JP2023087627A - インダン環含有化合物、硬化性組成物、硬化物、プリプレグ、回路基板、ビルドアップフィルム、半導体封止材及び半導体装置 - Google Patents

インダン環含有化合物、硬化性組成物、硬化物、プリプレグ、回路基板、ビルドアップフィルム、半導体封止材及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐熱性及び低誘電正接を示すインダン環含有化合物、当該インダン環含有化合物を含有する硬化性組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】一般式(1a)で表される構造単位と、一般式(2)又は一般式(3)で表される構造単位とを有し、かつ末端部位の少なくとも1つがアルケニル基である、インダン環含有化合物である。TIFF2023087627000037.tif50168TIFF2023087627000038.tif41163【選択図】図7

Description

本開示は、インダン環含有化合物、硬化性組成物、硬化物、プリプレグ、回路基板、ビルドアップフィルム、半導体封止材及び半導体装置に関する。
電子機器用の回路基板材料としてエポキシ系樹脂又はBT(ビスマレイミド-トリアジン)系樹脂などの熱硬化性樹脂を、ガラスクロスに含浸、加熱乾燥して得られるプリプレグ、該プリプレグを加熱硬化した積層板、及び当該積層板と該プリプレグとを組み合わせて加熱硬化した多層板が、電子機器用の回路基板材料として広く使用されている。中でも、半導体を実装するためのインターポーザの役割を果たすプリント配線板の一種であるパッケージ基板は薄型化が進み、実装時のパッケージ基板の反りが問題となることから、実装時のパッケージ基板の反りを抑制するため、高耐熱性を発現する材料が求められている。特に最近では伝送損失を低減しうる高周波基板が求められるため、樹脂材料には、伝送損失低減に密接に関連する低誘電正接発現への要求が高まっている。
例えば、特許文献1には、空孔導入しなくとも低い誘電率を有し、好適な層間絶縁膜材料として、所定のインダン骨格を有するポリインダン誘導体からなる低誘電材料が開示されている。そして、特許文献1には、分子のπ電子及び水素原子を減少させることにより分子の分極率を低下させて低誘電率を達成することから、水素原子以外の炭化水素基等が前記所定のインダン骨格のベンゼン環部位に置換されていることが記載されている。
特開2007-311732号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、低誘電率及び耐熱性については検討しているものの、特に耐熱性については先端材料用途に要求されるレベルには達していない。さらに、特許文献1の技術により得られたポリインダン誘導体からなる低誘電材料では、分子中に残存するビニル基の量が限られてしまい、当該低誘電材料を硬化する際の現像性などに影響を及ぼす虞がある。
そこで、本開示が解決しようとする技術的課題は、優れた耐熱性及び低誘電正接を示す、インダン環含有化合物及びその製造方法、インダン環含有化合物を含有するインダン系混合物、インダン環含有化合物を含有する硬化性組成物及びその硬化物、並びに当該硬化物を用いた、プリプレグ、回路基板、ビルドアップフィルム、半導体封止材及び半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の一般式(1a)で表される構造単位と、以下の一般式(2)又は一般式(3)で表される構造単位とを有し、かつ末端部位の少なくとも1つがアルケニル基を有するインダン環含有化合物を用いることにより、低誘電正接及び優れた耐熱性を高次に両立することができるインダン環含有化合物、前記インダン環含有化合物を含有するインダン系混合物、前記インダン環含有化合物を含有する硬化性組成物及びその硬化物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
Figure 2023087627000002
(上記一般式(1a)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、n12は平均繰り返し単位数を表す。)
Figure 2023087627000003
(上記一般式(2)中、R14はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上3以下の整数を表す。)
(上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。)
本開示によれば、極めて低い誘電正接を示し、かつ耐熱性に優れた、インダン環含有化合物、インダン環含有化合物を含有するインダン系混合物、インダン環含有化合物を含有する硬化性組成物及びその硬化物を提供しうる。
本開示によれば、酸触媒下でアニリン系化合物を用いたインダン環含有化合物の製造方法によって、脱水処理の省略又は脱水処理の回数を低減できる。
本開示によれば、極めて低い誘電正接を示し、かつ耐熱性に優れたインダン環含有化合物を使用した硬化物により、低誘電性及び優れた耐熱性が高次に両立した、プリプレグ、回路基板、ビルドアップフィルム、半導体封止材及び半導体装置を提供しうる。
図1は、実施例1で得られたインダン環含有化合物(A-1)のGPCチャートを示す。 図2は、実施例2で得られたインダン環含有化合物(A-2)のGPCチャートを示す。 図3は、実施例3で得られたインダン環含有化合物(A-3)のGPCチャートを示す。 図4は、実施例4で得られたインダン環含有化合物(A-4)のGPCチャートを示す。 図5は、実施例5で得られたインダン環含有化合物(A-5)のGPCチャートを示す。 図6は、実施例1で得られたインダン環含有化合物(A-1)のFD-MSチャートを示す。 図7は、実施例1で得られたインダン環含有化合物(A-1)の13C-NMRチャートを示す。
以下、本発明の実施の形態(「本実施形態」と称する。)について詳細に説明するが、本開示は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
「用語」
本明細書における「反応原料」とは、化合又は分解といった化学反応により目的の化合物を得るために用いられ、目的の化合物の化学構造を部分的に構成する化合物をいい、溶媒、触媒といった、化学反応の助剤の役割を担う物質は除外される。本明細書では特に、「反応原料」とは、目的のインダン環含有化合物又は当該インダン環含有化合物を1種又は2種以上含む混合物を化学反応により得るための前駆体をいう。
本明細書における「アルキル基」は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、(n-)ヘプチル基、(n-)オクチル基、(n-)ノニル基、(n-)デシル基、(n-)ウンデシル基、(n-)ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基又はシクロノニル基が挙げられる。
本明細書における「シクロアルキル基」は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基又はアダマンチル基等が挙げられる。
本明細書における「アルケニル基」は、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ビニル基、アリル基又はイソプロペニル基等が挙げられる。
本明細書における「アルコキシ基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基又はノニルオキシ基等が挙げられる。
本明細書における「アリール基」は、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基等が挙げられる。
本明細書における「アリールオキシ基」は、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アンスリルオキシ基、フェナントリルオキシ基又はピレニルオキシ基等が挙げられる。
本明細書における「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等が挙げられる。
本明細書における「アルキレン基」は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、上記の「アルキル基」の例示の基から任意の位置の水素原子を1つ取り除いた基が挙げられる。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1-メチルメチレン基、1,1-ジメチルメチレン基、1-メチルエチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、プロピリデン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。
本明細書における「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。「フルオロアルキル基」は、直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基でありうる。そして、「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上、好ましくは1~11個でありうる。また、「フルオロアルキル基」は、アルキル基中の全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基を包含する。
本明細書における「パーフルオロアルキル基」は、例えば、トリフルオロメチル基(-CF)、ペンタフルオロエチル基(-C)、ヘプタフルオロプロピル基(-CFCFCF)及びヘプタフルオロイソプロピル基(-CF(CF)が挙げられる。
本明細書における「フルオロアルキル基」は、例えば、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、オクタフルオロペンチル基、パーフルオロペンチル基及びパーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
本明細書における「構造単位」とは、反応又は重合時に形成される化学構造の(繰り返し)単位をいい、換言すると、反応又は重合よりに形成される生成化合物において、当該反応又は重合に関与する化学結合の構造以外の部分構造をいい、いわゆる残基をいう。
「インダン環含有化合物」
本開示に係るインダン環含有化合物は、以下の一般式(1a)で表される構造単位と、以下の一般式(2)又は一般式(3)で表される構造単位とを有し、かつ末端部位の少なくとも1つがアルケニル基である。
Figure 2023087627000004
(上記一般式(1a)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、n12は平均繰り返し単位数を表す。)
Figure 2023087627000005
(上記一般式(2)中、R14はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上3以下の整数を表す。)
(上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。)
本実施形態のインダン環含有化合物は、その分子内に少なくとも1つのアミノ基を有する芳香環を有し、かつその分子末端の少なくとも1つに不飽和結合を有する。そのため、インダン環含有化合物が熱硬化性を示すため、種々の反応又は用途に応用することができる。そして、本実施形態のインダン環含有化合物の構成原子における炭素原子及び水素原子の占める割合が非常に高いことに起因して、インダン環含有化合物全体が低極性を示すことから、誘電正接が極めて低く、かつインダン環が備える縮環構造により化学的熱安定性に優れる。これにより、優れた耐熱性及び低誘電正接性を高次に両立することができると考えられる。
本開示に係るインダン環含有化合物は上記の通り、一般式(2)又は一般式(3)で表される基と、分子末端の少なくとも1つに不飽和結合を有する。そのため、インダン環含有化合物の末端部が全てアルケニル基の場合は、分子内に一般式(2)で表されるアニリン骨格を有する。そして、インダン環含有化合物はアニリン骨格を有する芳香環を有していることから、耐熱性の一層の向上のため、エポキシ樹脂やビスマレイミド樹脂など、各種熱硬化性樹脂との併用をしやすくなる。
