はRAMに自己のセンサ固有の検出量に関する情報を格納(保持)する。このセンサは、センサ自身と測定装置1との間で通信を行い、有線又は無線を介して測定装置1に接続される。
以下では、センサ固有の検出量に関する情報のことを「センサ情報」と称する。ここにいうセンサ情報には、センサの種類ごとに定められた固有の情報と、同一種類における個々のセンサごとに定められた固有の情報と、の少なくとも一つの情報が含まれる。
電流センサ2は、測定対象9に流れる電流Iにかかる検出量を検出する。例えば、電流センサ2は、測定対象9の電流Iによって作られる磁束を検出する磁気センサを備え、この磁気センサによって磁束を検出することで得られた電圧を、電流にかかる検出量として検出する。電流センサ2は、センサ自身と測定装置1との間で通信を行い、電流Iの大きさにかかる時系列の検出量を検出信号に変換し、有線又は無線を介して測定装置1に出力する。
電流センサ2は、例えば、鉄心などの磁気コアに巻線を巻き付けたコイルによって構成される。電流センサ2は、貫通型であってもクランプ型であってもよい。
電流センサ2は、メモリ21を有する。メモリ21は、不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)により実現される。メモリ21には、電流センサ2自身のセンサ情報が格納されている。
電流センサ2のセンサ情報としては、例えば、電流センサ2を識別するためのセンサ識別データ、及び、電流センサ2の位相及び振幅の周波数特性を示す検出特性データなどが含まれる。
電圧センサ3は、測定対象9に生じる電圧Vの大きさにかかる検出量を検出する。例えば、電圧センサ3は、測定対象9の電圧を非接触で検出するための電極と、その電極に電圧を印加する回路とを備え、その電極と測定対象9との間に電流が流れないように電極に電圧を発生することで得られた電圧を、電圧にかかる検出量として検出する。電圧センサ3は、センサ自身と測定装置1との間で通信を行い、検出した時系列の検出量を検出信号に変換し、有線又は無線を介して測定装置1に出力する。
電圧センサ3は、電流センサ2の構成と同様、メモリ31を有する。メモリ31は、不揮発性メモリであり、例えばEEPROMにより実現される。メモリ31には、電圧センサ3自身のセンサ情報が保持されている。センサ情報としては、センサ識別データ、及び検出特性データなどが含まれる。
続いて、電流センサ2及び電圧センサ3の各センサに格納されるセンサ情報について図2及び図3を参照して説明する。
図2は、電流センサ2のメモリ21に格納されるセンサ情報22の一例を示す観念図である。
図2に示すように、センサ情報22は、センサ形名221と、シリアル番号222と、位相特性データ223と、振幅特性データ224と、を含む。
センサ形名221及びシリアル番号222は、電流センサ2を識別するためのセンサ識別データである。
センサ形名221は、電流センサ2の性能及び構造を特定するための識別子であり、シリアル番号222は、電流センサ2固有の識別番号である。
位相特性データ223、振幅特性データ224及び定格電流225は、電流センサ2における電流の検出特性を示す検出特性データである。
位相特性データ223は、電流センサ2で検出される検出量に関する位相の周波数特性を示す情報である。例えば、位相特性データ223は、電流センサ2に起因する検出量の交流電圧に対する位相遅れを特定の周波数ごとに示す対応テーブルによって形成される。
同様に、振幅特性データ224は、電流センサ2で検出される検出量に関する振幅の周波数特性を示す情報である。例えば、振幅特性データ224は、電圧センサ3に起因する検出量の交流電圧に対する位相遅れを特定の周波数ごとに示す対応テーブルによって形成される。
本実施形態における位相特性データ223及び振幅特性データ224は、電流センサ2固有の検出特性を示す対応テーブルである。なお、位相特性データ223及び振幅特性データ224は、電流センサ2の標準的な検出特性を示す対応テーブルであってもよく、または、検出特性を規定する関数を示す関数データであってもよい。
このように、電流センサ2のメモリ21には、センサ情報22として、電流センサ2のセンサ識別データ、及び検出特性データが格納される。
図3は、電圧センサ3のメモリ31に格納されるセンサ情報32の一例を示す観念図である。
図3に示すように、センサ情報32は、センサ形名321と、シリアル番号322と、を含む。
センサ形名321及びシリアル番号322は、それぞれ、上述したセンサ情報22に含まれるセンサ形名221及びシリアル番号222に対応している。
図4は、本実施形態における測定装置1の機能構成を示すブロック図である。