上記一般式(1a)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、炭素原子数1~4のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基が挙げられる。中でも、R11、R12及びR13は同一のアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(1a)中、n12は平均繰り返し単位数を表し、具体的には、0.5~20の範囲であることが好ましく、0.8~15の範囲であることがより好ましく、1~10の範囲であることがさらに好ましい。
平均繰り返し単位数n12が、0.5~20の範囲であると、比較的高分子量のインダン環含有化合物を形成できるため好ましい。また、平均繰り返し単位数n12が上記範囲であると、架橋点間距離が比較的短くなり、高架橋密度化に伴う耐熱性向上の観点で好ましい。また、本実施形態のインダン環含有化合物の構成原子における炭素原子及び水素原子の占める割合が高くなるため、インダン環含有化合物全体が低極性を示しやくなり、誘電正接をより低減できる。
上記一般式(2)中、R14はそれぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1~6のフルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましい。また、nは0又は1であることが好ましい。
上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1~6のフルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましい。また、nは0、1又は2であることが好ましい。
本実施形態におけるインダン環含有化合物は、その分子鎖の末端部位の少なくとも1つにアルケニル基及び分子鎖中にアニリン骨格を有する。これにより、インダン環含有化合物が熱硬化性を示すため、種々の反応又は用途に応用することができる。
本実施形態におけるインダン環含有化合物の分子鎖の末端部位のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐状の炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましく、直鎖状又は分岐状の炭素原子数2~6のアルケニル基であることがより好ましく、直鎖状又は分岐状の炭素原子数2~4のアルケニル基であることがさらに好ましい。
本実施形態において、上記アルケニル基は、上記「定義」の欄に記載した通り、種々のアルケニル基が挙げられるが、中でも、第4級炭素を少なくとも1つ有するアルケニル基であることが好ましく、第4級炭素を少なくとも1つ有し、かつ前記第4級原子の結合手の1つが一般式(1a)で表される構造単位と直接又は間接的に化学結合するアルケニル基であることがより好ましく、以下の一般式(i)で表されるアルケニル基であることがさらに好ましい。
Figure 2023087627000006
(上記一般式(i)中、Ri1は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、Ri2は水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基を表し、*は他の原子と化学的に結合される結合手を表す。)
本実施形態におけるインダン環含有化合物は、その分子鎖の末端部位の少なくとも1つにアルケニル基を有し、かつ少なくとも1つのアニリン骨格を分子内に備える限り、その他の分子鎖の末端部位としては特に制限はなく、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基又は一価の有機基が挙げられる。優れた熱硬化性を示す観点から、本実施形態のインダン環含有化合物の分子鎖の末端部位にはアルケニル基が多く導入されることが好ましく、理想的にはインダン環含有化合物の分子鎖の末端部位の全てがアルケニル基であることが好ましい。例えば、一般式(1a)で表される構造単位が10単位当たり(n11=10)、1以上のアルケニル基を有することが好ましい。
本実施形態におけるインダン環含有化合物1分子当たりのアルケニル基(不飽和結合)の数は、平均1~10個の範囲であることが好ましい
なお、上記アルケニル基(不飽和結合)の定量方法は、後述の実施例の欄で示す通り、特開2012-214728号公報に記載の「二重結合の定量方法」を用いて算出している。
なお、本明細書における「一価の有機基」とは、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又は炭素原子数6~20のアリール基が挙げられ、前記炭素原子数6~20のアリール基は、当該アリール基中の1又は2以上の水素原子がハロゲン原子、アミノ基、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基に置換されてもよい。また、本明細書における「アミノ基」は、-NHだけでなく、置換アミノ基を含み、例えば、-NR(R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)で表される。
実施形態におけるインダン環含有化合物は、直鎖状の分子鎖、あるいは分岐状の分子鎖を有し、前記分子鎖は上記一般式(1a)で表される構造単位を主鎖として構成されていることが好ましい。
より詳細には、本実施形態におけるインダン環含有化合物が直鎖状の分子鎖である場合、当該インダン環含有化合物の好ましい一態様は、上記一般式(1a)で表される構造単位が直線状に連結され、かつ直線状に連結された一般式(1a)で表される構造単位の少なくとも一方の末端部にアルケニル基が結合され、かつ少なくとも1つのアニリン骨格を分子内に備えた化学構造を有する。また、前記直線状に連結された一般式(1a)で表される構造単位の他方の末端部の基は、少なくとも1つのアニリン骨格を分子内に備える限り特に制限されることは無く、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基又は一価の有機基が挙げられ、前記直線状に連結された一般式(1a)で表される構造単位の他方の末端部の基は、アルケニル基であることが好ましい。また、末端部に限らずアニリン骨格を2以上分子内に有してもよい。
一方、本実施形態におけるインダン環含有化合物が分岐状の分子鎖を有する場合、当該インダン環含有化合物の好ましい一態様は、上記一般式(1a)で表される構造単位が直線状に連結された縮合環含有分子鎖を3以上有し、かつ3以上の前記縮合環含有分子鎖の一方の末端部が3価以上の有機基又は上記一般式(1a)中のベンゼン環の炭素原子に化学的に結合され、そして、前記3以上の前記縮合環含有分子鎖の他方の末端部が水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アルケニル基又は一価の有機基に化学的に結合された化学構造を有し、さらには前記3以上の前記他方の末端部の少なくとも1以上がアルケニル基に化学的に結合され、またさらには少なくとも1つのアニリン骨格を分子内に備えた構造である。
なお、本明細書における「3価の有機基」とは、上記「1価の有機基」から水素原子を任意の位置で2つ取り除いた基をいう。
本実施形態におけるインダン環含有化合物は、直鎖状の分子鎖から構成されていることがより好ましい。インダン骨格を直鎖状に有することにより、より可撓性に優れ、耐脆性の改善も見込まれ、好ましい。
本開示のインダン環含有化合物の数平均分子量(Mn)は、320~3,000の範囲であることが好ましく、350~2,000の範囲であることがより好ましい。また、インダン環含有化合物の重量平均分子量(Mw)は350~7,000の範囲であることが好ましく、400~4,000の範囲であることがより好ましい。
本開示のインダン環含有化合物は、耐熱性及び誘電特性に優れる点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定から算出される分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.1~15の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.1~10であり、更に好ましくは、1.1~8である。なお、GPC測定から得られるGPCチャートより、分子量分布が広範囲にわたり、高分子量成分が多い場合には、可撓性に寄与する高分子量成分の割合が多くなるため、従来のインダン環含有化合物を使用した硬化物と比較して、脆性が抑えられ、可撓性や柔軟性に優れた硬化物を得ることができ、好ましい態様となる。
なお、本実施形態のインダン環含有化合物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)を用いて、後述する実施例に記載の測定条件で測定したものである。
本開示のインダン環含有化合物のアミン当量は、300~30000g/当量の範囲であることが好ましく、500~25000g/当量の範囲であることがより好ましい。アミン当量が上記範囲であれば、耐熱性の一層の向上のため、エポキシ樹脂やビスマレイミド樹脂など、各種熱硬化性樹脂との併用をしやすくなる。
なお、上記アミン当量の測定方法は、後述の実施例の欄で示す方法を用いて算出している。
本実施形態におけるインダン環含有化合物が直鎖状の分子鎖である場合、すなわち、上記一般式(1a)で表される構造単位が直線状に連結され、かつ前記直線状に連結された一般式(1a)で表される構造単位の少なくとも一方の末端部にアルケニル基が(直接又は間接的に)結合され、かつ少なくとも1つのアニリン骨格を分子内に備えた化学構造を一例にして、インダン環含有化合物の好ましい形態について以下説明する。
-インダン環含有化合物の好ましい形態-
本実施形態におけるインダン環含有化合物は、以下の一般式(1b):
Figure 2023087627000007
(上記一般式(1b)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、
11、Q12、L11及びL12はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表し、
11及びP12はそれぞれ独立して、炭素原子数2~10のアルケニル基又は以下の一般式(3)で表される基を表し、
11及びM12はそれぞれ独立して、単結合又は以下の一般式(4)で表される基を表し、
12は平均繰り返し単位数を表し、n11及びn13はそれぞれ独立して、0~20を表す。
但し、P11及びP12の少なくともいずれか一方が炭素原子数2~10のアルケニル基であり、かつn11個のM11とn13個のM12とP11とP12とのうち、少なくとも1つの基がアミノ基で置換されている。
Figure 2023087627000008
[上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。]
[上記一般式(4)中、R16はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。]
なお、上記一般式(3)及び(4)中、*は他の原子との結合を表す。)で表されることが好ましい。
本実施形態の上記一般式(1b)において、n12が2以上である場合、複数存在するR11、R12及びR13はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。また、n11が2以上である場合、複数存在するM11はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。同様に、複数存在するL11はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。
さらには、n13が2以上である場合、複数存在するM12はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。同様に、複数存在するL12はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。
上記一般式(3)において、nが2以上である場合、複数存在するR15はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。
上記一般式(4)において、nが2以上である場合、複数存在するR16はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。
上記一般式(1b)中、R11はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すことがより好ましい。また、n12が2以上である場合、複数存在するR11は互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。一般式(1b)中の特に好ましいR11としては、メチル基、エチル基又はn-プロピル基である。なお、一般式(1b)中のR11が結合したベンゼン環は、後述の芳香族化合物(A)のベンゼン環に対応する。
上記一般式(1b)中、R12はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すことがより好ましい。また、n12が2以上である場合、複数存在するR12は互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。一般式(1b)中の特に好ましいR12としては、メチル基、エチル基又はn-プロピル基である。なお、一般式(1b)中のR12が結合したベンゼン環は、後述の芳香族化合物(A)のベンゼン環に対応する。
上記一般式(1b)中、R13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、炭素原子数1~4のアルキル基を表すことがより好ましい。また、n12が2以上である場合、複数存在するR13は互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。一般式(1b)中の特に好ましいR13としては、メチル基、エチル基又はn-プロピル基である。なお、一般式(1b)中のR13が結合したベンゼン環は、後述の芳香族化合物(A)のベンゼン環に対応する。
上記一般式(1b)中、Q11は、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表し、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基が好ましい。一般式(1b)中の特に好ましいQ11としては、単結合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、プロピリデン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、ネオペンチレン基又は1,2-ジメチルプロピレン基である。上記一般式(1b)中、Q12は、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表し、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基が好ましい。一般式(1b)中の特に好ましいQ12は、前記特に好ましいQ11と同様である。
上記一般式(1b)中、L11は、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表し、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基が好ましい。一般式(1b)中の特に好ましいL11としては、単結合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、プロピリデン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、ネオペンチレン基又は1,2-ジメチルプロピレン基である。
上記一般式(1b)中、L12は、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表し、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基が好ましい。一般式(1b)中の特に好ましいL12としては、単結合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、プロピリデン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、ネオペンチレン基又は1,2-ジメチルプロピレン基である。
上記一般式(1b)中、P11及びP12はそれぞれ独立して、炭素原子数2~10のアルケニル基又は以下の一般式(3)で表される基である。
Figure 2023087627000009
(上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。)
そして、前記炭素原子数2~10のアルケニル基は、第4級原子を少なくとも1つ有するアルケニル基であることが好ましく、第4級原子を少なくとも1つ有し、かつ前記第4級原子の結合手の1つがL11又はL12と結合するアルケニル基であることがより好ましく、以下の一般式(3-2)で表されるアルケニル基であることがさらに好ましい。
Figure 2023087627000010
(上記一般式(3-2)中、R33は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、R34は水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基を表し、上記一般式(3-2)中において、*は芳香族環と化学的に結合される結合手を表す。)
上記一般式(1b)中、P11又はP12の少なくとも一方が、一般式(3-2)で表されるアルケニル基であることが好ましく、P11及びP12の両方が、一般式(3-2)で表されるアルケニル基であることがより好ましい。これにより、インダン環含有化合物がより高い熱硬化性を示すため、耐熱性がより向上する傾向を示す。
本実施形態において、P11又はP12の一方が上記一般式(3)で表される基である場合、インダン環含有化合物の好ましい形態としては、上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1~3のフルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表しうる。P11及びP12の少なくとも一方が一般式(3)で表される基である場合、他方のアルケニル基の単独重合をある程度抑制しうる。
なお、一般式(3)中のベンゼン環は、後述のアニリン系化合物のベンゼン環に対応しうる。
上記一般式(1b)中、M11及びM12はそれぞれ独立して、単結合又は以下の一般式(4)で表される基である。
Figure 2023087627000011
(上記一般式(4)中、R16はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。好ましくは、R16はそれぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1~6のフルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは0、1又は2である。)
上記一般式(1b)中のM11は、好ましくは単結合、あるいは上記一般式(4)に示す通り、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基に置換されてもよいフェニレン基である。当該フェニレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基又は1,4-フェニレン基が挙げられる。
同様に、上記一般式(1b)中のM12は、好ましくは単結合、あるいは上記一般式(4)に示す通り、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基に置換されてもよいフェニレン基である。当該フェニレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基又は1,4-フェニレン基が挙げられる。
なお、一般式(4)中のベンゼン環は、後述のアニリン系化合物のベンゼン環に対応する場合がある。
上記一般式(1b)の「n11個のM11とn13個のM12とP11とP12とのうち、少なくとも1つの基がアミノ基で置換されている。」とは、一般式(1b)で表されるインダン環含有化合物一分子中に、1以上のアミノ基を有する芳香族環を少なくとも1つ有することを意味している。より詳細には、一般式(1b)で表されるインダン環含有化合物には、n11個のM11とn13個のM12と1個のP11と1個のP12とが存在する。そして、これら「n11個のM11、n13個のM12、1個のP11及び1個のP12」の合計n11+n13+2個の基のうち、少なくとも1つの基がアミノ基を有する芳香族環(例えばアニリン骨格)であることを意味する。
したがって、一般式(1b)中のM11又はM12で示される基がアミノ基で置換されている場合、M11又はM12はそれぞれ独立して、一般式(2)で表される基である。換言すると、一般式(1b)中のM11又はM12で示される基がアミノ基で置換されている場合、M11又はM12は、一般式(4)で表される基であって、nは1以上の整数であり、かつn個存在するR16のうち少なくとも1つのR16がアミノ基である。また、一般式(1b)中のP11又はP12で示される基がアミノ基で置換されている場合は、P11又はP12の一方が一般式(3)で表される基であって、他方が炭素原子数2~10のアルケニル基でありうる。
上記一般式(1b)中、n12は平均繰り返し単位数を表し、0.5~20の範囲であることが好ましく、0.8~15の範囲であることがより好ましく、1~10の範囲であることがさらに好ましい。平均繰り返し単位数であるn12が上記範囲であると、本実施形態のインダン環含有化合物の構成原子における炭素原子及び水素原子の占める割合が高くなるため、インダン環含有化合物全体が低極性を示しやくなり、誘電正接をより低減できる。
上記一般式(1b)中、n11は平均繰り返し単位数を表し、0~20の範囲であることが好ましく、0~15の範囲であることがより好ましく、0~10の範囲であることがさらに好ましい。平均繰り返し単位数であるn11が上記範囲であると、本実施形態のインダン環含有化合物の構成原子における炭素原子及び水素原子の占める割合が高くなるため、インダン環含有化合物全体が低極性を示しやくなり、誘電正接をより低減できる。
本実施形態のインダン環含有化合物の構成原子におけるアミン骨格の数も増大しうるため、耐熱性の一層の向上のため、エポキシ樹脂やビスマレイミド樹脂など、各種熱硬化性樹脂との併用をしやすくなる。
上記一般式(1b)中、n13は平均繰り返し単位数を表し、0~20の範囲であることが好ましく、0~15の範囲であることがより好ましく、0~10の範囲であることがさらに好ましい。平均繰り返し単位数であるn13が上記範囲であると、本実施形態のインダン環含有化合物の構成原子における炭素原子及び水素原子の占める割合が高くなるため、インダン環含有化合物全体が低極性を示しやくなり、誘電正接をより低減できる。
本実施形態のインダン環含有化合物の構成原子におけるアミン骨格の数も増大しうるため、耐熱性の一層の向上のため、エポキシ樹脂やビスマレイミド樹脂など、各種熱硬化性樹脂との併用をしやすくなる。
本実施形態において、インダン環含有化合物1分子当たりのアルケニル基(不飽和結合)の数は、1~10個であることが好ましく、1~5個であることがより好ましく、1~3個であることがさらに好ましい。当該アルケニル基(不飽和結合)の数の下限は1個以上が好ましく、2個以上がより好ましい。当該アルケニル基(不飽和結合)の数の上限は10個以下が好ましく、5個以下がより好ましく、3個以下がさらに好ましい。
本実施形態のインダン環含有化合物1分子中にアルケニル基(例えば、ビニル基又はイソプロペニル基)を平均2個以上残存させることにより、得られるインダン環含有化合物が熱硬化性をより示しやすくなるため、インダン環含有化合物を含むインダン系混合物又はインダン環含有化合物を含有する硬化性組成物が高感度でより硬化しやすくなる。