測定装置1は、操作部10と、第一の取得手段に相当するセンサ情報取得部20と、第二の取得手段に相当する検出信号取得部30と、測定量演算部40と、記憶部50と、通信部60と、処理部100とを備える。
操作部10は、表示画面の周囲に設けられる複数の押しボタン、表示画面内に配置されるタッチセンサ、又は、キーボード及びマウスなどによって構成される。操作部10は、測定装置1を利用する者である利用者の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の内容を示す操作信号を生成する。
入力操作としては、例えば、電源ボタンを押下する操作、測定条件を設定する操作、測定対象9の交流電力を測定するための測定処理の実行を指示する操作、及び測定処理の終了を指示する操作などが挙げられる。
操作部10は、利用者による測定条件を設定する入力操作を受け付けると、測定条件を示す操作信号を記憶部50に記録するために、その操作信号を処理部100に出力する。また、操作部10は、利用者による測定処理の実行を指示する入力操作を受け付けると、その入力操作の内容を示す操作信号を処理部100に出力する。
センサ情報取得部20は、測定装置1に接続されるセンサからセンサ情報を取得する取得手段として機能する。
本実施形態におけるセンサ情報取得部20は、電流センサ2及び電圧センサ3の各センサと通信を行うことにより、各センサからセンサ情報22及びセンサ情報32を取得する。例えば、センサ情報取得部20は、電流センサ2からセンサ情報22に含まれる検出特性データを取得する。センサ情報取得部20は、取得した各センサのセンサ情報22及び32を処理部100に出力する。
検出信号取得部30は、測定装置1に接続されるセンサから、そのセンサで検出された検出量を取得する取得手段として機能する。
検出信号取得部30は、電流センサ2及び電圧センサ3の各センサから、各センサで検出された検出量を変換した検出信号を取得する。検出信号取得部30は、取得した各センサの検出信号から取り出した検出量を処理部100に出力する。
測定量演算部40は、処理部100により取得される検出量に基づいて測定対象9についての測定量を演算する演算手段として機能する。演算される測定量としては、例えば、電流、電位、電力及び磁界などの量を指す物理量、並びに、化学物質などの量を指す化学量が挙げられる。
本実施形態において、測定量演算部40は、処理部100から出力される電流センサ2の検出量に基づいて測定対象9に流れる電流Iの実効値を演算する。また、測定量演算部40は、電圧センサ3から出力される検出信号から取り出した検出量に基づいて測定対象9に生じる電圧Vの実効値を演算する。さらに測定量演算部40は、測定対象9に生じる電圧Vに対する電流Iの位相差を演算する。
そして、測定量演算部40は、次式(1)のように、演算された電流Iの実効値Irms、電圧Vの実効値Vrms及び位相差θを用いて、測定対象9における電力Pの平均値を演算する。
P = Irms・Vrms×cosθ ・・・(1)
このように、測定量演算部40は、各センサにより得られる検出量に基づいて、測定対象9に伝送される電力Pの大きさを示す測定量を演算する。測定量演算部40は、演算した測定量を測定結果として処理部100に出力する。
記憶部50は、測定条件及び測定結果を記憶する。例えば、測定結果として、測定量演算部40で演算される電流I及び電圧Vの各値を時系列に示す時系列データと電力Pの平均値とが記憶部50に記憶される。記憶部50の一部は、例えば、測定装置1に接続可能なUSBメモリなどの外部メモリによって構成されてもよい。
また、記憶部50には、処理部100が本実施形態に係る測定処理を実行するためのプログラムが記憶されている。すなわち、記憶部50は、測定装置1の各部を制御するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
通信部60は、測定装置1と外部装置との間で通信を行う。通信部60は、例えばインターネット網又は電話網などのネットワークを通じて、外部装置に測定条件又は測定結果を送信又は受信する。通信部60は、例えば通信回路により実現される。
処理部100は、センサ情報取得部20により取得されるセンサ情報22及びセンサ情報32に基づいて検出信号取得部30により取得される検出量を補正する処理手段として機能する。
処理部100は、測定装置1の各部を制御するプロセッサであり、プロセッサとしては、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)などが挙げられる。