なお、上記アルケニル基(不飽和結合)の定量方法は、後述の実施例の欄で示す通り、特開2012-214728号公報に記載の「二重結合の定量方法」を用いて算出している。
本実施形態におけるインダン環含有化合物は、当該インダン環含有化合物の総量(100質量%)に対して、一般式(1b)で表される構造単位を50質量%以上含有することが好ましく、55質量%以上100質量%未満含有することが好ましく、55質量%以上85質量%以下含有することがさらに好ましい。
インダン環含有化合物における一般式(1b)で表される構造単位の占める割合が55質量%以上であると、インダン骨格の縮環構造により、より優れた化学的熱安定性を発揮しうる。
「インダン系混合物」
本実施形態の別の態様は、上記一般式(1a)で表される構造単位と上記一般式(2)又は一般式(3)で表される構造単位とを有し、かつ末端部位の少なくとも1つがアルケニル基であるインダン環含有化合物と、上記一般式(1a)で表される構造単位及び末端部位の少なくとも1つがアルケニル基であるインダン環含有化合物とを含むインダン系混合物である。換言すると、本実施形態のインダン系混合物は、一般式(1b)で表されるインダン環含有化合物を1種又は2種以上含有する。
本実施形態のインダン系混合物は、優れた耐熱性及び低誘電正接を示すインダン環含有化合物を含有するため、インダン環含有化合物と同様に、硬化性組成物として使用することができる。
本実施形態におけるインダン系混合物は、以下の一般式(1a):
Figure 2023087627000012
(上記一般式(1a)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、n11は平均繰り返し単位数を表す。)
で表される構造単位を有するインダン環成分から構成され、
前記インダン環成分として含有される、前記構造単位に結合される末端部位の少なくとも1つがアルケニル基であるインダン環含有化合物が、以下の一般式(1b):
Figure 2023087627000013
(上記一般式(1b)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、
11、Q12、L11及びL12はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表し、
11及びP12はそれぞれ独立して、炭素原子数2~10のアルケニル基又は以下の一般式(3)を表し、
11及びM12はそれぞれ独立して、単結合又は以下の一般式(4)を表し、
12は平均繰り返し単位数を表し、n11及びn13はそれぞれ独立して、0~20を表す。
但し、P11及びP12の少なくともいずれか一方が炭素原子数2~10のアルケニル基であり、かつn11個のM11とn13個のM12とP11とP12との少なくともいずれか1つにアミノ基を有する。
Figure 2023087627000014
[上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。]
[上記一般式(4)中、R16はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。]
なお、一般式(3)及び(4)中の*は他の原子との結合を表す。)表されうる。
本実施形態のインダン系混合物を構成する各化合物は、炭素原子及び水素原子で構成される原子の割合が非常に高いインダン環骨格を備えたインダン環成分を必須としているため、インダン系混合物全体としてもインダン環含有化合物と同様に誘電正接が極めて低い特性を示す。さらには、本実施形態のインダン系混合物を構成する各化合物は、インダン環が備える縮環構造により化学的熱安定性に優れる。これにより、より優れた耐熱性及び低誘電正接性を高次に両立することができると考えられる。特に、インダン系混合物は、インダン環含有化合物を2種以上ブレンドされているため、ブレンドされた各インダン環含有化合物の組成比によって、優れた耐熱性及び低誘電正接性をより高次に両立することができると考えられる。
また、本実施形態のインダン系混合物は、アニリン骨格を有する芳香環を有していることから、耐熱性の一層の向上のため、エポキシ樹脂やビスマレイミド樹脂など、各種熱硬化性樹脂との併用を可能とする観点で好ましい。
本実施形態のインダン系混合物において、一般式(1a)で表される構造単位を有するインダン環成分、すなわちインダン系混合物の総量100質量%に対して、一般式(1b)で表されるインダン環含有化合物の占有割合は、0.5~95質量%の範囲であることが好ましく、10~90質量%の範囲であることがより好ましく、15~80質量%の範囲であることがさらに好ましく、20~70質量%の範囲であることが特に好ましい。
一般式(1a)で表される構造単位を有するインダン環成分全体に対して、一般式(1b)で表されるインダン環含有化合物の占有割合が20~70質量%の範囲であると、より優れた耐熱性及び低誘電正接を発揮しやすくなる。
本実施形態のインダン系混合物の好適な組成例としては、以下の一般式(1c):
Figure 2023087627000015
(上記一般式(1c)中、M13及びM14はそれぞれ独立して、単結合、以下の一般式(2)又は一般式(4)で表される基を表し、
Figure 2023087627000016
[上記一般式(2)中、R14はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。]
[上記一般式(4)中、R16はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。]
11及びZ12はそれぞれ独立して、炭素原子数2~10のアルケニル基を表す。
但し、n11+n13は1以上であり、かつn11個のM13及びn13個のM14のうち、少なくとも1つの基が一般式(2)で表される基である。なお、上記一般式(1c)中の記号である、「R11、R12、R13、Q11、Q12、L11及びL12、並びにn11、n12及びn13」は、上記一般式(1b)中の「R11、R12、R13、Q11、Q12、L11及びL12、並びにn11、n12及びn13」と同義である。)で表されるインダン環含有化合物(1c)が、インダン系混合物の総量100質量%に対して、0.5~95質量%の範囲であることが好ましく、10~90質量%の範囲であることがより好ましく、15~80質量%の範囲であることがさらに好ましく、20~70質量%の範囲であることが特に好ましい。
一般式(1c)で表されるインダン環含有化合物(1c)の含有量が20~70質量%の範囲であると、インダン系混合物全体として高い熱硬化性を示すため、耐熱性がさらに向上する傾向を示す。
本実施形態のインダン系混合物の他の好適な組成例としては、一般式(1d):
Figure 2023087627000017
(上記一般式(1d)中、G11及びG12はそれぞれ独立して、炭素原子数2~10のアルケニル基又は上記一般式(2)を表し、
11及びG12のいずれか一方が炭素原子数2~10のアルケニル基であり、かつG11及びG12の他方が、上記一般式(3)で表される基であり、なお、上記一般式(1d)中の記号である、「R11、R12、R13、Q11、Q12、L11、L12、M11及びM12、並びにn11、n12及びn13」は、上記一般式(1b)中の「R11、R12、R13、Q11、Q12、L11、L12、M11及びM12、並びにn11、n12及びn13」と同義である。
)で表されるインダン環含有化合物(1d)が、インダン系混合物の総量100質量%に対して、0.5~95質量%の範囲であることが好ましく、10~90質量%の範囲であることがより好ましく、15~80質量%の範囲であることがさらに好ましく、20~70質量%の範囲であることが特に好ましい。
一般式(1d)で表されるインダン環含有化合物(1d)は、その末端部にアニリン系化合物由来のアミノフェニル基を有するため、耐熱性の一層の向上のため、エポキシ樹脂やビスマレイミド樹脂など、各種熱硬化性樹脂との併用を可能とする観点で好ましい。また、インダン環含有化合物がアミノフェニル基を有する、あるいはインダン系混合物が一般式(1d)で表される化合物を含む場合、他の熱硬化性樹脂と組み合わせた際に、例えばエポキシ基含有熱硬化性樹脂とは通常の付加反応が進行し、又はマレイミド基含有熱硬化性樹脂とはマイケル付加型の硬化反応が進行するため、物理的耐熱性(Tg)の向上が期待できる。
本実施形態のインダン系混合物の別の好ましい組成例としては、インダン環含有化合物(1c)20~90質量%と、インダン環含有化合物(1d)0.5~70質量%とを含有することが好ましい。
<インダン環含有化合物の好ましい形態>
以下、本開示の好適なインダン環含有化合物の態様について説明する。
本実施形態にインダン環含有化合物は、以下の一般式(1b)で表されることが好ましい。
Figure 2023087627000018
(上記一般式(1b)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、
11、Q12、L11及びL12はそれぞれ独立して、単結合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、プロピリデン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、ネオペンチレン基又は1,2-ジメチルプロピレン基を表し、
11及びM12はそれぞれ独立して、単結合、アミノ基に置換されてもよい1,2-フェニレン基、アミノ基に置換されてもよい1,3-フェニレン基又はアミノ基に置換されてもよい1,4-フェニレン基を表し、
11及びP12はそれぞれ独立して、以下の一般式(3)で表される基又は以下の一般式(3-2)で表されるアルケニル基を表し、
12は平均繰り返し単位数で、1~10の範囲であり、n11及びn13はそれぞれ独立して、0~20を表す。
但し、P11及びP12の少なくともいずれか一方が前記一般式(3-2)で表されるアルケニル基であり、かつn11個のM11とn13個のM12とP11とP12とのうち、少なくとも1つの基にアミノ基が置換されている。
Figure 2023087627000019
(上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、水素原子、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表し、上記一般式(3)中、*は他の原子との結合を表す。)
Figure 2023087627000020
(上記一般式(3-2)中、R33は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、R34は水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、上記一般式(3-2)中において、*は芳香族環と化学的に結合される結合手を表す。))
また、上記一般式(1b)において、n12が2以上である場合、複数存在するR11、R12及びR13はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。
また、上記一般式(3)において、nが2以上である場合、複数存在するR15はそれぞれ独立して、互いに同一であっても、又は異なっていてもよい。
これにより、より優れた耐熱性及び低誘電正接を示すインダン環含有化合物を提供できる。
以上が、本開示のインダン環含有化合物又はインダン系混合物の説明である。以下、本開示のインダン環含有化合物又はインダン系混合物の製造方法について説明する。
<インダン環含有化合物の製造方法>
本実施形態のインダン環含有化合物の製造方法の一例としては、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)(以下、単に芳香族化合物(A)とも称する。)、より好ましくはカルボカチオンを形成する置換基が2以上ベンゼン環に結合した芳香族化合物(A)を、アニリン系化合物を用いて酸存在下で反応させる工程を有する。
本開示のインダン環含有化合物の製造方法の一例としては、例えば、以下の工程(1)を含む製造方法が挙げられる。
工程(1):反応原料として芳香族化合物(A)をアニリン系化合物及び酸存在下(好ましくは固体酸触媒存在下)で、本開示のインダン環含有化合物又はインダン系混合物を得る工程。
具体的には、本実施形態のインダン環含有化合物又はインダン系混合物の製造方法は、アニリン系化合物及び酸存在下(好ましくは固体酸触媒存在下)で、カルボカチオンを形成する置換基が2以上ベンゼン環に結合した芳香族化合物(A)同士を反応させる工程を有することが好ましい。
アニリン系化合物を使用することにより、カチオン重合の暴走による高分子量化を抑制し、比較的低分子量~中分子量の領域の末端二重結合(例えばイソプロペニル基)を有するインダン環含有化合物が得られる。
また、アニリン系化合物を使用することにより、ゲル化を抑制・防止することができる。特に、カルボカチオンを形成する置換基として、例えば下記の一般式(3-1)で表される基であって、かつα炭素に水酸基が結合した構造を有する芳香族化合物(A)を反応原料に使用する場合、昇温の過程で反応が進行すると水が生成し、突沸を伴い激しく発熱するため、例えば180~200℃の反応温度に至るまでに一般的には脱水処理が必要となる。しかし、アニリン系化合物を使用することによって、当該脱水処理の省略又は脱水処理の回数を低減できる。
本実施形態のインダン環含有化合物の製造方法において、上記工程(1)の後、必要により、公知の精製工程(例えば、反応溶媒による洗浄、吸着、分別蒸留、イオン交換樹脂処理、再沈殿、晶析、ろ過又は加熱若しくは減圧下での反応溶媒の留去等)を行ってもよい。これにより、反応溶媒、未反応物等の低分子量成分、イオン性不純物等が除去されるため、誘電特性をより向上させうる。
また、本実施形態において、上記工程(1)で得られた反応生成物は、インダン環含有化合物が混在した混合物、すなわち上述したインダン系混合物でありうる。そのため、上記工程(1)又は上記の精製工程後、必要により公知の分離手段を用いて、特定の分子量を有するインダン環含有化合物、特定の官能基を有するインダン環含有化合物、又は両端にアルケニル基を有するインダン環含有化合物を回収することができる。
当該分離手段としては、分別蒸留、クロマトグラフィー、吸着剤による吸着、晶析、抽出又は再沈殿等が挙げられる。例えば、上記工程(1)で得られた反応生成物に貧溶媒を添加した後冷却することによって、目的物を結晶として析出せしめる晶析工程、クロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー又はゲル浸透クロマトグラフィー等)を用いて反応生成物を含む液体移動相から目的物を分離する工程、又は活性炭、シリカゲル、アルミナ若しくはセライト等の吸着剤を用いて、目的物又は不要物を吸着させて分離する工程が挙げられる。より詳細には、特定の分子量を有するインダン環含有化合物を回収する場合は、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて分離することが好ましく、特定の官能基(例えば、アミン基)を有するインダン環含有化合物を回収する場合は、イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離することが好ましい。
以下、本開示のインダン環含有化合物の製造方法に使用する反応原料、アニリン系化合物、酸触媒及び反応条件について順に説明する。
<芳香族化合物(A)>
本開示のインダン環含有化合物の製造方法は、反応原料として、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)を使用することが好ましい。より詳細には、前記芳香族化合物(A)は、カルボカチオンを形成する置換基が2以上芳香環に結合した化合物(a1)を主成分として有する。
なお、“主成分”とは、芳香族化合物(A)全体のうち50質量%以上100質量%以下を前記化合物(a1)で占めることをいう。
本実施形態におけるカルボカチオンを形成する置換基は、下記一般式(3-1)で表される基又は炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましい。
Figure 2023087627000021
(上記一般式(3-1)中、X31は極性基を表し、R31又はR32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。)
上記一般式(3-1)中において、*は芳香族環と化学的に結合される結合手を表す。
上記一般式(3-1)中、極性基としては、水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子などが挙げられる。これにより、極性基X31が比較的容易に脱離することにより、当該極性基X31と結合するα炭素がカルボカチオンを形成しうる。また、上記一般式(3-1)中のX31としては、水酸基が特に好ましい。
本実施形態のカルボカチオンを形成する置換基において、上記炭素原子数2~10のアルケニル基は、第4級炭素を少なくとも1つ有する炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましく、第4級炭素を少なくとも1つ有し、かつ前記第4級原子の結合手の1つが一般式(1a)で表される構造単位と直接又は間接的に化学結合する、炭素原子数2~10のアルケニル基であることがより好ましく、下記一般式(3-2)で表される基がさらに好ましい。
Figure 2023087627000022
(上記一般式(3-2)中、R33は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、R34は水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基を表す。)上記一般式(3-2)中において、*は芳香族環と化学的に結合される結合手を表す。
一般式(3-2)で表される炭素原子数2~10のアルケニル基であれば、第4級炭素が比較的安定にカルボカチオンを形成しうる。
上記一般式(3-2)中、R33は炭素原子数1~3の直鎖状アルキル基であることが好ましい。R34は水素原子又は炭素原子数1~3の直鎖状アルキル基であることが好ましい。
本実施形態におけるカルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)は、インダン環含有化合物を構成する一般式(1a)の構造単位を形成するモノマーでありうる。本実施形態において、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)は、以下の一般式(I)で表される化合物(a1)を含むことが好ましい。
Figure 2023087627000023
(上記一般式(I)中、R43はそれぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、R41及びR42はそれぞれ独立して、カルボカチオンを形成する置換基であり、n41は1以上5以下の整数を表し、n42は0以上4以下の整数を表す。但し、n41+n42は5以下である。)
上記一般式(I)中、R41及びR42はそれぞれ互いに同一であっても、あるいは異なっていてもよい。また、n41が2以上5以下の場合、複数存在するR42はそれぞれ互いに同一であっても、あるいは異なっていてもよい。さらには、n42が2以上場合、複数存在するR43はそれぞれ互いに同一であっても、あるいは異なっていてもよい。
上記一般式(I)中、n41は、1、2又は3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。n42は、0、1又は2であることが好ましく、0又は1であることが好ましい。
本実施形態において、一般式(I)で表される化合物(a1)は、上記一般式(I)中、R41とR42とが同一の基であることが好ましい。
本実施形態において、一般式(I)で表される化合物(a1)の好ましい形態としては、n41が1である場合、上記一般式(I)中のベンゼン環の1位及び3位、あるいは上記一般式(I)中のベンゼン環の1位及び4位に、R41及びR42がそれぞれ置換されていることが好ましい。また、n41が2である場合、上記一般式(I)中のベンゼン環の1位、3位及び5位に、R41と2つのR42とがそれぞれ置換されていることが好ましい。これにより、立体障害を受けにくくなり、インダン環含有化合物の分子量又は収率をより向上することができる。
本実施形態において、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)は、上記一般式(I)で表される化合物(a1)の他に、カルボカチオンを形成する置換基(例えば、上記一般式(3-1)で表される基)を1つ有する芳香族化合物(a2)をさらに含んでもよい。当該芳香族化合物(a2)としては、以下の一般式(II)で表されることが好ましい。
Figure 2023087627000024
(上記一般式(II)中、R51はカルボカチオンを形成する置換基(例えば、好ましくは、炭素原子数2~10のアルケニル基、上記一般式(3-1)で表される基又は一般式(3-2)で表される基)であり、R52はそれぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基を表し、n51は0以上5以下の整数を表す。)

<アニリン系化合物>
本実施形態におけるアニリン系化合物は、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物に対して、酸触媒存在下のカチオン重合による高分子量化を緩和させ、その添加量により、数平均分子量(Mn)で、およそ3,000以下、重量平均分子量(Mw)で、7,000以下の末端アルケニル構造体を主生成物として有意に得られる効果を奏する。その結果、末端アルケニル構造体の末端二重結合の存在により、インダン環含有化合物は熱硬化性樹脂として使用できる。一方、アニリン系化合物を使用しない場合、高分子量化は不可避になり、これにより得られる生成物は基本的に熱可塑性樹脂が主成分となる傾向を示す。
本実施形態のインダン環含有化合物又はインダン系混合物の製造方法において、アニリン系化合物を共触媒として使用することにより、ゲル化を抑制・防止することができる。例えば、カルボカチオンを形成する置換基として、上記の一般式(3-1)で表される基であって、かつα炭素に水酸基が結合した構造を有する芳香族化合物(A)を反応原料に使用する場合、反応が進行すると水が生成されるため、一般的には脱水処理が必要となる。しかし、アニリン系化合物を使用することによって、当該脱水処理の省略又は脱水処理の回数を低減できる。
また、アニリン系化合物は共触媒として使用するものであるが、本開示のインダン環含有化合物の構造単位の一部に取り込まれてもよい。当該アニリン系化合物は、以下の一般式(III)で表されることが好ましい。
Figure 2023087627000025
(上記一般式(III)中、R61はそれぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1~6のフルオロアルキル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、n61は0以上5以下の整数を表す。)
上記一般式(III)中、n61が2以上5以下の場合、複数存在するR61は互いに独立しており、複数存在するR61が互いに同一であっても、あるいは互いに異なっていてもよい。
上記一般式(III)中、炭素原子数1~6のフルオロアルキル基は、炭素原子数1~6のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
本実施形態のアニリン系化合物の好ましい形態としては、上記一般式(III)中、n61が1以上4以下の整数であり、1以上4以下のR61はそれぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1~3のフルオロアルキル基又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すことが好ましい。