本実施形態において、処理部100は、センサ情報取得部20から電流センサ2のセンサ情報22及び電圧センサ3のセンサ情報32を取得し、これらのセンサ情報22及びセンサ情報32をそれぞれ記憶部50に記録する。
そして、処理部100は、検出信号取得部30から電流センサ2の検出量を取得すると、電流センサ2のセンサ情報22に示された位相特性データ223に基づいて、取得した電流センサ2の検出量を補正する。さらに処理部100は、センサ情報22に示された振幅特性データ224に基づいて、取得した電流センサ2の検出量を補正するものであってもよい。
電圧センサ3が位相及び振幅の周波数変動が大きい検出特性を有する場合は、電流センサ2と同様、メモリ31に電圧センサ3の位相特性データ及び振幅特性データが格納され、処理部100がこれらの取得したデータに基づき電圧センサ3の検出量を補正してもよい。
その後、処理部100は、補正した電流センサ2の検出量を測定量演算部40に出力する。そして測定量演算部40は、電流センサ2の補正後の検出量を用いて、上述のように、電流Iの交流波形、電流Iの実効値、及び電力Pの平均値などの測定量を演算する。これにより、測定量演算部40によって演算される測定量の確度が向上する。
図5に示す例では処理部100が位相特性データ223を用いて電流センサ2の検出量に対し線形補正又は非線形補正を施したが、同様に処理部100は、振幅特性データ224を用いて近似直線又は近似曲線を求めて電流センサ2の検出量を補正する。
また、図5に示す例では各センサのセンサ情報及び検出量は、それぞれ異なるセンサ情報取得部20及び検出信号取得部30によって取得されたが、同一の取得部によって取得されてもよい。
次に、電流センサ2のセンサ情報22に示された位相特性データに基づき電流センサ2の検出量を補正する手法について図5を参照して説明する。
図5は、電流センサ2に関するセンサ情報22に含まれる位相特性データ223の一例を示す模式図である。ここでは、縦軸が、測定対象9に印加された交流電圧に対する電流センサ2の検出量の位相を示し、横軸が、電流センサ2の検出量の周波数を示す。
図5の実線で示される位相特性データ223は、周波数ごとに規定された位相遅れを示す複数の周波数点によって形成されている。位相特性データ223の高周波帯域においては、交流電流の周波数が高くなるにつれて、測定対象9に印加された交流電圧に対する位相遅れが、高周波帯域よりも低い周波数帯域での位相遅れに比べて大きくなっている。
これに対し、電流センサ2による検出可能周波数範囲内の代表する一点の周波数の位相遅れを示す位相特性データを用いて電流センサ2の検出量を線形補正することも可能である。この場合、処理部100は、一点の周波数の位相遅れに基づいて交流電流の周波数及び位相遅れの関係を示す近似直線を求め、その近似直線において測定周波数に対応する位相遅れを算出する。そして処理部100は、算出した位相遅れを検出量の遅れ時間に換算し、その時間だけ電流センサ2から得られた時系列の検出量をシフトさせる。このようにして処理部100は、図5の破線に示すように、電流センサ2の検出量を補正する。
しかしながら、近似直線を求めて測定周波数の位相遅れを算出する手法では、図5の破線に示すように高周波帯域において検出量を十分に補正することができない場合がある。この対策として、複数の周波数点で位相遅れを規定した位相特性データ223を用いて電流センサ2の検出量に対して非線形補正が施される。
具体的には、処理部100は、電流センサ2の位相特性を精度よく近似するために、複数の周波数点の位相遅れを示す位相特性データ223を用いることにより、高次方程式で表される近似曲線を求める。そして処理部100は、その近似曲線において測定周波数に対応する位相遅れを算出し、算出した位相遅れを電流センサ2の検出量に適用することによって、図5の一点鎖線のように電流センサ2の検出量を補正する。
これにより、電流センサ2を用いて測定対象9に流れる高周波帯域の電流Iを検出する場合においても精度よく電流センサ2の検出量を補正することが可能となり、電流センサ2の位相特性に起因する高周波帯域での測定精度の低下を抑制することができる。
次に、本実施形態における測定装置1の動作について図6を参照して説明する。
図6は、測定対象9の状態を測定するための測定方法の処理手順例を示すフローチャートである。
ステップS1において測定装置1は、電流センサ2から、自己の電流センサ2固有の検出量に関する情報を含むセンサ情報22を取得する。また、測定装置1は、電圧センサ3から、自己の電圧センサ3固有の検出量に関する情報を含むセンサ情報32を取得する。