本実施形態のアニリン系化合物は、例えば、アニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルアニリン、エチルメチルアニリン、シクロブチルアニリン、シクロペンチルアニリン、シクロヘキシルアニリン、トルイジン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ブチルアニリン、2-メチル-3-エチルアニリン、2-メチル-4-イソプロピルアニリン、2,6-ジエチルアニリン、あるいは2-エチル-5-tert-ブチルアニリン、2,4-ジイソプロピルアニリン、トリメチルアニリン(例えば、2,4,6-トリメチルアニリン)、ジエチルトルエンジアミン等を用いることができる。また、前記プロピルは、n-プロピル及びイソプロピルを含み、前記ブチルは、n-ブチル,tert-ブチル及びsec-ブチルを含む。なお、本実施形態におけるアニリン系化合物は、単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、芳香族化合物(A)と、アニリン系化合物との配合割合としては、得られる硬化物の製造時の成形性、硬化性の物性バランスを考慮すると、前記芳香族化合物(A)100質量部に対して、前記アニリン系化合物の配合量は、0.01~30質量部が好ましく、0.1~15質量部がより好ましい。
また、上記工程(1)を実施する具体的方法としては、全原料を一括装入し、そのまま所定の温度で反応させるか、又は、芳香族化合物(A)又はアニリン系化合物の一方と酸触媒と反応溶媒とを装入し、所定の温度に保ちつつ、前記芳香族化合物(A)又は前記アニリン系化合物の他方等を滴下させながら反応させる方法が一般的である。反応後、溶媒を使用した場合は、必要により、溶媒と未反応物を留去させて、目的物であるインダン環含有化合物を得ることができ、溶媒を使用しない場合は、未反応物を留去することによって目的物であるインダン環含有化合物を得ることができる。
<酸触媒>
本実施形態の工程(1)に用いる酸触媒には、例えば、ニッケル、コバルト、ナトリウム、カルシウム、鉄、リチウム、マンガン等の酢酸塩、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩、リン酸、塩酸、硫酸のような無機酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸等の有機酸、活性白土、酸性白土、シリカアルミナ、ゼオライト、強酸性イオン交換樹脂のような固体酸、ヘテロポリ塩酸等を挙げることができるが、反応後、ろ過により簡便に触媒除去が可能な固体酸がハンドリンク性の観点からも好ましく、他の酸を用いるときは、反応後、塩基による中和と水による洗浄を行うことが好ましい。
前記酸触媒の配合量は、仕込む原料(カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A))の総量100質量部に対して、酸触媒を0.1~50質量部の範囲で配合されることが好ましく、ハンドリング性と経済性の点から、1~30質量部の範囲がより好ましい。
<反応条件>
本実施形態におけるインダン環含有化合物の製造方法においては、必ずしも反応溶媒を用いなくてもよいが、反応溶媒として有機溶媒を用いることも可能である。
本実施形態の製造方法において使用される有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル、スルホラン等の非プロトン性溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等が挙げられ、またこれらは単独で用いても混合して用いてもよい。
本実施形態の工程(1)において、有機溶媒の使用量としては、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)100質量部に対して、10~3,000質量部の範囲に配合することが好ましく、より好ましくは50~1000質量部で仕込む。
また、芳香族化合物(A)を原料として反応させるため、トルエン、キシレン、又はクロロベンゼン等の共沸脱水可能な溶剤を用いて、必要により触媒等に含まれる水分を共沸脱水させた後、水分を留去してから、後述の反応温度の範囲で反応を行う方法を採用してもよい。
本実施形態の工程(1)において、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)同士の環化反応の反応温度としては、好ましくは80~250℃、より好ましくは100~220℃の温度範囲であることが好ましい。
本実施形態の工程(1)において、カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)の反応時間、すなわち前記芳香族化合物(A)同士の環化反応の反応時間としては、短時間では反応が完全に進行せず、また長時間にすると生成物の熱分解反応等の副反応が起こることから、前記反応温度条件下で、通常は、のべ0.5~20時間の範囲であるが、好ましくは、のべ1~10時間の範囲である。
本実施形態の工程(1)の好ましい反応条件としては、上記芳香族化合物(A)とアニリン系化合物と酸触媒と有機溶媒とを仕込み、好ましくは80~250℃、より好ましくは100~220℃の温度範囲で、0.5~20時間、好ましくは1.0~10時間反応させた後、さらに、反応温度を100~220℃、好ましくは120~210℃の温度範囲に上げた後、0.5~20時間、好ましくは1.0~10時間反応させる条件が挙げられる。
本実施形態の工程(1)には、必要により、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸のような低級脂肪族カルボン酸無水物、五酸化リン、酸化カルシウム、酸化バリウム等の酸化物、硫酸等の無機酸、モレキュラーシーブ等の多孔性セラミック等の脱水剤を使用してもよい。また、上記脱水剤の代わりに、反応の途中で留出水を取り除いてもよい。
[硬化性組成物]
本開示のインダン環含有化合物又はインダン系混合物は、硬化性組成物を調製するために用いることができる。本開示の硬化性組成物は、上述したインダン環含有化合物又はインダン系混合物を含有することが好ましい。本実施形態のインダン環含有化合物又はインダン系混合物が、溶剤溶解性、加熱溶融時の流動性、及び、ハンドリング性に優れ、さらに、寸法安定性、低吸湿性、耐脆性、耐熱性、及び、低誘電率・低誘電正接に寄与できるため、前記インダン環含有化合物又は前記インダン系混合物を含有する硬化性組成物より得られる硬化物は、耐熱性及び誘電特性に優れる。
本開示の硬化性組成物は、硬化剤を含有してもよく、さらに必要に応じて、硬化促進剤、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤、非ハロゲン系難燃剤、無機充填材、難燃剤(例えば、無機リン系難燃剤、有機リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤)、溶媒等の種々の配合剤を添加することができる。また、本開示の目的を損なわない範囲であれば、前記インダン環含有化合物又はインダン系混合物以外に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、スチレン無水マレイン酸共重合体、ポリブタジエン及びその変性物、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド樹脂、シリコーンゲル、シリコーンオイル等を適宜配合することも可能である。
[硬化物]
本開示の硬化物は、前記硬化性組成物により得られることが好ましい。前記硬化物は、前記硬化性組成物を硬化反応させて得ることができる。前記硬化性組成物は、上述した各成分(例えば、硬化剤、配合剤)を均一に混合することにより得られ、従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。前記硬化物としては、積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
[半導体封止材料]
本開示は、本実施形態の硬化性組成物を含有する半導体封止材料である。本実施形態の硬化性組成物を用いて得られる半導体封止材料は、本開示のインダン環含有化合物又はインダン系混合物を使用することにより、低誘電正接性率又は耐熱性が改善されているため、製造工程における加工性や成形性、耐リフロー性に優れ、好ましい態様となる。
前記半導体封止材料に用いられる本実施形態の硬化性組成物には、無機充填剤を含有することができる。なお、前記無機充填剤の充填率としては、本実施形態の硬化性組成物100質量部に対して、例えば、無機充填剤を0.5~1200質量部の範囲で用いることができる。また、当該無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、等を挙げることができる。
前記半導体封止材料を得る方法としては、本実施形態の硬化性組成物に、更に任意成分である添加剤とを必要に応じて、押出機、ニ-ダ、ロ-ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法などが挙げられる。
[半導体装置]
本開示は、前記半導体封止材料の硬化物を含む半導体装置である。本実施形態の硬化性組成物を用いて得られる半導体封止材料を用いて得られる半導体装置は、本開示のインダン環含有化合物又はインダン系混合物を使用するため、低粘度で流動性に優れ、更に、吸湿性、熱時弾性率又は金属材料との接着性が改善されているため、製造工程における加工性や成形性、耐リフロー性に優れ、好ましい態様となる。
前記半導体装置を得る方法としては、前記半導体封止材料を注型、または、トランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに室温(20℃)~250℃の温度範囲で、加熱硬化する方法が挙げられる。
[プリプレグ]
本開示は、補強基材、及び、前記補強基材に含浸した本実施形態の硬化性組成物の半硬化物を有するプリプレグである。上記硬化性組成物からプリプレグを得る方法としては、後述する有機溶媒を配合して、ワニス化した硬化性組成物を、補強基材(紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布など)に含浸したのち、用いた溶媒種に応じた加熱温度、好ましくは50~170℃で加熱することによって、前記硬化性組成物を半硬化(あるいは未硬化)してプリプレグを得る方法が挙げられる。この時用いる硬化性組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20~60質量%となるように調製することが好ましい。
本実施形態において、硬化性組成物の半硬化物は、加熱温度及び加熱時間を調整して、硬化反応を完了させずに途中で停止させることによって得られる。また、例えば、半硬化物は、例えば85%以下5%以上の硬化度でありうる。一方、本実施形態における硬化物は、半硬化物より高い硬化度を有しうる。
なお、当該半硬化物の硬化度は、硬化性組成物を加熱する際の硬化発熱量と、その半硬化物の硬化発熱量をDSCにより測定し、以下の式から算出できる。
硬化度(%)=[1-(半硬化物の硬化発熱量/硬化性組成物の硬化発熱量)]×100
プリプレグの製造に用いる有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、下記のようにプリプレグからプリント回路基板をさらに製造する場合には、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶媒を用いることが好ましく、また、不揮発分が40~80質量%となる割合で用いることが好ましい。
[回路基板]
本開示は、前記プリプレグ、及び、銅箔の積層体である回路基板である。本実施形態の硬化性組成物からプリント回路基板を得る方法としては、上記プリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1~10MPaの加圧下に170~300℃で10分~3時間、加熱圧着させる方法が挙げられる。
[ビルドアップフィルム]
本開示は、本実施形態の硬化性組成物を含有するビルドアップフィルムである。本実施形態のビルドアップフィルムを製造する方法としては、上記硬化性組成物を、支持フィルム上に塗布し、硬化性組成物層を形成させて多層プリント配線板用の接着フィルムとすることにより製造する方法が挙げられる。
硬化性組成物からビルドアップフィルムを製造する場合、該フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70~140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール、あるいは、スルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう上記各成分を配合することが好ましい。
ここで、多層プリント配線板のスルーホールの直径は、通常0.1~0.5mm、深さは通常0.1~1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
上記した接着フィルムを製造する方法は、具体的には、ワニス状の上記硬化性組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、このワニス状の組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶媒を乾燥させて硬化性組成物からなる組成物層(X)を形成させることにより製造することができる。
形成される組成物層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とすることが好ましい。回路基板が有する導体層の厚さは通常5~70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10~100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、本実施形態における組成物層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
上記した支持フィルム(Y)及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10~150μmであり、好ましくは25~50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1~40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
<耐熱材料及び電子材料>
本開示のインダン環含有化合物を含有する硬化性組成物により得られる硬化物が、低吸湿性を示し、かつ耐熱性及び誘電特性に優れることから、耐熱部材又は電子部材に好適に使用可能である。特に、プリプレグ、回路基板、半導体封止材、半導体装置、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板、導電性ペーストを用いた接着剤やレジスト材料などに好適に使用できる。また、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂にも好適に使用でき、高耐熱性のプリプレグとして特に適している。また、前記硬化性組成物に含まれるインダン骨格を有するインダン環含有化合物は、各種溶剤への優れた溶解性を示すことから塗料化が可能である。こうして得られる耐熱部材や電子部材は、各種用途に好適に使用可能であり、例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品、宇宙・航空関連部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材等が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、合成したインダン環含有化合物の物性測定は以下の通り実施し、表1に示した。
(1)GPC測定
以下の測定装置、測定条件を用いて、実施例及び比較例で得られたインダン環含有化合物又はインダン系混合物についての、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
「測定装置」
東ソー株式会社製「HLC-8320 GPC」
「測定条件」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL-L」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G3000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G4000HXL」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準:前記「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
試料:合成例で得られたインダン環含有化合物の樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
(2)FD-MS測定
実施例で得られたインダン環含有化合物のFD-MSスペクトルは、以下の測定装置、測定条件を用いて測定した。
測定装置:JMS-T100GC AccuTOF
測定条件
測定範囲:m/z=4.00~2000.00
変化率:51.2mA/分
最終電流値:45mA
カソード電圧:-10kV
記録間隔:0.07秒
(3)13C-NMR測定
実施例で得られたインダン環含有化合物の13C-NMRスペクトルは以下の測定装置、測定条件にて測定した。
13C-NMR:JEOL RESONANCE製「JNM-ECZ400S」
共鳴周波数:100MHz
積算回数:4000回
溶媒:クロロホルム-d
試料濃度:12質量%
緩和試薬:クロム(III)アセチルアセトネート
(4)不飽和結合の定量
特開2012-214728号公報に記載の不飽和結合の定量方法を用いて不飽和結合の量を算出した。
(5)軟化点
測定法:JIS K7234(環球法)に準拠して、以下に示す合成例で得られた熱硬化性樹脂の軟化点(℃)を測定した。
(6)アミン当量
以下の測定法により、インダン環含有化合物又はインダン系混合物のアミン当量を測定した。
500mL共栓付き三角フラスコに、試料であるインダン環含有化合物又はインダン系混合物を約2.5g、ピリジン7.5g、無水酢酸2.5g、トリフェニルホスフィン7.5gを精秤後、冷却管を装着し120℃に設定したオイルバスにて150分加熱還流する。
冷却後、蒸留水5.0mL、プロピレングリコールモノメチルエーテル100mL、テトラヒドロフラン75mLを加え、0.5mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液で電位差滴定法により滴定した。同様の方法で空試験を行なって補正した。
アミン当量(g/eq.)=(S×2,000)/(Blank-A)
S:試料の量(g)
A:0.5mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液の消費量(mL)
Blank:空試験における0.5mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液の消費量(mL)
(7)インダン環含有化合物の合成
<実施例1>インダン環含有化合物(A-1)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコに、2,4,6-トリメチルアニリン40.6g(0.30mol)、α,α’-ジヒドロキシ-1,3-ジイソプロピルベンゼン582.8g(3.0mol)、キシレン600.0g及び活性白土62.3gを仕込み、攪拌しながら120℃まで加熱した。さらに留出水をディーンスターク管で取り除きながら200℃になるまで昇温し、8時間反応させた。反応後、室温まで空冷し、トルエン500gで希釈して、ろ過により活性白土を除き、減圧下で溶剤及び未反応物等の低分子量物を留去することにより、インダン環含有化合物(A-1)を384g得た。当該インダン環含有化合物(A-1)の化学構造及び特性解析は、GPC、FD-MS及び13C-NMRを用いて確認した。その結果、インダン環含有化合物(A-1)の数平均分子量(Mw)は845であった。また、インダン環含有化合物(A-1)のFD-MSスペクトル結果にて、M=316、474、632のピークが確認された。さらに、インダン環含有化合物(A-1)のFD-MSスペクトル結果にて、M=293、451、610のピークも確認されたことから、インダン環含有化合物(A-1)は、アニリン骨格(一般式(2)又は一般式(3)に相当)を有する化合物を含むことを確認した。なお、インダン環含有化合物(A-1)は熱硬化性を示した。また、得られたインダン環含有化合物(A-1)1分子当たりのアルケニル基(不飽和結合)の数は、平均1~10個の範囲であることを確認した。なお、参考までに、実施例1で得られたインダン環含有化合物(A-1)のGPCチャート(図1)、FD-MSチャート(図6)、及び13C-NMRチャート(図7)を示す。
したがって、MS及びNMRの測定結果から、実施例1で得られたインダン環含有化合物(A-1)は、以下の式(A-1.1)で表される化合物と、上記一般式(1b)で表される化合物との混合物であると考えられる。
Figure 2023087627000026
<実施例2>インダン環含有化合物(A-2)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコに2,4,6-トリメチルアニリン56.7g(0.40mol)、ジイソプロペニルベンゼン666.7g(4.20mol)、キシレン700.0g及び活性白土133.3gを仕込み、攪拌しながら120℃まで加熱した。さらに留出水をディーンスターク管で取り除きながら180℃になるまで昇温し、5時間反応させた。反応後、室温まで空冷し、キシレンで希釈して、ろ過により活性白土を除き、減圧下で溶剤及び未反応物等の低分子量物を留去することにより、インダン環含有化合物(A-2)を得た。当該インダン環含有化合物(A-2)の化学構造及び特性解析は、GPC、FD-MS及び13C-NMRを用いて確認した。その結果、インダン環含有化合物(A-2)の数平均分子量(Mw)は814であった。インダン環含有化合物(A-2)のFD-MSスペクトル結果にて、M=316、474、632のピークが確認された。さらに、インダン環含有化合物(A-2)のFD-MSスペクトル結果にて、M=293、451、610のピークも確認されたことから、インダン環含有化合物(A-2)は、アニリン骨格(一般式(2)又は一般式(3)に相当)を有する化合物を含むことを確認した。なお、インダン環含有化合物(A-2)は熱硬化性を示した。また、得られたインダン環含有化合物(A-2)1分子当たりのアルケニル基(不飽和結合)の数は、平均1~10個の範囲であることを確認した。なお、参考までに、図2に実施例2で得られたインダン環含有化合物(A-2)のGPCチャートを示す。
なお、実施例2で得られたインダン環含有化合物(A-2)も実施例1と同様に13C-NMR測定を行ったところ、実施例1のインダン環含有化合物(A-1)と同様のピークチャートが得られたことから、インダン環含有化合物(A-2)は、以下の式(A-2.1)で表される化合物と、上記一般式(1b)で表される化合物との混合物であると考えられる。
Figure 2023087627000027
<実施例3>インダン環含有化合物(A-3)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコに2-トリフルオロメチルアニリン25.3g(0.13mol)、α,α’-ジヒドロキシ-1,3-ジイソプロピルベンゼン333.3g(1.73mol)、キシレン340.0g及び活性白土66.7gを仕込み、攪拌しながら120℃まで加熱した。さらに留出水をディーンスターク管で取り除きながら180℃になるまで昇温し、5時間反応させた。反応後、室温まで空冷し、キシレンで希釈して、ろ過により活性白土を除き、減圧下で溶剤及び未反応物等の低分子量物を留去することにより、インダン環含有化合物(A-3)を得た。当該インダン環含有化合物(A-3)の化学構造及び特性解析は、GPC、FD-MS及び13C-NMRを用いて確認した。その結果、インダン環含有化合物(A-3)の数平均分子量(Mw)は689であった。インダン環含有化合物(A-3)のFD-MSスペクトル結果にて、M=316、474、632のピークが確認された。さらに、インダン環含有化合物(A-3)のFD-MSスペクトル結果にて、M=319、478、636のピークも確認されたことから、インダン環含有化合物(A-3)は、アニリン骨格(一般式(2)又は一般式(3)に相当)を有する化合物を含むことを確認した。なお、インダン環含有化合物(A-3)は熱硬化性を示した。また、得られたインダン環含有化合物(A-3)1分子当たりのアルケニル基(不飽和結合)の数は、平均1~10個の範囲であることを確認した。なお、参考までに、図3に実施例3で得られたインダン環含有化合物(A-3)のGPCチャートを示す。