ステップS2において測定装置1は、電流センサ2から、測定対象9に流れる電流Iの大きさにかかる検出量を取得する。また、測定装置1は、電圧センサ3から、測定対象9に生じる電圧Vの大きさにかかる検出量を取得する。
ステップS3において測定装置1は、電流センサ2からのセンサ情報22に基づいて、電流センサ2で検出される電流Iの大きさにかかる検出量を補正する。
本実施形態では、測定装置1は、図5で述べた通り、センサ情報22に含まれる位相特性データ223に基づいて検出量の位相遅れと周波数との関係を示す近似関数を求め、その近似関数に測定周波数の値を代入して位相遅れを算出する。測定装置1は、算出した位相遅れに基づいて電流センサ2による時系列の検出量の遅延を補正する。
ステップS4において測定装置1は、電流センサ2の補正後の検出量と電圧センサ3の検出量とに基づいて測定対象9に伝送される電力Pの測定量を演算する。
具体例として、測定装置1は、電流センサ2の補正後の検出量に基づいて電流Iの実効値Irmsを演算するとともに、電圧センサ3の検出量に基づいて電圧Vの実効値Vrmsを演算する。さらに測定装置1は、電流センサ2の補正後の時系列の検出量と電圧センサ3の時系列の検出量との位相差θを求める。
そして、測定装置1は、上式(1)のように、電流Iの実効値Irms、電圧Vの実効値Vrms、及び、電圧Vに対する電流Iの位相差θを用いて、測定対象9に伝送される電力Pの平均値を算出する。
このように、測定装置1は、補正された検出量に基づいて測定対象9についての測定量を演算する。測定対象9についての測定量としては、例えば、電流I及び電圧Vの瞬時値、電流I及び電圧Vの最大値、実効値及び平均値、並びに電力Pの瞬時値及び平均値などが挙げられる。
そしてステップS4の処理が完了すると、本実施形態における測定方法についての一連の処理が終了する。
以下に、本実施形態の作用効果について詳しく説明する。
本実施形態における測定装置1は、自己の電流センサ2固有の検出量に関する情報を含むセンサ情報22を保持する電流センサ2と通信を行う。測定装置1は、電流センサ2からセンサ情報22及び電流センサ2で検出された電流Iの検出量を取得する取得手段として機能するセンサ情報取得部20を備える。そして測定装置1は、検出信号取得部30により取得された検出量をセンサ情報22に基づいて補正する処理手段として機能する処理部100と、処理部100により補正された検出量に基づいて測定対象9についての電流Iの測定量を演算する演算手段として測定量演算部40と、を備える。
同様に測定装置1は、電圧センサ3についても、電圧センサ3固有の検出量に関する情報を含むセンサ情報32に基づいて電圧センサ3で検出された電圧Vの検出量を補正し、補正した検出量に基づいて測定対象9についての電圧Vの測定量を演算する。
また、本実施形態における測定装置1を構成するコンピュータに実行されるためのプログラムは、電流センサ2からセンサ情報22及び電流センサ2で検出された検出量を取得する取得ステップ(S2及びS3)を備える。そしてプログラムは、取得ステップ(S2)により取得された検出量をセンサ情報22に基づいて補正する処理ステップ(S3)と、処理ステップ(S2)により補正された検出量に基づいて測定対象9についての測定量を演算する演算ステップ(S4)と、を含む。
同様に上記プログラムは、電圧センサ3についても、センサ情報32に基づき補正された電圧センサ3の検出量を用いて測定対象9についての測定量を演算するための処理を実行する。
これらの構成によれば、測定対象9についての測定量を演算する際に、電流センサ2自体から取得したセンサ情報22に含まれる電流センサ2固有の検出量が用いられる。そもそも、測定対象9についての測定量は、電流センサ2の検出量に基づいて演算されることから、電流センサ2の検出性能の影響を受ける場合がある。
それゆえ、測定量を演算する際においてセンサ情報22を用いることにより、電流センサ2の検出性能に起因する検出誤差を考慮することが可能となる。したがって、電流センサ2の検出性能を考慮した測定量を得ることができる。これにより、電流センサ2の検出量に基づいて得られる測定量を測定する精度である測定精度を高めることができる。
また、これらの構成によれば、電流センサ2自体からセンサ情報22を取得することから、測定装置1に接続された電流センサ2を、自己のセンサ情報22を保持する別の電流センサ2に交換した場合でも、同様に測定精度を高めることができる。
また、本実施形態において、センサ情報22は、電流センサ2で検出される検出量に関する位相の周波数特性を示す情報として位相特性データ223を含む。そして処理部100は、位相特性データ223に基づいて電流センサ2の検出量を補正し、測定量演算部40は、処理部100により補正された検出量に基づいて測定対象9についての測定量を演算する。演算される測定量としては、例えば、測定対象9に流れる電流Iの波形、瞬時値、実効値及び平均値と、測定対象9に伝送される電力Pの波形、瞬時値及び平均値とが挙げられる。