なお、実施例3で得られたインダン環含有化合物(A-3)も実施例1と同様に13C-NMR測定を行ったところ、実施例1のインダン環含有化合物(A-1)と同様のピークチャートが得られたことから、インダン環含有化合物(A-3)は、以下の式(A-3.1)で表される化合物と、上記一般式(1b)で表される化合物との混合物であると考えられる。
Figure 2023087627000028
<実施例4>インダン環含有化合物(A-4)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコにジエチルトルエンジアミン31.4g(0.20mol)、α,α’-ジヒドロキシ-1,3-ジイソプロピルベンゼン333.3g(1.73mol)、キシレン340.0g及び活性白土66.7gを仕込み、攪拌しながら120℃まで加熱した。さらに留出水をディーンスターク管で取り除きながら180℃になるまで昇温し、5時間反応させた。反応後、室温まで空冷し、キシレンで希釈して、ろ過により活性白土を除き、減圧下で溶剤及び未反応物等の低分子量物を留去することにより、インダン環含有化合物(A-4)を得た。当該インダン環含有化合物(A-4)の化学構造及び特性解析は、GPC、FD-MS及び13C-NMRを用いて確認した。その結果、インダン環含有化合物(A-4)の数平均分子量(Mw)は393であった。インダン環含有化合物(A-4)のFD-MSスペクトル結果にて、M=316、474、632のピークが確認された。さらに、インダン環含有化合物(A-4)のFD-MSスペクトル結果にて、M=337、494、653のピークも確認されたことから、インダン環含有化合物(A-4)は、アニリン骨格(一般式(2)又は一般式(3)に相当)を有する化合物を含むことを確認した。なお、インダン環含有化合物(A-4)は熱硬化性を示した。また、得られたインダン環含有化合物(A-4)1分子当たりのアルケニル基(不飽和結合)の数は、平均1~10個の範囲であることを確認した。なお、参考までに、図4に実施例4で得られたインダン環含有化合物(A-4)のGPCチャートを示す。
なお、実施例4で得られたインダン環含有化合物(A-4)も実施例1と同様に13C-NMR測定を行ったところ、実施例1のインダン環含有化合物(A-1)と同様のピークチャートが得られたことから、インダン環含有化合物(A-4)は、以下の式(A-4.1)で表される化合物と、上記一般式(1b)で表される化合物との混合物であると考えられる。
Figure 2023087627000029
<実施例5>インダン環含有化合物(A-5)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコに2,4,6-トリメチルアニリン10.2g(0.07mol)、α,α’-ジヒドロキシ-1,4-ジイソプロピルベンゼン100.0g(0.51mol)、キシレン300.0g及び活性白土23.5gを仕込み、攪拌しながら120℃まで加熱した。さらに留出水をディーンスターク管で取り除きながら180℃になるまで昇温し、5時間反応させた。反応後、室温まで空冷し、キシレンで希釈して、ろ過により活性白土を除き、減圧下で溶剤及び未反応物等の低分子量物を留去することにより、インダン環含有化合物(A-5)を得た。当該インダン環含有化合物(A-5)の化学構造及び特性解析は、GPC、FD-MS及び13C-NMRを用いて確認した。その結果、インダン環含有化合物(A-5)の数平均分子量(Mw)は1142であった。インダン環含有化合物(A-5)のFD-MSスペクトル結果にて、M=316、474、632のピークが確認された。さらに、インダン環含有化合物(A-5)のFD-MSスペクトル結果にて、M=293、451、610のピークも確認されたことから、インダン環含有化合物(A-5)は、アニリン骨格(一般式(2)又は一般式(3)に相当)を有する化合物を含むことを確認した。なお、インダン環含有化合物(A-5)は熱硬化性を示した。また、得られたインダン環含有化合物(A-5)1分子当たりのアルケニル基(不飽和結合)の数は、平均1~10個の範囲であることを確認した。なお、参考までに、図5に実施例5で得られたインダン環含有化合物(A-5)のGPCチャートを示す。
なお、実施例5で得られたインダン環含有化合物(A-5)も実施例1と同様に13C-NMR測定を行ったところ、実施例1のインダン環含有化合物(A-1)と同様のピークチャートが得られたことから、インダン環含有化合物(A-5)は、以下の式(A-5.1)で表される化合物と、上記一般式(1b)で表される化合物との混合物であると考えられる。
Figure 2023087627000030
<合成例1>脂環式化合物(1)の合成
温度計、冷却管及び攪拌機を取り付けたフラスコにノルボルネン72.0g、第1のジビニルベンゼン化合物(DVB-810(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、ジビニルベンゼン純度81%、エチルスチレン19%含有))25.0g、第2のジビニルベンゼン化合物(DVB-570(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、ジビニルベンゼン純度57%、エチルスチレン43%含有))75.0gを仕込むことにより、ノルボルネンに対し、ジビニルベンゼン0.63当量、エチルスチレンを0.37当量で調製した。続いて、酢酸ブチル35.6g、トルエン114.7gを仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温し、トリフルオロボラン・ジエチルエーテル錯体を加え、同温度で6時間反応させた。反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、水洗により触媒残渣を除去し、60℃減圧下で揮発分を除去することで脂環式化合物(1)を得た。
<合成例2>インダン環含有化合物(A-6)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコに、α,α’-ジヒドロキシ-1,3-ジイソプロピルベンゼン582.8g(3.0mol)、キシレン600.0g及び活性白土62.3gを仕込み、攪拌しながら120℃に向けて加熱したところ、脱水を伴いながら発熱、ゲル化に至った。そのため、合成例2に記載の合成方法では、インダン環含有化合物(A-6)を回収できなかった。
<実施例6~10及び比較例1>
<<硬化性組成物の調製>>
上記実施例1~4で得られたインダン環含有化合物(A-1)~(A-4)と、合成例1で得られた脂環式化合物(1)と、マレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製「BMI-TMH」 下記式(B-T))と、重合開始剤(ジクミルパーオキサイド:DCPO)を、後述の表1に示す組成比になるように混合して硬化性組成物を調製した。
Figure 2023087627000031
次いで、実施例6~9及び比較例1の硬化性組成物を以下の<<硬化物の作製>>欄に記載の条件を用いて硬化することにより、実施例6~9及び比較例1の硬化物を作製した。そして、下記の方法で誘電正接及び耐熱分解性の物性評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
<<硬化物の作製>>
硬化条件:200℃で3時間加熱硬化
成型後板厚:2.0mm
この硬化物について、下記の方法で種々の物性評価を行った。結果を表2に示す。
<<耐熱分解性の測定>>
厚さ2.0mmの硬化物を細かく裁断し、熱重量分析装置(METTLER TOREDO社製熱重量測定装置「TGA/DSC1」)を用いて、昇温速度を5℃/分として窒素雰囲気下で測定を行い、5%重量減少する温度(Td5)を求めた。
<<誘電正接の測定>>
JIS-C-6481に準拠し、アジレント・テクノロジー株式会社製ネットワークアナライザ「E8362C」を用い空洞共振法にて、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の試験片の1GHz及び10GHzでの誘電正接を測定した。
Figure 2023087627000032
上記表1に示す結果から、実施例6~9と比較例1とを比較すると、実施例1~4のインダン環含有化合物を用いることにより、優れた誘電特性及び耐熱分解性が達成されたことが確認される。
本開示によれば、低誘電正接及び優れた耐熱性を示すインデン環含有化合物、当該インデン環含有化合物を含有する硬化性組成物及びその硬化物を提供できる。

Claims (12)

  1. 以下の一般式(1a)で表される構造単位と、以下の一般式(2)又は一般式(3)で表される構造単位とを有し、かつ末端部位の少なくとも1つがアルケニル基である、インダン環含有化合物。
    Figure 2023087627000033
    (上記一般式(1a)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、n12は平均繰り返し単位数を表す。)
    Figure 2023087627000034
    (上記一般式(2)中、R14はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上3以下の整数を表す。)
    (上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。)
  2. 以下の一般式(1b)で表される、請求項1に記載のインダン環含有化合物。
    Figure 2023087627000035
    (上記一般式(1b)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、
    11、Q12、L11及びL12はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~8のアルキレン基を表し、
    11及びP12はそれぞれ独立して、炭素原子数2~10のアルケニル基又は以下の一般式(3)を表し、
    11及びM12はそれぞれ独立して、単結合又は以下の一般式(4)を表し、
    12は平均繰り返し単位数を表し、n11及びn13はそれぞれ独立して、0~20を表す。
    但し、P11及びP12の少なくともいずれか一方が炭素原子数2~10のアルケニル基であり、かつn11個のM11とn13個のM12とP11とP12との少なくともいずれか1つにアミノ基を有する。
    Figure 2023087627000036
    [上記一般式(3)中、R15はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。]
    [上記一般式(4)中、R16はそれぞれ独立して、アミノ基、フルオロアルキル基又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは0以上4以下の整数を表す。])
  3. 熱硬化性化合物である、請求項1又は2に記載のインダン環含有化合物。
  4. 請求項1に記載のインダン環含有化合物を2種以上含有する、インダン系混合物。
  5. カルボカチオンを形成する置換基を有する芳香族化合物(A)を、アニリン系化合物を用いて酸存在下で反応させる工程を有する、インダン環含有化合物を製造する方法。
  6. 請求項1~3のいずれか1項に記載のインダン環含有化合物又は請求項4に記載のインダン系混合物と、硬化剤とを含有する硬化性組成物。
  7. 請求項6に硬化性組成物の硬化物。
  8. 補強基材、及び、前記補強基材に含浸した請求項5に記載の硬化性組成物の半硬化物を有するプリプレグ。
  9. 請求項8に記載のプリプレグ、及び、銅箔を積層した積層体を有する、回路基板。
  10. 請求項6に記載の硬化性組成物を含有するビルドアップフィルム。
  11. 請求項6に記載の硬化性組成物を含有する半導体封止材。
  12. 請求項11に記載の半導体封止材の硬化物を含む半導体装置。
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