この構成によれば、電流センサ2の検出量が補正されるので、電流センサ2の高周波帯域における検出量の位相遅れに起因する検出誤差を抑制することができる。したがって、測定対象9についての測定量を測定する精度を高めることができる。
また、本実施形態において、センサ情報22は、電流センサ2で検出される検出量に関する振幅の周波数特性を示す情報として振幅特性データ224を含む。そして処理部100は、振幅特性データ224に基づいて電流センサ2の検出量を補正し、測定量演算部40は、処理部100により補正された検出量に基づいて測定対象9についての測定量を演算する。
この構成によれば、電流センサ2の検出量が補正されるので、電流センサ2の高周波帯域における検出量の振幅減衰に起因する検出誤差を抑制することができる。したがって、測定対象9についての測定量を測定する精度を高めることができる。
また、本実施形態における測定装置1は、複数のセンサとして電流センサ2及び電圧センサ3の各々と通信を行う。そしてセンサ情報取得部20は、電流センサ2からセンサ情報22を取得するとともに電圧センサ3からセンサ情報32を取得し、処理部100は、取得したセンサ情報32に基づいて電圧センサ3の検出量を補正する。すなわち、センサ情報取得部20は、電流センサ2及び電圧センサ3の個々のセンサごとにセンサ情報を取得し、処理部100は、個々のセンサごとにセンサ情報に基づいて検出量を補正する。
そして、測定量演算部40は、電流センサ2及び電圧センサ3の個々のセンサごとに、処理部100により補正された複数の検出量に基づいて測定対象9についての測定量を演算する。例えば、測定量演算部40は、処理部100による電流センサ2の補正後の検出量及び電圧センサ3の補正後の検出量に基づいて、上式(1)のように測定対象9に伝送される電力Pの平均値を算出する。
この構成によれば、測定量演算部40により演算される測定量において電流センサ2及び電圧センサ3の検出性能に起因する検出誤差の成分が低減されるので、複数のセンサを用いて測定される一つの測定量についての測定精度を高めることができる。
また、測定装置1は、電流センサ2及び電圧センサ3ごとにセンサ情報を取得することから、測定装置1における電流センサ2及び電圧センサ3の接続位置を入れ替えて測定する場合でも、同様に測定精度を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、本実施形態では電流センサ2に加えて電圧センサ3にもセンサ情報が格納されていたが、電流センサ2のみ又は電圧センサ3のみにセンサ情報が格納されている構成であってもよい。
また、本実施形態では電流センサ2の検出量を補正するために位相特性データ223を用いたが、この代わりに群遅延特性データを用いて位相の補正を行ってもよい。
また、本実施形態では測定対象9が一本の電線路であったが、測定対象9は、三相交流電力を伝送する三本の電線路であってもよい。この場合であっても、三つの電流センサ2及び三つの電圧センサ3を測定対象9に設置し、測定装置1は、本実施形態と同様に各センサから取得される三つのセンサ情報22及び三つのセンサ情報32に基づいて三相交流電力を演算してもよい。
また、本実施形態では電流センサ2及び電圧センサ3を用いて測定対象9の交流電流及び交流電圧にかかる検出量を検出したが、電流センサ2及び電圧センサ3を用いて測定対象9の直流電流及び直流電圧にかかる検出量を検出してもよい。
また、本実施形態では測定装置1に操作部10及び通信部60が設けられているが、例えば操作部10及び通信部60の少なくとも一方を省略してもよい。
また、本実施形態では電流センサ2及び電圧センサ3はいずれも測定対象9に非接触で検出量を検出したが、測定装置1に接続されるセンサは、測定対象9に接触して検出量を検出するものであってもよい。例えば、センサは、測定対象9にプローブを接触し測定対象9の高電圧を測定装置1に入力できる電圧に変換して変換後の電圧を検出量として出力する高圧プローブであってもよい。あるいは、センサは、測定対象9にプローブを接触し大電流を測定装置1に入力できる電圧に変換して変換後の電圧を検出量として出力する分流器であってもよい。
1 測定装置
2 電流センサ(センサ)
3 電圧センサ(センサ)
20 センサ情報取得部(取得手段)
22、32 センサ情報
30 検出信号取得部(取得手段)
40 測定量演算部(演算手段)
100 処理部(処理手段)
2 電流センサ(センサ)
3 電圧センサ(センサ)
20 センサ情報取得部(取得手段)
22、32 センサ情報
30 検出信号取得部(取得手段)
40 測定量演算部(演算手段)
100 処理部(処理手段)
Claims (5)
- センサと通信を行う測定装置であって、
前記センサから、前記センサ固有の検出量に関する情報及び前記センサで検出された前記検出量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記検出量を前記情報に基づいて補正する処理手段と、
前記処理手段により補正された前記検出量に基づいて測定対象についての測定量を演算する演算手段と、
を含む測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置であって、
前記センサ固有の検出量に関する情報は、前記検出量の位相の周波数特性を示す情報を含み、
前記処理手段は、前記位相の周波数特性を示す情報に基づいて前記検出量を補正する、
測定装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の測定装置であって、
前記センサ固有の検出量に関する情報は、前記検出量の振幅の周波数特性を示す情報を含み、
前記処理手段は、前記振幅の周波数特性を示す情報に基づいて前記検出量を補正する、
測定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記測定装置は、複数の前記センサと通信を行い、
前記取得手段は、前記センサごとに、前記センサ固有の検出量に関する情報及び前記センサで検出された前記検出量を取得し、
前記処理手段は、前記センサごとに、前記取得手段により取得された前記検出量を前記情報に基づいて補正し、
前記演算手段は、前記センサごとに補正された複数の前記検出量に基づいて前記測定量を演算する、
測定装置。 - センサと通信を行うコンピュータに、
前記センサから、前記センサ固有の検出量に関する情報及び前記センサで検出された前記検出量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記検出量を前記情報に基づいて補正する処理ステップと、
前記処理ステップにより補正された前記検出量に基づいて測定対象についての測定量を演算する演算ステップと、
を実行させるためのプログラム。
Priority Applications (2)
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PCT/JP2022/044287 WO2023112686A1 (ja) | 2021-12-15 | 2022-11-30 | 測定装置及び記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021203454A JP2023088613A (ja) | 2021-12-15 | 2021-12-15 | 測定装置及びプログラム |
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Family Applications (1)
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JP2021203454A Pending JP2023088613A (ja) | 2021-12-15 | 2021-12-15 | 測定装置及びプログラム |
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WO (1) | WO2023112686A1 (ja) |
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-
2021
- 2021-12-15 JP JP2021203454A patent/JP2023088613A/ja active Pending
-
2022
- 2022-11-30 WO PCT/JP2022/044287 patent/WO2023112686A1/ja unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
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WO2023112686A1 (ja) | 2023-06-22 |
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